以下、本発明の各実施形態について、詳細に説明する。尚、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
〔実施形態1〕
本実施形態では、例えば、混合抽出用原料としての乳児用の粉ミルクと加熱した液体とを自動で混合(撹拌)して飲料としてのミルクを生成する粉末乳調乳装置(飲料生成装置,撹拌装置)、及びそれに備えられた液体冷却装置について説明する。尚、本実施形態では、飲料生成装置として、粉末乳調乳装置を例に挙げて説明するが、本発明の飲料生成装置は、必ずしもこれに限らない。例えば、混合抽出用原料としての挽きコーヒー豆に加熱した液体を注いで混合物としてのコーヒーを自動で生成する飲料生成装置としてのコーヒーメーカーに適用できる。その他、混合抽出用原料としての茶葉に加熱した液体を注いで混合物としての日本茶又は紅茶を自動で生成する飲料生成装置としての茶メーカーに適用できる。そして、本発明の一態様に係る液体冷却装置は、上記コーヒーメーカーまたは上記茶メーカーに対し、コーヒーまたは日本茶若しくは紅茶を冷却する冷却部に適用できる。また、本発明の液体冷却装置は、埃等の異物混入を低減しながら液体の冷却を素早く行うことができ、例えば、その他飲料の冷却または食品製造工程や化学プロセスにおける冷却等に適用できる。
(粉末乳調乳装置1Aの全体構成)
まず、図1に基づいて、粉末乳調乳装置1A(撹拌装置)の全体構成について説明する。図1は、本実施形態の粉末乳調乳装置1Aの構成を示す断面図である。
図1に示すように、粉末乳調乳装置1Aは、筐体としての装置本体2と、液体Lを貯留する貯留容器3と、混合物調製部としての調乳用ポット4(容器)とを備えている。
貯留容器3は、装置本体2の上部に配置されていると共に、装置本体2に対して着脱可能となっている。貯留容器3には、調乳に用いるための液体Lが貯留される。液体Lとして、例えば、水道水の他、赤ちゃん用の飲用水、純水又は天然水といった赤ちゃんが飲むのに適した水等が挙げられる。また、貯留容器3の下部には給水弁3aが設けられている。給水弁3aは、貯留容器3が装置本体2から取り外したときに閉まる。このため、貯留容器3を装置本体2から取り外して水道から給水すること、及び給水後持ち運びをすることができる。その後、貯留容器3を装置本体2に設置すると給水弁3aは開き、供給配管10及びヒータ12(加熱装置)に液体Lが供給される。以下に述べるように、ヒータ12は、液体Lが調乳用ポット4に注入される前に、当該液体Lを加熱する。
ここで、貯留容器3の側面には水量を把握できるように目盛りが付けられている。ユーザは、この目盛を用いて調乳量を調節できる。尚、目盛りは貯留容器3の内側側面に付けてもよいし、貯留容器3を透明にして外側から確認できるようにしてもよい。
また、貯留容器3には、例えば図示しない活性炭やイオン交換膜からなるフィルタ等を設置し、注がれた液体L内の不純物や塩素、バクテリアや細菌、イオン系金属類等の成分を除去可能とする構成としてもよい。さらに、液体Lを長時間貯留することを想定して、例えば紫外線照射装置等の殺菌装置を貯留容器3の上部に設置してもよい。これにより、貯留する液体Lに紫外線を照射し、殺菌できる。
装置本体2には、調乳用ポット4を載置する載置部2aが設けられている。ユーザは、調乳用ポット4にて、湯と飲料原料としての粉ミルクPMとの調製混合といったミルクMの生成作業を行う。また、調乳用ポット4内には、液体Lと粉ミルクPMとを混合するための撹拌子4aが設けられている。
装置本体2における調乳用ポット4の下方には、ユーザが粉末乳調乳装置1Aを操作するための操作パネル6が設けられている。この操作パネル6は、装置本体2の各部の動作を制御する制御部7に接続されている。
上記装置本体2の内部には、供給配管10、供給配管10にて供給された液体Lを加熱するヒータ12と、ヒータ12により加熱された液体Lを調乳用ポット4へ供給する給湯口13と、調乳用ポット4内の撹拌子4aを回転させるためのモータ5と、調乳用ポット4内のミルクMの温度を測定するサーミスタTM(温度検出部)と、が設けられている。供給配管10は、液体Lの貯留容器3への逆流を防ぐフロート式逆止弁11を備えている。また、装置本体2には、調乳用ポット4内にて生成されるミルクMを冷却する冷却部30Aが組み込まれている。このため、貯留容器3に貯留された液体Lは、貯留容器3から供給配管10の内部においてフロート式逆止弁11を経由してヒータ12の入口へと流入され、ヒータ12の出口からは冷却部30Aを経由して給湯口13へ流出される。
供給配管10としては、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属配管、またはシリコン系若しくはテフロン(登録商標)系の樹脂配管等の配管を使用できる。供給配管10の材質として、好ましくは、食品用途の供給に適した例えばシリコン系の部材を選定することが望ましい。本実施形態では、供給配管10として、例えば内径φ10mmのシリコンチューブを使用している。チューブの材質や内径等のサイズは任意に設定できる。また、粉末乳調乳装置1Aにおいて、供給配管10と各パーツとの接続は、供給配管10のサイズ等に適した任意の固定方法を選択できる。
フロート式逆止弁11は、液体Lのヒータ12から貯留容器3への逆流を防止する機能、及び液体Lの供給をフロート式逆止弁11の水位レベルで止める機能を有している。
図1に示すように、本実施形態では、ヒータ12は、例えばU字状の配管形状となっており、供給配管10の一部を周囲から覆うように形成されている。ヒータ12には、例えば、ニクロム線が内蔵されており、ミルク生成用の液体Lを加熱して煮沸させ、殺菌し、給湯口13へ供給する機能を有している。具体的には、以下の(1)〜(5)のとおりである。
(1)貯留容器3から液体Lが、フロート式逆止弁11を通して、供給配管10における、ヒータ12に覆われた、U字状の部分へ流入する。
(2)供給配管10における、ヒータ12に覆われた、U字状の部分へ流入された液体Lは、フロート式逆止弁11が取り付けられている高さまで満たされる。
(3)ヒータ12による加熱が開始されると、液体Lは沸騰し、その蒸気圧でヒータ12から押し上げられる。
(4)ヒータ12の入口側にはフロート式逆止弁11があるため、逆側のヒータ12出口からのみ液体Lが押し出され、該液体Lは供給配管10を経由して給湯口13に供給される。
(5)供給配管10におけるヒータ12に覆われた部分内の液体Lが減少することによって、供給配管10におけるヒータ12に覆われた部分内部の圧力が低下し、フロート式逆止弁11が開く。この結果、(1)に戻って加熱前の液体Lが流入する。
尚、本実施形態のヒータ12には、図示しない温度センサが設置されており、ヒータ12の加熱温度を常に測定できるようになっている。
以上の(1)〜(5)が、液体Lが貯留容器3から無くなるまで繰り返され、ヒータ12にて加熱された液体Lが給湯口13に圧送される。供給配管10の内部に液体Lが無くなると、ヒータ12からの熱が外部に伝わり難くなり、ヒータ12自体の温度が液体Lの沸騰温度以上まで上昇し易くなる。この結果、この上限となる温度を設定して検出することによって、ヒータ12の加熱が停止できるようになっている。
尚、液体Lはヒータ12から散水ノズル及びファンネル(図示せず)に圧送されるようになっていてもよい。散水ノズルからファンネルに液体Lが噴き出すことにより、液体Lの温度を下げることができる。この場合、給湯口13はファンネル下部に設けられ、給湯口13から調乳用ポット4に液体Lが滴下される。
給湯口13の下側には、調乳用ポット4が装置本体2の載置部2aに載置される。調乳用ポット4は、予め内部にセットしておいた乾燥粉末乳つまり粉ミルクPMとミルク生成用の煮沸済の液体Lとを調製混合することにより、ミルクM(液体)を生成するものである。ここで、後述する撹拌機構50A(冷却部)によってミルクMを撹拌した後には、ミルクMの量は、液体Lの量と等しい(より具体的には、実質的に等しい)と見なすことができる。
本実施形態では、調乳用ポット4の内部には、粉ミルクPMと液体Lとを撹拌混合するための撹拌子4aが設けられている。
撹拌子4aは、内部に磁石が配されており、磁石の表面が樹脂により覆われた形態となっている。磁石の表面を覆う樹脂は、食品用に適した樹脂であることが好ましく、材料として、例えば、前述した供給配管10の材質と同様のシリコン系若しくはテフロン(登録商標)系の樹脂、またはポリプロピレンなどを用いることが望ましい。
撹拌子4aの形状は、細長い繭状、八角棒状、円盤状、風車の羽根状など、様々な形状であってもよい。本実施形態では、撹拌子4aとして、Φ70〜Φ80mmの円盤状のものを用いている。
撹拌子4a内部の磁石は、調乳用ポット4の下方の装置本体2の内部に配置されるモータ5の回転軸に配置された図示しない磁石と対になっている。それゆえ、撹拌子4aは、モータ5の動作に対応して回転することになる。
モータ5は上述のように磁石を具備しており、モータ5が回転することにより磁石が回転する。この磁石の回転によって、撹拌子4aが回転する。すなわち、モータ5は撹拌子4aを回転させる機能を有している。したがって、撹拌子4a及びモータ5は、液体Lと粉ミルクPMとを回転させて混合する回転機構としての機能を有している。ここで、撹拌子4aとモータ5とを総称して、撹拌機構50Aと称する。また、撹拌機構50Aの撹拌動作によって形成されたミルクMの液面を、液面MLと称する。
本実施形態において、モータ5は、粉末乳調乳装置1Aの動作における、調乳用ポット4へ液体Lを滴下する動作と独立して制御される。すなわち、液体Lの滴下時にモータ5が動いていてもよいし、停まっていてもよい。加えて、モータ5の回転方向及び回転速度は可変となっており、後述するように、ミルクMを生成する際に制御部7により適時制御される。これにより、モータ5の制御を介して撹拌子4aの回転方向と回転速度とが制御される。
ここで、モータ5への給電系統には電流検出回路が設けられていることが好ましい。撹拌子4aが設置されていない状態でミルクMを生成する場合や、撹拌子4aが何らかの異常によりモータ5の磁石との位置ずれを起こした場合には、モータ5への負荷が減少する。この負荷の減少を電流検出回路によって検出することにより、粉末乳調乳装置1Aの動作の異常を検出できる。
冷却部30Aは、吸気口部31と、送風用のファン32と、孔部33を有する送風流路34と、を備え、混合後のミルクMを冷ます温度調節部として機能している。また、送風流路34には、下流側出口34cが設けられている。この冷却部30Aの構成について、詳しくは後述する。
サーミスタTMは、調乳用ポット4内の液体LまたはミルクMの温度を間接的に計測するためのものである。図1に示されるように、サーミスタTMは、調乳用ポット4の側面4sに接触するように配置されている。
調乳用ポット4内のミルクMの温度とサーミスタTMでの計測温度とを予め計測しておくことにより、ユーザ側で出来上がりのミルク温度を設定しておくことが可能となる。これにより、サーミスタTMで検出した温度から調乳完了の判断を行い、音またはランプ表示によりユーザに出来上がりを知らせる。
また、調乳用ポット4内のミルクMの温度の推移からミルクMの量を予測できる。このため、ミルクMと調乳用ポット4内面との接触面積及びミルクMの表面積ができる限り大きくなるように、撹拌子4aの回転速度を設定することが可能である。
ここで、サーミスタTMは、調乳用ポット4外表面の温度から内部の液体LまたはミルクMの温度を計測する。このため、サーミスタTMは、サーミスタTMと調乳用ポット4との伝熱を確実にするために、バネなどにより押付けて調乳用ポット4に当接されている。さらに、調乳用ポット4と装置本体2との位置関係を一定とするために、位置決めピンやガイドが設けられていることが望ましい。
出来上がったミルクMは、哺乳瓶に移され、赤ちゃんに与えられることになる。このため、音またはランプ表示によりユーザに出来上がりを知らせる場合には、授乳の目安である40℃よりも高めの温度、目安としては45℃前後で検出するように設定しておくことが望ましい。
このような飲料生成装置としての粉末乳調乳装置1Aでは、所望の量のミルクMを調乳するために必要な液体Lと粉ミルクPMとを、それぞれ貯留容器3と調乳用ポット4とに秤量し、粉末乳調乳装置1Aを動作させることによって、自動でミルクMを調乳できる。
(粉末乳調乳装置1Aにおける冷却および撹拌の制御)
続いて、図2を参照し、粉末乳調乳装置1Aにおける冷却および撹拌の制御について述べる。図2は、粉末乳調乳装置1Aの要部の構成を示す機能ブロック図である。粉末乳調乳装置1Aにおいて、制御部7は、撹拌制御部71、冷却制御部72(制御部)、および液体量推定部73を備えている。
撹拌制御部71は、撹拌機構50A(より具体的には、モータ5)の動作(撹拌動作)を制御する。例えば、撹拌制御部71は、上述の通りモータ5の回転方向および回転速度(換言すれば、調乳用ポット4内のミルクMを撹拌する速度。以降、撹拌速度とも称する)を制御できる。
を制御する。また、撹拌制御部71は、モータ5の駆動電流を調整することにより、モータ5のトルク(出力)を変化させることもできる。なお、撹拌制御部71は、撹拌機構50Aに内蔵されてもよい。
撹拌制御部71は、液体Lの調乳用ポット4への注入が開始された時点(給湯開始時点)で、モータ5の回転を開始させる。その後、撹拌制御部71は、あらかじめ設定された所定の撹拌速度まで、撹拌速度を徐々に増加させる。そして、撹拌制御部71は、液体Lの調乳用ポット4への注入が完了される時点(給湯完了時点)まで、当該所定の撹拌速度によって、撹拌機構50Aに撹拌動作を行わせる。この撹拌動作は、粉ミルクPMを液体Lに溶かすための操作である。
そして、以下に述べるように、撹拌制御部71は、液体量推定部73によって算出された推定液量(後述)に基づいて、給湯完了時点以降の撹拌速度を制御することもできる。
冷却制御部72は、冷却部30A(より具体的には、ファン32)の動作を制御する。例えば、冷却制御部72は、ファン32に内蔵されたモータ(不図示)の動作を制御することにより、ファン32の風量を調整できる。なお、冷却制御部72は、冷却部30Aに内蔵されてもよい。
なお、冷却制御部72は、サーミスタTMが検出したミルクMの温度(以下、検出温度と称する)に基づいて、冷却部30Aの動作を制御できる。以下に述べるように、冷却制御部72は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、検出温度の上昇の時間変化に基づいて、冷却部30Aの動作を制御してよい。
例えば、冷却制御部72は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、所定の時間(例:撹拌動作が開始された時点から10秒間)において、検出温度の上昇量が多いほど、ファン32の風量を多くするように、当該ファン32を制御してよい。これにより、高温のミルクMを迅速に冷却できる。
また、冷却制御部72は、検出温度が所定の温度(例:40℃,冷却完了温度とも称する)を下回った場合には、ファン32の動作を停止させてよい。これにより、適温よりも低い温度までミルクMを過剰に冷却してしまうことを防止できる。
液体量推定部73は、調乳用ポット4内のミルクMの量(換言すれば、液体Lの量)を推定する。以下、液体量推定部73が推定した調乳用ポット4内のミルクMの量を、推定液量と称する。液体量推定部73が推定液量を算出する具体的な方法については、後述の実施形態2および3にて述べる。
なお、以下に述べるように、液体量推定部73は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、検出温度の上昇の時間変化に基づいて、推定液量を算出してもよい。
そして、撹拌制御部71は、液体量推定部73によって算出された推定液量に基づいて、調乳用ポット4内のミルクMを撹拌する速度(撹拌速度,換言すればモータ5の回転速度)を制御できる。以下、図3を参照して、当該処理の流れの一例について述べる。図3は、粉末乳調乳装置1Aにおける撹拌速度を制御する処理S1〜S6の流れを例示するフローチャートである。
なお、図3では、推定液量をVm、撹拌速度をPsとして表す。また、推定液量Vmの所定の閾値を、V1およびV2として表す。また、撹拌速度Psの所定の閾値を、Ps1およびPs2として表す。
ここで、閾値V1は閾値V2よりも大きく設定されている。なお、閾値V1を第1液量閾値、閾値V2を第2液量閾値とそれぞれ称する。他方、Ps1はPs2よりも小さく設定されている。なお、閾値Ps1を第1撹拌速度閾値、閾値Ps2を第2撹拌速度閾値とそれぞれ称する。これらの閾値V1、V2、Ps1、およびPs2は、粉末乳調乳装置1Aの設計者によって適宜設定されてよい。
なお、閾値V1およびV2はそれぞれ、後述の第1の量および第2の量を基準にして設定されてよい。また、閾値Ps1およびPs2はそれぞれ、撹拌速度と調乳用ポット4内の周縁部におけるミルクMの液面MLの上昇量との関係を示す実験結果(実測データ)をあらかじめ取得しておき、当該実験結果に基づいて設定されてよい。
はじめに、液体量推定部73は、推定液量Vmを算出する(処理S1)。続いて、液体量推定部73は、推定液量Vmが閾値V1を上回っているか(Vm>V1であるか)を判定する(処理S2)。
そして、Vm>V1である場合(処理S2においてYES)、撹拌制御部71は、撹拌速度Psを、閾値Ps1よりも小さくなるように(すなわち、Ps<Ps1となるように)設定する(処理S3)。
なお、Vm≦V1である場合(処理S2においてNO)、液体量推定部73は、推定液量Vmが、閾値V2以上であり、かつ、閾値V1以下であるか(V2≦Vm≦V1であるか)を判定する(処理S4)。
続いて、V2≦Vm≦V1である場合(処理S4においてYES)、撹拌制御部71は、撹拌速度Psを、閾値Ps1以上であり、かつ、閾値Ps2以下となるように(すなわち、Ps1≦Ps≦Ps2となるように)設定する(処理S5)。
なお、Vm<V2である場合(処理S4においてNO)、撹拌制御部71は、撹拌速度Psを、閾値Ps2よりも大きくなるように(すなわち、Ps>Ps2となるように)設定する(処理S6)。
以上の処理S1〜S6に示すように、粉末乳調乳装置1Aでは、推定液量Vmが多い(少ない)ほど、撹拌速度Psが小さく(大きく)なるように、撹拌速度Psが推定液量Vmに応じて制御される。
続いて、図4を参照して、撹拌速度Psを推定液量Vmに応じて制御することの利点について述べる。図4は、調乳用ポット4内のミルクMの量(換言すれば、液体Lの量)および撹拌速度と、当該ミルクMの液面状態との間の関係を示す表である。なお、図4における点線は、調乳用ポット4内のミルクMが撹拌されていない場合のミルクMの液面を示す。
図4において、(1)〜(3)は、調乳用ポット4内のミルクMの量が多い(例:Vm>V1)状態において、(i)撹拌速度Psが小さい(例:Ps<Ps1)場合、(ii)撹拌速度Psが中程度である(例:Ps1≦Ps≦Ps2)、場合、および、(iii)撹拌速度Psが大きい(例:Ps>Ps2)場合のそれぞれにおける、ミルクMの液面状態を示す。
一般的に、ミルクMの撹拌に伴う、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLの上昇は、撹拌速度Psが大きいほど顕著となる。従って、図4の(2)および(3)に示されるように、調乳用ポット4内のミルクMの量が多い場合には、撹拌速度Psが中程度以上であると、調乳用ポット4内の周縁部において液面MLが調乳用ポット4の上端よりも高くに位置するため、ミルクMが調乳用ポット4から溢れてしまう。
この点を考慮し、粉末乳調乳装置1Aでは、上述のように、推定液量Vmが多いほど、撹拌速度Psが小さくなるように、撹拌速度Psが制御されている。すなわち、調乳用ポット4内のミルクMの量が多い場合では、撹拌速度Psが十分に小さく(P<Ps1となるように)設定される。
従って、図4の(1)に示すように、調乳用ポット4内のミルクMの量が多い場合であっても、調乳用ポット4内の周縁部において液面MLが調乳用ポット4の上端よりも高くに位置することを避けることでき、ミルクMが調乳用ポット4から溢れてしまうことを防止することが可能となる。
また、図4において、(4)〜(6)は、調乳用ポット4内のミルクMの量が中程度である(例:V2≦Vm≦V1)状態において、(i)撹拌速度Psが小さい場合、(ii)撹拌速度Psが中程度である場合、および、(iii)撹拌速度Psが大きい場合のそれぞれにおける、ミルクMの液面状態を示す。
上述のように、粉末乳調乳装置1Aでは、調乳用ポット4内のミルクMの量が中程度である場合には、撹拌速度Psが中程度となるように、撹拌速度Psが制御される。このため、図4の(5)の液面状態が得られる。
また、図4において、(7)〜(9)は、調乳用ポット4内のミルクMの量が少ない(例:Vm<V2)状態において、(i)撹拌速度Psが小さい場合、(ii)撹拌速度Psが中程度である場合、および、(iii)撹拌速度Psが大きい場合のそれぞれにおける、ミルクMの液面状態を示す。
図4の(7)および(8)に示されるように、調乳用ポット4内のミルクMの量が非常に少ない場合には、撹拌速度Psが中程度以下であると、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLがサーミスタTMの位置の高さまで達しない。このため、サーミスタTMによってミルクMの温度を適切に検出できない可能性が懸念される。
この点を考慮し、粉末乳調乳装置1Aでは、上述のように、推定液量Vmが小さいほど、撹拌速度Psが大きくなるように、撹拌速度Psが制御されている。すなわち、調乳用ポット4内のミルクMの量が少ない場合には、撹拌速度Psが十分に大きく(P>Ps2となるように)設定される。
従って、図4の(9)に示すように、調乳用ポット4内のミルクMの量が少ない場合であっても、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLをサーミスタTMよりも高く位置させることができる。このため、調乳用ポット4の側面4sを介して、当該側面4sに設けられたサーミスタTMに、ミルクMの熱を十分に伝達できる。それゆえ、サーミスタTMによってミルクMの温度を高精度に検出することが可能となる。
以上のように、調乳用ポット4内のミルクMの量に応じて撹拌速度Psを調整することにより、適切な液面MLの高さを実現できる。
なお、調乳用ポット4内の周縁部に位置するミルクMの量は、調乳用ポット4内のミルクMの量(総量)に依存する。例えば、調乳用ポット4内のミルクMの量が少ない場合(図4の(7)〜(9)の場合)には、調乳用ポット4内の周縁部において、撹拌動作に伴うミルクMの増加量も少なくなる。このため、サーミスタTMにおける検出温度は、時間の経過に伴い緩やかに上昇する。
他方、調乳用ポット4内のミルクMの量が多い場合(図4の(1)〜(3)の場合)には、調乳用ポット4内の周縁部において、撹拌動作に伴うミルクMの増加量も多くなる。このため、サーミスタTMにおける検出温度は、時間の経過に伴い急激に上昇する。
つまり、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、検出温度の上昇の時間変化を観察すれば、調乳用ポット4内のミルクMの大まかな量を把握することができる。そこで、上述のように、液体量推定部73は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、検出温度の上昇の時間変化に基づいて、推定液量を算出してもよい。
例えば、(i)撹拌速度が小さく、かつ、(ii)検出温度が比較的高い値のまま、時間的にほぼ変化しない場合には、液体量推定部73は、推定液量が大きい値であると推定してよい(つまり、図4の(1)の状態であると判定してよい)。
また、(i)撹拌速度が中程度であり、かつ、(ii)検出温度が時間の経過に伴い急激に上昇した場合には、液体量推定部73は、推定液量が中程度の値であると推定してよい(つまり、図4の(5)の状態であると判定してよい)。
また、(i)撹拌速度が大きく、かつ、(ii)検出温度が時間の経過に伴い急激に上昇した場合には、液体量推定部73は、推定液量が小さい値であると推定してよい(つまり、図4の(9)の状態であると判定してよい)。
なお、一例として、液体量推定部73には、撹拌動作の開始後の、所定の時間範囲における検出温度の上昇量と、撹拌速度と、および推定液量との数値的な対応関係を示すテーブルがあらかじめ設定されていることが好ましい。そして、液体量推定部73は、当該テーブルに基づいて、推定液量の値を出力(算出)してよい。
(サーミスタTMの好適な配置)
なお、粉末乳調乳装置1Aでは、ミルクMを生成するために調乳用ポット4に注入される液体Lの最小量(例:40cc)および最大量(例:240cc)は、あらかじめ規定されている。ここで、(i)上記最小量を第1の量と、(ii)上記最大量を第2の量とそれぞれ称する。
まず、粉末乳調乳装置1Aにおいて、サーミスタTMは、第1の量の液体Lが調乳用ポット4に注入された場合における、当該液体Lの液面(すなわち、ミルクMの液面ML)よりも高い位置に配置されていることが好ましい。
これにより、調乳用ポット4内のミルクMの量が最小である状態で、当該ミルクMの撹拌が開始されるまで(液面MLが最も低い状態が維持されている間)、サーミスタTMによって、ミルクMの温度でなく、調乳用ポット4の周囲の温度が検出される。そして、ミルクMの撹拌を開始すると、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLの上昇に伴い、サーミスタTMによってミルクMの温度を検出できる。このため、ミルクMの撹拌の前後で、サーミスタTMによって検出される温度の変化が大きくなるので、ミルクMの温度をより高精度に検出できる。
そこで、上述のように、冷却制御部72は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、サーミスタTMが検出したミルクMの温度(上述の検出温度)の上昇の時間変化に基づいて、冷却部30Aの動作を制御することが好ましい。これにより、高精度な検出温度を用いて、冷却部30Aの動作を制御することができ、ミルクMを効率的に冷却することが可能となる。
また、粉末乳調乳装置1Aにおいて、サーミスタTMは、第2の量の液体Lが調乳用ポット4に注入された場合における、当該液体Lの液面(液面ML)よりも低い位置に配置されていることが好ましい。
これにより、調乳用ポット4内のミルクMの量が最大である状態で、当該ミルクMの撹拌を行って、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLを上昇させた場合(液面MLが最も高くなる場合)に、サーミスタTMが液面MLよりも高い位置に存在する状況が発生することを防止できる。このため、ミルクMの温度をより確実に検出できる。
(粉末乳調乳装置1Aの効果)
本実施形態の粉末乳調乳装置1Aによれば、撹拌機構50Aによって調乳用ポット4内のミルクM(液体L)を撹拌することにより、調乳用ポット4内の周縁部における液面MLを上昇させることができる。このため、調乳用ポット4内のミルクMの量が少ない場合でも、調乳用ポット4の側面4sに設けられたサーミスタTMによって、ミルクMの温度を好適に検出できる。
加えて、冷却制御部72は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後(すなわち、ミルクMの温度が好適に検出できるようになった後)の、上述の検出温度の上昇の時間変化に基づいて、冷却部30Aの動作を制御する。これにより、ミルクMを従来よりも効率的に冷却することが可能となる。
なお、本実施形態では、ファン32を用いた冷却部30Aの構成を例示したが、撹拌機構50Aを、ミルクMを冷却する冷却部として用いることも可能である。撹拌機構50Aの撹拌速度を増加させた場合、ミルクMと周囲の空気との間の熱伝達が促進されるので、当該ミルクMの温度をより迅速に低下させることができるためである。
このため、冷却制御部72は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、上述の検出温度の上昇の時間変化に基づいて、撹拌機構50Aの撹拌速度をさらに制御してもよい。この場合、冷却制御部72は、上述の図3の処理S3、S5、またはS7のいずれかで、撹拌制御部71によって設定された撹拌速度の範囲内で、撹拌機構50Aの撹拌速度を変更すればよい。
〔実施形態2〕
続いて、図5を参照して、液体量推定部73による推定液量Vmの算出方法の一例について述べる。本実施形態では、ヒータ12の駆動時間を用いて、推定液量Vmを算出する方法について説明する。
以下に述べるように、本実施形態の液体量推定部73は、ヒータ12によって加熱された液体Lが所定の温度に達するまでの、当該ヒータ12の駆動時間に基づいて、推定液量Vm(換言すれば、液体Lの推定量)を算出する。
図5は、ヒータ12が加熱する液体Lの量(横軸,単位:cc)(以下、液体量Vwとして表す)と、供給水温度T0(後述)の液体Lが所定の温度(以下、Txとして表す)に達するまでのヒータ12の駆動時間(縦軸,単位:s)(以下、ヒータ駆動時間Theatとして表す)との間の関係を示すグラフである。図5のグラフには、液体量Vwの様々な値に対してヒータ駆動時間Theatを測定した結果を示す、複数の実験データがプロットされている。
ここでは、簡単のために、液体Lが水であり、粉末乳調乳装置1Aの外部の水道から貯留容器3に供給される液体L(水)の温度(以下、供給水温度T0として表す)が一定である場合を考える。一例として、T0=20℃である。また、ヒータ12によって液体Lを沸騰させる場合には、Tx=100℃である。但し、T0およびTxの値はこれらに限定されない。また、液体Lの比熱をc(J/g・K)とする。液体Lが水である場合には、c=4.2である。
ここで、上述のヒータ駆動時間Theatに亘り、液体Lに与えられる単位時間当たりの熱エネルギーをPheat(J/s)として表す。この場合、dT=Tx−T0とすると、TheatとPheatとの間の関係は、以下の式(1a)または(1b)、すなわち、
Theat×Pheat=c×dT×Vw …(1a)
⇔Theat =c×dT×Vw/Pheat …(1b)
によって表すことができる。
また、上述の式(1a)または(1b)を変形することにより、以下の式(2)、すなわち、
Vw=Theat×Pheat/(c×dT) …(2)
が得られる。
上述の式(2)を参照すると、液体量Vwとヒータ駆動時間Theatとは比例関係にあることが理解される。なお、図5のグラフのプロットからも、当該比例関係が理解される。
ここで、簡単のために、ヒータ12において、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する時の損失が非常に少ない場合を考える。この場合、Pheatは、ヒータ12の消費電力と近似的に見なすことができる。ここで、ヒータ12の消費電力は、ヒータ12の仕様に応じてあらかじめ設定されているので、既知である。
従って、上述の式(2)において、Pheatとしてヒータ12の消費電力を用いれば、cおよびdTは既知であるため、ヒータ駆動時間Theatに基づいて、液体量Vwを近似的に算出できる。
また、上述のように、ヒータ12によって加熱された液体Lは、調乳用ポット4に注入される。そして、液体Lの量は、ミルクMの量と等しいと見なすことができる。従って、液体量推定部73は、上述の式(2)によって液体量Vwを算出し、当該液体量Vwを上述の推定液量Vmとしてよい。
ところで、液体量Vwの量を高精度に検出したい場合には、液体量センサ等の部材を貯留容器3または調乳用ポット4の内部に設けてもよい。但し、液体量センサを設けた場合には、粉末乳調乳装置1Aの構成が複雑化してしまう。
加えて、液体量センサが液体LまたはミルクMと接触し続けることにより、液体LまたはミルクMにおいて雑菌が繁殖する可能性が懸念される。すなわち、粉末乳調乳装置1Aにおいて、衛生面でのデメリットが生じ得る。
他方、本実施形態の液体量推定部73によれば、液体量センサを設けることなく、液体量Vwのおおよその値を推定(推定液量Vmを算出)できる。従って、液体量推定部73は、粉末乳調乳装置1Aの構成を簡単化できるとともに、粉末乳調乳装置1Aの衛生確保の観点からも有益である。
なお、本実施形態の液体量推定部73における推定液量Vmの算出は、撹拌機構50Aの撹拌動作が開始された後の、検出温度の上昇の時間変化にさらに基づいて行われてもよい。これにより、推定液量Vmの精度をより向上させることもできる。この点については、以下に述べる実施形態3においても同様である。
〔実施形態3〕
なお、液体量推定部73による推定液量Vmの算出方法は、上述の実施形態2にて述べた方法に限定されない。続いて、図6を参照して、液体量推定部73による推定液量Vmの算出方法の別の例について述べる。本実施形態では、モータ5に入力される電気信号(例:モータ5の駆動電流)に基づいて、推定液量Vmを算出する方法について説明する。
図6は、調乳用ポット4内のミルクMの量(横軸,単位:cc)(以下、VMとして表す)と、モータ5の駆動電流(縦軸,単位:mA)(以下、IMotorとして表す)との間の関係を示すグラフである。図6のグラフには、量VMの様々な値に対して駆動電流IMotorを測定した結果を示す、複数の実験データがプロットされている。
上述のように、モータ5は、撹拌子4aを駆動し、調乳用ポット4内のミルクMを撹拌する。このため、ミルクMは、モータ5に対する負荷(機械的負荷)であると見なすことができる。
また、ミルクMの負荷トルクは、ミルクMの重量(換言すれば、上述のVM)に比例する。従って、ミルクMの負荷トルクをTLoadとして表すと、VMとTLoadとの間の関係は、以下の式(3)、すなわち、
TLoad=K1×VM …(3)
として表すことができる。ここで、K1は比例定数である。
また、モータ5の回転速度(換言すれば、撹拌速度)が一定である場合には、モータ5の駆動電流IMotorは、負荷トルクTLoadに比例する。従って、IMotorとTLoadとの間の関係は、以下の式(4)、すなわち、
IMotor=K2×TLoad …(4)
として表すことができる。ここで、K2は比例定数である。
従って、式(4)に式(3)を代入することにより、以下の式(5)、すなわち、
IMotor=K2×(K1×VM) …(5)
が得られる。
そして、上述の式(5)を変形することにより、以下の式(6)、すなわち、
VM=K×IMotor …(6)
が得られる。ここで、K=1/(K1×K2)は比例定数である。
上述の式(6)を参照すると、ミルクMの量VMとの駆動電流IMotorとは比例関係にあることが理解される。なお、図6のグラフのプロットからも、当該比例関係が理解される。
そして、上述の式(6)において、K(より具体的にはK1およびK2)は既知であるため、駆動電流IMotorに基づいて、ミルクMの量VMを近似的に算出できる。なお、駆動電流IMotorの値(大きさ)は、上述の電流検出回路によって検出できる。
このため、液体量推定部73は、上述の式(6)によってミルクMの量VMを算出し、当該量VMを上述の推定液量Vmとしてよい。本実施形態の液体量推定部73によっても、簡単な構成で、ミルクMの量VMのおおよその値を推定(推定液量Vmを算出)できる。
なお、上記では、モータ5に入力される電気信号として、モータ5の駆動電流を例示して説明を行ったが、当該電気信号はモータ5の駆動電流のみに限定されない。例えば、モータ5の仕様次第では、モータ5の回転速度が一定である場合に、モータ5の駆動電圧が負荷トルクTLoadに比例する場合がある。この場合、モータ5の駆動電圧に基づいて、上述の推定液量Vmを算出すればよい。なお、モータ5への給電系統に電圧検出回路を設けることにより、モータ5の駆動電圧駆の値を検出できる。
また、負荷トルクTLoadが増加した場合にも、モータ5の回転速度を一定に保つために、モータ5へ供給する電力(モータ5の入力電力)を増加させる場合がある。このような場合には、モータ5の入力電力に基づいて、上述の推定液量Vmを算出してもよい。なお、モータ5への給電系統に電力検出回路(電力計)を設けることにより、モータ5の駆動電圧駆の値を検出できる。
このように、モータ5に入力される所定の電気信号を検出する電気信号検出回路が設けられていれば、当該電気信号に基づいて、推定液量Vmを算出することができる。
〔実施形態4〕
本実施形態では、サーミスタTMによるミルクMの温度の検出をより確実に行うための構成について説明する。以下、図7〜図9を参照して、当該構成の具体例について述べる。なお、上述の粉末乳調乳装置1Aとの区別のために、図7および図8の粉末乳調乳装置をそれぞれ、粉末乳調乳装置1B(撹拌装置)および粉末乳調乳装置1C(撹拌装置)と称する。
粉末乳調乳装置1B・1Cは、調乳用ポット4の側面4sの少なくとも一部分に、サーミスタの感温部と適合する形状を設けたという点において、上述の粉末乳調乳装置1Aと異なる。
(第1の具体例)
図7の(a)は、上述のサーミスタTMの形状の一例を示す図である。図7の(a)に示されるように、サーミスタTMの先端には、平面状の感温部TMxが設けられている。また、図7の(b)は、粉末乳調乳装置1Bにおける、感温部TMxと調乳用ポット4の側面4sとの接触状態を示す図である。
ところで、本発明の一態様に係る粉末乳調乳装置では、調乳用ポット4が円柱状であることが好ましい。調乳用ポット4を円柱状とすることにより、ミルクMの撹拌をより効果的に行うことができ、調乳用ポット4内の粉ミルクPMの溶け残りを防止できるためである。
図7の(b)では、調乳用ポット4が円柱状であることが明確であるように、側面4sが曲面として図示されている。この点については、以下に述べる図8の(b)および図9についても同様である。
図7の(b)に示されるように、粉末乳調乳装置1Bでは、側面4sに、平面状の部分(以降、平坦部4xと称する)が形成されている。より具体的には、平坦部4xは、感温部TMxと適合する形状として形成されている。
ここで、平坦部4xの利点について説明するために、図9の(a)を参照する。図9の(a)は、粉末乳調乳装置1A(参考例)における、感温部TMxと調乳用ポット4の側面4sとの接触状態を示す図である。
図9の(a)に示されるように、粉末乳調乳装置1Aでは、側面4sに平坦部4xが形成されていない。このため、感温部TMxは、側面4sに対して、紙面に垂直な方向に線接触する。
他方、図7の(b)に示されるように、粉末乳調乳装置1Bでは、側面4sに平坦部4xが形成されているため、感温部TMxを平坦部4xに接触させることができる。それゆえ、感温部TMxと側面4sとの接触面積を、図9の(a)の場合に比べて増加させることができる。
その結果、感温部TMxから側面4sまでの熱抵抗を低減できるので、ミルクMの熱を、当該感温部TMxにより効果的に伝達できる。従って、サーミスタTMによって、ミルクMの温度をより確実に検出することが可能となる。
(第2の具体例)
図8の(a)は、上述のサーミスタTMの別の形状の一例を示す図である。なお、上述の図7のサーミスタTMとの区別のため、図8のサーミスタを、サーミスタTM2と称する。図8の(a)に示されるように、サーミスタTM2の先端には、当該サーミスタTM2の基端部から突出した指先状の感温部TM2xが設けられている。また、図8の(b)は、粉末乳調乳装置1Cにおける、感温部TM2xと調乳用ポット4の側面4sとの接触状態を示す図である。
図8の(b)に示されるように、粉末乳調乳装置1Cでは、側面4sに、凹状に窪んだ部分(以降、凹部4yと称する)が形成されている。より具体的には、凹部4yは、感温部TM2xと適合する形状として形成されている。
図9の(b)は、粉末乳調乳装置1A(参考例)における、感温部TM2xと調乳用ポット4の側面4sとの接触状態を示す図である。図9の(a)に示されるように、粉末乳調乳装置1Aでは、側面4sに凹部4yが形成されていない。このため、感温部TM2xは、側面4sに対して、1点のみで点接触する。
他方、図8の(b)に示されるように、粉末乳調乳装置1Cでは、側面4sに凹部4yが形成されているため、上述の粉末乳調乳装置1Bと同様に、感温部TM2xと側面4sとの接触面積を、図9の(b)の場合に比べて増加させることができる。従って、サーミスタTM2によっても、ミルクMの温度をより確実に検出することが可能となる。
〔実施形態5〕
本実施形態では、サーミスタTMによるミルクMの温度をより確実に行うための別の構成について説明する。また、調乳用ポット4が所定の位置(載置部2a)に配置されたことを検出するための構成についても説明する。以下、図10および図11を参照して、当該構成の具体例について述べる。
なお、上述の粉末乳調乳装置1A〜1Cとの区別のために、図10および図11の粉末乳調乳装置をそれぞれ、粉末乳調乳装置1D(撹拌装置)および粉末乳調乳装置1E(撹拌装置)と称する。
粉末乳調乳装置1Dは、上述の粉末乳調乳装置1Aにおいて、以下に述べる押圧機構70を付加したものである。まず、粉末乳調乳装置1Dについて説明する。
(粉末乳調乳装置1D)
図10の(a)は、粉末乳調乳装置1Dにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態を示す図である。また、図10の(b)は、粉末乳調乳装置1Dにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態を示す図である。なお、図10では、載置部2aの図示が省略されている。この点は、以下に述べる図11および図12についても同様である。
図10に示されるように、押圧機構70は、筐体75、サーミスタ保持部76、およびバネ77を備えている。以下に述べるように、押圧機構70は、調乳用ポット4が載置部2aに配置された場合に、サーミスタTMを、調乳用ポット4の側面4sに対して押圧状態とする。
筐体75は、サーミスタ保持部76およびバネ77を保持する部材である。また、サーミスタ保持部76は、サーミスタTMを保持する部材である。サーミスタ保持部76は、直線方向(後述の内側方向および外側方向)に可動であるように構成されている。サーミスタ保持部76の外側面76a(調乳用ポット4が載置部2aに配置された場合に、調乳用ポット4に最も近いサーミスタ保持部76の面)は、筐体75の開口部から突出している。
サーミスタTMは、サーミスタ保持部76の内壁によって規定された空間(保持空間)内に配置されている。より具体的には、サーミスタTMは、サーミスタ保持部76の内壁の面のうち、外側面76aと平行であり、かつ、当該外側面76aに近い側の面に取り付けられている。
バネ77は、サーミスタ保持部76の内側面76b(上述の外側面76aとは反対側の面であり、当該外側面76aから最も遠い面)に接触するように配置されている。なお、図10の(a)に示されるように、バネ77は、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態において、ほぼ自然長となるように配置されている。
続いて、図10の(b)に示されるように、粉末乳調乳装置1Dのユーザが、調乳用ポット4を載置部2aに配置した場合を考える。この場合、外側面76aは、調乳用ポット4の側面4sによって、内側へと押し込まれる。
その結果、バネ77が内側方向に圧縮されることにより、内側面76bに、外側方向の張力が印加される。従って、外側面76a(換言すれば、サーミスタTM)は、調乳用ポット4の側面4sに対して押圧状態となる。このため、サーミスタTMから側面4sまでの熱抵抗をさらに低減でき、サーミスタTMによって、ミルクMの温度をより確実に検出することが可能となる。
また、調乳用ポット4が載置部2aの特定の位置(例:載置部2aの中央付近)からずれた位置に配置された場合であっても、当該位置ずれ量がサーミスタ保持部76の可動範囲内であれば、サーミスタTMを側面4sに対して押圧状態にすることができる。このように、押圧機構70によれば、調乳用ポット4の配置位置のずれをある程度許容することもできる。
(粉末乳調乳装置1E)
粉末乳調乳装置1Eは、上述の粉末乳調乳装置1Dにおいて、押圧機構70に検出回路80をさらに設けた構成である。以下に述べるように、検出回路80は、調乳用ポット4が載置部2aに配置されたことを検出するための回路である。
図11の(a)は、粉末乳調乳装置1Eにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態を示す図である。また、図11の(b)は、粉末乳調乳装置1Eにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態を示す図である。
図11に示されるように、検出回路80は、電源81、電極82a・82b、端子83、および負荷84を備えている。本実施形態では、簡単のため、電源81が直流電源であり、負荷84が抵抗負荷である場合を例示して説明を行う。但し、電源81および負荷84の種類は、これらに限定されない。つまり、電源81は交流電源であってもよく、負荷84は任意のインピーダンス負荷であってよい。
電極82aは、筐体75の端部に設けられた電極であり、電源81の正極と接続されている。また、電極82bは、筐体75の端部に設けられた電極であり、上述の電極82aよりも内側に設けられた電極である。電極82bは、負荷84を介して、電源81の負極と接続されている。
また、端子83は、電極82bと負荷84との間に設けられた端子である。以降、端子83の電位を、Vnとして表す。この電位Vnは、電極82bの電位と等しい。
図11の(a)に示されるように、電極82aと電極82bとは、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態(サーミスタTMが側面4sに対して押圧されていない状態)において、互いに接触しないように配置されている。このため、電極82a・82b間には電路は形成されず、電極82a・82b間(換言すれば、検出回路80)は開放状態(非導通状態)となる。
従って、電極82aの電位は、電源81の正極の電位(以降、VPとして表す)と等しくなる。また、電位Vn(すなわち、電極82bの電位)は、電源81の正極の電位(以降、VNとして表す)と等しくなる。このように、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態では、Vn=VNとなる。
また、図11の(b)に示されるように、電極82aと電極82bとは、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態(サーミスタTMが側面4sに対して押圧されている状態)において、互いに接触するように配置されている。このため、電極82aと電極82bとの接触によって、電極82a・82b間は導通状態となる。従って、検出回路80において、電源81、電極82a・82b、および負荷84によって閉回路が形成される。
それゆえ、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態では、Vn=(VP−VN)/Rとなる。ここで、Rは負荷84の抵抗である。つまり、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態では、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態とは異なるVnが得られる。
以上のように、検出回路80は、(i)調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態と、(ii)調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態とで、導通状態が切り替わるように構成されている。
それゆえ、検出回路80において、導通状態と非導通状態との変化に応じて変化する所定の電気信号(例えば、端子83の電位Vn)を測定することにより、当該測定結果に基づいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されているか否かを判定できる。
このように、粉末乳調乳装置1Eによれば、接触センサ等の新たなセンサ機構を設けることなく、簡単な構成によって、調乳用ポット4が載置部2aに配置されたことを検出することが可能となる。
〔変形例〕
なお、本発明の一態様に係る粉末乳調乳装置における押圧機構の構成は、上述の実施形態5において述べた押圧機構70に限定されない。以下、図12を参照して、粉末乳調乳装置1Dの変形例について述べる。なお、粉末乳調乳装置1Dとの区別のために、図12の粉末乳調乳装置を、粉末乳調乳装置1F(撹拌装置)と称する。
粉末乳調乳装置1Fは、上述の粉末乳調乳装置1Dの押圧機構70において、バネが配置される位置を変更したものである。なお、上述の押圧機構70およびバネ77との区別のため、粉末乳調乳装置1Fの押圧機構およびバネをそれぞれ、押圧機構70vおよびバネ77vと称する。
図12の(a)は、粉末乳調乳装置1Fにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態を示す図である。図12の(a)に示されるように、バネ77vは、サーミスタ保持部76の側面に巻きつけられるように配置されている。また、バネ77vは、調乳用ポット4が載置部2aに配置されていない状態において、ほぼ自然長となるように配置されている。
図12の(b)は、粉末乳調乳装置1Fにおいて、調乳用ポット4が載置部2aに配置されている状態を示す図である。図12の(b)に示されるように、調乳用ポット4が載置部2aに配置された場合には、上述の粉末乳調乳装置1Dと同様に、バネ77vからサーミスタ保持部76の内側面76bに、外側方向の張力が印加される。このため、粉末乳調乳装置1Fによっても、上述の粉末乳調乳装置1Dと同様の効果を奏する。
〔実施形態6〕
ところで、上記実施形態の粉末乳調乳装置1A〜1Fでは、貯留容器3に貯留する液体Lの全てが、調乳用ポット4に注入されることになっている。一方、乳児の成長度合、乳児の空腹の程度などに応じて、生成すべきミルクMの量は変化し、すなわち、ユーザが所望する液体Lの量(液量)は変化する。従って、ユーザは、所望する液量を調乳用ポット4に注入するために、貯留容器3に貯留する液量を注視したり、或いは、調乳用ポット4に注入する液量を注視したりする必要があり、煩わしい。
そこで、本実施形態では、ユーザが所望する液量を調乳用ポット4に注入するための構成について説明する。以下、図13を参照して、当該構成の具体例について述べる。なお、上述の粉末乳調乳装置1A〜1Fとの区別のために、図13の粉末乳調乳装置を粉末乳調乳装置1G(撹拌装置)と称する。
図13は、粉末乳調乳装置1Gにおける貯留容器3およびヒータ12間の構成と、当該構成に関連する構成とを示す図である。図13に示すように、本実施形態では、貯留容器3およびヒータ12の間には、図1に示すフロート式逆止弁11の代わりに、バルブ110(注入機構)および駆動部111(注入機構)が設けられている。
バルブ110は、貯留容器3からヒータ12への液体Lの流れを開閉するものである。駆動部111は、制御部7からの指示に基づき、バルブ110を開状態または閉状態とするように駆動するものである。バルブ110の例としては、電磁バルブが挙げられ、駆動部111の例としては、アクチュエータ、モータなどが挙げられる。なお、バルブ110および駆動部111としては、公知のものを利用できるので、その他の説明を省略する。
制御部7は、ユーザが所望する液量を、操作パネル6を経由して取得し、取得した液量を調乳用ポット4に注入するように、駆動部111を制御する。例えば、バルブ110を流れる液体Lの単位時間あたり液量が一定であるとすると、駆動部111は、(上記ユーザが所望する液量)/(バルブ110における単位時間あたり液量)により算出される期間だけ、バルブ110を開状態とするように、駆動部111を制御すればよい。
従って、ユーザは、所望する液量を操作パネル6にて入力するだけで、粉末乳調乳装置1Gは、上記所望する液量を調乳用ポット4に注入することができる。これにより、ユーザが貯留容器3に貯留する液量を注視したり、調乳用ポット4に注入する液量を注視したりする必要が無くなるので、ユーザの利便性が向上する。
また、制御部7は、調乳用ポット4に注入する液量を制御することができる。これにより、上述のようにあらかじめ規定されている最小量から最大量までの何れかの液量を調乳用ポット4に注入することができるので、ミルクMを効率的に冷却することを確実に行うことができる。また、所定の液量を調乳用ポット4に複数回間欠的に注入することにより、ユーザが所望する液量を調乳用ポット4に注入することもできる。
また、貯留容器3に液体Lを最大量貯留しておけば、ユーザが所望する量のミルクMを複数回作成することができる。
なお、貯留容器3およびヒータ12の間に、貯留容器3からヒータ12へ流れる液量を測定する流量計を設けてもよい。この場合、制御部7は、上記流量計が測定した液量が、上記ユーザが所望する液量に到達するまでの期間だけ、バルブ110を開状態とするように、駆動部111を制御してもよい。
さらに、バルブ110および上記流量計の下流側に、サブタンクおよびフロート式逆止弁が新たに設けてもよい。この場合、貯留容器3からの液体Lは、バルブ110および上記流量計を経由して上記サブタンクに滴下されて貯留され、貯留された液体Lは、上記フロート式逆止弁を経由してヒータ12に流入される。これにより、ヒータ12からの高温の液体が、バルブ110および上記流量計に逆流することを防止できる。また、ヒータ12からの熱が上記フロート式逆止弁および上記サブタンクを経由して、バルブ110および上記流量計に伝導することを防止できる。
ところで、上述のように、調乳用ポット4内のミルクMの量は、モータ5の駆動電流、駆動電圧、回転速度(単位時間あたりの回転数)などに依存する。また、ミルクMの量は、液体Lの液量と略同じである。従って、制御部7は、モータ5の駆動電流、駆動電圧、および回転速度の少なくとも1つの情報を取得し、取得した情報に基づいて、液体Lの液量を推定し、推定した液量が、上記ユーザが所望する液量に到達するまでの期間だけ、バルブ110を開状態とするように、駆動部111を制御してもよい。
ところで、図5に示すように、ヒータ12(注入機構)が加熱する液体Lの量(液体量Vw)とヒータ駆動時間Theatとは比例関係にある。そこで、制御部7は、ユーザが所望する液量に対応するヒータ駆動時間だけ、ヒータ12を加熱するようにヒータ12の駆動部(図示せず)を制御してもよい。この場合、フロート式逆止弁11の代わりに、バルブ110および駆動部111を設ける必要が無い。従って、上記実施形態の粉末乳調乳装置1A〜1Fの構成で、ユーザが所望する液量を調乳用ポット4に注入することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る撹拌装置(1A)は、液体(ミルク)を受容する容器(調乳用ポット4)と、上記容器内の液体を撹拌する撹拌機構(50A)と、上記容器の側面(4s)に接触して上記液体の温度を検出する温度検出部(サーミスタTM)と、上記容器内の液体を冷却する冷却部(30A)と、上記撹拌機構の撹拌動作が開始された後の、上記温度検出部が検出した温度の上昇の時間変化に基づいて、上記冷却部を制御する制御部(冷却制御部72)と、を備えている。
上記の構成によれば、撹拌機構によって容器内の液体を撹拌することにより、当該容器内の周縁部における液体の液面を上昇させることができる。このため、容器内の液体の量が少ない場合でも、容器の側面に設けられた温度検出部によって、液体の温度を好適に検出できる。
加えて、制御部は、撹拌機構の撹拌動作が開始された後(すなわち、温度検出部によって液体の温度が好適に検出できるようになった後)の、温度検出部が検出した液体の温度の上昇の時間変化に基づいて、冷却部の動作を制御する。それゆえ、容器内の液体を従来よりも効率的に冷却することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様2に係る撹拌装置は、上記態様1において、上記温度検出部が、あらかじめ規定された第1の量の上記液体が上記容器に注入された場合における、上記液体の液面(ML)よりも高い位置に配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の量(例:あらかじめ規定された最小量)の液体が容器に注入された状態で、撹拌機構の撹拌動作が開始されるまで(液面が最も低い状態が維持されている間)、温度検出部によって、液体の温度でなく、容器の周囲の温度が検出される。
そして、撹拌機構が撹拌動作を開始すると、容器内の周縁部における液面の上昇に伴い、温度検出部によって液体の温度を検出できる。このため、撹拌動作の前後で、温度検出部によって検出される温度の変化が大きくなるので、液体の温度をより高精度に検出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様3に係る撹拌装置は、上記態様1または2において、上記温度検出部が、あらかじめ規定された第2の量の上記液体が上記容器に注入された場合における、上記液体の液面よりも低い位置に配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2の量(例:あらかじめ規定された最大量)の液体が容器に注入された状態で、撹拌機構の撹拌動作によって当該容器内の周縁部における液面が上昇した場合(液面が最も高くなる場合)に、温度検出部が液面よりも高い位置に存在する状況が発生することを防止できる。このため、液体の温度をより確実に検出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様4に係る撹拌装置は、上記態様1から3のいずれか1つにおいて、所定の量の上記液体を、上記容器に段階的に注入する注入機構(ヒータ12、バルブ110、駆動部111)をさらに備えており、上記制御部は、所定の量の上記液体を上記容器に注入するように上記注入機構を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、ユーザが上記撹拌装置または上記容器を注視しなくても、上記ユーザが所望する量の上記液体を上記容器に注入することができるので、ユーザの利便性が向上するという効果を奏する。
本発明の態様5に係る撹拌装置は、上記態様1から4のいずれか1つにおいて、上記容器内の上記液体の量を推定する液体量推定部(73)をさらに備えており、上記撹拌機構は、上記液体量推定部が推定した上記液体の量に基づいて、上記液体の撹拌速度を調整することが好ましい。
上記の構成によれば、液体量推定部が推定した液体の量(以下、推定液量)に応じて撹拌速度を調整できるので、適切な液面の高さを実現することが可能となるという効果を奏する。
例えば、推定液量が多い場合には、撹拌速度を小さく設定することにより、容器内の周縁部における液面の上昇量を小さくできる。このため、容器から液体が溢れてしまうことを防止できる。また、推定液量が少ない場合には、撹拌速度を大きく設定することにより、容器内の周縁部における液面の上昇量を大きくできる。このため、容器内の周縁部における液面を温度検出部よりも高く位置させることにより、温度検出部によって液体の温度を適切に検出できる。
本発明の態様6に係る撹拌装置は、上記態様5において、上記液体が上記容器に注入される前に、当該液体を加熱する加熱装置(ヒータ12)をさらに備えており、上記液体量推定部は、上記液体が所定の温度に達するまでの上記加熱装置の駆動時間に基づいて、上記液体の量を推定してよい。
上記の構成によれば、液体量センサ等の部材を設けることなく、簡単な構成で、推定液量を算出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様7に係る撹拌装置は、上記態様5において、上記撹拌機構は、モータ(5)を備えており、上記液体量推定部は、上記モータに入力される電気信号に基づき、上記液体の量を推定してもよい。
上記の構成によれば、液体量センサ等の部材を設けることなく、簡単な構成で、推定液量を算出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様8に係る撹拌装置は、上記態様1から7のいずれか1つにおいて、上記容器の上記側面の少なくとも一部分は、上記温度検出部の感温部(TMx)と適合する形状を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、温度検出部の感温部と容器の側面との接触面積を増加させることができるので、当該感温部から当該側面までの熱抵抗を低減できる。それゆえ、液体の熱を、感温部により効果的に伝達できるので、液体の温度をより確実に検出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様9に係る撹拌装置は、上記態様1から8のいずれか1つにおいて、上記容器が所定の位置に配置された場合に、上記温度検出部を、上記容器の上記側面に対して押圧状態とする押圧機構(70)をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、温度検出部から容器の側面までの熱抵抗をさらに低減できるので、液体の温度をより確実に検出することが可能となるという効果を奏する。
本発明の態様10に係る撹拌装置は、上記態様9において、上記押圧機構には、上記容器が所定の位置(載置部2a)に配置されている場合と、当該容器が上記所定の位置に配置されていない場合とで、導通状態が切り替わる検出回路(80)が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、検出回路において、導通状態と非導通状態との変化に応じて変化する所定の電気信号(例えば、上述の端子83の電位Vn)を測定することにより、当該測定結果に基づいて、容器が所定の位置に配置されているか否かを判定できる。それゆえ、接触センサ等の新たなセンサ機構を設けることなく、簡単な構成によって、容器が載置部に配置されたことを検出することが可能となるという効果を奏する。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。