JP6708017B2 - 粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤並びに偏光板用粘着剤 - Google Patents

粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤並びに偏光板用粘着剤 Download PDF

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Description

本発明は、粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤並びに偏光板用粘着剤に関し、更に詳しくは、偏光板とガラス基板等を貼り合わせる粘着剤として用いた際に湿熱条件下でも偏光板が優れた光学特性(偏光度)を示すことができ、耐湿熱白化性、帯電防止性、リワーク性にも優れる粘着剤を得ることができる粘着剤組成物に関するものである。
従来より、偏光性が付与されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両面が保護フィルムで被覆された偏光板を、2枚のガラス板の間に配向した液晶成分を挟持させた液晶セルの表面に積層し、液晶表示板が製造されている。
この液晶セルの表面への偏光板の積層は、偏光板表面に設けた粘着剤層を上記液晶セル面に当接し、押し付けることにより行われるのが通常である。
これらの保護フィルムと偏光子を貼り合せるための接着剤にはポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が好適に使用され、具体的にはポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を配合してなる水溶液を偏光子上に塗布し保護フィルムを積層したのち、加熱・乾燥することで偏光板が製造されている。上記偏光板の製造工程においては、接着剤に含まれる水分が保護フィルムを透過することが好ましく、保護フィルムとして、透湿度の高いトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)がこれまで好適に使用されてきた。
しかしながら近年では、寸法安定性や、耐久性の観点からTACフィルムに替りオレフィン系フィルム、特にはシクロオレフィン系フィルムが偏光板の保護フィルムとして用いられるようになっており、このようなオレフィン系基材を使用した場合、偏光板の耐湿熱性は向上する。しかしながら、偏光板を粘着剤を介して液晶セルに貼合した液晶表示装置が湿熱環境下に暴露された際には、粘着剤層の白化現象が発生しやすいという問題があった。これは液晶表示装置が長時間湿熱条件下におかれると、粘着剤層に徐々に水分が浸入し、常温に戻した際には粘着剤層中で該水分が結露するが、透湿度の低い保護フィルムによって水分の放出が抑制されるためである。
また液晶セルは、静電気に起因して液晶配向の乱れによる表示不良等を生じるため、偏光板には静電気対策が講じられている。具体的には保護フィルムに帯電防止性能を付与したり、粘着剤層中に帯電防止剤を添加したりすることで、帯電防止性能に優れた粘着剤付き偏光板とする技術が知られている。
このような目的で開発された粘着剤として、例えば特許文献1には、通常よりも水酸基モノマーを多く共重合させたアクリル系樹脂を用いてなるアクリル系粘着剤が、耐湿熱白化性に優れることが記載されている。また、特許文献2には、帯電防止性能と耐久性に優れた粘着剤組成物として、アクリル系樹脂とアンモニウムカチオンからなるイオン性化合物を含んでなる粘着剤組成物が記載されている。
特開2013−213203 特表2012−524143
しかしながら、近年、液晶ディスプレイの普及とともに、様々な環境下で使用されるようになっており、車載用や屋外用途など屋内で使用される環境よりも、より過酷な環境下、特に、湿熱環境下での光学特性及び視認性に優れた粘着剤が求められるようになっている。
特許文献1に記載された粘着剤は、耐湿熱白化性には優れるものの、水酸基含有量が多すぎるために透湿度が高く、粘着剤層中に水分が浸入しやすい。そのため、偏光板用粘着剤として用いた際には、粘着剤層中のイオン性化合物(帯電防止剤)が水分と共に保護フィルムを透過し、偏光子にまで移行してしまい、偏光子の偏光度の低下を引き起こすという問題があった。また、特許文献2に記載の粘着剤は、帯電防止性能と耐久性には優れるものの、耐湿熱白化性に劣るものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、偏光板とガラス基板等を貼り合わせる粘着剤として用いた際に、湿熱条件下でも偏光板が優れた光学特性(偏光度)を示すことができ、耐湿熱白化性、帯電防止性、リワーク性にもバランスよく優れる粘着剤を得ることができる粘着剤組成物の提供を目的とするものである。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、水酸基含有モノマー由来の構造単位を特定量含有するアクリル系樹脂を用い、更にアンモニウムカチオンと特定のアニオンからなるイオン性化合物と、特定のイソシアネート系架橋剤を配合することにより得られる粘着剤とした際に、湿熱条件下でも粘着剤層の白化や偏光板の偏光度の低下を抑制でき、帯電防止性、リワーク性にもバランスよく優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)及びイソシアネート系架橋剤(C)を含有する粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を6.5〜15重量%含有するアクリル系樹脂であり、イオン性化合物(B)が、アルキル基の炭素数の合計が10〜15であるテトラアルキルアンモニウムカチオンとトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンからなるイオン性化合物であり、イソシアネート系架橋剤(C)が多価アルコール化合物(c1)と多価イソシアネート化合物(c2)との反応生成物であるイソシアネート化合物である粘着剤組成物に関するものである。
更には、上記粘着剤組成物を用いてなる粘着剤並びに偏光板用粘着剤に関するものである。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、偏光板とガラス基板等を貼り合わせる粘着剤として用いた際に湿熱条件下でも偏光板の偏光度の低下を抑制でき、耐湿熱白化性、帯電防止性やリワーク性にも優れる。したがって、この粘着剤組成物を用いることにより、湿熱条件下など、通常より過酷な環境下で使用しても、性能が低下せず、優れた光学特性を示す液晶表示装置を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)、イソシアネート系架橋剤(C)を必須成分として含有するものである。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を6.5〜20重量%含有するアクリル系樹脂であり、例えば、水酸基含有モノマー(a1)を6.5〜20重量%含む共重合成分を共重合して得られるものである。アクリル系樹脂(A)は、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)やその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を共重合成分として含んでもよい。
上記水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;
2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマー(a1)の中でも、架橋剤(C)との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマー(a1)としては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましく、更に0.2%以下、殊には0.1%以下のものを使用することが好ましい。
かかる水酸基含有モノマー(a1)の含有量は、共重合成分全体に対して、6.5〜15重量%であり、好ましくは7〜15重量%、には8〜10重量%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、耐湿熱白化性が低下し、多すぎると耐久性やリワーク性が低下する。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)としては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1〜20(好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8。)のものが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、汎用性、粘着物性の点でn−メチルアクリレート、n−エチルアクリレート、n―ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の含有量は、共重合成分全体に対して、50〜93.5重量%であることが好ましく、特には50〜85重量%、更には50〜80重量%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、粘着物性のバランスを取りにくくなる傾向があり、多すぎると湿熱白化性が低下する傾向がある。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレートなどのアクリル酸のダイマー酸等のカルボキシル基含有モノマー;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;
シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)クリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;
メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドN−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
これらの中でも、屈折率の調整及び複屈折の調整をしやすい点では、芳香環含有モノマーが好ましく、特に好ましくはベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)エチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートである。
また、屈折率の調整及び複屈折の調整をしやすく、低極性被着体(シクロオレフィン等)への密着性にも優れる点では、脂環含有モノマーが好ましく、特に好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、である。
基材・被着体への密着性や凝集力、樹脂の相溶性を調整しやすい点では、アミド系モノマーが好ましく、特に好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、アルコキシアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリルアミドである。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)の含有量としては、(a3)が芳香環含有モノマー、脂環含有モノマーの場合は、共重合成分全体に対して、5〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは10〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%である。芳香環含有モノマー、脂環含有モノマーの含有量が多すぎると正の複屈折が大きくなり、少なすぎると負の複屈折が大きくなり、いずれも耐久後の光漏れが悪化する傾向がある。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)がカルボキシル基含有モノマーの場合は、共重合成分全体に対して、0.01〜3重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1重量%、更に好ましくは0.6〜1重量%である。カルボキシル基モノマーの含有量が多すぎるとTACフィルムを分解したり、被着体が金属の場合は腐食しやすくなる傾向があり、少なすぎると架橋剤との反応性が低下し、エージングに時間がかかる傾向がある。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)がアミノ基含有モノマーの場合は、共重合成分全体に対して、0.005〜1.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.50重量%、更に好ましくは0.05〜0.2重量%である。本発明では、水酸基含有モノマーの含有量が多いため、アミノ基含有モノマーの含有量が多すぎるとポットライフが短くなったり、偏光度が低下しやすくなる傾向があり、少なすぎるとエージングに時間がかかる、または完了しない傾向がある。
その他の共重合成分(a3)として、カルボキシル基含有モノマーもしくはアミノ基含有モノマーのいずれか1種類を使用することが架橋剤との反応性を向上させる点で好ましい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)やその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を含有する共重合成分を適宜選択して用い重合することにより製造することができる。
上記重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法により行なうことができ、例えば、有機溶媒中に、水酸基含有モノマー(a1)を含有する共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合する。これら重合方法のうち、安定に高分子量のアクリル樹脂を得られる点から溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、更に好ましくは溶液ラジカル重合ある。
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。
これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、更に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
また、かかるラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を6.5〜20重量%含有するものであり、好ましくは7〜15重量%、特には8〜10重量%含有するものであることが好ましい。水酸基含有モノマー由来の構造単位が少なすぎると耐湿熱白化性が低下し、多すぎるとリワーク性や耐久性が低下する。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、80万〜250万が好ましく、特に好ましく100万〜200万、更に好ましくは120万〜150万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると耐久性が低下する傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると製造時に希釈溶剤を大量に必要とし、乾燥性が低下する傾向がある。
上記アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、特に好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、殊に好ましくは4.5以下である。なお分散度の下限は、製造の限界の点から通常1.1である。
かかる分散度が高すぎると凝集力が低下しやすい傾向にあり、分散度が低すぎるとタックが低くなり貼り合わせがしにくくなる傾向にある。なお、かかる分散度の下限は通常1である。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−80〜0℃であることが好ましく、特に好ましくは−55〜−15℃、更に好ましくは−45〜−20℃である。
かかるガラス転移温度が高すぎるとタックが低下しやすくなる傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
なお、ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 0006708017
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
上記アクリル系樹脂(A)の屈折率は、通常1.440〜1.600であればよく、好ましくは1.460〜1.550、特に好ましくは1.470〜1.500である。かかる屈折率は、積層する部材の屈折率差を小さくすることが、部材界面での光損失が小さく好ましい。
上記屈折率は、薄膜にしたアクリル樹脂を屈折率測定装置(アタゴ社製「アッベ屈折計」)を用いてNaD線で測定した値である。
上記アクリル樹脂(A)のヘイズは1.0以下であることが好ましく、更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下である。かかるヘイズが高すぎるとディスプレイの画質が低下する傾向にある。
ヘイズは、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して、算出したものである。なお、本機はJIS K7361−1に準拠している。
ヘイズ(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
かくして本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
<イオン性化合物(B)>
本発明で用いられるイオン性化合物(B)は、アンモニウムカチオンとトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンからなるイオン性化合物である。
上記アンモニウムカチオンは、窒素原子が4つの置換基を有し正に帯電した構造を有するものであり、前記4つの置換基は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜24のアルキル基、水酸基のいずれかであることが好ましい。
なかでも、少なくとも1つの置換基が炭素数1〜24のアルキル基であるアルキルアンモニウムカチオンであることが好ましく、特には、湿熱環境下での偏光度の低下を抑制する点から、4つの置換基全てが炭素数1〜24のアルキル基であるテトラアルキルアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
かかるアンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、ドデシルトリメチルアンモニウムカチオン、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムカチオン、トリメチルアセトヒドラジドアンモニウムカチオン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムが挙げられる。
また、4つの置換基のアルキル基の炭素数の合計が10〜30であることが好ましく、11〜15であることがより好ましい。アルキル基の炭素数の合計が多すぎると、アクリル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向があり、少なすぎると湿熱環境下において偏光度が低下しやすくなる傾向がある。
本発明においては、アルキル基の炭素数の合計が10〜15であるテトラアルキルアンモニウムカチオンが用いられる。
本発明のイオン性化合物(B)としては、具体的にはトリn−ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(27.5℃)、テトラブチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(94−96℃)などが挙げられ、これらの中でも樹脂との相溶性、偏光度が低下しにくい点でトリn−ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドが好ましい。
なお、( )内はイオン性化合物(B)の融点を示す。
本発明のイオン性化合物(B)の融点は0〜1500℃であることが好ましく、特に好ましくは25〜80℃、更に好ましくは25〜50℃である。イオン性化合物(B)の融点が低すぎると、湿熱環境下で偏光度が低下しやすくなる傾向があり、融点が高すぎると、アクリル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、低温で析出したりする傾向がある。
イオン性化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましく、特には2〜5重量部、更には3〜4.5重量部であることが好ましい。イオン性化合物(B)の含有量が少なすぎると、十分な帯電防止性能が得られない傾向があり、多すぎると湿熱条件下において偏光度が低下しやすい傾向がある。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、イオン性化合物(B)以外のイオン性化合物を併用してもよいが、多すぎると偏光度が低下する傾向にあり、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して好ましくは2重量部以下、更に好ましくは1重量部以下、特に好ましくは0.5部以下である。
本発明で用いられるイソシアネート系架橋剤(C)は、多価アルコール化合物(c1)と多価イソシアネート化合物(c2)とを反応させて得られるイソシアネート化合物である。
イソシアネート系架橋剤(C)として、多価イソシアネート化合物(c1)と多価アルコール化合物(c2)との反応生成物であるイソシアネート化合物を用いることで、比較的水酸基を多く含有するアクリル系樹脂(A)と、アンモニウムカチオンとトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンからなるイオン性化合物(B)との相溶性のバランスに優れ、湿熱環境下でのイオン性化合物(B)の移動を抑制し偏光度の低下を抑制することができるものと考えられる。
上記多価アルコール(c1)としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等の水酸基を2つ有する化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン等の水酸基を3つ有する化合物、ペンタエリスリトール等の水酸基を4つ有する化合物や水酸基を5つ以上有するマンニトール及びその誘導体等が挙げられる。
なかでも、アクリル系樹脂(A)とイオン性化合物(B)の双方との相溶性にバランスよく優れる点で、水酸基を3つ以上有する化合物が好ましく、特に好ましくは水酸基を3つ有する化合物、更に好ましくはトリメチロールプロパンである。
上記多価イソシアネート化合物(c2)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族多価イソシアネート;ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の脂環式多価イソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族多価イソシアネート;等が挙げられる。
なかでも、偏光度の低下を抑制できる点で、脂環式多価イソシアネートおよび/または脂肪族多価イソシアネートを用いることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤(C)としては、アクリル系樹脂(A)とイオン性化合物(B)との相溶性に優れる点で、(c1)としてトリメチロールプロパンを用いた反応生成物であることが好ましく、更には偏光度の低下を抑制できる点で、トリメチロールプロパンと脂環式多価イソシアネートおよび/または脂肪族多価イソシアネートとの反応生成物であることが好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.05〜3重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜1重量部、更に好ましくは0.1〜0.6重量部、殊に好ましくは0.15〜0.4重量部である。
かかる架橋剤の含有量が少なすぎると、耐久性が低下する傾向があり、多すぎると応力緩和性が低下したり長時間のエージングが必要となったりする傾向がある。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、多価イソシアネート化合物(c2)と多価アルコール化合物(c1)を反応させて得られるイソシアネート化合物以外のイソシアネート系架橋剤や、その他の架橋剤を用いることもでき、具体的には、上記多価イソシアネート化合物(c2)や、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物においては、更にシランカップリング剤(D)を配合することが、光学部材に対する密着性が向上する点で好ましい。
シランカップリング剤(D)は、官能基を有する置換基及びアルコキシ基を置換基として有するシラン化合物である。
上記官能基としては、例えば、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1〜8のアルコキシ基を有することが好ましく、更には炭素数2以上のアルコキシ基を有することが好ましく、特にはエトキシ基を有すること好ましい。
また、シランカップリング剤(D)としては、長期間に渡って耐湿熱性を維持できる点、保存安定性の点からアルコキシ基含有量(重量当たりのアルコキシ基含有量)が30重量%以上であることが好ましい。
さらに、シランカップリング剤(D)としては、モノマー型のシラン化合物でも、一部が加水分解し重縮合したオリゴマー型シラン化合物でもよいが、耐久性やリワーク性に優れる点や、粘着剤の塗工後の乾燥時に揮発しにくい点で、オリゴマー型シラン化合物を用いることが好ましい。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、水酸基含有シランカップリング剤、カルボキシル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、アミド基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、エポキシ基含有シランカップリング剤とメルカプト基含有シランカップリング剤を併用することも、湿熱耐久性の向上と粘着力が上がり過ぎない点で好ましい。
上記エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシラン化合物やシラン化合物の一部が加水分解し重縮合したオリゴマー型シラン化合物(エポキシ基含有シリコーンアルコキシオリゴマー等)、或いはこれらシラン化合物の一部をエーテル変性したシラン化合物等があげられる。
中でも好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、シラン化合物等のオリゴマー型シラン化合物、或いはこれらシラン化合物の一部をエーテル変性したシラン化合物があげられる。
上記メルカプト基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のシラン化合物やシラン化合物等の一部が加水分解し重縮合したオリゴマー型シラン化合物(メルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー等)があげられる。
本発明においては、シランカップリング剤(D)として、上記シラン化合物の中でも、オリゴマー型シラン化合物を用いることが好ましく、更には保存安定性の点で、アルコキシ基としてエトキシ基を有するオリゴマー型シラン化合物を用いることが最も好ましい。
具体的には、市販品の信越化学社製「X41−1805」、「X41−1059」等を用いればよい。
上記シランカップリング剤(D)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.001〜2重量部であり、好ましくは0.01〜0.4重量部、特に好ましくは0.015〜0.1重量部である。
かかるシランカップリング剤(D)の含有量が少なすぎると、効果が得られない傾向があり、多すぎるとブリードして耐久性が低下する傾向にある。
本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の各種添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。また、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
上記その他の成分の含有量は、所望する物性が得られるように適宜設定すればよいが、アクリル系樹脂(A)に対して5重量部以下であることが好ましく、特には1重量部以下、更には0.5重量以下であることが好ましい。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し透明性が損なわれる傾向がある。
かくして本発明の粘着剤組成物を得ることができる。
本発明の粘着剤組成物は、偏光板とガラス基板等を貼り合わせる粘着剤として用いた際に湿熱条件下でも偏光板が優れた光学特性(偏光度)を示すことができ、耐湿熱白化性、帯電防止性、リワーク性にもバランスよく優れる粘着剤を得ることができるものであり、ディスプレイやそれを構成する光学部品を貼り合せるための光学部材用粘着剤、特に、偏光板と液晶セルのガラス基板等を貼り合わせるための偏光板用粘着剤として有用である。
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(C)により架橋させることにより粘着剤とすることができ、更に、かかる粘着剤からなる粘着剤層を光学部材(光学積層体)上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、さらに離型シートを設けることが好ましい。
上記粘着剤層付き光学部材の製造方法としては、
〔1〕光学部材上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行う方法、
〔2〕離型シート上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、光学部材を貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行う方法等がある。
これらの中でも、[2]の方法で、常温状態でエージングする方法が、が基材を痛めない点、基材密着性に優れる点で好ましい。
上記エージング処理は、粘着剤の化学架橋の反応時間として、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は通常室温〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、23℃で3〜10日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
上記粘着剤組成物の塗布に際しては、この粘着剤組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、加熱残分濃度として、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
また、上記粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行なわれる。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と偏光度低下抑制の点から40〜99%であることが好ましく、特に好ましくは50〜97%であり、更に好ましくは70〜95%である。ゲル分率が低すぎるとイオン性化合物の移動を抑制できずに偏光度が低下する傾向にあり、高すぎると帯電防止性能が低下する傾向にある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、偏光板等の基材に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)から粘着層をこそぎ取り、粘着層を200メッシュのSUS製金網で包み酢酸エチル中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。また両面セパレーターの場合は、片面のセパレーターを剥がした後、粘着剤が形成されている側のセパレーターからこそぎ取って測定すればよい。
なお、ゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、架橋剤の種類と量を調整すること等により達成される。
上記方法により製造される粘着剤層は、指で触れたときに程好いタック感があった方が、実際に被着体に貼る際に濡れ性が良いため、作業性が上がる傾向があり好ましい。
また、得られる粘着剤層付き光学部材における粘着剤層の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、特には10〜50μm、更には10〜30μmであることが好ましい。粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎるとイオン性化合物の含有量が多くなるため偏光度の低下が発生したり、湿熱白化性が悪化する傾向がある。
本発明の粘着剤層付き光学部材は、直接あるいは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面をガラス基板に貼合して、例えば液晶表示板に供される。
本発明の粘着剤層の初期粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜決定される。例えば、ガラス基板に貼着する場合には、0.2N/25mm〜15N/25mm未満の粘着力を有することが好ましく、特に好ましくは0.5N/25mm〜10N/25mm未満、更に好ましくは2N/25mm〜5N/25mm未満である。
上記初期粘着力は、つぎのようにして算出される。粘着剤層付き偏光板について、幅25mm幅に裁断し、離型フィルムを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、「イーグルXG」)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合する。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行った後、23℃・50%R.H.で24時間放置後に、180℃剥離試験を行なう。
本発明で用いられる偏光板は、通常、偏光フィルムの両面にトリアセチルセルロース(TAC)系フィルムを保護フィルムとして積層したものであり、上記偏光フィルムとしては、平均重合度が1,500〜10,000、ケン化度が85〜100モル%のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを原反フィルムとして、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液あるいは二色性染料により染色された一軸延伸フィルム(通常、2〜10倍、好ましくは3〜7倍程度の延伸倍率)が用いられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。また、ポリビニルアルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、例えば、ポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂およびポリビニルアルコール誘導体があげられる。
上記偏光板の保護フィルムとしては、従来のTAC系フィルムに加えアクリル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、シクロオレフィン系フィルムなどもあげられる。
また、薄膜化のために光学部材に貼り合わせる側の保護フィルムをなくした片保護フィルム偏光板も挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、TAC系フィルム、アクリル系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、PET系フィルム等から選ばれるいずれの保護フィルムに対しても好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂を調製した。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
<アクリル樹脂(A)の調製>
〔アクリル系樹脂(A−1)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)7.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)73.3重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル54.9部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−1)溶液(固形分22.8%、粘度7,900mPa・s/25℃、ガラス転移温度−43℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A−2)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)8.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)72.3重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル56.3部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−2)溶液(固形分22.9%、粘度8,600mPa・s/25℃、ガラス転移温度−43℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A−3)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)9.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)71.3重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル54.9部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−3)溶液(固形分21.2%、粘度6,900mPa・s/25℃、ガラス転移温度−42℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A−4)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)10.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)70.3重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル54.9部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−4)溶液(固形分18.0%、粘度3,500mPa・s/25℃、ガラス転移温度−42℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A−5)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)15.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)62.6重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル47.2部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−5)溶液(固形分17.6%、粘度3,100mPa・s/25℃、ガラス転移温度−42℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A'−1)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)3.5重量部、アクリル酸ブチル(a2)77.8重量部、アクリル酸ベンジル(a3)18部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル52.5部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'−1)溶液(固形分23.3%、粘度8,300mPa・s/25℃、ガラス転移温度−45℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A'−2)の製造〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)6.0重量部、アクリル酸ブチル(a2)74.3重量部、アクリル酸ベンジル(a3)19部、アクリル酸(a1)0.7部、酢酸エチル54.9部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、反応を開始し、AIBN酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'−2)溶液(固形分22.9%、粘度8,400mPa・s/25℃、ガラス転移温度−43℃)を得た。
<イオン性化合物(B)>
アンモニウムカチオンとトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンからなるイオン性化合物として以下のものを用意した。
B−1:トリブチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホニルイミド
<架橋剤(C)>
架橋剤(C)として以下のものを用意した。
C−1:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー株式会社製「コロネートL」)
C−2:キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(三井化学株式会社製「タケネートD−110N」)
C−3:ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(三井化学株式会社製「タケネートD−160N」)
C−4:イソホロンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(三井化学株式会社製「タケネートD−140N」)
C−5:水添キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(三井化学株式会社製「タケネートD−120N」)
C’−1:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(旭化成株式会社製「デュラネート24A−100」)
C’−2:ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(東ソー株式会社製「コロネートHX」)
<シランカップリング剤(D)>
シランカップリング剤(D)として以下のものを用意した。
D−1:オリゴマー型シラン化合物(信越化学社製「X41−1059A」、含有官能基:エポキシ基、含有アルコキシ基:メトキシ基及びエトキシ基、アルコキシ基含有量:42%)
<実施例1〜5、比較例1〜2>
上記の成分(A)〜(D)を下記表1の通りに配合し、酢酸エチルにて固形分濃度を12.5%に調整し、粘着剤組成物を得た。
〔粘着剤層付き偏光板の作製(1)〕
得られた粘着剤組成物を38μmのセパレーター(東レ株式会社製「ルミラーSP−0138BU」)に塗布し、100℃×3分間乾燥したのち、コロナ処理を施したシクロオレフィンフィルムとTACフィルムをそれぞれ片側に積層した偏光板の、コロナ処理を施したシクロオレフィン面に、セパレーターと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RH環境下で7日間養生し粘着剤層付き偏光板を得た(層構成;セパレーター/粘着剤層/シクロオレフィンフィルム/偏光子/TACフィルム)。得られた粘着剤層付き偏光板を用いて、リワーク性(粘着力・糊残り)を評価した。
<リワーク性>
上記で得られた粘着剤層付き偏光板を25mm幅にカットし、セパレーターを外して無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に2kgローラーにて貼りあわせオートクレーブ処理(0.5Mpa×50℃×20分間)を行ったのち23℃×50%RH環境下で24時間静置したのち、180°に引きはがした時の粘着力及びガラスへの粘着剤の糊残りを評価した。
〔粘着力〕
(評価基準)
◎・・・5N/25mm以下
○・・・5N/25mmより高く10N/25mm未満
△・・・10N/25mm以上〜15N/25mm未満
×・・・15N/25mm以上
〔糊残り〕
(評価基準)
○・・・糊残りなし
×・・・糊残りあり
〔耐湿熱白化試験用サンプルの作製〕
上記で得られた粘着剤組成物を38μmのセパレーター(東レ株式会社製「ルミラーSP−0138BU」)に塗布し、100℃×3分間乾燥したのち、セパレーターと反対側の粘着剤層面にコロナ処理を施したシクロオレフィンフィルムを貼り合わせ、23℃×50%RH環境下で7日間養生し、粘着剤層付きシクロオレフィンフィルムを得た(層構成;セパレーター/粘着剤層/シクロオレフィンフィルム)。
得られた粘着剤層付きシクロオレフィンフィルムを、3.5cm×3.5cmにカットし、セパレーターを剥離して粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5Mpa×50℃×20分間)を行い、耐湿熱白化試験用のサンプルを作製した。
得られた試験用サンプルを用いて、下記の通り耐湿熱白化性を評価した。結果を表1に示す。
<耐湿熱白化性>
耐湿熱白化試験用サンプルを60℃×90%RH環境下に200時間暴露し、取り出し直後、及び取り出してから1時間後のヘイズを測定し、耐湿熱白化性を評価した。なお、ヘイズ値は1.1mm無アルカリガラスの値をブランクとして差し引いた値である。
(評価基準)
〔取り出し直後のヘイズ〕
◎・・・1未満
○・・・1以上2未満
△・・・2以上3未満
×・・・3以上
〔取り出してから1時間後のヘイズ〕
○・・・1未満
△・・・1以上2未満
×・・・2以上
Figure 0006708017
表1の結果より、水酸基含有モノマーを特定割合で共重合したアクリル系樹脂(A)を含有してなる本発明の粘着剤組成物を用いた実施例では、耐湿熱試験において取り出し直後でも粘着剤層のヘイズが低く、耐湿熱白化性に優れていることがわかる。
一方、水酸基含有モノマーの含有割合が本発明の範囲を満たさないアクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物を用いてなる比較例1及び2は、取り出し直後及び1時間後においても粘着剤層のヘイズが高く、耐湿熱白化性に劣っていることがわかる。
<実施例6〜9、比較例3〜4>
次に、上記成分(A)〜(D)を下記表2の通りに配合し、酢酸エチルにて固形分濃度を12.5%に調整し、粘着剤組成物を得た。
〔粘着剤層付き偏光板の作製(2)〕
得られた粘着剤組成物を38μmのセパレーター(東レ株式会社製「ルミラーSP−0138BU」)に塗布し、100℃×3分間乾燥したのち、TACフィルムを両面に積層した偏光板の一方のTAC表面に、セパレーターと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RH環境下で7日間養生し粘着座層付き偏光板を得た(層構成;セパレーター/粘着剤層/TACフィルム/偏光子/TACフィルム)。得られた粘着剤層付き偏光板を用いて、帯電防止性能(表面抵抗率)及び耐湿熱性(偏光度)を評価した。結果を表2に示す。
<帯電防止性能>
上記で得られた粘着剤層付き偏光板を23℃×50%RH雰囲気下で24時間静置したのち、セパレーターを剥離し、表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック株式会社製、装置名「Hiresta−UP MCP−HT450」)を用いて粘着剤層の表面抵抗率を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
○・・・1.0E+11未満
×・・・1.0E+11以上
上記で得られた粘着剤層付き偏光板を3.5cm×3.5にカットし、セパレ
ーターを剥離して粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行い、耐湿熱試験用サンプルを作製した。
<耐湿熱性>
〔偏光度〕
上記で得られた耐湿熱試験用サンプルの偏光度(初期偏光度)を測定した。その後、80℃×90%RH環境下に5日間暴露し取り出した後の偏光度(湿熱後偏光度)を測定し、下記式(1)より耐久試験前後での偏光度の維持率を求め、下記の通り評価した。
なお、偏光度は、日本分光株式会社製「紫外可視近赤外分光光度計:V7000、及び自動偏光測定装置VAP7070」を用いて測定した。 偏光度維持率(%)=湿熱後偏光度/初期偏光度・・・(1)
(評価基準)
◎・・・99.70以上
○・・・99.60〜99.70未満
△・・・99.50〜99.60未満
×・・・99.50未満
Figure 0006708017
表2の結果より、水酸基含有モノマーを特定の含有範囲で共重合したアクリル系樹脂(A)と特定のイオン性化合物(B)と、イソシアネート系架橋剤(C)として多価アルコール化合物と多価イソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート化合物を含有してなる粘着剤組成物を用いた実施例6〜9では、耐湿熱試験前後において偏光度の低下が少ないことがわかる。
これに対して、架橋剤として多価アルコール化合物と多価イソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート化合物以外の架橋剤を含有してなる粘着剤組成物を用いた比較例3,4では、耐湿熱試験後に偏光度が低下しており、耐湿熱環境下での光学特性に劣ることがわかる。
本発明の粘着剤組成物は、偏光板とガラス基板等を貼り合わせる粘着剤として用いた際に湿熱条件下でも偏光板が優れた光学特性(偏光度)を示すことができ、耐湿熱白化性、帯電防止性、リワーク性にもバランスよく優れる粘着剤を得ることができるものであり、ディスプレイやそれを構成する光学部品を貼り合せるための光学部材用粘着剤、特に、偏光板と液晶セルのガラス基板等を貼り合わせるための偏光板用粘着剤として有用である。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂(A)、イオン性化合物(B)及びイソシアネート系架橋剤(C)を含有する粘着剤組成物であって、
    アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位を6.5〜15重量%含有するアクリル系樹脂であり、
    イオン性化合物(B)が、アルキル基の炭素数の合計が10〜15であるテトラアルキルアンモニウムカチオンとトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンからなるイオン性化合物であり、
    イソシアネート系架橋剤(C)が多価アルコール化合物(c1)と多価イソシアネート化合物(c2)との反応生成物であるイソシアネート化合物であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が80〜300万であることを特徴とする請求項記載の粘着剤組成物。
  3. 多価アルコール化合物(c1)がトリメチロールプロパンであることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 多価イソシアネート化合物(c2)が脂環式多価イソシアネートおよび/または脂肪族多価イソシアネートであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤組成物。
  5. イソシアネート系架橋剤(C)が、トリメチロールプロパンと脂環式多価イソシアネートおよび/または脂肪族多価イソシアネートとの反応生成物であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の粘着剤組成物が、イソシアネート系架橋剤(C)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
  7. 請求項6記載の粘着剤を用いてなることを特徴とする偏光板用粘着剤。
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