JP6712082B2 - 細胞培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生物の細胞を人工的に培養するための装置に関する。
例えば、薬剤を設計するプロセスにおいて、候補となる化合物を選定するために行われる創薬スクリーニングには、生体の細胞を人工的に培養したものが用いられている。
従来、このような培養細胞は、ディッシュ上やマイクロウェル内で培養されるのが一般的である。また、最近ではより生体に近い状態で細胞を培養することにより臓器を模したオンチップ臓器も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−506801号公報
上記のように創薬スクリーニングを行う場合、体内において滞留時間が最も長い、腸における物質吸収プロセスを模倣した培養細胞を用いることが有効である。
しかしながら、ディッシュ上やマイクロウェル内で細胞を二次元的に培養した場合、必ずしも生体内で起こる反応を再現できない。例えば、腸管内を薬剤を含む液体(薬液)が流動することを想定して二次元的に培養された細胞上に薬液を流したとしても、その細胞全体に均一に流体が作用せず、流体の流れに起因する剪断力等の機械的な力を細胞に適切に付与することができない。そのため、細胞に薬剤が吸収され、透過する過程を正確に再現することは困難である。
また、特許文献1記載の技術は、可撓性多孔膜上に平面的に培養された細胞に対して平面方向に沿った機械的な力を付与することで、腸の蠕動運動等を模倣し、生体の環境を再現しようとしているが、二次元的に細胞が培養される点では上記と同様であり、流体の流れに起因する機械的な力を再現することは困難である。
本発明は、生体により近い環境の培養細胞を構築することができる細胞培養装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係る細胞培養装置は、
細胞が培養される培養面を有する培養基材と、
前記培養基材を閉形態と開形態との間で開閉運動させる駆動部とを備え、
前記閉形態は、前記培養基材が、前記培養面を内面とした内部容積をもつ流路を形成する形態であり、
前記開形態は、前記培養基材の前記培養面が、前記閉形態における前記培養基材の前記培養面よりも開放された形態である。
上記構成の細胞培養装置では、培養基材が、培養面を内面とする内部容積をもつ流路を形成する閉形態と、閉形態における前記培養基材の前記培養面よりも、前記培養面が外部に開放された開形態との間で開閉される。そのため、閉形態の培養基材の内部流路に、薬液等を流動させることで生体により近い環境で流体の流れによる力を再現することができる。したがって、培養細胞に生じる反応等も、実際の生体の細胞に生じる反応等に近いかたちで評価することが可能となる。また、開形態における培養基材の培養面は、閉形態における培養基材の培養面よりも開放されるので、培養面上における細胞の培養や細胞の観察を容易に行うことができる。
(2)前記開形態の前記培養基材は、平坦に形成されることが好ましい。
これにより、従来と同様の態様により細胞の培養や観察等を行うことができる。
(3)前記閉形態の培養基材は、管状に形成されることが好ましい。
このような構成によって、腸管等の生体の器官を模様することができ、薬液等を流したときの反応を忠実に再現することができる。なお、ここでいう管状とは、外周全体が閉じた形態である場合だけでなく、外周の一部が開放された形態であってもよい。
(4)前記駆動部は、前記培養基材における前記培養面とは反対側の面に設けられたバルーンアクチュエータを有していることが好ましい。
このような構成によって、駆動部を簡素に構成することができる。
(5)前記バルーンアクチュエータは、前記培養基材を透過した液体が通り抜ける領域を有していてもよい。
このような構成によって、培養基材を透過した液体は、駆動部のバルーンアクチュエータを通り抜けて培養基材外へ排出される。そのため、例えば、閉形態の培養基材内を流れる薬液等が細胞に吸収され、透過した後の状態を評価することができる。
(6)前記閉形態の前記培養基材が管状に形成される場合、互いに対向する前記バルーンアクチュエータの両端部における前記培養基材側の面は、互いに面接触するシール面を構成していることが好ましい。
このような構成によって、管状の培養基材内に薬液等を流動させたときの漏れを防止することができる。
(7)前記シール面には、撥水処理が施されていることが好ましい。
このような構成によって、管状の培養基材内に薬液等を流動させたときの漏れをより確実に防止することができる。
(8)前記閉形態の前記培養基材に流体を流入させるための導入管が接続される、当該培養基材の端部の内周面には、撥水処理が施されていることが好ましい。
このような構成によって、培養基材から管への液体の逆流を抑制することができる。
本発明の細胞培養装置によれば、生体により近い環境の培養細胞を構築することができる。
第1の実施形態に係る細胞培養装置を示す概略的な斜視図である。 培養基材の一部を拡大して示す断面図である。 バルーンアクチュエータの説明図である。 バルーンアクチュエータの作動原理を示す説明図である。 細胞培養装置を流体供給装置にセットした状態を示す平面図である。 流体供給装置の断面図である。 導入管と培養基材との接続部を示す断面説明図である。 第2の実施形態に係るバルーンアクチュエータの平面説明図である。 バルーンアクチュエータの作動原理を示す説明図である。 第3の実施形態に係るバルーンアクチュエータの平面説明図である。 第4の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。 第5の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。 第6の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。 第7の実施形態に係る細胞培養装置の斜視図である。 評価実験1における培養基材の表面の画像である。 評価実験2における培養基材の表面の画像である。 評価実験3に用いた培養基材およびバルーンアクチュエータの画像である。 評価実験3における培養基材の内径と培養基材の表面に作用するせん断応力との関係を示すグラフである。 評価実験3における培養基材の表面の画像である。 評価実験3における培養基材の表面の画像である。 薬剤が培養細胞に吸収される状態を説明する模式図である。 流体の力学的特性を示す表である。
以下、細胞培養装置のより詳細な実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る細胞培養装置の概略図である。
本実施形態の細胞培養装置10は、人工的に培養した細胞を用いて管状に形成された器官を模倣し、模倣した器官内に薬液等の流体を流動させることで、当該器官における培養細胞の反応を再現しようとするものである。例えば、管状の器官として腸管や血管などが挙げられる。本実施形態の細胞培養装置10は、特に、管状の器官として腸管を模倣したものを例示する。また、本実施形態では、培養細胞に対する薬剤等の吸収性の評価と、透過性の評価とを行うことが可能な細胞培養装置10について説明する。ただし、本実施形態の細胞培養装置10は、吸収性評価及び透過性評価のいずれか一方のみを個別に行うために用いることもできる。
本実施形態の細胞培養装置10は、培養基材11と、この培養基材11に駆動力を与えて培養基材11を変形させる駆動部12とを備えている。
培養基材11は、平面視で矩形状に形成されている。培養基材11の上面は、細胞が播種され、かつ培養される培養面11aとされている。また、培養基材11は、弾性変形可能である。
培養基材11は、駆動部12によって開閉運動される。具体的に、培養基材11は、図1(a)に示すような平面状(平坦状)の形態(平面形態又は開形態ともいう)と、図1(b)に示すような管状(円筒状)の形態(管状形態又は閉形態ともいう)との間で変形される。管状形態では、培養基材11は、培養面11aを内側にして管状に形成され、内部に矢印で示すように流体を流すことができる。言い換えると、管状形態の培養基材11は、培養面11aを内面とする内部容積をもつ流路を形成する。また、平面形態の培養基材11は、管状形態の培養基材11よりも培養面11aが外部に大きく開放される。すなわち、管状形態の培養基材11は、外周が完全に閉じた管状に形成されるため、培養面11aは、管軸方向の両端において外部に開放されるだけであるが、平面形態の培養基材11は、培養面11aの全体が開放された状態となる。
なお、培養基材11は、駆動部12から駆動力が付与されることによって管状形態となり、駆動力が解除されることによって平面形態となる。
以下の説明においては、管状形態の培養基材11の管軸方向(筒軸方向)をX方向とし、このX方向に直交する水平方向をY方向とする。したがって、平面形態の培養基材11は、各辺がX方向又はY方向と平行に配置される。
図2は、培養基材11の一部を拡大して示す断面説明図である。培養基材11は、駆動部12上(後述するバルーンアクチュエータ30上)に設けられたフィルター21と、フィルター21上に設けられた細胞外マトリクス(ECM)としてのコラーゲンシート22とを備えている。細胞Sは、培養基材11を培地となる液体に浸けた状態でコラーゲンシート22上で培養される。本実施形態では、細胞Sとして、caco−2細胞を培養基材11上に静置培養し、腸管上皮を模倣する。フィルター21は、薬剤を含む液体等を透過可能な多孔質膜とされている。フィルター21としては、後述する駆動部12のバルーンアクチュエータ30(PDMS製)に接合可能なもの、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)等を素材として形成されたものを使用することができる。また、培養基材11は、駆動部12(バルーンアクチュエータ30)上に直接ECMを設けることによって構成してもよい。
図3は、駆動部12を示す説明図である。
駆動部12は、バルーンアクチュエータ30と、バルーンアクチュエータ30に空気を供給する空気供給装置36と、バルーンアクチュエータ30と空気供給装置36とを接続し、空気供給装置36からバルーンアクチュエータ30への空気の供給路となる供給管37とを備えている。バルーンアクチュエータ30は、内部の空気圧の変化によって弾性変形し、培養基材11に所定の運動を行わせる。本実施形態のバルーンアクチュエータ30は、Y方向に細長く形成された複数の部分アクチュエータ31をX方向に並べて備えている。複数の部分アクチュエータ31は、Y方向の中央部において連結部32によって連結され、一体化されている。隣接する部分アクチュエータ31の間には、Y方向の外端縁から内側へ向けて切り欠け状に形成された透過領域33が形成される。したがって、培養基材11を透過した液体は、透過領域33を介してバルーンアクチュエータ30を通り抜けることができる。
各部分アクチュエータ31は、長さ方向(Y方向)の両側の内部に中空部34を備えている。そして、各中空部34は、互いに内部管35を介して連通されている。内部管35は、コンプレッサ等の空気供給装置36に供給管37を介して接続されている。空気供給装置36が、各部分アクチュエータ31の中空部34に空気を供給することによって、各部分アクチュエータ31の長手方向両端部が互いに接近し、平面状からリング状に変形する(図3の右側参照)。また、中空部34に空気を供給した状態を維持することによって、各部分アクチュエータ31はリング状の形態に保持される。空気供給装置36が中空部34に対する空気の供給を停止すると、各部分アクチュエータ31は、弾性復帰によって平面形態に戻る(図3の左側参照)。
図4は、バルーンアクチュエータの作動原理を示す断面説明図である。
バルーンアクチュエータ30(各部分アクチュエータ31)は、第1膜体41と第2膜体42とを有する2層のシリコーンラバー層からなり、第1膜体41と第2膜体42との間に中空部34が形成されている。中空部34は、第1及び第2膜体41,42の対向面の一方又は両方に、凹部41aを形成することによって構成される。
第1膜体41及び第2膜体42は、シリコーンラバーの一種であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)薄膜によって構成されている。第1膜体41と第2膜体42は、それぞれ厚さが異なっている。具体的には、第1膜体41において、凹部41aが形成された部分の厚さtが、第2膜体42の厚さtよりも大きくなっている。また、第1膜体41と第2膜体42とは、それぞれ硬度が異なっている。具体的には、第1膜体41は、第2膜体42よりも硬度が高く形成されている。
第1膜体41と第2膜体42は、ともに伸縮自在なシリコーンラバーによって形成されているため、中空部34内に供給された空気の圧力によって、風船のように、その表面積を拡げつつ伸びて膨張する。そして、バルーンアクチュエータ30は、第2膜体42が、第1膜体41よりも薄く柔らかいため、同じ圧力下でも、第2膜体42は第1膜体41よりも大きく膨張する。
第1膜体41及び第2膜体42が膨張すると、それぞれの膜体41,42において、図示のような引っ張り応力F、Fが発生するが、第1膜体41は、第2膜体42よりも厚く硬度が高いため、第1膜体41における引っ張り応力Fは、第2膜体42における引っ張り応力Fよりも大きくなる。そのため、バルーンアクチュエータ30には、第1膜体41の膨張方向と同じ方向、すなわち図4の例では上方への曲がり運動が生じる。なお、凹部41aは、部分アクチュエータ31の長さ方向に2以上形成されていてもよい。
図5及び図6は、図1に示す細胞培養装置10の培養基材11に流体を流すための装置を示す。細胞培養装置10は、貯留容器50上に載置されている。図5(a)は、培養基材11を平面形態にした状態、図5(b)は、培養基材11を管状形態にした状態で示す。貯留容器50には、第1のプール(第1の貯留部)51と第2のプール(第2の貯留部)52とが形成されている。第1のプール51内には予め液体が貯留されている。この液体には、細胞を培養する際に用いられる培地、例えばDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)が用いることができる。管状形態の培養基材11は、第1のプール51に貯留された液体に浸漬されている。なお、図6においては、培養基材11及びバルーンアクチュエータ30が第1のプール51の前後において大きく屈曲されているが、実際には、滑らかに湾曲した状態で第1のプール51に浸漬される。第1のプール51に貯留する液体としては、BS(Buffered Saline)やHBSS(Hank's Balanced Salt Solution)等の生理食塩水を用いることもできる。
管状形態の培養基材11の一端部には、導入管53が接続されている。この導入管53には、例えば創薬スクリーニングの対象となる薬剤を含む薬液が流動し、その薬液が管状形態の培養基材11内に潅流される。培養基材11の他端部は、第2のプール52に臨んでおり、培養基材11の内部から流出する薬液は、第2のプール52に貯留される。
培養基材11を管状形態とすることによって、培養基材11の内面の培養細胞には、薬液の流れによる剪断力等の機械的な力が、実際の生体の腸管に近い状態で作用することになる。そして、培養基材11の内部を潅流する薬液が、培養細胞に吸収され、フィルター21を透過して培養基材11外に滲み出すと、その薬液は、バルーンアクチュエータ30の透過領域33を通り抜けて第1のプール51内の液体に混合される。したがって、第1のプール51に混合された液体の状態によって薬剤の透過性の評価を適切に行うことができる。また、第2のプール52に貯留された薬液には、薬剤の吸収によって培養細胞から分泌される成分等が含まれる場合があるため、当該薬液も評価の対象とすることができる。
また、管状形態の培養基材11の内部に薬液を灌流させたあと、図5(a)に示すように、培養基材11を平面形態に変形させることで、薬剤を吸収し、薬剤に反応した後の培養細胞の状態を容易に観察することができる。
さらに、培養基材を管状形態にして薬液を環流させ、その後、培養基材を平面形態にして細胞の観察を行うという操作を繰り返し行うことも可能である。
図7に示すように、導入管53が接続される管状形態の培養基材11の軸方向一端部の内面には、撥水処理が施されている。例えば、培養基材11の端部の内面には、パリレン膜等の撥水膜54がコーティングされている。そのため、導入管53から培養基材11内に流入する薬液が、導入管53に逆流したり漏洩したりするのを防止することができる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、培養基材11は、バルーンアクチュエータ30から駆動力が作用することによって平面形態から管状形態に変形し、バルーンアクチュエータ30からの駆動力を解除することによって弾性復帰により管状形態から平面形態に変形するものであった。第2の実施形態では、管状形態から平面形態に変形する際にもバルーンアクチュエータ30からの駆動力を付与するものとなっている。
具体的には、図8に示すように、バルーンアクチュエータ30は、2種類の部分アクチュエータ31a,31bを備えている。一方の部分アクチュエータ31aは、第1の実施形態と同様のものであり、図4(b)に示すように、中空部34に空気が供給されることによって上方に曲がり運動する。他方の部分アクチュエータ31bは、図9に示すように、中空部34に空気が供給されることによって下方に曲がり運動を行うものとなっている。他方の部分アクチュエータ31bは、X方向の両端に1つずつ配置され、一方の部分アクチュエータ31aは、両端の部分アクチュエータ31bの間に複数配置されている。
図9に示すように、部分アクチュエータ31bは、第3膜体61と第4膜体62とからなり、両膜体61,62は、PDMSからなっている。第3膜体61の凹部61aが形成された部分の厚さtは、第4膜体62の厚さtよりも大きく、さらに第3膜体61の硬度が、第4膜体62よりも高くなっている。この点は、部分アクチュエータ31aにおける第1膜体41と第2膜体42との関係と同様である。しかし、部分アクチュエータ31bの第3膜体61の厚さtは、部分アクチュエータ31aの第1膜体41の厚さt(図4参照)よりも大きく、硬度も高くなっている。また、部分アクチュエータ31bには、部分アクチュエータ31aとは異なる空気供給装置38(図8参照)から空気が供給される。
部分アクチュエータ31bは、中空部34に空気が供給されると、第3膜体61にほとんど伸びが生じず、第3膜体61に生じる引っ張り応力Fは小さい。これに対して、第4膜体62は大きく伸びて膨張するため、第3膜体61に生じる引っ張り応力Fよりも大きな引っ張り応力Fが生じる。そのため、部分アクチュエータ31bは、下方に曲がり運動を生じる。
そして、本実施形態のバルーンアクチュエータ30は、培養基材11を平面形態から管状形態に変形させるときは、空気供給装置36のみが作動することによって部分アクチュエータ31aが曲がり運動を行い、培養基材11を管状形態から平面形態に変形させるときは、空気供給装置38のみが作動することによって、部分アクチュエータ31bが曲がり運動を行う。そのため、平面形態から管状形態に変形する場合だけでなく、管状形態から平面形態に変形する場合にも、培養基材11にはバルーンアクチュエータ30からの駆動力が作用し、迅速な変形が可能となっている。
部分アクチュエータ31bは、培養基材11のX方向の両端のみに設けられており、その他の大部分に部分アクチュエータ31aが設けられている。そのため、平面形態から管状形態に変形させるときにより大きな駆動力を付与することができ、より迅速に管状形態に変形させることができるとともに、管状形態を確実に維持することができる。
また、部分アクチュエータ31bは、培養基材11側の第3膜体61はほとんど膨張しないので、培養基材11に培養された細胞に悪影響を及ぼすこともない。
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態に係るバルーンアクチュエータの平面説明図である。この実施形態に係るバルーンアクチュエータ30は、第2の実施形態と同様に、2種類の部分アクチュエータ31a,31bを備えているが、一方の部分アクチュエータ31aと他方の部分アクチュエータ31bとがX方向に関して交互に配置されている。
したがって、本実施形態においては、培養基材11を平面形態から管状形態に変形させるときと、管状形態から平面形態に変形させるときの双方において培養基材11にバランスよく駆動力を付与することができる。
なお、第2及び第3の実施形態においては、部分アクチュエータ31bとして、部分アクチュエータ31aを表裏反転したものを使用してもよい。この場合、部分アクチュエータ31bは、図4に示すものと同様の作動原理で逆方向(下方向)に曲がり運動を行い、管状形態から平面形態に変形するときに培養基材11に駆動力を付与することができる。ただし、この場合、より大きく膨張する第2膜体42が培養面11a側に配置されることになるので、細胞の培養への影響が少ない箇所、例えば、図8に示すように、X方向の両端部に部分アクチュエータ31bを配置することが好ましい。
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。
本実施形態では、図11(a)に示すように、バルーンアクチュエータ30のY方向の幅は、培養基材11の幅よりも大きく形成されている。そして、図11(b)に示すように、培養基材11を管状形態に変形させると、バルーンアクチュエータ30のY方向の両端部30aが管状形態の培養基材11から径方向外方へ突出して互いに重ね合わされ、面接触した状態となる。これによって、管状形態の培養基材11の内部に流体を流したときの漏れが防止される。
また、バルーンアクチュエータ30の両端部30aの接触面(シール面)には、撥水処理が施されている。例えば、シール面に撥水性を有するフィルム66を設けることができる。これにより、管状形態の培養基材11を流れる流体の漏れをより確実に防止することができる。ただし、撥水処理は、シール面同士の吸着を阻害しないことが必要とされる。なお、バルーンアクチュエータ30が、図3、図9、及び図10に示すように複数の部分アクチュエータ31,31a,31bからなる場合、バルーンアクチュエータ30のY方向の両端部に、互いに重ね合わされる部分をY方向に延長して設け、この延長した部分によってX方向に隣接する複数の部分アクチュエータ31,31a,31bを互いに連結してもよい。
[第5の実施形態]
図12は、第5の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。
本実施形態では、図12(a)に示すように、開形態における培養基材11が、円弧状に湾曲した形態であり、図12(b)に示すように、閉形態における培養基材11が、開形態における培養基材11よりも小さい円弧半径で湾曲した形態となっている。
閉形態における培養基材11は、Y方向の両端部が接しておらず、両端部の間に隙間が形成された形態となっている。このような閉形態においても、培養基材11は管状であるといえ、培養面11aを内面とする内部容積を有する流路が形成される。したがって、上記第1の実施形態と同様に、流体を灌流させることができる。
また、開形態では、培養基材11は湾曲しているが、その培養面11aが開形態の培養面11aよりも大きく開放されているため、培養面11aに対する細胞の培養や観察を好適に行うことができる。
なお、本実施形態においても、開形態の培養基材11は、第1の実施形態と同様に平面状に形成されてもよい。逆に、第1の実施形態における開形態の培養基材11が、本実施形態のようにわずかに湾曲していてもよい。また、閉形態の培養基材11は、液体を灌流させることが可能な程度に湾曲していればよいが、管状形態の中心軸回りに180°を超える範囲で湾曲した形態とすることが好適である。
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態に係る細胞培養装置の断面図である。
本実施形態では、半円弧状に形成された2つの支持部材71が設けられ、各支持部材71の内面に培養面11aを有する培養基材11が設けられている。2つの支持部材71の一端部同士は、ヒンジ部72によって互いに回動自在に連結されている。各支持部材71は、半円弧状の形態を維持できる程度の剛性を有したものとされる。そして、図13(b)に示すように、2つの支持部材71の他端部同士を突き合わせることによって培養基材11を閉形態(管状形態)に変形することができ、図13(a)に示すように、2つの支持部材71の他端部同士を離反させることによって培養基材11を開形態に変形することができる。
本実施形態においても、閉形態の培養基材11により流路が形成され、この流路に流体を灌流させることができる。また、開形態の培養基材11は、培養面11aが大きく開放されるので、細胞の培養や観察を好適に行うことができる。
なお、本実施形態においては、モータや流体圧シリンダ等からなる駆動部(図示省略)を用いて2つの支持部材71を回転させることにより、培養基材11を閉形態と開形態との間で変形させることができる。支持部材71は、例えば合成樹脂材により形成することができ、第1の実施形態等と同様に、培養基材11を透過した液体を通り抜けさせることができる透過領域を有していてもよい。
[第7の実施形態]
図14は、第7の実施形態に係る細胞培養装置の斜視図である。
本実施形態では、図14(b)に示すように、管状(筒状)に形成された支持部材73の内側に培養基材11が設けられており、培養基材11の内部に流路が形成されている。また、本実施形態では、支持部材73の一部73bと、その内側の培養基材11の一部11bとは、ヒンジ部74を介して他の部分に対して回動可能に構成されている。
したがって、図14(b)に示す閉形態と、図14(a)に示す開形態との間で培養基材11を開閉運動させることができ、開形態における培養基材11の培養面11aが、閉形態における培養基材11の培養面11aよりも開放されている。そのため、開形態における培養基材11の培養面11aに対する培養や観察を好適に行うことができる。
なお、本実施形態においても、モータや流体圧シリンダ等からなる駆動部(図示省略)を用いて支持部材73の一部73bを回転させることにより、培養基材11を閉形態と開形態との間で変形させることができる。支持部材73は、第1の実施形態等と同様に、培養基材11を透過した液体を通り抜けさせることができる透過領域を有していてもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、培養基材11を変形させる駆動部12は、バルーンアクチュエータ30を用いたものに限定されず、培養基材11を管状形態(閉形態)と平面形態(開形態)との間で変形させることができる限り、他の構成を用いてもよい。
駆動部12は、培養基材11を閉形態と開形態との間で変形させることに加えて、他の運動、例えば、管状の器官が行う蠕動運動を模した運動を行わせるものであってもよい。この場合、第1の実施形態の複数の部分アクチュエータ31を個別に駆動可能とし、かつX方向に順番に収縮運動させることによって実現させることができる。
管状形態の培養基材11は、断面形状が真円でなくてもよく、楕円形や扁平な円形状であってもよい。
バルーンアクチュエータ30に形成される透過領域33は、切り欠け状に形成するに限らず、バルーンアクチュエータ30を厚さ方向に貫通する孔形状に形成してもよい。
また、培養細胞に対する液体の透過性を評価しない場合には、培養基材11の培養面11aとは反対側の全体を覆うようにバルーンアクチュエータ30を設けてもよい。この場合、培養細胞の液体の吸収性評価を行うことができる。
[評価実験1]
本出願の発明者は、バルーンアクチュエータによる培養基材の開閉動作が培養基材上の細胞に与える影響について調べた。
具体的には、培養基材上に、腸管上皮を模倣するcaco−2細胞を培養した。caco−2細胞には、DSファーマバイオメディカル株式会社製を用いた。37℃、CO5%、空気95%の環境下で、10%熱不活性ウシ胎児血清、ペニシリンG(100UmL−1)、ストレプトマイシン(100μg mL−1)、および、1%非必須アミノ酸を補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)内でcaco−2細胞を培養した。caco−2細胞は、0.05%トリプシンおよびEDTA中で解離することによって継代し、バルーンアクチュエータの上面において培養基材を構成するコラーゲン上に細胞を播種した。caco−2細胞は、7日間でコンフルーエンスに達した。培地は24時間毎に交換した。
バルーンアクチュエータには、図11に示すように、培養基材を管状形態に形成したときに、両端部が互いに重ね合わされることによってシールする形態のものを用いた。また、バルーンアクチュエータには、液体を透過させるための透過領域が形成されず、培養基材の外側全体を覆う形状のものを用いた。
培養基材上に単層のcaco−2細胞を培養した後、1時間、カルセインAM(1μg mL−1)にcaco−2細胞を曝露した。そして、バルーンアクチュエータを作動することによって、10秒間、培養基材を平面形態から管状形態に変形し、作動の前後のcaco−2細胞の明視野像および蛍光像を観察し、この手順を10回繰り返した。図15に、培養基材の表面の画像を示す。
図15(a)は、バルーンアクチュエータの上面をコラーゲンでコートした後の状態、図15(b)は、細胞を播種した後、図15(c)は、caco−2細胞を静的に培養した後の状態、図15(d)は、caco−2細胞を静的に培養した後のカルセインAMで染色された状態、図15(e)は、バルーンアクチュエータを10回繰り返し作動した後の状態、図15(f)は、バルーンアクチュエータを10回繰り返し作動した後のカルセインAMで染色された状態を示す。なお、図15および後で説明する図16において、画像に映し出されたU字状の線はバルーンアクチュエータの中空部の周縁を示している。
以上の操作の結果、図15(b)に示すように、caco−2細胞は培養基材の表面に付着し、単層のcaco−2細胞が培養基材上に正常に形成されたことが確認できた。また、バルーンアクチュエータを10回繰り返して作動した後もcaco−2細胞の剥離がないことを確認できた(図15(c)および(e)参照)。これらの結果は、細胞の生存能力が維持され、バルーンアクチュエータの繰り返しの作動中にもcaco−2細胞がしっかりと培養基材に付着していることを表す。また、培養基材上のcaco−2細胞はカルセインAMによって均一に染色されたことを確認できた(図15(d)(f)参照)。これは、単層のcaco−2細胞が細胞間の接合によってしっかりと形成されていることを表している。また、管状形態の培養基材に流体を流しているときに、流体の漏れも生じなかった。
[評価実験2]
次に、本出願の発明者は、管状形態の培養基材に薬剤が均一に流れ、caco−2細胞に均一に吸収されるかを調べた。
管状形態の培養基材には、薬液に相当する液体として蛍光色素を含むHBSS(Hanks' Balanced Salt Solution)を0.05mLmin−1の流量で1時間灌流した。蛍光色素には、親水性薬剤のモデルとしてのカルセインと、親油性薬剤のモデルとしてのテキサスレッドとを用い、それぞれの濃度を100μmolL−1,10μmolL−1とした。その後、管状形態の培養基材の底部および上部におけるcaco−2細胞の明視野画像と蛍光画像とを観察した。
図16は、caco−2細胞の顕微鏡画像である。特に、図16(a)(b)は、管状形態の培養基材の底部および上部の明視野画像である。この画像から、薬液の灌流に伴うせん断応力によってcaco−2細胞が剥離されていないことが確認できた。図16(c)(d)は、管状形態の培養基材の底部および上部におけるカルセインの蛍光信号を撮像した画像であり、図16(e)(f)は、テキサスレッドの蛍光信号を撮像した画像である。これらの画像から、カルセインおよびテキサスレッドは、親水性の程度に関わらず、caco−2細胞に均一に吸収されていることが確認された。
[評価実験3]
本出願の発明者は、管状形態の培養基材に薬液等の液体を流したときの、流体の力学的特性および培養基材への薬剤の吸収について調べた。具体的には、内径が異なる複数種類の管状形態の培養基材に対して薬剤を含む流体を流し、流体を流す前後の培養基材の状態を観察した。また、管状形態の各培養基材における流体の力学的特性を演算により求めた。
図17は、内径が異なる複数種類の培養基材およびバルーンアクチュエータを示す画像である。図17(a)は、内径が約0.5mm、図17(b)は、内径が約1.0mm、図17(c)は、内径が約2.0mmの培養基材を示す。
図22は、管状形態の培養基材(以下、単に「管」ともいう)の内径と、管を流れる流体の力学的特性との関係を示す表である。この表において、流速u、せん断応力τ、圧力降下ΔP、レイノルズ数Reは、それぞれ次の式(1)〜(4)によって演算される。
u=Q/(πr) ・・・ (1)
τ=4μQ/(πr) ・・・ (2)
ΔP=8μQL/(πr) ・・・ (3)
Re=2ρQ/(μπr) ・・・ (4)
ただし、Qは液体の流量、μは液体の粘度、ρは液体の密度、Lは管の長さ、rは管の半径である。液体の流量Qは、0.05mL/minとし、3分間液体を灌流させた。
式(2)に示すように、管の半径r(内径2r)を変化させると、せん断応力τも変化することが判る。図18に、管の内径とせん断応力との関係を示す。
また、図19は、内径が異なる3種類の管状形態の培養基材に、親油性薬剤のモデルとしてテキサスレッドを含む流体を流し、テキサスレッドの蛍光信号を撮像した画像を示す。図19(a)は、内径が0.5mmの場合、(b)は内径が1.0mmの場合、(c)は、内径が2.0mmの場合である。管状形態の培養基材の内径が0.5mmの場合と1.0mmの場合とを比較すると、前者の方が後者よりもより赤く撮像され、内径が1.0mmの場合と2.0mmの場合とを比較すると、前者の方が後者よりもより赤く撮像された。したがって、管の内径が小さい程、より速く親油性薬剤が吸収されているといえる。
また、図20は、内径が異なる3種類の管状形態の培養基材に、親水性薬剤のモデルとしてカルセインを含む流体を流し、カルセインの蛍光信号を撮像した画像を示す。図20(a)は、内径が0.5mmの場合、図20(b)は内径が1.0mmの場合、図20(c)は、内径が2.0mmの場合である。管状形態の培養基材の内径がいずれの場合においても、caco−2細胞の染色の状態は変わらず、親水性薬剤の吸収の速さにほとんど差はなかった。
以上の結果から、次のように考察することができる。
図21に示すように、培養基材に培養されたcaco−2細胞からは、粘性の高いムチンが分泌され、caco−2細胞の表面が親水性のムチン層(粘液層)で覆われる。このムチン層は非撹拌水層とも呼ばれ、caco−2細胞への親油性薬剤の吸収を妨げる障壁となる一方、親水性薬剤の吸収は妨げない。また、ムチン層は、流体の流れによって培養基材の内面に作用するせん断応力によって厚さTが変化すると考えられる。図22に示すように、管状形態の培養基材の内径rが大きい程せん断応力τは小さくなり、内径rが小さい程せん断応力τが大きくなるので、当該内径rが大きい程、ムチン層の厚さTが大きく親油性薬剤の吸収が遅くなり(図21(a)参照)、当該内径rが小さい程、ムチン層の厚さTが小さく親油性薬剤の吸収が速くなる(図21(b)参照)と考えることができる。したがって、管状形態の培養基材の内径を調整することによってせん断応力をコントロールすれば、親油性薬剤の吸収の速さをコントロールすることが可能であるといえる。また、管状形態の培養基材の内径を調整することによって、生体における管の様々な流れの状態を再現することができ、親油性薬剤の吸収の速さも再現することができると考えられる。
10 :細胞培養装置
11 :培養基材
11a :培養面
12 :駆動部
30 :バルーンアクチュエータ
30a :両端部
53 :導入管
S :細胞

Claims (8)

  1. 細胞が培養される培養面を有する培養基材と、
    前記培養基材を閉形態と開形態との間で開閉させる駆動部とを備え、
    前記閉形態は、前記培養基材が、前記培養面を内面とした内部容積をもつ流路を形成する形態であり、
    前記開形態は、前記培養基材の前記培養面が、前記閉形態における前記培養基材の前記培養面よりも外部に開放された形態である、細胞培養装置。
  2. 前記開形態の前記培養基材が平坦に形成される、請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 前記閉形態の前記培養基材が管状に形成される、請求項1又は2に記載の細胞培養装置。
  4. 前記駆動部が、前記培養基材における前記培養面とは反対側の面に設けられたバルーンアクチュエータを有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  5. 前記バルーンアクチュエータは、前記培養基材を透過した液体が通り抜ける領域を有している、請求項4に記載の細胞培養装置。
  6. 前記閉形態の前記培養基材が管状に形成され、
    前記閉形態の前記培養基材において、互いに対向する前記バルーンアクチュエータの両端部における前記培養基材側の面が、互いに面接触するシール面を構成している、請求項4又は5に記載の細胞培養装置。
  7. 前記シール面に撥水処理が施されている、請求項6に記載の細胞培養装置。
  8. 前記閉形態の前記培養基材に流体を流入させるための導入管が接続される、当該培養基材の端部の内周面に、撥水処理が施されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
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