JP6720649B2 - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
高強度熱延鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6720649B2 JP6720649B2 JP2016071503A JP2016071503A JP6720649B2 JP 6720649 B2 JP6720649 B2 JP 6720649B2 JP 2016071503 A JP2016071503 A JP 2016071503A JP 2016071503 A JP2016071503 A JP 2016071503A JP 6720649 B2 JP6720649 B2 JP 6720649B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cooling
- steel sheet
- content
- tic precipitates
- precipitates
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
これに対し、析出強化については、本来のフェライト相の均一組織の優れた変形能を維持したまま高強度化を図ろうとする技術開発が、近年再び検討され始めた。例えば、Ti、Nb、Moなどの炭化物形成元素を活用し、微細な炭化物を析出させ、フェライト組織を強化する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。フェライトを主体とする転位密度の比較的低い組織中に、強度を向上させる微細な炭化物を析出させて析出強化による高強度化を図るものである。
そして、本発明者らは、高い転位密度による転位強化と、転位上ではない母相にTiC析出物を形成させることによる析出強化と、の両者を効率良く発現させて、合金元素を有効に活用することで、合金元素の含有量を抑えることができ、合金コストの低減が可能になるだけでなく、合金元素の含有に起因する加工性の低下も抑え、鋼板の打ち抜き端面の損傷の発生が抑制できることを見出した。
(1) 質量%で、
C:0.03〜0.08%、
Si:0.01〜1.50%、
Mn: 0.1〜1.5%、
Ti:0.05〜0.15%、
B:0.0002〜0.0030%、
P:0.1%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.5%以下、
N:0.009%以下、
Nb、MoおよびVの合計:0〜0.02%、並びに、
CaおよびREMの合計:0〜0.01%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ、C含有量に対するTi含有量の質量比Ti/Cが0.625〜3.000である化学成分を有し、
転位密度が1×1014〜1×1016m−2であり、
結晶粒内のTiC析出物の平均直径が2.0nm以下であり、
結晶粒内のTiC析出物の平均個数密度が1×1017〜5×1018[個/cm3]であり、
結晶粒内において、転位上ではない母相に析出しているTiC析出物として存在するTiの含有量が鋼板の全Ti含有量の30質量%以上であり、
引張強度が780MPa以上である高強度熱延鋼板。
(2) ベイニティックフェライトとフェライトとの合計の面積率が90%以上である(1)に記載の高強度熱延鋼板。
(3) ベイニティックフェライトの面積率が80%以上である(1)又は(2)に記載の高強度熱延鋼板。
(4) 前記化学成分を有する鋼片を、1200℃以上に加熱し、最終加工温度FT[℃]を970℃以上として熱間圧延する熱間圧延工程と、
前記熱間圧延した鋼板を、熱間圧延終了後に3〜5秒の間、空冷する空冷工程と、
前記空冷した鋼板を、冷却速度50℃/s以上で670〜720℃の範囲内の温度MT[℃]まで一次冷却し、続いて冷却速度5℃/s以下の冷却速度で5〜10秒間二次冷却し、続いて冷却速度30℃/s以上で500℃〜600℃の範囲内の温度CT[℃]まで三次冷却する冷却工程と、
前記三次冷却後、冷却した鋼板を巻取る巻取工程と、
を有する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
表1に示す成分からなるa鋼、及びb鋼を作製した。a鋼、及びb鋼に対して、1250℃の溶体化熱処理を施し、最終加工温度FT[℃]を970℃とする熱間圧延を施した後、オーステナイトの再結晶を目的として3秒の空冷(保持)を行い、表2に示すように鋼板の変態温度制御および熱延コイルの巻取模擬を目的とし3段の冷却処理[50℃/sの冷却速度で冷却し600℃〜800℃(一時冷却停止温度)で冷却を停止した後、冷却速度5℃/s以下で10秒間空冷し、続けて50℃/sの冷却速度で550℃(巻取温度)まで冷却する冷却処理]を行い、1時間の保持を行った。
式:ρ=14.4ε2/b2
ここで、式中、εはX線回折測定から得られる歪、bはバーガースベクトル(0.25nm)である。
まず、測定対象の試料から、切断および電解研磨法により、必要に応じて電解研磨法と併せて集束イオンビーム加工法を活用し、針状の試料を作製した。針状試料に対し三次元アトムプローブ測定を行った。三次元アトムプローブ測定では、積算されたデータが再構築され実空間での実際の原子の分布像が得られる。
また、TiC析出物同士の立体配置から、列状に配置している場合は転位上のTiC析出物(転位上に析出したTiC析出物)と判断し、独立して配置している場合は転位上ではない母相へのTiC析出物(転位上ではない母相に析出したTiC析出物)と判断した。図1(A)に転位上のTiC析出物の配列、および図1(B)に転位上ではない母相へのTiC析出物の配列の模式図を示す。転位上ではない母相に析出したTiC析出物を構成するTi原子数と、鋼板のTi含有量とから、転位上ではない母相のTiC析出物として存在するTiの含有量の比率(鋼板の全Ti含有量に対する質量比)を計算した。なお、表2中、このTiの含有量の比率を「母相析出Ti成分比」と表記する。
また、結晶粒内に析出したTiC析出物のサイズは、観察されたTiC析出物の構成原子数とTiCの格子定数から、TiC析出物を球状と仮定し算出した直径(球相当直径)である。任意に30個以上のTiC析出物の直径を測定し、その平均値を求めた。
また、析出強化と転位強化との両方の効率良い発現により、合金元素を有効に活用することで、合金元素の含有量を低減でき、合金元素に起因する加工性の低下も抑えられると考えられる。
すなわち、本発明の好適な実施形態の高強度熱延鋼板(以下「鋼板」とも称する)は、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜1.50%、Mn: 0.1〜1.5%、Ti:0.05〜0.15%、B:0.0002〜0.0030%、P:0.1%以下、S:0.005%以下、Al:0.5%以下、N:0.009%以下、Nb、MoおよびVの合計:0〜0.02%、並びに、CaおよびREMの合計:0〜0.01%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ、C含有量に対するTi含有量の質量比Ti/Cが0.625〜3.000である化学成分を有し、転位密度が1×1014〜1×1016m−2であり、結晶粒内のTiC析出物の平均直径が2.0nm以下であり、
結晶粒内のTiC析出物の平均個数密度が1×1017〜5×1018[個/cm3]であり、結晶粒内において、転位上ではない母相に析出しているTiC析出物として存在するTiの含有量が鋼板の全Ti含有量の30質量%以上であり、引張強度が780MPa以上である。
まず、本発明の好適な実施形態の高強度熱延鋼板の化学成分について説明する。なお、化学成分の説明において、「%」は「質量%」を意味する。
Cは、微細なTiC析出物を生じて析出強化に寄与する重要な元素であり、また結晶粒界に偏析して鋼板の打ち抜き端面の損傷の発生を抑えるために必要な元素であり、0.03%以上の含有が好ましい。一方、C含有量が0.08%を超えると、粗大なセメンタイトが生じ、延性、特に、局部延性が低下する。よって、C含有量は0.03〜0.08%とし、好ましくは0.04〜0.06%とする。
Siは、脱酸元素であり、0.01%以上含有する。また、Siは固溶強化に寄与する元素であるが、含有量が1.50%を超えると加工性が劣化するため、Si含有量の上限を1.50%とする。よって、Si含有量は0.01〜1.50%とし、好ましくは0.02〜1.30%とする。
Mnは、脱酸、脱硫に有効な元素であり、固溶強化にも寄与するため、0.1%以上含有する。一方、Mn含有量が1.5%を超えると、偏析が生じ易くなり加工性が低下し、またコストが上昇するため好ましくない。よって、Mn含有量は0.1〜1.5%とし、好ましくは0.3〜1.4%とする。
Tiは、フェライトおよびベイニティックフェライトの粒内に微細なTiC析出物を析出し、析出強化に寄与する極めて重要な元素である。母相に析出して強度を上昇させるため、0.05%以上含有する。一方、0.15%を超えるTiが含有すると、コストが増加するばかりか、TiC析出物が粗大化しやすくなり、製造を難しくする。このため、本発明の好適な実施形態の析出物サイズおよび個数密度を達成するためには、Ti含有量は0.15%以下とすることが好ましい。よって、Ti含有量は0.05〜0.15%とし、好ましくは0.07〜0.13%とする。
Bは、ベイニティックフェライトを得るために重要な元素であり、B含有量が0.0002%以上でその効果が得られる。一方、B含有量0.003%を超えると、BN等の析出物を生じやすくなり効果は飽和するため0.0030%以下とする。よって、B含有量は0.0002〜0.0030%とし、好ましくは0.0005〜0.0020%とする。
Pは、不純物であり、加工性や溶接性を損なうため、0.1%以下に制限する。特に、Pは粒界に偏析して延性を低下させるため、P含有量を0.02%以下に制限することが好ましい。ただし、脱Pコストの観点から、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
Sは、不純物であり、特に、熱間加工性を損なうため、0.005%以下に制限する。硫化物などの介在物による延性の低下を抑制するためには、S含有量を0.002%以下に制限することが好ましい。ただし、脱Sコストの観点から、S含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤であり、0.5%以下を含有させる。なお、Alが過剰に含有すると窒化物を形成し、延性が低下するため、0.15%以下に制限することが好ましい。なお、溶鋼の脱酸を十分に行うためには、0.002%以上を含有することが好ましい。
Nは、TiNを形成し、鋼の加工性を低下させるため、また、TiC析出物を形成する有効なTi含有量の低下を招くため、0.009%以下に制限することが好ましい。ただし、脱Nコストの観点から、N含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Nb、V、及びMoは、鋼板に任意に含む任意元素である。Nb、V、及びMoもTiと同様にフェライト結晶粒内に炭化物を析出する元素であるが、Nb、Mo、及びVともに合金コストが高い割に見合った析出強化能はTiより小さい。よって、Nb、Mo及びVの合計の含有量は0〜0.02%とする。
なお、鋼中でこれらの元素はTiC析出物と複合し、(Ti,M)Cとして存在する。ここで、MはNb、V、及びMoの一種または二種以上である。
CaおよびREMは、鋼板に任意に含む任意元素である。CaおよびREMは介在物の形態を制御する機能を有する元素である。ただし、CaおよびREMの合計の含有量は0〜0.01%以下とする。
なお、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、その少なくとも1種である。上記REMの含有量はこれらの元素の少なくとも1種の合計含有量を意味する。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。例えば、不純物としては、スクラップから混入する可能性がある、Ni、Cu、Sn等が挙げられる。Ni、Cu、Sn等の不純物の許容範囲は、それぞれ0.01%以下である。
C含有量に対するTi含有量の質量比Ti/Cは3.000以下とすることが重要である。これは原子数の比率に換算するとTi/Cが約0.75以下に相当する。従来の析出強化鋼板では、TiC析出物を析出させるために、C含有量に対してTi含有量を過剰に含有させていた。しかし、Tiをなるべく鋼中に固溶として残存させずに、TiC析出物としてTiの析出を促進させ、析出強化に有効に寄与させるためには、TiをCに対して過剰にならないように含有させることが必要である。また、質量比Ti/Cが3.000を超えるとTiC析出物が十分析出しした際には、結晶粒界へのCの偏析量が低下し鋼板の打ち抜き端面の損傷が発生しやすくなる。より好ましい質量比Ti/Cの上限は2.5以下である。Ti含有量の下限値が0.05%であり、C含有量の上限値が0.08%であることから、質量比Ti/Cの下限値は0.625以上とする。
本発明の好適な実施形態の鋼板の金属組織は、実質的にベイニティックフェライトとフェライトとからなることが好ましい。実質的にとは面積率にして90%以上を有していることを意味する。つまり、本発明の好適な実施形態の鋼板は、ベイニティックフェライトとフェライトとの合計の面積率(全組織に対する面積率)が90%以上であることが好ましい。更に、ベイニティックフェライトの面積率(全組織に対する面積率)が80%以上であることが好ましい。
まず、鋼板の圧延方向および板厚方向に平行な断面が得られるように切り出した試験片を鏡面研磨し、ナイタール液でエッチングして、金属組織を光学顕微鏡で観察する。マルテンサイト、パーライト等の第二相を認識し、ポイントカウント法により、マルテンサイト、パーライト等の第二相以外の面積率を測定しベイニティックフェライトとフェライトとの合計の面積率とする。
次に、フェライトの面積率の測定には、さらに電解研磨した試験片を用いる。続いてEBSP−OIMTM(Electron Back Scatter Diffraction Pattern−Orientation Imaging Microscopy)法を用いて、倍率2000倍、40μm×80μmエリア、測定ステップ0.1μmの測定条件でEBSP測定を実施する。
本発明の好適な実施形態の鋼板の製造方法は、上記本発明の好適な実施形態の鋼板の化学成分を有する鋼片を、1200℃以上に加熱し、最終加工温度FT[℃]を970℃以上として熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延した鋼板を、熱間圧延終了後に3〜5秒の間、空冷する空冷工程と、空冷した鋼板を、冷却速度50℃/s以上で670〜720℃の範囲内の温度MT[℃]まで一次冷却し、続いて冷却速度5℃/s以下の冷却速度で5〜10秒間二次冷却し、続いて冷却速度30℃/s以上で500℃〜600℃の範囲内の温度CT[℃]まで三次冷却する冷却工程と、三次冷却後、冷却した鋼板を巻取る巻取工程と、を有する。
熱間圧延工程では、鋼片に、例えば、粗圧延と仕上げ圧延とを経る熱間圧延を施し、熱延鋼板を得る。鋼片は、鋼を常法によって溶製、鋳造し、得られた鋼片を使用する。鋼片は、生産性の観点から、連続鋳造設備で製造することが好ましい。
なお、最終加工温度FTとは、熱間圧延された圧延板が最終スタンドから排出されたとときの温度を示す。
空冷工程では、熱間圧延した鋼板(圧延板)を保持し、空冷する。これは、ベイニティックフェライトをより得やすくするため、オーステナイトの再結晶を促進させるためである。空冷時間が3秒未満であると、未再結晶粒オーステナイトからの変態となるため冷却中のポリゴナルフェライトが生成しやすくなる恐れがある。空冷時間が5秒超であるとオーステナイト中でのTiC析出物の析出が進行し、ベイニティックフェライト中の有効な析出が少なくなってしてしまう恐れがある。よって、空冷は3〜5秒間行う。好ましくは空冷は3〜4秒間行う。
冷却工程では、空冷した鋼板を、一次冷却、二次冷却、及び三次冷却を経る冷却を行う。
巻取工程では、冷却した鋼板を巻き取る。鋼板の巻き取りは、特に制限はなく、常法に従って実施すればよい。
巻き取り後の鋼板に、1)鋼板形状の矯正や可動転位導入により延性の向上を図ることを目的として、スキンパス圧延、2)鋼板の表面に付着しているスケールの除去を目的として、酸洗、3)めっき処理等の周知の処理を施してもよい。
打ち抜き端面損傷の有無は、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の方法でクリアランスを20%として、得られた熱延鋼板を打ち抜き、打ち抜いた端面を目視により観察し、損傷の有無を調べた。
その他、得られた熱延鋼板について、ベイニティックフェライト及びフェライトの面積率、ベイニティックフェライトの面積率、転位密度、結晶粒内のTiC析出物の平均直径、結晶粒内のTiC析出物の平均個数密度、転位上ではない母相に析出しているTiC析出物として存在するTiの含有量(鋼板の全Ti含有量に対するTiの含有量)について、既述の方法に従って測定した。
これら結果を表5に示す。
・熱間圧延の終了温度: 最終加工温度FT[℃]
・一次冷却のMT: 一次冷却の停止温度MT
・三次冷却のCT: 三次冷却の停止温度CT
・TiC析出物の粒径: 結晶粒内のTiC析出物の平均直径
・TiC析出物の密度: 結晶粒内のTiC析出物の平均個数密
・母相析出Ti成分比: 転位上ではない母相に析出しているTiC析出物として存在するTiの含有量(鋼板の全Ti含有量に対するTiの含有量(質量%))
試験No.4は、三次冷却の冷却速度が遅く、析出物が粗大化し、引張強度が低下した例である。
試験No.5は、二次冷却の冷却時間が短く、TiC析出物の析出が不十分で、析出物の個数密度が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.6は、二次冷却の冷却時間が長く、析出物が粗大化し、析出物の個数密度が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.8は、三次冷却の停止温度が高く、TiC析出物のサイズが大きくなり、個数密度が低下し、転位の回復により転位密度が低下し、引張強度が低下し、さらに鉄炭化物の析出により打ち抜き端面損傷が発生した例である。
試験No.9は、熱間圧延後の空冷時間が長く、オーステナイト中での粗大なTiC析出物の析出が進行し、ベイニティックフェライト中のTiC析出物の個数密度が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.13は、一次冷却の停止温度が低く、TiC析出物の析出が不十分で、析出物の個数密度が低下し、母相のTiC析出物として存在するTiの比率が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.14は一次冷却の冷却速度が遅く、高温での変態に伴い、転位密度が低下し、TiC析出物のサイズが大きくなり、母相のTiC析出物として存在するTiの比率が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.15は、一次冷却停止温度が高く、転位上への析出が促進され、母相のTiC析出物として存在するTiの比率が低下し、TiC析出物のサイズが大きくなり、個数密度が低下して、さらに転位密度も低下して、引張強度が低下した例である。
試験No.16は、二次冷却の冷却速度が速く、TiC析出物の析出が不十分で、析出物の個数密度が低下し、母相のTiC析出物として存在するTiの比率が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.19はCの含有量が少なく、析出物の個数密度が低下し、引張強度が低下し、また、Ti/Cの比率が高く、打ち抜き端面損傷が発生した例である。
試験No.20は、Bの含有量が少なく、転位密度が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.21はTi/Cの比率が高く、打ち抜き端面損傷が発生した例である。
試験No.22はTiの含有量が少なく、析出物の個数密度が低下し、また母相のTiC析出物として存在するTiの比率が低下し、引張強度が低下した例である。
試験No.23は、Bの含有量が多く、Bの添加効果が薄れ、転位密度が低下し、引張強度が低下した例である。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.03〜0.08%、
Si:0.01〜1.50%、
Mn: 0.1〜1.5%、
Ti:0.05〜0.15%、
B:0.0002〜0.0030%、
P:0.1%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.5%以下、
N:0.009%以下、
Nb、MoおよびVの合計:0〜0.02%、並びに、
CaおよびREMの合計:0〜0.01%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ、C含有量に対するTi含有量の質量比Ti/Cが0.625〜3.000である化学成分を有し、
転位密度が1×1014〜1×1016m−2であり、
結晶粒内のTiC析出物の平均直径が2.0nm以下であり、
結晶粒内のTiC析出物の平均個数密度が1×1017〜5×1018[個/cm3]であり、
結晶粒内において、転位上ではない母相に析出しているTiC析出物として存在するTiの含有量が鋼板の全Ti含有量の30質量%以上であり、
ベイニティックフェライトとフェライトとの合計の面積率が90%以上であり
引張強度が780MPa以上である高強度熱延鋼板。 - ベイニティックフェライトの面積率が80%以上である請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
- 前記化学成分を有する鋼片を、1200℃以上に加熱し、最終加工温度FT[℃]を970℃以上として熱間圧延する熱間圧延工程と、
前記熱間圧延した鋼板を、熱間圧延終了後に3〜5秒の間、空冷する空冷工程と、
前記空冷した鋼板を、冷却速度50℃/s以上で670〜720℃の範囲内の温度MT[℃]まで一次冷却し、続いて冷却速度5℃/s以下の冷却速度で5〜10秒間二次冷却し、続いて冷却速度30℃/s以上で500℃〜600℃の範囲内の温度CT[℃]まで三次冷却する冷却工程と、
前記三次冷却後、冷却した鋼板を巻取る巻取工程と、
を有する請求項1又は請求項2に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016071503A JP6720649B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016071503A JP6720649B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017179539A JP2017179539A (ja) | 2017-10-05 |
JP6720649B2 true JP6720649B2 (ja) | 2020-07-08 |
Family
ID=60005131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016071503A Active JP6720649B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6720649B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20230287530A1 (en) * | 2020-04-17 | 2023-09-14 | Nippon Steel Corporation | High-strength hot-rolled steel sheet |
JP7440804B2 (ja) | 2020-10-28 | 2024-02-29 | 日本製鉄株式会社 | 熱間圧延鋼板 |
WO2023084926A1 (ja) | 2021-11-12 | 2023-05-19 | 日本製鉄株式会社 | 熱延鋼板、溶融めっき鋼板、及び、熱延鋼板の製造方法 |
WO2024105998A1 (ja) * | 2022-11-16 | 2024-05-23 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5482162B2 (ja) * | 2009-12-09 | 2014-04-23 | Jfeスチール株式会社 | 伸びおよび伸びフランジ特性に優れた引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP5402848B2 (ja) * | 2010-06-17 | 2014-01-29 | 新日鐵住金株式会社 | バーリング性に優れる高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
JP5887903B2 (ja) * | 2011-12-15 | 2016-03-16 | Jfeスチール株式会社 | 溶接性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP5741426B2 (ja) * | 2011-12-27 | 2015-07-01 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
JP6292022B2 (ja) * | 2014-05-15 | 2018-03-14 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
-
2016
- 2016-03-31 JP JP2016071503A patent/JP6720649B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017179539A (ja) | 2017-10-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6358406B2 (ja) | 鋼板及びめっき鋼板 | |
JP6019117B2 (ja) | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 | |
US20230287530A1 (en) | High-strength hot-rolled steel sheet | |
JPWO2018190416A1 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
JP6332570B1 (ja) | 熱間圧延鋼板および鋼製鍛造部品ならびにそれらの製造方法 | |
KR20130133032A (ko) | 국부 변형능이 우수한 고강도 열연 강판과 그 제조 방법 | |
JP6354917B2 (ja) | 鋼板及びめっき鋼板 | |
TW201641714A (zh) | 熱軋鋼板 | |
KR20180126564A (ko) | 용융 아연 도금 강판 | |
JP6292022B2 (ja) | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 | |
JP2010255091A (ja) | 伸びと伸びフランジ性のバランスに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP6720649B2 (ja) | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
EP3282032A1 (en) | Steel sheet with excellent cold workability during forming, and process for producing same | |
JP6866933B2 (ja) | 熱延鋼板及びその製造方法 | |
JP5741426B2 (ja) | 高強度熱延鋼板及びその製造方法 | |
US11384416B2 (en) | Nickel-containing steel for low temperature | |
JP6390572B2 (ja) | 冷延鋼板、めっき鋼板およびこれらの製造方法 | |
JP6332571B1 (ja) | 熱間圧延鋼板および鋼製鍛造部品ならびにそれらの製造方法 | |
JP6760055B2 (ja) | 液体水素用Ni鋼 | |
EP3868910A1 (en) | Thin steel sheet and method for manufacturing same | |
JP4059050B2 (ja) | 冷延鋼板製造用母板、高強度高延性冷延鋼板およびそれらの製造方法 | |
JP6573054B1 (ja) | 鋼板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181105 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190917 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191001 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191129 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200519 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200601 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6720649 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |