JP6708907B2 - 鍛造装置及び鍛造方法 - Google Patents

鍛造装置及び鍛造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鍛造装置及び鍛造方法に関する。
「ヘリカルギヤ(はすば歯車)」とは、回転軸Oに対して歯筋Bが螺旋状に傾斜した歯車Gをいう(図9)。ヘリカルギヤを製造する方法として、切削工具を利用してギヤを切削加工する方法と、塑性加工によりギヤを成形する方法とがある。一般に切削加工ではホブ盤による歯切り加工の後、シェービング盤によって仕上げ加工が行われるが、加工時間が長時間となり効率が悪く、加工コストも高くなる傾向にある。塑性加工には代表的なものとして転造加工と鍛造加工とがあり、鍛造加工は転造加工に比べて高圧力を付加させて成形することが可能なため、短時間に加工が完了する。鍛造加工は、冷間鍛造と熱間鍛造とに大きく分けることができ、冷間鍛造は常温に近い温度での変形加工となるため成形には高い圧力が必要となる。また金型や製品に割れ(クラック)が生じる可能性が高くなるため、大型部品や複雑な形状の加工では、熱間鍛造が利用される場合が多い。しかし冷間鍛造は、熱間鍛造に比べ変形が少なく、高い形状精度を得ることが比較的容易にできる。そのため常温に近い温度での鍛造加工法においては、加工時の抵抗を減らし、金型の割れを防止する工夫がなされてきた。
鍛造加工によりヘリカルギヤを製造する方法として、特許文献1には、軸孔内周面にヘリカルギヤの歯形が形成されたダイス8と、該歯形と同じ歯形面が外周面に形成されたポンチ6と、ダイス8の上部の回転機構7とを備えたヘリカルギヤの製造装置が開示されており、ポンチ6とダイス8とを同軸的に近づけつつ回転させてポンチ6をダイス8の軸孔に螺合させながら、被加工材9を軸方向に押し付けるとともに被加工材9の中心軸を中心にしてねじり、被加工材9をヘリカルギヤに成形する製造方法が開示されている。このことにより、形成される歯部そのものもヘリカル溝内で溝に沿って押されて移動するため抵抗が少なく容易にヘリカルギヤが成形できることが示されている(段落0009)。またダイス8の上下に回転機構7を設け、被加工材9を上下のポンチ6で押し潰しつつ回転機構7によって互いに逆方向にねじるようにすることで、被加工材9の軸方向中心はポンチ6に対して不同としつつ、より小さい力でヘリカルギヤを製造可能であることが開示されている(段落0027、図8)。
また特許文献2には、上型21が昇降自在な昇降可動部23と、該昇降可動部23に回転自在に保持され昇降に応動して回転する回転部24とを備えたヘリカルギヤ鍛造装置が開示されており、回転部24として内周面にねじ状凹凸部27cが形成されたものを用い、昇降可動部23を加工させながら回転部24を応動回転させて、素材外周面にらせん状凹凸部を形成させることにより、ヘリカルギヤを鍛造成形する方法が記載されている。加工しながら回転する回転部により、素材の外周面にらせん状凹凸部を成形するため、塑性変形が精度良く行われ、かつ摩耗が少なくなり、耐久性が向上することが開示されている。
特開平11−77226号公報 特開2003−62636号公報
「ねじれ角(ピッチ円筒ねじれ角、または基礎円筒ねじれ角」」とは、ヘリカルギヤGの回転軸Oと歯筋Bの接線とのなす角θをいう(図10)。従来の技術では、35°以上の大きなねじれ角をもったヘリカルギヤを押し出し加工する場合、材料がねじれながら下型によって歯形が成形されるため、その過酷な変形により、従来よりも大きな荷重が下型(或いはヘリカルギヤに歯形を形成するための凹凸形状を備えた金型)に作用し、下型の破損や金型の変形(弾性変形、塑性変形)が生じ、成形品の精度が維持できない問題があった。また、ねじれ角が大きいことにより、成形品排出時にも排出のための荷重も大きくなり製品精度がさらに劣化するなどの問題があった。そのため、従来の鍛造方法ではねじれ角が30°程度迄のヘリカルギヤしか成形することができず、ねじれ角が35°以上のヘリカルギヤについては、依然、切削加工に頼らざるを得なかった。
このような実情に鑑みて、本発明の目的は、鍛造加工によって切削加工よりも迅速に加工成形を終えるとともに、例えば30°以上の大きなねじれ角をもったギヤを成形する場合であっても金型の破損を抑え、かつ成形品の加工精度(歯筋誤差、歯形精度)を維持或いは向上させるものであって、特に、35°以上のねじれ角をもったヘリカルギヤの加工精度(歯筋誤差、歯形精度)を向上させる鍛造装置及びその方法を提供することにある。
本発明の鍛造装置は、素材に歯形を鍛造成形する鍛造装置であって、昇降自在に保持された上型と、前記上型に回転自在に保持された上型回転部と、前記上型回転部に固定されて前記上型回転部とともに回動する上パンチと、下型に回転自在に保持される下型回転部と、前記下型回転部に回転自在に保持されるダイを備えることを特徴とする。
また本発明の鍛造方法は、素材に歯形を鍛造成形する方法であって、昇降自在に保持された上型と、前記上型に回転自在に保持された上型回転部と、前記上型回転部に固定されて前記上型回転部とともに回動する上パンチと、下型に回転自在に保持される下型回転部と、前記下型回転部に回転自在に保持されるダイを備え、上ベアリングによって前記上パンチを回転させるとともに下ベアリングによって下型回転部を回転させながら素材を押圧することで素材成形をし、中間ベアリングによって前記ダイを回転させながらノックアウトすることを特徴とする。
本発明の鍛造装置及び鍛造方法によれば、成形開始から成形完了までの間、上型回転部と下型回転部とが回転しながら素材に歯形を形成させ、また成形完了からノックアウト完了までの間、ダイが回転しながらヘリカルギヤをノックアウトするため、成形開始からノックアウト完了までの間、素材及びダイにかかる荷重が低減し、製品精度の劣化を抑制できる。このことによりねじれ角の大きなヘリカルギヤが精度よく加工できる。
本発明の鍛造装置は、前記ダイは、前記ダイの上部に配置された中間ベアリングを介して前記下型回転部に内嵌されて、上方からの圧力に対して前記下型回転部に固定されるとともに下方からの圧力に対して前記下型回転部に回転自在に保持されることを特徴とする。
また本発明の鍛造方法は、前記中間ベアリングは前記素材成形中には作動させずに前記素材成形を完了させ、前記上ベアリングと下ベアリングは前記ノックアウト中には作動させずに前記ノックアウトをすることで前記素材の成形品を得ることを特徴とする。
本発明では、歯筋誤差を減少させるためには、スライドを下降させて素材成形する際の押圧力と比べて、ノックアウト時の押圧力を下げて行うことが重要であることが明らかとなった。素材成形時と同様に、ノックアウト時に下型回転部とダイが一体となって回転する場合、低い押圧力でノックアウトをすると回転力が生じにくく、成形品や金型にかかる荷重が分散されにくい。
本発明の鍛造装置によれば、ダイが上部に配置された中間ベアリングを介して下型回転部に内嵌されて保持されることで、中間ベアリングはノックアウト中にのみ作用する。成形開始から成形完了まではダイが下型回転部とともに一体的に回転するが、成形完了(ノックアウト開始)からノックアウト完了までは内嵌されたダイが回転する。すなわち、ノックアウト時にはダイのみが回転するため、下型回転部とダイがともに一体となって回転する場合と比べて軽く、押圧力が低くとも回転力がつき、成形品や金型にかかる荷重が分散される。またこのようにダイのみが独立して回転できるため、ダイの大きさや重量を調節することで、素材成形時の下型回転部とダイが一体となった際の回転速度と、ノックアウト時の回転速度を独立して調整することができる。またダイは下型回転部に収納されて配置されて金型が一体化されるため、装置がコンパクトになる。
また本発明の鍛造装置は、前記中間ベアリングと前記下型回転部との間には、前記素材成形中に前記中間ベアリングが作動せず、ノックアウト中に前記中間ベアリングが作動するための間隙が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、前記中間ベアリングと下型回転部との間には、素材成形中に前記中間ベアリングが作動せず、ノックアウト中に前記中間ベアリングが作動するための間隙が設けられているため、ノックアウト中にはダイのみが回転することで、低い押圧力でも回転速度が増し、成形品や金型にかかる荷重を分散できる。
本発明の鍛造装置は、ねじれ角35°以上のヘリカルギヤを鍛造成形するための鍛造装置であることを特徴とする。
本発明の鍛造装置によれば、ねじれ角35°以上のヘリカルギヤのように、成形時に金型との間で大きな摩擦力が生じやすく加工温度が上昇しやすい成形品も加工精度を落とすことなく加工ができる。また、その大きな加工荷重を利用して、成形時に摩擦力により温度を上昇させて、下死点で冷却時間を設けるかまたはノックアウト速度を遅くして、温度を下降させることで、成形時とノックアウト時に大きな温度差を生じさせ、ギヤ外径寸法収縮量を大きくし、加工精度を向上させることができる。なお、本発明の鍛造装置は、ねじれ角45°以下のヘリカルギヤを鍛造成形するために用いられることが好適である。
本発明の鍛造方法は、前記素材成形時の温度から前記ノックアウト時の温度を差し引いた温度差が、100℃以上200℃以下であることを特徴とする。
また本発明の鍛造方法は、歯筋誤差を小さくするために、サーボプレス方式によってノックアウト速度が成形速度よりも遅く設定されることを特徴とする。
本発明によれば、素材成形時の温度からノックアウト時の温度を差し引いた温度差が大きくなるほど、ギヤ外径寸法収縮量も大きくなり、ギヤ外径寸法収縮量が大きくなることで、成形品と金型との型離れが良くなり、ノックアウト荷重が低減するとともに、成形品の歯筋誤差すなわち加工精度が向上する。該温度差が100℃以上となることで、本発明の鍛造装置では成形品のギヤ外径寸法収縮量は0.015(mm)以上となり、所望の加工精度を得ることが可能となるとともに、ノックアウト荷重が半分以下となる。また該温度差は200℃以下で所望の加工精度を得ることが十分可能である。そのため該温度差を200℃以下とすることで、昇温させるための設備の小型化もしくは最適化、及びコストの低減が可能となる。
また本発明によれば、ノックアウト速度が成形速度よりも遅く設定されることで、該温度差を調節することができる。
本発明によれば、鍛造加工によって切削加工よりも迅速に加工成形を終えるとともに、例えば大きなねじれ角をもった素材等、成形時に金型との間で大きな摩擦力が生じる素材であっても、金型の摩耗や破損を抑えるとともに成形品の加工精度を維持し向上させることが可能となる。
本発明の実施形態における成形前の状態の鍛造装置を側面側から示す構造図である。 上記実施形態における成形前の状態の鍛造装置の要部拡大図である。 上記実施形態における成形途中の状態の鍛造装置を示す構造図である。 上記実施形態における成形途中の状態の鍛造装置の要部拡大図である。 上記実施形態における成形完了状態の鍛造装置を示す構造図である。 上記実施形態における成形完了状態の鍛造装置の要部拡大図である。 上記実施形態におけるノックアウト中の状態の鍛造装置を示す構造図である。 上記実施形態におけるノックアウト完了状態の鍛造装置を示す構造図である。 鍛造加工後の素材の成形品を例示する斜視図である。 鍛造加工後の素材の成形品の要部拡大図である。 第2の実施の形態におけるエア冷却装置を備えた鍛造装置を側面側から示す構造図である。 加工条件の違いによる歯形(右歯面)の精度を示すグラフである。 加工条件の違いによる歯形(左歯面)の精度を示すグラフである。 成形速度による鍛造品の温度上昇と排出時の温度分布を示す成形品の側面図である。 鍛造加工の際の温度差とギヤ外径寸法収縮量の相関を示すグラフである。
本発明を実施するための最良の形態を以下に説明する。
(第1の実施の形態の構成)
本発明の第1の実施の形態を適用した鍛造装置100を側面側から示す構造図を図1に示す。図1は素材Wの成形前の鍛造装置100を側面側から示しており、上パンチ1を加工させて素材Wに接触させた状態を示した構造図である。
本発明の鍛造装置100は、素材Wの上部を押圧するための上パンチ1と、上パンチ1を内嵌する上型回転部2と、上型回転部2を回転自在に保持する上型3と、上パンチ1に対向配置された下パンチ4と、下パンチ4を摺動自在に内嵌するとともに歯形を形成するダイ5と、ダイ5を素材成形中には固定して保持するとともにノックアウト中には回転自在に保持する下型回転部6と、下型回転部6を回転自在に保持する下型7とを備えた構成であり、上型3を固定する上型ホルダ51と、下型7を固定する下型ホルダ52がダイセット80に内蔵され、これらがスライド201とボルスタ202からなるプレス機200に取り付けて使用される。本実施形態では、ダイセット80の下側62がボルスタ202に取り付けられ、ダイセット80の上側61がスライド201に取り付けられている。本実施形態の鍛造用金型装置100は、円柱形状の素材Wを押圧して加工を施す(図1)。
素材Wは円柱状金属素材が考えられる。素材Wを鍛造成形した後の成形品Gとしては、特に限定はされないが、成形時に金型との間で大きな摩擦力が生じやすく加工温度が上昇しやすい成形品Gが好適であり、ねじれ角が大きいギヤや、歯形の溝が深いギヤ、その他、ギヤに限らず成形品Gの形状が複雑なものや、その凹凸形状が深いもの等が考えられる。例えば、成形品Gは35°以上のねじれ角を備えたヘリカルギヤが考えられる(図9)。
このような成形品Gは従来、鍛造成形を行う際には大きな加工荷重が金型や素材Wに作用し、金型が破損或いは変形して金型の維持や成形品Gの加工精度の維持が困難であり、金型の寿命も短かったが、後述するように、成形時、摩擦力により温度が上昇しやすいことを利用して、下死点で冷却時間を設けることで成形時とノックアウト時に大きな温度差を生じさせ、ギヤ外径寸法収縮量を大きくすることで、加工精度を向上させることが可能となる。従って加工精度の維持が可能となるとともに、逆にその大きな加工荷重を利用して、加工精度を向上させることができる。
上パンチ1はその下端部で素材Wの上部または上端部を押圧して加工を施すために使用される。上パンチ1は上型回転部2に内嵌されて固定されるとともに、鍛造装置100の中心軸線上に下向きに配され、スライド201を下降させることによって上方から下降し、素材Wの上部を押圧する。上パンチ1の先端部は長い円柱形状であって、ダイ5の内周面に摺動自在に挿入される。上パンチ1は上型回転部2に内嵌される円柱状の大径部と、大径部から下向きに漸次縮径して続く縮径部と、縮径部から続く円柱状の小径部とからなる(図1)。
上型回転部2はその内周面に上パンチ1が固定されているため、上型回転部2の回転にともない上パンチ1が回転する構成となっている。上型回転部2の上端には上型回転部2を回転させるための1つ以上の上ベアリング8が配され、上ベアリング8の上部には上型固定部9が上パンチ1と同軸上に配置され、上型固定部9の下端は上ベアリング8に当接して上型回転部2を回転自在に保持する。
上型3は上型固定部9と上型外縁部10とからなり、上型外縁部10は上型ホルダ51によってダイセット80の上側61に固定される。上型外縁部10は上型回転部2、上ベアリング8、及び上型固定部9をその内部に収納しており、上型回転部2は上下摺動及び軸回転可能に上型外縁部10の内周面に内接しており、上型固定部9は上下摺動可能に上側外縁部10の内周面に当接する。
下パンチ4は素材Wの成形完了した後に、下パンチ4の上端部で素材Wの下部または下端部を押圧してBKO(ベッドノックアウト)を施すために使用される。下パンチ4は鍛造装置100の中心軸線上に上向きに、上パンチ1に対向配置される。また下パンチ4はダイ5、下型回転部6、及び下型固定部11の内周面に摺動自在に内嵌されて収納されている。下パンチ4の下方には成形品Gを突き上げるためのノックアウトピン203が配されており、ノックアウトピン203を上昇させることによって円柱形状の下パンチ4を上昇させ、素材Wの下部を押圧してノックアウトする。
図2は成形直前または成形開始時の状態の上パンチ1及びダイ5のキャビティ5a内を示す断面図である。ダイ5は、ダイ5の上部5eに配置された1つ以上の中間ベアリング12を介して下型回転部6に内嵌されて保持され(図1)、その中心部にキャビティ5aを有し、キャビティ5aの内周面5bは、素材Wの外周面Waに歯形を形成するための凹凸形状を備えた歯形成形部5cを備える(図2)。素材Wの外周面頂端部Wbに歯形を形成する場合、キャビティ5aの内周面の一部には凹凸形状を備えた歯形成形部5cと、素材Wが挿入される凹凸形状のない挿入部5dを備える。歯形成形部5cは好ましくはヘリカルギヤを形成するための凹凸形状を有し、より好ましくは35°以上のねじれ角をもつヘリカルギヤを形成するための凹凸形状を有する。
下型回転部6の下端には下型回転部6を回転させるための1つ以上の下ベアリング13が配され、下ベアリング13の下部には下型固定部11が下パンチ4と同軸上に配置されて、ノックアウトピン203を内嵌する。下型固定部11の上端は下ベアリング13に当接して下型回転部6を回転自在に保持する。
下型7は下型固定部11と下型外縁部14とからなり、下型外縁部14は下型ホルダ52によってダイセット80の下側62に上向きに固定される。下型外縁部14は、ダイ5、下型回転部6、中間ベアリング12、下ベアリング13、及び下型固定部11をその内部に収納している。下型回転部6は上下摺動及び軸回転可能に下型外縁部14の内周面に当接しており、下型固定部11は上下摺動可能に下側外縁部14の内周面に当接する。下型7は下型ホルダ52によって上向きに固定される。
(第1の実施の形態の製造方法)
次に本実施の形態の製造方法を示す。図1は前述のように成形前の鍛造装置100の構造図であり、図2は図1のダイ5のキャビティ5a内を拡大した断面図である。図3は成形中の状態の鍛造装置100を示す構造図であり、素材Wの加工が始まり上パンチ1でヘリカルギヤを1/2成形した状態を示す。図4は成形中の状態のダイ5のキャビティ5a内を示す断面図である。
ダイ5の中央に位置するキャビティ5aに素材Wをセットし、スライド201を下降させることで、スライド201に固定された上パンチ1を下降させて、素材Wの上面Wcに上パンチ1の押圧面を当接させ、成形を開始する(図1、図2)。スライド201によって上パンチ1をそのまま下降させると、キャビティ5a内に形成された歯形成形部5cに沿って、素材Wがねじれるようにして押し込められ、素材Wの外周面Waに歯形が成形される(図3、図4)。素材Wがキャビティ5a内に押し込められる間、歯形成形部5c及びダイ5は素材Wから素材Wのねじれの向きに力F1を受け、回転力F1aが生じる(図4)。
ここで「ねじれの向き」とは、素材Wが成形される間に、キャビティ5a内で螺旋状にねじれて回転する向きのことであり、ダイ5ならば歯形成形部5cの螺旋の流れの向き、また成形品Gならば歯先に向かって螺旋状となった歯筋Bが流れる向きである。キャビティ5aの歯形成形部5c及びダイ5がねじれの向きの力F1によって回転力F1を受けることで、一体となったダイ5と下型回転部6とが、回転力F1の向きに回動する。
上パンチ1がねじれの向きにキャビティ5a及びダイ5に力F1を与えて回転力F1aが生じると、その反作用により、上パンチ1は同時にキャビティ或いはダイ5に対し、ねじれの向きと反対向きに力F2を受け、回転力F2aが生じる(図4)。上パンチ1は上型回転部2に固定支持され、上型回転部2は上ベアリング8を介して上型3に回転自在に支持されているため、上パンチ1と上型回転部2は、ねじれの向きとは反対向きの力F2によって回転力F2aの向きに一体となって回動する。
素材Wの成形中、すなわち下方から上向きの圧力負荷に対し、上型回転部2の外周面2aと上型外縁部10の内周面下部10aとの間には、間隙15が生じる構成とされている(図3)。従って成形中、外周面2aと内周面下部10aの接触面積が減少する構成となり、上型回転部2の回転による摺動面の摩擦力が軽減され、回転が容易となる。
中間ベアリング12には下型回転部6との間に、取付け時に0.1mm程度の間隙16が設けられている(図3)。また素材Wの成形中、ダイ5の底部5fと下型回転部6の内部底面6bとは接触している。これらにより成形中、中間ベアリング12は作動しない構成となり、ダイ5を下型回転部6に対して不動状態で保持することができる。
また、下型回転部6の外周面上部6cと下型外縁部14の内周面上部14aとの間には間隙17が予め設けられており、このことにより成形中、一体となったダイ5と下型回転部6は、少ない摩擦で回動することができる。
このように成形時には、中間ベアリング12には荷重が負荷されず、ダイ5を回転させる下ベアリング13と、上パンチ1を回転させる上ベアリング8に荷重が負荷されている。
図5は成形完了またはノックアウト開始時の状態の鍛造装置100を示す構造図である。図6は成形完了またはノックアウト開始時の状態のダイ5のキャビティ5a内を示す断面図である。
ダイ5がねじれの向きに螺旋状に力F1を受けて回動しながら上パンチ1が下死点まで到達する間に、素材Wにはその外周面Waに歯形が漸次形成され、下死点に到達すると成形品Gの歯形形状が完成する(図5、図6)。図6は素材Wの頂部外周面Wbに歯形を形成させたヘリカルギヤの成形品Gが記載されているが、この形状に限らず、素材Wの外周面全体に歯形が形成されていてもよい。ダイ5を回転させる下ベアリング13と、上パンチ1を回転させる上ベアリング8には成形中、上パンチ1の押圧によって継続して荷重が負荷されているが、下死点に到達すると荷重はなくなる。
図7はノックアウト中の状態の鍛造装置100を示す構造図であり、鍛造されたヘリカルギヤを金型から1/2ストローク取り出している状態を示す。図8はノックアウト完了状態の鍛造装置100を示す構造図である。
成形完了後、スライド201を上昇させることにより、素材Wに接触していた上パンチ1が上方へ引き抜かれ、ノックアウトが開始される。ボルスタ202の中央及び下パンチ4の下部に配されたノックアウトピン203を上昇させることによって、ノックアウトピン203と連続する円柱形状の下パンチ4が上昇し、下パンチ4により成形品Gの下部を押圧して成形品Gを上方へ突き上げて、ノックアウトさせる。
ノックアウト時には、下パンチ4によって素材Wが押し上げられることでダイ5に上向きの負荷が生じて、ダイ5及び中間ベアリング12が上方へ押し上げられる。そのため、間隙16によって隔てられていた中間ベアリング12と下型回転部6とが接触し、中間ベアリング12が作動可能な構成となる。
また、下型回転部6が上方に押し上げられたことに伴い、間隙17によって隔てられていた下型外縁部14の内周面上部14aと下型回転部6の外周面上部6cとが接触して、下型回転部6が下型外縁部14に対して不動状態に保持される。
さらに、ダイ5の底部5fと下型回転部6の内部底面6bとの分離面18が、僅かに離れることで、ダイ5が回転する際、ダイ5と下型回転部6との間に生じる摩擦力が減少し、ダイ5の回転が容易となる。
加えて、下型回転部6と下ベアリング13との分離面19も、僅かに離れ、下ベアリング13には荷重がかからない構成となる。
これらのことにより、ノックアウト中には、下ベアリング13は作動しない構成となり、下型回転部6は下型外縁部14に対して固定されて一体となる。一方で、中間ベアリング12には荷重が作用することで、中間ベアリング12のみ作動し、ダイ5が下型回転部6に対して回転自在に保持され、回転する(図7)。このように、中間ベアリング12は、ノックアウト用ベアリングとして使用される。
ノックアウト時、中間ベアリング12のみ作動することで、ダイ5だけが独立して回転可能となり、成形品Gにかかるノックアウト荷重が減少し、従来生じていたノックアウトによる成形品Gの加工精度の劣化を防ぐことができる。またダイ5だけが回転するため、成形時より低い押圧力でノックアウトしても容易に回転できる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では鍛造装置100は素材Wの冷却手段としてエア冷却装置90を備える。その他の構成は第1の実施形態と同様であるため省略する。図11は、本実施の形態におけるエア冷却装置90を備えた鍛造装置100を側面から示す構造図である。
エア冷却装置90は鍛造装置100の外部に設置されて鍛造装置100に接続される構成としても良いし、鍛造装置100に直接備えつけられても良い。素材Wをダイ5のキャビティ5a内に挿入し、加工が開始されたらエアAを吹き込む。エアAは下型回転部6と下ベアリング13直下の、下型固定部11に設けられた貫通孔91を通り、下パンチ4の直下のピース92の側面に設けられた、ピース92が回転するための帯状の溝93を介してピース92内部に進入し、ピース中央部にあけた穴を通って下パンチ4の中央孔を通過して、素材Wまたは成形品G直下のキャビティ5a内に進入し、素材Wまたは成形品Gの下面を冷却する。エアAは鍛造装置100の隙間を通り、ダイ5直下の下型回転部6にあけられた貫通孔94を通り、下型回転部6が回転するための帯状の溝95を介して外部へ排出される(図11)。加工によって加熱された素材Wを、冷却手段により冷却することで加工精度を低下させることなくより迅速に成形することが可能となり、生産性が向上する。
なお、ピース92が回転するための帯状の溝93とは、ピース92が回転することで、ピース92に設けられた貫通孔91と、下型固定部11に設けられた貫通孔11との位置が一致しなくなることにより、エアAの通気が遮断される事態を防ぐためのものである。この帯状の溝93は、ピース92が回転する際の、ピース92の外周面と、下型固定部11の貫通孔91との摺動面、またはピース92の貫通孔91と、下型固定部11の内周面との摺動面に沿って設けられる。すなわちピース92の外周面上(外径部)を周回するようにして帯状に設けられても良く、下型固定部11の内周面上(内径部)を周回するようにして帯状に設けられても良い。また同様に、下型回転部6が回転するための帯状の溝95とは、下型回転部6が回転することで、下型回転部6に設けられた貫通孔94と、下型外縁部14に設けられた貫通孔94との位置が一致しなくなることにより、エアAの通気が遮断される事態を防ぐためのものである。この帯状の溝95は、下型回転部6が回転する際の、下型回転部6の外周面と、下型外縁部14の貫通孔91との摺動面、または下型回転部6の貫通孔91と、下型外縁部14の内周面との摺動面に沿って設けられる。すなわち下型回転部6の外周面上(外径部)を周回するようにして帯状に設けられても良く、下型外縁部14の内周面上(内径部)を周回するようにして帯状に設けられても良い。
冷却手段はエアAにより素材Wを冷却するエア冷却装置90に限定はされないが、一般に鍛造装置にはオイルが使用される性質上、冷却した空気または窒素ガスなど、冷却した気体を用いることが望ましい。また下死点までプレス加工した時点から時間を置くことにより素材を冷却する冷却装置であってもよく、例えばサーボプレスによって実現され得る。この場合、サーボプレスによりプレス加工とノックアウトのタイミングに関して時間管理を行うことで素材Wの冷却を行うため、サーボプレス装置が冷却効果を向上させることができる。
なお成形品Gの冷却装置及び方法としては、金型への熱の伝導により計算では80℃程度の温度低下を生じさせるため、下死点で停止させるだけでも冷却効果が期待できる。好ましくは本実施の形態に記載されるような強制的エアなどにより冷却することで150℃程度の温度低下をさせることで歯筋誤差が低減し、精度の向上を図ることができる。また、鍛造前の素材を予め加熱すること(予熱)によって温度上昇をさせ、素材成形完了時の温度と、ノックアウト開始時との温度差を生じさせても良い。さらに、鍛造前の素材を予め100℃程度に加熱して予熱成形して温度上昇させ、エアにより強制冷却と組み合わせることで温度低下をさらに大きくさせることで、温度差をさらに大きくして収縮量を大きくすることもできる。
(実施例)
本発明の実施例を以下に示す。図12は、加工条件、特に、成形速度(spm)及びBKO速度(spm)の違いによる歯形の精度を歯筋誤差によって示したグラフである。図12−Aは右歯面の歯筋誤差を示し、図12−Bは左歯面の歯筋誤差を示す。
ここで、「歯筋誤差(helix deviation)」とは、JIS規格で、「測定歯筋の設計歯筋に対する偏差」として規定され、加工精度の指標として精度評価に用いられる。一般的に、成形品Gの先端Wdに近づくにつれて、歯形の歯筋誤差が大きくなる傾向にあるため、歯筋誤差を、成形品Gの歯形の精度評価に用いることができる。図12において「成形速度」とは、素材Wに歯形を成形するまでの速度を表わし、スライド201が下降して下死点に到達するまでの速度を示し、「加工速度」と表現されても良い。「BKO(Bed knockout)速度」とは、ベッドに設けられたノックアウト機構により下方から上方に押し出してノックアウトする速度を表わし、「ノックアウト速度」と表現されても良い。「spm(Strokes per minute)」とは、1分間のストローク回数を表わす。図11のY軸に記載された、「先端」とは、成形品Gの先端Wdを意味し(図6)、「アプローチ」とは、成形品GのアプローチWeを意味し(図6)、「位置(mm)先端←→アプローチ」とは、成形品Gの先端Wdを始点とした長手方向の位置のことであり、例えば10mmであれば、成形品Gの先端Wdを0mmとして、先端Wdから成形品Gの中心軸Oに沿って10mm離れた位置を指す。
油圧プレス(条件1)では成形速度2.5spm、BKO速度2.5spmで加工した。メカニカルプレスで(条件2)は成形速度40spm、BKO速度40spmで加工した。サーボプレスでは成形速度及びBKO速度を変えることが可能であり、成形速度及びBKO速度を変えて3通りの条件で行った。サーボプレス(条件3)では成形速度10spm、BKO速度10spmで加工を行った。サーボプレス(条件4)では成形速度50spm、BKO速度10spmで加工した。サーボプレス(条件5)では成形速度10spm、BKO速度50spmで加工した。
本実施例の結果、右歯面(図12−A)、左歯面(図12−B)とも、「位置(mm)先端←→アプローチ」が0mm〜約10mmの範囲で、歯筋誤差(μm)は条件4<条件1<条件5<条件3<条件2の順となった。なお左歯面では「位置(mm)先端←→アプローチ」が0mm〜約20mmの範囲で同様の結果となった。
このことから、ただ成形速度及びBKO速度を遅くすると歯筋誤差(μm)が小さくなるだけではなく、成形速度を速くするともにBKO速度を遅くすることにより、歯筋誤差がさらに小さくなることが明らかとなった。またBKO速度2.5spmの条件1と、BKO速度10spmの条件4とでは、歯筋誤差(μm)は条件4<条件1の順となったことから、BKO速度がある程度速くとも、成形速度とBKO速度との差があることで、歯筋誤差を小さくすることが可能であることが明らかとなった。従って、サーボプレスを用いて、成形速度とBKO速度を調整し、歯筋誤差を小さくすることが可能である。
上記実施例1を表1にまとめた。成形速度及びBKO速度の条件値、該条件に基づく生産量、及び歯筋誤差の結果から、各鍛造装置の加工精度評価及び生産性評価を行い、それに基づき総合評価を行った。
ここで「生産量(pcs/min)」とは、1分間に生産される成形品Gの個数を表わす。
油圧プレスでは成形速度及びBKO速度が遅いため、加工精度(歯筋誤差)は向上するが生産性(生産量)は低下する。一方でメカニカルプレスでは成形速度及びBKO速度が速いため、加工精度は低下するが生産性は向上する。油圧プレスやメカニカルプレスでは成形速度及びBKO速度を独立して制御することはできず各々上述の欠点を備えていたが、サーボプレスでは成形速度及びBKO速度を独立して制御することが可能であるため、成形速度を上げるとともにBKO速度を下げることで、加工精度を高く維持しながら生産性を向上させた鍛造装置100の製造が可能となる。
以上から、鍛造装置100において、成形速度(spm)は40spm以上とすることが好ましく、性能の良い潤滑剤の使用によって50spm以上とする。BKO速度(spm)は10spm以下とし、より好ましくは5spm以下とする。好ましくは、成形速度(spm)とBKO速度(spm)の差分は30spm以上とし、より好ましくは40spm以上とする。好ましくは、生産量(pcs/min)が14pcs/min以上、より好ましくは、生産量(pcs/min)が19pcs/min以上となるように、成形速度(spm)とBKO速度(spm)は決定される。好ましくは、成形品Gの位置が成形品Gの先端Wdより10mmの位置からアプローチ部分における歯筋誤差が20(μm)以下、より好ましくは、10(μm)以下となるように、成形速度(spm)とBKO速度(spm)が決定される。
ただし、表1に示すように、歯筋誤差(μm)を成形速度(spm)で比較した場合、歯筋誤差(μm)は、条件4(成形速度50spm)<条件5(成形速度10spm)<条件2(成形速度40spm)の順となった。そして歯筋誤差(μm)をBKO速度(spm)で比較した場合、歯筋誤差(μm)は、条件5(BKO速度10spm)<条件4(BKO速度50spm)<条件2(BKO速度40spm)となった。
図13や表2において後述するように、成形直後温度、ノックアウト直前温度、及び成形直後温度からノックアウト直前温度を差し引いた温度差が、歯筋誤差(μm)が決定される上で重要であることが明らかとなった。すなわち本発明では、成形速度(spm)やBKO速度(spm)は、成形直後温度、ノックアウト直前温度、及びその温度差を決める一つの要素であって、歯筋誤差(μm)が決定される上では、副次的要素であることが明らかとなった。
図13は成形速度による成形品G(鍛造品)の温度上昇と排出時の成形品Gの温度分布を示すシミュレーションである。鍛造装置100は加工成形時に下死点で2秒停止した後、成形品Gをノックアウトして生産する。
成形品Gの温度上昇を比較すると、遅い成形速度2.5spmの場合、成形直後温度(℃)は250℃、中間の成形速度10.0spmの場合、成形直後温度(℃)は300℃、速い成形速度50.0spmの場合、成形直後温度(℃)は400℃で、成形品Gの温度上昇を比較すると、成形速度が速くなるにつれて、温度上昇が大きくなることが確認された。なお「成形直後温度(℃)」とは上パンチ1が下死点まで到達した加工成形直後における、素材Wの加工表面の温度を示す。
また各々の条件において下死点で2秒停止した場合の成形品Gの温度分布を比較すると、遅い成形速度2.5spmの場合、ノックアウト直前温度(℃)は250℃、中間の成形速度10.0spmの場合、ノックアウト直前温度(℃)は280℃、速い成形速度50.0spmの場合、ノックアウト直前温度(℃)は320℃となり、成形速度が速い条件ほど温度が高いものの、上パンチ1が下死点まで到達した加工成形直後と2秒間経過後との温度差も大きいことが分かり、急激に温度が低下して温度変化が大きくなることが分かった。なお「ノックアウト直前温度(℃)」とは上パンチ1が下死点まで到達した加工成形直後から2秒間経過後、すなわちノックアウト直前の素材Wの加工表面の平均温度を示す。
表2は成形後からノックアウト時までの冷却によるギヤ部の収縮量を示す計算値であり、鍛造加工の際の温度差とギヤ外径寸法収縮量の相関を示す。図14はそれをグラフで示したものである。
ここで「温度差(℃)」とは、温度変化量(℃)と呼ばれても良く、成形直後温度(℃)からノックアウト直前温度(℃)を差し引いた値であり、上パンチ1が下死点まで到達した加工成形直後と2秒間経過後との温度差(平均値)を示す。「ギヤ外径寸法収縮量(mm)」とは、加工成形直後と2秒間経過後とのギヤ部の外径の差であり、冷却によりギヤ部の収縮した量を示す。
上述のように温度差が大きくなるほど、ギヤ外径寸法収縮量(mm)も大きくなることが分かる。成形後からノックアウトまでの冷却により温度差が大きくなり、ギヤ部の収縮量が増えることで、最終的な成形品Gの精度が向上する。
成形速度との関係から温度差(℃)やギヤ外径寸法収縮量(mm)を検討すると、10spm以下の成形速度では加工による発熱が少なく、下死点で冷却時間を設けても温度差が生じないため成形品Gのダイ5への食いつきが大きく、ノックアウト時に歯形の寸法変化が大きくなり精度が劣化する。一方で50spmの成形速度では加工による発熱が大きく、下死点で冷却時間を設けることにより温度差が生じるため成形品Gのダイ5への食いつきが小さくなり、歯形の寸法変化が少なく精度が良くなる。
従って成形速度が速いと温度上昇が大きく冷却したときの収縮が大きく型離れが良くなり、ノックアウト時に発生している歯形部分の変形が少なくなる。
以上から、鍛造装置100において、好ましくは、成形直後温度(℃)は300℃以上500℃以下とする。ノックアウト直前温度(℃)は200℃以上300℃以下とする。温度差(℃)は100℃以上200℃以下とする。また好ましくは、ギヤ外径寸法収縮量(mm)が製品外径の0.2%程度となるように、温度差(℃)が決定されるか、または成形直後温度(℃)とノックアウト直前温度(℃)と温度差(℃)とが決定される。
従来の油圧プレス方式と、サーボプレス方式による新しい生産方法との生産量の違いを表3に示す。
ここで「rpm(revolution per minute)」とは一般に、周期的に回転する装置において、1分間に何度同じ回帰を繰り返したかを指す。鍛造装置においてはその性能を示す指標の一つとして1分間のプレス回数を指すものである。表2における、「プレスサイクル数(rpm)」とは、下死点で停止させなかった場合の1分間のプレス回数を指す。表2における「1サイクルタイム(sec)」とは、下死点で停止させなかった場合の1回のプレスにかかる時間(秒)を指し、1サイクルタイム(sec)=60/プレスサイクル数(rpm)である。表2における「下死点停止時間(sec)」とは、素材の冷却のために上パンチ1を下死点で停止させた時間(sec)を指し、上パンチ1を下降させて停止した時点からノックアウトするまでの間の停止時間(sec)を指す。表2における「サイクルタイム(sec)」とは、下死点停止時間を含めた1回のプレスにかかる時間(秒)であり、サイクルタイム(sec)=1サイクルタイム(sec)+下死点停止時間(sec)である。表2における生産量(pcs/min)とは、下死点停止時間の条件を考量して算出された、鍛造装置における1分間に生産可能な成形品Gの個数のことであり、生産量(pcs/min)=60/サイクルタイム(sec)である。
油圧プレスではプレスサイクル数(rpm)が低い分、生産量(pcs/min)が減少する。成形速度が遅く歯形を成形した際の温度上昇が低いため、下死点で停止させて素材を冷却する必要はないが、温度上昇が低いことでサーボプレスのように温度変化をさせた場合と比較すると加工精度が低下する。
一方サーボプレス方式であれば、成形速度を速くしてBKO速度をある程度遅くすることで、トータルで見た場合にはプレスサイクル数(rpm)が大きく向上し、生産性が向上する。またノックアウト時の温度が低いことで、メカニカルプレスのような成形速度及びBKO速度が速い鍛造装置よりも精度が向上する。さらに、成形時の温度が高くかつノックアウト時の温度差が低いことで温度差が生じるため型離れが良くなり、油圧プレスのように温度変化が少ない装置に比べて、生産性が向上する。
なおサーボプレスを用いて説明を行ったが、成形速度、BKO速度、及び下死点停止時間を独立して制御することが可能な方式であれば、加工精度を高く維持しながら生産性を向上させた鍛造装置100の製造は可能であり、その方式は特に限定はされない。以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
100 鍛造装置、
1 上パンチ、
2 上型回転部、
2a 上型回転部の外周面、
3 上型、
4 下パンチ、
5 ダイ、
5a ダイのキャビティ、
5b キャビティの内周面、
5c キャビティの歯形成形部、
5d キャビティの挿入部、
5e ダイの上部、
5f ダイの底部、
6 下型回転部、
6a 下型回転部の間隙、
6b 下型回転部の内部底面、
7 下型、
8 上ベアリング、
9 上型固定部、
10 上型外縁部、
10a 上型外縁部の内周面下部、
11 下型固定部、
12 中間ベアリング、
13 下ベアリング、
14 下型外縁部、
15 上型回転部の間隙、
16 中間ベアリングの間隙、
17 下型外縁部の間隙(密着部、可変部)、
18、19 分離面、
51 上型ホルダ、
52 下型ホルダ、
61 ダイセット上側、
62 ダイセット下側、
80 ダイセット、
90 冷却装置、
91、94 貫通孔、
92 ピース、
93、95 溝、
200 プレス機、
201 スライド、
202 ボルスタ、
203 ノックアウトピン、
A エア、
B 歯筋、
G 成形品、
W 素材、
Wa 素材の外周面、
Wb 素材の外周面頂端部、
Wc 素材の上面、
Wd 素材の先端、
We 素材のアプローチ

Claims (8)

  1. 素材に歯形を鍛造成形する鍛造装置であって、昇降自在に保持された上型と、前記上型に回転自在に保持された上型回転部と、前記上型回転部に固定されて前記上型回転部とともに回動する上パンチと、下型に回転自在に保持される下型回転部と、前記下型回転部に回転自在に保持されるダイを備えることを特徴とする鍛造装置。
  2. 前記ダイは、前記ダイの上部に配置された中間ベアリングを介して前記下型回転部に内嵌されて、上方からの圧力に対して前記下型回転部に固定されるとともに下方からの圧力に対して前記下型回転部に回転自在に保持されることを特徴とする請求項1記載の鍛造装置。
  3. 前記中間ベアリングと前記下型回転部との間には、前記素材成形中に前記中間ベアリングが作動せず、ノックアウト中に前記中間ベアリングが作動するための間隙が設けられていることを特徴とする請求項2記載の鍛造装置。
  4. ねじれ角35°以上のヘリカルギヤを鍛造成形するための請求項1から3のいずれか一項記載の鍛造装置。
  5. 素材に歯形を鍛造成形する方法であって、昇降自在に保持された上型と、前記上型に回転自在に保持された上型回転部と、前記上型回転部に固定されて前記上型回転部とともに回動する上パンチと、下型に回転自在に保持される下型回転部と、前記下型回転部に回転自在に保持されるダイを備え、上ベアリングによって前記上パンチを回転させるとともに下ベアリングによって下型回転部を回転させながら素材を押圧することで素材成形をし、中間ベアリングによって前記ダイを回転させながらノックアウトすることを特徴とする鍛造方法。
  6. 素材に歯形を鍛造成形する方法であって、上ベアリングによって上パンチを回転させるとともに下ベアリングによって下型回転部を回転させながら素材を押圧することで素材成形をし、中間ベアリングによってダイを回転させながらノックアウトするものであり、前記中間ベアリングは前記素材成形中には作動させずに前記素材成形を完了させ、前記上ベアリングと前記下ベアリングは前記ノックアウト中には作動させずに前記ノックアウトすることを特徴とする鍛造方法。
  7. 前記素材成形時の温度から前記ノックアウト時の温度を差し引いた温度差が100℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の鍛造方法。
  8. 歯筋誤差を小さくするために、サーボプレス方式によってノックアウト速度が成形速度よりも遅く設定されることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の鍛造方法。
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