JP6698309B2 - 塀の補強構造及び補強部材 - Google Patents

塀の補強構造及び補強部材 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリートブロック塀や石造り塀などの塀の補強構造、及び、該補強構造に使用される補強部材に関するものである。
近年、地震による大きな被害が相次いで発生していることから、住宅やビルディング等の建築物の耐震化については大きな関心が寄せられ、建築業界、行政ともに積極的に取り組んでいる。これに対し、塀、門、柵などのエクステリアにおいては、耐震性についての関心が薄く、問題意識が希薄であるのが現状である。仮に、塀や門などエクステリアが倒壊、崩壊すれば、その下敷きになる等により直接に人的被害につながるだけではなく、ガレキが道路をふさぐことにより、人々の避難の妨げとなり、また、緊急車両の通行の妨げとなることにより、被害が拡大するおそれが高い。
このように、エクステリアの倒壊、崩壊は、家屋の倒壊、崩壊に比べて公共性がより高いと考えられるにも関わらず、エクステリアの耐震性に関する意識が低く対策が遅れていることに対して、出願人は従前より強い危惧をいだいている。そのため、崩壊しにくく、且つ、軽量であることにより万一倒れても大きな被害に結びつきにくい塀、門、柵などを種々提案し(例えば、特許文献1参照)、「耐震エクステリア(登録商標)」シリーズとして展開している。
しかしながら、住宅を新築する際など新規にエクステリアを設置する際には、耐震性が考慮されたエクステリアを導入することができるものの、既に全国に大量に存在している耐震性に問題があるエクステリアをどうするのか、という問題がある。
宮城県沖地震等により大きな被害が発生したことを受けて、昭和56年に大幅に改正された建築基準法施行令では、コンクリートブロック塀、石造り・煉瓦造りの塀等に関して、高さ、厚さ、基礎の根入れ深さ及び丈、塀から直角に突出した控壁を所定間隔(3.4m以下)で設けること等が規定されており、コンクリートブロック塀については更に、縦横に所定間隔で鉄筋を配し、モルタル又はコンクリートを充填することが規定されている。しかしながら、それ以前の基準法下で構築された古い塀には、生コンクリートや鉄筋など資材の不足や、低コストに抑えることへの要請に起因して、基礎が薄い、鉄筋が不十分である、控壁がないなど、耐震性に問題を有している塀が多い。
このように現行の基準法の規定を満たしておらず耐震性に問題がある塀は、解体・撤去して新たな塀に造り替える必要がある。しかしながら、そのためには多大なコストがかかるという問題がある。また、道路が狭いために古い塀を取り壊すための機械が入らない場所があるという問題もあり、特に古い塀が大量に残存する下町は、そのような狭い道路が多い。現在、日本エクステリア建設業協会(JPEX)は、診断士によるコンクリートブロック塀の診断を実施しており、耐震性に問題がある塀の持ち主にそれを知らせる段階までは至っているが、その先は持ち主個人の判断に任せるしかない。そのため、上記のコストや道路環境の問題により、塀の造り替えはなかなか進んでいない。
ここで、塀を新たに作り替えることまではできない場合に、既存の塀を補強するために、行政は図4,5に示すような補強構造を推奨している。図4は、鉄筋コンクリートでコンクリートブロック塀100を補強する例であり、図4(a)に示すように、塀の頂部に鉄筋Wを配すると共に、塀から直角に突出する控壁用の鉄筋Wを縦横に配する。その後、図4(b)に示すように、補充された鉄筋Wが埋設されるようにコンクリートを打設し、塀頂コンクリート部111と控壁コンクリート部112とを設け、控壁コンクリート部112の基礎部112cが地盤に埋設された状態とする。
一方、図5は、鋼板でコンクリートブロック塀100を補強する例であり、細長い平板状の鋼板Bを塀の表面に配してボルトで留め付ける。また、断面L字形の鋼板A(アングル材)を、塀から直角に突出する三角形に組んで溶接し、その基部にブロック状にコンクリートを打設して基礎部Cとし、控壁120を構築する。石造り・レンガ造りの塀も、図4,5に示すものと同様の構造で補強することが可能である。
しかしながら、図4,5に示す補強構造では、何れも塀から突出する控壁112,120が設けられ、控壁の突出長さは40cm以上が必要である。これに対し、家屋と塀との間に、十分なスペースがない場合が少なくない。特に、古い塀による被害が最も懸念される都市部の下町では、敷地面積が小さく家屋と塀が近接している家が多い。そのため、控壁を造ることによって、家屋と塀との間を人が通り抜けられないようになってしまうことを不便に感じ、上記のような構造で塀を補強することをためらう人が多い。また、図4,5の例のように、大きなブロック状にコンクリートを打設する作業は、大がかりである。従って、行政が推奨しているこれらの補強も、実際にはあまりなされていない。
出願人は、大型の地震がいつどこで発生しても不思議はないと言われる我が国において、既存の塀を放置することなくその耐震性を高めることが、公共性の面からも急務であり、そのためには、施主の理解を得られやすい、より現実的な手段による対策を、業界と行政とが協力して強く推し進めていくことが必要であると考えている。
特許第5389392号公報
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、簡易な施工でコストを抑えて塀の耐震性を高めることができ、塀に沿ったスペースを大きく塞ぐことがない塀の補強構造、及び、該補強構造に使用される補強部材の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる塀の補強構造(以下、単に「補強構造」と称することがある)は、
「補強部材が塀に取り付けられた塀の補強構造であり、
前記補強部材は、
平板状のベース部と平板状の立壁部とがL字形をなしており、前記ベース部に複数のアンカー用孔部が貫設されていると共に前記立壁部にボルト用孔部が貫設されている第一部材と、
平板状で、前記立壁部とそれぞれの一端を揃えて重ね合わせたときに、前記ボルト用孔部と一致する位置に第二ボルト用孔部が貫設されている第二部材と、
長さが前記塀の高さの40%〜100%である長尺アンカーの複数を具備し、
前記第一部材の前記ベース部が地盤表面に当接していると共に、
前記第一部材の前記立壁部と前記第二部材がともに塀に当接して前記塀を挟み込んでいる状態で、前記ボルト用孔部及び前記第二ボルト用孔部を貫通するボルトとナットにより前記立壁部と前記第二部材が締結されており、
前記ベース部における前記アンカー用孔部の下方の地盤に、前記アンカー用孔部より大きく前記長尺アンカーの長さより深い地中孔部が穿設されており、
複数の前記長尺アンカーは、それぞれ前記アンカー用孔部を介して前記地中孔部に挿入された状態で前記ベース部に留め付けられていると共に、前記長尺アンカーを埋設するように前記地中孔部に充填材が充填されており、該充填材は前記地盤に直接接した状態で硬化している」ものである。
長尺アンカーが「ベース部に留め付けられている」構成としては、長尺アンカーの上端に雄ネジが形成されており、アンカー用孔部を挿通した上でナットによってベース部に留め付けられている構成、長尺アンカーの上端に雄ネジが形成されており、アンカー用孔部の内周面に形成された雌ネジと螺合している構成、長尺アンカーの上端がアンカー用孔部の周縁でベース部に溶接されている構成、を例示することができる。
地中孔部に充填された後で硬化させる「充填材」としては、コンクリート、モルタル、セメント、樹脂系接着剤を採用可能である。
本構成では、補強部材によって塀が地盤に片持ち支持されている。補強部材と塀との関係では、補強部材の立壁部と第二部材によって塀を挟み込んだ状態で、立壁部と第二部材はボルトとナットによって締結されている。これにより、地震により塀に横方向に作用する応力に対しては、ベース部によって地盤に支持された立壁部と、立壁部と締結された第二部材とが協働して抗する。また、補強部材と地盤との関係では、補強部材のベース部に留め付けられた長尺アンカーが、地盤に穿設された地中孔部に深く挿入された状態が、地中孔部に充填され硬化した充填材によって保持されている。これにより、塀を倒すように作用する力に対しては、長尺アンカーの引き抜きを妨げる長尺アンカーと充填材との間の摩擦力、及び、充填材と地盤との摩擦力が抗する。従って、本構成の補強構造では、塀の揺れによる崩壊や倒壊が有効に抑制されており、耐震性が高められている。
そして、本構成の補強構造に使用する補強部材は、L字形の第一部材と平板状の第二部材と長尺アンカーを主構成とするもので非常でシンプルであり、コストを抑えて製造することができる。
ここで、本構成の補強構造は、次のように構築することができる。まず、ベース部を当接させる位置の地盤に、アンカー用孔部の位置に合わせて地中孔部を穿設する。この地中孔部は、ボーリング装置によって穿設することができる。そして、地中孔部に長尺アンカーが挿し込まれた状態で、地中孔部に充填材を流し込んで充填する。充填材が硬化したら、第一部材の立壁部を塀に当接させつつベース部を地盤表面に当接させ、ベース部のアンカー用孔部に長尺アンカーの上端を挿通し、ベース部に留め付ける。更に、塀の反対側で立壁部に対向するように第二部材を当接させ、第一部材のボルト用孔部及び第二部材の第二ボルト用孔部と連通するように塀に貫通孔を穿通し、ここにボルトを挿通してナットで留め付ける。以上のように、本構成の補強構造は、非常に簡易な施工で構築することができる。また、推奨されていた従来の補強構造と異なり、ブロック状のコンクリートの基礎部を、型を用いて打設するような大掛かりな作業も不要である。
更に、本構成の補強構造では、補強部材は塀に当接している平板状の部分と、地盤表面に当接させる平板状の部分を有するのみであり、控壁のように塀から突出している部分を有していない。これにより、塀と家屋とが近接している場合であっても、補強部材を塀に取り付けることによって、人が通り抜けるスペースが失われることがない。
従って、コストを抑えて簡易な施工で構築することができ、塀と家屋との間のスペースも確保しながら、塀の耐震性を高めることができる本構成の補強構造は、施主に受け容れられ易く、既存の古い塀を含む塀に広く適用することができる。
本発明にかかる塀の補強構造は、上記構成に加え、
「前記補強部材は、
前記長尺アンカーが嵌挿される大きさの第二アンカー用孔部が貫設された平板状の座金を、更に具備していると共に、
前記アンカー用孔部は長孔で、
前記長尺アンカーの上端には雄ネジが形成されており、
前記長尺アンカーは、上端が前記アンカー用孔部から上方に突出し前記座金の前記第二アンカー用孔部を挿通した上で、ナットによって前記ベース部に留め付けられている」ものとすることができる。
本構成では、ベース部において長尺アンカーを挿通させているアンカー用孔部は長孔である。これにより、地中孔部における長尺アンカーの位置が多少ずれても、長尺アンカーをアンカー用孔部に挿通することができる。そして、アンカー用孔部を挿通している長尺アンカーを、更に座金の第二アンカー用孔部に挿通した上で、長尺アンカーの雄ネジにナットを螺合させるものであり、第二アンカー用孔部は長尺アンカーが嵌挿される大きさである。これにより、ベース部のアンカー用孔部が長孔であって、その長孔のどこから長尺アンカーが突出していたとしても、ナットによって安定的に、長尺アンカーをベース部に留め付けることができる。
次に、本発明にかかる補強部材は、
上記に記載の塀の補強構造に使用される補強部材であり、
平板状のベース部と平板状の立壁部とがL字形をなしており、前記ベース部に複数のアンカー用孔部が貫設されていると共に前記立壁部にボルト用孔部が貫設されている第一部材と、
平板状で、前記立壁部とそれぞれの一端を揃えて重ね合わせたときに、前記ボルト用孔部と一致する位置に第二ボルト用孔部が貫設されている第二部材と、
複数の前記アンカー用孔部それぞれに挿通するための複数の長尺アンカーと、を具備し、
前記第一部材は、前記ベース部の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第一側壁と、前記立壁部の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第二側壁とを備えている」ものである。これは、上記の補強構造に使用される補強部材である。
以上のように、本発明の効果として、簡易な施工でコストを抑えて塀の耐震性を高めることができ、塀に沿ったスペースを大きく塞ぐことがない塀の補強構造、及び、該補強構造に使用される補強部材を、提供することができる。
本発明の一実施形態である補強構造の断面図である。 (a)補強部材を取り付ける前の塀の断面図、及び、(b)図1の補強構造の変形例を示す断面図である。 (a)図1の補強構造に使用する補強部材の分解斜視図、及び、(b)第一部材と座金との関係を示す平面図である。 従来の補強構造の説明図である。 従来の補強構造の他の例の説明図である。
以下、本発明の一実施形態である塀の補強構造、及び、補強部材1について、図1乃至図3を用いて説明する。まず、補強部材1の構成について説明する。
補強部材1は、第一部材10と、第二部材20と、長尺アンカー40と、座金30とを主構成とする。第一部材10は、平板状のベース部11と平板状の立壁部12とがL字形をなしているものである。ベース部11は平面視長方形で、複数のアンカー用孔部15が貫設されている。アンカー用孔部15は、ベース部11の長手方向に延びた長孔である。立壁部12は細長い長方形であり、複数のボルト用孔部16が貫設されている。ここで、補強対象の塀100の高さに合わせて、立壁部12の長さ(高さ)は複数種類を設定することができ、例えば、180cm、160cm、140cm、120cmとすることができる。また、ボルト用孔部16の数は、立壁部12の長さに応じて設定する。
本実施形態では、第一部材10は断面コ字形のチャンネル材で形成されており、ベース部11の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第一側壁13と、立壁部12の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第二側壁14とを備えており、第一側壁13及び第二側壁14は、L字の角部で連続している。このように第一側壁13と第二側壁14とを備えることにより、第一部材10の剛性が高められている。なお、第一側壁13と第二側壁14とが交差する角部には、三角形の補強桟19が溶接によって取り付けられており、第一部材10の剛性がより高められている。
第二部材20は、細長い長方形の平板状であり、立壁部12とそれぞれの一端を揃えて重ね合わせたときにボルト用孔部16と一致する位置に、第二ボルト用孔部21が貫設されている。第二部材20の長さは、第一部材10の立壁部12の長さと同一、または、立壁部12より長く設定される。図2(a)に示すように、補強対象の塀100に対して家屋側の地盤Gの表面より道路側の地盤G2の表面の高さが低い場合、その差の分だけ第二部材20の長さを立壁部12より長くすれば、塀100に取り付けた状態で地盤G2の表面と第二部材20の下端との間に空隙ができず、外観がよいため望ましい。その場合、立壁部12の上端と第二部材20の一端とを揃えたときに、ボルト用孔部16と第二ボルト用孔部21の位置が一致するようにする。
なお、本実施形態では、ボルト用孔部16と第二ボルト用孔部21に挿通するボルト55として、根角ボルトを使用する。そのため、ボルト用孔部16は根角ボルトの雄ネジ部の外径より僅かに大きな内径を有する円形孔部であり、第二ボルト用孔部21は根角ボルトの根角部の外形より僅かに大きな角形孔部である。また、第一部材10及び第二部材20は金属製であり、表面に防錆性や耐候性を高めるメッキ処理またはコーティング処理が施されている。
長尺アンカー40は、長尺棒状で下端が矢じり状に尖っており、少なくとも上端に雄ネジが形成されていると共に、残部の表面には摩擦力を高める凹凸が形成されている。長尺アンカー40の長さは、補強対象の塀100の高さの40%〜100%とすることができ、50%以上とすることが望ましい。なお、本実施形態では、ガラス繊維強化プラスチック製の長尺アンカー40を使用しており、耐腐食性・防錆性に優れる、引張強度が高い、軽量である、導電性がなく帯電しない等の利点を有している。また、本実施形態では長尺アンカー40の直径を25mmとしているが、直径は25mm〜30mmとすると好適である。長尺アンカーとしては、樹脂製のほか異形鉄筋を使用することもできる。
座金30は、正方形または長方形の平板状であり、少なくとも一対の辺の長さが第一部材10のベース部11の幅より僅かに短い。これにより、一対の第一側壁13間で、ベース部11の上に座金30を重ね合わせることができる。座金30の中央には、第二アンカー用孔部31が貫設されている。第二アンカー用孔部31は、長尺アンカー40が嵌挿される大きさ、すなわち長尺アンカー40の外径より僅かに大きな内径の円形孔部である。
上記構成の補強部材1は、次のように塀100及び地盤Gに取り付けられる。まず、第一部材10の立壁部12を塀100の家屋側の面に当接させつつ、ベース部11を地盤Gの表面に当接させたときに、アンカー用孔部15が位置する場所を中心に、地盤Gに地中孔部Hを穿設する。地中孔部Hの深さは、長尺アンカー40の長さより大きい設定とする。地中孔部Hの大きさは、直径10cm〜20cmとすることができる。
そして、地中孔部Hに長尺アンカー40を挿し込んだ状態で地中孔部H内に充填材Fとしてのコンクリートを流し込み充填する。或いは、地中孔部Hにコンクリートを流し込み、硬化しないうちに長尺アンカー40を挿し込む。充填材Fは、地中孔部Hの開口縁に達するまで充填し、充填材Fの層の表面を地盤Gの表面と同一面とする。また、長尺アンカー40の上端は、地盤Gの表面より突出させる。その突出長さは、ベース部11及び座金30それぞれの厚さとナット56の高さの和より僅かに大きな長さとする。
充填材Fが硬化したら、第一部材10の立壁部12を塀100に当接させつつベース部11を地盤Gの表面に当接させ、ベース部11のアンカー用孔部15に長尺アンカー40の上端を挿通する。アンカー用孔部15は長孔であるため、地中孔部H内で長尺アンカー40の位置が中心から多少ずれていたとしても、アンカー用孔部15に挿通することができる。そして、アンカー用孔部15を挿通している長尺アンカー40の上端を、更に座金30の第二アンカー用孔部31に挿通した上で、長尺アンカー40の雄ネジにナット56を螺合させて締め付ける。これにより、ナット56によって長尺アンカー40をベース部11に留め付けることができる。このとき、長尺アンカー40の外径より僅かに大きな内径の第二アンカー用孔部31を有する座金30を介して留め付けているため、長孔であるアンカー用孔部15のどこから長尺アンカー40が突出していたとしても、安定的にナット56で留め付けることができる。
次に、塀100の道路側の面に第二部材20を当接させ、塀100を挟んで立壁部12に対向させる。そして、第一部材10のボルト用孔部16及び第二部材20の第二ボルト用孔部21と連通するように、塀100に貫通孔を穿設し、ここにボルト55を挿通してナット56で留め付ける。これにより、塀100を挟み込んでいる立壁部12と第二部材20とが、ボルト55とナット56で強固に締結された状態となる。本実施形態では、ボルト55として丸型の頭部を有する根角ボルトを使用し、丸型の頭部が塀100の道路側の面に当接する向きで、ボルト55を塀の貫通孔に挿通する。これにより、歩行者等が通行する道路側で塀100から角張ったものが突出しない利点がある。また、角形孔部である第二ボルト孔部21にボルト55の根角部が当接して回り止めとなるため、ボルト55とナット56とを締め付ける作業を、塀100の家屋側のみで行うことができる。
以上の施工により、図1に示すように、補強部材1によって塀100が地盤Gに片持ち支持された補強構造が構築される。すなわち、第一部材10のベース部11が地盤Gの表面に当接していると共に、第一部材10の立壁部12と第二部材20がともに塀100に当接して塀100を挟み込んでいる状態で、ボルト用孔部16及び第二ボルト用孔部21を貫通するボルト55とナット56により立壁部12と第二部材20が締結されており、ベース部11におけるアンカー用孔部15の下方の地盤Gに、アンカー用孔部15より大きく長尺アンカー40の長さより深い地中孔部Hが穿設されており、長尺アンカー40は、アンカー用孔部15を介して地中孔部Hに挿通された状態でベース部11に留め付けられていると共に、長尺アンカー40を埋設するように地中孔部Hに充填された充填材Fが硬化している、補強構造である。なお、図1では、構造を明確に示すため、第一部材10のベース部11と立壁部12それぞれの厚さ、及び第二部材20の厚さを、誇張して図示している。
上記の補強構造は、地盤Gの強度(N値)や塀100の高さに応じた構造計算に基づき、塀100の長さ方向において2.4m〜3.2mの間隔で構築する。
このような補強構造では、地震により塀100に横方向に作用する応力に対しては、ベース部11によって地盤Gに支持された立壁部12と、立壁部12と締結された第二部材20とが協働して抗する。加えて、塀100を倒すように作用する力に対しては、長尺アンカー40の引き抜きを妨げる長尺アンカー40と充填材Fとの間の摩擦力、及び、充填材Fと地盤Gとの摩擦力が抗する。従って、本構成の補強構造では、塀100の揺れによる崩壊や倒壊が有効に抑制されており、耐震性が高められている。
そして、上記の補強構造は、シンプルな構成であり低コストで製造できる補強部材1を使用して構築することができる。また、その構築に際しては、補強部材1の本体を地盤Gに埋設することもなく、充填材Fとしてのコンクリートは地中孔部Hに流し込むだけで良く、従来の補強構造とは異なりブロック状のコンクリートの基礎部を、型を使用して打設する大掛かりな作業は不要であるため、施工が非常に簡易である。
また、上記の補強構造は、控壁のように塀100から突出している部分を有していないため、塀100と家屋とが近接している場合であっても、補強部材1を塀100に取り付けることによって、人が通り抜けるスペースが失われることがない。
以上のように、本実施形態の補強構造は、コストを抑えて簡易な施工で構築することができ、塀100と家屋との間のスペースも確保しながら塀100の耐震性を高めることができるため、施主に受け容れられ易く、既存の古い塀を含む塀100に広く適用することができる。
以上、好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、図2(b)に示すように、地盤Gの表面から僅かに突出しているベース部11及び第一側壁13を被覆するように、薄いコンクリート層F2を敷設しても良い。或いは、もともと家屋と塀との間で地盤の表面にコンクリート層が形成されていることも多いため、その場合は部分的にコンクリート層を切除してから補強部材1を取り付け、その後に再度コンクリート層を敷設してもよい。このように地盤の表面にコンクリート層を設ける作業は、ブロック状のコンクリート基礎部を型を使用して地中に打設する作業に比べて、簡易である。
1 補強部材
10 第一部材
11 ベース部
12 立壁部
15 アンカー用孔部
16 ボルト用孔部
20 第二部材
21 第二ボルト用孔部
30 座金
31 第二アンカー用孔部
40 長尺アンカー
55 ボルト
56 ナット
F 充填材
H 地中孔部
G 地盤
100 塀

Claims (3)

  1. 補強部材が塀に取り付けられた塀の補強構造であり、
    前記補強部材は、
    平板状のベース部と平板状の立壁部とがL字形をなしており、前記ベース部に複数のアンカー用孔部が貫設されていると共に前記立壁部にボルト用孔部が貫設されている第一部材と、
    平板状で、前記立壁部とそれぞれの一端を揃えて重ね合わせたときに、前記ボルト用孔部と一致する位置に第二ボルト用孔部が貫設されている第二部材と、
    長さが前記塀の高さの40%〜100%である長尺アンカーの複数を具備し、
    前記第一部材の前記ベース部が地盤表面に当接していると共に、
    前記第一部材の前記立壁部と前記第二部材がともに塀に当接して前記塀を挟み込んでいる状態で、前記ボルト用孔部及び前記第二ボルト用孔部を貫通するボルトとナットにより前記立壁部と前記第二部材が締結されており、
    前記ベース部における前記アンカー用孔部の下方の地盤に、前記アンカー用孔部より大きく前記長尺アンカーの長さより深い地中孔部が穿設されており、
    複数の前記長尺アンカーは、それぞれ前記アンカー用孔部を介して前記地中孔部に挿入された状態で前記ベース部に留め付けられていると共に、前記長尺アンカーを埋設するように前記地中孔部に充填材が充填されており、該充填材は前記地盤に直接に接した状態で硬化している
    ことを特徴とする塀の補強構造。
  2. 前記補強部材は、
    前記長尺アンカーが嵌挿される大きさの第二アンカー用孔部が貫設された平板状の座金を、更に具備していると共に、
    前記アンカー用孔部は長孔で、
    前記長尺アンカーの上端には雄ネジが形成されており、
    前記長尺アンカーは、上端が前記アンカー用孔部から上方に突出し前記座金の前記第二アンカー用孔部を挿通した上で、ナットによって前記ベース部に留め付けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の塀の補強構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の塀の補強構造に使用される補強部材であり、
    平板状のベース部と平板状の立壁部とがL字形をなしており、前記ベース部に複数のアンカー用孔部が貫設されていると共に前記立壁部にボルト用孔部が貫設されている第一部材と、
    平板状で、前記立壁部とそれぞれの一端を揃えて重ね合わせたときに、前記ボルト用孔部と一致する位置に第二ボルト用孔部が貫設されている第二部材と、
    複数の前記アンカー用孔部それぞれに挿通するための複数の長尺アンカーと、を具備し、
    前記第一部材は、前記ベース部の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第一側壁と、前記立壁部の両側辺からそれぞれ直角に延出した一対の第二側壁とを備えている
    ことを特徴とする補強部材。
JP2015198494A 2015-10-06 2015-10-06 塀の補強構造及び補強部材 Active JP6698309B2 (ja)

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