JP6698114B2 - 構築物 - Google Patents

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Description

本発明は、ドーパミン合成経路に関与する酵素活性をコードするヌクレオチド配列を含む構築物に関する。少なくとも2つのヌクレオチド配列は、それらが、融合タンパク質をコードするように、作動可能に連結される。本発明はまた、そのようなヌクレオチド配列を含むウイルスベクターゲノム、ベクター産生系、およびウイルスベクター粒子を提供する。たとえば、ウイルスベクター粒子を使用する遺伝子療法による、インビボにおけるヌクレオチド配列の発現は、パーキンソン病などのような、ドーパミン産生ニューロンの低下または損失によって特徴づけられる神経障害の治療および/または予防において有用であるドーパミン合成を引き起こす。
パーキンソン病(PD)は、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの損失によって特徴づけられる神経変性障害である。これは、最終的に、線条体におけるドーパミン枯渇をもたらし、重度の運動障害を引き起こす。パーキンソン病の1つの治療は、ドーパミンの前駆物質であるL−ドパの経口投与であり、これにより、ある程度の運動機能を回復させることができる。しかしながら、疾患が進行するにつれて、L−ドパ療法は、運動障害の治療においてそれほど有効でなくなってしまい、より高用量の使用が必要とされ、これは、重度の副作用を有する。
PDの治療の改善は、線条体に直接ドーパミンを放出することによって実現することができるかもしれない。これは、遺伝子療法によって実現されてもよい。特定のタンパク質産生が、線条体などのような、CNSの特定のエリアを標的にすることができるので、遺伝子療法は、PDの治療にとって魅力的である。アミノ酸チロシンからのドーパミンの合成は、チロシンからのL−ドパの合成を触媒する酵素チロシンヒドロキシラーゼ(TH)およびL−ドパをドーパミンに変換する芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)を伴う。THステップは、律速であると考えられる。THは、機能するために補因子、テトラヒドロビオプテリン(BH)を必要とし、この合成は、酵素GTP−シクロヒドロラーゼ1(CH−1)によって触媒される。
ドーパミン生合成経路由来の単一の遺伝子を送達するためにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用する遺伝子療法アプローチは、PD動物モデルにおけるいくつかの行動上の有益性により調査された(非特許文献1;非特許文献2)。さらなるアプローチは、ドーパミン合成を媒介する2つ以上の酵素の同時の送達が、PDの動物モデルにおいてより大きな効能を実証したことを示した(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。
これは、3つすべてのドーパミン合成酵素を、一緒に、同じ細胞において発現することができた場合に、ドーパミン合成が、より大きなものとなり、PDにおけるより大きな効能に至るであろうという理論をもたらした。しかしながら、AAVベクターの限られたパッケージ容量により、送達することができる遺伝子の数は、限られる。したがって、レンチウイルスベクター(LV)のパッケージ容量が、はるかに大きいので、これらのベクターをこの目的に使用することが決定された。レンチウイルスベクター(LV)は、ニューロンなどのような非分裂細胞型を安定して形質導入するそれらの能力のために、中枢神経系(CNS)に対する遺伝子療法アプローチにとって特に有利である。ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)などのようなヒトに対して感染性であるまたは病原性であることが知られていない非霊長動物レンチウイルスに由来するLVは、開発され、非分裂細胞を形質導入するためのそれらの能力について確立されてきた。ProSavin(登録商標)は、PDの治療のための、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベースのLVである。ProSavin(登録商標)のゲノムは、2つの配列内リボソーム進入部位(internalribosome entry site)(IRES)によって作動可能に連結された、3つの重要なドーパミン生合成酵素、TH、AADC、およびCH1についてのコード配列を含むトリシストロン(tricistronic)構築物である。ProSavin(登録商標)は、HEK293T細胞の、3つのプラスミドによる、一過性の同時トランスフェクションを含むプロセスにおいて生成されたベクター材料を用いるフェーズI/II臨床試験において、現在、評価中である(非特許文献6)。
あらゆる遺伝子療法アプローチの目標は、ベクターの力価を増加させることであり、その結果として、より低容量のベクター調製物が、使用され得る。これは、低容量の使用を要する、ベクターが脳に直接注射される、ProSavin(登録商標)型の治療において、特に望ましい結果である。
IRESエレメントの複雑な二次構造は、効率的な逆転写にとって障害として作用するかもしれない。そのため、本発明者らは、IRESエレメントの除去が、ベクターの力価を増加させるはずであると仮定した。1つの選択肢は、IRESエレメントを、短いペプチド配列(リンカー)をコードする配列と交換し、ドーパミン合成に必要な3つの酵素活性のうちの2つ以上を含む融合タンパク質を生成することであろう。しかしながら、THの天然の形態が、ホモ四量体として存在し(非特許文献7)、CH1の天然の形態が、ホモ十量体として存在するので(非特許文献8;非特許文献9)、互いのまたはAADCなどのような他の酵素とのこれらの酵素の融合は、酵素の正確な三次構造形成を妨げるかもしれず、次いで、これにより、酵素機能が阻害されるまたはそれらが最大の能力で機能するのを妨げられるかもしれない。これを支持するものであるが、THおよびβ−ガラクトシダーゼの間の融合物は、酵素的に不活性であることが、以前に報告された(非特許文献10)。
驚いたことに、本発明者らは、2つまたは3つすべてのドーパミン合成酵素の融合が、i)機能的な酵素;ならびにii)L−ドパおよび/またはドーパミン産生のレベルの上昇をもたらす、いくつかの構築物についての、ドーパミン生合成経路の増強をもたらすということを発見した。特に、ドーパミン産生の増強は、IRES配列によって分離されるドーパミン合成酵素をコードする3つすべての遺伝子を有する構築物を使用して得られるレベルと比較した場合に、いくつかの構築物について観察された。期待に反して、多くの構築物について、これらの融合体デザインから結果として生じる改善は、ベクター力価における増加と関連せず、IRES配列が、力価に対して阻害効果を有していなかったことを示した。さらに、L−ドパおよびドーパミンのレベルの増加は、融合体デザインベクターからのタンパク質発現における増加によるものではなく、融合体デザインにより、より高い比活性が得られたことを示唆する。
Leffら、Neuroscience(1999)92、185〜196 Bankiewiczら、Mol Ther(2006)14、564〜570 Fanら、Hum Gene Ther(1998)9、2527〜2535 Shenら、Hum Gene Ther(2000)11、1509〜1519 Muramatsuら、Hum Gene Ther(2002)13、345〜354 Mitrophanousら、Gene Ther(1999)6、1808〜1818 Goodwillら、Nat Struct Biol(1997)4、578〜585 Narら、Structure(1995)3、459〜466 Steinmetzら、J Mol Biol(1998)279、189〜199 WuおよびCepko、J Neurochem(1994)62:863〜72
本発明者らは、3つの遺伝子のうちの少なくとも2つの遺伝子の融合物を含む、ドーパミン合成酵素チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)を含む多くの構築物について試験した。この研究の結果として、2つの明確な事柄が、出現した:
(i)その順で(つまりTH−CH1融合タンパク質を形成する)、CH1に対して連結されたTHを有する構築物が、高い絶対的なレベルのカテコールアミン産生を示し、
(ii)いずれかの順で(つまりAADC−THまたはTH−AADC融合タンパク質を形成する)連結されたAADCおよびTHを有する構築物が、L−ドパの、ドーパミンへの非常に効率的な変換を示す。そのような構築物と関連する、ドーパミン:L−ドパの比は、高い。
本発明の第1の態様の第1の実施形態において、本発明は、(i)チロシンヒドロキシラーゼ(TH)をコードするヌクレオチド配列、(ii)GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)をコードするヌクレオチド配列、および(iii)芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードするヌクレオチド配列を含む構築物であって、それらが、融合タンパク質TH−CH1をコードするように、THをコードするヌクレオチド配列が、CH1をコードするヌクレオチド配列に対して連結される、構築物を提供する。
構築物は、以下から選択されてもよい:
TH−L−CH1−IRES−AADC、
AADC−L−TH−L−CH1、
TH−L−CH1−L−AADC、および
TH−L−CH1−P−AADC
L=リンカーコード配列
IRES=配列内リボソーム進入部位
P=プロモーター
構築物は、TH−CH1融合タンパク質の翻訳を開始するために、TH−CH1コード配列の上流にIRESを含まなくてもよい。
本発明の第1の態様の第2の実施形態において、本発明は、(i)チロシンヒドロキシラーゼ(TH)をコードするヌクレオチド配列、(ii)GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)をコードするヌクレオチド配列、および(iii)芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードするヌクレオチド配列を含む構築物であって、それらが、AADC−THまたはTH−AADC融合タンパク質をコードするように、AADCをコードするヌクレオチド配列が、THをコードするヌクレオチド配列に対して作動可能に連結される、構築物を提供する。
構築物は、以下から選択されてもよい:
TH−L−AADC−IRES−CH1
AADC−L−TH−IRES−CH1
AADC−L−TH1−L−CH1
TH1−L−AADC−L−CH1
L=リンカーコード配列
IRES=配列内リボソーム進入部位 。
構築物は、ヒトの使用頻度についてコドン最適化されていないリンカーを含んでいてもよい。
構築物は、配列番号1として示される配列または配列番号3として示される配列を含むリンカーを含んでいてもよい。
構築物は、配列AADC−L1−TH−L2−CH1またはTH−L1−AADC−L2−CH1を有していてもよく、L1およびL2が、2つの異なるリンカー配列である。L1およびL2の核酸配列は、異なっていてもよいが、L1およびL2のアミノ酸配列は、同じであってもよい。その代わりに、L1およびL2は、同じヌクレオチド配列を有していてもよい。
L1およびL2は、配列番号1または配列番号3から選択されてもよい。
構築物が、プロモーターを含む場合、プロモーターは、たとえば、構成的プロモーターまたは組織特異的プロモーターであってもよい。構成的プロモーターの例は、CMVプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼプロモーター、およびチミジンキナーゼプロモーターを含む。
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による構築物を含むウイルスベクターゲノムを提供する。
ウイルスベクターゲノムは、たとえば、レンチウイルスベクターゲノムまたはアデノ随伴ウイルスベクターゲノムであってもよい。
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様によるゲノムを含むウイルスベクター系を提供する。
ウイルスベクター系は、たとえば、レンチウイルスベクター系またはアデノ随伴ウイルスベクター系であってもよい。
レンチウイルスベクター系は、
(i)本発明の第2の態様によるゲノム、
(ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、
(iii)ii)のヌクレオチド配列によってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
第4の態様において、本発明は、レンチウイルス粒子を産生するための方法であって、産生細胞の中に、
i)本発明の第2の態様によるゲノム、
ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、ならびに
iii)ii)のヌクレオチド配列のうちの1つまたはそれより多くによってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列を導入するステップを包含する、方法を提供する。
第5の態様において、本発明は、本発明の第3の態様の系または本発明の第4の態様の方法によって産生されるウイルス粒子であって、ドーパミン合成酵素GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、および芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードするNOIを含み、これらのうちの少なくとも2つが、融合タンパク質として存在する、ウイルス粒子を提供する。
EIAVベクター粒子であり、VSV−Gによりシュードタイプされた、本発明の第5の態様によるウイルスベクター粒子もまた、提供される。
第6の態様において、本発明は、薬学的に許容され得るキャリアまたは希釈剤と一緒に、本発明の第5の態様によるウイルス粒子を含む薬学的組成物を提供する。
第7の態様において、本発明は、インビボにおいてドーパミンを産生するための方法であって、本発明の第1の態様による構築物から、被験体において、ドーパミン合成酵素GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、および芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)を発現させるステップを包含する、方法を提供する。
第8の態様において、本発明は、神経変性疾患またはドーパミンレベルが被験体において低下している疾患を治療するおよび/または予防する方法であって、被験体に対して、本発明の第5の態様によるウイルス粒子または本発明の第6の態様による薬学的組成物を投与するステップを包含する、方法を提供する。
第9の態様において、本発明は、ドーパミン合成をインビボにおいて誘発することによって、被験体において神経変性疾患を治療するおよび/または予防するのに使用するための、本発明の第5の態様によるウイルス粒子または本発明の第6の態様による薬学的組成物を提供する。
神経変性疾患は、パーキンソン病であってもよい。ドーパミンレベルが低下している疾患は、レッシュ−ナイハン症状群によるものであってもよい。
第10の態様において、本発明は、配列番号2として示されるアミノ酸配列を有するリンカーをコードするヌクレオチド配列を提供するが、このヌクレオチド配列は、配列番号3において示されるものと異なる配列を有する。
ヌクレオチド配列は、コドンペアGGA GGCを欠いていてもよい。
ヌクレオチド配列は、配列番号1として示される配列を含んでいてもよい。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
(i)チロシンヒドロキシラーゼ(TH)をコードするヌクレオチド配列、(ii)GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)をコードするヌクレオチド配列、および(iii)芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードするヌクレオチド配列を含む構築物であって、融合タンパク質TH−CH1をコードするように、THをコードする前記ヌクレオチド配列が、CH1をコードする前記ヌクレオチド配列に対して連結されている、構築物。
(項目2)
以下:
TH−L−CH1−IRES−AADC、
AADC−L−TH−L−CH1、
TH−L−CH1−L−AADC、および
TH−L−CH1−P−AADC
から選択される、項目1に記載の構築物であって、ここで、
Lは、リンカーコード配列であり、
IRESは、配列内リボソーム進入部位であり、
Pは、プロモーターである、構築物。
(項目3)
TH−L−CH1−IRES−AADCである、項目2に記載の構築物。
(項目4)
ヒトの使用頻度についてコドン最適化されていないリンカーを含む、前述の項目のいずれか一項に記載の構築物。
(項目5)
配列番号1として示される配列を含むリンカーを含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の構築物。
(項目6)
配列AADC−L1−TH−L2−CH1またはTH−L1−CH1−L2−AADCを有し、L1およびL2が、2つの異なるリンカー配列である、項目1または2に記載の構築物。
(項目7)
L1およびL2の核酸配列は異なるが、L1およびL2のアミノ酸配列は同じである、項目6に記載の構築物。
(項目8)
L1およびL2の核酸配列が異なり、そして配列番号1および配列番号3から選択される、項目7に記載の構築物。
(項目9)
配列TH−L−CH1−P−AADCを有し、前記プロモーターが、構成的プロモーターまたは組織特異的プロモーターである、項目2に記載の構築物。
(項目10)
前記プロモーターが、CMVプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼプロモーター、またはチミジンキナーゼプロモーターである構成的プロモーターである、項目9に記載の構築物。
(項目11)
前述の項目のいずれか一項に記載の構築物を含むウイルスベクターゲノム。
(項目12)
レンチウイルスベクターゲノムまたはアデノ随伴ウイルスベクターゲノムである、項目11に記載のウイルスベクターゲノム。
(項目13)
項目11または12に記載のゲノムを含むウイルスベクター系。
(項目14)
レンチウイルスベクター系またはアデノ随伴ウイルスベクター系である、項目13に記載のウイルスベクター系。
(項目15)
以下:
(i)項目11に記載のゲノム、
(ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、
(iii)(ii)のヌクレオチド配列によってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列
を含む、項目14に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目16)
レンチウイルスベクター粒子を産生するための方法であって、前記方法は、産生細胞の中に、以下:
i)項目11に記載のゲノム、
ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、ならびに
iii)ii)のヌクレオチド配列のうちの1つまたはそれより多くによってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列
を導入するステップを包含する、方法。
(項目17)
項目13〜15のいずれか一項に記載の系または項目16に記載の方法によって産生されるウイルス粒子であって、前記ウイルス粒子は、ドーパミン合成酵素GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、および芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)を含み、ここでTHおよびCH1が、TH−CH1融合タンパク質として存在する、ウイルス粒子。
(項目18)
EIAVベクター粒子であり、VSV−Gによりシュードタイプされた、項目17に記載のウイルスベクター粒子。
(項目19)
薬学的に許容され得るキャリアまたは希釈剤と一緒に、項目17または18に記載のウイルス粒子を含む、薬学的組成物。
(項目20)
インビボにおいてドーパミンを産生するための方法であって、項目1〜10のいずれか一項に記載の構築物から、被験体においてドーパミン合成酵素GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、および芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)を発現させるステップを包含する、方法。
(項目21)
被験体における神経変性疾患を治療するおよび/または予防するための方法であって、項目17もしくは18に記載のウイルス粒子または項目18に記載の薬学的組成物を、前記被験体に対して投与するステップを包含する、方法。
(項目22)
インビボにおけるドーパミン合成を誘発することによって、被験体における神経変性疾患を治療するおよび/または予防するのに使用するための、項目17もしくは18に記載のウイルス粒子または項目19に記載の薬学的組成物。
(項目23)
前記神経変性疾患が、パーキンソン病である、項目21または22に記載の方法、ウイルス粒子、または薬学的組成物。
図1は、ドーパミン酵素融合物をコードするゲノムの略図を示す図である。 図2は、pONYK−TAiCからのベクター産生およびHEK293T細胞における、組み込みされたベクターからのカテコールアミン産生を示す図である。a)ベクター力価を評価するためのDNA組み込みアッセイからの結果。b)カテコールアミン産生を評価するためのHPLC分析からの結果。 図3は、ベクターおよびカテコールアミン産生を示す図である。a)ベクター力価を評価するためのDNA組み込みアッセイからの結果。b)HEK293T細胞における産生を評価するためのHPLC分析からの結果。 図4は、ウエスタンブロット分析によるドーパミン作動性経路におけるタンパク質の検出を示す図である。 図5は、ベクターおよび5つの融合構築物からのカテコールアミン産生を示す図である。a)ベクター力価を評価するためのDNA組み込みアッセイからの結果。b)HEK293T細胞におけるカテコールアミン産生を評価するためのHPLC分析からの結果。 図6は、ウエスタンブロット分析によるドーパミン作動性経路におけるタンパク質の検出を示す図である。a)THの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。b)CH1の発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。c)AADCの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。 図6は、ウエスタンブロット分析によるドーパミン作動性経路におけるタンパク質の検出を示す図である。a)THの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。b)CH1の発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。c)AADCの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。 図7は、GS15リンカーを介してのAADCに対するTHの切断型バージョンの連結を示す図である。 図8は、ウエスタンブロット分析による、HEK293T形質導入細胞からのドーパミン作動性経路におけるタンパク質の検出を示す図である。a)THの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。b)CH1の発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。c)AADCの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。CH1に融合されたTHについての正確なバンドサイズは、68kDaであり、これらのレーンにおいてバンドを見ることができるが、このサイズに、他のすべてのレーンにおいて、非特異的なバンドがある。しかしながら、これらのバンドは、非特異的バンドよりも強度が濃い。 図9は、非濃縮および濃縮融合ベクター調製物のベクター力価を評価するためのDNA組み込みアッセイからの結果を示す図である。 図10は、MOI 1でEIAVベクターにより形質導入された線条体ニューロンを示す図である。a)EIAV−GFP形質導入線条体ニューロン(MOI 1)。b)ベクターにより形質導入された線条体ニューロンからのカテコールアミン産生。 図11は、TCiAmodからのベクター産生および組み込みされたベクターからのカテコールアミン産生を示す図である。a)ベクター力価を評価するためのDNA組み込みアッセイからの結果。b)HEK293T細胞からのカテコールアミン産生を評価するためのHPLC分析からの結果。 図12は、pONYK1、融合物、およびGFPベクターによるヒト初代皮質ニューロンの形質導入を示す図である。a)MOI 2および10で、EIAV−GFPベクターにより形質導入されたヒト初代皮質ニューロンの画像。b)MOI 0.4で、EIAVベクターにより形質導入されたヒト初代皮質ニューロンからのカテコールアミン産生(GFPバックグラウンドレベルを引く)−収集1(形質導入の5日後)。 図13は、ウエスタンブロット分析による、形質導入されたヒト皮質ニューロンからのドーパミン合成酵素の検出を示す図である。a)THの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。b)AADCの発現を検査するためのウェスタンブロッティング分析。 図14は、1日目の定位ベクター投与後の臨床評価スコア(最高14)を示す図である。 図15は、ベースライン時の(Baseline)、MPTP病変後の(MPTP)、および最後に、OXB−102ベクター投与の3か月後の(MPTP 3M PI)、カニクイザルマカクの脳のPET画像を示す図である。動物は、放射性トレーサー18F−FMT(18F−FMTyr)および18F−ファリプリド(18F−ファリプリド)により、別個の機会に治療された。
構築物
本発明の第1の態様は、構築物に関する。
ヌクレオチド配列は、それぞれが酵素活性をコードする、3つの関心のあるヌクレオチド配列(NOI)を含む。
構築物は、たとえば合成RNA/DNA配列、組換えRNA/DNA配列(つまり、組換えDNA技術の使用によって調製される)、cDNA配列、または部分的なゲノムDNA配列などのようなDNAまたはRNA配列であってもよく、その組み合わせを含む。
本発明はまた、本発明の構築物を含む、プラスミドなどのようなベクターを包含する。NOI
構築物におけるそれぞれのNOIは、ドーパミン合成に関与する酵素をコードする。NOIは、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)、および芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードする。
3つの酵素すべての配列は、入手可能である:それぞれ、受入番号X05290、U19523、およびM76180。
NOIは、ドーパミン合成酵素のすべてまたは一部をコードしてもよい。たとえば、NOIは、酵素活性を保持する、タンパク質の切断型バージョンをコードしてもよい。
完全長THは、触媒ドメイン、四量体化ドメイン、およびN−末端調節ドメインを含む。本発明のベクターのTHコードNOIは、触媒および四量体化ドメインを含有するが、機能的なN−末端調節ドメインを欠く切断型THをコードしてもよい。
THのこの形態は、完全長酵素の活性を制限し得る、ドーパミンによるフィードバック阻害を回避する。
NOIは、ドーパミン合成酵素の突然変異体、ホモログ、または変異体をコードしてもよい。
用語「突然変異体」は、野生型配列からの1つ以上のアミノ酸変異を含む酵素を含む。たとえば、突然変異体は、1つ以上のアミノ酸追加、欠失、または置換を含んでいてもよい。突然変異体は、天然に生じてもよく、または人工的に(たとえば部位特異的突然変異誘発によって)作り出されてもよい。
ここで、用語「ホモログ」は、ドーパミン合成酵素と、ある程度の相同性を有するタンパク質を意味する。ここで、用語「相同性」は、「同一性」と同等と考えることができる。
本発明の文脈において、相同な配列は、アミノ酸またはヌクレオチドレベルで、対象の配列に対して少なくとも75、85、もしくは90%同一または少なくとも95もしくは98%同一であってもよい。典型的に、ホモログは、対象の配列と同じ活性部位などを含むまたはコードするであろう。同一性の比較は、たとえば、BLASTソフトウェアを使用して、行われてもよい。
NOIは、コドン最適化されてもよい。
リンカー
本発明のレンチウイルスベクターゲノムは、ドーパミン合成酵素をコードする3つのNOIを含む。NOIのうちの少なくとも2つは、リンカーコード配列(L)によってつながれ、その結果として、ゲノムは、酵素アミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする。
適したリンカーは、グリシン−セリンリピートなどのようなアミノ酸リピートを含んでいてもよい。リンカーの目的は、酵素の正確な形成および/または機能化を可能にすることである。それは、その目的を実現するために、十分に可動性があり、かつ十分に長いものであるべきである。NOIが異なる酵素をコードするので、両方の酵素の機能化を可能にするためにリンカーを選ぶ必要がある。可動性リンカーのコード配列は、それが、翻訳の休止を促し、そのため、NOIのタンパク質産物の独立したフォールディングを促すように選ばれてもよい。
当業者は、本発明のヌクレオチド配列において使用するのに適したリンカーをコードする配列をデザインすることができるであろう。適したリンカーのいくつかの特定の例は、下記に示されるが、本発明は、これらの特定のリンカーに限定されない。
1.Somiaら、1993 PNAS 90、7889において記載される(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
2.(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
3.酵母のHSF−1由来の(Asn−Phe−Ile−Arg−Gly−Arg−Glu−Asp−Leu−Leu−Glu−Lys−Ile−Ile−Arg−Gln−Lys−Gly−Ser−Ser−Asn)、Wiederrechtら、1988 Cell 54、841を参照されたい。
4.POU特異的OCT−1由来の(Asn−Leu−Ser−Ser−Asp−Ser−Ser−Leu−Ser−Ser−Pro−Ser−Ala−Leu−Asn−Ser−Pro−Gly−Ile−Glu−Gly−Leu−Ser)、Dekkerら、1993 Nature 362およびSturmら、1988 Genes and Dev.2,1582を参照されたい。
5.RGD含有ラミニンペプチド由来の(Gln−Gly−Ala−Thr−Phe−Ala−Leu−Arg−Gly−Asp−Asn−Pro−GlnGly)、Aumaillyら、1990 FEES Lett.262、82を参照されたい。
6.LDV含有リンカー由来の(Ser−Gly−Gly−Gly−Glu−Ile−Leu−Asp−Val−Pro−Ser−Thr−Gly−Gly−Ser−Ser−Pro−Gly)、Wickhamら、Gene Therapy 1995 2、750を参照されたい。
以下のGS15可動性リンカーが、使用されてもよい:(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)。GS5、GS15、およびGS30リンカーもまた、適していてもよい。
2つのリンカーを含む、つまり、3つの酵素がすべて、連結されて、1つの融合タンパク質として発現される構築物において、2つの同一ではないリンカーをコードする配列が、選ばれてもよい、その代わりに、リンカー配列は、同一であってもよい。リンカー配列は、アミノ酸レベルで同一であってもよいが、それらのコード核酸配列は、遺伝子コードにおける縮重により異なっていてもよい。
下記の実施例において示されるように、THおよびCH1遺伝子の間の修飾GS15リンカーコード配列(GS15mod)の使用は、タンパク質発現における増加についての証拠がないにもかかわらず、両方の構築物で、カテコールアミン産生における増加をもたらした。
本発明のヌクレオチド配列において使用されるリンカーコード配列は、ヒト使用頻度についてコドン最適化されていない、GS5、GS15、およびGS30をコードするものなどのようなリンカーコード配列の修飾形態であってもよい。
リンカーコード配列は、以下の配列を含んでいてもよい。
GGAGGTGGCGGGTCCGGGGGCGGGGGTAGCGGTGGCGGGGGCTCC(配列番号1) 。
本発明の第10の態様は、配列番号2として示されるアミノ酸配列を有するが、そのヌクレオチド配列が、配列番号3において示されるものと異なる配列を有するリンカーをコードするヌクレオチド配列に関する。
(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)(配列番号2)
GGGGGAGGCGGTAGCGGCGGAGGGGGCTCCGGCGGAGGCGGGAGC(配列番号3) 。
構築物は、配列番号1(上記)として示される配列を含んでいてもよい。
IRES
mRNAにおけるオープンリーディングフレームの間に位置する場合、IRESは、IRESエレメントでのリボソームの侵入、その後に続く、下流の翻訳の開始を促進することによって、下流のオープンリーディングフレームの翻訳を可能にする。レトロウイルスベクターにおけるIRESエレメントの使用について、調査されている(たとえば国際公開第93/0314号パンフレットを参照されたい)。レンチウイルスベクターにおいて使用するための、適したIRES配列は、国際公開第02/29065号パンフレットにおいて記載される。
プロモーター
IRESは、とりわけ、AADC遺伝子の発現をコントロールするために、プロモーターと交換されてもよい。AADC発現がIRESのコントロール下にある配置において、AADCレベルは、ドーパミン産生を制限し得る。
NOIの発現は、プロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルを含むコントロール配列を使用して、コントロールされてもよい。原核生物プロモーターおよび真核生物細胞において機能的なプロモーターが、使用されてもよい。組織特異的または刺激特異的プロモーターが、使用されてもよい。2つ以上の異なるプロモーター由来の配列エレメントを含むキメラプロモーターもまた、使用されてもよい。
適した促進配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルス、およびシミアンウイルス40(SV40)などのようなウイルスのゲノムまたはアクチンプロモーターもしくはリボソームタンパク質プロモーターなどのような哺乳動物細胞のプロモーターに由来するものを含む、強力なプロモーターである。遺伝子の転写は、エンハンサー配列をベクターの中に挿入することによってさらに増加させてもよい。エンハンサーは、方向および位置について比較的非依存性であるが、複製開始点の後期の側(bp100〜270)のSV40エンハンサーおよびCMV初期プロモーターエンハンサーなどのような真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーを用いてもよい。エンハンサーは、プロモーターに対して5’または3’の位置でベクターにつながれてもよいが、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。
プロモーターは、そのうえ、適した宿主における発現を確実にするまたは増加させるための特徴を含むことができる。たとえば、特徴は、保存領域、たとえばプリブノーボックスまたはTATAボックスとすることができる。プロモーターは、ヌクレオチド配列の発現のレベルに影響を与えるように(維持する、増強する、減少させるようになど)他の配列をさらに含有してもよい。適した他の配列は、Sh1−イントロンまたはADHイントロンを含む。他の配列は、温度、化学物質、光、またはストレス誘発性エレメントなどのような誘発性エレメントを含む。また、転写または翻訳を増強するための適したエレメントが、存在してもよい。
プロモーターは、たとえば、構成的または組織特異的であってもよい。
構成的プロモーター
適した構成的プロモーターの例は、CMVプロモーター、RSVプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)、およびチミジンキナーゼ(TK)プロモーターを含む。
組織特異的プロモーター
適した組織特異的プロモーターの例は、シナプシン1、エノラーゼ、α−カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII、およびGFAPを含む。
融合物
本発明の構築物は、TH、AADC、およびCH1をコードするNOIを含む。3つのうちの2つまたは3つすべての酵素が、たとえば、可動性リンカーを使用することによって、融合されてもよい。2つの酵素が融合される場合、第3の酵素をコードするNOIは、たとえばIRESによって、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に対して作動可能に連結されてもよい。IRESは、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に対して5’または3’に位置してもよい。その代わりに、第3の酵素をコードするNOIは、プロモーターに対して適切に作用するように連結されてもよい。
本発明者らは、(i)その順で(つまりTH−CH1融合タンパク質を形成する)、CH1に対して連結されたTHを有する構築物が、高い絶対的なレベルのカテコールアミン産生を示し、
(ii)いずれかの順で(つまりAADC−THまたはTH−AADC融合タンパク質を形成する)連結されたAADCおよびTHを有する構築物が、L−ドパの、ドーパミンへの非常に効率的な変換を示すことを発見した。
それぞれの構築物により産生されるタンパク質(つまり酵素)の量を考慮することは重要である。いくつかの構築物について、産生されるタンパク質の絶対的なレベルは、低かったが、L−ドパおよび/またはドーパミンのレベルは、比較的高かった。これは、より低い量の酵素が、同等の量のL−ドパ/ドーパミンをもたらしているので、その特定の配置をした酵素の効率が高いことを示す。
表1は、ニューロン細胞の形質導入後の、それぞれの構築物についての総カテコールアミン産生量を示す。構築物は、総カテコールアミン産生量に従って並べる。同じ実験におけるpONYK1についてのカテコールアミン産生量を、括弧中に示す。
表2は、ニューロン細胞の形質導入後の、それぞれの構築物についてのドーパミン:L−ドパ比を示す。構築物は、ドーパミン:L−ドパ比に従って並べる。同じ実験におけるpONYK1についてのドーパミン:L−ドパ比を、括弧中に示す。
*バックグラウンドレベルに対する補正の後のpONYK1について、検出可能なL−ドパはない。
構築物CTiAは、性能の改善を示さない。
理論によって束縛されることを望むものではないが、発明者らは、TCiAが性能の改善を示したが、CTiAは示さなかった理由が、TC融合物における酵素の順が重要であるからであると考える。そのため、本発明の構築物は、CTではなく、TCの順をした、THおよびCH1の融合物をコードしてもよい。
構築物は、以下から選択されてもよい:
TH−L−CH1−IRES−AADC、
AADC−L−TH−L−CH1、
TH−L−CH1−L−AADC、および
TH−L−CH1−P−AADC
TH−L−AADC−IRES−CH1
AADC−L−TH−IRES−CH1
TH1−L−AADC−L−CH1
L=リンカーコード配列
IRES=配列内リボソーム進入部位
P=プロモーター 。
上記に言及されるように、THは、触媒ドメイン、四量体化ドメイン、およびN−末端調節ドメインを含む。
THコードNOIは、触媒および四量体化ドメインを含有するが、機能的なN−末端調節ドメインを欠く切断型THをコードしてもよい。
図7は、THの切断型バージョンのC−末端が、AADCのN−末端に対して、GS15リンカーを介して融合される構築物の配列を示す。
その代わりに、CH1は、そのN末端を介して融合され、そのC−末端はフリーのままであってもよい。
ウイルスベクター
本発明はまた、本発明の第1の態様によるヌクレオチド配列を含む、レンチウイルスベクターゲノムまたはアデノ随伴ウイルスベクターゲノムなどのようなウイルスベクターゲノムを提供する。本発明はまた、そのようなゲノムを含むウイルスベクター産生系およびベクター粒子を提供する。
本発明のウイルスベクターは、任意の適したウイルスから誘導されてもよいまたは誘導可能であってもよい。組換えウイルス粒子は、関心のあるヌクレオチド配列(NOI)を標的細胞に形質導入することができる。
レトロウイルス粒子については、一度だけ、細胞内で、ベクター粒子由来のRNAゲノムは、DNAに逆転写され、標的細胞のゲノムの中に組み込みされる。
レンチウイルスベクター
レンチウイルスは、より大きなグループであるレトロウイルスの一部である。レンチウイルスの詳細なリストは、Coffinら(1997)「Retroviruses」 Cold Spring Harbor Laboratory Press Eds:JM Coffin,SM Hughes,HE Varmus pp758−763)において見つけられてもよい。手短に言えば、レンチウイルスは、霊長動物および非霊長動物のグループに分けることができる。霊長動物レンチウイルスの例は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因病原体であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含むが、これらに限定されない。非霊長動物レンチウイルスグループは、原型「スローウイルス」ビスナ/マエディウイルス(VMV)ならびに関連するヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウシ免疫不全ウイルス(BIV)を含む。
レンチウイルスは、レンチウイルスが、分裂および非分裂細胞に感染する能力を有する点で、レトロウイルスファミリーの他のメンバーと異なる(Lewisら(1992)EMBO J 11(8):3053−3058)およびLewis and Emerman(1994)J Virol 68(1):510−516)。対照的に、MLVなどのような他のレトロウイルスは、たとえば筋肉、目、脳、肺、および肝組織を構成するものなどのような非分裂細胞またはゆっくり分裂する細胞に感染することができない。
本明細書において使用されるレンチウイルスベクターは、レンチウイルスから誘導可能な、少なくとも1つの構成部分を含むベクターである。好ましくは、その構成部分は、それによってベクターが細胞に感染する、遺伝子を発現する、または複製される生物学的メカニズムに関与する。
レトロウイルスおよびレンチウイルスゲノムの基本構造は、5’LTRおよび3’LTRなどのような多くの一般的な特徴を共有し、それらの間にまたはそれらの内に、ゲノムがパッケージされるのを可能にするためのパッケージングシグナル、プライマー結合部位、宿主細胞ゲノムの中への組み込みを可能にする付着部位、ならびにパッケージング構成成分をコードするgag、pol、およびenv遺伝子−これらは、ウイルス粒子の構築に必要とされるポリペプチドである、が位置する。レンチウイルスは、HIVにおけるrevおよびRRE配列などのようなさらなる特徴を有し、これは、感染した標的細胞の核から細胞質への、組み込みプロウイルスのRNA転写物の効率的な搬出を可能にする。
プロウイルスにおいて、ウイルス遺伝子は、末端反復配列(LTR)と呼ばれる領域が両端の側面に位置する。LTRは、エンハンサー−プロモーター配列およびポリアデニル化シグナルとして果たし、それによって、ウイルス遺伝子の発現をコントロールすることによって、転写を担う。
LTRは、それら自体、U3、R、およびU5と呼ばれる3つのエレメントに分けることができる同一の配列である。U3は、RNAの3’エンドに特有の配列に由来する。Rは、RNAの両端で繰り返される配列に由来し、U5は、RNAの5’エンドに特有の配列に由来する。3つのエレメントのサイズは、異なるウイルスの中でかなり変動し得る。
複製欠損レンチウイルスベクターゲノムにおいて、gag、pol、およびenvは、不在であってもよいまたは機能的でなくてもよい。
本発明の典型的なレンチウイルスベクターにおいて、複製にとって不可欠な1つ以上のタンパク質コード領域の少なくとも一部は、ウイルスから除去されてもよい。これは、ウイルスベクターを複製欠損にする。ウイルスゲノムの一部分はまた、標的非分裂宿主細胞を形質導入するおよび/または宿主ゲノムの中にそのゲノムを組み込みすることができる、NOIを含むベクターを生成するためにNOIと交換されてもよい。
一実施形態において、レンチウイルスベクターは、国際公開第2007/071994号パンフレットにおいて記載されるように、非組み込みベクターである。
さらなる実施形態において、ベクターは、ウイルスRNAがないまたはそれを欠く配列を送達する能力を有する。さらなる実施形態において、送達されることとなっている、RNA上に位置する異種結合ドメイン(gagに対して異種)およびgagまたはpol上の同種の結合ドメインは、送達されることとなっているRNAのパッケージングを確実にするために使用することができる。これらのベクターは両方とも、国際公開第2007/072056号パンフレットにおいて記載される。
レンチウイルスベクターは、「非霊長動物」ベクターであってもよい、つまり、主として霊長動物、とりわけヒトに感染しないウイルスに由来してもよい。
ウイルスベクターは、EIAVに由来してもよい。gag、pol、およびenv遺伝子に加えて、EIAVは、3つの他の遺伝子:tat、rev、およびS2をコードする。tatは、ウイルスLTRの転写活性化因子として作用し(Derse and Newbold(1993)Virology 194(2):530−536、およびMauryら(1994)Virology 200(2):632−642)、revは、rev応答エレメント(RRE)を通してウイルス遺伝子の発現を調節し、調和させる。(Martaranoら(1994)J Virol 68(5):3102−3111)。これらの2つのタンパク質の作用のメカニズムは、霊長動物ウイルスにおける同様のメカニズムに対して大まかに類似していると考えられる(Martaranoら(1994)J Virol 68(5):3102−3111)。S2の機能は、知られていない。そのうえ、膜貫通型タンパク質の開始点で、envコード配列につながれるtatの第1のエクソンによってコードされるEIAVタンパク質、Ttmが同定された(Beiselら(1993)J Virol 67(2):832−842)。
用語「組換えレンチウイルスベクター」は、標的細胞に感染することができるウイルス粒子の中に、パッケージング構成成分の存在下において、RNAゲノムをパッケージするのを可能にするための、十分なレンチウイルス遺伝子情報を有するベクターを指す。標的細胞の感染は、逆転写および標的細胞ゲノムへの組み込みを含んでいてもよい。組換えレンチウイルスベクターは、ベクターによって標的細胞に送達されることになっている、非ウイルスコード配列を持つ。組換えレンチウイルスベクターは、最終的な標的細胞内で、感染性レンチウイルス粒子を産生するための非依存性の複製をすることができない。通常、組換えレンチウイルスベクターは、機能的なgag−polおよび/もしくはenv遺伝子ならびに/または複製にとって不可欠な他の遺伝子を欠く。本発明のベクターは、分断イントロン(split−intron)ベクターとして構成されてもよい。分断イントロンベクターは、国際公開第99/15683号パンフレットにおいて記載される。
本発明の組換えレンチウイルスベクターは、最小限のウイルスゲノムを有していてもよい。
本明細書において使用されるように、用語「最小限のウイルスゲノム」は、感染するのに必要とされる機能性を提供し、標的宿主細胞に対して、関心のあるヌクレオチド配列を形質導入し、送達するために、不可欠でないエレメントを除去し、かつ不可欠なエレメントを保持するように、ウイルスベクターが、操作されていることを意味する。この戦略のさらなる詳細については、発明者らの国際公開第98/17815号パンフレットにおいて見つけることができる。
本発明の一実施形態において、ベクターは、自己不活性化ベクターである。
例として、自己不活性化レトロウイルスベクターは、転写エンハンサーまたは3’LTRのU3領域におけるエンハンサーおよびプロモーターを欠失させることによって構築された。一連のベクターの逆転写および組み込みの後に、これらの変化は、5’および3’LTRの両方にコピーされ、転写不活性プロウイルスを産生する(Yuら(1986)Proc. Natl. Acad. Sci. 83:3194−3198;Dougherty and Teminら(1987)Proc. Natl. Acad. Sci. 84:1197−1201;Hawley(1987)Proc. Natl.
Acad. Sci. 84:2406−2410、およびYeeら(1987)Proc. Natl. Acad. Sci. 91:9564−9568)。しかしながら、そのようなベクターにおけるLTRに対して内部にあるあらゆるプロモーター(複数可)は、なお、転写活性である。この戦略は、内部に配置される遺伝子からの転写に対する、ウイルスLTRにおけるエンハンサーおよびプロモーターの効果を排除するために用いられた。そのような効果は、転写の増加(Jollyら(1983)Nucleic Acids Res. 11:1855−1872)または転写の抑制(Emerman
and Temin(1984)Cell 39:449−467)を含む。この戦略はまた、ゲノムDNAへの3’LTRから下流の転写を排除するために使用することもできる(Herman and Coffin(1987)Science 236:845−848)。これは、内因性癌遺伝子の偶発的な活性化を妨げることが決定的に重要であるヒト遺伝子療法において特有の関心事である。
しかしながら、宿主細胞/パッケージング細胞内でウイルスゲノムを産生するために使用されるプラスミドベクターはまた、宿主細胞/パッケージング細胞においてゲノムの転写を指示するために、レンチウイルスゲノムに対して作動可能に連結された転写調節コントロール配列をも含むであろう。これらの調節配列は、転写されたレンチウイルス配列、つまり5’U3領域と関連する自然の配列であってもよいまたはそれらは、他のウイルスプロモーター、たとえばCMVプロモーターなどのような異種プロモーターであってもよい。いくつかのレンチウイルスゲノムは、効率的なウイルス産生のために、さらなる配列を必要とする。たとえば、HIVの場合には、revおよびRRE配列が、好ましくは含まれる。しかしながら、revおよびRREについての必要性は、gag−polのコドン最適化によって低下させてもよいもしくは排除されてもよい(国際公開第01/79518号パンフレットにおいて記載されるように)および/またはLTRの下流かつ内部プロモーターの上流でのオープンリーディングフレーム、たとえばneoの包含は(国際公開第03/064665号パンフレットにおいて記載されるように)、図1において示される構築物において使用したが、しかしながら、当業者は、任意の適したオープンリーディングフレームを使用することができる。rev/RRE系と同じ機能を実行する、代替の配列もまた、知られている。たとえば、rev/RRE系の機能的な類似体は、メーソンファイザーサルウイルスにおいて見つけられる。これは、構成的運搬エレメント(constitutive transport element)(CTE)として知られており、感染細胞においてある因子と相互作用すると考えられる、ゲノムにおけるRRE型配列を含む。その細胞因子は、rev類似体と考えることができる。したがって、CTEは、rev/RRE系の代わりとして使用されてもよい。知られているまたは入手可能になる任意の他の機能的な等価物が、本発明に対して適切であってもよい。たとえば、HTLV−IのRexタンパク質をHIV−1のRevタンパク質と機能的に交換することができることもまた、知られている。RevおよびRexが、IRE−BPに類似する効果を有することもまた、知られている。
本発明によるレンチウイルスベクターは、ドーパミン合成経路に関与する3つの酵素を好ましくはコードする、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)に由来する、自己不活性化最小限レンチウイルスベクターからなってもよい。そのようなベクターによってコードされるタンパク質は、ヒトチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子の切断型形態(THのフィードバック調節に関与するN−末端160アミノ酸を欠く)、ヒト芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、およびヒトGTP−シクロヒドロラーゼ1(GTP−CH1)遺伝子を含んでいてもよい。ベクターは、(1)本明細書において記載されるベクターゲノム(2)合成EIAV gag/pol発現ベクター(pESGPK、国際公開第01/79518号パンフレットおよび国際公開第05/29065号パンフレット)、ならびに(3)VSV−Gエンベロープ発現ベクター(pHGK)をコードする、3つのプラスミドによる、細胞(たとえばHEK293T細胞)の一過性のトランスフェクションによって産生されてもよい。
パッケージング配列
「パッケージング配列」または「psi」とも区別なく呼ばれる用語「パッケージングシグナル」は、ウイルス粒子形成の間にレンチウイルスRNA鎖のキャプシド形成に必要とされる非コードシス作用性配列に関して使用される。HIV−1において、この配列は、主なスプライス供与部位(SD)の上流から少なくともgag開始コドンに及ぶ遺伝子座にマッピングされている。
本明細書において使用されるように、用語「パッケージングシグナルの伸長」または「パッケージング配列の伸長」は、gag遺伝子の方にさらに伸長した、psi配列のあたりの配列の使用を指す。これらのさらなるパッケージング配列の包含は、ウイルス粒子へのベクターRNAの挿入の効率を増加させ得る。
シュードタイピング
本発明のレンチウイルスベクターは、シュードタイプされてもよい。この点に関して、シュードタイピングは、1つ以上の利点を付与することができる。たとえば、レンチウイルスベクターにより、HIVベースのベクターのenv遺伝子産物は、CD4と称されるタンパク質を発現する細胞のみの感染にこれらのベクターを制限するであろう。しかし、これらのベクターにおけるenv遺伝子が、他のウイルス由来のenv配列と置換された場合、それらは、より広い感染範囲を有し得る(Verma and Somia(1997)Nature 389(6648):239−242)。例として、Millerらは、広宿主性レトロウイルス4070A由来のエンベロープにより、MoMLVベクターをシュードタイプし(Mol. Cell. Biol. 5:431−437)、他の研究者らは、VSV由来の糖タンパク質により、HIVベースのレンチウイルスベクターをシュードタイプした(VermaおよびSomia(1997)Nature 389(6648):239−242)。
他の代替物において、Envタンパク質は、突然変異または遺伝子操作されたEnvタンパク質などのような修飾Envタンパク質であってもよい。修飾は、標的能力を導入するもしくは毒性を低下させるためにまたは他の目的のためになされてもよいまたは選択されてもよい(Marinら(1996)J Virol 70(5):2957−2962;Nilsonら(1996)Gene Ther 3(4):280−286;およびFieldingら(1998)Blood 91(5):1802−1809ならびにその中に引用される参考文献)。
ベクターは、たとえば、狂犬病Gタンパク質またはVSV−Gタンパク質の少なくとも一部をコードする遺伝子によりシュードタイプされてもよい。
VSV−G
水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ラブドウイルスのエンベロープ糖タンパク質(G)は、レンチウイルスを含む、あるレトロウイルスをシュードタイプすることができることが示されたエンベロープタンパク質である。
あらゆるレトロウイルスエンベロープタンパク質の非存在下において、MoMLVベースのレトロウイルスベクターをシュードタイプするその能力は、Emiら(1991)J. Virol.65:1202−1207)によって最初に示された。国際公開第94/294440号パンフレットは、レトロウイルスベクターが、VSV−Gによりうまくシュードタイプされ得ることを教示する。これらのシュードタイプVSV−Gベクターは、広範囲の哺乳動物細胞を形質導入するために使用されてもよい。より最近では、Abeら(1998)J. Virol 72(8):6356−6361は、非感染性レトロウイルス粒子を、VSV−Gの追加によって感染性にすることができることを教示する。
Burnsら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033−8037)は、VSV−GによりレトロウイルスMLVをうまくシュードタイプし、これは、その天然の形態をしたMLVと比較して、改変された宿主範囲を有するベクターをもたらした。VSV−Gシュードタイプベクターは、哺乳動物細胞だけではなく魚、爬虫類動物、および昆虫に由来する細胞株にも感染することが示された(Burnsら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033−8037)。それらはまた、様々な細胞株に対して、従来の広宿主性エンベロープよりも効率的であることが示された(Yeeら(1994)Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 91:9564−9568およびEmiら(1991)J. Virol. 65:1202−1207)。VSV−Gタンパク質はまた、その細胞質側末端がレトロウイルスのコアと相互作用することができるので、あるレンチウイルスおよびレトロウイルスをシュードタイプするために使用することもできる。
VSV−Gタンパク質などのような非レンチウイルスシュードタイピングエンベロープという手段は、感染性の損失を伴うことなく高い力価までベクター粒子を濃縮することができるという利点を与える(Akkinaら(1996)J.Virol.70:2581−2585)。レンチウイルスおよびレトロウイルスエンベロープタンパク質は、おそらくそれらが2つの非共有結合サブユニットからなるので、超遠心分離の間の剪断力に明らかに耐えることができない。サブユニットの間の相互作用は、遠心分離によって破壊され得る。それに比べて、VSV糖タンパク質は、単一のユニットから構成される。そのため、VSV−Gタンパク質シュードタイピングは、有力な利点を提供することができる。
国際公開第00/52188号パンフレットは、膜結合ウイルスエンベロープタンパク質として水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV−G)を有する、安定性の産生細胞株からの、シュードタイプレトロウイルスおよびレンチウイルスベクターの生成について記載し、VSV−Gタンパク質についての遺伝子配列を提供する。
ロスリバーウイルス
ロスリバーウイルスエンベロープは、非霊長動物レンチウイルスベクター(FIV)をシュードタイプするために使用され、続く全身投与は、主に、肝臓を形質導入した(Kangら(2002)J Virol 76(18):9378−9388)。効率は、VSV−Gシュードタイプベクターにより得られるものよりも20倍大きいことが報告され、肝毒性を示唆する肝酵素の血清レベルによって測定されるように、引き起こされる細胞毒性は、より少なかった。
ロスリバーウイルス(RRV)は、オーストラリアの熱帯および温帯地方においてその土地固有の流行性の蚊によって広げられるアルファウイルスである。温帯沿岸水域における正規母集団における抗体率は、低い(6%〜15%)傾向があるが、血清有病率は、マレーバレー水系の平原において27〜37%に達する。1979〜1980年に、ロスリバーウイルスは、太平洋の島々において流行した。その疾患は、ヒトの間で伝染せず、致命的ではなく、最初の症状は、関節痛であり、患者の約半分において疲労および嗜眠がある(Fields Virology Fifth Edition(2007)Eds. Knipe and Howley. Lippincott Williams and Wilkins)。
バキュロウイルスGP64
バキュロウイルスGP64タンパク質は、臨床上および商業上の適用に必要とされる高力価のウイルスの大規模生産において使用されるウイルスベクターにとってVSV−Gに対する魅力的な代替物となることが示された(Kumar M、Bradow BP、Zimmerberg J(2003)Hum. Gene Ther. 14(1):67−77)。VSV−Gシュードタイプベクターと比較して、GP64シュードタイプベクターは、類似する広い親和性および類似する天然の力価を有する。GP64発現は、細胞を死滅させないので、GP64を構成的に発現する293Tベースの細胞株を生成することができる。
狂犬病G
本発明において、ベクターは、狂犬病Gタンパク質またはその突然変異体、変異体、ホモログ、もしくはフラグメントの少なくとも一部によりシュードタイプされてもよい。
狂犬病Gタンパク質およびその突然変異体についての教示は、国際公開第99/61639号パンフレットならびにRoseら(1982)J.Virol.43:361−364、Hanhamら(1993)J.Virol.67:530−542;Tuffereauら(1998)J.Virol.72:1085−1091、Kuceraら(1985)J.Virol.55:158−162;Dietzscholdら(1983)PNAS 80:70−74;Seifら(1985)J.Virol.53:926−934;Coulonら(1998)J.Virol.72:273−278;Tuffereauら(1998)J.Virol.72:1085−10910;Burgerら(1991)J.Gen.Virol.72:359−367;Gaudinら(1995)J.Virol.69:5528−5534;Benmansourら(1991)J.Virol.65:4198−4203;Luoら(1998)Microbiol.Immunol.42:187−193、Coll(1997)Arch.Virol.142:2089−2097;Luoら(1997)Virus Res.51:35−41;Luoら(1998)Microbiol.Immunol.42:187−193;Coll(1995)Arch.Virol.140:827−851;Tuchiyaら(1992)Virus Res.25:1−13;Morimotoら(1992)Virology 189:203−216;Gaudinら(1992)Virology 187:627−632;Whittら(1991)Virology 185:681−688;Dietzscholdら(1978)J.Gen.Virol.40:131−139;Dietzscholdら(1978)Dev.Biol.Stand.40:45−55;Dietzscholdら(1977)J.Virol.23:286−293、およびOtvosら(1994)Biochim.Biophys.Acta 1224:68−76において見つけられてもよい。狂犬病Gタンパク質はまた、欧州特許第0445625号明細書においても記載されている。
代替のエンベロープ
レンチウイルスベクターをシュードタイプするために使用することができる他のエンベロープは、モコラ、エボラ、4070A、およびLCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)を含む。
アデノ随伴ウイルスベクター
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、限られたパッケージング容量を有し、そのため、効率的に送達することができる遺伝子の数にマイナスに影響を与えることは、当技術分野において知られていた。しかしながら、この限界は、AAV血清型に対して依存性であることが現在知られている。たとえば、AAV5および7血清型のキャプシドは、8kbまでのゲノムをパッケージすることができる。この研究は、米国特許第7,943,374号明細書において記載されている。そのうえ、米国特許出願公開第2009/0214478号明細書は、9kbまでのパッケージング容量を有するAAV2/5組換えベクターについて記載している。
AAVベクターの特徴は、一般に、当業者に知られている。たとえば、AAVベクターは、広い宿主範囲を有し、比較的低い免疫原性で分裂および非分裂細胞の両方を形質導入する。すべてのAAVウイルス遺伝子を、遺伝子カセットと交換して、シス作用性AAVエレメントである逆位末端配列(ITR)、DNAパッケージングシグナル、および複製開始点のみを適所に残す方法もまた、よく知られている。たとえばMusatovら、J. Virol.、Dec 2002、76(24)を参照されたい。AAV遺伝子産物であるRepおよびCapならびに他のアクセサリータンパク質が、トランスで提供される場合、AAVを、産生細胞中でパッケージすることができる。AAVパッケージング系は、記載されている。たとえば米国特許第5,139,941号明細書を参照されたい。非AAVアクセサリー機能は、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスなどのような、知られているヘルパーウイルスのいずれかによって供給されてもよい。そのようなAAVパッケージング系は、たとえば米国特許第4,797,368号明細書;米国特許第5,139,941号明細書;米国特許第5,866,552号明細書;米国特許第6,001,650号明細書;米国特許第6,723,551号明細書において記載されている。
コドン最適化
本発明において使用されるポリヌクレオチド(NOIおよび/またはベクター構成成分を含む)は、コドン最適化されてもよい。コドン最適化は、国際公開第99/41397号パンフレットおよび国際公開第01/79518号パンフレットにおいて以前に記載されている。細胞が異なると、特定のコドンのそれらの使用頻度が異なる。このコドンバイアスは、細胞型における特定のtRNAの相対的存在量におけるバイアスに相当する。コドンが、対応するtRNAの相対的存在量とマッチするように調整されるように、配列におけるコドンを改変することによって、発現を増加させることが可能である。同じ理由で、対応するtRNAが特定の細胞型においてまれであることが知られているコドンを故意に選ぶことによって、発現を減少させることが可能である。したがって、補足的な程度の翻訳のコントロールが、利用可能である。
HIVおよび他のレンチウイルスを含む多くのウイルスは、多くのまれなコドンを使用し、よく使用される哺乳動物コドンに対応させるためにこれらを変化させることによって、哺乳動物産生細胞における関心のある遺伝子、たとえばNOIまたはパッケージ構成成分の発現の増加を実現することができる。コドン利用表は、哺乳動物細胞および様々な他の生物について当技術分野において知られている。
ウイルスベクター構成成分のコドン最適化は、多くの他の利点を持つ。それらの配列における改変のおかげで、産生細胞/パッケージング細胞におけるウイルス粒子の構築に必要とされる、ウイルス粒子のパッケージ構成成分をコードするヌクレオチド配列は、RNA不安定性配列(INS)がそれらから排除されている。同時に、パッケージ構成成分についてのアミノ酸配列コード配列は、配列によってコードされるウイルス構成成分は同じままとなるようにまたはパッケージ構成成分の機能が損なわれないように少なくとも十分に類似するように保持される。レンチウイルスベクターにおいて、コドン最適化はまた、搬出のためのRev/RREの必要性を克服しており、最適化配列をRev非依存性にする。コドン最適化はまた、ベクター系内の異なる構築物の間の(たとえばgag−polおよびenvオープンリーディングフレームにおけるオーバーラップの領域の間の)相同組換えを低下させる。そのため、コドン最適化の全体的な効果は、ウイルス力価における顕著な増加および安全性の改善となる。
一実施形態において、INSに関係するコドンのみが、コドン最適化される。しかしながら、より好ましい実際的な実施形態において、配列は、いくつかの例外、たとえば、gag−polのフレームシフト部位を包含する配列を除いて、それらの全体がコドン最適化される(以下を参照されたい)。
gag−pol遺伝子は、gag−polタンパク質をコードする、2つのオーバーラップリーディングフレームを含む。両方のタンパク質の発現は、翻訳の間のフレームシフトに依存する。このフレームシフトは、翻訳の間のリボソーム「翻訳スリップ」の結果として起こる。この翻訳スリップは、リボソームを失速させる(ribosome−stalling)RNA二次構造によって少なくとも部分的に引き起こされると考えられる。そのような二次構造は、gag−pol遺伝子におけるフレームシフト部位の下流に存在する。HIVについては、オーバーラップの領域は、gagの始まりの部分の下流のヌクレオチド1222(ここで、ヌクレオチド1は、gag ATGのAである)からgagの最後(nt1503)まで及ぶ。結果的に、フレームシフト部位および2つのリーディングフレームのオーバーラップ領域にわたる281bpフラグメントは、好ましくは、コドン最適化されない。このフラグメントの保持は、gag−polタンパク質のより効率的な発現を可能にするであろう。
EIAVについては、オーバーラップの始まりの部分は、nt1262(ここで、ヌクレオチド1は、gag ATGのAである)であると考えられてきた。オーバーラップの最後は、1461bpにある。フレームシフト部位およびgag−polオーバーラップが保存されるのを確実にするために、野生型配列は、nt1156〜1465まで保持された。
最適なコドン使用頻度からの誘導は、たとえば、好都合な制限部位を組み込むためになされてもよく、保存的アミノ酸変化は、gag−polタンパク質の中に導入されてもよい。
一実施形態において、コドン最適化は、容易に発現される哺乳動物遺伝子に基づく。3番目、時に2番目および3番目の塩基を変化させてもよい。
遺伝子コードの縮重の性質により、当業者が、多数のgag−pol配列を実現することができることが十分に理解される。コドン最適化gag−pol配列を生成するための出発点として使用することができる、記載される多くのレトロウイルス変異体もまたある。レンチウイルスゲノムは、かなり変異性となり得る。たとえば、なお機能的である、HIV−1の多くの疑似種がある。これはまた、EIAVについても当てはまる。これらの変異体は、形質導入プロセスの特定の部分を増強するために使用されてもよい。HIV−1変異体の例は、<http://hiv−web.lanl.gov>でLos Alamos National Security, LLCによって管理されるHIVデータベースで見つけられてもよい。EIAVクローンの詳細については、<http://www.ncbi.nlm.nih.gov>にあるNational Center
for Biotechnology Information(NCBI)データベースで見つけられてもよい。
コドン最適化されたgag−pol配列についての戦略は、任意のレトロウイルスに関連して使用することができる。これは、EIAV、FIV、BIV、CAEV、VMR、SIV、HIV−1、およびHIV−2を含むすべてのレンチウイルスに適用されるであろう。そのうえ、この方法は、HTLV−1、HTLV−2、HFV、HSRV、およびヒト内在性レトロウイルス(HERV)、MLV、ならびに他のレトロウイルス由来の遺伝子の発現を増加させるために使用することができる。
コドン最適化は、gag−pol発現をRev非依存性にすることができる。しかしながら、レンチウイルスベクターにおいて抗rev因子または抗RRE因子の使用を可能にするために、ウイルスベクター生成系を完全にRev/RRE非依存性にすることが必要であろう。したがって、ゲノムはさらに修飾される必要がある。これは、ベクターゲノム構成成分を最適化することによって実現される。好都合には、これらの修飾はまた、プロデューサーおよび形質導入細胞の両方においてすべての補足的なタンパク質がない、より安全な系の産生をもたらす。
活性
本発明の融合構築物は、機能的なドーパミン作動性合成酵素を産生し、国際公開第02/29065号パンフレットにおいて記載される、IRES配列によって分離された、ドーパミン合成酵素をコードする3つすべての遺伝子を有する構築物を使用して得られるレベルと比較した場合に、ドーパミン産生における増加を引き起こしてもよい。
本発明のベクターは、国際公開第2001/04433号パンフレットにおいて記載されるベクターであるpONYK1よりも、細胞内で発現された場合に、L−ドパおよび/またはドーパミン産生の増加を引き起こしてもよい。
本発明のベクターは、ドーパミンおよび/またはL−ドパ産生において、少なくとも2、3、5、10、15、20、30、40、50、60、80、80、90、100、120、130、140、150、160、200、500、1000倍の増加を示してもよい。
本発明のベクターは、たとえばHEK293T細胞またはPC−12細胞において発現された場合に、pONYK1と比較した場合、L−ドパおよび/またはドーパミン産生の増加を引き起こしてもよい。
ドーパミンまたはL−ドパ産生は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのような当技術分野において知られている多くの方法のいずれかによって測定されてもよい。
理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、コードされたタンパク質が相互に物理的に近く、それによって、互いのそれらの相互作用を容易にするので、L−ドパおよび/またはドーパミン合成が、融合タンパク質によって増加されることを示唆する。酵素のそれぞれの物理的な近さが、ある酵素から他のものへの、効率的な代謝産物の流れを容易にし得、最大のL−ドパまたはドーパミン産生を可能にするので、これは、ドーパミン生合成経路の酵素について特に有利である。
実施例において示され、また表1(上記)において要約されるように、ある融合構築物は、L−ドパ産生の改善を示し、あるものはドーパミン産生の改善を示した。
薬学的組成物
本発明のレンチウイルスベクターは、薬学的組成物の形態で提供されてもよい。薬学的組成物は、遺伝子療法によって個人を治療するために使用されてもよく、組成物が、治療有効量のレンチウイルスベクターを含む。
ウイルス調製物は、超遠心分離によって濃縮されてもよい。その代わりに、国際公開第2009/153563号パンフレットは、レンチウイルスベクターの下流のプロセシングのための方法を記載している。結果として生じる薬学的組成物は、少なくとも10TU./mL、たとえば10〜10TU./mLまたは少なくとも10TU./mLを有してもよい。(力価は、標準的なD17またはHEK293T細胞株に対して力価測定される(titre)、1ml当たりの形質導入単位(TU./mL)で表される)。
薬学的組成物は、ヒトを治療するために使用されてもよい。
組成物は、任意選択で、薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、賦形剤、または補助剤を含んでいてもよい。医薬キャリア、賦形剤、または希釈剤の選択は、投与について意図されるルートおよび標準的な薬務に関して選択することができる。薬学的組成物は、キャリア、賦形剤、または希釈剤として(またはそれに加えて)、任意の適したバインダー(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁化剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)、および標的部位へのウイルスの侵入を支援してもよいまたは増加させてもよい他のキャリア剤(たとえば脂質送達系など)を含んでいてもよい。
疾患
ウイルスベクターは、神経学的な状態を治療するために使用されてもよい。たとえば、ベクターは、神経変性疾患の治療および/または予防に有用であってもよい。
疾患は、被験体におけるL−ドパおよび/またはドーパミンの産生によって治療可能であってもよい。
疾患は、パーキンソン病であってもよい。
たとえばTH、GTP−CH1、およびAADCを送達することができるベクターによる遺伝子療法による治療は、経口L−ドパ治療に対して難治性になった末期のPD患者に特に有用となりそうである。
本明細書において記載されるある構築物は、L−ドパの産生を増加させ、他のものは、ドーパミンの産生を増加させた。L−ドパの産生の増加は、残存しているAADC酵素活性を保持し、したがって、L−ドパをドーパミンに少なくとも部分的に変換することができる患者において有用となり得る。これらの患者は、従来のL−ドパ治療に対して感受性があるかもしれない。たとえば、TH−L−CH1−IRES−AADC構築物は、高レベルのドーパミンおよびL−ドパの両方を産生したのに対して、TH−L−AADC−IRES−CH1およびAADC−L−TH−L−CH1は、L−ドパと比べて、より高いレベルのドーパミンを生成した。
ドーパミンの産生の増加は、L−ドパをプロセシングするのに十分な内因性のAADC活性を欠き、したがって、従来のL−ドパ治療に対してそれほど感受性がない末期患者において有用であってもよい。
本発明はまた、パーキンソン患者のための療法を選択するための方法であって、L−ドパおよびドーパミンを産生するための、その相対的な能力に基づいて、本発明によるベクターを選択するステップを包含する、方法も提供する。
投与
本発明において使用されるウイルスベクターは、たとえば、尾状被殻への注射によって脳に投与される。
ベクターは、半球当たり1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の経路を介して投与されてもよい。
レンチウイルスベクターについて以前に記載される投与系において(Jarrayaら(2009)Sci Transl Med 14:1(2)2−4)、ベクター組成物は、経路の末端部分に一定分量(4μL)を投与し、少しだけ針を引っ込め、次いで、第2の一定分量(3μL)を投与し、針をもう少し引っ込め(2回目)、次いで、第3の一定分量(3μL)を投与することによって、非連続的なまたは「点状の」様式で投与され、したがって、一定分量は、それぞれの穿刺経路(needle tract)に沿って3つの場所に蓄積され、合計10μLが送達された。
その代わりに、ベクターは、同時係属英国特許出願第1009052.0号明細書において記載されるように、連続的に注入されてもよい。
本発明は、これから、実施例を介してさらに記載されるが、これらは、当業者が本発明を実行するのを支援するように果たすためのものであり、本発明の範囲を限定するものとして決して意図されるものではない。
実施例1−pONYK−TAiCからのベクター産生および組み込みされたベクターからのカテコールアミン産生
pONYK1と比較して、力価を改善するために生成し、かつ試験するための第1の融合構築物を、pONYK−TAiCとした(図1)。pONYK−TAiCまたはpONYK1のゲノムを使用するレンチウイルスベクター(LV)調製物を、三通り生成し、結果として生じるベクター力価を、DNA組み込みアッセイによって定量化した(図2a)。これらのデータは、驚いたことに、pONYK−TAiCから生成されたベクターの力価が、pONYK1と同じである、つまり、一方のIRESエレメントの除去が、力価を改善したわけではなかったことを実証した。HPLC分析は、産生されるL−ドパおよびドーパミンのレベルを検査するために、形質導入されたHEK293T細胞上清に対して実行した。HPLC結果(図2b)は、pONYK−TAiCベクターにより形質導入された細胞が、pONYK1ベクターにより形質導入された細胞と比較して、総カテコールアミンのレベルにおいて、2.4倍の増加をもたらしたことを実証した。L−ドパレベルは、両方のゲノムの間で同等であった、しかしながら、ドーパミンのレベルは、pONYK1よりもpONYK−TAiCについて15.3倍高かった。したがって、カテコールアミン産生は、改善された。全体として、これは、細胞が、pONYK1ベクターと比較して、pONYK−TAiCベクターにより形質導入される場合に、ドーパミン生合成経路がより効率的となることを示唆する。
実施例2−ベクター産生および組み込みされたベクターからのカテコールアミン産生
pONYK−TAiCおよびpONYK1と共に、さらに3つのドーパミン酵素融合プラスミドについて試験した(pONYK−ATiC、pONYK−TCiA、pONYK−ATC(図1))。それぞれの異なるゲノムプラスミドを使用するLV調製物を、三通り生成し、結果として生じるベクターを、DNA組み込みアッセイによって定量化した(図3a)。結果は、力価が、すべてのベクターについて類似していることを実証し、力価は、1.3E+05TU/ml〜4.0E+05TU/mlの範囲にわたった。興味深いことには、両方のIRESエレメントを欠いたpONYK−ATCは、力価における増加を示さなかった。これは、融合構築物がベクター産生を改変せず、導入遺伝子の配置転換およびGS15リンカー(複数可)の存在が力価に影響を与えないことを示唆する。HPLC分析からの結果は、それぞれの異なるベクターにより形質導入したHEK293T細胞が、様々なカテコールアミン産生をもたらすことを実証した(図3b)。さらに、ドーパミンに変換されるL−ドパの量は、異なるベクターの間で有意に変動した。pONYK1ベクターは、最も低いレベルのドーパミン産生およびL−ドパのドーパミンへの最も低い変換を示した。pONYK−TCiAを使用して生成したベクターは、最も高いカテコールアミン産生を示し(pONYK1よりも4.8倍高い)、ドーパミンレベルは、pONYK1よりも13.2倍高かった。
したがって、THおよびCH1が単一のユニットとして発現される場合に、最も高いレベルのカテコールアミンが産生されるように思われる。興味深いことには、3つすべての遺伝子を相互に融合し、3重融合構築物(pONYK−ATC)を得て、1つのタンパク質をもたらすことにより、ドーパミン産生が、pONYK1と比較した場合に、増加した(9.3倍)ことを実証した。
実施例3−異なる融合プラスミドによりトランスフェクトしたHEK293T細胞におけるドーパミン酵素レベルの評価
タンパク質発現レベルについて調査するために、それぞれの導入遺伝子産物(AADC、CH1、およびTH)についてのウエスタンブロット分析を、それぞれの融合ゲノムプラスミドによりトランスフェクトしたHEK293T細胞の細胞溶解産物から実行した(図4)。結果は、それぞれの異なる融合構築物について、それぞれのドーパミン合成酵素が存在し、予測されるサイズをしていたことを実証した。124kDaのバンドが3つすべてのウエスタンブロットにおいて見られたように、3重融合カセット(pONYK−ATC)を含めて、GS15リンカーを有するドーパミン合成酵素を発現させることができることを実証した、また、これは、それぞれのゲノム構築物が、3つすべての連結されたドーパミン酵素タンパク質を含有する融合タンパク質について期待されるサイズである。異なるゲノム構築物によって発現される様々なタンパク質のそれぞれのレベルは、かなり変動する。3つすべてのタンパク質についての最も高いレベルは、pONYK1、pONYK−TAiC、およびpONYK−TCiAから発現されるように思われる。最も低いレベルのタンパク質は、pONYK−ATCで見られた。
ウエスタンブロットおよびHPLCの結果について、タンパク質の強度の間に直接的な関係があるようには思われない。pONYK1は、最も高いレベルのタンパク質発現のうちの1つを示したが、しかし、このプラスミドから作製されたベクターにより形質導入されたHEK293T細胞は、最も低いドーパミン産生を示した。
実施例4−ベクターおよび5つの融合構築物からのカテコールアミン産生
上記論じられるように、THおよびCH1が単一のユニットとして発現される場合に、最も高いレベルのカテコールアミンが産生されるように思われる。L−ドパのレベルが、pONYK−TCiAで非常に高かったので、AADCの発現レベルは、L−ドパのドーパミンへの変換を制限していそうである。遺伝子がIRES配列の後に配置される場合、遺伝子発現が低下することが知られているので、この配置の方向を逆転させることにより、L−ドパのドーパミンへの変換を増加させることによって、最大のドーパミンレベルがもたらされるかもしれず、したがって、AADC遺伝子を発現カセットの最初に配置させる(その発現を最大限にするためにCMVプロモーターの下流に配置させ、その後IRES、次いでTH:CH1融合物が続く)。したがって、このゲノム構築物(pONYK−ATC、図1)を生成した。pONYK−ATCによりトランスフェクトした細胞からのウエスタンブロット結果は、低いレベルの大きな融合タンパク質を示した(実施例3)。しかしながら、これらの明らかな低いレベルにもかかわらず、pONYK−ATCから作製されたベクターにより形質導入された細胞は、L−ドパのドーパミンへの高レベルの変換を示し、これは、高レベルのドーパミン産生をもたらした。3つすべてのコード配列が相互に連結され、これにより、発現が比較的弱かった大きなタンパク質(124kDa)が得られることを考慮すれば、これは驚くべきことである。pONYK−TCiAを使用して生成されたベクターが、最も高いレベルのドーパミン産生を示したことおよびIRES配列が遺伝子発現を低下させると知られているという事実を考慮すれば、この同じ順(TH:CH1:AADC)で配置された導入遺伝子の3重融合物が、形質導入された細胞からのドーパミン産生のレベルの増強をもたらすということがあり得る。そのため、さらなる3重融合構築物、pONYK−TCA(図1)を生成した。
アミノ酸配列が変わらないが、DNA配列が改変された修飾GS15リンカーを生成した。このリンカーは、pONYK−ATCおよびpONYK−TCAの中にクローニングし、THおよびCH1遺伝子の間のもとのGS15リンカーと交換した。これにより、pONYK−ATCmodおよびpONYK−TCAmodが得られた(図1)。それぞれの異なるゲノムプラスミドを使用するベクターを、二通り生成し、結果として生じるベクターを、DNA組み込みアッセイによって定量化した(図5)。
結果から見ることができるように、すべての構築物についてのベクター力価は、類似しており、力価は、1.2E+05TU/ml〜5.3E+05TU/mlの範囲にわたった。したがって、新しい構築物は、ベクター産生を改変せず、しがたって、導入遺伝子の配置転換ならびにGS15リンカーおよび/または修飾GS15リンカーの存在は、力価に影響を与えない。
形質導入されたHEK293T細胞からのカテコールアミン産生をHPLC分析によって実行した、また、結果を図5bに示す。新しい修飾3重融合構築物(ATCmodおよびTCAmod)から生成されたベクターは、カテコールアミンレベルにおけるさらなる増加を示した。3重融合構築物の両方により形質導入された細胞からのドーパミン産生のレベルは、L−ドパのレベルよりもはるかに大きく、L−ドパのドーパミンへの変換が、これらの構築物で非常に効率的であったことを示唆した。ATCmodベクターにより形質導入された細胞は、最も高いレベルのカテコールアミン産生を示し、pONYK1により形質導入された細胞と比較して、ドーパミン産生において全体的に6.5倍増加した。さらに重要であったのは、修飾3重融合構築物(THおよびCH1の間に修飾リンカーを使用)から生成されたベクターにより形質導入された細胞から産生されたドーパミンレベルが、両方のGS15リンカーが同一のヌクレオチド配列を有した3重融合ゲノムを使用して生成されたベクターから産生されたものよりもはるかに大きかったという発見であった。
実施例5−9つの異なる融合プラスミドによりトランスフェクトしたHEK293T細胞におけるドーパミン酵素レベルの評価
それぞれのベクターゲノムについてのタンパク質発現レベルを検査するために、それぞれの導入遺伝子産物(AADC、CH1、およびTH)についてのウエスタンブロット分析を、それぞれのベクターゲノムによりトランスフェクトしたHEK293T細胞からの細胞溶解産物を使用して実行した(図6)。結果は、ベクターゲノムのすべてについて、それぞれのドーパミン合成酵素が存在し、酵素が融合物として発現されたかどうかに依存して、予測されたサイズであったことを実証した。これは、先に試験していなかった新しい構築物(pONYK1−CTiA、pONYK1−AiTC、pONYK1−TCA、pONYK1−ATCmod、およびpONYK1−TCAmod)について最も重要なことであった。これは、それぞれのゲノム構築物が、GS15リンカーを有するドーパミン合成酵素を発現させることができることを実証した。これは、期待されるサイズ(124kDa)のタンパク質バンドが3つすべてのウエスタンブロットにおいて見られた3重融合カセット(TCAおよびATC)を含んだ。
最も高いレベルの3つすべてのタンパク質は、pONYK1、pONYK1−TAiC、およびpONYK1−TCAmodから発現されるように思われる(図5)。最も低いレベルのタンパク質は、pONYK1−ATCから見られ、これは、前の結果(図4)と同等であった。
実施例6−9つの異なる融合物ベクターにより形質導入されたHEK293T細胞におけるドーパミン酵素レベルの評価
上記に記載されるように、ウエスタン分析を、融合プラスミドによりトランスフェクトされた細胞由来の細胞溶解産物について実行した(図4および6)。このあとに、それぞれの融合ベクターにより形質導入された細胞からのドーパミン合成酵素レベルの分析を続けた。形質導入された細胞からのタンパク質レベルの分析は、結果として生じる機能的なベクターから発現されたタンパク質のレベルに対するよりよい洞察を与える。それぞれの融合構築物により形質導入されたHEK293T細胞は、それぞれのドーパミン合成酵素のタンパク質発現についてのウェスタンブロッティングによって分析され、また、結果を図8に示す。ブロットは、正確なサイズのタンパク質が、それぞれのベクターゲノムカセットについて発現されたことを実証した。データは、コード配列がIRESエレメントの下流に配置された場合に、タンパク質レベルが低下することを示唆した。
3重融合構築物において修飾リンカーを使用して生成されたベクター(ATCmodおよびTCAmod)により形質導入された細胞は、未修飾リンカーを有する構築物から生成されたベクター(ATCおよびTCA)により形質導入された細胞と比較した場合に、より高いレベルのドーパミン産生を実証した(図3bおよび5b)。
実施例7−融合構築物によるラット線条体ニューロン形質導入
ドーパミン補充療法のための標的細胞集団であるラット線条体ニューロンを、それぞれの融合ベクターにより形質導入し、これらの初代細胞からのカテコールアミン産生を評価することを決定した。ニューロンについての最適な形質導入条件を確立するために、EIAV−GFPベクターを使用して予備実験を実行した(データ示さず)。ベクターの製造は、前に記載されるそれぞれのベクターゲノムを使用して実行し、非濃縮ベクター上清および濃縮した最終的なベクターを、DNA組み込みアッセイによって定量化した(図9)。濃縮ベクター調製物は、MOI 1で、三通り、線条体ニューロンを形質導入するために使用した。並行して、線条体ニューロンを、MOI 1で、EIAV−GFPベクターにより形質導入した。これは、形質導入の可視化が、GFPポジティブ細胞の存在によって、容易に観察することができるので、形質導入についてのコントロールとして、また、HPLC分析についてのネガティブコントロールとしても果たすために実行した。図10aから見られるように、ニューロン細胞は、MOI 1での、EIAV−GFPによる形質導入に成功した。
HPLC分析は、MOI 1を使用する形質導入が、線条体培養物におけるドーパミンおよびL−ドパのレベルの検出を可能にするのに十分であることを実証した(図10b)。図10bは、TCiAベクターにより形質導入されたニューロンが、pONYK1ベクターにより形質導入されたニューロンよりも160倍高い、カテコールアミンの最も大きな産生量(80ng/ml)を示したことを実証する。しかしながら、検出されたカテコールアミンのほとんど(73ng/ml)は、ドーパミンではなくL−ドパであった。そのため、TCiAからのL−ドパのドーパミンへの変換は、非効率的であった。TCiAにより形質導入された細胞から観察された、L−ドパのドーパミンへの非効率的な変換は、これまでのすべての実験において観察された結果である(図3b、5b、6b、および10b)。前に論じられたように、これは、ほぼ確実に、AADCの限られた発現によるものである。ドーパミン産生の点から、TCiAベクターがより効率的に働くように、AADCの発現レベルは、増加させる必要があるであろう。しかしながら、IRESの前にAADCを配置しても、おそらく、IRESの後にTH−CH1を配置することによる低いL−ドパレベルにより、このベクターにより形質導入されたニューロンからのカテコールアミンレベルが低かった(図10b)ので、TH−CH1融合構築物(AiTC)は、解決をもたらさなかった。AADCを配置の1番目にして、3つすべての導入遺伝子を相互に融合すると、L−ドパのドーパミンへの変換を改善した(ATCおよびATCmodにより形質導入されたニューロンについての結果を参照されたい)が、全体的なカテコールアミン産生量は、TCiAと比較して、低かった。それにもかかわらず、このベクターゲノムにより実現されたドーパミンレベル(21.5mg/ml)は、評価したすべての構築物のうちで最も高かった。これは、pONYK1により形質導入されたニューロンと比較して、ドーパミンレベルにおいて107.5倍の増加に相当する。
ATCmodにより形質導入されたニューロンからのL−ドパに対するドーパミンの比は、非常に高く(5.2)、L−ドパのドーパミンへのほぼ完全な変換を示した。L−ドパのドーパミンへのこの効率的な変換はまた、ATCベクターにより形質導入されたニューロンにおいても観察されたが、総カテコールアミン産生量は、より低かった。この結果は、ATCおよびATCmodベクターにより形質導入されたHEK293T細胞から前に観察されたものであり(図3bおよび5b)、ATCmodへの修飾リンカー(GS15mod)の追加が、より高いカテコールアミン産生を付与することを確認するものである。
実施例8−TCiAmodの評価
論じられるように、ATCmodおよびTCAmod3重融合ゲノムにおいてTHおよびCH1を連結するために使用した修飾GS15リンカー(GS15mod)は、親のゲノム(同一のGS15リンカーを含有する)から生成されたベクターにより形質導入された細胞からよりも、これらの構築物から作製されたベクターにより形質導入された細胞(ニューロンおよびHEK293T)からの高いドーパミン産生を実証した。この修飾GS15リンカーが、単一の融合ゲノムから作製されたベクターからのカテコールアミン産生の増加をもたらすかどうかを確証することを決定した。最も高いカテコールアミン産生が、TCiAベクターにより形質導入された細胞から観察されたので、TCiAにおける未修飾GS15リンカーを、修飾リンカーと交換し、TCiAmodを得ることを決定した(図1)。図11aにおいて見られるように、pONYK1およびTCiAに対するTCiAmodからのベクター力価は、より低かった(それぞれ3.4倍および2.2倍低い)が、これは、ベクター産生およびアッセイのばらつきによって引き起こされたものであろう。
形質導入されたHEK293T細胞からのカテコールアミン産生の決定は、HPLC分析によって実行した、また、結果を図11bに示す。TCiAmodベクターにより形質導入された細胞は、pONYK1ゲノムにより形質導入された細胞と比較した場合、カテコールアミン産生における7倍の増加を示した。さらに、TCiAmodベクターにより形質導入された細胞からのカテコールアミン産生は、TCiAベクターにより形質導入された細胞と比較した場合、1.75倍増加した。これは、GS15modリンカーが、未修飾GS15リンカーよりも利点をもたらし、この現象は、単に、3重融合構築物と関係するものではないことを確認するものである。
報告されるように、TCiAは、高いカテコールアミン産生を前に示したが、ドーパミンおよびL−ドパの相対量は、同等であり、AADCによる、L−ドパのドーパミンへの変換が限られていることを示した。おそらく、AADCがなおIRESの下流で発現されるので、この傾向はまた、TCiAmodでも明らかであり、そのために、リンカーの変更によって影響を受けなかった。
まとめ
AADC、CH1、およびTHを発現する10の融合ゲノムを構築した。5つは、IRESエレメントのうちの1つの代わりにGS15リンカーを含有する(TCiA、TAiC、ATiC、CTiA、およびAiTC)。残り4つの構築物は、GS15リンカーを両方のIRESエレメントと交換した3重融合構築物である。これらの構築物のうちの2つは、同一のGS15リンカーを含有し(ATCおよびTCA)、他の2つの3重構築物は、同じ遺伝子配置を含有するが、THおよびCH1遺伝子の間に配置される修飾リンカー(GS15mod)を有する(ATCmodおよびTCAmod)。このGS15modリンカーは、もとのGS15リンカーと同じアミノ酸配列をコードするが、異なるDNA配列を有する。GS15modリンカーはまた、TCiAの中にも挿入し、未修飾リンカーを交換して、TCiAmodを得た。
これらの研究は、pONYK1トリシストロンゲノムからのIRESエレメントの除去およびリンカー配列による置換が、効率的な逆転写を妨害すると考えられたIRESエレメント内に含有される複雑な構造を排除することによって、ベクター力価を改善し得るという仮説について試験するものであった。様々な融合ゲノムからのベクター力価が、pONYK1に類似する力価を示したので、この理論は、反証された。アッセイ内の力価は、変動したが、すべてのアッセイの比較は、一貫して低い力価を示した融合ベクターを同定せず、特定の融合ゲノムが低いベクター産生を付与しなかったことを示唆した。
ウェスタンブロッティング分析(図4および8)は、それぞれの、カテコールアミンを放出する酵素が、発現され、それぞれの様々な融合構築物について正確な予測されるサイズであったことを実証した。導入遺伝子がIRESエレメントの下流に配置された場合、タンパク質レベルが低下したこともまた、ウエスタン分析から示唆された。
予想外に、構築物の評価は、THおよびCH1の融合物が、おそらく、このTH:CH1融合物による、チロシンのL−ドパへの効率的な触媒作用により、総カテコールアミン産生量を増加させるための最良のメカニズムをもたらしたことを実証した。
GS15リンカーの2つのコピーを使用する3重融合ゲノム(ATCおよびTCA)の構築は、ベクター産生を損なわず、pONKY1と比較して、カテコールアミン産生を増加させた。
THおよびCH1遺伝子の間の修飾GS15リンカー(GS15mod)の使用もまた、タンパク質発現における増加についての証拠がないにもかかわらず、両方の構築物で、カテコールアミン産生における増加をもたらした。カテコールアミンの増加を媒介する修飾リンカーの効率の増加はまた、TCiA配置に適用された場合(TCiAmod)にも実証された。
全体的に、データは、TCiAmodおよびATCmodゲノムが、両方とも、PONYK1と比較して、改善されたドーパミン産生を媒介することができることを示唆する。TCiAmodは、全般的に、最も高い総レベルのL−ドパおよびドーパミンを媒介するが、ATCmodは、全般的に、最も高いレベルのドーパミンを媒介する。
実施例9−IRESの構成的プロモーターとの交換
TCiAmod配置を使用するドーパミン産生は、IRES媒介性のAADC発現によって制限されるので、IRESの構成的プロモーターとの交換は、ADDC発現の増加をもたらし、形質導入された細胞のより高いレベルのドーパミン産生を可能にし得る。そのため、TCiAmodにおけるIRESエレメントをPGKまたはTKプロモーターと交換する代替の2つのゲノムを作り出した(図1を参照されたい)。
実施例10−初代皮質ニューロンの形質導入
3つの融合ベクター(TACmod、TCiAmod、およびTCtkA)は、0.4のMOIで、三通り、ヒト初代皮質のニューロン(Innoprot、カタログ番号P10151)を形質導入するために使用した。これらのベクターは、pONYK1と類似する力価を有した(pONYK1 1.5E+08TU/ml、TACmod 7.4E+07TU/ml、TCiAmod 8.4E+07TU/ml、TCtkA 1.2E+08TU/ml)。コントロールとして、GFPベクターは、MOI 2および10で、ヒトニューロンを形質導入するために使用した。形質導入が起こったことを確実にするために、GFPが形質導入された細胞は、GFP蛍光について評価し、研究の終わりに(形質導入後9日目)、画像を取り込んだ、またそれを図12aに示す。GFP蛍光細胞の高いパーセンテージは、MOI 2および10の両方で可視化され、両方のMOIでのGFPベクターによる形質導入が成功したことを示した。細胞上清は、形質導入後5日目(収集1)および9日目(収集2)に、カテコールアミンHPLC分析のために収集した。収集1でのHPLC分析からの結果を図12bに示す。収集2からのHPLCデータは、収集1から見られたものと同等であった(データ示さず)。
TCtkAにより形質導入された細胞は、L−ドパの有意な産生(pONYK1よりも>25倍高い)を示したが、低いドーパミン産生(pONYK1よりも低い)を示し、L−ドパのドーパミンへの非効率的な変換を示唆する。
最も高いレベルのドーパミン産生は、TCiAmodにより形質導入された細胞から観察され、これは、pONYK1により形質導入されたものと比較して、ドーパミン産生における7.4倍の改善を示した。さらに、L−ドパレベルは、ドーパミン産生量を超えず、L−ドパのドーパミンへの効率的な変換を示唆した。
HPLC分析に加えて、ウエスタンブロットは、様々なベクターにより形質導入されたヒト皮質ニューロンから発現されるTHおよびAADCタンパク質レベルを評価するために実行した。これらの結果を図13aおよびbに示す。ウエスタンブロットは、正確なサイズのドーパミン合成酵素(THおよびAADC)が、様々なベクターにより形質導入されたヒトニューロンから発現されることを実証した。
AADCのレベル(図13b)は、TCtkAにより形質導入された細胞からわずかに検出することができ、これは、上記に記載されるように、この構築物により形質導入された細胞についての高いL−ドパ:ドーパミン比について説明し得る。
実施例11−パーキンソン病の非ヒト霊長動物モデルにおけるTCiA(mod)およびpONYK1の行動上のおよびPET画像化の評価
進行中である研究のねらいは、MPTPにより処理された非ヒト霊長動物の行動上の回復について、2つの用量レベルのTCiA(mod)を、単一の用量レベルのpONYK1と比較することであり、そのうえ、18F−FMTおよび18F−ファリプリドPET画像化は、それぞれAADCまたはD2/D3受容体レベルを評価するために、手術の前におよび注射後3か月目に再び、すべて安定してパーキンソン病である動物に対して実行し、それぞれの放射性トレーサーの正常なベースラインレベルを決定するために、健康な動物をコントロールとして使用する。
4つのグループ、それぞれの4匹のMPTP病変m. ファスシクラリス(m. fasciularis)を、下記に記載されるように、ウイルスベクターにより治療する(MPTP病変およびベクター投与は、材料および方法において詳述される)。それぞれのグループは、ベクターの投与後6か月までの間、経過観察する。
グループ1由来の4匹の動物は、ベースライン18F−FMTおよび18F−ファリプリドPETスキャンを受ける。そのうえ、すべてのグループ由来のそれぞれの動物は、
* 1回のMRIベースラインスキャン
* 1か月のベースライン歩行活動のビデオベースの特徴づけ(Ethovisionによって評価)
* 2か月のMPTP中毒および歩行活動のビデオベースの評価(Ethovision)
* 1回のMPTP後の18F−FMT PETスキャン
* 1回のMPTP後の18F−ファリプリドPETスキャン
* 1回の経口L−ドパチャレンジ(challenge)および必要に応じた、1回の経口コントロールチャレンジ、それぞれ、Ethovision分析(6時間のフィルムにわたる)が後続
* ウイルス投与前に1回、血液サンプルを収集
* 脳にベクターを送達するための1回の外科的処置
* 3か月の、治療後の行動の経過観察(Ethovision)(0〜3か月)
* 治療の3か月後の1回のMRIスキャン
* 治療の3か月後の1回の18F−FMT PETスキャン
* 治療の3か月後の1回の18F−ファリプリドPETスキャン
* 治療の3か月後の、1回の経口L−ドパチャレンジおよび必要に応じた、1回の経口コントロールチャレンジ、それぞれ、Ethovision分析(6時間のフィルムにわたる)が後続
* さらに3か月の、治療後の行動の経過観察(Ethovision)(3〜6か月)** 安楽死の前に1回、血液サンプルを収集
* 安楽死(経心腔的灌流(transcardial perfusion)および脳摘出)
を受ける(詳細については材料および方法を参照されたい)。
NeuN、GFAP、lba1、AADC、CH1、およびTHまたはβgalについての染色を含む、死後の組織学的分析。
図14は、1/5用量のTCiA(OXB−102)が、臨床評価スコアによって評価されるように、パーキンソンの症状の改善において、pONYK1よりも有効であることを示す。コントロールであるEIAV−LacZにより治療された動物は、これらの時点までに、さらに重度に障害性となった。
図15のファリプリドPET画像は、OXB−102ベクターによる治療後に減少する、ベースラインと比較した、MPTP病変後のドーパミンD2/D3受容体の相対的な増加を示す。FMT PET画像は、OXB−102ベクターによる治療後に被殻において増加する、ベースラインと比較した、MPTP病変後の被殻におけるAADC発現の相対的な減少を示す。
材料および方法
細胞株
一過性のトランスフェクションに使用したHEK293T細胞は、M Calos(Stanford University)から得た。HEK293T細胞は、PAAから得られ、2mM L−グルタミン(Sigma、Cat.G7513)および1%非必須アミノ酸(Sigma、M7145)が補足された、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FCS)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)(Sigma、Poole、UK、Cat.D5671)において維持した。
ラット線条体ニューロン
線条体は、以前に記載されるように(Mazarakisら、2001)、ウィスターラット(胎児18日目)から摘出し、線条体をプールし、培養物を、以前に記載されるように(Azzouzら、2002)、調製した。結果として生じる培養物は、500μl
Neurobasal培地中で、ウェル当たり7.5E+04細胞の密度で24ウェルプレートに平板培養し、5%COを含有する37℃インキュベーターにおいて維持した。
形質導入前に、培地をそれぞれのウェルから除去し、組み合わせ、250μlをそれぞれのウェルに追加し戻し、これにより、それぞれのウェルが、等量の条件培地を含有することを確実にした。MOI 1を実現するために必要とされるベクターの量を、二通りまたは三通り、それぞれのウェルに追加した。ネガティブコントロールについては、線条体ニューロンの2つのウェルを、MOI 1で、GFP発現ベクターにより形質導入した(pONYK−GFP、ロット:KG120310)。形質導入の3〜6時間後に、250μl培地をそれぞれのウェルに追加した。
カテコールアミン産生量を測定するために、ニューロン培養物を、L−チロシンを100uMの最終濃度でそれぞれのウェルに追加した形質導入後の4日間、培養し、培養物を一晩、インキュベートした。翌朝、400μlのニューロン培養上清を収集し、40μlの2M過塩素酸および40μlのピロ亜硫酸ナトリウムを含有するチューブの中に入れ、サンプルは、前に論じられるように、HPLC検出によるカテコールアミン分析のためにプロセシングした。
ヒト初代皮質ニューロン
ヒト凍結保存ニューロンは、Innoprot(Cat.P10151、ロット.6195、5E+06細胞/バイアル)から得た。24ウェルプレートは、2ug/cmで、ポリ−L−リシン(PLL)コーティングした(Innoprot、Cat.PLL)。ヒトニューロンを解凍し、ニューロン増殖剤(NGS)およびペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Innoprot Cat.P60157)を補足した無血清ニューロン培地において1.2E+06細胞/mlの密度まで再懸濁した。希釈したニューロン懸濁液は、50μlの全容量で、6E+04細胞/ウェルで、PLLコーティングプレートのウェルの中心に追加した。プレートは、ニューロンを付着させるために、30分間、37℃でインキュベートし、その後、ウェルは、0.5mlの完全ニューロン培地により洗われた。細胞は、形質導入前の4日間、37℃でインキュベートした。形質導入前に、培地をそれぞれのウェルから除去し、組み合わせ、250μlをそれぞれのウェルに追加し、これにより、それぞれのウェルが、等量の条件培地を含有することを確実にした。MOI
0.4を実現するために必要とされるベクターの量を、三通り、それぞれのウェルに追加した。コントロールとして、ニューロンは、MOI 2および10で、GFP発現ベクターにより形質導入した(pONYK−GFP、ロット:KG290711)。形質導入の3〜6時間後に、250μl培地をそれぞれのウェルに追加した。
カテコールアミン産生量を測定するために、ニューロン培養物を、L−チロシンを100uMの最終濃度でそれぞれのウェルに追加した形質導入後の4日間、培養し、培養物を一晩、インキュベートした。翌朝、300μlのニューロン培養上清を収集し、30μlの2M過塩素酸および30μlのピロ亜硫酸ナトリウムを含有するチューブの中に入れ、サンプルは、前に論じられるように、HPLC検出によってカテコールアミン分析のためにプロセシングした。GFPベクターにより形質導入されたコントロールニューロンサンプルは、形質導入が起こったことを確実にするために、GFP蛍光について分析し、画像を取り込み、記録に残した。
プラスミド
最小限のpONYK1ゲノムプラスミドは、pONY8.9.4TY(KanR遺伝子を含有する)として、最近になって、記載された(Jarrayaら、2009 Science Translational Medicine 1、2ra4)。このプラスミドは、Azzouz Mらによって、さらに詳細に記載されるpONY8.0Tに基づくものである(Azzouzら、2002 J Neurosci 22、10302−10312)。手短に言えば、pONYK1は、(順に)Neo、内部CMVプロモーター、切断型コドン最適化ヒトチロシンヒドロキシラーゼ(TH)、EMCV配列内リボソーム進入部位(IRES)、コドン最適化ヒト芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)、ポリオウイルスIRES、GTP−シクロヒドロラーゼI(GTP−CH1)、およびヤマネズミ肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を含有するカセットが挿入されたEIAV SINベクターゲノムである。2つの融合された遺伝子および1つのPV IRESエレメントを含有する融合プラスミド(図1:pONYK−ATiC、pONYK−TAiC、pONYK−TCiA、pONYK−CTiA、およびpONYK−AiTC)は、合成されたDNA(GeneArt、Germany)の領域を、トリシストロンカセットの中に挿入し、EMCV IRES領域および第1の遺伝子の終止コドンをGS15リンカーと交換することによって、生成した。GS15リンカーは、4×グリシンアミノ酸、その後に続く1×セリンアミノ酸が3回繰り返され、これにより、15アミノ酸のリンカーが得られる。このGS15リンカーについてDNA配列は、以下のとおりである:
GGGGGAGGCGGTAGCGGCGGAGGGGGCTCCGGCGGAGGCGGGAGC 。
3重融合構築物(図1:pONYK−ATCおよびpONYK−TCA)を生成する場合、PV IRESエレメントを第2のGS15リンカーと交換した。GS15リンカーはまた、アミノ酸配列は変わらないが、DNA配列が異なるという点で、修飾した(GS15mod)。新しいGS15modリンカーDNA配列は、以下のとおりである:
GGAGGTGGCGGGTCCGGGGGCGGGGGTAGCGGTGGCGGGGGCTCC。
このGS15modリンカーを、3重融合構築物の中にクローニングし、未修飾GS15リンカーのうちの1つと交換した(図1:pONYK−ATCmodおよびpONYK−TCAmod)。
本研究において使用されるVSV−GエンベロープおよびEIAV合成Gag/Polプラスミドは、それぞれ、pHGおよびpESGPKとした。
ウイルスベクター産生
HEK293T細胞は、トランスフェクションの24時間前に、3.5×10細胞/皿の密度で10cm皿の中に接種した。ベクター産生は、メーカーの説明書に従って、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen、Cat.12566−101)によって媒介された。手短に言えば、以下の量のプラスミドを、340μl OptiPRO(商標)(Gibco、Cat.12309−019)に追加した:4μgゲノムプラスミド(図1を参照されたい)、2μg pESGPK、および0.08μg pHG。次いで、このDNAミックスを、25μl Lipofectamine(商標)CD 2000および315μl OptiPRO(商標)を含有するミックスに追加した。トランスフェクションの14〜18時間後に、酪酸ナトリウムを、10mMの最終濃度まで追加した。培地は、酪酸ナトリウム誘発の6〜8時間後に変え、21〜23時間後に、ベクターを収集し0.45μmシリンジフィルターでろ過した。形質導入単位/ml(TU/ml)のベクター力価を、組み込み(DNA)力価アッセイによって評価した。
生化学アッセイ
様々な融合構築物によってコードされるカテコールアミン酵素の機能性について試験するために、チロシンのドーパミンへの変換を測定する生化学アッセイを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して実行した。このアッセイを実行するために、HEK293T細胞は、10μg ml−1ポリブレン(Sigma、cat. No.H9268)の存在下において、試験ベクターおよびPONYK1コントロールにより形質導入した。これらの細胞を3日間培養し、次いで、10分の1の細胞を、カテコールアミン生化学アッセイのための細胞を接種するために使用し、残りの細胞は、組み込み(DNA)力価アッセイによる分析のためにさらに継代した(上記を参照されたい)。2日後に、生化学アッセイのために接種した細胞の培地は、100mMの最終濃度でL−チロシン(Sigma、Cat. No.T1145)を補足した培地と交換し、細胞を一晩、培養した。翌朝、800μlの細胞培養上清を収集し、80μlの2M過塩素酸(Sigma、Cat. No.244252)および80μlのピロ亜硫酸ナトリウム(Sigma、Cat. No.S9000)を含有するチューブの中に入れた。サンプルを完全に混合し、一旦沈殿が形成されたら、サンプルを、あらゆるデブリを除去するために10分間、10,000xgで遠心分離した。次いで、別個のチューブに上清を取り出し、HPLC分析を実行することができるまで−80℃のフリーザーにおいて凍結させた。収集の時の細胞の数をさらに確かめた。
予備HPLC分析 サンプルは、解凍し、0.2μM超高純度PTFEフィルター(Millipore、Cat. No.UFC30LG25)でろ過した。上清は、HPLCカテコールアミン標準物質と共に、ESA Coulochem II電気化学的検出器(ESA Analytical)が装備されたHPLCシステム(Dionex)にかけた。カテコールアミンは、1.5ml/分の流量で、Cat−A−Phase(ESA Analytical)により平衡化したC−18逆相カラム(ESA Analytical)を使用して、分離し、次いで、電気化学的に検出した。このHPLCアッセイは、L−ドパ、ジヒドロキシフェニール酢酸(dihydroxyohenylacetic acid)(DOPAC)、およびドーパミン(DA)の検出のために最適化し、結果は、組み込みベクターゲノムの10のコピー当たりのL−ドパ、DOPAC、またはDAのngの数として表す。
ウエスタンブロット分析による、カテコールアミンを放出する酵素の検出
ベクター構成成分により一過性にトランスフェクトしたHEK293T細胞は、分画バッファー(0.1M Tris.Cl、pH7.3、0.2%(v/v)Nonidet
P40(BDS、cat. No.56009)中に溶解した。総タンパク質濃度を確かめ、10μgを、4〜20%ポリアクリルアミド変性ゲル(Invitrogen、Cat. No.EC60285BOX)上にロードした。ウェスタンブロッティングは、以下のうちの1つを使用して実行した:抗CH1抗体(Dr E. Werner、Austriaから得た)、抗TH抗体(Chemicon、Livingstone、UK、Cat.AB152)、または抗AADC抗体(Chemicon、Cat.AB136)。一次抗体インキュベーションの後に、ペルオキシダーゼコンジュゲート抗ウサギ二次抗体(DAKO、Ely、UK、Cat.P0448)とのインキュベーションを続けた。可視化は、ECL Advance Western Blotting Detection Kitにより実行した(GE Healthcare UK Ltd、Little Chalfont、Cat.RPN2135)。
ビデオ録画およびEthovision分析
ビデオケージ(フィルムは必要としなかった)に対する慣らしを、それぞれ30分間の3回のセッションにわたって実行する。ベースラインの運動の定量化は、Media Recorder収集ソフトウェア(Noldus)を使用して、特注品のビデオケージにおいて記録した、5回の30分間のビデオによって評価する。ビデオはすべて、ビデオ追跡ソフトウェア、Ethovision(Noldus)を使用して分析する。それぞれの動物のベースライン歩行活動は、MPTP中毒が始まる前に収集した最後の3つのビデオについて、総移動距離(TDT)として計算した平均歩行活動からなる。経口L−ドパによるチャレンジは、MPTP中毒前のベースライン時に実行しない。
MPTP中毒
動物(1回に4匹まで)を、筋肉内投与を介して7日間、0.2mg/kg MPTPの用量により処理し、新たなMPTPサイクルの開始前に少なくとも5日間休ませる。MPTPサイクルは、歩行活動が平均ベースライン活動の80〜90%まで低下するまで繰り返し、臨床スコアは、少なくとも8/14とする。少なくとも3週間の安定性のパーキンソン病の行動上のスコアは、PETスキャンおよび/またはウイルスベクターによる治療を実行する前に必要とされる。臨床スコアリングは、PapaおよびChaseから改良したものであり(Papa and Chase 1996 Ann. Neurol
39、574−578)、MPTP中毒の開始に際して、また、ウイルスベクターによる治療まで、一日単位で、MPTPにより誘発された運動障害をモニターするために使用する。30分間のビデオは、歩行活動を定量化するために、最後のMPTP注射後の3日目からスタートして毎週の単位で収集する。一旦、動物が、3週間、安定してパーキンソン病であることが評価されたら(TDT偏差≦15%)、L−ドパチャレンジおよび必要に応じて、別個のネガティブコントロールチャレンジを実行し、動物は、OFF時間の30分間のビデオと比較するための、最良の30分間のON期間を決定するために、Ethovision分析のために6時間、フィルムに記録する。
体重減少が12%を超過する場合、動物は、看病し、胃管栄養法(経口的に)によって栄養を補充する。
画像化研究
MRI:3D T2強調画像を使用する定位MRIは、注射座標を確立するために手術の前に収集する。画像はすべて、100mT/m(300μs立ち上がり時間)に達する傾斜磁場コイルおよび円形高周波1Hコイル(12cm内径)を装備した7テスラ水平システム(Varian−Agilent Technologies、USA)上で収集する。
PET:一旦それらが、上記に記載されるように、安定してパーキンソン病であることが評価されたら、18F−FMTおよび18F−ファリプリドスキャンを、すべての動物に対して実行する。最初に、研究を通じて適用される定量化方法を確立するために、4匹の健康なコントロール動物を、18F−FMTおよび18F−ファリプリドの両方により画像化する。スキャンは、1.5mm軸方向分解能および4%感度を有するFOCUS 220 PETスキャナー(Siemens)を使用して、プロポフォール麻酔薬下で実行する。動物は、異なるトレーサーの間で放射性崩壊を可能にするために、異なる日に、二つ一組で画像化される。
外科手術
ベクターを、それぞれの半球の被殻の中に注射する(m. ファスシクラリスの脳地図から計算する)。それぞれの半球について、50μLの1回目の注射は、前交連から1mm尾側とする。50μLの2回目の注射は、前交連から4mm尾側とする。2×50μL沈積物/半球の注射は、100μL Hamiltonガラスシリンジに付けられた28ゲージ51mm長ブラントステンレス鋼針を使用して、プロポフォール麻酔下で3μL/分の流量で行った。ベクター沈積物の正確な位置決めを確実にするために、ガイドチューブもまた使用する。
治療後の行動の経過観察
看護は、必要に応じて継続する。
30分間のビデオ録画は、外科手術の3週間後からスタートして毎週撮り、外科手術の3か月後に終える。外科手術後の3〜6か月、30分間のビデオ録画を、2週間ごとに撮る。臨床スコアリングは、外科手術後0〜3か月間、毎週、また、外科手術後3〜6か月間、2週間ごとに実行する。臨床評価スコア評価は、Jarrayaら 2009、Science Translational Medicine 1:2ra4において記載される。
MRIスキャン、18F−FMTおよび18F−ファリプリドPETスキャンはすべて、外科手術の3か月後に実行する。L−ドパチャレンジもまた、外科手術の3か月後に実行し、動物は、Ethovision分析のために6時間、フィルムに記録する。ネガティブコントロールチャレンジもまた、必要に応じて実行し、その後にEthovision分析を続ける。
死後の分析
安楽死の後に、脳を摘出し、抗体およびβgalによる染色の前にプロセシングする。
上記の本明細書において言及される刊行物はすべて、参照によって本明細書において組み込まれる。本発明の記載される方法および系の様々な修飾および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者らに明らかになるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載したが、主張される本発明がそのような特定の実施形態に不当に限定されないことが理解されたい。実際、分子生物学、ウイルス学、神経生物学、または関係する分野における当業者らに明らかな、本発明を実行するための記載されるモードの様々な修飾は、以下の請求項の範囲内にあるように意図される。

Claims (14)

  1. (i)チロシンヒドロキシラーゼ(TH)をコードするヌクレオチド配列、(ii)GTP−シクロヒドロラーゼI(CH1)をコードするヌクレオチド配列、および(iii)芳香族アミノ酸ドーパデカルボキシラーゼ(AADC)をコードするヌクレオチド配列を含む構築物であって、TH−AADCまたはAADC−TH融合タンパク質をコードするように、AADCをコードする前記ヌクレオチド配列が、THをコードする前記ヌクレオチド配列に対して作動可能に連結されており、前記構築物は、
    以下:
    TH −L− AADC −L− CH1、
    TH −L− AADC −IRES− CH1、および
    AADC −L− TH −IRES− CH1
    から選択され、ここで、
    Lは、リンカーコード配列であり、
    IRESは、配列内リボソーム進入部位である、構築物
  2. TH−L−AADC−L−CH1である、請求項に記載の構築物。
  3. TH−L−AADC−IRES−CH1である、請求項に記載の構築物。
  4. AADC−L−TH−IRES−CH1である、請求項に記載の構築物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の構築物を含むウイルスベクターゲノム。
  6. 請求項に記載のゲノムを含むウイルスベクター系。
  7. レンチウイルスベクター系またはアデノ随伴ウイルスベクター系である、請求項に記載のウイルスベクター系。
  8. 以下:
    (i)請求項に記載のゲノム、
    (ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、
    (iii)(ii)のヌクレオチド配列によってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列
    を含む、請求項に記載のレンチウイルスベクター系。
  9. レンチウイルスベクター粒子を産生するための方法であって、前記方法は、産生細胞の中に、以下:
    i)請求項に記載のゲノム、
    ii)gagタンパク質およびpolタンパク質をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列、ならびに
    iii)ii)のヌクレオチド配列のうちの1つまたはそれより多くによってコードされない、他の不可欠なウイルスパッケージング構成成分をコードするヌクレオチド配列
    を導入するステップを包含する、方法。
  10. 請求項のいずれか一項に記載の系または請求項に記載の方法によって産生されるウイルス粒子であって、前記ウイルス粒子は、請求項5に記載のゲノムを含む、ウイルス粒子。
  11. EIAVベクター粒子であり、水疱性口内炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質(VSV−G)によりシュードタイプされた、請求項10に記載のウイルスベクター粒子。
  12. 薬学的に許容され得るキャリアまたは希釈剤と一緒に、請求項10または11に記載のウイルス粒子を含む、薬学的組成物。
  13. インビボにおけるドーパミン合成を誘発することによって、被験体における神経変性疾患を治療するおよび/または予防するのに使用するための、請求項10もしくは11に記載のウイルス粒子を含む薬学的組成物または請求項12に記載の薬学的組成物。
  14. 前記神経変性疾患が、パーキンソン病である、請求項13に記載の薬学的組成物。
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