[1]第1実施例
図1は第1実施例に係るコンテンツ配信システム1の全体構成を表す。コンテンツ配信システム1は、ユーザが利用するユーザ端末に対してコンテンツを配信するシステムである。コンテンツ配信システム1においては、ユーザが自動車等の車両に乗車して移動するときに、その車両とともに移動するユーザ端末に対してコンテンツを配信することが想定されている。
コンテンツ配信システム1は、ネットワーク2と、スマートフォン10と、配信サーバ装置20とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網やインターネットなどを含み、装置同士のデータのやり取りを仲介する。ネットワーク2には、スマートフォン10が移動体通信で接続され、配信サーバ装置20が有線(無線でもよい)で接続されている。
スマートフォン10は、道路の上を走行する車両3に乗車するユーザが利用するユーザ端末であり、車両3とともに移動する。スマートフォン10は本発明の「端末」の一例である。スマートフォン10には、コンテンツ配信システム1で配信されるコンテンツの受信や出力を行うためのプログラムである配信アプリが記憶されている。スマートフォン10は、配信アプリの機能により、自装置の位置を示す位置情報を定期的に配信サーバ装置20に送信する。
配信サーバ装置20は、ユーザ端末にコンテンツを配信する。配信サーバ装置20は、例えば、交通規制や渋滞などの有無を表す交通情報をコンテンツとして配信する。また、配信サーバ装置20は、他にも、店舗で利用可能なクーポンや店舗での人気商品、特売の時間帯などの店舗関連情報をコンテンツとして配信する。配信サーバ装置20は、スマートフォン10から送信されてくる位置情報が示す位置に基づき、車両3が特定の場所に接近したことを契機としてその場所に対応付けられたコンテンツを配信する。
配信サーバ装置20は、スマートフォン10からの位置情報を定期的に受信すると、そのときに配信すべきコンテンツがあれば、位置情報の送信に対する応答でコンテンツを配信する。このように位置情報とコンテンツがやり取りされる定期的な通信のことを「定期通信」という(ただしコンテンツは毎回配信されるわけではない)。定期通信は、例えば1分間に数回の頻度で行われる。コンテンツ配信システム1においては、スマートフォン10と配信サーバ装置20とが定期通信を行いながら、必要に応じてコンテンツが配信される。
図2はスマートフォン10のハードウェア構成を表す。スマートフォン10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、NIC(Network Interface Card)14と、ストレージ15と、タッチスクリーン16と、スピーカ17と、GPS(Global Positioning System)モジュール18を備えるコンピュータである。CPU11は、RAM12をワークエリアとして用いてROM13やストレージ15に記憶されているプログラムを実行することで各部の動作を制御する。NIC14は、移動体通信に準拠した無線通信を行う通信回路を有し、ネットワーク2を介して外部装置と通信を行う。
ストレージ15は、例えばフラッシュメモリであり、CPU11が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。タッチスクリーン16は、自装置の表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを備え、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。スピーカ17は、デジタル・アナログ変換器及びスピーカユニット等を備え、CPU11から供給された音データを信号に変換し、その音データが示す音をスピーカユニットから放出する。GPSモジュール18は、GPS衛星からの信号を用いて自身の位置を測定するセンサである。GPSモジュール18は、測定した位置を緯度及び経度で表す位置データをCPU11に供給する。
図3は配信サーバ装置20のハードウェア構成を表す。配信サーバ装置20は、CPU21と、RAM22と、ROM23と、NIC24と、ストレージ25とを備えるコンピュータである。CPU21、RAM22、ROM23、NIC24は、図2に表す同名のハードウェアとそれぞれ共通するものである。ストレージ25は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。ストレージ25は、CPU21が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。
コンテンツ配信システム1が備える各装置のCPUがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる機能が実現される。
図4はコンテンツ配信システム1が実現する機能構成を表す。スマートフォン10は、測位部101と、ルート案内部102と、装置ID記憶部103と、端末情報定期送信部104と、コンテンツ受信部105と、出力条件判定部106と、コンテンツ出力部107とを備える。配信サーバ装置20は、端末情報受信部201と、走行予定ルート特定部202と、変更条件判断部203と、配信領域変更部204と、端末位置特定部205と、コンテンツ特定部206と、コンテンツ読出部207と、コンテンツ記憶部208と、移動速度特定部209と、出力条件決定部210と、コンテンツ送信部211とを備える。
スマートフォン10の測位部101は、自装置の位置を繰り返し測定する。測位部101は、例えば、上述した定期通信よりも短い時間間隔(例えば1分間に数十回)で繰り返し位置を測定する。測位部101は、位置を測定すると、その度に、測定した位置を示す位置情報をルート案内部102、端末情報定期送信部104及び出力条件判定部106に供給する。
ルート案内部102は、車両3の現在地からユーザが設定した目的地までのルートを案内する、いわゆるナビゲーション機能である。ルート案内部102は、例えばタッチスクリーン16に地図を表示して、その地図上でユーザが指定した位置に対応する地点を目的地として設定する。ルート案内部102は、測位部101から供給された位置情報が表す位置を現在地として、設定された目的地までのルートを決定する。ルート案内部102は、決定したルートを地図上に表示して目的地までのルートを案内する。また、ルート案内部102は、決定したルートを表すルート情報(例えばルート上の各地点の位置情報を並べたリスト)を記憶する。
装置ID記憶部103は、自装置を識別する識別情報として、装置ID(Identification)を記憶する。装置IDとしては、例えばIMSI(International Mobile Subscriber Identity)などが用いられる。
端末情報定期送信部104は、自装置に関する情報である端末情報を配信サーバ装置20に対して定期的に送信する。端末情報定期送信部104は、測位部101から位置情報が供給されると、ルート案内部102からはルート情報を、装置ID記憶部103からは装置IDを読み出し、位置情報、ルート情報及び装置IDを含む情報を端末情報として、予め記憶している配信サーバ装置20の宛先に向けて送信する。
配信サーバ装置20の端末情報受信部201は、ユーザ端末に関する情報である端末情報を受信する。なお、本実施例ではスマートフォン10は1台しか登場しないが、端末情報受信部201は、複数のスマートフォン10からそれぞれ送信されてくる端末情報を受信することもある。その場合、各端末情報に含まれる装置IDによって、どのスマートフォン10から送信されてきた端末情報であるかが識別される。端末情報受信部201は、スマートフォン10から送信されてきた端末情報を受信すると、受信した端末情報を走行予定ルート特定部202、端末位置特定部205及び移動速度特定部209に供給する。
走行予定ルート特定部202は、ユーザ端末とともに移動する車両の走行予定ルート、すなわちその車両が走行する予定になっているルートを特定する。走行予定ルート特定部202は、端末情報受信部201から端末情報が供給されると、供給された端末情報に含まれるルート情報が表すルートを、ユーザ端末であるスマートフォン10とともに移動する車両3の走行予定ルートとして特定する。走行予定ルート特定部202は、特定したルートを表すルート情報を変更条件判断部203に供給する。
変更条件判断部203は、コンテンツに対応付けられた配信領域を変更する条件(以下「変更条件」という)が満たされているか否かを判断する。配信領域とは、その領域に到達したユーザ端末に対してその領域に対応付けられたコンテンツを配信するものとして定められた領域である。
図5は配信領域の一例を表す。図5の例では、車両3の前方にある交差点4の先に店舗5及び店舗6が位置している。
店舗5は、車両3が交差点を直進した場合のルートA1沿いに位置しており、店舗6は、車両3が交差点を右折した場合のルートA2沿いに位置している。配信領域B11は、店舗5が提供するコンテンツC1に対応付けられた配信領域のうちの1つであり、店舗5を中心とする半径D11の領域である。コンテンツC1に対応付けられた配信領域は後述するように他にもあるが、配信領域B11はそれらの配信領域のうちでも基準となる形及び大きさを有する配信領域である。
配信領域B21は、店舗6が提供するコンテンツC2に対応付けられた配信領域であり、店舗6を中心とする半径D21の領域である。配信領域B21は、コンテンツC2に対応付けられた配信領域のうちの基準となる形及び大きさを有する配信領域である。変更条件判断部203は、変更条件が満たされたか否かを判断するため、基準の配信領域と変更条件とを対応付けた変更条件テーブルを用いる。
図6は変更条件テーブルの一例を表す。図6の例では、「B11(半径D11)」という基準の配信領域に「走行予定ルートがルートA2を含む」という変更条件が対応付けられており、「B21(半径D22)」という基準の配信領域に「走行予定ルートがルートA1を含む」という変更条件が対応付けられている。変更条件判断部203は、走行予定ルート特定部202から供給されたルート情報が表す走行予定ルートにルートA2が含まれていれば、配信領域B11の変更条件が満たされたと判断する。
また、変更条件判断部203は、供給されたルート情報が表す走行予定ルートにルートA1が含まれていれば、配信領域B21の変更条件が満たされたと判断する。以上のとおり、変更条件判断部203は、本実施例では、ルート情報、すなわち車両の走行予定ルートを表す情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。このルート情報は、ユーザ端末とともに移動する車両(ユーザが乗車している車両でもある)の状態に関する情報(以下「車両情報」という)の1つである。変更条件判断部203は、変更条件が満たされたと判断した基準の配信領域を配信領域変更部204に通知する。
配信領域変更部204は、変更条件判断部203により変更条件が満たされたと判断された場合に、コンテンツに対応付けられた配信領域を変更する。変更条件判断部203及び配信領域変更部204が協働することで、本発明の「変更部」として機能する。配信領域変更部204は、変更条件判断部203から通知された配信領域、すなわち変更条件が満たされた基準の配信領域を変更する。図6に表す変更条件テーブルでは、基準の配信領域と、変更条件が満たされた場合の変更後の配信領域の半径とが対応付けられている。例えば配信領域B11(半径D11)には半径D12(D11>D12)が対応付けられ、配信領域B21(半径D21)には半径D22(D21>D22)が対応付けられている。配信領域変更部204は、基準の配信領域を、それに対応付けられている半径の配信領域に変更する。
図7は変更された配信領域の一例を表す。図7の例では、車両3の走行予定ルートにルートA2が含まれているものとする。この場合、変更条件判断部203は、図5に表す基準の配信領域B11の変更条件が満たされたと判断するので、配信領域変更部204は、基準の配信領域B11(半径D11)を、それよりも小さい半径D12の配信領域B12に変更している。
配信領域B11には、図5に表すように交差点4が含まれていたが、配信領域B12には、図7に表すように交差点4が含まれていない。そのため、車両3が走行予定ルートどおりに走行すれば、車両3とともに移動するスマートフォン10が、コンテンツC1に対応付けられた配信領域である配信領域B12には到達することがなく、コンテンツC2に対応付けられた配信領域である配信領域B21には交差点4の手前で到達する。
図8は変更された配信領域の別の一例を表す。図8の例では、車両3の走行予定ルートにルートA1が含まれているものとする。この場合、変更条件判断部203は、図5に表す基準の配信領域B21の変更条件が満たされたと判断するので、配信領域変更部204は、基準の配信領域B21(半径D21)を、それよりも小さい半径D22の配信領域B22に変更している。
配信領域B21には、図5に表すように交差点4が含まれていたが、配信領域B22には、図8に表すように交差点4が含まれていない。そのため、車両3が走行予定ルートどおりに走行すれば、車両3とともに移動するスマートフォン10が、コンテンツC2に対応付けられた配信領域である配信領域B22には到達することがなく、コンテンツC1に対応付けられた配信領域である配信領域B11には交差点4の手前で到達する。配信領域変更部204は、変更した配信領域をコンテンツ特定部206に供給する。
端末位置特定部205は、ユーザ端末の位置を特定する機能であり、本発明の「特定部」の一例である。端末位置特定部205は、端末情報受信部201から端末情報が供給されると、供給された端末情報に含まれる位置情報が示す位置を、ユーザ端末であるスマートフォン10の位置として特定する。端末位置特定部205は、特定した位置をコンテンツ特定部206に供給する。
コンテンツ特定部206は、基準の配信領域及び配信領域変更部204により変更された配信領域のうち、端末位置特定部205により特定されたユーザ端末の位置を含む配信領域に対応付けられたコンテンツを特定する。コンテンツ特定部206は、例えば図7の例であれば、車両3が配信領域B21に到達した後に測定された自装置の位置情報を含む端末情報をスマートフォン10が送信してきた場合に、その位置情報が示す位置を含む配信領域B21に対応付けられたコンテンツであるコンテンツC2を特定する。なお、図7の例では、スマートフォン10が配信領域B12に到達することがないので、配信領域B12に対応付けられたコンテンツであるコンテンツC1は特定されない。
また、コンテンツ特定部206は、図8の例であれば、車両3が配信領域B11に到達した後に測定された自装置の位置情報を含む端末情報をスマートフォン10が送信してきた場合に、その位置情報が示す位置を含む配信領域B11に対応付けられたコンテンツであるコンテンツC1を特定する。図8の例では、スマートフォン10が配信領域B22に到達することがないので、配信領域B22に対応付けられたコンテンツであるコンテンツC2は特定されない。
コンテンツ特定部206は、コンテンツを特定すると、特定したコンテンツの名称をコンテンツ読出部207及び出力条件決定部210に供給する。コンテンツ読出部207は、コンテンツ特定部206により特定されたコンテンツを、コンテンツ記憶部208から読み出す。コンテンツ記憶部208は、複数のコンテンツを記憶している。コンテンツ記憶部208には、配信サーバ装置20の運用者の作業により、店舗等から提供された店舗関連情報がコンテンツとして格納されている。また、配信サーバ装置20には、図示せぬ交通システムから交通情報が送信されてくるようになっており、コンテンツ記憶部208は、送信されてきた交通情報をコンテンツとして記憶する。コンテンツ読出部207は、読み出したコンテンツをコンテンツ送信部211に供給する。
移動速度特定部209は、スマートフォン10が移動する速度を特定する。移動速度特定部209は、端末情報受信部201から供給された端末情報に含まれる位置情報を、供給された時刻に対応付けて記憶する。移動速度特定部209は、例えば前回記憶した位置情報が示す位置と今回記憶した位置情報が示す位置との距離を算出し、算出した距離を、両位置情報に対応付けた時刻の差分で除した値を、スマートフォン10の移動速度として特定する。移動速度特定部209は、特定した移動速度を出力条件決定部210に供給する。
出力条件決定部210は、コンテンツを出力する条件である出力条件を決定する。出力条件決定部210は、本実施例では、上述した車両情報(ユーザ端末とともに移動する車両の状態に関する情報)の1つである車両の移動速度(つまり車速)に応じた条件を出力条件として決定する。出力条件決定部210は、本実施例では、車速と出力条件とを対応付けた出力条件テーブルを用いて出力条件を決定する。出力条件決定部210は、各コンテンツに対応する出力条件テーブルを記憶しており、コンテンツ特定部206から供給された名称のコンテンツに対応する出力条件テーブルを読み出して用いる。
図9は出力条件テーブルの一例を表す。図9では、コンテンツ特定部206により特定されたコンテンツに対応する出力条件テーブルが表されているものとする。図9の例では、「閾値Th11未満」という車速に「店舗(緯度x1、経度y1)までの距離がL1」という出力条件が対応付けられており、「閾値Th11以上」という車速に「店舗(緯度x1、経度y1)までの距離がL2」という出力条件が対応付けられている(各距離の大小関係はL1<L2)。ここでいう距離は、例えば店舗との直線距離である。距離L1及びL2は、コンテンツが配信された後に出力条件が満たされるようにするため、特定されたコンテンツに対応付けられた配信領域(基準の配信領域又は変更された配信領域)の半径よりも小さい値となっている。
出力条件決定部210は、移動速度特定部209からスマートフォン10の移動速度が供給されると、供給された移動速度を車速とみなし、この車速に出力条件テーブルで対応付けられている出力条件を決定する。出力条件決定部210は、例えばTh11未満の移動速度が供給されると、「閾値Th11未満」に対応付けられている「店舗(緯度x1、経度y1)までの距離がL1」という出力条件を決定する。出力条件決定部210は、こうして車両情報に応じた出力条件を決定し、決定した出力条件をコンテンツ送信部211に供給する。
コンテンツ送信部211は、コンテンツ特定部206により特定されたコンテンツをユーザ端末に送信する。つまり、コンテンツ送信部211は、端末位置特定部205により特定されたユーザ端末の位置が配信領域に含まれる場合に、その配信領域に対応付けられたコンテンツ(特定されたコンテンツ)を、そのユーザ端末に送信する。コンテンツ送信部211は、コンテンツを送信する際に、そのコンテンツを出力する出力条件もともに送信する。コンテンツ送信部211は本発明の「送信部」の一例である。
コンテンツ送信部211は、コンテンツ読出部207からコンテンツ(すなわちコンテンツ特定部206により特定されたコンテンツ)が供給され、出力条件決定部210から出力条件が供給されると、それらのコンテンツ及び出力条件を含む情報を、定期通信で送信する定期通信情報として、端末情報の送信元であるスマートフォン10に対して送信する。
スマートフォン10のコンテンツ受信部105は、配信サーバ装置20から配信されるコンテンツを受信する。コンテンツ受信部105は、コンテンツ送信部211が送信したコンテンツを含む定期通信情報を受信すると、受信した定期通信情報を出力条件判定部106に供給する。
出力条件判定部106は、コンテンツの出力条件が満たされたか否かを判定する。出力条件判定部106には、上述したように測位部101から測定された自装置の位置を示す位置情報が繰り返し供給されてくる。出力条件判定部106は、例えば「店舗(緯度x1、経度y1)までの距離がL1」という出力条件が供給された場合、測位部101から供給された位置情報が示す位置と、出力条件で表されている店舗の位置(緯度x1、経度y1)との距離を算出し、算出した距離がL1以下になった場合に、出力条件が満たされたと判定する。出力条件判定部106は、出力条件が満たされたと判定すると、供給された定期通信情報に含まれているコンテンツをコンテンツ出力部107に供給する。
コンテンツ出力部107は、出力条件判定部106により出力条件が満たされたと判定された場合に、コンテンツ受信部105が受信したコンテンツを出力する。
図10は出力されたコンテンツの一例を表す。図10の例では、コンテンツ出力部107が、「店舗A(○○県○○市○○町)で利用可能なクーポンが届きました」、「クーポンの内容:商品30%オフ」という文字列によって表されたコンテンツC1(図5に表す店舗5が提供するコンテンツ)を自装置の表示手段であるタッチスクリーン16に出力している。本実施例では、車両3の車速によって出力条件が異なっているため、コンテンツが出力されるタイミングも車両3の車速によって変化する。なお、コンテンツ出力部107は、コンテンツを文字列で出力するだけではなく、音声で出力してもよい。
図11はコンテンツの出力タイミングの例を表す。図11(a)では、車両3が閾値Th11未満の速度V1で移動しているため、スマートフォン10と店舗5との距離がL1のときにコンテンツが出力されている。図11(b)では、車両3が閾値Th11以上の速度V2で移動しているため、スマートフォン10と店舗5との距離がL2(L2>L1)のときにコンテンツが出力されている。
コンテンツ配信システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、ユーザにコンテンツを提供するコンテンツ提供処理を行う。
図12はコンテンツ提供処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザがスマートフォン10を操作して配信アプリを起動させることを契機に開始される。まず、スマートフォン10(測位部101)は、自装置の位置を測定する(ステップS11)。
次に、スマートフォン10(ルート案内部102)は、ユーザが目的地を設定する操作に基づいて、走行予定ルートを表すルート情報を生成する(ステップS12)。続いて、スマートフォン10(端末情報定期送信部104)は、測定された位置を示す位置情報とルート情報とを含む端末情報を生成して配信サーバ装置20に送信する(ステップS13)。配信サーバ装置20(走行予定ルート特定部202)は、受信された端末情報に含まれるルート情報に基づいてスマートフォン10とともに移動する車両3の走行予定ルートを特定する(ステップS21)。
次に、配信サーバ装置20(変更条件判断部203)は、特定された走行予定ルートに基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する(ステップS22)。図12の例では、1以上の基準の配信領域について変更条件が満たされたと判断されるものとする。配信サーバ装置20(配信領域変更部204)は、変更条件が満たされたと判断された基準の配信領域を変更する(ステップS23)。続いて、配信サーバ装置20(端末位置特定部205)は、受信された端末情報に含まれる位置情報に基づいて、スマートフォン10の位置を特定する(ステップS24)。ステップS24の動作は、ステップS21からS23までの動作の前に行われてもよいし、それらと並行して行われてもよい。
次に、配信サーバ装置20(コンテンツ特定部206)は、特定されたスマートフォン10の位置と、変更された配信領域及び変更されていない基準の配信領域とに基づいて、配信すべきコンテンツ(スマートフォン10が到達した配信領域に対応付けられたコンテンツ)を特定する(ステップS25)。そして、配信サーバ装置20(コンテンツ読出部207)は、特定されたコンテンツを読み出す(ステップS26)。
続いて、配信サーバ装置20(移動速度特定部209)は、受信された端末情報に含まれる位置情報に基づいて、スマートフォン10とともに移動する車両3の移動速度(車速)を特定する(ステップS31)。次に、配信サーバ装置20(出力条件決定部210)は、特定した車速に応じて出力条件を決定する(ステップS32)。続いて、配信サーバ装置20(コンテンツ送信部211)は、特定されたコンテンツと、決定された出力条件とを含む定期通信情報を生成してスマートフォン10に送信する(ステップS41)。
スマートフォン10は、ステップS41で受信した定期通信情報に含まれるコンテンツを記憶する(ステップS51)。次に、スマートフォン10(出力条件判定部106)は、出力条件が満たされたか否かを判定する(ステップS52)。出力条件が満たされたと判定されると、スマートフォン10(コンテンツ出力部107)は、ステップS51で記憶しておいたコンテンツを出力する(ステップS53)。
以上のとおり、配信サーバ装置20は、変更条件が満たされた場合に基準の配信領域を変更する配信領域変更部204を備えている。これにより、本実施例では、特定の場所(店舗など)への端末の接近を契機として提供されるコンテンツがユーザ端末に配信されるタイミングが変更可能になっている。その結果、例えば図7の例であれば、ルートA2を含む走行予定ルートを走行する車両3とともに移動するスマートフォン10、すなわち店舗5の近くまで来ない見込みのユーザ端末には、車両3が走行予定ルートどおりに走行した場合には店舗5に対応付けられたコンテンツC1が配信されないようにすることができる。
ユーザは自分が近くに行かない店舗のコンテンツが提供されても興味を持ちにくいので、ルートA2に進む予定のユーザ、すなわち店舗5の近くに来ない可能性が高いユーザのスマートフォン10にはコンテンツC1が配信されないようにして、通信の負荷やスマートフォン10の記憶領域の消費が抑制されるようになっている。また、車両3が予定と違って交差点4を直進した場合、変更した配信領域にスマートフォン10が到達してコンテンツが配信されるので、走行予定の変更で店舗5の近くまで来ることになったユーザ端末に対してコンテンツC1が配信されないということは防がれるようになっている。
また、本実施例では、配信領域の変更の可否が車両情報、具体的には走行予定ルートを表すルート情報に基づいて判断されている。これにより、例えばその走行予定ルートを通るユーザに提供したいコンテンツは配信され、走行予定ルートから離れた場所を通るユーザに提供したいコンテンツは配信されないようにすることができる。
[2]第2実施例
本発明の第2実施例について、以下、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例では、ルート情報という車両情報に基づいて変更条件が判断されたが、第2実施例では、それ以外の車両情報に基づいて変更条件が判断される。
図13は本実施例のコンテンツ配信システム1aの全体構成を表す。コンテンツ配信システム1aは、スマートフォン10a−1、10a−2、10a−3(特に区別しない場合は「スマートフォン10a」という)と、配信サーバ装置20aとを備える。各スマートフォン10aは、いずれも車両3に乗車するユーザによって利用されており、各々が配信アプリを実行して配信サーバ装置20aと定期通信を行っている。
図14はコンテンツ配信システム1aが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1aは、ルート案内部102を除く(本実施例ではルート情報を用いないので除いている)図4に表す各部を備えるスマートフォン10aと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりに乗員数特定部215を備える配信サーバ装置20aとを備える。本実施例では、各スマートフォン10aが定期通信により端末情報(ルート情報を含まないもの)を送信してくる。端末情報受信部201は、それらの端末情報を乗員数特定部215に供給する。
乗員数特定部215は、スマートフォン10aとともに移動する車両の乗員数を特定する。乗員数特定部215は、端末情報受信部201から供給された端末情報のうち、それらの端末情報に含まれる位置情報が示す位置同士の距離が閾値Th21以下である端末情報の数を、車両の乗員数として特定する。閾値Th21としては、例えば車両においてユーザが乗車する空間の最大寸法が用いられる。この寸法は、同じ車両に乗車したユーザが所持するユーザ端末同士がそれ以上離れられない距離を表す。
図13の例の場合、乗員数特定部215は、同じ車両3に乗車するユーザが所持するスマートフォン10a−1、10a−2、10a−3から送信されてきた端末情報の数、すなわち「3」を車両3の乗員数として特定する。乗員数特定部215は、特定した乗員数を表す乗員数情報を変更条件判断部203に供給する(乗員数情報は、乗員数を表す数値でもよいし、各乗員が所持するスマートフォン10aの識別情報でもよい)。
変更条件判断部203は、本実施例では、前述した乗員数情報(ユーザが乗車する車両の乗員数を表す情報)を車両情報として用いて、その乗員数情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
図15は本実施例の配信領域の一例を表す。図15の例では、大通りを走行する車両3の前方の交差点4aを曲がったところに位置する店舗5aを中心とした半径D11aの円形の配信領域B11aと、店舗5aの向かいに位置する店舗6aを中心とした半径D21aの円形の配信領域B21aとが表されている。配信領域B11a及びB21aは、いずれも大通りを含む大きさの基準の配信領域であり、それぞれコンテンツC1a及びC2aに対応付けられている。
図16は本実施例の変更条件テーブルの一例を表す。図16の例では、「B11a(半径D11a)」という基準の配信領域に「乗員数が2人以上」という変更条件と「D12a(D11a>D12a)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられており、「B21a(半径D21a)」という基準の配信領域に「乗員数が3人未満」という変更条件と「D22a(D21a>D22a)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。変更条件判断部203は、図13の例の場合、乗員数特定部215から供給された乗員数情報が3人を表すので、配信領域B11aの変更条件が満たされたと判断する。
図17は変更された配信領域の一例を表す。図17の例では、変更条件判断部203が基準の配信領域B11aの変更条件が満たされたと判断し、配信領域変更部204が、基準の配信領域B11aを、変更条件テーブルに基づいて、それよりも小さい半径D12aの配信領域B12a(大通りを含まない領域)に変更している。例えば店舗5aは1人客をターゲットにした飲食店であり、店舗6aは家族連れをターゲットにした飲食店であるものとする。その場合、3人以上乗車している車両3のユーザに対しては、店舗5aのコンテンツの提供は望ましくなく、店舗6aのコンテンツの提供は望ましい。
そこで図17の例では、基準の配信領域B11aは配信領域B12aに変更して車両3に乗車するユーザのスマートフォン10aに1人客向けのコンテンツC1aが配信されにくい(交差点4aを曲がらないと配信されない)ようにしつつ、基準の配信領域B21aは変更せずにそのスマートフォン10aに家族連れ向けのコンテンツC2aが配信されるようにしている。このように、本実施例では、コンテンツを提供したい人数のユーザが乗車している車両とともに移動するユーザ端末に対してそのコンテンツを配信することができる。
なお、乗員数特定部215は、上記とは異なる方法で乗員数を特定してもよい。例えば、車両3が、シートベルトの状態(シートベルトがされているか否か)を検知し、検知したシートベルトの状態をスマートフォン10aに通知する機能(例えばシートベルトの着用促進のための機能)を有しているものとする。その場合に、スマートフォン10aが、通知されたシートベルトの状態を定期通信で配信サーバ装置20aに送信し、乗員数特定部215が、送信されてきたシートベルトの状態に基づいて、シートベルトがされていると検知された件数を、乗員数として特定する。
また、車両3が、座席に取り付けた圧力センサの検出結果に基づいて各座席における着座状態(ユーザが座っているか否か)を検知する機能(例えばエアバックの作動要否を判断するための機能)を有しているものとする。その場合に、車両3に、検知した着座状態をスマートフォン10aに通知する機能を設け、スマートフォン10aに、その通知を受け取る機能を設ける。スマートフォン10aが、通知された着座状態を定期通信で配信サーバ装置20aに送信すると、乗員数特定部215は、送信されてきた着座状態に基づいて、ユーザが座っていると検知された件数を、乗員数として特定する。
また、車両3が車内を撮影する撮影手段を備え、その撮影手段が撮影した映像をスマートフォン10aを介して配信サーバ装置20aに送信する。乗員数特定部215は、撮影された映像からユーザの顔を検知し、検知された顔の数を乗員数として特定してもよい。また、車両3が車内の音声を録音する録音手段を備え、その録音手段が録音した音声をスマートフォン10aを介して配信サーバ装置20aに送信する。乗員数特定部215は、録音された音声から各ユーザの音声を認識し、認識された音声の数を乗員数として特定してもよい。
なお、車両情報としては、他にも、例えば車両の位置を示す位置情報が用いられてもよい。
図18は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図18の例では、図17に表す「B11a」という基準の配信領域に「大通りの北側の車線に位置する」という変更条件と「D12a(D11a>D12a)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。この場合、変更条件判断部203は、例えば図17に表す大通りの北側(図中の上側)の車線の領域を示す位置情報を記憶しておき、その位置情報に基づいて、端末情報に含まれる位置情報が示す車両3の位置がその車線に含まれているか否かを判断する。変更条件判断部203は、車両3の位置がその車線に含まれていれば、変更条件が満たされたと判断する。
配信領域変更部204は、図18の例の場合も、変更条件テーブルに基づいて、基準の配信領域B11aを図17に表す配信領域B12a(半径D12a)に変更する。大通りが例えば片側1車線や2車線だと、交差点4aに右折車がいることで混雑の原因になる場合がある。そのような大通りの北側の車線を走行する車両のユーザにコンテンツC1aを提供すると、店舗5aに向かうために交差点4aを右折する車両が増えて混雑を誘発する可能性がある。図18の例では、前述のとおり配信領域をB12aに変更することで、大通りの北側の車線に位置する車両、すなわち交差点4aで右折して店舗5aに向かう位置にいる車両のユーザにはコンテンツを提供しないようにして、交差点4aでの混雑の増加を防いでいる。
なお、上記の例では、車両の位置の代わりに車両の走行方向が用いられてもよい。
図19は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図19の例では、「B11a」という基準の配信領域に「大通りを東向きに走行中」という変更条件と「D12a(D11a>D12a)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。この場合、変更条件判断部203は、端末情報に含まれる位置情報が示す車両3の位置及びその位置の変化から走行している位置及び方向を判断し、車両3が大通りを東向きに走行している場合には、変更条件が満たされたと判断する。この場合も、配信領域変更部204が図18の例のように配信領域を変更することで、交差点4aでの混雑の増加を防ぐことができる。
[3]第3実施例
本発明の第3実施例について、以下、上記の各実施例と異なる点を中心に説明する。上記の各実施例では、変更条件判断部203が、車両情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断したが、第3実施例では、変更条件判断部203が、車両の周囲の状況に関する状況情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
図20は本実施例のコンテンツ配信システム1bが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1bは、ルート案内部102を除く図4に表す各部を備えるスマートフォン10bと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりにルート特徴判定部216を備える配信サーバ装置20bとを備える。ルート特徴判定部216は、端末情報受信部201から供給された端末情報に基づいて、スマートフォン10bとともに移動する車両3が走行するルートの特徴を判定する。ルート特徴判定部216は、例えば、ルートの複雑さの度合いである複雑度を、ルートの特徴として判定する。その場合、ルート特徴判定部216は、ルートに存在する要素と複雑さ(この例における特徴)の点数とを対応付けたルート特徴テーブルを用いてこの判定を行う。
図21はルート特徴テーブルの一例を表す。図21の例では、「信号」というルート上の要素に「1」という複雑さの点数が対応付けられている。同様に、「コーナー」、「左折車線・右折車線」、「車線数の増減」には「2」、「3」、「3」という複雑さの点数がそれぞれ対応付けられている。ルート特徴判定部216は、端末情報に含まれている位置情報が表す位置に基づいて、車両3が走行する可能性がある所定の距離(例えば1km程度)のルートを特定する。
ルート特徴判定部216は、信号やコーナー、車線などの位置が記述された地図情報を記憶しており、その地図情報に基づいて、特定した各ルート上に存在する要素を抽出する。ルート特徴判定部216は、抽出した要素にルート特徴テーブルで対応付けられている複雑さの点数を各ルートについて合計し、例えばそれらの合計値の平均値を車両3が走行するルートの特徴(複雑度)を表す値として判定する。
なお、スマートフォン10bが図4に表すルート案内部102を備えていてルート情報を含む端末情報を送信すれば、ルート特徴判定部216は、そのルート情報が表す走行予定ルート上に存在する要素から複雑度を判定してもよい。ルート特徴判定部216は、こうして判定したルートの特徴を表す値を変更条件判断部203に供給する。変更条件判断部203は、本実施例では、ルート特徴判定部216により判定されたルートの特徴を表す値(複雑度)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
図22は本実施例の配信領域の一例を表す。図22の例では、十字路の交差点4bに位置する店舗5bを中心とした半径D11bの円形の配信領域B11bが表されている。配信領域B11bは、基準の配信領域であり、店舗5bが提供するコンテンツC1bに対応付けられている。交差点4bに向かうルートの中では、左側から交差点4bに向かうルート7が交差点も多く車線数の減少やコーナーもあって、他のルートに比べて複雑度が高くなっている。図22の例では、車両3bがこのルート7を走行して交差点4bに向かっている。
図23は本実施例の変更条件テーブルの一例を表す。図23の例では、「B11b(半径D11b)」という基準の配信領域に「複雑度が閾値Th21以上」という変更条件と「D12b(D11b<D12b)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。図22の例の場合、ルート7を走行する車両(例えば車両3b)のルートの特徴をルート特徴判定部216が判定すると、判定されたルートの特徴を表す値(複雑度)が閾値Th21以上になり、他のルートを走行する車両のルートの特徴を表す値は閾値Th21未満になるものとする。従って、変更条件判断部203は、車両3bとともに移動するスマートフォン10bから送信されてきた端末情報に基づきルート特徴判定部216が判定した結果(複雑度)に基づいて、配信領域B11bの変更条件が満たされたと判断する。このように、本実施例では、変更条件判断部203は、車両が走行するルートの特徴を表す情報(この例では複雑度の値)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
図24は変更された配信領域の一例を表す。図24の例では、配信領域変更部204が、基準の配信領域B11b(半径D11b)を、それよりも大きい半径D12bの配信領域B12aに変更している。これにより、他のルートを通って店舗5bに向かってくるユーザ端末に比べて、車両3bとともに移動するスマートフォン10bにはより早いタイミングでコンテンツC1bが配信され、コンテンツC1bの出力もより早いタイミングで行うことができる。
ユーザが運転手である場合、ルート7のようにルートが複雑であるほど、運転に集中しなければならず、他のことを考える余裕が少なくなる。本実施例では、他のルートを移動するユーザ端末に比べて、そのように複雑なルートを走行している車両とともに移動するユーザ端末にはより早いタイミングでコンテンツを配信することで、その車両を運転するユーザが出力されたコンテンツC1bの内容を確認して店舗5bに立ち寄るか否かを考える時間をより多く確保できるようにしている。
なお、状況情報は上述したルートの特徴に限らない。
図25は本実施例のコンテンツ配信システム1cが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1cは、ルート案内部102を除く図4に表す各部を備えるスマートフォン10cと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりに周囲状況特定部217を備える配信サーバ装置20cとを備える。周囲状況特定部217は、例えば、端末情報受信部201から供給された端末情報に基づいて、スマートフォン10とともに移動する車両3が走行する道路の種別を、車両3の周囲の状況として特定する。道路の種別とは、例えば一般道と高速道路である。
周囲状況特定部217は、一般道及び高速道路の位置が記述された地図情報を記憶しており、スマートフォン10から送信されてくる端末情報に含まれる位置情報が示す位置が一般道及び高速道路のいずれであるかをその地図情報に基づいて特定する。周囲状況特定部217は、特定した道路の種別を表す道路種別情報を変更条件判断部203に供給する。
図26は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図26の例では、「B11c(半径D11c)」という基準の配信領域に「走行中の道路が高速道路」という変更条件と「D12c(D11c<D12c)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。配信領域B11cは、例えば高速道路の出口近くに位置する店舗が提供するコンテンツに対応付けられた配信領域である。この場合、変更条件判断部203は、供給された道路種別情報が表す道路の種別、すなわち周囲状況特定部217により特定された道路の種別が高速道路であれば変更条件が満たされたと判断し、その道路の種別が一般道であれば変更条件が満たされていないと判断する。
このように、変更条件判断部203は、車両が走行する道路の種別(この例における状況情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり道路の種別が高速道路であった場合に、基準の配信領域B11c(半径D11c)よりも大きな半径D12cの配信領域に変更する。例えば店舗までの距離が同じでも、車両が高速道路を走行していれば一般道よりも速度が出せるし信号もないので、車両が一般道を走行している場合に比べて(店舗の手前は一般道だとしても)店舗まで短い時間で到達しやすい。
図26の例では、車両が走行している道路の種別が「高速道路」である場合、「一般道」である場合に比べて店舗から離れた位置でコンテンツが配信されることになる。これにより、店舗から常に一定の距離だけ離れた位置でコンテンツが配信される場合に比べて、コンテンツをより早いタイミングで出力できるようになり、運転手が店舗への立ち寄りを検討する時間を確保しやすくなっている。なお、道路の種別は、上述したルートの特徴として用いられてもよい。例えばルート上の要素に高速道路がある場合にルートの特徴を表す複雑度を増加させ、店舗からより離れた位置でコンテンツを出力できるようにする。この場合も、運転手が店舗への立ち寄りを検討する時間を確保しやすくなる。
また、上記以外にも、例えば道路の込み具合が状況情報として用いられてもよい。この場合、周囲状況特定部217は、例えば外部の交通情報システムから、道路の渋滞情報を取得する。周囲状況特定部217は、端末情報受信部201から供給された端末情報に含まれる位置情報が示す位置、すなわちスマートフォン10cとともに移動する車両が走行している位置の周辺の渋滞情報を取得する。周囲状況特定部217は、取得した渋滞情報が表す道路の込み具合を、車両の周囲の状況として特定し、特定した状況を表す状況情報として、取得した渋滞情報を変更条件判断部203に供給する。
図27は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図27の例では、「B11d(半径D11d)」という基準の配信領域に「渋滞が発生」という変更条件と「D12d(D11d>D12d)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。配信領域B11dは、例えば幹線道路沿いに位置する店舗が提供するコンテンツに対応付けられた配信領域である。変更条件判断部203は、周囲状況特定部217から供給された渋滞情報が表す道路の込み具合、すなわち周囲状況特定部217により特定された道路の込み具合が渋滞の発生を表していれば変更条件が満たされたと判断し、渋滞はなく車が円滑に流れていることを表していれば変更条件が満たされていないと判断する。このように、図27の例では、変更条件判断部203は、車両が走行する道路の込み具合を表す情報(例えば渋滞情報。この例における状況情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり道路に渋滞が発生している場合に、基準の配信領域B11d(半径D11d)よりも小さな半径D12dの配信領域に変更する。渋滞が発生しているときには、店舗よりもあまり手前でコンテンツが配信及び出力されても店舗に着くころには忘れてしまっている可能性が高く、それよりも、店舗に近いところでコンテンツが配信及び出力された方が、渋滞が緩和するまで一休みしたいユーザに店舗に立ち寄るきっかけを与えることが期待できる。上記のとおり道路の込み具合に基づいて変更の有無を判断することで、コンテンツの配信タイミングが固定されている場合に比べて、渋滞の際に提供するコンテンツがユーザを店舗に誘導する効果を高めることができる。
また、周囲の天気が状況情報として用いられてもよい。この場合、周囲状況特定部217は、端末情報受信部201から供給された端末情報に含まれる位置情報が示す位置、すなわちスマートフォン10cとともに移動する車両が走行している位置の現在の降水量を表す降水量情報を取得する。周囲状況特定部217は、取得した降水量情報が表す天気を、車両の周囲の状況として特定し、特定した状況を表す状況情報として、取得した降水量情報を変更条件判断部203に供給する。
図28は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図28の例では、「B11e(半径D11e)」という基準の配信領域に「周囲が雨・雪」という変更条件と「D12e(D11e<D12e)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。変更条件判断部203は、周囲状況特定部217から供給された降水量情報が表す天気、すなわち車両の周囲で降水量があれば雨又は雪が降っているものとして変更条件が満たされたと判断し、車両の周囲で降水量がなければ雨も雪も降っていないものとして変更条件が満たされていないと判断する。
このように、図28の例では、変更条件判断部203は、走行する車両の周囲の天気を表す情報(例えば降水量情報。この例における状況情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり車両の周囲で雨又は雪が降っている場合に、基準の配信領域B11e(半径D11e)よりも大きな半径D12eの配信領域に変更する。
雨や雪が降っていると、晴れや曇りのときに比べて運転手が運転に集中しなければならず、他のことを考える余裕が少なくなる。上記の例では、雨や雪のときには晴れや曇りのときに比べてコンテンツが配信されるタイミングを早くして、コンテンツをより早いタイミングで出力できるようにすることで、運転手が店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようにしている。
また、現在の日時が状況情報として用いられてもよい。この場合、周囲状況特定部217は、端末情報受信部201から端末情報が供給された日時を状況情報として変更条件判断部203に供給する。
図29は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図29の例では、「B11f(半径D11f)」という基準の配信領域に「夜間」という変更条件と「D12f(D11f<D12f)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。変更条件判断部203は、周囲状況特定部217から供給された日付の日の出から日没までの日中の時間帯を特定し、同じく供給された時刻がその時間帯に含まれていなければ、現在の日時が夜間であるため変更条件が満たされたと判断し、その時間帯に含まれていれば、現在の日時が日中であるため変更条件が満たされていないと判断する。
このように、図29の例では、変更条件判断部203は、現在に日時を表す情報(この例における状況情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり現在が夜間であれる場合に、基準の配信領域B11f(半径D11f)よりも大きな半径D12fの配信領域に変更する。夜間は日中に比べて運転以外のことを考える余裕が少なくなるが、上記の例では、夜間は日中に比べてコンテンツが配信されるタイミングを早くして、コンテンツをより早いタイミングで出力できるようにすることで、運転手が店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようにしている。
[4]第4実施例
本発明の第4実施例について、以下、上記の各実施例と異なる点を中心に説明する。上記の各実施例では、変更条件判断部203が、車両情報又は状況情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断したが、第4実施例では、変更条件判断部203が、車両に乗車するユーザに関連する情報であるユーザ関連情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
図30は本実施例のコンテンツ配信システム1dが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1dは、図4に表す各部を備えるスマートフォン10dと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりにユーザ関連情報取得部218を備える配信サーバ装置20dとを備える。ユーザ関連情報取得部218は、例えば、スマートフォン10dとともに移動する車両3を運転する運転手の運転歴を表す運転歴情報をユーザ関連情報として取得する。
本実施例では、例えばコンテンツ配信システム1dを利用するユーザがユーザ情報を登録することができるようになっていて、登録可能な情報にユーザの運転免許取得日が含まれているものとする。配信サーバ装置20dは、こうして登録されたユーザ情報をスマートフォン10dの装置IDに対応付けて記憶している。ユーザ関連情報取得部218は、端末情報受信部201から供給された端末情報に含まれる装置IDに対応付けて記憶されている運転免許証取得日を読み出し、読み出した運転免許取得日を、運転歴を表す運転歴情報として取得する。
なお、これ以外にも、例えば運転手がスマートフォン10dで自分の運転免許証を撮影すると、スマートフォン10dは撮影した運転免許証の画像を定期通信で配信サーバ装置20dに送信する。そして、ユーザ関連情報取得部218は、送信されてきた画像を解析して運転免許取得日を特定し、特定した運転免許取得日をユーザ関連情報として取得してもよい。
また、ユーザ関連情報取得部218は、端末情報受信部201から複数の端末情報が供給され、それらの端末情報に含まれる位置情報から第2実施例で述べたように同じ車両3に乗車するユーザのスマートフォン10dから送信されたものと判断された場合、各端末情報に含まれる位置情報が示す位置から運転手の端末情報がどれであるかを判断してもよい。ユーザ関連情報取得部218は、例えば位置情報が示す位置の変化から進行方向を判断し、進行方向の最も前方の位置を示す位置情報を含む端末情報を運転手の端末情報と判断する。
ただし、助手席のユーザのスマートフォン10dも進行方向の最も前方の位置を示すので、その場合、例えばスマートフォン10dが自装置の操作履歴を端末情報に含めて定期送信するようにする。ユーザ関連情報取得部218は、進行方向の前方を示す位置情報を含む端末情報が運転手と助手席のユーザの分で2つある場合に、操作履歴が少ない方の端末情報を運転手の端末情報と判断する(運転手は運転中のため助手席のユーザよりスマートフォン10dを操作しないから)。ユーザ関連情報取得部218は、以上のとおり取得した運転歴情報を変更条件判断部203に供給する。
図31は本実施例の変更条件テーブルの一例を表す。図31の例では、「B11g(半径D11g)」という基準の配信領域に「運転歴が閾値Th31未満」という変更条件と「D12g(D11g<D12g)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。変更条件判断部203は、ユーザ関連情報取得部218から供給された運転歴情報が表す運転歴が閾値Th31未満であれば変更条件が満たされたと判断し、その運転歴が閾値Th31以上であれば変更条件が満たされていないと判断する。このように、図31の例では、変更条件判断部203は、走行する車両を運転する運転手の運転歴(この例におけるユーザ関連情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり運転手の運転歴が閾値Th31未満である場合に、基準の配信領域B11g(半径D11g)よりも大きな半径D12gの配信領域に変更する。図31の例では、運転歴が閾値Th31以上の運転手のスマートフォン10dに比べて、運転歴が閾値Th31未満の運転手のスマートフォン10dにはより店舗から離れた位置でコンテンツが配信されるので、より早いタイミングでのコンテンツの出力が可能になる。その結果、運転歴が長い運転手に比べて運転歴が短い運転手は店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようにしている。
なお、運転歴以外にも、例えばユーザの走行目的を表す情報がユーザ関連情報として用いられてもよい。この場合、ユーザ関連情報取得部218は、スマートフォン10dとともに移動する車両の走行目的をユーザ関連情報として取得する。ユーザ関連情報取得部218は、定期通信で送信されてくる端末情報に含まれるルート情報が示す目的地に基づいて走行目的を取得する。ユーザ関連情報取得部218は、例えば目的地と走行目的とを対応付けた走行目的テーブルを記憶している。
図32は走行目的テーブルの一例を表す。図32の例では、「会社」という目的地に「通勤」という走行目的が対応付けられている。同様に、「病院」、「商業施設」、「遊園地、温泉地、観光地」という目的地に「通院」、「買い物」、「行楽」という走行目的がそれぞれ対応付けられている。ユーザ関連情報取得部218は、上記の目的地情報が示す目的地の名称から目的地が「会社」や「病院」などのどれに当てはまるかを判断する。
ユーザ関連情報取得部218は、例えば「株式会社」を含む名称なら「会社」、「病院」や「医院」などを含む名称なら病院と判断し、また、例えば観光地の固有名詞を予め記憶しておいてそれを含む名称であれば観光地と判断する。ユーザ関連情報取得部218は、当てはまると判断した目的地に走行目的テーブルで対応付けられている走行目的を読み出して、車両の走行目的として取得する。
なお、ユーザ関連情報取得部218は、上記以外の方法で走行目的を取得してもよい。例えば、ユーザ関連情報取得部218は、ユーザが利用しているスケジュール管理アプリケーションから当日のユーザのスケジュール情報を受け取り、次に予定されているスケジュールに基づいて走行目的を取得する。この場合、ユーザ関連情報取得部218は、例えば次のスケジュールに「通院」に関係する語句(例えば「○○病院」や「○○歯科」など)が含まれていれば「通院」を走行目的として取得し、「行楽」に関係する語句(例えば「○○旅館」や「○○遊園地」など)が含まれていれば「行楽」を走行目的として取得する。
ユーザ関連情報取得部218は、取得した走行目的をユーザ関連情報として変更条件判断部203に供給する。
図33は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図33の例では、「B11h(半径D11h)」という基準の配信領域に「走行目的が病院、買い物」という変更条件と「D12h(D11h<D12h)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。また、「B11h(半径D11h)」という基準の配信領域には、「走行目的が行楽」という変更条件と「D13h(D12h<D13h)」という変更後の配信領域の半径も対応付けられている。
変更条件判断部203は、ユーザ関連情報取得部218から供給された走行目的が病院、買い物又は行楽であれば変更条件が満たされたと判断し、その走行目的が通勤であれば変更条件が満たされていないと判断する。このように、図33の例では、変更条件判断部203は、車両に乗車するユーザの走行目的(この例におけるユーザ関連情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、走行目的によって異なる配信領域に変更する。配信領域変更部204は、基準の配信領域B11h(半径D11h)を、走行目的が病院又は買い物であればそれよりも大きな半径D12hの配信領域に変更し、走行目的が行楽であればさらに大きな半径D13hの配信領域に変更する。例えば通勤で通るルートは運転手もよく覚えているので、他のことを考えながら運転する余裕がある。一方、行楽ではめったに通らないルートを通るので、ナビゲーションの機能を利用していたとしても、運転手は道を間違えないように気を使って運転しなければならず、他のことを考える余裕が通勤よりは少なくなる。
また、通院や買い物はたまに利用するルートなので、行楽よりは他のことを考える余裕があるが、通勤ほど頻繁には利用しないので通勤に比べれば他のことを考える余裕が少ない。図33の例では、運転手が他のことを考える余裕がないときほど、店舗から離れた位置でコンテンツが配信されて、より早いタイミングでのコンテンツの出力が可能になる。その結果、他のことを考える余裕がある運転手に比べてその余裕がない運転手が店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようになっている。
上記の走行目的は、ユーザが道に慣れているか否かを間接的に判断する材料として用いられたが、より直接的に、車両が走行する地域における走行経験を表す情報が用いられてもよい。
図34は本実施例のコンテンツ配信システム1eが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1eは、図4に表す各部を備えるスマートフォン10eと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりに走行履歴蓄積部219と、走行経験判定部220とを備える配信サーバ装置20eとを備える。
走行履歴蓄積部219は、スマートフォン10eを利用するユーザが乗車した車両の走行履歴を蓄積する。本実施例では、端末情報受信部201が受信した端末情報を走行履歴蓄積部219に供給する。走行履歴蓄積部219は、供給された端末情報に含まれる装置IDに対応付けて、その端末情報に含まれる位置情報を蓄積する。こうして蓄積される位置情報が示す位置は、この位置情報に対応付けて記憶される装置IDにより識別されるスマートフォン10eとともに移動する車両、すなわちスマートフォン10eを利用するユーザが乗車した車両の走行履歴を表す。
走行経験判定部220は、スマートフォン10eが移動している地域におけるユーザの走行経験の度合いを判定する。端末情報受信部201は、受信した端末情報を走行経験判定部220に供給する。走行経験判定部220は、供給された端末情報に含まれる装置IDに対応付けて走行履歴蓄積部219に蓄積されている位置情報を読み出す。
走行経験判定部220は、読み出した位置情報のうち最新の位置情報が示す位置を中心とした所定の範囲(例えば半径1kmの円の範囲)をユーザが利用しているスマートフォン10eが現在移動している地域として特定する。走行経験判定部220は、読み出した位置情報のうち、特定した範囲に含まれる位置を示す位置情報の件数を計上する。この件数を、「走行履歴の件数」という。走行経験判定部220は走行履歴の件数と走行経験とを対応付けた走行経験テーブルを記憶している。
図35は走行経験テーブルの一例を表す。図35の例では、「閾値Th41未満」という走行履歴の件数に「少ない」という走行経験が対応付けられている。また、「閾値Th41以上閾値Th42未満」、「閾値Th42以上」という走行履歴の件数に「中くらい」、「多い」という走行経験がそれぞれ対応付けられている。走行経験判定部220は、計上した走行履歴の件数に走行経験テーブルで対応付けられている走行経験を、スマートフォン10eが移動している地域における運転手の走行経験として判定する。走行経験判定部220は、判定した走行経験を表す情報を変更条件判断部203に供給する。
図36は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図36の例では、「B11j(半径D11j)」という基準の配信領域に「走行経験が中くらい」と「D12j(D11j<D12j)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。また、「B11j(半径D11j)」という基準の配信領域には、「走行経験が少ない」と「D13j(D12j<D13j)」という変更後の配信領域の半径も対応付けられている。
変更条件判断部203は、走行経験判定部220から供給された情報が表す走行経験が「中くらい」又は「少ない」であれば変更条件が満たされたと判断し、その走行経験が「多い」であれば変更条件が満たされていないと判断する。このように、図36の例では、変更条件判断部203は、車両が走行している地域におけるユーザの走行経験を表す情報(この例におけるユーザ関連情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、走行経験の程度によって異なる配信領域に変更する。配信領域変更部204は、基準の配信領域B11j(半径D11j)を、ユーザの走行経験が中くらいであればそれよりも大きな半径D12jの配信領域に変更し、ユーザの走行経験が少なければさらに大きな半径D13jの配信領域に変更する。
図36の例では、走行中の地域での走行経験が少なくて運転手が他のことを考える余裕がないときほど、店舗から離れた位置でコンテンツが配信されて、より早いタイミングでのコンテンツの出力が可能になる。その結果、走行経験が多くて他のことを考える余裕がある運転手に比べて、走行経験が少なくてその余裕がない運転手が店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようになっている。
なお、ユーザ関連情報取得部218が、走行履歴蓄積部219に蓄積された車両の走行履歴に基づいて、上述した車両の走行目的をユーザ関連情報として取得してもよい。この場合、ユーザ関連情報取得部218は、例えば、走行履歴蓄積部219を参照して現在と同じ曜日及び同じ時間帯における過去の走行履歴を読み出し、それらの走行履歴が表す目的地(車両が停車した場所)に図32で表す走行目的テーブルで対応付けられている走行目的を、現在の車両の走行目的として取得する。これにより、ユーザがナビゲーション機能を利用していない場合でも走行目的を取得することができる。
また、走行予定ルート特定部202が、走行履歴蓄積部219に蓄積された車両の走行履歴に基づいて、上述した車両の走行予定ルートを特定してもよい。この場合、走行予定ルート特定部202は、例えば、走行履歴蓄積部219を参照して現在と同じ曜日及び同じ時間帯における過去の走行履歴を読み出し、それらの走行履歴が表す目的地(車両が停車した場所)を現在走行している車両の目的地として、その目的地までのルートを走行予定ルートとして特定する。これにより、ユーザがナビゲーション機能を利用していない場合でも走行予定ルートを特定することができる。
また、上記以外にも、例えばユーザの疲労度を表す情報がユーザ関連情報として用いられてもよい。
図37は本実施例のコンテンツ配信システム1fが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1fは、例えば図4に表すルート案内部102の代わりに撮影部108を備えるスマートフォン10fと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりに疲労度判定部221を備える配信サーバ装置20fとを備える。
撮影部108は、自装置の周囲を撮影する機能である。撮影部108は、自装置の周囲を撮影すると、撮影した周囲の画像を示す画像情報を端末情報定期送信部104に供給する。端末情報定期送信部104は、供給された画像情報を含む端末情報を配信サーバ装置20fに送信する。本実施例では、ユーザが運転手の顔を撮影可能な位置にスマートフォン10fを設置して、運転手の顔の撮影を開始する操作を行うものとする。すると、撮影部108は、定期通信よりも高い頻度(例えば1秒毎)で撮影を繰り返し行う。
疲労度判定部221は、スマートフォン10fとともに移動する車両の運転手の疲労度を判定する。疲労度判定部221は、定期通信で送信されてくる端末情報に含まれる複数の画像情報を解析して、各画像について撮影された運転手の目が開いた状態か閉じた状態かを判断する。運転の疲れは目の疲れとなって表れやすいので、運転に疲れるほど瞬きの回数が増える。そこで、疲労度判定部221は、例えば所定の期間(1分間など)において運転手の目が閉じている状態の比率が高いほど、疲労度が高いと判定する。
なお、疲労度判定部221は、目の開閉の状態に限らず、例えば顔の表情を分析して、疲れているときの表情における顔の特徴量に近い特徴量が抽出された場合に疲労度が高いと判定してもよい。また、疲労度判定部221は、例えばスマートフォン10fがマイクロフォンを備えていれば、ユーザの音声情報を定期通信で送信し、疲労度判定部221が、その音声情報が示す音声に基づいて疲労度を判定してもよい。
また、例えばスマートフォン10fが温度センサや発汗センサなどを備えていれば、それらのセンサの測定結果(ユーザの体温や発汗量)を定期通信で送信し、疲労度判定部221が、その測定結果に基づいて疲労度を判定してもよい。この場合、疲労度判定部221は、例えばユーザの体温や発汗量が閾値以上であれば疲労度が高く、それらが閾値未満であれば疲労度が低いと判定する。
また、疲労度判定部221は、車両の走行時間に応じて疲労度を判定してもよい(例えば走行時間が長くなるにつれて疲労度を高く判定する)。また、疲労度判定部221は、運転の仕方に応じて疲労度を判定してもよい。例えば、疲労度判定部221は、ブレーキに設けられたセンサからブレーキの踏み具合を表すデータを受け取り、急ブレーキを表すデータを受け取る頻度が高いほど疲労度が高いと判定する。同様に、疲労度判定部221は、アクセルの踏み具合を表すデータを受け取り、急な加速を表すデータを受け取る頻度が高いほど疲労度が高いと判定してもよい。疲労度判定部221は、こうして判定した疲労度を変更条件判断部203に供給する。
図38は本実施例の変更条件テーブルの別の一例を表す。図38の例では、「B11k(半径D11k)」という基準の配信領域に「運転手の疲労度が閾値Th51以上」という変更条件と「D12k(D11k<D12k)」という変更後の配信領域の半径が対応付けられている。変更条件判断部203は、疲労度判定部221から供給された運転手の疲労度が閾値Th51以上であれば変更条件が満たされたと判断し、その疲労度が閾値Th51未満であれば変更条件が満たされていないと判断する。このように、図38の例では、変更条件判断部203は、走行する車両を運転する運転手の疲労度を表す情報(この例におけるユーザ関連情報)に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断する。
配信領域変更部204は、変更条件が満たされたと判断された場合、つまり運転手の疲労度が閾値Th51以上である場合に、基準の配信領域B11k(半径D11k)よりも大きな半径D12kの配信領域に変更する。図38の例では、まだあまり疲れておらず集中力がある運転手に比べて、疲労度が高く集中力が落ちている運転手のユーザ端末へはより早いタイミングでコンテンツを配信することで、店舗への立ち寄りをより長い時間検討できるようにしている。
[5]第5実施例
本発明の第5実施例について、以下、上記の各実施例と異なる点を中心に説明する。上記の各実施例では、変更条件判断部203が、車両情報、状況情報又はユーザ関連情報に基づいて変更条件が満たされたか否かを判断したが、第5実施例では、変更条件判断部203が、配信されたコンテンツが更新されたことに基づいて、変更条件を判断する。
図39は本実施例のコンテンツ配信システム1gが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1gは、図4に表す各部を備えるスマートフォン10gと、図4に表す走行予定ルート特定部202の代わりにコンテンツ更新検知部222を備える配信サーバ装置20gとを備える。コンテンツ更新検知部222は、コンテンツ記憶部208を監視して、交通情報や店舗関連情報を上書きした場合に、それらのコンテンツが更新されたことを検知する。コンテンツ更新検知部222は、更新を検知したコンテンツの名称を変更条件判断部203に供給する。
本実施例では、端末位置特定部205が特定したユーザ端末の位置を変更条件判断部203に供給し、コンテンツ特定部206が特定したコンテンツの名称とそのコンテンツに対応付けられている配信領域とを変更条件判断部203に供給する。変更条件判断部203は、コンテンツ特定部206及びコンテンツ更新検知部222から同じコンテンツの名称が供給された場合に、コンテンツ特定部206からその名称が供給された後に端末位置特定部205から供給された位置が、その名称とともに供給された配信領域に含まれていれば、変更条件が満たされたと判断する。
つまり、変更条件判断部203は、ユーザ端末に送信されたコンテンツが更新され、且つ、その更新の後に特定されたユーザ端末の位置がそのコンテンツに対応付けられていた配信領域に含まれている場合に、変更条件が満たされたと判断する。この場合、配信領域変更部204は、そのユーザ端末がこれから到達する領域に配信領域を変更する。
図40は本実施例で変更された配信領域の一例を表す。図40(a)では、基準の配信領域B11mに車両3が到達したところが表されている。このとき、車両3とともに移動しているスマートフォン10gには、配信領域B11mに対応付けられているコンテンツ(例えば交通情報)が配信されている。図40(b)では、そのコンテンツの更新が検知されたときに変更された配信領域B12mが表されている。図40(b)の時点では、車両3はまだ基準の配信領域B11mの内部に位置しているので、特定されるスマートフォン10gの位置が配信領域B11mに含まれることになる。
そこで、配信領域変更部204は、基準の配信領域B11mを、スマートフォン10gがこれから到達する領域である配信領域B12mに変更する。配信領域B12mは、配信領域B11mと共通の中心で半径を小さくした領域であり、車両3の前方に位置している(車両3がまだ到達していないということ)。その結果、車両3が進んで変更後の配信領域B12mに到達すると、スマートフォン10gも配信領域B12mに到達することになるので、配信領域B12mに対応付けられたコンテンツ、すなわち更新後のコンテンツがスマートフォン10gに送信される。
なお、図40の例では、更新前のコンテンツが、ユーザ端末が基準の配信領域に到達したときに配信されたが、基準の配信領域から変更された配信領域にユーザ端末が到達したときに配信されてもよい。その場合でも、その後にコンテンツの更新が検知されれば、配信領域変更部204がさらに配信領域を変更して、更新後のコンテンツがユーザ端末に配信されるようにする。
また、変更後の配信領域は、変更前の配信領域と中心が異なっていてもよい。これにより、変更前の配信領域の中心を車両が通り過ぎた後でも、その車両の前方に位置する領域に配信領域を変更して、更新後のコンテンツをユーザ端末に配信することができる。本実施例によれば、ユーザ端末に配信されたコンテンツが更新された場合に、そのユーザ端末がまだ配信領域を通り過ぎていなければ、更新後のコンテンツも配信することができる。
また、変更条件判断部203は、車両の速度を算出し、算出した速度と現在の位置から特定の場所(例えば店舗の場所や配信領域から出てゆく場所)への到達予想時刻を求める。そして、変更条件判断部203は、到達予想時刻までにコンテンツが更新された場合に、変更条件が満たされたと判断してもよい。これにより、例えば車両が通信の不安定な場所を走行していて定期通信が途切れることがあっても、変更条件が満たされたことを判断することができる。
[6]変形例
上述した各実施例はそれぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、各実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
[6−1]配信領域
実施例では配信領域が円形の領域であったがこれに限らない。配信領域は、例えば四角形や楕円形、道路に沿った形など、様々な形の領域であってもよい。配信領域がどのような形であっても、配信領域変更部204が配信領域を変更することで、コンテンツが配信されるタイミングが上述した各例のように変更されるようになっていればよい。
[6−2]配信領域の変更
配信領域変更部204は、実施例では、基準の配信領域のサイズ(半径)を変えることで配信領域を変更したが、これに限らない。配信領域変更部204は、例えば基準の配信領域の形を変えることで配信領域を変更してもよいし、形とサイズの両方を変えることで配信領域を変更してもよい。例えば道路に沿った長方形の領域を配信領域とする場合、配信領域変更部204は、長方形の長辺だけを変化させて、配信領域の形もサイズも変化させることで配信領域を変更する。
また、配信領域変更部204は、基準の配信領域の位置を変えることで配信領域を変更してもよい。配信領域変更部204は、例えば基準の配信領域の中心は店舗であるが、その中心を例えば近くの交差点に変えることで配信領域を変更してもよい。また、配信領域変更部204は、形、サイズ、位置をそれぞれ変えることで配信領域を変更してもよい。また、配信領域変更部204は、基準の配信領域から配信領域を変更するだけでなく、変更後の配信領域からさらに別の配信領域に変更してもよい。要するに、配信領域変更部204は、ユーザ端末にコンテンツが配信されるタイミングが変化するように配信領域を変更すればよい。
[6−3]コンテンツの配信方法
コンテンツ送信部211は、実施例では定期通信の応答でコンテンツを送信したが、これに限らない。コンテンツ送信部211は、例えば新たなコンテンツが記憶されたり、コンテンツが更新されたりしたときに、定期通信で端末情報が送信されてきたタイミングでなくとも、能動的にそれらの新たなコンテンツや更新されたコンテンツをユーザ端末に送信(いわゆるプッシュ送信)してもよい。
[6−4]ユーザ端末
実施例ではスマートフォン10がユーザ端末として用いられたが、ユーザ端末はこれに限らない。例えば、車両3に設けられたカーナビゲーション装置がユーザ端末として用いられてもよい。また、タブレット端末や携帯電話機、ノート型パソコンなどの持ち運び可能なコンピュータがユーザ端末として用いられてもよい。要するに、車両とともに移動可能であり且つ図4等に表すユーザ端末が備える各部を実現する端末であれば、どのような端末がユーザ端末として用いられてもよい。
[6−5]コンテンツの削除
ユーザ端末が配信されたコンテンツを削除するタイミングを制御してもよい。
図41は本変形例のスマートフォン10hが実現する機能構成を表す。スマートフォン10hは、図4に表す各部に加えてコンテンツ記憶部109と、コンテンツ削除部110とを備える。
本変形例では、コンテンツ受信部105が、受信した定期通信情報に含まれているコンテンツをコンテンツ記憶部109に供給し、その定期通信情報に含まれている出力条件を出力条件判定部106に供給する。コンテンツ記憶部109は、供給されたコンテンツを記憶する。出力条件判定部106は、出力条件が満たされたと判定すると、出力条件が満たされたコンテンツの名称をコンテンツ出力部107に供給する。コンテンツ出力部107は、供給された名称のコンテンツをコンテンツ記憶部109から読み出して出力する。
本変形例では、測位部101が自装置の位置の測定と、測定した位置を示す位置情報のコンテンツ削除部110への供給を繰り返し行う。コンテンツ削除部110は、繰り返し供給される位置情報が示す位置に基づいて、自装置とともに移動する車両が移動している状態か、停止した状態かを判断する。コンテンツ削除部110は、例えば、自装置の位置が変化しない時間が閾値Th61以上になった場合に、車両が停止した状態だと判断する。閾値Th61としては、例えば、渋滞の際に停止することが想定される時間よりも長い時間が用いられる。
これにより、渋滞の際に停止した状態と判断されることが少なくなり、家に着いたときや目的地(会社や商業施設、観光地など)に着いたとき、店舗などに立ち寄ったときに停止した状態と判断されやすくなる。なお、ユーザ端末がカーナビゲーション装置であれば、コンテンツ削除部110は、自装置の電源が切られるときに車両が停止した状態だと判断してもよい。コンテンツ削除部110は、車両が停止した状態だと判断すると、コンテンツ記憶部109に記憶されているコンテンツを削除する。コンテンツ記憶部109が記憶したコンテンツをいつまでも削除しないと、記憶領域の空きが小さくなるので、不要になったコンテンツを削除することが望ましい。
上記の例では、車両が停止すると、次にユーザが車両で移動するのがいつになるか分からないので、コンテンツが不要になる可能性が高まる。本変形例では、ユーザ端末に記憶されたコンテンツをこの車両の停止を契機として削除することができる。一方で、渋滞による一時的な停止ではコンテンツが削除されないようにもなっている。なお、コンテンツ削除部110によるコンテンツの削除方法はこれに限らない。
コンテンツ削除部110は、例えば、毎日決められた時刻にコンテンツを削除してもよい。また、コンテンツ出力部107が出力したコンテンツの名称をコンテンツ削除部110に供給し、コンテンツ削除部110が、供給された名称のコンテンツ、すなわち出力済みのコンテンツを削除してもよい。また、コンテンツ削除部110は、コンテンツ記憶部109の記憶領域が一杯になったときに、一定の空き領域ができるまで古いコンテンツから順番に削除してもよい。また、コンテンツ削除部110は、交通情報については一度出力されたら削除し、店舗等が提供するコンテンツは決められた時刻に削除するというように、コンテンツの種類によって異なる方法で削除してもよい。
[6−6]配信サーバ装置
実施例では1台の配信サーバ装置がコンテンツを配信していたが、これに限らない。
図42は本変形例のコンテンツ配信システム1jの全体構成を表す。コンテンツ配信システム1jは、スマートフォン10と、配信サーバ装置20j−1、20j−2、20j−3(それぞれ区別しない場合は「配信サーバ装置20j」という)と、ネットワーク2とを備える。
例えば、配信サーバ装置20j−1は交通情報を配信し、配信サーバ装置20j−2は店舗等のクーポンを示す店舗関連情報を配信し、配信サーバ装置20j−3はその他のコンテンツを配信する。この場合、スマートフォン10は、各配信サーバ装置20jと定期通信を行い、各配信サーバ装置20jは、それぞれが配信領域の変更や出力条件の決定を行う。なお、これに限らず、例えばスマートフォン10が配信サーバ装置20j−1とだけ定期通信を行い、配信サーバ装置20j−1だけが配信領域の変更や出力条件の決定を行ってもよい。その場合、他の配信サーバ装置20jは、配信サーバ装置20j−1にコンテンツを提供する動作だけを行う。
[6−7]出力条件
実施例では、ユーザ端末の移動速度に応じた出力条件が用いられたが、これに限らない。例えば、移動速度以外の車両情報に応じた出力条件が用いられてもよい。また、状況情報に応じた出力条件やユーザ関連情報に応じた出力条件が用いられてもよい。また、配信領域変更部204によって基準の配信領域よりも大きなサイズの配信領域に変更された場合に、出力条件決定部210が、ユーザ端末が変更前の基準の配信領域に到達したときに満たされる条件を出力条件として決定してもよい。
図43は本変形例の配信領域及び出力条件の例を表す。図43(a)では、車両3の前方に位置する基準の配信領域B11nが表されている。図43(b)では、配信領域変更部204が基準の配信領域B11nをより大きな半径の配信領域B12nに変更した様子が表されている。この場合に、出力条件決定部210は、配信領域B11nにユーザ端末が到達した場合に満たされる条件を出力条件として決定する。この場合、車両3とともに移動するユーザ端末は、配信領域B12nに到達したときにコンテンツが配信され、配信領域B11nに到達したときにそのコンテンツを出力することになる。
また、出力条件に用いられる距離は、店舗までの直線距離に限らず、道路に沿った距離であってもよい。また、店舗からの距離ではなく、店舗を含む特定の形をした領域(例えば店舗の前の通り)に到達すると満たされる条件が出力条件として用いられてもよい。また、例えば、コンテンツが配信されてから所定の時間が経過したときに満たされる条件が出力条件として用いられてもよい。
[6−8]車両
実施例で述べたユーザ端末とともに移動する車両は、自家用車であってもよいし、バスやタクシーなどであってもよい。また、自動車に限らず、電車にユーザが乗車した場合に、電車の車両とともにユーザ端末が移動してもよい。なお、コンテンツ配信システムは、自動車等の車両に乗車したユーザへのコンテンツの提供を想定するものであったが、それに限らず、歩いているユーザや船などの車両以外の乗り物に乗っているユーザにコンテンツが提供されてもよい。それらの場合でも、出力されたコンテンツを見たり聞いたりしたユーザがそのコンテンツを提供する店舗へ立ち寄ることが考えられるからである。
それらのユーザにコンテンツが提供される場合には、上述した車両情報(車両の状態に関する情報)の代わりに、移動するユーザ自身やユーザが乗っている他の乗り物の状態(移動速度や乗員数)に関する情報が用いられればよいし、状況情報(車両の周囲の状況に関する情報)の代わりに、ユーザ自身や他の乗り物の周囲の状況(ルートの特徴)に関する情報が用いられればよい。また、ユーザ関連情報(車両に乗車するユーザに関連する情報)の代わりに、歩いているユーザ自身や他の乗り物に乗っているユーザに関連する情報(疲労度や移動目的、その地域での移動経験)が用いられればよい。いずれの場合も、それらの情報に基づいて変更条件が満たされたか否かが判断されることで、上記の各例と同様の作用効果を得ることができる。
[6−9]各機能を実現する装置
図4等に表す各機能を実現する装置は、上述したものに限らない。例えば図4に表す走行予定ルート特定部202をスマートフォンが実現してもよい。
図44は本変形例のコンテンツ配信システム1kが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1kは、図4に表す各部に加えて走行予定ルート特定部202を備えるスマートフォン10kと、図4に表す走行予定ルート特定部202以外の各部を備える配信サーバ装置20kとを備える。
スマートフォン10kが備える走行予定ルート特定部202は、ルート案内部102から決定したルートを表すルート情報を読み出してそのルートを走行予定ルートとして特定し、特定したルートを表すルート情報を端末情報定期送信部104に供給する。端末情報定期送信部104は、ルート情報を含む端末情報を定期送信し、配信サーバ装置20kの変更条件判断部203は、送信されてきた端末情報に含まれるルート情報に基づいて、実施例と同様に変更条件が満たされたか否かを判断する。
図44の例と同様に、端末位置特定部205、移動速度特定部209、乗員数特定部215、ルート特徴判定部216、周囲状況特定部217、ユーザ関連情報取得部218、走行経験判定部220及び疲労度判定部221をスマートフォンが備えていてもよい。いずれの場合も、各部が特定、判定又は取得した情報を含む端末情報が定期通信で配信サーバ装置に送信されて上記の各例と同様に変更条件が満たされたか否かが判断されることで、コンテンツが端末に配信されるタイミングを変更可能にすることができる。
なお、上記の例とは反対に、ユーザ端末が実現していた機能を配信サーバ装置が実現してもよく、例えば、配信サーバ装置がルート案内部102を備えてもよい。その場合、ユーザ端末はユーザが設定した目的地を含む端末情報を定期通信で送信し、配信サーバ装置のルート案内部102が、端末情報に含まれる目的地までのルートを表すルート情報を生成する。生成されたルート情報は、コンテンツ送信部211によってコンテンツとしてユーザ端末に送信されるとともに、走行予定ルート特定部202による走行予定ルートの特定に用いられる。
[6−10]車載装置との連携
ユーザ端末は、車両に搭載された車載装置と連携してもよい。
図45は本変形例のコンテンツ配信システム1mが実現する機能構成を表す。コンテンツ配信システム1mは、図4に表す各部のうちルート案内部102を除く各部に加えて走行予定ルート特定部202及び車載装置通信部111を備えるスマートフォン10mと、図4に表す走行予定ルート特定部202以外の各部を備える配信サーバ装置20mとを備える。
車載装置通信部111は、車両が備える車載装置と無線又は有線で通信を行う。車載装置通信部111は、例えば、車載装置であるカーナビゲーション装置と通信を行い、カーナビゲーション装置が案内中のルートを表すルート情報を受信する。車載装置通信部111は、受信したルート情報を走行予定ルート特定部202に供給し、走行予定ルート特定部202は、供給されたルート情報が表すルートを走行予定ルートとして特定する。
なお、車載装置通信部111は、ルート情報に限らず、カーナビゲーション装置からルートの案内に用いている車両の位置情報を受信してもよい。この位置情報は、移動速度の特定に用いられてもよいし、測位部101が測定する位置を表す位置情報の代わりに用いられてもよい。また、車載装置通信部111は、上記の各例で述べた車両に設けられた車載装置(座席に取り付けられた圧力センサや車内を撮影する撮影手段、車内の音声を録音する録音手段、ブレーキ・アクセルに設けられたセンサなど)から各種の情報(着座状態や映像、音声、ブレーキの踏み具合、アクセルの踏み具合を表す情報など)を受信してもよい。
これにより、例えばユーザ端末が上述した乗員数特定部215を備える場合に、車載装置通信部111が受信した着座情報を用いて乗員数を特定することができる。これ以外にも、ユーザ端末が、端末位置特定部205、移動速度特定部209、ルート特徴判定部216、周囲状況特定部217、ユーザ関連情報取得部218、走行経験判定部220及び疲労度判定部221のうちのいずれかを備えていれば、それぞれ対応する情報を車載装置通信部111が受信して、その情報を用いて各部の動作が行われてもよい。本変形例によれば、スマートフォンでは獲得することが難しい情報やスマートフォンが測定するよりも精度の高い情報を各機能の動作に利用することができる。
[6−11]各種情報の判定・特定・取得方法
上述した車両情報、状況情報及びユーザ関連情報の判定・特定・取得方法は上述したものに限らない。例えばスマートフォンが端末位置特定部205を備える場合に、端末位置特定部205が、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとの通信に基づいて自装置の位置を特定する周知の技術を用いてユーザ端末の位置を特定してもよい。また、乗員数やルートの特徴、道路種別、渋滞情報、運転歴、疲労度、走行目的、走行経験などの情報をユーザがスマートフォンに入力し、入力された情報を含む端末情報に基づいてこれらの情報が判定・特定・取得されてもよい。
[6−12]発明のカテゴリ
本発明は、配信サーバ装置のような情報処理装置と、スマートフォンのようなユーザ端末の他、それらの装置を備えるコンテンツ配信システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。