JP6679741B2 - スズ含有銅合金、その製造方法、ならびにその使用法 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1から3までのいずれか1項の前提部に記載された、熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善されたスズ含有銅合金、請求項9から10までの前提部に記載されたその製造方法、ならびに請求項16から18までの前提部に記載されたその使用法に関するものである。
合金成分のスズにより、銅−スズ合金は高い強度と硬度に優れている。さらに、銅−スズ合金は、耐食性および耐海水性があると認められている。
この材料群は、アブレシブ摩耗に対して高い耐性を有する。その上、銅−スズ合金は良好な滑り特性および高い疲労限度を保証することから、エンジンや車両の製造ならびに一般的な機械製造における摺動部材および滑り面としてその優れた適性を現している。滑り軸受の用途のための銅−スズ合金には、しばしば、耐ゴーリング性や機械加工性の改善のために鉛の添加物を添加する。
銅−スズ合金は、電子工学および電気通信産業に広く使われる。これらは、しばしば十分な導電率および良好もしくは大変良好なばね特性を有する。ばね特性の調整には材料の十分な冷間加工性が前提となる。
音楽産業では、有利には、銅−スズ合金からその特別な音響特性に基づいて打楽器が製造される。専門用語ではシンバルとも呼ばれるこれら凹状円盤の製造には、材料の熱間加工性が大変良好であることが必要である。特に、スズ8重量%および20重量%を有する2種類の銅−スズ合金が普及している。
最初の製造工程である鋳造では、銅−スズ材料は、その長い凝固期間により、気体を吸収した後に続いて気泡を形成したり、また偏析現象を起こしたりする傾向が特に強い。Snを多く含む偏析は、非常に限定的に、鋳造プロセスに続く均質化焼鈍によって取り除くことができる。銅−スズ合金の気泡および偏析の傾向はSn含有量の上昇と共に強まる。
溶融物を十分脱酸するために、元素のリンを前記銅−スズ合金に添加する。ただし、リンは、銅−スズ合金の凝固期間をさらに延長させ、それによりこの材料群の気泡および偏析の傾向が高まる結果となる。
この理由から、特許文献1および特許文献2には、銅−スズ合金の一次成形のために、スプレー圧縮法に加えて、ストリップ鋳造が有利であるとされている。このようにして、溶融物の凝固速度を正確に調整することにより、Snを多く含むδ相が微細で均一に分布している偏析の少ない予備成形品を後続の熱間加工用に製造することができる。
特許文献3には、Sn14から32重量%を有する純粋な銅−スズ合金ならびにSn10から32重量%を有する銅およびスズを含有する合金をいかにして熱間加工可能にすることができるかについての根本的な示唆が記載されている。提案されているのは、前記合金を820から970℃の温度に加熱し、その後非常に遅い速度で520℃まで冷却するということである。このとき、冷却の期間は少なくとも5時間であることが必要である。通常の冷却速度で室温まで冷却した後、720から920℃で材料の熱間加工を行なうことができる。
特許文献4からは、Sn6から14重量%、P0.1重量%超、好ましくはP0.2から0.4重量%を含み、このPは珪素、ホウ素またはベリリウムと置換してもよい銅−スズ合金から成形部材を製造する方法が記載されている。好ましくは、この銅−スズ合金は、Cu約91.2重量%、Sn約8.5重量%、およびP約0.3重量%を有する。それによれば、冷間加工または熱間加工による最終加工の前に、スズおよびリンが増加した共析晶が溶解するまで、700℃より低い温度で鋳造成形品を均質化する。
Sn含有銅合金の熱間加工性のためにSnを多く含む偏析の割合が小さい微粒子組織を形成する結晶核の意味は、特許文献5および特許文献6に記載されている。リン化物の化合物が結晶核であり、それにより鋳造構造の焼き戻し硬化が行なわれ、低融点の銅−リン相または銅−リン−スズ相の形成が最小限にまで減少する。それにより熱間加工性が決定的に改善されることになる。
最新のエンジン、機械、装置およびユニットの運転温度および運転圧力が高くなるにしたがって、個々のシステム部材で異なる損傷メカニズムが発生する。したがって一層、特に摺動部材と差し込みコネクタの材料側および構造上の設計の際には滑り摩耗の種類の他に振動摩擦摩耗損傷のメカニズムも考慮する必要性がある。
専門用語でフレッティングとも呼ばれる振動摩擦摩耗は、振動する接触面間に生じる摩擦摩耗である。部品の幾何学的摩耗および/または体積摩耗に加えてさらに周辺媒体との反応により摩擦腐食が起こる結果になる。材料損傷により、摩耗領域の部分強度、特に疲労限度は明らかに減少しうる。損傷した部品表面からは、振動破壊/摩擦疲労破壊につながる振動亀裂が始まりうる。摩擦腐食のもとでは、部品の疲労限度は材料の疲労限度特性値を明らかに下回るかもしれない。
振動摩擦摩耗は、そのメカニズムにおいて、一方向の動きを持つ滑り摩耗の種類とは著しく異なる。特に、振動摩擦摩耗での腐食の影響は特に顕著である。
特許文献7からは、滑り軸受の振動摩擦摩耗の損傷結果の記述が見られる。軸受受容部への滑り軸受の圧入過程により、滑り軸受において高い応力が形成され、これは、熱膨張によりかつ最新エンジン内における動的な軸荷重によりさらに高くなる。応力の過度の上昇による滑り軸受の形状変化により、軸受受容部に対して相対的な滑り軸受の微細動作が可能となる。軸受と軸受受容部との間の接触面における振動幅の少ない周期的相対運動により、滑り軸受背面の振動摩擦摩耗/摩擦腐食/フレッティングが生じる。その結果、亀裂が始まり、最終的に滑り軸受の摩擦疲労破壊が起こる。
エンジンおよび機械では、機械的な振動運動にさらされている周辺部にしばしば電気の差し込みコネクタが配置されている。接続装置の部材が、機械的な負荷により互いに相互運動を行なう異なる組立品にあるならば、結果としてその接続部材の相互運動が生じるかもしれない。これらの相互運動により、振動摩擦摩耗が起こり、かつ、差し込みコネクタの接触領域の摩擦腐食が起こる。この接触領域には微小亀裂が形成され、それにより、差し込みコネクタ材料の疲労限度が大幅に減少する。疲労破壊による差し込みコネクタの落下という結果になるかもしれない。さらに、摩擦腐食により接触抵抗の上昇が起こる。
これらの損傷形態を減らすために、特許文献8では、差し込みコネクタに接続されたあらゆる配線に構造的にひずみ緩和装置を設置し、それにより配線の動きが差し込みコネクタに到達できないようにすることを提案している。
特許文献9には、いかに差し込みコネクタの摩擦腐食挙動を材料側から改善することができるかについての指示が含まれている。つまり、例えば青銅製の担体上に、スズ、インジウムおよび/またはアンチモン20から50重量%の含有量を有する銀−、パラジウム−またはパラジウム−銀−合金からなる接触材料を塗布している。銀および/またはパラジウム含分は耐食性を保証する。スズ、インジウムおよび/またはアンチモンの酸化物は耐摩耗性を高める。それでもって摩擦腐食の結果が生じるかもしれない。
振動摩擦摩耗/摩擦腐食に対する十分な耐性にとって重要なのは、したがって、耐摩耗性、延性および耐食性という材料特性の組み合わせである。
特許文献10には、金属溶融物の結晶化のメカニズムが記載されている。少ない数の結晶核しか存在しない場合、または溶融物中に少ない数の核しか形成されない場合、粒子が粗く、偏析が多く、しばしば樹枝状の凝固組織という結果になる。銅材料の溶融物粒子を細かくするために添加できる、カルシウム0.1から25重量%およびホウ素0.1から15重量%を有する銅合金が挙げられている。このように、結晶化剤を添加することによって、銅合金中に均一で粒子の細かい凝固組織が生成される。
例えばホウ素、珪素およびリンのようなメタロイドで合金を作ることにより、加工技術上重要な、比較的高い基礎溶融温度の低下が成功する。Ni−Si−BおよびNi−Cr−Si−B系の被覆材料および高温材料では、特にホウ素と珪素の合金元素のおかげでニッケル系硬質合金の溶融温度を大幅に低下することができるので、これらを自己流動性ニッケル系硬質合金として使用することが可能になる。
ホウ素を添加して合金を作ることにより基礎溶融温度を低下させることは、肉盛溶接用材料として使用される銅−スズ材料に利用されている。特許文献11には、Si0.4重量%まで、B0.02から0.5重量%まで、P0.1から1.0重量%まで、Sn4から25重量%までと残部Cuを有する合金が開示されている。ホウ素および0.1重量%以上という非常に高いリン含有量を添加することにより、ここでは、肉盛溶接用合金の自己流動性ならびに基体表面の湿潤性が改善され、追加のフラックスの使用が不必要となる。ここでは、合金のSi含有量が0.05から0.15重量%の場合に、0.2から0.6重量%という特に高いP含有量が規定されている。これは、材料の自己流動性を得るという表面的な要求を強調している。ただしこの高いP含有量によって、合金の熱間加工性の可能性は大幅に限定される。
特許文献12には、金属間相が存在する拡散はんだ付け箇所における過程が記載されている。拡散はんだ付けを用いて、異なる熱膨張係数を有する部分を互いに結合する。このはんだ付け箇所の熱機械的負荷において、あるいははんだ付け過程自体において、界面に大きな応力が生じ、それが特に金属間相周辺で亀裂を生じさせるかもしれない。対策として、接合材同士の異なる膨張係数を相殺させる粒子とはんだ成分を混合することが提案されている。つまり、ホウ珪酸塩またはリン珪酸塩からなる粒子が、その好適な熱膨張係数に基づいて、はんだ結合における熱機械的応力を最小限にすることができる。その上、すでに生じた亀裂の拡張はこれらの粒子により妨げられる。
特許文献13の公報には、特に、ホウ素0.1から2.0重量%および鉄4から14重量%を有する鋳造用珪素合金の導電性に対する元素のホウ素の影響が記載されている。このSi系合金では、ホウ化珪素と呼ばれる高融点のSi−B相が析出する。
ホウ素含有量により決められるSiB、SiB、SiBおよび/またはSiBの形態に大部分で存在するホウ化珪素は、その性質において珪素とははるかに異なる。これらホウ化珪素は金属的性格を有し、したがって導電性である。これらは、非常に高い耐熱性および耐酸化性を有する。焼結製品に好ましく使用される形態SiBは、その極めて高い硬度と高いアブレシブ摩耗抵抗性により、例えばセラミック製造およびセラミック加工に使用される。
独国特許第4126079号明細書 独国特許第19756815号明細書 独国特許出願公開第581507号明細書 独国特許出願公開第704398号明細書 米国特許第2,128,955号明細書 独国特許出願公開第2536166号明細書 独国特許出願公開第102012105089号明細書 独国特許第102007010266号明細書 独国特許第3932536号明細書 独国特許出願公開第3627282号明細書 米国特許第3,392,017号明細書 独国特許第10208635号明細書 独国特許第2440010号明細書
本発明は、スズ含有量の全範囲にわたって優れた熱間加工性を有する銅−スズ合金を製造するという課題に基づく。
熱間加工のためには、スプレー圧縮またはストリップ鋳造の実施を絶対的に必要とすることなく、慣用の鋳造法を用いて製造された前駆物質を使用することができる。
この銅−スズ合金は、ブローホールや引け巣ならびに応力亀裂がなく、合金のSn含有量に依存して存在するSnを多く含むδ相が均一に分布した組織を特徴としていなくてはならない。十分な熱間加工性を生じるためには、前記銅−スズ合金の鋳造状態をまず適切な焼鈍処理を用いて均質化する必要は必ずしもない。すでに鋳造材料は高い強度、高い硬度および高い耐食性で優れている必要がある。焼鈍、あるいは少なくとも1回の焼鈍を伴う熱間加工および/または冷間加工を含むさらなる加工により、高い強度、高い硬度、高い耐応力緩和特性および耐食性、高い導電性ならびに高度な複合的耐摩耗性を有する微粒子状の組織が調整される。
本発明は、銅−スズ合金については請求項1から3までのいずれか1項に記載の特徴により、製造方法については請求項9から10までの特徴により、かつ使用法については請求項16から18までの特徴により記載されている。その他の従属請求項は、本発明の好適な実施態様に関するものである。
本発明は、(重量%で)以下の成分:
Sn 4.0から23.0%まで、
Si 0.05から2.0%まで、
B 0.005から0.6%まで、
P 0.001から0.08%まで、
選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
残部銅および不可避な不純物
からなる、
熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にある、高強度スズ含有銅合金を包含する。
さらに、本発明は、(重量%で)以下の成分:
Sn 4.0から23.0%まで、
Si 0.05から2.0%まで、
B 0.005から0.6%まで、
P 0.001から0.08%まで、
選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
残部銅および不可避な不純物
からなる、
熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にあり;
‐鋳造後、前記合金中には以下の組織成分:
a)Snを多く含むδ相 1から98体積%まで、
b)Si含有およびB含有相 1から20体積%まで、
c)スズが少ないα相からなる残部銅固溶体
(このとき、前記Si含有およびB含有相は、スズおよび/または前記Snを多く含むδ相により覆われている)
が存在し;
‐鋳造の際、ホウ化珪素として形成された前記Si含有およびB含有相は、溶融物の凝固/冷却の間の均一な結晶化のための核をなし、それにより前記Snを多く含むδ相は島状および/または網状に組織中に均一に分布しており;
‐ホウ珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩として形成された前記Si含有およびB含有相は、リン珪酸塩と一緒に、前記合金の半製品および部品上で摩耗防止性および/または腐食防止性被覆の役目を果たしていることを特徴とする、高強度スズ含有銅合金を包含する。
Snを多く含むδ相を島形状および/または網形状に均一に分布させることにより、前記組織にはSnを多く含む偏析がない。このようなSnを多く含む偏析とは、いわゆる逆のブロック偏析および/または粒界偏析として形成されている鋳造組織中のδ相の堆積物であると理解され、これらは、鋳造部材を熱的および/または機械的に負荷した際に、亀裂の形の組織損傷を引き起こし、これら亀裂が破壊につながるかもしれない。ここではさらに、鋳造後の組織にはブローホールおよび引け巣ならびに応力亀裂は存在しない。
この形態では、前記合金は鋳造状態で存在している。
さらに、本発明は、(重量%で)以下の成分:
Sn 4.0から23.0%まで、
Si 0.05から2.0%まで、
B 0.005から0.6%まで、
P 0.001から0.08%まで、
選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
残部銅および不可避な不純物
からなる、
熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にあり;
‐少なくとも1回の焼鈍による、あるいは少なくとも1回の焼鈍と共に少なくとも1回の熱間加工および/または冷間加工による前記合金のさらなる加工後、前記合金中には以下の組織成分:
a)Snを多く含むδ相 75体積%まで、
b)Si含有およびB含有相 1から20体積%まで、
c)スズが少ないα相からなる残部銅固溶体
(このとき、前記Si含有およびB含有相は、スズおよび/または前記Snを多く含むδ相により覆われている)
が存在し;
‐ホウ化珪素として形成された、含有されている前記Si含有およびB含有相は、合金の前記さらなる加工の間の組織の静的および動的再結晶のための核をなし、それにより均一で微粒子状の組織の調整が可能になり;
‐ホウ珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩として形成された前記Si含有およびB含有相は、リン珪酸塩と一緒に、前記合金の半製品および部品上で摩耗防止性および/または腐食防止性被覆の役目を果たしていることを特徴とする、高強度スズ含有銅合金を包含する。
有利には、Snを多く含むδ相は少なくとも1体積%である。
さらに加工された状態では、Snを多く含むδ相は島状および/または網状および/または列状に伸び均一に組織中に分布している。この形態では、前記合金はさらに加工された状態で存在している。
本発明は、このとき、前記合金形態において、砂型鋳造法、シェルモールド鋳造法、精密鋳造法、フルモールド鋳造法、ダイカスト法およびチル鋳造法を用いて、または連続もしくは半連続鋳造法を用いて製造することができる、Si含有およびB含有相を有する鋳造状態およびさらに加工された状態のスズ含有銅合金を提供する、という考察から始まる。プロセス工学的に高価で費用がかさむ一次成形技術の使用は確かに可能であるが、本発明によるスズ含有銅合金の製造にとって絶対的に必要であるとはいえない。つまり、例えばスプレー圧縮法の使用は省いてもよい。本発明によるスズ含有銅合金の鋳造形状は、Sn含有量の全範囲にわたって、例えば熱間圧延、押出成形または鍛造により、熱間加工することができる。したがって、今まで銅−スズ合金から半製品および部品を製造する際に存在し、この材料群を鍛錬用Cu−Sn合金および鋳造用Cu−Sn合金に分類していた加工技術上の制限は大幅になくなる。
鋳造状態の前記スズ含有銅合金の組織のマトリックスは、前記合金のSn含有量上昇に伴い、鋳造プロセスに依存して、増加するδ相(Snを多く含む)含分とそれを含むその他のα相(Snが少ない)からなる。
本発明による合金のSn含有量が上昇するとともに、組織中のδ相の含分が増えるだけでなく、組織中のδ相の配置の形状も変化する。つまり、Sn含有量が4.0から9.0重量%の範囲では、40体積%までのδ相が主に島形状で均一に組織中に分布していることが確認された。合金のSn含有量が9.0から13.0重量%ならば、組織中に60体積%まで存在するδ相の島形状は、網形状に移行する。このδ網は同様に、合金の組織中に大変均一に分布している。Sn含有量が13.0から17.0重量%の範囲では、80体積%までのδ相がほぼ専ら均一な網形状で組織中に存在する。合金のSn含有量が17.0から23.0重量%の場合、密度の高い網として組織中に配置されているδ相の組織割合は98体積%までである。
ホウ素、珪素およびリンの含有量を組み合わせることにより、本発明による合金の溶融物において、前記銅−スズ合金および銅−スズーリン合金と比較してその凝固性を決定的に変化させる様々な現象が促進される。
ホウ素、珪素およびリンの元素は、溶融物において脱酸機能を果たしている。したがって、前記スズ含有銅合金中での酸化スズの形成は阻止される。ホウ素と珪素を添加することにより、溶融物の脱酸強度を下げることなく、リンの含有量を低下させることが可能である。この措置により、リン添加物を用いて溶融物を十分脱酸する際の不利な影響を排除することができる。つまり、高いP含有量は、いずれにせよすでに非常に長いスズ含有銅合金の凝固期間をさらに延長し、それにより、この材料タイプの空洞傾向および偏析傾向が上昇する。その上、銅−リン相の形成が強まる結果となる。この相形式は、スズ含有銅合金の高温脆性の原因とみなされる。リン添加の不利な影響は、本発明による合金のP含有量を0.001から0.08重量%までの範囲に限定することにより減少する。
ホウ素および珪素の元素は、本発明によるスズ含有銅合金では特別な意味を有する。すでに溶融物中に、Si−B系の相が析出している。ホウ化珪素と名付けられたSi−B相は、SiB、SiB、SiBおよびSiBの形態で存在する。最後に挙げた形態中の記号「n」は、ホウ素が珪素格子中に高い溶解度を有するという事実に基づく。
ホウ化珪素として形成された前記Si含有およびB含有相を、以下、硬質粒子と呼ぶ。これらは、本発明による合金の溶融物中において、凝固および冷却の間の結晶核としての機能を果たす。これにより、溶融物中での均一な分布が不十分にしか保証できないいわゆる異種核を前記溶融物へ添加する必要性はもはや存在しない。
特に元素のホウ素、および結晶核として作用する前記硬質粒子の存在による基礎溶融温度の低下は、本発明による合金の凝固期間を決定的に短くする。これにより、本発明の鋳造状態は、Sn含有量に応じて、均一で密に配置された島の形状および/または均一で密度の高い網構造の形状のδ相が微細に分布する大変均一な組織を有する。いわゆる逆のブロック偏析としておよび/または粒界偏析として形成された、Snを多く含むδ相の堆積は、本発明の鋳造組織では見ることができない。
本発明による合金の溶融物において、ホウ素、珪素およびリンの元素は金属酸化物を減少させる。これらの元素は、このとき自身で酸化し、鋳造品の表面まで上昇し、そこでホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩として、鋳造部品が気体を吸収するのを防ぐ保護膜を形成する。本発明による合金からなる鋳造品の非常に滑らかな表面が確認されたが、これはこのような保護膜の形成を示している。本発明の鋳造状態の組織には、鋳造部品の断面全体にわたってブローホールがなかった。
本発明の基本的な考えは、拡散はんだ付けでの接合材同士の異なる熱膨張係数の調整に関するホウ珪酸塩およびリン珪酸塩の作用を、銅−スズ材料の鋳造、熱間加工および熱処理の際の現象に転用することにある。これらの合金の凝固期間が長いことにより、ずれて結晶化するSnが少ない構造範囲とSnを多く含む構造範囲の間で大きな機械的応力が生じ、それにより亀裂および空洞が生じるかもしれない。さらに、これらの損傷特徴は、前記銅−スズ合金の熱間加工および高温焼鈍の場合にも、Snが少ない組織成分とSnを多く含む組織成分の異なる熱間加工挙動や様々な熱膨張係数に基づいて起こるかもしれない。
本発明によるスズ含有銅合金にホウ素、珪素およびリンを組み合わせて添加することにより、一方で、溶融物が凝固する間、結晶核としての前記硬質粒子の作用によって、異なるSn含有量を持つ組織成分の微細分布を有する均一な組織が生じる。前記硬質粒子に加えて、溶融物の凝固の間に生じるホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩が、Snが少ない相およびSnを多く含む相の熱膨張係数の必要な調整を保証する。このようにして、異なるSn含有量を持つ相の間で空洞ならびに応力亀裂が形成されるのを防ぐ。
別の方法では、本発明による合金に、焼鈍による、あるいは少なくとも1回の焼鈍と共に熱間加工および/または冷間加工によるさらなる加工を施してもよい。
ホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩と一緒にSnが少ない相とSnを多く含む相の熱膨張係数の調整を行なう結晶核としての前記硬質粒子の作用は、同様に、本発明によるスズ含有銅合金の熱間加工のプロセスの間も観察することができた。熱間加工の場合、前記硬質粒子は動的再結晶用の核として用いられる。この理由から、前記硬質粒子のおかげで、本発明による合金の熱間加工で動的再結晶が有利に行なわれる。これにより、組織の均一性および微粒子性がさらに向上する。
鋳造後と同じように、鋳造品の熱間加工後も、非常に滑らかな部品表面を確認することができた。この観察は、熱間加工の間に材料中で行なわれる、ホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩の形成を示している。前記珪酸塩および硬質粒子は、熱間加工の間も、Snが少ない成分およびSnを多く含む成分の異なる熱膨張係数を調整する。したがって、組織は、鋳造後と同じように、熱間加工の後も亀裂や空洞がなかった。
静的再結晶のための核としての硬質粒子の役割は、冷間加工が行なわれた後の焼鈍処理の間に見られた。静的再結晶のための核としての硬質粒子の優れた機能は、必要な再結晶温度の低下が可能になったことに現れた。それにより、本発明による合金の微粒子状組織の調整がさらに容易になる。
これにより、本発明による合金のさらなる加工の間、より高い冷間加工度が可能となり、それにより、引張強さR、降伏強度Rp0.2および硬度について特に高い値を調整することができる。特に、Rp0.2のパラメータの高さは、内燃機関、バルブ、ターボチャージャー、変速機、排ガス後処理装置、レバー系統、ブレーキ系統および連結系統、油圧式ユニットにおけるあるいは一般的な機械製造の機械および装置における摺動部材およびガイド部材にとって重要である。さらに、Rp0.2の高い値は、電子工学および電気工学における差し込みコネクタの必要なばね特性の前提である。
本発明のSn含有量は、4.0と23.0重量%の間の範囲内で変動する。4.0重量%より低いスズ含有量だと、結果として強度値と硬度値があまりにも低くなる。その上、滑り負荷では運動特性が不十分である。アブレシブ摩耗および凝着摩耗に対する合金の抵抗力は前記要求を満たさない。23.0重量%を超えるSn含有量の場合、本発明による合金の靭性が急速に悪化し、それにより、この材料からなる部品の動的負荷容量が低下する。
前記硬質粒子の析出により、本発明による合金は、ホウ化珪素の高い硬度に基づきアブレシブ摩耗に対する材料抵抗の改善に寄与する硬質相含分を有する。さらに、前記硬質粒子の含分は、これらの相が滑り負荷の際に金属製相手部材と低い溶接傾向を示すので、凝着摩耗に対する耐性を改善させている。したがって、これらは、本発明によるスズ含有銅合金における重要な摩耗支持体として用いられる。さらに、硬質粒子は本発明からなる部品の耐熱性および耐応力緩和特性を高める。これは、特に摺動部材用ならびに電子工学/電気工学における構成部材、配線部材、ガイド部材および連結部材用に本発明による合金を使用するための重要な前提である。
本発明による合金中にホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩を形成することは、組織中の空洞や亀裂を著しく減少させることにつながるだけではない。これらの珪酸塩相は部品上で摩耗防止性および/または腐食防止性被覆の役目も果たしている。
したがって、本発明による合金は、耐摩耗性および耐食性という特性の組み合わせを保証する。この特性の組み合わせにより、滑り摩耗のメカニズムに対する要求に即した高い抵抗力と、摩擦腐食に対する高い材料抵抗が生じる。このようにして、本発明は滑り摩耗および振動摩擦摩耗、いわゆるフレッティング、に対して高度な耐性を有するので、摺動部材および差し込みコネクタとして使用するのに著しく適している。
硬質粒子の結晶核および再結晶核としての作用、摩耗支持体としての作用、ならびに腐食防止目的の珪酸塩相の作用は、珪素含有量が少なくとも0.05重量%、かつホウ素含有量が少なくとも0.005重量%である場合にようやく本発明による合金中で技術的に意義のある程度に達することができる。それに対して、Si含有量が2.0重量%を、および/またはB含有量が0.6重量%を超えるならば、これにより鋳造性が悪化する。硬質粒子の含有量があまりにも高いと、溶融物の粘度が決定的に高くなる。その上、本発明による合金の靭性が減少する結果になる。
0.05から1.5重量%、特に0.5から1.5重量%の間にあるSi含有量の範囲が好適であると認められている。
元素のホウ素については、0.01から0.6重量%の含有量が好適であるとみなされる。特に好適であると証明されたのは、0.1から0.6重量%のホウ素含有量である。
硬質粒子ならびにホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩の十分な含有量を確実にするためには元素の珪素およびホウ素の具体的な元素比の調節が重要であると証明された。この理由から、本発明による合金の元素の珪素およびホウ素の(重量%の)元素含有量の比Si/Bは、0.3から10の間にある。1から10、さらに1から6の比Si/Bが特に好適であると証明された。
硬質粒子の析出は、本発明による合金の溶融物の粘度に影響を及ぼす。この状況はさらに、リンの添加をなぜ省いてはいけないのかを強調している。リンにより溶融物は硬質粒子の含有量にかかわらず十分に粘性が低くなり、このことは本発明の鋳造性にとって大変重要である。本発明による合金のリンの含有量は0.001から0.08重量%である。好適には、P含有量は0.001から0.05重量%の範囲である。
元素の珪素、ホウ素およびリンの元素含有量の合計は、好適には少なくとも0.5重量%である。
特にSn含有量が約9重量%までの慣用の鍛錬用銅−スズ合金および銅−スズ−リン合金からなる半製品および部品の機械的な加工は、その機械加工性が不十分なので、大きな費用をかけた場合のみ可能である。特に、長いコイル状チップが発生すると、機械の加工範囲からまずこれらのチップを手で除去しなくてはならないので、機械の停止時間が長くなる原因となる。
それに対して、本発明による合金では、合金のSn含有量に応じて元素のスズおよび/またはδ相が結晶化または析出している硬質粒子が、チップブレーカとして用いられる。そのように生じる短い細砕チップおよび/またはスレッドチップは機械加工性を容易にするので、本発明による合金からなる半製品および部品は改善された機械加工性を有する。
本発明の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 4.0から9.0%、
Si 0.05から2.0%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.08%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の他の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 4.0から9.0%、
Si 0.05から0.3%、
B 0.1から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の特に好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 4.0から9.0%、
Si 0.5から1.5%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明のこの実施態様の鋳造組織中には、Snを多く含むδ相が均一に島形状に40体積%まで配置されている。このとき、元素のスズおよび/またはδ相は、大部分が硬質粒子の範囲内で結晶化している、および/またはこれらを覆っている。
この実施態様の鋳造品は、600から880℃の範囲の作業温度において優れた熱間加工性を有する。硬質粒子により有利に行なわれた動的再結晶によって、この実施態様の熱間加工後の組織は非常に微粒子状に存在している。これにより、40%を超える冷間加工度εを持つ非常に良好な冷間加工性が生じる。
組織中に析出した硬質粒子は、冷間加工した材料状態を200から880℃の温度において10分から6時間の期間で熱処理する際、再結晶核として作用する。このさらなる加工工程により、20μmまでの粒径を有する組織を調整することができる。硬質粒子による再結晶メカニズムの恩恵により再結晶温度が低下するので、10μmまでの粒径の組織を生じることができる。冷間加工および焼鈍からなる多段階製造プロセスにより、および/または目的に応じた再結晶温度の低下により、材料組織中の微結晶の大きさを5μmより小さく調整することが可能である。
いくつかの実施態様の機械的特性は、合金組成ならびに製造パラメータの範囲全体を代表している。以下に説明した対応する実施例の調査結果は、引張強さRについては700を超えて800MPaまでの値、降伏強度Rp0.2については600を超えて700MPaまでの値が得られることを明らかに示している。同時に、実施態様の靭性は大変高い水準にある。この状況は破断伸びA5についての高い値により表されている。
本発明の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 9.0から13.0%、
Si 0.05から2.0%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.08%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の他の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 9.0から13.0%、
Si 0.05から0.3%、
B 0.1から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の特に好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 9.0から13.0%、
Si 0.5から1.5%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明のこの実施態様の組織は、60体積%までのδ相の含有量を特徴としており、この相形式は、島形状および網形状で組織中に均一に分布している。このとき、さらに、元素のスズおよび/またはδ相は、大部分が硬質粒子の範囲内で結晶化している、および/またはこれらを覆っている。
この実施態様の鋳造品は、600から880℃の作業温度において優れた熱間加工性を有する。
硬質粒子により有利に行なわれた動的再結晶によって、この実施態様の熱間加工後の組織は非常に微粒子状に存在している。これにより、非常に良好な冷間加工性が生じ、これは、熱間加工後に空気または水中で冷却を加速することにより、および/または熱間加工プロセス後に200から880℃の温度において10分から6時間の期間で焼鈍処理をすることによりさらに改善することができる。熱間加工の工程の後、硬質粒子の範囲内での元素のスズおよび/もしくはδ相の結晶化ならびに/または元素のスズおよび/もしくはδ相によるこれら硬質粒子の被覆という、鋳造状態に関する組織特徴は完全に顕著である。
組織中に析出した硬質粒子は、冷間加工した材料状態を200から880℃の温度において10分から6時間の期間で熱処理する際、再結晶核として作用する。このさらなる加工工程により、微粒子状の組織を調整することができる。硬質粒子による再結晶メカニズムの恩恵により再結晶温度が低下するので、さらに小さい粒径の組織を生じることができる。冷間加工および焼鈍からなる多段階製造プロセスにより、組織の微粒子性をさらに最適化することができる。
本発明の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 13.0から17.0%、
Si 0.05から2.0%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.08%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の他の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 13.0から17.0%、
Si 0.05から0.3%、
B 0.1から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の特に好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 13.0から17.0%、
Si 0.5から1.5%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明のこの実施態様の鋳造組織のδ相は、80体積%までの均一に配置された網状構造の形状で存在する。このとき、元素のスズおよび/またはδ相は、大部分が硬質粒子の範囲内で結晶化している、および/またはこれらを覆っている。
この実施態様の鋳造品は、600から880℃の範囲の作業温度において同様に優れた熱間加工性を有する。まさに、合金元素のスズについて13.0から17.0重量%というこの含有量範囲では、慣用の銅−スズ合金は、熱による亀裂や熱による破壊を発生させずに熱間加工するのは極めて難しい。
硬質粒子により有利に行なわれた動的再結晶によって、この実施態様の熱間加工後の組織は非常に微粒子状に存在している。これにより、非常に良好な冷間加工性が生じ、これは、熱間加工後に空気または水中で半製品の冷却を加速することにより、および/または熱間加工プロセス後に200から880℃の温度において10分から6時間の期間で焼鈍処理をすることによりさらに改善することができる。熱間加工の工程の後、硬質粒子の範囲内での元素のスズおよび/もしくはδ相の結晶化ならびに/または元素のスズおよび/もしくはδ相によるこれら硬質粒子の被覆という、鋳造状態に関する組織特徴は完全に顕著である。
組織中に析出した硬質粒子は、冷間加工した材料状態を200から880℃の温度において10分から6時間の期間で熱処理する際、再結晶核として作用する。このさらなる加工工程により、30μmまでの粒径の組織を調整することができる。硬質粒子による再結晶メカニズムの恩恵により再結晶温度が低下するので、15μmまでの粒径の組織を生じることができる。組織中のδ相の網状配置は維持される。
冷間加工および焼鈍からなる多段階製造プロセスにより、ならびに/または目的に応じた再結晶温度の低下により、材料組織中の微結晶の大きさを5μmより小さく調整することも可能である。
本発明の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 17.0から23.0%、
Si 0.05から2.0%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.08%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の他の好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 17.0から23.0%、
Si 0.05から0.3%、
B 0.1から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
本発明の特に好適な実施態様では、スズ含有銅合金は(重量%で)以下のものからなっていてよい:
Sn 17.0から23.0%、
Si 0.5から1.5%、
B 0.01から0.6%、
P 0.001から0.05%、
残部銅および不可避な不純物。
98体積%まで組織中に均一に配置されたδ相の非常に密度の高い網は、本発明のこの実施態様の特徴である。このとき、元素のスズおよび/またはδ相は、大部分が硬質粒子の範囲内で結晶化している、および/またはこれらを覆っている。
密度の高いδ網の均一性によって、この実施態様の鋳造品は、600から880℃の範囲の作業温度において同様に優れた熱間加工性を有する。
本発明によるスズ含有銅合金からなる部品の凝着摩耗負荷の間、合金元素のスズは、摺動部材間のいわゆる摩擦層を形成するのに特に寄与する。特に混合摩擦条件下では、このメカニズムは、材料の耐ゴーリング性を前面に強く押し出す場合に重要である。前記摩擦層により、摺動部材間の純粋に金属からなる接触面は小さくなり、それにより、部材の溶接または焼き付きが防止される。
最新のエンジン、機械およびユニットの効率を上げることにより、ますます高い動作圧力および動作温度が生じる。これは特に、燃料の常時完全燃焼を目指している新開発の内燃機関で見られる。内燃機関の空間内での高い温度に加えて、さらに、滑り軸受系統の動作の間に生じる熱発生が現れる。軸受動作中の高い温度によって、本発明による合金からなる部分では、鋳造の場合および熱間加工の場合と似たような、ホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩の形成が行なわれる。これらの化合物は、さらに前記摩擦層を強化し、それにより本発明による合金からなる摺動部材の耐凝着摩耗性が高まる結果になる。
すでに、本発明の鋳造プロセスの間、組織中では硬質粒子の析出が行なわれる。これららの硬質相は、アブレシブ摩耗負荷の結果から、すなわち、切削摩耗による材料の削り取りから、材料を保護している。さらに、硬質粒子は、金属製の摺動部材との溶接傾向が小さいので、複雑に形成された摩擦層と一緒に、本発明の高い耐凝着摩耗性を保証する。
硬質粒子は、その摩耗支持体としての機能の他に、本発明による銅合金の組織の温度安定性を高くする。それにより、高い耐熱性が生じ、ならびに応力緩和に対する材料の耐性が改善される。
本発明による合金の鋳造形態およびさらなる加工を施した形態は、以下の選択元素を含有していてよい:
元素の亜鉛は、本発明によるスズ含有銅合金に0.1から2.0重量%の含有量で添加してよい。合金元素の亜鉛は、合金のSn含有量に依存して、本発明のSnを多く含む相の含分を高め、それにより強度および硬度が高まることが判明した。亜鉛の添加が、組織の均一性に対して、ならびに組織中の空洞や亀裂の含有量をさらに減少させることに対して有利な影響を及ぼす、という示唆は見出すことはできなかった。これに関しては、明らかに、ホウ素、珪素およびリンの合金含有量の組み合わせの影響の方が勝っている。Znが0.1重量%より低いと、強度および硬度を上げる効果は観察できなかった。2.0重量%を超えるZn含有量では、合金の靭性が低い水準にまで低下した。その上、本発明によるスズ含有銅合金の耐食性が悪化した。好適には、本発明に、0.5から1.5重量%の範囲の亜鉛含有量を添加してよい。
強度と硬度という機械的な材料特性ならびに高い温度での耐応力緩和特性をさらに改善するために、鉄およびマグネシウムの合金元素を単独でまたは組み合わせて添加してよい。
本発明による合金は、鉄0.01から0.6重量%を含有してよい。この場合、組織中には10体積%までのFeホウ化物、Feリン化物およびFe珪化物ならびに/またはFeを多く含む粒子が存在する。さらに、組織中では、Fe含有相とSi含有およびB含有相の付加化合物および/または混合化合物が形成される。これらの相および化合物は、強度、硬度、耐熱性、耐応力緩和特性、導電性の向上、ならびにアブレシブ摩耗負荷および凝着摩耗負荷に対する合金の抵抗性の改善に寄与する。Fe含有量が0.01重量%より低いと、これらの特性の改善が得られない。Fe含有量が0.6重量%を超えると、組織中に鉄のクラスターが形成される危険性がある。これには加工特性および使用特性の著しい低下が結び付いている。
さらに、本発明による合金には、元素のマグネシウムを0.01から0.5重量%添加してよい。この場合、組織中に15体積%までのMgホウ化物、Mgリン化物ならびにCu−Mg相およびCu−Sn−Mg相が存在する。さらに、組織中では、Mg含有相とSi含有およびB含有相の付加化合物および/または混合化合物が形成される。これらの相および化合物は、同様に、強度、硬度、耐熱性、耐応力緩和特性、導電性の向上、ならびに合金のアブレシブ摩耗負荷および凝着摩耗負荷に対する抵抗性の改善に寄与する。Mg含有量が0.01重量%より低いと、これらの特性の改善が得られない。Mg含有量が0.5重量%を超えると、特に合金の鋳造性が悪化する。その上、Mg含有化合物の含有量が高すぎると、本発明による合金の靭性を著しく低下させる。
選択的に、前記スズ含有銅合金は少ない鉛含分を有してよい。このとき、最大0.25重量%までの鉛含有量が、ちょうど、なお受け入れ可能であり、かつ不純物範囲を超えるものである。本発明の特に有利で好適な実施態様では、前記スズ含有銅合金は、場合により含まれる不純物の他には鉛を含有しない。この関係で、鉛含有量は最大Pb0.1重量%までが考えられる。
本発明の特別な利点としてみなされるのは、鋳造状態の組織に広い範囲でブローホールや引け巣、空隙、偏析および亀裂がないことである。それにより、例えば鋼からなる基体の上に融着される摩耗防止層としての本発明による合金の特別な適性が生じる。本発明による合金組成により、融着プロセスの際に、特に、開放気孔の形成を抑制することができ、それにより滑り層の耐圧性が高まる。
本発明の他の特別な利点は、均一で、広い範囲に空洞や偏析がない組織を提供するために、例えばスプレー圧縮またはストリップ鋳造のような特別な一次加工技術を実施する絶対的な必要性がないということである。このような組織の調整のために、本発明による合金の一次加工プロセスについては、慣用の鋳造方法が使用できる。つまり、本発明の1つの側面は、本発明によるスズ含有銅合金から、砂型鋳造法、シェルモールド鋳造法、精密鋳造法、フルモールド鋳造法、ダイカスト法またはロスト・フォーム法を用いて最終製品および最終製品に近い形の部品を製造する方法を包含する。
その上、本発明の1つの側面は、本発明によるスズ含有銅合金から、チル鋳造法または連続もしくは半連続鋳造法を用いてテープ、薄板、ディスク、ボルト、丸形ワイヤ、異形ワイヤ、丸形バー、異形バー、中空バー、パイプおよび異形材を製造する方法を包含する。
注目すべきは、本発明による合金からなる形状のチル鋳造または連続鋳造後は、材料中の空洞や亀裂を溶接するために、つまり閉じるために、費用のかかる鍛造プロセスおよび/または据え込み加工プロセスを高い温度で実施する必要もないということである。
その上、本発明では、十分な熱間加工性を保証するために、Sn含有量に応じて存在するSnを多く含むδ相を均質化焼鈍または固溶化焼鈍により組織中にさらに細かく分布させ、または溶解させ、かつそれで取り除くということがもはや絶対的に必要というわけではない。いずれにせよ相応のSn含有量を持つ本発明による合金の鋳造組織中すでに均一に細かく分布しているδ相は、合金の使用特性のための本質的な機能を果たしている。
本発明の有利な形態では、鋳造状態のさらなる加工が、600から880℃の温度範囲における少なくとも1回の熱間加工の実施を含んでよい。
好適には、静かなまたは加速させた空気であるいは水で、熱間加工後の半製品および部品の冷却を行なってよい。
好適には、本発明の鋳造状態および/または熱間加工した状態を、200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間で少なくとも1回焼鈍処理を行ない、あるいは静かなもしくは加速させた空気でのまたは水での冷却を伴って行なってよい。
本発明の1つの側面は、鋳造状態、または熱間加工された状態、または焼鈍された鋳造状態、または焼鈍および熱間加工された状態のさらなる加工のための好適な方法に関し、この方法は、少なくとも1回の冷間加工の実施を含む。
有利には、200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間で本発明の冷間加工された状態の少なくとも1回の焼鈍処理を実施してよい。
好適には、200から650℃の温度範囲において0.5から6時間の期間で応力除去焼鈍/時効熱処理を実施してよい。
本発明の均一な組織のマトリックスは、延性のあるα相と共に合金のSn含有量に応じたδ相の部分からなる。δ相は、その高い強度と硬度により、アブレシブ摩耗に対する合金の抵抗力を大きくする。その上、δ相は、その摩擦層形成傾向を生じさせる高いSn含有量により、凝着摩耗に対する材料の耐性を大きくする。金属製基礎物質中には硬質粒子が混在している。本発明の他の実施態様ではさらに、金属製基礎物質中に析出したFeおよび/またはMg含有相が加わる。
α相およびδ相の金属製基礎物質からなり、高い硬度の析出物が混在しているこの不均質な組織により、本発明の対象には優れた特性の組み合わせが備わる。この関連で挙げられるのは以下のものである:高い強度値および硬度値と同時に非常に良好な靭性、優れた熱間加工性、十分な冷間加工性、組織の高い温度安定性とそれから生じる高い耐熱性および高い耐応力緩和特性、多くの用途に十分な導電性、高い耐食性、ならびにアブレシブ摩耗、凝着摩耗、表面破砕という摩耗メカニズムに対する、および振動摩擦摩耗、いわゆるフレッティングに対する大きな抵抗性。
広い範囲で空洞がなく、亀裂がなく、偏析がなく、硬質粒子を含有する均一な微粒子状の組織により、本発明による合金は、鋳造状態ですでに、高い程度の強度、硬度、延性、複合的な耐摩耗性および耐食性を有する。この理由から、本発明による合金は、鋳造状態ですでに、広い使用範囲を有する。
例えば鋼からなる基体の上に融着される摩耗防止層として本発明による合金の特別な適性が生じる。これに関しては、調質鋼(硬化820から860℃、焼き戻し540から660℃;DIN EN 10083−1)の処理温度が本発明の熱処理範囲にあることを強調すべきである。この意味は、調質鋼からなる基体上に前記スズ含有銅合金を融着した後、両方の結合部材の機械特性はたった1つの処理工程で最適化できるということである。他の利点は、融着プロセスの際に開放気孔の生成が抑制され、それにより摩耗防止層の耐圧性が高まるということである。
融着以外に、他の接合方法も考えられる。この関連で考えられるのは、200から880℃の温度範囲において少なくとも1回の焼鈍を選択的に実施することを含む鍛造、はんだ付けまたは溶接を用いた複合製造である。同様に、例えば軸受−複合シェルまたは軸受−複合ブッシュを圧延被覆、誘導もしくは伝導圧延被覆によって、またはレーザ圧延被覆によって製造することができる。
すでに、テープ形、薄板形、ディスク形、ボルト形、ワイヤ形、バー形、パイプ形および異形材形の鋳造形状から、内燃機関、バルブ、ターボチャージャー、変速機、排ガス後処理装置、レバー系統、ブレーキ系統および連結系統、油圧式ユニットにおける、あるいは一般的な機械製作の機械および装置における摺動部材およびガイド部材を製造することができる。鋳造状態のさらなる加工によって、これらの使用目的のために、複雑な形状と、向上した機械特性および最適な摩耗特性を有する半製品および部品を製造することができる。それによって、動的負荷における前記高い部品要求が考慮される。
本発明の他の側面は、電子工学/電気工学における構成部材、配線部材、ガイド部材および連結部材のための、本発明によるスズ含有銅合金の使用法を包含する。
本発明によるスズ含有銅合金の優れた強度特性および耐摩耗性ならびに耐食性により、他の使用可能性が考えられる。つまり、本発明は、海水で生存する生物の飼育(水産養殖)用構造物における金属製物品に適している。本発明の他の側面は、船舶製造用プロペラ、翼、船舶スクリューおよびハブのための、ウォータポンプ、オイルポンプおよびフューエルポンプのケーシングのための、ポンプおよび水力タービン用ステータ、ロータおよび羽根車のための、歯車、ウォームギア、ヘリカルギアのための、ならびに圧力ナットおよびスピンドルナットのための、ならびに海洋および化学産業におけるパイプ、ガスケットおよび結合ボルトのための、本発明によるスズ含有銅合金の使用法を包含する。
本発明による合金を打楽器の製造に使用するために、この材料は大変重要である。特に、高い品質の凹状円盤、いわゆるシンバルは、スズ含有銅合金から、大抵は鐘状物または鉢状物を用いて最終形状にする前に、熱間加工および少なくとも1回の焼鈍によって製造される。引き続き、シンバルは、切削による最終加工が行なわれる前に、再度焼鈍される。例えばライド・シンバル、ハイハット、クラッシュ・シンバル、チャイナ・シンバル、スプラッシュ・シンバルおよびエフェクト・シンバルの、様々なシンバルのタイプを製造するには、したがって、本発明による合金で保証されている、材料の特別好適な熱間加工性が必要である。本発明の化学組成の範囲内では、δ相および硬質粒子について様々な組織含分を大変広い範囲で調整することができる。このように、すでに合金側でシンバルの響き方に影響を及ぼすことが可能である。
合金1の鋳造状態の組織を200倍の倍率で示す図である。 同じく500倍の倍率で示す図である。 合金3の鋳造組織を200倍の倍率で示す図である。 同じく500倍の倍率で示す図である。 テープ3−Aの組織を最終的に500℃/3h+空気のパラメータで熱処理した図である。 同じく600℃/3h+空気のパラメータで熱処理した図である。
本発明の他の重要な実施例を、表1から11によって説明する。本発明によるスズ含有銅合金の鋳造ブロックは、チル鋳造により製造した。鋳物の化学組成は、表1から3により明らかである。
表1は合金タイプ1および2の化学組成を示している。これらの材料は、約7重量%のSn含有量、0.015重量%のP含有量、ならびに様々な元素比の珪素とホウ素の元素および残部銅を特徴としている。
Figure 0006679741
鋳造後、実施例1および2の組織は、比較的低い含有量のδ相(約15から20体積%)および硬質粒子の非常に均一な、大部分が島状の分布により形成されている。合金1の鋳造状態の組織を図1に示している(200倍の倍率)。Snを多く含むδ相1が、スズの少ないα相からなる銅固溶体3中に島状に均一に配置されていることがわかる。その上、スズおよび/またはSnを多く含むδ相に覆われている硬質粒子2が確認できる。
これらの合金タイプの硬度は、合金1では105HBであり、合金2では98HBである(表2)。
Figure 0006679741
表3からは、他の合金タイプ3の化学組成が明らかである。この材料は、Sn約15重量%とP0.024重量%に加え、他の元素のSi(0.77重量%)およびホウ素(0.20重量%)を含有している。
Figure 0006679741
本発明はとりわけ、鋳造状態の組織が、合金のSn含有量が多くなるにつれて、鋳造/冷却プロセスに従って、増加するδ相含分からなることを特徴とする。このSnを多く含むδ相の配置は、微細に分布した島形状から、合金のSn含有量が多くなるにつれ、密度の高い網形状に移行する。前記合金タイプ3の鋳造組織では、δ相は明らかに高い含有量で存在する(約70体積%まで)。この組織は、200倍の倍率の図3および500倍の倍率の図4から明らかである。符号1で、図4において組織中に網状に配置されたSnを多く含むδ相が示されている。さらに、スズおよび/またはSnを多く含むδ相により覆われている硬質粒子2が認められる。符号3で、銅固溶体の組織成分が記載されている。
Sn含有量が多くなるにつれ材料の硬度が高くなることは、合金3の190HBという明らかに高い値により表されている(表4)。
Figure 0006679741
本発明の1つの側面は、チル鋳造法または連続もしくは半連続鋳造法を用いて本発明によるスズ含有銅合金からテープ、薄板、ディスク、ボルト、ワイヤ、バー、パイプおよび異形材を製造する方法に関する。
本発明による合金は、加えて、さらなる加工を施すことができる。一方では、それにより、特定の、しばしば複雑な形状を製造することが可能になる。他方では、このようにして、特に摩耗で負荷される部品用の、および電子工学/電気工学における部材や結合材の用の材料の複合的な動作特性を改善するという要求に対応する。というのも、対応する機械、エンジン、変速機、ユニット、構造物および装置においてシステム部材の負荷が大幅に増加するからである。このさらなる加工の間、靭性の著しい改善ならびに/または引張強さR、降伏強度Rp0.2および硬度の大幅な向上が達成される。
本発明による合金の優れた熱間加工性により、鋳造状態のさらなる加工は、好適には600から880℃の温度範囲における少なくとも1回の熱間加工の実施を含んでよい。熱間圧延を用いて、ディスク、薄板およびテープを製造することができる。押出成形は、ワイヤ、バー、パイプおよび異形材の製造を可能にする。結局、部分的に複雑な形状を有する最終形状に近い部品を製造するには鍛造法が適している。
鋳造状態、または熱間加工された状態、または焼鈍された鋳造状態、または焼鈍および熱間加工された状態のさらなる加工の他の好適な方法は、少なくとも1回の冷間加工の実施を含んでよい。この工程によって、特に物質の特性値R、Rp0.2および硬度が著しく高くなる。これは、部材の機械的負荷ならびに/または強いアブレシブ摩耗負荷および凝着摩耗負荷が生じる用途の場合に有意義である。さらに、本発明による合金からなる部材のばね特性は、冷間加工によってはるかに改善する。
冷間加工後に本発明の組織を相応に再結晶するために、200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間で少なくとも1回焼鈍処理を行なってよい。そのようにして生じる非常に微粒子状の構造は、材料の高い強度と硬度および十分な靭性からなる特性の組み合わせを生じるための重要な前提である。
部品の残留応力を低下させるために、好適には追加で、200から650℃の温度範囲において0.5から6時間の期間で応力除去焼鈍/時効熱処理を実施してよい。
特に強い複合的な部品負荷を有する使用分野に対しては、少なくとも1回の冷間加工、または少なくとも1回の熱間加工と少なくとも1回の冷間加工との組み合わせを、200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間での少なくとも1回の焼鈍と合わせて含み、本発明の合金の組織を再結晶させるさらなる加工を選択してよい。このようにして調整された微粒子状の合金構造は、高い強度、高い硬度および良好な靭性の組み合わせを保証する。加えて、部品の残留応力を低下させるために、200から650℃の温度範囲において0.5から6時間の期間で応力除去焼鈍処理を実施してよい。
実施例1および2(表1)からテープ状の半製品を製造するために、異なる3つの製造順序を選択した。これらは、特に、冷間加工/焼鈍サイクルならびに使用する冷間加工度および焼鈍温度で異なっている(表5)。
Figure 0006679741
チル鋳造および熱間圧延の後、対応するブロックまたは半製品は、極めて滑らかな表面を特徴としていた。熱間圧延プロセスの間行なわれた組織の動的再結晶により、合金タイプ1および2の両方の熱間加工された状態は、優れた冷間加工性を有していた。つまり、熱間加工されたディスクは、約70%の冷間加工度εで、亀裂なく冷間圧延することができた。
前記製造1の過程で、冷間圧延したテープを、280℃の温度において2時間の期間で焼鈍した。そうして応力除去したテープの特性値は、表6から明らかである。高い強度値および硬度値にかかわらず、前記両合金のテープは格別に良好な靭性を有し、これについては、破断伸びA5の高い値がその程度を表している。
Figure 0006679741
元素の珪素およびホウ素の元素比Si/Bの意味は、前記合金1および2からなるテープの個々のデータを比較することで示される。合金1の方が約2.5という高いSi/B比であることにより、鋳造の間と熱的および熱機械的製造工程の間、ホウ珪酸塩、リン珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩が強く生成される。この理由から、様々な試験で、耐食性に関しては、合金2との比較で合金1の優位性が確かめられた。その上、合金1からなるテープのR、Rp0.2についての値は、明らかに高い水準にある。約0.5という小さいSi/B比によって、合金2の組織中では、より高いSi含有量が硬質粒子中に結合する。それによって、導電性が特に高くなり、かつ破断伸びA5が増し、それにより合金2の延性の方が良好である。すでに前記製造1の結果から、本発明の化学組成のタイプでもって前記特性をそれぞれの使用分野に正確に適応させることができると認められる。
前記製造2の枠内では、合金タイプ1および2のテープを最初の冷間圧延の後に680℃で3時間焼鈍した。引き続き、約60%の冷間加工度εで前記テープの冷間圧延を行なった。製造の最後に、前記テープを280から400℃の間の様々な温度において熱応力除去した。結果として生じた材料状態の特性値を表7に挙げている。
製造1を終了した後のように、実施例1の状態の強度値の方が高いが、それに対して実施例2の方は導電率および破断伸びA5についての値が高いことで優れている。さらに、表7から、280℃で応力除去したテープの組織は変形特徴を含んでいるので、粒径についての値を記載できなかったことがわかる。約340℃で組織の再結晶が始まり、それにより、強度および硬度が大きく低下する。
Figure 0006679741
この理由から、前記製造3の枠内では、最初の冷間加工後の焼鈍の温度を450℃まで下げた。この温度で3時間の焼鈍をした後、テープの冷間圧延を、約30%の冷間加工度εで行なった。最終的に240から360℃の間の温度で2時間の応力除去焼鈍を行なうことにより、表8に示した特性値が得られた。
実施例1のテープを240℃/2hで応力除去した最終状態を500倍の倍率で見た組織を図2に示している。銅固溶体3中に混在している硬質粒子2を有する微粒子状の組織が明らかである。この硬質粒子は、スズおよび/またはSnを多く含むδ相1により覆われている。
この結果は、強度および硬度について極めて高い値を有する完全に再結晶した組織を示している。しかも、破断伸びA5についての高い値が材料状態の優れた延性を示している。製造3の後も、合金1の状態の強度値は合金2のそれを上回っている。それに対して、合金2の状態は、破断伸びA5および導電性に関しては有利である。
Figure 0006679741
表3からその化学組成がわかる本発明の実施例3のテープを、表9に記載された製造プログラムに従って製造した。チル鋳造形状の熱間圧延を750℃の温度で行ない、それに続いて加速した空気および水中での冷却を行なった。熱間加工された半製品の冷却を水中で促進する利点は、冷間加工性の改善として現れる。つまり、熱間圧延され水中で急冷されたテープは、引き続き24%の冷間加工度εで冷間圧延することができる。これに対して、熱間圧延の後、空気で冷却されたテープは、約5%の冷間加工度εの冷間加工しかできない。
Figure 0006679741
冷間圧延した状態ならびに冷間圧延しかつ焼鈍した状態の粒径および硬度を表10に示す。焼鈍処理によって、組織特性は焼鈍温度が上がるにつれて高い水準に調整される。
Figure 0006679741
テープ3−Aの組織を最終的に500℃/3h+空気、および600℃/3h+空気のパラメータで熱処理した。それを図5および図6に示している。500℃/3hでの焼鈍の後(図5)、Snを多く含むδ相1に加え、スズおよび/またはSnを多く含むδ相1に覆われた、比較的粗い硬質粒子および非常に細かい硬質粒子2が組織中に存在する。その上、スズの少ないα相からなる銅固溶体3も認められる。高い方の温度である600℃で焼鈍した後、テープ3−Aの組織の粒子はさらに粗い(図6)。銅固溶体3に埋まっているのは、Snを多く含む相1および硬質粒子2である。
テープ3−Bに、複数の冷間圧延/焼鈍サイクルを有するさらなる加工を施した。様々な温度で応力除去した最終状態の特性値を表11に挙げている。
1回の冷間圧延工程および1回の焼鈍処理からなるそれぞれのサイクルにより、本発明の実施例3の組織は次第に列状に伸びる。合金の高いSn含有量のせいで非常に高いδ含分が列状に配置されたことにより、300HV1に近い高い硬度値が得られる。同時に合金の脆弱な特性も増すが、これは、破断伸びA11.3についての値が非常に低いことに表れている。
Figure 0006679741
結果として、本発明による合金は、Sn4から23%というSn含有量の全範囲にわたって優れた鋳造性および熱間加工性を有すると結論付けられる。冷間加工性も高い水準にある。当然のことながら、組織のδ含分が増加することにより、Sn含有量が多くなるにつれて本発明の延性は悪化する。
1 Snを多く含むδ相
2 スズおよび/またはSnを多く含むδ相に覆われた硬質粒子
3 スズが少ないα相からなる銅固溶体

Claims (17)

  1. (重量%で)以下の成分:
    Sn 4.0から23.0%まで、
    Si 0.05から2.0%まで、
    B 0.005から0.6%まで、
    P 0.001から0.08%まで、
    選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
    選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
    選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
    選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
    残部銅および不可避な不純物
    からなる、
    熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
    ‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にあることを特徴とする、高強度スズ含有銅合金。
  2. (重量%で)以下の成分:
    Sn 4.0から23.0%まで、
    Si 0.05から2.0%まで、
    B 0.005から0.6%まで、
    P 0.001から0.08%まで、
    選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
    選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
    選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
    選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
    残部銅および不可避な不純物
    からなる、
    熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
    ‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にあり;
    ‐鋳造後、前記合金中には以下の組織成分:
    a)Snを多く含むδ相(1) 1から98体積%まで、
    b)Si含有およびB含有相(2) 1から20体積%まで、
    c)スズが少ないα相からなる残部銅固溶体(3)
    (このとき、前記Si含有およびB含有相(2)は、スズおよび/または前記Snを多く含むδ相(1)により覆われている)
    が存在し;
    ‐鋳造の際、ホウ化珪素として形成された前記Si含有およびB含有相(2)は、溶融物の凝固/冷却の間の均一な結晶化のための核をなし、それにより前記Snを多く含むδ相(1)は島状および/または網状に組織中に均一に分布しており;
    ‐ホウ珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩として形成された前記Si含有およびB含有相(2)は、リン珪酸塩と一緒に、前記合金の半製品および部品上で摩耗防止性および/または腐食防止性被覆の役目を果たしている
    ことを特徴とする、高強度スズ含有銅合金。
  3. (重量%で)以下の成分:
    Sn 4.0から23.0%まで、
    Si 0.05から2.0%まで、
    B 0.005から0.6%まで、
    P 0.001から0.08%まで、
    選択的に、さらにZn 最大2.0%まで、
    選択的に、さらにFe 最大0.6%まで、
    選択的に、さらにMg 最大0.5%まで、
    選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
    残部銅および不可避な不純物
    からなる、
    熱間加工性および冷間加工性に優れ、アブレシブ摩耗、凝着摩耗およびフレッティング摩耗に対する耐性が高く、ならびに耐食性および耐応力緩和特性が改善された高強度スズ含有銅合金において、
    ‐元素の珪素およびホウ素の元素含有量の比Si/Bが0.3から10の間にあり;
    ‐少なくとも1回の焼鈍による、あるいは少なくとも1回の焼鈍と共に少なくとも1回の熱間加工および/または冷間加工による前記合金のさらなる加工後、前記合金中には以下の組織成分:
    a)Snを多く含むδ相(1) 75体積%まで、
    b)Si含有およびB含有相(2) 1から20体積%まで、
    c)スズが少ないα相からなる残部銅固溶体(3)
    (このとき、前記Si含有およびB含有相(2)は、スズおよび/または前記Snを多く含むδ相(1)により覆われている)
    が存在し;
    ‐ホウ化珪素として形成された、含有されている前記Si含有およびB含有相(2)は、合金の前記さらなる加工の間の組織の静的および動的再結晶のための核をなし、それにより均一で微粒子状の組織の調整が可能になり;
    ‐ホウ珪酸塩および/またはホウリン珪酸塩として形成された前記Si含有およびB含有相(2)は、リン珪酸塩と一緒に、前記合金の半製品および部品上で摩耗防止性および/または腐食防止性被覆の役目を果たしている
    ことを特徴とする、高強度スズ含有銅合金。
  4. 0.05から1.5%までの元素の珪素が含まれていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金。
  5. 0.5から1.5%までの元素の珪素が含まれていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金。
  6. 0.01から0.6%までの元素のホウ素が含まれていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金。
  7. 0.001から0.05%までの元素のリンが含まれていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金から、砂型鋳造法、シェルモールド鋳造法、精密鋳造法、フルモールド鋳造法、ダイカスト法またはロスト・フォーム法を用いて最終製品および最終製品に近い形の部品を製造する方法。
  9. 請求項1から7までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金から、チル鋳造法または連続もしくは半連続鋳造法を用いてテープ、薄板、ディスク、ボルト、丸形ワイヤ、異形ワイヤ、丸形バー、異形バー、中空バー、パイプおよび異形材を製造する方法。
  10. 鋳造状態のさらなる加工が、600から880℃の温度範囲における少なくとも1回の熱間加工の実施を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間で少なくとも1回の焼鈍処理が実施されることを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 鋳造状態、または熱間加工された状態、または焼鈍された鋳造状態、または焼鈍および熱間加工された状態のさらなる加工が、少なくとも1回の冷間加工の実施を含むことを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 200から880℃の温度範囲において10分から6時間の期間で少なくとも1回の焼鈍処理が実施されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 200から650℃の温度範囲において0.5から6時間の期間で応力除去焼鈍/時効熱処理が実施されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
  15. 調節ストリップおよび摺動ストリップのための、フリクションリングおよびフリクションディスクのための、複合コンポーネントにおける滑り軸受面のための、内燃機関、バルブ、ターボチャージャー、変速機、排ガス後処理装置、レバー系統、ブレーキ系統および連結系統、油圧式ユニットにおける、または一般的な機械製造の機械および装置における摺動部材およびガイド部材のための、請求項1から7までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金の使用法。
  16. 電子工学/電気工学における構成部材、配線部材、ガイド部材および連結部材のための、請求項1から7までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金の使用法。
  17. 海水で生存する生物の飼育における金属製物品のための、打楽器のための、船舶製造用プロペラ、翼、船舶スクリューおよびハブのための、ウォータポンプ、オイルポンプおよびフューエルポンプのケーシングのための、ポンプおよび水力タービン用ステータ、ロータおよび羽根車のための、歯車、ウォームギア、ヘリカルギアのための、ならびに圧力ナットおよびスピンドルナットのための、ならびに海洋および化学産業におけるパイプ、ガスケットおよび結合ボルトのための、請求項1から7までのいずれか1項に記載のスズ含有銅合金の使用法。
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