以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、粉ミルクから授乳適温のミルクを作ることができる調乳装置について説明する。本調乳装置は、着脱可能な調乳容器に注入された水を沸騰させた後、調乳に適した温度まで冷ました上で保温を行い、更に、前記調乳容器に適量の粉ミルクが投入された後に、当該粉ミルクを撹拌により溶かした上で、授乳に適した温度まで冷却するものである。
図1及び図2は、本発明による調乳装置の構成を説明するための図である。図1は正面図であり、図2は拡大側面断面図である。
図1に示すように、本発明による調乳装置100は、本体部110と、上蓋部120とを備える。上蓋部120は、本体部110の上面に開閉可能に取り付けられている。同図においては、上蓋部120を開いた状態を二点鎖線で示している。上蓋部120は、水やミルクを収容するための調乳容器(後述)を調乳装置100にセットしたり、調乳装置100から取り出す際に開けられるものである。
また、同図に示すように、本体部110の上面には、操作ハンドル111が設けられている。操作ハンドル111は、本体部110内部に設けられた放熱部(後述)の開閉動作を操作するための操作部である。
また、本体部110の上部には、ひさし部112が設けられている。ひさし部112には、外部から装置内部に冷却用の空気を吸入するための吸気口が全周に渡って適宜形成されている。ひさし部112に形成された吸気口から装置内部に吸入された空気は、装置内部を通って、本体部110の底面に設けられた排気口(不図示)から排出されることになる。
また、本体部110の下部には、操作パネル113が設けられている。後述するように、操作パネル113には、調乳装置100の動作を指示するための指示部としてのスイッチと、調乳装置100の状態を示すための表示部としての発光ダイオード(LED)とが設けられている。
また、本体部110の底面には、複数(本実施形態では4つ)の足部130が設けられている。足部130は、本体部110の底面を、装置載置面から浮かせた状態で支持するものである。
なお、調乳装置100は、電源コード(不図示)を介して、動作に必要な電力を外部から供給できるように構成されている。
図2に示すように、調乳装置100は、内部に、ファン210と、ヒータ220と、調乳容器230と、放熱部240と、放熱部駆動部250と、撹拌部260と、温度検出部270と、制御部280とを備える。
ファン210は、放熱部240と共に、調乳容器230内の液体を冷却するための冷却部を構成するものである。より具体的には、ファン210は、調乳容器230の側面に当接された放熱部240を強制空冷するための空気の流れを生成するものである。本実施形態においては、ファン210が動作(回転)すると、ひさし部112に設けられた吸気口から外部の空気が調乳装置100内部に吸入されて、放熱部240との熱交換を行った上で、本体部110の底面に設けられた排気口から排出されるような空気の流れが生成される。
ヒータ220は、調乳容器230内の液体を加熱するための加熱部を構成するものである。より具体的には、ヒータ220は、調乳容器230内の液体を加熱するため、調乳容器230の加熱を行うものである。図2に示すように、調乳容器230を調乳装置100にセットすると、調乳容器230の底面がヒータ220の上面に載置されて、調乳容器230の底面と、ヒータ220の上面とが当接するようになる。すなわち、本実施形態においては、調乳容器230は、ヒータ220によって底面から加熱されることになる。
調乳容器230は、調乳に利用される容器であって、概ね有底円筒状の形状を有する本体231と、当該本体231の上端部に取り付けられる把手232とによって構成されている。調乳容器230の本体231は、調乳用の容器に適した材料(本実施形態においては、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼)で構成されており、熱伝導性を向上させるため肉薄に形成されている。また、本実施形態においては、調乳容器230は、1回の授乳に適当な量(例えば、260cc)の水を収容可能なサイズに形成されている。
放熱部240は、ファン210と共に、調乳容器230内の液体を冷却するための冷却部を構成するものである。より具体的には、放熱部240は、調乳容器230を冷却するために、調乳容器230の側面に当接して、調乳容器230の放熱を行うものである。放熱部240は、複数(本実施形態では、6つ)の放熱フィン241によって構成されている。なお、図2においては、簡単のため、放熱フィン241の端面のみを示している。各放熱フィン241はそれぞれ、調乳容器230の側面に当接して調乳容器230の放熱を行う放熱部材であって、例えば、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)によって構成される。放熱フィン241の構造の詳細については、後述する。
放熱部駆動部250は、放熱部240に開閉動作をさせるためのものである。すなわち、各放熱フィン241を駆動して、開状態(開位置)から閉状態(閉位置)へ、又は、閉状態(閉位置)から開状態(開位置)へ移動させるものである。放熱部駆動部250の詳細については後述する。
撹拌部260は、調乳容器230に収容された液体の撹拌を行うものであり、撹拌翼261と、撹拌翼駆動部262とによって構成されている。撹拌翼261は、上蓋部120を閉じた状態において、調乳容器230内に配置されて、調乳容器230に収容された液体を撹拌するものである。撹拌翼261は、撹拌翼駆動部262に着脱可能に連結されている。
撹拌翼駆動部262は、撹拌翼261と連結されて、撹拌翼261を駆動して回転させるものである。撹拌翼駆動部261は、上蓋部120内部に収容されたモータと減速機とによって構成されている。
温度検出部270は、調乳容器230に収容された液体の温度を検出するためのものである。本実施形態においては、調乳容器230自体の温度検出することによって、調乳容器230に収容されている液体の温度を間接的に検出するようにしている。本実施形態においては、温度検出部270は、サーミスタと、板ばね部材とによって構成されている。
サーミスタは、温度の変化によって電気抵抗が大きく変化する素子である。板ばね部材は、サーミスタを調乳容器230に熱的に接触させるための部材である。本実施形態においては、板ばね部材は、調乳容器230が調乳装置100にセットされた際に、調乳容器230の底面の外周部(図2における左下隅)付近に当接するように配置されている。
制御部280は、調乳装置100の動作を制御するためのものである。制御部280は、基板上に実装されたマイクロコントローラ、リレー等によって構成されており、ファン210やヒータ220や撹拌翼駆動部262のモータや操作パネル113と適宜、電気的に接続されている。また、制御部280を構成する前記基板上には、温度検出部270を構成するサーミスタの抵抗値を電圧値に変換してマイクロコントローラに入力するための回路や、調乳装置100の各種状態を外部に通知するための電子ブザーも実装されている。また、前記基板上には、外部から供給される電力から、調乳装置100の内部において必要とされる電力を生成する電源回路も実装されている。
図3は、操作パネル113の構成を説明するための図である。
同図に示すように、操作パネル113には、調乳装置100の動作を指示するための指示部としての加熱スイッチ301及び冷却スイッチ302と、調乳装置100の状態を示すための表示部としてのLED303〜305とが設けられている。
加熱スイッチ301は、調乳装置100に加熱動作を指示するための押しボタンスイッチである。加熱スイッチ301が押されると、調乳装置100は加熱処理を開始する。加熱処理の詳細については後述する。
冷却スイッチ302は、調乳装置100に冷却動作を指示するための押しボタンスイッチである。冷却スイッチ302が押されると、調乳装置100は冷却処理を開始する。冷却処理の詳細については後述する。
LED303は、調乳装置100が加熱動作を行っていることを示すためのLEDである。本実施形態においては、LED303は、赤色LEDによって構成されている。
LED304は、調乳装置100が調乳適温での保温動作を行っていることを示すためのLEDである。本実施形態においては、LED304は、黄色LEDによって構成されている。
LED305は、調乳装置100がミルクの作成(授乳適温までの冷却)を完了したことを示すためのLEDである。本実施形態においては、LED305は、緑色LEDによって構成されている。
図4は、放熱部240を構成する放熱フィン241の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示す。
同図に示すように、各放熱フィン241は、当接部410とフィン部420とによって構成されている。
当接部410は、調乳容器230の側面に当接して、調乳容器230の熱をフィン部420に伝達するための部分である。当接部410の調乳容器230の側面に当接する側の面411は、調乳容器230の側面に密接するように、調乳容器230の側面の形状に適合した形状に形成されている。本実施形態では、6つの放熱フィン241で調乳容器230の側面のほぼ全域を覆うようにしているので、各当接部410は、調乳容器230の周方向のほぼ1/6の領域を覆うように構成される。
更に、本実施形態においては、当接部410の調乳容器230の側面に当接する側の面411には、熱伝導性を高めるための熱伝導シートを貼付するための浅い溝(凹部)が形成されている。熱伝導シートは、柔らかいシート状の部材であって、調乳容器230と放熱フィン241との接触面積を増大させることによって、両者の間の熱伝導性を高めるものである。熱伝導シートと放熱フィン241とは、例えば、熱伝導性の高い接着剤で接着される。
また、当接部410の上面及び底面の中央部には、円柱状の突起412を形成されている。後述するように、当接部410の上面及び底面に設けられた突起412を駆動することで、放熱フィン241が駆動されることになる。
フィン部420は、当接部410と連結されて、当接部410から伝達された熱の放熱を行う部分である。同図に示すように、フィン部420は、複数(本実施液体では17個)の薄い矩形状の平板部材によって構成されている。本実施形態においては、ファン210によって生成された風がフィン部420を構成する平板部材間を通過することによって、フィン部420との間で熱交換を行うことになる。
図5及び図6は、放熱部駆動部250の構成を説明するための図である。図5は平面図を示し、図6は断面図を示す。
図5及び図6に示すように、放熱部駆動部250は、回転シャフト510と、上下一対の小ギア520と、上下一対の回転板530とを備える。図6に示すように、上下一対の小ギア520及び上下一対の回転板530は、放熱フィン241を上下から挟むように配置される。なお、図6においては、簡単のため、2つの放熱フィン241の端面のみを示している。
回転シャフト510は、その上部及び下部に、一対の小ギア520が固着されて、一対の小ギア520と一体となって回転するものである。また、回転シャフト510の上端には、操作ハンドル111が固着される。すなわち、操作ハンドル111が回転されると、回転シャフト510及び一対の小ギア520が一体となって回転することになる。
小ギア520は、回転シャフト510の回転を、回転板530に伝達するための部材であって、円板状の部材の中央に回転シャフト510の挿入するための孔が形成されたような形状を有している。小ギア520の外周面の一部には平歯車の歯521が形成されている。小ギア520の外周面に形成された歯521は、回転板530の外周面に形成された歯車の歯と噛み合うことにより、回転シャフト510の回転を回転板530に伝達する。
回転板530は、放熱部240(放熱フィン241)を駆動して開閉動作させるための部材であって、円板状の部材の中央に、調乳容器230を収容するための円孔を形成したような形状を有している。回転板530の外周面の一部には平歯車の歯531が形成されている。回転板530の外周面に形成された歯531は、小ギア520の外周面に形成された歯車の歯521と噛み合って、小ギア520の回転に伴い、回転することになる。
また、図5に示すように、回転板530には複数(本実施形態では6個)のカム孔532が形成されている。カム孔532には、放熱フィン241の上面及び下面に設けられた突起412が嵌め込まれることになる。回転板530と各放熱フィン241とは、回転板530を原動節(カム)、各放熱フィン241を従動節としたカム機構を構成しており、カム孔532は、確動カム機構におけるカム溝として機能する。カム孔532の詳細については後述する。
また、放熱部駆動部250は、付勢部材540と、保持部材550とを更に備える。
付勢部材540は、各放熱フィン241を閉位置方向に付勢するもの(付勢手段)である。本実施形態においては、付勢部材540は、引っ張りコイルばねの両端を連結してリング状にしたもので構成されている。
保持部材550は、付勢部材540を所定の位置に保持するものである。本実施形態においては、保持部材550は、各放熱フィン241の外側に取り付けられて、付勢部材540が各放熱フィン241の長手方向(図6における上下方向)のほぼ中央に位置するように、付勢部材540を保持する。
図7は、カム孔532の詳細を説明するための図である。同図(a)は、カム孔532が形成された回転板530の平面図であり、同図(b)はカム孔532の拡大平面図である。
同図(a)に示すように、カム孔532は、回転板530上において等間隔をなすように形成されている。すなわち、回転板530の中心と、隣接する2つのカム孔532とがなす角度がすべて等しくなるように形成されている。本実施形態においては、6つの放熱フィン241に対応して、6つのカム孔532が形成されているので、回転板530の中心と、隣接する2つのカム孔532とがなす角度はすべて60度になっている。
同図(b)に示すように、各カム孔532は、保持部710と、駆動部720と、余裕部730とを備える。
保持部710は、放熱フィン241の突起412が安定的に保持される部分(領域)である。保持部710は、回転板530の半径方向(以下、単に、「半径方向」という)と直交するような方向に直線状に延びるように形成されており、放熱フィン241の突起412が、保持部710内に位置しているときは、放熱フィン241の突起412は、半径方向には移動することができないので、安定した状態で保持されることになる。また、保持部710は、開状態(開位置)における放熱フィン241の突起412の半径方向位置に対応する半径方向位置に形成されており、放熱フィン241の突起412が、保持部710内に位置しているときは、各放熱フィン241は、開位置に位置することになる。
駆動部720は、放熱フィン241が開状態から閉状態に移行する際に、放熱フィン241の突起412が駆動されながら移動することになる部分(領域)である。駆動部720は、回転板530を(放熱部240を閉じる方向に)予め決められた角度だけ回転させた際に、放熱フィン241の突起412が、開状態(開位置)における放熱フィン241の突起412の半径方向位置から、閉状態(閉位置)における放熱フィン241の突起412の半径方向位置へ移動するような方向に直線状に延びるように形成されている。放熱フィン241の突起412は、回転板530の回転に伴い、駆動部720の外側の内周面721によって押されて半径方向内側に向かって駆動されることになる。駆動部720は、通常のカム溝として機能するために必要となる部分である。
余裕部730は、調乳容器230の形状や半径方向寸法のばらつき等を吸収するための部分(領域)である。例えば、調乳容器230の形状や半径方向の寸法にばらつきがあった場合、回転板530を所定の角度回転させても、駆動部720のみでは、一部の放熱フィン241については調乳容器230に当接しているが、一部の放熱フィン241については調乳容器230に当接していないという状態が生じうる。余裕部730は、このような場合に、回転板530が止まった状態においても、放熱フィン241の突起412が半径方向内側に移動できるよう、駆動部720より内側に設けられるものである。各カム孔532がこのような余裕部730を有する一方で、各放熱フィン241は、付勢部材540によって、半径方向内側に向かって付勢されているので、放熱フィン241は、回転板530が止まった状態においても、余裕部730の分だけ内側に移動することが可能となる。すなわち、本実施形態においては、各カム孔532は、余裕部730を有しているので、調乳容器230の形状や半径方向寸法にばらつき等があった場合であっても、余裕部730の範囲内において、各放熱フィン241を、調乳容器230の側面に当接させることが可能となっている。
なお、放熱フィン241の突起412は、放熱フィン241が閉状態から開状態に移行する際は、余裕部730の内側内周面731に押されて半径方向外側に向かって駆動されることになる。そのため、余裕部730の内側内周面731は、回転板530を(放熱部240を開く方向に)予め決められた角度だけ回転させた際に、放熱フィン241の突起412が、閉状態における放熱フィン241の突起412の半径方向位置(余裕部730も考慮した最小半径位置)から、開状態における放熱フィン241の突起412の半径方向位置へ移動するような方向に直線状に延びるように形成されている。
図8及び図9は、放熱部240の開閉動作を説明するための図である。図8は開状態を示しており、図9は閉状態を示している。
図8に示すように、放熱部240が開状態にある場合は、各放熱フィン241の突起412は、回転板530の各カム孔532の保持部710に位置している。放熱部240が開状態にある場合は、放熱フィン241の内周面441によって形成される円柱状の空間は、調乳容器230の出し入れが容易に行えるよう、その径が、調乳容器230の側面233の外径より予め決められた値だけ(例えば、4mm程度)大きくなるように構成されている。
なお、調乳容器230を調乳装置100にセットするための開口部の入り口付近には、調乳容器230の位置決め用のガイド部が設けられており、ガイド部に沿わせて調乳容器230を調乳装置100にセットすると、調乳容器230が、放熱フィン241の内周面411によって形成される円柱状の空間のほぼ中心に配置されるように構成されている。
同図に示したような状態において、操作ハンドル111が所定の閉方向に回転されると、小ギア520を介して、回転板530が所定の閉方向(同図における反時計回り方向)に回転される。回転板530が閉方向に回転されると、各カム孔532に嵌め込まれた放熱フィン241の突起412が半径方向内側に押されて、各放熱フィン241が半径方向内側に移動し始める。
そして、操作ハンドル111が所定の角度だけ回転されると、図9に示すように、放熱部240が閉状態となる。放熱部240が閉状態にある場合、各放熱フィン241は、調乳容器230の側面233に当接するようになる。
なお、操作ハンドル111が所定の角度だけ回転されて、回転板530が所定の角度だけ回転された状態においても、調乳容器240の側面に当接していない放熱フィン241がある場合は、前述したように、付勢部材540の付勢力によって、余裕部730の範囲内において、該当する放熱フィン241が内側方向に移動されることになる。
調乳装置100においては、以上のような開閉動作を行うことにより、放熱部240が開状態にある場合においては、調乳容器230の出し入れが容易に行える一方で、放熱部240が閉状態にある場合においては、放熱部240(各放熱フィン241)を調乳容器230に密接させることが可能となる。
なお、各放熱フィン241の回りには、図8及び図9に示すように、各放熱フィン241を挟むように、規制部材800が設けられており、回転板530によって駆動される際に、各放熱フィン241が概ね半径方向にのみ移動するように、各放熱フィン241の動きを規制している。
次に、以上のような構成を有する調乳装置100の動作について説明する。
調乳装置100を利用して調乳を行う場合、まず、調乳容器230に所定の量の水を注入する。そして、所定の量の水が注入された調乳容器230を、調乳装置100にセットして、上蓋部120を閉じる。なお、調乳容器230を着脱する際は、操作ハンドル111を操作して、放熱部240を開状態にしておく。放熱部240を開状態にしておくことにより、調乳容器230の着脱が容易に行える。
調乳容器230のセットが完了すると、ユーザは、操作パネル113の加熱スイッチ301を押す。操作パネル113の加熱スイッチ301が押されると、調乳装置100は加熱処理を開始する。
図10は、調乳装置100における加熱処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、基本的に、制御部280が備えるマイクロコントローラが、内蔵メモリに予め記録されたプログラムを実行することによって実現される。
同図に示すように、調乳装置100は、まず、ヒータ220を動作させて、調乳容器230の加熱を開始する(S1)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、加熱スイッチ301が押されたことを検知すると、ヒータ220を動作させるため、ヒータ220への通電を開始する。また、制御部280のマイクロコントローラは、調乳装置100が加熱動作中であることを示すため、赤色のLED303を点灯させる。
次に、調乳容器230内の水が沸騰したか否かが判別される(S2)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出された温度が、予め決められた所定の沸騰温度(調乳容器230内の水が沸騰する温度)に達したか否かを判別する。
判別の結果、調乳容器230内の水が沸騰していない場合(S2:No)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の沸騰温度に達していない場合は、判別処理S2を繰り返す。一方、ヒータ220による加熱が継続された結果、調乳容器230内の水が沸騰した場合(S2:Yes)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の沸騰温度に達していた場合は、調乳装置100は、ヒータ220の動作を停止させて、調乳容器230の加熱を停止する(S3)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、ヒータ220への通電を停止させる。
次に、調乳容器230内の水が所定の調乳適温(例えば、70℃程度)まで冷めたか否かが判別される(S4)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出された温度が、予め決められた所定の調乳温度(調乳容器230内の水が所定の調乳適温になる温度)まで冷めたか否かを判別する。なお、本実施形態においては、調乳容器230内の水の所定の調乳適温までの冷却は、ファン210を動作させることなく、自然空冷(自然冷却)で行われる。
判別の結果、調乳容器230内の水が所定の調乳適温まで冷めていない場合(S4:No)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の調乳温度に達していない場合は、判別処理S4を繰り返す。一方、自然空冷の結果、調乳容器230内の水が所定の調乳適温まで冷めていた場合(S4:Yes)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の調乳温度に達していた場合は、調乳装置100は、調乳容器230内の水の温度が所定の調乳適温に保たれるように、ヒータ220を動作させて、保温動作を開始する(S5)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出された温度が、所定の調乳温度に達していた場合は、温度検出部270によって検出される温度が所定の調乳温度に維持されるよう、ヒータ220への通電のオン・オフ制御を開始する。また、制御部280のマイクロコントローラは、調乳装置100が保温動作中であることを示すため、赤色のLED303を消灯させると共に、黄色のLED304を点灯させる。
次に、調乳容器230内の水が所定の調乳適温まで冷めてから、予め決められた所定の保温時間(例えば、30分)が経過したか否かが判別される(S6)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、例えば、内蔵のタイマーを利用して、温度検出部270によって検出された温度が所定の調乳温度に達した時点から、所定の保温時間が経過したか否かを判別する。
判別の結果、保温動作を開始してから所定の保温時間が経過していない場合は(S6:No)、判別処理S6を繰り返す。一方、判別の結果、所定の保温時間が経過していた場合は(S6:Yes)、調乳容器230内の水を再沸騰させるため、調乳装置100は、調乳容器230の加熱を開始する(S1)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、ヒータ220への連続通電を開始する。
以後、上述した処理が繰り返されて、調乳容器230内の水の温度を、所定の調乳適温に維持しつつ、所定の保温時間が経過するたびに、調乳容器230内の水の再沸騰が行われる。当該加熱処理は、冷却スイッチ302が押されて冷却動作の指示がされるまで継続される。
以上のようにして、調乳適温の水が得られると、ユーザは、粉ミルクからミルクを作るため、まず、上蓋部120を開いて、調乳容器230内に適量の粉ミルクを投入する。粉ミルクの投入後、ユーザは、操作ハンドル111を閉方向に回転させて、放熱部240を閉状態にする。すなわち、調乳容器230内の液体の温度を迅速に低下させるため、放熱フィン241を調乳容器230の側面に当接させる。更に、ユーザは、上蓋部120を閉じて、撹拌翼261を調乳容器230内に位置させる。
なお、本実施形態においては、前述した加熱動作時には放熱部240を開状態としている。これは、ヒータ220で加熱されている調乳容器230に放熱部240を密接させることによって放熱部240が加熱されることを防止するためである。加熱動作時に放熱部240が加熱されることを防止することにより、後述する冷却動作時における冷却速度を向上させることが可能となる。
以上のような準備が完了すると、ユーザは、冷却スイッチ302を押す。操作パネル113の冷却スイッチ302が押されると、調乳装置100は冷却処理を開始する。冷却処理においては、粉ミルクが撹拌溶解された上で、授乳適温まで冷却される。
図11は、調乳装置100における冷却処理を説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、基本的に、制御部280が備えるマイクロコントローラが、内蔵メモリに予め記録されたプログラムを実行することによって実現される。
同図に示すように、調乳装置100は、まず、粉ミルクを溶かすため、撹拌部260を動作させて、調乳容器230内の液体の撹拌を開始する(S11)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、冷却スイッチ302が押されたことを検知すると、撹拌翼駆動部262のモータへの通電を開始する。
次に、粉ミルクが充分に溶解したか否かを判別するため、撹拌部260の動作開始後、予め決められた所定の溶解時間が経過したか否かが判別される(S12)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、例えば、内蔵のタイマーを利用して、撹拌部260の動作開始時点から、所定の溶解時間が経過したか否かを判別する。なお、溶解時間は、試験結果等に基づいて適当な値が選択される。
判別の結果、所定の溶解時間が経過していなかった場合は(S12:No)、判別処理S12を繰り返す。一方、判別の結果、所定の溶解時間が経過していた場合は(S12:Yes)、次に、ファン210を動作させて、調乳容器230の冷却を開始する(S13)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、ファン210を動作させるため、ファン210への通電を開始する。なお、調乳容器230内の液体(ミルク)が均一に冷却されるよう、所定の溶解時間が経過した後も、撹拌部260の動作は継続される。
ファン210の動作が開始すると、調乳装置100のひさし部112に設けられた吸気口から外部の空気が吸入され、吸入された空気は、放熱フィン241のフィン部420を通って、調乳容器110の底面に設けられた排気口から排出される。外部から吸入された空気が放熱フィン241のフィン部420を通過する際、放熱フィン241との熱交換が行われ、調乳容器230との熱交換で加熱されていた放熱フィン241の冷却が行われる。その結果、調乳容器230及び調乳容器230内の液体(ミルク)の冷却が行われることになる。この際、調乳容器230内の液体の冷却は、調乳容器230の内壁に近い部分から徐々に行われることになるが、前述したように、調乳容器230内では撹拌翼261による撹拌が行われているので、調乳容器230内の液体の温度の均一化が促進されることになる。
ファン210による冷却が開始されると、次に、調乳容器230内の液体が所定の授乳適温(例えば、40℃程度)まで冷却されたか否かが判別される(S14)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出された温度が、予め決められた所定の授乳温度(調乳容器230内の液体が所定の授乳適温になる温度)に達したか否かを判別する。
判別の結果、調乳容器230内の液体が所定の授乳適温まで冷却されていない場合(S14:No)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の授乳温度に達していない場合は、判別処理S14を繰り返す。一方、ファン210による強制空冷を継続した結果、調乳容器230内の液体が所定の授乳適温まで冷却されていた場合(S14:Yes)、すなわち、温度検出部270によって検出された温度が、所定の授乳温度に達していた場合は、調乳装置100は、撹拌部260及びファン210の動作を停止させて、調乳容器230内の液体の撹拌及び冷却を停止する(S15)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出された温度が、所定の授乳温度に達していた場合は、撹拌翼駆動部262のモータ及びファン220への通電を停止させる。また、制御部280のマイクロコントローラは、授乳適温のミルクができたことを示すため、黄色のLED304を消灯させると共に、緑色のLED305を点灯させる。更に、調乳装置100は、授乳適温のミルクができたことをユーザに音で通知するため、電子ブザーを動作させる。
電子ブザーのブザー音等により、授乳適温のミルクの完成を通知されたユーザは、操作ハンドル111を開方向に回転させて、放熱部240を開状態にした上で、上蓋部120を開いて、調乳装置100から調乳容器230を取り出し、調乳容器230内の授乳適温のミルクを哺乳瓶等に入れて、乳児への授乳を行う。
なお、調乳装置100は、冷却動作を停止すると共に、調乳容器230内のミルクが所定の授乳適温に保たれるように、ヒータ220を動作させて、保温動作を開始する(S15)。すなわち、制御部280のマイクロコントローラは、温度検出部270によって検出される温度が所定の授乳温度に維持されるよう、ヒータ220への通電のオン・オフ制御を開始する。その後は、予め決められた所定の保温時間(例えば、10分)が経過するまで保温動作を継続し(S16)、所定の保温時間が経過した後は、冷却処理を終了させる。
以上のような冷却処理を行うことにより、授乳適温のミルクを迅速かつ簡便に作ることが可能となる。
以上説明したように、本発明による調乳装置によれば、調乳適温の温水の準備や、粉ミルクからのミルクの作成が1台の装置で迅速かつ簡便に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、調乳容器に注入された水を沸騰させた後の調乳適温までの冷却は、自然空冷で行っていたが、調乳適温までの冷却時においても、ファンを動作させて強制空冷で冷却することも考えられる。