1回、1回、動作が終了するスポーツ、あるいは1回の動作時間が短い作業であれば、動作の後にゆっくり動作の評価を確認することができる。例えば、1回、1回動作が終了するスポーツであれば、1回の動作をカメラやビデオで撮影し、撮影した画像を動作の後にゆっくり確認することができる。しかし、動作が継続するスポーツにおいては、トレーニングを継続しつつ動作の評価を確認することができれば利便性が高い。あるいは、機器の操作を継続して行う場合に、機器の操作を継続しつつ、動作の評価を確認することができれば利便性が高い。
一般的にも、1回、1回、動作が終了する運動、あるいは1回の動作時間が短い運動であれば、動作の後にゆっくり動作の評価を確認することができる。しかし、動作が継続する運動においては、動作を継続しつつ動作の評価を確認することができれば利便性が高い。
本発明は、動作をする者が動作を継続しながら、動作の評価を確認することができる仕組みを提供することを課題とする。
本発明は、また、継続する動作に関するトレーニングにおいて、トレーニングをする者が動作を継続しながらその動作の評価を確認することができる仕組みを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
(構成1)
本発明の実施の形態の1つであるユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、計測結果入力部、オノマトペデータ取得部、および、オノマトペ出力部を備える。
前記計測結果入力部には、計測装置によって計測され、ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動を含む前記ユーザの動作に起因する事象についての計測結果が入力される。
前記オノマトペデータ取得部は、前記計測結果入力部に入力された前記計測結果のうち前記ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動に起因する事象についての計測結果に基づいて行われた、前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する。
前記オノマトペ出力部は、前記オノマトペデータ取得部が取得した前記オノマトペデータを、前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して、前記報知装置に、前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記ユーザの動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させる。
本実施の形態のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、動作を行うユーザが動作を継続している状態において、ユーザに対して動作の評価を提示することが可能である。ユーザは、動作を行いながら評価内容を把握することができる。ユーザは評価内容を把握しつつ、さらに動作を継続させることが可能である。
(構成2)
上記構成1のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置において、前記オノマトペデータ取得部は、複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた、前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得してもよい。
オノマトペを用いなければ、複数の評価項目に関する評価を文字などで説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、複数の評価項目に関する評価を簡潔に表しているので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成3)
上記構成1または2のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置において、前記オノマトペデータ取得部は、1つの評価項目に関して多段階の評価を行うことによって得られた、前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得してもよい。
オノマトペを用いなければ、ある評価項目に関して多段階の評価内容を表現するためには、文字などを利用して説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、ある評価項目に関して多段階の評価を簡潔に表すことができるので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成4)
上記構成1ないし3のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置において、前記オノマトペデータ取得部が取得するオノマトペデータは、前記計測結果あるいは前記計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することにより前記ユーザの動作の評価として得られるものとしてもよい。
計測結果等を所定の閾値と比較することにより、リアルタイムでユーザの運動の評価結果を得ることができる。
(構成5)
上記構成1ないし4のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置において、前記計測結果は、前記ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含んでもよい。
ユーザが操作した対象物の状態に基づいて、ユーザの動作を評価することができる。
(構成6)
上記構成1ないし5のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、さらに、前記計測装置によって計測されたユーザの動作に起因する事象についての計測結果に基づいて前記ユーザの動作の評価を行う評価部、を備えてもよい。
オノマトペ提示装置において動作の評価を実行することができる。
(構成7)
本発明の実施の形態の一つであるユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムは、計測結果入力処理、オノマトペデータ取得処理、および、オノマトペ出力処理をコンピュータに実行させる。
計測結果入力処理は、計測装置によって計測され、ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動を含む前記ユーザの動作に起因する事象についての計測結果を入力する。
オノマトペデータ取得処理は、前記計測結果入力処理で入力された前記計測結果のうち前記ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動に起因する事象についての計測結果に基づいて行われた前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する。
オノマトペ出力処理は、前記オノマトペデータ取得処理で取得した前記オノマトペデータを、前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して、前記報知装置に、前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記ユーザの動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させる。
本実施の形態のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムは、動作を行うユーザが動作を継続している状態において、ユーザに対して動作の評価を提示することが可能である。ユーザは、評価内容をフィードバックさせながら、さらに動作を継続させることが可能である。
(構成8)
上記構成7のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムにおいて、前記オノマトペデータ取得処理は、複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた、前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得する処理であってもよい。
オノマトペを用いなければ、複数の評価項目に関する評価を文字などで説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、複数の評価項目に関する評価を簡潔に表しているので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成9)
上記構成7または8のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムにおいて、前記オノマトペデータ取得処理は、1つの評価項目に関して多段階の評価を行うことによって得られた、前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する処理であってもよい。
オノマトペを用いなければ、ある評価項目に関して多段階の評価内容を表現するためには、文字などを利用して説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、ある評価項目に関して多段階の評価を簡潔に表すことができるので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成10)
上記構成7ないし9のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムにおいて、前記オノマトペデータ取得処理が取得するオノマトペデータは、前記計測結果あるいは前記計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することにより前記ユーザの動作の評価として得られるものであってもよい。
計測結果等を所定の閾値と比較することにより、リアルタイムでユーザの運動の評価結果を得ることができる。
(構成11)
上記構成7ないし10のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムにおいて、前記計測結果は、前記ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含んでもよい。
ユーザが操作した対象物の状態に基づいて、ユーザの動作を評価することができる。
(構成12)
上記構成7ないし11のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムは、さらに、前記計測装置によって計測されたユーザの動作に起因する事象についての計測結果に基づいて前記ユーザの動作の評価を行う評価処理、をコンピュータに実行させてもよい。
オノマトペ提示プログラムにおいて動作の評価を実行することができる。
なお、上記構成7ないし11のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
(構成13)
本発明の実施の形態の1つであるユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法は、計測結果入力工程、オノマトペデータ取得工程、および、オノマトペ出力工程を備える。
計測結果入力工程は、計測装置によって計測され、ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動を含む前記ユーザの動作に起因する事象についての計測結果を入力する。
オノマトペデータ取得工程は、前記計測結果入力工程で入力された前記計測結果のうち前記ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動に起因する事象についての計測結果に基づいて行われた前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する。
オノマトペ出力工程は、前記オノマトペデータ取得工程で取得した前記オノマトペデータを、前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して、前記報知装置に、前記ユーザの動作の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記ユーザの動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させる。
本実施の形態のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法は、動作を行うユーザが動作を継続している状態において、ユーザに対して動作の評価を提示することが可能である。ユーザは、評価内容をフィードバックさせながら、さらに動作を継続させることが可能である。
(構成14)
上記構成13のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法において、前記オノマトペデータ取得工程は、複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた、前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得する工程であってもよい。
オノマトペを用いなければ、複数の評価項目に関する評価を文字などで説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、複数の評価項目に関する評価を簡潔に表しているので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成15)
上記構成13または14のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法において、前記オノマトペデータ取得工程は、1つの評価項目に関して多段階の評価を行うことによって得られた、前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する工程であってもよい。
オノマトペを用いなければ、ある評価項目に関して多段階の評価内容を表現するためには、文字などを利用して説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、ある評価項目に関して多段階の評価を簡潔に表すことができるので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
(構成16)
上記構成13ないし15のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法において、前記オノマトペデータ取得工程が取得するオノマトペデータは、前記計測結果あるいは前記計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することにより前記ユーザの動作の評価として得られるものとしてもよい。
計測結果等を所定の閾値と比較することにより、リアルタイムでユーザの運動の評価結果を得ることができる。
(構成17)
上記構成13ないし16のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法において、前記計測結果は、前記ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含んでもよい。
ユーザが操作した対象物の状態に基づいて、ユーザの動作を評価することができる。
(構成18)
上記構成13ないし17のいずれかのユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示方法は、さらに、前記計測装置によって計測されたユーザの動作に起因する事象についての計測結果に基づいて前記ユーザの動作の評価を行う評価工程、を含んでもよい。
オノマトペ提示方法は動作の評価を実行することができる。
なお、オノマトペ出力部は、ユーザがユーザの動作をしている間に、報知装置に対してオノマトペを提示させるが、本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、ユーザが動作しているか否かを検出する手段を必ずしも備える必要はない。ユーザがユーザの動作をしているか否かを検出する検出部を備えていても良いし、備えていなくてもよい。例えば、ユーザがある機器を操作することが“ユーザの動作”であれば、検出部として、機器に対する入力操作を検出するセンサや、機器の動きを検出するセンサを用いることができる。例えば、ユーザがある乗り物を操縦することが“ユーザの動作”であれば、検出部として、アクセル、ブレーキあるいはハンドルなどの操作量を検出するセンサを用いることができる。このように、ユーザの動作に起因する機器又は乗り物の状態の変化を示す物理量を検出するセンサを、検出部とすることができる。
なお、本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置が、ユーザが動作をしているか否かを検出する検出部を備えている場合、オノマトペ出力部は、検出部がユーザの動作を検出している間にオノマトペを出力するよう制御すればよい。オノマトペ提示装置が検出部を備えていない場合、オノマトペ出力部は、計測情報の入力タイミングから、オノマトペの出力タイミングまでの時間が短くなるように、装置を構成すればよい。例えばCPUとして高い処理能力を備えるものを使用することにより、ユーザが動作をしている間にオノマトペを出力することができる。
本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、ユーザが動作をしている間にオノマトペをユーザに提示するので、ユーザにリアルタイムでオノマトペを把握させることができる。ここで、リアルタイムとは、ユーザがある動作をしているときに、その動作が終了するまでの間にオノマトペを提示できる程度のタイミングをいい、瞬間的なタイミングに限定されるものではない。
なお、オノマトペ出力部が、オノマトペを出力するタイミングはユーザが動作をしている間に限られるものではない。オノマトペ出力部は、ユーザが動作している間にオノマトペの出力を開始し、ユーザの動作終了後もオノマトペの出力を継続してもよい。つまり、ユーザの動作中および動作後の双方にまたがってオノマトペを出力してもよい。
なお、本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、最小構成として、計測結果入力部、オノマトペデータ取得部、および、オノマトペ出力部を備えていればよい。オノマトペ提示装置は、さらに、評価部を備えていても良いし、評価部を外部の装置に設けてもよい。また、オノマトペ提示装置は、計測装置を備えていても良い。
なお、ユーザの動作に起因する事象とは、ユーザの身体の動き、ユーザの操作に基づく機器の動き、ユーザの操縦に基づく乗り物の挙動、などを含む。また、ユーザの動作に起因する事象には、ユーザのストレス、体温、心拍数などの生体情報も含む
なお、ユーザの動作の評価としては、様々な基準のもとで閾値との比較の結果が用いられる。基準としては、速さ、正確さ、滑らかさ、などを用いることができる。基準としては単一の基準でだけでなく、複数の基準を用いて、総合評価をすることができる。
また、本発明は、上記の実施の形態に加えて、技量向上促進装置としての実施の形態を有している。本実施の形態の技量向上促進装置は、トレーニングを行うユーザにトレーニング結果を提示する装置であって、トレーニングを実施したユーザの動作に起因する事象を計測する計測部と、計測部の計測結果に基づき、トレーニングを実施したユーザの動作の評価を行う評価部と、評価部により行われた評価に対応したオノマトペデータを取得するデータ取得部と、データ取得部が取得したオノマトペデータを出力することにより、トレーニングを行ったユーザに、動作の評価を提示する出力部とを備える。
トレーニングを行うユーザがトレーニングを継続している状態において、トレーニングの評価を提示することが可能である。ユーザは、評価内容をフィードバックさせながら、さらにトレーニングを継続させることが可能である。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、評価部は、複数の評価項目に対して1つの評価を行い、データ取得部は、複数の評価項目に対して1つのオノマトペデータを取得する。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、評価部は、1つの評価項目に関して多段階の評価を行い、データ取得部は、1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペデータを取得する。
スポーツ、乗り物の操縦、機器の操作などは、人間の運動、動作によってもたらされる活動である。これらの活動をする上で、動作をした者は、自身の運動、動作の内容に関心を持っている。動作をした者は、自身の動作がどのような結果をもたらすかについて関心を持っている。動作をした者は、自身の運動、動作の結果に関する評価を得ることで、自身の活動内容を把握することができる。
上記のような運動、動作をする者は、動作に対する評価を確認し、動作の良し悪しを判断する。動作をする者は、動作の評価がよければ、自身の動作に問題がなかったことを確認できる。動作をする者は、動作の評価が悪ければ、動作の修正を行う。このように、運動、動作をする者にとって、動作の評価は関心のある情報である。
上記のように動作をする者にとって、動作の評価は関心のある情報であるが、同様にトレーニングをする者にとっても、動作の評価は関心のある情報である。トレーニングをする者は、まず、動作を行う。次に、動作に対する評価を確認し、動作の良し悪しを判断する。動作の評価がよければその動作を継続して練習し、動作の評価が悪ければ、動作の修正を行う。このように、トレーニングをする者は動作の評価を何らかの形で得る必要がある。
ゴルフのトレーニングであれば、スイングのたびに1回、1回、動作が終了する。このため、ゴルフのスイングであれば、動作の後にゆっくり評価を確認できる。例えば、カメラやビデオで撮影したスイングの画像をスイング後にゆっくり確認することができる。そして、スイングの画像を確認した後に、再度、スイングのトレーニングを開始すればよい。
これに対して長距離走のためのランニングのトレーニングであれば、動作が継続的に行われるため、ランニングを継続しながら、動作の評価を確認することは困難である。動作の評価を確認するたびに走る動作を停止していたのでは、ランニングのトレーニングの本来の目的が達成できない。
あるいは自動二輪車の操縦に関するトレーニングであれば、走行を継続しながらライディング技量の評価を確認することができれば便利である。加速やコーナーリングが終わった後に、いちいち自動二輪車を停車させてライディング技量の評価を確認するというのは非常に煩雑である。
また、自動二輪車のライダーに情報を提示する手段は、四輪車に比べると充実していないのが現状である。自動二輪車のライダーはヘルメットを装着するという事情もある。たとえ自動二輪車のハンドル付近にモニタを搭載したとしても、ライダーがヘルメットを被ったままモニタを参照するのは困難である。
自動二輪車のライダーは四輪車のドライバーに比べて、運転に関わる操作の種類が多く、また、操作を行う頻度が高い。さらには、自動二輪車のライダーは、同時に行われなければならない操作も多い。したがって、たとえ自動二輪車にモニタを搭載したとしても、映像によってライダーに情報を通知することは困難である。
ユーザが、時間的、作業的に余裕にある環境では、文章やデータを提示することでユーザにトレーニング結果を提示することができる。しかし、ユーザが、時間的、作業的に余裕のない環境で、同じ情報量を提示することは困難であった。本願発明者は、トレーニングに関わる動作を継続しながら、評価結果を確認することができる手段として、ユーザに対する情報の提供にオノマトペを利用することを思いついた。
オノマトペを情報の提供に利用すると次のような有利な点がある。第1には、複数の評価項目に関連する評価内容を1つのオノマトペで表現することができる。第2には、単一の評価項目に関する多段階の評価値をオノマトペで表現することができる。
本願発明者は、複数の評価項目から把握される動作状態、あるいは、単一の評価項目について多段階に評価される動作状態を利用者に提供するトレーニングシステムにオノマトペの利用が効果的であることを思いついた。そこで、オノマトペを利用したトレーニングシステムを利用することにより、利用者に短い言葉で簡潔に評価を与えることが可能となることを思いついた。
また、運動、動作をする者が、時間的、作業的に余裕にある環境では、文章やデータを提示することで動作をする者に動作結果を提示することができる。しかし、動作をする者が、時間的、作業的に余裕のない環境で、同じ情報量を提示することは困難であった。本願発明者は、各種の動作を継続しながら、評価結果を確認することができる手段として、動作をする者に対する情報の提供にオノマトペを利用することを思いついた。
本願発明者は、複数の評価項目から把握される動作状態、あるいは、単一の評価項目について多段階に評価される動作状態を動作をする者に提供するシステムにオノマトペの利用が効果的であることを思いついた。そこで、オノマトペを利用したシステムを利用することにより、動作をする者に短い言葉で簡潔に評価を与えることが可能となることを思いついた。
以下、本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置の一つの実施の形態としてライディング評価装置を例に説明する。
以下の実施の形態における「計測情報入力部」は、本発明の「計測結果入力部」に対応している。実施の形態における「オノマトペ取得部」は、本発明の「オノマトペデータ取得部」に対応している。実施の形態における「出力部」は、本発明の「オノマトペ出力部」に対応している。実施の形態における「スピーカ」、「ディスプレイ」は、本発明の「報知装置」の一例である。
以下、本発明のユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置の実施の形態について、自動二輪車に搭載されたライディング評価装置を例に説明する。
{1.ライディング評価装置の概要}
本実施の形態のライディング評価装置は、自動二輪車に搭載される。自動二輪車のライダーは、発進、加速、減速、あるいは旋回などを行うための動作を行い、自動二輪車を操縦する。ライディング評価装置は、ライダーによる各種の動作に対する評価を行い、評価内容に対応するオノマトペを取得する。自動二輪車は、ライディング評価装置によって取得されたオノマトペを、自動二輪車を操縦しているライダーの操縦に対するライディング評価としてライダーに提供する。ライダーは、自動二輪車を操縦し、走行を継続しながら、オノマトペで表現されたライダーの操縦に対するライディング評価に関する情報を取得する。
{2.オノマトペ}
本明細書で使用する言葉の定義について図1を用いて説明する。擬声語(あるいは擬音語)とは、動物の鳴き声や物体の音響を表現した語である。擬声語の例としては、「わんわん」(日本語音声では“wan−wan”、英語音声では“bow−wow”:犬の鳴き声を表す擬声語)、「ガチャン」(日本語音声では“gacyan”、英語音声では“clash”:陶器などが割れる音を表す擬声語)、「ガタガタ」(日本語音声では“gata−gata”、英語音声では“bonk”:机の脚の長さが均一でないときに机が揺れる音を表す擬声語)などがある。
擬態語とは、事物の状態や人の動作などの様子をそれらしい音声にたとえて表現した語である。擬態語の例としては、「つるつる」(日本語音声では“tsuru−tsuru”:表面が滑らかな状態を表す擬態語)、「ぷよぷよ」(日本語音声では“puyo−puyo”:やわらかい弾力性のある状態を表す擬態語)、「よちよち」(日本語音声では“yochi−yochi”:赤ちゃんが手足をついて少しずつ前へ進む状態を表す擬態語)などがある。
別の擬態語の例としては、「そろそろ」(日本語音声では“soro−soro”、英語音声では“slo−slo−slo”:速度、動作が遅い状態を表す擬態語)、「ビューン」(日本語音声では“viewn”、英語音声では“zooooom”:速度、動作が早い状態を表す擬態語)、「キュイーン」(日本語音声では“cueeen”、英語音声では“zoooooooom”:素早く進む様子を表すとともに爽快感を表す擬態語)、「ふらふら」(日本語音声では“fla−fla”、英語音声では“diz−diz−diz”:揺れながら動く様子を表す擬態語)などがある。オノマトペとは、擬声語および擬態語を総称する語である。
日本語は特にオノマトペを頻繁に利用する言語であるが、英語においてもオノマトペは使用されている。たとえば、日本語の「だぶだぶ」(日本語音声では“doub−doub”:服などのサイズが大きすぎる様子を表す擬態語)に対しては、「baggy」、「ビーッ」(日本語音声では“beee!”:ブザーなどの鳴動音を表す擬声語)に対しては「beep」などのオノマトペが利用されている。また、跳んだり跳ねたりする様子を表すオノマトペとして「boink!!」、「boing!!」、「whoosh!!」などが用いられる。
{3.自動二輪車の全体構成}
本実施の形態に係る自動二輪車1の構成について図2を参照しながら説明する。本実施の形態においては、自動二輪車1は、図2に示すように、ネイキッドタイプの自動二輪車である。ただし、本実施の形態に係るライディング評価装置は、レーサータイプ、アメリカンタイプなどあらゆる種類の自動二輪車に適用可能である。あるいは、本実施の形態に係るライディング評価装置は、スクーターに適用することも可能である。
以下の説明において、自動二輪車1の左右、前後方向とは、自動二輪車1のシート81に着座したライダーから見た左右、前後方向を言うものとする。図2において、矢視Fは、自動二輪車1の前方向を、矢視Rは、自動二輪車1の後方向を、矢視Uは、自動二輪車1の上方向を、矢視Dは、自動二輪車1の下方向を示す。
自動二輪車1は、車体フレーム6を備える。車体フレーム6は、ヘッドパイプ61を備える。ヘッドパイプ61は、車体の前部に配置されている。ヘッドパイプ61には、ステアリングシャフト70が左右方向に回転可能に挿入されている。ステアリングシャフト70の上部には、ハンドル71が固定されている。ハンドル71は、ステアリングシャフト70と一体的に左右方向に回転可能である。
ステアリングシャフト70にはブラケットを介してフロントフォーク72が固定されている。フロントフォーク72の下端には、前輪73が回転可能に取り付けられている。ライダーがハンドル71を左右方向に操縦することにより、前輪73が左右方向に回転可能である。フロントフォーク72には、フロントサスペンション74が設けられている。
車体の前後方向で中間よりやや後方部分にはシート81が設けられている。シート81は、車体フレーム6により支持されている。シート81の前方には燃料タンク82が設けられている。燃料タンク82は、車体フレーム6により支持されている。
燃料タンク82の下方にはエンジン83が設けられている。エンジン83は、車体フレーム6により支持されている。エンジン83より後方において、リヤアーム75が設けられている。リヤアーム75は、車体フレーム6に設けられたピボット軸において、上下方向に揺動可能に支持されている。リヤアーム75の後部には、後輪76が回転可能に設けられている。後輪76と車体フレーム6との間にはリヤサスペンション77が設けられている。
エンジン83の後方にはミッション装置84が設けられている。ミッション装置84は、車体フレーム6により支持されている。エンジン83の出力はミッション装置84、チェーンを介して後輪76に伝達される。
{4.自動二輪車に搭載されたセンサ}
本実施の形態の自動二輪車1は、図2に示すように、多数のセンサ101〜120を搭載している。画像センサ101は、車体の前部に設けられている。画像センサ101は、車両の前方を撮像可能なセンサであり、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどを用いることができる。音声センサ102は、ハンドル71の近傍に設けられ、周辺環境の音声あるいはライダーの音声を集音するマイクである。画像センサ101および音声センサ102は、別の場所に取り付けられてもよい。
クラッチ操作センサ103は、ハンドル71の近傍に設けられ、ライダーによって操作されたクラッチレバー(図示省略)の変位量を計測する。クラッチ操作センサ103としては、ポテンショメータやリニアエンコーダなどを用いることができる。ステアリング角度センサ104は、ステアリングシャフト70の近傍に設けられ、ステアリングシャフト70の回転角度を計測する。ステアリング角度センサ104としては、たとえばポテンショメータを用いることができる。
フロントサスペンションストロークセンサ105は、フロントサスペンション74の近傍に設けられ、フロントサスペンション74のストローク量を計測する。フロントサスペンションストロークセンサ105としては、リニアエンコーダなどを用いることができる。前輪速度センサ106は、前輪73の近傍に設けられ、前輪73の回転速度を計測する。前輪速度センサ106としては、ロータリーエンコーダなどを用いることができる。前輪ブレーキ圧センサ107は、前輪73に設けられたブレーキ(図示省略)の近傍に設けられ、前輪ブレーキのブレーキ圧を計測する。前輪ブレーキ圧センサ107としては、油圧センサなどが用いられる。
エンジン回転数センサ108は、エンジン83内に設けられ、エンジン83の回転数を計測する。エンジン回転数センサ108は、クランク軸(図示省略)などのエンジン83内に設けられた軸の近傍に配置され、ロータリーエンコーダなどが用いられる。ギアポジションセンサ109は、ミッション装置84内に設けられ、変速ギアの位置を検出する。ギアポジションセンサ109としては、リニアエンコーダなどが用いられる。スロットル開度センサ110は、エンジン83に接続された吸気パイプの近傍に設けられる。スロットル開度センサ110としては、ポテンショメータなどが用いられる。
3軸加速度センサ111は、シート81の下方に取り付けられ、車体の3軸方向(上下方向、前後方向、左右方向)の加速度を計測する。3軸加速度センサ111としては、ピエゾ抵抗型3軸加速度センサなどを用いることができる。3軸角速度センサ112は、シート81の下方に取り付けられ、車体の3軸周り(上下方向周り、前後方向周り、左右方向周り)の角速度を計測する。3軸角速度センサ112としては、ジャイロセンサなどが用いられる。
方位センサ113は、シート81の下方に取り付けられ、方位を計測する。方位センサ113としては、磁気センサなどを用いることができる。位置情報センサ114は、シート81の下方に設けられ、自動二輪車1の位置情報を取得する。位置情報センサ114としては、GPS(Grobal Positioning Sysytem)受信装置を用いることができる。
リヤサスペンションストロークセンサ115は、リヤサスペンション77の近傍に設けられ、リヤサスペンション77のストローク量を計測する。リヤサスペンションストロークセンサ115としては、リニアエンコーダなどを用いることができる。後輪速度センサ116は、後輪76の近傍に設けられ、後輪76の回転速度を計測する。後輪速度センサ116としては、ロータリーエンコーダなどを用いることができる。後輪ブレーキ圧センサ117は、後輪76に設けられたブレーキ(図示省略)の近傍に設けられ、後輪ブレーキのブレーキ圧を計測する。後輪ブレーキ圧センサ117としては、油圧センサなどが用いられる。
温度センサ118は、シート81の下方に設けられ、外気温を計測する。FM受信部119は、FM(Frequency Modulation)多重放送を受信し、天気予報、交通情報などの文字情報を取得する。フロントライトスイッチセンサ120は、ハンドル71の近傍に設けられ、フロントライトのON/OFF切り替え操作を計測する。
{5.ライディング評価装置の構成}
次に、自動二輪車1に搭載されるライディング評価装置10の構成について、図3を参照しながら説明する。本実施の形態のライディング評価装置10は、計測部100、ライディング評価モジュール10P、および出力部500を備えている。ライディング評価モジュール10Pは、認識部200、オノマトペ取得部300およびオノマトペデータベース450を備えている。
計測部100は、上述したセンサ101〜120を備えている。本実施の形態においては、計測部100は、20種類のセンサ101〜120を備えているが、これは一例であり、これらの一部のセンサを備える構成でもよい。あるいは、他のセンサをさらに備える構成であってもよい。例えば、赤外線センサやステレオカメラを備えていてもよい。あるいは、ライダーの生体情報を計測するセンサ(血流センサや発汗センサ)を備えていてもよい。計測部100は、ライダーの動作に起因する事象を計測する。
認識部200は、計測部100において計測された情報をもとに、ライダーのライディング評価を行う処理部である。認識部200は、計測情報入力部201、評価部202、計測情報データベース250および判定基準データベース251を備えている。
計測情報入力部201には、計測部100において計測された情報が入力される。つまり、各種センサ101〜120が計測した情報が入力される。計測情報入力部201は、入力された計測情報を、計測情報データベース250に格納する。計測情報データベース250の内容については後で詳しく説明する。評価部202は、計測情報データベース250に格納された計測情報および判定基準データベース251に格納された判定基準テーブルに基づいて、ライダーのライディング評価を行う。評価部202は、ライダーのライディング評価を表すオノマトペを決定する。評価部202による評価方法の内容は後で詳しく説明する。
オノマトペ取得部300は、オノマトペデータベース450にアクセスし、評価部202において決定されたオノマトペに対応するデータを取得する。オノマトペ取得部300は、取得したオノマトペデータを、出力部500に出力する。出力部500は、オノマトペデータを出力し、ライディング評価をライダーに通知する。
出力部500は、スピーカ501およびディスプレイ502を備えている。オノマトペデータとして音声データが利用される場合には、出力部500としてスピーカ501が利用される。オノマトペデータとしてテキストデータあるいは画像データが利用される場合には、出力部500としてディスプレイ502が利用される。テキストデータにおいて、オノマトペは文字情報として記録されており、画像データにおいては、オノマトペが画像情報として記録されている。
本実施の形態の「ライディング評価モジュール10P」は、本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」の機能を含んでいる。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」が備える「計測結果入力部」は、「ライディング評価モジュール10P」が備える「計測情報入力部201」に対応している。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」が備える「オノマトペデータ取得部」は、「ライディング評価モジュール10P」が備える「オノマトペ取得部300」に対応している。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」が備える「オノマトペ出力部」は、「ライディング評価モジュール10P」が備える「オノマトペ取得部300」に含まれている。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」が備える「報知装置」は、「出力部500」に対応している。
本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」は、計測情報データベース250を含んでいてもよいし、計測情報データベース250を装置外部で保持してもよい。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」は、評価部202を含んでいてもよいし、装置外部にある評価部を利用してもよい。例えば、評価部がネットワークを介して接続されたサーバに置かれていてもよい。本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」は、オノマトペデータベース450を含んでいてもよいし、オノマトペデータベース450を装置外部で保持してもよい。
図4は、ライダーが自動二輪車1に乗車するときに装着するヘルメット85を示す図である。ヘルメット85には、左右のスピーカ501、501が設けられている。ライダーは、ヘルメット85を装着して自動二輪車1を操縦している状態で、スピーカ501、501から出力されるオノマトペを音声で確認することが可能である。
ヘルメット85のシールドの一部は、ディスプレイ502として利用される。ヘルメット85に設けられたAR(Augmented Reality)投影機5021から出力された映像が、ディスプレイ502に表示される。ライダーは、ヘルメット85を装着して自動二輪車1を操縦している状態で、ディスプレイ502に出力されるオノマトペを映像として確認することが可能である。
本実施の形態においては、オノマトペを出力するスピーカを、ライダーが装着するヘルメットに設けたが、スピーカは別の場所に設けてもよい。たとえば、スピーカをフロントカウルやハンドル近傍に設けてもよい。
本実施の形態においては、オノマトペを表示するディスプレイとして、ライダーが装着するヘルメットのシールドを利用したが、ディスプレイはこれに限られるものではない。ただし、ライダーがオノマトペを把握し易いようにするために、ライダーの視線の先に配置される透明あるいは半透明の部材にディスプレイを配置することが望ましい。
図3に戻る。本実施の形態において、計測情報入力部201、評価部202、オノマトペ取得部300は、CPU(Central Processing Unit)、メモリおよびメモリをワークエリアとして利用しながらCPU上で動作するソフトウェアにより実現されている。また、本実施の形態においては、計測情報入力部201、評価部202、オノマトペ取得部300を実現するCPU、ワークメモリ、ROMなどの部品と、計測情報データベース250、判定基準データベース251およびオノマトペデータベース450を格納するメモリなどの部品が、ライディング評価モジュール10Pとして、1枚あるいは複数の基板上に配置されている。図2に示すように、本実施の形態においては、ライディング評価モジュール10Pは、シート81の下方に配置されている。
あるいは、計測情報入力部201、評価部202、オノマトペ取得部300の一部あるいは全部がハードウェアにより構成されていてもよい。この場合にも、計測情報入力部201、評価部202、オノマトペ取得部300を実現するハードウェアなどの部品と、計測情報データベース250、判定基準データベース251およびオノマトペデータベース450を格納するメモリなどの部品が、ライディング評価モジュール10Pとして、1枚あるいは複数の基板上に配置されている。
{6.計測情報データベース}
図5を参照しながら計測情報データベース250について説明する。計測情報入力部201は、計測部100から入力した計測情報、つまり、各種センサ101〜120より入力した計測情報を計測情報データベース250に格納する。計測情報データベース250に格納されるデータは、図5に示すように、時刻情報をキー情報としたレコードして記録されている。つまり、各時刻において取得された計測情報が、時刻情報と関連付けられて計測情報データベース250に格納されている。時刻情報は、ライディング評価モジュール10Pに設けられたタイマー(図示省略)より取得される。
緯度情報および経度情報は、位置情報センサ114によって取得された計測情報である。気温情報は、温度センサ118によって取得された計測情報である。天候情報は、FM受信部119によって受信された文字情報から取得される。スロットル開度情報は、スロットル開度センサ110によって取得された計測情報である。ブレーキ圧センサ情報は、前輪ブレーキ圧センサ107によって取得された計測情報である。ステアリング角度情報は、ステアリング角度センサ104によって取得された計測情報である。ライト情報は、フロントライトスイッチセンサ120によって取得された計測情報である。エンジン回転数情報は、エンジン回転数センサ108によって取得された計測情報である。図5においては、センサ101〜120のうち一部のセンサにより計測された情報を示しているが、各センサ101〜120において取得された計測情報が、時刻情報と関連付けられて計測情報データベース250に格納されている。図5において、計測情報としてNaN(Not a Number)が入力されている箇所があるが、これは、センサから計測情報が取得できなかった場合を示している。
{7.オノマトペデータベース}
図6を参照しながらオノマトペデータベース450について説明する。オノマトペデータベース450は、オノマトペを記録したテキストデータ、画像データあるいは音声データなどを格納している。テキストデータには、オノマトペを表す文字列が文字コードとして記録されている。画像データには、オノマトペを表す文字列が画像情報として記録されている。画像データのフォーマットとしては、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)などが利用できるが、特に限定されるものではなく、各種のフォーマットが利用可能である。画像データとして、MPEGなどの動画データを用いることもできる。音声データには、オノマトペを表す文字列が音声情報として記録されている。音声データのフォーマットとしては、MP3(MPEG−1 Audio Layer−3)、AAC(Advanced Audio Coding)などが利用できるが、特に限定されるものではなく、各種のフォーマットが利用可能である。
たとえば、あるオノマトペについて、テキストデータあるいは画像データが保存されていれば、オノマトペ取得部300は、ディスプレイ502に対してオノマトペを出力することができる。また、あるオノマトペについて、音声データが保存されていれば、オノマトペ取得部300は、スピーカ501に対してオノマトペを出力することができる。
図6で示した例であれば、「ぐーん」(日本語音声で“goone”という擬態語)というオノマトペに関しては、「ぐーん」という文字列が記録されたテキストデータ(goone.txt)がオノマトペデータベース450に格納されている。また、「ぐーん」という文字列を画像として記録した画像データ(goone.jpeg)、「ぐーん」という音声を記録した音声データ(goone.mp3)がオノマトペデータベース450に格納されている。
{8.ライディング評価方法}
次に、ライディング評価の処理方法について説明する。上述したように、計測情報入力部201により、計測部100において計測された計測情報が、計測情報データベース250に格納される。評価部202は、計測情報データベース250および判定基準データベース251を参照し、ライディング評価を行う。評価部202は、ライディング評価に対応するオノマトペを決定する。
評価部202は、あるライディング評価項目については、計測情報データベース250に格納された単一の計測情報に基づいてライディング評価を行う。たとえば、評価部202は、スロットル開度センサ110により計測されたスロットル開度に関する情報に基づいて、ライダーの加速操作に関するライディング評価を行う。
評価部202は、別のライディング評価項目については、計測情報データベース250に格納されている複数の計測情報に基づいてライダーの操縦に対するライディング評価を行う。たとえば、評価部202は、後輪速度センサ116により計測された車両速度に関する情報と、3軸角速度センサ112により計測された自動二輪車1の3軸周りの角速度に関する情報とに基づいて、ライダーの操縦に対するライディング評価を行う。車両速度に関する情報は、ライダーのライディング技量の中の安定性に関するライディング技量を示すライディング技量の安定性を評価するために利用できる情報である。3軸周りの角速度は、ライダーのライディング技量の中の旋回性に関するライディング技量を示すライディング技量の旋回性を評価するために利用できる情報である。評価部202は、ライダーの操縦に関するライディング技量の安定性とライダーの操縦に関するライディング技量の旋回性との2つのライディング評価項目に対して1つのライディング評価を行う。
評価部202は、またある別のライディング評価項目については、計測情報データベース250に格納された単一の計測情報に基づいて算出された演算値(計測情報そのままの値ではなく、計測情報を加工した情報)によりライダーの操縦に対するライディング評価を行う。たとえば、評価部202は、前輪速度センサ106により計測された速度情報に基づいて算出された加速度情報に基づいて、ライダーの操縦に対するライディング技量評価を行う。
評価部202は、またある別のライディング評価項目については、計測情報データベース250に格納された複数の計測情報に基づいて算出された演算値(計測情報そのままの値ではなく、計測情報を加工した情報)によりライダーの操縦に対するライディング評価を行う。たとえば、評価部202は、フロントサスペンションストロークセンサ105により計測されたフロントサスペンション74のストローク量に基づいて算出された減衰力に関する情報と、前輪ブレーキ圧センサ107により計測された前輪ブレーキ圧に基づいて算出されたブレーキ制動力に関する情報に基づいてライダーの操縦に対するライディング評価を行う。減衰力に関する情報は、ライダーの操縦に関する快適性を評価するために利用できる情報である。ブレーキ制動力に関する情報は、制動技量を評価するために利用できる情報である。評価部202は、ライダーの操縦に関する快適性と制動技量との2つのライディング評価項目に対して1つのライディング評価を行う。
図7は、評価部202が参照する、判定基準データベース251に格納された判定基準テーブルT1を示す図である。判定基準テーブルT1を参照することにより、評価部202は、あるライディング評価項目(ここではライディング評価項目Aとする。)について単一の計測情報に基づいてライディング評価を行う。基準テーブルT1では、ある計測情報(計測値)saについて、sa<3の条件を満たす場合、ライディング評価項目Aについてのライディング評価を表すオノマトペX1が対応づけられている。基準テーブルT1では、ある計測情報(計測値)saについて、sa≧3の条件を満たす場合、ライディング評価項目Aについてのライディング評価を表すオノマトペX2が対応づけられている。
上述した例のように、評価部202は、スロットル開度に関する情報に基づいて、加速操作に関するライディング評価を行う。この場合であれば、ライディング評価項目Aは、加速操作に関する評価項目、つまりライディング技量の安定性に関する評価項目である。オノマトペX1として、「すー」(日本語音声で“Sue”という擬態語:加速度が小さいことを示す)が対応付けられ、オノマトペX2として、「ぐーん」(日本語音声で“goone”という擬態語:加速度が大きいことを示す)が対応付けられる。このように、オノマトペX1およびオノマトペX2により、ライディング技量の安定性という1つのライディング評価項目について、多段階の評価を表現することができる。
図8は、評価部202が参照する、判定基準データベース251に格納された判定基準テーブルT2を示す図である。判定基準テーブルT2を参照することにより、評価部202は、複数のライディング評価項目(ここではライディング評価項目Bおよびライディング評価項目Cとする。)について、複数の計測情報に基づくライディング評価を行う。基準テーブルT2では、ある計測情報(計測値)sbおよび計測情報(計測値)scについて、sb<2かつsc≧12の条件を満たす場合、2つのライディング評価項目(ライディング評価項目Bおよびライディング評価項目C)について1つのライディング評価を表すオノマトペX3が対応づけられている。基準テーブルT2では、ある計測情報(計測値)sbおよび計測情報(計測値)scについて、sb<2かつsc<12の条件を満たす場合、2つのライディング評価項目(ライディング評価項目Bおよびライディング評価項目C)について1つのライディング評価を表すオノマトペX4が対応づけられている。基準テーブルT2では、ある計測情報(計測値)sbおよび計測情報(計測値)scについて、sb≧2かつsc≧12の条件を満たす場合、同様に、2つのライディング評価項目についてのライディング評価を表すオノマトペX5が対応づけられている。基準テーブルT2では、ある計測情報(計測値)sbおよび計測情報(計測値)scについて、sb≧2かつsc<12の条件を満たす場合、同様に、2つのライディング評価項目についてのライディング評価を表すオノマトペX6が対応づけられている。
上述した例のように、評価部202は、車両速度に関する情報と、3軸角速度センサ112により計測された自動二輪車1の3軸周りの角速度に関する情報とに基づいて、ライディング評価を行う。この場合であれば、ライディング評価項目Bは、ライディング技量の安定性に関する評価項目であり、車両速度に関する情報が利用される。ライディング評価項目Cは、ライディング技量の旋回性に関する評価項目であり、3軸周りの角速度が利用される。図11に示すように、オノマトペX3として「ふらふら」(日本語音声では“fla−fla”:ライディング技量の安定性が低く、ライディング技量の旋回性も低いことを示す)が対応付けられる。オノマトペX4として「ドタドターン」(日本語音声では“dota−doturn”:ライディング技量の安定性が低く、ライディング技量の旋回性が高いことを示す)が対応付けられる。オノマトペX5として「そろー」(日本語音声では“sorow”:ライディング技量の安定性が高く、ライディング技量の旋回性が低いことを示す)が対応付けられる。オノマトペX6として「キュイーン」(日本語音声では“cueeen”ライディング技量の安定性が高く、ライディング技量の旋回性も高いことを示す)が対応付けられる。このように、評価部202は、ライディング技量の安定性とライディング技量の旋回性との2つのライディング評価項目に対して1つのライディング評価を行い、1つのオノマトペを対応づける。
図9は、評価部202が参照する、判定基準データベース251に格納された判定基準テーブルT3を示す図である。判定基準テーブルT3を参照することにより、評価部202は、あるライディング評価項目(ここではライディング評価項目Dとする。)について単一の計測情報に基づいて算出された演算値によりライディング評価を行う。基準テーブルT3では、ある計測情報sdに基づいて算出された演算値f(sd)について、f(sd)<8の条件を満たす場合、ライディング評価項目Dについてのライディング評価を表すオノマトペX7が対応づけられている。判定基準テーブルT3では、ある計測情報sdに基づいて算出された演算値f(sd)について、f(sd)≧8の条件を満たす場合、ライディング評価項目Dについてのライディング評価を表すオノマトペX8が対応づけられている。
図10は、評価部202が参照する、判定基準データベース251に格納された判定基準テーブルT4を示す図である。判定基準テーブルT4を参照することにより、評価部202は、複数のライディング評価項目(ここではライディング評価項目E、FおよびGとする。)について、複数の計測情報に基づいて算出された複数の演算値に基づいて1つのライディング評価を行う。判定基準テーブルT4では、ある計測情報(計測値)se、計測情報(計測値)sfおよび計測情報(計測値)sgに基づいて算出された演算値f(se)、f(sf)およびf(sg)について、f(se)<5かつf(sf)<30かつf(sg)≧15の条件を満たす場合、3つのライディング評価項目E、FおよびGについての1つのライディング評価を表すオノマトペX9が対応づけられている。判定基準テーブルT4では、計測情報に基づいて算出された演算値f(se)、f(sf)およびf(sg)について、f(se)<5かつf(sf)<30かつf(sg)<15の条件を満たす場合、3つのライディング評価項目E、FおよびGについての1つのライディング評価を表すオノマトペX10が対応づけられている。判定基準テーブルT4では、計測情報に基づいて算出された演算値f(se)、f(sf)およびf(sg)について、f(se)<5かつf(sf)≧30かつf(sg)≧15の条件を満たす場合、3つのライディング評価項目E、FおよびGについての1つのライディング評価を表すオノマトペX11が対応づけられている。同様に、判定基準テーブルT4においては、演算値f(se)、f(sf)およびf(sg)について、その他の値の範囲に対してもオノマトペが対応づけられている。
以上説明したように、評価部202は、計測情報データベース250および判定基準データベース251を参照し、単一あるいは複数の計測情報、または、単一あるいは複数の計測情報に基づいて算出された演算値により、ライディング評価を行うとともに、ライディング評価の内容を表すオノマトペを特定する。
{9.ライディング評価装置の処理の流れ}
次に、図12〜図13のフローチャートを参照しながら、本実施の形態に係るライディング評価装置の処理の流れについて説明する。
図12を参照する。ステップS1において、計測情報入力部201に、計測部100から各種の計測情報が入力される。計測情報入力部201には、センサ101〜120が計測した計測情報が入力される。
次に、ステップS2において、計測情報入力部201は、入力した計測情報を計測情報データベース250に格納する。ステップS1において、あるセンサについての計測情報が取得できなかった場合には、そのセンサの計測情報についてはNaN(Not a Number)を入力する。
次に、ステップS3において、評価部202は、ライディング技量の判定が可能か否かを判断する。ライディング技量判定の可否の判断は、10秒間隔など所定の時間間隔で行われる。評価部202は、タイマ(図示省略)により時間を計測し、ライディング技量判定を行うタイミングが到来したか否かを判定する。ライディング技量の判定が可能であるとは、上述したライディング評価項目のうち、ライディング技量に関連する項目について計測情報が揃っており、ライディング技量判定を行う準備が出来ている状態を言う。
ライディング技量判定が可能でない場合(ステップS3でNO)、ステップS5に遷移する。ライディング技量判定が可能である場合(ステップS3でYES)、ステップS4に遷移する。ステップS4において、評価部202は、ライディング技量に関わるライディング評価項目について、得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)を算出する。
次に、ステップS5において、評価部202は、ライダーのライディングの安定性を示すライディング安定性の判定が可能か否かを判断する。ライディング安定性判定の可否の判断は、10秒間隔など所定の時間間隔で行われる。ライディング安定性の判定が可能であるとは、上述したライディング評価項目のうち、ライディング安定性に関連する項目について計測情報が揃っており、ライディング安定性の判定を行う準備が出来ている状態を言う。
ライディング安定性判定が可能でない場合(ステップS5でNO)、ステップS7に遷移する。ライディング安定性判定が可能である場合(ステップS5でYES)、ステップS6に遷移する。ステップS6において、評価部202は、ライディング安定性に関わるライディング評価項目について、得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)を算出する。
次に、ステップS7において、評価部202は、快適性の判定が可能か否かを判断する。快適性判定の可否の判断は、10秒間隔など所定の時間間隔で行われる。快適性の判定が可能であるとは、上述したライディング評価項目のうち、快適性に関連する項目について計測情報が揃っており、快適性の判定を行う準備が出来ている状態を言う。
快適性判定が可能でない場合(ステップS7でNO)、ステップS9に遷移する。快適性判定が可能である場合(ステップS7でYES)、ステップS8に遷移する。ステップS8において、評価部202は、快適性に関わるライディング評価項目について、得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)を算出する。
図13を参照する。次に、ステップS9において、評価部202は、環境情報の判定が可能か否かを判断する。環境情報判定の可否の判断は、10秒間隔など所定の時間間隔で行われる。環境情報の判定が可能であるとは、環境に関連する項目について計測情報が揃っており、環境判定を行う準備が出来ている状態を言う。環境に関連する項目は、外部環境を評価した項目であり、本実施の形態におけるライディング評価とは異なる観点の評価である。
環境情報判定が可能でない場合(ステップS9でNO)、ステップS11に遷移する。環境情報判定が可能である場合(ステップS9でYES)、ステップS10に遷移する。ステップS10において、評価部202は、環境に関わる評価を行い、得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)を算出する。
次に、ステップS11において、オノマトペ取得部300は、オノマトペ決定タイミングが到来したか否かの判定を行う。オノマトペ取得部300は、ステップS4、S6、S8およびS10のいずれかにおいて得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)が算出されているとき、オノマトペ決定タイミングが到来したと判定する。つまり、ライディング技量判定、ライディング安定性判定、快適性判定および環境判定のいずれかについて、計測情報が揃っており、得点が算出されている場合、オノマトペの決定タイミングが到来したと判定する。
オノマトペ決定タイミングが到来していない場合(ステップS11でNO)、ステップS1に戻り、計測情報の入力を引き続き実行する。計測情報データベース250には、時刻情報に関連付けられた計測情報が蓄積されていく。
オノマトペ決定タイミングが到来している場合(ステップS11でYES)、評価部202は、ステップS4、S6、S8およびS10において算出された得点(計測情報あるいは計測情報に基づいて算出された演算値)に基づいてオノマトペを決定する(ステップS12)。たとえば、図7〜図10を参照して説明したような処理を実行することにより、オノマトペを決定する。
次に、オノマトペ取得部300は、オノマトペデータベース450にアクセスし、ステップS12において決定されたオノマトペを表すオノマトペデータを取得する(ステップS13)。オノマトペ取得部300は、取得したオノマトペデータを出力部500に対して出力する(ステップS14)。これにより、取得されたオノマトペが、たとえばスピーカ501から出力される。あるいは、取得されたオノマトペがディスプレイ502から出力される。
本実施の形態においては、計測情報入力部201、評価部202、オノマトペ取得部300を実現するCPU、ワークメモリ、ROMなどの部品と、計測情報データベース250、判定基準データベース251およびオノマトペデータベース450を格納するメモリなどの部品が、ライディング評価モジュール10Pとして、1枚あるいは複数の基板上に配置されている場合を例に説明した。そして、図2に示すように、本実施の形態においては、ライディング評価モジュール10Pは、シート81の下方に配置されている。このように、本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」が車両の部品として自動二輪車1に搭載されている。
これ以外の実施の形態として、例えば、本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」である「ライディング評価モジュール10P」として、スマートフォンなどの携帯情報端末を利用してもよい。つまり、ライダーが所持しているスマートフォンを自動二輪車1に装着することで、「ライディング評価モジュール」として利用することができる。
ライダーは、ネットワーク上のサーバから、「ライディング評価モジュール用ソフトウェア」をスマートフォンにダウンロードし、インストールすることで、スマートフォンを「ライディング評価モジュール」として利用することができる。このように、コンピュータを、ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置として動作させるためのプログラムも、本発明の実施形態に含まれる。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。
上記実施の形態で説明したセンサ101〜120は、本発明で利用可能な「計測装置」である。本発明で利用可能な「計測装置」は、センサ101〜120のように、自動二輪車1に搭載されていてもよいし、自動二輪車1に搭載されていなくてもよい。例えば、「計測装置」は、スマートウォッチが搭載している各種センサを利用することができる。例えば、スマートウォッチが備える加速度センサ、画像センサ、生体情報センサ、GPS受信装置、温度センサなどを利用することが可能である。このように、計測装置は、ライダー(ユーザ)の動作によって変化する物理量を検出するセンサとすることができる。
図14は、実施の形態の計測装置100A、ライディング評価モジュール10Pおよび出力部500の構成例を示す図である。図14は、「計測装置」としてスマートウォッチ10Wを用い、「ライディング評価モジュール」および「出力部」としてスマートフォン10Fを用いた図である。ライダーは、スマートウォッチ10Wを腕に装着することにより、スマートウォッチ10Wを計測装置100Aとして利用する。ライダーは、「ライディング評価モジュール用ソフトウェア」をインストールしたスマートフォン10Fを車両に装着することで、スマートフォン10Fをライディング評価モジュール10PAとして利用する。また、ライダーはスマートフォン10Fが備えるスピーカあるいはディスプレイを出力部500Aとして利用する。
スマートフォン10Fは、Bluetooth等の通信手段を利用して、計測装置100Aとして機能するスマートウォッチ10Wから各種計測情報を入力する。ライディング評価モジュール10PAとして機能するスマートフォン10Fは、計測情報に基づいてオノマトペデータを取得する。スマートフォン10Fは、取得したオノマトペを音声としてスマートフォン10Fが備えるスピーカから出力する。あるいは、スマートフォン10Fは、オノマトペを画像としてスマートフォン10Fが備えるディスプレイに出力する。
スマートウォッチ10Wを「出力部」として利用してもよい。スマートフォン10Fは取得したオノマトペデータをBluetooth等の通信手段を用いてスマートウォッチ10Wに送信する。スマートウォッチ10Wは、受信したオノマトペデータを音声としてスマートウォッチ10Wが備えるスピーカから、あるいは、スマートウォッチ10Wに接続されたヘッドフォン等から出力する。あるいは、スマートウォッチ10Wは、オノマトペを画像としてスマートウォッチ10Wが備えるディスプレイに出力する。また、スマートフォン10Fは取得したオノマトペデータをBluetooth等の通信手段を利用して、ヘルメットに備えられたスピーカあるいはディスプレイを用いて出力するようにしてもよい。
図15は、実施の形態の計測装置100B、ライディング評価モジュール10Pおよび出力部500の構成例を示す図である。図15は、「計測装置」としてスマートウォッチ10Wを用い、「ライディング評価モジュール」の一部の機能、および「出力部」としてスマートフォン10Fを用いた図である。また、図15は、「評価部」としてネットワークを介して接続されたコンピュータサーバ10Sを用いた図である。
ライダーは、スマートウォッチ10Wを腕に装着することにより、スマートウォッチ10Wを計測装置100Bとして利用する。ライダーは、「ライディング評価モジュール用ソフトウェア」をインストールしたスマートフォン10Fを車両に装着することで、スマートフォン10Fをライディング評価モジュール10PBとして利用する。ただし、ライディング評価モジュール10PBは「評価部」の機能を備えていない。ライダーはスマートフォン10Fが備えるスピーカあるいはディスプレイを出力部500Bとして利用する。また、ネットワークを介して接続されたコンピュータサーバ10Sを評価部202Bとして利用する。
スマートフォン10Fは、Bluetooth等の通信手段を利用して、計測装置100Bとして機能するスマートウォッチ10Wから各種計測情報を入力する。ライディング評価モジュール10PBとして機能するスマートフォン10Fは、計測情報を入力すると、計測情報をコンピュータサーバ10Sに送信する。評価部202Bとして機能するコンピュータサーバ10Sは、計測情報を評価し、オノマトペデータを決定する。スマートフォン10Fは、コンピュータサーバ10Sからオノマトペデータの決定情報を受信する。スマートフォン10Fは、オノマトペデータベースから決定情報に基づいてオノマトペデータを取得する。スマートフォン10Fは、取得したオノマトペを音声としてスマートフォン10Fが備えるスピーカから出力する。あるいは、スマートフォン10Fは、オノマトペを画像としてスマートフォン10Fが備えるディスプレイに出力する。
また、本実施の形態の「出力部」として、自動二輪車1が備えるスピードメータを利用してもよい。スピードメータの一部に、ディスプレイを設け、オノマトペを表示するようにしてもよい。
本実施の形態においては、ライディング評価モジュール10Pがオノマトペデータベース450を備える場合を例に説明した。これにより、オノマトペ取得部300は、リアルタイムでオノマトペデータを取得することができる。そして、出力部500は、ライディング評価として、リアルタイムでオノマトペをライダーに提示することが可能である。
別の実施の形態としては、自動二輪車1にオノマトペデータベースを保持せず、ネットワーク上のサーバにオノマトペデータベースを配置するようにしてもよい。この場合であれば、オノマトペ取得部300は、ネットワーク経由で無線通信を利用してオノマトペデータを取得する。自動二輪車1にオノマトペデータベースを搭載する場合と比べると、オノマトペデータを提示するリアルタイム性は低下するものの、ライディング評価としてのオノマトペをライダーに提示可能である。昨今の高速データ通信を利用することにより、ライダーは自動二輪車1の走行トレーニングを継続しながら、ライディング評価としてのオノマトペの提示を受けることが可能である。
また、別の実施の形態として、オノマトペ取得部300が、ライディング評価に対応するオノマトペを自動生成するようにしてもよい。オノマトペとは人間が共通に持つ感覚に訴える言葉である。したがって、特定の語句に対して人間が受ける感覚などをデータベース化することが可能である。あるいは、既存のオノマトペが持つ意味合いをデータベース化することにより、これらを拡張、変形することでオノマトペを自動生成するアルゴリズムを構築することが可能である。オノマトペ取得部300が、オノマトペの自動生成機能を持つことにより、ライディング評価に対するオノマトペをより適切に提示することが可能である。
以上説明したように、本実施の形態のライディング評価装置10は、オノマトペを利用してライダーにライディング評価を提示する。オノマトペは、その特徴として、複数のライディング評価項目に関する評価内容を1つのオノマトペで表現することができる。たとえば、判定基準テーブルT2および判定基準テーブルT4で示すように、複数のライディング評価項目に基づくライディング評価を1つのオノマトペで表現することができる。また、オノマトペは、その特徴として、単一のライディング評価項目に関する評価を多段階で表現することができる。これにより、自動二輪車1のライダーは、オノマトペの提供を受けることにより、ライディング評価に関する多くの情報を効率的に得ることができる。
本実施の形態においては、本発明の「ユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置」として、ライディング評価装置10を例に説明した。本発明は、他にも各種のユーザの運動の評価を行う装置に適用可能である。例えば、長距離ランナーのトレーニングを評価する装置に適用可能である。
長距離ランナーのトレーニングの評価を行う場合、次のようなオノマトペをランナーに提示することができる。例えば、ランナーの腕の振りを評価するオノマトペとして、「ぶんぶん」(日本語音声では“bun−bun”)、「さっさ」(日本語音声では“sat−sat”)、「たんたん」(日本語音声では“tan−tan”)、「ちょこまか」(日本語音声では“choko−maka”)を提示してもよい。例えば、ランナーの心拍数を評価するオノマトペとして、「ばくばく」(日本語音声では“baku−baku”)、「どくんどくん」(日本語音声では“dokun−dokun”)、「とくとく」(日本語音声では“toku−toku”)を提示してもよい。例えば、ランナーの呼吸を評価するオノマトペとして、「ぜいぜい」(日本語音声では“zei−zei”)、「はあはあ」(日本語音声では“haa−haa”)、「すーすー」(日本語音声では“suu−suu”)を提示してもよい。例えば、ランナーの走行速度を評価するオノマトペとして、「ぐんぐん」(日本語音声では“gune−gune”)、「びゅんびゅん」(日本語音声では“viewn−viewn”)、「すいすい」(日本語音声では“sui−sui”)、「のろのろ」(日本語音声では“noro−noro”)を提示してもよい。
また、本発明は、上記の実施の形態に加えて、技量向上促進装置としての実施の形態を有している。本実施の形態の技量向上促進装置は、トレーニングを行うユーザにトレーニング結果を提示する技量向上促進装置であって、トレーニングを実施したユーザの動作に起因する事象を計測する計測部と、計測部の計測結果に基づき、トレーニングを実施したユーザの動作の評価を行う評価部と、評価部により行われた評価に対応したオノマトペデータを取得するデータ取得部と、データ取得部が取得したオノマトペデータを出力することにより、トレーニングを行ったユーザに、動作の評価を提示する出力部とを備える。
トレーニング継続中だと人間の情報処理能力は限られているので、多くの情報を提供することが従来は困難であった。オノマトペを利用することで、簡素な言葉で、多くの情報を短い時間で伝えることができる。ユーザは短い言葉で簡潔に評価を得ることができるので、トレーニングを継続しながら評価結果を得ることができる。そして、評価結果を次の動作に反映させることで、自身の動作に修正を加えながらトレーニングを継続することができる。特に、トレーニングにおいては、即時フィードバックは学習効果が高いと言われている。本実施の形態の技量向上促進装置を利用することで、高い学習効果により効率的に技量を向上させることが可能である。
トレーニングに限らず、何らかの運動、動作を継続している場合、人間の情報処理能力は限られているので、多くの情報を提供することが従来は困難であった。オノマトペを利用することで、簡素な言葉で、多くの情報を短い時間で伝えることができる。ユーザは短い言葉で簡潔に評価を得ることができるので、各種の運動、動作を継続しながら評価結果を得ることができる。ユーザは、自身の動作の内容、状態を把握することができる。また、自身の動作によってもたらされる機器、乗り物などの状態を把握することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、評価部は、複数の評価項目に対して1つの評価を行い、データ取得部は、複数の評価項目に対して1つのオノマトペデータを取得する。
オノマトペを用いなければ、複数の評価項目に関する評価を文字などで説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、複数の評価項目に関する評価を簡潔に表しているので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、評価部は、1つの評価項目に関して多段階の評価を行い、データ取得部は、1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペデータを取得する。
オノマトペを用いなければ、ある評価項目に関して多段階の評価内容を表現するためには、文字などを利用して説明する必要があり、ユーザはその内容を把握するのに時間を要する。あるいは、何らかの動作を継続しつつ、長い説明を読み理解することは困難である。この点、オノマトペであれば、ある評価項目に関して多段階の評価を簡潔に表すことができるので、ユーザは、評価結果を把握し易い。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、出力部は、オノマトペデータを文字情報として出力する画像表示部を含む。トレーニングの評価をユーザの視覚を通じて伝達することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、出力部は、オノマトペデータを音声情報として出力する音声出力部を含む。トレーニングの評価をユーザの聴覚を通じて伝達することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、評価部は、計測結果あるいは計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することによりユーザの動作の評価を行う。計測結果等を所定の閾値と比較することにより、リアルタイムでトレーニングの評価結果を得ることができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、計測結果は、ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含む。ユーザが操作した対象物の状態に基づいて、ユーザの動作を評価することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、計測結果は、ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含み、操作対象物は車両を含み、ユーザは車両の運転者を含み、画像表示部は、運転者の視線の先に配置される透明あるいは半透明の部材上に設けられる。運転者は、視線の先に表示されるオノマトペを確認することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、画像表示部が設けられる部材は、運転者が装着するヘルメットのシールドを含む。運転者は、視線の先に位置するヘルメットのシールドに表示されるオノマトペを確認することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、計測結果は、ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含み、操作対象物は車両を含み、ユーザは車両の運転者を含み、音声出力部は車両に設けられたスピーカを含む。運転者は、スピーカから出力されるオノマトペにより情報を把握することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、計測結果は、ユーザによって操作された操作対象物の状態を計測した情報を含み、操作対象物は車両を含み、ユーザは車両の運転者を含み、音声出力部は運転者が装着するヘルメットに設けられたスピーカを含む。運転者は、ヘルメットを装着することで、スピーカから出力されるオノマトペにより情報を把握することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、出力部はデータ取得部が取得したオノマトペデータをリアルタイムで出力する。トレーニング結果をユーザに迅速に提示可能である。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、さらに、オノマトペデータを蓄積する記憶部を備え、データ取得部は記憶部からオノマトペデータを取得する。トレーニング結果をユーザに迅速に提示可能である。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、データ取得部は無線通信を利用して外部のサーバからオノマトペデータを取得する。共用のオノマトペデータを利用することが可能である。最新のオノマトペデータを共用することができる。
また、本実施の形態の技量向上促進装置において、データ取得部は評価に応じたオノマトペデータを自動生成する。トレーニング結果をより詳細に描写したオノマトペを提示可能である。
本発明の実施の形態の一つであるユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置として、自動二輪車1に搭載されたライディング評価装置10を例に説明した。つまり、ライダーが自動二輪車1を操縦する走行トレーニングに用いる場合を例に説明した。しかし、本発明は、各種のスポーツトレーニング、各種の装置を操作する作業トレーニングなど、広くトレーニングへの適用が可能である。
本発明の実施の形態の一つであるユーザ動作の評価結果に関するオノマトペ提示装置は、利用者がトレーニングを継続している状態で、利用者にトレーニングの評価結果を提示できる。これにより、利用者は、評価結果をフィードバックさせて次の動作に反映させつつトレーニングを継続することが可能である。たとえば、長距離ランナーのトレーニングに本発明を適用させることにより、ランナーは、トレーニングを継続しながら、評価結果を得ることができる。そして、評価結果に応じてランニングフォームを調整しながらトレーニングを継続することができる。