JP6727152B2 - 撹拌中のクリームのホイップ状態の検知方法及びホイップドクリーム製造方法 - Google Patents
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Description
このため、ホイップドクリームに関する保形性(硬さ、形状維持等)及び食感(粘り、口溶け、柔らかさ)等を、用途及び消費者のニーズに応じて種々調整する必要がある。
ホイップドクリームは、液状原料であるクリームを撹拌することによって得られるものであるが、液状原料の組成や撹拌の強さ等によってクリームのホイップ状態が変わるため、得られるホイップドクリームの食品物性が変わってくる。それによって、ホイップドクリームの保形性及び食感も変わってくる。目的とするホイップドクリームの食品物性を得るには、クリームの撹拌を停止するタイミング等の撹拌の制御が重要となってくる。しかしながら、この撹拌停止のタイミングは、視覚、触覚等の人間の感性により判断されているため、熟練を要するのが実情である。このため、できるだけヒトの労力を少なくし作業効率を高め、簡便にかつ精度よく所望の食品物性を有するホイップドクリームを得ることが望まれている。
また、特許文献2には、液状及び/又は流動状原料と気相とを混合して得られるホイップ食品の製造において、ホイップ段階の進行に伴って昇値する力率又は力率計から求められる消費電力によってホイップ状態を検知する方法が提案されている。
また、特許文献2では、消費電力によって検知するため、消費電力計測ではノイズなどが発生しやすく、精度がよくない。特許文献2では、トルクのみでは品種によってオーバーランの入り方が異なるため、所望の食品物性を有するホイップドクリームを容易に得ることが困難である。
〔1〕 ホイップドクリームの製造におけるミキサートルク値及び体積増加率と食品物性値との相関関係に基づき、ホイップ中に測定されるミキサートルク値及び体積増加率からホイップドクリームの食品物性値を算出し、撹拌中のクリームのホイップ状態を検知する方法。
〔2〕 前記ホイップドクリームの食品物性値が、硬度、連続相粘度及び付着強度から選ばれるものである前記〔1〕記載のクリームのホイップ状態の検知方法。
〔3〕 前記相関関係は、重回帰式であり、当該重回帰式の説明変数は、ホイップドクリームの製造において測定されるミキサートルク値及び体積増加率であり、当該重回帰式の目的変数は、ホイップドクリームの食品物性値である、前記〔1〕又は〔2〕記載のクリームのホイップ状態の検知方法。
(A)ホイップ中のミキサートルク値及び体積増加率を測定すること
(B)前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載のクリームのホイップ状態の検知方法に基づき、撹拌中のクリームの食品物性値を算出すること
(C)算出される食品物性値に基づき、目的とするホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御すること
撹拌中のクリームの体積増加率を測定する体積増加率計測器と、
を備える、ホイップドクリーム製造装置。
〔6〕 さらに、ミキサートルク値と体積増加率に基づきクリームの撹拌を制御する制御部と、を備える、前記〔5〕記載のホイップドクリーム製造装置。
〔7〕 前記制御部が、前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載のクリームのホイップ状態の検知方法に基づき撹拌中のクリームの食品物性値を算出する、前記〔5〕又は〔6〕記載のホイップドクリーム製造装置。
〔8〕 前記制御部は、算出されたクリームの食品物性値が、設定されたホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御する、前記〔5〕〜〔7〕の何れか1項記載のホイップドクリーム製造装置。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術のホイップ状態の検知方法について、説明する。
本技術の撹拌中のクリームのホイップ状態を検知する方法は、ホイップドクリームの製造におけるミキサートルク値及び体積増加率と食品物性値との相関関係に基づき、ホイップ中に測定されるミキサートルク値及び体積増加率からホイップドクリームの食品物性値を算出することにより行われる。
本技術で原料として使用する「クリーム」は、何れのクリームであってもよく、特に限定されない。
本技術の原料「クリーム」は、例えば、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で規定されるクリーム(以下、生クリームともいう。)、及び乳等省令で規定される「乳又は乳製品を主要原料とする食品」に分類されるクリーム(以下、乳主原クリームともいう。)等が挙げられ、何れでもよい。
原料の生クリームは、「生乳、牛乳、又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの」である。
原料の乳主原クリームは、乳脂肪分以外の成分(植物油脂、タンパク質、各種添加剤(乳化剤、安定剤、香料等)等)を含み、脂肪として乳脂肪のみを含む純乳脂タイプ(純乳脂クリーム)、脂肪として乳脂肪と植物油脂とを含む混合タイプ(いわゆるコンパウンドクリーム)、及び脂肪として植物油脂のみを含む純植物油脂タイプ(いわゆるノンデイリークリーム)に分類される。
また、本技術において、原料「クリーム」に、チョコレート、バター、マーガリン、ヨーグルト等任意成分を含ませることも可能である。
硬度値が大きい場合、得られるホイップドクリームは硬いと検知でき、硬度値が小さい場合、得られるホイップドクリームは柔らかいと検知できる。また、連続相粘度の値が大きい場合、得られるホイップドクリームは保形性が良いと検知でき、連続相粘度が小さい場合、得られるホイップドクリームは冷蔵保存時の硬度変化が大きいと検知できる。また、付着性が高い場合、得られるホイップドクリームは粘りがあると検知でき、付着性が中程度の場合、得られるホイップドクリームは口残りのバランスが良いと検知でき、付着性が低い場合、得られるホイップドクリームは非常に滑らかであると検知できる。
ホイップ中の撹拌子はボールの内側を周回しながら、撹拌子自体も自転を行う。以後ボールの内側での周回速度を公転速度という。
ホイップドクリームの製造における撹拌子の公転速度は、ホイップドクリームの一般的な製造にて行われる範囲であればよい。例えば、公転速度は100〜300rpmであり、また、撹拌中の公転速度は、一定を維持することが好ましい。また、ホイップ時のクリーム内温度は、低温が好ましく、例えば、4〜15℃程度であればよく、更に好ましくは6〜10℃程度である。
なお、「体積増加率」は、「オーバーラン値(%)=体積増加率×100−100」により、「オーバーラン値」に変換することもでき、逆に「オーバーラン値」から「体積増加率」に変換することもできる。
なお、「オーバーラン値」とは液体時のクリームの体積を100%とした時に、空気がどれだけ入ったかを表す。例えば、液体の体積が100mLで、空気が100mL入り、全体の容積が200mLになった場合を、オーバーラン100%という。
従来はホイップ終点の見極め(終点幅)が感覚的な評価であったが、本技術によりヒトのばらつきが抑えることができるようになる。
また、ミキサートルク値は原料クリームの組成が変わる毎に傾きが異なり、またホイップ終了時のトルク値も異なるため従来は組成ごとの検量線が必要とされていた。しかしながら、本技術の相関関係に基づくことにより原料クリーム組成が変わっても再現性よく定量的・数値的に管理することができるようになる。
図1及び2を参照して説明する。
図1は、本技術のホイップ状態の検知方法(前段階)のフローチャートを示す。具体的には、クリームのミキサートルク値、体積増加率及び食品物性値の実測値を、自動で又は手動で、測定し、この実測値より回帰式を決定する。
図2は、本技術のホイップ状態の検知方法(ホイップドクリームの製造)のフローチャートを示す。具体的には、回帰式を予め記憶させておき、目標の食品物性値になったときに撹拌停止と入力し、原料の液体クリームの撹拌を開始する。ミキサートルク値及び体積増加率を自動測定しながら、これらを重回帰式に当てはめ、目標の食品物性の予測値になったときに、撹拌を停止し、ホイップドクリームを回収する。
具体的には、食品物性値(手動測定又は自動測定)、ミキサートルク値(自動測定)、体積増加率(自動測定)として、ホイップドクリームの製造について、時間毎の各測定値を記録しながら行う。
さらに、得られた実測値を複数使用し、これより重回帰分析を行って、重回帰式を求める(図1:S12)。
本技術において、「ミキサートルク値及び体積増加率」と、「食品物性値」とは、相関関係であるのが好ましく、具体的にはR2≧0.5の相関関係であることが好ましい。なお、ここで、R2は決定係数を表す。
重回帰式: y=ax1+bx2+c
(yは目的変数、x1、x2は説明変数、a、bは係数、cは定数)
また、本技術のホイップ状態の検知において、前記相関関係は重回帰式であり、(B)当該重回帰式の説明変数は、ホイップドクリームの製造において測定されるミキサートルク値及び体積増加率であり、当該重回帰式の目的変数は、ホイップドクリームの食品物性値であることが好ましい。
さらに好ましくは、前記(A)と前記(B)を組み合わせたものであり、具体的には、重回帰式は、各値を予め測定し、これら測定値から重回帰分析を行って求めたものであり、当該重回帰式の説明変数は、ホイップドクリームの製造において測定されるミキサートルク値及び体積増加率であり、当該重回帰式の目的変数は、ホイップドクリームの食品物性値である。
さらに、異なる食品物性毎に実測を行い、各食品物性値における重回帰式を決定することが可能である。
原料クリームのホイップ開始時に、予め目標とする食品物性値を想定する(図2:S21)。
そして、ホイップを開始し、ミキサートルク値及び体積増加率を自動測定し、これら測定値と重回帰式に基づき、撹拌中のクリームの食品物性の予測値を算出する(図2:S22)。
算出される撹拌中のクリームの食品物性の予測値が目標とする食品物性値になるように、撹拌を制御する。例えば、重回帰式より算出される予測値が目標とするクリームの食品物性値になったときに、クリームの撹拌を停止する(図2:S23)。そして、ホイップドクリームを回収する。これにより、目標とする食品物性を有するホイップドクリームを、簡単に精度良く得ることができる。
なお、ホイップドクリームを回収し、次の原料クリームの撹拌を行う場合、図1のフローを行わずに図2のフローを行う(S21〜S23)ことが可能である。図1のフローをスキップするので作業性が良くなるととともに、図1のフローをスキップしても次のクリームのホイップ状態を簡便に精度良く検知することが可能である。また、原料クリームの組成を変更した場合であっても、図2のフローから行っても、クリームのホイップ状態を簡便に精度良く検知することができる。
また、本技術は、撹拌中のクリームのホイップ状態を検知方法として、コンピュータを機能させるためのプログラムとすることも可能である。
本技術のホイップドクリームの製造方法は、以下の(A)〜(C)を含むものである。これにより、目的とする食品物性値を有するホイップドクリームを簡単に精度良く得ることができる。
(A)ホイップ中のミキサートルク値及び体積増加率を測定すること
(B)上述したクリームのホイップ状態の検知方法に基づきホイップドクリームの食品物性値を算出すること
(C)算出される物性値に基づき目的とするホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御すること。
得られる各測定値を、上述したミキサートルク値及び体積増加率と食品物性値との相関関係を表した数式に当てはめることで、食品物性の予測値を算出することができる。
この算出される予測値に基づき、目標とするホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御する。目標とする食品物性値になったときに、手動又は自動で撹拌子のモーターを停止させる。これにより、目標とする食品物性を有するホイップドクリームを容易に製造することができる。
本技術のホイップドクリーム製造装置の構成について説明する。本技術の製造装置の概略図を図3に示すが、本技術の製造装置はこれに限定されるものではない。
本技術のホイップドクリーム製造装置1には、撹拌子に掛かるミキサートルクを測定するミキサートルク計測器2と、撹拌中のクリームの体積増加率を測定する体積増加率計測器3と、制御部4が備えられている。さらに、制御部4は、ミキサートルク値と体積増加率に基づき、クリームの撹拌を制御することが可能である。
測定されたミキサートルク値は、自動又は手動にてミキサートルク計測器2で記憶することができる。また、ミキサートルク値は、ミキサートルク計測器2に接続されている制御部4に、送信され、記憶されてもよい。
撹拌子5の制御は、ミキサートルク計測器2、制御部4及びモーター6の少なくともいずれか1つによって行うことが可能である。撹拌子の制御は、ミキサートルク計測器、制御部及びモーターをリンクさせながら行われることが望ましい。この制御により、撹拌子の公転速度やトルク等を調整して、クリームの撹拌を制御することが可能である。必要に応じて回転開始又は回転停止の制御を行って、クリーム9の撹拌を制御することも可能である。なお、撹拌子の公転速度及びトルク等は、一般的にホイップドクリームを製造する際に行う範囲であればよい。本技術において、例えば公転速度は100〜300rpmの範囲であることが望ましい。
レーザ測定機器の場合、例えば、撹拌開始から終了までにおいて容器7内のクリーム9の高低を測定し、これに基づき体積増加率を計算する。容器内のクリームを撹拌することで泡立ち等の発生によりクリーム体積が増減し、これに比例してクリームの高さも増減することを利用したものである。
また、導電率機器の場合、例えば、撹拌開始から終了までのクリームの導電率を測定し、導電率に基づき、体積増加率を計算する。クリームを撹拌することでクリーム内に気泡(気体)が発生するが、気泡(気体)の増加は導電率を低下させることを利用したものである。
さらに、制御部4は、上述したように、撹拌中のクリームのホイップ状態の検知方法に基づき、自動測定されるミキサートルク値と体積増加率と、撹拌中のホイップ状態の食品物性の予測値を算出することができる。制御部4は、この予測値が、目標とする食品物性値になるように、クリームの撹拌を制御することができる。例えば、制御部は、目標とする食品物性値になったときにクリームの撹拌を停止させ、これによって目標とする食品物性を有するホイップドクリームを手動又は自動にて回収することができる。
使用したクリームは市販品のホイップクリームである森永乳業製「森永ホイップ」、「フレイナ10」を使用した。
森永ホイップ(無脂乳固形分2.4%、植物性脂肪分44%);フレイナ10(無脂乳固形分4%、乳脂肪分10%、植物性脂肪分35%)。
クリームを5℃冷蔵庫に24時間保管後、品温が7℃である事を確認し、ホイップドクリーム製造用試験装置(図1参照)にてホイップを実施した。
ホイップ条件として、室温25℃、クリーム800g、加糖外割り8%、ホイップスタート温度7℃、ホイッパー公転速度180rpm。
ホイップドクリームの連続相粘度(mPa・s)は、ホイップドクリームを脱気したものの粘度であり、脂肪球凝集体形成度合を示すものである。クリームを脱気した後、サーモフィッシャーサイエンティフィック製のコーンプレート型粘度計にて測定した。サンプル温度5℃において、一定回転速度(300/s)にて回転させ、測定開始後8秒以内における粘度の最大値を採用した。
本実施例で使用したホイップドクリーム製造用試験装置は、図3に示すような、ミキサートルク計測器及び体積増加率計測器と、これらを制御する制御部(インバーター)とを備えている。図3に示すような、モーター、撹拌子、撹拌子ギア、容器、支持台は、従来のホイップドクリーム製造装置にて使用しているものを使用した。
ミキサートルク計測器は、撹拌子に直接掛かるミキサートルク値が測定できるように設計され、撹拌子ギアを介して撹拌子と連結されている。さらに撹拌子ギアはモーターと接続され、モーターを回転させることで撹拌子が回転するように設計されている。そして、撹拌子がクリームを撹拌したときに、この撹拌子に掛かる力をミキサートルク計測器がミキサートルク値として自動測定するように設定されている。
体積増加率計測器は、容器内にあるクリームの表面にレーザを照射し、ホイップ開始から終了するまでのクリームの表面上昇距離を自動測定することができるように設計されている。体積増加率(ホイップ中のクリーム体積/ホイップ前の液体クリームの体積)は、測定された表面上昇距離と、容器内の容積とに基づき、算出することができる。なお、オーバーラン値は「体積増加率×100−100」と変換することも可能である。
ミキサートルク値及び体積増加率(ホイップ後の体積/液体の体積)については、ホイップドクリーム製造用試験装置に備える自動測定・自動記録を利用し、ミキサートルク値及び体積増加率の結果を表1に示した。
「硬さ(kgf・mm)」=2213×「ミキサートルク値」−54×「体積増加率」−45 (決定係数=0.98)
同様に「ミキサートルク値」及び「体積増加率」を説明変数とし、「付着強度(kgf・mm)」を目的変数として重回帰分析を行った結果、以下の数式が得られた。なお、本実施例では一次式において決定係数が良好であったため、一次式を用いた。
「付着強度(kgf・mm)」=1757×「ミキサートルク値」−35×「体積増加率」−44 (決定係数=0.93)
同様に「ミキサートルク値」及び「体積増加率」を説明変数とし、「連続相粘度(mPa・s)」を目的変数として重回帰分析を行った結果以下数式が得られた。
「連続相粘度(mPa・s)」=7890×「ミキサートルク値」−856×「体積増加率」−1596 (決定係数=0.54)
これら各数式を、ホイップドクリーム製造用試験装置の制御部に入力した。
試験例1で得られた重回帰式にて求められる計算値と、実際に測定したときの実測値とを評価し、風味評価を行い、その結果を表2に示す。計算値と実測値が近い値を示し、風味評価についても合致した。このことより、「ミキサートルク値」及び「体積増加率」と「各種食品物性値」とに相関関係があり、この相関関係に基づき、「ミキサートルク値」及び「体積増加率」からホイップドクリームの「各種食品物性値」を算出することができ、これにより撹拌中のホイップ状態が判断できることを見出した。
1:非常に口溶けが良い。非常に滑らか。
2:口溶けがよい。
3:口残りのバランスが良い。
4:やや口溶けが悪い。
5:口溶けが悪い。粘るクリーム。
1:かなり柔らかい
2:やや柔らかい(ケーキのナッペに適した状態)
3:良好な硬さ
4:やや硬い(ケーキのサンドに適した状態)
5:かなり硬い
実施例5
ホイップにはフレイナ10を使用した。5℃の冷蔵庫内に24時間保管後、砂糖を外割りで8質量%添加し、品温を7℃に調整し、ホイップドクリーム製造用試験装置を用いて試験例1の数式により硬度を算出しながらホイップを実施した。
ミキサートルク値及び体積増加率から計算される硬度が200(kgf・mm)になった時点で、自動停止させるように設定した。
硬度(計算値)で停止したホイップの硬度(実測値)191(kgf・mm)であり、ベストな状態であった。
ホイップには森永ホイップを使用した。5℃の冷蔵庫内に24時間保管後、砂糖を外割りで8質量%添加し、品温を7℃に調整し、ホイップドクリーム製造用試験装置を用いて試験例1の数式により硬度を算出しながらホイップを実施した。
ミキサートルク値及び体積増加率から計算される硬度が200(kgf・mm)になった時点で、自動停止させるように設定した。
硬度(計算値)で停止したホイップの硬度(実測値)196(kgf・mm)であり、ベストな状態であった。
ホイップにはフレイナ10を使用した。5℃の冷蔵庫内に24時間保管後、砂糖を外割りで8質量%添加し、品温を7℃に調整し、ホイップドクリーム製造用試験装置を用いて試験例1の数式により付着強度を算出しながらホイップを実施した。
ミキサートルク値及び体積増加率から計算される付着強度が100(kgf・mm)になった時点で、自動停止させるように設定した。
付着強度(計算値)で停止したホイップの付着強度(実測値)は113(kgf・mm)であり、非常に口どけが良いホイップであった。
ホイップにはフレイナ10を使用した。5℃の冷蔵庫内に24時間保管後、砂糖を外割りで8質量%添加し、品温を7℃に調整し、ホイップドクリーム製造用試験装置を用いて試験例1の数式により付着強度を算出しながらホイップを実施した。
ミキサートルク値及び体積増加率から計算される付着強度が180(kgf・mm)になった時点で、自動停止させるように設定した。
付着強度(計算値)で停止したホイップの付着強度(実測値)は207(kgf・mm)であり、ベストな状態であった。
ホイップにはフレイナ10を使用した。5℃の冷蔵庫内に24時間保管後、砂糖を外割りで8質量%添加し、品温を7℃に調整し、ホイップドクリーム製造用試験装置を用いて試験例1の数式により付着強度を算出しながらホイップを実施した。
ミキサートルク値及び体積増加率から計算される付着強度が250(kgf・mm)になった時点で、自動停止させるように設定した。
付着強度(計算値)で停止したホイップの付着強度(実測値)は255(kgf・mm)であり、口どけが悪く、粘るクリームであった。
さらに、原料クリームの組成、濃度等に関係なく、求めた重回帰式にて撹拌中のホイップ状態を検知できるので、ホイップ状態を予測することも容易である。そして、目標とする食品物性値を予め設定することで、クリームのホイップを制御することができるので、その目標とする食品物性を有するホイップドクリームを簡単に精度良く得ることができることも見出した。
Claims (6)
- ホイップドクリームの製造におけるミキサートルク値及び体積増加率と食品物性値との相関関係に基づき、ホイップ中に測定されるミキサートルク値及び体積増加率からホイップドクリームの食品物性値を算出し、撹拌中のクリームのホイップ状態を検知する方法。
- 前記ホイップドクリームの食品物性値が、硬度、連続相粘度及び付着強度から選ばれるものである請求項1記載のクリームのホイップ状態の検知方法。
- 前記相関関係は、重回帰式であり、
当該重回帰式の説明変数は、ホイップドクリームの製造において測定されるミキサートルク値及び体積増加率であり、
当該重回帰式の目的変数は、ホイップドクリームの食品物性値である、
請求項1又は2記載のクリームのホイップ状態の検知方法。 - 以下の(A)〜(C)を含む、ホイップドクリームの製造方法。
(A)ホイップ中のミキサートルク値及び体積増加率を測定すること
(B)請求項1〜3の何れか1項記載のクリームのホイップ状態の検知方法に基づき、撹拌中のクリームの食品物性値を算出すること
(C)算出される食品物性値に基づき、目的とするホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御すること - 撹拌子に掛かるミキサートルクを測定するミキサートルク計測器と、
撹拌中のクリームの体積増加率を測定する体積増加率計測器と、
ミキサートルク値と体積増加率に基づきクリームの撹拌を制御する制御部と、を備える、ホイップドクリーム製造装置であって、
前記制御部が、請求項1〜3の何れか1項記載のクリームのホイップ状態の検知方法に基づき撹拌中のクリームの食品物性値を算出する、前記ホイップドクリーム製造装置。 - 前記制御部は、算出されたクリームの食品物性値が、設定されたホイップドクリームの食品物性値になるようにクリームの撹拌を制御する、請求項5記載のホイップドクリーム製造装置。
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