本発明の一実施形態に係る点灯装置、照明制御システム、照明装置及び車両について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る点灯装置1は、図1に示すように、接続部10と、電力調整部(第1点灯回路11H及び第2点灯回路11L)と、制御部12とを備えている。また、本実施形態に係る照明制御システム5は、2つの点灯装置1(第1の点灯装置1A及び第2の点灯装置1B)を有している。さらに、本実施形態に係る照明装置(前照灯)6は、点灯装置1と、点灯装置1によって点灯させられる光源3とを有している。
光源3は、第1LEDモジュール30と、第2LEDモジュール31とを有している。第1LEDモジュール30は、複数個(図示例では4個)のLED(発光ダイオード)301〜304の直列回路で構成されている。第2LEDモジュール31は、複数個(図示例では4個)のLED311〜314の直列回路で構成されている。ただし、第1LEDモジュール30は、遠方照射用の走行ビーム(ハイビームとも呼ばれる)を照射する。第2LEDモジュール31は、対向車の運転者又は他の道路使用者への不当なまぶしさを抑えたすれ違いビーム(ロービームとも呼ばれる)を照射する。また、第1LEDモジュール30の複数個のLED301〜304は、複数のスイッチ素子14(14A〜14D)と電気的に並列接続されている。例えば、LED301にスイッチ素子14(14A)が電気的に並列接続され、LED302にスイッチ素子14(14B)が電気的に並列接続されている。さらに、LED303にスイッチ素子14(14C)が電気的に並列接続され、LED304にスイッチ素子14(14D)が電気的に並列接続される。ただし、1つのスイッチ素子14A〜14Dに対して、複数個のLEDが電気的に並列接続されてもかまわない。なお、光源3は、LED以外の半導体発光素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子やレーザーダイオードであってもかまわない。あるいは、光源3は、自動車用のハロゲン電球や放電電球であってもかまわない。
第1の点灯装置1Aと第2の点灯装置1Bは同一の構成(ハードウェア)を有している。以下の説明においては、2つの点灯装置1は、第1の点灯装置1Aと第2の点灯装置1Bが区別される場合を除いて点灯装置1と呼ばれる。
点灯装置1は、接続部10と、電力調整部(第1点灯回路11H及び第2点灯回路11L)と、制御部12とを備えている。接続部10は、第1端子101と、第2端子102と、第3端子103とを有している。また、接続部10は、第4端子104及び第5端子105を有することが好ましい。第1端子101は、後述する結線装置7を介して、外部電源4の正極と電気的に接続される。第2端子102は、結線装置7を介して外部電源4の負極と電気的に接続される。外部電源4は、例えば、自動車(本実施形態に係る車両8)に搭載されている自動車用のバッテリである。外部電源4は、正極である第1ターミナル40と、負極である第2ターミナル41とを有し、第1ターミナル40と第2ターミナル41から、例えば、定格値が12[V]の直流電圧を出力する。ただし、外部電源4の電源電圧の定格値は12[V]に限定されず、例えば、24[V]であってもよい。接続部10において、第3端子103は、第1端子101及び第2端子102と電気的に絶縁されている。第4端子104と第5端子105は、結線装置7を介して、車両8に搭載されている制御装置2とデータ通信を行うための一対の通信線20と電気的に接続される。なお、制御装置2は、車両8に搭載されている複数の電子制御ユニット(Electronic Control Unit)のうちで前照灯(本実施形態に係る照明装置6)を含む外部照明装置を制御する役割を担った電子制御ユニットである。
電力調整部は、接続部10を介して外部電源4から第1LEDモジュール30に供給される直流電力を調整する第1点灯回路11Hと、接続部10を介して外部電源4から第2LEDモジュール31に供給される直流電力を調整する第2点灯回路11Lとを含む。第1点灯回路11Hは、例えば、外部電源4から第1LEDモジュール30に供給される電流を定電流化する。第2点灯回路11Lは、例えば、外部電源4から第2LEDモジュール31に供給される電流を定電流化する。
制御部12は、マイクロコントローラや、制御装置2とデータ通信を行うデータ通信用のインタフェースなどを有することが好ましい。データ通信用のインタフェースは、例えば、車載ネットワーク規格であるCAN(controller area network)のプロトコルに準拠してデータ通信(CANフレームの送受信)を行うように構成されている。制御部12は、制御装置2から送信されるCANフレームを受信し、CANフレームに含まれるCAN信号を取得する。制御部12は、CAN信号で指示されている制御内容に従って、第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lの動作を制御し、かつ、複数のスイッチ素子14A〜14Dのオン・オフを制御する。ここで、制御装置2は、車体の前方を車載のカメラで撮影した映像から先行車両及び対向車両の有無を判定し、その判定結果に応じて走行ビームの照射範囲を変更している。例えば、制御装置2は、対向車両が存在すると判定した場合、右側の前照灯における対向車線側の走行ビームの照射範囲を狭くすることが好ましい。ただし、米国や欧州(英国を除く)のように自動車が右側通行と定められている場所では、左側の前照灯における対向車線側の走行ビームの照射範囲を狭くすることが好ましい。
そこで、制御装置2は、対向車両が存在すると判定した場合、その判定結果を示すCAN信号をCANフレームに格納し、当該CANフレームを2つの点灯装置1に一斉同報(マルチキャスト)する。右側の点灯装置1(第2の点灯装置1B)の制御部12は、受信したCANフレームに格納されているCAN信号(対向車両有りの判定結果)を取得する。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、自らの制御対象である光源3が車体の右側に配置されている光源であるので、複数のスイッチ素子14のうちの1つ又は複数のスイッチ素子14(例えば、スイッチ素子14A)をオンする。その結果、右側の光源3Bの第1LEDモジュール30の複数個のLED301〜304のうちでスイッチ素子14Aと電気的に並列接続されたLED301が消灯する。なお、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、自らの制御対象が左側の光源3Aであるので、スイッチ素子14の制御を行わない。つまり、第1の点灯装置1Aと第2の点灯装置1Bのそれぞれの制御部12A、12Bは、自身の制御対象の光源3の種別に応じて、部分的に異なる制御内容を実行しなければならない。そのため、2つの制御部12A、12Bの各々は、自身の制御対象の光源3の種別を、マイクロコントローラに備えるメモリ(例えば、フラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリ)に記憶しておくことが好ましい。そして、各制御部12A、12Bは、光源3の各種別に対応した2種類の制御内容のプログラムのうちから自身の制御対象の光源3の種別に応じた制御内容のプログラムをメモリから読み込んで実行すればよい。本実施形態の点灯装置1において、メモリに記憶される光源3の種別とは、光源3が左側の光源3Aであることを示す情報(第1の種別)、及び光源3が右側の光源3Bであることを示す情報(第2の種別)である。ただし、光源の種別は車体の幅方向に対する取付位置(左、右)に限定されない。例えば、光源の種別は車体の全長方向に対する取付位置(前、後)などであってもかまわない。
ここで、作業ミスなどが原因で、メモリに記憶している光源3の種別と、実際の制御対象の光源3の種別とが一致しない可能性がある。ゆえに、制御部12(12A、12B)は、左側の光源3(3A)と右側の光源3(3B)のいずれを制御対象とするのかを判別し、判別結果に応じた制御内容のプログラムをメモリから読み出して実行することが好ましい。
そこで、点灯装置1は、制御部12に制御対象とする光源3の種別を判別させるための判別回路を備えることが好ましい。この判別回路は、例えば、3つの抵抗器16A、16B、16Cで構成されることが好ましい(図1参照)。第1の抵抗器16Aの一端は、接続部10の第3端子103と電気的に接続されている。第1の抵抗器16Aの他端は、第2の抵抗器16Bの一端及び第3の抵抗器16Cの一端とそれぞれ電気的に接続されている。第2の抵抗器16Bの他端は、グランドに電気的に接続されている。第3の抵抗器16Cの他端は、基準電源回路13の出力端子と電気的に接続されている。基準電源回路13は、例えば、3端子レギュレータなどの定電圧回路で構成されることが好ましい。基準電源回路13が出力する基準電源電圧VDDは、動作用の電源電圧として制御部12に供給されている。なお、基準電源電圧VDDの電圧値は、外部電源4の電源電圧の定格値(12[V])よりも低い値(例えば、3.3[V]又は5[V])であることが好ましい。制御部12は、3つの抵抗器16A、16B、16Cの電気的な接続点の電圧を検出電圧Vxとして取り込んでいる。
ここで、制御部12による光源3の種別の判別動作を説明する前に、結線装置7の構成を説明する。結線装置7は、第1端子部71と、第2端子部72と、第3端子部73と、第4端子部74とを備えている。第1端子部71は、第1通信端子711と、第2通信端子712とを有している。第1通信端子711及び第2通信端子712は、一対の通信線20によって制御装置2と電気的に接続される。第2端子部72は、第1電源端子721と、第2電源端子722とを有している。第1電源端子721は、第1電源線400によって外部電源4の第1ターミナル40と電気的に接続されている。第2電源端子722は、第2電源線410によって外部電源4の第2ターミナル41と電気的に接続されている。第3端子部73は、第3電源端子730、第4電源端子731、第3通信端子732、第4通信端子733及び第1ダミー端子734を有している。なお、第3端子部73は、左側の光源3Aを制御対象とする点灯装置1の接続部10が電気的に接続される。第3電源端子730は、第2端子部72の第1電源端子721と電気的に接続されている。第4電源端子731は、第2端子部72の第2電源端子722と電気的に接続されている。第3通信端子732は、第1端子部71の第1通信端子711と電気的に接続されている。第4通信端子733は、第1端子部71の第2通信端子712と電気的に接続されている。第1ダミー端子734は、第2端子部72の第1電源端子721と電気的に接続されている。第4端子部74は、第5電源端子740、第6電源端子741、第5通信端子742、第6通信端子743及び第2ダミー端子744を有している。なお、第4端子部74は、右側の光源3Bを制御対象とする点灯装置1の接続部10が電気的に接続される。第5電源端子740は、第2端子部72の第1電源端子721と電気的に接続されている。第6電源端子741は、第2端子部72の第2電源端子722と電気的に接続されている。第5通信端子742は、第1端子部71の第1通信端子711と電気的に接続されている。第6通信端子743は、第1端子部71の第2通信端子712と電気的に接続されている。第2ダミー端子744は、第2端子部72の第2電源端子722と電気的に接続されている。また、図1において、第3端子部73は、第1ワイヤハーネス75を介して第1の点灯装置1Aの接続部10Aと電気的に接続されている。さらに、第4端子部74は、第2ワイヤハーネス76を介して第2の点灯装置1Bの接続部10Bと電気的に接続されている。
第1ワイヤハーネス75は、第1ワイヤ751、第2ワイヤ752、第3ワイヤ753、第4ワイヤ754、第5ワイヤ755を有している。第1ワイヤ751は、第3端子部73の第3電源端子730と第1の点灯装置1Aの接続部10Aの第1端子101を電気的に接続する。第2ワイヤ752は、第3端子部73の第4電源端子731と第1の点灯装置1Aの接続部10Aの第2端子102を電気的に接続する。第3ワイヤ753は、第3端子部73の第3通信端子732と第1の点灯装置1Aの接続部10Aの第4端子104を電気的に接続する。第4ワイヤ754は、第3端子部73の第4通信端子733と第1の点灯装置1Aの接続部10Aの第5端子105を電気的に接続する。第5ワイヤ755は、第3端子部73の第1ダミー端子734と第1の点灯装置1Aの接続部10Aの第3端子103を電気的に接続する。第2ワイヤハーネス76は、第6ワイヤ761、第7ワイヤ762、第8ワイヤ763、第9ワイヤ764、第10ワイヤ765を有している。第6ワイヤ761は、第4端子部74の第5電源端子740と第2の点灯装置1Bの接続部10Bの第1端子101を電気的に接続する。第7ワイヤ762は、第4端子部74の第6電源端子741と第2の点灯装置1Bの接続部10Bの第2端子102を電気的に接続する。第8ワイヤ763は、第4端子部74の第5通信端子742と第2の点灯装置1Bの接続部10Bの第4端子104を電気的に接続する。第9ワイヤ764は、第4端子部74の第6通信端子743と第2の点灯装置1Bの接続部10Bの第5端子105を電気的に接続する。第10ワイヤ765は、第4端子部74の第2ダミー端子744と第2の点灯装置1Bの接続部10Bの第3端子103を電気的に接続する。
ここで、点灯装置1の接続部10が第2ワイヤハーネス76を介して結線装置7の第4端子部74と電気的に接続されている場合、接続部10の第3端子103の電位が、外部電源4の負極(第2ターミナル41)の電位(0[V])に一致する。このとき、点灯装置1の判定回路は、図2Aに示す等価回路で表される。したがって、このときの検出電圧Vx(Vx1)は、基準電源電圧VDDを、第1の抵抗器16Aと第2の抵抗器16Bの並列抵抗と第3の抵抗器16Cで分圧した電圧となる。
また、点灯装置1の接続部10が第1ワイヤハーネス75を介して結線装置7の第3端子部73と電気的に接続されている場合、接続部10の第3端子103の電位が、外部電源4の正極(第1ターミナル40)の電位(12[V])に一致する。このとき、点灯装置1の判定回路は、図2Bに示す等価回路で表される。このときの検出電圧Vx(Vx2)は、重ね合わせの定理より、図2Aに示す等価回路における検出電圧Vx1と、外部電源4の電源電圧を第1の抵抗器16Aと第2の抵抗器16Bで分圧した検出電圧とを重ね合わせた(加算した)電圧となる。ゆえに、検出電圧Vx2は、検出電圧Vx1よりも高くなり、Vx1<Vx2の関係が成立する。
一方、第1ワイヤハーネス75の第5ワイヤ755又は第2ワイヤハーネス76の第10ワイヤ765に断線等の故障(異常)が発生した場合、接続部10の第3端子103の電位が不定となる。このとき、点灯装置1の判定回路は、図2Cに示す等価回路で表される。このときの検出電圧Vx(Vx3)は、基準電源電圧VDDを、第2の抵抗器16Bと第3の抵抗器16Cで分圧した電圧となる。ゆえに、検出電圧Vx3は、検出電圧Vx1よりも高く、かつ、検出電圧Vx2よりも低くなり、Vx1<Vx3<Vx2の関係が成立する(図3参照)。
そこで、本実施形態における制御部12は、検出電圧Vx3よりも高く、かつ、検出電圧Vx2よりも低い電圧値の第1しきい値Vth1と、検出電圧Vx1よりも高く、かつ、検出電圧Vx3よりも低い電圧値の第2しきい値Vth2とをメモリに記憶している。制御部12は、判別回路の検出電圧Vxを2つのしきい値(第1しきい値Vth1及び第2しきい値Vth2)と比較する。制御部12は、検出電圧Vxが第1しきい値Vth1以上であれば、接続部10の第3端子103の電位が外部電源4の電源電圧に等しい、すなわち、接続部10が第1ワイヤハーネス75を介して結線装置7の第3端子部73に接続されていると判定する。言い換えると、制御部12は、自身の制御対象である光源3の種別を第1の種別(左側の光源3A)と判別する。また、制御部12は、検出電圧Vxが第2しきい値Vth2以下であれば、接続部10の第3端子103の電位が基準電源電圧VDDに等しい、すなわち、接続部10が第2ワイヤハーネス76を介して結線装置7の第4端子部74に接続されていると判定する。言い換えると、制御部12は、自身の制御対象である光源3の種別を第2の種別(右側の光源3B)と判別する。そして、制御部12は、自身の制御対象である光源3の種別を判別すれば、その判別結果に応じた制御内容のプログラムをメモリから読み込んで実行すればよい。
ここで、制御部12は、検出電圧Vxが第2しきい値Vth2よりも高く、かつ第1しきい値Vth1未満である場合に光源3の種別を不定と判断する。そして、制御部12は、光源3の種別を不定と判断したら、異常の発生を通知するためのCAN信号を含むCANフレームを制御装置2に送信することが好ましい。そして、制御装置2は、点灯装置1の制御部12から異常の発生を通知するためのCAN信号を受け取った場合、例えば、自身が備えている表示素子に異常の発生を表示させ、発生した異常に対する対処を促すことが好ましい。
ところで、本実施形態の照明制御システム5において、例えば、第1の点灯装置1Aの制御部12Aが光源3の種別を判別できなくても、第2の点灯装置1Bの制御部12Bが光源3の種別を判別できる場合がある。この場合、第1の点灯装置1Aの制御部12Aが第2の点灯装置1Bの制御部12Bにおける光源3の種別の判別結果(例えば、第2の種別)を取得すれば、自身の光源3の種別(第1の種別)を推定することができる。
また、2つの点灯装置1の制御部12の各々が光源3の種別を判別できない可能性もある。そこで、2つの点灯装置1の制御部12の各々は、光源3の種別の初期値(第1の種別又は第2の種別)をメモリに格納しておき、上述のように光源3の種別が判別できない場合、メモリに格納した初期値を光源3の種別と推定することが好ましい。このようにして制御部12が自身の制御対象である光源3の種別を推定すれば、少なくとも光源3が不点となる状況を回避することができる。なお、制御部12は、点灯装置1が光源3と組み合わされて照明装置6が製造される工程、もしくは照明装置6が車両に搭載される工程のいずれかの工程において、光源3の種別の初期値をメモリに格納することが好ましい。
ここで、制御部12(例えば、第1の点灯装置1Aの制御部12A)は、光源3の種別の判別結果が初期値(第1の初期値)に一致しない場合、他の制御部12(例えば、第2の点灯装置1Bの制御部12B)に対して光源3の種別の判別結果を問い合わせてもよい。そして、制御部12Aは、制御部12Bの判別結果が制御部12Bのメモリに格納された初期値(第2の初期値)に一致していれば、制御部12Bの判別結果から自身の光源3の種別を推定することが好ましい。このようにして制御部12が自身の制御対象である光源3の種別を推定すれば、光源3の種別を判別する精度の向上を図ることができる。ただし、制御部12Aは、制御部12Bの判別結果が制御部12Bのメモリに格納された第2の初期値に一致しなければ、自身のメモリに格納されている第1の初期値を光源3の種別と推定することが好ましい。このようにして制御部12が自身の制御対象である光源3の種別を推定すれば、少なくとも光源3が不点となる状況を回避することができる。
さらに、制御部12Aは、光源3の種別の判別結果と、自身のメモリに格納している初期値(第1の初期値)とが一致しない場合、制御部12Bに対して判別結果の問い合わせを行うことが好ましい。制御部12Aは、制御部12Bの判別結果が第2の初期値(第2の種別)に一致していれば、制御部12Bの判別結果から自身の光源3の種別(第1の種別)を推定すればよい。同じく、制御部12Bは、光源3の種別の判別結果と、自身のメモリに格納している初期値(第2の初期値)とが一致しない場合、制御部12Aに対して判別結果の問い合わせを行うことが好ましい。制御部12Bは、制御部12Aの判別結果が第1の初期値(第1の種別)に一致していれば、制御部12Aの判別結果から自身の光源3の種別(第2の種別)を推定すればよい。このとき、それぞれの制御部12A、12Bは、自身の初期値(第1の初期値、第2の初期値)を、推定した判別結果に更新してもよい。制御部12A、12Bが上述のようにして光源3の種別を推定すれば、光源3の種別を判別する精度の向上を図ることができる。
次に、本実施形態の照明制御システム5の動作について、さらに詳しく説明する。図4に示すフローチャートは、第1の点灯装置1Aの制御部12Aの制御動作を示している。また、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、自身の制御対象である光源3の種別の初期値(第1の初期値)として第1の種別をメモリに格納している。さらに、第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、自身の制御対象である光源3の種別の初期値(第2の初期値)として第2の種別をメモリに格納している。
まず、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、判別回路から入力する検出電圧Vxを2つのしきい値Vth1、Vth2と比較して光源3の種別を判別する。制御部12Aは、光源3の種別の判別結果が不定か否かを判断し(ステップS1)、不定でなければ、判別結果がメモリに格納している第1の初期値と一致するか否かを判断する(ステップS2)。制御部12Aは、判別結果が第1の初期値(第1の種別)と一致すれば、制御対象の光源3の種別を第1の種別と確定して判別処理を終了する。そして、制御部12Aは、第1の種別に応じた制御内容(左側の光源3A用の制御内容)のプログラムをメモリから読み込んで実行する。
また、制御部12Aは、光源3の種別の判別結果が不定であった場合、第2の点灯装置1Bの制御部12Bに対して、制御部12Bの判別結果を問い合わせる。具体的には、制御部12Aは、判別結果の送信を要求するCAN信号を含むCANフレームを生成し、当該CANフレームを制御装置2を経由して第2の点灯装置1Bの制御部12Bに送信する。制御部12Bは、CANフレームを受信して当該CAN信号を受け取ると、自身の判別結果をCAN信号とするCANフレームを第1の点灯装置1Aの制御部12Aに返信する。制御部12Aは、第2の点灯装置1Bの制御部12Bから受け取った判別結果が不定か否かを判断し(ステップS3)、不定でなければ、制御部12Bの判別結果(例えば、第2の種別)から自身の光源3の種別を第1の種別と推定する(ステップS4)。さらに、制御部12Aは、光源3の種別の判別結果が不定であったこと(異常が発生していること)を示すCAN信号をCANフレームに格納して送信する。つまり、制御部12Aは、制御装置2に対して異常の発生を通知する(ステップS5)。一方、制御部12Aは、第2の点灯装置1Bの制御部12Bの判別結果が不定であった場合、自身の光源3の種別を第1の初期値と推定し(ステップS6)、かつ、制御装置2に対して異常の発生を通知する(ステップS5)。そして、制御部12Aは、第1の種別に応じた制御内容(左側の光源3A用の制御内容)のプログラムをメモリから読み込んで実行する。
さらに、制御部12Aは、自身の光源3の種別の判別結果が第1の初期値(第1の種別)と一致しなかった場合、第2の点灯装置1Bの制御部12Bに対して、制御部12Bの判別結果が第2の初期値(第2の種別)と一致したか否かを問い合わせる。制御部12Aは、問い合わせに対する制御部12Bの回答に基づき、制御部12Bの判別結果が第2の初期値と一致するか否かを判断する(ステップS7)。そして、制御部12Aは、制御部12Bの判別結果が第2の初期値と一致する場合、制御部12Bの判別結果(第2の種別)から自身の光源3の種別を第1の種別と推定する(ステップS8)。ここで、制御部12Aは、第1の初期値として第1の種別ではなく第2の種別をメモリに格納している可能性がある。したがって、制御部12Aは、ステップS8において、メモリに格納している第1の初期値を、推定した種別(第1の種別)に更新することが好ましい。また、制御部12Aは、制御部12Bの判別結果が第2の初期値と一致しない場合、自身の光源3の種別を第1の初期値と推定し(ステップS6)、かつ、制御装置2に対して異常の発生を通知する(ステップS5)。そして、制御部12Aは、第1の種別に応じた制御内容(左側の光源3A用の制御内容)のプログラムをメモリから読み込んで実行する。なお、第2の点灯装置1Bの制御部12Bの制御動作は、上述した制御部12Aの制御動作と共通であるから、詳細な説明を省略する。
上述のように本実施形態の点灯装置1は、外部電源4に電気的に接続される接続部10と、接続部10を介して外部電源4から光源3に供給される電力を調整する電力調整部(第1点灯回路11H及び第2点灯回路11L)とを備えている。また、点灯装置1は、外部の制御装置2から制御信号(CAN信号)を受信し、受信したCAN信号に含まれる制御内容に応じて第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lを制御して光源3に供給される電力を調整させる制御部12とを備えている。接続部10は、外部電源4の正極(第1ターミナル40)と電気的に接続される第1端子101と、外部電源4の負極(第2ターミナル41)と電気的に接続される第2端子102とを有している。接続部10は、さらに、第1端子101及び第2端子102に対して電気的に絶縁されている第3端子103を有している。第3端子103は、第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lから電力供給される光源3の種別に対応した電圧値の電圧が印加可能に構成されている。制御部12は、第3端子103の電圧を検出し、検出した第3端子の電圧(検出電圧Vx)を第1しきい値Vth1、及び第1しきい値Vth1よりも低い第2しきい値Vth2と比較する。また、制御部12は、検出電圧Vxが第1しきい値Vth1以上の場合は光源3の種別を第1の種別と判別し、検出電圧Vxが第2しきい値Vth2以下の場合は光源3の種別を第2の種別と判別する。さらに、制御部12は、検出電圧Vxが第2しきい値Vth2よりも高くかつ第1しきい値Vth1未満の場合は光源3の種別を不定としている。制御部12は、さらに、判別した光源3の種別が第1の種別である場合は第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lを第1の制御内容で制御する。制御部12は、判別した光源3の種別が第2の種別である場合は第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lを第2の制御内容で制御する。第2の制御内容は、少なくとも一部が第1の制御内容と異なっている。
本実施形態の点灯装置1が上述のように構成されれば、接触スイッチを使用して光源の種別を判別する構成に比較して大型化を抑制することができる。しかも、本実施形態の点灯装置1は、検出電圧Vxを2つのしきい値Vth1、Vth2と比較することにより、光源3の種別だけでなく、光源3の種別が不定となる異常の発生を判別することができる。その結果、本実施形態の点灯装置1は、大型化を抑制しつつ光源3との組み合わせの判別精度の向上を図ることができる。
また、本実施形態の点灯装置1において、第3端子103は、電線(第5ワイヤ755又は第10ワイヤ765)が電気的に接続可能に構成されていることが好ましい。第5ワイヤ755及び第10ワイヤ765は、外部電源4の第1ターミナル40及び第2ターミナル41のうちで第1点灯回路11H及び第2点灯回路11Lから電力供給される光源3の種別に対応したターミナルと導通していることが好ましい。
本実施形態の点灯装置1が上述のように構成されれば、第3端子103に電気的に接続される電線の種類(第5ワイヤ755と第10ワイヤ765)に応じて検出電圧Vxが異なる。そのため、本実施形態の点灯装置1は、検出電圧Vxをしきい値Vth1、Vth2と比較することにより、第5ワイヤ755及び第10ワイヤ765に断線等の異常が発生したことを判別できる。
本実施形態の点灯装置1において、外部電源4の電源電圧と電圧値の異なる基準電圧(基準電源電圧VDD)を第3端子103に印加する基準電源回路13を備えていることが好ましい。
本実施形態の点灯装置1が上述のように構成されれば、外部から第3端子103に印加される電圧と、基準電源回路13から第3端子103に印加される基準電源電圧VDDとの電圧差によって検出電圧Vxの電圧値を変化させることができる。
本実施形態の照明制御システム5は上述のように、第1の点灯装置1Aと、第2の点灯装置1Bとを有している。第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、第2の点灯装置1Bに対して光源3の種別の判別結果を含む通信信号(CAN信号)を送信する。第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、第2の点灯装置1Bにおける光源3の種別の判別結果を含みかつ第2の点灯装置1Bから送信される通信信号(CAN信号)を受信する。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、第1の点灯装置1Aに対して光源3の種別の判別結果を含む通信信号(CAN信号)を送信する。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、第1の点灯装置1Aにおける光源3の種別の判別結果を含みかつ第1の点灯装置1Aから送信される通信信号(CAN信号)を受信する。第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別を不定とした場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果に応じて光源3の種別を推定する。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別を不定とした場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果に応じて光源3の種別を推定する。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、第1の点灯装置1Aの制御部12Aと第2の点灯装置1Bの制御部12Bの各々が自身の判別結果と相手の判別結果とを比較検討して自身の光源3の種別を推定する。その結果、本実施形態の照明制御システム5は、第1の点灯装置1A及び第2の点灯装置1Bの大型化を抑制しつつ光源3と点灯装置1A、1Bの組み合わせの判別精度の向上を図ることができる。
本実施形態の照明制御システム5において、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別の第1の初期値として第1の種別又は第2の種別を記憶していることが好ましい。制御部12Aは、光源3の種別を不定とした場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果(制御部12Bの判別結果)が不定であれば、光源3の種別を第1の初期値と推定することが好ましい。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別の第2の初期値として第1の種別又は第2の種別を記憶していることが好ましい。制御部12Bは、光源3の種別を不定とした場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果(制御部12Aの判別結果)が不定であれば、光源3の種別を第2の初期値と推定することが好ましい。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、いずれの制御部12A、12Bも光源3の種別が判別できない場合、第1の初期値及び第2の初期値を光源3の種別と推定すれば、少なくとも光源3が不点となる状況を回避することができる。
本実施形態の照明制御システム5において、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別の判別結果と第1の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果が第1の初期値と一致しなければ、光源3の種別を第1の初期値と推定することが好ましい。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別の判別結果と第2の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果が第2の初期値と一致しなければ、光源3の種別を第2の初期値と推定することが好ましい。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、それぞれの制御部12A、12Bが、他方の制御部12B、12Aの判別結果に基づいて自身の制御対象である光源3の種別を推定することにより、判別精度の向上を図ることができる。
本実施形態の照明制御システム5において、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別の判別結果と第1の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果が第2の初期値と一致しなければ、光源3の種別を第1の初期値と推定することが好ましい。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別の判別結果と第2の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果が第1の初期値と一致しなければ、光源3の種別を第2の初期値と推定することが好ましい。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、それぞれの制御部12A、12Bの判別結果が第1の初期値及び第2の初期値と一致しない場合においても、少なくとも光源3が不点となる状況を回避することができる。
本実施形態の照明制御システム5において、第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別の判別結果と第1の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果に基づいて光源3の種別を第1の種別又は第2の種別と推定することが好ましい。かつ、制御部12Aは、第1の初期値を、推定した光源3の種別に更新することが好ましい。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別の判別結果と第2の初期値が一致しない場合において、受信したCAN信号に含まれる判別結果に基づいて光源3の種別を第1の種別又は第2の種別と推定することが好ましい。かつ、制御部12Bは、第2の初期値を、推定した光源3の種別に更新することが好ましい。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、光源3の種別を判別する精度の向上を図ることができる。
本実施形態の照明制御システム5において、第1の点灯装置1A及び第2の点灯装置1Bに制御信号(CAN信号)を送信する制御装置2を有することが好ましい。第1の点灯装置1Aの制御部12Aは、光源3の種別が不定である場合、及び判別結果が第1の初期値に一致しない場合に制御装置2に対して異常の発生を通知することが好ましい。第2の点灯装置1Bの制御部12Bは、光源3の種別が不定である場合、及び判別結果が第2の初期値に一致しない場合に制御装置2に対して異常の発生を通知することが好ましい。
本実施形態の照明制御システム5が上述のように構成されれば、例えば、制御装置2から異常の発生を報知させることにより、発生した異常に対する対処を促すことができる。
次に、本実施形態に係る照明装置6の構造を説明する。照明装置6は、図5及び図6に示すように、点灯装置1、4つの光源ユニット32A〜32D、本体60、カバー61などを備えることが好ましい。ただし、図5及び図6に示す照明装置6では、すれ違いビーム用の第2LEDモジュール31を省略している。
本体60は、合成樹脂により、前面が開口された箱状に形成されている。カバー61は、ガラスやアクリル樹脂などの透光性を有する材料により、後面が開口された箱状に形成されている。そして、本体60の前端にカバー61の後端が結合されている。そして、本体60内に4つの光源ユニット32A〜32Dが収容されている。
4つの光源ユニット32A〜32Dは、基本的に共通の構造を有している。したがって、代表して第3の光源ユニット32Cの構造について、図5を参照して説明する。第3の光源ユニット32Cは、第1LEDモジュール30のLED303、筐体320、レンズ321、放熱部材322、反射部材323などを有している。LED303は、実装基板3030にLEDチップ3031が実装されて構成されている。筐体320は、金属材料で箱状に形成され、LED303を内部に収容している。レンズ321は、ガラスやアクリル樹脂などの透光性を有する材料によって半球状に形成されている。レンズ321は、筐体320の先端に取り付けられている。放熱部材322は、例えば、アルミダイカストなどによって形成されている。反射部材323は、アルミ板などの金属材料により、半球状に形成されている。LED303は、実装基板3030を放熱部材322の表面に接触させるようにして放熱部材322に取り付けられている。また、反射部材323は、LED303を内側に納めれるようにして放熱部材322に取り付けられている。ゆえに、LED303から放射される光は、反射部材323の内周面に反射された後、レンズ321で集光される。なお、4つの光源ユニット32A〜32Dは、図6に示すように、本体60内において、横方向に一列に並べて配置されることが好ましい。
点灯装置1は、金属製のケース17に収容されて本体60の外側面に取り付けられている。なお、点灯装置1と4つの光源ユニット32A〜32Dとは、電線324を介して電気的に接続されている(図5及び図6参照)。
本実施形態に係る車両8は、例えば、セダンタイプの普通乗用車であることが好ましい(図7参照)。本実施形態に係る照明装置6は、車両8の車体80の前端部における左右両側に配置される。つまり、本実施形態に係る照明装置6は、車両8の前照灯に用いられることが好ましい。
上述のように本実施形態の照明装置6は、点灯装置1と、点灯装置1によって点灯させられる光源3とを有する。
本実施形態の照明装置6が上述のように構成されれば、点灯装置1と同様に、大型化を抑制しつつ光源3との組み合わせの判別精度の向上を図ることができる。
本実施形態の車両8は上述のように、照明装置6又は本実施形態の照明制御システム5と、照明装置6又は本実施形態の照明制御システム5を搭載する車体80とを有する。
本実施形態の車両8が上述のように構成されれば、点灯装置1及び照明装置6と同様に、大型化を抑制しつつ光源3との組み合わせの判別精度の向上を図ることができる。
ところで、照明装置6は前照灯(ヘッドランプ)に限定されない。照明装置6は、車体80の左右両側の位置に光源を配置する照明装置であればよく、例えば、方向指示器(ターンシグナルランプ)や車幅灯(クリアランスランプ)であってもかまわない。