JP6685229B2 - 癌を検出する方法 - Google Patents

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Description

本開示は、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。より詳細には、本開示は、細胞形態の細胞学的評価が癌であるか不確定であるとき、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。
癌の発生及び進行は、社会に対してかなりの感情的及び財政的な負担を課す。
膀胱癌は、ヒト個体群において二番目に多い泌尿生殖器腫瘍であり、世界中で毎年およそ261,000件の新たな症例の発生率があり、これらの約3分の1は、診断時に侵襲性または転移性の疾患である可能性がある(Parkinら、1999)。
他の多くの癌と同様に、膀胱癌の臨床診断は、特に癌発生の初期において、困難なプロセスでありうる。現在、膀胱鏡検査及び尿細胞診断が、膀胱癌の診断及び追跡調査において最も重要なツールである。
現在、生検による膀胱鏡検査が、膀胱癌を診断する究極的基準であると一般に考慮されている。膀胱鏡検査を使用することの欠点は、侵襲的な工程が必要とされることである。侵襲的であることに加えて、膀胱鏡検査により生検を得ることは、患者にとって潜在的な有害な結果を有しうる。これらの制限を考慮すると、多数の個体から繰り返し膀胱鏡検査により患者試料を得ることは、非常に困難である。
したがって臨床医は、一般に、膀胱癌を発生する危険性のある患者を膀胱鏡検査の前に特定するため、日常的な細胞診断に依存している。日常的な細胞診断は、初期癌の診断ツールとしての有用性を低減する、十分に認められた2つの制限を被っている。
第1は、細胞診断は、低悪性度の癌に対して不十分な感受性しか有さないということである。したがって、日常的な細胞診断は、細胞形態的異常を完全に欠いている低悪性度の癌試料において、高レベルの偽陰性の結果を戻してくる。第2は、低悪性度の疾患または診断が困難な病変を検出するための細胞診断の有用性は、制限されているということである。例えば、膀胱癌の診断に細胞診断を使用するとき、大きな割合(20〜25%)の症例が非定型として報告されており、「有意性が不明な非定型尿路上皮細胞」(AUCUS)及び「高悪性度尿路上皮癌を除外することができない非定型尿路上皮細胞」(AUHGC)が含まれる(Rosenthalら、2013)。AUCUSまたはAUHGCの報告されている結果は、診断有用性がほとんど、または全くないものである。
したがって、癌のより正確で早期の経済的に実現可能な診断を提供することができる方法の必要性が存在する。そのような方法は、臨床医が、検出可能な形態的指標を描写する前に、初期診断に達することを支援し得る。更に、侵襲及び転移する前の癌の早期診断は、一般に、改善された予後と関連する。したがって、初期に癌をより信頼性をもって検出することができ、それにより抗癌療法を、疾患負荷が穏やかである時点で投与できる方法を提供することが、社会的及び経済的に不可避である。
本開示を、癌の不確定な細胞学的評価の解明を助けるために使用しても良く、したがって、不確定な細胞学的評価手順に対する反映試験として使用しても良い。したがって、第1の態様において、本開示は、患者から得た試料中の臨床的に重要な(臨床的に意義のある)細胞の不確定な細胞学的評価を解明する方法であって、試料の細胞を抗テロメラーゼ抗体と接触させ、細胞の細胞学的評価を実施して、抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出し、抗体と臨床的に重要な細胞との結合が悪性細胞の存在を示すことを含む方法を提供する。
本開示の方法を、患者から得た試料における臨床的に重要な細胞の不確定な細胞学的評価を解明するために使用しても良い。
例えば、本開示の方法は、不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞を含む患者の試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、抗体と不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞との結合の存在または不在を検出し、抗体と不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞との結合が悪性細胞の存在を示すことを含んでも良い。
上記態様の実施形態において、臨床的に重要な細胞への抗体結合の不在は、悪性細胞が試料に存在しないことを示す。
更なる態様において、本開示は、細胞形態の細胞学的評価が癌であるか不確定であるとき、対象が癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象の細胞試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させることと、
ii)細胞試料の細胞学的評価を実施して、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することとを含み、
抗体と試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示す方法に関する。
癌が、本開示の方法を使用して決定されるとき、決定は、治療医が治療の過程を決定する最終的な診断に関して確定的であっても、なくても良い。癌を有すると決定された対象の癌の状態の最終的な診断は、PET、MRI、超音波、CT、PET/CTを含む画像化技術などを介して是認されると、確証または確認されうる。上記態様の実施形態において、決定される癌が膀胱癌であるとき、生検による膀胱鏡検査を介した更なる調査、または上部管画像化を、癌状態の最終的な診断を得るために使用しても良い。
本開示は、単一の手順で悪性細胞の存在をより正確に決定する、第一線の補助試験として使用することもできる。したがって、更なる態様において、本開示は、対象が癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象の細胞試料の細胞形態の細胞学的評価を実施して、試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞の形態を決定することと、
ii)対象の細胞試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させ、細胞試料の細胞学的評価を実施して、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することとを含み、
細胞形態の細胞学的評価が癌であるか不確定的であるとき、抗体と1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が対象が癌を有することを示す方法を提供する。
上記態様の実施形態において、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞の少なくとも約5%との結合は、対象が癌を有することを示す。
更に、細胞学的形態評価及びテロメラーゼの検出は、同じ細胞において任意の順番で、または同時に実施することができる。
実施形態において、抗テロメラーゼ抗体と非定型の細胞診を有する細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。例えば、本開示の方法は、抗体と非定型または未定の細胞診を有する細胞との結合が検出されるとき、対象が悪性癌を有すると特定する。
実施形態において、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在は、試料中の細胞が悪性ではないことを示す。例えば、本開示の方法は、臨床的に重要な細胞への抗体結合が検出されないとき、対象が悪性癌細胞を有さないと特定する。
別の実施形態において、本開示の方法は、抗体と非定型または未定の細胞診を有する細胞との結合が検出されるとき、対象の治療を悪性癌に方向づけることを含む。
当業者に理解されるように、細胞学的評価は、個別の細胞の評価を伴う。したがって、本発明の方法の実施では、個別の細胞が細胞学的に評価され、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合が検出される。テロメラーゼの細胞学的評価は、非癌性であることが知られているテロメラーゼ染色細胞型を、形態に基づいた評価から除外することを可能にする。例えば、本開示の方法は、細胞学的評価から臨床的に重要ではない細胞を除外することを含む。
除外される細胞は、対象が癌を有するかを決定するために臨床的に重要ではないと考慮される。除外される細胞は、癌が検出されるかによって決まる。より詳細には、当業者は、特定の癌に関連する試料における細胞型を認識している。除外される細胞の例には、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、腎細管細胞、精嚢細胞、精子及び扁平上皮細胞の1つ以上、または全てが含まれるが、これらに限定されるわけではない。例えば、上記に列挙された細胞は、本開示の方法を使用して膀胱癌を評価するときに、除外される。
試料は、悪性細胞を潜在的に含むことが知られている任意の適切な種類でありうる。適切な試料には、生検材料、切除材料、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液、血液、唾液、脳脊髄液、胸水、腹水、肝臓、甲状腺、卵巣、リンパ節、乳房、子宮頸部、肺、胆樹、膵臓、肺及び結腸が含まれるが、これらに限定されるわけではない。実施形態において、試料は流体試料である。
実施形態において、癌は膀胱癌であり、試料は、尿、膀胱洗浄液または膀胱擦り洗い液である。
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントなどが含まれるが、これらに限定されない様々な異なる形態を有しても良い。
本開示における使用が適している抗体の例には、SCD−A7、2D8、C−12、H−231、抗テロメラーゼ触媒サブユニット、10E9−2、2C4及びtel 3 36−10が含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、抗体は、SCD−A7、またはそのテロメラーゼ結合フラグメントである。
癌は、癌の不確定な細胞学的評価をもたらしうる臨床的に重要な細胞が存在しても良い、任意の癌でありうる。例えば、癌は上皮癌でありうる。癌の他の例には、膀胱癌、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌、中皮腫、子宮頸癌、卵巣癌、腎臓癌、リンパ腫及び結腸直腸癌が含まれるが、これらに限定されるわけではない。実施形態において、癌は膀胱癌である。
更なる態様において、本開示は、患者から得た尿試料中の膀胱上皮細胞の不確定な細胞学的評価を解明する方法であって、試料の上皮細胞を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、上皮細胞の細胞学的評価を実施して、抗体と上皮細胞との結合を検出し、抗体と上皮細胞との結合が、悪性細胞の存在を示すことを含む方法を提供する。
更なる態様において、本開示は、膀胱上皮細胞形態の細胞学的評価が膀胱癌であるか不確定であるとき、対象が膀胱癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象の膀胱上皮細胞試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させることと、
ii)膀胱上皮細胞の細胞学的評価を実施して、抗体と膀胱上皮細胞との結合を検出することとを含み、
抗体と試料中の1個以上の膀胱上皮細胞との結合が、対象が癌を有することを示す方法を提供する。
更なる態様において、本開示は、対象が膀胱癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象の膀胱上皮細胞試料の細胞形態の細胞学的評価を実施して、試料中の1個以上の膀胱上皮細胞の形態を決定することと、
ii)対象の膀胱上皮細胞試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させ、膀胱上皮細胞の細胞学的評価を実施して、抗体と膀胱上皮細胞との結合を検出することとを含み、
細胞形態の細胞学的評価が膀胱癌であるか不確定的であるとき、抗体と1個以上の膀胱上皮細胞との結合が、対象が癌を有することを示す方法を提供する。
更なる態様において、本開示は、患者から得た尿試料中の膀胱上皮細胞の不確定な細胞学的評価を解明する方法であって、不確定な細胞診の膀胱上皮細胞を含む患者試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、抗体と不確定な細胞診の膀胱上皮細胞との結合の存在または不在を検出し、抗体と不確定な細胞診の膀胱上皮細胞との結合が、悪性細胞の存在を示すことを含む方法を提供する。
実施形態において、膀胱上皮細胞は膀胱尿路上皮細胞である。
本開示は、例示の目的のみが意図されている本明細書に記載の特定の実施形態によって、範囲が制限されるものではない。機能的に同等の生成物、組成物及び方法は、本明細書に記載されているように、明らかに本開示の範囲内である。
本明細書の全体にわたって、特に特定的に記述されない限り、または文脈により必要とされない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群、または物質の組成物の群への参照は、1つ及び複数の(すなわち、1つ以上の)これらのステップ、物質の組成物、ステップの群、または物質の組成物の群を包含すると見なされる。
本開示は、本明細書以降、以下の非限定例により、添付の図面を参照しながら記載される。
試料WH11−107には、細胞染色が観察されなかった(臨床的に陰性、図1A)。抗hTERT(クローン2C4)抗体を使用して臨床的に陽性な試料WH11−122に示された、テロメラーゼ及びその臨床関連性の免疫染色の最初の証拠である(図1B)。陽性核染色は、最適抗体濃度下において、存在する尿路上皮細胞の40〜75%に観察された。 高悪性度(パネルA及びB)ならびに低悪性度(パネルC及びD)臨床試料に観察された陽性及び陰性細胞型である。テロメラーゼ免疫染色による非定型尿路上皮細胞の陽性染色核である(パネルA及びB)。テロメラーゼ免疫染色による、細胞学的に正常に見える尿路上皮細胞の陽性染色核(パネルC)及び同じ試料内の未染色の細胞学的に正常に見える尿路上皮細胞である(パネルD、挿入矢印)。 低悪性度(G1)膀胱癌の患者からの臨床試料のテロメラーゼhTERTタンパク質で染色された細胞である。パネルA:扁平上皮細(膀胱のものではない)、パネルB:正常な膀胱細胞(小さな褐色血球)、パネルC:Sienna試験で陽性の正常に見える膀胱細胞、パネルD:テロメラーゼ免疫染色に陽性の細胞学的に異常な膀胱細胞。
一般的技術及び定義
特に特定的に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、癌診断学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学及び生化学における)に慣用的に理解されるものと同じ意味を有すると見なされる。
特に指示のない限り、本発明に利用される免疫アッセイ、試料調製及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準的な手順のものである。そのような技術は、J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrookら、 Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989), T.A.Brown (編), Essential Molecular Biology:A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M.Glover and B.D.Hames (編), DNA Cloning:A Practical Approach, Volumes 1−4, IRL Press (1995 and 1996), and F.M.Ausubelら(編), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience (1988,現在までの改訂版を含む), Ed Harlow and David Lane (編) Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988), and J.E.Coliganら(編) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (現在までの改訂版を含む)などの出典文献の全体にわたって記載及び説明されている。
用語「及び/または」、例えば「X及び/またはY」は、「X及びY」或いは「XまたはY」のいずれかを意味することが理解され、両方の意味、またはいずれかの意味への明示的な支持を提供すると見なされる。
本明細書に使用されるとき、用語「約」は、特に記述のない限り、指定値の+/−10%、より好ましくは+/−5%、より好ましくは+/−1%、より好ましくは+/−0.5%を指す。
本明細書の全体にわたって、用語「含む」は、記述される要素、整数若しくはステップ、または要素、整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、または要素、整数若しくはステップの群を除外しないことを示唆することが理解される。
細胞学的評価
癌診断学における細胞形態の「細胞学的評価」は、形態学的特徴に基づいて悪性細胞を特定することを探求する。細胞形態の細胞学的評価は、標準治療の一部であり、かつ癌の再発の検出のため、または診断のための更なる調査と共に、または更なる調査の反映として使用される手順である。試験それ自体ではなく、特定の試料または試料セットに基づいた病理の協議である。評価手順は、複雑であり、正確な評価を提供するために、専門家及び試料収集における注意を必要とする。膀胱癌の文脈において、細胞学的評価を、膀胱癌の再発の検出のため、または診断のための膀胱鏡検査と共に、または膀胱鏡検査の反映として使用することができる。
細胞形態の細胞学的評価の実施において、細胞試料は典型的にはスライドに固定され、形態学及び細胞の特徴を視覚的に評価するために顕微鏡下で観察される。例えば、膀胱上皮細胞を、尿試料から採取し、スライドに固定し、次に視覚的に評価することができる。
スライドを視覚的に評価する前に、試料を、細胞及び細胞構成成分(例えば、核)の形態変化の可視化を助けるために染色しても良い。これらの染色には、ヘマトキシリン及びエオシン染色、またはパパニコロー染色(Pap染色)が含まれうる。
歴史的には、細胞診の性能は、高悪性度の癌においては極めて良好であると記載されていたが、最近の研究はその認識の正当性を疑っている。一方、現在までの大多数の研究は、低悪性度の癌における細胞診の低い感受性に関しておおむね一致している。したがって、細胞学的評価は、多くの場合、不確定になり、癌の診断を助けるという意図された目的を達成することができない。更に、細胞学的評価の低い感受性を考慮すると、陰性の、または不確定な細胞診の結果は、癌(とりわけ、低悪性度の癌)の存在を除外しない。
細胞形態の不確定な細胞学的評価
本明細書に使用されるとき、「細胞形態の不確定な細胞学的評価」は、癌であるか不確定であり、したがって癌診断に到達するには有益ではない。より詳細には、「細胞形態の不確定な細胞学的評価」は、正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していない細胞を特定する評価を指す。
正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していない細胞は、非定型または未定の細胞診を有する細胞と当該技術において一般に呼ばれる。したがって、本発明の方法の文脈において、「細胞形態の不確定な細胞学的評価」は、対象から得た試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞が、非定型または未定の細胞診を有することを明らかにするものである。
用語「非定型の細胞診」または「未定の細胞診」は、不確定な細胞学的評価を示すために、交換可能に使用することができる。本開示の文脈において、「非定型の細胞診」を有する細胞は、正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していない。
当業者は、そのような細胞診を示す様々な形態学的な手がかりを認識している。細胞診における非定型の判定は、当業者により決定され、形態学的な手がかりが、細胞診により陽性または陰性のいずれにも最終的な判定が可能であるほど不完全に定義されていると考えられることを示す。これらの場合の判定は、研究室または専門家によって異なり、例えば、「非定型」若しくは「非定型の細胞診」、「非定型性」、「未定」若しくは「未定の細胞診」、「不確定」若しくは「不確定な細胞診」、「多義性」、または「不明」が含まれても良い。そのような判定は、不確定な細胞学的評価である。
非定型の細胞診の特徴の例が、下記に提示される。「非定型」または「非定型性」は、細胞の形態学的な異常についての病理学的用語である。非定型性と関連することもある細胞レベルにおける形態学的変化、したがって「非定型の細胞診」には、濃染核、多形性核、変更された核:細胞質の比、異常有糸分裂、頻繁な有糸分裂、基底上有糸分裂、脱分化、細胞接着の喪失、細胞極性の喪失、アポトーシスが含まれうる。
甲状腺癌、乳癌、または膀胱癌などの癌の細胞学的評価において、不確定な細胞学的評価は、「非定型の細胞診」と報告することができる
例えば、中程度の量のコロイド及び中程度の細胞充実性、ならびに/または有意な密集及び重複を示す群で存在する濾胞細胞を有する甲状腺試料は、良性または悪性のいずれかに分類することが困難であり、したがって多くの場合に「未定」と報告される。
多くの癌では、「非定型の細胞診」に関連する細胞特性は、細胞学者及び彼らの臨床診療によって左右されうる。このことは、「非定型の細胞診」が様々な分類に分けられる結果をもたらしうる。
例えば、甲状腺癌における「非定型の細胞診」に関連する様々な分類が、表1に例示されている。
膀胱癌において、「非定型の細胞診」は、低悪性度の非定型性または高悪性度の非定型性に分けられても良い。膀胱癌の低悪性度の非定型性と関連する組織学的特徴には、乳頭腫、乳頭状過形成及び低悪性度乳頭状尿路上皮新生物が含まれる。膀胱癌の高悪性度の非定型性と関連する組織学的特徴には、生体内原位置で癌腫には達していないが、著しく限局的な細胞学的非定型性及び無秩序構造を有する非定型性が含まれる。高悪性度尿路上皮癌であることも示す、非定型として明確化される組織学的特徴には、個別の異常細胞、過色素性核、不規則な核境界、核:細胞質比の増加、核の大小不同、伸長核及び細胞塊が含まれうる。
表1に記載された分類は、全て、癌が非定型であり、不確定であると記載することができ、したがって癌診断に到達するには有益ではない。本開示の文脈において、これらの分類は、「細胞形態の不確定な細胞学的評価」である。
細胞形態の不確定な細胞学的評価の解決
本明細書に使用されるとき、用語「解決する」は、試料の臨床状態を決定する、不確定な細胞学的評価の解決を指す。以前は、細胞形態の不確定な細胞学的評価を解決して、悪性細胞を特定すること及び対象が癌を有するかを決定することが困難であった。例えば、全ての尿細胞学の20〜25%が不確定であることが、有力な尿病理学(uropathology)研究所により象徴的に報告されている。しかし、この数字は、10〜40%に変わることもある(Raabら、2007; Zaakら、2001; Schneeweissら、1999)。細胞診の使用及び精度は、膀胱癌患者の診断及び続く管理における従来の診療において基本である。したがって、臨床状態を決定するために「不確定な」細胞学的評価を解決することは、全ての症例の最大40%にとって極めて貴重である。
形態学に基づいた不確定な細胞学的評価は、テロメラーゼ免疫染色試験及び抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する更なる細胞学的評価を使用して臨床状態を決定することによって解決できることが見出された。
この手法の利点は、抗テロメラーゼ抗体の結合が、個別の臨床的に重要な細胞において検出できることである。例えば、抗テロメラーゼ抗体の結合は、尿試料から得た個別の膀胱尿路上皮細胞において検出することができる。
特に、本発明者たちは、対象の試料における抗テロメラーゼ抗体と1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示すことを見出した。当業者に理解されるように、癌の指標も、試料中の悪性細胞の存在を示す。本発明の実施において、テロメラーゼは、2個以上の臨床的に重要な細胞に存在することができ、対象が癌を有することを示すことができる。様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約200個の細胞学的に評価される臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。対照的に、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在は、悪性細胞が試料中に存在しないことを示す。
より詳細には、本発明者たちは、対象の「非定型」細胞診を有する試料における抗テロメラーゼ抗体と1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示すことを見出した。様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約200個の「非定型」細胞診を有する臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。対照的に、「非定型」細胞診を有する臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在は、悪性細胞が試料中に存在しないことを示す。
更に、テロメラーゼは、細胞学的に評価された臨床的に重要な細胞の総数の率で存在することができ、対象が癌を有することを示すことができる。様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%の細胞学的に評価される臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。
1つの例において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約5%の細胞学的に評価される臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。疑念を避けるため、抗テロメラーゼ抗体と、臨床的に重要な細胞20個あたり1個との結合が、対象が癌を有することを示すと想定される。
様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%の「非定型」細胞診を有する臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。
ここでも疑念を避けるため、抗テロメラーゼ抗体と、臨床的に重要な細胞20個あたり、「非定型」細胞診を有する1個との結合が、対象が癌を有することを示すと想定される。
1つの例において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約5%の細胞学的に評価される非定型細胞診を有する臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。
対照的に、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在は、試料中の細胞が悪性ではないことを示す。
幾つかの実施形態において、感受性及び/または特異性は、癌の臨床診断に対して測定される。
様々な実施形態において、患者が癌を有するかを予測または決定する本発明の方法によって達成される感受性は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。
様々な実施形態において、患者が癌を有するかを予測または決定する本発明の方法によって達成される特異性は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%である。
抗テロメラーゼ抗体結合の検出
テロメラーゼは、染色体の末端にテロメアの長さを維持する天然に生じる酵素である。ヒトにおいて、テロメラーゼは、ヒト幹細胞、生殖系細胞及び悪性細胞において過剰発現する。テロメラーゼの機能は、新たな単鎖TTAGGG反復をそれぞれの染色体の末端に合成することである。正常な細胞において、テロメラーゼは、細胞を増加することを許容し、それによりテロメアの短縮を防止し、細胞老化を回避することによって、保護的な役割を果たしている(Bodnarら、1998)。対照的に、同じ作用様式であるが、テロメラーゼは、悪性である、または悪性になりうる細胞において、癌促進特性を示す可能性もある。老化の不在下では、細胞(腫瘍)は、無限に複製し、それによって突然変異を導入及び伝播する(Blackburnら、2005)。テロメラーゼのこの癌促進特性は、細胞の不死及び癌の発生を助ける。癌との関連は、その存在が、ほぼ全ての腫瘍細胞において共通の特徴として観察されることから明白である。
本開示は、テロメラーゼが試料中に存在するかを検出することによって、細胞形態の不確定な細胞学的評価を解決することを探求する。テロメラーゼを検出するため、対象からの細胞試料を、抗テロメラーゼ抗体とも呼ばれる、テロメラーゼに結合する抗体と接触させる。「接触させる」、「曝露する」、または「適用する」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用できる用語であることが考慮される。接触させるという用語は、抗テロメラーゼ抗体を細胞試料と接触させて、テロメラーゼが試料中の1つ以上の細胞に存在するかを検出することを必要とする。抗体とテロメラーゼとの結合は、テロメラーゼが細胞に存在することを示す。更に、試料におけるテロメラーゼの存在は、テロメラーゼ陽性またはテロメラーゼに陽性と呼ばれることもある。抗体とテロメラーゼとの結合は、細胞学的評価を介して検出される。例えば、光学顕微鏡を、抗体と臨床的に重要な細胞中のテロメラーゼとの結合を検出するために使用しても良い。
本開示の方法における抗テロメラーゼ抗体と、臨床的に重要な細胞との結合を検出することは、抗体と、臨床的に重要な細胞中の抗原との結合が、細胞学的評価を介して検出されうる、当該技術に既知の任意の抗体/抗原結合検出技術によって達成されても良い。例えば、抗テロメラーゼ抗体を組み込んだ免疫アッセイを使用しても良い。この例では、細胞学が、抗テロメラーゼ抗体とテロメラーゼとの結合の検出に使用される。本開示の方法において、テロメラーゼは、「抗原」である。テロメラーゼ検出方法を自動テロメラーゼ検出系に組み込んでも良いことも、想定される。そのような自動免疫アッセイ系は、試料の自動処理及びテロメラーゼの細胞学的検出を提供する。そのような系は試料中のテロメラーゼのハイスループット分析を可能にすることが、想定される。
免疫アッセイ
日常的な臨床評価では、免疫アッセイフォーマットに基づいた方法が、試料中のテロメラーゼの存在を検出するために使用されることが想定される。本開示の文脈において、免疫アッセイは、抗体または免疫グロブリンの使用を介して溶液中の抗原の存在または濃度を測定する、生化学試験である。
本開示に使用される抗体は、テロメラーゼが試料中の1個以上の細胞に存在するかを検出することができる任意の抗体でありうる。テロメラーゼが細胞に存在するかを検出することができる様々な市販の抗体が、本開示の方法における使用のために入手可能である。そのような抗体は、Sapphire Biosciences、Life Span Biosciences、Novus Biologicals、Australian Biosearch、Epitomics、Santa Cruz、EMD Millipore、GenWay Biotech Inc、Jomar Biosciences、Sigma−Aldrich、BioCore Pty Ltd、US Biologicals、Thermo Scientific、Life Research、Resolving Images、Leica microsystems及びSienna Cancer Diagnostics Ltdから得ることができる。例として、抗体は、テロメラーゼ複合体(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、テロメラーゼRNA(TR若しくはTERC)及びジスケリン(dyskerin)(DKC1)ならびに/またはテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)をそれぞれ含む)に結合する。好ましくは、抗体は、抗hTERT抗体である。最も好ましくは、テロメラーゼに結合する抗体は、SCD−A7、2D8、C−12、H−231、抗テロメラーゼ触媒サブユニット、10E9−2、2C4及びtel 3 36−10である。
これらの抗体は当該技術において知られている。例えば、抗hTERT(tel 3)抗体は、ハイブリドーマクローンの36−10から産生されるモノクローナル抗体である。抗体を精製するため、腹水のIgG画分をプロテインGアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。抗hTERT(クローンSCD−A7)抗体は、中空糸培養により増殖させたハイブリドーマクローンのHJ123−2C4(Masutomiら、2003)から産生したIgM mAbである。この抗体の産生において、バキュロウイルスベクター感染昆虫細胞から精製したアミノ末端FLAGエピトープタグ付hTERTを、抗hTERTクローンSCD−A7 mAbの産生を刺激する免疫原として使用した。
抗hTERT(クローン2C4)抗体は、(Masutomiら、2003)に記載されている。この抗体の産生において、バキュロウイルスベクター感染昆虫細胞から精製したアミノ末端FLAGエピトープタグ付hTERTを、抗hTERTクローン2C4 mAbの産生を刺激する免疫原として使用した。2C4は、中空糸培養により増殖させたハイブリドーマクローンのHJ123−2C4から産生したIgM mAbである。
本開示の方法に使用される抗体は、また、2D8(Novus NB 100−297)、C−12(Santa Cruz 377511)、H−231(Santa Cruz 7212)、抗テロメラーゼ触媒サブユニット(Rockland 600−401−252)、10E9−2(MBL M216−3)、2C4(Novus NB100−317)、SCD−A7(Sienna Cancer Diagnostics P/N 01−5001)のように市販されている。
例として、本開示の抗体は、検出可能に標識されている。検出可能な標識の例には、色素、蛍光団、またはアッセイ、追跡若しくは画像化における他のレポーター分子の抱合が含まれる。
本開示に使用される抗体は、IgMにより表される一価抗体及び多価抗体に限定されず、これには、テロメラーゼに結合する限り、IgGにより表される二価抗体も含まれる。
更に、本開示に使用される抗体は、全抗体分子に限定されず、これには、テロメラーゼに結合する限り、ミニボディ、ダイアボディ及びこれらの修飾産物が含まれる。
ミニボディには、全抗体(例えば、全IgG)の一部を欠いている抗体フラグメントが含まれ、これは、テロメラーゼ結合能を有する限り、特に限定されない。テロメラーゼ結合能を除いて、全抗体の一部である限り、本開示の抗体フラグメントに対する特定の限定はないが、これらは、好ましくは重鎖可変部領域(VH)及び/または軽鎖可変部領域(VL)を含有する。更に、テロメラーゼ抗原結合能を有する限り、VH及び/またはVLの一部は欠失しうる。可変部領域は、キメラ化またはヒト化されていても良い。抗体フラグメントの特定の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvが含まれる。ミニボディの特定の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv(単鎖Fv)、ダイアボディ及びsc(Fv)2(単鎖(Fv)2)が含まれる。これらの抗体の多量体(例えば、二量体、三量体、四量体及びポリマー)も、テロメラーゼの検出に使用できるミニボディに含まれる。
ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖から構成される二量体であり、一般にポリペプチド鎖は、例えば、同じ鎖内でVLとVHとの結合を防止するのに十分に短い5つほどの残基のリンカーにより、個別に連結されている。同じポリペプチド鎖によりコードされているVL及びVHは、その間に短いリンカーを有し、単鎖可変部領域フラグメントを形成することができないので、二量体を形成する。したがって、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する。
好ましくは、テロメラーゼに結合する抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントである。
本開示の好ましい実施形態において、テロメラーゼの検出方法は、テロメラーゼ特異的一次抗体を使用する。一次抗体とテロメラーゼとの結合は、様々な既知の方法により可視化することができる。例えば、一次抗体を認識する標識化二次抗体を使用することができる。この例において、標識は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、放射性同位体、蛍光レポーター、電気化学発光タグなどの酵素でありうる。標識化二次抗体と一次抗体との結合は、細胞学的評価を介して検出される。
特定の例では、試料を、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と接触させる。次に試料を洗浄して、任意の非結合一次抗体を、次に一次抗体に特異的な二次抗体を除去し、ペルオキシダーゼ酵素への結合を試料に適用する。次に試料を洗浄して、任意の非結合二次抗体を除去し、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)を試料に適用する。DABから着色産物への変換は、日常的な細胞学的評価により可視化され、着色産物の存在は、テロメラーゼが試料中に存在することを示す。
癌の種類
本発明の方法において、癌は、対象の癌細胞がテロメラーゼを発現する限り、任意の癌でありうる。好ましくは、癌は、膀胱癌、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌、中皮腫、子宮頸癌、卵巣癌、腎臓癌、結腸直腸癌、リンパ腫である。最も好ましくは、癌は膀胱癌である。
当業者に理解されるように、それぞれの癌の種類は、癌の悪性度に関連して様々な特徴を有する。これらの悪性度は、一般に、周囲組織への癌の拡散及び侵襲のレベルによって決まる。例えば、癌の後期の悪性度または「高悪性度」は、一般に、転移及び不十分な予後の高い可能性と関連する。高悪性度の癌は、一般に起点の組織または臓器から周囲組織または身体全体へ拡散する。対照的に、「低悪性度」の癌は、上皮内癌(CIS)と特徴付けることができ、これは、細胞が異常に繁殖しているが、起点の組織または臓器内に収まっていることを意味する。
膀胱癌の文脈において、「高悪性度」または「より高い悪性度」の膀胱癌は、転移のより高い可能性を有する悪性癌(攻撃性が大きいと考慮される膀胱癌)を含む、対象において再発及び/若しくは進行する、ならびに/または侵襲性になる可能性が高い膀胱癌を指す。膀胱に限定されない癌(すなわち、筋肉侵襲性膀胱癌)は、攻撃性の大きい膀胱癌であると考慮される。
「低悪性度」の膀胱癌は、上皮内癌(CIS)と特徴付けることができ、これは、細胞が異常に繁殖しているが、膀胱内に収まっていることを意味する。「低悪性度」または「より低い悪性度」の膀胱癌は、再発、進行、侵襲及び/または転移の可能性がより低い悪性癌を含む膀胱癌(すなわち、攻撃性が小さいと考慮される膀胱癌)を指す。膀胱に限定される癌(すなわち、筋肉非侵襲性膀胱癌、NMIBC)は、攻撃性の小さい膀胱癌であると考慮される。
低悪性度の膀胱癌は、良性と分類されうる。良性の膀胱癌は、診断時に隣接組織を侵襲する、または転移する能力を欠いている細胞の集団を構成する。良性膀胱癌は、一般に、悪性癌よりも遅い増殖速度を有し、良性細胞は、通常、十分に分化している。
本開示を、対象が低悪性度の癌を有するかを決定するために使用できることが想定される。
試料の調製及び分析
本開示の方法を実施するには、対象の細胞試料が必要である。本明細書に使用されるとき、用語「試料」は、対象からの細胞若しくは細胞の個体群、またはある量の組織若しくは体液を指す。最も多くの場合、試料は、対象から取り出される。「試料」には、試料の抽出物、ならびに/または誘導体及び/若しくは画分が含まれる。「試料」及び「検体」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用できる用語であることが考慮される。本開示において、任意の生物学的材料を、対象から収集することができる限り、上記に記述された試料として使用することができる。本開示に使用される試料は、ヒトの生物学的試料であることが考慮される。
試料には、生検または切除によって得た材料が含まれても良い。好ましくは、試料は流体試料である。流体試料には、血液(全血を含む)、血漿、血清、溶血産物、リンパ液、滑液、髄液、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液、脳脊髄液、精液、便、痰、粘液、羊水、涙液、嚢胞液、汗腺分泌液、胆汁、乳汁、涙、または唾液からなる群から選択されるが、これらに限定されない様々な生物学的材料が含まれても良い。膀胱癌の文脈において、流体試料は尿試料である。
本開示の方法に使用される試料は、当該技術に既知の技術を使用して得ることができると想定される。例えば、膀胱癌の文脈において、生検及び切除材料は、細胞検査を介して得ることができる。乳癌または甲状腺癌の文脈において、試料は、微細針吸引を介して得ても良い。あるいは、膀胱尿路上皮細胞は、対象から供給された尿試料から得ても良い。
1つの例において、本開示の方法に使用される試料は、不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞を含む患者試料である。この例において、不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞は、試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させ、抗体と、不確定な細胞診の臨床的に重要な細胞との結合の存在または不在を検出する前に、特定される。
本方法の実施において、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼの検出についての細胞学的評価は、同じ患者から得た別々の試料において実施しても良いことが想定される。例えば、対象は、2つの試料を提供しても良く、一方は、細胞形態の細胞学的評価のために送られ、他方は、テロメラーゼの検出についての細胞学的評価のために送られる。この例において、癌であるか不確定の細胞形態の細胞学的評価は、テロメラーゼの検出についての細胞学的評価により解決することができ、臨床的に重要な細胞におけるテロメラーゼの検出は、対象が癌を有することを示す。
しかし、臨床設定において、更なる試験のために追加の試料を、例えば、細胞形態の細胞学的評価が、試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞が細胞形態について非定型の細胞学的評価を有したことを明かにした患者から得ることは、困難な可能性があり、望ましい更なる試験が遅延される可能性がある。更に、追加の検体を試験の前に処理する必要があるとき、処理に関連する費用(例えば、試薬など)を最小限にすることが望ましい。
したがって、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼの検出についての細胞学的評価は、対象から得た同じ試料に実施することが好ましい。
本方法は、同じ試料の細胞から2つの別々のスライドを調製することによって実施しても良いことが想定される。この場合、一方のスライドは、細胞形態の細胞学的評価のために送られ、他方は、テロメラーゼの検出についての細胞学的評価のために送られる。下記の実施例2に考察される方法を使用して、スライドを調製しても良い。
本発明者たちは、細胞形態の細胞学的評価が、癌であるか不確定であるとき、抗テロメラーゼ抗体とこれらの細胞との結合は、対象が癌を有することを示すことを見出した。したがって、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼの検出についての細胞学的評価に、同じスライドを使用することが好ましい。
臨床的に重要な細胞
語句「臨床的に重要な細胞」は、細胞学者または細胞病理学者が患者の癌状態を決定するために検査している細胞を指す。
臨床的に重要な細胞は、調査される癌によって決まり、本開示の文脈において、乳房の乳管及び小葉細胞、肺の呼吸器細胞、消化管の粘膜細胞、膵臓の導管及び膵島細胞、肝細胞、濾胞細胞、中皮細胞、生殖細胞、卵巣の顆粒膜細胞及び上皮細胞、前立腺の腺及び基底細胞、尿管の上皮細胞、尿路上皮細胞、腎臓の腺管及び尿細管細胞、子宮内膜細胞が含まれうる。
癌の決定は、正常な細胞はテロメラーゼを発現しないが、悪性細胞はテロメラーゼを発現するという一般的な原則によって行うことができる。しかし、当業者に理解されるように、特定の非悪性細胞型もテロメラーゼを発現するので、この一般的な原則にも例外はある。これらの細胞は、臨床的に重要であるとは考慮されず、評価から除外されるべきである。好ましくは、除外される細胞は、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、精嚢細胞、精子からなる群から選択される。最も好ましくは、除外される細胞は、好中球、マクロファージ及び好酸球、精嚢細胞及び精子である。これらの細胞は、癌の評価において臨床的に重要ではなく、臨床的に重要な細胞と明確に異なる形態を有し、したがって細胞学的評価を実施するときに視覚的に容易に除外することができる。
例えば、本方法を使用して膀胱癌を決定するとき、当業者が細胞学的分析から視覚的に除外する幾つかの細胞型が存在する。これらの細胞には、好中球、マクロファージ及び好酸球などの炎症性細胞、ならびに腎細管細胞、精嚢細胞、精子及び扁平上皮細胞が含まれる。これらの細胞は、膀胱癌の評価において臨床的に重要ではなく、臨床的に重要な正常な尿路上皮細胞(膀胱壁細胞)と明確に異なる形態を有し、したがって細胞学的評価を実施するときに視覚的に容易に除外することができる。
反映試験
本発明の方法を、反映試験として実施しても良いことが想定される。「反映試験」は、前の試験(例えば、第1の試験)から得た結果に基づいて行われるその後の試験(例えば、第2の試験)を指す。対象が癌を有するかを決定するとき、試料の細胞学的評価は、別の標的を試験する願望をもたらす可能性がある。本開示の文脈において、別の標的を試験する(すなわち、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する)願望は、試料中の、1個以上の非定型細胞を明らかにしている癌かどうか不確定である細胞形態の細胞学的評価によって導かれる。
補助試験
本発明の方法を、補助試験として実施しても良いことも想定される。他の試験の結果に追加される、または結果の解釈を助ける情報を提供する及び不確定な初期評価の解明に有用な情報を提供する試験は、補助試験と分類しても良い。臨床設定において、細胞形態の細胞学的評価は、対象が癌を有するかを決定することを求めることがある。しかし、細胞学的評価は、癌であるか不確定なことがある。したがって、対象が癌を有するかの決定を助けるため、更なる細胞学的評価を、細胞形態の細胞学的評価の補助として実施して、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出する。この文脈において、抗テロメラーゼ抗体と、1個以上の臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示し、細胞形態の不確定な細胞学的評価を解明する。
補助試験を実施することによって、細胞形態の細胞学的評価を、テロメラーゼの細胞学的検出と同時に、またはほぼ同時に実施できることが想定される。しかし、これらのステップを別々に実施しても良い。
対象
本明細書に使用されるとき、「対象」は、癌を有しうる任意の生物体でありうる。好ましい実施形態において、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、イヌ若しくはネコなどのペット、またはウマ若しくはウシなどの家畜動物であっても良い。ある実施形態において、対象はヒトである。「対象」、「患者」、または「個体」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用できる用語である。
悪性細胞が、本開示の方法を使用して対象において確定される場合、対象には癌治療が指示または処方されうる。例えば、膀胱癌が対象において特定される場合、対象には、膀胱切除術などの外科的介入、化学療法、放射線療法、免疫療法、抗体療法、またはこれらの組み合わせなどの治療が指示されても良い。
本開示の方法を、対象が癌を有するかを決定するために使用できることが想定される。好ましくは、方法は、癌を示す症状を有する対象において、癌を決定するために使用される。例えば、膀胱癌の文脈において、本方法は、血尿(尿中の血液)、切迫頻尿、排尿時灼熱感などの膀胱疾患を示す症状で受診する対象に適用可能である。
本開示に使用される試料は、新たな、または再発性の癌をモニターするために定期的な調査監視が必要な対象から得ても良い。例えば、癌を克服した患者は、新たな、または再発性の病変をモニターするために定期的な調査監視を必要とすることもある。臨床医は、現在、これらの患者から回収した試料における形態学的変化に依存している。細胞形態の異常な細胞学的評価が試料中に特定されると、患者は更なる調査を受けて、別の細胞学的試料及び/または生検を得て、最初の異常な細胞個体群の源を特定及び確認する。癌が特定されると、患者は、外科的処置及び/または膀胱内化学療法若しくは免疫療法により管理されて、悪性細胞を根絶する。細胞形態の細胞学的評価が癌であるか不確定である場合、診療医は、調査監視下の対象から試料を得て、本発明の方法を適用して、癌を有するかを決定することができる。癌が決定されると、次に患者は更なる調査を受けて、テロメラーゼ陽性細胞個体群の源を確認することができる。
膀胱癌の文脈において、治療後の調査監視は、患者の危険因子及び癌の病期に応じて、細胞形態の尿細胞学的評価を3か月毎に1〜2年間にわたって始められる。細胞形態の細胞学的評価の選別間隔は、前の細胞及び膀胱鏡検査の知見に応じて延長される。抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する細胞学的評価は、上記に参照された細胞学調査監視レジメンと一組にすることが想定される。細胞形態の不確定な細胞学的評価が、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出することにより解明される場合、次に患者は細胞検査を受けて、テロメラーゼ陽性細胞個体群の源を確認することができる。
診断決定
本発明の方法の実施において、テロメラーゼの細胞学的評価及び細胞形態の細胞学的評価の特定の結果は、それぞれの対象における特定の診断決定と関連することが想定される。本発明の方法を実施するときに得られうるテロメラーゼ及び細胞形態の結果を、下記の表2にまとめる。
以下の結果は、対象が癌を有することを示し、したがって、膀胱鏡調査または上部管画像化が是認される。
−抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び細胞形態の陽性の細胞学的評価。
−抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び細胞形態の陰性の細胞学的評価。
−抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び細胞形態の不確定な細胞学的評価。
−細胞形態の陽性の細胞学的評価及び抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合の両方の適合感受性を考慮すると、生じる可能性は少ないが、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の陽性の細胞学的評価。
臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の陰性の細胞学的評価は、試料中の細胞が悪性ではないことを示す。更に、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の不確定な細胞学的評価は、対象が、癌と関連しない良性/反応性の変化を潜在的に有することを示す。したがって、膀胱鏡検査を介した更なる調査は、是認されない。
本開示の文脈において、細胞形態の陽性の細胞学的評価は、癌を示す形態学的変化を有する細胞の特定を指す。癌と関連しうる形態学的変化には、不規則なサイズ及び形状を有する拡大核、顕著な核小体、色が濃いことも淡いこともある乏しい細胞質が含まれる。対照的に、細胞形態の陰性の細胞学的評価は、非定型性または癌を示す任意の形態学的変化の不在と定義される。
最終的な診断
癌の不確定な細胞学的評価を解明し、対象が癌を有するかについての試料の臨床状態を決定する本開示の方法の適用において、癌の存在に関する診断決定は、抗テロメラーゼ抗体と、対象から得た細胞試料の1個以上の臨床的に重要な細胞との結合に基づいて行うことができると考慮される。しかし、診断決定は、治療医が治療の過程を決定する最終的な診断に関して確定的であっても、なくても良い。換言すると、本開示の技術を使用して得た診断決定は、癌の可能性を決定または特定する試みの工程を指すことが、当業者に理解される。
本開示の方法は、癌発生の危険性の評価に助けを提供することに使用することができ、癌の素因または前駆物質の存在または性質に関する前臨床決定の評価を行うことを助けると考慮される。このことは、対象が癌を発生する相当大きな可能性を有するという知見を出すことを指すと考慮される。
本開示の方法を、癌の存在または癌の危険性の増加についての評価を提供する当該技術に既知の癌の臨床評価の他の方法と、組み合わせて使用することもできると考慮される。
癌を有すると決定された対象の癌の状態の最終的な診断は、PET、MRI、超音波、CT、PET/CTを含む画像化技術などを介して是認されると、確証または確認されうる。したがって、本開示の方法を、対象が癌を有するかを評価する前選別において、または予後的に使用することができ、是認されると、更に最終的な診断を実施することができる。膀胱癌の文脈において、生検による膀胱鏡検査を介した調査、または上部管画像化が、癌状態の最終的な診断を得るために使用される。本開示の方法は、以前に確証された診断試験、特に膀胱鏡検査を介した評価を使用して、臨床評価のために患者を選択するのに有用でありうることも想定される。
実施例1:臨床試料
膀胱癌(尿路上皮細胞癌)を有すると疑われる、またはその病歴を有する泌尿器患者の臨床材料に対する倫理的に規制承認された概念証明研究を、テロメラーゼhTERTタンパク質免疫染色の臨床診断可能性を実証するために実施した。更に、研究は、hTERT免疫染色が低悪性度と高悪性度の患者から得た試料を区別できることを実証することが目的であった。
この研究において、臨床的に陽性の患者は、生検的に証明された膀胱癌(非侵襲性及び筋肉侵襲性の両方を含む)を有した。全ての病期及び悪性度の決定は、組織学によるものであった。患者が異なる病期/悪性度の複数の膀胱癌病巣を有する場合、より高い病期/悪性度を記録した。
臨床的に陰性の患者は、全て、健康であり、泌尿生殖器疾患の病歴を有さない無症候性の個体、または全て、膀胱壁の視診(可動性/剛性膀胱鏡検査)に、初めて若しくは以前の膀胱癌をモニターするために来診している無病患者であった。
患者は、以下の基準のいずれかを満たした場合に研究から除外された。
a)組織学を実施することなく、視診(可動性/剛性膀胱鏡検査)によって、疑わしい/特徴付けられていない非膀胱癌の診断を有した患者、
b)根治的膀胱切除術を受けたモニター中の患者、
c)腺癌及び非尿路上皮膀胱癌(小細胞癌腫、癌肉腫、原発性リンパ腫及び肉腫を含む)を有する患者、ならびに/または
d)他の泌尿生殖器腫瘍(腎臓、前立腺、尿管上部)を有する患者。
合計253個の試料を最初に試験した。これらのうちの108個の試料を、下記の実施例2に概説したプロトコールを使用して評価し、エピトープの回収形態は、凍結解凍または熱誘導のいずれかを使用した。これらのうちの90個の試料には、少なくとも1個の尿路上皮(膀胱壁)細胞が存在した。残りの18個の試料は、全て、重要な膀胱細胞壁細胞(すなわち、尿路上皮細胞)が見出されなかったので、更なる分析から除いた。90個の試料のうち、5個の臨床的に陽性な試料を、生検証明による疾患を欠いていたことから、更なる分析から除いた。残りの85個の試料を、表3(全て臨床的に陽性の試料−生検証明済み)及び表4(全て臨床的に陰性の試料−膀胱鏡検査により明白)に提示し、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果をそれぞれ示す。
分析された85個の試料において、臨床的に重要な細胞の数は、臨床的に陽性及び陰性の患者の両方で5〜3000個の範囲であった。
●臨床的に陰性の試料:5〜900個の範囲の尿路上皮細胞。
●臨床的に陽性の試料:10〜3000個の範囲の尿路上皮細胞。
全ての患者において、同じ試料においてテロメラーゼ免疫染色及び並行して、細胞形態の細胞学的評価を実施し、結果を記録した。テロメラーゼhTERTタンパク質免疫染色及び細胞形態の細胞学的評価を、互いに盲検的に及び臨床状態(膀胱鏡検査+/−生検により得た)について盲検的に実施した。免疫染色、細胞形態の細胞学的評価及び膀胱鏡検査は、全て、それぞれの臨床診断及び/または医療分野においてこれらのアッセイを実施するために登録されている熟練の臨床医及び/または病理学者により実施した。
テロメラーゼ免疫染色のスコア付けは、スライドの確信的な評価を得るために適切な数の視野を走査した細胞学者によって決定した。核染色を示す尿路上皮細胞の数/率を、細胞学者の読み取りによって記録した。試験陽性のカットオフ値を、核染色を示す尿路上皮細胞の>5%に設定した。
細胞形態の細胞学的評価の後に非定型と分類された全ての試料(臨床的に陽性及び陰性の両方)を、表5に提示する。
実施例2:試料の収集及び処理
患者から排泄された尿を、直ぐに処理した、または処理する前に4〜6時間以下の時間にわたって4℃で維持した。試料を50mLの滅菌遠心管に移し、600gにより4℃で10分間遠心分離した。管を取り外し、上澄みを廃棄した。細胞ペレットを15mLの1×PBSに再懸濁し、15mLの滅菌遠心管に移した。試料を600gにより4℃で10分間、再び遠心分離し、上澄みを再び廃棄した。最後に細胞ペレットを、細胞を数える前に1mLの1×PBSに再懸濁した。
試料毎におよそ30,000個の細胞を15mLの滅菌遠心管に移し、Shandon Cytospin Collection Fluid(Thermo Scientific, Ref No: 6768001, Lot No: 226955)により体積を10mLに調整した。管を再び600gにより4℃で10分間遠心分離した。Shandon Cytospin Collection Fluidに細胞30,000個あたり250μLの比で再懸濁する前に、上澄みを廃棄した。 Shandon Cytospin 4(Thermo Scientific, Part No: A778300101, Serial No: CY6695 1055)を使用し、低加速により細胞を1000rpmで4分間遠心分離して、細胞を顕微鏡のガラススライドに固定した。
細胞が固定されたスライドを、−20℃の冷凍庫に移す前に、スライドを顕微鏡スライドボックスに4℃で一晩保存した。
本明細書に報告された染色の結果は、全て、Ventana Benchmark XTまたはVentana Benchmark Ultra自動染色プラットフォームにより実施した。Leica Bond and Biocare intelliPATH FLXが含まれるが、これに限定されない他の自動染色プラットフォームにより、最適化した後、同一の結果を得た。自動染色プラットフォームに加えて、手動の免疫染色処理の使用によっても、最適化した後、同一の結果を得た。
手動免疫染色処理では、スライドを、冷50%アセトン:メタノールで10分間にわたって後固定した。スライドを1×リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.4(Catalogue Number: 10010−023, 5× 500mL Gibco(登録商標) by Life Technologies)で洗浄して、残留固定剤を除去し、次にクエン酸緩衝液、pH6.0を含有する染色皿に入れた。スライドを、マイクロ波オーブンにおいて手動様式の抗原回収により95℃で30分間処理する。スライドを、再び1×PBS、pH7.4で洗浄する。回収した後、スライドを、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に室温で2時間インキュベートする前に、0.5%のTween 20を有する1×PBS中の5%のBSAで1時間遮断し、0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄した。スライドを一抗体後遮断(post−primary antibody block)Novacastra Post Primary (Ref: RE7159, Lot #6012593, 125mL, Leica Microsystems)により室温で1時間処理し、再び0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄する。スライドを、二次抗体Novacastra Novolink Polymer(Ref: RE7161, Lot #6012594, 125mL, Leica Microsystems)と共に室温で30分間インキュベートし、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)増強液体基質(Product Number: D3939, Sigma)と共に室温で2分間インキュベートする前に0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄する。スライドを1×PBS、pH7.4ですすいで、反応を停止させる。次にスライドを、0.5%のMethyl Green溶液(Product Code: M8884−25G, Lot #MKBD8768V, 25g, Sigma)中に60℃で5分間インキュベートし、水道水で洗浄する。スライドを、アセトン中0.05%(v/v)の氷酢酸、次に95%のエタノール、100%のエタノール、続いてキシレンによる最終ステップによって脱水する。スライドをUltramount No: 4 Mounting Media (Product Code: II065C, Batch #1305141450, 100mL)により装填し、1時間乾燥する前に、直ぐにカバースリップを適用する。スライドを光学顕微鏡により観察する。
自動免疫染色処理では、スライドを、冷50%アセトン:メタノールで10分間にわたって後固定した。スライドを、Ventana Antibody Dilution Buffer(Ventana Medical Systems, Inc Cat No: ADB250)で洗浄し/に浸けて、残留固定剤を除去し、次に自動染色プラットフォームに置き、オンボード(on−board)により95℃で8分間かけて抗原を回収した。回収した後、スライドを、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に36℃で32分間インキュベートする前に、Ventana Discovery reagent(Ventana Medical Systems, Inc, Cat No: 760−108)で4分間遮断した。残りのステップは、Ventana Discovery and Ventana UltraView Universal DAB Detection Kit(Ventana Medical Systems Inc, Cat No: 760−500)を使用する、標準的なVentanaプラットフォーム設定に依存した。ヘマトキシリン対比染色を、標準的なdip−dunk染色液によりオフボードで実施した。対比染色をオンボードで実施して、同一の結果を得ることもできる。
本明細書の結果は、(Masutomiら、2003)に記載されている抗hTERT(クローン2C4)抗体を使用して得た。
実施例3:膀胱癌試料におけるテロメラーゼの免疫染色は疾患と相関する
85個の臨床試料を、処理して顕微鏡スライドに置き、上記に記載されたプロトコールを使用して染色した。抗体の状態または細胞試料の調製に対する僅かな調整は、試料毎に経験的に決定した。テロメラーゼ免疫染色を受けたあらゆる試料は、同じ試料に細胞形態の標準的な細胞学的評価も受けた。細胞形態の細胞学的評価を、陽性、陰性、または非定型とスコア付けした。
細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果を、臨床的に陽性の試料(表3)及び臨床的に陰性の試料(表4)と比較した。22個の臨床的に陽性の結果を、テロメラーゼ陽性染色を有する16個により評価した。残り6個の臨床的に陽性の試料のうち、6個を、細胞形態の細胞学的評価の後に良性と特定した。したがって、テロメラーゼは、22個のうち16個(72%)が悪性膀胱癌であることを示した。
63個の臨床的に陰性の結果を、テロメラーゼ陰性染色を有する48個(76%)により評価した。残り15個の臨床的に陰性の試料のうち、11個(73%)を、細胞形態の細胞学的評価の後に良性と特定した。残りの4個(27%)を、細胞形態の細胞学的評価の後に、未定(n=3)または陽性(n=1)と特定した。
疾患と相関するテロメラーゼ染色を図1に示す。試料WH11−107には、細胞染色が観察されなかった(臨床的に陰性、図1A)。対照的に、有意な細胞染色が、臨床的に陽性の試料WH11−122に観察された(図1B)。この試料では、強力な核染色の形態の陽性染色が、最適抗体濃度下で、存在する尿路上皮細胞の40〜75%に観察された。この臨床試料に存在する全ての尿路上皮細胞が、テロメラーゼhTERTタンパク質の存在により染色されるとは限らないことに注目することは興味深く、試料内の全ての細胞が癌性であるとは限らないことを示唆している。
実施例4:細胞形態の偽陰性及び未定の細胞学的評価の解決
テロメラーゼ免疫染色を受けたあらゆる試料(n=85)は、同じ試料に細胞形態の標準的な細胞学的評価も受けた。細胞形態の細胞学的評価を、陽性、陰性、または非定型とスコア付けした。細胞形態の細胞学的評価の後に非定型と分類された全ての試料(臨床的に陽性及び陰性の両方)(n=16)を、テロメラーゼ免疫染色の関連するスコア付けと一緒に表5に示す。
非定型細胞診を有した16個の試料を、エピトープ回収の形態を用いて、または用いることなく、2つのうちの1つの異なる免疫染色プロトコールを使用して評価した。それぞれのプロトコール群に8個の試料があり、それぞれ類似した結果をもたらした。16個の試料のうち、5個の試料は臨床的に陽性であり、11個は臨床的に陰性であった。テロメラーゼ免疫染色法は、これらの5個の試料のうち5個を陽性と評価した(尿路上皮細胞の>5%は核染色が陽性であった)。
11個の臨床的に陰性の試料のうち、8個は免疫染色試験により陰性と示され、3個は陽性と示された。これら3個のうち、長期追跡調査中の2人の患者は、後に臨床的に陽性であると評価された(生検証明済み、臨床試料AUA12−058、WH12−291)。残りの1個の試料は、現在、確認臨床追跡調査中である(WH12−318)。しかし、この患者は膀胱切除術を受けていた。この手術の実施は、患者が膀胱癌に陽性であったことを示す。
現在の臨床状態に基づいて、テロメラーゼ免疫染色試験の実施は、膀胱鏡検査に対して、80%の特異性及び83%の感受性がある。更に、免疫染色の結果は、細胞形態の細胞学的評価が不確定な読み取りを提示した症例の少なくとも94%(16件のうち15件)(同様に、症例の100%、WH12−318が膀胱切除術を受けていたので16件のうち16件)において(膀胱鏡検査に対して)正確な診断指標を提供した。
実施例5:改善された診断読み取り値
テロメラーゼの存在について臨床試料を調製及び免疫染色する、同時に抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を細胞学的に評価する及び細胞毎に細胞形態を細胞学的に評価する独自の方法は、細胞形態のみの細胞学的評価よりも診断の有意な改善を可能にした。
図3には、細胞毎のテロメラーゼ免疫染色を介した、細胞形態の未定の細胞学的評価の結果を解明する能力、または細胞形態の偽陰性細胞学的評価の結果を再利用する能力が示されている。この図において、全てのパネルに示されている細胞は、テロメラーゼのために最適に免疫染色された低悪性度膀胱癌臨床試料のものである。
パネルAには、非膀胱扁平上皮細胞が示されている。この細胞は、膀胱からのものではなく、熟練の細胞学者により全ての診断決定から視覚的に除外される。この臨床試料において陰性免疫染色対照として機能する。パネルAに示されているように、扁平上皮細胞は、予測されたように核染色が全くない。
パネルBには、正常な尿路上皮細胞が示されている。示されている細胞は、両方とも十分に明確な形状及び核:細胞質比を有する。熟練の細胞学者には、これらの細胞は完全に正常に見え、細胞形態の細胞学的評価の後に細胞学的に陰性であると適切に定義される。テロメラーゼhTERTタンパク質の核免疫染色の不在は、これらの尿路上皮細胞が、低悪性度膀胱癌を有することが知られている患者からの排泄尿中に見出されていても、膀胱壁の正常な領域における正常な尿路上皮細胞である可能性が非常に高いことを示唆している。
パネルCは、明確な形状及び核:細胞質比の形態学的に正常な尿路上皮細胞を示すが、この場合、テロメラーゼhTERTタンパク質の強力な核免疫染色が示されている。対照的に、この細胞学的に陰性の尿路上皮細胞は異常なレベルの核テロメラーゼを発現し、したがって、形態学的異常を未だに何も示さない初期悪性細胞である可能性が極めて高い。この結論は、テロメラーゼhTERT免疫染色と図2に示されている臨床結果との強力な臨床的相関関係によって支持される。
決定が細胞形態の細胞学的評価に基づいて行われた全く同じ試料及び全く同じ細胞におけるテロメラーゼ免疫染色の不在では、この細胞は、熟練の細胞学者及び/または病理学者によって正常または非癌と定義される。これは不正確であり、特定の細胞の偽陰性判定をもたらす。したがって、テロメラーゼの細胞毎免疫染色がこの判定を正確に決定した。
パネルDには、熟練の細胞学者による細胞形態の細胞学的評価の後に細胞学的に陽性と呼ばれるほど強力ではない僅かな非定型形質を示す尿路上皮細胞が、強力な核テロメラーゼ免疫染色を示している。これは、細胞形態の細胞学的評価の後に未定と分類された個別の細胞でも、最適な条件下でテロメラーゼhTERT免疫染色により成功裏に解明できる例である。
実施例6:膀胱癌の続発を予測する
細胞形態の細胞学的評価の後に不確定と分類された3個の臨床的に陰性の試料は、免疫染色試験により陽性であることを示した。これら3個の試料のうち、長期追跡調査中の2人の患者は、後に臨床的に陽性であると評価された(生検証明済み、臨床試料AUA12−058、WH12−291)。残りの1個の試料は、現在、確認臨床追跡調査中である(WH12−318)が、この患者は膀胱切除術を受けていた。この手術の実施は、患者が膀胱癌に陽性であったことを示す。
これらのデータは、テロメラーゼが、膀胱癌を発生する危険性が増加した患者を示しうることを示唆している。したがって、陽性テロメラーゼ染色を有する試料を提出した、癌が臨床的に陰性の患者は、強化された臨床的調査監視下に置かれることがある。
実施例7:膀胱癌を診断する臨床設定におけるテロメラーゼ染色
患者は、血尿(尿中の血液)、切迫頻尿、または排尿時灼熱感などの膀胱疾患を示す症状で受診する。これらの症状は、尿感染などの、癌よりも重篤度のかなり低い他の状態により引き起こされる可能性があるが、これらは膀胱癌に特徴的なものである。
したがって、尿試料を患者から得て、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色のために送る。細胞形態の細胞学的評価の結果が膀胱癌であるか不確定である場合、臨床医は、テロメラーゼ免疫染色の結果を使用して、患者が膀胱癌を有するかを決定することができる。
試料がテロメラーゼ陽性である場合、細胞診より改善された感受性のテロメラーゼアッセイが、膀胱癌の膀胱鏡調査を少なくとも是認する。
次に膀胱鏡検査を患者に実施することができ、膀胱癌が後に特定される場合、適切な治療レジメンを確立することができる。
実施例8:膀胱癌を発生する危険性を特定する臨床設定におけるテロメラーゼ染色
尿試料を、上記に考察したものと類似した症状を提示する患者から得る。試料を、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色のために送る。細胞形態の細胞学的評価の結果が不確定であり、試料がテロメラーゼ陽性である場合、臨床医は、膀胱癌の膀胱鏡調査を依頼することができる。
膀胱癌が次に膀胱鏡検査の後に患者において特定されない場合、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び癌発生の関連性の証拠は、患者が、癌の危険性を増加している可能性が高いことを示している。したがって、適切な調査監視レジメンを確立することができる。
実施例9:膀胱癌試料におけるテロメラーゼの比較免疫染色
テロメラーゼ染色を、上記の実施例2の概説された方法を使用して臨床試料と比較した。比較免疫染色は、SCD−A7、Novus 2C4、Novus NB 100−297、Santa Cruz 377511、Santa Cruz 7212、Rockland 600−401−252及びMBL M216−3の抗体を使用して実施した。比較免疫染色の結果を表6に表す。
このように様々な抗テロメラーゼ抗体を使用して、不確定な細胞学的評価を解明することができる。
実施例10−スライド読み取りアルゴリズム
2つのスライド読み取りアルゴリズムを、実施例1に記載された臨床試料を利用して評価した。第1のアルゴリズムは、尿路上皮と扁平上皮の両方の細胞を、テロメラーゼに陽性の核染色により数えることを伴う。陽性試験結果は、染色された細胞の率に基づいて決定される。第2のアルゴリズムは、テロメラーゼの陽性核染色と組み合わせた尿路上皮細胞の形態学的変化を評価して、陽性試験結果を導き出すことを伴う。
読み取りアルゴリズム−5%カットオフ
スライドを×200〜400の倍率で評価し、適切な数の視野にわたって視覚的に走査して、20個を超える尿路上皮細胞を特定した。以下の細胞数を記録した。
1.核染色を示す尿路上皮細胞の数。
2.上記の(1)を記録する過程において特定/評価された尿路上皮細胞の数。
以下の特定の事項にも注目した。
1.尿路上皮染色の特徴(核/細胞質)。
2.核染色を示す扁平上皮細胞の率(細胞質の染色を有する細胞、または有さない細胞の両方が含まれる)。
3.評価した扁平上皮細胞の総数。
このアルゴリズムでは、陽性試験結果を、5%を超える尿路上皮細胞が陽性核染色を実証した(すなわち、尿路上皮細胞20個あたり約2〜3個を超える細胞が陽性核染色を有する)スライドと定義した。
読み取りアルゴリズム−形態学に基づく
スライドを評価して、形態学的な非定型性(例えば、核と細胞質の高い比、核クロマチンのばらつき、不規則な核輪郭)を実証する尿路上皮細胞を特定した。次に形態学的な非定型性を実証する細胞を、陽性免疫細胞化学シグナルの存在または不在について評価した。
対応するPapanicolau染色尿調製物を、臨床試料の評価の際に、テロメラーゼ免疫細胞化学のスライドと共に検査した。
このアルゴリズムでは、陽性試験結果を、尿路上皮細胞が陽性核染色の存在下で形態学的な非定型性を実証したスライドと定義した。
読み取りアルゴリズムの比較
上記の読み取りアルゴリズムの比較を表7にまとめる。形態学を、細胞のテロメラーゼ陽性染色と組み合わせて使用したスライドの再調査は、全体的な感受性の83.3%をもたらし、一方、5%カットオフアルゴリズムは、全体的な感受性の57.1%をもたらした。低悪性度尿路上皮癌の検出における感受性は、5%カットオフアルゴリズムにより達成された50.0%と比較して、形態学に基づいた読み取りアルゴリズムを使用して75.0%に増加した。
形態学に基づいたアルゴリズムは、5%カットオフアルゴリズムと比較して、尿路上皮癌の全体的な検出において増加した感受性及び特異性、ならびに高悪性度及び低悪性度の両方の疾患分類において増加した感受性及び特異性を実証している。
それにもかかわらず、5%カットオフアルゴリズムは、分析された膀胱癌試料における不確定な細胞学的評価を解明する有効な手法も提供した。例えば、尿路上皮細胞20個あたり、1個の、陽性核染色を有する細胞が、陽性の試験結果を示すと予想される。
多数の変更及び/または改変を、広義に記載されている本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように、本開示に対して行っても良いことが、当業者に理解される。したがって本実施形態は、あらゆる点において例示的であり、限定的ではないと考慮されるべきである。
本出願は、2014年2月17日に出願したAU2014900494の優先権を主張し、その開示は参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書において考察及び/または参照された全ての出版物は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書に含まれている文書、作用、材料、装置、物品などについての任意の考察は、本開示の文脈を提供する目的のためだけのものである。これらの事項のいずれか、または全てが、本出願のそれぞれの主張の優先日の前に存在したかのように、本開示に関連する分野における従来技術の基礎の一部を形成すること、または共通の一般知識であることの容認として解釈されるべきではない。
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Claims (17)

  1. 悪性細胞であるか不確定の細胞形態を有する膀胱上皮細胞を含む試料であって、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される試料の細胞を抗テロメラーゼ抗体と接触させること、及び、前記抗体と膀胱上皮細胞との結合を検出することを含み、前記抗体と膀胱上皮細胞との結合が悪性細胞の存在を示す、インビトロ方法。
  2. 尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される、膀胱上皮細胞を含む試料の細胞を抗テロメラーゼ抗体と接触させること、及び、細胞形態の細胞学的評価及び膀胱上皮細胞に対する抗体の結合の細胞学的評価を実施することを含み、細胞形態の細胞学的評価が不確定である場合に、膀胱上皮細胞に対する抗体の結合が悪性細胞の存在を示す、インビトロ方法。
  3. i)尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される、対象の細胞試料の細胞形態の細胞学的評価を実施して、前記試料中の1個以上の膀胱上皮細胞の形態を決定することと、
    ii)前記対象の細胞試料を抗テロメラーゼ抗体と接触させ、前記細胞試料の細胞学的評価を実施して、前記抗体と前記試料中の膀胱上皮細胞との結合を検出することとを含み、
    細胞形態の前記細胞学的評価が悪性細胞であるか不確定であるとき、前記抗体と1個以上の膀胱上皮細胞との結合が悪性細胞の存在を示す、細胞学的評価方法。
  4. 前記試料が流体試料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記抗テロメラーゼ抗体が、モノクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記抗テロメラーゼ抗体がポリクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞形態の細胞学的評価及び膀胱上皮細胞に対する抗体の結合の細胞学的評価が同一の細胞に同時に実施される、請求項2〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 膀胱上皮細胞に対する抗体の結合の細胞学的評価が、膀胱上皮細胞でない細胞をそれらの形態に基づく評価から除外することを可能にする、請求項2〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記除外される細胞が、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、精嚢細胞及び精子の1つ以上または全てである、請求項に記載の方法。
  10. 前記抗体と前記試料中の膀胱上皮細胞の少なくとも約5%との結合が、対象が癌を有することを示す、請求項3〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される、膀胱上皮細胞を含む試料について細胞形態の不確定な細胞学的評価を解明するためのインビトロアッセイの製造における抗テロメラーゼ抗体の使用であって、前記抗体が試料の細胞と接触した際に、膀胱上皮細胞に対する抗体の結合が悪性細胞の存在を示す、使用。
  12. 尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される試料中の悪性細胞の存在を検出するためのインビトロアッセイの製造における抗テロメラーゼ抗体の使用であって、試料が悪性細胞であるか不確定な細胞形態を有する膀胱上皮細胞を含み、膀胱上皮細胞に対する抗体の結合が悪性細胞の存在を示す、使用。
  13. 細胞形態が悪性細胞であるか不確定である尿試料の膀胱上皮細胞を抗テロメラーゼ抗体と接触させること、及び膀胱上皮細胞に対する抗体の結合を検出することを含み、膀胱上皮細胞に対する抗体の結合が悪性細胞の存在を示す、インビトロ方法。
  14. 尿試料の膀胱上皮細胞を抗テロメラーゼ抗体と接触させること、及び細胞形態の細胞学的評価及び膀胱上皮細胞に対する抗体の結合の細胞学的評価を実施することを含み、細胞形態の細胞学的評価が不確定である場合に、膀胱上皮細胞に対する抗体の結合が悪性細胞の存在を示す、インビトロ方法。
  15. i)対象の尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される試料中の膀胱上皮細胞細胞形態の細胞学的評価を実施して、前記試料中の1個以上の膀胱上皮細胞の形態を決定することと、
    ii)前記対象の尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液からなる群から選択される試料中の膀胱上皮細胞抗テロメラーゼ抗体と接触させ、前記膀胱上皮細胞の細胞学的評価を実施して、前記抗体と前記膀胱上皮細胞との結合を検出することとを含み、
    細胞形態の前記細胞学的評価が悪性細胞であるか不確定であるとき、前記抗体と1個以上の膀胱上皮細胞との結合が悪性細胞の存在を示す、細胞学的評価方法。
  16. 抗体の結合が自動免疫アッセイを介して検出される、請求項1、12、又は13に記載の方法。
  17. 抗体の結合が細胞学的評価を介して検出される、請求項1、12、又は13に記載の方法。
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