JP6692280B2 - 無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、振子質量体を有する無段変速機に関するものである。
変速機に振子質量体を設けて、エンジンからの入力回転の振動(回転変動)を減衰させるようにする技術が開発されている。例えば、特許文献1には、変速機のトルクコンバータに振子質量体を設けた技術が開示されている。
特開2014−70647号公報
しかしながら、上記のようにトルクコンバータ内部に振子質量体を新たに設けることにより、トルクコンバータが大型化してしまい、変速機として大型化してしまう。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、無段変速機において振子質量体を設けることに伴う変速機の大型化を抑制することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の無段変速機は、プーリ軸を有するフィックスシーブと、前記プーリ軸と結合され受圧室を形成するプランジャと、前記プランジャと前記フィックスシーブとの間に位置するスライドシーブと、前記プランジャから前記スライドシーブに向かって突出する第1ピンにより支持される第1振子質量体と、前記プランジャから前記スライドシーブに向かう方向の逆側に向かって突出する第2ピンにより支持される第2振子質量体と、を有することを特徴としている。
(2)前記プランジャは、前記プーリ軸に沿って略円筒状に形成された筒状基部と、前記筒状基部から径方向外方に延設された円板状部と、を有し、前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記円板状部において前記プーリ軸と平行に設けられ、前記第1振子質量体の前記プーリ軸の径方向における長さは、前記第2振子質量体の当該長さよりも長いことが好ましい。
(3)前記第1振子質量体と前記第2振子質量体とは別体であることが好ましい。
(4)前記第1振子質量体は、同一の形状及び質量のもの複数が周方向に等間隔に配置され、前記第2振子質量体は、同一の形状及び質量のもの複数が周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。
(5)また、前記フィックスシーブ及び前記スライドシーブは、エンジンに連結されたプライマリプーリに装備されていることが好ましい。
(a)また、前記第2ピンを被検出部とする回転速度センサを有することも好ましい。
(b)前記第2ピンは、前記プーリ軸と平行に設けられ、前記回転速度センサは、前記ピンの突出する先端面に対向して配置されていることも好ましい。
(c)前記第2振子質量体は、同一の形状及び質量のもの複数が、それぞれ複数の前記第2ピンに支持されて周方向に等間隔に配置され、前記複数の振子質量体を支持する全ての前記ピンは、同一の形状のもの複数が周方向に等間隔に配置されていることも好ましい。
(d)前記スライドシーブは、前記第1ピンが内挿され、前記第1ピンと前記プーリ軸の軸方向に摺動可能に接触する軸穴を有することも好ましい。
(e)前記プーリ軸の外周面及び前記スライドシーブが有する中空軸の内周面は、何れも単純円筒面で形成されていることも好ましい。
(f)前記第1ピン及び前記軸穴は、何れも周方向に複数が等間隔に配置されていることも好ましい。
本発明によれば、振子質量体がスライドシーブの側に装備されたプランジャの受圧室の内外の構造的な空き空間に、プランジャに一体形成されたピンに支持され配置されているので、振子質量体を設けることに伴う無段変速機の大型化を抑制することができる。
また、プランジャの受圧室内外の両側に振子質量体を設けているので、振子質量体の合計質量を大きく確保しやすく、合計質量が大きいほど制振性は向上するので、制振効果を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る無段変速機の要部(一方のプーリ)を示す縦断面図であり、(a)はスライドシーブがフィックスシーブから離隔した状態を示し、(b)はスライドシーブがフィックスシーブに接近した状態を示す。 本発明の第1実施形態に係る無段変速機の要部(一方のプーリ)の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る無段変速機の要部(一方のプーリ)の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る無段変速機の要部(一方のプーリ)を示す縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る無段変速機の要部(一方のプーリ)を示す縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る無段変速機の要部変形例を示す部分縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
・第1実施形態
〔無段変速機の全体構成〕
本実施形態に係る無段変速機について、その全体構成は図示しないが、本無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、プライマリプーリ及びセカンダリプーリに巻き掛けられた無端状のベルト(チェーンベルトも含む)とを備えて構成され、エンジン等の駆動源の出力回転を変速して伝達する。
プライマリプーリ及びセカンダリプーリは、何れも、回転軸(プライマリプーリ軸,セカンダリプーリ軸、以下、単にプーリ軸という)と、プーリ軸と回転方向にも軸方向にも一体に結合されたフィックスシーブと、このフィックスシーブと対向して配設され、プーリ軸と一体回転し軸方向には可動に接続されたスライドシーブと、を備えている。
本無段変速機は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリのうちの少なくとも何れかのプーリ(以下、単にプーリという)のスライドシーブに、駆動源からの入力回転の振動(回転変動)を減衰させる振子質量体が設けられている。駆動源からの入力回転の振動を減衰する観点からは、プライマリプーリへの適用が好ましい。
〔無段変速機のプーリの構成〕
図1(a),(b),図2,図3に示すように、本無段変速機のプーリ10は、プーリ軸11を有するフィックスシーブ1と、プーリ軸11と結合・固定されたプランジャ12と、プランジャ12とフィックスシーブ1との間に位置し、プーリ軸11の外周に摺接する中空軸21を有するスライドシーブ2と、を有している。
フィックスシーブ1とスライドシーブ2との互いに対向するシーブ面1a,2aによりV溝が形成され、このV溝内に図示しないベルトが挟持される。
スライドシーブ2の背面(シーブ面2aと逆側の面)2b側の外周近傍には、ほぼ円筒状のシリンダ(ドラム部)22がプーリ軸11の回転中心線Cと同軸に固設されている。
プランジャ12は、スライドシーブ2の背面2b側に配置され、プーリ軸11に沿って略円筒状に形成された筒状基部12aと、筒状基部12aから径方向外方に延設された円板状部12bとを有し、円板状部12bの外縁12cがシール部材12dを介してシリンダ22の内周面22aと摺接している。
プランジャ12とスライドシーブ2(その背面2b)とシリンダ22(その内周面22a)とプーリ軸11の外周面11aとで囲まれた空間が、スライドシーブ2に油圧を作用させる受圧室13となっている。
そして、プランジャ12のスライドシーブ2側には、スライドシーブ2に向かって突出する第1ピン31が固設され、この第1ピン31に第1振子質量体41が支持されて備えられている。
また、プランジャ12の反スライドシーブ2側(スライドシーブ2に向かう方向の逆側、スライドシーブ2から離隔する側)には、スライドシーブ2から離隔する方向に向かって突出する第2ピン32が固設され、この第2ピン32に第2振子質量体42が支持されて備えられている。
本実施形態では、1本のピン部材が、プランジャ12に形成された穴に、両端がそれぞれ突出するように差し込まれて溶接等で穴に隙間が空かないように液密に固着され、一端側の突出部分が第1ピン31に、他端側の突出部分が第2ピン32に構成される。したがって、第1ピン31及び第2ピン32(以下、ピン31,32とも記載する)は同一軸線上に配置される。
ピン31,32の形成手法はこれに限定されるものでなく、例えば鋳造等によってはじめからプランジャ12と一体に形成してもよい。
第1振子質量体41及び第2振子質量体42(以下、振子質量体41,42とも記載する)は、何れも正面視で扇形に形成された複数の単位質量体41P,42Pから構成されており、それぞれの単位質量体41P,42Pは、プランジャ12の第1ピン31が突出した面或いは第2ピン32が突出した面に、回転中心線Cを中心にして環状に並んで装備されている。
本実施形態では、第1単位質量体41Pと第2単位質量体42Pとでは形状や重量が相違するが、第1単位質量体41Pどうし及び第2単位質量体42Pどうしでは、同形状で同重量に構成されている。
第1単位質量体41P及び第2単位質量体42Pは、何れも2本の第1ピン31又は第2ピン32で支持されて、それぞれ同数(ここでは、12個)のものが等間隔に環状に並んで装備されている。なお、単位質量体41P,42Pの数は限定されない。
第1単位質量体41Pについては、扇形の外端縁(外側の弧状部)はシリンダ22の内周面22aと干渉しない範囲に径を規定され、扇形の内端縁(内側の弧状部)はプランジャ12の筒状基部12aの外周面と干渉しない範囲に径を規定され、この範囲で可能な限り径方向長さ(外端縁と内端縁との距離)が確保され、重量が確保されている。
第2単位質量体42Pについては、扇形の外端縁(外側の弧状部)はシリンダ22の内周面22aと干渉しない範囲に径を規定され、扇形の内端縁(内側の弧状部)はスライドシーブ2の中空軸21の外周面と干渉しない範囲に径を規定され、この範囲で可能な限り径方向長さが確保され、重量が確保されている。
受圧室13の縮小した際、即ち、スライドシーブ2がフィックスシーブ1から離隔する側に移動した際、プランジャ12の筒状基部12aはスライドシーブ2の中空軸21の外側に重なるため、中空軸21の外周面は筒状基部12aの外周面よりも小径に形成される。
このため、第1単位質量体41Pの内端縁は、第2単位質量体42Pの内端縁よりも小径に形成することができ、本実施形態では、第1単位質量体41Pの径方向における長さ(径方向長さ)は、第2単位質量体42Pの径方向長さよりも大きく形成している。
また、第1単位質量体41P及び第2単位質量体42Pは、互いに周方向に隙間を空けて12個ずつ環状に並べられているため、各単位質量体41P,42Pの扇形の中心角は、30°(=360°/12)よりも隙間分だけ僅かに小さく形成されている。
さらに、本実施形態では、第1単位質量体41P及び第2単位質量体42Pは、厚みの均一な平板状に形成されている。平板の厚みは、他部材に干渉しない範囲で可能な限り大きな厚さが確保され、重量が確保されている。ただし、第1単位質量体41P及び第2単位質量体42Pは、平板状に限定されるものではない。
スライドシーブ2に向かって突出する第1ピン31の内の一部は、スライドシーブ2に回転中心線Cと平行に形成された軸穴23に挿入されており、スライドシーブ2の軸方向移動時に、第1ピン31と軸穴23とが摺接しながら、スライドシーブ2の軸方向移動を許容しつつ、スライドシーブ2のフィックスシーブ1に対する相対回転を規制する。
つまり、第1ピン31と軸穴23とは、スライドシーブ2がフィックスシーブ1に対して軸方向には移動し回転方向には一体回転するように案内する。このため、フィックスシーブ1のプーリ軸11の外周とスライドシーブ2の中空軸21の内周との間には、相対回転を規制しつつ軸方向移動を許容するスプライン結合等の結合構造の省略あるいは簡略化を可能にしている。
なお、軸穴23はスライドシーブ2とフィックスシーブ1との相対回転を規制する際の負荷に応じた数だけ設ければよく、規制負荷が小さい場合は1つだけとしても良く、規制負荷が大きい場合は複数(例えば2乃至3など適宜の数)を等間隔に設ければよい。
スライドシーブ2から離隔する方向に向かって突出する第2ピン32の先端には、第2単位質量体42のピン32からの離脱を防止するストッパとして機能する拡径した先端部32aが設けられている。
また、図示しないが、スライドシーブ2に向かって突出する第1ピン31のうち、対応する軸穴23が設けられていないものの先端にも、第1単位質量体41Pのピン31からの離脱を防止する拡径部等のストッパが設けられている。
なお、ストッパは、単に、単位質量体41P,42Pがピン31,32から離脱しないようにするだけでなく、単位質量体41P,42Pのピン31,32に対する軸方向移動自体を規制するものであればより好ましい。この観点からは、軸穴23内に挿入された第1ピン31にも、単位質量体41Pの軸方向移動自体を規制するストッパを設けることが好ましい。
第1単位質量体41Pには、第1ピン31が遊嵌する係合穴41aが形成され,第2単位質量体42Pには、第2ピン32が遊嵌する係合穴42aが形成されている。係合穴41a,42aは、プーリ10の回転方向(周方向)に延びた略円弧状の長穴であり、単位質量体41P,42Pとピン31,32とは周方向に相対動が可能である。
単位質量体41P,42Pは、プーリ10の回転に伴ってスライドシーブ2及びプランジャ12と一体回転すると遠心力を受けて、係合穴41a,42aの内縁側壁面がピン31,32に圧接し、ピン31,32に遠心力を作用させる。
ここで、単位質量体41P,42Pの回転変動を減衰させる構成の例を説明する。
係合穴41a,42aの内縁側壁面は、図示しないが、周方向の中間部で半径(回転中心線Cからの距離)が最小になっており、周方向の端部に行くにしたがって、半径が大きくなるように、一定半径の基準線(円弧)に対して傾斜して形成されている。
したがって、プーリ10が一定回転速度で回転しているときには、係合穴41a,42aの内縁側壁面の中間部にピン31,32が接触した状態で、単位質量体41P,42Pが回転するが、プーリ10に回転速度の変化が生じると、プーリ10と一体回転するピン31,32も回転速度が変化する。
ピン31,32の回転速度が変化すると、慣性によって等速回転しようとする単位質量体41P,42Pとピン31,32との間に相対回転が生じて、ピン31,32が係合穴41a,42aの内縁側壁面の中間部から何れかの周方向端部側へ接触部を移動させる。
ピン31,32の係合穴41a,42aの内縁側壁面との接触部が、中間部から周方向端部側へ移動するには、ピン31,32は単位質量体41P,42Pを遠心力に抗して回転中心線C側に移動させる必要があるので、単位質量体41P,42Pからこれを阻止する側に反力を受け、この反力がプーリ10の回転変動を抑制するように作用する。
また、各第2ピン32の先端部32aの先端面51は、回転速度センサ50によりプーリ10の回転速度を検出する被検出部として機能するようになっている。つまり、同一円状に等間隔で並んだ複数(ここでは、合計24個)の第2ピン32の先端部32aの先端面51が何れも被検出部として機能するようになっている。なお、図3においては、便宜上、回転速度センサ50を第2ピン32の先端部32aから大きく離隔させて示している。
回転速度センサ50による検出手法としては、例えば磁界の変化に応じた誘導起電力の変化を利用した磁気方式のロータリエンコーダを適用することができ、この場合、等間隔で並んだ各第2ピン32の先端面51により形成される環状の凹凸部がトーンホイールに相当し、回転速度センサ50はトーンホイールの凹凸を拾うピックアップに相当する。
なお、上記の環状の凹凸部は、各第2ピン32の先端面51が凸部の頂面となり、隣接する第2ピン32の間が凹部となる。凸部の検出精度を確保するためには、先端面51が回転中心線Cと直交する平面で構成されることが好ましい。
〔作用及び効果〕
本発明の第1実施形態に係る無段変速機は、上述のように構成されるので、無段変速機に例えばエンジンの出力回転が入力されると、プーリ10が回転し、プランジャ12に設けられたピン31,32に係止された単位質量体41P,42Pも回転する。
エンジンの出力回転が振動(回転変動)しようとすると、プーリ10の回転が振動(回転変動)しようとして、このとき、単位質量体41P,42Pがこの振動を抑制するように作用し、振動が減衰される。
本装置では、単位質量体41P,42Pは、プーリ10のスライドシーブ2の側に装備されたプランジャ12の受圧室13内外の空き空間に、プランジャ12に一体形成されたピン31,32に支持され配置されているので、単位質量体41P,42Pを設けることに伴う無段変速機の大型化を抑制することができる。
また、プランジャ12の受圧室13内外の両側に単位質量体41P,42Pを設けているので、単位質量体41P,42Pの合計質量を大きく確保しやすく、合計質量が大きいほど制振性は向上するので、制振効果を向上させることができる。
振子質量体の設置スペースの確保しやすい受圧室13内の第1単位質量体41Pの径方向長さは、第2単位質量体42Pの径方向長さよりも大きく形成しているので、単位質量体41P,42Pの合計質量をより大きく確保しやすく、制振効果を向上させることができる。
また、特許文献1に、第1単位質量体と第2単位質量体と一体に形成してトルクコンバータの回転部材の両側に振り分けて装備する例が記載されているが、このような一体に形成したものをプランジャ12の両側(受圧室13の内外)に適用する場合、プランジャ12に第1単位質量体41Pと第2単位質量体42Pとの結合部を貫通させ且つ周方向への動きを許容する開口が必要となり、開口を設けると受圧室13のシール性が低下することとなる。
これに対して、本装置では、第1単位質量体41Pと第2単位質量体42Pとは別体であり、それぞれ別のピン(第1ピン31,第2ピン32)で支持されるため、プランジャ12に開口を設ける必要がなくなり、シール性の低下を防止することができる。
さらに、第1単位質量体41Pも第2単位質量体42Pもそれぞれ、同一の形状及び質量のもの複数が周方向に等間隔に配置されており、単位質量体41P,42Pの生産効率や組み付け作業性を向上させることができる。
また、第2ピン32の先端部32aを回転速度センサ50の被検出部としており、プーリ10の軸長方向の増大を抑制することができる。
つまり、一般には、プランジャ12よりも後ろ側(スライドシーブ2から離隔した側)に被検出部となる凹凸形状を有するプレートを設けるため、プーリ軸11の軸長が大きくなっていたが、第2ピン32の先端部32aを被検出部としているので、回転速度センサ50の配置に伴うプーリ10の軸長方向の増大を抑制することができる。
また、第2ピン32は、プーリ軸11と平行に設けられ、回転速度センサ50は、第2ピン32の突出する先端部32aの先端面51に対向して配置されているので、第2ピン32を用いながら確実に回転速度センサ50による回転速度の検出を行なうことができる。
つまり、回転速度センサをスライドシーブ2の外側において第2ピン32の突出部分に向けて配置して回転速度の検出をしようとすると、スライドシーブ2の移動により、第2ピン32の突出部分がシリンダ22に隠れてしまう場合があり、その際の検知精度の低下が懸念されるが、回転速度センサ50を第2ピン32の突出する先端部32aの先端面51に対向して、即ち、プーリ軸11の軸方向と平行な方向に配置することにより、当該課題を解決することができる。
また、全ての第2ピン32は同一の形状であって、これらが周方向に等間隔に配置されているので、第2ピン32の数に応じた分解能で回転速度を検出することができる。
また、スライドシーブ2は、第1ピン31が内挿され、第1ピン31がプーリ軸11の軸方向に摺動可能に接触する軸穴23を有しており、第1ピン31と軸穴23とが、スライドシーブ2がフィックスシーブ1に対して軸方向には移動し回転方向には一体回転するように案内する。
このため、従来のように、フィックスシーブ1のプーリ軸11の外周とスライドシーブ2の中空軸21の内周との間には、相対回転を規制しつつ軸方向移動を許容するスプライン結合等の結合構造が不要になるか、又は、結合構造の負担を軽減し、簡素な結合構造にすることができる。
スプライン結合等の結合構造が不要になれば、かかる結合構造を廃止して、互いに軸方向に摺動するプーリ軸11の外周面11aと中空軸21の内周面とを、何れも単純円筒面(スプライン結合等の凹凸がない円筒面)で形成することができ、以下の不具合の発生を回避することができる。
つまり、受圧室13内の油がスプライン部分を通って外部に漏れやすいが、このような油漏れを回避することができる。
また、スプライン結合を設ける場合、軸に溝を掘るので、フィックスシーブ1のプーリ軸11の外周面11aもスライドシーブ2の中空軸21も強度が低下するが、これを回避し、強度を確保しやすくなる。
軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31が複数必要な場合、軸穴23及び第1ピン31を周方向に等間隔に配置するので、それぞれの軸穴23及び第1ピン31の負担が均等になり、耐久性を向上できる。
・第2実施形態
〔無段変速機のプーリの構成〕
図4に示すように、本実施形態に係る無段変速機のプーリ10は、第1実施形態のものから軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31を省略したものである。本実施形態では、これに替えて、プーリ軸11の外周面11aと中空軸21の内周面とがスプライン結合61により、軸方向移動を許容しながら一体回転するようになっている。なお、図4において、図1と同符号は同様の部材を示す。
このような構成により、本実施形態に係る無段変速機においても、軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31による効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
・第3実施形態
〔無段変速機のプーリの構成〕
図5に示すように、本実施形態に係る無段変速機のプーリ10は、第2実施形態のものから各第2ピン32の先端面51により形成される環状の凹凸部をトーンホイールに利用する点を省略したものである。本実施形態では、これに替えて、プランジャ12よりも後ろ側(スライドシーブ2から離隔した側)に、トーンホイール52を装備し、回転速度センサ50はこのトーンホイール52を被検出部として回転速度を検出する。
このような構成により、本実施形態に係る無段変速機においても、軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31による効果や、各第2ピン32の先端面51により形成される環状の凹凸部をトーンホイールに利用することによる効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、上記の各実施形態を種々変形して実施することができる。
上記の各実施形態では、第1単位質量体41P及び第2単位質量体42Pが、厚みの均一な平板状に形成されているが、平板状に限定されるものではなく、例えば図6に第1実施形態の変形例として示すように(二点鎖線参照)、他部材に干渉しない範囲で肉盛部41P´,42P´を追加した形状に形成してもよい。これにより、単位質量体41P,42Pの質量を増大でき、制振効果を向上させることができる。
また、上記実施形態では、プランジャ12のスライドシーブ2側に、第1ピン31及び第1単位質量体41Pを、プランジャ12の反スライドシーブ2側に、第2ピン32及び第2単位質量体42Pを、それぞれ装備しており、プランジャ12周りの空間を効果的に利用しているが、プランジャ12のスライドシーブ2側及び反スライドシーブ2側の一方のみに、ピン及び振子質量体を設けるようにしてもよい。
例えば、軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31の構成に着目すれば、プランジャ12のスライドシーブ2側に第1ピン31及び第1振子質量体41を装備するだけでもよい。
また、各第2ピン32の先端面51により形成される環状の凹凸部をトーンホイールに利用する点に着目すれば、プランジャ12の反スライドシーブ2側に第2ピン32及び第2振子質量体42を装備するだけでもよい。
さらに、第3実施形態のように、第1実施形態のものから軸穴23及び軸穴23内を摺動する第1ピン31を省略し、各第2ピン32の先端面51により形成される環状の凹凸部をトーンホイールに利用する点を省略したものにおいて、プランジャ12のスライドシーブ2側及び反スライドシーブ2側の一方のみに、ピン及び振子質量体を設けるようにしてもよい。
さらに、各実施形態では、振子質量体41,42を、遠心振子の動作をする複数の単位質量体41P,42Pから構成したが、振子質量体41,42がそれぞれ単一のもので、弾性力によって周奉納の中立位置に付勢され、回転時の振子質量体41,42の慣性力によって、回転変動を抑制するものにも適用できる。
1 フィックスシーブ
1a フィックスシーブ1のシーブ面
2 スライドシーブ
2a スライドシーブ2のシーブ面
2b スライドシーブ2の背面
10 プーリ(プライマリプーリ又はセカンダリプーリ)
11 プーリ軸
12 プランジャ
12a プランジャ12の筒状基部
12b プランジャ12の円板状部
13 受圧室
21 スライドシーブ2の中空軸
22 スライドシーブ2のシリンダ
23 スライドシーブ2の軸穴
31 第1ピン
32 第2ピン
41 第1振子質量体
41P 第1振子質量体41の単位質量体
41a 第1振子質量体41の係合穴
42 第2振子質量体
42P 第1振子質量体42の単位質量体
42a 第2振子質量体42の係合穴
50 回転速度センサ
51 第2ピン32の先端面

Claims (5)

  1. プーリ軸を有するフィックスシーブと、
    前記プーリ軸と結合され受圧室を形成するプランジャと、
    前記プランジャと前記フィックスシーブとの間に位置するスライドシーブと、
    前記プランジャから前記スライドシーブに向かって突出する第1ピンにより支持される第1振子質量体と、
    前記プランジャから前記スライドシーブに向かう方向の逆側に向かって突出する第2ピンにより支持される第2振子質量体と、を有する
    ことを特徴とする無段変速機。
  2. 請求項1において、
    前記プランジャは、前記プーリ軸に沿って略円筒状に形成された筒状基部と、前記筒状基部から径方向外方に延設された円板状部と、を有し、
    前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記円板状部において前記プーリ軸と平行に設けられ、
    前記第1振子質量体の前記プーリ軸の径方向における長さは、前記第2振子質量体の当該長さよりも長い
    ことを特徴とする無段変速機。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記第1振子質量体と前記第2振子質量体とは別体である
    ことを特徴とする無段変速機。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項において、
    前記第1振子質量体は、同一の形状及び質量の複数の単位質量体を周方向に等間隔に配置され、
    前記第2振子質量体は、同一の形状及び質量の複数の単位質量体を周方向に等間隔に配置されている
    ことを特徴とする無段変速機。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項において、
    前記フィックスシーブ及び前記スライドシーブは、エンジンに連結されたプライマリプーリに装備されている
    ことを特徴とする無段変速機。
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