JP6687941B2 - レーダ装置、目標形状推定方法及びプログラム - Google Patents
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る。
また、本発明の目標形状推定方法は、送信素子から出力された電磁波の反射波を受信する受信素子の受信出力として、送信素子で電磁波が出力されてから受信素子で反射波を受信するまでの伝送経路が異なる複数の系の受信出力を得る受信処理と、受信処理で得た各受信出力に含まれる閾値を越える極大値を、複数の距離点の情報として抽出すると共に、各距離点のドップラ速度を取得する距離点取得処理と、距離点取得処理で得られた複数の距離点の情報を、それぞれの距離点のドップラ速度に基づいて複数のクラスタに分類するクラスタリング処理と、クラスタリング処理で分類されたクラスタごとの複数の距離点の集積度を評価して、目標の形状を得る距離点マイグレーション処理とを含み、距離点マイグレーション処理での複数の距離点の集積度の評価に基づいて、クラスタリング処理で複数のクラスタに分類する処理を再度実行し、再度の実行で得た複数のクラスタごとの複数の距離点の集積度の評価を、距離点マイグレーション処理で行うようにした。
さらに、本発明のプログラムは、上記目標形状推定方法の各処理を実行する手順を、コンピュータ装置に実装して実行させるものである。
まず、本例のレーダ装置に適用されるRPM(Range Points Migration:距離点マイグレーション)法の基本原理について説明する。
RPM法は、送信素子から電磁波を送信して、その電磁波の目標での反射波を受信素子が受信したとき、その受信信号の状態から、目標境界を点群として表現し、点群の集積度の評価で、目標の形状を推定するものである。
図1Aの例では、実空間上に3つの目標♯1,♯2,♯3が存在したとする。図1Aは、横軸をX方向、縦軸をZ方向とした2次元上の実空間での目標♯1〜♯3、送信素子a1、及び受信素子a2〜a6の位置を示す。送信素子a1と受信素子a2〜a6は、X方向に直線状に一定間隔で配置されている。
図1Cは、3つの目標♯1,♯2,♯3の検出例を示すため、各素子a1〜a6の受信信号から検出される距離点が、3つの目標♯1,♯2,♯3に対応した3個存在している。但し、一部の素子(受信素子a3,a5)の距離点については、2つの距離点が近接して重なった状態で示されている。
以下、図2〜図4を参照して、得られた距離点から目標♯1,♯2,♯3の形状を推定する原理について説明する。
図2は、目標♯0が存在する場合に、送信素子LT0から送信した電磁波が目標♯0の表面α0で反射し、その反射波を受信素子LR0で受信したとき、その受信信号の反射点α0が存在する可能性がある位置を示すものである。受信信号の反射点α0が存在する可能性がある位置は、送信素子LT0と受信素子LR0の位置で決まる楕円、つまり、送信素子LT0と受信素子LR0の位置を焦点とする楕円C0上に存在する。
例えば、図3に示すように、受信素子LR0の他に3個の受信素子LR1,LR2,LR3が存在し、合計4個の受信素子LR0〜LR3が送信素子LT0からの電磁波を受信したとき、目標♯0の表面で電磁波が反射した位置は、それぞれの素子の位置で決まる楕円C0,C1,C2,C3の上に存在する。
ここで、RPM法では、楕円C0の上の電磁波の反射位置(距離点RP)を推定するために、その楕円C0と交差する楕円C1,C2,C3の交点の集積度の評価演算を行う。すなわち、図3の例では、楕円C0と楕円C1との交点α1、楕円C0と楕円C2との交点α2などを求め、各交点α1,α2,・・・の密集度を評価する。そして、その密集度の評価結果から、目標♯0の距離点α0の座標位置を推定する処理が行われる。ここでは、評価対象の距離点RPをMainRPと称し、交点を評価する際に使用する他の距離点群をSubRPと称する。
すなわち、送信素子及び受信素子の位置と距離で決まる距離点qiに対する目標境界推定点p^(qi)は、次の[数1]式で算出される。なお、本明細書中に示す「p^」の「^」は、次の[数1]式に記載するように、本来は「^」が「p」の上に付加されるものであるが、本明細書では記載上の制約から「p^」と示す。
[数1]式において、exp[−||p(qi;qj)−p(qi;qk)||2/σ2 r]の項は、楕円交点間密集度の重み付けである。すなわち、i番目の距離点を評価するために、図4に示す交点p(qi;qj)と交点p(qi;qk)との評価を行い、楕円交点間密集度の重み付けを行う。
この[数1]式を用いて、それぞれの楕円交点を計算して、その交点の密集度の評価から、図4に示す目標♯0の境界推定点p^(qi)を得ることができる。例えば、図4に示すように、楕円C0上の目標♯0の形状の推定点p^(qi)は、他の楕円との交点の密集度の評価から、図4上に×印で示す位置と算出される。
ここで、本例においては、従来のRPM法が持つ問題点を解決した、少ない計算量で精度の高い形状の推定が可能なレーダ装置を提案するものである。以下、本例のレーダ装置の具体例について説明する。
次に、本例のレーダ装置の構成を、図5を参照して説明する。後述するように本例のレーダ装置は、送信信号として140GHz帯を使用した中心波長λが約2mmのミリ波レーダであり、10m程度の比較的近距離の目標を検出するレーダ装置である。
ベースバンド処理部13で得られたベースバンドの受信信号成分は、フィルタ処理部14に供給される。フィルタ処理部14では、受信信号に含まれる電磁波の反射波の成分を抽出する処理が行われる。
そして、極大応答抽出部16で抽出された極大点の情報が距離点取得部17に供給され、距離点が得られる。このとき、距離点取得部17は、それぞれの距離点のドップラ速度についても、レンジドップラ分布処理部15で検出した情報に基づいて取得される。なお、距離点取得部17が取得する距離点には、送信素子と受信素子の位置の情報も含まれる。
図6は、25個のアンテナA1〜A25の配置の一例を示す。本例のアンテナA1〜A25は、図6に示すように、水平方向に等間隔で5個配置すると共に、垂直方向に等間隔で5個配置して、25個のアンテナA1〜A25を5個×5個のマトリクス状に配置する。
四隅のアンテナA1,A5,A21,A25は、送信素子であると共に受信素子でもある。他のアンテナA2〜A4,A6〜A20,A22〜A24は受信素子である。したがって、それぞれのアンテナA1〜A25で受信する際には、送信素子である4つのアンテナA1,A5,A21,A25から送信された電磁波の反射波を受信可能である。
図7は、本例のレーダ装置10で目標の位置を推定して画像を得る処理の流れを示すフローチャートである。
まずレーダ装置10は、UWB送信処理部11で生成した送信信号を各アンテナA1,A5,A21,A25に供給して送信し、反射波としての受信信号を各アンテナA1〜A25で受信してUWB受信処理部12で受信処理を行って、観測データ取得処理を行う(ステップS11)。そして、フィルタ処理部14が、受信して得た観測データをフィルタ処理して、反射波の成分を抽出する(ステップS12)。
そして、クラスタリング処理部18が、距離点取得部17で取得した全ての距離点について、それぞれの距離点が持つドップラ速度に応じて、複数のクラスタに分類するクラスタリング処理を行う(ステップS16)。
このようにして複数のクラスタに分類された後、RPM処理部19は、各クラスタの距離点のデータを使って、RPM(距離点マイグレーション)の演算処理を行い、目標の形状を推定する(ステップS17)。そして、RPM処理部19の演算結果で得た全ての目標の形状を総合して、画像出力部20が目標の画像データを作成して、作成した画像データを出力する。
なお、ステップS17でRPMの演算処理を行った後、再クラスタリングを行う場合には、図7のフローチャートに破線で示すように、ステップS16のクラスタリング処理に戻り、その再度のクラスタリングで得られたクラスタごとに、ステップS17でのRPMの演算処理が繰り返される。この繰り返しの処理は、複数回繰り返すようにしてもよい。
図8は、レーダ装置10で得た距離点をクラスタリングする例を示す。
図8Aは、複数の受信素子a1〜a6をX方向(横軸方向)に一定間隔で配置した場合に、それぞれの受信素子a1〜a6での受信信号から検出した距離点の距離Rを縦軸とした、距離点のデータ空間を示す図である。この図8Aは、図1Cに示すデータ空間と同じ状態を示す。すなわち、図1Aに示すように3つの目標♯1,♯2,♯3が存在する場合の各受信素子a1〜a6での受信信号から距離点RPを検出した例である。
それぞれの目標♯1,♯2,♯3が分類可能な異なるドップラ速度を持つとき、それぞれの距離点RPの情報は、検出されたドップラ速度で3つのクラスタに分類される。具体的には、図8Bに示すように、受信素子a1が検出した3つの距離点が、第1のドップラ速度の距離点RP1−1と、第2のドップラ速度の距離点RP2−1と、第3のドップラ速度の距離点RP3−1に分類される。同様に、他の受信素子a2,a3,・・・,a6が検出した3つの距離点が、第1のドップラ速度の距離点RP1−2〜RP1−6と、第2のドップラ速度の距離点RP2−2〜RP2−6と、第3のドップラ速度の距離点RP3−2〜RP3−6に分類される。
例えば、目標♯1の形状の推定点RPM1−1〜RPM1−6を得る際には、第1のドップラ速度の距離点RP1−1〜RP1−6だけを使ったRPM法の演算処理が行われ、従来のように全ての距離点を使ってRPM法の演算処理をする場合に比べて、非常に少ない演算処理で目標の形状を得ることができる。演算処理の負担が少ないということは、演算処理に要する時間も短時間になる。また、近接した位置に複数の距離点が存在した場合でも、ドップラ速度が異なった場合には、それぞれの距離点を正確に区別してクラスタリングができるため、目標の形状の推定精度が向上する。
次に、図9を参照して、本例のレーダ装置10を使用して目標の形状を推定するシミュレーション例について説明する。
図9Aは、目標の形状及び目標のドップラ速度と、アンテナA1〜A25(送信素子,受信素子)の配置状態を示す。
ここでは、人体を模した11個の目標♯11〜♯21を想定し、この目標♯11〜♯21と対向した25個のアンテナA1〜A25を使って検出する例を示す。25個のアンテナA1〜A25は、図6に示すように垂直5個、水平5個のマトリクス状に配置されている。四隅のアンテナA1,A5,A21,A25は送信素子及び受信素子を兼ね、他の21個のアンテナA2〜A4,A6〜A20,A22〜A24は受信素子である。アンテナA1,A5,A21,A25が送信する電磁波としては、140GHz帯のミリ波レーダが使用される。
この従来のRPM法では、演算で推定することができた目標境界点の数は279カ所であり、目標形状の誤差が10λ(λは送信信号の1波長)以内に入る割合は、約57.0%である。この図9Bに示す演算処理は、551秒で完了した。
したがって、本例のレーダ装置10で周囲の検出を行うことで、不可視領域(濃煙環境下、夜間など)であっても人物などの動きがある物体を良好に検知できるようになる。例えば、災害現場での不明者の捜索、各種施設での高齢者の見守り、建設現場などの危険箇所への侵入監視などが、濃煙環境下や夜間であっても確実に行えるようになる。
なお、図6に示すアンテナA1〜A25の配置例は一例であり、その他のアンテナ配置としてもよい。例えば、図6の例では、送信素子としてのアンテナを4個、受信素子としてのアンテナを25個としたが、複数の系の伝送経路の信号が得られれば、様々なアンテナ配置が適用可能である。例えば、送信素子から送信した電磁波の反射波を多数の受信素子で受信するようにしたが、複数の送信素子から送信した電磁波の反射波を1つなどの限られた数の受信素子で受信するようにして、複数の系の伝送経路の信号を得るようにしてもよい。
また、図6のように複数配置したアンテナで電磁波の複数の系の伝送経路を得る代りに、送信素子又は受信素子の位置を移動させて、実質的に複数の系の電磁波の伝送経路を得て、RPM法の演算処理を行うようにしてもよい。
また、アンテナA1などが送信素子と受信素子を兼ねるようにした構成についても一例であり、送信素子と受信素子とは、それぞれ個別の素子としてもよい。
Claims (5)
- 送信素子から出力された電磁波の反射波を受信する受信素子の受信出力として、送信素子で電磁波が出力されてから受信素子で反射波を受信するまでの伝送経路が異なる複数の系の受信出力を得る受信処理部と、
前記受信処理部で得た各受信出力に含まれる閾値を越える極大値を、複数の距離点の情報として抽出すると共に、各距離点のドップラ速度を取得する距離点取得部と、
前記距離点取得部で得られた複数の距離点の情報を、それぞれの距離点のドップラ速度に基づいて複数のクラスタに分類するクラスタリング処理部と、
前記クラスタリング処理部で分類されたクラスタごとの複数の距離点の集積度を評価して、目標の形状を得る距離点マイグレーション処理部とを備え、
前記距離点マイグレーション処理部での複数の距離点の集積度の評価に基づいて、前記クラスタリング処理部で複数のクラスタに分類する処理を再度実行し、再度の実行で得た複数のクラスタごとの複数の距離点の集積度の評価を、前記距離点マイグレーション処理部で行うようにした
レーダ装置。 - 前記送信素子と前記受信素子は、マトリクス状に複数配置され、複数の前記受信素子の一部が前記送信素子を兼ねるようにした
請求項1に記載のレーダ装置。 - 前記送信素子から出力される電磁波は、帯域幅が少なくとも数GHz以上の超広帯域信号である
請求項1に記載のレーダ装置。 - 送信素子から出力された電磁波の反射波を受信する受信素子の受信出力として、送信素子で電磁波が出力されてから受信素子で反射波を受信するまでの伝送経路が異なる複数の系の受信出力を得る受信処理と、
前記受信処理で得た各受信出力に含まれる閾値を越える極大値を、複数の距離点の情報として抽出すると共に、各距離点のドップラ速度を取得する距離点取得処理と、
前記距離点取得処理で得られた複数の距離点の情報を、それぞれの距離点のドップラ速度に基づいて複数のクラスタに分類するクラスタリング処理と、
前記クラスタリング処理で分類されたクラスタごとの複数の距離点の集積度を評価して、目標の形状を得る距離点マイグレーション処理とを含み、
前記距離点マイグレーション処理での複数の距離点の集積度の評価に基づいて、前記クラスタリング処理で複数のクラスタに分類する処理を再度実行し、再度の実行で得た複数のクラスタごとの複数の距離点の集積度の評価を、前記距離点マイグレーション処理で行うようにした
目標形状推定方法。 - 送信素子から出力された電磁波の反射波を受信する受信素子の受信出力として、送信素子で電磁波が出力されてから受信素子で反射波を受信するまでの伝送経路が異なる複数の系の受信出力を得る受信処理手順と、
前記受信処理手順で得た各受信出力に含まれる閾値を越える極大値を、複数の距離点の情報として抽出すると共に、各距離点のドップラ速度を取得する距離点取得処理手順と、
前記距離点取得処理手順で得られた複数の距離点の情報を、それぞれの距離点のドップラ速度に基づいて複数のクラスタに分類するクラスタリング処理手順と、
前記クラスタリング処理手順で分類されたクラスタごとの複数の距離点の集積度を評価して、目標の形状を得る距離点マイグレーション処理手順とを、
コンピュータ装置に実装して実行させるプログラムであり、
前記距離点マイグレーション処理手順での複数の距離点の集積度の評価に基づいて、前記クラスタリング処理手順で複数のクラスタに分類する処理を再度実行し、再度の実行で得た複数のクラスタごとの複数の距離点の集積度の評価を、前記距離点マイグレーション処理手順で行うようにした
プログラム。
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