JP6688447B2 - 偏光子保護フィルム、偏光板、それを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、薄膜化した場合であっても、液晶表示装置の表示面における垂直方向に対する斜め方向から観察した際に、虹斑がなく良好な視認性を確保することが可能な偏光子保護フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムであって、
前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、酸成分としてテレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸を含み、グリコール成分としてエチレングリコール及びブタンジオールを含む、偏光子保護フィルム。
項2.
前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのブレンド物である、項1に記載の偏光子保護フィルム。
項3.
前記ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をNy、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をNx、厚み方向の屈折率をNzとしたときに、(Nz−Ny)/(Nx−Ny)で表されるNZ係数が1.55以下であり、Ny−Nxが0.11以上である、項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
項4.
偏光子の少なくとも一方の面に、項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層された、偏光板。
項5.
バックライト、液晶セル、及び液晶セルの両側に配置された偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が、項4に記載の偏光板である液晶表示装置。
本発明者らは、エチレングリコールとブタンジオールをグリコール成分とするポリエステルからなるフィルムであれば、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーからなるフィルム等に比して、比較的容易にNZ係数を下げることが可能であることを見出した。その理由は、以下のように考えている。エチレングリコール以外にブタンジオールを含むことにより、ブタンジオールはポリマー中で嵩高い構造を取ること可能で、フィルム製造工程中の延伸時においてフィルム進行方向に発生する応力を低減することができると考えられる。その結果、Nx(フィルム進行方向の屈折率、遅相軸と直行する方向の屈折率)の増大を低減し、NZ係数を下げることが可能になると考えられる。
また、テレフタル酸とナフタレンジカルボン酸を酸成分とするポリエステルからなるフィルムであれば、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーからなるフィルム等に比して、比較的容易に(Ny−Nx)の値を高く保つことができる。
こうして、酸成分としてテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ブタンジオールを含むポリエステルからなるフィルムであれば、フィルムのNZ係数を下げ、かつ、(Ny−Nx)の値を高く保つことができるので、フィルムを薄膜にした場合であってもリタデーションを高く保つことができ、液晶表示装置の表示面における垂直方向に対する斜め方向から観察した場合であっても、虹斑がなく良好な視認性を確保することが可能になると考えている。
また、共重合ポリエステル又はブレンドポリエステルのいずれの場合にも、最終的にフィルムを構成するポリエステルの全酸成分を100mol%としたきに、テレフタル酸50〜99mol%、ナフタレンジカルボン酸1〜50mol%となるように調整することが好ましい。特に好ましくは、テレフタル酸60〜99mol%、ナフタレンジカルボン酸1〜40mol%である。上記範囲にすることで、Ny−Nxの値を高くすることができ、薄膜においてもリタデーションの高いフィルムを実現可能とする。
ハードコート層は、硬度及び透明性を有する層であれば良く、通常、紫外線又は電子線で代表的には硬化させる電離放射線硬化性樹脂、熱で硬化させる熱硬化性樹脂等の各種の硬化性樹脂の硬化樹脂層として形成されたものが利用される。これら硬化性樹脂に、適宜柔軟性、その他物性等を付加する為に、熱可塑性樹脂等も適宜添加してもよい。硬化性樹脂のなかでも、代表的であり且つ優れた硬質塗膜が得られる点で好ましいのが電離放射線硬化性樹脂である。
画像表示装置の最視認側には防眩層が設けられていることが好ましい形態の一つである。防眩層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に防眩剤を分散した層として形成される。防眩剤としては、無機系又は有機系の微粒子が用いられる。これら微粒子の形状は、真球状、楕円状等である。微粒子は、好ましくは透明性のものが良い。この様な微粒子は、例えば、無機系微粒子としてはシリカビーズ、有機系微粒子としては樹脂ビーズが挙げられる。樹脂ビーズとしては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリルースチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズなどが挙げられる。微粒子は、通常、樹脂分100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度添加することができる。
画像表示装置の最表面側、各フィルムの空気との界面には反射防止層が設けられていることも好ましい形態の一つである。
反射防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良い。一般に、反射防止層は少なくとも低屈折率層からなり、更に低屈折率層と(該低屈折率層よりも屈折率が高い)高屈折率層とを交互に隣接積層し且つ表面側を低屈折率層とした多層の層からなる。低屈折率層及び高屈折率層の各厚みは、用途に応じた適宜厚みとすれば良く、隣接積層時は各々0.1μm前後、低屈折率層単独時は0.1〜1μm程度であることが好ましい。
防汚層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の珪素系化合物;フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂等のフッ素系化合物;ワックス等の防汚染剤を含む塗料を用いて公知の塗工法で形成することができる。防汚層の厚みは、適宜厚さとすればよく、通常は1〜10μm程度とすることが出来る。
帯電防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に帯電防止層を含有させた層として形成される。帯電防止層としては、有機系や無機系の化合物が用いられる。例えば、有機系化合物の帯電防止層としては、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、有機金属系帯電防止剤等が挙げられ、またこれら帯電防止剤は低分子化合物として用いられるほか、高分子化合物としても用いられる。また、帯電防止剤としては、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性ポリマー等も用いられる。また、帯電防止剤として例えば金属酸化物からなる導電性微粒子等も用いられる。導電性微粒子の粒径は透明性の点で、例えば平均粒径0.1nm〜0.1μm程度である。なお、該金属酸化物としては、例えば、ZnO、CeO2、Sb2O2、SnO2、ITO(インジウムドープ酸化錫)、In2O3、Al2O3、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。なお、これら帯電防止剤を前述したポリエステルフィルムの易接着層に含有させてもよい。
(1)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム面に対して厚さ方向(z軸)とこれと直行すると共に相互にも直行する2つの軸方向(x軸、y軸)に関し、フィルムの各軸方向の屈折率(Nx、Ny)によって生じる複屈折とフィルム厚さdの積で示される位相差である。評価方法は以下のようにして行った。
まず、分子配向計(王子計器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いてフィルムの遅相軸の方向を求めた。遅相軸方向をy軸、フィルム面内においてそれと直行する方向をx軸とした。
次に、フィルム面(x−y平面)に入射する光によって生じる複屈折率Nxyと厚さdとの積である面内リタデーションをリタデーション(Re)とし、JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法(A法)」に準拠して、遅相軸と直行する方向の屈折率(Nx)、及び遅相軸方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を求め、そのうちNxとNyの値を用いて、次式よりリタデーションを求めた。なお、屈折率の測定は、測定波長589nmで測定した値である。通例に従い、リタデーションの単位はnmである。
ΔNxy =|Ny−Nx|
Re =ΔNxy×d
NZ係数とはy軸方向に対する一軸性を示す指標とし、JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法(A法)」に準拠して、(1)リタデーション(Re)の項目で求めたNx, Ny, Nzの値を用いて、次式より求めた。なお、通例に従い、NZ係数の単位は無次元である。
NZ係数 =(Nz−Ny)/(Nx−Ny)
市販の偏光子の片側に後述する方法で作製した実施例、ならびに、比較例のフィルムを偏光子の吸収軸とフィルムの遅相軸方向が垂直になるように貼り付け、その反対の面に市販のTACフィルム(富士フイルム(株)社製、80μm)を貼り付けて偏光板を作製した。得られた偏光板は液晶を挟んで両側に一枚ずつ、各偏光板がクロスニコルの条件になるように配置して液晶表示装置を作製した。各偏光板は、実施例ならにび比較例のフィルムが液晶とは反対側(遠位)になるように配置した。白色LED(日亜化学製、NSPW500CS)をバックライト光源に用いた。このようにして得た液晶表示装置の正面、及び、斜め方向から目視観察を行ない、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
A:いずれの方向から観察しても虹斑は観察されない。
B:斜め方向から観察したときに、角度によっては薄い虹斑が観察される。
C:斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
D:正面方向及び斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
樹脂を下記溶媒に溶解し、BRUKER製AVANCE500を用いて、1H−NMR分析を行い、得られたスペクトルの積分比より各組成のモル%比を決定した。
溶媒:重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(体積比率)
成膜工程において延伸をする際にフィルム破断の有無および延伸ムラを目視で観察し、以下のように判定した。
○:成膜時のフィルム破断および延伸ムラがなく、幅方向に均一なフィルムである
×:成膜時にフィルム破断が発生しサンプリングできない、または、延伸ムラがあり不均一なフィルムである
JIS C 2318「電気用ポリエチレンテレフタレートフィルム(寸法変化)」に準拠して、MDとTDに関して、150℃、30minの加熱前後の寸法変化率を熱収縮率として求めた。なお、表1、2では、MD方向の熱収縮率をHS−MD、TD方向の熱収縮率をHS−TDと表記した。
JIS K 7367−5「プラスチック―毛細管形粘度計を用いた希釈溶液の粘度の求め方―第5部:熱可塑性ポリエステル(TP)ホモポリマー及びコポリマー」に準拠して得た粘度数に対して、下記の測定条件で、溶液の質量濃度(c)に対する粘度数の関係から質量濃度(c)=0としたときの値を固有粘度(IV)とした。
溶媒 :フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40(質量%)
管 :ウベローデ粘度管
温度 :30±0.1(℃)
ジカルボン酸の全成分に対して、テレフタル酸46mol%、イソフタル酸46mol%、ならびに、5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%とグリコールの全成分に対して、エチレングリコール50mol%、ネオペンチルグリコール50mol%よりなる水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を常法によりエステル交換反応、および、重縮合反応を行なって得た。次いで、これと凝集シリカ粒子とを水、イソプロピルアルコール、n−ブチルセルソルブ、ならびに、ノニオン系界面活性剤を混合した溶液に分散させた、接着性改質液を得た。
市販品以外は、常法によりエステル交換反応、および重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。( ) 内は固有粘度の値を示した。
PET: ポリエチレンテレフタレート(0.74dl/g)
PBT: ポリブチレンテレフタレート、三菱エンジニアリングプラスチック製NV5020(1.2dl/g)
PEN: ポリエチレンナフタレート(0.60dl/g)
押出機を使用し、PET 65質量%とPEN 30質量%、PBT 5質量%とをブレンドし約280℃で溶融し、スリットから溶融押出した。表面温度が約25℃のチルロール上に静電印加法で冷却固化させた未延伸シートをリバースロール・コート法により、両面に接着性改質液を乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように塗布し、設定温度120℃、延伸倍率4.0倍のテンターでTD延伸を行なった後、160℃の熱処理を行ない、厚さが約28μmのフィルムを得た。成膜条件、評価結果に関する一覧を表1に示した。
成膜条件を表1、表2に記載したように変更した以外は実施例1と同様に成膜した。評価結果を表1、表2に示した。
Claims (4)
- 3000〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムであって、
前記ポリエステルフィルムは、フィルムの厚みが15μm〜100μmであり、
前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのブレンド物であって、
前記ポリエステルの全酸成分を100mol%としたときに、酸成分としてテレフタル酸を50〜99mol%及びナフタレンジカルボン酸を1〜50mol%含み、
前記ポリエステルの全グリコール成分を100mol%としたときに、グリコール成分としてエチレングリコールを80〜99mol%及びブタンジオールを1〜20mol%含む、
偏光子保護フィルム。 - 前記ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をNy、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をNx、厚み方向の屈折率をNzとしたときに、(Nz−Ny)/(Nx−Ny)で表されるNZ係数が1.39以上1.55以下であり、Ny−Nxが0.11以上0.153以下である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
- 偏光子の少なくとも一方の面に、請求項1又は2に記載の偏光子保護フィルムが積層された、偏光板。
- バックライト、液晶セル、及び液晶セルの両側に配置された偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が、請求項3に記載の偏光板である液晶表示装置。
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