JP6728484B2 - 反射防止膜及び光学部材 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止膜及び光学部材に関する。
監視カメラ、車載カメラ等の屋外に設置されるカメラのレンズ、カバー等の光学部材の表面には汚れが付着し、汚れが付着した光学部材の表面は一般に撥水性となる。そして、撥水性となった光学部材の表面が水に濡れると、光学部材の表面に水滴が残り、水滴が視野の妨げとなる。そこで、光学部材の表面を構成する反射防止膜として、光触媒活性を有する二酸化チタンのセルフクリーニング作用によって表面の親水性を維持する反射防止膜が知られている。
特許文献1に記載された反射防止膜は、基材上に設けられた反射防止膜であって、二酸化チタンからなる高屈折率層と、二酸化ケイ素からなる低屈折率層とが交互に4層積層されてなり、表面は低屈折率層によって構成されている。そして、実施例の各層の厚みは、基材側から順に、高屈折率層である第1の層が15nm、低屈折率層である第2の層が30nm、高屈折率層である第3の層が120nm、表面を構成する低屈折率層である第4の層が90nmとされている。
特許文献2に記載された反射防止膜は、基材上に設けられた反射防止膜であって、特許文献1に記載された反射防止膜と同様に、二酸化チタンからなる高屈折率層と、二酸化ケイ素からなる低屈折率層とが交互に4層積層されてなり、表面は低屈折率層によって構成されている。そして、実施例の各層の厚みは、基材側から順に、高屈折率層である第1の層が20nm、低屈折率層である第2の層が25nm、高屈折率層である第3の層が240nm、表面を構成する低屈折率層である第4の層が90nmとされている。
日本国特開2008−3390号公報 日本国特開2016−224113号公報
二酸化チタンのセルフクリーニング作用は、二酸化チタンに発生する酸素ラジカルが表面に付着した汚れを分解することによってもたらされる。特許文献1に記載された反射防止膜及び特許文献2に記載された反射防止膜では、二酸化チタンからなる第3の層は反射防止膜の表面を構成している第4の層によって覆われており、第3の層に発生した酸素ラジカルを反射防止膜の表面に効率的に輸送する観点では、第4の層は薄いほうが好ましい。そして、酸素ラジカルの発生量を増加させる観点では、第3の層は厚いほうが好ましい。
一方、反射防止膜としての実用性を考慮し、例えば波長400nm〜700nmの範囲で平均反射率1%以下を実現するには、反射防止膜の表面を構成している二酸化ケイ素からなる第4の層の厚みは20nm以上であり、第4の層に隣設されている二酸化チタンからなる第3の層の厚みは150nm以下であることが望ましい。
特許文献1に記載された反射防止膜では、二酸化ケイ素からなる第4の層の厚みが90nmとなっており、二酸化チタンからなる第3の層の厚みが120nmとなっている。この場合、酸素ラジカルが不足し、表面の親水性を維持するに足るセルフクリーニング作用を得られない虞がある。特許文献2に記載された反射防止膜では、二酸化ケイ素からなる第4の層の厚みが90nmとなっており、二酸化チタンからなる第3の層の厚みが240nmとなっている。この場合、平均反射率1%以下となる帯域が狭くなり、反射防止膜としての実用性に欠ける虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、反射率特性の向上と表面の親水性の維持とを両立可能な反射防止膜及び光学部材を提供することを目的とする。
本発明の一態様の反射防止膜は、光学基材上に設けられる反射防止膜であって、第1の層と、上記第1の層に対してこの反射防止膜の表面側に配置され且つ上記第1の層より高屈折率な第2の層と、上記第2の層に対して上記表面側に配置され且つ上記第2の層より低屈折率な第3の層とを含み、上記表面からの厚みが20nm以上150nm未満である反射率調整膜と、二酸化チタンを含有する一層以上の光触媒活性層を含み、上記反射率調整膜と上記光学基材との間に設けられ且つ上記反射率調整膜側の界面が上記表面から150nm以下の位置に配置されており、上記光触媒活性層の合計の厚みが350nm以上1000nm以下である光触媒膜と、を備える。
本発明の一態様の光学部材は、上記反射防止膜が光学基材上に設けられている。
本発明によれば、反射率特性の向上と表面の親水性の維持とを両立可能な反射防止膜及び光学部材を提供することができる。
本発明の実施形態を説明するための、光学部材の一例の模式図である。 図1の光学部材の変形例の模式図である。 図1の光学部材の他の変形例の模式図である。 二酸化チタンのアナターゼ構造の結晶構造を示す模式図である。 二酸化チタンからなる光触媒膜のXRD測定結果を示すグラフである。 二酸化チタンからなる光触媒膜のXRD測定結果を示すグラフである。
図1に示す光学部材1は、光学基材2と、光学基材2上に設けられた反射防止膜3とを備える。
光学基材2は、例えばレンズ等の光学素子であってもよく、フィルムであってもよく、形態は特に限定されない。レンズとしては、車載レンズ、監視カメラレンズ、交換レンズ、テレビレンズ等を例示することができる。光学基材2がフィルムである場合には、光学部材1は、レンズ等の光学素子の表面に貼着されて用いられる。光学基材2の材料にはガラス又は樹脂が用いられ、樹脂としてはポリカーボネート、シクロオレフィン、ポリイミド等を例示できるが、後述する反射防止膜の製造方法との関係では、ガラス転移温度が300℃以上、望ましくは350℃以上である、耐熱性に優れたポリイミドが好適である。
反射防止膜3は、反射率調整膜4と、反射率調整膜4と光学基材2との間に設けられている光触媒膜5とを有する。光触媒膜5は、光が照射されることによって酸素ラジカルを発生させ、光触媒膜5に発生した酸素ラジカルにより、外気に接する反射率調整膜4の表面4aに付着した汚れが分解される。この酸素ラジカルがもたらすセルフクリーニング作用によって表面4aが撥水性となることが抑制される。
好ましくは、表面4aは親水性材料によって形成される。ここで、表面4aが「親水性」であるとは、水との接触角が10°以下であることを言うものとし、接触角はJIS R 3257に規定される静滴法によって測定されるものとする。表面4aを形成する親水性材料としては、SiO(二酸化ケイ素)等を例示することができる。
また、反射率調整膜4は、第1の層10と、第1の層10の表面4a側に配置され且つ第1の層10より高屈折率な第2の層11と、第2の層11の表面4a側に配置され且つ第2の層11より低屈折率な第3の層12とを含む。第1の層10と第3の層12とを形成する材料としては、SiO、MgF(フッ化マグネシウム)、Si(窒化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)等の、屈折率が1.6以下の低屈折率材料を例示することができ、相対的に高屈折率な第2の層11を形成する材料としては、TiO(二酸化チタン)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(二酸化スズ)、In(酸化インジウム)、Nb(五酸化ニオブ)、Ta(五酸化タンタル)、TiN(窒化チタン)、ZrO(酸化ジルコニウム)等の、屈折率1.8以上の高屈折率材料を例示することができる。
第3の層12が親水性のSiOによって形成される場合に、図1に示すように、第3の層12によって表面4aを形成することができる。一方、第3の層12が非親水性のMgF又はAlによって形成される場合には、図2に示すように、第3の層12の表面4a側に親水性の表面層13を設け、表面層13によって表面4aを形成すればよい。
表面4aを形成する第3の層12又は表面層13は、表面4aを親水性とする観点では、微細な凹凸を有するポーラス状に形成されてもよいが、好ましくは、耐摩耗性を高める観点から、ソリッド状に形成される。
なお、第1の層10と第2の層11との間に中間層が設けられてもよい。中間層としては、第1の層10の屈折率と第2の層11の屈折率との間に中間の屈折率を有するものを例示することができる。同様に、第2の層11と第3の層12との間に中間層が設けられてもよい。
第1の層10と、第2の層11と、第3の層12の各層の厚みは、各層の屈折率、反射を抑制する波長範囲等に応じて適宜設定される。例えば、第1の層10と第3の層12とがSiOからなり、第2の層11がTiOからなり、波長400nm〜700nmの範囲で平均反射率1%未満とする場合に、第1の層10の厚みは15nm〜40nm、第2の層11の厚みは10nm〜25nm、第3の層12の厚みは20nm〜100nmが好適である。ただし、反射率調整膜4全体の厚みは20nm以上150nm未満である。反射率調整膜4全体の厚みが20nm未満であると、波長400nm〜700nmの範囲で平均反射率1%以下の反射率特性を得られない虞がある。また、反射率調整膜4全体の厚みが150nm以上であると、光触媒膜5に発生する酸素ラジカルの表面4aへの輸送が阻害され、セルフクリーニング作用が得られない虞がある。
光触媒膜5は、TiO(二酸化チタン)を含有する光触媒活性層14を含む。光触媒活性層14は、図1に示すように一層だけであってもよいし、図3に示すように、複数層あってもよい。光触媒膜5が複数の光触媒活性層14を含む場合に、隣り合う二つの光触媒活性層14の間に介在する中間層15の材料としては、上記低屈折率材料(SiO、MgF、Si等)及びTiOを除く上記高屈折率材料(ITO、ZnO、SnO、In、Nb、Ta、TiN、ZrO等)を例示することができる。
セルフクリーニング作用を発現させる観点から、光触媒活性層14の合計の厚みは350nm以上1000nm以下であり、好ましくは350nm以上500nm以下である。そして、光触媒膜5の反射率調整膜4側の界面5aは、光触媒活性層14に発生する酸素ラジカルを表面4aに効率的に輸送する観点から、表面4aから150nm以下の位置に配置されている。
なお、反射率調整膜4を形成する各層、及び光触媒膜5を形成する各層の厚みは光学膜厚計(後述する成膜機に内蔵)によって測定される値とする。なお、試料の膜厚は断面TEM(Transmission Electron Microscope)観察によって実測し、光学膜厚計測定値とTEM観察実測値とが−3nm〜+3nmで一致していることを確認している。
好ましくは、光触媒活性層14に含有されるTiOの結晶構造はアナターゼ構造である。アナターゼ構造のTiOは、ルチル構造のTiOに比べて光触媒活性に優れる。なお、アナターゼ構造の結晶構造は、図4に示すように、正方晶系であり、Tiが6個のOに囲まれた構造を有するものである。
また、光触媒活性層14に含有されるTiOは、N(窒素)、S(硫黄)、Cr(クロム)、Sb(アンチモン)、Ce(セリウム)の群から選ばれる少なくとも一種以上の元素がドープされていてもよい。これらの元素をドープすることによって、光触媒活性層14の光触媒活性をさらに高めることができる。ドープ量は、Tiとドープ元素のモル比において、0.01mol%以上0.05mol%以下が好適である。TiO膜表面のTiイオンの一部が陽イオン(Cr3+、Sb3+、Ce3+)に置換され、又はTiO膜表面の酸素イオンの一部が陰イオン(N、S(価数は諸説あって表記出来ず))に置換されることにより光触媒活性を向上させることができる。ただし、ドープ元素量が0.01mol%未満では、上記イオンの置換によるTiO膜の光触媒活性の向上は望めず、また、ドープ元素量が0.05mol%を超えると、ドープ元素がTiO膜表面に凝集してしまい、TiO膜の光触媒活性を低下させる虞がある。
以上の反射防止膜3は、光触媒膜5と、反射率調整膜4とが、この順に光学基材2上に成膜されることによって製造され、成膜には蒸着法を用いることができる。SiO等の低屈折率な第1の層10と、TiO等の高屈折率な第2の層11と、SiO等の低屈折率な第3の層12とを含む反射率調整膜4の蒸着法による成膜は公知であり、以下では、光触媒膜5の成膜について説明する。
TiOを含有する光触媒活性層14の成膜において、蒸着材料としてはTi(五酸化チタン)を用いることができる。蒸着材料としてTiを用いることにより、蒸着材料としてTiOを用いた場合に比べて酸素欠損の少ない光触媒活性層14を形成することができる。
光触媒活性層14に含有されるTiOに光が照射されることによって価電子帯にある電子が伝導帯に励起され、伝導帯に励起された電子によって酸素が還元されることにより、酸素ラジカルが生成される。この電子遷移において、酸素欠損は価電子帯準位と伝導体準位との間のトラップ準位を形成し、伝導帯に励起される電子が酸素欠損に捕獲されてしまう。その結果、酸素ラジカルの生成に寄与する電子が減少し、光触媒活性が低下する。蒸着材料としてTiを用いることにより、酸素欠損の生成を抑制でき、光触媒活性層14の光触媒活性を高めることができる。
好ましくは、光触媒活性層14を成膜する際には、光学基材2の温度を300℃以上350℃以下とする。これにより、アナターゼ構造のTiOの生成を促進することができる。光学基材2の温度が過度に低い(例えば200℃以下)と、光触媒活性を示さないアモルファス構造のTiOの生成が助長され、光学基材2の温度が過度に高い(例えば400℃以上)と、ルチル構造のTiOの生成が助長される。
また、好ましくは、酸素が導入される雰囲気中で光触媒活性層14を成膜し、酸素の流量を、0℃換算で100×1.69×10−3 Pa・m/sec以上120×1.69×10−3Pa・m/sec以下とする。これにより、アナターゼ構造のTiOの結晶性を高めることができ、光触媒活性層14の光触媒活性をさらに高めることができる。
また、好ましくは、光学基材2上に形成された光触媒膜5をアニールし、アニール雰囲気の温度(以下、アニール温度という)を350℃以上400℃以下とし、アニール時間を2時間以上6時間以下とする。これにより、光触媒活性層14の光触媒活性の持続性を高めることができる。
光触媒膜5をアニールすることによる光触媒活性の持続は、TiOに含まれる不純物準位の減少に関連するものと推定され、TiOに含まれる不純物準位が、酸素欠損準位と同じく、TiOに生じる電子遷移においてトラップ準位となり、光触媒活性層14の光触媒活性を低下させるものと考えられる。本発明者が行った実験において、光触媒膜5を上記条件にてアニールすることによってTiOに含まれる不純物準位が減少することが、電子スピン共鳴(ESR:Electron Paramagnetic Resonance)測定によって確認されている。
なお、アニールによる光触媒活性層14の光触媒活性の持続効果は、アニール雰囲気にも影響され、酸素中で光触媒膜5をアニールする場合に比べて空気中で光触媒膜5をアニールすることにより、光触媒活性の持続効果を高めることができる。
また、光触媒膜5(光触媒活性層14)に含有されるTiOに異種元素(N、S、Cr、Sb、Ce)をドープする場合に、ドープは、TiO膜が成膜された試料に対してイオン注入装置を用いて行うことができ、ドープ手法は、例えば特開平9−262482号公報に記載された手法を用いることができる。そして、異種元素をドープした後、反射率調整膜4を成膜する。
以下、実験例について説明する。
<TiO光触媒膜の結晶構造>
蒸着材料としてTiを用い、光学基材として白板ガラス(FD110 HOYA社製)を用い、電子ビーム蒸着により、TiOからなる厚さ300nmの単層の光触媒膜を光学基材上に成膜した。なお、成膜機にはシンクロン製ACE−1800を使用した。そして、光触媒膜を成膜する際の光学基材の温度を無加熱から400℃の範囲で変化させ、併せて成膜機のチャンバ内に導入する酸素流量を0から120×1.69×10−3Pa・m/secの範囲で変化させ、得られた光触媒膜に対してX線回析(XRD:X‐ray diffraction)測定を行い、光触媒膜に含有されるTiOの結晶構造を分析した。XRD測定に使用した測定装置と測定条件は下記のとおりである。
・装置 :RINT−2500(リガク社製)
・線源 :Cu kα 55kV,280mA
・光学系
発散スリット(DS:Divergence Slit):1.0°
散乱スリット(SS:Scattering Slit):1.0°
受光スリット(RS:Receiving Slit):0.3mm
結晶構造の分析結果を表1に示す。
Figure 0006728484
表1に示すとおり、光触媒膜を成膜する際の光学基材の温度を300℃以上350℃以下とした場合に、アナターゼ構造のTiOが得られた。そして、光触媒膜を成膜する際の酸素の導入量を0℃換算で100×1.69×10−3 Pa・m/sec以上120×1.69×10−3Pa・m/sec以下とした場合に、光触媒活性に優れる高結晶性のアナターゼ構造のTiOが得られた。TiOの結晶性について、光学基材の温度を300℃とし、酸素の導入量を70×1.69×10−3 Pa・m/secとした場合のXRD測定結果を図5に、同じく光学基材の温度を300℃とし、酸素の導入量を100×1.69×10−3Pa・m/secとした場合のXRD測定結果を図6に示す。
図5及び図6のいずれのXRD測定結果においても、XRDピーク位置はアナターゼ型のTiOのピーク位置(文献値)と一致しているが、図6に示すXRD測定結果は、図5に示すXRD測定結果と比べて、低角度側(2Θ≦40°)のベースラインが下がっており、且つ各ピークの強度が高くなっている。このことから、酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとした場合のTiOの結晶性が相対的に高いことがわかる。
<光触媒膜の光触媒活性の膜厚依存性>
次に、TiO光触媒膜の光触媒活性と膜厚との関係を評価した。蒸着材料としてTiを用い、光学基材として白板ガラス(FD110 HOYA社製)を用い、電子ビーム蒸着により、TiOからなる単層の光触媒膜を光学基材上に成膜した。そして、蒸着材料としてSiOを用い、電子ビーム蒸着によって厚さ50nmのSiO膜を光触媒膜上に成膜して評価サンプルを作成した。なお、光触媒膜を成膜する際の光学基材の温度は300℃と350℃との二種とし、且つ酸素の導入量は100×1.69×10−3Pa・m/secとし、SiO膜を成膜する際の光学基材の温度は、光触媒膜を成膜する際と同じとし、且つ酸素の導入量は0とした。
光触媒膜の厚みを10nm〜500nmの範囲で変化させた複数の評価サンプルを対象に、サンプル表面のSiO膜の水との接触角を下記の手順で測定し、接触角に基づいて光触媒膜の光触媒活性の膜厚依存性を評価した。接触角の測定では、まず、綿棒を用いて自動車用ワックス(商品名「New Willson」 Willson製)をサンプル表面に擦りつけ、ワックス塗布から24時間以上経過した後、サンプル表面に塗布されたワックスを中性洗剤と水とで除去し、ワックスが除去されたサンプル表面の水との接触角θ1を測定した。そして、サンプル表面に紫外光を照射し、照射後に、再びサンプル表面の水との接触角θ2を測定した。なお、紫外光の光源には三共電気製UV−B紫外線ランプ20WGL20SEを使用し、照射条件はUV照度3mw/cm、照射時間40分とした(7.2J/cmに相当)。また、接触角測定装置には、協和界面科学製DM300を使用した。上記の接触角の測定手順を以下ではWAX試験と称する。
接触角θ2の測定結果を表2に示す。なお、表2の接触角θ2の値は、サンプル毎に接触角の測定を三回行い、それらの測定値の平均値である。
Figure 0006728484
接触角θ1は、いずれの評価サンプルにおいても50°以上であった。これに対し、光触媒膜の厚みが350nm以上のサンプルの紫外光照射後の接触角θ2は、表2に示すとおり、いわゆる超親水性と言われる5°以下となっている。この測定結果から、光触媒膜に含有されるTiOのセルフクリーニング作用を発現させるには、光触媒膜の厚み(光触媒活性層の合計の厚み)は350nm以上必要であることがわかる。
<光触媒膜の光触媒活性の持続性>
次に、光触媒膜の厚みが350nmの上記評価サンプルと、光触媒膜の厚みが500nmの上記評価サンプルを対象に、アニール温度及びアニール時間を変化させて、空気中でアニールした。そして、アニールしたサンプルに対して上記WAX試験を繰り返し行い、紫外光照射後のサンプル表面の水との接触角が5°以下を示す試験回数に基づいて、光触媒膜の光触媒活性の持続性を評価した。
持続性の評価結果を表3に示す。なお、表3の試験回数はアニール時間が4時間の場合の回数である。
Figure 0006728484
表3に示すとおり、空気中でアニール温度350℃以上400℃以下の条件でアニールすることにより、光触媒膜の光触媒活性の持続性が高められることがわかる。また、適切なアニール温度は光触媒膜の厚みに依存し、光触媒膜の厚みが350nmの場合のアニール温度は350℃が好ましく、光触媒膜の厚みが500nmの場合には400℃が好ましいことがわかる。なお、表3の試験回数はアニール時間が4時間の場合の回数であるが、アニール時間が2〜6時間の範囲では、表3と同じ結果となった。
<光学部材の反射率特性及びセルフクリーニング作用>
次に、図1及び図2に示した光学部材を作製し、作製した光学部材の反射率特性と、セルフクリーニング作用とを評価した。実験例1、実験例2、実験例4〜実験例7の光学部材は、図1に示した構成を備え、TiOからなる単層の光触媒膜5と、反射率調整膜4とを、この順に光学基材2上に成膜し、反射率調整膜4を、光学基材2側から順に、SiOからなる第1の層10と、TiOからなる第2の層11と、SiOからなる第3の層12とによって構成したものである。また、実験例3の光学部材は、図2に示した構成を備え、TiOからなる単層の光触媒膜5と、反射率調整膜4とを、この順に光学基材2上に成膜し、反射率調整膜4を、光学基材2側から順に、MgFからなる第1の層10と、TiOからなる第2の層11と、MgFからなる第3の層12と、SiOからなる表面層13とによって構成したものである。また、実験例8の光学部材は、光学基材2上に、TiOからなる単層の光触媒膜5と、SiOからなる単層の反射率調整膜4とを、この順に光学基材2上に成膜したものである。
実験例1〜実験例8の光学部材に共通して、光学基材2として白板ガラス(FD110 HOYA社製)を用いた。また、TiOからなる単層の光触媒膜5は、蒸着材料としてTiを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。そして、光学基材2上に成膜された光触媒膜5を、空気中で、アニール温度350℃、アニール時間4時間の条件でアニールした。また、反射率調整膜4のTiOからなる第2の層11は、蒸着材料としてTiを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。また、反射率調整膜4のSiOからなる第1の層10と第3の層12と表面層13とは、蒸着材料としてSiOを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を0として、電子ビーム蒸着により成膜した。また、反射率調整膜4のMgFからなる第1の層10と第3の層12とは、蒸着材料としてMgFを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を0として、電子ビーム蒸着により成膜した。
反射率特性は、波長400nm〜700nmの範囲の平均反射率と、波長400nm〜700nmの範囲の反射率特性曲線のリップル(変動)の有無と、リップルの程度とに基づいて評価した。なお、平均反射率は、波長1nm間隔で各波長の反射率を測定し、反射率の合計値を測定数で割った値である。平均反射率が0.5%以下であり且つリップルがない場合にA評価とし、平均反射率が1.0%以下であり且つ比較的弱いリップルがある場合にB評価とし、平均反射率が1.0%以下であり且つ比較的強いリップルがある場合にC評価とし、平均反射率が1.0%より大きい場合にD評価とした。また、セルフクリーニング作用は、上記WAX試験を10回行い、紫外光照射後の反射率調整膜4の表面4aの水との接触角に基づいて評価した。
反射率特性と、セルフクリーニング作用との評価結果を表4に示す。
Figure 0006728484
表4に示すとおり、反射率調整膜4の合計の厚みが315nmである実験例4の光学部材では、光触媒膜5の反射率調整膜4側の界面5aが反射率調整膜4の表面4aから150nmより深い315nmの位置に配置されている。この場合、光触媒膜5に発生した酸素ラジカルの表面4aへの輸送が阻まれ、セルフクリーニング作用が低下する。結果、表面4aの接触角が22.4°となっている。また、光触媒膜5の厚みが200nmである実験例5の光学部材では、光触媒膜5に発生する酸素ラジカルが不足し、セルフクリーニング作用が低下する。結果、表面4aの接触角が15.2°となっている。また、反射率調整膜4がSiOからなる第1の層10のみによって構成されている実験例8の光学部材では、波長400〜700nmの範囲の平均反射率が1.3%となっており、反射防止膜としての実用性に欠ける。一方、反射率調整膜4の合計の厚みが20nm以上150nm未満であり、光触媒膜5の界面5aが表面4aから150nm以下の位置に配置されており、光触媒膜5の厚みが350nm以上1000nm以下である実験例1〜実験例3、実験例6、及び実験例7の光学部材では、波長400〜700nmの範囲の平均反射率が1.0%以下となっており、反射防止膜としての実用性を備える。さらに、表面4aの接触角は5°以下となっており、セルフクリーニング作用によって表面4aの親水性が維持されている。
特に、光触媒膜5の厚みが350nm以上500nm以下である実験例1〜実験例3の光学部材では、波長400〜700nmの範囲の平均反射率が0.5%以下となっており、且つ波長400nm〜700nmの範囲の反射率特性曲線がリップルのない平坦なものとなっている。以上の結果から、好ましくは、光触媒膜5の厚みは350nm以上500nm以下であり、これにより、反射防止膜3の反射率特性を向上させることができる。
<光触媒膜のTiO結晶構造とセルフクリーニング作用>
実験例9〜実験例11の光学部材は、いずれも上記実験例2の光学部材と同一の構成を備えるものである。ただし、TiOからなる単層の光触媒膜5の成膜条件は実験例毎に異なり、実験例9の光学部材では、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。また、実験例10の光学部材では、光学基材2の温度を400℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。また、実験例11の光学部材では、光学基材2の温度を200℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。こうして成膜された光触媒膜5に含有されるTiOの結晶構造をXRD測定によって分析したところ、実験例9の光学部材はアナターゼ構造であり、実験例10の光学部材はルチル構造であり、実験例11の光学部材はアモルファス構造であった。実験例9〜実験例11の光学部材に対して上記WAX試験を10回行い、紫外光照射後の反射率調整膜4の表面4aの水との接触角に基づいて、TiO結晶構造とセルフクリーニング作用との関連を評価した。
TiO結晶構造とセルフクリーニング作用との関連の評価結果を表5に示す。
Figure 0006728484
表5に示すとおり、光触媒膜5がルチル構造のTiOからなる実験例10の光学部材では、反射率調整膜4の表面4aの接触角が30°となっており、光触媒膜5がアモルファス構造のTiOからなる実験例11の光学部材では、反射率調整膜4の表面4aの接触角が50°となっているのに対し、光触媒膜5がアナターゼ構造のTiOからなる実験例9の光学部材では、反射率調整膜4の表面4aの接触角が4.8°となっており、セルフクリーニング作用によって表面4aの親水性が維持されている。以上の結果から、好ましくは、光触媒膜5に含有されるTiOの結晶構造はアナターゼ構造であり、これにより、光触媒膜5の光触媒活性を高めてセルフクリーニング作用を増強することができる。
<光触媒膜に対するドープとセルフクリーニング作用>
実験例12〜実験例14の光学部材は、いずれも上記実験例2の光学部材と同一の構成を備えるものである。ただし、TiOを含有する単層の光触媒膜5には、実験例毎に異なる元素をドープしており、実験例12の光学部材ではN(窒素)をドープし、実験例13の光学部材ではCr(クロム)をドープし、実験例14の光学部材ではCe(セリウム)をドープした。実験例12〜実験例14の光学部材に対して上記WAX試験を10回行い、紫外光照射後の反射率調整膜4の表面4aの水との接触角に基づいて、ドープ元素とセルフクリーニング作用との関連を評価した。
ドープ元素とセルフクリーニング作用との関連の評価結果を表6に示す。
Figure 0006728484
表6に示すとおり、Nをドープした実験例12の光学部材と、Crをドープした実験例13の光学部材と、Ceをドープした実験例14の光学部材のいずれの光学部材も、上記実験例2の光学部材に比べて、波長400〜700nmの範囲の平均反射率が小さくなっており、且つ反射率調整膜4の表面4aの接触角もまた小さくなっている。以上の結果から、光触媒膜5に含有されるTiOにN、Cr、及びCeをドープしてもよく、これらの元素をドープすることにより、光触媒膜5の光触媒活性を高めてセルフクリーニング作用を増強することができる。なお、S(硫黄)をドープした場合には、Nをドープした場合と同様にTiOの酸素イオンの一部がSイオンに置換され、光触媒膜5の光触媒活性が向上すると考ええられ、また、Sb(アンチモン)をドープした場合には、Cr及びCeをドープした場合と同様にTiイオンの一部がSbイオンに置換され、やはり光触媒膜5の光触媒活性が向上すると考えられる。
<多層光触媒膜のセルフクリーニング作用>
実験例15〜実験例17の光学部材は、光触媒膜5と、反射率調整膜4とを、この順に光学基材2上に成膜し、光触媒膜5を、光学基材2側から順に、TiOからなる第1の光触媒活性層14と、SiOからなる中間層15と、TiOからなる第2の光触媒活性層14とによって構成し、反射率調整膜4を、光学基材2側から順に、SiOからなる第1の層10と、TiOからなる第2の層11と、SiOからなる第3の層12とによって構成したものである。ただし、光触媒膜5のSiOからなる中間層15の膜厚が実験例毎に異なり、実験例15の光学部材では1nmとし、実験例16の光学部材では2nmとし、実験例17の光学部材では3nmとした。
実験例15〜実験例17の光学部材に共通して、光学基材2として白板ガラス(FD110 HOYA社製)を用いた。また、TiOからなる第1の光触媒活性層14と第2の光触媒活性層14は、蒸着材料としてTiを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。また、SiOからなる中間層15は、蒸着材料としてSiOを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を0として、電子ビーム蒸着により成膜した。そして、光学基材2上に成膜された光触媒膜5を、空気中で、アニール温度350℃、アニール時間4時間の条件でアニールした。また、反射率調整膜4のTiOからなる第2の層11は、蒸着材料としてTiを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を100×1.69×10−3 Pa・m/secとして、電子ビーム蒸着により成膜した。また、反射率調整膜4のSiOからなる第1の層10と第3の層12と表面層13とは、蒸着材料としてSiOを用い、光学基材2の温度を350℃とし、且つ酸素の導入量を0として、電子ビーム蒸着により成膜した。
実験例15〜実験例17の光学部材に対して上記WAX試験を10回行い、紫外光照射後の反射率調整膜4の表面4aの水との接触角に基づいて、光触媒膜5の中間層15の厚みとセルフクリーニング作用との関連を評価した。
中間層15の厚みとセルフクリーニング作用との関連の評価結果を表7に示す。
Figure 0006728484
表7に示すとおり、実験例15〜実験例17の各光学部材と、上記実験例2の光学部材の光触媒膜5とでは、光触媒膜5が中間層15を介して二層の光触媒活性層14に分割されているか否かを除き略同一である。実験例15〜実験例17の各光学部材の波長400〜700nmの範囲の平均反射率は、実験例2の光学部材と同様に、0.5%以下となっており、また、実験例15〜実験例17の各光学部材の反射率調整膜4の表面4aの接触角は、実験例2の光学部材と同じく4.8°となっている。以上の結果から、光触媒膜5は、中間層15を介して二層の光触媒活性層14を含んでもよいことがわかる。
以上、説明したとおり、本明細書に開示された反射防止膜は、光学基材上に設けられる反射防止膜であって、第1の層と、上記第1の層に対してこの反射防止膜の表面側に配置され且つ上記第1の層より高屈折率な第2の層と、上記第2の層に対して上記表面側に配置され且つ上記第2の層より低屈折率な第3の層とを含み、上記表面からの厚みが20nm以上150nm未満である反射率調整膜と、二酸化チタンを含有する一層以上の光触媒活性層を含み、上記反射率調整膜と上記光学基材との間に設けられ且つ上記反射率調整膜側の界面が上記表面から150nm以下の位置に配置されており、上記光触媒活性層の合計の厚みが350nm以上1000nm以下である光触媒膜と、を備える。
また、本明細書に開示された反射防止膜は、上記光触媒活性層の合計の厚みが350nm以上500nm以下である。
また、本明細書に開示された反射防止膜は、上記光触媒膜に含まれる光触媒活性層が一層である。
また、本明細書に開示された反射防止膜は、上記光触媒活性層に含有される二酸化チタンの結晶構造が、アナターゼ構造である。
また、本明細書に開示された反射防止膜は、上記光触媒活性層が、窒素、硫黄、クロム、アンチモン、セリウムの群から選ばれる一種以上の元素をさらに含有する反射防止膜。
また、本明細書に開示された反射防止膜は、上記第3の層が、二酸化ケイ素からなり、上記表面を形成している。
また、本明細書に開示された光学部材は、上記反射防止膜が光学基材上に設けられている。
また、本明細書に開示された光学部材は、上記光学基材がレンズである。
本発明は、監視カメラ、車載カメラ等の屋外に設置されるカメラのレンズ、カバー等の光学部材に用いることができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。本出願は、2017年4月12日出願の日本特許出願(特願2017−079008)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 光学部材
2 光学基材
3 反射防止膜
4 反射率調整膜
4a 表面
5 光触媒膜
5a 界面
10 第1の層
11 第2の層
12 第3の層
14 光触媒活性層
15 中間層

Claims (8)

  1. 光学基材上に設けられる反射防止膜であって、
    第1の層と、前記第1の層に対して当該反射防止膜の表面側に配置され且つ前記第1の層より高屈折率な第2の層と、前記第2の層に対して前記表面側に配置され且つ前記第2の層より低屈折率な第3の層とを含み、前記表面からの厚みが20nm以上150nm未満である反射率調整膜と、
    二酸化チタンを含有する一層以上の光触媒活性層を含み、前記反射率調整膜と前記光学基材との間に設けられ且つ前記反射率調整膜側の界面が前記表面から150nm以下の位置に配置されており、前記光触媒活性層の合計の厚みが350nm以上1000nm以下である光触媒膜と、
    を備える反射防止膜。
  2. 請求項1記載の反射防止膜であって、
    前記光触媒活性層の合計の厚みが350nm以上500nm以下である反射防止膜。
  3. 請求項2記載の反射防止膜であって、
    前記光触媒膜に含まれる光触媒活性層は一層である反射防止膜。
  4. 請求項1から3のいずれか一項記載の反射防止膜であって、
    前記光触媒活性層に含有される二酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ構造である反射防止膜。
  5. 請求項1から4のいずれか一項記載の反射防止膜であって、
    前記光触媒活性層は、窒素、硫黄、クロム、アンチモン、セリウムの群から選ばれる一種以上の元素をさらに含有する反射防止膜。
  6. 請求項1から5のいずれか一項記載の反射防止膜であって、
    前記第3の層は、二酸化ケイ素からなり、前記表面を形成している反射防止膜。
  7. 請求項1から6のいずれか一項記載の反射防止膜が光学基材上に設けられた光学部材。
  8. 請求項7記載の光学部材であって、
    前記光学基材がレンズである光学部材。
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