JP6688754B2 - 細胞培養装置の評価方法及び評価プログラム - Google Patents

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本発明は、細胞培養装置の評価方法及び評価プログラムに関する。
現在、医薬品として用いられている抗体をはじめとするタンパク質の多くは遺伝子組換え動物細胞を用いて製造されている。タンパク質は、一次構造までは遺伝子の塩基配列のみに依存するため微生物でも産生できるが、抗体などのタンパク質の多くは、ポリペプチド合成後に糖鎖で修飾される。これらのタンパク質はその一次構造のみでは生理活性が現れないものが多く、微生物では完全な合成が困難であり、二次、三次構造の構築と糖鎖修飾の機能を持つ動物細胞を用いる必要がある。
医薬品の生産に用いられている動物細胞培養の多くは、本来は付着依存性である組織細胞を剥離して順化することで単一細胞として液体培地中で浮遊させ、栄養源や酸素を供給しながら行っている。抗体を用いた抗体医薬品においては、培養液の単位容量当たりの抗体収量が小さいこと、培地が高価であること、一患者当たりの必要投与量が大きいことなどの理由により、非常に高価になっている。このため、細胞数密度が高く、生産収率の大きい大型細胞培養装置による培養が求められている。
大型細胞培養装置では、細胞が吸収する酸素を供給すると共に細胞が吐き出す二酸化炭素を除去するために、十分な量の通気と攪拌が必要である。一方で、過剰な攪拌による流体せん断応力と気泡通気は細胞にダメージを与え、細胞が死滅するという問題がある。これに対応する技術が、特許文献1及び非特許文献1に記載されている。
特許文献1には、接着依存性細胞を培養容器内で単層培養する際の培養細胞評価方法が記載されている。この方法は、接種した細胞が培養容器の底面に接着するまでの細胞接着期と、前記接着した細胞が細胞分裂を開始するまでの誘導期と、前記細胞分裂の開始後から培養容器の底面にほぼコンフルエント状態になるまでの対数増殖期と、前記コンフルエント状態になった後の定常期と、の4種のステージから選ばれる少なくとも1種のステージにおける細胞固有のパラメータを導出し、前記接着依存性細胞の単層培養過程を定量評価することを特徴とする旨記載されている。
非特許文献1には、動物細胞培養槽のスケールアップと最適化設計を目的とした細胞培養槽の数値シミュレーション技術が記載されている。なお、図7は、小型細胞培養装置に関する従来の数値シミュレーション技術を説明する説明図である。図8は、大型細胞培養装置に関する従来の数値シミュレーション技術を説明する説明図である。
非特許文献1には、図7及び図8に示すように、小型細胞培養槽及び大型細胞培養槽内のいずれにおいても、前記した数値シミュレーション技術を用いて、流体せん断応力による細胞死滅10、混合性能11及びガス交換性能12で囲まれた運転可能領域100を見出すことにより、細胞培養槽の設計最適化を図る旨記載されている。
特開2001−224366号公報
天野研、外4名、「抗体医薬品の生産性向上を支援する動物細胞培養槽シミュレーション技術」、日立評論、2007年5月、Vol.89,No.05、p.34〜37
実生産向けの大型細胞培養装置(200Lから100000L規模)の適切な運転条件の評価にあたっては、事前に1mLから100L規模の小型細胞培養装置を作製し、当該小型細胞培養装置での細胞培養結果を基にして、運転条件を評価する。特許文献1に記載されている技術や非特許文献1に記載されている技術を適用すれば、細胞をより確実に増殖させることができる。
しかしながら、小型細胞培養装置での培養結果として得られる評価指標としての物理量のうち、特許文献1においては、細胞の増殖速度しか考慮できない。
また、非特許文献1においては、評価指標として取り入れるべき物理量として、流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12、が挙げられているが、これらの物理量はいずれも、特定の時間間隔ごとに測定した、物理量の離散的な経時変化である。
本発明者が研究を進めたところ、細胞の増殖速度や物理量の離散的な経時変化では細胞増殖についての現象は説明したり、評価したりできるものの、細胞の遺伝子発現などの細胞の内部状態に関する現象は説明できないことが新たに分かった。つまり、従来の技術では、細胞が増殖しても、タンパク質などの目的産物が産生されない場合があることが分かった。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、細胞培養装置によって目的産物が産生されるか否か高い精度で評価できる細胞培養装置の評価方法及び評価プログラムを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、細胞が受ける物理量の累積値、又は累積値の時間平均値の時間変化を、物理量をソース項とした輸送方程式から算出できることを見出した。そして、輸送方程式で算出した結果に基づいて、細胞が受ける物理量の累積値、又は累積値の時間平均値の時間変化を算出し、細胞培養装置内の細胞への影響因子の一つとして用いることで、細胞培養装置の運転条件を評価できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成されたものである。
前記課題を解決した本発明に係る細胞培養装置の評価方法は、細胞培養を行う細胞培養装置を評価する方法であり、前記細胞培養装置内の細胞が培養時に受ける一つ又は複数の物理量を独立変数とする関数を定義する定義ステップと、輸送方程式を用いて一群の前記細胞に対する前記関数の累積積分分布の時間変化を算出する第1算出ステップと、前記関数の累積積分分布の時間変化を積分時間で除することで、前記関数の累積平均分布の時間変化を算出する第2算出ステップと、前記関数の累積平均分布の時間変化を前記細胞培養装置内の細胞への影響因子の一つとして前記細胞培養装置を評価する評価ステップと、をこの順で含む。
また、本発明に係る細胞培養装置の評価プログラムは、細胞培養を行う細胞培養装置を評価するプログラムであり、コンピュータを、前記細胞培養装置内の細胞が培養時に受ける一つ又は複数の物理量を独立変数とする関数を定義する定義手段、輸送方程式を用いて一群の前記細胞に対する前記関数の累積積分分布の時間変化を算出する第1算出手段、前記関数の累積積分分布の時間変化を積分時間で除することで、前記関数の累積平均分布の時間変化を算出する第2算出手段、前記関数の累積平均分布の時間変化を前記細胞培養装置内の細胞への影響因子の一つとして前記細胞培養装置を評価する評価手段、として機能させる。
本発明に係る細胞培養装置の評価方法及び評価プログラムは、細胞培養装置によって目的産物が産生されるか否か高い精度で評価できる。
本発明の細胞培養装置の評価方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 本発明の細胞培養装置の評価プログラムの一実施形態を説明するブロック図である。 物理量の存在比率を表すグラフである。 累積平均物理量の存在比率を表すグラフである。 累積平均物理量を評価指標の一つとして加えた場合における小型細胞培養装置の運転可能領域を説明する説明図である。図中、横軸は攪拌回転数を表し、縦軸は通気量を表している。 累積平均物理量を評価指標の一つとして加えた場合における大型細胞培養装置の運転可能領域を説明する説明図である。図中、横軸は攪拌回転数を表し、縦軸は通気量を表している。 小型細胞培養装置に関する従来の数値シミュレーション技術を説明する説明図である。図中、横軸は攪拌回転数を表し、縦軸は通気量を表している。 大型細胞培養装置に関する従来の数値シミュレーション技術を説明する説明図である。図中、横軸は攪拌回転数を表し、縦軸は通気量を表している。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る細胞培養装置の評価方法及び評価プログラムの一実施形態について詳細に説明する。
[細胞培養装置の評価方法]
図1は、本発明の細胞培養装置の評価方法(以下、「本評価方法」と記載する)の一実施形態を説明するフローチャートである。
本評価方法は、細胞培養を行う細胞培養装置を評価する方法である。なお、「細胞培養装置を評価する」とは、細胞培養装置(細胞培養槽)の形状や、攪拌翼の形状、攪拌翼の回転数、通気量、pHなどによる運転条件を評価するということである。
図1に示すように、本評価方法は、定義ステップS1と、第1算出ステップS2と、第2算出ステップS3と、評価ステップS4と、をこの順で含んでおり、この順に各ステップを行う。
ここで、本評価方法の評価対象となる細胞培養装置は、タンパク質などの目的産物を産生する細胞を培養する装置(槽・タンク)であればよく、容量の多少に関わりなくどのような装置も対象となる。細胞培養装置は、細胞培養を行う際に、攪拌翼の攪拌回転数、通気量、温度、気泡径、pH、表面張力などの運転条件を制御できる手段を有しているものが好ましい。各手段によって制御されるこれらの要素の物理量は、細胞培養装置の操作変数(独立変数)として扱うことができる。
本実施形態における目的産物(産生対象となる物質)としては、医薬品等の主原料となる物質医薬品等の主原料となる物質、例えば、抗体や酵素などのタンパク質や、低分子化合物及び高分子化合物等の生理活性物質などを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、培養対象となる細胞としては、例えば、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、細菌、酵母、真菌や藻類などを挙げることができるが、これらに限定されない。本実施形態に係る細胞培養装置は、抗体や酵素などのタンパク質を産生する動物細胞を好適な培養対象とすることができる。
(定義ステップ)
定義ステップS1は、細胞培養装置内の細胞が培養時に受ける一つ又は複数の物理量を独立変数とする関数を定義する。
物理量としては、例えば、流体せん断応力、流速、動粘度、乱流エネルギー、乱流エネルギー散逸率、コルモゴロフスケール、酸素濃度、二酸化炭素濃度、培地成分の成分分率、pH、温度などが挙げられる。複数の物理量を独立変数とする場合、これらを複数組み合わせて得られたものを関数として定義することができる。
(第1算出ステップ)
第1算出ステップS2は、輸送方程式を用いて一群の細胞(細胞群)に対する前記関数の累積積分分布の時間変化を算出する。つまり、この第1算出ステップS2では、細胞が受けた物理量の累積値を輸送方程式によって計算する。これにより、前記物理量として、例えば、流体せん断応力を考慮した場合、個々の細胞の流体せん断応力累積値を直接計算することなく、特定の流体せん断応力累積値を持つ細胞が、全細胞のどの程度の割合存在するかという、存在比率を知ることができる。
なお、細胞が受けた物理量の累積計算は、本来であれば、個々の細胞を追跡することにより行うのが好ましいと考えられる。しかしながら、細胞培養においては一般的に10個/mLオーダーの細胞が存在すると言われており、個々の細胞を追跡して累積計算を行うことは非常に困難である。これに対し、本評価方法では前記したように、細胞が受けた物理量の累積値を輸送方程式によって計算するので、細胞の培地中での動きを個々に追跡して累積計算する場合と比較して容易且つ迅速に計算することができる。
輸送方程式は、下記式(1)であるのが好ましい。
Figure 0006688754
なお、一般的な輸送方程式は、下記式(2)の形をとり、分子拡散を表す拡散係数Dが存在するが、本実施形態で扱う物理量の累積値は、分子拡散する値ではないため、D=0とした式(1)を用いる。
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
Figure 0006688754
重み関数は任意のものを適用できるが、例えば、シグモイド関数(下記式(6)、(7))やヘヴィサイド関数(下記式(8)、(9))などを好適に適用できる。
Figure 0006688754
Figure 0006688754
ここで、図7及び図8に示す従来技術による評価を参照して、図5及び図6に示す本評価方法による評価の優位性を説明する。
前述したように、実生産向けの大型細胞培養装置の適切な運転条件の評価にあたっては、事前に小型細胞培養装置を作製し、当該小型細胞培養装置での細胞培養結果を基にして、運転条件を評価している。つまり、小型細胞培養装置における各種の評価指標に対して、細胞培養可能な運転可能領域を調査している。
すなわち、図7に示すように、従来技術では、細胞培養装置が細胞培養に対して適切な能力を有しているか否かの評価指標として、流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12の3つを挙げている。なお、図7では、細胞培養装置の操作変数を攪拌回転数と通気量の2種類としている。図7中、流体せん断応力による細胞の死滅10に関しては運転可能領域100の上限値、混合性能11及びガス交換性能12に関しては運転可能領域100の下限値を表している。
そして、小型細胞培養装置について得られた実験式又は数値流体解析により求めた攪拌回転数と通気量を操作変数として、図8に示すように、実生産向けの大型細胞培養装置における流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12からなる3つの評価指標に基づいた培養装置の運転可能領域100を定め、これを調査している。なお、図8に示す実生産向け大型細胞培養装置の運転可能領域100は、図7の小型細胞培養装置の運転可能領域100に対応しており、異なる容量の装置で同様の細胞培養結果が得られる。ここで、細胞培養結果としては、一例として生細胞数などの物理量が挙げられる。
しかしながら、このようにして評価・調査された運転可能領域100で細胞培養を行うと、前述したように、生細胞数は増えるが、目的とするタンパク質が発現しないことがある。これは、流体せん断力などの物理量(物理的な刺激)が細胞内の情報伝達系に作用して、目的とするタンパク質の発現を妨げてしまうことによるものと考えられる。
Figure 0006688754
[細胞培養装置の評価プログラム]
図2は、本発明の細胞培養装置の評価プログラム(以下、「本評価プログラム」と記載する)の一実施形態を説明するブロック図である。
本評価プログラムは、細胞培養を行う細胞培養装置を評価するプログラムである。図2に示すように、本評価プログラムは、コンピュータ5を用いて前記した本評価方法を実践するため、コンピュータ5を定義手段1、第1算出手段2、第2算出手段3、評価手段4として機能させる。
ここで、本評価プログラムにおける定義手段1、第1算出手段2、第2算出手段3、評価手段4は、それぞれ図1を参照して説明した本評価方法の定義ステップS1、第1算出ステップS2、第2算出ステップS3、評価ステップS4に対応するものであるため、各手段の意義や動作、作用等についての詳細な説明は省略する。
本評価プログラムは、CD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(不図示)に記録し、記録媒体駆動装置(不図示)によって、当該記録媒体から本評価プログラムを読み出して図示しないハードディスクドライブなどの記憶手段にインストールして実行することができる。
また、コンピュータ(クライアント)が通信ネットワークなどの通信手段を備えている場合、本評価プログラムが通信ネットワークを介して接続された他のコンピュータ(サーバ)に記憶され、当該コンピュータから通信ネットワークを介して本評価プログラムをダウンロードして実行させたり、サーバに記憶された本評価プログラムを実行させたりすることができる。
これらのようにして本評価プログラムによりコンピュータ5を機能させると、評価対象となる細胞培養装置が目的産物を産生できるか否か高い精度で評価できる。なお、この場合、数値解析した結果をサーバに備えられた記憶手段(不図示)に記憶することとしてもよい。
次に、実施例により本発明の内容を具体的に説明する。
本実施例では、細胞培養装置を用いて細胞を培養し、所定の培養期間における生細胞数とタンパク質を測定した。
細胞としてはマウスマウスハイブリドーマであるCRL−1606細胞(American Type Culture Collectionより購入)を用いた。この細胞は抗フィブロネクチン抗体を分泌する浮遊系の細胞である。
培養にはIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM培地)に5%濃度になるようにFetal bovine serum(FBS)を添加した培地を用いた。
細胞培養装置は、内径150mm、培養容積5Lのガラス製円筒型培養槽を用いた。この細胞培養装置には、加温用ラバーヒータ、マグネット駆動式攪拌翼、温度測定電極、pH電極、溶存酸素(DO)電極及びこれらを計測して調節する制御装置が接続されている。液中通気用に、平均細孔径100μmの焼結金属製スパージャを組み込んだ。
培養液のpHは、細胞培養装置の気相部に供給する混合ガス(空気、窒素、酸素、炭酸ガス)中の炭酸ガス濃度を増減させて自動で調節した。培養液の温度は37℃に調節した。培養液が酸性化した場合には、濃度2%の水酸化ナトリウム溶液を注入して調節した。また、DO濃度については、気相部及び液中に供給するガスの酸素分圧を増減して調節した。攪拌翼の回転数は、攪拌翼を取り付けた駆動軸が直結されている駆動モータの出力を調節し、100rpmで回転させた。
培養開始から1日に2〜3回の頻度で細胞培養装置内の培養液を無菌的にサンプリングし、生細胞数を測定した。
生細胞数の測定は、Beckman Coulter社製の生細胞計数計BioProfile 100Plusを用い、トリパンブルーにより染色した死細胞と区別して画像処理により計数した。また、サンプリング液を二次元電気泳動にかけて、細胞内の全タンパク質を数千以上のスポットに分離した。そして、各スポット中のタンパク質をトリプシンで分解して質量分析で解析することでペプチドの質量や部分配列情報を得、ペプチドマスフィンガープリント法により細胞内のタンパク質を同定した。
その結果、攪拌回転数と通気量を操作することで、細胞に含まれるタンパク質、すなわち、細胞の培養過程で発現したタンパク質の種類及び比率が変化するような攪拌回転数と通気量の組合せが複数存在することが分かった。
検討の結果、これらのタンパク質発現変異点は、実施形態で説明した式(1)、(3)、(4)、(5)、(8)、(9)(但し、式(8)、(9)においては、c=0)を用いて算出した累積平均物理量の存在比率H(A,t)やそのスカラー値S(A,t)と相関があることが分かった。なお、この実施例では、物理量を流体せん断応力とし、当該流体せん断応力から前記式によって算出されるスカラー値として累積平均流体せん断応力を求めている。
そして、累積平均流体せん断応力によるタンパク質発現変異点13を図7に重ねてプロットしたものが、前述した図5であり、図8に重ねてプロットしたものが、前述した図6である。
図7と図5及び図8と図6をそれぞれ比較すると、流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12からなる3つの評価指標に基づいた培養装置の運転可能領域100においては、生細胞数などでは、同一の結果を得ることができた。
一方、図5及び図6に示すように、タンパク質発現に関しては同一の結果を得るための運転可能領域200があり、図7及び図8に示す運転可能領域100に比べて狭くなっている。これは、タンパク質発現に関しては、流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12からなる3つの評価指標に加えて、累積平均流体せん断応力を評価指標として考慮する必要があることを示している。
また、図5及び図6から、実生産向けの大型細胞培養装置において、小型細胞培養装置と同じタンパク質発現を実現するには、流体せん断応力による細胞の死滅10、混合性能11、ガス交換性能12、累積平均流体せん断応力によるタンパク質発現変異点13の4つのパラメータを一致させる必要があることが分かる。累積平均流体せん断応力によるタンパク質発現変異点13の計算は本発明による一連の手順で実現できる。
以上、本発明に係る細胞培養装置の評価方法及び評価プログラムについて、実施形態及び実施例によって詳細に説明したが本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段、制御手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
S1 定義ステップ
S2 第1算出ステップ
S3 第2算出ステップ
S4 評価ステップ
1 定義手段
2 第1算出手段
3 第2算出手段
4 評価手段
5 コンピュータ

Claims (4)

  1. 細胞培養を行う細胞培養装置を評価する方法であり、
    前記細胞培養装置内の細胞が培養時に受ける一つ又は複数の物理量を独立変数とする関数を定義する定義ステップと、
    輸送方程式を用いて一群の前記細胞に対する前記関数の累積積分分布の時間変化を算出する第1算出ステップと、
    前記関数の累積積分分布の時間変化を積分時間で除することで、前記関数の累積平均分布の時間変化を算出する第2算出ステップと、
    前記関数の累積平均分布の時間変化を前記細胞培養装置内の細胞への影響因子の一つとして前記細胞培養装置を評価する評価ステップと、
    をこの順で含むことを特徴とする細胞培養装置の評価方法。
  2. 請求項1において、
    前記輸送方程式が、下記式(1)であることを特徴とする細胞培養装置の評価方法。
    Figure 0006688754
  3. 細胞培養を行う細胞培養装置を評価するプログラムであり、
    コンピュータを、
    前記細胞培養装置内の細胞が培養時に受ける一つ又は複数の物理量を独立変数とする関数を定義する定義手段、
    輸送方程式を用いて一群の前記細胞に対する前記関数の累積積分分布の時間変化を算出する第1算出手段、
    前記関数の累積積分分布の時間変化を積分時間で除することで、前記関数の累積平均分布の時間変化を算出する第2算出手段、
    前記関数の累積平均分布の時間変化を前記細胞培養装置内の細胞への影響因子の一つとして前記細胞培養装置を評価する評価手段、
    として機能させることを特徴とする細胞培養装置の評価プログラム。
  4. 請求項3において、
    前記輸送方程式が、下記式(1)であることを特徴とする細胞培養装置の評価プログラム。
    Figure 0006688754
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