JP6721490B2 - ビスマス鉄酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体セラミックス、圧電セラミックス及びその原料として有用なビスマス鉄酸化物の製造方法に関する。
Pb(Zr,Ti)O(以下、「PZT」という)は、優れた圧電特性を示す材料として知られているが、地球環境問題の観点から強誘電体とする機能性材料では、鉛を含む材料の使用が厳しく制限されつつある。現在、鉛を含まないPZTの代替材料として、BiFeOおよびそれを用いた固溶体が注目されている。
BiFeOの製造方法としては、例えば、下記特許文献1には、酸化ビスマス及び酸化鉄を乾式混合し、焼成する固相法が提案されている。また、下記特許文献2には硝酸鉄及び硝酸ビスマスを硝酸水溶液に溶解した溶液に、炭酸水素アンモニウムとアンモニア水を添加してビスマス鉄複合酸化物を得、次いで、ビスマス鉄複合酸化物を非イオン性高分子凝集剤で凝集させて凝集物を得、次いで、該凝集物を400℃以上650℃以下で焼成する方法が提案されている。
しかしながら、BiFeOは、Biの揮発性が高いことから、焼成中にBiが揮発し、組成がずれて不純物が生成しやすく、不純物含有量の少ない高純なものを製造することが難しいことが知られている。
このため、例えば、非特許文献1には、不純物が少ないBiFeOの製造方法として、化学両論組成よりも過剰のBiを加えて焼成し、不純物と未反応のBiを硝酸で溶かして取り除く方法が提案されている。
特開2010−254560号公報 特開2011−213581号公報
Journal of American Ceramic Society,Vol.50,p437(1967)
ところが、非特許文献1に開示されている製造方法では、工程が煩雑になり工業的に有利な方法とは言い難い。
従って、本発明の目的は、工業的に有利な方法で、不純物含有量が少ないBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う共沈体調製工程において、反応容器へのA液及びB液の供給速度又は供給量を調節することにより、反応容器内の反応液のpHを制御して反応を行って得られた共沈体を焼成することにより、X線回折的に不純物含有量が少ないBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明(1)は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、該反応容器への該A液及び該B液の供給速度を調節することにより、該反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲に制御しつつ反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(1)と、
該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、少なくとも、該反応容器に該A液及び該B液の全量を供給した後の該反応容器内の反応液のpHが5.5〜8.5の範囲になるように、該A液及び該B液の供給量を調節して、反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(2)と、
該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、不純物含有量が少ないBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を製造する方法を提供することができる。
実施例1の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例2の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例3の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例4の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例5の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例6の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例7の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 比較例1の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 比較例2の焼成物のSEM写真とX線回折図である。 実施例8の焼成物のSEM写真とX線回折図である。
本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、該反応容器への該A液及び該B液の供給速度を調節することにより、該反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲に制御しつつ反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(1)と、
該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法である。
本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、共沈体調製工程(1)と、焼成工程と、を有する。
本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る共沈体調製工程(1)は、反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応を行うに当たって、反応容器へのA液及びB液の供給速度を調節することにより、反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲に制御しつつ反応を行い、共沈体を得る工程である。
共沈体調製工程(1)で用いるA液は、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液である。A液中のビスマスイオンは、ビスマスイオン源に由来するビスマスイオンである。また、鉄イオンは、鉄イオン源に由来する鉄イオンである。また、酸イオンは、A液の調製の際に、水に添加する酸に由来する酸イオンと、ビスマスイオン源又は鉄イオン源のアニオンが、酸イオンの場合に、アニオンが酸イオンであるビスマスイオン源又は鉄イオン源に由来する酸イオンがある。
A液は、ビスマスイオン源と、鉄イオン源と、必要に応じて酸と、を水に溶解させることにより得られる水溶液である。
A液に係るビスマスイオン源としては、例えば、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、リン酸ビスマス、有機酸のビスマス塩等のビスマス塩が挙げられ、これらは、含水物であっても無水物であってもよい。これらのうち、A液に係るビスマスイオン源としては、硝酸ビスマスが、溶解性が高く、反応副生成物が少ない点で、好ましい。
A液に係る鉄イオン源としては、例えば、硝酸鉄、硫酸鉄、リン酸鉄、有機酸の鉄塩等の鉄塩が挙げられ、これらは、含水物であっても無水物であってもよい。これらのうち、A液に係る鉄イオン源としては、硝酸鉄が、溶解性が高く、反応副生成物が少ない点で、好ましい。
A液に係る酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、有機酸等が挙げられる。これらのうち、A液に係る酸としては、硝酸が、金属塩の溶解性が高くなり、反応副生成物が少なくなる点で、好ましい。
A液中のビスマスイオンの濃度は、好ましくは0.2〜1.0モル/L、特に好ましくは0.5〜0.7モル/Lである。A液中のビスマスイオンの濃度が、上記範囲にあることにより、ビスマス塩の溶解性が高く、鉄イオンとの均質な混合溶液となるため、ビスマスと鉄の均質な共沈体が得られる点で好ましい。
A液中の鉄イオンの濃度は、好ましくは0.2〜1.0モル/L、特に好ましくは0.5〜0.7モル/Lである。A液中のビスマスイオンの濃度が、上記範囲にあることにより、鉄塩の溶解性が高く、ビスマスイオンとの均質な混合溶液となるため、ビスマスと鉄の均質な共沈体が得られる点で好ましい。
A液中の鉄イオンに対するビスマスイオンのモル比(ビスマスイオン/鉄イオン)は、好ましくは0.980〜1.020、特に好ましくは0.990〜1.010である。A液中の鉄イオンに対するビスマスイオンのモル比が、上記範囲にあることにより、焼成後に得られるBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の組成が安定して得られる点で好ましい。
A液中の酸イオンの濃度は、好ましくは1.0〜8.0モル/L、特に好ましくは3.0〜5.5モル/Lである。A液中の酸イオンの濃度が、上記範囲にあることにより、金属塩の溶解性が高くなり、反応時のpH制御をし易くなる点で、好ましい。なお、本発明において、A液中の酸イオンの濃度とは、A液に含まれる全ての酸イオンの濃度を指す。すなわち、A液を調製するために用いるビスマスイオン源、鉄イオン源及び酸に含まれている酸イオンの合計の濃度である。例えば、水に、ビスマスイオン源として硝酸ビスマスと、鉄イオン源として硝酸鉄と、酸として硝酸を添加して、A液を調製した場合、A液中の酸イオン濃度とは、硝酸ビスマス由来の硝酸イオンと、硝酸鉄由来の硝酸イオンと、酸として添加した硝酸由来の硝酸イオンを合計した硝酸イオンの濃度である。また、A液が2種以上の酸イオンを含有する場合は、A液中の酸イオンの濃度とは、A液中の各酸イオンのモル数の合計を酸イオンのモル数として計算される濃度である。
A液のpHは、好ましくは0.01〜0.10、特に好ましくは0.02〜0.08である。A液のpHが上記範囲にあることにより、共沈反応中の反応液のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0に制御し易くなる。なお、A液のpHの調節であるが、水に、ビスマスイオン源及び鉄イオン源を添加して、A液を調製するときに、それらに加えて酸を添加することにより、A液のpHの調節を行うことができる。
共沈体調製工程(1)で用いるB液は、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液である。B液中の重炭酸イオンは、重炭酸イオン源に由来する重炭酸イオンであり、また、炭酸イオンは、炭酸イオン源に由来する炭酸イオンである。また、アンモニウムイオンは、B液の調製の際に、水に添加するアンモニア水に由来するアンモニウムイオンと、重炭酸イオン源又は炭酸イオン源のカチオンが、アンモニウムイオンの場合に、カチオンがアンモニウムイオンである重炭酸イオン源又は炭酸イオン源に由来するアンモニウムイオンがある。
B液は、重炭酸イオン源又は炭酸イオン源と、必要に応じてアンモニア水と、を水に溶解させることにより得られる水溶液である。
B液に係る重炭酸イオン源としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、これらは、含水物であっても無水物であってもよい。また、B液に係る炭酸イオン源としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられ、これらは含水物であっても無水物であってもよい。これらのうち、炭酸水素アンモニウムが、固体時に取り扱い易く、水への溶解性が高く、反応副生成物が少なくなる点で、好ましい。
B液中の重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の濃度は、好ましくは0.2〜1.0モル/L、特に好ましくは0.5〜0.7モル/Lである。B液中の重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の濃度が、上記範囲にあることにより、重炭酸イオン源及び炭酸イオン源の溶解性が高くなる点で、好ましい。なお、重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の濃度とは、重炭酸イオン及び炭酸イオンの両方のイオンを含む態様以外に、重炭酸イオン又は炭酸イオンのどちらか一方のイオンのみの態様も含む。
B液中のアンモニウムイオンの濃度は、好ましくは1.0〜8.0モル/L、特に好ましくは3.0〜5.5モル/Lである。B液中の酸イオンの濃度が、上記範囲にあることにより、反応時のpH制御をし易くなる点で、好ましい。なお、本発明において、B液中のアンモニウムイオンの濃度とは、B液に含まれる全てのアンモニウムイオンの濃度を指す。すなわち、B液を調製するために用いる重炭酸イオン源、炭酸イオン源及びアンモニア水に含まれているアンモニウムイオンの合計の濃度である。例えば、水に、重炭酸アンモニウムと、アンモニア水を添加して、B液を調製した場合、B液中のアンモニウムイオン濃度とは、重炭酸アンモニウム由来のアンモニウムイオンと、アンモニア水由来のアンモニウムを合計したアンモニウムイオンの濃度である。
B液のpHは、好ましくは9.5〜11、特に好ましくは10.0〜10.5である。B液のpHが上記範囲にあることにより、共沈反応中の反応液のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0に制御し易くなる。B液としては、水に、重炭酸イオン源を添加し、更に、アンモニア水を添加することにより、好ましくは9.5〜11.0、特に好ましくは10.0〜10.5に調節されたものが好ましい。
共沈体調製工程(1)では、反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応容器内で、共沈反応を行わせて、共沈体を得る。そして、共沈体調製工程(1)では、反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給し、且つ、共沈体を生成させるときに、反応容器へのA液及びB液の供給速度を調節することにより、反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲、好ましくは7.0〜8.0の範囲に制御しつつ反応を行う。反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給し、且つ、反応液のpHを上記範囲に制御しつつ共沈反応を行うことにより、共沈体の精密な組成制御が可能となり、このことにより、焼成を経て単相のBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる。一方、先にA液の全量を反応容器内に入れておき、その中に、B液を供給する場合、反対に、先にB液の全量を反応容器内に入れておき、その中に、A液を供給する場合は、反応液中のビスマスイオン及び鉄イオンを効率的に共沈体へと用いることができなくなり精密な組成制御が困難となる。また、反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給して反応を行ってはいるものの、A液とB液の全量を供給した後の反応液のpHが上記範囲から外れている場合は、反応液中のビスマスイオン及び鉄イオンを効率的に共沈体へと用いることができなくなり精密な組成制御が困難となる。
共沈体調製工程(1)において、反応容器へA液とB液が供給されているときに反応容器内で、A液内のイオンとB液内のイオンとが十分に接触できるように、反応液を撹拌する。
共沈体調製工程(1)において、反応容器へのA液及びB液の供給速度は、反応液のpHが上記範囲内に維持される供給速度であればよく、A液及びB液中の各イオンの濃度、反応容器のスケール、反応方式、撹拌機器設備能力、送液機器設備能力等に合わせて、適宜選択される。
共沈体調製工程(1)において、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応容器内で、共沈反応を行わせる方法としては、例えば、(1)連続的に反応原料の供給と反応液の排出が行える流通式の反応容器に、A液とB液を供給しつつ、反応容器から、反応液を排出する方法、(2)バッチ式の反応容器に、予め、pHが5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0の水溶媒(C液)を入れておき、C液が入れられている反応容器に、A液とB液を供給する方法、(3)バッチ式の反応容器に、A液とB液を供給する方法等が挙げられる。
反応方式として、(2)バッチ式の反応容器に、予め、pHが5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0の水溶媒(C液)を入れておき、C液が入れられている反応容器に、A液とB液を供給する方法を採用する場合、A液とB液を供給する前のC液のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0とし、且つ、A液とB液の供給を行っているときの反応液(A液及びB液が添加されたC液)のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0とする。そして、(2)の反応方式において、A液とB液を供給する前のC液のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0とし、且つ、A液とB液の供給を行っているときの反応液(A液及びB液が添加されたC液)のpHを5.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0とすることにより、共沈体の精密な組成制御が可能となり、このことにより、焼成を経て単相のBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる。
なお、本発明において、「反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給する。」とは、反応容器へのA液の供給時間と反応容器へのB液の供給時間とが、完全に又は一部重なっていることを指す。そして、反応容器へのA液の供給時間と反応容器へのB液の供給時間とが、完全に重なっていること、すなわち、A液の供給開始とB液の供給開始とが同時であり且つA液の供給終了とB液の供給終了が同時であることが、共沈体中のBiとFeの組成調節が容易になる点で好ましいが、本発明の効果を損なわない程度であれば、完全に重なっていなくてもよい。
共沈体調製工程(1)において、反応容器内の反応液の温度、すなわち、共沈反応の反応温度は、好ましくは50℃以下、特に好ましくは15〜35℃である。反応容器内の反応液の温度が上記範囲であることにより、十分な原料の溶解性が得られ、金属イオンの反応性が高くなり、精密な共沈体の組成制御をし易くなるため、設備管理、工程管理に有益となる。また、アンモニア成分の揮発が抑制され、臭気対策等の作業面でも大きなメリットを得ることができる。
共沈体調製工程(1)において、モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の供給速度(mol/分)に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の供給速度(mol/分)の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))は、好ましくは0.5〜2.1、特に好ましくは0.51〜1.0である。モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の供給速度(mol/分)に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の供給速度(mol/分)の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))が上記範囲であることにより、焼成して得られるビスマス鉄酸化物が単相になり易い共沈体が得られる点で、好ましい。なお、モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の供給速度(mol/分)とは、単位時間当たりに反応容器に供給されるビスマスイオンのモル数と鉄イオンのモル数の合計であり、また、モル換算の重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の供給速度(mol/分)とは、単位時間当たりに反応容器に供給される重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計のモル数である。
共沈体調製工程(1)において、モル換算の酸イオンの供給速度(mol/分)に対するアンモニウムイオンの供給速度(mol/分)の比(アンモニウムイオン/酸イオン)は、好ましくは1.00〜2.00、特に好ましくは1.02〜1.60である。モル換算の酸イオンの供給速度(mol/分)に対するアンモニウムイオンの供給速度(mol/分)の比(アンモニウムイオン/酸イオン)が上記範囲であることにより、反応液のpHを所望の範囲に制御し易くなり、金属イオンの反応性が高くなり、精密な共沈体の組成制御がし易くなる。なお、モル換算の酸イオンの供給速度(mol/分)とは、単位時間当たりに反応容器に供給される酸イオンのモル数であり、また、モル換算のアンモニウムイオンの供給速度(mol/分)とは、単位時間当たりに反応容器に供給されるアンモニウムイオンのモル数である。
共沈体調製工程(1)において、A液及びB液の供給速度は、一定であることが好ましいが、反応容器の反応液のpHを所望の範囲内で維持できるのであれば、A液又はB液の供給速度は一定でなくてもよい。
共沈体調製工程(1)を、バッチ式の反応容器を用いて行った場合、反応容器へのA液及びB液の供給終了後、引き続き反応液の撹拌を継続する熟成を行ってもよい。熟成を行うことにより、反応液中の未反応成分を低減することができる。熟成を行うときの反応液のpHは、好ましくは5.5〜8.5、特に好ましくは7.0〜8.0である。熟成の際の反応液のpHが上記範囲であることにより、析出したビスマス成分及び鉄成分が再溶解し難く、組成変化が起こり難く、高収率で共沈体を得ることができる。熟成の際の反応液の温度は、55℃以下、好ましくは15〜35℃である。熟成温度が上記範囲であることにより、熟成の効果が得られ易い。
共沈体調製工程(1)を行った後、常法により固液分離し、共沈体を得、必要に応じて更に熟成を行ったときは、熟成を行った後、常法により固液分離し、共沈体を得、必要により、共沈体の水洗、乾燥を行う。
本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る焼成工程は、共沈体調製工程(1)を行い得られた共沈体を、焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る工程である。
焼成工程における焼成温度は、450〜600℃、好ましくは500〜550℃である。焼成温度が上記範囲であることにより、結晶性が高く、X線回折的にBiFeやBi等の不純物のピークが少ないBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる。焼成時間は、適宜選択されるが、粒径の揃った主相率の高いBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる点で、好ましくは3時間以上、特に好ましくは5〜30時間である。焼成雰囲気は、特に制限されず、大気雰囲気、酸素雰囲気のいずれでもよい。
焼成工程では、焼成を複数回行ってもよい。例えば、1回共沈体の焼成を行い、次いで、焼成物を冷却及び粉砕後、再び焼成物の粉砕物を焼成してもよい。
焼成工程を行った後、焼成物を適宜冷却し、必要に応じて、粉砕、解砕、分級等を行い、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る。
本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、少なくとも、該反応容器に該A液及び該B液の全量を供給した後の該反応容器内の反応液のpHが5.5〜8.5の範囲になるように、該A液及び該B液の供給量を調節して、反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(2)と、
該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法である。
本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、共沈体調製工程(2)と、焼成工程と、を有する。
本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る共沈体調製工程(2)は、反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応を行うに当たって、少なくとも、反応容器にA液及びB液の全量を供給した後の反応容器内の反応液のpHが5.5〜8.5の範囲になるように、A液及びB液の供給量を調節して、反応を行い、共沈体を得る工程である。つまり、共沈体調製工程(2)は、A液とB液の全量を反応容器に供給した後の反応液のpHが5.5〜8.5になるように、A液及びB液を反応容器に供給する。よって、共沈体調製工程(2)では、反応開始前及びA液とB液の供給途中は、反応液のpHは5.5〜8.5であってもなくてもよく、A液とB液の全量を反応容器に供給した後の反応液のpHが5.5〜8.5になるように、A液とB液の供給量が調節されていればよい。
共沈体調製工程(2)に係るA液及びB液は、共沈体調製工程(1)に係るA液及びB液と同様である。
共沈体調製工程(2)では、反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応容器内で、共沈反応を行わせて、共沈体を得る。そして、共沈体調製工程(2)では、反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給し、且つ、反応容器へのA液及びB液の供給量を調節することにより、反応溶液にA液及びB液の全量を供給した後の反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲、好ましくは7.0〜8.0の範囲に調節する。反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給し、且つ、反応液のpHを上記範囲に調節して共沈反応を行うことにより、共沈体の精密な組成制御が可能となり、このことにより、焼成を経て単相のBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる。一方、先にA液の全量を反応容器内に入れておき、その中に、B液を供給する場合、反対に、先にB液の全量を反応容器内に入れておき、その中に、A液を供給する場合や、反応容器にA液を供給しつつ、B液を供給して反応を行ってはいるものの、A液とB液の全量を供給した後の反応液のpHが上記範囲から外れている場合は、反応液中のビスマスイオン及び鉄イオンを効率的に共沈体へと用いることができなくなり精密な組成制御が困難となる。
共沈体調製工程(2)において、反応容器へA液とB液が供給されているときの反応容器内で、A液内のイオンとB液内のイオンとが十分に接触できるように、反応液を撹拌する。
共沈体調製工程(2)において、反応容器へのA液及びB液の供給速度及び全供給量は、A液及びB液の全量を供給した後の反応液のpHが上記範囲内に維持される供給速度及び全供給量であればよく、A液及びB液中の各イオンの濃度、反応容器のスケール、反応方式、撹拌機器設備能力、送液機器設備能力等に合わせて、適宜選択される。
共沈体調製工程(2)において、A液を供給しつつ、B液を供給して、反応容器内で、共沈反応を行わせる方法としては、例えば、(1)バッチ式の反応容器に、予め、水溶媒(C液)を入れておき、C液が入れられている反応容器に、A液とB液を供給する方法、(2)バッチ式の反応容器に、A液とB液を供給する方法等が挙げられる。
なお、本発明において、「反応容器に、A液を供給しつつ、B液を供給する。」とは、反応容器へのA液の供給時間と反応容器へのB液の供給時間とが、完全に又は一部重なっていることを指す。そして、反応容器へのA液の供給時間と反応容器へのB液の供給時間とが、完全に重なっていること、すなわち、A液の供給開始とB液の供給開始とが同時であり且つA液の供給終了とB液の供給終了が同時であることが、共沈体中のBiとFeの組成調節が容易になる点で好ましいが、本発明の効果を損なわない程度であれば、完全に重なっていなくてもよい。
共沈体調製工程(2)において、反応容器内の反応液の温度、すなわち、共沈反応の反応温度は、好ましくは50℃以下、特に好ましくは15〜35℃である。反応容器内の反応液の温度が上記範囲であることにより、十分な原料の溶解性が得られ、金属イオンの反応性が高くなり、精密な共沈体の組成制御をし易くなるため、設備管理、工程管理に有益となる。また、アンモニア成分の揮発が抑制され、臭気対策等の作業面でも大きなメリットを得ることができる。
共沈体調製工程(2)において、モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の全供給量(mol)に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の全供給量(mol)の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))は、好ましくは0.5〜2.1、特に好ましくは0.51〜1.0である。モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の全供給量(mol)に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の全供給量(mol)の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))が上記範囲であることにより、焼成して得られるビスマス鉄酸化物が単相になり易い共沈体が得られる点で、好ましい。
共沈体調製工程(2)において、モル換算の酸イオンの全供給量(mol)に対するアンモニウムイオンの全供給量(mol)の比(アンモニウムイオン/酸イオン)は、好ましくは1.00〜2.00、特に好ましくは1.02〜1.60である。モル換算の酸イオンの全供給量(mol)に対するアンモニウムイオンの全供給量(mol)の比(アンモニウムイオン/酸イオン)が上記範囲であることにより、反応液のpHを所望の範囲に制御し易くなり、金属イオンの反応性が高くなり、精密な共沈体の組成制御がし易くなる。
共沈体調製工程(2)において、A液及びB液の供給速度は、一定であることが好ましいが、反応後の反応容器内の反応液のpHを所望の範囲内で維持できるのであれば、A液又はB液の供給速度は一定でなくてもよい。
共沈体調製工程(2)を、バッチ式の反応容器を用いて行った場合、反応容器へのA液及びB液の供給終了後、引き続き反応液の撹拌を継続する熟成を行ってもよい。熟成を行うことにより、反応液中の未反応成分を低減することができる。熟成を行うときの反応液のpHは、好ましくは5.5〜8.5、特に好ましくは7.0〜8.0である。熟成の際の反応液のpHが上記範囲であることにより、析出したビスマス成分及び鉄成分が再溶解し難く、組成変化が起こり難く、高収率で共沈体を得ることができる。熟成の際の反応液の温度は、55℃以下、好ましくは15〜35℃である。熟成温度が上記範囲であることにより、熟成の効果が得られ易い。
共沈体調製工程(2)を行った後、常法により固液分離し、共沈体を得、必要に応じて更に熟成を行ったときは、熟成を行った後、常法により固液分離し、共沈体を得、必要により、共沈体の水洗、乾燥を行う。
本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る焼成工程は、共沈体調製工程(2)を行い得られた共沈体を、焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る工程である。本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る焼成工程は、焼成原料に共沈体調製工程(2)を行い得られる共沈体を用いること以外は、本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法に係る焼成工程と同様である。
焼成工程における焼成温度は、450〜600℃、好ましくは500〜550℃である。焼成温度が上記範囲であることにより、結晶性が高く、X線回折的にBiFeやBi等の不純物のピークが少ないBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる。焼成時間は、適宜選択されるが、粒径の揃った主相率の高いBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物が得られる点で、好ましくは3時間以上、特に好ましくは5〜30時間である。焼成雰囲気は、特に制限されず、大気雰囲気、酸素雰囲気のいずれでもよい。
焼成工程では、焼成を複数回行ってもよい。例えば、1回共沈体の焼成を行い、次いで、焼成物を冷却及び粉砕後、再び焼成物の粉砕物を焼成してもよい。
焼成工程を行った後、焼成物を適宜冷却し、必要に応じて、粉砕、解砕、分級等を行い、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る。
本発明の第一の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法又は本発明の第二の形態のビスマス鉄酸化物の製造方法の変形形態として、共沈体調製工程(1)又は(2)を行った後、反応液から共沈体調製工程(1)又は(2)を行い得られた共沈体を一部採取し、採取物を蛍光X線法により分析して、採取物中のビスマスと鉄のモル比を求め、求めたビスマスと鉄のモル比から、共沈体調製工程を行い得られた共沈体のビスマスと鉄のモル比を1.000にするために必要な追加イオン量を算出し、次いで、反応容器内の反応液を撹拌しながら、追加イオン量のイオンを溶解させた水溶液(D液)を、反応容器に供給することにより、ビスマスと鉄のモル比が調節されたモル比調節共沈体を得るモル比調節工程を行い、モル比調節工程を行い得られたモル比調節共沈体を、焼成工程の焼成原料として、焼成工程を行うビスマス鉄酸化物の製造方法が挙げられる。反応スケールが大きくなるほど、共沈体調製工程(1)又は(2)を行い得られる共沈体のビスマスと鉄のモル比がずれ易くなるので、反応スケールが大きい場合に、このような本発明のビスマス鉄酸化物の製造方法の変形形態が、共沈体のビスマスと鉄のモル比を1.000に近くすることができる点で、好ましい。つまり、本発明のビスマス鉄酸化物の製造方法では、共沈体調製工程(1)又は(2)を行った後、あるいは、共沈体調製工程(1)又は(2)に続き熟成を行った後に、反応液から共沈体を一部採取し、採取物の分析を行う。採取物の分析を行っている間、共沈体調製工程(1)又は(2)を行った後の反応液については、撹拌せずに放置しておくか、あるいは、熟成を行う。そして、採取物の分析が終わると、その結果に基づいて、反応液を撹拌しながら、D液を供給して、モル比調節工程を行う。次いで、モル比調節工程を行い得られたモル比調節共沈体を焼成原料として用いて、焼成工程を行う。
本発明のビスマス鉄酸化物の製造方法を行い得られるビスマス鉄酸化物は、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物であり、BiFeがX線回折的に観測されず、更にBiが少ないX線回折的に高純度なものであることが特徴の一つである。
本発明のビスマス鉄酸化物の製造方法を行い得られるBiFeOで表されるビスマス鉄酸化物は、鉛を含まないPZTの代替材料として、下記一般式(1)で表される圧電セラミックの原料として用いられる。
一般式(1):
xBiFeO−(1−x)ABO (1)
(式中、A及びBは一種または複数の金属イオンで、Aは1価、2価または3価の金属イオン、Bは3価、4価または5価の金属イオンを表す。)
一般式(1)において、ABOは、ペロブスカイト型、もしくはそれに近い構造のセラミックが好ましく、該ペロブスカイト型もしくは類似構造のセラミックの好ましいものとしては、BaTiO、SrTiO、CaTiO、BaZrO、SrZrO、CaZrO、KNbO、NaNbO、LiNbO、KTaO、NaTaO、LiTaO、AgNbO、BiCrO、BiMnO、BiCoO、BiNiO、(Bi0.5Na0.5)TiO、(Bi0.50.5)TiO、Bi(Zn0.5Ti0.5)O、Bi(Mg0.5Ti0.5)O、Bi(Ni0.5Ti0.5)O等が挙げられ、これらは2種以上の混合系であってもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6)
<各液の準備>
硝酸ビスマス5水塩と硝酸鉄9水塩を表1に示す所定量秤量し、純水と61質量%硝酸を加えてA液を調製した。
これとは別に、重炭酸アンモニウムを表1に示す所定量秤量し、純水と28質量%アンモニア水を所定量加えてB液を調製した。
また、500mlのガラス容器に表1に示す所定量の純水を仕込み、これをC液とした。
(イ)共沈体調製工程
反応容器内のC液を撹拌しながら、ペリスタリックポンプを用いてA液の流量を6.0mL/分、B液の流量を5.3mL/分に調整し、滴下温度を調節しながら同時に反応容器内に滴下した。
A液及びB液を全量滴下して反応を行い、次いで、30分間、室温で熟成した。滴下の初期から茶色の析出物が確認され、滴下終了まで茶色の状態が続いた。なお、共沈体調製工程中の反応液のpHの推移については、反応前、A液及びB液の滴下開始後5分後と10分後、滴下終了時に、反応液のpHを測定した。
次いで、反応液をろ過し、得られたケーキを120℃で乾燥し、乳鉢で解砕して、これを共沈体試料とした。
(ロ)焼成工程
上記で得られた共沈体試料を500℃で7時間、大気雰囲気で焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物について、XRD分析を行い結晶状態の確認をした。結晶相の特徴を表4に記した。また、得られた焼成物のSEM写真とX線回折図を図1〜6に示す。
(ハ)反応分析
上記反応終了後の液相をサンプリングし、ICP−AESによる溶存のビスマスイオンおよび鉄イオンを定量して反応収率を求めた。また、生成した共沈体を800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めた。得られた結果を表1に示す。また、粉末X線回折スペクトルの解析より、BiFeO相率を求めた。得られた結果を表4に示す。
(実施例7)
実施例7では、実施例1〜6の約150倍スケールで実施した。
<各液の準備>
硝酸ビスマス5水塩と硝酸鉄9水塩を表1に示す所定量秤量し、純水と70質量%硝酸を加えてA液を調製した。
これとは別に、重炭酸アンモニウムを表1に示す所定量秤量し、純水と29質量%アンモニア水を所定量加えてB液を調製した。
また、75Lの反応容器に表1に示す所定量の純水を仕込み、これをC液とした。
(イ)共沈体調製工程
反応容器内のC液を撹拌しながら、マスターフレックスポンプを用いてA液とB液とを同時に1125mL/分の流量で、滴下温度を調節しながら反応容器内に滴下した。
A液及びB液を全量滴下して反応を行い、次いで、30分間、室温で熟成した。なお、共沈体調製工程中の反応液のpHの推移については、反応前、A液及びB液の滴下開始後5分後と10分後、滴下終了時に、反応液のpHを測定した。
次いで、生成した共沈体の一部を採取し、濾過乾燥後にこれを解砕し、800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めたところ1.002であった。この結果より、追加イオン量は、硝酸鉄9水和物で6.8g分と算出された。
次いで、硝酸鉄9水和物を6.8g秤量し、これを100gの水に溶解してD液とし、反応容器内の熟成後の反応液を撹拌しながら、反応容器内にペリスタリックポンプを用いて約10間かけて添加した。更に室温で30分間熟成して撹拌を停止した。反応液をろ過し、得られたケーキを120℃で乾燥し、ロールミルで解砕して、これを共沈体試料とした。組成が調節された共沈体試料のモル比(ビスマス/鉄)は1.000であった。
(ロ)焼成工程
上記で得られた共沈体試料を535℃で15時間、大気雰囲気で焼成し、焼成物を得た。更に焼成物に対してジェットミルを用いて粉砕を行い粉末状のビスマス鉄酸化物を得た。このビスマス鉄酸化物のモル比(ビスマス/鉄)は1.000であり、比表面積は4.86m/g、粒度分布指標であるD10、D50、D90はそれぞれ、0.38μm、0.50μm、0.71μmであった。得られた粉末状の試料について、XRD分析を行い結晶状態の確認をした。結晶相の特徴を表4に記した。また、得られた粉末状のビスマス鉄酸化物のSEM写真とX線回折図を図7に示す。
(ハ)反応分析
上記反応終了後の液相をサンプリングし、ICP−AESによる溶存のビスマスイオンおよび鉄イオンを定量して反応収率を求めた。また、生成した共沈体および組成を微調整された共沈体を800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めた。得られた結果を表1に示す。
*1)61質量%硝酸に代えて、70質量%硝酸を使用
*2)28質量%アンモニア水に代えて、29質量%アンモニア水を使用
*3)「M」はBiイオンとFeイオンの合計のモル数
(比較例1)
<各液の準備>
500mlのガラス容器に硝酸ビスマス5水和物と硝酸鉄9水和物を表2に示す所定量秤量し、純水と61質量%硝酸を加えてA液を調製した。
これとは別に、重炭酸アンモニウムを表2に示す所定量秤量し、純水と28質量%アンモニア水を所定量加えてB液を調製した。
(イ)共沈体の調製
反応容器内のA液を撹拌しながら、ペリスタリックポンプを用いてB液を10.1mL/分の流量で、滴下温度を調節しながら反応容器内に滴下した。
B液を全量滴下して反応を行い、次いで、30分間、室温で熟成した。滴下初期には白色析出物が認められ、滴下が進むにつれ茶色の析出へと変化した。なお、共沈体調製工程中の反応液のpHの推移については、反応前、B液の滴下開始後5分後と10分後、滴下終了時に、反応液のpHを測定した。
次いで、反応液をろ過し、得られたケーキを120℃で乾燥し、乳鉢で解砕して、これを共沈体試料とした。
(ロ)焼成
上記で得られた共沈体試料を500℃で7時間、大気雰囲気で焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物について、XRD分析を行い結晶状態の確認をした。結晶相の特徴を表4に記した。また、得られた焼成物のSEM写真とX線回折図を図8に示す。
(ハ)反応分析
上記反応終了後の液相をサンプリングし、ICP−AESによる溶存のビスマスイオンおよび鉄イオンを定量して反応収率を求めた。また、生成した共沈体を800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めた。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
<各液の準備>
500mlのガラス容器に重炭酸アンモニウムを表2に示す所定量秤量し、純水と28質量%アンモニア水を所定量加えてB液を調製した。
これとは別に、硝酸ビスマス5水和物と硝酸鉄9水和物を表2に示す所定量秤量し、純水と61質量%硝酸を加えてA液を調製した。
(イ)共沈体の調製
反応容器内のB液を撹拌しながら、ペリスタリックポンプを用いてA液を6.0mL/分の流量で、滴下温度を調節しながら反応容器内に滴下した。
A液を全量滴下して反応を行い、次いで、30分間、室温で熟成した。滴下初期より終始茶色の析出物が確認され、添加終盤では激しく泡発生が確認された。なお、共沈体調製工程中の反応液のpHの推移については、反応前、A液の滴下開始後5分後と10分後、滴下終了時に、反応液のpHを測定した。
次いで、反応液をろ過し、得られたケーキを120℃で乾燥し、乳鉢で解砕して、これを共沈体試料とした。
(ロ)焼成
上記で得られた共沈体試料を500℃で7時間、大気雰囲気で焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物について、XRD分析を行い結晶状態の確認をした。結晶相の特徴を表4に記した。また、得られた焼成物のSEM写真とX線回折図を図9に示す。
(ハ)反応分析
上記反応終了後の液相をサンプリングし、ICP−AESによる溶存のビスマスイオンおよび鉄イオンを定量して反応収率を求めた。また、生成した共沈体を800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めた。得られた結果を表2に示す。
(実施例8)
<各液の準備>
硝酸ビスマス5水和物と硝酸鉄9水和物を表2に示す所定量秤量し、純水と61質量%硝酸を加えてA液を調製した。
これとは別に、重炭酸アンモニウムを表2に示す所定量秤量し、純水と28質量%アンモニア水を所定量加えてB液を調製した。
また、500mlのガラス容器に表2に示す所定量の純水を仕込み、これをC液とした。
(イ)共沈体調製工程
反応容器内のC液を撹拌しながら、ペリスタリックポンプを用いてA液を5mL/分、B液を2.5mL/分の流量で、滴下温度を調節しながら反応容器内に同時に滴下した。
A液及びB液を全量滴下して反応を行い、次いで、30分間、室温で熟成した。なお、共沈体調製工程中の反応液のpHの推移については、反応前、A液及びB液の滴下開始後5分後と10分後、滴下終了時に、反応液のpHを測定した。
次いで、反応液をろ過し、得られたケーキを120℃で乾燥し、乳鉢で解砕して、これを共沈体試料とした。
(ロ)焼成工程
上記で得られた共沈体試料を500℃で7時間、大気雰囲気で焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物について、XRD分析を行い結晶状態の確認をした。結晶相の特徴を表4に記した。また、得られた焼成物のSEM写真とX線回折図を図10に示す。
(ハ)反応分析
上記反応終了後の液相をサンプリングし、ICP−AESによる溶存のビスマスイオンおよび鉄イオンを定量して反応収率を求めた。また、生成した共沈体を800℃で30分強熱し、蛍光X線法による精密組成分析を行い、ビスマスと鉄のモル比(ビスマス/鉄)を求めた。得られた結果を表3に示す。

Claims (12)

  1. BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
    反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、該反応容器への該A液及び該B液の供給速度を調節することにより、該反応容器内の反応液のpHを、5.5〜8.5の範囲に制御しつつ反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(1)と、
    該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
    を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法。
  2. 前記反応容器に、予め、pH5.5〜8.5の水溶媒(C液)を入れておき、該C液が入れられている前記反応容器に、前記A液及び前記B液を供給することにより、前記共沈体調製工程(1)を行うことを特徴とする請求項1記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  3. 前記共沈体調製工程(1)において、モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の供給速度に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の供給速度の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))が、0.5〜2.1であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  4. BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物の製造方法であって、
    反応容器に、ビスマスイオンと、鉄イオンと、酸イオンと、を含有する水溶液(A液)を供給しつつ、重炭酸イオン又は炭酸イオンと、アンモニウムイオンと、を含有する水溶液(B液)を供給して、反応を行う工程であり、少なくとも、該反応容器に該A液及び該B液の全量を供給した後の該反応容器内の反応液のpHが5.5〜8.5の範囲になるように、該A液及び該B液の供給量を調節して、反応を行い、共沈体を得る共沈体調製工程(2)と、
    該共沈体を焼成原料として、450〜600℃で焼成することにより、BiFeOで表されるビスマス鉄酸化物を得る焼成工程と、
    を有することを特徴とするビスマス鉄酸化物の製造方法。
  5. 前記共沈体調製工程(2)において、モル換算のビスマスイオン及び鉄イオンの合計の全供給量に対する重炭酸イオン及び炭酸イオンの合計の全供給量の比((重炭酸イオン+炭酸イオン)/(ビスマスイオン+鉄イオン))が、0.5〜2.1であることを特徴とする請求項4記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  6. 前記A液のpHが0.01〜0.10であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  7. 前記B液が、アンモニアを溶解させることにより、pHが9.5〜11に調節された水溶液であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  8. 前記B液のpHが9.5〜11であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  9. 前記A液の酸イオンが硝酸イオンであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  10. 前記A液が、硝酸ビスマス、硝酸鉄及び硝酸を水に溶解させて得られた水溶液であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  11. 前記B液が、炭酸水素アンモニウム及びアンモニア水を水に溶解させて得られた水溶液であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
  12. 前記共沈体調製工程を行った後、前記反応液から前記共沈体調製工程を行い得られた共沈体を一部採取し、採取物中のビスマスと鉄のモル比(Bi/Fe)を求め、求めたビスマスと鉄のモル比から、前記共沈体調製工程を行い得られた共沈体のビスマスと鉄のモル比を1.000にするために必要な追加イオン量を算出し、次いで、反応容器内の前記反応液を撹拌しながら、該追加イオン量のイオンを溶解させた水溶液(D液)を、該反応容器に供給することにより、モル比調節共沈体を得るモル比調節工程を行い、該モル比調節工程を行い得られたモル比調節共沈体を、前記焼成工程の焼成原料として、前記焼成工程を行うことを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載のビスマス鉄酸化物の製造方法。
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