以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態のロードポート3及びこれを備えたEFEM1を図1に示す。EFEM1は、箱状の筐体をなすウェーハ搬送室2の壁面の一部を構成する前面21にロードポート3を3つ並べて接続されたものとなっている。
ここで、本願においてはウェーハ搬送室2より見てロードポート3の接続される側の向きを前方、前面21と対向する後面22側の向きを後方と定義し、さらに、前後方向及び垂直方向に直交する方向を側方と定義する。すなわち、3つのロードポート3は側方に沿って並んで配置されている。
図2は、ロードポート3及びこれを備えたEFEM1を側面より見たものである。ウェーハ搬送室2の前面21には、上述したようにロードポート3が接続されている。ロードポート3は、後方に板状部としてのパネル31を備えており、このパネル31は前面21と一体化してEFEM1の壁面の一部を構成する。ロードポート3は、パネル31より前方に向かって張り出すように載置台34が設けられており、載置台34上にはウェーハWを収容するウェーハ収納容器としてのFOUP7を載置することが可能となっている。
EFEM1は、床面FL上に設置され、後面22側にはウェーハWに所定の処理を施すための処理装置9が接続可能となっており、EFEM1の後面22に設けられる図示しないゲートバルブを介して、ウェーハ搬送室2の内部空間Seと処理装置9との間が連通するようになっている。また、ウェーハ搬送室2の内部空間Seには、ウェーハWの搬送を行うためのウェーハ搬送装置8が設けられており、このウェーハ搬送装置8を用いて、ロードポート3に設置されたFOUP7と処理装置9との間で、ウェーハWの搬送を行うことが可能となっている。
ウェーハ搬送室2は、ロードポート3及び処理装置9が接続されることによって、内部空間Seが略密閉された状態となるように構成しており、図示しないガス供給口と、ガス排出口とを用いて乾燥窒素ガスによるパージを行い、内部空間Seの窒素ガス濃度を高めることが可能となっている。そして、ウェーハ搬送室2の上部にファンフィルタユニット25を設けて下方に向けてガスを送出し、下部に設けたケミカルフィルタ26よりガスの吸引を行い、後面22の内側に隣接して設けた循環ダクト27を介して上部のファンフィルタユニット25に向けてガスを戻すことができるようになっている。こうすることで、ウェーハ搬送室2内で上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成するともに、内部のガスを循環させて清浄な状態に維持することができる。また、ウェーハ搬送室2の内部空間SeにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。また、ケミカルフィルタ26によって処理装置9による残留ガスを捕えることもでき、より内部空間Seを清浄な状態に保つことが可能となっている。
図3は、図1の状態より1つのロードポート3Aをウェーハ搬送室2より取り外した状態を示したものである。ロードポート3Aを接続する前面21には、ロードポート3のパネル31よりもやや小さな開口23が設けられており、この開口23によって内部空間Seを開放した状態にすることができる。開口23の周縁に沿って、後方に奥まった段差状をなすように当接面24が形成されており、この当接面24にパネル31の後面が当接するようになっている。
図4,5,6はそれぞれ、ロードポート3の斜視図、前方より見た場合の正面図、後方より見た場合の背面図を示すものとなっている。以下、これらの図面を用いて、ロードポート3の構成を説明する。なお、これらの図面は、載置台34の下方に位置する外部カバー32(図2参照)を取外し、内部構造の一部を露出させた状態を示すものとなっている。
ロードポート3は、キャスタ及び設置脚の取り付けられる脚部35の後方よりパネル31を垂直に起立させ、このパネル31の約60%程度の高さ位置より前方に向けて水平基部33が設けられている。さらに、この水平基部33の上部には、FOUP7(図2参照)を載置するための載置台34が設けられている。FOUP7は、図7に模式的に示すように、ウェーハW(図2参照)を収容するための内部空間Sfを備えた本体71と、ウェーハWの搬出入口となるべく本体71の一面に設けられた開口71aを閉止可能な蓋部72とから構成されており、載置台34に正しく載置された場合には蓋部72がパネル31と対向するようになっている。
図4〜6に戻って、載置台34上には、FOUP7の位置決めを行うための位置決めピン34aが設けられるとともに、載置台34に対してFOUP7の固定を行うためのロック爪34bが設けられている。ロック爪34bはロック動作を行うことで、位置決めピン34aと協働してFOUP7を適正な位置に案内しながら固定することができ、アンロック動作を行うことでFOUP7を載置台34より離間可能な状態とすることができる。
また、載置台34には、FOUP7(図2参照)内にガスを供給するためのガス供給手段を構成するガス供給ノズル34cと、FOUP7内よりガスを排出するためのガス排出手段を構成するガス排出ノズル34dがそれぞれ2箇所に設けられている。これらは、通常は載置台34の上面より下方に位置し、使用の際に上方に進出してFOUP7の備えるガス供給弁73とガス排出弁74(図7参照)にそれぞれ連結するようになっている。そして、ガス供給弁73を介してガス供給ノズル34cよりFOUP7の内部空間Sf(図7参照)に乾燥窒素ガス等のガスを供給し、ガス排出弁74を介してガス排出ノズル34dより内部空間Sfのガスを排出することで、ガスパージを行うことが可能となっている。また、ガス供給量をガス排出量よりも多くすることで、外部やウェーハ搬送室2の内部空間Se(図2参照)の圧力に対して内部空間Sfの圧力を高めた陽圧設定とすることもできる。
また、載置台34は、FOUP2(図7参照)を載置した状態で、前後方向に移動することが可能となっている。
ロードポート3を構成するパネル31は、両側方に起立させた支柱31a,31aと、これらにより支持されたパネル本体31bと、このパネル本体31bに略矩形状に開放された窓部31cに取り付けられたウインドウユニット4とから構成されている。ここで、本願でいう略矩形とは、四辺を備える長方形を基本形状としながら四隅を円弧によって滑らかにつないだ形状をいう。パネル本体31bの後面の外周近傍には、矩形枠状に形成された弾性材としてのガスケット37が設けられている。ガスケット37は、ガスの透過の少ないゴム材料によって形成している。ガスケット37は、上述したウェーハ搬送室2の開口23の縁部近傍に設定された当接面24(図3参照)と当接するようになっており、パネル本体31bの外周と開口23との隙間を無くし、ウェーハ搬送室2内から外部へのガスの漏れを抑制するようにしている。
ウインドウユニット4は、上述したFOUP7の蓋部72(図7参照)と対向する位置に設けられており、後に詳述するように略矩形状の開口42(図7参照)が設けられていることから、この開口42を介してウェーハ搬送室2の内部空間Seを開放することができる。そして、ロードポート3は開口42を開閉するための開閉機構6を備えている。
開閉機構6は、開口42を開閉するための扉部61と、これを支持するための支持フレーム63と、この支持フレーム63をスライド支持手段64を介して前後方向に移動可能に支持する可動ブロック65と、この可動ブロック65をパネル本体31bに対して上下方向に移動可能に支持するスライドレール66を備えている。支持フレーム63は、図7に示すように扉部61の後部下方を支持するものであり、下方に向かって延在した後に、パネル本体31bに設けられたスリット状の挿通孔31dを通過してパネル本体31bの前方に向かって張り出した略クランク状の形状をしている。そして、この支持フレーム63を支持するためのスライド支持手段64、可動ブロック65及びスライドレール66はパネル本体31bの前方に設けられている。すなわち、扉部61を移動させるための摺動箇所がウェーハ搬送室2の外側にあり、万が一これらの部分でパーティクルが発生した場合でも、挿通孔31dをスリット状として小さくしていることにより、パーティクルのウェーハ搬送室2内への進入を抑制することが可能となっている。
さらに、扉部61の前後方向への移動及び上下方向への移動を行わせるためのアクチュエータ(図示せず)が、各方向毎に設けられており、これらに制御部Cpからの駆動指令を与えることで、扉部61を前後方向及び上下方向に移動させることができるようになっている。
また、パネル本体31bの前方には、水平基部33の直下より下側に向かって延在するカバー36が設けられており、このカバー36の内部で支持フレーム63、スライド支持手段64、可動ブロック65及びスライドレール66を覆い、密閉状態とするようにしている。そのため、パネル本体31bには挿通孔31dが形成されているものの、この部分を通して、ウェーハ搬送室2(図3参照)内のガスが外側に流出しないようにされている。
扉部61は、FOUP7の蓋部72(図7参照)を開閉するためのラッチ操作や、蓋部72の保持を行うための連結手段62を備えている。この連結手段62では、蓋部72のラッチ操作を行うことで蓋部72を開放可能な状態とするとともに、蓋部72を扉部61に連結して一体化した状態とすることができる。また、これとは逆に、蓋部72と扉部との連結を解除するとともに、蓋部72を本体71に取付けて閉止状態とすることもできる。
ここで、図11を用いて、前述したウインドウユニット4の詳細な構成について説明を行う。ウインドウユニット4は、窓枠部41と、これに取り付けられる弾性材としてのOリング44,46(図12参照)と、Oリング44を介してFOUP7(図7参照)を窓枠部41に対して密着させるための引き込み手段としてのクランプユニット5とから構成されている。
窓枠部41は、内側に略矩形状の開口42が形成された枠形状をなしている。窓枠部41は、ウインドウユニット4の構成要素として上述したパネル31(図3参照)の一部を構成するものであることから、開口42はウェーハ搬送室2を構成する筐体の壁面としての前面21を開放するものということができる。開口42はFOUP7の蓋部72(図7参照)の外周よりも僅かに大きく、この開口42を通って蓋部72は移動可能となっている。また、FOUP7を載置台34に載置させた状態において、蓋部72の周囲をなす本体71の前面は当接面71bとして、Oリング44を介して窓枠部41に当接する。
また、窓枠部41の後面には、上述した扉部61がOリング46(図12参照)を介して当接するようになっている。具体的には、扉部61の外周に鍔状に設けられた薄肉部61aが当接する。この際、薄肉部61aの内側に形成された厚肉部61bは、開口42よりも小さく形成されていることで、開口42を通じ前方に向かって張り出すようになっている。
図12は、図11におけるA−A断面を拡大して示したものである。窓枠部41の前面には、開口42の周縁近傍を周回するように断面が台形状となるアリ溝43が形成され、その内部にはOリング44が挿入されている。アリ溝43は、開口部が小さく、内部に向けて広がった断面形状をなすことから、内部でOリング44を適切に支持することができ、簡単にOリング44が飛び出すことはない。また、アリ溝43の開口よりOリング44の一部が前方に向かって突出するようになっており、この突出した部分が、FOUP7に設定された当接面71bと当接することができるようになっている。従って、載置台34(図7参照)上に載置されたFOUP7が、載置台34とともにパネル31側に移動することで、Oリング44を当接面に弾接させることができる。
同様に、窓枠部41の後面にも開口42の周縁近傍を周回するように断面が台形状となるアリ溝45が形成され、その内部にOリング46が挿入されている。そして、扉部61を閉止することによって、外周の薄肉部61aの前面に弾接するようになっている。アリ溝45はアリ溝43の内側に形成されており、両者の間で極端に肉厚が薄くなり強度が不足しないようにしている。
図11に戻って、クランプユニット5は、窓枠部41の両側部において上下方向に離間して配された合計4箇所に設けられている。各クランプユニット5は、概ね係合片51とこれを動作させるシリンダ52とから構成されている。
図13は、図11におけるB−B断面を拡大して示したものである。クランプユニット5を構成するシリンダ52は窓枠部41の後方に取り付けられ、窓枠部41に設けられた孔部を通じて前方に向かって進退可能とされたシャフト53を備えている。シャフト53の先端には係合片51の基端51aが取り付けられ、この基端51aよりシャフト53の外周方向に向かって先端51bが延在するようになっている。また、シャフト53の外周には、軸方向に沿って90°位相がねじれたガイド溝53aが形成され、その内部には窓枠部41側に固定されたガイドピン54が半径方向より挿入されている。そのため、シリンダ52による進退動作に伴ってガイドピン54によりガイド溝53aが案内され、シャフト53は軸中心回りに90°回動する。そして、図13bに示すように、係合片51がシャフト51とともに前方に飛び出した場合には先端51bが上方向を向き、後方に引き込まれた状態となった場合には先端51bが内側のFOUP7に向かう方向となる。係合片51は先端51bが内側を向くことで、FOUP7より側方に張り出した鍔部71cに係合することが可能となっている。このように係合した状態を保ちながら、シャフト53がシリンダ52によって更に引き込まれることにより、図12に示すようにFOUP7の当接面71bをOリング44に対して一層強く密着させたクランプ状態とすることが可能となっている。このようなクランプユニット5が4箇所で働くことによって、Oリング44の変形量を均一にしてよりシール性を高めることができる。また、係合片51を前方に移動した場合には、先端51bが上側を向くことで、正面より見て鍔部71cと干渉しない位置になる。こうすることで、FOUP7を載置台34(図7参照)とともに移動させることができる。なお、先端51bを前方に移動させた場合には、単に鍔部71cと干渉しないようにできればよく、先端51bは上方向に限らず下方向や外側方向になるように設定してもよい。
また、係合片51の前方には、上下方向に延びるケーブルガイド55を設けている。ケーブルガイド55は、板金の折曲げ可能によって形成したものであり、他の部材が係合片51に巻き込まれることを防止することができる。配管や電気配線等は、このケーブルガイド55の外側に固定することも好ましい。
上記のように構成したロードポート3は、図4に示す制御部Cpによって、各部に駆動指令が与えられることで動作するようになっている。以下、本実施形態のロードポート3を用いた場合の動作例を、図7〜10を用いて説明する。
図7は、載置台34上にFOUP7を載置させ、パネル部31より離間させた状態を示している。この状態において、ウインドウユニット4を構成する窓枠部41(図12参照)の後面にOリング46を介して扉部61が当接していることから、窓枠部41と扉部61との間には隙間が生じることがなく、高いシール性を得ることができる。そのため、ウェーハ搬送室2の内部空間Sfを窒素ガス等で満たした状態としていても、外部へのガスの流出や、外部から内部空間Sfへのガスの流入を抑制することができる。
本図では省略しているが、FOUP7は、ロック爪53(図4参照)によるロック動作と、位置決めピン34との位置決め作用によって、載置台34に対して適切な位置とされて固定される、
そして、載置台34が備えるガス供給ノズル34cとガス排出ノズル34dとが上方に突出し、FOUP7が備えるガス供給弁73とガス排出弁74にそれぞれ接続される。その後、ガス供給ノズル34cよりガス供給弁73を通じてフレッシュな乾燥窒素ガスが供給されるとともに、それまで内部空間Sfに留まっていたガスをガス排出弁74を通じてガス供給ノズル34cより排出する。このようにガスパージを行うことで、内部空間Sfを窒素ガスで満たすとともに、ウェーハ搬送室2の内部空間Sfよりも圧力を高い状態とする。
次に、図8のように、載置台34を後方に向かって移動させ、FOUP7の当接面71bを窓枠部41に当接させる。具体的には、当接面71bを窓枠部41(図12参照)の前面に設けられたOリング44を介して当接させることで、密閉状態とする。このように載置台34を移動させる場合には、予めクランプユニット5を構成するシリンダ52により係合片51(図13参照)を前方に向かって突出させ、先端51bが上方向を向いた状態としてFOUP7に干渉しないようにしておく。
さらに、扉部61に設けられた連結手段62(図6参照)を動作させることで、蓋部72をアンラッチ状態として本体71より取り外し可能とするとともに、扉部61により蓋部72を一体的に保持させた状態とする。また、これと同時に、クランプユニット5を構成するシリンダ52により係合片51(図13参照)を後方に向かって引き込み、先端51bが内側を向いた状態としてFOUP7の鍔部71cに係合させ、さらに引き込むことでFOUP7の当接面71bをよりOリング44に密着させ、シール性を高めた状態とする。
この状態より、図9に示すように、支持フレーム63とともに扉部61を後方に向かって移動させる。こうすることで、FOUP7の蓋部72を本体71より離間させて内部空間Sfを開放することができる。この際、FOUP7の当接面71bがしっかりとウインドウユニット4に密着していることから、ウェーハ搬送室2及びFOUP7と外部との間でのガスの流出や流入を抑制することが可能となっている。
また、FOUP7の圧力が高くされていることから、FOUP7の内部空間Sfより、ウェーハ搬送室2内に向かってガスの流れが生ずる。そのため、FOUP7内へのウェー搬送室2からのパーティクル等の進入を抑制して、FOUP7内を清浄に保つことが可能となっている。なお、ガス供給ノズル34cを介して低流量のガスを継続的に供給することも、パーティクルの進入防止のためには好適である。
次に、支持フレーム63とともに扉部61を下方に移動させる。こうすることで、FOUP7の搬出入口としての開口71aの後方を大きく開放することができ、FOUP7と処理装置9(図2参照)との間でウェーハWの移動を行うことが可能となる。このように扉部61を移動させるための機構が、全てカバー36によって覆われていることから、ウェーハ搬送室2内のガスの外部への漏出を抑制することが可能となっている。
以上のように、FOUP7の開口71aを開放する際の動作を説明したが、FOUP7の開口71aを閉止する際には、上記と逆の動作を行わせればよい。
こうした動作を繰り返し行うことで、Oリング44,46は蓋部72または扉部61との間で弾接が繰り返され、新たなパーティクルが発生する場合もある。こうしたパーティクルは、蓋部72または扉部61を開放した際に、ウェーハ搬送室2の内部で形成されたダウンフローによって下方に移動される(図2参照)。そのため、ウェーハW表面に付着することなく、ウェーハW表面を清浄な状態に維持することが可能となっている。
以上のように、本実施形態におけるロードポート3は、ウェーハ搬送室2に隣接して設けられ、ウェーハ搬送室2とウェーハ収納容器であるFOUP7との間でのウェーハWの出し入れを行うためのものであって、ウェーハ搬送室2の壁面の一部を構成し、ウェーハ搬送室2内を開放するための開口42を形成された板状部としてのパネル31と、開口42を開閉するための扉部61と、内部空間Sfを開閉可能とする蓋部72を扉部61に対向させるようにFOUP7を載置してパネル31に向かって進退可能とする載置台34と、開口42の周縁に沿ってパネル31の載置台34側に設けられた弾性材としてのOリング44とを具備し、載置台34をパネル31に向かって移動させることで、FOUP7における蓋部72の周囲をなす当接面71bにOリング44が弾接するように構成したものである。
このように構成しているため、FOUP7を載置台34とともにパネル31に向かって移動させることで、パネル31の開口42と蓋部72の周囲とをOリング44を介して接続させ、FOUP7の蓋部72とパネル31に設けた扉部61とを開放した場合でも、ウェーハ搬送室2より外部へのガスの流出を防ぐことが可能となる。そのため、ウェーハ搬送室2内を不活性ガスや清浄ガスあるいは乾燥ガス等の特殊なガス雰囲気とした場合でも、これらのガスの使用量を削減してガスの管理に要する費用を削減することが可能となるとともに、ガスの流出によるウェーハ搬送室2外の作業環境の悪化を抑制することも可能となる。さらに、外部からウェーハ搬送室2内へのガスの流入も抑制することができることから、外部よりFOUP7やウェーハ搬送室2内へのパーティクルの進入を防ぐこともでき、ウェーハWの品質維持を図ることも可能となる。
そして、FOUP7に設けられたガス供給弁73を介してFOUP7内にガスを供給するためのガス供給手段としてのガス供給ノズル34cをさらに備えるように構成しているため、Oリング44の弾接に伴ってパーティクルが生じた場合であっても、ガス供給ノズル34cを利用してFOUP7内の圧力をウェーハ搬送室2内よりも高めておけば、蓋部72及び扉部61の開放とともにFOUP7内よりウェーハ搬送室2側にガスが流れることから、FOUP7内へのパーティクルの進入を防いで清浄な状態を維持することが可能となる。
さらに、FOUP7において蓋部72の周囲に設けられた鍔部71cに係合可能な係合片51と、この係合片51を鍔部71cに係合させた状態でパネル31側に引き込む引き込み手段としてのクランプユニット5を備えているため、載置台34の移動とともに、クランプユニット5によってFOUP7の鍔部71cに係合させた状態で係合片51をパネル31側に引き込むことで、FOUP7とOリング44との密着性を高めて上記の効果をより高めることができる。
また、開口42の周縁に沿ってパネル31の扉部61側に設けられた弾性材としてのOリング46をさらに備えており、扉部61によって開口42を閉止することで、扉部61側に設けられたOリング46と扉部61とが弾接するように構成しているため、扉部61側に設けられたOリング46を扉部61と弾接させることによって、扉部61により閉止された際に、FOUP7の接続・非接続にかかわらず開口42からのガスの流出を抑制することができるため、一層ガスを節約することができる。
また、シールを行うための弾性材がOリング44,46であることから、シール構造を安価に構成することが可能となっている。
さらに、本実施形態のEFEM1は、上記のロードポート3と、ウェーハ搬送室を構成する筐体2とを備え、ロードポート3を構成するパネル31と筐体2との間にシール部材としてのガスケット37を設けたものとなっている。そのため、ウェーハ搬送室2内の密閉度を高めて、外部へのガスの流出や外部からのガスの流入を抑制することが可能となり、ウェーハ搬送室2内のガス雰囲気の管理を容易に行い、清浄な状態を維持しながら管理に要する費用を低減することが可能となっている。
加えて、ウェーハ搬送室2の内部に上方より下方に向かう気流を形成しているため、弾性材としてのOリング44,46が弾接することによりパーティクルが発生した場合であっても、扉部61や蓋部72の開放と同時に下方に向かう気流によってパーティクルを下方に移動させて、搬送するウェーハWに付着しないようにすることができる。
<第2実施形態>
図15は、第2実施形態のEFEM101及びロードポート103の一部を構成するウインドウユニット104を示すものである。同図に示す扉部61は、第1実施形態におけるものと同様であり、ウインドウユニット104以外の点は第1実施形態のものと同様に構成してある。本実施形態においては、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
このウインドウユニット104では、窓枠部141の前方であって開口142の周縁近傍をなす部分に、板状の弾性材としてのガスケット144が設けられている。ガスケット144は、略矩形の枠状に構成され内側を開口142と同じ大きさとされている。そして、同様に略矩形の枠状に構成された止め板143と窓枠部141との間で挟持するように固定されている。
また、図16で示すように、窓枠部141の後面にも、前面と同様、略矩形枠状に構成された板状の弾性材としてのガスケット146が、略矩形枠状の止め板145を用いて固定されている。
ガスケット144,146は、ガスの透過の少ないゴム材料によって構成されており、FOUP7の当接面71bや扉部61の薄肉部61aと当接することで、シール性を高めることが可能となっている。
ガスケット144,146は、硬さや厚みを適宜変更することでFOUP7の当接面71bや扉部61との接触面積を増大させて、密着性能を高める設計を行うことが可能であるため、第1実施形態で示したようなクランプユニット5を窓枠部141に設ける必要がない。ただし、内外での圧力差を大きくするなどより高いシール性を要する場合には、密着性能を高めるためにクランプユニット5を設ける構成としても差し支えない。
以上のように構成した場合においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
そして、シールを行うための弾性材が板状に形成されていることから、シール構造を安価に構成することが可能となっている。
<第3実施形態>
図17は、第3実施形態のEFEM201及びロードポート203の一部を構成するウインドウユニット204を示すものである。同図に示す扉部61は、第1及び第2実施形態におけるものと同様であり、ウインドウユニット204以外の点は第1実施形態のものと同様に構成してある。本実施形態においては、第1及び第2実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
このウインドウユニット204では、窓枠部241の開口242の周縁近傍をなす部分に、具体的にはこの開口242の周縁よりもやや内側に張り出すように、弾性部材としてのシール部材244を設けたものとなっている。
シール部材244は、図18(a)に示すような略矩形の枠状をなし、図18(b)に示す断面形状のように、外周側には平板部244aが形成されるとともに、内周側は逆Y字状に分岐した2つの弾性部244b,244cが形成されている。弾性部244b,244cは、それぞれ平板部244aの内側より、前方及び後方に向かって凸をなすように湾曲しながら突出する形状となっている。このような形状となっていることから、弾性部244b,244cは大きな変形しろを備えており、前後方向に容易に変形することが可能となっている。
上記のシール部材244の形状について、別の見方をした場合、FOUP7との間でシールを行うため前方に向かって突出する弾性材としての弾性部244bと、扉部61との間でシールを行うため前方に向かって突出する弾性材としての弾性部244cとが、平板部244aを介して一体的に構成されたものということもできる。
シール部材244は、図19に示すように、窓枠部241とその後方に設けられた略矩形の枠状に形成された止め板243との間で、平板部244を挟持するようにして固定され、窓枠部241の開口242より内側に弾性部244b,244cが位置するようになっている。
弾性部244b,244cは、FOUP71の当接面71b及び扉部61の薄肉部61aに弾接することでシールを行うことが可能となっている。この際、弾性部244b,244cが大きく弾性変形可能であることから、FOUP71の当接面71bや扉部61の薄肉部61aとの接触面積を大きくするとともに均一化することができ、高いシール性を得ることができる。そのため、第2実施形態と同様、第1実施形態で示したようなクランプユニット5を窓枠部141に設ける必要はないが、より高いシール性を要する場合には、密着性能を高めるためにクランプユニット5を設ける構成としても差し支えない。
以上のように構成した場合においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
そして、シールを行うため載置台34側に設けられた弾性材である弾性部244bと扉部61側に設けられた弾性材である弾性部244cとが一体に構成されたものとしていることから、少ない部品点数でシール構造を構成することができ、製造コストの低減を図ることも可能となっている。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、板状部としてのパネル31を、パネル本体部31bにウインドウユニット4を取り付けることで構成していたが、両者を区分することなく一体に構成することもできる。具体的には、ウインドウユニット5を構成する窓枠部41をパネル本体部31bより分割することなく一体に構成してもよい。
また、第1の実施形態においては、窓枠部41と扉部61との間でのシールを行うために、窓枠部41の後面にOリング46を設けていたが、図20に示すようにウインドウユニット304及び扉部361を変形してもよい。すなわち、窓枠部341の後面ではなく、扉部361の薄肉部361aにアリ溝345を形成し、その内部にOリング346を挿入するように設けてもよく、このようにした場合でも扉部361の薄肉部361aと窓枠部341の後面とをOリング346を介して接触させることで、同様のシール性を得ることが可能である。
さらに、上述の実施形態では、ガス供給手段であるガス供給ノズル34cを載置台34に組み込み、FOUP7内に下側よりガスの供給を行ういわゆるボトムパージ方式として構成していたが、ガス供給ノズル34cを扉部61に組み込み、FOUP7内に前側よりガスの供給を行ういわゆるフロントパージ方式として構成しても良い。また、ロードポート3がガス供給手段を備えていなくても、いわゆるパージステーション等、ロードポート3とは別体として構成されるFOUP3内へのガス供給装置を利用し、予めFOUP7内にガスを供給して圧力を高めた状態としてロードポート3に設置するようにすれは、上記に準じた効果を得ることも可能である。
さらに、上述の実施形態では、EFEM1内及びFOUP7内に供給するガスとして窒素ガスを使用していたが、処理に応じて空気やオゾン等種々様々なガスを用いることができる。
また、上述の実施形態ではウェーハ収納容器としてFOUP7を用いていたが、他の形態のウェーハ収納容器を使用する場合であっても同様に構成し、上記に準じた効果を得ることが可能である。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。