JP6720697B2 - 歪補償回路、歪補償方法及び送信装置 - Google Patents
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Description
実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100について説明する。熱メモリ効果補償回路100は、送信回路内において、一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタで補償できない、長時間の時定数を有する熱メモリ効果を補償するものとして構成される。図1は、実施の形態1にかかる送信回路1000における歪補償構成を模式的に示す図である。歪補償構成とは、被補償対象である歪発生源と、それを予め補償する歪補償機能との関係を示すものである。送信回路1000は、電力増幅器1及び歪補償回路2を有する。尚、説明の為に歪補償構成を模式的に示す図である為、歪補償回路2と電力増幅器1との間の実際には必要な機能のDA(ディジタルアナログ)変換器と、直交変調及び周波数変換回路は省略している。送信回路1000では、電力増幅器1において、送信信号には、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)と、熱メモリ効果(図1の符号5)とによる歪が生じる。なお、以下で単にメモリ効果という場合、熱メモリ効果以外の、電気的メモリ効果、もしくは従来技術による一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタで補償可能な時定数を有する他のメモリ効果を指すものとする。
ΔTjb=Pdiss・Rjb (1)
このときのチップジャンクションと外気間の温度差ΔTjaの時間変化ΔTja(t)は、ΔTbh(t)の時間変化に依存し、以下の式(2)で表される。
ΔTja(t)=ΔTjb+ΔTbh(t)+ΔTha (2)
ΔTjh(t)=ΔTjb+ΔTbh(t) (3)
次いで、式(4)に後退差分方式を適用して、熱メモリ効果補償回路用サンプリングクロックSCLKの周期Ts_tmで離散化する。このとき、sを以下の式(5)とすることで、式(4)を式(6)にs−z変換できる。
更に、式(6)を整理すると、以下の式(7)が得られる。
ここで、式(7)において、以下の式(8)、(9)の通りにパラメータを導入する。
上記のパラメータの導入により、式(7)は以下の式(10)に書き換えられる。
更に、式(10)を変換すると、以下の式(11)となる。
式(12)からわかるように、現在のΔTbh(n)は、1サンプルだけ過去のΔTbh(n−1)による帰還影響を受けており、熱的なメモリ効果が生じていることが理解できる。
また、Pdiss(t)は、出力振幅rout(t)の関数Pdiss(rout(t))として、以下の式(15)で表される。
ここで、温度変化ΔT(t)の離散時間での応答は、式(13)による。
ΔTjh(static)に対する、ΔTjbとΔTbh(static)の比は、以下の式(19)で表される。
振幅補償としては、熱平衡後の一定利得Gnom を0dB(=1.0倍)とした相対比で制御するため、前記RjbとRbhの比に関しては、以下の式(20)のようにパラメータを導入する。
パラメータCtm(第2のパラメータとも称する)は、熱メモリ効果に係る振幅係数の意味を持つパラメータである。
ここで、温度変化で生じる利得変化G’(ΔT(n−1))は、温度上昇に対して利得が低下する方向、すなわち逆比例である。よって、熱メモリ効果補償のための振幅補償としては、式(13)による温度の過渡応答と同一関数で補償すればよい。
また、除算部17は、係数演算部103が出力する出力振幅rout(n)を、振幅演算部6が出力する入力振幅rin(n)で除算して得られた値である振幅補償係数gc(n)を、係数乗算部104へ出力する。
実施の形態2にかかる補償回路について説明する。上述したように、実施の形態1にかかる補償回路は、メモリ効果補償用のFIRフィルタで補償できない、数μsecから数百μsecの時定数を有する熱メモリ効果を補償対象としている。よって、十数nsecから数百nsecの信号エンベロープ変化(振幅変化)の周期に追従する必要がない前提において、信号エンベロープ変化(振幅変化)の周期に対して、熱メモリ効果補償のサンプリング周期を十分長く設定し、信号エンベロープ変化(振幅変化)に影響を受ける数百nsecまでの短い時定数の熱メモリ効果は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4のメモリ効果補償用のFIRフィルタで補償する条件下では、実施の形態で説明した式(22)を、振幅補償係数gc(n)のみの関数に近似することができ、以下の式(25)が得られる。
実施の形態3にかかる送信装置3000について説明する。図14は、実施の形態3にかかる送信装置3000の構成を模式的に示すブロック図である。送信装置3000は、ベースバンド処理回路3002及び送信回路1000を有する。本実施の形態においては、送信回路1000は、歪補償回路2、DA変換器3003、直交変調/周波数変換回路3004及び電力増幅器1を有する。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、送信装置に搭載される熱メモリ効果補償回路は、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100に限られず、実施の形態2にかかる熱メモリ効果補償回路200を用いて、同様に送信装置を構成することができる。
2 歪補償回路
3 メモリレス非線形+メモリ効果
4 メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路
5 熱メモリ効果
6 振幅演算部
7 イネーブル信号(En)
8 パラメータ演算部
9 パラメータ演算部
10、12、14、15、18、19 乗算器
11 サンプル遅延器
13、16 加算器
17 除算部
100、200 熱メモリ効果補償回路
101、201 正規化演算部
102 IIRフィルタ部
103 係数演算部
104 係数乗算部
1000 送信回路
2000 増幅素子
2001 デバイスチップ
2002 放熱用基盤材
2003 ヒートシンク
3000 送信装置
3002 ベースバンド処理回路
3003 DA変換器
3004 直交変調/周波数変換回路
Claims (5)
- 電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路と、
その後段に前記電力増幅器の熱応答によって生じる熱メモリ効果を補償する熱メモリ効果補償回路と、を備え、
前記熱メモリ効果補償回路は、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に対する振幅補償係数を算出するために、回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、
前記正規化演算部からの入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、
前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償するための振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、
前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する係数乗算部と、を備え、
前記IIRフィルタ部と前記係数演算部とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて動作する、
歪補償回路。 - 前記IIRフィルタ部は、前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第1のパラメータとを乗算する第1の乗算器と、
1から前記第1のパラメータを減算する第1のパラメータ演算部と、
前記IIRフィルタ部の1サンプル前の出力を1サンプル分だけ遅延させて出力するサンプル遅延器と、
前記第1のパラメータ演算部の出力値と前記サンプル遅延器の出力値とを乗算する第2の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力値と前記第2の乗算器の出力値とを加算し、前記IIRフィルタ部の出力値として出力する第1の加算器と、を備え、
前記係数演算部は、
前記IIRフィルタ部の出力値と、前記第2のパラメータとを乗算する第3の乗算器と、
1から前記第2のパラメータを減算する第2のパラメータ演算部と、
前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第2のパラメータ演算部の出力値とを乗算する第4の乗算器と、
前記第3の乗算器の出力値と前記第4の乗算器の出力値とを加算する第2の加算器と、を備え、
前記正規化演算部は、
熱メモリ効果を補償する前の入力振幅を算出し、算出して得られた入力振幅を前記入力振幅信号として出力する振幅演算部と、
前記第2の加算器の出力値を前記入力振幅信号で除算し、除算して得られた値を前記振幅補償係数として出力する除算部と、を備え、
前記係数乗算部は、前記正規化演算部からの前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する乗算器を備える、
請求項1に記載の歪補償回路。 - 前記正規化演算部は、与えられたイネーブル信号に基づいて、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号の送信期間に「1」を前記入力振幅信号として出力する乗算係数選択器を備え、
前記IIRフィルタ部は、
前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第1のパラメータとを乗算する第1の乗算器と、
1から前記第1のパラメータを減算する第1のパラメータ演算部と、
前記IIRフィルタ部の1サンプル前の出力を1サンプル分だけ遅延させて出力するサンプル遅延器と、
前記第1のパラメータ演算部の出力値と前記サンプル遅延器の出力値とを乗算する第2の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力値と前記第2の乗算器の出力値とを加算し、前記IIRフィルタ部の出力値として出力する第1の加算器と、を備え、
前記係数演算部は、
前記IIRフィルタ部の出力値と、前記第2のパラメータとを乗算する第3の乗算器と、
1から前記第2のパラメータを減算する第2のパラメータ演算部と、
前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第2のパラメータ演算部の出力値とを乗算する第4の乗算器と、
前記第3の乗算器の出力値と前記第4の乗算器の出力値とを加算して、前記振幅補償係数として出力する第2の加算器と、を備え、
前記係数乗算部は、前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する乗算器を備える、
請求項1に記載の歪補償回路。 - 入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1パラメータと、に基づいてIIRフィルタ部を動作させ、
前記IIRフィルタ部の出力信号と、電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号の前記熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2パラメータと、に基づいて、振幅補償係数を算出するための係数を算出し、
算出した前記係数を入力振幅に対して正規化することで得られる前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算し、
前記IIRフィルタ部の動作と前記係数の算出とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて行われる、
歪補償方法。 - 送信ベースバンド信号を処理するベースバンド処理回路と、
送信信号を増幅しアンテナから出力する送信回路と、を有し、
前記送信回路は、
前記送信信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器で発生する歪を補償する歪補償回路と、
DA(ディジタルアナログ)変換器と、
直交変調及び周波数変換回路と、を有し、
前記歪補償回路は、
前記電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路と、
その後段に前記電力増幅器の熱応答によって生じる熱メモリ効果を補償する熱メモリ効果補償回路と、を備え、
前記熱メモリ効果補償回路は、
前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に対する振幅補償係数を算出するために回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、
前記正規化演算部からの入力振幅信号と、
熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、
前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路出力信号に乗算する係数乗算部と、を備え、
前記IIRフィルタ部と前記係数演算部とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて動作する、
送信装置。
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