JP6720697B2 - 歪補償回路、歪補償方法及び送信装置 - Google Patents

歪補償回路、歪補償方法及び送信装置 Download PDF

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Description

本発明は、歪補償回路、歪補償方法及び送信装置に関し、特に熱メモリ効果による歪を補償する歪補償回路、歪補償方法及び送信装置に関する。
一般に、送信装置における電力増幅器の歪補償処理技術として、ディジタルプリディストーション(Digital Pre‐distortion)方式が広く採用されている。
電力増幅器の非線形特性(AM−AM特性、AM−PM特性)に対しては、その逆特性を有する補償係数を予め入力信号に乗算した逆歪信号を生成し、逆歪信号を電力増幅器に入力することにより、電力増幅器出力の線形性を高め、出力における歪を補償し抑圧する。
また、高効率電力増幅器においては、(メモリ効果のない)メモリレス非線形特性に加え、メモリ効果という現象が発生する。メモリ効果とは、ある時刻における電力増幅器の出力が、その時刻の入力信号だけでなく、過去の入力信号の履歴にも影響を受ける現象である。
メモリ効果には、主に、電力増幅器の電源バイアス回路のインピーダンスや、RF整合回路の周波数特性に起因した時定数によるものがある。これらは、後述する熱メモリ効果と区別するために、電気的メモリ効果と称されることがある。
電力増幅器のメモリ効果を補償するために、一般的にFIR(Finite Impulse Response : 有限インパルス応答)フィルタが用いられる。FIRフィルタは複数のタップを有し、複数のタップの各々において、入力信号を所定サンプル数分だけ遅延させた信号と、タップ係数としての補償係数とを乗算し、複数タップにおける複数の各乗算結果を加算することでメモリ効果補償用の逆歪信号を生成する。
ここで、メモリ効果補償用FIRフィルタの1タップの時間間隔は、ディジタルプリディストーションにおける歪補償処理用のサンプリング周期である。歪補償処理のサンプリング周波数は、一般的に入力信号帯域の4倍から6倍が選定されるため、歪補償処理のサンプリング周期、すなわちFIRフィルタの1タップの時間間隔は数nsecである。FIRフィルタが補償対象とするメモリ効果の時定数は数十nsecから数百nsecであるため、そのタップ数は長くても十数タップから数十タップである。
以上説明したように、ディジタルプリディストーション方式による歪補償処理部は、電力増幅器における、前記メモリレス非線形特性と、前記メモリ効果とによって発生する歪を補償するものである。
更に、メモリ効果には、電力増幅器の熱的な過渡応答に起因する熱メモリ効果(Thermal Memory Effects)も存在する。
電力増幅器に使用される増幅素子(アンプデバイス)は、デバイス温度の変化によって利得が変化するが、デバイス温度は過去の発熱量、すなわち過去の出力レベルに応じて変化するため、その時定数に起因するメモリ効果が発生する。熱的な過渡応答の時定数には、数秒から数分に至るものが存在するが、これらについては、通常の自動利得調整機能の応答時間内であるため、歪特性への影響は抑制できる。従って、熱メモリ効果のうち、歪特性に影響があるものの時定数は数nsecから数百μsecと言われている。
当該熱メモリ効果のうち、数nsecから数百nsecの時定数のものについては、信号エンベロープ変化(数MHz〜数十MHz)に対する熱メモリ効果の影響が歪特性に現れるが、信号エンベロープを観測することでその影響が判定できる。また、一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタのタップ数の範囲でも実現できる時定数であるので、メモリ効果補償用FIRフィルタで補償可能である(例えば、特許文献1)。
特許第4091047号
ところが、数μsecから数百μsecの時定数を有する熱メモリ効果に対しては、例えば、仮に一般的なFIRフィルタの歪補償処理用の数nsecのサンプリング周期で、数百μsecの時定数に対応するためには、数万〜数十万タップが必要となり、実装上現実的ではない。
従来、FDD(Frequency Division Duplex : 周波数分割多重)方式の場合には、動作中の信号エンベロープ変化に対する、数nsecから数百nsecの短い時定数の熱メモリ効果の影響のみが顕著であるが、上述の通り、これらは一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタで補償可能である。一方、数μsecから数百μsecの長い時定数の熱メモリ効果の影響が問題となるのは、信号入力開始点における信号立ち上がり急変時にのみ受ける一時的な影響であった。そのため、例えば信号入力開始時に限定して、電力増幅器の電源バイアスや入力信号レベルを一時的に低下させる等の対処で回避可能であった。
しかしながら、近年の広帯域化に伴う周波数利用効率向上のため、TDD(Time Division Duplex : 時分割多重)方式が採用されるようになると、入力信号が常にバースト状で、且つ送信期間が数msecとなる。そのため、TDD動作中における数μsecから数百μsecの時定数の熱メモリ効果に起因した歪特性への影響が顕著化するという問題がある。しかも、上述の通り、熱メモリ効果の一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタでは補償できない範囲の時定数を有している。
例として、TDD動作における、百数十μsecの時定数を有する熱メモリ効果の実際の歪特性への影響を図15及び図16に示す。図15は電力増幅器の出力電力レベルを示し、図16は同タイミングでの歪電力レベル(絶対値)を示す。熱平衡状態に対し、ピーク約1dBの、約500μsec間の出力電力のオーバーシュートに伴って、歪電力がピークで4〜5dB高く劣化している。以上より、長い時定数を有する熱メモリ効果による歪特性への影響が非常に大きいことがわかる。
本発明は上記の事情に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、電力増幅器の熱的な過渡応答に起因する熱メモリ効果による送信信号の歪劣化を抑制することである。
本発明の一態様である歪補償回路は、送信信号に対する振幅補償係数を算出するために回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、前記正規化演算部からの入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償するための振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記送信信号に乗算する係数乗算部と、を備えるものである。
本発明の一態様である歪補償方法は、入力振幅演算結果と、熱メモリ効果の重みを示す第1パラメータと、に基づいてIIRフィルタ部を動作させ、前記IIRフィルタ部の出力信号と、熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2パラメータと、に基づいて、振幅補償係数を算出するための係数を算出し、算出した前記係数を入力振幅に対して正規化することで得られる振幅補償係数を送信信号に乗算するものである。
本発明の一態様である送信装置は、送信ベースバンド信号を処理するベースバンド処理回路と、送信信号を増幅しアンテナから出力する送信回路を有し、前記送信回路は、前記送信信号を増幅する電力増幅器と、前記電力増幅器で発生する歪を補償する歪補償回路と、DA(ディジタルアナログ)変換器と、直交変調及び周波数変換回路と、を有し、前記歪補償回路は、前記電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路と、その後段に前記電力増幅器の熱応答によって生じる熱メモリ効果を補償する熱メモリ効果補償回路と、を備え、前記熱メモリ効果補償回路は、送信信号に対する振幅補償係数を算出するために回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、前記正規化演算部からの入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記送信信号に乗算する係数乗算部と、を備えるものである。
本発明によれば、電力増幅器の熱的な過渡応答に起因する熱メモリ効果による送信信号の歪劣化を抑制することができる。
実施の形態1にかかる送信回路における歪補償構成を模式的に示す図である。 実施の形態1にかかる送信回路における電力増幅器内の増幅素子の実装態様と熱等価回路とを模式的に示す図である。 熱メモリ効果に着目した熱等価回路を模式的に示す図である。 電力増幅器における熱メモリ効果モデルを示す図である。 熱メモリ効果モデルにおける各部温度の時間変化を示す図である。 電力増幅器の熱メモリ効果モデルによる利得の時間変化を示す図である。 実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路の構成を模式的に示すブロック図である。 実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路の構成をより詳細に示すブロック図である。 熱メモリ効果補償にかかる振幅補償量を示す図である。 熱メモリ効果補償の効果を示す図である。 熱メモリ効果を補償していない場合の歪電力レベルを示す図である。 熱メモリ効果を補償した場合の歪電力レベルを示す図である。 実施の形態2にかかる熱メモリ効果補償回路の構成をより詳細に示す図である。 実施の形態3にかかる送信装置の構成を模式的に示すブロック図である。 熱メモリ効果を有する電力増幅器の出力電力レベルを示す図である。 熱メモリ効果を有する電力増幅器の同タイミングでの歪電力レベル(絶対値)を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
実施の形態1
実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100について説明する。熱メモリ効果補償回路100は、送信回路内において、一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタで補償できない、長時間の時定数を有する熱メモリ効果を補償するものとして構成される。図1は、実施の形態1にかかる送信回路1000における歪補償構成を模式的に示す図である。歪補償構成とは、被補償対象である歪発生源と、それを予め補償する歪補償機能との関係を示すものである。送信回路1000は、電力増幅器1及び歪補償回路2を有する。尚、説明の為に歪補償構成を模式的に示す図である為、歪補償回路2と電力増幅器1との間の実際には必要な機能のDA(ディジタルアナログ)変換器と、直交変調及び周波数変換回路は省略している。送信回路1000では、電力増幅器1において、送信信号には、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)と、熱メモリ効果(図1の符号5)とによる歪が生じる。なお、以下で単にメモリ効果という場合、熱メモリ効果以外の、電気的メモリ効果、もしくは従来技術による一般的なメモリ効果補償用FIRフィルタで補償可能な時定数を有する他のメモリ効果を指すものとする。
歪補償回路2は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4、及びその後段に熱メモリ効果補償回路100を有する。メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4は、例えばベースバンド信号である入力信号u(n)に対し、一般的なディジタルプリディストーション方式を適用することでメモリレス非線形補償とメモリ効果補償とを行った信号を、出力信号v(n)として出力する。これにより出力信号v(n)は、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)による歪が予めキャンセルされた信号となる。
熱メモリ効果補償回路100は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)に対し、熱メモリ効果補償に用いるパラメータWtm及びCtmに基づいて振幅補償(つまり、熱メモリ効果補償)を行った信号を、出力信号x(n)として出力する。これにより出力信号x(n)は、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)だけでなく、熱メモリ効果(図1の符号5)による歪も予めキャンセルされた信号となる。なお、上述の通り、熱メモリ効果は長い時定数を有するため、熱メモリ効果補償のためのサンプリングは、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4に与えられるサンプリングクロックよりも周期が長く、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4のサンプリングクロック周期に同期した整数倍の周期Ts_tmを有する熱メモリ効果補償回路用サンプリングクロックSCLKに基づいて行われる。尚、周期Ts_tmは、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4のサンプリングクロック周期≦Ts_tm<熱メモリ効果の時定数 の関係を満たす値を設定する。
出力信号x(n)は、電力増幅器1に入力されて、熱メモリ効果(図1の符号5)と、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)との影響を受けることとなる。これに対し、予め熱メモリ効果補償回路100によって熱メモリ効果が補償されているので、熱メモリ効果(図1の符号5)を受けた信号y(n)では、熱メモリ効果による歪はキャンセルされている。更に、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4でのディジタルプリディストーションによってメモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)が予め補償されているので、電力増幅器1の出力信号z(n)は、メモリレス非線形及びメモリ効果(図1の符号3)と熱メモリ効果(図1の符号5)との両方がキャンセルされて、歪が抑制ないしは除去された信号となる。
本実施の形態では、熱メモリ効果補償回路100で熱メモリ効果を補償するにあたり、送信回路1000の電力増幅器1における熱メモリ効果をモデル化する。本実施の形態では、送信回路1000を含む装置全体は密閉筐体(不図示)を有し、ヒートシンクのみを介して冷却されるものとしてモデル化を行う。図2は、実施の形態1にかかる送信回路1000における電力増幅器1内の増幅素子の実装態様と熱等価回路とを模式的に示す図である。図2では、熱等価回路として、電力増幅器1内の増幅素子2000における、デバイスチップ2001のジャンクションからヒートシンクまでの熱伝導の主経路に沿った一次元近似モデルを示している。図2に示す主経路以外の熱伝導材を実装していない経路、すなわち筐体内の空気による熱伝導の経路は、主経路よりも熱抵抗が大きく、モデル化への影響が無視し得る程度に小さいため省略している。
図2に示すように、増幅素子2000は、増幅素子2000の放熱用基盤材2002を介してヒートシンク2003に搭載されている。図2では、Tは増幅素子2000内のデバイスチップ2001のジャンクションにおけるジャンクション温度、Tは放熱用基盤材2002の温度、Tは増幅素子2000の放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレート温度、Th_avgはヒートシンク2003の平均温度である。Taは装置筐体の周囲温度(外気温)である。なお、図2では、回路の簡略化の為、ヒートシンク2003のベースプレート温度Tとヒートシンク平均温度Th_avgとの間の差は、全てヒートシンク2003のベースプレート温度Tと外気温度Tとの間の温度差ΔThaに含むものとする。
また、Pdissは増幅素子2000の発熱量である。図2に示す通り、熱等価回路において発熱量は定電流源に相当する。増幅素子2000内のデバイスチップ2001のジャンクションと放熱用基盤材2002との間の熱抵抗をRjb、熱容量をCjbとしている。放熱用基盤材2002と放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレートとの間の熱抵抗をRbh、熱容量をCbhとしている。放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレートと外気との間の熱抵抗をRha、熱容量をChaとしている。
図2に示すように、増幅素子2000内のデバイスチップ2001のジャンクションと放熱用基盤材2002との間の熱抵抗Rjbと熱容量Cjbとの積による時定数は、数nsecから数百nsecの小さな値となることが一般的であり、ここでの熱時定数による影響は通常のメモリ効果補償用FIRフィルタで補償することが可能である。また、放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレートと外気との間の熱抵抗Rhaと熱容量Chaとの積による時定数は数秒から数分である。よって、ここでの熱時定数による影響は一般的な自動利得調整機能(不図示)の応答時間内であり、一般的な自動利得調整機能で補償することが可能である。一方、放熱用基盤材2002と放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレートとの間の熱抵抗Rbhと熱容量Cbhとの積による時定数は数μsecから数百μsecであり、上述の、通常のメモリ効果補償用FIRフィルタと一般的な自動利得調整機能とによっては補償できない熱メモリ効果となる。
図3は、通常のメモリ効果補償用FIRフィルタと利得調整機能とによって補償可能な時定数にかかる熱容量CjbとChaを省略し、通常のメモリ効果補償用FIRフィルタと利得調整機能とによっては補償できない時定数にかかる熱容量Cbhにのみに着目した熱等価回路を模式的に示す図である。
なお、モデル化の対象である熱容量Cbhと熱抵抗Rbhとの積による数μsecから数百μsecの時定数に対し、ヒートシンク2003のベースプレート温度Tと外気温度T間との温度差ΔThaは変化が十分に緩やかであるので、図3では、その平均値であるΔThaの直流電圧源に置き換えている。
図3の熱等価回路において発熱量Pdissは定電流源であるため、増幅素子2000内のデバイスチップ2001のジャンクションと放熱用基盤材2002との間の温度差ΔTjbは以下の式(1)で表される。

ΔTjb=Pdiss・Rjb (1)

このときのチップジャンクションと外気間の温度差ΔTjaの時間変化ΔTja(t)は、ΔTbh(t)の時間変化に依存し、以下の式(2)で表される。

ΔTja(t)=ΔTjb+ΔTbh(t)+ΔTha (2)
更に、モデル化対象である熱容量Cbhと熱抵抗Rbhとの積による時定数に対しては、外気温度Tも十分に一定と見做せるので、熱メモリ効果にかかる温度変化は、以下の式(3)で表される。

ΔTjh(t)=ΔTjb+ΔTbh(t) (3)
図3に示す熱等価回路について、まず、Pdiss(t)=p(n)を入力とする、増幅素子2000の放熱用基盤材2002と放熱用基盤材2002直下のヒートシンク2003のベースプレートとの間の温度差ΔTbh(t)=Δt(n)の離散時間状態での出力過渡応答を求める。時間応答をラプラス変換すると、以下の式(4)が得られる。
Figure 0006720697

次いで、式(4)に後退差分方式を適用して、熱メモリ効果補償回路用サンプリングクロックSCLKの周期Ts_tmで離散化する。このとき、sを以下の式(5)とすることで、式(4)を式(6)にs−z変換できる。
Figure 0006720697
Figure 0006720697

更に、式(6)を整理すると、以下の式(7)が得られる。
Figure 0006720697

ここで、式(7)において、以下の式(8)、(9)の通りにパラメータを導入する。
Figure 0006720697

上記のパラメータの導入により、式(7)は以下の式(10)に書き換えられる。
Figure 0006720697

更に、式(10)を変換すると、以下の式(11)となる。
Figure 0006720697
パラメータWtm(第1のパラメータとも称する)は、熱メモリ効果にかかる現在と過去の重み係数として作用するパラメータである。
以上より、離散時間状態でのPdiss(n)を入力とするΔTbh(n)の出力過渡応答は、以下の式(12)で表される。
Figure 0006720697

式(12)からわかるように、現在のΔTbh(n)は、1サンプルだけ過去のΔTbh(n−1)による帰還影響を受けており、熱的なメモリ効果が生じていることが理解できる。
式(12)と図3とより、熱メモリ効果による利得変化を生じさせる要因であるΔTjh(n)は、以下の式(13)で表される。
Figure 0006720697
熱平衡後の一定利得をGnomとし、一定利得Gnomに対して温度変化により生じる利得変化をG(ΔT(t))とすると、入力振幅rin(t)に対する、熱メモリ効果モデルの出力振幅rout(t)は、以下の式(14)で表わされる。なお、温度変化により生じる利得変化G(ΔT(t))は、温度が上昇するにつれて利得が低下する方向に変化する。
Figure 0006720697

また、Pdiss(t)は、出力振幅rout(t)の関数Pdiss(rout(t))として、以下の式(15)で表される。
Figure 0006720697

ここで、温度変化ΔT(t)の離散時間での応答は、式(13)による。
ΔTjh(n)が熱平衡に達するまでの、徐々に温度が上昇する熱過渡応答により、一旦低い初期温度での高い利得から、数μsecから数百μsecの時定数で徐々に熱平衡後の一定利得Gnomまで低下する利得変化が生じる。この時定数による利得変化に伴い、熱メモリ効果モデルの出力振幅rout(t)にオーバーシュートが発生する。振幅のオーバーシュートは、熱メモリ効果モデル後段の、電力増幅器の非線形特性による瞬時歪劣化を発生させる。
以上より、電力増幅器1における熱メモリ効果をモデル化する。図4は、電力増幅器1における熱メモリ効果モデルを示す図である。このモデルに対して、実際に各パラメータを設定して、熱メモリ効果モデルの過渡応答を確認する。
入力振幅については、TDDバースト周期において、t=0で送信開始、t=TDLで送信から受信期間に遷移するものとし、更に熱メモリ効果モデルの過渡応答を簡略化する為、補償対象とする熱メモリ効果の数μsecから数百μsecの時定数に対して十分短い数MHzから数十MHzの振幅エンベロープ変化(すなわち数十nsecから数百nsec周期)を除外し、入力振幅rin(t)を以下の式(16)で表すステップ関数とする。
Figure 0006720697
図15及び図16を参照して説明した歪電力レベルの特性を再現するため、熱容量Cbhと熱抵抗Rbhとの積による時定数Cbh・Rbhを110[μsec](Cbh・Rbh=110[μsec])とすると、過渡応答が平衡状態の99%に立ち上がるまでの時間は、以下の式(17)によって、507μsecとなる。
Figure 0006720697
図15及び図16に示した特性を再現させる各熱平衡後の温度に相当する熱抵抗値を与えると、ヒートシンク2003のベースプレート温度Tに対する、ジャンクション温度の時間変化ΔTjh(t)及び放熱用基盤材2002の温度の時間変化ΔTbh(t)は、図5に示す通りとなる。
発熱量Pdissは定電流源であるので、ΔTjh(t)は、入力振幅rin(t)の立ち上がりと同時にステップ的にΔTbh=70℃まで立ち上がる。その後、Cbh・Rbhの時定数によるΔTbh(t)の時間変化分が加算され、熱平衡後に、最終的にΔTbh(static)=10℃が加算された(70℃+10℃=)80℃に到達する。
入力振幅rin(t)の立ち上がり直後は、デバイス温度が熱平衡後よりも10℃低い分、利得が高く、その後徐々に熱平衡利得まで低下する。
デバイス温度変化に対する利得の時間変化がΔTbh(t)の時間応答に依存するため、デバイス温度変化に対する利得変化の感度が−0.1dB/℃の場合、熱平衡後の利得を0dB(1.0倍)に正規化すると、利得の時間変化は図6に示す通りとなる。この図6の波形は、前述の入力振幅のステップ関数化に伴い、図15に示した熱メモリ効果を有する電力増幅器の出力電力の時間変化波形から、変化周期の短い振幅エンベロープ変化を除外した利得変化に相当する。利得にはピークで1dBのオーバーシュートが生じ、これにより熱メモリ効果モデルの入力振幅rin(t)に対して熱メモリ効果モデルの出力振幅rout(t)はピークで1dB上昇する。そのため、後段の電力増幅器の非線形特性によって瞬時歪劣化が発生する。
次に、上記の熱メモリ効果モデルの補償について詳しく説明する。式(3)より、熱平衡後のΔTjh(static)は、ΔTjbと熱平衡後のΔTbh(static)の和であるので、以下の式(18)で表される。
Figure 0006720697

ΔTjh(static)に対する、ΔTjbとΔTbh(static)の比は、以下の式(19)で表される。
Figure 0006720697

振幅補償としては、熱平衡後の一定利得Gnom を0dB(=1.0倍)とした相対比で制御するため、前記RjbとRbhの比に関しては、以下の式(20)のようにパラメータを導入する。
Figure 0006720697

パラメータCtm(第2のパラメータとも称する)は、熱メモリ効果に係る振幅係数の意味を持つパラメータである。
式(14)における熱平衡後の利得Gnomを0dB(=1.0倍)として正規化し、更に離散化して書き替えると、以下の式(21)が得られる。
Figure 0006720697

ここで、温度変化で生じる利得変化G’(ΔT(n−1))は、温度上昇に対して利得が低下する方向、すなわち逆比例である。よって、熱メモリ効果補償のための振幅補償としては、式(13)による温度の過渡応答と同一関数で補償すればよい。
以上より、パラメータ(1−Ctm)及びCtm、式(13)及び(21)を用いて、振幅補償に係る入力振幅と出力振幅の関係を導出すると、以下の式(22)が得られる。
Figure 0006720697
すなわち、熱メモリ効果補償回路100は、式(22)を実現する回路として構成されなければならない。熱メモリ効果補償回路100は、式(22)に基づき、信号の送信期間にメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)に以下の式(23)で表される振幅補償係数g(n)を乗じることで出力信号x(n)を出力する。
Figure 0006720697
次いで、熱メモリ効果補償回路100の構成について説明する。図7は、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100の構成を模式的に示すブロック図である。図8は、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100の構成をより詳細に示すブロック図である。尚、図8において、演算にかかる各部の処理時間を合わせる為の遅延素子は省略している。熱メモリ効果補償回路100は、正規化演算部101、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタ部102、係数演算部103及び係数乗算部104を有する。熱メモリ効果補償回路100には、パラメータWtm、パラメータCtm、熱メモリ効果補償回路用サンプリングクロックSCLK(周期:Ts_tm)が入力される。
正規化演算部101は、振幅補償係数を算出するための演算回路で構成される。本実施の形態では、正規化演算部101は、入力信号の振幅(入力振幅)rin(n)を求める振幅演算部6と、係数演算部103からの出力振幅rout(n)を入力振幅rin(n)で除算する除算部17とで構成される。振幅演算部6では、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)のI成分をI(n)、Q成分をQ(n)とすると、v(n)の振幅(熱メモリ効果補償回路100の入力振幅)rin(n)として、以下の式(24)の演算を行う。
Figure 0006720697

また、除算部17は、係数演算部103が出力する出力振幅rout(n)を、振幅演算部6が出力する入力振幅rin(n)で除算して得られた値である振幅補償係数g(n)を、係数乗算部104へ出力する。
IIRフィルタ部102は、パラメータ演算部8、乗算器10、サンプル遅延器11、乗算器12、加算器13を有する。乗算器10は、正規化演算部101内の振幅演算部6の出力値(すなわち、入力振幅rin(n))とパラメータWtmとを乗算し、乗算した値を加算器13に出力する。パラメータ演算部8は、1からパラメータWtmを減算し、減算で得られた値である(1−Wtm)を乗算器12に出力する。サンプル遅延器11、乗算器12及び加算器13は、フィードバックループを構成する。加算器13は、正規化演算部101の出力値と乗算器12の出力値とを加算し、加算した値を乗算器14とサンプル遅延器11とに出力する。サンプル遅延器11は、加算器13の出力を、熱メモリ効果補償回路用サンプリングクロックSCLKの1サンプル分だけ遅延させる。乗算器12は、パラメータ演算部8が出力する値(1−Wtm)とサンプル遅延器11の出力値とを乗算し、乗算した値を乗算器12に出力する。
なお、ここでは、パラメータ演算部8を第1のパラメータ演算部とも称する。乗算器10及び乗算器12を、それぞれ第1の乗算器及び第2の乗算器とも称する。加算器13を第1の加算器とも称する。
係数演算部103は、パラメータ演算部9、乗算器14、乗算器15、加算器16を有する。乗算器14は、IIRフィルタ部102の加算器13の出力とパラメータCtmとを乗算し、乗算した値を加算器16に出力する。パラメータ演算部9は、1からパラメータCtmを減算し、減算で得られた値である(1−Ctm)を乗算器15に出力する。乗算器15は、正規化演算部101から出力された入力振幅rin(n)とパラメータ演算部9が出力する値(1−Ctm)とを乗算し、乗算した値を加算器16に出力する。加算器16は、乗算器14の出力と乗算器15の出力とを加算して、加算した値である出力振幅rout(n)を正規化演算部101内の除算部17へ出力する。正規化演算部101内の除算部17は、出力振幅rout(n)を入力振幅rin(n)で除算して得られた値である振幅補償係数g(n)を、係数乗算部104へ出力する。係数演算部103が時刻t=nにおいて出力する出力振幅rout(n)から、係数演算部103の時刻t=nにおける入力を逆算すると、式(22)の左辺となる。これはIIRフィルタ部102の時刻t=nにおける出力であるので、IIRフィルタ部102のサンプル遅延器11の出力は式(22)の左辺の(n)を(n−1)に置き換えた値に等しい。更にその値に、IIRフィルタ部102の乗算器12によってパラメータ演算部8出力の(1−Wtm)を乗算した値が、式(22)の右辺の第2項に等しく、また、正規化演算部101内の振幅演算部6が時刻t=nにおいて出力する入力振幅rin(n)にIIRフィルタ部102の乗算器10によってパラメータWtmを乗算した値が式(22)の右辺の第1項に等しい。従って、IIRフィルタ部102の加算器13は式(22)の右辺の第1項と第2項を加算する処理に相当し、IIRフィルタ部102の時刻t=nにおける出力は式(22)の右辺となる。すなわち、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100は、式(22)を実現する回路として構成される。
なお、ここでは、パラメータ演算部9を第2のパラメータ演算部とも称する。乗算器14及び乗算器15を、それぞれ第3の乗算器及び第4の乗算器とも称する。加算器16を第2の加算器とも称する。
係数乗算部104は、乗算器18及び19を有する。乗算器18は、入力信号のI成分I(n)に振幅補償係数g(n)を乗じ、熱メモリ効果が補償された信号x(n)のI成分I(n)を出力する。乗算器19は、入力信号のQ成分Q(n)に振幅補償係数g(n)を乗じ、熱メモリ効果が補償された信号x(n)のQ成分Q(n)を出力する。
以上、本構成によれば、式(22)に基づいて、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)に振幅補償係数g(n)を乗じて熱メモリ効果を予め補償することができる。
次いで、熱メモリ効果補償回路100による熱メモリ効果補償の効果について説明する。図9は、熱メモリ効果補償にかかる振幅補償量を示す図である。図10は、熱メモリ効果補償の効果を示す図である。図10に示すように、熱メモリ効果の補償前に生じていた、ピークで1dBの出力オーバーシュートを、熱メモリ効果の補償後では抑圧できることが理解できる。
また、TDD動作における百数十μsecの時定数を有する熱メモリ効果の実際の歪劣化影響について検討する。図11は、熱メモリ効果を補償していない場合の歪電力レベルを示している。図12は、熱メモリ効果を補償した場合の歪電力レベルを示している。図11と図12とを比較してわかるように、熱メモリ効果補償前の図11ではピークで4〜5dBの歪劣化が現れているが、図12に示すように、熱メモリ効果を補償することで歪劣化を抑圧することができる。
実施の形態2
実施の形態2にかかる補償回路について説明する。上述したように、実施の形態1にかかる補償回路は、メモリ効果補償用のFIRフィルタで補償できない、数μsecから数百μsecの時定数を有する熱メモリ効果を補償対象としている。よって、十数nsecから数百nsecの信号エンベロープ変化(振幅変化)の周期に追従する必要がない前提において、信号エンベロープ変化(振幅変化)の周期に対して、熱メモリ効果補償のサンプリング周期を十分長く設定し、信号エンベロープ変化(振幅変化)に影響を受ける数百nsecまでの短い時定数の熱メモリ効果は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4のメモリ効果補償用のFIRフィルタで補償する条件下では、実施の形態で説明した式(22)を、振幅補償係数g(n)のみの関数に近似することができ、以下の式(25)が得られる。
Figure 0006720697
本実施の形態にかかる熱メモリ効果補償回路200は、式(25)に基づき、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)に振幅補償係数g(n)を乗算して出力信号x(n)を得る回路として構成される。
図13は、実施の形態2にかかる熱メモリ効果補償回路200の構成をより詳細に示す図である。尚、図13において、演算にかかる各部の処理時間を合わせる為の遅延素子は省略している。実施の形態2にかかる熱メモリ効果補償回路200は、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100の正規化演算部101を正規化演算部201に置換した構成を有する。
正規化演算部201は、1ビット(0または1)のイネーブル(Enable)信号(En)7によって、乗算係数を1.0倍とするか、0.0倍にするかの選択を行う乗算係数選択器として構成される。イネーブル信号(En)7は、例えばTDDのバースト制御信号である。正規化演算部201は、送信期間にのみ、乗算係数として1.0倍を選択する。
1.0倍か、0.0倍か選択された乗算係数を使用することで、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100の正規化演算部101において、係数演算部103の出力を入力振幅で正規化するために必要だった振幅演算部6と除算部17を削除でき、係数演算部103の出力が振幅補償係数g(n)となる。
正規化演算部201以外の動作については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
1サンプル前の出力をフィードバック加算する演算はIIRフィルタとなるが、特に実施の形態2にかかる図13の構成例においては、信号エンベロープ変化(振幅変化)を取り扱わない(入力が1か0である)ため、IIRフィルタ部102の具体的な実現回路として、N回で満了させてクリアするカウンタを用いた累積加算回路としてもよい。その場合のNは、以下の式(26)で表される。
Figure 0006720697
よって、式(26)より、Nとして以下の式(27)に示す値が選定される。
Figure 0006720697
以上、本構成によれば、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100に比べて、より簡易な構成にて、式(23)に基づいてメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4の出力信号v(n)に振幅補償係数g(n)を乗じて熱メモリ効果を予め補償することができる。
実施の形態3
実施の形態3にかかる送信装置3000について説明する。図14は、実施の形態3にかかる送信装置3000の構成を模式的に示すブロック図である。送信装置3000は、ベースバンド処理回路3002及び送信回路1000を有する。本実施の形態においては、送信回路1000は、歪補償回路2、DA変換器3003、直交変調/周波数変換回路3004及び電力増幅器1を有する。
ベースバンド処理回路3002は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4にベースバンド信号を出力し、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4は、メモリレス非線形とメモリ効果を補償した信号を、熱メモリ効果補償回路100に出力する。熱メモリ効果補償回路100は、メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路4からの出力信号に、電力増幅器で生じる熱メモリ効果を予め補償する補償係数を乗じた信号をDA変換器3003に出力する。
DA変換器3003は、歪補償回路2により予め歪が補償された信号をDA変換し、変換後のアナログ信号を出力する。直交変調/周波数変換回路3004は、DA変換器3003の出力信号を直交変調及び周波数変換し、直交変調/周波数変換後の無線周波数信号を出力する。
電力増幅器1は、直交変調/周波数変換回路3004で無線周波数信号に変換された信号を増幅し、アンテナ(不図示)に出力する。これにより、アンテナから送信信号を放射することができる。
以上、本構成によれば、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100によって、電力増幅器で生じる熱メモリ効果による送信信号の歪劣化を抑制可能な送信装置を具体的に構成できることが理解できる。
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、送信装置に搭載される熱メモリ効果補償回路は、実施の形態1にかかる熱メモリ効果補償回路100に限られず、実施の形態2にかかる熱メモリ効果補償回路200を用いて、同様に送信装置を構成することができる。
以上の実施の形態にかかる歪補償回路、熱メモリ効果補償回路及び送信装置は、各種無線通信分野における送信システムに適用可能である。
1 電力増幅器
2 歪補償回路
3 メモリレス非線形+メモリ効果
4 メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路
5 熱メモリ効果
6 振幅演算部
7 イネーブル信号(En)
8 パラメータ演算部
9 パラメータ演算部
10、12、14、15、18、19 乗算器
11 サンプル遅延器
13、16 加算器
17 除算部
100、200 熱メモリ効果補償回路
101、201 正規化演算部
102 IIRフィルタ部
103 係数演算部
104 係数乗算部
1000 送信回路
2000 増幅素子
2001 デバイスチップ
2002 放熱用基盤材
2003 ヒートシンク
3000 送信装置
3002 ベースバンド処理回路
3003 DA変換器
3004 直交変調/周波数変換回路

Claims (5)

  1. 電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路と、
    その後段に前記電力増幅器の熱応答によって生じる熱メモリ効果を補償する熱メモリ効果補償回路と、を備え、
    前記熱メモリ効果補償回路は、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に対する振幅補償係数を算出するために、回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、
    前記正規化演算部からの入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、
    前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償するための振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、
    前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する係数乗算部と、を備え、
    前記IIRフィルタ部と前記係数演算部とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて動作する、
    歪補償回路。
  2. 前記IIRフィルタ部は、前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第1のパラメータとを乗算する第1の乗算器と、
    1から前記第1のパラメータを減算する第1のパラメータ演算部と、
    前記IIRフィルタ部の1サンプル前の出力を1サンプル分だけ遅延させて出力するサンプル遅延器と、
    前記第1のパラメータ演算部の出力値と前記サンプル遅延器の出力値とを乗算する第2の乗算器と、
    前記第1の乗算器の出力値と前記第2の乗算器の出力値とを加算し、前記IIRフィルタ部の出力値として出力する第1の加算器と、を備え、
    前記係数演算部は、
    前記IIRフィルタ部の出力値と、前記第2のパラメータとを乗算する第3の乗算器と、
    1から前記第2のパラメータを減算する第2のパラメータ演算部と、
    前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第2のパラメータ演算部の出力値とを乗算する第4の乗算器と、
    前記第3の乗算器の出力値と前記第4の乗算器の出力値とを加算する第2の加算器と、を備え、
    前記正規化演算部は、
    熱メモリ効果を補償する前の入力振幅を算出し、算出して得られた入力振幅を前記入力振幅信号として出力する振幅演算部と、
    前記第2の加算器の出力値を前記入力振幅信号で除算し、除算して得られた値を前記振幅補償係数として出力する除算部と、を備え、
    前記係数乗算部は、前記正規化演算部からの前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する乗算器を備える、
    請求項に記載の歪補償回路。
  3. 前記正規化演算部は、与えられたイネーブル信号に基づいて、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号の送信期間に「1」を前記入力振幅信号として出力する乗算係数選択器を備え、
    前記IIRフィルタ部は、
    前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第1のパラメータとを乗算する第1の乗算器と、
    1から前記第1のパラメータを減算する第1のパラメータ演算部と、
    前記IIRフィルタ部の1サンプル前の出力を1サンプル分だけ遅延させて出力するサンプル遅延器と、
    前記第1のパラメータ演算部の出力値と前記サンプル遅延器の出力値とを乗算する第2の乗算器と、
    前記第1の乗算器の出力値と前記第2の乗算器の出力値とを加算し、前記IIRフィルタ部の出力値として出力する第1の加算器と、を備え、
    前記係数演算部は、
    前記IIRフィルタ部の出力値と、前記第2のパラメータとを乗算する第3の乗算器と、
    1から前記第2のパラメータを減算する第2のパラメータ演算部と、
    前記正規化演算部からの入力振幅信号と前記第2のパラメータ演算部の出力値とを乗算する第4の乗算器と、
    前記第3の乗算器の出力値と前記第4の乗算器の出力値とを加算して、前記振幅補償係数として出力する第2の加算器と、を備え、
    前記係数乗算部は、前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算する乗算器を備える、
    請求項に記載の歪補償回路。
  4. 入力振幅信号と、熱メモリ効果の重みを示す第1パラメータと、に基づいてIIRフィルタ部を動作させ、
    前記IIRフィルタ部の出力信号と、電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号の前記熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2パラメータと、に基づいて、振幅補償係数を算出するための係数を算出し、
    算出した前記係数を入力振幅に対して正規化することで得られる前記振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に乗算し、
    前記IIRフィルタ部の動作と前記係数の算出とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて行われる、
    歪補償方法。
  5. 送信ベースバンド信号を処理するベースバンド処理回路と、
    送信信号を増幅しアンテナから出力する送信回路と、を有し、
    前記送信回路は、
    前記送信信号を増幅する電力増幅器と、
    前記電力増幅器で発生する歪を補償する歪補償回路と、
    DA(ディジタルアナログ)変換器と、
    直交変調及び周波数変換回路と、を有し、
    前記歪補償回路は、
    前記電力増幅器のメモリレス非線形とメモリ効果によって発生する歪を補償するメモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路と、
    その後段に前記電力増幅器の熱応答によって生じる熱メモリ効果を補償する熱メモリ効果補償回路と、を備え、
    前記熱メモリ効果補償回路は、
    前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路の出力信号に対する振幅補償係数を算出するために回路の出力信号を入力振幅に対して正規化する正規化演算部と、
    前記正規化演算部からの入力振幅信号と、
    熱メモリ効果の重みを示す第1のパラメータと、に基づいて動作するIIRフィルタ部と、前記IIRフィルタ部の出力信号と、前記熱メモリ効果を補償する振幅補償係数を算出するための第2のパラメータと、に基づいて振幅補償係数を算出するための係数演算部と、
    前記係数演算部の出力を前記正規化演算部において入力振幅に対して正規化した振幅補償係数を前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路出力信号に乗算する係数乗算部と、を備え、
    前記IIRフィルタ部と前記係数演算部とは、周期が、前記メモリレス非線形補償/メモリ効果補償回路のサンプリングに用いる第1のサンプリングクロックの周期よりも長く、前記第1のサンプリングクロックの周期に同期した整数倍の周期で、かつ、熱メモリ効果の時定数よりも短い、第2のサンプリングクロックに基づいて動作する、
    送信装置。
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