JP6717179B2 - 冷凍機性能評価方法、及びそれに関連する流量計校正方法 - Google Patents

冷凍機性能評価方法、及びそれに関連する流量計校正方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷凍機性能評価方法、及びそれに関連する流量計校正方法に関する。
冷凍機の性能を評価するには、冷凍機本体の消費電力と冷凍機が発生する熱量を把握する必要があり、そのためには、冷凍機に出入りする冷水の往還温度差と流量とを測定する必要がある。往還温度差と流量の測定精度は冷凍機の性能の評価結果に影響する。ゆえに、往還温度差と流量を精度良く測定することは、冷凍機の性能評価の精度を高める上で重要な事項である。ところが、従来の性能評価には、往還温度差と流量の測定に関して以下のような問題があった。
往還温度差の計測には、冷凍機の冷水の入口と出口に配置された一対の温度計が用いられる。測定対象である冷水の往還温度差は、冷凍機の定格温度差である5℃程度、少ない場合は1〜2℃程度である。これに対し、一般的に用いられるPT100の温度計が持つ測定精度は、許容差クラスA(JIS C1604-2013)の温度計であれば±0.2℃程度である。ゆえに、往還2つの温度計の温度差は±0.4℃程度となる。これは、測定対象の温度差が4.0℃の場合、約10%の誤差を含んでいる可能性がある事を意味している。
流量の計測には、冷水の管路に配置された流量計が用いられる。流量計には超音波式流量計と電磁流量計とがあり、超音波式電流計にはさらに接液型とクランプ型とがある。超音波式流量計と電磁流量計との比較では、電磁流量計のほうが高精度であるが、純水の測定ができず且つコストが高い。超音波式流量計の接液型とクランプ型との比較では、クランプ型のほうが低コストであるが、精度が低い。ゆえに、流量の測定精度を確保するためには電磁流量計が好ましいが、コストや冷水系統が純水である等の理由により電磁流量計を選択できない場合がある。また、これらの流量計を管路に設置する場合、流量計の前後に各メーカより推奨された直管長を確保する必要があるが、実際には、様々な事情で必要とされる直管長を確保できない場合も多い。このため、一般的には、システム全体として流量計には±3%程度以上の誤差が含まれていると認識されている。
従来の性能評価では、個々のセンサの絶対的な精度を高めた上で、冷凍機の流量、温度、電力データを実測し、これを冷凍機の設計値と比較して性能の合否判定を行う方法がとられている。しかしながら、センサの絶対的な精度の向上には限界があり、従来の方法では、少なくとも温度計で±10%、流量計で±3%、合計±13%%程度の誤差が含まれる可能性がある。このため、性能評価に係るパラメータに不審な値が得られたとしても、それが冷凍機等の装置の性能の低下によるものか、センサの測定値自体の誤差によるものかを判別することは容易ではなかった。
また、温度差と流量の測定に関する上述の問題とは別に、冷凍機の性能評価の方法そのものにも以下のような問題があった。
冷凍機の性能評価を行う方法として、以下の2つの方法が考えられる。第1の方法は、冷凍機の実測データを設計の性能データと比較して、設計値に対する満足度を評価する方法である。第2の方法は、メンテナンス終了直後等の正常な状態時、冷凍機の運転実測データをグラフにプロットし、予想されるCOP(成績係数)或いは電力を算出する近似式を求め、この近似式によって求められるCOP或いは電力と、長時間経過後の冷凍機の運転実測データを比較する事で、性能の劣化状況を把握する方法である。
第1の方法については、上述の往還温度差と流量の測定に関する問題により、冷凍機の絶対的な性能を測定する事は難しい。仮に設計値との比較を行っても、測定データ自体の信頼性が低いため、劣化状況の判定は困難である。第2の方法については、一般的に用いられている性能評価のためのグラフに問題がある。このグラフは、負荷率を横軸にとりCOPを縦軸にとったものであって、冷却水温度別に冷凍機の性能がプロットされる。このグラフに表示されたデータの関係を近似式で表した場合、性能を示す線は曲線状となる。性能線が曲線状の場合、低負荷率から高負荷率までの広範囲のデータがなければ、性能線1本ごとの精度は上がりにくい。また、冷却水温度については、初期性能の測定時が中間期や夏季等である場合、冷却水温度が下がる条件を作ることできないために、一定温度以下の近似式を作ることができない可能性がある。つまり、第2の方法では、性能線の作成のために、負荷率と冷却水温度の両方について広範囲のデータ測定できる環境を必要とするという問題があった。
以上述べたように、従来の性能評価の方法は信頼性において不十分であった。このため、簡単に現場に適用することが可能であり、且つ、信頼性と実用性の高い性能評価の方法が求められていた。なお、冷凍機の性能評価に関する文献としては、例えば、以下に列挙した文献が知られている。
特開2015−124987号公報 国際公開第2014/010738号 特許第5901191号公報 特許第5390960号公報 特許第4301085号公報 特許第4224275号公報
上述のような課題を解決するため、本出願は、冷凍機が供給する冷水の流量の測定結果の信頼性を向上させ、それにより冷凍機の性能評価の精度を高めることを可能にする流量計校正方法を提供することを第1の目的とする。
また、本出願は、冷凍機に出入りする冷水の往還温度差の測定結果の信頼性を向上させ、それにより冷凍機の性能評価の精度を高めることを可能にする温度計校正方法を提供することを第2の目的とする。
さらに、本出願は、低い冷却水温度のデータが取れない状況の実測運転データからでも、冷凍機の性能を精度良く予測することができる冷凍機性能評価方法を提供することを第3の目的とする。
さらに、本出願は、複数の冷凍機の相対的な性能差を高い信頼性で把握することができる冷凍機性能評価方法を提供することを第4の目的とする。
本出願が提供する流量計校正方法、温度計校正方法及び冷凍機性能評価方法は、何れも、複数台の冷凍機が負荷設備に並列に接続され、複数台の冷凍機と負荷設備との間で冷水を循環させるように構成された冷凍機システムに適用される。
まず、本出願が提供する流量計校正方法の概要について説明する。本出願が提供する流量計校正方法が適用される冷凍機システムは、冷凍機ごとに設けられ冷凍機が供給する冷水の流量を計測する流量計と、負荷設備に供給された冷水の流量を計測する二次側流量計とを備える。各流量計及び二次側流量計は超音波式流量計でもよいし電磁流量計でもよいが、それら全てが同一種類であることが好ましい。
本出願が提供する流量計校正方法は、上記の第1の目的を達成するために、少なくとも次の2つの工程を有する。第1の工程では、複数台の冷凍機のうち第1の冷凍機のみが運転しているときに二次側流量計の出力と第1の冷凍機に設けられた流量計である第1の流量計の出力とをそれぞれ取得し、二次側流量計の出力と第1の流量計の出力との比較に基づいて、二次側流量計を基準にして第1の流量計を校正するための第1の校正データを作成することが行われる。なお、“第1の冷凍機”は、複数台の冷凍機のうちの特別な一台ではなく任意の一台である。第2の工程では、第1の冷凍機が運転されるとき、第1の工程で作成した第1の校正データを用いて第1の流量計の出力を補正することが行われる。
本出願が提供する流量計校正方法は、さらに次の2つ工程を有してもよい。第3の工程では、複数台の冷凍機のうち第1の冷凍機と第2の冷凍機のみが運転しているときに二次側流量計の出力と第1の流量計の出力と第2の冷凍機に設けられた流量計である第2の流量計の出力とをそれぞれ取得し、二次側流量計の出力と第1の流量計の出力との差分と第2の流量計の出力との比較に基づいて、二次側流量計を基準にして第2の流量計を校正するための第2の校正データを作成することが行われる。なお、“第2の冷凍機”は、複数台の冷凍機のうちの特別な一台ではなく第1の冷凍機以外の任意の一台である。第4の工程では、第2の冷凍機が運転されるとき、第3の工程で作成した第2の校正データを用いて第2の流量計の出力を補正することが行われる。
次に、本出願が提供する温度計校正方法の概要について説明する。本出願が提供する温度計校正方法が適用される冷凍機システムは、冷凍機ごとに設けられ冷凍機に入る冷水の温度を計測する冷水入口温度計と、冷凍機ごとに設けられ冷凍機から出た冷水の温度を計測する冷水出口温度計とを備える。冷水入口温度計と冷水出口温度計の種類は同一であることが好ましい。
本出願が提供する温度計校正方法は、上記の第2の目的を達成するために、少なくとも次の3つの工程を有する。第1の工程では、複数台の冷凍機のうちの第1の冷凍機に設けられた冷水入口温度計である第1の冷水入口温度計と第1の冷凍機に設けられた冷水出口温度計である第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにすることが行われる。なお、先にも述べたように、“第1の冷凍機”は、複数台の冷凍機のうちの特別な一台ではなく任意の一台である。第2の工程では、第1の冷水入口温度計と第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を同じ温度の冷水が流れているときに第1の冷水入口温度計の出力と第1の冷水出口温度計の出力とをそれぞれ取得し、第1の冷水入口温度計の出力と第1の冷水出口温度計の出力との差を基本出力差として決定することが行われる。そして、第3の工程では、第1の冷凍機が運転されるとき、第2の工程で決定した基本出力差を用いて第1の冷水出口温度計の出力と第1の冷水入口温度計の出力との差を補正することが行われる。
上記第1の工程では、第1の冷水入口温度計と第1の冷水出口温度計の少なくとも一方を一時的に移設することにより、第1の冷水入口温度計と第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにしてもよい。或いは、上記第1の工程では、第1の冷凍機が停止しているときに、第1の冷水入口温度計から第1の冷水出口温度計へと向かう冷水の流れを生じさせることにより、第1の冷水入口温度計と第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにしてもよい。
次に、本出願が提供する冷凍機性能評価方法について説明する。本出願が提供する冷凍機性能評価方法には、上記の第3の目的を達成するための第1の冷凍機性能評価方法と、上記の第4の目的を達成するための第2の冷凍機性能評価方法とが含まれる。
まず、本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法の概要について説明する。本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法は、詳しくは、冷凍機単体の性能評価方法である。本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法が適用される冷凍機システムは、冷凍機ごとに設けられ冷凍機が供給する冷水の流量を計測する流量計と、冷凍機ごとに設けられ冷凍機に入る冷水の温度を計測する冷水入口温度計と、冷凍機ごとに設けられ冷凍機から出た冷水の温度を計測する冷水出口温度計と、冷凍機ごとに設けられ冷凍機に入る冷却水の温度を計測する冷却水入口温度計とを備える。各流量計は超音波式流量計でもよいし電磁流量計でもよいが、それら全てが同一種類であることが好ましい。冷水入口温度計と冷水出口温度計の種類は同一であることが好ましい。
本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法は、上記の第3の目的を達成するために、少なくとも次の3つの工程を有する。第1の工程では、複数台の冷凍機のうちの第1の冷凍機に設けられた冷却水入口温度計により冷却水入口温度を測定するとともに、第1の冷凍機に設けられた冷水入口温度計の出力と第1の冷凍機に設けられた冷水出口温度計の出力との差と、第1の冷凍機に設けられた流量計の出力とに基づいて、第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数を計算することが行われる。第2の工程では、第1の冷凍機の負荷率別に、第1の冷凍機の冷却水入口温度を横軸にとり、第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数を縦軸にとったグラフ上にデータをプロットすることが行われる。そして、第3の工程では、第1の冷凍機の負荷率別に、グラフ上にプロットされたデータ間の関係を所定の次数の近似式で近似することが行われる。なお、第1の工程において、第1の冷凍機の冷却水入口温度の代わりに冷却水出口温度を測定し、第2の工程において、第1の冷凍機の冷却水入口温度に代えて冷却水出口温度をグラフの横軸にとってもよい。
本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法は、さらに次の3つの工程(第4乃至第6の工程)の何れか1つ又は何れか2つ或いは全てを有してもよい。第4の工程では、複数台の冷凍機の間で負荷率の分担を調整することによって第1の冷凍機の負荷率を変化させることが行われる。第5の工程では、データのない冷却水入口温度での第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数を、近似式を用いて予測することが行われる。第6の工程では、近似式を用いて予測した第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数と、実際の第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数との比較に基づいて、第1の冷凍機の性能の変化を評価することが行われる。
本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法は、さらに、複数台の冷凍機の間で第1の冷凍機となる冷凍機を順番に交代させ、上述の各工程を複数台の冷凍機の全てについて実行することにより、複数台の冷凍機のそれぞれについて近似式を取得することを含んでもよい。その場合、複数台の冷凍機のそれぞれについて得た近似式を用いて、任意の運転条件のもとにおいて複数台の冷凍機のそれぞれの消費電力若しくは成績係数を予測し、予測結果に基づいて優先的に運転する冷凍機を決定してもよい。
なお、本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法は、前述の流量計校正方法と温度計校正方法を組み合わせることができる。それらを組み合わせることにより、上記の第3の目的の達成度をより高めることができる。本出願の請求項1に係る発明は、本出願が提供する流量計校正方法と温度計校正方法とを、本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法に組み合わせたものに相当する。
次に、本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法の概要について説明する。本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法は、詳しくは、冷凍機間の比較による性能評価方法である。本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法が適用される冷凍機システムは、負荷設備に供給された冷水の流量を計測する二次側流量計と、負荷設備に入る冷水の温度を計測する二次側冷水入口温度計と、負荷設備から出た冷水の温度を計測する二次側冷水出口温度計と、冷凍機ごとに設けられ冷凍機に入る冷却水の温度を計測する冷却水入口温度計とを備える。二次側冷水入口温度計と二次側冷水出口温度計の種類は同一であることが好ましい。
本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法は、上記の第4の目的を達成するために、少なくとも次の3つの工程を有する。第1の工程では、複数台の冷凍機のなかから性能評価の対象とする対象冷凍機を選択することが行われる。第1の工程では、対象冷凍機のみが運転しているときに、対象冷凍機に設けられた冷却水入口温度計により冷却水入口温度を測定するとともに、二次側冷水入口温度計の出力と二次側冷水出口温度計の出力との差と、二次側流量計の出力とに基づいて、対象冷凍機の消費電力若しくは成績係数を計算することが行われる。第2の工程では、対象冷凍機の負荷率別に、対象冷凍機の冷却水入口温度を横軸にとり、対象冷凍機の消費電力若しくは成績係数を縦軸にとったグラフ上にデータをプロットすることが行われる。第3の工程では、対象冷凍機の負荷率別に、グラフ上にプロットされたデータ間の関係を所定の次数の近似式で近似することが行われる。さらに、本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法では、複数台の冷凍機の間で対象冷凍機となる冷凍機を順番に交代させ、上述の各工程を複数台の冷凍機の全てについて実行することにより、複数台の冷凍機のそれぞれについて近似式を得ることが行われる。
本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法は、さらに、複数台の冷凍機のそれぞれについて得た近似式を用いて、任意の運転条件のもとにおいて複数台の冷凍機のそれぞれの消費電力若しくは成績係数を予測し、予測結果に基づいて優先的に運転する冷凍機を決定することを含んでもよい。
本出願が提供する流量計校正方法によれば、負荷設備の側に設けられた二次側流量計を基準にして冷凍機の側に設けられた流量計を校正することによって、流量計の絶対的な精度を追及せずとも、冷凍機が供給する冷水の流量の測定結果の信頼性を向上させ、それにより冷凍機の性能評価の精度を高めることができる。
本出願が提供する温度計校正方法によれば、同じ温度条件で得られた冷水入口温度計の出力と冷水出口温度計の出力との差を基本出力差として往還温度差を補正することによって、各温度計の絶対的な精度を追及せずとも、冷凍機に出入りする冷水の往還温度差の測定結果の信頼性を向上させ、それにより冷凍機の性能評価の精度を高めることができる。
本出願が提供する第1の冷凍機性能評価方法によれば、冷却水入口温度を横軸にとり消費電力若しくは成績係数を縦軸にとったグラフ上に負荷率別にプロットしたデータ間の関係を低次の近似式で近似することにより、低い冷却水温度のデータが取れない状況の実測運転データからでも、冷凍機の性能を予測することができる。これによれば冷凍機の性能低下をより早く察知することできる。
本出願が提供する第2の冷凍機性能評価方法によれば、複数台の冷凍機のそれぞれについて、冷却水入口温度を横軸にとり消費電力若しくは成績係数を縦軸にとったグラフ上に負荷率別にプロットしたデータ間の関係を低次の近似式で近似することにより、複数の冷凍機の相対的な性能差を高い信頼性で把握することができる。これに基づき運転する冷凍機を選択すれば、システム全体で消費するエネルギーを低減することができる。
本実施の形態の冷凍機システムの構成を示す図である。 親流量計の出力と子流量計の出力との関係を示す図である。 冷水入口温度計の出力と冷水出口温度計の出力との差と冷水の温度との関係を示す図である。 冷却水入口温度ごとの負荷率とCOPとの関係を示す図である。 負荷率ごとの冷却水入口温度と消費電力との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
1.冷凍機システムの構成
図1は本実施の形態の冷凍機システムの構成を示す図である。冷凍機システムは一次側システムと二次側システムとからなる。図1において、一次側システムには複数の冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4が含まれ、二次側システムには負荷設備LSが含まれる。図1は、一次側システムに4台の冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4が設けられている場合について例示しているが、冷凍機の台数は任意に決定することができる。また、冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4に接続される二次側システムの負荷設備LSの台数についても任意に決定することができる。
冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4はターボ冷凍機である。ただし、吸収式冷凍機であってもよい。各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4は負荷設備LSに並列に接続され、冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4と負荷設備LSとの間で冷水が循環する。各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4と負荷設備LSとを接続する並列管路において、冷水の流れから見た各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4の上流側には、冷水を圧送する冷水ポンプCP−1,CP−2,CP−3,CP−4が設置されている。上記の並列管路において、各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4と各冷水ポンプCP−1,CP−2,CP−3,CP−4との間には、各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4に入る冷水の温度を測定するための冷水入口温度計TR11,TR21,TR31,TR41が取り付けられている。また、上記の並列管路において、冷水の流れから見た各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4の下流側には、各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4から出た冷水の温度を測定するための冷水出口温度計TR12,TR22,TR32,TR42と、各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4が供給する冷水の流量を計測する流量計FR11,FR21,FR31,FR41が取り付けられている。
負荷設備LSは、例えば、空調装置や生産装置等である。上記並列管路が集合する二次側のヘッダー管路において、冷水の流れから見た負荷設備LSの上流側には、負荷設備LSに入る冷水の温度を測定するための二次側冷水入口温度計T20が取り付けられている。また、上記ヘッダー管路において、冷水の流れから見た負荷設備LSの下流側には、負荷設備LSから出た冷水の温度を測定するための二次側冷水出口温度計T21と、負荷設備LSに供給された冷水の流量を測定するための二次側流量計F21が取り付けられている。
一次側システムには、冷却塔CT1,CT2が含まれる。図1において、冷却塔CT1には、3台の冷凍機R−1,R−2,R−3が並列に接続され、冷却塔CT1と冷凍機R−1,R−2,R−3との間で冷却水が循環する。各冷凍機R−1,R−2,R−3と冷却塔CT1とを接続する並列管路において、冷却水の流れから見た各冷凍機R−1,R−2,R−3の上流側には、冷却水を圧送する冷却水ポンプCDP−1,CDP−2,CDP−3が設置されている。冷却水の流れから見た冷却塔CT1の下流には、冷却塔CT1から出て各冷凍機R−1,R−2,R−3に入る冷却水の温度を測定するための冷却水入口温度計TCT11が取り付けられている。冷却水の流れから見た冷却塔CT1の上流には、各冷凍機R−1,R−2,R−3から出て冷却塔CT1に入る冷却水の温度を測定するための冷却水出口温度計TCT12が取り付けられている。
冷却塔CT2には、1台の冷凍機R−4が接続されている。冷凍機R−4と冷却塔CT2とを接続する循環管路において、冷却水の流れから見た冷凍機R−4の上流側には、冷却水を圧送する冷却水ポンプCDP−4が設置されている。冷却水の流れから見た冷却塔CT2の下流には、冷却塔CT2から出て冷凍機R−4に入る冷却水の温度を測定するための冷却水入口温度計TCT21が取り付けられている。冷却水の流れから見た冷却塔CT2の上流には、冷凍機R−4から出て冷却塔CT2に入る冷却水の温度を測定するための冷却水出口温度計TCT22が取り付けられている。
冷凍機システムは性能評価装置COMを備える。上述の温度計と流量計の全ては性能評価装置COMに接続されている。性能評価装置COMは、少なくとも1つのCPUと、少なくとも1つのROMと、少なくとも1つのRAMとを備えるコンピュータである。性能評価装置COMは、各温度計や流量計から得た情報に基づいて各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4の消費電力やCOPを計算し、また、各冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4の性能を評価するための性能評価指数を計算する。
2.流量計の校正方法
本実施の形態では、従来のように流量計ごとに絶対的な精度を追及することは行わない。冷凍機システムの流量計のうち、一次側に配置される流量計FR11,FR21,FR31,FR41は、その設置位置に関する制約が大きく、必要な直管長を確保することができないことが多い。これに対し、二次側流量計F21は設置位置に関する制約が比較的少ないため、必要な直管長を確保して高い精度を確保できている場合が多い。ゆえに、本実施の形態では、二次側流量計F21を基準である親流量計として、それとの比較によって各流量計FR11,FR21,FR31,FR41を校正する。以下、本実施の形態の流量計校正方法の手順について説明する。
2−1.親流量計との1対1による校正
まず、4台の冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4のうち冷凍機R-1のみを運転する。そして、冷凍機R-1のみの運転中に、二次側流量計F21の出力と、冷凍機R−1に設けられた流量計である流量計FR11の出力とをそれぞれ取得する。冷凍機R-1のみが運転している場合、流量計FR11を通過する冷水の流量と二次側流量計F21を通過する冷水の流量とは一致する。しかし、設置条件や個体差等による出力特性の違いにより、両者の出力にはずれが生じる。図2は、二次側流量計F21(親流量計)の出力と流量計FR11(子流量計)の出力との関係の一例を示す図である。図2において、2つの流量計の出力にずれがなければ、両者の関係は図2において実線で示す関係になる。ところが、両者の出力にずれがある場合、流量計が超音波式流量計であるなら、両者の関係は例えば図2において点線で示すような関係になる。また、流量計が電磁流量計であるなら、両者の関係は例えば図2において1点鎖線で示すような関係になる。
二次側流量計F21の出力と流量計FR11の出力のそれぞれについて十分なデータが得られたら、それらの比較に基づいて、二次側流量計F21を基準にして流量計FR11を校正するための校正データを作成する。校正データは、図2において点線或いは1点鎖線で示す関係を実線で示す関係に補正するための補正式で表される。この校正データを用いて流量計FR11の出力を補正することにより、流量計FR11を信頼性の確保できる状態にすることができる。性能評価装置COMは、今後、冷凍機R−1が運転されるときには、ここで作成した校正データを用いて流量計FR11の出力を補正する。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、残りの流量計FR21,FR31,FR41についても信頼性を確保するための校正データを得ることができる。
2−2.親流量計と校正済み子流量計との組み合わせによる校正
また、残りの流量計FR21,FR31,FR41についての校正データは、次の方法でも作成することができる。例えば、流量計FR21についての校正データを作成する場合には、4台の冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4のうち冷凍機R-1と冷凍機R−2のみを運転する。そして、冷凍機R-1と冷凍機R−2の運転中に、二次側流量計F21の出力と、冷凍機R−1に設けられた流量計である流量計FR11の出力と、冷凍機R−2に設けられた流量計である流量計FR21の出力とをそれぞれ取得する。2つの冷凍機R-1,R−2が運転している場合、流量計FR11を通過する冷水の流量と流量計FR21を通過する冷水の流量との和は、二次側流量計F21を通過する冷水の流量と一致する。
流量計FR11の出力は先に作成した校正データにより補正されているので、流量計FR21の出力が二次側流量計F21の出力と流量計FR11の出力との差分に一致するように補正することができれば、流量計FR21を信頼性の確保できる状態にすることができる。よって、この場合、二次側流量計F21の出力と流量計FR11の出力との差分と流量計FR21の出力との比較に基づいて、二次側流量計F21を基準にして流量計FR21を校正するための校正データ(補正式で表される)を作成する。性能評価装置COMは、今後、冷凍機R−2が運転されるときには、ここで作成した校正データを用いて流量計FR21の出力を補正する。
以上の処理を他の冷凍機R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、残りの流量計FR31,FR41についても信頼性を確保するための校正データを得ることができる。なお、ここでは冷凍機R−1の流量計FR11から順に校正する場合について説明したが、校正の順番はこれに限るものではない。
3.温度計の校正方法
温度計に誤差を生じさせる要因は様々であるが、全体の中でも導線抵抗のばらつきによる影響が最も大きい。ただし、本実施の形態では、従来のように温度計ごとに絶対的な精度を追及することは行わない。冷凍機システムでは、熱量を算出する際に往還温度差が用いられる。本実施の形態では、導線抵抗のばらつきによる誤差を解消することを目的に、2つの温度計で同じ温度の水を測定できる条件を作り、この時の往還温度差を測定してその測定値をオフセットとして温度差に加算することを行う。以下、本実施の形態の温度計校正方法の手順について説明する。
3−1.往還温度計を一時的に直近の配管に移設
例えば、冷凍機R−1の往還温度差の誤差を解消したい場合、往還温度計、すなわち、対となる冷水入口温度計TR11と冷水出口温度計TR12の少なくとも一方を一時的に移設することにより、往還温度計TR11,TR12のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにする。具体的には、冷水入口温度計TR11を冷水出口温度計TR12の直近に設けられたさや管に移設する。この状態で冷水ポンプCP−1を運転することにより、それぞれの設置場所を同じ温度の冷水が流れるようにする。このとき冷凍機R−1それ自体は運転していてもよいし停止していてもよい。
CP−1を運転しながら、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力とをそれぞれ取得する。図3は、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差の絶対値と冷水の温度との関係を示す図である。2つの温度計TR11,TR12の出力特性に違いがなければ、冷水の温度に関係なく出力差は生じない。しかし、実際には導線抵抗のばらつき等によって2つの温度計TR11,TR12には出力差が生じる。そして、この出力差は冷水の温度が高いほど大きくなる傾向がある。測定を長時間継続して安定した出力値が得られるようになったら、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差を基本出力差として決定する。基本出力差は、図3に示すように冷水の温度をパラメータとする関数(例えば一次関数)として表すことができる。性能評価装置COMは、今後、冷凍機R−1が運転されるときには、ここで決定した基本出力差を用いて冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差、すなわち、冷凍機R−1の往還温度差を補正する。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、それらについても往還温度差の誤差を解消するための往還温度計の基本出力差を得ることができる。
負荷設備LSの往還温度差の誤差を解消したい場合は、往還温度計T20,T21の少なくとも一方を一時的に移設することにより、往還温度計T20,T21のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにする。具体的には、二次側冷水入口温度計T20を二次側冷水出口温度計T21の直近に設けられたさや管に移設する。そして、長時間の測定により得られた出力差を両者の基本出力差として決定する。
校正済みの校正用温度計が用意されているのであれば、この校正用温度計を二次側冷水出口温度計T21の直近に設けられたさや管に取り付けてもよい。この場合、両者の出力差を二次側冷水出口温度計T21の出力を補正する補正値として用いることができる。また、校正用温度計を二次側冷水入口温度計T20の直近に設けられたさや管に取り付けて両者の温度差を取得すれば、それを二次側冷水入口温度計T20の出力を補正する補正値として用いることができる。
3−2.バイパス配管により往還温度計に同温の冷水を供給
冷凍機R−1が停止しているときに、冷水入口温度計TR11から冷水出口温度計TR12へと向かう冷水の流れを生じさせることによっても、冷水入口温度計TR11と冷水出口温度計TR12のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにすることができる。具体的には、冷凍機R−1の入口と出口のそれぞれにバルブVR12,VR13を設けるとともに、バルブVR12の上流とバルブVR12の下流とを接続するバルブVR11を設ける。そして、バルブ弁VR12,VR13を閉じてバルブVR11を開く。
この状態でCP−1を運転することにより、冷水は冷凍機R−1をバイパスし、同じ温度の冷水が冷水入口温度計TR11と冷水出口温度計TR12を流れるようになる。冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力とをそれぞれ長時間継続して取得し、安定した出力値が得られるようになったら、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差を基本出力差として決定する。性能評価装置COMは、今後、冷凍機R−1が運転されるときには、ここで決定した基本出力差を用いて冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差、すなわち、冷凍機R−1の往還温度差を補正する。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、それらについても往還温度差の誤差を解消するための往還温度計の基本出力差を得ることができる。
3−2.冷凍機の停止状態又は無負荷状態で冷水を供給
冷凍機R−1が停止状態又は無負荷状態のときであれば、CP−1を運転することによって、同じ温度の冷水が冷水入口温度計TR11と冷水出口温度計TR12を流れるようになる。この状態で冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力とをそれぞれ長時間継続して取得し、安定した出力値が得られるようになったら、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差を基本出力差として決定する。性能評価装置COMは、今後、冷凍機R−1が運転されるときには、ここで決定した基本出力差を用いて冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差、すなわち、冷凍機R−1の往還温度差を補正する。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、それらについても往還温度差の誤差を解消するための往還温度計の基本出力差を得ることができる。
4.冷凍機単体の性能評価方法
冷凍機の性能低下の要因には、主に、熱交換チューブの汚れや冷媒の漏れ等が挙げられる。正常時には、冷媒温度と冷水温度との温度差(アプローチ温度)を計測して熱交換チューブの汚れの進行を管理し、チューブ清掃の要不要を見極めている。アプローチ温度は、一度計測を始めればチューブの汚れの進行につれて確実に拡大して行くことから、アプローチ温度に基づいて性能を評価する方法は、信頼性の高い方法であると言える。しかしながら、この方法だけでは、熱交換チューブの汚れ以外の要因が複合して発生している場合、チューブ汚れによって性能が低下しているのか、それ以外の要因が有るのか判断が難しかった。
そこで、図4に示すような性能評価のためのグラフを用いて、冷凍機がチューブ汚れ以外の異常が無い状態での性能評価指数を算出することが検討された。図4に示すグラフは従来知られている冷凍機の性能評価のためのグラフである。(A)は冷凍機がインバータ機である場合のグラフ、(B)は冷凍機が固定速機である場合のグラフである。このグラフから得られた性能評価指数を実際の性能評価指数と比較することで、チューブ汚れ以外の異常の有無を推定することができる。ただし、このグラフは、横軸に負荷率をとり縦軸にCOPをとったものであって、冷却水温度別に冷凍機の性能がプロットされる。このため、測定時に実現可能な冷却水温度、つまり、外気の湿球温度よりも低い温度の近似式を作ることができない。また、特性曲線が非線形であるため、広範囲・高密度のデータ測定が必要であり、近似式の精度を上げることは難しい。
上記の問題に対する解決策として、本性能評価方法では、図5に示すような性能評価のためのグラフを用いる。このグラフは、冷凍機の負荷率別に、冷凍機の冷却水入口温度を横軸にとり、冷凍機の消費電力若しくはCOPを縦軸にとったものである。(A)は冷凍機がインバータ機である場合のグラフ、(B)は冷凍機が固定速機である場合のグラフである。図5(A)或いは(B)に示すような性能評価のためのグラフは、例えば次のように作成される。
冷凍機R−1の性能評価のためのグラフを作成する場合、まず、冷却水入口温度計TCT11により冷凍機R−1の冷却水入口温度を測定する。また、冷水入口温度計TR11の出力と冷水出口温度計TR12の出力との差と、流量計FR11の出力とに基づいて、公知の計算式を用いて冷凍機R−1の消費電力若しくはCOPを計算する。そして、冷凍機R−1の負荷率別に、例えば5%刻みで、冷凍機R−1の冷却水入口温度を横軸にとり、冷凍機R−1の消費電力若しくはCOPを縦軸にとったグラフ上にデータをプロットして行く。冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4間で負荷率を分担することで、冷凍機R−1の負荷率を意図的に変化させることができる。そして、冷凍機R−1の負荷率別に、グラフ上にプロットされたデータ間の関係を所定の次数、具体的には、1次又は2次の近似式で近似する。
このようにして得られた近似式を使用すれば、実際に計測できていない冷却水温度のデータ、詳しくは、測定時に実現可能な最低の冷却水温度、つまり、外気の湿球温度よりも低温でのデータも予測計算可能となる。例えば、実際の冷却水温度が20℃程度までしか下がらない夏季においても、近似式による予測計算によって、冷却水温度が大きく低下する冬季における性能を予測することができる。また、初期状態での消費電力若しくはCOPに対する現在の消費電力若しくはCOPの比率を性能評価指数(100%が初期状態)として表すことにより、性能の低下を定量化することができる。例えばアフタークーラの詰りによる性能低下が発生した場合、アプローチ温度の変化は無いにもかかわらず冷凍機R−1の性能評価指数が低下する。このことから、何らかの異常が冷凍機R−1に発生していることを認識することができ、原因究明に向けた行動を素早く起こすことも可能となる。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行うことにより、それらについても図5(A)或いは(B)に示すような性能評価のためのグラフを作成することができる。なお、グラフの横軸を外気の露点温度とし、縦軸の消費電力には冷却塔と冷却水ポンプの消費電力を含めてもよい。
本性能評価方法を実施する場合には、それに先立ち、前述の流量計の校正方法によって、流量計FR11,FR21,FR31,FR41の出力を補正するための校正データを得ておくことが望ましい。また、前述の温度計の校正方法によって、各冷凍機R−1、R−2,R−3,R−4の往還温度差の誤差を解消するための往還温度計の基本出力差を得ておくことが望ましい。これらの方法を予め実施しておくことにより、本性能評価方法による冷凍機単体の性能評価の精度を向上させることができる。
5.冷凍機間の比較による性能評価方法
冷凍機の性能を評価する方法には、上記のように冷凍機の個々の性能評価指数を計算する方法の他にも、冷凍機間の比較によって性能を評価する方法がある。以下、この方法について説明する。
まず、4台の冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4のなかから性能評価の対象とする冷凍機を選択する。ここでは、冷凍機R−1を最初の性能評価の対象とする。
冷凍機R−1のみが運転しているときに、冷却水入口温度計TCT11により冷却水入口温度を測定する。また、二次側冷水入口温度計T20の出力と二次側冷水出口温度計T21の出力との差と、二次側流量計F21の出力とに基づいて、公知の計算式を用いて冷凍機R−1の消費電力若しくはCOPを計算する。そして、冷凍機R−1の負荷率別に、例えば5%刻みで、冷凍機R−1の冷却水入口温度を横軸にとり、冷凍機R−1の消費電力若しくはCOPを縦軸にとったグラフ上にデータをプロットして行く。冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4間で負荷率を分担することで、冷凍機R−1の負荷率を意図的に変化させることができる。そして、冷凍機R−1の負荷率別に、グラフ上にプロットされたデータ間の関係を所定の次数、具体的には、1次又は2次の近似式で近似する。
以上の処理を他の冷凍機R−2,R−3,R−4についても繰り返し行う。これにより、全ての冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4について性能評価のための近似式を得ることができる。
そして、冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4のそれぞれについて得た近似式を用いて、任意の運転条件のもとにおいて冷凍機R−1,R−2,R−3,R−4のそれぞれの消費電力若しくはCOPを予測する。予測が行われる運転条件は、例えば、負荷率や冷却水温度等であり、冷水の負荷熱量や外気温湿度等の実際の条件に応じて決定される。それぞれの冷凍機について予測結果が得られたら、予測結果に基づいて優先的に運転する冷凍機を決定する。例えば、性能が高い冷凍機から順に運転を行うように、冷凍機間の運転順序が決定される。
本性能評価方法では、冷凍機ごとに設けられた往還温度計と流量計ではなく、二次側の往還温度計T20,T21と流量計F21を使用し、二次側の熱量を使って各冷凍機の冷水熱量を算出する。これによれば、冷凍機ごとに設けられた往還温度計や流量計の校正ができていない場合であっても、消費電力若しくはCOPを精度良く計算することができるので、冷凍機ごとに設けられた往還温度計と流量計を用いる場合に比較して高い信頼性を持った評価を行うことができる。
背景技術の章で説明したように、従来の性能評価の方法は、個々のセンサの絶対的な精度の向上を目指したものとなっている。しかし、センサの誤差を考慮するとその評価結果に対する信頼性は十分とは言えなかった。つまり、仮に2台の冷凍機の内、片方がもう一台より5%性能が高いと言う評価結果が出ていたとしても、その評価結果に従って冷凍機の運転の優先順位を決定する動機に繋がるものではなかった。
本性能評価方法によれば、複数台の冷凍機を低精度の異なる天秤にかけるのではなく、低精度ではあるが、共通の天秤にかけることで、絶対的精度に拘らずに、相対的にどちらの冷凍機の方の性能が高いのかをより高い信頼性で認識することが可能となる。本性能評価方法による評価結果に基づき運転すべき冷凍機を決定することで、実際の消費電力を確実に低減させることができるとともに、何故、複数の冷凍機間で性能差が出るのかを追及して行くことも可能となる。
R−1,R−2,R−3,R−4 冷凍機
LS 負荷設備
CT1,CT2 冷却塔
CP−1,CP−2,CP−3,CP−4 冷水ポンプ
CDP−1,CDP−2,CDP−3,CDP−4 冷却水ポンプ
TR11,TR21,TR31,TR41 冷水入口温度計
TR12,TR22,TR32,TR42 冷水出口温度計
T20 二次側冷水入口温度計
T21 二次側冷水出口温度計
FR11,FR21,FR31,FR41 流量計
F21 二次側流量計
TCT11,TCT21 冷却水入口温度計
TCT12,TCT22 冷却水出口温度計
COM 制御装置

Claims (3)

  1. 複数台の冷凍機が負荷設備に並列に接続され、前記複数台の冷凍機と前記負荷設備との間で冷水を循環させるように構成された冷凍機システムであって、前記冷凍機ごとに設けられ前記冷凍機が供給する冷水の流量を計測する流量計と、前記冷凍機ごとに設けられ前記冷凍機に入る冷水の温度を計測する冷水入口温度計と、前記冷凍機ごとに設けられ前記冷凍機から出た冷水の温度を計測する冷水出口温度計と、前記冷凍機ごとに設けられ前記冷凍機に入る冷却水の温度を計測する冷却水入口温度計と、前記負荷設備に供給された冷水の流量を計測する二次側流量計と備える冷凍機システム、における冷凍機性能評価方法であって、
    前記複数台の冷凍機のうち第1の冷凍機のみが運転しているときに前記二次側流量計の出力と前記第1の冷凍機に設けられた流量計である第1の流量計の出力とをそれぞれ取得し、前記二次側流量計の出力と前記第1の流量計の出力との比較に基づいて、前記二次側流量計を基準にして前記第1の流量計を校正するための第1の校正データを作成する工程と、
    前記第1の冷凍機が運転されるとき、前記第1の校正データを用いて前記第1の流量計の出力を補正する工程と、
    前記第1の冷凍機に設けられた冷水入口温度計である第1の冷水入口温度計と前記第1の冷凍機に設けられた冷水出口温度計である第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を流れる冷水の温度を同じにする工程と、
    前記第1の冷水入口温度計と前記第1の冷水出口温度計のそれぞれの設置場所を同じ温度の冷水が流れているときに前記第1の冷水入口温度計の出力と前記第1の冷水出口温度計の出力とをそれぞれ取得し、前記第1の冷水入口温度計の出力と前記第1の冷水出口温度計の出力との差を基本出力差として決定する工程と、
    前記第1の冷凍機が運転されるとき、前記基本出力差を用いて前記第1の冷水出口温度計の出力と前記第1の冷水入口温度計の出力との差を補正する工程と、
    前記第1の冷凍機に設けられた冷却水入口温度計である第1の冷却水入口温度計により冷却水入口温度を測定するとともに、前記第1の冷水入口温度計の出力と前記第1の冷水出口温度計の出力との差と、前記第1の流量計の出力とに基づいて、前記第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数を計算する工程と、
    前記第1の冷凍機の負荷率別に、前記第1の冷凍機の冷却水入口温度を横軸にとり、前記第1の冷凍機の消費電力若しくは成績係数を縦軸にとったグラフ上にデータをプロットする工程と、
    前記第1の冷凍機の負荷率別に、前記グラフ上にプロットされたデータ間の関係を所定の次数の近似式で近似する工程と、を有する
    ことを特徴とする冷凍機性能評価方法。
  2. 複数台の冷凍機が負荷設備に並列に接続され、前記複数台の冷凍機と前記負荷設備との間で冷水を循環させるように構成された冷凍機システムであって、前記冷凍機ごとに設けられ前記冷凍機が供給する冷水の流量を計測する流量計と、前記負荷設備に供給された冷水の流量を計測する二次側流量計とを備える冷凍機システムにおける流量計校正方法であって、
    前記複数台の冷凍機のうち第1の冷凍機のみが運転しているときに前記二次側流量計の出力と前記第1の冷凍機に設けられた流量計である第1の流量計の出力とをそれぞれ取得し、前記二次側流量計の出力と前記第1の流量計の出力との比較に基づいて、前記二次側流量計を基準にして前記第1の流量計を校正するための第1の校正データを作成する工程と、
    前記第1の冷凍機が運転されるとき、前記第1の校正データを用いて前記第1の流量計の出力を補正する工程と、を有する
    ことを特徴とする流量計校正方法。
  3. 前記複数台の冷凍機のうち前記第1の冷凍機と第2の冷凍機のみが運転しているときに前記二次側流量計の出力と前記第1の流量計の出力と前記第2の冷凍機に設けられた流量計である第2の流量計の出力とをそれぞれ取得し、前記二次側流量計の出力と前記第1の流量計の出力との差分と前記第2の流量計の出力との比較に基づいて、前記二次側流量計を基準にして前記第2の流量計を校正するための第2の校正データを作成する工程と、
    前記第2の冷凍機が運転されるとき、前記第2の校正データを用いて前記第2の流量計の出力を補正する工程と、をさらに有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の流量計校正方法。
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