実施例に係る空気冷媒サイクルを用いた冷却装置につき、図1から図7を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施例における冷却装置1は、種々の素材や加工品並びに生鮮食料品等の被冷却物を保存するため空間である被冷却室2に接続される配管系統である。冷却装置1は、被冷却室2から空気を吸い込むとともに、該空気を冷却装置1内で冷却した後、被冷却室2に還元する空気冷媒サイクルを用いた冷却装置である。
より詳しくは、被冷却室2は、外部から作業者が出入り可能な出入口を有しているため、被冷却室2内には、出入口から流入する外気(大気)や該被冷却室内で作業する作業者の呼気が必然的に混入するようになっている。すなわち、冷却装置1内に取り込まれる空気に含まれる水分量が変化する、所謂開放式の空気冷媒サイクルを用いた冷却装置となっている。尚、この冷却装置1は、系の温度・圧力の違いにより、冷凍用、冷蔵用、空調冷房用等に適用でき、より好適には−55℃以下の超低温域の冷凍システムに適用される。
次に冷却装置1の構造について説明する。冷却装置1は、コンプレッサC(圧縮機)、デフロスト用流路50の一部を兼ねる第3熱交換器5、第1熱交換器3、第2熱交換器4、膨張タービンE(膨張機)、第1除霜器61及び第2除霜器62を有する除霜装置6、を主に備え、これらの機器が後述するように配管及び弁を介し連通可能状態で接続されている。
詳しくは、コンプレッサCの下流側には、配管7aを介して第3熱交換器5の高温側流路5aが接続されている。第3熱交換器5の高温側流路5aの下流側には、配管7bを介して第1熱交換器3の高温側配管3aが接続されている。第1熱交換器3の高温側配管3aの下流側には、配管7cを介して第2熱交換器4の高温側配管4aが接続されており、第2熱交換器4の高温側配管4aの下流側には、配管7dを介して膨張タービンEが接続されており、膨張タービンEの下流側には、配管7eを介して除霜装置6が接続されている。除霜装置6の下流側には、三方切換弁である入口弁8が接続されており、入口弁8の下流側は、配管7fを介して被冷却室2内の図示しない一方の通気口に接続されている。被冷却室2内の図示しない他方の通気口には、配管7gを介して三方切換弁である出口弁9が接続されており、出口弁9の下流側には、配管7hを介して第2熱交換器4の低温側配管4bが接続されており、第2熱交換器4の低温側配管4bの下流側には、配管7jを介してコンプレッサCに接続されている。また、出口弁9は、バイパス管7nを介して除霜装置6に接続されており、配管7hは、分岐するバイパス管7k,7mを介して除霜装置6に接続されている。尚、除霜装置6については、後に詳述する。
コンプレッサC及び膨張タービンEは、モータ10により駆動される。このモータ10は、同軸上に延びる一対の駆動軸10a,10bを備え、それぞれにコンプレッサCと膨張タービンEとが接続されており、膨張タービンEの上流側の高圧空気により生じる該膨張タービンEの回転動力が、駆動軸10bを介してコンプレッサCの駆動軸10aに伝達されることで、動力回収がなされるように構成されている。
また、モータ10には、空冷用のファンF1により空気が循環する空冷用循環流路12が接続されており、ファンF1及び空冷用循環流路12により冷却されるようになっている。また、空冷用循環流路12には、空冷用循環流路12内の空気と熱交換するラジエータ13が接続されている。
第3熱交換器5は、本実施例では空冷式の熱交換器であり、コンプレッサCから第1熱交換器3に空気が流れる高温側流路5aと、高温側流路5aとは別系統でありファンF2により取込まれた外気を誘導する低温側流路5bと、を備え、高温側流路5aと低温側流路5bとで熱交換することで高温側流路5aを流れる空気を冷却できるとともに、デフロスト用流路50の一部である低温側流路5bを流れる外気を加温できるようになっている。尚、ここでいう高温側流路5a及び低温側流路5bとは、第3熱交換器5において熱交換を行う2つの配管の内部を流れる空気を比較したときの高温側、低温側である。
第1熱交換器3は、本実施例では水冷式の熱交換器であり、第3熱交換器5から第2熱交換器4に空気が流れる高温側配管3aと、高温側配管3aとは別系統であり冷却水が循環する低温側配管3bと、を備えており、高温側配管3aと低温側配管3bとの間で熱交換を行うことにより、高温側配管3a内を流れる空気を冷却できるようになっている。尚、ここでいう高温側配管3a及び低温側配管3bとは、第1熱交換器3において熱交換を行う2つの配管の内部を流れる空気を比較したときの高温側、低温側である。
第2熱交換器4は、第1熱交換器3で冷却された空気が流れる高温側配管4aと、被冷却室2からコンプレッサCに空気が流れる低温側配管4bと、を備えており、高温側配管4aと低温側配管4bとで熱交換することで高温側配管4aを流れる空気を冷却できるようになっている。尚、ここでいう高温側配管4a及び低温側配管4bとは、第2熱交換器4において熱交換を行う2つの配管の内部を流れる空気を比較したときの高温側、低温側である。
図1に示されるように、除霜装置6は、三方切換弁である第1切換弁63と、第1切換弁63を介して並列に配設される配管60a,60b(流路)と、配管60aを介して接続される第1除霜器61と、配管60bを介して接続される第2除霜器62と、第1除霜器61の下流側に接続される配管60cと、第2除霜器62の下流側に接続される配管60dと、を主に有している。第1切換弁63の上流側には配管7eが接続され、配管60c,60dの下流側には入口弁8が接続されている。また、配管60c,60dは、分岐する配管60e,60fを有し、配管60e,60fは、三方切換弁である第2切換弁64の下流側にそれぞれ接続されており、第2切換弁64の上流側には、バイパス管7nを介して出口弁9に接続されている。さらに、配管60a,60bは、分岐するバイパス管60k,60mを有し、仕切弁65,66を介してバイパス管7k,7mに接続されていることから、バイパス管7k,60k及び仕切弁65により、第1除霜器61からコンプレッサCを連通する第1バイパス路71が形成され、バイパス管7m,60m及び仕切弁66により、第1除霜器61からコンプレッサCを連通可能な第2バイパス路72が形成されている。詳しくは、入口弁8を介して接続される配管60c,60dにより、第1除霜器61と第2除霜器62とを連通する連通路が形成されており、入口弁8により連通状態と非連通状態に切換可能となっている。また、配管60c,60dから分岐するとともに第2切換弁64を介して接続される配管60e,60fにより、第2除霜器62とを連通する連通路が形成されており、第2切換弁64により連通状態と非連通状態に切換可能となっている。さらに、入口弁8、被冷却室2、出口弁9及び第2切換弁64を介して接続される配管60c,60d,60e,60f、配管7f,7g及びバイパス管7nにより第1除霜器61と第2除霜器62とを連通する連通路が形成されており、入口弁8、出口弁9及び第2切換弁64により連通状態と非連通状態に切換可能となっている。すなわち、複数の連通路が形成されているとともに、入口弁8、出口弁9及び第2切換弁64を操作することにより切換可能となっている。
次に、第1除霜器61について説明し、略同一態様である第2除霜器62の説明については省略する。図2(a),(b)に示されるように、第1除霜器61は、配管60aと配管60cとを接続する箱状のケース61aと、ケース61aを配管60a側の空間と配管60c側の空間とに区画する網目部材61bと、から構成されている。後述するように、膨張タービンEから配管7eを介して配管7f側に流れる空気が網目部材61bを通過するときに、該空気に含まれる水分が網目部材61bに霜として吸着するようになっている。
また、図1に示されるように、第1除霜器61の周囲には、第1除霜器61の目詰まりを検知する検知手段14が設けられている。この検知手段14は、第1除霜器61の網目部材61bよりも上流側の配管60aに接続される圧力計14aと、網目部材61bよりも下流側の配管60cに接続される圧力計14bと、圧力計14a,14bとの差圧を計測する差圧計14cと、から構成されており、差圧計14cにより計測される差圧が所定の閾値以上となったときに、第1除霜器61が目詰まりを生じたものとして検知する。冷却装置1は、検知手段14が第1除霜器61の目詰まりを検知したときに、第1除霜器61のデフロストを行うため、冷却装置1の冷却運転態様を切換えるようになっている。尚、第1除霜器61のデフロスト、冷却装置1の冷却運転態様の切換えを含む冷却装置1の冷却運転については、後に詳述する。
尚、第2除霜器62側の検知手段14’(図5,図6参照)の説明については、第1除霜器61側の検知手段14と略同様に、圧力計14a’,14b’と、差圧計14c’と、から構成されるとともに、第2除霜器62の目詰まりを検知するものであるため説明を省略する。
ここで、デフロスト用流路50の構成について説明する。デフロスト用流路50は、除霜装置6に付着した霜を加温によりデフロスト(霜取り)するための流路である。詳述すると、第3熱交換器5の低温側流路5bの上流側にはファンF2を有する配管50dが接続されており、低温側流路5bの下流側には配管50cを介して三方切換弁である第1切換弁53が接続されている。第1切換弁53の下流側には、一方に熱交換後の外気を冷却装置1の外部に排出するための配管50aが接続され、他方に除霜装置6側に延びる配管50bが接続されている。配管50bの下流側には三方切換弁である第2切換弁54が接続されており、第2切換弁54の下流側には、一方に除霜装置6の第1除霜器61の内部を貫通して配置される第1伝熱管51が接続され、他方に除霜装置6の第2除霜器62の内部を貫通して配置される第2伝熱管52が接続されている。第1伝熱管51の下流側には該第1伝熱管51の冷却装置1の外部への開放・閉塞を切換えるための仕切弁55が接続され、第2伝熱管52の下流側には該第2伝熱管52の冷却装置1の外部への開放・閉塞を切換えるための仕切弁56が接続されている。
直接の図示は省略するが、第1伝熱管51の配設態様について説明する。第1伝熱管51は、第1除霜器61のケース61aに形成されている該ケース61aの内外に挿通する2つの孔部を介して配設されている。第1伝熱管51は、一方の孔部を介してケース61aの外部から内部に挿通され、第1伝熱管51の一部である伝熱部51aが一方の孔部から他方の孔部に向けてケース61aの内壁に沿って螺旋状に配設され、他方の孔部を介してケース61aの内部から外部に挿通されている。尚、第1伝熱管51と各孔部との間は密封状に閉塞されているため、第1除霜器61内の空気冷媒と第1除霜器61外の外気とが混在することが防止されている。さらに尚、他方の孔部を介してケース61aの外部に挿通された第1伝熱管51の端部に、デフロスト用流路50の仕切弁55が接続されている。
尚、第2除霜器62に対するデフロスト用流路50の第2伝熱管52及びその一部である伝熱部52aの配設態様については、第1除霜器61に対するデフロスト用流路50の第1伝熱管51及びその伝熱部51aの配設態様と略同様であるため説明を省略する。
また、冷却装置1は、上記したモータ10、入口弁8、出口弁9、検知手段14、デフロスト用流路50の第1切換弁53,第2切換弁54,仕切弁55,56及び除霜装置6の第1切換弁63,第2切換弁64,仕切弁65,66等と電気的に接続されるとともに、タイマを備える図示しない制御部を有しており、当該制御部が、検知手段14より受信した第1除霜器61又は第2除霜器62の差圧の情報や、第1除霜器61および第2除霜器62のデフロストの経過時間に基づき、弁の開閉操作を行い、冷却装置1の冷却運転としての冷却運転態様α,β,γ,δ,εを切換え制御可能に構成されている。
次に、図3(a),(b)を用いて、冷却装置1の冷却運転における冷却運転態様α,β,γ,δ,ε及びこれらの切換による冷却運転サイクルS1,S2について説明する。冷却運転態様αでは、第1除霜器61による空気冷媒の除湿(通常状態)と並行して第2除霜器62のデフロストが行われる(デフロスト運転状態)。冷却運転態様βでは、第1除霜器61による空気冷媒の除湿と並行して第2除霜器62の予冷が行われる。冷却運転態様γでは、第1除霜器61のデフロストと並行して第2除霜器62による空気冷媒の除湿が行われる。冷却運転態様δでは、第1除霜器61の予冷と並行して第2除霜器62による空気冷媒の除湿が行われる。冷却運転態様εでは、第1除霜器61及び第2除霜器62により同時並行に空気冷媒の除湿が行われる。
図3(a)に示される冷却運転サイクルS1では、冷却運転態様α、冷却運転態様β、冷却運転態様γ、冷却運転態様δの順に繰り返し冷却運転が行われる態様を示している。この冷却運転サイクルS1であれば、第1除霜器61、第2除霜器62の内一方を予冷状態で待機させることができることから、一定の除湿能力を保持し易い。また、図3(b)に示される冷却運転サイクルS2では、冷却運転態様α、冷却運転態様β、冷却運転態様ε、冷却運転態様γ、冷却運転態様δ、冷却運転態様εの順に繰り返し冷却運転が行われる態様を示している。この冷却運転サイクルS2であれば、冷却運転態様ε時に高い除湿能力を発揮することができる。これら冷却運転サイクルS1,S2は、いずれか一方のみが運用される態様であってもよく、併用されて運用される態様であってもよい。尚、冷却運転態様α,β,γ,δ,εが行われる時間が略同一時間(例えば2時間)であるように図示したが異なっていてもよい。
次に、図1,図4〜図6を用いて、冷却運転サイクルS1を例に、冷却運転態様α,β,γ,δについて、冷却装置1の各所態様を示しながら説明する。尚、以下の説明において、被冷却室2内の庫内空気A1(約1気圧,約−55℃)を基準とし、高圧とは、庫内空気A1と比べて高圧であることを指し、常圧とは、庫内空気A1と略同圧であることを指し、同温とは、庫内空気A1と比べて誤差10℃以内の温度であることを指し、高温、低温とは、同温よりも高温、低温であることを指す。尚、冷却運転態様εについては後述する。
先ず、図1を用いて、冷却装置1の冷却運転の一態様である、冷却運転態様αについて説明する。冷却運転態様αにおいて除霜装置6は、第1切換弁63及び入口弁8の第2除霜器62側が閉塞され、第1除霜器61を介して膨張タービンEと被冷却室2とが連通されるとともに、出口弁9のバイパス管7n側と仕切弁65,66とが閉塞され、被冷却室2と第2熱交換器4の低温側配管4bとが連通するように開放される。これらにより、冷却装置1の冷却運転態様αにおける冷却運転用循環流路が形成される。これに伴い、第2除霜器62は、第1切換弁63、入口弁8、第2切換弁64及び仕切弁66によって冷却運転用循環流路側への流路が閉塞されている。
このとき、デフロスト用流路50は、第1切換弁53の配管50a側と第2切換弁54の第1伝熱管51側とが閉塞され、配管50c,50bを介して第3熱交換器5の低温側流路5bと第2伝熱管52とが連通され、仕切弁56が開放された状態となっている。これに伴い、第1伝熱管51は、第2切換弁54及び仕切弁55によって閉塞されている。これらにより、ファンF2により配管50d内に取込まれた外気は、第3熱交換器5にて高圧高温空気A2との熱交換により加温された外気A11となり、第2伝熱管52を通過して第2除霜器62をデフロストした後、開放された仕切弁56を介して冷却装置1の外部へ排出される。
コンプレッサC及び膨張タービンEが駆動すると、コンプレッサCは、配管7j内の常圧高温空気A1’(約1気圧、約40℃)を吸引して圧縮する。コンプレッサCにより圧縮された高圧高温空気A2は、約2気圧、約120℃となっており、配管7aを通って第3熱交換器5の高温側流路5aに吐出される。
冷却運転時には、第3熱交換器5の低温側流路5b内をファンF2により取込まれた外気が通過しているため、第3熱交換器5の高温側流路5aに吐出された高圧高温空気A2は、第3熱交換器5の低温側流路5bの外気と熱交換され、約2気圧、約100℃の高圧高温空気A3となり、第1熱交換器3の高温側配管3aに吐出される。
第1熱交換器3の高温側配管3aに吐出された高圧高温空気A3は、第1熱交換器3の低温側配管3bを循環している冷却水と熱交換され、約2気圧、約45℃の高圧高温空気A4となり、第2熱交換器4の高温側配管4aに吐出される。
第2熱交換器4の高温側配管4aに吐出された高圧高温空気A4は、被冷却室2から第2熱交換器4の低温側配管4bを介してコンプレッサCに吸い込まれる庫内空気A1(約1気圧、約−55℃)と熱交換され、約2気圧、約−50℃の高圧同温空気A5となり、膨張タービンEに吐出される。このとき、高圧高温空気A4は、庫内空気A1と熱交換されることで、第2熱交換器4の高温側配管4aの内周面に高圧高温空気A4中に含まれる水分の一部が霜となって付着するため、膨張タービンEに吐出される高圧同温空気A5に含まれる水分量が減る。一方、約−55℃の庫内空気A1は、高圧高温空気A4と熱交換されることにより、約40℃の常圧高温空気A1’となって配管7jに流入する。
膨張タービンEに吐出された高圧同温空気A5は、膨張タービンEにより膨張され、約1気圧、約−90℃の常圧低温空気A6となるとともに、該常圧低温空気A6に含まれる水分の一部が霜となって冷気と混在し、除霜装置6に吐出される。
除霜装置6に吐出された常圧低温空気A6は、除霜装置6の第1切換弁63に誘導され第1除霜器61に吐出される。第1除霜器61の網目部材61bを通過するときに、該常圧低温空気A6に含まれる霜が網目部材61bに付着し、これにより、常圧低温空気A6よりも水分量の少ない常圧低温空気A7(約1気圧、約−90℃)となる。常圧低温空気A7は、入口弁8に誘導され、被冷却室2に吐出される。このように、膨張タービンEにより膨張された常圧低温空気A6から第1除霜器61により水分が除去されるため(空気冷媒の除湿)、被冷却室2に霜が吹き出すことを抑制できる。
このとき、デフロスト用流路50の第1伝熱管51内には、加温された外気A11及び外気が入流することが防止されているため、第1伝熱管51を介して第1除霜器61内の温度が加温されることが防止されている。
被冷却室2に吐出された常圧低温空気A7は、被冷却室2の外部から流入される空気等と混ざることで、約−55℃の庫内空気A1となる。
一方、除霜装置6の第2除霜器62では、デフロスト用流路50の第2伝熱管52の伝熱部52aが第2除霜器62の内部に配設されていることから、加温された外気A11が第2伝熱管52を通過することで、第2除霜器62内部の残留空気及び第2除霜器62のケース62a、網目部材62b(図2(b)参照)等に付着した霜を加温することができる。これにより、第2除霜器62内に積もった霜を溶かすことができる。
尚、図2(b)に示されるように、第2除霜器62の底面62cは、すり鉢状に形成されており、第2除霜器62の底面62cの最下部には、外部と連通する開閉式のドレンバルブ62dが設けられている。これによれば、霜が溶かされ発生した水を、ドレンバルブ62dを介して外部に排出することができる。
また、第2除霜器62内の残留空気が加温されることになるものの、冷却運転用循環流路側への流路が閉塞されていることから、加温された残留空気による冷却運転用循環流路を循環する空気冷媒の加温が防止されている。
以上のことから、冷却装置1の冷却運転態様αでは、被冷却室2内を十全に冷却しながら、第1除霜器61による空気冷媒の除湿と並行して第2除霜器62のデフロストを行うことができる。
冷却装置1は、冷却装置1の制御部(図示略)が備えるタイマにより、冷却運転態様αが開始されて所定時間(例えば2時間)が経過すると、制御部の制御により冷却運転態様βに切換えられる。尚、タイマにより計測される所定時間は、確実にデフロストが行われる時間であればよく、適宜変更可能に構成されている。
次に、図4を用いて、冷却装置1の冷却運転の一態様である、冷却運転態様βについて説明する。尚、冷却運転態様βの説明について、冷却運転態様αと重複する説明を省略する。冷却運転態様βにおいて除霜装置6は、第1切換弁63及び入口弁8の第2除霜器62側が閉塞され、第1除霜器61を介して膨張タービンEと被冷却室2とが連通されるとともに、出口弁9の配管7h側と第2切換弁64の配管60e側と仕切弁65とが閉塞され、仕切弁66が開放され、第2除霜器62を介して被冷却室2と第2熱交換器4の低温側配管4bとが連通するように開放される。これらにより、冷却装置1の冷却運転態様βにおける冷却運転用循環流路が形成される。
このとき、デフロスト用流路50は、第1切換弁53の配管50b側と仕切弁55,56とが閉塞された状態となっている。これらにより、加温された外気A11が配管50aから冷却装置1の外部へ排出されるとともに、第2伝熱管52内に外気が流入することが防止されている。
被冷却室2から吐出された庫内空気A1は、配管7g、出口弁9、バイパス管7n、除霜装置6の第2切換弁64、配管60f,60dを通過し、第2除霜器62に吐出される。これにより、第2除霜器62のデフロストにより加温された状態にあった残留空気が該第2除霜器62から吐出され、配管60b、第2バイパス路72、配管7h、第2熱交換器4の低温側配管4b及び配管7jを通過し、常圧高温空気A1’としてコンプレッサCに吐出される。同様に、庫内空気A1が第2除霜器62を通過し、常圧高温空気A1’としてコンプレッサCに吐出され続けることにより、第2除霜器62内の温度を被冷却室2内の温度と略同温にまで低下させることができる。このようにして、第2除霜器62を予冷することにより、デフロストにより加温された第2除霜器62内の残留空気が直接被冷却室2に吐出されることを防止するとともに、第2除霜器62内の温度と常圧低温空気A6との温度差から、デフロスト後の第2除霜器62に吐出された常圧低温空気A6の温度上昇を抑えることができる。すなわち、被冷却室2内の温度を好適に保持することができる。
このとき、第2伝熱管52内には、加温された外気A11及び外気が入流することが防止されているため、第2伝熱管52を介して第2除霜器62内の温度が加温されることが防止されている。これにより、第2除霜器62内の予冷を好適に行うことができる。
以上のことから、冷却装置1の冷却運転態様βにおいては、被冷却室2内を十全に冷却しながら、第1除霜器61による空気冷媒の除湿と並行して第2除霜器62の予冷を行うことができる。また、別途冷却装置を用意することなく第2除霜器62の予冷を行うことができることからエネルギー効率が良い。
冷却装置1は、前述したように、検知手段14が第1除霜器61の上流側と下流側との差圧が所定の閾値以上となったことを検知したときに、冷却装置1の制御部により、冷却運転態様βから冷却運転態様γに切換えられる。
次に、図5を用いて、冷却装置1の冷却運転の一態様である、冷却運転態様γについて説明する。尚、冷却運転態様γの説明について、冷却運転態様α,βと重複する説明を省略する。冷却運転態様γにおいて除霜装置6は、第2除霜器62を介して膨張タービンEと被冷却室2とが連通されるとともに、被冷却室2と第2熱交換器4の低温側配管4bとが連通するように開放される。除霜装置6に流入する常圧低温空気A6は、第2除霜器62を通過することで、該常圧低温空気A6よりも水分量の少ない常圧低温空気A7となり、被冷却室2に吐出される。
このとき、デフロスト用流路50において、加温された外気A11は、第1伝熱管51を通過して第1除霜器61をデフロストした後、開放された仕切弁55を介して冷却装置1の外部へ排出される。
除霜装置6の第1除霜器61では、加温された外気A11が第1伝熱管51を通過することで、第1除霜器61内に積もった霜を溶かすことができる。尚、第1除霜器61は、霜が溶かされ発生した水を第1除霜器61の底面61c(図2(b)参照)によって誘導し、第1除霜器61のドレンバルブ61d(図2(b)参照)を介して外部に排出することができる。また、冷却運転用循環流路側への流路が閉塞されていることから、加温された残留空気による冷却運転用循環流路を循環する空気冷媒の加温が防止されている。
以上のことから、冷却装置1の冷却運転態様γにおいては、被冷却室2内を十全に冷却しながら、第1除霜器61のデフロストと並行して第2除霜器62による空気冷媒の除湿を行うことができる。
冷却装置1は、冷却装置1の制御部(図示略)が備えるタイマにより、冷却運転態様γが開始されて所定時間が経過すると、制御部の制御により冷却運転態様δに切換えられる。
次に、図6を用いて、冷却装置1の冷却運転の一態様である、冷却運転態様δについて説明する。尚、冷却運転態様δの説明について、冷却運転態様α,β,γと重複する説明を省略する。冷却運転態様δにおいて除霜装置6は、第2除霜器62を介して膨張タービンEと被冷却室2とが連通されるとともに、第1除霜器61を介して被冷却室2と第2熱交換器4の低温側配管4bとが連通するように開放される。これにより、被冷却室2から吐出された庫内空気A1により、第1除霜器61が予冷される。
このとき、第1伝熱管51内には、加温された外気A11及び外気が入流することが防止されているため、第1伝熱管51を介して第1除霜器61内の温度が加温されることが防止されている。これにより、第1除霜器61内の予冷を好適に行うことができる。
以上のことから、冷却装置1の冷却運転態様δにおいては、被冷却室2内を十全に冷却しながら、第2除霜器62による空気冷媒の除湿と並行して第1除霜器61の予冷を行うことができる。
冷却装置1は、検知手段14’が第2除霜器62の上流側と下流側との差圧が所定の閾値以上となったことを検知したときに、冷却装置1の制御部により、冷却運転態様δから上記した冷却運転態様αに切換えられる。
次に、図7を用いて、前記実施例とは別形態の冷却装置1’を例示し、冷却運転サイクルS2について説明する。冷却運転サイクルS2は、上述したように、冷却運転態様α、β、ε、γ、δ、εの順に繰り返し冷却運転が行われる。尚、冷却運転サイクルS2における、冷却運転態様α,β,γ,δの説明については、前述したとおりであるため省略する。冷却装置1’は、第1除霜器61の上流側に仕切弁163aが接続され、第1除霜器61の下流側に仕切弁108aが接続され、第2除霜器62の上流側に仕切弁163bが接続され、第2除霜器62の下流側に仕切弁108bが接続されている形態である点で前記実施例の冷却装置1と異なり、その他は冷却装置1と同様である。
詳しくは、仕切弁163a,163bの上流側は配管7eの下流側から2等配に分岐された配管173a,173b(流路)に接続され、仕切弁163a,163bの下流側は配管160a,160b(流路)に接続され、配管160a,160bを介して第1除霜器61又は第2除霜器62に接続されている。また、仕切弁108a,108bの上流側は配管160c,160d(連通路)に接続され、配管160c,160dを介して第1除霜器61又は第2除霜器62に接続され、仕切弁108a,108bの下流側は配管7fの上流側から2等配に分岐された配管174a,174b(連通路)に接続されている。
この形態であれば、仕切弁163a,108a(仕切弁163b,108b)を開放し、仕切弁163b,108b(仕切弁163a,108a)を閉塞することで、第1除霜器61(第2除霜器62)を介して、膨張タービンEと被冷却室2とを接続することができるとともに、第1除霜器61(第2除霜器62)に、第2除霜器62(第1除霜器61)内の空気が混在することを防止することができる。すなわち、前記実施例における冷却運転態様α,β,γ,δと同様の冷却運転を行うことができる。
冷却運転サイクルS2では、冷却運転態様β又は冷却運転態様δが開始されてから所定時間経過することにより冷却運転態様εに切換えられる。尚、冷却装置1’の制御部(図示略)が電気的に接続される温度センサを有し、該温度センサが第1除霜器61及び第2除霜器62に配設され、該温度センサによって検知された内部の温度が所定温度(例えば−55℃)に以下となったことに応じて冷却運転態様εに切換えられてもよい。さらに尚、所定温度については−55℃に限定するものではない。
冷却運転態様εにおいて除霜装置6’は、仕切弁163a,108a,163b,108bが同時に開放される。これにより、常圧低温空気A6が第1除霜器61及び第2除霜器62に対して同時に吐出され、第1除霜器61及び第2除霜器62同時に空気冷媒の除霜を行うことができる。尚、図1、図4〜図6に示される冷却装置1の除霜装置6の第1切換弁63と入口弁8とに用いられる三方切換弁が、三方の挿通孔の内いずれか一方を閉塞するばかりでなく、三方の挿通孔をすべて開放することが可能であれば、本別形態と同様に冷却運転態様εを行うことができる。
このとき、デフロスト用流路50は、第1切換弁53の配管50b側と仕切弁55,56とが閉塞された状態となっている。
冷却運転態様βから冷却運転態様εに切換えられたときには、検知手段14が第1除霜器61の上流側と下流側との差圧が所定の閾値以上となったことを検知したときに、冷却装置1の制御部により、冷却運転態様εから冷却運転態様γに切換えられる。同様に、冷却運転態様δから冷却運転態様εに切換えられたときには、該冷却運転態様εから冷却運転態様αに切換えられる。尚、冷却運転態様εの前の冷却運転態様β,δに依らず、単に検知手段14,14’の一方から所定の閾値以上の差圧が感知された側のデフロストを行うために、冷却運転態様εから対応する冷却運転態様α又はγに切換わる態様であってもよい。
以上のように、冷却装置1,1’は、冷却運転サイクルS1,S2により、被冷却室2内を安定して所期の冷却を行うことができる。
これまで説明してきたように、本実施例における冷却装置1,1’は、配管60b又は配管173a,160a((配管60a又は配管173b,160b)(一の流路)を遮断して該配管60b又は配管173b,160b)(配管60a又は配管173a,160a)(他の流路)に接続された第2除霜器62(第1除霜器61)をデフロスト運転状態としたときには、第1除霜器61(第2除霜器62)が被冷却室2に連通するため、冷却装置1,1’全体として被冷却室2の冷却運転を常時連続して行うことができる。
また、第1除霜器61及び第2除霜器62が接続された配管60a,60b(配管173a,160a,173b,160b)には、それぞれの上流側に第1切換弁63(仕切弁163a,163b)が設けられていることから、第1除霜器61及び第2除霜器62の通常状態またはデフロスト運転状態を簡便に制御することができる。
また、除霜装置6の第1切換弁63は、三方切換弁であることから、一方の第1除霜器61(第2除霜器62)のデフロストが行われる(デフロスト運転状態)ときには、他方の第2除霜器62(第1除霜器61)が確実に被冷却室2に連通する。
また、第1除霜器61及び第2除霜器62の下流側には、第1除霜器61及び第2除霜器62を連通する配管60c,60d,60e,60f(配管160c,174a,160d,174b,60e,60f)(連通路)が設けられており、配管60c,60d(配管160c,174a又は配管160d,174b)を接続する入口弁8(仕切弁108a又は仕切弁108b)、または、除霜装置6,6’の配管60e,60fを接続する除霜装置6,6’の第2切換弁64により第1除霜器61及び第2除霜器62が連通状態と非連通状態とに切換え可能となっているため、配管60c,60d(配管160c,174a,160d,174b)、または、除霜装置6,6’の配管60e,60fを連通状態とすることにより、デフロスト運転が完了した第1除霜器61(第2除霜器62)を、第2除霜器62(第1除霜器61)を通過する空気により予冷することができる。
また、配管60c,60d,60e,60f(配管160c,174a,160d,174b,60e,60f)、配管7f,7g、バイパス管7n、入口弁8(仕切弁108a又は仕切弁108b)、被冷却室2、出口弁9、除霜装置6,6’の第2切換弁64により、第1除霜器61及び第2除霜器62の下流側を連通する連通路が形成されている。これらにより、デフロストが完了した第1除霜器61(第2除霜器62)を、第2除霜器62(第1除霜器61)を通過する空気により予冷することができる。詳しくは、第2除霜器62(第1除霜器61)から吐出され、被冷却室2を通過した後の空気がデフロスト運転後の第1除霜器61(第2除霜器62)を予冷するため、被冷却室2内の空気の温度に影響がない。
また、第1除霜器61(第2除霜器62)は、第1バイパス路71(第2バイパス路72)を介してコンプレッサCに接続されていることから、第1除霜器61(第2除霜器62)を予冷した後、仕切弁65(仕切弁66)を開放し、第1バイパス路71(第2バイパス路72)を連通状態とすることにより、第1除霜器61(第2除霜器62)を予冷した後の空気を被冷却室2側に戻すことなくコンプレッサCに吐出させることができる。
また、デフロスト用流路50が、第1除霜器61及び第2除霜器62の近傍まで延び、第1伝熱管51及び第2伝熱管52がそれぞれ第2除霜器62及び第2除霜器62の内部に配設されていることから、コンプレッサCで圧縮された高圧高温空気A2(熱い空気)を利用して加温された外気A11により、第1除霜器61または第2除霜器62を温めることができるため、別個にヒータなどを用意する必要がなく、冷却装置1,1’の構造を簡素化できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、除霜装置6,6’は、第1除霜器61と第2除霜器62を有する態様として説明したが、これに限らず、3つ以上の除霜器を有していてもよい。また、除霜器に直接接続されない他の流路を有していてもよく、若しくは複数の除霜器が直列状に接続可能であってもよい。
第1除霜器61(第2除霜器62)の予冷において、第2切換弁64を操作し第1除霜器61と第2除霜器62とを直接連通させ、第2除霜器62(第1除霜器61)から吐出された常圧低温空気A7の一部を、第1除霜器61(第2除霜器62)に吐出させてもよい。
デフロスト用流路50は、外気が通過する態様として説明したが、これに限らず、水や油等の空気以外の冷媒であってもよく、冷媒が通過または循環する態様であってもよい。このことから、第3熱交換器5は、空冷式に限定するものではなく、同様に第1熱交換器3、第2熱交換器4についても限定するものではない。また、第3熱交換器5を用いらず、第1熱交換器3がデフロスト用流路を兼ねていてもよく、コンプレッサCと第1熱交換器3との間の配管がデフロスト用流路を兼ねていてもよく、デフロスト用流路50に限定するものではない。
第1伝熱管51の一部である伝熱部51aは、第1除霜器61のケース61aの一方の孔部から他方の孔部に向けて、ケース61aの内壁に沿って螺旋状に配設されている態様として説明したが、これに限らず、第1除霜器61のケース61aの一方の孔部から他方の孔部に向けて直線状に配置されていてもよく、ケース61aを貫通することなく外壁に沿って螺旋状に配設されていてもよく、外壁と内壁との間に断熱材が充填されている態様であれば外壁と内壁との間の空間において内壁に沿って配設されている態様であってもよく、限定するものではない。すなわち、伝熱管は、除霜器の近傍まで延びたのち、除霜器を貫通していてもよく、外壁部分に巻付けられていてもよく、ケースに埋設されていてもよい。
冷却運転サイクルS1,S2において、第1除霜器61又は第2除霜器62のデフロスト後、即座に予冷が行われる態様として説明したが、これに限らず、予冷に移行するまでに、デフロストと予冷が共に行われない待機状態の態様が介在されてもよい。
冷却装置1,1’の冷却運転を停止し、冷却装置1,1’のデフロスト運転が行われてもよい。このときの熱源として、ヒータを用いてもよい。