JP6701590B2 - カプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡の駆動システム - Google Patents

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本発明は、カプセル型内視鏡及びこのカプセル型内視鏡を用いたカプセル型内視鏡の駆動システムに関する。
近年、人体の内視鏡検査用として、内服して用いるカプセル型内視鏡が実用化されている。カプセル型内視鏡は、両端が封止された円筒型のカプセル内に、消化器官等を撮影する撮影機構、撮影した映像情報を外部に送る通信機構を内蔵したものであり、これらの機構を駆動する電源として電池を内蔵したものが使用されている。
しかしながら、カプセル型内視鏡に自走機構や、組織を採取するといった機能を付加したり、長時間駆動したりするには、内蔵した電池で電力をまかなうことが難しいという問題があり、非接触給電方法を利用してカプセル型内視鏡に給電する方法が検討されている(特許文献1、2)。
本発明者は、非接触給電方法により給電する方法として、人体の外部に給電コイル、カプセル型内視鏡の内部に受電コイルをそれぞれ配し、磁界共振結合方式によって給電する方法を提案した(非特許文献1、2)。また、被検者の一方側(背面側等)に給電コイルを配して給電することにより、検査等の医療操作が容易にできるようにする非接触給電システムを提案した(特許文献3)。
また、カプセル型内視鏡を体内の所望の位置に誘導して内臓の状態を検査できるようにするため、カプセル内に磁石(永久磁石)を内蔵し、磁力を利用して外部からカプセル型内視鏡を誘導する方法が提案されている(特許文献4)。
特開2010−110533号公報 特開2009−125097号公報 特開2015−112169号公報 特表2008−503310号公報
水野勉,後藤徳仁,谷内慎太郎,上田拓人,大友隆平,西山昌宏,武藤龍:「三軸受信コイルを用いた体内ロボット用非接触給電」,電気学会リニアドライブ研究会資料,LD-12-074, pp.49-54(2012) 水野勉,後藤徳仁,谷内慎太郎,上田拓人,大友隆平:「磁性めっき線を用いた磁界共振結合形体内ロボット用非接触給電システムの効率向上の検討」,電磁力関連のダイナミクスシンポジウム講演論文集,Vol. 24, pp. 411-416(2012)
ところで、カプセル型内視鏡に給電用の受電コイルと誘導動作用(自走用)の磁石を内蔵させると、内蔵した磁石と受電コイルが備えるコア(磁性体)による磁界の作用が非接触給電やカプセル型内視鏡の誘導動作に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明は、受電コイルと誘導用の磁石の双方を内蔵したカプセル型内視鏡に対して確実に非接触給電と誘導動作が行えるようにすることができるカプセル型内視鏡と、このカプセル型内視鏡を用いる駆動システムを提供することを目的とする。
本発明に係るカプセル型内視鏡は、非接触給電用の受電コイルと厚み方向に着磁された円板状の磁石とを内蔵内周径に合わせて挿入した内服用のカプセル型内視鏡であって、 前記受電コイルは、磁性体からなるコアの外面に、相互に直交する3軸方向にそれぞれコイルが巻回して設けられ、前記受電コイルと前記磁石とが相互に2.73mm以上5.46mm以下の範囲で離間して設けられていることを特徴とする。
前記受電コイルと前記磁石とが離間する空隙内に、給電用あるいは撮像等の制御用の回路基板を設置することで、受電コイルと磁石との間の空隙を有効に活用することができる。
なお、前記受電コイルとして、前記コアが円板状に形成され、前記受電コアに巻回される3個のコイルのうち、2個のコイルは、コアの平面内を通過し、コアの平面内で十字形に交差する配置に巻回され、他の1個のコイルは、コアの円周外面に巻回されていることにより、カプセル型内視鏡がさまざまな姿勢になっても確実に受電コイルに給電することができる。
また、本発明に係るカプセル型内視鏡の駆動システムは、前記カプセル型内視鏡を有する駆動システムであって、前記受電コイルに給電する給電機構として、磁界共振結合方式により前記受電コイルに給電する給電コイルを備え、前記カプセル型内視鏡の誘導機構として、前記磁石に磁力を作用させてカプセル型内視鏡を誘導移動させる磁界発生手段を備えていることを特徴とする。
なお、カプセル型内視鏡の誘導機構に用いる磁界発生手段は、永久磁石による磁界を利用して誘導する方法、コイルに電流を印加することで生じる磁界を利用して誘導する方法が利用できる。
本発明に係るカプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡の駆動システムによれば、外部からの遠隔操作により、被検者の体内にあるカプセル型内視鏡に確実に給電することができ、カプセル型内視鏡を確実に誘導することができる。
本発明に係るカプセル型内視鏡の駆動システムの構成を示す説明図である。 カプセル型内視鏡の内部構成と、カプセル型内視鏡と給電コイル及び誘導用コイルとの間の作用を示す説明図である。 受電コイルの構成を示す説明図である。 磁性めっき線の断面図である。 カプセル内における受電コイルと磁石の配置を示す説明図である。 非接触給電の際に受電コイルと磁石とに生じる作用を示す説明図である。 コイルA、B、CのQ値の周波数特性の測定結果を示すグラフである。 コイルA、B、Cの抵抗値の周波数特性の測定結果を示すグラフである。 コイルA、B、Cのインダクタンスの周波数特性の測定結果を示すグラフである。 給電特性の実験に使用した装置のブロック図である。 給電周波数を671kHzとしたときの受電コイルの受電電力の測定結果を示すグラフである。 ニッケル被膜を除去した磁石を使用し、給電周波数を調整して測定した受電コイルの受電電力の測定結果を示すグラフである。 誘導用コイルを利用してカプセル型内視鏡を誘導させる際の推進力を測定する実験に用いた測定装置のブロック図である。 コイルに直流電流を印加したときのコイルの中心線上における磁束密度を測定した結果を示すグラフである。 実験に使用したサンプルのカプセル内部の構成を示す正面図と各部の径寸法を示す側断面図である。 厚さlPM=2mmの磁石を使用し、コイルに流す電流を変えて測定した推進力を示すグラフである。 厚さlPM=3mmの磁石を使用し、コイルに流す電流を変えて測定した推進力を示すグラフである。 厚さlPM=4mmの磁石を使用し、コイルに流す電流を変えて測定した推進力を示すグラフである。 厚さlPM=5mmの磁石を使用し、コイルに流す電流を変えて測定した推進力を示すグラフである。
(カプセル型内視鏡の駆動システム)
図1は本発明に係るカプセル型内視鏡の駆動システムの全体構成を示す。カプセル型内視鏡の駆動システムは、被検者に内服されたカプセル型内視鏡に対して、非接触給電により給電する給電機構と、磁界を利用してカプセル型内視鏡を遠隔的に誘導させる誘導機構とを備える。
図1に示すカプセル型内視鏡の駆動システムにおける給電機構は、被検者の胴部を包囲する形態に支持フレーム10を配置し、支持フレーム10に設置した給電コイル12と、カプセル型内視鏡20に内蔵した受電コイル21との間において磁界共振結合を利用して給電する。磁界共振結合では、給電コイル12に所定の給電周波数の交流電源を接続し、給電コイル12と受電コイル21とを共振させることにより給電コイル12から受電コイル21に給電する。
外部からの磁界をカプセル型内視鏡に作用させてカプセル型内視鏡20を誘導動作する誘導機構は、支持フレーム10に設置した誘導用コイル14により、カプセル型内視鏡20に内蔵した磁石22に磁界を作用させて行う。
図1に示すように、給電コイル12と誘導用コイル14は支持フレーム10の各面に設置する。給電コイル12と誘導用コイル14は、コイル16のように、支持フレーム10の側面を一周する形態に設けることもできる。
これらの給電コイル12と誘導用コイル14は、それぞれ給電と誘導を行う専用のコイルとして設置することもできるし、給電用と誘導用に適宜切り替えて使用することもできる。給電コイル12と誘導用コイル14を給電用と誘導用に共通に使用することができれば、給電作用、誘導作用の際に適宜位置のコイルを選択して所要の作用を行うことができ、カプセル型内視鏡20の給電、誘導動作をきめ細かく調整することができる利点がある。
給電コイル12と誘導用コイル14の駆動を制御する制御部としては、給電あるいは誘導動作を制御するコントローラ30と、コントローラ30の出力信号に基づいて駆動用の信号を出力する処理部31と、処理部31の出力信号を増幅して駆動電流とする増幅器32を備える。給電コイル12と誘導用コイル14は増幅器32に接続され、コントローラ30の操作にしたがって適宜通電され、給電あるいは誘導動作をなす。
なお、図1に示すカプセル型内視鏡の駆動システムでは、被検者を包囲する形態に給電コイル12と誘導用コイル14を配置しているが、給電コイル12と誘導用コイル14は、たとえば、被検者の両側面部分に配置したり、被検者の一方の面(たとえば背面)のみに設けて給電するといったことも可能である。
また、カプセル型内視鏡の誘導機構として、図1では、誘導用コイル14を使用しているが、誘導用コイル14によらずに永久磁石の磁界を利用してカプセル型内視鏡を誘導することも可能である。カプセル型内視鏡に作用させる磁界源として誘導用コイル14を用いる場合も永久磁石を用いる場合も、内服されたカプセル型内視鏡の体内における位置を検知しながら、カプセル型内視鏡に磁界を作用させ、カプセル型内視鏡の姿勢を制御したり、カプセル型内視鏡の移動動作を誘導する操作を行う。
図2は、カプセル型内視鏡20の内部構成と、カプセル型内視鏡20と給電コイル12及び誘導用コイル14との間の作用を示す図である。
カプセル型内視鏡20は、両端が封止された円筒状のカプセル(容器)の内部に、前述した受電コイル20と磁石22とが内蔵され、撮影機構としてカメラ23、画像の送信用の通信機構(受送信用の回路)24が内蔵されている。カプセルの透視窓を備える前部側にカメラ23が配置され、カメラ23の背面側に通信機構24の回路基板が配置され、通信機構24の背面側に、受電コイル21、給電用の回路基板、自走用の磁石22が配置される。図2において、コントローラ35は給電あるいは誘導動作の制御と、カメラ23等の撮影機構の制御をなす。
図3はカプセル型内視鏡20に内蔵する受電コイル21の構成を示す。受電コイル21は、円板状に形成したコア(フェライトコア)21aに3個のコイルA,B、Cを相互に軸線方向が直交する向き(3軸方向)に巻回したものである。コイルAとコイルBは、コア21aの平面内で十字形に交差する形態、いわばコア21aを厚さ方向に巻回するように配置し、コイルCについては、コア21aの円周外面を巻回するように配置する。コア21aを使用するのは、コイルに効率的に磁界を作用させ、効率的に給電作用がなされるようにするためである。本明細書において、とくに断らない場合は受電コイル21はコイルとコアとを含めた意味として使用する。
カプセル型内視鏡に給電する場合は、被検者の安全を確保するため、使用する磁界の強度をICNIRPのガイドラインにしたがって周波数3kHzから10MHzの範囲では80A/m以下とする必要があり、カプセル型内視鏡に搭載されているカメラの駆動や通信機能を確保するため供給電力として30mW程度以上が必要である。
このため、非接触給電の実験においては、30mW,3V以上の出力を得るようにするため、それぞれのコイルに接続する負荷抵抗を300Ωとし、各コイルの出力電力を、倍電圧回路を用いて昇圧し、平滑コンデンサにより整流する構成とした。
コイルA,B,Cに接続する共振用のコンデンサCA、CB、CCのキャパシタンスはコイルA、B、Cのインダクタンスと電力伝送周波数により設定し、整流用コンデンサCのキャパシタンスは1μFとした。コンデンサCA、CB、CC、Cとダイオードには、小型化、薄型化を図るため表面実装用の素子を使用した。
コイルA、B、Cの巻線には磁性めっき線(MPW)を使用した。図4に磁性めっき線の構成を示す。磁性めっき線は、銅からなる導線の外周面を磁性である鉄薄膜により被覆し、さらにその外周面をニッケル薄膜により被覆し、最外表面をポリエチレンの絶縁被膜により被覆したものである。導線の径が90μm、鉄薄膜の厚さが1μm、絶縁被膜の層まで含めた巻線径は110μmである。コイルA、B、Cの巻線に磁性めっき線を使用することにより、磁界を利用する給電作用を効率的に行うことができる。
前述したように、カプセル型内視鏡20には受電コイル21と誘導動作(自走用)の磁石22が内蔵され、受電コイル21と磁石22は、カプセル(容器)の内周径に合わせて挿入して収容できるように、ともに円板状に形成されている。
図5は、カプセル内に装着した状態の受電コイル21と磁石22の配置を示す。図5(a)は受電コイル21と磁石22とを端面を相互に当接させて配置した状態、図5(b)は受電コイル21と磁石22の端面を若干離間させて(ギャップG)配置した状態を示す。なお、磁石22は厚さ方向に着磁されている。
実際のカプセル型内視鏡では、給電用の回路を搭載する必要がある。受電コイル21と磁石22との間にギャップを設けることにより、この空隙内に給電用の基板を搭載することができる。
図6は、非接触給電を行った際に受電コイル21と磁石22とに生じる作用を示す。
カプセル型内視鏡に受電コイル21と磁石22とを内蔵させると、磁石22による磁界が受電コイル21に作用し、また、ネオジウム磁石等の磁石では磁石の表面にニッケルめっきなどの保護めっきが施されていることから、磁石の表面部分(被膜部分)で渦電流が生じ、受電コイル21の共振周波数が変化する。
本実施形態の給電機構では、磁界共振結合方式、すなわち給電コイル12と受電コイル21とを共振させて給電する。したがって、受電コイル21の共振周波数が変動すると、給電効率が減退するという問題が生じる。また、受電コイル21はコア21aを備えていることから給電機構が磁界による誘導動作にも影響する。
(給電特性:受電コイルのインピーダンス特性の測定)
受電コイル21と磁石22がともに搭載されているカプセル型内視鏡20についての給電特性を調べるため、まず、受電コイル21のコイルA、B、C自体のインピーダンス特性を測定した。コイルA、B、Cには上述した磁性めっき線を使用し、コイルA、B、Cの巻数はそれぞれ、NMA=102、NMB=110、NMC=115である。前述したように、コイルA,B、Cは若干コイルの巻線の形態が異なる。コイルA、B、Cの巻数を若干変えているのは、コイルのQ値が最大となるときの周波数が大きく相違しないように設定するためである。
図7にコイルA、B、CのQ値、図8に抵抗値、図9にインダクタンスについて、それぞれ周波数特性を測定した結果を示す。
コイルA、B、CのQ値に着目すると、コイルAについては、最大となるQ値が657kHz QMA=151、コイルBについては669kHz QMB=148、コイルCについては682 kHz QMC=118である。
なお、コイルA、B、Cのいずれについても特定の周波数でQ値が急激に下がる現象が見られた。これらの現象はいずれもそれぞれのコイルの自己共振周波数で生じていることから、自己共振による影響であると考えられる。
(給電特性の測定)
受電コイル21と磁石22とを組み合わせた実験用のサンプルを作製し、一様な磁界を発生する磁界発生装置を利用して実験用のサンプルに給電し、受電コイル21によって受電される電力を測定する実験を行った。
受電コイル21と磁石22との組み合わせとして、受電コイル21のみを使用し磁石22を組み合わせない場合、受電コイル21と磁石22とを組み合わせ受電コイル21と磁石22とを相互に当接させた場合(ギャップ無し)、受電コイル21と磁石22との間にギャップを設けた場合について測定した。
受電コイル21は厚さ5mm、径10mmのフェライトコアに、前述した磁性めっき線を使用したコイルA、B、C(巻数NMA=102、NMB=110、NMC=115)を巻回したものである。磁界発生装置による印加磁界はコイルCに鎖交する向きとした。
磁石22にはネオジウム磁石(厚さ5mm、径9mm、表面磁束密度427mT)を使用した。
図10に給電特性の測定に使用した装置のブロック図を示す。給電用の磁界を発生させる装置として、一様磁界発生装置40を使用し、一様磁界発生装置40の中心に樹脂製の支持プレート42を配置し、支持プレート42上に実験サンプル44をセットして実験した。
受電コイル21に接続した回路は図3に示したものと同一で、負荷抵抗(300Ω)にパワーアナライザ47を接続して受電した電力を測定した。
給電用として、発振器(NF Electronic Instruments,WF1974)と増幅器(NF Electronic Instruments,4055 HIGH SPEED Power Amplifier)を使用し、発振器45の出力信号を増幅器46で増幅し、増幅器46からの出力を一様磁界発生装置40に印加した。
図11は、一様磁界発生装置40による給電周波数を671kHzに固定して測定した結果を示す。この測定で使用した給電周波数(671kHz)は、前述した受電コイルのインピーダンス特性についての測定結果に基づき、磁石を組み合わせず受電コイル(コイルA、B、C)のみを用いて受電した場合に最大の電力を得ることができる周波数である。
図11のグラフの横軸は実験サンプルに印加した磁界の強度(A/m)、縦軸が受電コイル21からの出力電力である。実験では、磁界の強度を0〜80(A/m)の範囲で変化させて測定した。磁界の強度を80(A/m)を上限とした理由は、周波数3kHzから10MHzの範囲では健康上人体に作用させることができる職業的暴露の限界が80(A/m)であるためである。
縦軸に表示されている受電コイルの電力としては30mWが目安となる。30mW程度の電力が得られれば、撮像機構や通信機構の駆動が可能である。
図11において、Without magnetとあるのは、受電コイルのみとした場合の測定値、With magnet,Without gapとあるのは、受電コイルと磁石とを組み合わせ端面を当接させた場合である。また、Gap=1.82mmとあるのは、受電コイルと磁石とのギャップを1.82mmとした場合である。受電コイルと磁石とのギャップを1.82mmと設定した理由は、受電コイルと磁石とのギャップに給電用の回路を搭載した基板を挿入することを想定し、その場合の基板の厚さ1.82mmに基づいている。ギャップ間隔を変えた測定では、1.82mmを単位として2倍、3倍、4倍のギャップを設定した。
図11に示す測定結果は、受電コイル21と磁石22とを当接させた場合と、受電コイル21と磁石22との間隔を1.82mm(基板1枚程度)とした場合では、受電コイル21で受電される電力量は、磁界強度を上限の80(A/m)としてもカプセル型内視鏡の駆動に必要な30mWの電力をはるかに下回ることを示す。
これに対して、磁石22を組み合わせない受電コイル21のみの場合には、きわめて大きな電力が得られている。
この測定結果は、受電コイル21と磁石22とを単に組み合わせると、磁石22の作用により受電電力が顕著に減退する(-97%)ことを示している。本実験結果のように、受電コイル21と磁石22とを近接させて配置したときに受電電力が大きく減退する理由は、磁石22の磁界により受電コイル21のコアが磁気飽和してしまい、コイルの誘導起電力が減少するためである。
また、図11に示す測定結果は、受電コイル21と磁石22の端面間のギャップを広げると、受電コイル21による受電電力が大きく改善されることを示している。すなわち、受電コイル21と磁石22とを単に組み合わせただけでは、磁石22による磁界の影響や、磁石22の表面を被覆するニッケルめっき膜の渦電流の影響によって受電コイル21による受電作用が大きく阻害されるが、受電コイル21と磁石22との設置間隔(ギャップ)を適当に設定することにより(本実験では基板2枚分程度以上)、受電コイル21による受電電力が顕著に改善され、カプセル型内視鏡20の駆動に必要とする電力を十分に得ることが可能であることを示す。言い換えれば、カプセル型内視鏡で受電コイル21と磁石22とを併用する場合には、受電コイル21と磁石22の設置間隔を調節することによって、非接触給電を利用して所要の電力を給電することが可能である。
図12は、給電特性の実験条件として、ニッケルめっき膜を除去した磁石22を使用し、最大電力が得られるように給電周波数を調整して実験した結果を示す。
図12からわかるように、この実験条件による場合は、受電コイル21と磁石22とをギャップなしとして配置した場合でも、磁界強度80(A/m)で、100mWというカプセル型内視鏡の駆動に十分な電力が得られた。この実験結果は、磁石の表面の保護用のめっき被膜(金属被膜)を除去して渦電流損による影響を排除することと、給電周波数を調整する方法が給電効率を向上させる上で有効であることを示している。
表面に金属被膜が形成されていない磁石として、樹脂で磁石の表面を被覆した製品がある。カプセル型内視鏡に用いる磁石として、表面を保護する金属被膜にかえて樹脂被膜により表面を保護した磁石を使用するのがよい。
上述した方法により、受電コイル21と磁石22とを組み合わせた場合に受電コイル21による受電電力が減退する問題を抑制し、効率的に給電コイル12から給電できるようにすれば、カプセル型内視鏡を使用するときに給電コイルから印加する磁界強度をできるだけ弱く設定して使用することが可能となるから、カプセル型内視鏡を使用する際の検査の安全性をさらに向上させることができる。
(誘導動作特性:推進力の測定)
図13はカプセル型内視鏡の動きを誘導する誘導用コイル14を利用してカプセル型内視鏡を誘導させる際の推進力を測定する実験に用いた測定装置のブロック図を示す。
測定対象であるサンプルは、水平に設置したアクリル樹脂からなる平板51の上に支持プレート52を固定し、この支持プレート52の上に移動自在に配置した。
推進力の測定は、サンプルのカプセルの一端側の端部と、平板51上に固定したバネ秤54の検出用のフックとをビニル紐により連結し、バネ秤54の指針位置を読み取ることで測定した。
サンプルの磁石に磁力を作用させる誘導用コイル14として、支持プレート52にのせたサンプル50の他端側から若干離間した位置にコイル56を配置した。コイル56は、図13に示すように、コイル56の軸線(中心線)とサンプル50のカプセルの軸線とが一致するように配置した。コイル56の軸線とカプセルの軸線とを一致させることにより、コイル56の軸線とカプセル内に収納した磁石の軸線とが一致する。
コイル56には、発振器57から出力された電流を増幅器58により増幅し、直流電流をコイル56に印加する構成とした。実験では、コイル56に印加する電流を1〜5Aの範囲で変化させて推進力を測定した。
図14は、コイル56に1〜5Aの直流電流を印加したときのコイル56の中心線上における磁束密度を測定した結果を示す。横軸が、コイル56の中心位置からの距離である。図14に示すように、コイル56に直流電流を印加したときに生じる磁界は、コイル56から離れるにしたがって磁束密度の強度が低下する勾配磁界である。実験では、コイル56とサンプル50に収納した磁石22の前端面(コイル56に対向する面)までの距離を20mmとして実験した。
図15は実験に使用したサンプルの構成を示す。図15(a)はカプセル26に磁石22のみを収容したもの、図15(b)はカプセル26と磁石22を互いに端面を当接させて収容したもの、図15(c)は磁石22とフェライトコア21bを端面を離間させて(ギャップ1.82mm)収容したものである。
実験では、推進力を比較するため、厚さlPMが異なる4種類の磁石を使用した。使用した磁石はネオジウム磁石で、径9mm×厚さ5mm:表面磁束密度427 mT、径9mm×厚さ4mm:表面磁束密度384mT、径9mm×厚さ3mm :表面磁束密度306mT、径9mm×厚さ2mm:表面磁束密度241mTのものである。
フェライトコアは径10mm、厚さ5mmのものを使用した。
図16〜19は、図15に示す磁石とフェライトコア21bの配置で4種類の磁石lPM=2mm、lPM=3mm、lPM=4mm、lPM=5mmを使った場合の推進力を測定した結果を示す。実験は同一条件で5回、繰り返して行った。
いずれの測定結果も、磁石22を単独で使用した場合と比較してフェライトコア21bを使用した場合は、ギャップを設けた場合であっても、推進力が向上する結果が得られた。この実験結果は、フェライトコア21bが磁石22により着磁され磁石とみなせる容量が大きくなり、フェライトコア21bを使用することの優位性を示す。
上述した推進力についての実験結果は、カプセル型内視鏡に誘導用の磁石と非接触給電用のコアを含む受電コイルの双方を収容することにより、単に誘導用の磁石を収容した場合と比較してより効率的に誘導動作を行うことができ、磁石と受電コイルとの間にギャップを設けた場合も、誘導動作を改善する作用があることを示している。したがって、磁石と受電コイルとの間にギャップを設けて非接触給電が効果的になされるようにする方法は、給電効率とあわせて誘導動作にも有効であるという相乗的な作用を有することになる。
実際にカプセル型内視鏡に受電コイルと磁石を内蔵して、非接触給電により給電操作を行い、かつカプセル型内視鏡の誘導動作を行う場合は、使用する受電コイルの構成(周波数特性)や使用する磁石を種々選択することが可能である。そのような場合も、上述した非接触給電についての給電特性や誘導用コイルによる誘導動作の特性を考慮することにより、できるだけ効率的に給電することができ、誘導動作を行うことができる設計とすることができる。
なお、上記例では誘導動作用としてカプセル型内視鏡に磁石を内蔵した例について説明したが、カプセル型内視鏡に内蔵する磁石は誘導動作用に限らず、体内におけるカプセル型内視鏡の位置を検知する目的(センシング用)として用いる場合もある。この場合も上記例と同様に受電コイルに対する磁石による磁界の影響を考慮して設計することができる。
10 支持フレーム
12 給電コイル
14 誘導用コイル
20 カプセル型内視鏡
21 受電コイル
21a コア
21b フェライトコア
22 磁石
30 コントローラ
31 処理部
32 増幅器
40 一様磁界発生装置
44 実験サンプル
50 サンプル
54 バネ秤
56 コイル
57 発振器
58 増幅器

Claims (5)

  1. 非接触給電用の受電コイルと厚み方向に着磁された円板状の磁石とを内周径に合わせて挿入した内服用のカプセル型内視鏡であって、
    前記受電コイルは、磁性体からなるコアの外面に、相互に直交する3軸方向にそれぞれコイルが巻回して設けられ、
    前記受電コイルと前記磁石とが相互に2.73mm以上5.46mm以下の範囲で離間して設けられていることを特徴とするカプセル型内視鏡。
  2. 前記受電コイルと前記磁石とが離間する空隙内に、回路基板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
  3. 前記コアは円板状に形成され、前記受電コアに巻回される3個のコイルのうち、2個のコイルは、コアの平面内を通過し、コアの平面内で十字形に交差する配置に巻回され、他の1 個のコイルは、コアの円周外面に巻回されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型内視鏡。
  4. 前記磁石は、外面に金属被膜を備えないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカプセル型内視鏡。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル型内視鏡を有する駆動システムであって、
    前記受電コイルに給電する給電機構として、磁界共振結合方式により前記受電コイルに給電する給電コイルを備え、
    前記カプセル型内視鏡の誘導機構として、前記磁石に磁力を作用させてカプセル型内視鏡を誘導移動させる磁界発生手段を備えていることを特徴とするカプセル型内視鏡の駆動システム。
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