以下、本発明の実施の形態の脱水システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る脱水システムの構成を示すブロック図である。図中、実線の矢印は、複数の処理を経て汚泥から焼却灰とされる処理対象物の流れを示しており、点線の矢印は、他の気体や液体の流れを示している。
本実施の形態の脱水システム100は、し尿、下水、工場廃液等の有機性汚水、浄化槽汚泥、生活雑廃水汚泥(生活排水ピットの汚泥、ビルピット汚泥等の濃厚なSS(Suspended Solids:浮遊物質濃度)を含有するもの)、上水汚泥等の汚泥を脱水するシステムとして有効であるが、本発明の脱水システムが脱水を行う対象物(脱水対象物)はこれらに限られない。脱水システム100は、機械的な脱水のみでは十分な脱水が困難な難脱水性の汚泥に対して有効に用いられる。以下の実施の形態では、脱水システム100が、有機性廃棄物である汚泥(有機汚泥)を脱水対象物措定、脱水処理を行う例を説明する。
脱水システム100は、汚泥に対して嫌気性消化処理(メタン発酵処理)を行う消化槽1と、消化槽1で得られた消化汚泥に対して凝集剤等の薬品を添加して凝集汚泥を調製する凝集槽2と、凝集槽2で得られた凝集汚泥に対して、濃縮及び脱水を行う脱水装置8と、脱水処理により得られた脱水汚泥(脱水ケーキ)を燃焼させる熱処理設備としての焼却炉5と、脱水機4に供給する熱媒を加熱する熱媒加熱機6とを備えている。
脱水装置8は、脱水処理の前に汚泥から水分を分離して流動性の低い濃縮汚泥とする濃縮機3と、濃縮機3で得られた濃縮汚泥を脱水対象物として、この脱水対象物に対して脱水処理を行う脱水機4を備えている。なお、熱処理設備としては、焼却炉(焼却設備)の他に、炭化設備、乾燥設備がある。また、図1の例では、凝集槽2は2段であるが、凝集槽2を1段として、ポリマ及び無機凝集剤を添加してもよいし、3段以上の複数段であってもよい。
消化槽1のメタン発酵で生成されたメタンガスを含む消化ガスは、熱媒加熱機6に供給される。また、焼却炉5の焼却によって発生した廃熱も熱媒加熱機6に供給される。熱媒加熱機6は、例えば水等の熱媒を加熱して脱水機4に供給する。脱水機4は、この熱媒から得られる熱を用いて汚泥を加熱しながら脱水する。なお、焼却炉5は、脱水機4から排出される脱水汚泥のみでなく、他の場内汚泥や外部から搬入された脱水汚泥を焼却してもよい。
濃縮機3と脱水機4とは脱水システム100の濃縮部及び脱水部として一体的に構成され、脱水装置8を構成する。なお、濃縮機3と脱水機4は、図3に示すように一体的に構成されてもよいし、濃縮機3を脱水機4の上部や横などに独立して設けてもよい。濃縮機3と脱水機4が別置で設けられる場合には、濃縮機3が脱水システム100の濃縮部となり、脱水機4が脱水システム100の脱水部となる。
図2は、濃縮機3の構造を示す図である。本実施の形態の濃縮機3は、汚泥圧搾機であり、汚泥投入用ホッパー31と、汚泥移動手段32と、汚泥移動手段32の上方に設けられた加圧手段33と、汚泥移動手段32の下方に設けられた水捕集手段34とを備えている。
汚泥移動手段32は、濾布で形成されるベルト36とベルト駆動装置38とで構成される。ベルト駆動装置38がベルト36を駆動すると、ベルト36の上面全体(搬送面)が水平移動し、凝集汚泥を水平方向汚泥排出口側に移動させる。凝集汚泥は、ベルト36上を移動する間に濾過され、濾液は下方の水捕集手段34に落下する。
加圧手段33は、汚泥移動手段32の汚泥排出口37の手前に、ベルト36との間に隙間を空けて斜めに設置された加圧板33Aを備えている。汚泥は、汚泥移動手段32によって水平方向汚泥排出口側に移動されてくると、加圧板33Aとベルト36との間の隙間を通過する際に上から加圧される。
加圧板33Aは1つ或いは2つ以上設けてもよいし、また、加圧板33Aは、設置角度が固定されるように設けることもできるし、設置角度を随時変更できるように設けることもでき、さらには、上下揺動可能に軸支することもできる。加圧板33Aの角度並びにベルト36との隙間の大きさを変更することにより、凝集汚泥にかかる圧力を調整することができ、濃縮効率を調整することができる。また、加圧板33Aの代わりに、例えばローラを設置することもできる。
水捕集手段34は、汚泥移動手段32に沿ってその下方に設けられており、汚泥移動手段32から落下してくる水を捕集して、廃水口から排水できるようになっている。
次に、このような構成を備えた濃縮機3の動作について説明する。汚泥投入用ホッパー31に凝集汚泥を投入すると、凝集汚泥は汚泥移動手段32によって水平方向汚泥排出口側に移動させられ、ベルト36の上面上を水平に搬送される。凝集汚泥は、この搬送過程で脱水されると共に、加圧板33Aで圧搾されることで、さらに濃縮濾液を分離させ、濃縮汚泥の濃度を所定の濃度に近づけられ、汚泥排出口37から板状の濃縮汚泥として送り出される。脱水された水は、汚泥移動手段32から落下して水捕集手段34に捕集され、廃水口から排水される。
なお、濃縮機3としては、上記のような構成の汚泥圧搾機のほかにも、従来の汚泥脱水に使用される汚泥圧搾機、例えば遠心濃縮機、スクリュー濃縮機、楕円板型濃縮機などを採用することも可能である。また、平板で汚泥を加圧する構成の機械を使用することもできる。また、濃縮濾液を分離するための構造は、ベルトに限定されず、隙間を空けたスリットバーを並べて、その隙間から濃縮濾液を排出し、スリットバー上の濃縮汚泥を機械的な移送手段で移送するような装置で代替してもよい。
濃縮機3では、上記のような機械濃縮によって、汚泥濃度が6%以上、好ましくは8%以上になるように、汚泥を濃縮する。このように濃縮された汚泥には、ポリマ又はポリ鉄(もしくはその両方)が添加されて、濃縮機3から排出される。濃縮機3から排出された濃縮汚泥は、その重力によって脱水機4の投入口22から外筒スクリーン12内に投入される。
図3は、濃縮機3と脱水機4とが一体的に構成されてなる脱水装置8の断面図である。なお、図3において、後述する加熱用ジャケット51及び冷却用ジャケット52は断面ではなく、正面から見た状態を描いている。濃縮機3と脱水機4とを、図3に示すように一体的に構成せず、濃縮機3を脱水機4とは独立させて脱水機4の上部や横などに設けてもよい。
本実施の形態の脱水機4は、いわゆるスクリュープレス方式の脱水機である。脱水機4では、機台11の上に円筒形状の外筒スクリーン12が水平に設置されている。外筒スクリーン12は、サポート部材に支持されている。外筒スクリーン12の軸方向の一端(上流側、図3では右側)の上部には、濃縮機3から排出される汚泥(濃縮汚泥)を外筒スクリーン12内に取り込むための投入口22が設けられている。外筒スクリーン12の他端(下流側、図3では左側)は開放端となっている。
外筒スクリーン12の内部には、スクリュー軸13が外筒スクリーン12と同芯状に設けらている。スクリュー軸13は、汚泥の搬送方向(図3の左方向)に向かって径が次第に大きくなるテーパ形状を有しており、汚泥の排出側(下流側)に大径端部を有し、汚泥の供給側(上流側)に小径端部を有する。スクリュー軸13は、外筒スクリーン12に対して、回転可能かつ軸芯方向に移動可能である。
外筒スクリーン12には、周壁に多数の小孔14が設けられている。小孔14は、外筒スクリーン12の内部と外部とを連通する。スクリュー軸13の周囲にはスクリュー羽根15が螺旋状に巻き付けられている。機台11の上には、スクリュー軸13の軸芯方向に沿って移動可能な可動台16が設けられている。可動台16の上には、前側軸受17と後側軸受18とが立設されている。前側軸受17と後側軸受18は、外筒スクリーン12の閉鎖端板から突出したスクリュー軸13の小径端部を径方向と軸芯方向に軸受けしている。
前側軸受17及び後側軸受18の上には、減速機付きの可変速電動機19が設けられている。可変速電動機19の回転軸とスクリュー軸13の小径端部とは、連結ベルト20によって回転連結されている。可変速電動機19の回転がスクリュー軸13に伝達され、このようにして、可動台16の上に回転駆動装置が構成される。
可動台16は、図示しない駆動装置によってスクリュー軸13の軸芯方向に平行移動(前進又は後退)する。この可動台16の移動によって、前側軸受17、後側軸受18、可変速電動機19、及び連結ベルト20もスクリュー軸13の軸芯方向に移動し、さらに、スクリュー軸13もその軸芯方向に移動する。このスクリュー軸13の軸芯方向への移動によって、外筒スクリーン12に対するスクリュー軸13の軸芯方向位置が変更される。
スクリュー軸13のスクリュー羽根15の間には螺旋状の搬送圧縮通路21が形成されている。搬送圧縮通路21は外筒スクリーン12で覆われている。搬送圧縮通路21の断面積は、汚泥の供給側(上流側)より排出側(下流側)の方が小さくなっており、搬送圧縮通路21では、汚泥は、外筒スクリーン12の内周面とスクリュー軸13の外周面とスクリュー羽根15とで圧縮されつつ搬送される。
外筒スクリーン12とスクリュー軸13のスクリュー羽根15ないし大径部分の間には、搬送圧縮通路21を通過した汚泥をさらに圧縮する四角形断面の円環形状ないし円筒形状の圧縮室23が形成されている。圧縮室23は、搬送圧縮通路21の出口を入口としている。
外筒スクリーン12の下には、外筒スクリーン12内の圧搾によって汚泥から分離して小孔14から流出する液体を集める受皿24が設けられている。外筒スクリーン12の開放端と、基台11に立設された軸受板25との間には脱水汚泥排出室40が設けられている。脱水汚泥排出室40には、外筒スクリーン12の開放端から連続して形成された排出管41が設けられている。
軸受板25は、外筒スクリーン12の開放端から突出したスクリュー軸13の大径端部を径方向にのみ軸受している。また、軸受板25には、複数の油圧シリンダ26が固定されている。油圧シリンダ26のピストンロッド27が軸受板25を貫通している。ピストンロッド27の先端は排出テーパーコーン29に連結している。ピストンロッド27の前進、後退と所望位置での停止を制御する油圧回路(不図示)が、排出テーパーコーン29の位置をスクリュー軸13の軸芯方向へ変更させる。
スクリュー軸13の大径端部と排出管41の下には、排出管41の出口から排出される脱水汚泥の落下路28が設けられている。外筒スクリーン12の内部と、外筒スクリーン12の開放端から連続して設けられた排出管41の内部とが汚泥が圧縮されながら搬送される搬送路101(図5参照)とされる。
上記のように構成された脱水機4において、可変速電動機19によって一体的となったスクリュー軸13とスクリュー羽根15を回転させ、投入口22から外筒スクリーン12に汚泥を投入すると、汚泥は、スクリュー軸13の軸心方向に搬送されつつ搬送路101内の圧力によって圧縮(圧搾)されて、汚泥から水分が離脱する。汚泥から分離した水分は外筒スクリーン12の小孔14から外筒スクリーン12の外に排出されて、受皿24に受け入れられる。この脱水処理にて得られた脱水汚泥は、上流側から搬送されてくる脱水汚泥に押されることで、排出管41を経て、排出テーパーコーン29で径方向の外向きに導かれて落下路28に落下し、落下路28から脱水機4の外に排出される。
即ち、外筒スクリーン12内に投入された濃縮汚泥は、回転するスクリュー軸13の周りに螺旋状に設けられたスクリュー羽根15によって搬送路101を上流から下流に向けて搬送されつつ、搬送路101内の圧力によって圧縮され、この圧縮によって分離した水分が外筒スクリーン12の周壁に設けられた小孔14から外部に排出される。また、脱水された汚泥(脱水汚泥)は、搬送路101内の圧力によって外筒スクリーン12の開放端から押し出されて排出管41を通って、排出管41の端部と排出テーパーコーン29との間の隙間から押し出されて落下路28に落下し、落下路28から脱水機4の外部に排出される。
この脱水機4において、所望の脱水性能を得るため、圧縮室23の入口から出口までの長さを調整する場合は、スクリュー軸13の可動台16を含む軸芯方向位置変更装置で、スクリュー軸13を軸芯方向に移動して外筒スクリーン12に対するスクリュー軸13の軸芯方向位置を変更し、これによって圧縮室23の長さを増減させる。
可動台16を図示しない駆動装置によって前進させて、その前進位置に停止させ、スクリュー軸13の軸芯方向位置を圧縮室23の出口側に変更すると、外筒スクリーン12とスクリュー軸13のスクリュー羽根15ないし大径部分の嵌合長さが減少し、圧縮室23の長さが減少する。逆に、可動台16を後退させてその後退位置に停止させ、スクリュー軸13の軸芯方向位置を搬送圧縮通路21の入口側に変更すると、圧縮室23の長さが増加する。
本実施の形態の脱水機4では、外筒スクリーン12の外周面に、軸方向に間隔をあけて複数の加熱用ジャケット51が設けられている。図3の例の加熱用ジャケット51は、外筒スクリーン12の外周を囲む環状の中空部材である。熱媒を内部に流通させて加熱用ジャケット51を加熱することで、外筒スクリーン12内の汚泥が間接加熱方式で加熱される。加熱用ジャケット51は、外筒スクリーン12の外周面の一部に沿って、外筒スクリーン12の外周面に接触するように設けることができる。
上述のように、外筒スクリーン12には、圧搾された汚泥から分離した水分を外筒スクリーン12の外部に排出するための小孔14が複数設けられている。加熱用ジャケット51が被せられた外筒スクリーン12の外周面では、この小孔14が塞がれて汚泥から分離した水分を排出することができず、濾過面積が減少することになるが、脱水処理に影響はない。その理由は以下のとおりである。
脱水処理には、汚泥から水分を分離する(汚泥から濾液を絞り出す)分離工程と、濾液を外筒スクリーン12外に排出する排出工程とがあり、それぞれの工程における濾液の量は同じである。しかしながら、濾液を処理する(絞り出す/排出する)時間はそれぞれの工程で異なり、分離工程の方が長くなる。よって、排出工程では時間に余裕ができるため、外筒スクリーン12に形成されている小孔14による濾過面積が小さくても、脱水工程には影響しない。換言すれば、排出工程では、その濾液面積が小さくても、分離工程で汚泥から分離された水分を十分に排出できる。
本実施の形態の脱水機4では、汚泥の搬送方向(スクリュー軸13の軸芯方向)に間隔をあけて複数(図3の例では3つ)の加熱用ジャケット51が設けられている。このように、複数の加熱用ジャケット51が汚泥の搬送方向に間隔をあけて設置されるので、外筒スクリーン12の外周面は、搬送方向に濾過面(小孔14が露出している面)と加熱面(加熱用ジャケット51が取り付けられた面)とが交互に繰り返し配置され、汚泥は加熱と濾過を繰り返しながら搬送される。
このような加熱と濾過の繰り返すことで脱水効果が向上することが、実験で確認されている。すなわち、搬送方向の長さLの加熱用ジャケット51を1つだけ設置するよりも、搬送方向のピッチL/nでn枚の加熱用ジャケット51を搬送方向に離間して設置したほうが脱水効果が高いことが分かっている。これは、汚泥は、加熱面で加熱されることで粘度が低下し、また、熱変性によって保水力が低下するので、脱水されやすい状態となり、汚泥がそのような状態で濾過面に達すると十分に濾過されるとともに、水分が離脱したことで汚泥量が減少し、加熱に必要な熱量が減少するため次の加熱用ジャケット面で加熱されやすくなり、さらに脱水されやすい状態となるからである。
外筒スクリーン12の開放端(下流端)の外周面には、冷却用ジャケット52が設けられている。図3の例の冷却用ジャケット52は、外筒スクリーン12の外周を囲む環状の中空部材である。冷媒を内部に流通させて冷却用ジャケット52を冷却することで、外筒スクリーン12内の汚泥(脱水汚泥)を間接冷却方式で冷却される。冷却用ジャケット52は、外筒スクリーン12の外周面の一部に沿って、外筒スクリーン12の外周面に接触するように設けることができる。
冷却用ジャケット52は、加熱用ジャケット51よりも下流側、具体的には外筒スクリーン12の圧縮室23に対応した位置に設けられる。また、冷却用ジャケット52は、スクリュー羽根15の下流端よりも下流側を覆うように設けられる。脱水汚泥は、この冷却用ジャケット52に対応する位置で冷却された後に、排出管41に導入される。よって、排出管41内、及び排出管41と排出テーパーコーン29との間の脱水汚泥は冷却されている。
このように、加熱しながらの脱水の処理を終えて含水率が低下した脱水汚泥について、搬送路101の下流端の手前で冷却することで、脱水汚泥の粘度が増加し、排出管41と排出テーパーコーン29との間から排出されにくくなる。そうすると、排出管41や圧縮部23により多くの脱水汚泥が滞留することとなり、圧縮部23の上流ではスクリュープレスによって汚泥に加わる圧力、即ち圧搾力が増大し、脱水効果をより大きくすることができる。
即ち、本実施の形態の脱水機4では、搬送路101の上流側に加熱脱水部が構成され、搬送路101の下流側には冷却排出部が構成される(図5参照)。図3の例では、加熱脱水部では、スクリュー軸13にスクリュー羽根15が形成され、外筒スクリーン12の外周面に加熱面(加熱用ジャケット51が設けられた面)と濾過面(小孔14が露出する面)とが交互に設けられ、スクリュープレス方式の加熱脱水が行われる。また、冷却排出部では、冷却用ジャケット52が設けられ、搬送路101の開放端、即ち排出管41と排出テーパーコーン29との間から脱水汚泥が排出される前に、加熱脱水部で加熱された後の脱水汚泥が冷却される。なお、冷却用ジャケット52は、冷却排出部の全体を覆うように構成されていなくてもよい。
本実施の形態では、さらに、スクリュー軸13の内部にも熱媒や冷媒を流通させて、加熱冷却部では汚泥を加熱し、冷却排出部では脱水汚泥を冷却する。
図4は、スクリュー軸13の内部に供給される熱媒及び冷媒の流路の例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態の脱水機4では、スクリュー軸13が中空に形成されており、その内部に冷媒(冷水)及び熱媒加熱機6で加熱された熱媒(温水)が導入される。スクリュー軸13の内部には、加熱脱水部に対応して熱媒流路131が形成され、冷却排出部に対応して冷媒流路132が形成される。熱媒流路131は冷媒流路132より上流側に形成され、冷媒流路132は、熱媒流路131より下流側に形成される。
スクリュー軸13の内部には、スクリュー羽根15の下流側の端部付近に、軸心方向に内部空間を仕切る仕切板133、134が設けられており、スクリュー軸13の外管131の内部の空間は、この仕切板133、134によって軸芯方向に二分されている。仕切板133より上流側には加熱脱水部に対応した熱媒流路131が形成され、仕切板134より下流側には冷却排出部に対応した冷媒流路132が形成されている。
仕切板133の上流側(図4の右側)には、仕切板133の手前まで、軸芯方向に平行な内管135が設けられている。また、仕切板134の下流側(図4の左側)にも、仕切板134の手前まで、軸芯方向に平行な内管136が設けられている。即ち、スクリュー軸13では、スクリュー軸13の内部に内管135が設けられた二重管構造で熱媒流路131が形成され、スクリュー軸13の内部に内管136が設けられた二重管構造で冷媒流路132が形成されている。
図4の例では、熱媒流路133として、熱媒が内管135を通って汚泥搬送方向の上流から下流に向けて流通し、仕切板133の手前の内管135の開放端から排出されて、内管135の外側を通って戻される流路が形成されている。また、冷媒流路132として、冷媒が内管136を通って汚泥搬送方向の下流から上流に向けて流通し、仕切板134の手前の内管136の開放端から排出されて、内管136の外側を通って戻される流路が形成されている。
なお、図4の例では、上記のとおり、熱媒流路131も冷媒流路132も、熱媒又は冷媒を内管から供給して、内管の外側から排出するという流路であるが、熱媒又は冷媒の流れの方向はこれらの逆であってもよく、即ち、内管の外側から熱媒又は冷媒を供給して内管を通して排出するようにしてもよい。
スクリュー軸13と熱媒の供給源(熱媒加熱機6)及び冷媒の供給源とはそれぞれ回転継手(ロータリジョイント)を介して接続され、回転継手を介してスクリュー軸13の内部に注入される。なお、冷媒の供給源は上水道、工業用水、井水であってよい。また、脱水濾液をそのまま冷媒として利用してもよく、あるいは、脱水濾液に含まれる汚濁物質を処理して得られる処理水を冷媒として利用してもよい。
以上のように、本実施の形態では、加熱脱水部において、スクリュー軸13の内部に熱媒流路131が形成され、この熱媒流路131を流通する熱媒によって汚泥が加熱されるとともに、外筒スクリーン12の外周面に間隔をあけて設置された加熱用ジャケット51によっても汚泥が加熱される。また、加熱脱水部の下流側の冷却排出部では、スクリュー軸13の内部に冷媒流路132が形成され、この冷媒流路132を流通する冷媒によって脱水汚泥が冷却されるとともに、外筒スクリーン12の外周面に設置された冷却用ジャケット52によっても汚泥が冷却される。
このように加熱脱水部で加熱された汚泥を排出する前に搬送路101の下流部の冷却排出部にて冷却することで、その粘度を増加させて、排出抵抗を大きくすることで、加熱脱水部による汚泥に係る圧力(圧搾力)を増大させる。これにより、加熱脱水部での汚泥の圧搾効果が増大して、脱水効果が増大するので、脱水汚泥の含水率を低下させることができる。
図5は、本実施の形態の脱水機4を模式的に示した図である。汚泥の投入口22から排出テーパーコーン29に至るまでの汚泥の搬送路101において、上流側に加熱脱水部が形成され、下流側に冷却排出部が形成される。加熱脱水部では、外筒スクリーン12の外周面に加熱用ジャケット51が設けられ、冷却排出部では、外筒スクリーン12の外周面に冷却用ジャケット52が設けられる。
本実施の形態の脱水機4では、加熱脱水部にて、スクリュー軸13、スクリュー羽根15、及び加熱用ジャケット51によって汚泥を加熱しながら脱水するので、汚泥の粘度が低下し、また、熱変性によって汚泥の保水力が低下して、濾液が分離しやすくなる。このようにして、脱水汚泥の含水率を低減して、焼却炉5における汚泥の焼却に要するエネルギーを抑えることができる。分離できる濾液は加熱後速やかに分離し、それを分離しないことで余計なエネルギーを使用することを防ぐことができる。
さらに、本実施の形態の脱水装置8では、濃縮機3で汚泥の濃度を十分に高くし、加熱する汚泥量を減少させてから脱水機4で加熱をするので、脱水機4で汚泥を加熱するのに必要なエネルギー(加熱エネルギー)を抑えることができるとともに、脱水機4では濾過面積を小さくすることができ、その分、加熱用ジャケット51の面積を広くすることができる。
また、加熱用ジャケット51の面積を広くとることで、熱媒の温度が低くても(低温熱媒であっても)十分な加熱ができる。低温熱媒としては、温水を用いることができ、温水は、図1に示したように、焼却炉5や発電機7の廃熱を用いて生成できる。脱水機4では、汚泥の温度は、平均で45℃以上100℃未満とし、好ましくは55℃以上100℃未満とし、汚泥に含まれる水分が沸騰しない温度に抑える。
さらに、本実施の形態では、加熱脱水部にて加熱されて粘度が低下した汚泥を冷却排出部にて冷却することで粘度を大きくするので、脱水汚泥は、流動性が低下し、搬送路101の下流端、即ち排出管41と排出テーパーコーン29との間から落下路28に落下する手前で抵抗が大きくなって排出されにくくなる。これによって、脱水汚泥は、外筒スクリーン12の下流側で若干詰まった状態(加熱されて粘度が低下したままの汚泥と比較して流れにくい状態)となる。この脱水汚泥の詰まりによって、加熱脱水部においてスクリュー羽根15によって強制的に搬送される汚泥に反力を与えることになり、搬送路101内の圧力(機内圧力)を上昇させて、汚泥に対する圧搾力を大きくできる。
なお、加熱用ジャケット51は、本発明の加熱手段に相当し、また、スクリュー軸13内に構成された熱媒流路135も本発明の加熱手段に相当する。また、冷却用ジャケット52は、本発明の冷却手段に相当し、スクリュー軸13内に構成された冷媒流路136も本発明の冷却手段に相当する。
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の脱水装置8の断面図である。本実施の形態の脱水装置8では、外筒スクリーン12の開放端から連続して脱水汚泥排出室40に形成された排出管41の外周面に冷却用ジャケット52を設けている。外筒スクリーン12の外周面には、加熱用ジャケット51が被せられた加熱面と加熱用ジャケット51が被せられていない濾過面とが汚泥の搬送方向に交互に複数回繰り返し配置されている。
この構成により、排出管41において脱水汚泥が冷却されて、その粘度が増大して、流動性が低下し、排出管41と排出テーパーコーン29との間から汚泥が排出されにくくなるので、搬送路101内の圧力(機内圧力)を上昇させて、汚泥に対する圧搾力を増大できる。また、本実施の形態の脱水機4では、圧縮室23の周囲をジャケットで覆うことがなく、圧縮室23からも小孔14を介して濾液を排出できる。
また、第1及び第2の実施の形態では、搬送路101の外周に冷却用ジャケット52を設けるという間接冷却方式によって、脱水汚泥に直接冷媒を接触させることがなく、脱水汚泥の水分を増加させてしまうとことを回避できる。
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態の脱水装置8の断面図である。本実施の形態の脱水装置8では、外筒スクリーン12の開放端から連続して脱水汚泥排出室40に形成された排出管41内の脱水汚泥に送風することで、排出管41内の脱水汚泥を冷却する。排出管41の円筒部には吸気口42が設けられており、その対角線上には排気口43が設けられている。吸気口42及び排気口43にはそれぞれ脱水汚泥を通さず空気のみを通すフィルタが設けられている。また、吸気口42には吸気管44が接続されており、排気口43には排気管45が接続されている。
この構成において、吸気管44から吸気口42に空気(あるいは冷却された空気:冷気)を送り込み、排気口43から排気管45を通して排気することで、吸気口42から排出管41内に取り込まれた空気は、排出管41内の脱水汚泥を通って、排出管41内の脱水汚泥を冷却して排気口43から排出される。また、排出管41に乾燥した空気を供給することで、脱水汚泥の水分が蒸発して潜熱が取り除かれて温度が低下し(脱水汚泥を冷却し)、粘度が上昇するとともに、含水率も下げることができる。
図8は、第3の実施の形態の脱水機4を模式的に示した図である。本実施の形態の脱水機4では、汚泥の搬送路101の下流端に、吸気口42と、吸気口42に対向する排気口43とが設けられる。吸気管42は一端が吸気口42に接続され、他端が大気に開放されている。排気管45は、一端が排気口43に接続され、他端が風調弁46を介して脱臭ファン47に接続されている。脱臭ファン47で排気管45からの空気を吸い込むことで、排出管41内の空気が排気口43から吸い出され、吸気口42から吸気管44を介して空気が吸引されることで、排気管41内が通気される。
本実施の形態の脱水装置8では、排出管41内の脱水汚泥を冷却して粘度を増加させることができる。これによって、脱水汚泥の流動性が低下し、排出管41と排出テーパーコーン29との間から脱水汚泥が排出されにくくなり、外筒スクリーン12内の機内圧力を上昇させて、汚泥に対する圧搾力を増大できる。また、本実施の形態でも脱水機4は、圧縮室23の周囲をジャケットで覆うことがなく、圧縮室23からも小孔14を介して濾液を排出できる。上記の吸気口42及び排気口43を備えた排出管41並びに吸気口42及び排気口43にそれぞれ接続された吸気管44及び排気管45を含む構成は、本発明の冷却手段に相当する。
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態の脱水装置8の断面図である。本実施の形態では、脱水汚泥排出室40が減圧室となって、減圧される。脱水汚泥排出室40を減圧室とするために、脱水汚泥排出室40には、排気口48が設けられ、この排気口48から排気管49を通して脱水汚泥排出室40内の空気が吸引される。また、軸受板25におけるスクリュー軸13及びピストンロッド27を軸受けする箇所は、図示しないシール部材でシーリングがされる。
さらに、落下路28の下には、ゲート弁60が設けられる。ゲート弁60は、脱水汚泥排出室40を減圧している間は閉じられており、落下路28に脱水汚泥がある程度溜まったときに開放されて、脱水汚泥が落下路28から脱水機4の外に排出される。脱水汚泥を排出した後には、再びゲート弁60が閉められて、脱水汚泥排出室40が密閉状態とされ、減圧される。
図10は、第4の実施の形態の脱水機4を模式的に示した図である。図10に示すように、搬送路101の下流端は、減圧室となる脱水汚泥排出室40に開放されている。脱水汚泥排出室40には、その内部の気圧を測定する圧力計61が接続されている。また、排気管63の一端は脱水汚泥排出室40に設けられた排気口48に接続され、他端は圧力調整弁63を介して、真空ポンプ64に接続されている。
圧力計61は、制御装置62に接続されており、制御装置62は圧力調整弁73に接続されている。圧力計61は計測した脱水汚泥排出室40内の気圧(計測値)を示す信号を制御装置62に送信する。制御装置62は、圧力計61から得た気圧に基づいて、圧力調整弁63を駆動するための駆動信号を圧力調整弁63に送信する。圧力調整弁63は、制御装置62から受けた駆動信号に基づいて弁の開閉を調節する。
これによって、脱水汚泥排出室40が制御装置62による制御によって任意の圧力に調整される。例えば、脱水汚泥排出室40を所定の圧力にまで減圧したい場合には、圧力計61の計測値が当該圧力になるまで圧力調整弁63を開いて真空ポンプ64によって減圧し、圧力計61の計測値が当該圧力になったら圧力調整弁63を閉じてその圧力を維持する。
この構成によれば、脱水汚泥排出室40を減圧することで、排出管41から露出している脱水汚泥に含まれる水分の沸点が降下し、それによって脱水汚泥に含まれる水分の蒸発が促進され、脱水汚泥の潜熱が低下して冷却され、その粘度が大きくなる。これによって、脱水汚泥の流動性が低下し、排出管41と排出テーパーコーン29との間から汚泥が排出されにくくなり、外筒スクリーン12内の機内圧力を上昇させて、汚泥に対する圧搾力を増大できる。なお、排出管41及び圧縮室23は脱水汚泥で満たされているので、脱水汚泥排出室40を減圧しても、排出管41及び圧縮室23を満たしている脱水汚泥によってシールされて外筒スクリーン12内までは減圧されない。また、本実施の形態でも脱水機4は、圧縮室23の周囲をジャケットで覆うことがなく、圧縮室23からも小孔14を介して濾液を排出できる。減圧室となる脱水汚泥排出室40及び真空ポンプ64等を含む構成は、本発明の冷却手段に相当する。
(第5の実施の形態)
図11は、第5の実施の形態の脱水装置8の断面図である。本実施の形態の脱水装置8では、脱水汚泥を積極的に冷却する冷却手段は設けられないが、外筒スクリーン12の外周面に、圧力計65と温度計66が設けられる。加熱脱水部の構成は、第2の実施の形態と同様であり、即ち、外筒スクリーン12の外周面には、間隔をあけて複数の加熱用ジャケット51が設けられ、汚泥は、搬送される過程で加熱と濾過を繰り返すことになる。
圧力計65は外筒スクリーン12の開放端(下流端)の圧縮室23内の気圧を測定する。温度計66は、加熱しながらの脱水を経た脱水汚泥の温度を測定する。本実施の形態では、温度計66は、圧縮室23に対応する位置に設置され、圧縮室23内の脱水汚泥の温度を測定するが、温度計66は、排出管41に設けられて、排出管41内の脱水汚泥の温度を測定してもよく、排出管41から排出された脱水汚泥の温度を測定してもよい。
図12は、第5の実施の形態の脱水機4を模式的に示した図である。上述のように、汚泥の搬送路101の下流端の圧縮室23に対応する位置に外筒スクリーン12内の気圧P1を測定する圧力計65が設けられ、また、脱水汚泥の温度T1を測定する温度計66が設けられる。
汚泥の搬送路101に設けられた加熱用ジャケット51には、熱媒供給流路67から第1の熱媒が供給される。加熱用ジャケット51に第1の熱媒を供給する熱媒供給流路67には、モータ69によって開閉駆動される自動弁68と、流量計70と、温度計71とが設けられる。流量計70は、熱媒供給流路67を流れて加熱用ジャケット51に供給される第1の熱媒の流量F2を測定する。温度計71は、熱媒供給流路67を流れて加熱用ジャケット51に供給される第1の熱媒の温度T2を測定する。
熱媒供給流路67には、さらに熱交換器72が設けられ、熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒は、この熱交換器72にて所望の温度に調整される。熱交換器72には、第2の熱媒が流通する別の熱媒流路73が通じている。この熱媒流路73には、モータ75によって開閉駆動される自動弁74が設けられている。
脱水装置8は、さらに、制御装置77が備えられている。制御装置77は、モータ69及びモータ75に接続され、それぞれに指示信号を出すことでモータ69及びモータ75を駆動する。制御装置77は、さらに、圧力計65、温度計66、流量計70、及び温度計71に接続されている。制御装置77は、圧力計65から圧縮室23内の気圧P1を示す信号を受信し、温度計66から脱水汚泥の温度T1を示す信号を受信し、流量計70から熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の流量(供給量)F2を示す信号を受信し、温度計71から熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の温度T2を示す信号を受信する。以下、制御装置77による温度維持制御と圧力維持制御をそれぞれ説明する。
(温度維持制御)
温度維持制御を行う場合には、制御装置77は、脱水汚泥の温度T1が目標値Ttとなるように、第1の熱媒の流量F2及び温度T2を制御する。制御装置77は、流量F2を所望の流量とするために、モータ69に指示信号を出して自動弁68の開度を調節する。また、制御装置77は、温度T2を所望の温度とするために、モータ75に指示信号を出して自動弁74の開度を調節する。
具体的には、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合には(T1<Tt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する第1の熱媒の流量F2を増加させるべく、モータ69に指示信号を出して、自動弁68の開度を大きくする。また、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合に(T1<Tt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する第1の熱媒の温度T2を上昇させるべく、モータ75に指示信号を出して、自動弁74の開度を大きくする。これにより、熱媒流路73を流れる第2の熱媒の流量が増加して、熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の温度T2が上昇する。
脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合には(T1>Tt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する熱媒の流量F2を減少させるべく、モータ69に指示信号を出して、自動弁68の開度を小さくする。また、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合に(T1>Tt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する熱媒の温度T2を低下させるべく、モータ75に指示信号を出して、自動弁74の開度を小さくする。これにより、熱媒流路73を流れる第2の熱媒の流量が減少して、熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の温度T2が低下する。
なお、本実施の形態では、脱水汚泥の温度T1を目標温度Ttに維持するために、加熱用ジャケット51に供給する熱媒の流量F2と温度T2とをいずれも調節したが、これに代えて、流量F2と温度T2のいずれか一方を調節してもよい。
また、加熱用ジャケット51に第1の熱媒を間欠的に流す場合には、制御装置77は、第1の熱媒の供給時間(熱媒供給時間)を調節するように、モータ69を駆動させて自動弁68の開閉を制御してよい。すなわち、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合には(T1<Tt)、制御装置77は、自動弁68が開いている時間を長くして熱媒供給時間が長くなるようにモータ69を駆動させて自動弁68の開閉を制御し、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合には(T1>Tt)、制御装置77は自動弁68が開いている時間を短くして熱媒供給時間が短くなるようにモータ69を駆動させて自動弁68の開閉を制御する。
熱媒供給時間を長くするために、供給時間と停止時間とが交互に繰り返される場合の供給時間を長くして、停止時間は不変としてもよいし、停止時間を短くして供給時間を不変としてもよいし、供給時間を長くするとともに停止時間を短くしてもよい。また、熱媒供給時間を短くするために、供給時間と停止時間とが交互に繰り返される場合の供給時間を短くして、停止時間は不変としてもよいし、停止時間を長くして供給時間を不変としてもよいし、供給時間を短くするとともに停止時間を長くしてもよい。
また、スクリュー軸13の内部に熱媒流路を構成して熱媒を流通させる場合にも、この熱媒について上記と同様の制御を行ってよい。
以上の構成によって、脱水汚泥の温度T1を目標温度Ttに維持する制御を行い、かつ、この目標温度Ttを、加熱用ジャケット51が設けられた加熱脱水部にて汚泥が脱水しやすくなるように加熱しつつ、搬送路101の下流端で脱水汚泥が所定の粘度となるような温度に設定することで、搬送路101の下流端での脱水汚泥の流動性を低下させて、外筒スクリーン12内の機内圧力を上昇させることができる。これにより、汚泥は十分に圧搾されて高い脱水効果が得られる。
(圧力維持制御)
圧力維持制御では、制御装置77は、汚泥の搬送路101の下流端の圧力P1に基づいて、この圧力P1を目標圧力Ptに維持する。制御装置77は、圧力P1が目標圧力Ptより高い場合には(P1>Pt)、加熱用ジャケット51に供給する第1の熱媒の流量F2を増加させるべく、モータ69に指示信号を出して、自動弁68の開度を大きくする。また、圧力P1が目標圧力Ptより高い場合に(P1>Pt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する第1の熱媒の温度T2を上昇させるべく、モータ75に指示信号を出して、自動弁74の開度を大きくする。これにより、熱媒流路73を流れる第2の熱媒の流量が増加して、熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の温度T2が上昇し、搬送路101の下流端で脱水汚泥の粘度が低下して流動性が増すので、圧力P1が低下する。
圧力P1が目標圧力Ptより低い場合には(P1<Pt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する熱媒の流量F2を減少させるべく、モータ69に指示信号を出して、自動弁68の開度を小さくする。また、脱水汚泥の圧力P1が目標圧力Ptより低い場合に(P1<Pt)、制御装置77は、加熱用ジャケット51に供給する熱媒の温度T2を低下させるべく、モータ75に指示信号を出して、自動弁74の開度を小さくする。これにより、熱媒流路73を流れる第2の熱媒の流量が増加して、熱媒供給流路67を流れる第1の熱媒の温度T2が低下し、搬送路101の下流端で脱水汚泥の粘度が大きくなり流動性が低下するので、圧力P1が高くなる。
以上の構成によって、加熱用ジャケット51が設けられた加熱脱水部にて汚泥が脱水しやすくなるように加熱しつつ、搬送路101の下流端の機内圧力P1を目標圧力Ptに維持する制御を行うことで、汚泥は十分に圧搾されて高い脱水効果が得られる。
また、スクリュー軸13の内部に熱媒流路を構成して熱媒を流通させる場合にも、この熱媒について上記と同様の制御を行ってよい。
なお、上記の制御装置77は、本発明の調節手段に相当する。ただし、本発明の調節手段は、上記のように、制御装置77を用いた自動制御によるものに限らず、オペレータが手動で第1の熱媒の流量、温度、供給時間を調節する構成のものであってもよい。
(第6の実施の形態)
図13は、第6の実施の形態の脱水機4を模式的に示した図である。本実施の形態の脱水装置8では、第1の実施の形態と同様に、搬送路101の下流部に冷却排出部が設けられ、搬送路101の上流部には加熱脱水部が設けられる。特に、本実施の形態では、加熱脱水部には、加熱用ジャケット51が設けられ、冷却排出部の冷却手段として、冷媒によって脱水汚泥を間接冷却する冷却用ジャケット52が設けられる。また、本実施の形態の脱水装置8には、第5の実施の形態と同様に、汚泥の搬送路101の下流端の圧縮室23に対応する位置に外筒スクリーン12内の気圧P1を測定する圧力計65が設けられ、また、脱水汚泥の温度T1を測定する温度計66が設けられる。圧力計65と温度計66が設けられる。
圧力計65は外筒スクリーン12の開放端(下流端)の圧縮室23内の気圧を測定する。温度計66は、加熱しながらの脱水を経た脱水汚泥の温度を測定する。本実施の形態では、温度計66は、圧縮室23に対応する位置に設置され、圧縮室23内の脱水汚泥の温度を測定するが、温度計66は、排出管41に設けられて、排出管41内の脱水汚泥の温度を測定してもよく、排出管41から排出された脱水汚泥の温度を測定してもよい。
汚泥の搬送路101に設けられた冷却用ジャケット52には、冷媒供給流路81から第1の冷媒が供給される。冷却用ジャケット52に第1の冷媒を供給する冷媒供給流路81には、モータ82によって開閉駆動される自動弁83と、流量計84と、温度計85とが設けられる。流量計84は、冷媒供給流路81を流れて冷却用ジャケット52に供給される第1の冷媒の流量F3を測定する。温度計85は、冷媒供給流路81を流れて冷却用ジャケット52に供給される第1の冷媒の温度T3を測定する。
冷媒供給流路81には、さらに熱交換器86が設けられ、冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒は、この熱交換器86にて所望の温度に調整される。熱交換器86には、第2の冷媒が流通する別の冷媒流路87が通じている。この冷媒流路87には、モータ89によって開閉駆動される自動弁88が設けられている。
脱水装置8は、さらに、制御装置90が備えられている。制御装置90は、モータ82及びモータ89に接続され、それぞれに指示信号を出すことでモータ82及びモータ89を駆動する。制御装置90は、さらに、圧力計65、温度計66、流量計84、及び温度計85に接続されている。制御装置90は、圧力計65から圧縮室23内の気圧P1を示す信号を受信し、温度計66から脱水汚泥の温度T1を示す信号を受信し、流量計84から冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の流量(供給量)F3を示す信号を受信し、温度計85から冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の温度T3を示す信号を受信する。以下、制御装置90による温度維持制御と圧力維持制御をそれぞれ説明する。
(温度維持制御)
温度維持制御を行う場合には、制御装置90は、脱水汚泥の温度T1が目標値Ttとなるように、第1の冷媒の流量F3及び温度T3を制御する。制御装置90は、流量F3を所望の流量とするために、モータ82に指示信号を出して自動弁83の開度を調節する。また、制御装置90は、温度T3を所望の温度とするために、モータ89に指示信号を出して自動弁88の開度を調節する。
具体的には、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合には(T1>Tt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する第1の冷媒の流量F2を増加させるべく、モータ82に指示信号を出して、自動弁83の開度を大きくする。また、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合に(T1>Tt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する第1の冷媒の温度T3を低下させるべく、モータ89に指示信号を出して、自動弁88の開度を大きくする。これにより、冷媒流路87を流れる第2の冷媒の流量が増加して、冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の温度T3が低下する。
脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合には(T1<Tt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する冷媒の流量F3を減少させるべく、モータ82に指示信号を出して、自動弁83の開度を小さくする。また、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合に(T1<Tt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する冷媒の温度T3を上昇させるべく、モータ89に指示信号を出して、自動弁88の開度を小さくする。これにより、冷媒流路87を流れる第2の冷媒の流量が減少して、冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の温度T3が上昇する。
なお、本実施の形態では、脱水汚泥の温度T1を目標温度Ttに維持するために、冷却用ジャケット52に供給する冷媒の流量F3と温度T3とをいずれも調節したが、これに代えて、流量F3と温度T3のいずれか一方を調節してもよい。
また、冷却用ジャケット52に第1の冷媒を間欠的に流す場合には、制御装置90は、第1の冷媒の供給時間(冷媒供給時間)を調節するように、モータ82を駆動させて自動弁83の開閉を制御してよい。すなわち、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより高い場合には(T1>Tt)、制御装置90は、自動弁83が開いている時間を長くして冷媒供給時間が長くなるようにモータ82を駆動させて自動弁83の開閉を制御し、脱水汚泥の温度T1が目標温度Ttより低い場合には(T1<Tt)、制御装置90は自動弁83が開いている時間を短くして冷媒供給時間が短くなるようにモータ82を駆動させて自動弁83の開閉を制御する。
冷媒供給時間を長くするために、供給時間と停止時間とが交互に繰り返される場合の供給時間を長くして、停止時間は不変としてもよいし、停止時間を短くして供給時間を不変としてもよいし、供給時間を長くするとともに停止時間を短くしてもよい。また、冷媒供給時間を短くするために、供給時間と停止時間とが交互に繰り返される場合の供給時間を短くして、停止時間は不変としてもよいし、停止時間を長くして供給時間を不変としてもよいし、供給時間を短くするとともに停止時間を長くしてもよい。
また、スクリュー軸13の内部に冷媒流路を構成して冷媒を流通させる場合にも、この冷媒について上記と同様の制御を行ってよい。
以上の構成によって、脱水汚泥の温度T1を目標温度Ttに維持する制御を行い、かつ、この目標温度Ttを、搬送路101の下流端で脱水汚泥が所定の粘度となるような温度に設定することで、搬送路101の下流端での脱水汚泥の流動性を低下させて、外筒スクリーン12内の機内圧力を上昇させることができる。これにより、汚泥は十分に圧搾されて高い脱水効果が得られる。
(圧力維持制御)
圧力維持制御では、制御装置90は、汚泥の搬送路101の下流端の圧力P1に基づいて、この圧力P1を目標圧力Ptに維持する。制御装置90は、圧力P1が目標圧力Ptより低い場合には(P1<Pt)、冷却用ジャケット52に供給する第1の冷媒の流量F3を増加させるべく、モータ82に指示信号を出して、自動弁83の開度を大きくする。また、圧力P1が目標圧力Ptより低い場合に(P1<Pt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する第1の冷媒の温度T3を低下させるべく、モータ89に指示信号を出して、自動弁88の開度を大きくする。これにより、冷媒流路87を流れる第2の冷媒の流量が増加して、冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の温度T3が低下し、搬送路101の下流端で脱水汚泥の粘度が上昇して流動性が低下するので、圧力P1が上昇する。
圧力P1が目標圧力Ptより高い場合には(P1>Pt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する冷媒の流量F3を減少させるべく、モータ82に指示信号を出して、自動弁83の開度を小さくする。また、脱水汚泥の圧力P1が目標圧力Ptより高い場合に(P1>Pt)、制御装置90は、冷却用ジャケット52に供給する冷媒の温度T3を上昇させるべく、モータ89に指示信号を出して、自動弁88の開度を小さくする。これにより、熱媒流路87を流れる第2の冷媒の流量が減少して、冷媒供給流路81を流れる第1の冷媒の温度T3が上昇し、搬送路101の下流端で脱水汚泥の粘度が小さくなり流動性が上昇するので、圧力P1が低くなる。
以上の構成によって、搬送路101の下流端の機内圧力P1を目標圧力Ptに維持する制御を行うことで、汚泥は十分に圧搾されて高い脱水効果が得られる。
また、スクリュー軸13の内部に冷媒流路を構成して冷媒を流通させる場合にも、この冷媒について上記と同様の制御を行ってよい。
なお、上記の制御装置90は、本発明の調節手段に相当する。ただし、本発明の調節手段は、上記のように、制御装置90を用いた自動制御によるものに限らず、オペレータが手動で第1の冷媒の流量、温度、供給時間を調節する構成のものであってもよい。
(第7の実施の形態)
図14は、第7の実施の形態の脱水装置8のスクリュー軸13の内部に供給される熱媒の流路の例を示す図である。本実施の形態では、スクリュー軸13の内部には、汚泥の搬送路の下流側から上流側にわたって熱媒の流路が形成されている。スクリュー軸13の内部は二重管構造となっており、内管137はスクリュー軸13の下流側の端部から最も上流側のスクリュー羽根15の位置まで伸びている。上流側の加熱脱水部では、スクリュー軸13の表面が外管となり、この表面の内側を上流から下流に向けて熱媒が流れる。スクリュー軸13の表面に接している汚泥はスクリュー軸13の表面を介して熱媒によって加熱される。
一方、スクリュー羽根15の下流側の端部より下流の圧縮室23では、外管の径がスクリュー軸13の表面よりも小径に形成されている。熱媒がこの小径外管138を下流に流れると、熱媒の熱はスクリュー軸13の表面には伝わらず、この部分において脱水汚泥は加熱されない。よって、この小径外管138に対応する部分では脱水汚泥は自然に冷却されて、粘度が高くなり流動性が低下する。そうすると、加熱脱水部でスクリュー羽根15によって下流に搬送される汚泥がより圧搾されて、高い脱水効果が得られる。
以上のように、第1ないし第7の実施の形態では、外筒スクリーン12及び排出管41からなる搬送路101の上流では汚泥を加熱しながら脱水するとともに、搬送路101の下流では脱水汚泥の粘度を高くすることで、脱水汚泥の流動性を低下させ、外筒スクリーン12内の機内圧力を高く維持し、汚泥に対する圧搾力を高く維持できる。搬送路101の下流で脱水汚泥の粘度を高くするために、第1及び第2の実施の形態の脱水装置8では、加熱脱水部の下流側で、冷却用ジャケット52によって脱水汚泥を冷却する。
また、第3の実施の形態の脱水装置8では、搬送路101の下流で脱水汚泥に送風をすることで脱水汚泥を冷却する。また、第4の実施の形態の脱水装置8では、搬送路101の開放端を減圧することで、脱水汚泥を沸点降下させて潜熱を低下させることで冷却する。
また、第5の実施の形態の脱水装置8では、脱水汚泥を冷却するための冷却手段を設けず、加熱脱水部での熱媒による加熱を制御することで、搬送路101の下流端での脱水汚泥の温度を低くし、あるいは機内圧力を高く維持する。さらに、第6の実施の形態では、冷却排出部での冷媒による冷却を制御することで、搬送路101の下流端での脱水汚泥の温度を低くし、あるいは機内圧力を高く維持する。
また、第7の実施の形態では、スクリュー軸13に流通させる熱媒を、加熱脱水部でスクリュー軸13の表面に内側から接させ、かつ、搬送路101の下流側ではスクリュー軸13の表面に接しないように流すことで、搬送路101の下流端で脱水汚泥の温度を自然に低下(自然冷却)させる。
上記のいずれの実施の形態においても、搬送路101における加熱脱水部の下流側で脱水汚泥の粘度を高くして、脱水汚泥の流動性を低下させることで、外筒スクリーン12内の機内圧力を高く維持し、汚泥に対する圧搾力を高く維持できる。
なお、図6に示したスクリュー軸13の内部の熱媒流路の例は、第1の実施の形態の脱水機4のものとして説明したが、第2ないし第6の実施の形態の脱水機に適用することも可能である。また、第7の実施の形態として説明したスクリュー軸13の内部の熱媒流路の例も、第1ないし第6の実施の形態の熱媒流路として適用可能である。
また、上記の実施の形態では、図1を参照して脱水装置8を含む脱水システム100の構成を説明したが、脱水システム100の構成はこれに限られない。例えば、上記の脱水システム100において、脱水機4の落下路28の下部にシュート等で接続された乾燥機を設けてもよい。このように乾燥機を脱水機4の落下路28の下部に設けることで、脱水汚泥を乾燥機に移送する機器などを省略することができ、また、熱を持っている脱水汚泥を冷却することなく乾燥できるので、乾燥機で使用する熱量が小さくて済む。
また、上記の実施の形態では、熱媒を加熱するのに消化ガス、焼却廃熱、発電廃熱をいずれも利用したが、それらの一部のみを利用してもよく、その他の熱源を利用してもよい。また、上記の実施の形態では、濃縮機3にて汚泥にポリマを添加したが、凝集槽2において汚泥にポリマを添加してもよい。また、凝集槽2において脱水助剤を添加してもよい。
なお、上記の実施の形態では、外筒スクリーン12に対して加熱用ジャケット51を取り付けて、外筒スクリーン12を介して汚泥を加熱したが、加熱用ジャケット51は、外筒スクリーン12の内周面に設けられてもよい。この場合には、外筒スクリーン12の内部での汚泥の流通を妨げることがないように加熱用ジャケット51を設定することが望ましい。加熱用ジャケット51によって汚泥が外筒スクリーン12内で滞留すると、滞留した汚泥が伝熱を妨げて、加熱効率が低下してしまうからである。なお、上記の実施の形態のように加熱用ジャケット51を外筒スクリーン12の外周面に設置すれば、このような懸念は不要である。冷却用ジャケット52についても同様に、外筒スクリーン12(第1の実施の形態の場合)の内側に設けてもよく、排出管41(第2の実施の形態)の内側に設けてもよい。
また、上記の実施の形態では、加熱用ジャケット51を中空としてその内部に熱媒を流通させたが、これに加えて、又はこれに代えて、加熱用ジャケット51を電熱ヒータとして、加熱用ジャケット51自体が発熱するようにしてもよい。
さらに、加熱用ジャケット51や冷却用ジャケット52には、その外側、即ち外筒スクリーンに接する面と反対側の面に、断熱材又は断熱板を設置してもよい。これにより、加熱用ジャケット51や冷却用ジャケット52から外側に放出され又は外側から吸収する熱の量を低減でき、省エネルギーを実現できる。