JP6686680B2 - ガラス立体造形用硬化液、ガラス立体造形材料セット、ガラス立体造形物の製造方法、ガラス立体造形物及びガラス立体造形物の製造装置 - Google Patents

ガラス立体造形用硬化液、ガラス立体造形材料セット、ガラス立体造形物の製造方法、ガラス立体造形物及びガラス立体造形物の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス立体造形用硬化液、ガラス立体造形材料セット、ガラス立体造形物の製造方法、ガラス立体造形物及びガラス立体造形物の製造装置に関する。
近年、複雑で微細な立体造形物の低ロット生産のニーズが高まってきている。このニーズに対応する技術として、粉体接着法などが提案されてきている。
この粉体接着法としては、例えば、粉体薄層に対してインクジェット法を用いて接着材料を供給する方法や、粉末粒子と接着剤粒子を混合した粉末材料を積層し結合剤を付与して接着材料粒子を溶解し、固化させることで、三次元造形物を製造する方法(特許文献1参照)が提案されている。また、ガラスやセラミック等の基体に疎水性樹脂を被覆した粉末材料と、リモネン等の疎水性溶剤にて被覆した樹脂を溶解することで固化させて三次元造形物を製造する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
更に特許文献3には水系溶媒を吐出する三次元造形物の製造方法として、粉末材料、水溶性結合剤及び繊維を含む粉末薄層に、造形対象物を平行な断面により切断した断面形状に対応させて水性溶媒を射出し、水溶性結合剤を接着可能な状態に活性化させ、粉末材料及び繊維を相互に接合させて三次元造形物を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1では結着材料を付与し接着粒子を溶解した接着液を展開して結着するが、粉末粒子同士の間に均一には広がりにくいために大きな欠損や空隙が生じ、結果として三次元造形物に充分な強度と精度を付与させることは難しいという問題がある。更に本手法をガラス造形に応用した場合は欠損や空隙が光学的に不要な反射や屈折現象を引き起こして半透明の白濁物となるなどガラス製品としての価値を著しく低減するという問題がある。
また、特許文献2で用いているリモネンは比較的に揮発性が低く三次元造形物中に残留しやすいため強度低下を引き起こす可能性がある。この方法によっても上記と同様にガラス製品固有の透明感や均一性が著しく阻害されるため、製品としても価値が低減する。更にリモネン、トルエン等の低揮発性溶剤は消防法上あるいは環境保全上大きな問題があり、排気や廃棄などには大きな環境負荷を与えないよう特殊な設備や多大なコストを要するという問題がある。
また、特許文献3では、粉末材料を被覆するコーティング材料中に焼結可能なガラス材料を含有することが開示されている。しかし、前記粉末材料を硬化するためには水に溶け難い高分子材料からなる接着剤を用いており、更にガラス材料に比して前記接着剤などの添加剤の量が多くなってしまう。このため、この種の材料を焼結しても容易に造形物から前記添加剤が除去されず、結果的にガラスとしての大きな特徴である透明性や無色性を保有できない黒色不透明な消傑物となり、ガラス造形物としての価値を著しく損ねることになる。
そこで、本発明は、透過性に優れ、寸法精度良く、かつ、強度に優れたガラス立体造形物を形成するために用いられるガラス立体造形用硬化液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のガラス立体造形用硬化液は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料に対して付与され、ガラス立体造形物を形成するために用いられるガラス立体造形用硬化液であって、水及び重量平均分子量が50,000未満である第2の水溶性樹脂を含み、前記第2の水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする。
本発明によれば、透過性に優れ、寸法精度良く、かつ、強度に優れたガラス立体造形物を形成するために用いられるガラス立体造形用硬化液を提供することができる。
ガラス立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 ガラス立体造形物の製造装置の他の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係るガラス立体造形用硬化液、ガラス立体造形材料セット、ガラス立体造形物の製造方法、ガラス立体造形物及びガラス立体造形物の製造装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明のガラス立体造形用硬化液は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料に対して付与され、ガラス立体造形物を形成するために用いられるガラス立体造形用硬化液であって、水及び重量平均分子量が50,000未満である第2の水溶性樹脂を含むことを特徴とする。以下、詳細を説明する。
(立体造形用ガラス粉末材料)
本発明に用いられる立体造形用ガラス粉末材料は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含み、必要に応じてその他の成分を含む。
<ガラス粉末>
立体造形用ガラス粉末材料に用いられるガラス粉末について説明する。本発明に用いられるガラス粉末には、一般的なガラス以外にも、セラミックス、金属類等も含まれる。これらの中でも特に高い透明性が得られるガラスであることが好ましい。
ガラス材料としては、いわゆるソーダガラスや硬質ガラスなど公知のものが利用できる。中でも、酸化物基準の重量パーセントで計算して、45−75%のSiO、10−28%のAl、3−13%のZnO、0−8%のMgO、0−10%のTiO、0−10%のZrO、0−15%のCsO、及び0−5%のBaOを包含するものが透明性の面から好適である。
なお、上記の透明性とは、1.0mm厚のガラスシートが、可視領域のスペクトル(400nmから700nmまで)にわたり85パーセントよりも大きい透過率を有することを意味する。ある用途に関しては、これらのガラスシートが、同様に近紫外域においてある程度の透過率、例えば、350−400nmの領域にわたり50パーセントより大きい透過率を有する場合も望ましい。
必要に応じて、ここに記載したガラス組成物にAs又はSbのような清澄剤を加えてもよく、その他にもRbO、WO、CaO、SrO、Nb、AlF、B、Y又はPのような他の酸化物又はフッ化物及び/又はBi、Ta、Ga、PbO又はLaを適宜加えても差し支えない。
本発明で用いられるガラス粉末としては、体積平均一次粒径が3μm未満であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。3μm未満の場合、立体造形物の造形精度が10μm以下の高精度で得られる上に、高い透過性が発現できる。3μm以上の場合はガラス粒子同士が密に詰まらず、その結果、ガラス立体造形物の加工精度が改善し難くなる。透過性が高くなる要因としては細かいガラス粉が密に詰まるために、光を散乱する空隙部分が乾燥・焼結過程で埋まりやすくなるためだと考えられる。
体積平均一次粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マイクロトラックHRA(日機装社製)、などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<第1の水溶性樹脂>
第1の水溶性樹脂としては、ガラス立体造形用硬化液に溶解するものであればよく、適宜変更することが可能である。本発明において、第1の水溶性樹脂の溶解性は、例えば、30℃のガラス立体造形用硬化液を構成する溶媒100gに第1の水溶性樹脂を1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
また、第1の水溶性樹脂としては、その4質量%(w/w%)溶液の20℃における粘度が、40mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上35mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以上30mPa・s以下が特に好ましい。
前記粘度が、40mPa・s以下であると、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成したガラス立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(ガラス立体造形物)の強度が向上し、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じ難くなる。また、前記ガラス立体造形用粉末材料に前記ガラス立体造形用硬化液を付与して形成したガラス立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の寸法精度が向上する傾向にある。
前記粘度は、例えば、JIS K7117に準拠して測定することができる。
本発明においては、ガラス立体造形物を製造する上で、水溶性樹脂(第1の水溶性樹脂)を用いることにより、例えば水溶性プレポリマー等に比べて取り扱い性や環境負荷等の観点から利点を有する。ガラス立体造形用硬化液の媒体としては水系媒体を用いることができ、また当該ガラス立体造形用粉末材料を廃棄、リサイクルする際に、水処理により樹脂成分とガラス粉末成分とを分離することも容易となる。
第1の水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、ビニル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレングリコール、などが挙げられる。
これらは、水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよい。
そのため、例えば、前記ポリビニルアルコール樹脂であれば、ポリビニルアルコールであってもよいし、アセトアセチル基、アセチル基、シリコーン等による変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセチル基変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコールなど)であってもよく、また、ブタンジオールビニルアルコール共重合体等であってもよい。また、前記ポリアクリル酸樹脂であれば、ポリアクリル酸であってもよいし、ポリアクリル酸ナトリウム等の塩であってもよい。前記セルロース樹脂であれば、例えば、セルロースであってもよいし、カルボキシメチルセルロース(CMC)等であってもよい。また、前記アクリル樹脂であれば、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体などであってもよい。
前記水溶性プレポリマーとしては、例えば、止水剤等に含まれる接着性の水溶性イソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらの中でも変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
本発明においては、第1の水溶性樹脂の中でも、架橋性の官能基を有するものが好ましい。架橋性の官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、リン酸基、チオール基、アセトアセチル基、エーテル結合、などが挙げられる。
前記第1の水溶性樹脂が架橋性の官能基を有する場合、第1の水溶性樹脂が容易に架橋し、硬化物(立体造形物)を形成しやすくなる点で好ましい。
これらの中でも架橋性の官能基を有する変性ポリビニルアルコールであることが好ましく、特に、アセトアセチル基変性のポリビニルアルコールであることが更に好ましい。例えば、前記ポリビニルアルコールが前記アセトアセチル基を有する場合、ガラス立体造形用硬化液に用いられた架橋剤中の金属の作用により、アセトアセチル基が金属を介して複雑な3次元ネットワーク構造(架橋構造)を容易に形成することができ、架橋反応性に優れ、曲げ強度が非常に優れる。
前記アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールとしては、粘度、けん化度等の特性が異なるものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、平均重合度が400以上1,100以下のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることがより好ましい。
また、第1の水溶性樹脂としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
市販品としては、例えば、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA−205C、PVA−220C)、ポリアクリル酸(東亞合成社製、ジュリマーAC−10)、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成社製、ジュリマーAC−103P)、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセネックスZ−300、ゴーセネックスZ−100、ゴーセネックスZ−200、ゴーセネックスZ−205、ゴーセネックスZ−210、ゴーセネックスZ−220)、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセネックスT−330、ゴーセネックスT-350、ゴーセネックスT-330T)、ブタンジオールビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業社製、ニチゴーG−ポリマーOKS−8041)、カルボキシメチルセルロース(第一工業社製、セロゲン5A)、デンプン(三和澱粉工業社製、ハイスタードPSS−5)、ゼラチン(新田ゼラチン社製、ビーマトリックスゼラチン)などが挙げられる。
第1の水溶性樹脂によるガラス粉末の被覆厚みとしては、平均厚みで、5nm以上1,000nm以下が好ましく、5nm以上500nm以下がより好ましく、50nm以上300nm以下が更に好ましく、100nm以上200nm以下が特に好ましい。本発明では、架橋剤を用いた場合、硬化作用を利用するために、従来のものより被覆厚みを小さくすることが可能であり、薄膜でも強度と精度の両立が可能である。
前記被覆厚みとしての平均厚みが、5nm以上であると、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の強度を向上させることができる。そのため、その後に焼結等の処理をした場合であっても、また取扱い時であっても型崩れ等の問題が生じ難くなる。1,000nm以下であると、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の寸法精度が向上する。
前記平均厚みは、例えば、ガラス立体造形用粉末材料をアクリル樹脂等に包埋した後、エッチング等を行ってガラス粉末の表面を露出させた後、走査型トンネル顕微鏡STM、原子間力顕微鏡AFM、走査型電子顕微鏡SEMなどを用いることにより、測定することができる。
第1の水溶性樹脂によるガラス粉末の表面の被覆率(面積率)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
前記被覆率が、15%以上であると、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の強度が充分に得られ、その後に焼結等の処理をした場合であっても、また取扱い時であっても型崩れ等の問題が生じ難くなる。また、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の寸法精度が向上する。
前記被覆率は、例えば、ガラス立体造形用粉末材料の写真を観察し、2次元の写真に写るガラス立体造形用粉末材料につき、ガラス粉末の表面の全面積に対する第1の水溶性樹脂で被覆された部分の面積の割合(%)の平均値を算出してこれを被覆率としてもよい。また、第1の水溶性樹脂で被覆された部分をSEM−EDS等のエネルギー分散型X線分光法による元素マッピングを行うことにより、測定することができる。
前記ガラス粉末は、前記第1の水溶性樹脂を被覆した後、2次粒子として顆粒状粒子として使用してもよい。この場合は、粒子間の接点が減少し、粉体としての流動性が改善されるために粉体層を形成する際に均一な層を形成することができる。この時の2次平均粒子径としては1〜1000μmの範囲が好ましく、さらに具体的には1.5〜100μmの範囲であることが望ましい。
<その他の成分>
上記の他にも、例えば、流動化剤、フィラー、レベリング剤、焼結助剤、などを添加してもよい。ガラス立体造形用粉末材料が、前記流動化剤を含む場合、ガラス立体造形用粉末材料による層等を容易にかつ効率良く形成し得る点で好ましい。前記フィラーを含む場合、得られる硬化物(立体造形物)に空隙等が生じ難くなる点で好ましい。前記レベリング剤を含む場合、立体造形用粉末材料の濡れ性が向上し、ハンドリング等が容易になる点で好ましい。また、前記焼結助剤を含む場合、得られた立体造形物につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
また、第1の水溶性樹脂を溶解可能な水性媒体を用いてもよい。水溶性媒体としては後述の親水性有機溶剤等を用いることができる。
<ガラス立体造形用粉末材料の製造>
ガラス立体造形用粉末材料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の水溶性樹脂をガラス粉末に公知の被覆方法に従って被覆する方法などが好適に挙げられる。
第1の水溶性樹脂をガラス粉末の表面に被覆する方法としては、特に制限はなく、公知の被覆方法の中から適宜採用することができる。例えば、転動流動コーティング法、スプレードライ法、撹拌混合添加法、ディッピング法、ニーダーコート法、などが好適に挙げられる。また、これらの被覆方法は、公知の市販の各種コーティング装置、造粒装置などを用いて実施することができる。
<立体造形用粉末材料の物性等>
ガラス立体造形用粉末材料としては、上述したように体積平均一次粒径は3μm未満であることが好ましく、1.5μm以下がより好ましい。3μm以上である場合は、焼結前の中間体が非常に脆いものとなり、取り扱いやハンドリング性が悪化し、寸法精度が低減する傾向にある。更に焼結後でも気泡が多く含まれる造形物になりやすく、ガラス立体造形物の硬度が低下し、透明性も悪化しやすくなる。
ガラス立体造形用粉末材料の粒度分布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、ガラス立体造形用粉末材料の特性としては、その安息角を測定した場合において、60度以下が好ましく、50度以下がより好ましく、40度以下が更に好ましい。前記安息角が60度以下であると、ガラス立体造形用粉末材料を支持体上の所望の場所に効率良く安定に配置させることができる。
なお、前記安息角は、例えば、粉体特性測定装置(パウダテスタPT−N型、ホソカワミクロン社製)などを用いて測定することができる。
本発明におけるガラス立体造形用粉末材料は、各種の成形体、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明のガラス立体造形用キット、ガラス立体造形用硬化液、ガラス立体造形物の製造方法、ガラス立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
本発明におけるガラス立体造形用粉末材料に本発明のガラス立体造形用硬化液を付与するだけで、複雑な立体形状を有する構造物を簡便かつ効率良く、しかも寸法精度良く製造することができる。そのため、従来長期間の経験を経た専門のガラス職人しか作製できなかった複雑かつ精密なガラス立体造形物を容易に得ることができる。
こうして得られた構造物は、充分な硬度を有する硬化物(立体造形物)であり、手で持ったり、型に出し入れしたり、エアーブロー処理を行って余分なガラス立体造形用粉末材料を除去したりしても、型崩れを生じることがなく、取り扱い性、及びハンドリング性に優れる。硬化物は、そのまま使用してもよいし、焼結用硬化物として更に焼結処理を施して成形体(立体造形物の焼結体)としてもよい。そして、焼結処理を施した場合においては、焼結後の該成形体において不要な空隙等が生じることがなく、美麗な外観の成形体が容易に得られる。更に任意に染色が可能であり、意匠性にも優れる。
ガラス立体造形物に要求される特徴の1つとして、高い透明性が挙げられる。この条件を達成するには、粒子同士が焼結により一体化し、造形物中の空隙がほとんどなくなることで実現できる。しかし、粉体から造型する方式の場合は、溶融炉から造型する工程と比較して空隙を形成しやすく、この空隙表面で光が乱反射され、透明感を損なった造形物が形成されるという大きな問題が生じてしまう。
これに対し、本発明者らはガラス立体造形物に関わる様々な設計要因を検討し、透明性を大きく改善するためには、焼結助剤を添加物として用いることが最も効果的であるという知見を得た。
焼結助剤に要求される特性としては、
・比較的低温溶融すること
・ガラス粉体の2次平均粒子径より小さいこと
・(高温下で)ガラスと反応し難いこと
・ガラスを着色し難いこと
・(焼結前の)ガラス粒子同士の接着を妨げないこと
等が挙げられる。焼結助剤の役割はガラスの低温溶融を加速し、溶融した粒子同士が合一化するまでの時間を確保し、造形物中の空隙を排除して前記造形物の密度を向上し、透明性を改善することである。
このような効果を発現するガラス用焼結助剤には、例えば窒化アルミ、ガラスフリット、シリカナノ粒子等の無機化合物を少なくとも1種以上、単独もしくは複合して用いることができる。
なお、焼結助剤の使用方法は、ガラス立体造形用粉末材料について、第1の水溶性樹脂で前記ガラス粉末を被覆した後に、焼結助剤粒子を混合させる方法や、ガラス立体造形用硬化液に焼結助剤を分散させる方法等が挙げられる。詳細は後述する。
(ガラス立体造形用硬化液)
本発明のガラス立体造形用硬化液は、水及び重量平均分子量が50,000未満である第2の水溶性樹脂を含むものである。また、第1の水溶性樹脂と架橋する架橋剤、第1の水溶性樹脂を溶解させる媒体(溶媒)や当該溶解を促進させるような成分等を含有していてもよく、また、着色施すための色材成分や硬化液の保存安定性を保つための安定化剤、界面活性剤等、更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
本発明の立体造形用硬化液は、粘度が25℃で20mPa・s以下であるのが好ましく、粘度が25℃で3mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。該粘度が25℃で20mPa・s以下であると、該硬化液をインクジェット方式で付与する際に、該硬化液を充分安定に吐出できる。
また、該硬化液を50℃で3日間放置した前後の粘度変化率が20%未満であるのが好ましい。該粘度変化率が20%以上になると、該硬化液をインクジェット方式で付与する際に、該硬化液を充分安定に吐出できないことがある。
<第2の水溶性樹脂>
第2の水溶性樹脂としては、ガラス立体造形用硬化液中に添加して当該硬化液の粘度を調整する機能を有するものが好ましく、媒体(詳細は後述)に溶解可能で、かつ架橋剤やその他の添加剤の効果に干渉することなく、インクジェットプリンターヘッドで吐出できる所望の粘度に調整する機能を有することが好ましい。このような特性を有する材料としては水溶性樹脂が利用できるが、一般的なものではガラス立体造形用硬化液を調製した直後は粘度が調整できても経時で粘度変化が生じるという問題が起きることが確認された。
そこで本発明者らは、ガラス粉末を被覆する第1の水溶性樹脂として挙げられるポリビニルアルコール類を第2の水溶性樹脂として用いることを検討した。使用したポリビニルアルコールは架橋反応を示す官能基を有しないものを用いた。この場合、硬化液の粘度変化は抑制される傾向だったが、この硬化液を用いて造形すると、気泡の多いサンプルが形成され、色は白濁しやすくなることがわかった。そこでポリビニルアルコールに代わる粘度調整剤を検討した結果、ポリビニルピロリドンが上記機能に対して好適で、かつ造形物も透明性を有した状態で造形できることが確認された。
この原因は一概にはいえないが、元々同じ水溶性樹脂同士で親和性が高い材料であることから、同一材料で調製すると更に親和性が高くなり、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を接触させると、直ちに樹脂同士が凝集・合一化するためだと考えられる。凝集・合一化する結果、ガラス立体造形用硬化液の前記粉末層内での浸透が非常に早い状態になり、粉体リコート時から存在していた空隙部分が埋められず、気泡として残ったものと推定される。
そのため本発明では、第1の水溶性樹脂及び第2の水溶性樹脂は互いに異なっていることが好ましい。水溶性樹脂の種類をあえて変えることによって、前記粉末層に対して第1の水溶性樹脂を溶解し空隙を埋める時間を供出できるような最適な浸透性を有する硬化液を提供でき、立体ガラス造形物の透明性を向上させることができる。
第2の水溶性樹脂は、重量平均分子量が50,000未満であることを要し、好ましくは5,000以上50,000未満である。重量平均分子量が50,000以上である場合、添加量を調整したとしても、例えばインクジェットヘッドで吐出できる粘度であっても、安定してインクジェットヘッドから吐出され難く、乾燥によってノズルが詰まりやすくなってしまう。また、造形物の品質に対しては焼結後も第2の水溶性樹脂の残留物が不純物として混入し、その形状を大きく変形させたり黒色化して透明性を著しく損なったりする等、ガラス立体造形物の品質を大きく低下する要因となる。
なお、本発明でいう重量平均分子量はいわゆる公知の方法で測定できるが、測定条件によっては非常に広範囲なバラツキを有する結果になることがある。例えば従来から用いられているジメチルホルムアミドを溶媒としてポリビニルピロリドンの分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定すると、測定される分子量は非常に低い値になる。これはポリビニルピロリドンとGPCカラムとの親和性が高過ぎるために、ポリビニルピロリドンの溶解性が比較的低い溶媒を用いた場合、高分子量のポリビニルピロリドンがカラムから抽出することができず、相対的に低い数値となって検出するためである。従って重量平均分子量を測定する際には、第2の水溶性樹脂と親和性の高い溶媒、例えばポリビニルピロリドンであれば、N−メチルピロリドン(NMP)を溶媒として採用することが望ましい。以下、実施例で採用した測定条件を示す。
[ポリビニルピロリドン(PVP)の分子量測定]
測定サンプル:東京化成社製PVPK-15、K-30、K-60、K-85
日本分光製HPLCシステム(GPCシステム)
分析カラム:Shodex GPC KD-806M×2本(No.C2370131,C2370139)
カラム温度:40℃
移動相(溶離液):NMP(HPLC用,Sigma-Aldrich社製)
検出器示差屈折計(日本分光社製)
校正条件:標準ポリスチレン(Shodex社製SM-105)を用いた3次近似曲線
校正曲線範囲:1200-2780000(得られる値はポリスチレン換算値とする)
更に重量平均分子量が100,000以上の第2の水溶性樹脂を用いた場合は、長期保存下ではインクジェットヘッドで吐出できる粘度限界以上になってしまう。そのため、ノズル詰まりを起こしたり、焼結後も残留しやすくなることから、形状が大きく変形したり、黒色化し透明性を著しく損なったりするなど、ガラス立体造形物の品質を大きく低下する要因となる。
また、第2の水溶性樹脂としてポリビニルピロリドンを用いる場合、ポリビニルピロリドンは単なる増粘効果に留まらず、顔料を分散させるための分散剤としても機能できるため好ましい。これは、ポリビニルドピロリドンが無機物質に対する優れた接着力と分散力を有することを利用したものである。特に無機顔料のような比較的に比重の重い色材を用いて立体造形物を製造する場合、立体造形物の形状維持と均一な着色性を発現するにはポリビニルピロリドンの分散性が大いに効果を発揮する。
ガラス立体造形用硬化液に対する第2の水溶性樹脂の割合は5質量%未満が好ましい。第2の水溶性樹脂の割合が、5質量%以上になると硬化液の保存安定性させたり、焼結後も前記ガラス立体造形物中に残留しやすくなり黒色化し透明性を著しく低下したりする場合がある。なお、第2の水溶性樹脂の割合は0.01質量%以上であることが好ましい。
本発明のガラス立体造形用硬化液の25℃における粘度は20mPa・s以下であることが好ましい。上記の範囲を超えるとインクジェットヘッドで吐出できなくなるばかりか、立体造形物中に気泡が多く含まれ、結果ガラスとしての透過性が著しく損なわれて、品質が低下することがある。また、立体造形物の強度も低下する要因にもなる。
第2の水溶性樹脂としては、ポリビニルピロリドン以外にも例えば、ポリアクリル酸樹脂、セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、ビニル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレングリコール等を用いることができる。
<色材成分>
本発明のガラス立体造形用硬化液は、必要に応じて色材を含有させることができる。本発明で用いられる色材成分としては公知のものが利用でき、立体造形物に焼結工程を行っても発色する安定なものが用いられる。通常の場合は高温耐性がある無機顔料が一般的に用いられる。
前記無機顔料は天然無機顔料でも合成無機顔料でもいずれの場合も利用でき、あるいは天然・合成に関わらず2種類以上の顔料の混合物として用いることも可能である。前記無機顔料としては、例えば奥野製薬工業社製の器物用ガラスカラーLESシリーズやLNシリーズ、日陶顔料工業社製の窯業用顔料などが好適に利用される。
色材成分の含有量は、必要に応じて適宜変更できるが、例えばガラス立体造形用硬化液に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明によれば、色材成分を用いることにより、様々な着色性を付与することができ、意匠性にも優れたガラス立体造形物を提供することができる。
<焼結助剤>
本発明のガラス立体造形用硬化液は、焼結助剤を含有することが好ましい。本発明で用いられる焼結助剤としては、上述のものを用いることができる。ガラス立体造形用硬化液に対する焼結助剤の分散等については後述する。
<媒体>
前記媒体としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどの親水性媒体、脂肪族炭化水素、グリコールエーテル等のエーテル系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、高級アルコール等が挙げられる。これらの中でも、環境負荷や硬化液をインクジェット方式で付与する際の吐出安定性(経時での粘度変化が少ない)を考慮すると、水性媒体が好ましく、この中でも水が環境負荷低減の観点からも最適である。なお、前記水性媒体としては、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよいが、硬化液の媒体が水性媒体である場合には、第1の水溶性樹脂は水溶性有機材料を主として含むことが好ましい。
前記親水性媒体としては、例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン、などが挙げられる。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を含有する親水性有機溶剤であってもよい。
<<親水性有機溶剤>>
前記媒体としては、中でも親水性有機溶剤であることが好ましい。親水性有機溶剤としては、特に制限はないが以下のものを用いることができる。1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを用いることができる。
親水性有機溶剤は、ガラス立体造形用硬化液に対して20質量%未満であることが好ましい。20質量%未満とすることにより、ガラス立体造形物の強度を向上させることができる。また、インクジェットノズルの乾燥を抑制するためには1.0質量%以上であることが好ましい。
<架橋剤>
第1の水溶性樹脂が架橋性の官能基を有している場合、ガラス立体造形用硬化液は架橋剤を有していることが好ましい。これにより、造形物の強度をより向上させることができる。第1の水溶性樹脂は、ガラス立体造形用硬化液の作用により、溶解し、かつ、架橋可能なため、第1の水溶性樹脂にガラス立体造形用硬化液が付与されると、溶解するとともに、架橋剤の作用により架橋する。このため、ガラス立体造形用粉末材料を用いて薄層を形成し、該薄層にガラス立体造形用硬化液を作用させると、該薄層は硬化する。
本発明における「架橋剤」とは、架橋対象(ポリマー等の有機材料)の官能基と架橋反応可能な部位を有する化合物であり、架橋反応することで、自ら架橋対象間の架橋結合の結合部位の構成要素となるものである。
従って、例えば、パーオキサイド(有機過酸化物)や還元性物質のように、熱や光によって自らが分解することでフリーラジカルを発生し、不飽和単量体に付加し、二重結合を開くと同時に、新たなラジカル反応を発生しその工程を繰り返すことで高分子化を促進させ、飽和化合物の炭素に結合している水素を引き抜いて、新たなラジカルを生成し生成したラジカル同士が再結合し、この飽和化合物間の橋かけが形成されるといった、自らは架橋結合部位の構成要素にはならない、ラジカル反応を開始乃至促進させるための、いわゆる「開始剤」とは異なる概念であり、本発明における「架橋剤」とは明確に区別される。
架橋剤としては、前記有機材料を架橋可能な性質を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属塩、金属錯体、有機ジルコニウム系化合物、有機チタン系化合物、キレート剤、などが挙げられる。
前記有機ジルコニウム系化合物としては、例えば、酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、乳酸ジルコニウムアンモニウムなどが挙げられる。
前記有機チタン系化合物としては、例えば、チタンアシレート、チタンアルコキシドなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属塩がより好適である。
前記金属塩としては、例えば、2価以上の陽イオン金属を水中で電離するものなどが好適に挙げられ、その具体例としては、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(4価)、水酸化アルミニウム(3価)、水酸化マグネシウム(2価)、チタンラクテートアンモニウム塩(4価)、塩基性酢酸アルミニウム(3価)、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(4価)、チタントリエタノールアミネート(4価)、などが好適に挙げられる。
また、これらは市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(第一稀元素化学工業社製、酸塩化ジルコニウム)、水酸化アルミニウム(和光純薬工業社製)、水酸化マグネシウム(和光純薬工業社製)、チタンラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル社製、オルガチックスTC−300)、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル社製、オルガチックスZC−300)、塩基性酢酸アルミニウム(和光純薬工業社製)、ビスビニルスルホン化合物(富士ファインケミカル社製、VS−B(K−FJC))、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(第一稀元素化学工業社製、ジルコゾールAC−20)、チタントリエタノールアミネート(マツモトファインケミカル社製、オルガチックスTC−400)、などが挙げられる。これらの中でも、得られる前記ガラス立体造形物の強度に優れる点で炭酸ジルコニウムアンモニウム塩がより好適である。
<安定化剤>
前記安定化剤としては、前記硬化液の粘度変化を抑制して保存安定性を保つ性質を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アミノ基含有多価アルコール、アミノ基含有キレート剤、ホスホノ基含有キレート剤、グルコン酸又はその塩、などが挙げられる。
前記アミノ基含有多価アルコールとしては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)、2−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(AHMPD)などが挙げられる。これらの中でも、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールがより好適である。
前記アミノ基含有キレート剤としては、例えば、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)又はその塩が挙げられる。
前記ホスホノ基含有キレート剤としては、例えば、アミノトリメチレンホスホン酸(NTMP)又はその塩、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)又はその塩、ヒドロキシエタンジスホン酸(HEPD)又はその塩などが挙げられる。
硬化液全体に占める安定化剤の割合は0.1質量%〜5質量%の範囲が好ましい。安定化剤の割合が0.1質量%より少ないと硬化液の保存安定性が低下する場合がある。また、安定化剤が5質量%より多いと架橋剤の架橋性能を低下させる場合がある。
<界面活性剤>
また、本発明において、硬化液の表面張力を調整する目的で界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤(非イオン性界面活性剤)又は両性界面活性剤が用いられる。湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
具体例として以下に挙げるものが好適に使用されるが、これらに限定されるわけではない。例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等も使用可能である。
このような界面活性剤は、日光ケミカルズ社、日本エマルジョン社、日本触媒社、東邦化学社、花王社、アデカ社、ライオン社、青木油脂社、三洋化成社などの界面活性剤メーカーより容易に入手できる。
またアセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示すので望ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー及びこの硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルが挙げられる。
このようなフッ素系界面活性剤として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム社製)、FT−110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN N、FSN−100、FS−300、FSK(Dupont社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などがあり、メーカーより容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
立体造形用粉末に被覆された高分子への浸透性の効果を発揮するためには、界面活性剤総量として、ガラス立体造形用硬化液に対して0.01質量%〜5質量%含有していることが好ましい。界面活性剤総量が0.01質量%未満では、濡れ性を付与する効果が低く、立体造形用粉末に被覆された高分子への浸透性向上させるには不十分であり、5.0質量%より多い添加では保存安定性を悪化させる場合がある。
<その他の成分>
また、本発明においては、ガラス立体造形用硬化液中に、必要に応じて、消泡剤や防腐防黴剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤等の添加剤を添加することができる。
<<消泡剤>>
消泡剤としては、一般的に利用されている消泡剤も使用可能である。
これらにはシリコーン消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤などが挙げられ、1種で用いても、2種以上と併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン消泡剤との併用が好ましい。
前記シリコーン消泡剤としては、例えば、オイル型シリコーン消泡剤、コンパウンド型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。
該変性シリコーン消泡剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン消泡剤、カルビノール変性シリコーン消泡剤、メタクリル変性シリコーン消泡剤、ポリエーテル変性シリコーン消泡剤、アルキル変性シリコーン消泡剤、高級脂肪酸エステル変性シリコーン消泡剤、アルキレンオキサイド変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。
これらの中でも、水系媒体である前記記録用硬化液への使用を考慮すると、前記自己乳化型シリコーン消泡剤、前記エマルジョン型シリコーン消泡剤などが好ましい。
前記一般的な消泡剤としては、市販品を使用してもよく、該市販品としては、信越化学工業社製のシリコーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM85等)、東レ・ダウ・コーニング社製のシリコーン消泡剤(Q2−3183A、SH5510等)、日本ユニカー社製のシリコーン消泡剤(SAG30等)、旭電化工業社製の消泡剤(アデカネートシリーズ等)、などが挙げられる。
消泡剤の硬化液における含有量としては、特に制限はないが、消泡剤は硬化液に完全に溶解しないものが多く、分離析出する可能性が高いため、極力添加しない方がよい。しかしながら充填時に起泡していると充填性が悪化するため、最小量を使用することができる。含有量は適宜変更が可能であるが、例えば、ガラス立体造形用硬化液に対して0〜3質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましい。
一般的な消泡剤を併用し、破泡効果を高める観点から無機微粒子を含有するものがあるが、硬化液に使用する消泡剤としては利用しない方が好ましい。
<<防腐防黴剤>>
防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
<<pH調整剤>>
pH調整剤としては、調合される硬化液に悪影響をおよぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
また、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸及び硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウなどの一価の弱カチオンと形成する塩、酢酸、蓚酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アルギニン酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、カルボラン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体などの有機酸等が挙げられる。
これらpH調整剤は上記の化合物に限定されるものではない。
これらは硬化液のpH変動に応じた特性に合わせて、最適の一時解離定数pKaのものを適時利用し、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても、Buffer剤を併用しても構わない。
これらは東京化成工業社を初めとした種々のメーカーより入手可能である。
(ガラス立体造形材料セット)
本発明のガラス立体造形材料セットは、前記ガラス立体造形用粉末材料と、前記ガラス立体造形用硬化液とを有するものであり、必要に応じてその他の成分を有していてもよい。
(ガラス立体造形物)
本発明で得られるガラス立体造形物は、本発明のガラス立体造形物の製造方法によって製造されたものである。本発明で得られるガラス立体造形物は、上述したガラス立体造形用粉末材料に本発明の立体造形用硬化液を付与させて得られた硬化物であって、焼結を行って成形体(ガラス立体造形物の焼結体)を製造するための焼結用硬化物として用いられる。前記硬化物は、上述した本発明の前記ガラス立体造形用材料セットを用い、前記ガラス立体造形用材料セットにおけるガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与させて得られた硬化物であってもよい。
ガラス立体造形物は、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与しただけで得られたものであっても充分な強度を有する。ガラス立体造形物においては、ガラス粉末が密に(高充填率で)存在し、第1の水溶性樹脂はガラス粉末同士の周囲に極僅かだけ存在する。そのため、その後に焼結等して成形体(焼結体)を得たとき、接着剤等を用いた従来の粉末乃至粒子の硬化物とは異なり、有機物成分の揮発(脱脂)量を少なくできる。前記成形体には、不要な空隙(脱脂痕)等は存在せず、外観の美麗な成形体が得られる。
本発明により得られたガラス立体造形物は、良好な硬度を有するため、手で持ちエアーブロー処理をして余分なガラス立体造形用粉末材料の除去等を行っても型崩れが生ずることがなく、その後に焼結等を簡便に行うことができる。そして、ガラス立体造形物においては、ガラス粉末が密に(高充填率で)存在し、第1の水溶性樹脂はガラス粉末の周囲に極僅かだけ存在するため、その後に焼結等して成形体(焼結体)を得たとき、不要な空隙等が少なく外観の美麗な成形体(焼結体)となる。
ガラス立体造形物の強度としては、例えば、表面を擦っても型崩れ等が生ずることがない程度であることが好ましく、ノズル口径2mm、エアー圧力0.3MPaのエアーガンを用いて、距離5cmよりエアーブロー処理をしても割れ等が生ずることがない程度である。
(ガラス立体造形物の製造方法及び製造装置)
本発明のガラス立体造形物の製造方法は、第1の水溶性樹脂でガラス粉末を被覆し、ガラス立体造形用粉末材料を形成する工程A(ガラス立体造形用粉末材料形成工程などとも称する)と、前記ガラス立体造形用粉末材料を供給する工程B(ガラス立体造形用粉末材料供給工程などとも称する)と、ガラス立体造形用硬化液を前記ガラス立体造形用粉末材料に付与する工程C(ガラス立体造形用硬化液付与工程などとも称する)と、を有し、前記工程Bと工程Cを繰り返すものである。この操作を繰り返すことにより、簡便かつ効率的に、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く複雑な立体造形物が製造される。本発明のガラス立体造形物の製造方法は、更に必要に応じて焼結工程等のその他の工程を含む。
本発明のガラス立体造形物の製造装置は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料を供給する供給手段(ガラス立体造形用粉末材料供給手段)と、ガラス立体造形用硬化液を前記ガラス立体造形用粉末材料に付与する付与手段(ガラス立体造形用硬化液付与手段)と、前記ガラス立体造形用粉末材料が収容される粉末材料収容部と、前記ガラス立体造形用硬化液が収容される硬化液収容部と、を有する。更に必要に応じて硬化液供給手段や焼結手段、液循環手段等のその他の手段を有する。
<ガラス立体造形用粉末材料形成工程>
前記ガラス立体造形用粉末材料形成工程は、第1の水溶性樹脂でガラス粉末を被覆し、ガラス立体造形用粉末材料を形成する工程である。必要に応じて、難燃助剤粒子等を混合してもよい。
<ガラス立体造形用粉末材料供給工程及び供給手段>
前記ガラス粉末材料供給工程は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料を供給する工程である。
前記ガラス粉末材料供給手段は、第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料を供給する手段である。
前記ガラス立体造形用粉末材料の層は支持体上に形成されることが好ましい。
<<支持体>>
前記支持体としては、ガラス立体造形用粉末材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ガラス立体造形用粉末材料の載置面を有する台、例えば特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。
支持体の表面、即ち、ガラス立体造形用粉末を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。なお、ガラス立体造形用粉末材料における第1の水溶性樹脂が溶解し、前記架橋剤の作用によって架橋した際に、載置面と第1の水溶性樹脂との親和性が低いことが好ましい。前記載置面と溶解し架橋した第1の水溶性樹脂との親和性が、ガラス粉末と溶解し架橋した第1の水溶性樹脂との親和性よりも低いと、得られた立体造形物を該載置面から取り外すことが容易となるため好ましい。
<<ガラス立体造形用粉末材料層の形成>>
ガラス立体造形用粉末材料を支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラー)などを用いる方法、ガラス立体造形用粉末材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記ガラス立体造形用粉末の表面に押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層装置を用いる方法、などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記ガラス立体造形用粉末材料を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。
即ち、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記ガラス立体造形用粉末材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記ガラス立体造形用粉末材料層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記ガラス立体造形用粉末材料を載置させる。以上により、前記ガラス立体造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記ガラス立体造形用粉末材料に対し、前記ガラス立体造形用硬化液を作用させると、当該層が硬化する(前記ガラス粉末材料層硬化工程)。
ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、ガラス立体造形用粉末材料を薄層に載置させ、前記薄層に載置された該ガラス立体造形用粉末材料(層)に対し、ガラス立体造形用硬化液を作用させると、硬化が生ずる。このときの硬化は、該薄層に載置された前記ガラス立体造形用粉末材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記ガラス立体造形用粉末材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物)が得られる。
また、前記ガラス立体造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層装置は、一般に、ガラス立体造形用粉末材料を積層するためのリコーターと、前記ガラス立体造形用粉末材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記ガラス立体造形用粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができる。また、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記ガラス立体造形用粉末材料を薄層に配置させることができ、該リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記ガラス立体造形用粉末材料を積層させることができる。
前記ガラス立体造形用粉末材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みでは、1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。
前記厚みが、1μm以上であると、前記ガラス立体造形用粉末材料に前記硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の強度が充分であり、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生ずることがない、500μm以下であると、ガラス立体造形用粉末材料にガラス立体造形用硬化液を付与して形成した立体造形物用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の寸法精度が担保できる。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。
<ガラス立体造形用硬化液付与工程及び付与手段>
前記ガラス立体造形用硬化液付与工程は、ガラス立体造形用粉末材料層に、ガラス立体造形用硬化液を付与する工程である。
前記ガラス立体造形用硬化液付与手段は、ガラス立体造形用粉末材料層に、ガラス立体造形用硬化液を付与する手段である。
ガラス立体造形用硬化液が付与されることにより、ガラス立体造形用粉末材料層の所定領域が硬化する。
ガラス立体造形用硬化液をガラス立体造形用粉末材料層に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記硬化液付与手段として好適に使用することができる。
これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、インクジェット方式が特に好ましい。インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率良く形成し得る点で好ましい。
インクジェット方式による場合、前記ガラス立体造形用硬化液付与手段は、インクジェット方式によりガラス立体造形用硬化液をガラス粉末材料層に付与可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズル(インクジェットヘッド)を好適に使用することができ、また、インクジェットジェットプリンターをガラス立体造形用硬化液付与手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、リコー社製のSG7100、などが好適に挙げられる。インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる硬化液量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。
本発明においては、前記硬化液を精度良く、しかも高効率に付与可能なインクジェットプリンターを用いた場合であっても、前記硬化液が粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、ノズルやヘッドにおける目詰り等や腐食等を抑制することができる。また、ガラス立体造形用粉末材料層に付与(吐出)された際、ガラス立体造形用粉末材料における第1の水溶性樹脂に効率良く浸透可能であるため、立体造形物の製造効率に優れる。更に、樹脂等の高分子成分が付与される量が非常に少ないため、想定外の体積増加等を生ずることがなく、寸法精度の良い架橋物が容易にかつ短時間で効率良く得られる点で有利である。
なお、ガラス立体造形用硬化液において前記架橋剤はpH調整剤としても機能し得る。前記硬化液のpHとしては、インクジェットジェット方式で該硬化液を前記ガラス立体造形用粉末材料層に付与する場合には、用いるノズルのノズルヘッド部分の腐食や目詰り防止の観点からは、5(弱酸性)〜12(塩基性)が好ましく、8〜10(弱塩基性)がより好ましい。pHの調整のために公知のpH調整剤を使用してもよい。
<焼結助剤の添加方法>
焼結助剤の添加方法には、以下の方法が挙げられる。
(1)第1の水溶性樹脂コート液中に焼結助剤を分散させた後にガラス粉末(ガラス粒子)に被覆する
(2)第1の水溶性樹脂をコートしたガラス粉末(ガラス粒子)に焼結助剤粒子を混合する
(3)ガラス立体造形用硬化液中に焼結助剤を分散させておき、造形時にガラス立体造形粉末材料に添加する
本発明者らは全ての方法を検討した。
この中で(1)は上記に掲げた要求特性を発現し難い傾向があることがわかった。これは、水溶性樹脂中に固定された焼結助剤が機能し難い状態になったものと考えているが、この方法によると前記ガラス粒子が異型化するため、粉体の流動性が著しく悪化し均一な粉体層を形成し難くなったために適用できないと判断した。
(2)は非常に簡便だが、造形物内部でムラが生じやすく、当初は困難な方法であると考えられた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、効果を発現させるには前記ガラス粒子の2次平均粒子径に対して、焼結助剤の平均粒径が凡そ1/5〜1/2の範囲であることが好ましいことを確認した。この際に、焼結助剤の添加量は、ガラス立体造形用粉末材料に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
(3)は有効だが、ガラス立体造形用硬化液中に焼結助剤を分散させると、その比重にもよるが、硬化液中で前記焼結助剤が沈降・凝集することがわかった。従って、沈降現象に対しては、焼結助剤の粒径は細かい方が好ましいが、効果を発現するには前記ガラス粒子の2次平均粒子径に対して焼結助剤の体積平均粒径が凡そ1/50〜1/5の範囲であることが好ましい。この時の焼結助剤の添加量は、ガラス立体造形用粉末材料に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。さらにこのような凝集性のある硬化液を使用する場合は、凝集防止のための液循環機構を有するインクジェットヘッドを用いることが好ましい。
なお、平均粒径とあるのは体積平均粒径を示す。
<粉末材料収容部>
前記粉末材料収容部は、ガラス立体造形用粉末材料が収容された部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
<硬化液収容部>
前記硬化液収容部は、前記硬化液が収容された部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、貯留槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、焼結工程、表面保護処理工程、塗装工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、乾燥手段、焼結手段、表面保護処理手段、塗装手段、硬化液供給手段、などが挙げられる。
前記乾燥工程は、前記ガラス粉末材料層硬化工程において得られた硬化物(立体造形物)を乾燥させる工程である。前記乾燥工程において、前記硬化物中に含まれる水分のみならず、有機物を除去(脱脂)してもよい。前記乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。
前記焼結工程は、前記ガラス粉末材料層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)を焼結する工程である。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された金属乃至セラミックスの成形体(立体造形物の焼結体)とすることができる。前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
前記表面保護処理工程は、ガラス立体造形用硬化液付与工程において形成した硬化物(立体造形物)に保護層を形成等する工程である。この表面保護処理工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を例えばそのまま使用等することができる耐久性等を該硬化物(立体造形物)の表面に与えることができる。前記保護層の具体例としては、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層、などが挙げられる。前記表面保護処理手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
前記塗装工程は、前記ガラス粉末材料層硬化工程において形成した硬化物(立体造形物)に塗装を行う工程である。前記塗装工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
ここで、図1に本発明に係るガラス立体造形物の製造装置の一例を示す。図1の製造装置は、造形側粉末貯留槽1と供給側粉末貯留槽2とを有し、これらの粉末貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上に造形物用粉末材料を貯留する。
造形側粉末貯留槽1の上には、該粉末貯留槽内の造形物用粉末材料に向けて硬化液4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側粉末貯留槽2から造形側粉末貯留槽1に造形物用粉末材料を供給するとともに、造形側粉末貯留槽1の造形物用粉末材料表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側粉末貯留槽1の造形物用粉末材料上にインクジェットヘッド5から硬化液を滴下する。このとき、硬化液を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側粉末貯留槽2のステージ3を上げ、造形側粉末貯留槽1のステージ3を下げる。その差分の造形物用粉末材料を、均し機構6によって、造形側粉末貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画した造形物用粉末面上に、新たな造形物用粉末層が一層形成される。このときの造形物用粉末層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。
新たに形成された造形物用粉末層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して造形物を得て、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図2に本発明に係るガラス立体造形物の製造装置の他の一例を示す。図2の製造装置は、原理的には図1と同じものであるが、造形物用粉末材料の供給機構が異なる。即ち、供給側粉末貯留槽2は、造形側粉末貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側粉末貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側粉末貯留槽2が移動しながら、所定量の造形物用粉末材料を造形側粉末貯留槽1に落下させ、新たな造形物用粉末材料層を形成する。その後、均し機構6で、造形物用粉末材料を圧縮し、かさ密度を上げるとともに、造形物用粉末材料の高さを均一に均す。
図2に示す構成の粉末積層造形装置によれば、2つの粉末貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
以上、本発明により、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。
こうして得られた立体造形物とその焼結体は、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ガラス立体造形用粉末材料1の調製>
<<コート液1の調製>>
第1の水溶性樹脂としてアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、ゴーセネックスZ−100、平均重合度:500、けん化度98.5mol%)6質量部に、水114質量部を混合した。次いで、ウォーターバス中で90℃に加熱しながら、スリーワンモーター(新東科学社製、BL600)を用いて1時間攪拌し、前記アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを前記水に溶解させた。このようにして、5質量%のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液120質量部を調製し、得られた調製液を[コート液1]とした。
なお、前記アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールの4質量%(w/w%)水溶液の20℃における粘度を測定したところ、5.0mPa・s〜6.0mPa・sであった。前記粘度計としては、ブルックフィールド社製回転粘度計、DV−E VISCOMETER HADVE115型を用いた。
<<コート液1のコーティング>>
ガラス粉末として微細ガラスパウダー(ポッターズバロティーニ社製、EMB−10、体積平均粒径5μm)を振動ミル(中央加工機社製、小型振動ミル)で24時間粉砕分散した後、ジェット分級機(マツボー社製、EJ−L−3)により3μm以下の超微粉のみを取り出し、市販の粒径測定装置(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて平均粒子径を測定したところ、体積平均粒径が1μmの超微粉ガラスが得られた。前記超微粉ガラス100質量部に対し、次に、市販のコーティング装置(ヤマト科学社製、ADL311S−A)を用いて、[コート液1]をコーティングした。このコーティングにおいては、途中で随時サンプリングを行い、[コート液1]の被覆厚み(平均厚み)が80nm以上、被覆率(%)が100%となるように、コーティング時間及び間隔を適宜調節した。以上の操作により、[ガラス立体造形用粉末材料1]を得た。なお、以下に、被覆厚み及び表面被覆率の測定方法、コーティングの条件を示す。
<<被覆厚み>>
被覆厚み(平均厚み)は、[ガラス立体造形用粉末材料1]の表面をエメリー紙で研磨を行った後、水を含ませた布で表面を軽く磨き、水溶性樹脂部位を溶解し、観察用サンプルを作製した。次に、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて表面に露出した、ガラス粉末と第1の水溶性樹脂の境界部を観察し、境界部位を被覆厚みとして測定した。測定箇所10箇所の平均値を求め、これを被覆厚み(平均厚み)とした。
<<表面被覆率>>
電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、[ガラス立体造形用粉末材料1]が10個程度画面内に収まる視野設定にて、下記条件で反射電子像(ESB)を撮影し、ImageJソフトにより画像処理にて2値化を実施した。黒色部が被覆部、白色部が基材部とし、1粒子中の黒色部面積/(黒色部面積+白色部面積)×100で比率を求めた。10粒子の測定を行い、その平均値を表面被覆率(%)とした。
−SEM観察条件−
・Signal:ESB(反射電子像)
・EHT:0.80kV
・ESB Grid:700V
・WD:3.0mm
・Aperture Size:30.00μm
・コントラスト:80%
・倍率:画面横方向に10個程度収まるようにサンプル毎に設定
<<コーティング条件>>
・スプレー設定
ノズル型式 970
ノズル口径 1.2mm
コート液吐出圧力 4.7Pa・s
コート液吐出速度 3g/min
アトマイズ空気量 50NL/min
・ローター設定
ローター型式 M−1
回転速度 60rpm
回転数 400%
・気流設定
給気温度 80℃
給気風量 0.8m3/min
バグフィルター払落し圧 0.2MPa
バグフィルター払落し時間 0.3秒間
バグフィルターインターバル 5秒間
・コーティング時間 40分間
得られた[ガラス立体造形用粉末材料1]につき、市販の粒径測定装置(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて平均粒子径を測定したところ、3μmであった。また、その流動性として安息角を市販の安息角測定装置(ホソカワミクロン社製、パウダテスタPT−N型)を用いて測定したところ、35度であった。なお、この安息角の測定値が大きい程、流動性が悪くなる傾向にある。
<ガラス立体造形用硬化液1の調製>
水70質量部と、親水性有機溶剤40質量部と、架橋剤5質量部と、安定化剤0.5質量部と、第2の水溶性樹脂としてポリビニルピロリドンK−15(日本触媒社製、重量平均分子量7,601)15.0質量部とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、[ガラス立体造形用硬化液1]を調製した。
前記親水性有機溶剤としては、プロピレングリコール(東京化成工業社製)を用いた。前記架橋剤としては、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(第一稀元素化学工業社製、ジルコゾール AC−20)を用いた。前記安定化剤としては、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業社製)を用いた。
この[ガラス立体造形用硬化液1]の粘度をブルックフィールド社製回転粘度計、DV−E VISCOMETER HADVE115型を用いて測定したところ、25℃で21mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は18%であった。
<ガラス立体造形物の作製方法>
(1)図1に示されるような公知の立体造形物の製造装置を用いて、前記供給側粉末貯留槽から前記成形槽に[ガラス立体造形用粉末材料1]を移送させ、前記支持体上に[ガラス立体造形用粉末材料1]を、その平均厚みが100μmとなるように供給した。
(2)次に、供給された[ガラス立体造形用粉末材料1]の表面に、[ガラス立体造形用硬化液1]を、公知のインクジェットヘッドのノズルから付与(吐出)した。これにより、前記ポリビニルアルコールが[ガラス立体造形用硬化液1]に含まれる水に溶け、[ガラス立体造形用硬化液1]に含まれる前記架橋剤(ジルコゾール AC−20)の作用により、該アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを架橋させた。
(3)次に、上記(1)及び(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰り返し、供給された[ガラス立体造形用粉末材料1]のうち、[ガラス立体造形用硬化液1]により硬化された部分を取り出した。取り出したものに対して乾燥機を用いて、80℃で4時間、次いで120℃にて12時間維持し、乾燥工程を行い、[立体造形物1]を得た。
乾燥後の[立体造形物1]に対し、エアーブローにより余分な[ガラス立体造形用粉末材料1]を除去したところ、型崩れを生ずることはなく、強度、及び寸法精度にも優れていた。
(4)焼結条件は例えば吉田らの報告(資源と素材,Vol.120,pp451−454,2004)などを参考にして実施した。上記(3)で得られた[立体造形物1]につき、焼結炉を用いて、窒素雰囲気下、600℃まで6時間をかけて昇温した。次いで減圧し、1Pa以下で600℃に4時間維持した後、4時間かけて室温まで降温させ、脱脂工程を行った。その後、焼結炉内で1Pa以下、800℃で6時間焼結処理を行った。その結果、表面が美麗で透明感のある[ガラス立体造形物1](焼結体)が得られた。
<評価>
[ガラス立体造形物1]について、以下のように評価を行った。なお、サンプルは巾12mm×長さ70mm×厚さ1mmの板状とした。結果を表1、表2に示す。
<<色合い及び透明度>>
前記サンプルを用い、目視にて着色の有無を確認した後、日立ハイテクノロジー社製分光光度計U−6000型にて、透過率を測定した。
<<寸法精度>>
前記サンプルを目視にて確認し、以下の基準に従って分類した。
◎:立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
○:立体造形物の表面状態は良好であるが、僅かに反りが生じている状態
×:立体造形物の表面に歪みが生じており、表面を観察すると、ガラス粉体と第1の水溶性樹脂との偏在が認められる状態
<<引張強度>>
前記サンプルについて、島津製作所製オートグラフAG−1型を用いて引張強度を測定し、以下の基準で分類した。
◎:破壊時強度が10MPa/cm以上
○:破壊時強度が1MPa/cm以上10MPa/cm未満
×:破壊時強度が1MPa/cm未満
(実施例2)
実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、ポリビニルピロリドンK−15をK−30(日本触媒社製、重量平均分子量48,262)4.8質量部に変更し、親水性有機溶剤としてプロピレングリコール(東京化成工業社製)40質量部を18質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして[ガラス立体造形用硬化液2]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液2]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物2]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液2]の粘度は25℃で8mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は7%であった。
(実施例3)
実施例2のガラス立体造形用粉末材料の調製において、ガラス粉末として微細ガラスパウダー(ユニチカ社製、ガラスビーズUBS−0010E、体積平均粒径10μm)を用い、振動ミル(中央加工機社製、小型振動ミル)で12時間粉砕分散した。その後、ジェット分級機(マツボー社製、EJ−L−3)により5μm以下の超微粉のみを取り出し、市販の粒径測定装置(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて平均粒子径を測定したところ、体積平均粒径が3.1μmの超微粉ガラスが得られた。この超微粉ガラスを[ガラス立体造形用粉末材料3]とした。そして、[ガラス立体造形用粉末材料3]及び[ガラス立体造形用硬化液2]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物3]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
(実施例4)
実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、ポリビニルピロリドンK−15(日本触媒社製、重量平均分子量7,601)15質量部を4.0質量部に変更し、親水性有機溶剤としてプロピレングリコール(東京化成工業社製)40質量部を22質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして[ガラス立体造形用硬化液4]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液4]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物4]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液4]の粘度は25℃で6.8mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は6%であった。
(実施例5)
実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、色材成分として日陶顔料工業社製の窯業用顔料シリーズN−10を2質量部添加して[ガラス立体造形用硬化液5]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液5]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物5]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液5]の粘度は25℃で7.8mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は18%であった。
(実施例6)
実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、色材成分として日陶顔料工業社製の窯業用顔料シリーズM−240を2質量部添加して[ガラス立体造形用硬化液6]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液6]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物6]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液6]の粘度は25℃で7.0mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は18%であった。
(比較例1)
実施例1のガラス立体造形用粉末材料の調製において、第1の水溶性樹脂として変性基を保有しないポリビニルアルコールに変更した以外は、実施例1と同様にして[ガラス立体造形用粉末材料7]を得た。また、実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、ポリビニルピロリドンK−15をK−85(日本触媒社製、重量平均分子量1,330,703)0.5質量部にし、架橋剤を0質量部に変更した以外は、実施例1同様にして[ガラス立体造形用硬化液7]を調整した。
[ガラス立体造形用硬化液7]の粘度は25℃で7.0mPa・sであったが、本比較例における[ガラス立体造形用硬化液7]を上記インクジェットプリンターから打ち出そうとしたが、滴が吐出しないことが確認され、評価ができなかった。本比較例においては、ガラス立体造形物は作製できなかった。なお、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は1%であった。
(比較例2)
実施例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、ポリビニルピロリドンK−15をK−60(日本触媒社製、重量平均分子量115,172)0.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして[ガラス立体造形用硬化液8]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液8]に変えた以外は、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物8]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液8]の粘度は25℃で6.2mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は5%であった。
(比較例3)
比較例1のガラス立体造形用硬化液の調製において、架橋剤0質量部を5質量部に戻した以外は、比較例1と同様にして、[ガラス立体造形用硬化液9]を調製した。そして、[ガラス立体造形用硬化液9]に変えた以外は、比較例1と同様の方法で[ガラス立体造形物9]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、[ガラス立体造形用硬化液9]の粘度は25℃で7.3mPa・sであった。また、50℃、3日間放置した前後の粘度変化率は1%であった。
(実施例7)
実施例1の[ガラス立体造形用粉末材料1](すなわち、[コート液1]をコーティングした後のもの)を用い、窒化アルミニウム(AlN、トクヤマ社製)1質量部を前記粉末材料と混合し、ボールミルにて1時間攪拌混合した。その後、実施例1と同様の方法で[ガラス立体造形物10]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
(実施例8)
実施例3において、実施例1の<ガラス立体造形用硬化液の調製1>でガラスフリット(セントラル硝子社製)0.5質量部を添加し、分散させて硬化液を調製し、液循環機能を有するインクジェットヘッドを用いた以外は、実施例3と同様の方法で[ガラス立体造形物11]を作製し、同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
1 造形側粉末貯留槽
2 供給側粉末貯留槽
3 ステージ
4 硬化液
5 インクジェットヘッド
6 均し機構
特開2004−330743号公報 特開2005−297325号公報 特許第4629654号公報

Claims (17)

  1. 第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料に対して付与され、ガラス立体造形物を形成するために用いられるガラス立体造形用硬化液であって、
    水及び重量平均分子量が50,000未満である第2の水溶性樹脂を含み、
    前記第2の水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とするガラス立体造形用硬化液。
  2. 前記第1の水溶性樹脂及び第2の水溶性樹脂は互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のガラス立体造形用硬化液。
  3. 前記第2の水溶性樹脂は、前記ガラス立体造形用硬化液に対して5質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス立体造形用硬化液。
  4. 前記第1の水溶性樹脂は、変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  5. 架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  6. 親水性有機溶剤を含み、前記親水性有機溶剤は、前記ガラス立体造形用硬化液に対して20質量%未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  7. 前記ガラス立体造形用硬化液の25℃における粘度が、20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  8. 50℃で3日間放置した前後の粘度変化率が20%未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  9. 前記ガラス粉末の体積平均一次粒径が、3μm未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  10. 色材を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  11. 焼結助剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液。
  12. 第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料と、請求項1〜11のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液と、を有することを特徴とするガラス立体造形材料セット。
  13. 第1の水溶性樹脂でガラス粉末を被覆し、ガラス立体造形用粉末材料を形成する工程Aと、
    前記ガラス立体造形用粉末材料を供給する工程Bと、
    ガラス立体造形用硬化液を前記ガラス立体造形用粉末材料に付与する工程Cと、を有し、
    前記工程Bと工程Cを繰り返すことによりガラス立体造形物を製造するガラス立体造形物の製造方法であって、
    前記ガラス立体造形用硬化液が請求項1〜11のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液であることを特徴とするガラス立体造形物の製造方法。
  14. 前記工程Cは、インクジェットヘッドにより行うことを特徴とする請求項13に記載のガラス立体造形物の製造方法。
  15. 前記ガラス立体造形用粉末材料は、前記第1の水溶性樹脂で前記ガラス粉末を被覆した後に、焼結助剤粒子を混合させて形成することを特徴とする請求項13又は14に記載のガラス立体造形物の製造方法。
  16. 前記ガラス立体造形用硬化液に焼結助剤をあらかじめ分散させておき、前記工程Bと工程Cを繰り返すことを特徴とする請求項13又は14に記載のガラス立体造形物の製造方法。
  17. 第1の水溶性樹脂で被覆されたガラス粉末を含むガラス立体造形用粉末材料を供給する供給手段と、
    ガラス立体造形用硬化液を前記ガラス立体造形用粉末材料に付与する付与手段と、
    前記ガラス立体造形用粉末材料が収容される粉末材料収容部と、
    前記ガラス立体造形用硬化液が収容される硬化液収容部と、
    を有するガラス立体造形物の製造装置であって、
    前記ガラス立体造形用硬化液が請求項1〜11のいずれかに記載のガラス立体造形用硬化液であることを特徴とするガラス立体造形物の製造装置。
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