発明の詳細な説明
本発明は、異なる経糸を含むストリップを含む鎖環に関する。本発明はまた、前記鎖環を含む鎖に関する。さらに、本発明は、ある特定の用途における前記鎖の使用に関する。
そのような鎖環は、先行技術から既に知られている。例えば、文献国際公開第2008/089798号パンフレットは、ポリオレフィンマルチフィラメント糸、特に超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)マルチフィラメント糸を含むストリップを含む鎖環を開示している。文献国際公開第2009/115249A1号パンフレットは、ポリマーマルチフィラメント糸を含みかつ少なくともそれらが隣接する鎖環と相互連結する部分で厚さτ1を有する第1の鎖環を開示しており、その隣接する環は、少なくともそれらが第1の環と相互連結する部分で厚さτ2を有し、比τ2/τ1は少なくとも1.2である。国際公開第2009/115249A1号パンフレットに開示されている鎖は、異なる材料、厚さおよび重量でできたほぼ等しい強さを有する交互の剛性環および可撓性環でできたものであり得る。
上述の文献に記載される鎖は従来技術の改善を示すが、合成鎖をさらに改善することに対する継続的な必要性が存在する。先行技術に開示されている鎖の効率は、2つの隣接する鎖環間の応力分布がかなり不均一であり、このことにより、鎖に印加される予想または所望されるよりも低い荷重で鎖環の損傷または破壊が引き起こされるため、より低い。加えて、既知のハイブリッド鎖構造は、典型的に、鎖への追加的な重量を結果としてもたらす。さらに、異なる厚さおよび重量の、異なる種類の材料を有する先行技術の鎖環を用いることにより、鎖は、複雑な方法によって高いコストで製造され、また、鎖環が異なる老化(例えば、分解および腐食)挙動を示すため安全性に関して危険リスクを有する。
したがって、本発明の目的は、隣接する鎖環間への最大荷重移動にうまく対処しつつ強さの損失を低減した、使用される糸の量に比して改善された効率を有する鎖を提供することである。
この目的は、経糸を含むストリップを含む鎖環であって、経糸は経糸Aおよび経糸Bを含有し、経糸Bの最小クリープ速度が経糸Aの最小クリープ速度よりも高く、この最小クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されるものであり、ストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、そのコア部分中の経糸Aの濃度がストリップの縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の経糸Bの濃度がストリップのコア部分中の経糸Bの濃度よりも高い、鎖環で達成された。
驚くべきことに、鎖構造中に本発明に従う鎖環を採用することにより、隣接する相互連結された鎖環間の接触面は、それらの間に最適なサドルを形成しながら変化し、続いて鎖の破断強さおよび効率の増大を結果としてもたらすことが見出された。加えて、利用される繊維の強さの著しくより少ない損失が、鎖の単位強さ当たりのより低いコストを結果としてもたらす。
文献国際公開第2009/156142A1号パンフレットは、第1の種類の荷重支持糸および第1の種類の糸のクリープ速度よりも少なくとも10倍高いクリープ速度を有する第2の種類の荷重支持糸を含む鎖構造などの物品を開示しているのは事実である。しかしながら、この文献に開示される高クリープ糸および低クリープ糸は、物品中(例えば、鎖環中)で均一に混合され、それらは物品中(例えば、鎖環中)の特定の位置に配置されない。この文献に開示されているような構造は、例えば、最も大きな歪が生じる位置(すなわち、縁)で最も小さな破壊歪の糸からまず鎖環の破壊が生じるので、低下した特性を有する鎖を生じる。
本発明に従う鎖環のさらなる利点には、より軽い重量およびより高い安全率が含まれ、すなわち、大きな荷重に供されたときに潰れるまたは破断する傾向がより低い。
本明細書において、「繊維」とは、ある長さ、重量、幅および厚さを有する細長物体であって、前記物体の長さ寸法が幅および厚さの横断寸法よりもはるかに大きい物体と理解される。繊維は、連続長さ(当該技術分野においてフィラメントとして知られている)、または不連続長さ(当該技術分野において短繊維として知られている)を有し得る。繊維は、様々な断面(例えば、円形、豆形、楕円形または矩形の形状を有する規則的または不規則な断面)を有し得、それらは、撚り合わされることもできるし、撚り合わされないこともできる。
本明細書において、「糸」とは、複数の繊維またはフィラメント(すなわち、少なくとも2つの個々の繊維またはフィラメント)を含有する細長物体と理解される。本明細書において、個々の繊維またはフィラメントとは、繊維またはフィラメントそれ自体と理解される。「糸」という用語は、連続フィラメント糸または複数の連続フィラメント繊維を含有するフィラメント糸、および短繊維とも呼ばれる短い繊維を含有するステープル糸またはスパン糸を含む。そのような糸は、当業者に知られている。
本明細書において、「ストリップ」とは、厚さ(t)および幅(w)を有する細長物体であって、厚さ(t)が幅(w)よりもはるかに小さい物体を意味する。特に、本明細書において、「ストリップ」とは、コア部分および長手方向縁部分を有し、最大厚さ(tmax)(好ましくはコア部分の中央)、最小厚さ(tmin)(好ましくは長手方向縁部分)および幅(w)を有し、両方の厚さが幅(w)よりも小さい細長物体を意味する。最大および最小厚さは、同一であってもよい。そのようなストリップは、好ましくは可撓性物体、特に布帛または織構造物(例えば、当該技術分野において細幅織または織物ウェビングとしても知られている平織および/または綾織構造など)である。ストリップは、規則的または不規則な断面を有し得る。ストリップは、代替的に、テープまたは中空の円形織物管もしくはスリーブであり得る。「ストリップ」は、本明細書において、ウェビングまたは細幅織または織構造物とも称され得る。
「経糸」とは、一般的に、異なるまたは同様の組成を有する多数の糸と理解され、経糸系とも称され得る。各経糸は、ストリップの機械方向に、実質的に縦に伸びる。概して、長さ方向は、経糸の長さによって制限されるにすぎないが、ストリップの幅は、主に個々の経糸の数(本明細書においてピッチ数とも称される)および採用される製織機の幅によって制限される。
「緯糸」という用語は、一般的に、ストリップの機械方向と直角に交わる、横切る方向に伸びる糸をいう。ストリップの製織順序により規定されて、緯糸は、前記少なくとも1つの経糸と繰り返し絡み合うまたは相互連結する。経糸と緯糸との間に形成される角度は、好ましくは約90°である。ストリップは、ただ1つの緯糸または同様のもしくは異なる組成を有する多数の緯糸を含み得る。本発明に従うストリップ中の緯糸は、ただ1つの緯糸または複数の緯糸であり得る。
本明細書において、「耳」(または織端)とは、ストリップまたはウェビングまたは細幅構造物の織られた最外部の縁、特に、ストリップの縁に垂直な方向に伸びる糸が自由端としてストリップから延びるのではなくストリップ内に戻ることにより縁において連続しているストリップまたはウェビングまたは細幅構造物の縁を意味する。耳は、典型的にはシャトル製織法の間に横糸(緯糸とも呼ばれる)において形成されるものであるが、他の技術の場合も、または経糸においても作製され得る。
ストリップは、経糸Aおよび経糸Bを含むまたはそれらからなる複数の経糸と、典型的には複数の緯糸とを含み得る。典型的には経糸が鎖構造において荷重を支えているので、緯糸の量は、好ましくは、ストリップ中の経糸の量よりも少ない。緯糸の量は、ストリップの総重量に基づき50重量%未満、好ましくは、ストリップの総重量に基づき45重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下または5重量%以下であり得る。
好ましくは、本発明に従う鎖環のストリップ中の緯糸および/または経糸は、高性能糸に加工され得る任意のポリマーおよび/またはポリマー組成物を含む。より好ましくは、本発明に従う鎖環におけるストリップは、高性能糸を含む。
本発明の文脈において、「高性能糸」または「高性能繊維」には、α−オレフィン(例えば、エチレンおよび/またはプロピレン);ポリオキシメチレン;ポリ(ビニリジンフルオリド);ポリ(メチルペンテン);ポリ(エチレン−クロロトリフルオロエチレン);ポリアミドおよびポリアラミド(例えば、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(Kevlar(登録商標)として知られている));ポリアリレート;ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE);ポリ{2,6−ジイミダゾ−[4,5b−4’,5’e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(M5として知られている);ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)(Zylon(登録商標)として知られている);ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン6,6として知られている);ポリブテン;ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、およびポリ(1,4シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート));ポリアクリロニトリル;ポリビニルアルコール、および例えば米国特許第4384016号明細書から知られているようなサーモトロピック液晶ポリマー(LCP)(例えば、Vectran(登録商標)(パラヒドロキシ安息香酸およびパラヒドロキシナフタル酸(para hydroxynaphtalic acid)のコポリマー))のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含むまたはそれらからなる群から選択されるポリマーを含む糸または繊維が含まれる。また、カーボンナノチューブを含む経糸および/または緯糸も可能である。また、前記ポリマーを含む糸の組み合わせが、各経糸AおよびBにならびに/または緯糸に含まれ得、本発明に従う鎖環におけるストリップを製造するために使用され得る。より好ましくは、本発明に従う鎖環は、各糸AおよびBが、ポリオレフィン、好ましくはα−ポリオレフィン(例えば、プロピレンおよび/もしくはエチレンホモポリマーならびに/またはプロピレンおよび/もしくはエチレンベースのコポリマー)を含む、経糸AおよびBを含む。前記ポリマー材料の平均分子量(Mw)および/または固有粘度(IV)は、所望の機械的性質(例えば、引張強さ)を有する繊維を得るために、当業者により容易に選択され得る。技術文献は、強力な繊維(すなわち、高い引張強さを有する繊維)を得るためにMwまたはIVとしてどの値を当業者が使用すべきかについてだけでなく、そのような繊維をどのように製造するかについてもさらなる手引きを提供する。
代替的に、高性能糸は、少なくとも1.2N/tex、より好ましくは少なくとも2.5N/tex、最も好ましくは少なくとも3.5N/tex、なお最も好ましくは少なくとも4N/texの強度または引張強さを有する糸、好ましくはポリマー糸を含むことが本明細書において理解され得る。実用上の理由から、高性能糸の強度または引張強さは、10N/tex以下であり得る。引張強さは、本明細書において「実施例」の項で後述されるような方法によって測定され得る。
高性能糸の引張弾性率は、少なくとも40GPa、より好ましくは少なくとも60GPa、最も好ましくは少なくとも80GPaのものであり得る。前記糸中の繊維のタイターは、好ましくは少なくとも100dtex、さらにより好ましくは少なくとも1000dtex、なおさらにより好ましくは少なくとも2000dtex、なおさらにより好ましくは少なくとも3000dtex、なおさらにより好ましくは少なくとも5000dtex、なおさらにより好ましくは少なくとも7000dtex、最も好ましくは少なくとも10000dtexである。
好ましくは、経糸AおよびBならびに/または緯糸は、ポリマー、なおより好ましくはポリオレフィン、なおより好ましくはポリエチレン、最も好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む高性能糸を含む。経糸AおよびBならびに/または緯糸は、ポリマー、好ましくはポリオレフィン、より好ましくは高性能ポリエチレン、最も好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から実質的になり得る。鎖において、力は、典型的には、環が直接的な局所的相互接触を行う相互連結を通して1つの鎖環から別の鎖環に伝達される。鎖環には、一般的に、接触点または接触位置において強い応力(主として圧縮応力)が加えられ、このことは、環の局所的損傷またはさらには破壊に容易に繋がる。糸にポリオレフィン、特にUHMWPEを使用する場合に、特に動的な加重条件下において、鎖の耐用年数および信頼性が改善される。
本発明の文脈において、「から実質的になる」という表現は、「微量のさらなる化学種を含み得る」、または換言すれば、「98重量%より多くの〜を含む」という意味を有し、したがって、2重量%までのさらなる化学種の存在を考慮に入れる。
「UHMWPE」とは、少なくとも5dl/g、好ましくは約8〜40dl/gの間の135℃でデカリン中の溶液について測定される場合の)固有粘度(IV)を有するポリエチレンであることが理解される。固有粘度は、MnおよびMwなどの実際のモル質量パラメータよりも容易に求められ得るモル質量(分子量とも呼ばれる)についての尺度である。IVとMwとの間にはいくつかの経験的関係があるが、そのような関係は、モル質量分布に依存する。式Mw=5.37*104[IV]1.37(欧州特許出願公開第0504954(A1)号明細書参照)に基づけば、8dl/gのIVは、約930kg/molのMwに相当するであろう。好ましくは、UHMWPEは、炭素原子100個当たり1個未満の分枝、好ましくは炭素原子300個当たり1個未満の分枝を有する線状ポリエチレンであり、分枝または側鎖または鎖分枝は、通常、少なくとも10個の炭素原子を含有する。線状ポリエチレンは、5mol%までの1種以上のコモノマー(例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、4−メチルペンテンまたはオクテンなどのアルケン)をさらに含有し得る。
本明細書において、「UHMWPE糸」とは、超高モル質量ポリエチレンを含みかつ少なくとも1.5、好ましくは2.0、より好ましくは少なくとも2.5または少なくとも3.0N/texの強度を有する繊維を含む糸であることが理解される。繊維の引張強さ(単に強さとも)または強度は、実験の項に記載されるように、知られている方法によって求められる。ロープ中のUHMWPE繊維の強度の上限の根拠はないが、利用可能な繊維は、典型的には、約5〜6N/tex以下の強度のものである。UHMWPE繊維はまた、例えば少なくとも75N/tex、好ましくは少なくとも100または少なくとも125N/texの高い引張弾性率を有する。UHMWPE繊維は、高弾性率ポリエチレン繊維または高性能ポリエチレン繊維とも称される。
UHMWPE糸は、好ましくは少なくとも5dtex、より好ましくは少なくとも10dtexのタイターを有する。実用上の理由から、本発明の糸のタイターは、数千dtex以下、好ましくは5000dtex以下、より好ましくは3000dtex以下である。好ましくは、糸のタイターは、10〜10000の範囲、より好ましくは15〜6000、最も好ましくは20〜3000dtexの範囲である。
UHMWPE繊維は、好ましくは、少なくとも0.1dtex、より好ましくは少なくとも0.5dtex、最も好ましくは少なくとも0.8dtexのフィラメントタイターを有する。最大フィラメントタイターは、好ましくは50dtex以下、より好ましくは30dtex以下、最も好ましくは20dtex以下である。
好ましくは、UHMWPE糸は、ゲル紡糸繊維、すなわちゲル紡糸法を用いて製造された繊維を含む。UHMWPE繊維の製造のためのゲル紡糸法の例は、数多くの公報(欧州特許出願公開第0205960(A)号明細書、欧州特許出願公開第0213208(A1)号明細書、米国特許第4413110号明細書、英国特許出願公開第2042414(A)号明細書、英国特許出願公開第A−2051667号明細書、欧州特許第0200547(B1)号明細書、欧州特許第0472114(B1)号明細書、国際公開第01/73173(A1)号パンフレットおよび欧州特許第1,699,954号明細書を含む)に記載されている。ゲル紡糸法は、典型的に、高い固有粘度のポリマー(例えば、UHMWPE)の溶液を調製することと、溶解温度よりも高い温度で溶液を押出して繊維にすることと、繊維をゲル化温度未満に冷却し、それにより少なくとも部分的に繊維をゲル化することと、溶媒の少なくとも部分的な除去の前、間および/または後に繊維を引き延ばすこととを含む。得られるゲル紡糸繊維は、例えば500ppm以下の、極少量の溶媒を含有し得る。
ストリップは、全重量ストリップ組成に基づき例えば0〜30重量%の間、好ましくは5〜20重量%の間の量で、任意の通例の添加剤をさらに含有し得る。緯糸および/または経糸は、例えば、所望の特性に応じて接着力を低減または改善するための塗料、着色剤、溶媒、酸化防止剤、熱安定剤、流動促進剤などにより、被覆され得る。前記糸は、繊維を一緒にして糸中に保持するために、好ましくは10〜20重量%のポリウレタン、特に水分散させたポリウレタン塗料で被覆され得る。他の好適な塗料には、シリコーン、ポリエステルおよび反応性ベースの塗料(reactive based coating)が含まれ得る。
好ましくは、経糸AおよびBは、本明細書において言及されるような高性能糸の定義に従う高性能糸を含む。好ましくは、経糸AおよびBは、個々に、全経糸重量組成に基づき少なくとも10重量%の高性能糸、より好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは100重量%の高性能糸を含む。より好ましくは、高性能糸は、ポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを含む。
本発明の鎖環のストリップ中の緯糸は、好ましくは、本明細書において言及されるような高性能糸の定義に従う高性能糸を含む。より好ましい実施形態において、緯糸は、全緯糸重量組成に基づき少なくとも10重量%の高性能糸、より好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは100重量%の高性能糸を含む。より好ましくは、高性能糸は、高性能ポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを含む。
好ましくは、本発明に従うストリップ中の経糸(経糸Aおよび/または経糸Bを含む)は、ポリエチレン、最も好ましくはUHMWPE、さらに最も好ましくはオレフィン分枝(OB)を含むUHMWPEを含む。最も好ましくは、経糸Aは、オレフィン分枝を含むUHMWPEを含む。最も好ましくは、本発明に従うストリップ中の経糸Aは、ポリエチレン、好ましくは高性能ポリエチレン、最も好ましくはUHMWPE、さらに最も好ましくはオレフィン分枝(OB)を含むUHMWPEから実質的になる。そのようなUHMWPEは、例えば、参照により本明細書に含まれる文献国際公開第2012/139934号パンフレットに記載されている。OBは、1〜20個の間、より好ましくは2〜16個の間、さらにより好ましくは2〜10個の間、最も好ましくは2〜6個の間の多数の炭素原子を有し得る。繊維延伸性およびクリープの安定化に関する良好な結果は、前記分枝が、好ましくはアルキル分枝、より好ましくはエチル分枝、プロピル分枝、ブチル分枝またはヘキシル分枝、最も好ましくはエチルまたはブチル分枝である場合に得られる。炭素原子1000個当たりのオレフィン(例えば、エチルまたはブチル)分枝の数は、例えば欧州特許第0269151号明細書(特にその第4頁)におけるのと同様に、NMR測定に基づく検量線を用いて1375cm−1での吸収を定量することにより、2mm厚の圧縮成形フィルムについて、FTIRにより求められ得る。UHMWPEはまた、好ましくは、0.01、より好ましくは0.05〜1.30の間、より好ましくは0.10〜1.10の間、さらにより好ましくは0.30〜1.05の間の炭素原子1000個当たりのオレフィン分枝の量(OB/1000C)を有する。本発明に従って使用されるUHMWPEがエチル分枝を有する場合、好ましくは、前記UHMWPEは、0.40〜1.10の間、より好ましくは0.60〜1.10の間、やはりより好ましくは0.64〜0.72の間または0.65〜0.70の間、最も好ましくは0.78〜1.10の間、やはり最も好ましくは0.90〜1.08の間または1.02〜1.07の間の炭素原子1000個当たりのエチル分枝の量(C2H5/1000C)を有する。本発明に従って使用されるUHMWPEがブチル分枝を有する場合、好ましくは、前記UHMWPEは0.05〜0.80の間、より好ましくは0.10〜0.60の間、さらにより好ましくは0.15〜0.55の間、最も好ましくは0.30〜0.55の間の炭素原子1000個当たりのブチル分枝の量(C4H9/1000C)を有する。
好ましくは、オレフィン分枝を含むUHMWPEを含む糸は、オレフィン分枝を含み、かつ伸長応力(ES)および少なくとも0.2、より好ましくは少なくとも0.5の炭素原子1000個当たりのオレフィン分枝の数(OB/1000C)と伸長応力(ES)との間の比(OB/1000C)/ESを有するUHMWPEを紡糸することにより得られる。前記比は測定され得、前記UHMWPE繊維は、70℃の温度で600MPaの荷重に供され、少なくとも90時間、好ましくは少なくとも100時間、より好ましくは110時間〜445時間の間、好ましくは少なくとも110時間、さらにより好ましくは少なくとも120時間、最も好ましくは少なくとも125時間のクリープ寿命を有する。UHMWPEの伸長応力(ES、単位N/mm2)は、ISO 11542−2Aに従って測定され得る。
UHMWPEは、好ましくは、少なくとも0.3、より好ましくは少なくとも0.4、さらにより好ましくは少なくとも0.5、なおさらにより好ましくは少なくとも0.7、なおさらにより好ましくは少なくとも1.0、なおさらにより好ましくは少なくとも1.2の比(OB/1000C)/ESを有する。本発明において使用されるUHMWPEがエチル分枝を有する場合、前記UHMWPEは、好ましくは少なくとも1.00、より好ましくは少なくとも1.30、さらにより好ましくは少なくとも1.45、なおさらにより好ましくは少なくとも1.50、最も好ましくは少なくとも2.00の比(C2H5/1000C)/ESを有する。好ましくは、前記比は、1.00〜3.00の間、より好ましくは1.20〜2.80の間、さらにより好ましくは1.40〜1.60の間、なおさらにより好ましくは1.45〜2.20の間である。UHMWPEがブチル分枝を有する場合、前記UHMWPEは、好ましくは少なくとも0.25、さらにより好ましくは少なくとも0.30、なおさらにより好ましくは少なくとも0.40、なおさらにより好ましくは少なくとも0.70、より好ましくは少なくとも1.00、最も好ましくは少なくとも1.20の比(C4H9/1000C)/ESを有する。好ましくは、前記比は、0.20〜3.00の間、より好ましくは0.40〜2.00の間、さらにより好ましくは1.40〜1.80の間である。UHMWPEは、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.50以下、より好ましくは0.49以下、さらにより好ましくは0.45以下、最も好ましくは0.40以下のESを有する。前記UHMWPEがエチル分枝を有する場合、好ましくは、前記UHMWPEは、0.30〜0.70の間、より好ましくは0.35〜0.50の間のESを有する。前記UHMWPEがブチル分枝を有する場合、好ましくは、前記UHMWPEは、0.30〜0.50の間、より好ましくは0.40〜0.45の間のESを有する。
分枝UHMWPE繊維は、エチル分枝を含みかつ伸長応力(ES)を有するUHMWPEをゲル紡糸することにより得られ得、炭素原子1000個当たりのエチル分枝の数(C2H5/1000C)と伸長応力(ES)との間の比(C2H5/1000C)/ESは、少なくとも1.0であり、C2H5/1000Cは、0.60〜0.80の間または0.90〜1.10の間であり、ESは、0.30〜0.50の間である。好ましくは、UHMWPEは、少なくとも15dl/g、より好ましくは少なくとも20dl/g、より好ましくは少なくとも25dl/gのIVを有する。好ましくは、UHMWPE繊維は、少なくとも90時間、好ましくは少なくとも150時間、より好ましくは少なくとも200時間、さらにより好ましくは少なくとも250時間、最も好ましくは少なくとも290時間、やはり最も好ましくは少なくとも350時間のクリープ寿命を有する。分枝UHMWPE繊維はまた、ブチル分枝を含みかつ伸長応力(ES)を有するUHMWPEをゲル紡糸することにより得られ得、炭素原子1000個当たりのブチル分枝の数(C4H9/1000C)と伸長応力(ES)との間の比(C4H9/1000C)ESは、少なくとも0.5であり、C4H9/1000Cは、0.20〜0.80の間であり、ESは、0.30〜0.50の間である。好ましくは、UHMWPEは、少なくとも15dl/g、より好ましくは少なくとも20dl/gのIVを有する。好ましくは、繊維は、少なくとも90時間、より好ましくは少なくとも200時間、さらにより好ましくは少なくとも300時間、なおさらにより好ましくは少なくとも400時間、最も好ましくは少なくとも500時間のクリープ寿命を有する。
本発明に従う鎖環におけるストリップ中の経糸Aにおいて好ましくは使用されるポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくは、分枝UHMWPEは、当該技術分野において知られている任意の方法によって得られ得る。当該技術分野において知られているそのような方法の好適な例は、オレフィン重合触媒の存在下における重合温度でのスラリー重合法である。前記方法は、例えば、a)反応器(例えば、ステンレス鋼反応器)にa−i)重合温度よりも高い温度の沸点を有する非極性脂肪族溶媒を投入する工程を含み得る。前記重合温度は、好ましくは50℃〜90℃の間、より好ましくは55℃〜80℃の間、最も好ましくは60℃〜70℃の間であり得る。前記溶媒の沸点は、60℃〜100℃の間であり得る。前記溶媒は、ヘプタン、ヘキサン、ペンタメチルヘプタンおよびシクロヘキサンを含む群から選択され得;a−ii)共触媒としてアルミニウムアルキル(例えば、トリエチルアルミニウム(TEA)またはトリイソブチルアルミニウム(TIBA));a−iii)0.1〜5barg、好ましくは1〜3bargの間、最も好ましくは1.8〜2.2bargの間の圧力までのオレフィンガス、好ましくはエチレンガス;a−iv)α−オレフィンコモノマー;ならびにiv)条件a)−i)〜a)−iv)下でポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを製造するのに好適な触媒(前記触媒は、好ましくはチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)触媒である)。チーグラー・ナッタ触媒は、当該技術分野において知られており、例えば、参照により本明細書に含まれる国際公開第2008/058749号パンフレットまたは欧州特許第1749574号明細書に記載されている。次いで、b)反応器内のオレフィンガス圧を、重合プロセスの過程において好ましくは最大10bargのガス圧に到達するように例えばガス流量を調整することにより徐々に高め;c)80μm〜300μmの間、より好ましくは100μm〜200μmの間、最も好ましくは140μm〜160μmの間のISO 13320−1により測定される場合の平均粒径(D50)を有し得る粉末または粒子の形態であり得るポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを製造する。α−オレフィンコモノマーは、必要とされる分枝の種類を十分に考慮して選択され得る。例えば、エチル分枝を有するポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを製造するためには、α−オレフィンコモノマーは、ブテン、より好ましくは1−ブテンである。ポリエチレン、好ましくはUHMWPEが使用される場合のガス:総エチレン(NL:NL)の比は、325:1以下、好ましくは150:1以下、最も好ましくは80:1以下であり得、総エチレンとは、工程a)−iii)およびb)で添加されるエチレンと理解される。ブチル(例えば、n−ブチル)またはヘキシル分枝を有するポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEを製造するためには、オレフィンコモノマーは、それぞれ1−ヘキセンまたは1−オクテンである。好ましくは、ブチル分枝とは、本明細書において、n−ブチル分枝と理解される。
経糸Aに好ましくは含まれるポリオレフィンはさらに、または代替的に、主ポリマー鎖上に塩素側基を含み得る。そのようなUHMWPEを含む繊維は、当該技術分野において既に知られている任意の方法によって(例えば、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはUHMWPEの塩素化によって)得られ得る。そのような塩素化方法は、例えば、参照により本明細書に援用される文献であるH.N.A.M.Steenbakkers−Menting,“Chlorination of ultrahigh molecular weight polyethylene”,PhD Thesis,technical University of Eindhoven,The Netherlands(1995)という公開された学位論文に記載されている。この文献は、例えば、20〜40℃の懸濁液中、90℃の回転ドラム中、および溶液中での、PE粉末の塩素化について記載している。様々な量の塩素基を有するポリエチレン(例えば、HDPEおよびUHMWPE)を含む繊維がこの文献に記載されている。
より好ましくは、本発明に従う鎖環は、経糸Aおよび経糸Bを含有する経糸を含むストリップを含み、経糸Bの最小クリープ速度の経糸Aの最小クリープ速度に対する比が少なくとも2であり、その最少クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されると測定されるものであり、このストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、コア部分中の経糸Aの濃度がストリップの縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の経糸Bの濃度がストリップのコア部分中の経糸Bの濃度よりも高く、経糸Bは高性能糸を含み、この高性能糸は、本明細書に記載されるような、好ましくはポリエチレン、より好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含み、経糸Aは、本明細書に記載されるような、ポリオレフィン分枝を含むポリエチレン、好ましくはオレフィン分枝(OB)を含むUHMWPEを含む高性能糸を含む。
好ましくは、糸Bの最小クリープ速度の糸Aの最小クリープ速度に対する比は、少なくとも2である。糸Bの最小クリープ速度の糸Aの最小クリープ速度に対するより低い比は、ごく僅かな影響を有し得るか、またはさらには鎖の効率を低下させ得る。より好ましくは、糸Bの最小クリープ速度の糸Aの最小クリープ速度に対する比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100以上である。好ましくは、この最小クリープ速度比の上限はない。いかなる理論にも拘束されるものではないが、本発明に従う鎖環の構造中にストリップを採用することにより、隣接する相互連結した鎖環間の接触面が変化し、各点において力が鎖環の各方向へとより均等に分布し、局所ピーク応力を最小限に抑えると考えられる。これは、前記環間への最大荷重移動を許容し鎖の破断強さおよび効率の増大を結果としてもたらす、相互連結された隣接する鎖環間の最適サドルの形成に繋がり得る。最適サドルは、大きな接触面および鎖環中の任意の点から全ての方向にわたるほぼ均等な力分布により特徴付けられ得、これは、隣接する鎖環間への最適荷重移動を結果としてもたらす。
経糸Aは、本明細書において、「低クリープ糸」とも称され得、経糸Aは、好ましくは、荷重を支持する経糸である。経糸Bは、本明細書において、「高クリープ糸」とも称され得、経糸Bは、好ましくは、鎖環間の応力を和らげるために加えられる。
ストリップの各縁部分は、隣接する環に面したそれの位置に関して、外側および内側を有し得る。外側縁部分側は、ストリップの外/外部(例えば、隣接する鎖環)に面した部分である。内側縁部分側は、ストリップのコアに面した縁の部分であり、外側縁の反対側にある。両方の内側縁側は、コア部分に隣接している。両方の外側縁側は、外(例えば、隣接する鎖環)に面している。「内側」部分および「外側」部分と呼ばれるが、これらの名称は限定的ではなく、それらは交換可能であることは言うまでもない。本明細書において、ストリップのコアは、2つの長手方向縁部分の間に位置するストリップの長手方向部分であり、両方の内側長手方向縁部分に隣接している。各長手方向縁は、耳を含むまたは耳からなり得る。
あるストリップの各縁部分は、外に面したおよび/または別のストリップに面したそれの位置に関して、典型的に、上面(本明細書において「上側」とも称され得る)および上面の反対側にある下面(本明細書において「下側」とも称され得る)を有する。上面および下面と呼ばれるが、これらの名称は限定的ではなく、それらは交換可能であり得ることは言うまでもない。
糸Aの最小クリープ速度は、1×10−5%毎秒以下であり得、前記最小クリープ速度は、900MPaの張力および30℃の温度で測定されるものである。好ましくは、本発明の鎖環のストリップ中の経糸Aはまた、900MPaの張力および30℃の温度で測定されて、4×10−6%毎秒以下、最も好ましくは2×10−6%毎秒以下の最小クリープ速度を有する。最も好ましくは、経糸Aの最小クリープ速度は、少なくとも約1×10−10%毎秒である。
クリープは、当該技術分野において既に知られているパラメータであり、これは、典型的に、材料上に印加される張力および温度によって決まる。高い張力および高い温度値は、典型的に、速いクリープ挙動を促進する。クリープは、荷重除去時に(部分的に)可逆的であるかまたは不可逆的であり得る。時間依存変形の速度はクリープ速度と呼ばれ、繊維がどのくらい速く前記変形を受けているかの尺度である。初期クリープ速度は高くなり得るが、クリープ変形は、一定加重の間に、ごく僅か(例えば、ゼロ値近く)であり得る最終クリープ速度まで低下し得る。
本発明に従う鎖環のストリップ中の経糸AおよびBの最小クリープ速度は、本発明の実施例−特性決定方法の項および公開特許出願国際公開第2016/001158号パンフレットに記載されるような方法によって測定され得る。本明細書において、特に、糸の最小クリープ速度は、30℃の温度において900MPaの定荷重下でASTM D885M標準方法を適用し、次いで時間の関数としてクリープ応答(すなわち、歪伸び率、%)を測定することによる、マルチフィラメント糸に対して適用されたクリープ測定から導き出された。本明細書において、最小クリープ速度は、時間の関数としてのクリープの一次導関数により求められ、これにおいて、この一次導関数は、最も低い値を有している(例えば、糸のクリープ速度[1/秒]は、所謂知られているSherby and Downダイヤグラムにおいて、糸の歪伸び率[%]の関数としてプロットされる)。
本発明に従う鎖環におけるストリップ中の糸Aの糸Bに対する重量比(A/B)は、0.1≦A/B≦10であり得る。好ましくは、比A/Bは、0.5≦A/B≦5である。より好ましくは、比A/Bは、約0.7≦A/B≦3であり、なおより好ましくは、前記比は、1≦A/B≦2である。そのような重量比を適用することにより、鎖の破断強さおよび効率が高まる。
コア部分中の経糸Bの濃度は、好ましくは、コア部分の全経糸重量組成に基づき0重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは、コア部分の全経糸重量組成に基づき50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下である。最も好ましくは、ストリップは、コア部分中の経糸Aから実質的になる経糸系を含む。コア部分中の経糸Bの濃度は、好ましくは約0重量%である。
各長手方向部分中の経糸Bの濃度は、好ましくは、各長手方向縁部分の全経糸重量組成に基づき100重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは100〜85重量%の間、最も好ましくは約100重量%である。各長手方向縁部分中の経糸Bの濃度は、好ましくは少なくとも50重量%、なお好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、なおより好ましくは少なくとも80重量%、なおより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。最も好ましくは、ストリップは、各縁長手方向部分中に経糸Bから実質的になる経糸系を含む。各長手方向縁部分中の経糸Bの濃度は、好ましくは約100重量%である。
コア部分中の経糸Aの濃度は、好ましくは、コア部分の全経糸重量組成に基づき100重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは95重量%以下および少なくとも75重量%である。コア部分中の経糸Aの濃度は、好ましくは、コア部分の全経糸重量組成に基づき少なくとも50重量%、なお好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、なおより好ましくは少なくとも80重量%、なおより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。最も好ましくは、ストリップは、コア部分中に経糸Aから実質的になる経糸系を含む。コア部分中の経糸Aの濃度は、好ましくは約100重量%である。
各長手方向縁部分中の経糸Aの濃度は、好ましくは、各長手方向縁部分の全重量組成に基づき0重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは、各長手方向縁部分の全経糸重量組成に基づき少なくとも50重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも10重量%である。各長手方向縁部分中の経糸Aの濃度は、好ましくは約0重量%である。
高クリープ糸Bおよび低クリープ糸Aの濃度は、ストリップの幅を横切る勾配として変化し得、各縁部分は、好ましくは100重量%以下またはさらには約100重量%の経糸Bを含有し、コア部分は、好ましくは100重量%以下またはさらには約100重量%の経糸Aを含有する。
コア部分中の経糸の総重量は、合計すると100%になる。各縁部分中の経糸の総重量は、合計すると100%になる。本発明のストリップ中の経糸および緯糸の総重量は、合計すると100%になる。
本発明のストリップは、経糸Aおよび経糸Bを含み、これらは、それらの最小クリープ速度によって区別され、ストリップ内のそれらの位置によってもさらに区別され得る。ストリップ内のそのような位置は、当該分野において一般的に知られている技術によって達成され得る。本明細書において、ストリップ内の経糸の位置とは、ストリップの幅の端から端までの関係における経糸Aおよび経糸Bのそれぞれの位置と理解される。この2つの経糸の位置は、ストリップの幅を横切るそれらの位置によって規定され得る。この点で、ストリップは、1つの次元(厚さ)が2つの他の次元(長さまたは経糸方向および幅または緯糸方向)よりもはるかに小さい3次元物体であると考えられ得る。概して、長さ方向は、経糸の長さによって制限されるにすぎないが、ストリップの幅は、主に個々の経糸の打込数および採用される製織機の幅によって制限される。
経糸および緯糸によって形成される織物またはウェビング構造物は、採用される経糸および緯糸の数および直径、ならびに製織プロセスにおいて経糸と緯糸との間において使用される製織順序に応じて、多数の種類のものであり得る。そのような異なる順序は、当業者によく知られている。知られている製織プロセスにより、緯糸は経糸を織り合わせる。そのような織り合わされた構造物は、単層ストリップとも呼ばれ得る。
経糸および緯糸によって形成される織物またはウェビング構造物は、採用される経糸および緯糸の数および直径、ならびに製織プロセスにおいて経糸と緯糸との間において使用される製織順序に応じて、多数の種類のものであり得る。そのような異なる順序は、当業者によく知られている。知られている製織プロセスにより、緯糸は経糸を織り合わせる。そのような織り合わされた構造物は、単層ストリップとも呼ばれ得る。
ストリップは、式0.5≦M/E≦3を満たし得、Mは、ストリップの幅におけるコア部分であり、Eは、ストリップの幅における縁部分の合計であり、ストリップの全幅は、MおよびEからなる。好ましくは、MはEに等しい。やはり好ましくは、E=約1/2E1+約1/2E2であり、E1は、幅における一方の長手方向縁部分であり、E2は、幅における他方の(または反対側にある)長手方向縁部分である。好ましくは、ストリップは、式0.3≦M/E≦2を満たし得る。好ましくは、M=Eであり、M/Eは約1である。
本発明に従う鎖環のストリップ中の経糸系は、同様のまたは異なる特性(例えば、比重および/または伸びおよび/または密度および/または長さおよび/または厚さ(タイター))、すなわち、隣接する鎖環間の最適サドルの形成および応力によって緩和される最大荷重移動をさらに促進し得る差異を有する経糸を含み得る。
本発明に従う鎖環のストリップの少なくとも2つの長手方向縁部分中の経糸の長さは、同様のものか、またはストリップのコア部分中の経糸の長さよりも大きいものであり得る。ストリップの長手方向縁部分中の経糸の長さLは、ストリップのコア部分中の経糸の長さLよりも少なくとも2%大きい、好ましくはストリップのコア部分中の経糸の長さよりも少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、なおより好ましくは少なくとも15%、なおより好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも30%、なお最も好ましくは少なくとも40%大きいものであり得る。より大きい長さは非常に緩くかつ不安定な鎖構造を決定し得るので、ストリップの縁部分中の経糸の長さLは、好ましくは、ストリップのコア部分中の経糸の長さLよりも最大で50%大きい。長さ差を有する前記ストリップのコア部分表面は、好ましくは、ストリップの全表面の少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%または少なくとも40%であり、好ましくは、本発明に従う鎖環におけるストリップの表面の50%以下である。経糸の濃度は、ストリップの幅を横切る勾配として変化し得、各縁部分は、好ましくは最も大きい長さを有する経糸を含有し、コア部分は、好ましくは最も小さい長さを有する経糸を含有する。対称的な構築ストリップの両側において、コアから縁部分に向かって増大する経糸長さの勾配は、49%、47.5%、45%、40%、25%を含み得る。好ましくは、コアから縁部分にかけて経糸長さの平滑推移関数がある。
ストリップのコア部分の厚さは、ストリップの少なくとも2つの長手方向縁部分の厚さと同様のものであり得るか、またはコア部分の厚さは、長手方向縁部分の厚さよりも大きいものであり得る。後者の場合、本発明に従う鎖環のストリップ中の経糸は、異なるタイターを有し得る。本発明に従う鎖環のストリップ中の少なくとも2つの長手方向縁部分の厚さよりも大きなコア部分の厚さは、ストリップの縁部分中に異なるタイターを有する経糸を用いることによるもの、またはストリップをそれの長手方向軸に沿って少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回折り重ねて畳み、好ましくは次いでその折り畳み部分を適所に固定したままにするためにステッチを適用することによるものを含む、当該技術分野において知られている任意の方法によって達成され得る。好ましくは、経糸Aのタイターは、経糸Bのタイターよりも大きく、コア部分中の経糸Aの濃度は、ストリップの長手方向縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の経糸Bの濃度は、ストリップのコア部分中の経糸Bの濃度よりも高い。本発明のストリップは、長手方向縁部分の各々に含まれる経糸Cをさらに含み得、経糸Aのタイターは、経糸Bのタイターよりも大きく、経糸Bのタイターは、経糸Cのタイターよりも大きく、長手方向縁部分中の個々の経糸BおよびCの濃度は、ストリップのコア部分中の個々の経糸BおよびCの濃度よりも高い。経糸Cは、細片の最外部の長手方向縁部分に(例えば、細片の外部の方に経糸Bに隣接して長手方向縁部分中経糸Bと一緒に、または換言すれば、細片の外部と経糸Bとの間に)位置し得る。経糸Aのタイターは、10dtex〜1000000dtexの範囲、好ましくは100dtex〜100000dtexの範囲、なおより好ましくは1000dtex〜10000dtexの範囲、最も好ましくは1500dtex〜7000dtexの範囲、なお最も好ましくは2000dtex〜5000dtexの範囲、なお最も好ましくは2000dtex〜3000dtexの範囲であり得る。経糸Bのタイターは、5dtex〜500.000dtexの間の範囲、なお好ましくは50dtex〜250000dtexの間の範囲、より好ましくは200dtex〜10000dtexの範囲、なおより好ましくは500dtex〜7000dtexの範囲、なおより好ましくは700〜7500の範囲、最も好ましくは800dtex〜3000dtexの間の範囲であり得る。経糸Cのタイターは、1dtex〜100000dtexの範囲、好ましくは50dtex〜10000dtexの範囲、最も好ましくは220dtex〜7500dtexの範囲であり得る。本発明に従う鎖環におけるストリップ中の糸Bの糸Cに対する重量比(B/C)は、0.1≦B/C≦10であり得る。好ましくは、比B/Cは0.5≦B/C≦5である。より好ましくは、比B/Cは約0.7≦B/C≦3であり、なおより好ましくは、前記比は1≦B/C≦2である。経糸Cの濃度は、縁部分において、縁部分の全経糸重量組成に基づき0重量%〜50重量%の間、好ましくは20%〜50重量%の間で変化し得る。各長手方向縁部分中の経糸Cの濃度は、より好ましくは、1つの長手方向縁部分の全経糸重量組成に基づき50重量%以下、または40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下もしくは0.5重量%以下である。
本発明に従う鎖環におけるストリップの幅は、大きな範囲にわたって変化し得、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも25mm、より好ましくは少なくとも50mmが、好ましい幅である。ストリップは、600mm以下、好ましくは1000mm以下の幅を有し得る。ストリップの厚さは、好ましくは、ストリップが少なくともw/tmax=5:1、より好ましくは少なくともw/tmax=10:1の幅対厚さ比を有することとなるように選択され、幅対厚さ比は、好ましくはw/tmax=100:1以下、w/tmax=1000:1以下、さらにより好ましくはw/tmax=50:1以下である。ストリップの幅対厚さ比を制限することで、鎖の環は、取り付け手段(例えば、フックなど)にとってより容易に利用しやすいものとなる。時として、ストリップは、帯または平帯とも呼ばれ得る。ストリップの例は、テープ、フィルムまたはストラップであり得る。ストラップは、例えば糸を織って、組んで、または編んで当該技術分野において知られている任意の構造(例えば、平織および/または綾織構造など)にすることにより、容易に作製される。ストラップは、好ましくは、nプライの織物ウェビング構造を有し、ここで、nは、好ましくは4以下、より好ましくは3、最も好ましくは2である。そのようなウェビング構造は、それが増大した可撓性を鎖環に提供するという利点を有する。ストラップは、それらの機械的性質、より具体的にはそれらの破断伸びを調整するために異なるタイトネスファクターを有して構築され得る。好ましいタイトネスファクターは、ストラップが、6%以下、より好ましくは4%以下の破断点伸びを有することとなるようなものである。本明細書において、タイトネスファクターとは、ストラップの長手方向に平行に延びる糸の数に単位長さ当たりの糸のタイターを乗じた値として定義される。
本発明に従う鎖環は、ストリップの組成中の1種類より多くの糸(例えば、異なる最小クリープ速度および/または異なるタイターを有する糸AおよびB)の存在により、本明細書において、交換可能に「ハイブリッド鎖環」または「ハイブリダイズ鎖環」とも称され得る。本発明に従う鎖は、本明細書において、交換可能に「ハイブリッド鎖」または「ハイブリダイズ鎖」とも称され得る。
好ましくは、本発明に従う鎖環は、少なくとも1g/mの単位長さ当たりの総重量を有する。単位長さ当たりの重量は、より大きいタイターおよび/またはより多くのマルチフィラメント糸を用いることにより増大され得る。
本発明に従う鎖環におけるストリップは、当該技術分野において既に知られているように(例えば、国際公開第2008/089798号パンフレットに記載されるように)構築され得る。材料のストリップは、代替的に、前記ストリップの複数の回旋を形成し得、ストリップは長手方向軸を有し、前記ストリップの各回旋は前記ストリップの長手方向軸に沿って撚りを含み、前記撚りは180度の奇数倍である。そのような鎖環は、参照により本明細書に援用される公開特許出願国際公開第2013/186206号パンフレットに記載されている。本明細書において、ストリップの「回旋」とは、巻きまたは渦巻きとも呼ばれるそれのループと理解され、すなわち、前記ストリップの長さは、ストリップの長手方向軸に垂直な任意の平面から始まり、輪になって同じ平面で終わり、それにより前記ストリップのループを規定する。「複数の回旋」という用語はまた、本明細書において、「渦巻状に巻かれて複数の重なり合う層にされている」と理解され得る。ストリップの前記重なり合う層は、好ましくは、互いにしっかりと重ね合わされているが、横方向の片寄りを呈していてもよい。回旋は、互いに直接接していてもよいが、分離されていてもよい。回旋間の分離は、例えば、材料のさらなるストリップ、接着剤層または塗料により得る。好ましくは、本発明に従う鎖中の鎖環は、材料のストリップの少なくとも2回の回旋、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも4回、最も好ましくは少なくとも8回の回旋を含む。回旋の最大数は特に限定されない。実用上の理由から、1000回の回旋が上限と考えられ得る。材料のストリップの各回旋は、それの長手方向軸に沿って180度の奇数倍の撚りを含み得、好ましくはその奇数倍は1である。180度の奇数倍の前記撚りは、鎖環がそれの長手方向軸に沿って180度の奇数倍の撚りを含むことを結果としてもたらす。材料のストリップの各回旋中の前記撚りの存在は、単一の外面を有する鎖環を結果としてもたらす。前記構造の別の特徴は、材料のストリップの第1の末端の側面が、材料のストリップの回旋によりどちらでも任意の側で重ね合わされることであり得る。前記撚りは、回旋がそれら自体を相対的なずれに対して動かなくすることとなるような構造を結果としてもたらすことが観察された。好ましくは、材料のストリップの少なくとも2回の回旋が、少なくとも1つの締結手段により互いに連結される。
本発明に従う鎖環は、(a)経糸Aおよび経糸Bを含むストリップを提供する工程であって、経糸Bの最小クリープ速度が経糸Aの最小クリープ速度よりも高く、この最小クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されると測定されるものであり、ストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、コア部分中の経糸Aの濃度がストリップの縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の経糸Bの濃度がストリップのコア部分中の経糸Aの濃度よりも高い、工程と、(b)任意選択で、ストリップの第1の長さを、それの長手方向軸の周りで180度の奇数倍だけ撚る工程と、(c)ストリップのその長さをさらなるストリップと合わせることにより閉鎖ループを形成する工程と、(d)さらなるストリップをその閉鎖ループに重ね合わせる工程とを含む方法によって作製され得る。
本発明に従う方法の工程(a)におけるストリップは、当該技術分野において知られている任意の方法によって(例えば、マルチフィラメント糸を織ってまたは編んで、当該技術分野においてウェビングまたは細幅織または織帯または平織および/もしくは綾織構造として知られている任意の織物構造にすることにより)作製され得る。好ましくは、工程(c)の閉鎖ループは、一対の回転する車輪の周りに形成され、材料のストリップの回旋は、形成されたループがその一対の車輪の周りを循環している間に行われ得る。一対の車輪は互いに直交して配置され得る。材料のストリップを巻き付け、融解させることにより、鎖環が加工され得る。そのような鎖環は、例えば一対の車輪の周りに材料のストリップを巻き付けて鎖環を形成し、材料のストリップの融点未満の、材料のストリップが少なくとも部分的に融解する温度まで材料のストリップを加熱し、(例えば、車輪間の距離を、同時に車輪を回転させながら増加させることによって)鎖環を延伸することにより製造され得る。材料のストリップは、典型的には、車輪間距離を増加させることによって引き延ばされる。
本発明はまた、本発明に従う複数の相互連結された鎖環を含む鎖に関する。本発明に従う鎖は、本発明に従う少なくとも2つの鎖環を含み、これらは典型的には相互連結されている。本明細書において、鎖環が別の鎖環と相互連結する部分、または(2つ)の隣接する鎖環が相互連結する部分とは、鎖が荷重を負っているときに他の鎖環と直接接している鎖環周囲の部分と理解される。
鎖中の鎖環は、同じまたは異なる内側長さ、内側幅寸法および厚さを有し得る。好ましくは、本発明に従う鎖中の全ての鎖環は、鎖の効率がなおさらに改善され得るであろうことから、同じ長さおよび厚さを有する。本発明に従う鎖は、任意の長さを有し得る。実用上の理由から、鎖は、0.25m〜12000mの長さを有し得、好ましくは、長さが少なくとも1m;少なくとも3m;少なくとも6m;少なくとも10m;少なくとも100mまたは少なくとも500mもしくは少なくとも1000mであり得る。鎖の長さは、典型的には、一緒に連結されたループの数にそのループの内側長さを乗じた値によって求められる。鎖環の内側長さLは、約25mm〜10m、好ましくは80mm、好ましくは100mm、好ましくは250mm、好ましくは500mm、好ましくは1000mm、好ましくは3000mmの範囲にあり得る。
本発明に従う鎖環を含む鎖の破断強さは、好ましくは少なくとも23kN、少なくとも40kN、少なくとも50kN、少なくとも100kN、少なくとも200kN、少なくとも400kN、少なくとも500kN、少なくとも1000kN、少なくとも5000kN、少なくとも10000kN、少なくとも20.000kNまたは少なくとも50000kNである。
本発明に従う繊維の初期強さに対する鎖の効率は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも30%、または少なくとも50%であり得る。
本発明に従う鎖環はまた、スペーサー(例えば、スリーブの一部分)を含み得る。本明細書において、「スペーサー」とは、2つの隣接する鎖環間の荷重が直接伝達される接触位置において隣接する鎖環の間で有効厚さΔを有する、鎖環と不連続になっている材料の一部分と理解される(すなわち、それは、鎖環の構成部分を構成せず、例えば、それは、環の周囲に付加されるものであり、それは、鎖環と分離されていてもよいし、前記環に(例えば、縫製などの本明細書において後述されるようなやり方で)連結されていてもよい)。そのようなスペーサーは、公開特許出願国際公開第2015/086627号パンフレットから既に知られている。この特許出願は、荷重が鎖環間に直接伝達される接触位置において厚さΔおよび比Δ/τ=fを有するスペーサーを含む鎖を開示しており、τは、鎖環のうちの任意のものの、荷重が前記鎖環間に伝達される位置における厚さであり、fは、0.10〜2.50の間の範囲である。本明細書において、「有効厚さ」とは、本発明に従う鎖中のスペーサーまたは鎖環それぞれの断面積の平方根と理解される。前記鎖環間に伝達される。本発明に従う鎖中のスペーサーは、任意の種類の材料(例えば、金属、好ましくは、軽金属およびそれらの合金、例えば、リチウム、マグネシウムおよびアルミニウムならびに元素の周期系の第4族(すなわち、ニッケルまでの金属);ポリマー(例えば、熱硬化性ポリマーおよびポリマー組成物ならびに/または熱可塑性ポリマーおよびポリマー組成物);織物;木材および/または任意の種類の繊維)を含み得る。好ましくは、スペーサーは、繊維材料または織物材料を含む。やはり好ましくは、スペーサーは、ポリマー繊維(すなわち、ポリマーを含む繊維)または金属繊維(すなわち、金属を含む繊維)を含む。前記ポリマー繊維は、好ましくは、本明細書に規定されるような高性能ポリマー糸を含む。
本発明に従う鎖環を含む鎖はまた、別の構造物(例えば、トラック、船、航空機もしくは貨車上、またはパレット上の平底など)にそれを取り付けるための手段を含み得る。この場合、パレット取り付けフィッティング(例えば、ダブルスタッド)が、鎖に連結され得る。フィッティングおよびフックは、一般的には金属から作られるが、エンジニアリングプラスチックが、代替的に使用され得るであろう。好ましい実施形態において、フィッティングおよびフックは、軽量金属、好ましくはマグネシウム、または高強度複合材料(例えば、炭素繊維エポキシ複合材料)でできている。そのような軽量だが強力なフィッティングは、さらに、鎖の重量軽減に寄与する。
固定手段は、接着剤、好ましくは、適用後に硬化され得る液体接着剤;ステッチおよび/または撚り継ぎであり得る。好ましくは、固定手段はステッチである。というのは、それは、所望の位置に、よく制御された様式で容易に適用され得るからである。好ましくは、縫合は、高強度繊維を含有する糸を用いて行われる。液体接着剤は、好ましくは、連結手段(例えば、適用された結び目)内に注入され、次いで硬化されて、連結手段を固定させる。連結はまた、熱および任意選択で圧力を局所的に印加することによっても作製され得、それにより、マルチフィラメント糸が少なくとも部分的に溶融し、一緒に融合する。好ましくは、鎖の末端は、短くするためにフックに取り付けられ得、このフックは、鋳造鉄、鋼もしくはより軽い金属(チタン、アルミニウムまたはマグネシウムを含む)または複合材料(炭素繊維、エポキシ複合材料など)からのものであり得る。好ましい同様の構成において、貨物または運送貨物の最適な固定のために合成鎖に不変荷重を負わせるために、鎖の一方の側が、テンショナーに取り付けられる。
本発明の鎖は、設置される場合には、例えば荒れた海上の航空母艦の縦揺れする甲板上または悪気流中の貨物航空機中の重い軍用機のような、極端な状態にある重い貨物のしっかりした係留を提供することにおいて有用でありかつ信頼性が高い。
本発明はまた、本発明に従う鎖環を含む鎖の機械的性質、特に強さを向上させるための方法に関する。すなわち、前記鎖の機械的性質、特にそれの強さは、糸中の材料、好ましくは糸中のポリマー、最も好ましくは高性能ポリマーの融点未満、より好ましくは70〜130℃の間または80〜120℃の間、最も好ましくは90〜110℃の間で鎖をそれの使用の前に予め延伸することにより改善され得ることが見出された。
本発明に従う鎖環を含む鎖は、2〜20%の間、より好ましくは5〜10%の間の鎖の永久変形を達成するのに十分長い時間にわたって鎖の破断荷重の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも60%の静荷重を印加することにより、鎖環中に存在するポリマーの溶融温度Tm未満の温度で予め延伸され得る。本明細書において、永久変形は、鎖がこれ以上回復し得ない変形の程度と理解される。代替的に、鎖は、室温で、以上に説明したように予め延伸され得る。
本発明はまた、本発明に従う鎖環を適用することにより、荷重支持成分(例えば、鎖)の効率を高めるための方法に関する。
本発明はまた、保管、固定(例えば、ロールオン/オフごみ収集容器をごみ収集容器運搬トラックに固定する、または運送貨物を商用トラック、平台トレーラーに固定する)、貨物を処理し輸送するための結び付けおよび縛り付け、引き上げおよび巻き上げ、伐木搬出、運搬およびリギング、推進および駆動、係留、航空機または軍艦の貨物固定などにおける本発明に従う鎖の使用に関する。例えば、鎖は、多くの負荷サイクルに供され得る。好ましくは、サイクル数は、2〜25、より好ましくは5〜15、最も好ましくは8〜12の範囲にあり、そこで印加される最大荷重は、鎖の破断荷重の60%未満または45%未満、より好ましくは鎖の破断荷重の35%未満、最も好ましくは鎖の破断荷重の25%未満である。本発明によれば、負荷サイクルの間に鎖から荷重を除去することは可能である。しかしながら、好ましい方法においては、印加される最小荷重は少なくとも1%である。本発明に従う鎖は、周期的な加重に耐える。
本発明はさらに、本発明に従う鎖環を適用することにより、荷重支持成分(例えば、鎖)の効率を高めるための方法に関し得る。
さらに、本発明は、経糸Aおよび経糸Bを含有する経糸を含むストリップであって、経糸Bの最小クリープ速度が経糸Aの最小クリープ速度よりも高く、この最小クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されると測定されるものであり、ストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、コア部分中の経糸Aの濃度がストリップの縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の経糸Bの濃度がストリップのコア部分中の経糸Bの濃度よりも高いストリップに関する。
本発明はまた、経糸Aおよび経糸Bを含有する経糸を含むストリップを含む鎖環であって、経糸Bの最小クリープ速度が経糸Aの最小クリープ速度よりも高く、この最小クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されると測定されるものであり、ストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、コア部分中の糸Aの濃度がストリップの縁部分中の糸Aの濃度よりも高く、縁部分中の糸Bの濃度がストリップのコア部分中の糸Bの濃度よりも高く、ストリップはテープである、鎖環に関し得る。そのようなテープは、「繊維テープ」としても知られ、当該技術分野において知られている任意の方法によって製造され得る。例えば、前記テープは、ゲル紡糸法によって製造され、すなわち、このテープは、ゲル紡糸UHMWPE繊維を含む。製造されたテープの延伸、好ましくは一軸延伸が、当該技術分野において知られている手段によって行われ得る。そのような手段は、好適な延伸ユニットによる押出延伸および引張延伸を含む。前記テープの調製のための別の好ましい方法は、圧力、温度および時間のある組み合わせ下での一方向配向繊維の機械的融解を含む。そのようなテープおよびそのようなテープを調製するための方法は、参照により本明細書に援用される欧州特許第2205928号明細書に記載されている。
さらに、本発明はまた、テープAおよびテープBを含むストリップを含む鎖環であって、テープBの最小クリープ速度がテープAの最小クリープ速度よりも高く、この最小クリープ速度は900MPaの張力および30℃の温度で測定されると測定されるものであり、ストリップは長手方向コア部分および少なくとも2つの長手方向縁部分を含み、コア部分中のテープAの濃度がストリップの縁部分中のテープAの濃度よりも高く、縁部分中のテープBの濃度がストリップのコア部分中のテープBの濃度よりも高く、ストリップはテープである、鎖環に関し得る。そのようなテープは「固体テープ」としても知られており、当該技術分野において知られている任意の方法によって製造され得る。前記テープの製造のための好ましい方法は、固体状態で行われる方法であり、これは、循環ベルトの組み合わせの間にUHMWPE粉末を供給し、そのポリマー粉末をそれの融点未満の温度で圧縮成形し、結果として生じた圧縮成形ポリマーを圧延し、続いて引き伸ばすことを含む。そのような方法は、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5091133号明細書および米国特許第7993715号明細書に記載されている。
本発明は、特許請求の範囲に記載された特徴の全ての可能な組み合わせに関するということに特に言及される。本明細書に記載される特徴は、さらに組み合わされ得る。
さらに、「含む」という用語は、他の構成要素の存在を除外しないということにも特に言及される。しかしながら、ある特定の成分を含む製品に関する記載が、これらの成分からなる製品も開示することも理解されるべきである。同様に、ある特定の工程を含む方法に関する記載が、これらの工程からなる方法も開示することも理解されるべきである。
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例]
[材料および方法]
・固有粘度(IV)は、ASTM−D1601/2004に従って、デカリン中135℃において、溶解時間を16時間とし、2g/l溶液の量のDBPCを酸化防止剤として用いて、異なる濃度で測定された粘度をゼロ濃度に外挿することにより求められる。IVとMwとの間にはいくつかの経験的関係があるが、そのような関係は、モル質量分布に強く依存する。式Mw=5.37*104[IV]1.37(欧州特許出願公開第0504954(A1)号明細書参照)に基づけば、4.5dl/gのIVは、約422kg/molのMwに相当するであろう。
・糸またはフィラメントのタイターは、糸またはフィラメントのそれぞれ100メートルを秤量することにより測定した。その重量(ミリグラムで表される)を10に割ることにより、糸またはフィラメントのdtexを算出した。代替的に、10メートルが秤量され、dtexは、その糸長さのミリグラム数である。tex=g/km;dtex=グラム/10kmまたはmg/10m。
・UHMWPE試料中の側鎖は、(例えば、欧州特許第0269151号明細書におけるのと同様に)NMR測定に基づく検量線を用いて1375cm−1での吸収を定量することにより、2mm厚の圧縮成形フィルムについて、FTIRにより求められる。
・引張特性:引張強さ(または強さ)および引張弾性率(または弾性率)は、マルチフィラメント糸について、500mmの繊維の公称ゲージ長さ、50%/分のクロスヘッド速度および「Fibre Grip D5618C」型のInstron 2714クランプを用いて、ASTM D885Mに規定されるように定義され、求められる。測定される応力−歪曲線に基づき、弾性率は、0.3〜1%歪の間の勾配として求められる。弾性率および強さの計算については、測定された引張力を、10メートルの繊維を秤量することにより求められるタイターで除し、密度を0.97g/cm3と仮定して、GPa単位の値を算出する。
・鎖の強度(cN/dtexまたはN/tex;10cN/dtex=1N/tex)は、鎖の破断強さを鎖の単位長さの重量で除することにより求められる。重量は、荷重を支持しない緯糸の重量でそれを減じることにより補正した。
・鎖の破断強さおよび破断点伸びは、乾燥鎖試料について、およそ摂氏21度の温度および0.1/分の歪速度でZwick 1484万能材料試験機を用いて求められる。
・鎖の効率(%)は、元の鎖の強度を、荷重を支持する経糸の強度(すなわち、原料繊維Dyneema(登録商標)SK75およびSK78の強度は35cN/dtexであった)で除した値である。Dyneema(登録商標)DM20を使用した場合、その時は、重み付き強度を用い、これは、経糸方向に使用された繊維グレード当たりの経糸(ピッチ)の数の結果としてもたらされた32cN/dtexであった。荷重を支持しない緯糸の自重および強度は無視した。
・最大破断荷重(MBL)は、少なくとも3つ、好ましくは5つの鎖環を含む鎖の乾燥試料を完全に破断させるのに必要な力である。
・(MBLを測定するための)鎖の引張試験は、破断荷重試験機の1000kN水平ベンチfa.ASTEA(Sittard,The Netherlands)試験機を用いて、約16℃の温度、20mm/分の速度で、少なくとも3つ、好ましくは5つの鎖環を含む乾燥鎖試料について行った。最大クランプ長さは1.2mであり、ピン直径は150mmであった。鎖を、Dシャックルを用いて試験し、シャックルの直径とそれらに連結された試験物品の厚さとの間の比は5であった。Dシャックルは、ロープに対して平行配置で配置した。
・糸の最小クリープ速度は、本特許出願および公開特許出願国際公開第2016/001158号パンフレットに示されるように求めた。本明細書において、経糸の最小クリープ速度は、30℃の温度において900MPaの定荷重下でASTM D885M標準方法を適用し、次いで時間の関数としてクリープ応答(すなわち、歪伸び率、%)を測定することによる、マルチフィラメント糸に対して適用したクリープ測定から導き出した。本明細書において、最小クリープ速度は、時間の関数としてクリープの一次導関数により求められ、これにおいて、この一次導関数は、最も低い値を有している(例えば、糸のクリープ速度[1/秒]は、所謂知られているSherby and Downダイヤグラムにおいて、糸の歪伸び率[%]の関数としてプロットされる。
[比較実験1(CE1)]
25mmのストリップ幅、1.5mmの厚さおよび400mmの長さを有する、経糸方向がDyneema(登録商標)SK75糸でできている細幅織ストリップから、8層鎖環を巻き付けた。このストリップは、5トン(49kN)の公称破断強さおよび44g/mの区間重量(leg weight)を有するGueth&Wolf GmbHから市販されているもの(銀灰色1インチ織物)であった。ストリップ中の経糸は、各々1760dtexのタイター、1メートル当たり25回転の撚り率(Z25)および35cN/dtexの初期比糸強さ、ならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された2.4×10−5%毎秒の最小クリープ速度を有する、120本のDyneema(登録商標)SK75糸でできていた。
緯糸方向の糸は、900MPaの張力および30℃の温度で測定された5.8×10−5%毎秒の最小クリープ速度および1メートル当たり40回転の撚り率(Z40)を有する、880dtexのタイター、1メートル当たり40回転の撚り(Z40)を有するDyneema(登録商標)SK60糸でできていた。緯糸の総重量の経糸の総重量に対する比は20:80であった。次いで、ストリップ(またはウェビング)をヒートセットし、2分間にわたり約120℃および10%最大破断荷重(4.9kNに相当)で予め延伸し、次いで、水分散させた銀色の樹脂(CHT Beitlich GmbH(D)から市販されている、商品名TUBICOAT FIX ICB CONC.)中で浸漬被覆し、続いて高温気流により乾燥させた。最終ストリップは、49kNまたは5メートルトンのMBLを有していた。
ある長さのストリップを、ストリップの各回旋において180度の撚りを有する100mmの内側長さのO字環(ループ)を形成するように8層でしっかりと回旋させた。およそ2.5mのストリップで、合計8回の回旋を行った。そのように形成された180度の撚られた環は、100mm(内側)および134mm(外側)のおよその円周を有しており、8層環の厚さは12mmであった。スリングの2つの末端はおよそ110mm重なり合っており、Dyneema(登録商標)SK75 dtex440から作られたXtremeTech(商標)20/40(Amann & Co GmbH,Germany)の縫糸(sewing threat)を用いて、110mmの長さにわたり、180度撚られた環の厚さを貫いてMW縫合パターン(ジグザグ)で一緒に縫い合わされた。
次いで、本明細書において上に記載したように得られた5つの鎖環を相互連結することにより鎖を作製した。この5環鎖の全長は、25660texのタイターに相当する0.6メートルであった。
[ヒートセット工程]
次いで、得られた鎖を、120℃の温度において、5回、1分間にわたり100kNに相当する50%MBLまで予め延伸した。
4つの鎖試料(それらの各々が5つの鎖環からなる)を、本明細書に記載するように製造した(CE1、CE2、Ex.1〜2)。ヒートセット工程の適用なし(表1において「a」で示される試料)およびヒートセット工程の適用あり(表1において「b」で示される試料)で、これらの鎖を製造した。
結果を表1に示す。
[比較実験2(CE2)]
比較実験2は、経糸が各々1760dtexのタイター、1メートル当たり25回転の撚り(Z25)および32cN/dtexの初期比糸強さ、ならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された1.3×10−6%毎秒の最小クリープ速度を有する、120本のDyneema(登録商標)DM20糸でできたものであるという違いを除いて、比較実験1を繰り返すことにより行った。
結果を表1に示す。
[実施例1(Ex.1)]
実施例1は、以下の違いを除いて比較実験1を繰り返すことにより行った。
ストリップ中の経糸は、異なる最小クリープ速度値および同様のタイターを有する糸でできたものであり、すなわち、35cN/dtexの初期比糸強さをZ25(1メートル当たり25回転)の撚り率ならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された1.3×10−5%毎秒の最小クリープ速度とともに有する60本という数のDyneema(登録商標)SK78糸と、32cN/dtexの初期比糸強さ、Z25の撚り率ならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された1.3×10−6%毎秒の最小クリープ速度を有する60本という数のDyneema(登録商標)DM20糸とを含む。
経糸方向において、対称性の平帯(すなわち、ストリップ)は、各糸が1760dtexのタイター、Z25(1メートル当たり25回転の撚り率)を有する30本という数のDyneema(登録商標)SK78糸(すなわち、ストリップの一方の長手方向縁部分に位置する糸B)と、各糸が1760dtexのタイター、Z25を有する60本という数のDyneema(登録商標)DM20糸(すなわち、2つの長手方向縁部分の間のストリップのコア部分に位置する糸A)と、各糸が1760dtexのタイター、Z25を有する30本という数のDyneema(登録商標)SK78糸(すなわち、反対側にある長手方向縁部分に位置する糸B)とを含む。
経糸数に関する糸濃度(すなわち、ピッチ濃度)は、[B]+[A]+[B]=30+60+30であった。したがって、総量は、[B]+[A]=60+60であり、よって、50重量%の糸Bおよび50重量%の糸Aの糸濃度であった。
タイターの濃度は、[B]+[A]+[B]=52800dtex+105600dtex+52800dtexであった。したがって、[B]:[A]=50重量%の糸Bおよび50重量%の糸Aであった。
結果を表1に示す。
[実施例2(Ex.2)]
実施例2は、以下の違いを除いて実施例1を繰り返すことにより行った。
経糸は、42.5cN/dtexの初期比糸強さならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された7×10−6%毎秒の最小クリープ速度を有するDyneema(登録商標)SK99糸と、32cN/dtexの初期比糸強さならびに900MPaの張力および30℃の温度で測定された1.3×10−6%毎秒の最小クリープ速度を有するDyneema(登録商標)DM20糸とを含む。
ストリップ中の経糸は、異なるタイターおよび異なる最小クリープ速度値を有する糸でできたものであり、[C]+[B]+[A]+[B]+[C]=[880dtexのタイター、Z25を有する20本のDyneema(登録商標)SK99糸(一方の最外部の長手方向縁部分に位置する糸C)]+[1760dtexのタイターを有する30本のDyneema(登録商標)DM20糸(一方の長手方向縁部分に位置する糸B)]+[2×1760dtex、よって約3520dtexのタイター、Z25 Cを有する20本のDyneema(登録商標)DM20糸(コア部分に位置する糸A)]+[1760dtexのタイター、Z25を有する30本のDyneema(登録商標)DM20糸(反対側にある長手方向縁部分に位置する糸B)]+[880dtexのタイター、Z25を有する20本のDyneema(登録商標)SK99糸(反対側にある最外部の長手方向縁部分に位置する糸C)]を含む。
タイター当たりの糸(ピッチ)数に関する糸濃度は、[C]:[B]:[A]=16.6%:33%:50%であり、重量%に関する糸濃度は、[C]:[B]:[A]=16.6重量%:33重量%:50重量%であった。
全ての実施例において、ストリップのM/E比は約1であり、Mはストリップの幅におけるコア部分であり、Eはストリップの幅における縁部分の合計であり、ストリップの全幅はMおよびEからなり、MはEに等しく、Eは約1/2E1+約1/2E2であり、E1は幅における一方の長手方向縁部分であり、E2は幅における他方の(または反対側にある)長手方向縁部分である。
結果を表1に示す。
表1に示される結果は、本発明に従う鎖(実施例1の鎖)が、CE1およびCE2で得られた鎖と比べて破断強さおよび効率の増大を有することを実証している。加えて、さらなる観察は、ヒートセットされなかった鎖と比べたヒートセットされた鎖についての強度値の著しい増大、および効率損失のそれぞれ約50%の減少であった。ヒートセットを適用することにより、鎖の効率は著しく増大する(実施例1)。加えて、鎖接点における損失の実質的な減少が、ストリップがハイブリダイズされていた場合に(すなわち、異なる最小クリープ経糸によりおよび/または楕円形のストリッププロファイルを形成する経糸における異なるタイターにより)達成された。