JP6718239B2 - 鉄道車両用融雪装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として鉄道車両に付着した雪を融解するための鉄道車両用融雪装置に関する。
降雪地帯を鉄道車両が走行する場合、雪が車両の床下部に付着することによって、様々な問題が引き起こることが知られている。例えば、車両の床下部に付着した雪が融解することにより、地上に落下する際にバラスト(砕石)を跳ね上げてしまう問題がある。
また、レール上に積もった雪や融解した水滴が繰り返し付着していき、車体に付着した雪が成長していくことがある。特に、台車を覆うように台車の前後方向に設けられた端部ふさぎ板に雪が付着していった場合、台車に干渉したりすることもある。
これらの問題は、(1)降雪地で付着した雪が、温暖地に乗り入れた場合など、解けて塊として落下しやすくなること、(2)鉄道車両が高速で運行する場合、雪が舞い上がりやすく、車体に付着しやすく、また付着した雪が落下する際にバラストを跳ね上げやすくなるなど、これら条件によって起こりやすくなる。
そこで、このような鉄道車両に付着した氷雪を融解させるための鉄道車両用融雪装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された鉄道車両用融雪装置の一例を従来例として説明する。
図7は、従来例の鉄道車両用融雪装置の要部を示す水平断面模式図である。
この鉄道車両用融雪装置は、車体設置面側(図7において下側)と反対側が開口した外箱71と、断熱材等で構成され外箱71に収納されるケーシング72と、テープ状の発熱部51を有するテープ状のヒータ5と、波板形状の塞ぎ板73とを備えている。
この鉄道車両用融雪装置では、ケーシング72は、その表面が塞ぎ板73の形状に合わせて波形形状に形成されるとともに、テープ状のヒータ5の発熱部51が縦置きに取り付けられる複数の直線状溝72aが形成されている。テープ状に長い発熱部51は、各直線状溝72aの端部(図示せず)で屈曲されてジグザグ状に配置されている。
特開2013−91485号公報
図7に示す構成では、発熱体からの融雪装置表面への熱伝導の効率と、融雪装置表面の着雪性の点で課題が残る。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、付着した雪を効率的に融解させることができるとともに雪の付着を軽減することができる鉄道車両用融雪装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係る鉄道車両用融雪装置は、鉄道車両の車体の下部に取り付けられる鉄道車両用融雪装置であって、平板部と、前記平板部と一体的に形成され、前記平板部から突出する複数のフィンと、前記平板部と前記複数のフィンとに熱を伝えるテープ状のヒータとを備え、前記ヒータは、そのテープの幅方向と前記フィンの突出方向とが同方向となる姿勢で前記隣り合うフィンの間に挟まれ、かつ前記平板部と接するように配置されている。
この構成によれば、テープ状のヒータは、そのテープの幅方向とフィンの突出方向とが同方向となる姿勢で隣り合うフィンの間に挟まれ、かつ平板部と接するように配置されているので、ヒータとフィン及び平板部との直接接触する部分の面積を大幅に増大することができる。そして、フィンが平板部と一体的に形成されているので、ヒータから平板部へ効率的に熱を伝えることができる。よって、この鉄道車両融雪装置を、平板部から突出するフィンが車体側へ突出するように配置することにより、平板部の正面側表面(フィンが突出する側とは反対側の表面)に付着した雪を効率的に融解させることができる。また、平板部の正面側表面は平面状であるので、雪の付着を軽減することができる。
また、前記ヒータは、前記平板部に対して垂直方向から透視したときに渦巻状に配置されており、かつ、該渦巻状の最も外側部分が前記平板部の周縁に沿って配置されていてもよい。
この構成によれば、鉄道車両用融雪装置の周縁部分の雪が融けやすくなり、鉄道車両用融雪装置に付着した雪が落下しやすくなる。
また、前記渦巻状に配置される前記ヒータの渦の間隔は、前記平板部の周縁に近い部分の方が、前記平板部の周縁から遠い部分よりも小さくなるように配置されていてもよい。
この構成によれば、鉄道車両用融雪装置の周縁部分の雪を中央部分の雪よりも先に融かして鉄道車両用融雪装置に付着した雪を落下しやすくできるとともに、平板部の周縁よりも中央に近い部分へのヒータの配置密度が小さくなるのでヒータの消費電力の低減を図ることができる。
また、前記平板部の表面であって、前記フィンが突出する側とは反対側の表面に親水化または撥水化の処理が施されていてもよい。
この構成によれば、親水化の処理が施された場合には、鉄道車両用融雪装置に付着した一部の雪が融けて水となり、その水が凍結部分の隙間に浸透圧によってしみこむことにより残りの雪を滑らす効果が期待できる。また、撥水化の処理が施された場合には、鉄道車両用融雪装置に付着した一部の雪が融けて水となり、その水がはじかれることによって残りの雪を滑らす効果が期待できる。
また、さらに、前記平板部の表面であって、前記フィンが突出する側とは反対側の表面に平板状の保護板が備えられていてもよい。
この構成によれば、鉄道車両用融雪装置へ衝突するバラスト等の飛来物に対する強度を向上させることができる。
また、前記保護板の表面であって、前記平板部が配置される側とは反対側の表面に親水化または撥水化の処理が施されていてもよい。
この構成によれば、親水化の処理が施された場合には、鉄道車両用融雪装置に付着した一部の雪が融けて水となり、その水が凍結部分の隙間に浸透圧によってしみこむことにより残りの雪を滑らす効果が期待できる。また、撥水化の処理が施された場合には、鉄道車両用融雪装置に付着した一部の雪が融けて水となり、その水がはじかれることによって残りの雪を滑らす効果が期待できる。
また、前記平板部を一部に有し、車体側となる一面に開口が形成され、前記ヒータが収納されるヒータケースと、前記ヒータケースに対して前記車体側に配置されて前記ヒータケースの前記開口を塞ぐ断熱板とを備えていてもよい。
この構成によれば、ヒータケースの開口が断熱板によって塞がれているのでヒータによる熱を逃がさずに平板部へ伝えることができる。また、複数のフィンの先端を断熱板に当接させることによって平板部の支持を強固にでき、鉄道車両用融雪装置へ衝突するバラスト等の飛来物に対する強度の確保が容易になる。
本発明は、以上に説明した構成を有し、鉄道車両用融雪装置において、付着した雪を効率的に融解させることができるとともに雪の付着を軽減することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態の鉄道車両用融雪装置の取付位置を説明するための鉄道車両の車体の一部側面図である。 図2は、実施形態の鉄道車両用融雪装置を端部カバー板に設置した場合の概略正面図である。 図3(a)は、実施形態の鉄道車両用融雪装置の分解斜視図であり、図3(b)は、同鉄道車両用融雪装置の断熱板及びヒータケースの斜視図である。 図4(a)は、実施形態の鉄道車両用融雪装置に用いるテープ状のヒータの斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B断面図であり、図4(c)は、図4(b)のC−C断面図である。 図5は、実施形態の鉄道車両用融雪装置の垂直断面模式図である。 図6は、端部カバー板付近の着雪状態の一例を示す図である。 図7は、従来例の鉄道車両用融雪装置の要部を示す水平断面模式図である。
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する構成要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態)
[鉄道車両用融雪装置の取付位置]
図1は、本実施形態の鉄道車両用融雪装置の取付位置を説明するための鉄道車両の車体の一部側面図である。図1に示すように、車体101の床下部102に配置された車輪103は、前後方向に臨む端部カバー板104、105により仕切られている。端部カバー板104及び105は、床下部102に配置されている種々の機器を、車輪103によって跳ね上げられたバラスト等から保護するために設けられている。一方、鉄道車両が降雪地帯を走行する際には、車輪103による雪の舞い上げ等によって、端部カバー板104、105に雪が付着していく。
鉄道車両用融雪装置1は、この端部カバー板104、105の表面に、車両幅方向X(XはY、Zと直交する方向)の全体に亘り、ボルトで取り付けられる。鉄道車両用融雪装置1を取り付けることで、熱により、端部カバー板104、105への雪の付着の予防や、付着した雪を早期に剥離できる。同時に、床下部の機器をバラスト等からも保護できる。
そして、鉄道車両用融雪装置1は、端部カバー板104、105以外にも、車体101の床下周縁部に位置する台車カバー106に取り付けてもよい。当該部分に鉄道車両用融雪装置1を取り付ければ、車輪による雪の舞い上げ以外の種々の要因によって台車カバー106に付着した雪や氷を剥離することもできる。
なお、上記では、端部カバー板に鉄道車両用融雪装置1を取り付ける場合について説明したが、取付位置はこれに限定されるものでなく、台車や、車体底部、妻面に取り付けてもよい。
図2は、鉄道車両用融雪装置を端部カバー板に設置した場合の概略正面図である。図2に示すように、鉄道車両用融雪装置1は、車両幅方向Xの全体に亘って端部カバー板(104、105)に取り付けられているが、作業員が取り扱いやすいように、例えば車両幅方向Xに三部の構成で、鉄道車両用融雪装置1L、1C、1Rにより構成されていてもよい。これら鉄道車両用融雪装置の1L、1C、1Rは、主たる構造を同じくするため、以下共通に鉄道車両用融雪装置1として説明する。
[鉄道車両用融雪装置の構成]
図3(a)は、鉄道車両用融雪装置1の分解斜視図であり、図3(b)は、鉄道車両用融雪装置1の断熱板及びヒータケースの斜視図である。図4(a)は、鉄道車両用融雪装置1に用いるテープ状のヒータの斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B断面図であり、図4(c)は、図4(b)のC−C断面図である。図5は、鉄道車両用融雪装置1の垂直断面模式図である。
鉄道車両用融雪装置1は、車両長手方向Zにおける正面側表面及び背面側表面(車体設置面)はともに平面状である。鉄道車両用融雪装置1は、平面部22及びその周縁の枠部23を備えた裏蓋2と、断熱板(板状の断熱材)3と、ヒータケース4と、テープ状のヒータ5(以下、単に「ヒータ5」という)と、保護板6とを主要な構成とする。なお、保護板6を設けない構成も可能である。
鉄道車両用融雪装置1を車体に取り付ける際には、例えば、断熱板3が収納された裏蓋2と、ヒータ5が取り付けられたヒータケース4とを、断熱板3及びヒータ5が内側になるようにして対向させる。そして、裏蓋2を車体設置面側(背面側)とし、さらにヒータケース4の正面側表面には保護板6を配置して、車体(ここでは端部カバー板104、105)にボルトを用いて取り付けられる。裏蓋2とヒータケース4と保護板6には、それぞれの周縁部にボルトを貫通させるための貫通孔2a,4a,6aが設けられている。また、裏蓋2と断熱板3には、それぞれヒータ5の電源コード53(図4)を引き出すための貫通孔21,31が設けられている。
本実施形態では、裏蓋2は、例えば、アルミ合金、あるいはステンレス材で形成されるが、これに限られない。また、裏蓋2に収納された断熱板3は、例えば、ポリスチレンにポリエチレンなどのポリオレフィンを複合化した発泡樹脂からなり、難燃性かつ断熱性が高く、軽量で加工性に優れたものである。なお、断熱板3は、これに限られず、その他の発泡樹脂やその他の素材でもよく、難燃性又は不燃性、かつ、断熱性の高い素材が好ましい。
また、ヒータケース4は、アルミ合金の中でも比較的強度の高いアルミ合金(例えばAl−Mg系)で形成されているが、これに限られず、銅あるいは銅合金などでもよく、熱伝導性が高く、かつ切削加工性に優れた素材が好ましい。表面の保護板6は、ヒータケース4よりも硬度が高いステンレス材で形成されているが、これに限られず、その他の素材でもよく、熱伝導性が高く、かつ硬度の高い素材が好ましい。ヒータケース4と表面の保護板6の接触面には異種金属接触による腐蝕対策および熱伝導性能の確保のために熱伝導性両面粘着テープを用いても良い。
ヒータ5は、発熱部51を有する。図4に示すように、テープ状の発熱部51の一方端部と電源コード53とがブッシング54により接続され、発熱部51の他方端部が封止部52に接続される。ブッシング54及び封止部52は、軟質PVC素材よりなる。
発熱部51は、内部の両側辺に導体55が2本通り、これら導体55に所定ピッチ(例えば35mmピッチ)で発熱素子56が接続されている。そして、これら導体55及び発熱素子56が絶縁材57により覆われてテープ状に形成されている。この発熱素子56が発熱し、導体55に熱が伝導することで、発熱部51全体の温度が上昇する。なお導体55は、スズメッキの軟鋼より線で構成されている。また、発熱素子56は、チタン酸バリウム系のPTCセラミックス素子で構成され、周囲温度に応じて電力量を自己制御する機能を有する。なお、発熱部51のテープの幅方向Wは、所定間隔をあけて配置されている2本の導体55の並び方向に等しい。
次に、ヒータケース4の構造及びヒータ5の取付構造等についてより詳しく説明する。
図3(b)に示すように、ヒータケース4は、平板部41と、平板部41から断熱板3の方向へ突出して先端部分が断熱板3と当接し、ヒータ5の発熱部51を案内する複数のフィン42と、平板部41の周縁からフィン42と同方向へ突出した枠部43とを有している。このヒータケース4は、例えばアルミ合金の削り出し加工あるいはアルミ鋳物などによって形成されており、平板部41と全てのフィン42と枠部43とが一体成形されている。すなわち、ヒータケース4には、車体側(背面側)となる一面に枠部43を開口縁部とする開口44が形成され、この開口44が断熱板3によって塞がれる。
図3(a)に示すように、ヒータ5の発熱部51は、隣り合うフィン42,42の間に挟まれるようにして渦巻状に配置される。図3(a)の場合には、ヒータケース4のある隅の近傍に封止部52が配置され、それに続く発熱部51が平板部41の周縁に沿って配置される。そして、ひとまわりするごとに順次内側になるようにして渦巻状に配置されて、ブッシング54が平板部41の周縁から遠い部分(平板部41の中央に近い部分)に配置される。このようにして、発熱部51は、渦巻状の最も外側部分が平板部41の周縁に沿って配置されている。また、本実施形態では、発熱部51の渦の間隔は、平板部41の周縁に近い部分の方が周縁から遠い部分(平板部41の中央に近い部分)よりも小さくなるように配置される。例えば、平板部41の周縁に近い発熱部51の隣り合う部分51a、51bの間隔の方が、平板部41の中央に近い発熱部51の隣り合う部分51c、51dの間隔よりも小さくなっている。このような発熱部51の配置に応じて複数のフィン42が設けられている。
図5は、例えば、図3(a)において、鉄道車両用融雪装置1が設置された状態に組み立てられた場合におけるA−A断面部分を示す垂直断面模式図である。
図5に示すように、ヒータケース4は、平板部41から突出する各フィン42の突出長さが、テープ状の発熱部51のテープの幅方向Wの長さに略等しく、発熱部51の両側の2つのフィン42の間隔が発熱部51の厚さ(正確には発熱素子56の配置部分の厚さ)に略等しくなっている。なお、発熱部51の厚さは、発熱素子56の配置部分の厚さが、発熱素子56の配置されていない部分よりも若干厚くなっている。
そして、テープ状の発熱部51は、そのテープの幅方向Wがフィン42の突出方向と同方向となる姿勢でフィン42とフィン42の間に挟まれ、かつテープの幅方向Wにおける一方(平板部41側)の端縁部分が平板部41と接するように配置されて、ヒータケース4に取り付けられる。
よって、テープ状の発熱部51は、テープの幅方向Wに垂直な2つの面が両側の2つのフィン42と接し、テープの幅方向Wの一方の端縁部分が平板部41と接し、他方の端縁部分が断熱板3と接している。
すなわち、発熱部51は、フィン42が形成されている部分では、テープの幅方向Wに垂直な2つの面が両側の2つのフィン42と接し、テープの幅方向Wの一方の端縁部分が平板部41と接することになるので、発熱部51とヒータケース4とが直接接触する部分の面積を大幅に増大することができ、ヒータ5からヒータケース4の平板部41へ効率的に熱を伝えることができる。特に、発熱部51の幅広の2つの面がヒータケース4のフィン42と直接接触し、フィン42が平板部41と一体成形されているので、ヒータ5からヒータケース4の平板部41へ効率的に熱を伝えることができる。そして、ヒータケース4と保護板6とは互いに対向する面の全面において面接触しているので、ヒータ5からヒータケース4へ伝わった熱を保護板6へ効率的に伝えることができる。よって、保護板6の正面側表面に付着した雪を効率的に融解させることができる。なお、保護板6を設けない場合には、ヒータケース4の正面側表面に付着した雪を効率的に融解させることができる。
また、本実施形態のように、フィン42が平板部41と一体成形されていることが熱伝導性の点から最良と考えられるが、これに限らず、例えば、溶接等によってフィン42が平板部41に接合される等、フィン42が平板部41と一体的に形成されていればよい。
なお、本実施形態では、例えば図5に示すように、裏蓋2は、平面部22と、その平面部22の周縁から正面側へ突出した枠部23とを有し、断熱板3が収納されるように構成されているが、この構成に限られない。例えば、裏蓋2が平面部22のみからなり、ヒータケース4の枠部43が枠部23部分を含むように形成されていてもよい。すなわち、裏蓋2は、断熱板3の背面側(車体側)表面を覆うようにして、断熱板3の背面側(車体側)表面に配置される。また、ヒータケース4に枠部43がなく、裏蓋2の枠部23がヒータケース4の枠部43部分を含むように形成されていてもよい。いずれの場合もヒータケース4はヒータ5が装着されるヒータ装着部材である。
図6は、端部カバー板に取り付けられた鉄道車両用融雪装置1付近の着雪状態の一例を示す図である。
図6に示すように、通常、雪Sは、鉄道車両用融雪装置1の上方の車体部分から鉄道車両用融雪装置1の表面(正面側表面)に亘って付着する。ここで、仮に、鉄道車両用融雪装置1の周縁部分よりも中央部分の方が高温となる場合には、中央部分に付着している雪Scが融けやすくなる。
しかし、雪Sは鉄道車両用融雪装置1の上方部分から連続して付着しているので、鉄道車両用融雪装置1の中央部分の雪Scが融けても、周縁部分が融けないと落雪しにくい。よって、鉄道車両用融雪装置1の周縁部分の雪を融かすことで、鉄道車両用融雪装置1に付着した雪が落下しやすくなる。
そこで、本実施形態では、ヒータ5の発熱部51を渦巻状に配置し、この渦巻状の最も外側部分を平板部41の周縁に沿って配置することにより、鉄道車両用融雪装置1の周縁部分の雪が融けやすくなり、鉄道車両用融雪装置1に付着した雪が落下しやすくなるようにしている。
さらに、本実施形態では、発熱部51の渦の間隔が、平板部41の周縁に近い部分の方が周縁から遠い部分(平板部41の中央に近い部分)よりも小さくなるように、発熱部51が配置されている。これにより、鉄道車両用融雪装置1の周縁部分の雪を中央部分の雪よりも先に融かして鉄道車両用融雪装置1に付着した雪を落下しやすくできるとともに、平板部41の周縁よりも中央に近い部分への発熱部51の配置密度が小さくなるのでヒータ5の消費電力の低減を図ることができる。
また、ヒータケース4は、正面側の平板部41が、先端部分が断熱板3に当接した複数のフィン42によって支持されるので、鉄道車両用融雪装置1の保護板6へ衝突するバラスト等の飛来物に対する強度の確保が容易になる。保護板6を設けない場合には、平板部41へ衝突する飛来物に対する強度の確保が容易になる。保護板6を設けてヒータケース4の正面側表面を覆うことにより、飛来物に対する強度をより向上させることができる。
また、鉄道車両用融雪装置1の正面側表面すなわち保護板6の正面側表面は、平面状であるので、雪の付着を軽減することができる。また、保護板6を設けない場合でも、鉄道車両用融雪装置1の正面側表面すなわちヒータケース4の平板部41の正面側表面は、平面状であるので、雪の付着を軽減することができる。
また、保護板6の正面側表面に親水化処理を施すようにしてもよい。例えば、保護板6の正面側表面に親水性塗料を塗布することにより、保護板6の表面の一部の雪が融けて水となり、その水が凍結部分の隙間に浸透圧によってしみこむことにより残りの雪を滑らす効果が期待できる。親水性塗料としては、例えば、株式会社五合の製品であるゼロ・クリア(登録商標)を用いることができる。
また、保護板6の正面側表面に撥水化の処理を施すようにしてもよく、この場合、保護板6の表面の一部の雪が融けて水となり、その水がはじかれることによって残りの雪を滑らす効果が期待できる。
また、保護板6を設けない場合には、ヒータケース4の平板部41の正面側表面に上記と同様の親水化あるいは撥水化の処理を施すことにより、同様の効果が期待できる。
本発明は、付着した雪を効率的に融解させることができるとともに雪の付着を軽減することができる鉄道車両用融雪装置等として有用である。
1(1L,1C,1R) 鉄道車両用融雪装置
2 裏蓋
3 断熱板
4 ヒータケース
41 平板部
42 フィン
44 開口
5 テープ状のヒータ
51 発熱部
6 保護板

Claims (7)

  1. 鉄道車両の車体の下部に取り付けられる鉄道車両用融雪装置であって、
    平板部と、
    前記平板部と一体的に形成され、前記平板部から突出する複数のフィンと、
    前記平板部と前記複数のフィンとに熱を伝えるテープ状のヒータとを備え、
    前記ヒータは、
    そのテープ状の一対の対向する幅広面が、隣り合う各前記フィンと接し、かつテープ状の幅方向の一方の端縁部分が、前記平板部と接するように配置された、
    鉄道車両用融雪装置。
  2. 前記ヒータは、
    前記平板部に対して垂直方向から透視したときに渦巻状に配置されており、かつ、該渦巻状の最も外側部分が前記平板部の周縁に沿って配置された、
    請求項1に記載の鉄道車両用融雪装置。
  3. 前記渦巻状に配置される前記ヒータの渦の間隔は、
    前記平板部の周縁に近い部分の方が、前記平板部の周縁から遠い部分よりも小さくなるように配置された、
    請求項2に記載の鉄道車両用融雪装置。
  4. 前記平板部の表面であって、前記フィンが突出する側とは反対側の表面に親水化または撥水化の処理が施された、
    請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用融雪装置。
  5. さらに、前記平板部の表面であって、前記フィンが突出する側とは反対側の表面に平板状の保護板が備えられた、
    請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用融雪装置。
  6. 前記保護板の表面であって、前記平板部が配置される側とは反対側の表面に親水化または撥水化の処理が施された、
    請求項5に記載の鉄道車両用融雪装置。
  7. 前記平板部を一部に有し、車体側となる一面に開口が形成され、前記ヒータが収納されるヒータケースと、
    前記ヒータケースに対して前記車体側に配置されて前記ヒータケースの前記開口を塞ぐ断熱板とを備える、請求項1〜6のいずれかに記載の鉄道車両用融雪装置。
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