JP6684126B2 - 粘着性電極及び体表面電位測定デバイス - Google Patents
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Description
このような体表面電位測定デバイスには、測定対象が動作中でも正確な信号を取得できることと、長時間装着可能であることが必要である。
特許文献1において、粘着パッドはヒドロゲルやシリコーンゲルで構成されているが、ヒドロゲルは、汗によって電解質等が溶出したり、べたべたした不快感やかぶれを生じる可能性があり長時間装着することができない。また、シリコーンゲルの場合は、疎水性であるため汗による成分の溶出の問題はないが、一般的に絶縁性であるとこころ、これをどのようにして導電性にするかについては特許文献1には未開示であり、したがって、その導電性がどの程度であるのかも明らかでない。
また、特許文献2には、導電性粘着層の導電性についての言及はないが、別途電気コネクタを有しているという構成から考えて、それ自体が電極として使用できるほどの導電性を有しているとは考えられない。
[1]疎水性粘着性バインダーと導電性微粒子とを含む導電性粘着剤からなる粘着性電極層を有する、生体体表面電位取得用粘着性電極。
[2]前記粘着性電極層の厚みが100μm以上1mm以下である、[1]に記載の粘着性電極。
[3]前記導電性微粒子の平均2次粒子径が50μm以上1mm以下である、[1]又は[2]に記載の粘着性電極。
[4]前記疎水性粘着性バインダーがシリコーン系粘着剤である、[1]から[3]のいずれかに記載の粘着性電極。
[5]前記導電性粘着剤中の親水性材料の含有量が5質量%以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の粘着性電極。
[6]前記導電性微粒子が、前記疎水性粘着性バインダーの固形分100質量部に対して、10質量部以上、650質量部以下含まれる、[1]から[5]のいずれかに記載の粘着性電極。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の粘着性電極を、1つの基材上に2つ以上有する、アレイ電極。
[8][1]〜[6]のいずれかに記載の粘着性電極、又は、[7]に記載のアレイ電極を含む、体表面電位測定デバイス。
[9][8]に記載の体表面電位測定デバイスを含む、筋電アクチュエータ。
本実施形態において、導電性粘着剤は、疎水性粘着性バインダーを含む。
疎水性粘着性バインダーに限定はなく、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を用いることができる。特にシリコーン系粘着剤は生体への装着感の観点から好適に利用することができる。これらは単独で用いることもできるし、複数混合して用いることもできる。
疎水性の程度としては、25℃における水への溶解度が10g/100ml以下であることが好ましく、1g/100ml以下であることがより好ましく、0.1g/100ml以下であることがさらに好ましい。
また、疎水性粘着性バインダーには希釈剤を加えてもよい。希釈剤は疎水性粘着性バインダーと相溶できるものであればよく、水、アルコール、有機溶剤等を利用することができる。
炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トリコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これら(メタ)アクリレートは1種類のみ用いてもよいし、複数種類用いてもよい。
炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、14以上であることがさらに好ましく、また、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましい。炭素数が4以上であれば高い疎水性が得られ、汗による粘着剤の溶出を防止することができ、6以上であれば高い粘着性を得ることができ、14以上であれば炭化水素系溶剤に溶けやすくなるため製造が容易になる。また、炭素数が22以下であれば十分な溶解性が得られ製造が容易になり、20以下であれば重合反応が制御しやすく製造が容易になり、18以下であれば高い粘着性を得ることができる。
炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートのアルキル基の構造に限定はなく、直鎖構造及び分岐構造をとりうる。特に分岐構造のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、高い溶解性を有し製造が容易になるため好適に使用することができる。
アクリル系ポリマーの製造の際に使用する単量体成分全量に対する炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、80質量%〜99質量%の範囲であることが好ましく、90質量%〜95質量%の範囲であることがより好ましい。
高極性ビニルモノマーとしては、カルボキシ基を有するビニルモノマー、水酸基を有するビニルモノマー、アミノ基を有するビニルモノマーを用いることができる。これらビニルモノマーは、1種類のみ用いてもよいし、複数種類用いてもよい。
アクリル系ポリマーの製造に使用する単量体成分の全量に対する高極性ビニルモノマーの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。10質量%以下であれば汗による粘着剤の溶出を防止することができ、5質量%以下であれば粘着性を好適な範囲に調整することができ、1質量%以下であれば疎水性モノマーと十分な相溶性が得られるため製造が容易になる。
RaSiO(4-a) (1)
Rは同一又は異種の置換基を示し、aは1〜3の正数である。組成式(1)の具体的な構造としては、例えば、下記の(化1)に表される構造が挙げられる。
この中でも、Rとして、メチル基、フェニル基を好適に用いることができる。特にRをフェニル基とした場合、粘着剤の耐熱性が向上するため好ましい。
付加硬化型シリコーン系粘着剤、縮合硬化型シリコーン系粘着剤、ラジカル硬化型シリコーン系粘着剤は、単独で用いることもできるし、混合して用いることもできる。
他の添加剤としては、架橋剤、粘着性向上剤、粘着性低減剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、希釈剤等を用いることができる。
アルケニル基を有する化合物は、1分子中にアルケニル基を2つ以上有することが好ましい。アルケニル基の位置は特に限定されず、分子末端に有していてもよいし、側鎖に有していてもよい。
アルケニル基を有する化合物の具体例としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等を挙げることができる。
アルケニル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよいし、分子量や分子構造の異なる複数種を混合して用いてもよい。
ヒドロシラン化合物は、さらに、一部に組成式(1)で表される構造を有していてもよい。
ヒドロシラン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、分子量や分子構造の異なる複数種を混合して用いてもよい。
白金系触媒の添加量は、アルケニル基を有する化合物とヒドロシラン化合物との合計量に対して、1〜5,000ppmであることが好ましく、5〜2,000ppmであることがより好ましい。添加量が1ppm未満であると架橋密度が低く凝集力が低下する場合があり、5,000ppmを超えるとタック及び粘着力が低くなると共に可使時間が短くなる場合があり、経済的にも不利になる。
他の添加剤としては、架橋剤、粘着性向上剤、粘着性低減剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、希釈剤等を用いることができる。
ポリシロキサン化合物としては、例えば、分子内の少なくとも一部に組成式(1)に表される構造を有する化合物であって、脂肪族不飽和結合を有する置換基を有さない化合物を用いることができる。ここで、脂肪族不飽和結合を有する置換基としては、例えば、アルケニル基、アルキニル基が例示される。
有機過酸化物は−O−O−結合を有する化合物であり、具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化クミル、過酸化t−ブチルクミル、過酸化t−ブチル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化t−ブチルイソブチレート、過酸化t−ブチルベンゾエート、過酸化t−ブチル−2−エチルヘキサレート、2,2−ビス過酸化t−ブチルオクタン、1,1−ビス過酸化t−ブチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ過酸化ベンゾイルヘキサン等を挙げることができる。
アゾ化合物としては、具体的には、2,2‘−Azobis(isobutyronitrile)、2,2’−Azobis(2,4−dimethylvaleronitrile)、2,2−Azobis(2−methylbutyronitrile)、4,4‘−Azobis(4−cyanovaleric Acid)、2,2’−Azobis(2−methylpropionamidine)Dihydrochloride、Dimethyl 2,2‘−Azobis(2−methylpropionate)等を用いることができる。
光ラジカル発生剤としては、具体的には、アセトフェノン、p−アニシル、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、4−ベンゾイル安息香酸、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4‘,5,5’−テトラフェニル−1,2‘−ビイミダゾール、メチル2−ベンゾイルベンゾエート、2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4‘−モルホリノブチロフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,2‘−ジエトキシアセトフェオン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4‘−(メチルチオ)−2−モホリノプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド等を用いることができる。
それ以外のラジカル発生剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、塩化鉄、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、過塩素酸銅、有機酸鉄(III)等が挙げられる。また過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなど、酸化剤と還元剤の組み合わせて用いても良い。
これら市販品には2液硬化型のものも含まれるが、添加する触媒には各社指定の材料を混合してもよいし、上記白金系触媒、ラジカル発生剤を使用してもよい。
本実施形態において、導電性粘着剤に含まれる導電性微粒子に限定はなく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニオブ、モリブデン、パラジウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、ランタン、タンタル、タングステン、プラチナ、鉛等の金属及びこれら金属の酸化物、窒化物、塩からなる微粒子;カーボン、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素材料からなる微粒子;及び、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン等のπ共役分子及びPEDOT/PSS等のπ共役分子とドーパントからなる紛体等を用いることができる。特に金属微粒子は、導電性が高いため好ましく、銅、銀、金は特に導電性が高く、有機物と混合したときも高い導電性を発現するためより好ましい。
金属微粒子としては、1元素からなる金属を用いることもできるし、複数種の金属からなる合金を用いることもできるし、コアとシェルで構成する金属が異なるコア/シェル構造を有する微粒子を用いることもできる。コア/シェル構造としては、具体的には、コアに銅、アルミニウム、ニッケル、酸化アルミニウム、ガラス、中空ガラス等の安価な材料を好適に用いることができ、シェルに銀、金等の高導電率材料を用いた構造を好適に使用することができる。
導電性微粒子は中実粒子でもよいし、中空粒子でもよい。
導電性微粒子の形状としては、特に制限はないが、例えば、球形、多面体、ファイバー、角、フレーク、ニードル等が挙げられる。
ここで、平均二次粒子径とは、一次粒子が複数個集まって形成される凝集体(二次粒子)の平均粒子径のことである。微粒子の平均二次粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡によって測定できる。ここで粒子径とは、球状の材料については直径のことをいい、ファイバー状の材料については繊維の長さのことを言い、これら以外の材料については、その断面の中に引くことができる最も長い直線の長さのことを言う。
本実施形態において導電性粘着剤は、上記疎水性粘着性バインダーと導電性微粒子とを含むものであり、各種特性を調整するためにさらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、分散剤、界面活性剤、pH調整剤、溶媒等が例示される。
本実施形態において、導電性粘着剤中の導電性微粒子の含有量は、疎水性粘着性バインダーの固形分100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、100質量部以上であることがより好ましく、150質量部以上であることがさらに好ましく、650質量部以下であることが好ましく、350質量部以下であることがより好ましく、280質量部以下であることがさらに好ましい。10質量部以上であれば粘着剤が電極として使用するのに十分な導電性を発現し得、100質量部以上であれば粘着剤の抵抗値が皮膚の抵抗値よりも低くなりノイズのより少ない測定が可能となり、150質量部以上であれば皮膚の抵抗値に対して粘着性電極の抵抗値が無視できるほど小さくなる。また、650質量部以下であれば測定対象が静止状態である場合の測定が可能となる程度の粘着性を得ることができ、350質量部以下であれば粘着性が長時間維持され、280質量部以下であれば測定対象が運動中でも測定が可能となる粘着性を得ることができる。
本実施形態において、粘着性電極は、導電性粘着剤によって形成された粘着性電極層を有する。
粘着性電極層は、例えば、導電性粘着剤を塗布、成形、乾燥、熱硬化、光硬化、湿式処理等の工程を施すことによって形成することができる。
粘着性電極の構造に限定はなく、例えば、図1に例示するように、粘着性電極層のみからなっていてもよいし((a))、基材と基材上に形成された粘着性電極層とからなっていてもよいし((b))、さらに、粘着性電極層と基材の間に導体部を有するものであってもよい((c))。
基材を有する粘着性電極はハンドリングが容易であるため好ましく、導電性を有する基材を有する粘着性電極や、基材と粘着性電極層との間に導体部を有する粘着性電極はノイズの少ない測定が可能であるため特に好ましい。
基材は、粘着性電極層を支持できるものであれば特に限定されず、導電性を有していても有していなくてもよく、有機材料、無機材料、有機無機複合材料を用いることができる。有機材料として具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリイミド(PI)、シリコーン、紙フェノール、紙エポキシ、テフロン(登録商標)、等を用いることができる。特にPET及びPENは低コストで入手可能であり、事業の観点から有意であり好ましい。無機材料としては、アルミナ、セラミックス、コンポジット、ガラス、薄膜ガラス、金属箔等を用いることができる。有機無機複合材料として例えば、ガラスエポキシ、ガラスコンポジット、無機フィラーを分散した有機材料、表面に無機層コーティングした有機材料等を用いることができる。無機層のコーティング方法としては、ゾルゲル法、蒸着法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等が挙げられる。基材としては、装着感の観点からフレキシブルである(可撓性がある)ことが好ましく、具体的には、PET、PEN、PC、COP、PI、シリコーン、テフロン(登録商標)、薄膜ガラス、金属箔、無機フィラーを分散した有機材料、表面に無機層をコーティングした有機材料を用いることが好ましい。特にPETとPENは安価に入手できるため好ましく、PIははんだ付けが可能となるため好ましい。
基材の厚みに特に制限はないが、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。1μm以上であれば自立膜として利用可能となり、10μm以上であれば高強度な膜が得られハンドリングが容易となる。5mmより厚いとデバイス重量が大きくなり装着感が悪くなってしまうため5mm以下とすることが好ましい。1mm以下であれば柔軟性が得られるため好ましく、200μm以下であれば体表面電位測定デバイス上に衣服を着ても違和感のない厚みとなる。
また、粘着性電極層の厚みは、生体表面への固定等の観点から、100μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましく、さらに300μmより厚くすることも好ましい。粘着性電極層の厚みは、1mm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。
本発明者の研究によれば、粘着性電極層の厚みを厚くすると、生体表面への固定力が高まることが分かった。具体的には粘着性電極層の厚みが100μm以上であれば十分なクッション性が得られ良好な装着感を得ることができると共に生体表面への十分な密着を確保することができ、120μm以上であれば粘着性電極が生体表面(皮膚)の凹凸に追従するため粘着性電極と生体表面との間により良好な密着が得られノイズの小さい測定が可能となり、200μm以上であれば強い粘着性が得られるため測定対象が動作状態であっても測定が可能となる。とりわけ、粘着性電極層のみを単体で電極として使用する場合(図1(a))や可撓性基材上に粘着性電極層を設ける構成の場合(図1(b)、(c)で基材として可撓性のものを使用する場合には、粘着性電極層の厚みが上記の範囲にあると、生体表面への非常に強固な固定が可能となる。本実施形態においては粘着層自体を、それ自体が電極となるほど低抵抗にしたため、粘着層が電極とは別に設けられている従来の生体電極よりも粘着層の厚みを厚くすることが可能である。
粘着性電極層の厚みは1mm以下であれば電極として使用するのに十分な高い導電性が得られ、800μm以下であれば生体表面から電極を剥した後の導電性粘着剤の糊残りの心配がなくなり、500μm以下であれば粘着性電極を装着した上に衣服を着ても違和感のない厚みとなる。
また、基材、導体部、粘着性電極層それぞれの形状に特に制限はなく、これらは同一でもよいし、異なる形状でもよい。
非導電性粘着剤部の配置に特に限定はないが、例えば、図2(a)に示すように粘着性電極層の周囲を非導電性粘着剤部で囲うような構造にしてもよいし、図2(b)に示すように粘着性電極層と非導電性粘着剤部とからなる市松模様構造にしてもよいし、図2(c)に示すように粘着性電極層と非導電性粘着剤部からなるストライプ構造にしてもよい。
なお、図2の例はいずれも基材を有しているが、基材はなくてもよい。
本実施形態の電極を用いて、体表面電位測定デバイスを形成することができる。体表面電位測定デバイスは、例えば、本実施形態の電極を含むセンサと、基材と電子回路から形成される。
電子回路の有する機能は特に制限されないが、センサ、アナログフロントエンド、電源回路を有することが好ましい。また、制御回路、通信回路、表示回路、記憶回路等を有していてもよい。
アナログフロントエンドは、センサから出力されたアナログ信号に変換を加えて後段の回路へ信号を出力する機能を有している。アナログフロントエンドには、バッファ回路、増幅回路、レベルシフト回路、フィルタ回路(ハイパスフィルタ回路、ローパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路、バンドエリミネート回路等)、同相除去回路、加算回路、減算回路、積分回路、微分回路、整流回路、アナログ−デジタル変換回路等が含まれる。高出力インピーダンスの信号を減衰せずに取得するために、アナログフロントエンドにはセンサからの入力信号を受け取るためのバッファ回路を有することが好ましく、皮膚電位のような微小信号を取得するために増幅回路を有することが好ましく、ノイズ低減のためにフィルタ回路を有することが好ましい。
電源回路への電力の供給方法としては、バッテリー給電、有線給電、無線給電、エナジーハーベスティング等を用いることができる。バッテリー給電、無線給電、エナジーハーベスティングは持ち運び可能であるため好ましい。特に無線給電、エナジーハーベスティングは体表面電位測定デバイスを小型化できるため好ましい。
また体表面電位測定デバイスが高度な演算を行う場合は、制御回路にパターン認識部を備えてもよい。パターン認識部は、CPUに含まれてもよいが、専用のプロセッサを有してもよい。パターン認識部は、アナログフロントエンドから出力されたデータからパターンを抽出し、パターン毎に割り当てられた命令を出力する。
通信回路は、サーバーや中継機器へデータを転送する。データ転送は有線でも無線でも構わないが、無線であれば持ち運びが容易になるため好ましい。無線通信回路には、例えば、変調回路、復調回路、整流回路、記憶回路、アンテナ等が含まれる。変調方式に制限はないが、振幅変調、周波数変調、位相変調を用いることができ、また、直角位相振幅変調のような複数の変調方式を組み合わせた変調方式等を用いることができる。特に直角位相振幅変調方式はデータ転送速度が高いため好ましい。無線通信周波数帯に制限はないが、通信回路の入手が容易であるLF帯、HF帯、VHF帯、UHF帯を利用することが好ましい。
また、配線は絶縁性の材料を含有していてもよい。絶縁性の材料は、導電性の材料との積層構造を形成してもよいし、規則的/不規則的に混ざり合った構造を形成してもよい。絶縁性の材料を含有することで、配線自体の柔軟性及び配線と基材との密着性が向上し、屈曲や伸縮によって断線しない配線を得ることができるため好ましい。絶縁性の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)及びシリコーン樹脂等を用いることができる。封止材としては、弾性限界が大きく、弾性率が小さい材料が好ましい。具体的には、ゴム状材料を用いることが好ましく、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。配線における絶縁性の材料の含有量としては、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。配線における絶縁性の材料の含有量としては、1体積%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%であることがさらに好ましい。また、70体積%以下であることが好ましく、60体積%以下であることがより好ましく、50体積%以下であることがさらに好ましい。配線中の絶縁性材料の含有量は、配線断面を電子顕微鏡で観察する方法、熱重量測定によって組成比を見積もる方法等で確認することができる。
配線を形成する方法に特に制限はないが、蒸着法、スパッタ法、印刷法が例示される。蒸着法及びスパッタ法を用いてパターニングを行う手法としては、マスク蒸着とフォトリソグラフィがある。マスク蒸着は、所望の形状の孔を有するマスクを基材に重ねた状態で蒸着又はスパッタをし、マスクの孔部分にのみ材料を形成する方法である。印刷法は、基材上に導電性ペーストを印刷することで配線を形成する方法である。印刷法は、材料利用効率がよく、プロセスも簡潔であるため低コストでの配線形成が可能であるため好ましい。
導電性ペーストとしては、市販品を用いることができる。例えば、藤倉化成社製ドータイトシリーズ(FA−333、FA−353N、XA−602N、XA−436、FA−301CA、FA−401CA等)、ハリマ化成社製導電性ペースト(SCE−100、SP−100、SP−500、CP−700等)及びナノペースト(NPS−JL、NPS−J、NPS、NPS−HTB、NPS−HB、NPG−J等)等を用いることができる。
印刷に先立って、基材を洗浄してもよい。基材の洗浄方法として、例えば、薬液を用いる湿式処理やコロナ放電、プラズマ、UV、オゾン等を用いる乾式処理等を用いることができる。湿式処理と乾式処理の両方用いても良い。
印刷によって形成された配線から、好ましくは溶媒を除去する。この溶媒の除去は、印刷後の膜を、例えば20〜150℃において、例えば1分〜2時間静置する方法によることができる。この場合の加熱方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥等の手法を用いることができる。
印刷膜の膜厚は、印刷方法に応じて選択することができる。
例えば、インクジェット印刷を適用する場合の印刷膜の膜厚は、溶媒除去後の値として、0.1〜10μmとすることが好ましく、0.5〜5μmとすることがより好ましい。
スクリーン印刷を適用する場合には、溶媒除去後の印刷膜厚値として、1〜100μmとすることが好ましく、10〜50μmとすることがより好ましい。
反転印刷を適用する場合には、溶媒除去後の印刷膜厚値として、0.01〜5μmとすることが好ましく、0.1〜1μmとすることがより好ましい。
焼成処理は、例えば、焼成炉等の加熱処理装置を用いて行ってもよいし、プラズマ、マイクロ波プラズマ、紫外線、真空紫外線、電子線、赤外線ランプアニール、フラッシュランプアニール、レーザー等を用いて行ってもよい。特に、フラッシュランプアニール処理及びプラズマ処理は、導電性材料は強く加熱するが絶縁性材料はあまり加熱しないという特徴を有している。そのため、基材として樹脂基材を用いた場合、導電ペーストのみが加熱され、基材は熱ダメージを受けない。従って、PET等の安価な樹脂を基材に用いることができ、好ましい。特にプラズマ処理は、導電性ペースト表面のみが加熱される傾向があり、伝熱による基材へのダメージも少ないため、より好ましい。加熱処理装置を用いた加熱処理は、汎用的な設備を用いることができ、設備コストを低減することができるため好ましい。
焼成後に得られる配線を酸化させないため、印刷膜の焼成は非酸化性雰囲気下において行うことが好ましい。また、導電性ペーストに酸化物を含む場合には、該酸化物の還元を促進し、得られる配線の抵抗を可及的に低減するために、印刷膜の焼成は還元性雰囲気下において行うことがより好ましい。
上記の非酸化性雰囲気とは、酸素等の酸化性ガスを含まない雰囲気である。この非酸化性雰囲気としては、不活性雰囲気と還元性雰囲気とがある。不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気である。
上記の還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。還元性ガスとしては、不活性ガスに還元性ガスを少量混合した混合ガスが、安全性の観点から好適に用いることができる。この場合の混合ガスとしては、例えば、
5.7体積%以下の水素と、窒素と、から成る混合ガス;
2.9体積%以下の水素と、ヘリウム及びアルゴンから成る群より選択される1種以上の不活性ガスを含有するガスと、から成る混合ガス
等を用いることができる。これらの混合ガスは、非可燃性であるため、より安全に利用することができる。
これらのガスを焼成炉中に充填し、密閉系として印刷膜を焼成してもよい。焼成炉を流通系にして、これらのガスを流しながら印刷膜を焼成してもよい。印刷膜を非酸化性雰囲気で焼成する場合には、焼成炉中を一旦真空に引いて焼成炉中の酸素を除去した後に、非酸化性ガスで置換することが好ましい。
焼成処理は、加圧下で行なってもよいし、減圧下で行なってもよい。
上記したとおり、本実施形態における焼成処理としては、加熱処理、プラズマ処理、又はフラッシュランプアニール処理によることが好ましい。以下、これらの処理について説明する。
高温の媒体に特に指定はないが、例えば、空気、不活性ガス、還元性ガス、液体、金属、セラミック、等を用いることができる。
媒体を加熱する熱源に特に指定はないが、例えば、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、抵抗加熱ヒーター、マイクロ波ヒーター、燃焼加熱ヒーター等を用いることができる。遠赤外線ヒーターとしては、例えば、ハロゲンヒーター、石英管ヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーター、メタルヒーター等を用いることができる。近赤外線ヒーターとしては、例えば、ハロゲンヒーター等を用いることができる。抵抗加熱ヒーターとしては、例えば、メタルヒーター、セラミックヒーター等を用いることができる。メタルヒーターの発熱体としては、例えば、鉄−クロム−アルミ系合金、ニッケル−クロム系合金等の合金、及び白金、モリブデン、タンタル、タングステン等の金属を用いることができる。セラミックヒーターの発熱体としては、例えば、炭化ケイ素、モリブデン−シリサイト、カーボン等を用いることができる。マイクロ波ヒーターとは、100kHzから10GHz程度の電磁波によって対象物を加熱する方式のヒーターである。燃焼加熱ヒーターとは、重油、ガス等の可燃物を燃焼した際の燃焼熱によって対象物を加熱する方式のヒーターである。
加熱処理温度は、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。加熱処理温度が300℃以下であればPI等の耐熱フレキシブル基材を用いてフレキシブルプリント基板を形成することができ、200℃以下であればPCやPEN等の透明フレキシブル基材を用いて透明フレキシブルプリント基板を形成することができ、150℃以下であればPET等の耐熱性の低いが安価な汎用樹脂基板を用いて安価にフレキシブルプリント基板を形成することができる。また、加熱処理温度は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。20℃以上であれば、熱振動によって導電性材料が印刷膜中を移動し、導電性材料同士が接触することにより、体積抵抗率を下げることができる。30℃以上であれば、印刷膜中の有機物の軟化により粒子の印刷膜中での移動が高速化する。さらに、有機物が軟化すると、導電性材料と有機物との比重差によって導電性材料が沈降し、導電性材料の層と有機物の層とに分離し、導電性材料間に絶縁性の有機物が入りにくくなるため、より体積抵抗率を下げることができる。50℃以上であれば、導電性材料同士の焼結が進行するためさらに体積抵抗を下げることができる。
加熱処理時間は、1分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましい。加熱処理時間が1分秒以上であれば、導電性材料同士を接触させることによって焼成膜の抵抗を下げることができ、10分以上であれば導電性材料同士の焼結が進むことにより、さらに焼成膜の抵抗を下げることができる。また、加熱焼成時間は4時間以下であることが、基材への熱ダメージ低減の観点から好ましい。
プラズマの発生方法に特に指定はないが、例えば、直流アーク放電、高周波電磁場、マイクロ波等を利用する方法を用いることができる。特に、マイクロ波を利用する方法は、低温でプラズマを発生することができるから、基材に与える熱ダメージが小さいため、好ましい。マイクロ波とは、具体的には、周波数が300MHz〜3THzである電磁波のことをいう。マイクロ波の中心周波数としては、2GHz〜4GHzであることが好ましく、2.4GHz〜2.5GHzであることが更に好ましい。
マイクロ波プラズマを発生させる装置は、例えば、マイクロ波発振器、伝送回路、アンテナ、及び放電容器から構成される。これらに加え、必要に応じて磁場発生装置を、更に用いてもよい。この装置において、プラズマは、前記放電容器内に発生する。マイクロ波発振器としては、例えば、クライストロン、マグネトロン、ジャイロトロン等を用いることができる。伝送回路としては、例えば、矩形導波管、円形導波管、同軸線路等を用いることができる。伝送回路の途中に、パワーモニタ、及び反射電力を吸収するダミーロードを取り付けてもよい。装置の構造としては、例えば、上部に伝送線路を有し、下部に放電容器を有し、該伝送線路と該放電容器とが石英窓を介して接続され、試料台が該放電容器下部に設置されていることが好ましい。
マイクロ波の出力に特に指定はないが、100W以上3kW以下の出力であることが好ましい。マイクロ波の出力は、処理中一定でもよいし、途中で変化させてもよい。
試料台の温度に特に指定はないが、30℃以上150℃以下であることが好ましい。この温度が150℃以下であれば、基材として、PET等の耐熱性の低い汎用樹脂基板を用いることができる。30℃以上であれば低抵抗な配線が得られる。
プラズマ処理時の周囲雰囲気に特に指定はないが、還元性雰囲気であることが好ましい。周囲雰囲気は、例えば、放電容器内に適当なガスを流すことにより、制御することができる。ガスの流量に特に指定はないが、減圧下であれば10SCCM以上1,000SCCM以下であることが好ましく、50SCCM以上500SCCM以下であることがより好ましく、100SCCM以上300SCCM以下であることが更に好ましい。大気圧下であれば、500SCCM以上10,000SCCM以下であることが好ましく、1,000SCCM以上6,000SCCM以下であることがより好ましく、2,000SCCM以上4,000SCCM以下であることが更に好ましい。特に、不活性ガスに少量の水素を混合して成る混合ガスを流すことにより、還元性雰囲気を形成することが好ましい。この混合ガス中の不活性ガスとしては、例えば、窒素;ヘリウム、アルゴン等の希ガス等を用いることができる。混合ガス中の水素の含有量としては、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上6質量%以下である。
放電容器内の圧力は、大気圧でもよいし、減圧されていてもよい。
プラズマ処理時間に特に指定はないが、10秒以上30分以下であることが好ましく、30秒以上10分以下がより好ましく、1分以上5分以下が更に好ましい。
フラッシュランプアニール処理に用いる光源としては、例えば、キセノンランプ、クリプトンランプ等を用いることができる。
光源の波長は、可視光領域であれば、透明樹脂基板へ熱ダメージを与えることなく印刷膜を焼成することができるため、好ましい。光源の波長は、カラーフィルタを介することにより、容易に制御することができる。
パルス当たりのエネルギーとしては、特に指定はないが、1J以上3,000J以下であることが好ましく、10J以上2,000J以下であることがより好ましく、100J以上1,500J以下であることが更に好ましい。
パルス時間には特に指定はないが、10μ秒以上100m秒以下であることが好ましく、50μ秒以上10m秒以下であることがより好ましく、100μ秒以上5m秒以下であることが更に好ましい。ここで、パルス時間とは、パルス光照射のためにランプに電力を投入した時刻から、パルス光消灯のためにランプへの電力供給を停止した時刻までの時間をいう。
試料に対し、複数回パルス光を照射してもよい。パルス間隔に特に指定はないが、10μ秒以上1秒以下であることが好ましい。ここで、パルス間隔とは、パルス光の照射のためにランプに電力を投入した時刻から、次のパルス光の照射のためにランプに電力を投入した時刻までの時間をいう。
試料台の温度に特に指定はないが、30℃以上150℃以下であることが好ましい。この温度が150℃以下であれば、基材として、PET等の耐熱性の低い汎用樹脂基板を用いることができる。30℃以上であれば緻密な銅膜が得られる。
フラッシュランプアニール処理時には、容器内にガスを流してもよい。この場合、ガス流によって試料が冷却されるため、基材の熱ダメージを低減することができる。
フラッシュランプアニール処理時の周囲雰囲気に特に指定はないが、還元性雰囲気であることが好ましい。この還元性雰囲気の具体例及びガス流量については、プラズマ処理時の還元性雰囲気について上記したところと同様である。
フラッシュランプアニール処理の後に、更に、加圧処理を行ってもよい。フラッシュランプアニール処理後に試料を加圧することによって、形成された銅膜をより緻密にすることができるため、好ましい。加圧方法としては、例えば、ローラープレス、平板プレス等を用いることができる。特にローラープレスは大面積のプレスに向いているため、好ましい。
一般的に、能動部品、ASIC等の半導体部品はシリコンウェハを用いて形成されるが、薄膜トランジスタによって形成された部品を用いることもできる。薄膜トランジスタによって形成された部品は、部品自体が柔軟性を有するため、体表面電位測定デバイスを極めてフレキシブルに形成することができるため好ましい。薄膜トランジスタとは、トランジスタのチャネルとなる半導体層が薄膜プロセスによって形成されたトランジスタのことを言う。薄膜プロセスとは、薄膜を形成するプロセスの総称で、例えば、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ALD法、印刷法等が含まれる。
半導体材料としては、有機半導体材料、無機半導体材料、有機無機複合半導体材料を用いることができる。
有機半導体材料としては、炭素材料、高分子有機半導体材料及び低分子有機半導体材料を使用することができる。高分子有機半導体材料は印刷による成膜が可能であり、低コストでの製造が可能である。低分子有機半導体材料は、一般に純度が高く、直流バイアスや温度による特性変化が小さく、動作安定なデバイスを実現することができる。
高分子有機半導体材料としては、例えばπ共役ポリマー、π共役グラフトポリマー、π共役ブロックポリマー等を使用することができる。ここで、π共役ポリマーとは、ポリマー主鎖のπ共役が途切れることなく続いている材料をいう。π共役ブロックポリマーとは、2種類以上の繰り返し単位を有し、少なくとも1種類のπ共役構造を有する繰り返し単位を有する共重合体をいう。π共役グラフトポリマーとは、側鎖にπ共役構造を有するポリマーをいう。
P型高分子有機半導体材料としては例えば、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリジアセチレン誘導体、ポリトリフェニルアミン誘導体、ポリアセン誘導体、ポリフルオレン誘導体、トリフェニルアミンとフェニレンビニレンとの共重合誘導体、チオフェンとフェニレンとの共重合誘導体、チオフェンとチエノチオフェンとの共重合誘導体、チオフェンとフルオレンとの共重合誘導体等を使用することができる。P型高分子有機半導体材料としては具体的には、ポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ[2,5−ビス(3−テトラデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン]、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]等を使用することができる。
N型高分子有機半導体材料としては例えば、ポリベンゾビスイミダゾベンゾフェナントロリン誘導体、ポリチアゾール誘導体、ポリフルオロチオフェン誘導体、ポリフルオロフェニレン誘導体、ポリシアノテレフタリデン誘導体、フルオレノン骨格を有するポリマー、9,9−ビスシアノエチルフルオレン骨格を有するポリマー、チアゾール骨格を有するポリマー、ベンゾチアジアゾール骨格を有するポリマー、トリアゾール骨格を有するポリマー、ベンゾチアゾール骨格を有するポリマー、ナフタレンテトラカルボキシジイミド骨格を有するポリマー、ペリレンテトラカルボキシジイミド骨格を有するポリマー等を使用することができる。
P型低分子有機半導体材料としては例えば、アセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ピセン誘導体、チエノアセン誘導体、フェニレンビニレン誘導体、フルオレン誘導体、オリゴフラン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、アザアセン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、カルバゾール誘導体等を使用することができる。P型低分子有機半導体材料として具体的には、テトラセン、ペンタセン、ルブレン、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、C8−BTBT(アルドリッチ社)、DNTT、C10−DNTT、DNT(ジナフトチオフェン)、アルキルジナフトチオフェン、フタロシアニン銅(II)、4,4'−ビス(N−カルバゾリル)−1,1'−ビフェニル、N,N'−ジ−[(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニル]−(1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジアミン等を使用することができる。
N型低分子有機半導体材料としては例えば、フルオロアセン誘導体、パーフルオロアルキル基を有するπ共役分子、パーフルオロフェニル基を有するπ共役分子、シアノ基を有するπ共役分子、ナフタレンテトラカルボキシジイミド誘導体、ペリレンテトラカルボキシジイミド誘導体、コロネンイミド誘導体、フラーレン誘導体等を使用することができる。N型低分子有機半導体材料としては具体的には、1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフルオロフタロシアニン銅(II)、N,N'−ジオクチル−3,4,5,10−ペリレンテトラカルボキシジイミド、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチル等を使用することができる。
炭素材料としては、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等を使用することができる。
無機半導体材料としては、単体元素半導体、酸化物半導体、化合物半導体、硫化物半導体等を用いることができる。単体元素半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムが例示される。酸化物半導体としては、例えば、IGZO(インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化第一銅等が例示される。化合物半導体としては、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、ガリウムリン(GaP)、カドミウムセレン(CdSe)、炭化ケイ素(SiC)、インジウムアンチモン(InSb)、窒化ガリウム等が例示される。硫化物半導体としては、例えば、硫化モリブデン、硫化カドミウム等が例示される。
無機半導体材料の結晶構造は特に制限されない。アモルファス構造の無機半導体は柔軟性があり装着感の良いデバイスを形成できるため好適に用いることができる。
有機無機複合半導体材料としては、上述した無機半導体材料と有機材料を組み合わせた半導体材料や、無機材料と有機半導体材料を組み合わせた半導体材料や、無機半導体材料と有機半導体材料を組み合わせた半導体材料などが挙げられる。
電子部品と配線との接続部分は、金属で形成されてもよいし、金属と有機物の複合体から形成されてもよい。接続部分に有機物を有すると、デバイスを曲げることによる電子部品の脱落を防止できるため好ましい。接続部分に用いる有機物としては、硬化性の樹脂を用いることができる。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂等を用いることができる。特に、エポキシ系樹脂は金属との接続強度が大きいため好ましい。
接合材料としては、例えば、はんだ、導電性ペースト、導電性接着剤、異方導電性接着剤等が例示される。特に、導電性接着剤及び異方導電性接着剤は、フレキシブル基材上での実装可能なほど低温で接合できるため好ましい。導電性接着剤としては、例えば、アサヒ化学研究所社製導電性接着剤LS−109、藤倉化成社製ドータイトFA−705BN、XA−874、XA−910、SA−2024、XA−220MV、XA−519B、FA−730、XA−819A、D−753、A−3/C−3、ナミックス社製表面実装接着剤H9626、H9672、ダイアタッチ剤H9607、H9863、H9683、H9800、H9870、Sk70N、H9940、フリップチップ用接続剤H9807、スリーボンド社製導電性樹脂TB3303G(NEO)、TB3331L、TB333C、TB3351C等を用いることができる。
また、薄膜トランジスタは基材上への直接形成が可能であり、極めて薄い電子回路を形成することができるため好ましい。
フレキシブルな体表面電位測定デバイスは、装着感が良いため不快感なく長時間着用することができ、また、体表面(皮膚)の形状に沿わせて装着可能となるため体表面と体表面電位測定デバイスとの密着性が向上し、より正確な信号を取得することができる。ここでフレキシブルとは、マクロに見てデバイスが曲げ可能である状態をいい、局所的にリジッドな部分があってもよい。ここで、局所的とは2500mm2以下4mm2以上の領域の場合をいう。曲げ可能な曲率半径は、1,000m以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましく、100mm以下であることがさらに好ましい。1,000mm以下であれば人間の胴体に装着することが可能となり、500mm以下であれば人間の脚部に装着することが可能であり、100mm以下であれば人間の上肢に装着することが可能となる。
基材の厚みに特に制限はないが、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。1μm以上であれば自立膜として利用可能となり、10μm以上であれば高強度な膜が得られハンドリングが容易となる。5mmより厚いとデバイス重量が大きくなり装着感が悪くなってしまうため5mm以下とすることが好ましい。1mm以下であれば柔軟性が得られるため好ましく、200μm以下であれば体表面電位測定デバイス上に衣服を着ても違和感のない厚みとなる。
有機材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)及びシリコーン樹脂等を用いることができる。封止材としては、弾性限界が大きく、弾性率が小さい材料が好ましい。具体的には、ゴム状材料を用いることが好ましく、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。ゴム状材料は厚膜でも柔軟性を発現するため、柔軟性を付与しながら、厚いチップ型の電子部品を用いた体表面電位測定デバイスの表面を平滑に封止することができる。特に、シリコーン樹脂は高い柔軟性、クッション性、耐薬品性を有するため、内部の電子回路を保護する能力が高く、体表面電位測定デバイスの耐久性を向上させることができるため好ましく、加えて、生体親和性が高いため長時間着用可能である。
無機材料としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物、金属炭化物、金属炭酸化物、金属窒化物等を用いることができる。具体的には、酸化ケイ素、酸化銀、酸化銅、酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化ホルミウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化アンチモン、酸化サマリウム、酸化テルビウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、フッ化銀、フッ化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化ジルコニウム、フッ化チタン、フッ化ハフニウム、フッ化タンタル、フッ化スズ、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化コバルト、フッ化ホルミウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、フッ化マンガン、フッ化モリブデン、フッ化ニッケル、フッ化アンチモン、フッ化サマリウム、フッ化テルビウム、フッ化タングステン、フッ化イットリウム、フッ化亜鉛、フッ化リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、窒化銅、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化スズ、窒化カルシウム、窒化セリウム、窒化コバルト、窒化ホルミウム、窒化ランタン、窒化マグネシウム、窒化マンガン、窒化モリブデン、窒化ニッケル、窒化アンチモン、窒化サマリウム、窒化テルビウム、窒化タングステン、窒化イットリウム、窒化亜鉛、窒化リチウム、窒化ガリウム、SiC、SiCN、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等を用いることができる。
有機無機複合材料としては、無機微粒子を分散した有機材料等を用いることができる。封止剤は単独で用いてもよいし、複数用いてもよい。有機材料と無機材料を積層して封止することで高いバリア性と柔軟性を同時に実現することができる。体表面電位測定デバイスの片面を封止してもよいし両面を封止してもよいし、一部のみ封止することもできる。封止剤の厚みは、体表面電位測定デバイスの表面の凹凸を平らにする厚み以上であることが好ましい。体表面電位測定デバイスの表面の凹凸がなくなることで装着感が良くなる。
センサは体表面電位をセンシングし、信号を取得する。アナログフロントエンドでは、センサで取得した信号を変換する。信号の変換には、増幅、フィルタリング、整流、A/D変換等がある。制御部では、体表面電位測定デバイス各部の制御を行う。取得した信号の解析は制御部で行うことができる。記憶部では、情報の記憶及び呼び出しを行う。通信部では、体表面電位測定デバイスと他の機器との通信を行う。電源部は体表面電位測定デバイス各部へ電力を供給する。
センサ及びアナログフロントエンドは、フレキシブルであることが好ましい。センサ及びアナログフロントエンドがフレキシブルであれば、体表面に装着したときの装着感が良くなり不快感なく長時間着用することができ、また、体表面(皮膚)の形状に沿わせて装着可能となるため体表面と体表面電位測定デバイスとの密着性が向上し、より正確な信号を取得することができる。
センサは、測定用電極として本実施形態の電極を含む。
センサとアナログフロントエンドの一部が一体化され、アナログフロントエンドの残りの回路が別領域に形成されてもよい。例えば、図5(a)のように別基材上に形成された形態や、図5(b)、(c)のように同一基材上の離れた場所に形成されて形態が例示される。
アナログフロントエンドはバッファ回路を構成要素とすることが好ましい。バッファ回路は高入力インピーダンスであるため、体表面が高インピーダンスであっても正確な信号を取得することができ、また、低出力インピーダンスであるため、後段の回路との距離を大きくすることができ、デバイスデザインの自由度が向上する。バッファ回路はセンサと一体化されていることが好ましい。バッファ回路とセンサを一体化することで、センサからバッファ回路までの配線でノイズが乗ることを防止し、正確な信号を取得することができる。バッファ回路は、薄膜トランジスタによって形成されていることが好ましい。バッファ回路を薄膜トランジスタで形成すると、体表面電位測定デバイスの体に密着させる部位をよりフレキシブルに形成することができ、より良い装着感を得ることができる。
アナログフロントエンドのうち、センサと一体化させる機能は少なくすることが好ましい。具体的には、バッファ回路のみ、またはバッファ回路とスイッチング素子のみを、センサと一体化させることが好ましい。
また、アナログフロントエンドには、増幅回路及びフィルタ回路を有することが好ましい。増幅回路を有することで微小な信号であることが多い体表面電位を高感度に取得することができる。フィルタ回路を用いることでノイズを低減することができ、また、不要な周波数の信号を除去することでデータ量を低減することができる。
1次元アレイ電極は、直線上に複数の測定用電極を配置した電極である。また、2次元アレイ電極は、平面上に複数の測定用電極を配置した電極である。2次元アレイ電極における測定用電極の配置に特に制限はないが、例えば、格子状、ハニカム状等であってよい。アレイ電極を用いることで、体表面電位測定デバイスを適切に位置に装着することが容易になり、また、多点の電位情報を取得することができるようになる。
図6は、センサアレイの各出力がアナログフロントエンドに直接入力されている。この構成の場合、回路が単純化でき、また、センサ情報を同時に取得できるというメリットがある。
図7は、アクティブマトリクス方式のセンサアレイの一例を示している。アクティブマトリクス方式のセンサアレイの各点の回路構成は同様のため、センサ11近傍の回路SC1を例にとってアクティブマトリクス方式のセンサアレイの回路構成を説明する。図7に示すように、SC11は、ゲートラインGL1及びシグナルラインSL1の交差位置近傍に形成されたスイッチング用トランジスタT11を有している。スイッチング用トランジスタのドレイン端子は電源ラインPLに、ゲート端子はゲートラインGL1に、ソース端子はバッファ回路Buf11に接続されている。また、SC11は、スイッチング用トランジスタT11のソース端子に電源入力端子が接続されたバッファ回路Buf11を有している。バッファ回路Buf11の入力端子はセンサ11に、出力端子はシグナルラインSL1に接続されている。さらに、バッファ回路Buf11の入力端子に接続されたセンサを有している。ゲートラインはゲートドライバに、シグナルラインはアナログフロントエンドに、電源ラインは電源回路にそれぞれ接続されている。バッファ回路を用いることで配線に乗るノイズを低減することができるため、ゲートライン、シグナルライン、電源ラインは任意の長さに設定することができる。
次にアクティブマトリクス方式のセンサアレイの動作について図7を用いて説明する。ゲートドライバからスイッチング信号をm本のゲートラインに順番に入力することで、ゲートライン上のスイッチングトランジスタをON状態にする。スイッチングトランジスタがON状態になることでバッファ回路が動作し、センサから出力される信号をシグナルラインへと伝達する。シグナルラインへ伝達されたセンサ信号は、アナログフロントエンドへ入力される。アクティブマトリクス方式は、図6のような形式に比べ、配線数を少なくすることができ、配線不良低減やデバイスを小型化できるため好ましい。例えば、ゲートラインGL1にスイッチング信号が入力されると、ゲートラインGL1に接続されたスイッチングトランジスタT11〜T1nがON状態となる。このとき、GL2〜GLmにはスイッチング信号が入力されないため、スイッチングトランジスタT21〜TmnはOFF状態である。スイッチングトランジスタT11〜T1nがON状態となることで、バッファ回路Buf11〜Buf1nが動作し、センサ11〜センサ1nの信号がそれぞれシグナルラインSL1〜SLnへと伝達される。このとき、Buf21〜Bufmnは動作しておらず、センサ21〜センサmnの信号はシグナルラインとは絶縁されるため、各シグナルラインに2つ以上のセンサ信号が入力されることはない。
次に図8の構成について説明する。これは図7のバッファ回路をバッファトランジスタで置換した構成である。バッファトランジスタのドレイン端子はスイッチングトランジスタのソース端子に、ゲート端子はセンサに、ソース端子はシグナルラインに接続されている。図8の構成は素子数が少なく、また液晶パネルと同様の工程で製造できるため、製造が容易である。ここで、m及びnは任意の正数である。バッファ回路とスイッチングトランジスタは薄膜トランジスタで形成することが好ましい。また、バッファ回路とスイッチングトランジスタとセンサは同一フレキシブル基材上に形成されることが好ましく、センサとバッファ回路は隣接して、または積層して形成されることが好ましい。同一基材上に形成することで、体表面に密着させる必要があるセンサ部をフレキシブルにすることができるため良好な装着感を得ることができる。
図10に示すように、本実施形態の粘着性電極は、体表面電位測定デバイスの電子回路と一体化されてもよい。粘着性電極と電子回路は基材上で横並びに形成されてもよいし、積層して形成されてもよい。積層する場合は、電子回路と電極の間に保護層を設けることが電子回路保護の観点から好ましい。保護層としては、基材を保護層として用いることもできるし、絶縁性材料を用いて保護層を形成することもできる。
一般的に、多点の信号を取得するためには多数の電極を用いなければならず、装着が非常に煩わしい。また、同一基材上に複数の電極を形成した場合でも、何らかの理由で電極間が導通することがあり長時間の測定ができないという問題もある。同一基材上に互いに絶縁された複数の粘着性電極層を有する粘着性電極を用いれば、多点の信号を容易に、かつ、長時間取得できる。
[心電計]
心電計とは、心電位を測定するための体表面電位測定デバイスのことである。
心電計はフレキシブル基材上に形成されることが好ましい。フレキシブル基材を用いることで、フレキシブルな心電計を形成することができるため、装着感が良くなり不快感なく長時間着用することができ、また、皮膚形状に沿わせて装着可能となるため体表面と体表面電位測定デバイスとの密着性が向上し、より正確な信号を取得することができる。
心電計は少なくとも2つの測定用電極を有し、一方の測定用電極を心臓の近くに装着し、もう一方の測定用電極を心臓から遠い位置に装着し、これら電極間の電位差を測定することで、心電位を測定することができる。心電計は、測定用電極を3つ以上有していてもよく、任意の2つの測定用電極の組み合わせそれぞれに対応した心電位を取得することができる。一般的に10個の測定用電極を用いて、12誘導心電図と呼ばれる心電図が測定されている。測定用電極間の距離は、近すぎると電位差が生じないため心電位を測定できない。測定用電極間距離は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることがさらに好ましい。10mm以上であればR波を測定しやすくなり、20mm以上であればP波及びT波を測定しやすくなり、50mm以上あればQ波及びS波を測定しやすくなる。測定用電極のインピーダンスは10kΩ以下であることが好ましく、100Ω以下であることが好ましく、10Ω以下であることがさらに好ましい。通常、皮膚の抵抗は数kΩであるため、測定用電極のインピーダンスが10kΩ以下であれば心電図を測定することができ、100Ω以下であれば減衰なく測定することができる。また、濡れた皮膚の抵抗は数100Ωであるため、測定用電極のインピーダンスが10Ω以下であれば減衰なく心電図を測定することができる。
心電計は、測定用電極とは別にグランド電極を有してもよい。ここでグランド電極とは、体表面の電位を一定に保つために装着する電極を言う。グランド電極には、体表面電位測定デバイスのグランド電位から見て一定の電圧が常に出力されており、グランド電極を皮膚に装着することで、体表面の電位が体表面電位測定デバイスのグランド電位から見て一定電圧に保たれるよう体表面電位測定デバイスから電力が供給される。
測定用電極の装着位置は、特に限定されないが、心臓の中心部と同程度の高さの胸部に装着することが好ましい。例えば、第4肋骨胸骨右縁(V1)、第4肋骨胸骨左縁(V2)、鎖骨中線と第5肋間を横切る水平線との交点(V4)、V2とV4の中央(V3)、V4の高さの水平線と前腋窩線との交点(V5)、V4の高さの水平線と中腋窩線との交点(V6)、V1〜V6から離れた位置(例えば腹部)に装着することが好ましい。
本実施形態においては、測定用電極及びグランド電極として、本実施形態の粘着性電極を用いることができる。粘着性電極を用いれば、測定対象が動作した場合にも測定位置がずれることがなく必要な情報を取得することができる。粘着性電極は、1つの基材上にV1〜V6に貼りつけるべく配置された粘着性電極層を有していてもよい。
図13に心電計の構成例を示す。例示する心電計は電極とアナログフロントエンドから構成されている。心電計から出力されたアナログ信号は、外部の測定機で測定することができる。アナログフロントエンドのゲインは、10〜1,000であることが好ましく、周波数特性は0.1Hz以上10kHz以下の周波数の信号を通過させる特性を有することが好ましい。
アナログフロントエンドには、バッファ回路、増幅回路、フィルタ回路を有していることが好ましい。バッファ回路には、例えば、高入力インピーダンスの増幅回路(ボルテージフォロワ含む)を用いることができる。バッファ回路の入力インピーダンスとしては、100kΩ以上であることが好ましく、1MΩ以上であることがより好ましく100MΩ以上であることがさらに好ましい。増幅回路には差動増幅回路を用いることが好ましい。差動増幅回路を用いることで2つの測定用電極にのる同相ノイズを除去することができる。フィルタ回路は、周波数0.1Hz以上、10kHz以下の信号を通過させるバンドパスフィルタを用いることが好ましい。バンドパスフィルタは、ローパスフィルタとハイパスフィルタを直列に接続した構成を用いてもよい。
筋電計とは、表面筋電位を測定するための体表面電位測定デバイスのことである。筋電計はフレキシブル基材上に形成されることが好ましい。フレキシブル基材を用いることで、フレキシブルな筋電計を形成することができるため、装着感が良くなり、また、皮膚形状に沿わせて装着可能となるため皮膚と体表面電位測定デバイスとの密着性が向上し、より正確な信号を取得することができる。
筋電計は少なくとも2つの測定用電極を有する。筋肉に沿って2つの測定用電極を装着し、これら電極間の電位差を測定することで、筋電位を測定することができる。筋電計は、測定用電極を3つ以上有していてもよく、任意の2つの測定用電極の組み合わせそれぞれに対応した筋電位を取得することができる。測定用電極間の距離は、近すぎると電位差が生じないため心電位を測定できない。測定用電極間距離は、クロストークを防止するため5mm以上であることが好ましい。筋電計には、アレイ電極を用いることができる。筋繊維に沿って1次元アレイ電極を装着することで、容易に筋電位を大振幅の信号として取得することができる。2次元アレイ電極を用いることで、複数の筋肉の情報を同時に取得することができ、また、2次元アレイ電極の適切な電極の組を選択することで必要な筋電位を取得できるため筋電計装着に専門知識や訓練が不要となり簡便な測定が可能となる。2次元アレイ電極の測定用電極数としては、4個以上であることが好ましく、16個以上であることが好ましく、30個以上であることがさらに好ましい。4個以上あれば1つの筋肉から発生する筋電位を高感度に取得することができ、16個以上あれば上肢の動作を詳細に分類することができ、30個以上あれば内側の筋肉の筋電位を推定することができる。上肢動作の分類器としては、例えば、Pattern Classification of Combined Motions Based on Muscle Synergy Theory、日本ロボット学会誌、Vol.28、No 5,pp606,2010を参考にすることができる。
測定用電極のインピーダンスの好ましい範囲は心電計と同様である。
筋電計は、測定用電極とは別にグランド電極を有してもよい。ここでグランド電極とは、心電計のグランド電極と同様のものである。
本実施形態においては、測定用電極及びグランド電極として、本実施形態の電極を用いることができる。粘着性電極を用いれば、測定対象が動作した場合にも測定位置がずれることがなく必要な情報を取得することができる。
筋電計の構成例としては、図13に示した心電計の構成例と同様の構成を例示することができる。例示する筋電計は電極とアナログフロントエンドから構成されている。筋電計から出力されたアナログ信号は、外部の測定機で測定することができる。アナログフロントエンドのゲインは、100〜100,000であることが好ましく、周波数特性は0.1Hz以上10kHz以下の周波数の信号を通過させる特性を有することが好ましい。
アナログフロントエンドには、バッファ回路、増幅回路、フィルタ回路を有していることが好ましい。バッファ回路には、例えば、高入力インピーダンスの増幅回路(ボルテージフォロワ含む)を用いることができる。バッファ回路の入力インピーダンスとしては、100kΩ以上であることが好ましく、1MΩ以上であることがより好ましく100MΩ以上であることがさらに好ましい。増幅回路には差動増幅回路を用いることが好ましい。差動増幅回路を用いることで2つの測定用電極にのる同相ノイズを除去することができる。フィルタ回路は、周波数0.1Hz以上、10kHz以下の信号を通過させるバンドパスフィルタを用いることが好ましい。バンドパスフィルタは、ローパスフィルタとハイパスフィルタを直列に接続した構成を用いてもよい。
図14に筋電アクチュエータの動作フローの一例を示す。筋電アクチュエータは、筋電位取得、信号前処理、特徴量抽出、分類、動作の選択、動力制御、の工程を経て動作する。筋電位取得は、筋電計を用いて利用者の筋電位を計測する工程である。信号前処理は、取得した筋電位に増幅、フィルタリング、アナログ/デジタル変換等の信号処理を加え、特徴量抽出しやすい形に調整する工程である。特徴量抽出は、前処理した信号から分類器へ入力する特徴量を抽出する工程である。分類は、分類器に特徴量を入力し、クラスを特定する工程である。動作の選択は、分類されたクラスに対応するアクチュエータの動作を選択する工程である。動力制御は、選択された動作をアクチュエータにさせるため、各駆動部の制御信号を生成し、動力へ伝達する工程である。
筋電アクチュエータは、体表面電位測定デバイスとアクチュエータから構成される。必要に応じて中継機器を用いてもよい。これらの構成で図14に示す動作フローを遂行するが、それぞれが有する機能に限定はない。筋電アクチュエータの構成としては、例えば、図15(a)に示すように筋電位取得、信号前処理、特徴量抽出、分類、動作の選択までの機能を有する体表面電位測定デバイスと動力制御機能を有するアクチュエータとからなる構成や、図15(b)に示すように利用者の筋電位取得、信号前処理、無線データ送信機能を有する体表面電位測定デバイスと、無線データ送受信、特徴量抽出、分類、動作の選択機能を有する中継機器と、無線データ受信と動力制御機能を有するアクチュエータとからなる構成が例示される。図15(a)の構成の筋電アクチュエータは、中継機器を要さないため高速のデータ解析が可能であり、リアルタイム性の高い動作が可能である。図15(b)の構成の筋電アクチュエータは、体表面電位測定デバイスとアクチュエータとを中継機器を介して無線接続しており、体表面電位測定デバイスとアクチュエータを別体とすることができるためデバイス形状の設計自由度が向上する。また、機能を中継機器に持たせることで体表面電位測定デバイス及びアクチュエータの小型化、省電力化が可能となる。 筋電アクチュエータとして、具体的には、筋電義手や、筋電義足、筋電パワードスーツ等が例示される。パワードスーツとは、動作の力学的なアシストを目的としたデバイスである。
上記具体例のうち、筋電義手は、上肢の筋電位から上肢の動作を識別し、上肢の形状をしたアクチュエータを動作させるデバイスである。筋電義手も図14に示すようなフローで動作する。
利用者の筋電位取得工程では、上肢筋の筋電位を取得することが好ましい。上肢筋の筋電位としては、例えば、尺側手根伸筋、尺側手根屈筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋、長母指外転筋、母子球筋群、短掌筋、肘筋、指伸筋、短母指伸筋、長母指伸筋、小指伸筋、総指伸筋、円回内筋、腕橈骨筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋等が例示される。特に、尺側手根伸筋、尺側手根屈筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋を測定することで、指の曲げ、手首の曲げ、手首のひねりを識別することができる。筋電計は、これらの筋電位を取得可能な位置に測定用電極を有することが好ましい。
導電性粒子の平均2次粒子径、並びに、粘着性電極層の厚み、粘着性電極の導電性、粘着性及び装着感の測定/評価は、以下のようにして行った。なお、以下、特に断りのない場合は、25℃、湿度45%の条件で測定/評価を行った。
(1)平均2次粒子径
平均2次粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて測定した。具体的な操作を説明する。
サンプル(粘着性電極層)を適当なサイズに切り分け、日立ハイテクノロジーズ社製、イオンミリング装置E−3500を用いてBIB加工し、粘着性電極層の断面を作製した。この際、必要に応じてサンプルを冷却しながらBIB加工を行った。加工したサンプルに導電処理を施し、粘着性電極層の断面を日立製作所社製、走査型電子顕微鏡S−4800にて観察した。10個以上の粒子(2次粒子)が存在する任意の一視野を選択し、その画像内のすべての粒子径を測定し、その平均値を、平均2次粒子径とした。
(2)粘着性電極層の厚み
ミツトヨ社製、高精密タイプのシックネスゲージを用いて測定した。
(3)導電性の評価
粘着性電極の導電性の評価は、粘着性電極層の銅箔基材と対向する面に5mm角の銅箔を貼りつけ、銅箔基材とは5mm角の銅箔との間の抵抗値を測定し、10Ω未満であれば◎判定、10Ω以上100Ω未満であれば○判定、100Ω以上10kΩ未満であれば△判定、10kΩ以上1MΩ未満であれば×判定、1MΩ以上であれば××とした。
(4)粘着性の評価
粘着性電極の粘着性の評価は、粘着性電極をアルコールで拭いた上腕に貼りつけ、腕を下におろした状態で、10秒以内に落下した場合×判定、1分以内に落下した場合△判定、1分よりも長く貼りついていた場合○判定とした。さらに、粘着性電極をアルコールで拭いた上腕に貼りつけ、1分間ランニングをした後も貼りついていた場合◎判定とした。
(5)装着感の評価
粘着性電極の装着感の評価は、粘着性電極をアルコールで拭いた上腕に貼りつけ、静止時の不快感、運動時(発汗時)の不快感、取り外し後の糊残りの有無を目視で判断し、すべてに該当する場合を×、いずれか2つに該当する場合を△、いずれか1つに該当する場合を○、いずれにも該当しない場合を◎とした。
20gのシリコーン粘着剤(信越化学社、KR−3701)と、0.1gのシリコーン粘着剤用白金系触媒(信越化学社、CAT−PL−50T)とを、自転公転ミキサーによって撹拌混合し、疎水性粘着性バインダーを得た。この疎水性粘着性バインダー0.5gに、平均粒子径250μmの銀粉0.5gとクロロホルム0.5gを加え、かき混ぜ棒で撹拌混合し、導電性粘着剤を得た。
30mm×60mmの銅箔基材上に、得られた導電性粘着剤を、孔版を用いてステンシル印刷した後、室温で5分間乾燥し、さらに120℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱することで粘着性電極層を形成した。得られた粘着性電極は1.3cm角の粘着性電極層を有し、粘着性電極層の厚みは100μmであった。
得られた粘着性電極の導電性及び粘着性の評価を表1に記載した。
実施例1と同様において、導電性粘着剤組成及び粘着性電極層の厚みを表1のように変更し、実施例2〜30の粘着性電極を作製した。
なお、実施例26、27で使用した導電性微粒子CNTとは、円筒状(直径60nm、長さ1μm)のカーボンナノチューブのことである。
比較例1の粘着性電極として、スポーツセンシング社製ディスポ電極SS−SUP00Sをそのまま使用した。この電極は、銀及び塩化銀からなる電極の上に導電性ゲルからなる粘着剤層を積層した構成を有する。この導電性ゲルの厚みは500μmであった。なお、この導電性ゲルは導電性粒子を含まず、イオン電導によって低い抵抗を得ている。
比較例1の粘着性電極は、装着時のべたつき感が強く、運動時には粘着剤が溶けだす等の不快感があり、脱着時の糊残りも多かったため装着感×判定とした。
実施例12の粘着性電極を2つの測定用電極と1つのグランド電極として有する心電計を作製した。
この心電計は、フレキシブルな基材上に、上述の2つの測定用電極、1つのグランド電極、及び、電子回路を有する構成を有している。基材には東洋紡社製PETフィルムA4300を用いた。配線は藤倉化成社製ドータイトFA−353Nを所定の形状にスクリーン印刷し、100℃で30分間加熱焼成することで形成した。この配線に含まれる絶縁性材料は約50体積%であり、焼成後、基材に密着していることが確認できた。電子部品には市販のICチップを用い、電子部品の実装には、藤倉化成社製ドータイトXA−910を所定の形状にステンシル印刷し、印刷したXA−910上にICチップを配置し、100℃で1時間加熱焼成することで配線上にICチップを固定した。
本実施例の心電計は、アナログフロントエンドに差動計装アンプと、ハイパスフィルタと、ローパスフィルタとアクティブグランドを有している。差動計装アンプのゲインは1000に設定した。ハイパスフィルタとローパスフィルタの遮断周波数はそれぞれ0.3Hz、1kHzに設計した。アクティブグランドは0Vを出力するアンプである。
2つの測定用電極は差動計装アンプに差動入力に接続し、グランド電極はアクティブグランドの出力端子に接続した。
一方の測定用電極を左胸部、他方の測定用電極左腹部、グランド電極を左腹部に装着し、心電計からの出力端子を、LeCroy社製オシロスコープ9304Aに接続し、波形を観察した。得られた波形を図16に示す。この心電計は、曲率半径約50mmで屈曲させた状態でも図16と同様の波形を得ることができた。
さらに、該体表面電位測定デバイスを用いた病理、健康状態診断システム、生体マシンインターフェースに好適に利用することができる。
Claims (7)
- 疎水性粘着性バインダーと導電性微粒子とを含む導電性粘着剤からなる粘着性電極層を有し、
前記導電性微粒子の平均2次粒子径が50μm以上1mm以下であり、
前記導電性微粒子が、前記疎水性粘着性バインダーの固形分100質量部に対して、10質量部以上、650質量部以下含まれる、
生体体表面電位取得用粘着性電極。 - 前記粘着性電極層の厚みが100μm以上1mm以下である、
請求項1に記載の粘着性電極。 - 前記疎水性粘着性バインダーがシリコーン系粘着剤である、
請求項1又は2に記載の粘着性電極。 - 前記導電性粘着剤中の親水性材料の含有量が5質量%以下である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着性電極。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着性電極を、1つの基材上に2つ以上有する、アレイ電極。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着性電極、又は、請求項5に記載のアレイ電極を含む、
体表面電位測定デバイス。 - 請求項6に記載の体表面電位測定デバイスを含む
筋電アクチュエータ。
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