JP6731768B2 - マスク - Google Patents
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Description
一方で、マスク自体に有効成分を保持させて、着用者に効能を与える目的で着用するタイプのマスクも知られている。例えば特許文献1(特開2015−123197)及び特許文献2(特開2007−319421)では、睡眠中の着用者の口腔または鼻腔の乾燥の防止を目的として、保水層をマスク中に構成するマスクが開示されている。
具体的には、特許文献3では外部からの液体類の透過を防ぐ目的で、フルオロケミカル処理層をマスク全面に配置したマスクが開示されている。特許文献4及び特許文献5では、女性の化粧落ちを防止する目的で、マスク内側全面にフッ素処理が施されているマスクが開示されている。特許文献6では呼気の水分が口の周りに付着するという不快感を防止する目的で、撥水処理層を鼻口側より1層目のシートに設けたマスクが開示されている。
さらに、前述の特許文献4及び特許文献5に開示されたマスクでは、撥水撥油処理が化粧落ちを防止する目的のみで行われており、マスクに保持させた液体のバリア性については改善の余地がある。前述の特許文献6及び特許文献7に開示されたマスクも同様に、マスクに保持させた液体のバリア性について改善の余地がある。
<1> マスク本体とマスク本体に保持された薬液含有部材とを備え、
前記薬液含有部材は、薬液と、前記薬液を保持する薬液保持体と、前記薬液保持体を被覆し、フッ素系撥液剤を含み、耐水圧が250mmH2O以上であるバリア材と、を含有するマスク。
<2> 前記バリア材は、不織布及び多孔性フィルムの少なくとも一方を含む<1>に記載のマスク。
<3> 前記バリア材は、前記不織布としてメルトブロー不織布を含む不織布積層体を含む<2>に記載のマスク。
<5> 前記薬液は、天然由来成分とアルコールとを含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載のマスク。
以下、本発明に係るマスクの一実施形態について説明する。
本実施形態に係るマスクは、マスク本体とマスク本体に保持された薬液含有部材とを備える。そして、前記薬液含有部材は、薬液と、前記薬液を保持する薬液保持体と、前記薬液保持体を被覆し、フッ素系撥液剤を含むバリア材と、を含有し、前記バリア材の耐水圧が250mmH2O以上である。
本実施形態に係るマスクでは、マスクが有する薬液含有部材が上記構成であることによって、薬液含有部材に含有された薬液におけるマスクの着用者側への移行が適度に抑制される。具体的には、バリア材が、フッ素系撥液剤を含み、かつ、上記範囲の耐水圧を有することで、薬液含有部材に含有された薬液におけるマスクの着用者側への移行が適度に抑制される。
以下、本実施形態のマスクを構成する各部材について説明する。
(バリア材)
バリア材は、薬液保持体を被覆することで、薬液保持体に保持された薬液が薬液含有部材の外部に移行することを抑制する部材である。バリア材は、例えば、薬液保持体に保持された薬液が、薬液保持体に接触するマスク本体に染み出すことや、マスク本体から外部に揮発すること等を抑制する。
バリア材の耐水圧は、薬液保持体に含まれる薬液(特に薬液に含まれるアルコールや油成分)のシミだしを防ぐ目的で、300mmH2O以上であることが好ましく、より好ましくは500mmH2O以上である。また、バリア材の耐水圧の上限は、特に制限されないが、薬液に含まれる有効成分を呼気に含ませる観点から、3000mmH2O以下が好ましく、より好ましくは1000mmH2O以下、さらに好ましくは800mmH2O以下、最も好ましくは650mmH2O以下である。
なお、バリア材の耐水圧は、JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して測定して測定した値である。
バリア材としては、例えば、樹脂を含む樹脂組成物で形成されたシート状のバリア材本体を含むものが挙げられる。また、バリア材本体としては、例えば、不織布、多孔性フィルム等が挙げられる。
バリア材は、バリア材本体とバリア材本体に付着したフッ素系撥液剤とを含むものであってもよく、フッ素系撥液剤を含有するバリア材本体を含むものであってもよい。すなわち、バリア材は、バリア材本体が形成された後にフッ素系撥液剤をバリア材本体に付着させるための加工処理を行ったものでもよく、フッ素系撥液剤を添加剤として含有する樹脂組成物で形成されたバリア材本体で構成されたものであってもよい。また、バリア材は、フッ素系撥液剤を添加剤として含有する樹脂組成物で形成されたバリア材本体を形成した後に、フッ素系撥液剤をバリア材本体に付着させる加工処理を行ったものでもよい。
以下、バリア材を構成する材料及びバリア材の特性について説明する。
不織布は、バリア性及び耐水圧の観点から、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布のような長繊維不織布を含むことが好ましく、スパンボンド不織布及びメルトブロー不織布の少なくとも一方を含むことがより好ましく、メルトブロー不織布を含むことがさらに好ましい。
不織布積層体を構成する不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布の他、例えば、湿式不織布、スパンレース不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、エアレイド不織布、ウォータージェット不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布、ニードルパンチ不織布等、種々公知の短繊維不織布及び長繊維不織布が挙げられる。
メルトブロー不織布及びスパンボンド不織布の両方を含む積層体としては、例えば、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布とが直接接触して積層した積層体が挙げられる。メルトブロー不織布及びスパンボンド不織布の両方を含む積層体の具体的な構成としては、例えば、メルトブロー不織布及びスパンボンド不織布がそれぞれ1層ずつ積層した2層の積層体のほか、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、及びスパンボンド不織布がこの順に積層した3層の積層体が挙げられる。
以下、不織布積層体の一例として、メルトブロー不織布及びスパンボンド不織布の両方を含む積層体について、不織布を構成する材料、不織布積層体の製造方法、及び不織布積層体の特性を詳細に説明する。
スパンボンド不織布及びメルトブロー不織布を構成する材料としては、例えば熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の繊維(熱可塑性繊維)が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
α−オレフィンの単独重合体又は共重合体としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/1−ブテンランダム共重合体等のエチレンの単独重合体又はエチレン/α−オレフィン共重合体等のエチレン含有共重合体;プロピレンの単独重合体(ポリプロピレン:PP)、プロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体、プロピレン/1−ブテンランダム共重合体等のプロピレン含有重合体;1−ブテン単独重合体、1−ブテン/エチレン共重合体、1−ブテン/プロピレン共重合体等の1−ブテン含有共重合体;ポリ4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン/α−オレフィン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン含有共重合体;などのα−オレフィン含有重合体が挙げられる。
なお、本明細書におけるメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値を用いている。
なお、本発明において、密度は、JIS K7112の密度勾配法に従って測定して得られた値である。
更に、不織布を構成する繊維は、前記熱可塑性樹脂組成物からなる単一の繊維であってもよく、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、サイドバイサイド型の複合繊維、芯鞘構造を有する複合繊維等の複合繊維であってもよい。
また、不織布を構成する繊維の断面形状は、特に限定されず、例えば、丸型、楕円型、星型、多角型(具体的には、例えば、三角型、四角型、五角型等)、又は中空型などの形状を採り得る。
メルトブロー不織布及びスパンボンド不織布を含む不織布積層体の製造方法としては、特に限定されないが、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布とを一体化して積層体を形成できる方法として、例えば、以下の方法を採用することができる。
(B)メルトブロー法によって得られる繊維を予め得られたスパンボンド不織布の上に直接堆積させてメルトブロー不織布を形成し、さらにスパンボンド法により形成される繊維を前記メルトブロー不織布の上に直接堆積させてスパンボンド不織布を形成した後、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とスパンボンド不織布とを熱により融着させて三層の積層体を製造する方法。
(C)予め得られたスパンボンド不織布と別途製造したメルトブロー不織布とを重ね合わせ、熱及び圧力により両不織布を融着させて積層体を製造する方法。
(D)予め得られたスパンボンド不織布と別途製造したメルトブロー不織布とを、ホットメルト接着剤又は溶剤系接着剤等の接着剤によって接着して積層体を製造する方法。
なお、熱エンボス加工を行う場合、エンボス温度は、エンボス加工時のライン速度や圧着圧力によるが、一般的に85℃〜160℃の範囲にある。
スパンボンド不織布の目付としては、10g/m2〜50g/m2、好ましくは10g/m2〜30g/m2、より好ましくは13g/m2〜30g/m2の範囲が挙げられる。スパンボンド不織布の繊維径としては、通常、10〜50μm、好ましくは13〜40μmの範囲が挙げられる。
メルトブロー不織布の目付としては、0.1g/m2〜60g/m2、好ましくは0.5g/m2〜40g/m2、より好ましくは1g/m2〜30g/m2、さらに好ましくは5g/m2〜25g/m2、最も好ましくは10g/m2〜20g/m2の範囲が挙げられる。メルトブロー不織布の繊維径としては、0.1〜10μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜5μmの範囲が挙げられる。
不織布積層体全体における目付としては、例えば10g/m2〜100g/m2が挙げられ、好ましくは20g/m2〜80g/m2であり、より好ましくは30g/m2〜60g/m2、最も好ましくは40g/m2〜50g/m2である。
不織布積層体は、本発明の目的を損なわない範囲で、ギア加工、印刷、塗布、ラミネート、熱処理、賦型加工、親水加工などの二次加工を施して用いてもよい。
多孔性フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン樹脂と充填剤とを含む多孔性フィルムが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂と充填剤とを含む多孔性フィルムは、ポリオレフィン樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物を溶融成形してフィルムとなし、該フィルムを少なくとも一軸方向に延伸することにより製造することができる。
ポリオレフィン樹脂は、例えばエチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体及びそれらの共重合体を主成分とするものであり、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、タルク、ガラスビーズ等が挙げられ、これらのうち、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが好ましい。廉価性等を勘案するとより好ましくは炭酸カルシウムである。有機充填剤としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、フェノール樹脂等の樹脂ビーズ等が好ましい。
次に、多孔性フィルムの製造方法を例示する。
まず、前記ポリオレフィン樹脂、充填剤、必要に応じてその他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合し、この混合物を一軸または二軸スクリュー型押出機に供給して混練してペレット化する。得られたペレットをポリオレフィン樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満の範囲の温度において、Tダイ等が装着された押出成形機、円形ダイが装着されたインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて溶融、製膜する。必要によってはペレット化せず、直接成形機で製膜することも可能である。
2倍〜6倍であることが好ましく、さらには1.4倍〜5倍であることが好ましい。
フッ素系撥液剤は、フッ素原子を有し、かつ、バリア材に撥液機能を持たせる化合物であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、モノパーフルオロアルキルエチルフォスフェイト塩、パーフルオロアルキルスルホン酸ジエタノールアミド等のフルオロカーボン類;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリトリフルオロモノクロルエチレン、ポリビニルフロライド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系重合体;一般式CH2=CR1COOR2Rf(式中RfはCnF2n+1で表されるパーフルオロアルキル基、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CmH2m−で表されるアルキレン基であり、nは5〜16の整数、mは1〜10の整数である)で表されるパーフルオロアルキル基を有する化合物を含む(共)重合体;等のフッ素系化合物を挙げることができる。
ここで、「(共)重合体」とは、単独重合体及び共重合体の両方を含む概念を意味する。
以下、バリア材本体にフッ素系撥液剤が付着した形態について説明する。
また、乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥器を用いる方法、テンターを用いる方法、発熱体に接触させる方法、等が挙げられる。
なお、上記フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材本体の内部に含有されるフッ素系撥液剤とバリア材本体に付着したフッ素系撥液剤との両方を含むフッ素系撥液剤の総量である。
また、バリア材の単位面積あたりにおけるフッ素系撥液剤の含有量としては、フッ素系撥液剤の固形分として、例えば、0.05g/m2〜5g/m2、好ましくは0.07g/m2〜1g/m2の範囲が挙げられる。
バリア材の耐水圧については前述の通りである。
バリア材の通気度は、着用者の呼吸に伴い薬液に含まれる有効成分を呼気に含ませる観点から、0.001cm3/cm2/s以上であることが好ましい。次に好ましくは0.01cm3/cm2/s以上、より好ましくは0.1cm3/cm2/s以上、更に好ましくは1cm3/cm2/s以上、最も好ましくは10cm3/cm2/s以上である。上限は特に制限されないが、薬液のバリア性の観点から200cm3/cm2/s程度である。
なお、バリア材の通気度は、JISL1096に準じたフラジール通気度測定機によって測定を行って得られた値である。
なお、上記撥アルコール性は、JIS L 1912医療用不織布試験法で測定した値である。また、上記撥油性は、AATCC 118−1992で測定した値である。
薬液保持体は、薬液を保持できるものであれば特に限定されないが、着用しやすさの観点で、シート状のものが好ましい。
薬液保持体の具体例としては、例えば、エアレイド不織布、長繊維セルロース不織布、脱脂綿、ガーゼ、パルプ、ティッシュ、ポリオレフィン合成パルプ等が挙げられる。
薬液は、少なくとも有効成分を含む液体であり、例えば有効成分が溶媒に溶解した溶液が挙げられる。薬液に含まれる有効成分は、揮発した後に着用者に吸引されることで、着用者の体内に入る。
有効成分は、特に限定されないが、例えば、生薬、漢方、薬剤、香料、各種の天然由来の動植物抽出物、鉱物抽出物などが挙げられ、これら1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
有効成分は、着用者が吸引により効果を得る観点から揮発成分を含むことが好ましい。揮発成分とは、25℃において少なくとも一部が気体となって発散する成分である。
有効成分は、天然由来成分であることが好ましい。天然由来成分としては、例えば、桂皮エキス、桂皮エキスから抽出されたタンニン成分、桂皮エキスから抽出された精油成分
等が挙げられる。
薬液としては、天然由来成分とアルコールとを含むものが好ましく、その中でも天然由来成分とエタノールとを含むものがより好ましい。
薬液含有部材は、少なくとも薬液と薬液保持体とバリア材を含む。バリア材は、薬液保持体を直接被覆していても他の部材を介して被覆してもよく、薬液保持体の一部を覆うように被覆しても、薬液保持体全体を覆うように被覆してもよい。また、薬液含有部材は、前記バリア材と前記バリア材以外の部材とで薬液保持体全体を覆うように被覆したものであってもよい。
バリア性の観点から好ましい薬液含有部材の形態としては、例えば、薬液保持体全体を前記バリア材で被覆した形態のほか、前記バリア材と前記バリア材以外の部材とで薬液保持体全体を被覆した形態が挙げられる。ここで、前記バリア材以外の部材は、着用しやすさの観点でシート状のものが好ましく、具体的には、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムは、非多孔性フィルムであっても多孔性フィルムであってもよく、薬液の移行(沁み出し、揮発等)を制御する観点から適宜選択できる。
バリア材とバリア材よりもバリア性の高い樹脂フィルムによって薬液保持体全体を被覆する場合、薬液に含まれる有効成分を着用者が効果的に吸い込む観点から、薬液保持体における着用者側の少なくとも一部がバリア材で被覆され、それ以外の領域が前記樹脂フィルムで被覆されていることが好ましい。
バリア材とバリア材よりもバリア性の高い樹脂フィルムによって薬液保持体全体を被覆する形態としては、例えば、着用者側からバリア材、薬液保持体、前記樹脂フィルムの順に重ねて周辺部をヒートシール又は超音波シールした形態が挙げられる。
マスク本体は、薬液含有部材を保持することが可能であれば特に限定されず、従来公知のマスクを用いることができる。マスク本体を構成する材料としては、例えば、不織布や樹脂フィルム等が挙げられ、保温性、保湿性、通気性のバランスを調整する観点でこれらを組み合わせて用いてもよい。
マスク本体は、着用者の呼吸のしやすさの観点で、通気領域を有することが好ましく、通気領域における通気度としては、例えば、10cm3/cm2/s〜500cm3/cm2/sが挙げられる。
薬液含有部材は、マスク本体の表面に対して貼付させてもよく、マスク本体の内部にポケット状の薬剤含有部材保持部を設けてそこに薬液含有部材を挿入してもよい。
また、1つのマスク本体に保持される薬液含有部材は1つでも複数でもよい。着用者が呼吸しやすく、かつ、薬液を効果的に吸い込む観点から、薬液含有部材を2以上用い、かつ、マスク本体の中央部に薬液含有部材が存在しない領域を設けることが好ましい。
なお、マスク本体の通気領域全体に対して薬液含有部材が覆う領域の割合としては、面積比で、例えば1%〜70%の範囲が挙げられる。
(バリア材の製造)
MFR:20g/10分、Mw/Mn:4.2のプロピレン単独重合体を用い230℃にて溶融紡糸を行い、得られた繊維を補集面上に堆積させ、目付が17g/m2のスパンボンド不織布層(B−1、繊維径20μm)を製造した。
次に、MFRが1500g/10分のプロピレン単重合体を280℃にて押出機で溶融し、得られた溶融物を、紡糸口金から吐出するとともに、吐出孔出口において280℃の加熱空気を吹付けるメルトブロー法によって繊維径3μmの繊維を前記スパンボンド不織布(B−1)上に堆積させ、目付が11g/m2のメルトブロー不織布層(A−1)を形成した。
さらに形成されたメルトブロー不織布層(A−1)上に、前記スパンボンド不織布(B−1)と同様の条件でスパンボンド不織布(B−2)を積層し、刻印面積率18%の熱エンボスロールにて3層を一体化してスパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の不織布積層体(バリア材本体)を得た。不織布積層体の合計の目付は45g/m2であった。
フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材全体に対し0.2質量%であった。また、バリア材の単位面積当たりにおけるフッ素系撥液剤の含有量は、0.1g/m2であった。
70%アルコール溶液に溶解させた桂皮エキス(桂皮エキスの70質量%エタノール溶液)1ccを40mm角3mm厚みの長繊維セルロース不織布(200g/m2)に含浸させ、これを50mm角のバリア材(前記フッ素系撥液剤が付着した不織布積層体)で上下を覆い、周辺部を超音波シールにて隙間が出来なようにシールして袋状物(薬液含有部材)を得た。
次いでマスク本体の外層として、スパンボンド不織布(15g/m2、繊維径20μm)、マスク本体の中間層としてメルトブロー不織布(15g/m2、繊維径3μm)、マスク本体の内層(着用者側)としてスパンボンド不織布(15g/m2、繊維径20μm)を積層してマスク本体を作成し、マスク本体の内層のさらに内側(着用者側)に60mm角のスパンボンド不織布(15g/m2、繊維径20μm)を用いてヒートシールを行うことでポケット部(ポケット状の薬液含有部材保持部)を設けた。前記袋状物をこのポケット部に挿入してマスクを得た。
バリア材の製造において、スパンボンド不織布の目付を20g/m2、メルトブロー不織布10g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスクを得た。
フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材全体に対し0.2質量%であった。また、バリア材の単位面積当たりにおけるフッ素系撥液剤の含有量は、0.1g/m2であった。
バリア材の製造において、スパンボンド不織布の目付を18g/m2、メルトブロー不織布9g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスクを得た。
フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材全体に対し0.2質量%であった。また、バリア材の単位面積当たりにおけるフッ素系撥液剤の含有量は、0.1g/m2であった。
バリア材の製造において、スパンボンド不織布の目付を13g/m2、メルトブロー不織布9g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスクを得た。
フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材全体に対し0.2質量%であった。また、バリア材の単位面積当たりにおけるフッ素系撥液剤の含有量は、0.1g/m2であった。
バリア材の製造において、得られた不織布積層体にフッ素系撥液剤を付着させる工程を行わず、そのままバリア材として用いた以外は、実施例3と同様にしてマスクを得た。
バリア材の製造において、得られた不織布積層体にフッ素系撥液剤を付着させる工程を行わず、そのままバリア材として用いた以外は、実施例4と同様にしてマスクを得た。
(バリア材の製造)
市販のソンタラ(Sontara:登録商標)スパンレースポリエステル/木材パルプ不織布(目付70g/m2、以下「短繊維不織布」ともいう)を準備した。
フッ素系撥液剤の含有量は、バリア材全体に対し0.2質量%であった。また、バリア材の単位面積当たりにおけるフッ素系撥液剤の含有量は、0.1g/m2であった。
バリア材として上記フッ素系撥液剤が付着した短繊維不織布を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスクを得た。
(1)不織布及び不織布積層体の目付(g/m2)
機械方向(MD)100mm×横方向(CD)100mmで10点採取して測定を行い、平均値を算出した。
スパンボンド不織布層については、得られた不織布から、10mm×10mmの試験片を10点採取し、Nikon社製ECLIPSE E400顕微鏡を用い、倍率20倍で、繊維の直径をμm単位で小数点第1位まで読み取った。1試験片毎に任意の20箇所の径を測定し、平均値を求めた。
メルトブロー不織布層については、得られた不織布から試料片を採取して、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率500倍または1000倍で観察し、構成繊維の30本の繊維径(μm)を測定し、平均値を求めた。
バリア材から200mm(MD)×50mm(CD)の試験片を採取し、JISL1096に準じたフラジール通気度測定機によって測定を行った。得られた数値(n=5)の平均値を測定値とした。
同様に、薬液含有部材を含む前の状態のマスク本体及び薬液含有部材を含んだ状態のマスク本体のそれぞれについて、マスク中央部を測定部位として測定を行った。得られた数値(n=2)の平均値を測定値とした。
JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して、バリア材の耐水圧を測定した。
バリア材の下にろ紙を敷いておき、バリア材の上に、エタノール70質量%、蒸留水30質量%の溶液1ccを滴下する。この際滴下位置はバリア材下のろ紙中央部を目安とする。またエタノール水溶液は青顔料で着色しておく。その後ろ紙部と位置を合わせるように底面が10cm角の1Kgの重りを置いて、1分間放置した。下のろ紙における青顔料の着色の有無を目視で確認し、以下の基準にて評価した。
A:まったく着色が見られない
B:50mm径以下の着色部が見られる(個数は問わない)
C:50mm径以上の着色部が見られる(個数は問わない)
Claims (2)
- マスク本体とマスク本体に保持された薬液含有部材とを備え、
前記薬液含有部材は、薬液と、前記薬液を保持する薬液保持体と、前記薬液保持体を被覆し、フッ素系撥液剤を含み、耐水圧が500mmH2O以上650mmH 2 O以下であるバリア材と、を含有し、
前記バリア材は、メルトブロー不織布を含む不織布積層体を含み、
前記不織布積層体全体の目付は、30g/m 2 以上60g/m 2 以下であるマスク。 - 前記薬液は、天然由来成分とアルコールとを含む請求項1に記載のマスク。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016068806A JP6731768B2 (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | マスク |
Applications Claiming Priority (1)
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