JP6683870B1 - エアロゲル複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、曲面にも適用した場合であっても、エアロゲルの脱落が抑制されたエアロゲル複合体を提供することにある。【解決手段】本発明の目的は、少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率を、それぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であるエアロゲル複合体によって達成された。【選択図】図1

Description

本発明は、新規なエアロゲル複合体に関するものであり、更に詳しくは、住宅用断熱窓材等の建築用、極低温容器用、高温容器用等における断熱材として使用されるエアロゲル複合体に関する。
従来、エアロゲルと呼ばれるシロキサン結合を有するゲル乾燥体が知られている(特許文献1)。具体的には、シラン化合物の単量体溶液(溶媒:水、および/または有機溶剤)を加水分解することによりゾルを形成し、そのゾルを縮合反応させることによってゲル(縮合化合物)を形成した後、ゲルを乾燥させることによって、多数の気孔を有するエアロゲル(ゲル乾燥体)が得られる。
ここでエアロゲルが有する気孔は、その孔径が、例えば空気を構成する元素分子の大気圧における平均自由行程(Mean Free Path[MFP])以下であるものである。従って、エアロゲルの内部においては、空気との熱交換がほとんど行われず、エアロゲルは、断熱材として優れたポテンシャルを有し、その断熱効果は、真空を凌ぐものといわれている。
一方エアロゲルは、非常に脆く取扱いが難しいことから、実際に断熱材として使用する場合、エアロゲル単体ではなく、他の材料と複合させることにより使いやすい断熱材としての形態を得ようとする技術が提案されている。例えば特許文献2では、エアロゲルを他のガラス不織布または金属シートからなる材料と複合させることによりシート状とし、脆さを克服するとともに、さらにエアロゲルの他の材料からの脱落も抑制したエアロゲル複合体が提案されている。
特許第5250900号公報 特開2018−111803号公報
しかしながら、特許文献2の技術によってある程度の取り扱い性の改善はみられるものの、いまだシート状物としては柔軟性に欠けるため、エアロゲル複合体を曲面へ適用した場合、エアロゲルが、エアロゲル複合体を構成する他の材料から脱落(例えば粉落ち)するという課題は十分には解決できていなかった。
本発明の目的は、曲面にも適用した場合であっても、エアロゲルの脱落が抑制されたエアロゲル複合体を提供することにある。
本発明の目的は、下記によって達成された。
1.少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率を、それぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であるエアロゲル複合体。
2.前記多孔質樹脂基体が、繊維状樹脂基体、発泡樹脂基体である、前記1に記載のエアロゲル複合体。
本発明によれば、断熱特性に優れ、かつ大面積(例えば400cm以上)であって柔軟性に優れた板状またはフィルム状をなすエアロゲル複合体およびその製造方法を提供することができる。
本発明のエアロゲルを形成する好ましいシラン化合物組成の質量百分率を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<エアロゲル複合体>
本発明のエアロゲル複合体は、少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率をそれぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であるエアロゲル複合体であることを特徴とする。さらに、前記多孔質樹脂基体が、繊維状樹脂基体、発泡樹脂基体であることを特徴とする。
本発明のエアロゲル複合体(以下、単に複合体ともいう)にあっては、多孔質樹脂基体とエアロゲルが製造方法を問わず、一体化されたひとつの物質として取り扱うことができる状態であればよく、例えば、繊維表面が有する官能基と、エアロゲル表面の官能基との化学的相互作用による結合、繊維表面とエアロゲルとの分子間相互作用による結合によるエアロゲルが多孔質樹脂基体を包んでいる状態、付着している状態等を好ましい態様として挙げることができ、特に好ましくはエアロゲルが多孔質樹脂基体の孔に含浸し存在する場合である。
複合化されていることからエアロゲルと多孔質樹脂基体が通常の取り扱いにおいて容易に分離することなく粉落ちが抑制され、一体化したひとつの物質として取り扱うことができる。
特に、本発明のエアロゲル複合体は、エアロゲル複合体としての柔軟性を有するために、エアロゲルを生成するために混合するシラン化合物の適正化を図ったものであって、製造方法については限定されないが、具体的な製造方法としては、例えば、ゾル生成工程、ウエットゲル生成・成形工程、溶媒交換工程および乾燥工程をこの順で行う場合が挙げられる。
本発明のエアロゲル複合体は、特に大きさの制限はないが、多孔質樹脂基体の嵩の大きさを適宜選択することにより所望の大きさとすることができる。例えば、縦3000mm、横3000mm、厚み100mmの大きさとすることができる。また幅2000mmのロール状とすることもできる。
本発明のエアロゲル複合体におけるエアロゲル層自体の厚みは、適宜選択することができるが、100μm〜100mmであり、好ましくは500μm〜40mmであり、さらに好ましくは1mm〜20mmである。エアロゲル層の厚みは、断熱性と多孔質樹脂基体からのエアロゲルの粉落ち性能との関係で適宜選択することができる。
エアロゲル複合体は、シート状、フィルム状に成形することができるが、その場合、他のフィルム、シート等とさらに複合させることもできる。例えば、アルミニウムシートと複合させることは好ましい。
エアロゲル複合体は、多孔質樹脂基体を取り扱いの観点から適宜複合化することができるが、エアロゲル100質量部に対して10〜1000質量部の範囲で適宜複合させることが好ましい。
<多孔質樹脂基体>
本発明において、多孔質樹脂基体とは、繊維状樹脂基体または発泡樹脂基体をいい、具体的には、繊維状物、不織布、繊維シート、フェルト、フォーム等のそれ自体で立体的な形状が維持されるものが挙げられる。空隙率は95%〜99.9%、密度は0.01〜0.4g/cm3であることが好ましい
多孔質樹脂基体の樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ビニロン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、レーヨン、炭素繊維等が挙げられる。本発明の繊維状樹脂基体、発泡樹脂基体は、市販品を使用することができる。
<エアロゲル複合体の製造方法>
本実施形態のエアロゲル複合体は、例えば、エアロゲルを形成するためのゾルを作製するゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルを多孔質樹脂基体に含浸させる含浸工程と、ゾルをゲル化して湿潤ゲルを得るゲル生成工程と、ゾル又は湿潤ゲルで空隙が満たされた多孔質樹脂基体を養生する熟成工程と、養生した複合体を洗浄及び/又は溶媒置換する洗浄・溶媒置換工程と、洗浄及び/又は溶媒置換した複合体を乾燥する乾燥工程と、を主に備える製造方法により製造することができる。含浸工程の後にゲル生成工程を行ってもよく、ゲル生成工程の後に含浸工程を行ってもよい。
また予め多孔質樹脂基体を上記ゾル塗液に分散し、熟成工程、洗浄・溶媒置換工程、乾燥工程を経由して、エアロゲルが浸漬した多孔質樹脂基体を作製し、これを抄造して不織布化することで多孔質樹脂基体とのエアロゲル複合体とすることもできる。
本発明におけるエアロゲル複合体およびその製造方法について以下、具体的に説明する。
(1)シラン化合物
本発明のエアロゲル複合物を形成するエアロゲルは、シラン化合物として、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物のそれぞれの質量百分率を、Qx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)を加水分解縮合したものである。
既存のエアロゲルに比べて、粉落ちが少なく、かつより低密度のエアロゲルを製造することができ、この結果、断熱特性が向上し、加えて、特許文献2では適用できなかった曲面に対して、しかも400cm(例えば20cm角)以上の大面積の板状、フィルム状またはシート状をなすエアロゲル複合体を製造することができる。
ここで、2官能シラン化合物とは、シロキサン結合数が2個であるシラン化合物のことであり、3官能シラン化合物とは、シロキサン結合数が3個であるシラン化合物のことであり、そして、4官能シラン化合物とは、シロキサン結合数が4個であるシラン化合物のことである。
2官能シラン化合物としては、例えばジアルコキシシラン、ジアセトキシシランがある。ジアルコキシシランの望ましい実施態様としては、アルコキシ基の炭素数が1〜9のものが挙げられる。具体的には、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシランなどが挙げられる。これら化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。本発明では、2官能シラン化合物として、特にジメチルジメトキシシラン(DMDMS)を用いることが好ましい。
3官能シラン化合物としては、例えばトリアルコキシシラン、トリアセトキシシランが挙げられる。トリアルコキシシランの望ましい実施態様としては、アルコキシ基の炭素数が1〜9のものが挙げられる。例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどが挙げられる。これら化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。本発明では、3官能シラン化合物として、特にメチルトリメトキシシラン(MTMS)を用いることが好ましい。
4官能シラン化合物としては、例えばテトラアルコキシシラン、テトラアセトキシシランが挙げられる。テトラアルコキシシランの望ましい実施態様としては、アルコキシ基の炭素数が1〜9のものが挙げられる。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランなどが挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。本発明では、4官能シラン化合物として、特にテトラメトキシシラン(TMOS)を用いることが好ましい。
(2)シラン化合物の適正範囲
図1は、本発明のシラン化合物である4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物のそれぞれの質量百分率であるQx、TxおよびDxの適正範囲について、Qx、TxおよびDxを座標軸とする三角図に示したものであって、図1に示す領域Iが、Qx、TxおよびDxの適正範囲である。
図1に示す領域Iは、4つの頂点a〜dを有し、台形状に区画された領域(右下がりの斜線でハッチングした領域)である。なお、頂点a〜dは、いずれも領域Iには含まれないので「○(白抜き丸)」で示す。また、頂点aと頂点bの間を結ぶ直線および頂点bと頂点cの間を結ぶ直線は領域Iに含まれ、また、頂点cと頂点dの間を結ぶ直線および頂点dと頂点aの間を結ぶ直線は領域Iには含まれない。
また、第1の実施形態のエアロゲルの製造方法は、さらに、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物のそれぞれの質量百分率Qx、Tx、Dxは、Qx、Tx、Dxを座標軸とする三角図(Qx、Tx、Dx)上にプロットするとき、A点(5、95、0)と、B点(40、60、0)と、C点(40、55、5)と、D点(30、55、15)と、E点(15、70、15)と、F点(5、90、5)と、A点(5、95、0)とをこの順に結ぶ6本の直線で囲まれた範囲(図1の領域II)内にあることが断熱性の観点から好ましい。
なお、図1に示す領域IIは、6つの頂点A〜Fを有し、六角形状に区画された領域(右上がりの斜線でハッチングした領域)である。なお、頂点A〜Fは、いずれも領域IIに含まれるので「●(黒塗り丸)」で示し、また、これらの頂点A〜Fを結ぶ6本の直線も領域IIに含まれる。
(3)エアロゲルの製造工程の各工程
(3−1)ゾル生成工程
本発明のエアロゲル複合体のエアロゲルを製造するためのゾルは、所定の溶液中に、シラン化合物(主原料)を含む各種原料を添加し、撹拌して混合するゾル生成工程を含む工程で生成する。
(3−1−1)ゾル生成工程の副材料およびゾル生成条件
ゾル生成工程では、主原料として、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、場合により4官能シラン化合物を上述の所定混合比で混合し、水、界面活性剤を含む溶液を調製する。この調製により、シラン化合物が加水分解され、シロキサン結合を含むゾルが生成する。なお、調製する溶液に、酸および/または有機溶剤を含んでもよい。
界面活性剤は、後述するゲル生成過程において、後述するエアロゲルを構成するバルク部と気孔部とを形成することに寄与する。エアロゲルの製造に用いることのできる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤などを用いることができる。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤などを例示することができる。
これらのうち、非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。調製する溶液に対する界面活性剤の添加量は、シラン化合物の種類や混合比、界面活性剤の種類にもよるが、主原料であるシラン化合物の総量100質量部に対し、0.001〜100質量部の範囲で用いることができ、0.01〜90質量部の範囲を好ましく用いることでき、さらに0.1〜80質量部の範囲をさらに好ましく用いることできる。
酸は、加水分解時に触媒として作用し、加水分解の反応速度を加速することができる。具体的な酸の例としては、無機酸、有機酸、有機酸塩が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸などが挙げられる。
有機酸としては、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸などのカルボン酸類が挙げられる。
有機酸塩としては、酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛などを用いることができる。これらの酸は、単独、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。本発明では、酸として、有機酸である酢酸を用いることが好ましい。
また、調製する溶液全体に対する酸の添加濃度としては、0.0001mol/L〜0.1mol/Lの範囲、特に0.0005mol/L〜0.05mol/Lの範囲を好ましく用いることができ、0.001mol/L〜0.01mol/Lの範囲をさらに好ましく用いることができる。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類を用いることができる。これらは単独あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。また、調製する溶液に対する有機溶剤の添加量としては、相溶性の観点から、主原料であるシラン化合物の総量1molに対し、4mol〜10molの範囲、特に4.5mol〜9molの範囲とすることが好ましく、5mol〜8molの範囲とすることが特に好適である。
ゾル生成工程に必要な溶液温度、および時間は、混合溶液中のシラン化合物、界面活性剤、水、酸、窒素化合物、有機溶剤などの種類および量に左右されるが、例えば0℃〜70℃の温度環境下で、0.05時間〜48時間の範囲であればよく、20〜50℃の温度環境下で0.1時間〜24時間の処理とすることが好ましい。これにより、シラン化合物が加水分解され、コロイドを形成し、全体として液体ゾルを生成することができる。
なお、ゾル生成工程で使用する副材料および/または副材料の分解物は、製造したエアロゲルにおいて、不可避成分として混入しうる。
(3−1−2)含侵工程
本発明の多孔質樹脂基体は、この工程においてゾルに浸漬することができる。浸漬は、多孔質樹脂基体の全体がゾルに浸るようにすることが好ましい。多孔質樹脂基体の内部にまでゾルが浸漬するように、振動を与えることも好ましい。
(3−2)ウエットゲル生成・成形工程(養生工程)
ウエットゲル生成・成形工程は、上述したゾル生成工程において製造した液体ゾルに対し、塩基性触媒を添加する工程と、所望の形状を得るための型に、塩基性触媒を添加した溶液を流し込む工程、型の内部で溶液を養生することにより、ウエットゲルを生成する工程に大別することができる。
塩基性触媒としては、水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−メチルモルホリン、ピペラジンおよびその誘導体、ピペリジンおよびその誘導体、イミダゾールおよびその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。塩基性触媒は単独であるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基性触媒としては、加熱することにより塩基性触媒を発生する窒素化合物であってもよい。窒素化合物は、ウエットゲル生成・成形工程における加熱の際に、塩基性触媒を発生する化合物として添加するものである。具体的には、尿素、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、ヘキサメチレンテトラミン等の複素環化合物などを挙げることができる。このうち、尿素は、ウエットゲル生成工程において、生成速度を速める点で好適に用いることができる。
塩基性触媒の添加量は、主原料の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることが好ましく、1〜4質量部とすることが特に好適である。添加量を0.5質量部未満とするとゾルからウエットゲルへ反応を進めることができず、また、5質量部超では反応が速すぎ、型の内部で全体が不均一性を生じることがある。
これらの中でも、水酸化アンモニウム水溶液は、触媒として反応促進効果が高く、ゾルからウエットゲルへの反応を短時間、かつ欠陥を少なく形成できる点で好ましい。また、水酸化アンモニウム水溶液は、揮発性が高いため、後述する溶媒交換工程、乾燥工程において揮発し、エアロゲルに残りにくい点でも優れる。
窒素化合物の場合の添加量は、特に限定されないが、例えば、主原料であるシラン化合物の総量100質量部に対して、窒素化合物の添加量を1〜200質量部の範囲とすることが好ましく、2〜150質量部の範囲とすることがより好適である。本発明の多孔質樹脂基体は、この工程でゾルに浸漬することもできる。
塩基性触媒を添加した溶液を型に流し込む工程は、所望のエアロゲル製品の形状を得るための工程である。型は、金属、合成樹脂、木、紙のいずれも用いることができるが、形状の平面性と離形性を兼ね備える点で、合成樹脂を好適に用いることができる。合成樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンを例示することができる。
型は、所望のエアロゲル製品の形状を得るためであるから、所望のエアロゲル製品の形状の凹凸を反転した形状を反映している。例えば、所望のエアロゲル製品の形状が板状(直方体)である場合、一端開口の凹型トレイを型として用いることができる。
また、型は、いわゆる射出成形金型のように、複数の型からなる組み合わせ型であってもよい。一例として、凹型と凸型を対向して用いる2枚組み合わせ型があり、凹型の内面と、凸型の外面とが、所定の間隔で離隔した位置関係となる組み合わせ型であってもよい。この結果、溶液(ゾルおよび塩基性触媒からなる溶液)は、組み合わせ型の内部空間に流し込まれ、所定時間の間、密閉されてもよい。
また、一端開口の凹型トレイを型として用いた場合、凹型トレイの開放(平)面の全面を覆う平板(プレート)を第2の型として用意し、凹型トレイの開放面と第2の型とが対向するように2枚組み合わせ型として用いてもよい。この結果、溶液(ゾルおよび塩基性触媒からなる溶液)は、組み合わせ型の内部に流し込まれ、所定時間の間、密閉されてもよい。
塩基性触媒を添加した溶液を型に充填する工程に続き、型の内部で溶液を養生し、ウエットゲルを生成するとともに、型の内壁形状に沿って成形する成形工程がある。
養生は、所定のエネルギーを、所定の時間をかけて、ゾルからウエットゲルへ反応を進めるものである。エネルギーの一例としては、熱(温度)であり、30〜90℃、望ましくは40〜80℃の加熱が用いられる。加熱は、ヒータ加熱であっても、水または有機溶剤による蒸気加熱であってもよい。
また、エネルギーの別の一例としては、赤外線、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波の印加、電子線の印加などが挙げられる。これらエネルギーは、単独で用いられても、複数の手段を併用して用いてもよい。
養生に要する時間は、シラン化合物の構成や、界面活性剤、水、酸、窒素化合物、有機溶剤、塩基性触媒などの種類および量、さらにはエネルギーの種類や密度に左右されるが、0.01時間〜7日間の間の期間である。塩基性触媒の種類とエネルギーの種類とを最適化した場合、0.01時間〜24時間でゲル化が完了することがあり得る。
また養生は、熱(温度)と時間とを、多段階に変化させる養生であってもよい。なお、ウエットゲル生成・成形工程で使用する材料、および/または材料の分解物は、製造したエアロゲルにおいて、不可避成分として混入しうる。
(1−3)溶媒交換工程
溶媒交換工程は、ウエットゲルの表面および内部に存在する水および/または有機溶剤を、短時間乾燥にふさわしい有機溶剤に交換する工程であるが、後続の乾燥工程に長時間を要しても構わない場合には省略してもよい工程である。また、溶媒交換工程は、上述の型から取り出してから行ってもよいし、型内で行ってもよい。
また、溶媒交換工程に先立ち、ゾル生成に際して用いた酸や、ウエットゲル生成に際して用いた触媒、反応副生成物等を洗い流す洗浄処理を行ってもよい。洗浄処理には、有機溶剤を広く用いることができる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶剤を使用することができる。上記の有機溶剤は単独であるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、水および有機溶剤の双方に溶解性を有するメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等が単独または2種類以上混合して用いられる。
溶媒交換工程では、その後に行われる乾燥工程におけるゲルの収縮ダメージを抑えるため、ウエットゲルの表面および内部の水(または有機溶剤)を、20℃における表面張力が45mN/m以下の有機溶剤に置き換える。例えば、ジメチルスルホキシド(43.5mN/m)、シクロヘキサン(25.2mN/m)、イソプロピルアルコール(21mN/m)、ヘプタン(20.2mN/m)、ペンタン(15.5mN/m)等が挙げられる。
溶媒交換工程に用いる有機溶剤は、20℃における表面張力が、45mN/m以下、40mN/m以下、35mN/m以下、30mN/m以下、25mN/m以下、20mN/m以下、15mN/m以下、であってよく、5mN/m以上、10mN/m以上、15mN/m以上、20mN/m以上であってよい。これらの中で、特に20℃における表面張力が20〜40mN/mの範囲である脂肪族炭化水素を含む有機溶剤を用いることが好適である。有機溶剤は、単独または2種類以上混合して用いることができる。
溶媒交換工程に使用される溶媒の量は、溶剤交換する温度や装置(容器)にもよるが、湿潤ゲルの容量に対し、2〜100倍の量を使用することが望ましい。溶媒交換は1回に限らず、複数回行ってもよい。また、溶剤交換の方法としては、全置換、部分置換、循環置換のいずれの方法であってもよい。
また、溶媒交換を複数回行う場合において、各回について、有機溶剤の種類や、温度、処理時間を独立に設定してよい。なお、溶媒交換工程で使用する材料、および/または材料の分解物は、製造したエアロゲルにおいて、不可避成分として混入しうる。
(1−4)乾燥工程
乾燥工程は、上述した溶媒交換したウエットゲルを乾燥させて、所定性状のエアロゲルを得る工程である。乾燥の手法としては特に制限されないが、超臨界乾燥法は、設備が大型化すると共に、製造コストが著しく高価であり、大量生産が困難という課題があることから、本発明の乾燥工程では、超臨界乾燥法は適用せず、大気圧乾燥法を用いることが好ましい。
なお、大気圧とは、地表気圧である300hPa〜1100hPaを指し、地表である限り、本発明を実施する標高に制限はないものである。言い換えれば、乾燥方法としては、300hPa程度まで減圧して乾燥させることも、本発明に含まれる。
以上のことから、上述した(1−1)〜(1−4)の工程を経ることによって、粉落ち等の欠陥が少ないエアロゲル複合体を製造することができ、この結果、断熱特性が向上し、加えて、特許文献2では適用できなかった曲面に対して、しかも400cm(例えば20cm角)以上の大面積の板状またはフィルム状をなすエアロゲル複合体を製造することができる。
(1−5)その他の工程
上記した製造方法は、板(または直方体)状またはフィルム状をなすエアロゲル複合体の製造方法について説明してきたが、本発明はこれに限るものではなく、板状のエアロゲル複合体から、所望の形状へ加工することを、オプション工程として含み得るものである。例えば、板(または直方体)から、矩形、円形の板またはフィルム、立方体、球体、円柱、角錐、円錐等の種々の形状に加工することができる。加工方法には、ワイヤーカットやレーザーカット等公知の機械加工を用いることができる。
また、本発明のエアロゲル複合体は、直方体のエアロゲル複合体から、粒子状のエアロゲル複合体に加工することを、オプション工程として含み得るものである。加工方法には、ジョークラッシャ、ロールクラッシャ、ボールミル等公知の粉砕機(クラッシャ)を用いることができる。
(2)エアロゲル複合体を構成するエアロゲルの構造
本発明エアロゲル複合体のエアロゲルのマクロ構造について説明する。
(2−1)エアロゲルの内部構造
本発明のエアロゲル複合体を構成するエアロゲルは、その構造を微視的に観察した場合、固形物が満たされたバルク部(ゲル骨格)と、バルク部内に3次元網目状に貫通した貫通孔とで主に構成され、全体として三次元ネットワークを形成している。
なお、本発明のエアロゲルの3次元ネットワークは、走査型電子顕微鏡を用いて観察した状態によって判断することができ、3次元網目構造の貫通孔の直径、ゲル骨格の断面積は3次元網目状に連続して貫通孔(細孔)の中心細孔径、骨格の断面を円とみなした場合の直径、さらには密度、気孔率を水銀圧入法により測定し算出することができる。
バルク部は、固形物がシロキサン結合による三次元ネットワークを形成した連続体から構成される。三次元ネットワークは、ネットワークの最小単位である格子を、立方体で近似したときの一辺の平均長さは、2nm以上25nm以下である。なお、一辺の平均長さは、2nm以上、5nm以上、7nm以上、10nm以上であり、かつ、25nm以下、20nm以下、15nm以下であることが好ましい。
また、気孔部は、上記バルク部内を貫通するチューブ状をなし、気孔をチューブで近似し、チューブの内径を円で近似したときの平均内径は、5nm以上100nm以下である。なお、気孔の平均内径は、5nm以上、7nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、50nm以上であり、かつ、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下であることが好ましい。ここで、上記チューブの内径は、空気を構成する元素分子の大気圧における平均自由行程(MFP)以下の寸法となっている。
また、エアロゲルの気孔率、すなわちエアロゲル全体の体積に占める気孔部の体積の割合は、70%以上である。気孔率の一例としては、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上であってもよい。
なお、本発明のエアロゲルは、後述する物理特性を充足する限りにおいて、上記したバルク部、気孔部以外の構造を含んでもよい。一例として、上述した気孔部とは異なる空隙(ボイド)を含んでもよい。
また、別の一例として、後述する物理特性を充足する限りにおいて、製造上不可避成分として残存する水、有機溶剤、界面活性剤、触媒およびこれらの分解物を含むことができる。さらに、他の一例として、後述する物理特性を充足する限りにおいて、製造上不可避成分として製造空間や製造装置から混入する塵埃を含むことができる。
また本発明のエアロゲル複合体は、上述した構成以外に、機能性付与、外観向上、装飾性付与などを意図して添加する成分を含むことができる。例えば、帯電防止剤、潤滑剤、無機顔料、有機顔料、無機染料、有機染料を含むことができる。これらは多孔質樹脂基体、エアロゲルそれぞれに含有させることができる。
(2−2)エアロゲルの密度
本発明のエアロゲルは、密度が0.15g/cm以下と低くすることができる。ここで密度は、水銀圧入法により求められるものである。エアロゲルは、密度が低いほど熱伝導率が小さくなり、それに伴って、断熱性が向上する。本発明のエアロゲルは、密度が0.15g/cm以下であるため、熱伝導率が0.01W/m・K以下と小さい。
このような利点から、本実施形態のエアロゲル複合体は、極低温容器、宇宙分野、建築分野、自動車分野、家電分野、半導体分野、産業用設備等における断熱材としての用途等に適用できる。また、本実施形態のエアロゲル複合体料は、断熱材としての用途の他に、撥水用、吸音用、静振用、触媒担持用等として利用することができる。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
<エアロゲル複合体の作製>
(実験例1)
界面活性剤として、非イオン性界面活性剤(BASFシ社製:プルロニックPE9400)3.28gを、0.005mol/L酢酸水溶液28.96gに溶解させた後、さらに加水分解性化合物として尿素(ナカライテスク製)4.00gを加えて溶解させた。この水溶液に、主原料であるシラン化合物10.0gを添加した後、室温で60分攪拌混合し、シラン化合物の加水分解反応を行なわせ、ゾルを生成させた。
シラン化合物は、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)および2官能シラン化合物であるジメチルジメトキシシラン(DMDMS)、4官能シラン化合物であるテトラメトキシシラン(以下、TMOSと略記する場合がある。)、から選択し、2官能シラン化合物の質量百分率Dx、3官能シラン化合物の質量百分率Tx、および4官能シラン化合物の質量百分率Qx=10:65:25で添加した。
ついで、生成したゾルを密閉可能な容器(W×D×H=60mm×110mm×20mm)に移し、そこに多孔質樹脂基体としてポリエステル製不織布(W×D×H=55mm×105mm×5mm)を十分に浸漬させ、密閉し60℃で静置、ゲル化させウエットゲルを形成した。
その後、続けて96時間静置することにより、ウエットゲルを熟成させた。次いで、密閉容器よりウエットゲルを取り出し、ウエットゲル体積の5倍量に相当するメタノール(MeOH)溶液中に浸漬して、60℃で8時間の条件下で溶媒交換を繰返し5回行なった後に、イソプロピルアルコール(IPA)とヘプタン(Hep)を1:4〜1:3の体積比で混合した、ウエットゲル体積の5倍量に相当するIPA/Hep混合溶液中に浸漬して、60℃で8時間の条件下でさらに溶媒交換を行った。
その後、ウエットゲル体積の5倍量に相当するHep溶液に浸漬して、60℃で8時間の条件下でさらに溶媒交換を繰返し2回行った。なお、溶媒交換に使用したメタノールとイソプロパノールは、いずれもナカライテスク社製のものを用いた。
次に、ウエットゲル中の溶媒の蒸発速度を制御できる容器(乾燥機)に入れ、乾燥を開始した。乾燥温度は、溶媒の沸点以下とし、低表面張力溶媒に交換(置換)したゲルを、乾燥開始直後から4時間までの溶媒蒸発速度を0.2g/(h・cm)に調整した。その後は徐々に溶媒蒸発速度を低下させ、ゲル質量が一定になった時点で乾燥を終了し、シート状のエアロゲル複合体を作製した。その他の実施例も同様に作製した。
(比較例)
比較例1、2は、実施例1と同様に作製した。比較例3は、特開2018−111803号公報(特許文献2)実施例1に記載のエアロゲル複合材料と同じ組成物を作製し使用した。
<各種評価>
以下の条件に従って、各実施例及び比較例で得られたエアロゲル複合体料について測定、評価を行った。測定は、特に指定の無い限り23℃55%RHの雰囲気を保持して行った。
(粉落ち性評価)
[切断粉落ち量]
エアロゲル複合体の各試料を、横50mm×縦100mm×厚み5mmとなるように作製し、はさみで10cmの長さを裁断した際の粉落ち量を切断粉落ち量として測定した。実験は3回行いその平均値をとった。結果を表1に示す。
[曲げ粉落ち量]
エアロゲル複合体の各試料を、横50mm×縦100mm×厚み5mmとなるように作製し、Φ26の塩ビ管に一周巻き付け、その際の粉落ち量を測定した。実験は3回行いその平均値をとった。結果を表1に示す。
Figure 0006683870
表1から、本発明の実施例のエアロゲル複合体は、粉落ち量が少ないことがわかる。なお、比較例3(特許文献1実施例1に記載)のエアロゲル複合体は、試料を作製する段階ですでに粉落ちし、明らかに本発明の実施例に比べ粉落ち量が多いものであり(比較例2よりも多い)、さらに試験の結果の再現性にすら問題のあるものであったことから、表1には結果を示していない。
(実験例2)
実験例1のエアロゲル複合体の製造方法に準じ、表2記載の組成のエアロゲル複合体を作製し、同様の評価を行った。実験の再現性に難しさがあることから粉落ちの絶対量が実験例1と異なるが、同一実験内では十分な比較をすることができる。
本実験例2では、切断粉落ち量7.5mg以下を〇、曲げ粉落ち量5.0mg以下を〇と判断し、それ以外を×とした。
なお、Dxが30質量%を超える組成物およびQxが含まれない組成物は、エアロゲル自体の反応の進行に問題が発生し、評価するに足りるものが得られなかった。
Figure 0006683870
表2から、本発明の範囲にある実施例のエアロゲル複合体は、反応性よくエアロゲル複合体を作製することができ、粉落ち量が少ないことがわかる。


Claims (5)

  1. 少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率を、それぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であるエアロゲル複合体。ただし、0<Qx<10、90<Tx<100、0≦Dx<30である範囲は除く。
  2. 前記2官能シラン化合物の質量百分率が0<Dx<30である請求項1記載のエアロゲル複合体。
  3. 少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率を、それぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であり、大気圧乾燥法によって乾燥されたエアロゲル複合体。ただし、0<Qx<10、90<Tx<100、0≦Dx<30である範囲は除く。
  4. 少なくとも多孔質樹脂基体とエアロゲルとからなるエアロゲル複合体であって、該エアロゲルは、シラン化合物の加水分解縮合物からなり、該シラン化合物が、4官能シラン化合物、3官能シラン化合物および2官能シラン化合物の質量百分率を、それぞれQx、Tx、Dxとするとき、0<Qx<50、50≦Tx<100、0≦Dx<30(ただしQx+Tx+Dx=100)であり、
    該エアロゲル複合体の横50mm×縦100mm×厚み5mmの試料を、23℃55%RH雰囲気下でΦ26の塩ビ管に一周巻き付けた際の粉落ち量が、5.0mg以下であるエアロゲル複合体。ただし、0<Qx<10、90<Tx<100、0≦Dx<30である範囲は除く。
  5. 前記多孔質樹脂基体が、繊維状樹脂基体、発泡樹脂基体である、請求項1〜4いずれかに記載のエアロゲル複合体。
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