JP6676522B2 - 対象における眼球運動を追跡するためのデバイスの作動方法、および当該デバイスによって追跡された眼球運動のデータの中枢神経系病変を位置特定するための使用方法 - Google Patents

対象における眼球運動を追跡するためのデバイスの作動方法、および当該デバイスによって追跡された眼球運動のデータの中枢神経系病変を位置特定するための使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、脳神経II、III、IV、およびVIの生理的機能を評価し、頭蓋内圧の上昇、テント切痕内ヘルニア、脳振盪、正常圧水頭症、後頭蓋窩腫瘤効果、視神経症、神経変性疾患についてスクリーニングし、それらを診断し、それらの程度を定量化し、頭蓋内病変および疾患過程を診断し、位置特定し、それらの進行を監視するための方法およびキットに関する。本発明は、注視または斜視の共同性または非共同性(disconjugacy)を評価または定量化するため、および注視または斜視の共同性または非共同性によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える神経疾患についてスクリーニングし、それらを診断し、評価するための方法およびキットにも関する。さらに、本発明は、構造的および非構造的外傷性脳傷害を評価または定量化するため、ならびにそれについてスクリーニングし、それを診断し、評価するための方法およびキットに関する。
眼球運動追跡
自動眼球運動追跡は、市場調査および広告調査、運動不能の個人のための支援デバイスの開発、ならびにテレビゲームのために使用されてきた。デバイスの較正は、対象が、第II脳神経(視神経)、第III脳神経(動眼神経)、第IV脳神経(滑車神経)および第VI脳神経(外転神経)ならびにそれらの関連する核の機能、ならびに較正のための認知および意志を可能にするのに十分な大脳機能を暗示する比較的損傷がない眼筋運動を有することを必要とする。較正された眼球運動追跡は、軽度の外傷性脳傷害後の軸索剪断に対して二次的な認知機能損傷を検出するために利用されてきた(Leeら、Brain research. 2011年;1399巻:59〜65頁;Contrerasら、Brain Research 2011年;1398巻:55〜63頁およびMarutaら、The Journal of Head Trauma Rehabilitation 2010年;25巻(4号):293〜305頁)。
他の研究者は、眼球運動データの臨床適用を首尾よく実証している(Leeら、Brain Research. 2011年;1399巻:59〜65頁;Contrerasら、Brain Research 2011年;1398巻:55〜63頁;Marutaら、The Journal of Head Trauma Rehabilitation 2010年;25巻(4号):293〜305頁)。Trojanoら、J Neurol 2012年;(オンラインで公開;印刷前)は最近、最小に意識のあるおよび持続的に植物状態の患者の集団における、較正されていない眼球運動測定値を記載した。彼らは、11人の健康な対照対象からのデータを報告し、意識の慢性障害を評価し、頭蓋内圧における急性変化を評価していない。彼らは、500Hzではなく60Hzで眼球運動をサンプリングして、そのデータの力を効率的に100分の1に低減させ、空間的に較正されたデータなしに群間のオンターゲットおよびオフターゲット固視における差異を報告している。さらに、彼らは、準周期的な方法で静的刺激移動を使用している。
上昇した頭蓋内圧
処置しない場合、水頭症、脳傷害、脳卒中または腫瘤病変に起因した頭蓋内圧(ICP)の急性の上昇は、永久的な神経学的な機能損傷または死を生じ得る。世界で最も一般的な小児科神経外科的状態である水頭症は、上昇したICPの影響を理解するためのモデルとして十分に研究されてきた。水頭症に関連する視覚障害および複視は、およそ紀元前400年にヒポクラテスによって最初に記載された(Aronyk、Neurosurg Clin N Am. 1993年;4巻(4号):599〜609頁)。うっ血乳頭、即ち視神経乳頭の膨張および上昇したICPとのその関連は、1860年にAlbrecht von Graefeによって記載された(Pearce、European neurology 2009年;61巻(4号):244〜249頁)。X線撮影後の時代になり、視神経および視神経乳頭(第II脳神経)ならびに眼筋運動(第III、第IVおよび第VI脳神経)の急性および慢性の病理は、水頭症の小児において十分に特徴付けられている(Dennisら、Arch Neurol. 1981年10月;38巻(10号):607〜615頁;Zeinerら、Childs Nerv Syst. 1985年;1巻(2号):115〜122頁およびAltintasら、Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology = Albrecht von Graefes Archiv fur klinische und experimentelle Ophthalmologie. 2005年;243巻(12号):1213〜1217頁)。視野は、処置された水頭症において機能損傷され得(Zeinerら、Childs Nerv Syst. 1985年;1巻(2号):115〜122頁)、処置後の状態と比較して、急性に水頭症の小児における光フラッシュにより惹起された応答における増加した潜時が存在する(Sjostromら、Childs Nerv Syst. 1995年;11巻(7号):381〜387頁)。眼筋運動の臨床的に明らかな破壊は、ある急性水頭症患者におけるコンピュータ断層撮影(CT)知見に先行し得る(Tzekovら、Pediatric Neurosurgery 1991年;17巻(6号):317〜320頁およびChouら、Neurosurgery Clinics of North America 1999年;10巻(4号):587〜608頁)。
いくつかの可能性のある機構が、水頭症に起因する脳神経機能不全に寄与し得る。視神経(II)は、検眼鏡検査で直接的におよび超音波で間接的に可視化できるので、最も頻繁に分析される。視神経の浮腫は、眼底の変化よりも早く現れ、上昇したICPの処置後に消散する(Gangemiら、Neurochirurgia 1987年;30巻(2号):53〜55頁)。振動性の上昇した神経圧力は、ウサギモデルにおいて30分間の短い時間の後に、視神経に沿った機能損傷された軸索輸送を導く(Balaratnasingamら、Brain Research 2011年;1417巻:67〜76頁)。軸索流のうっ滞およびニューロン内虚血が、慢性に上昇したICPに曝露された視神経において生じ得る(Leeら、Current Neurology and Neuroscience Reports. 2012年2月23日)。
今日、上昇した頭蓋内圧の診断は、履歴、身体検査、X線撮影画像化に依存し、場合により、シャントのカニューレ装着されたニードルタップまたはモニタリングデバイスの配置を介して、クモ膜下腔またはクモ膜下腔と近接した構造の直接的侵襲性評価に依存する。うっ血乳頭について評価するための瞳孔の化学物質による散大は、被検者にとって不快であり得、試験者の経験に依存し、瞳孔反射のさらなる検査を曖昧にする。うっ血乳頭は、常に水頭症に対する高感度マーカーであるわけではなく、1つの研究では、第IIIおよび第IV脳神経と比較して、第II脳神経の比較的短い頭蓋内走路と一致して、シャント機能障害を有する患者のうち14%の僅かな患者に存在した(Nazirら、J Aapos 2009年;13巻(1号):63〜66頁)。クモ膜下腔の区画化は、うっ血乳頭が上昇したICPを有さない患者に存在し得、上昇したICPを有する患者では生じないのがなぜかを説明すると仮定されている(Killerら、Clinical & Experimental Ophthalmology 2009年;37巻(5号):444〜447頁)。
眼球運動の共同性
空間較正のプロセスは、眼球運動性の欠陥をマスクし得ると考えられている。眼の運動において持続性のかつ再生可能な弱点がある場合、カメラは、その弱点の方向に移動する眼の能力を、較正プロセスに起因するその方向における動きの完全な潜在的範囲として解釈する。言い換えれば、対象が、ある位置を見るように指示されているが、常にその中間までしか移動しない場合、較正プロセスは、後続の眼球運動を追跡するときそれを把握し、中間点までの運動を、正常な動きの完全な範囲で起こっていると解釈する。較正中、一方の眼がターゲットの中間のみに到達するが、他方の眼が完全にターゲットにある場合、カメラは、一方が他方の眼球運動の半分を実施するとき、両方の眼は一緒になっていると解釈する。したがって、それぞれの眼が両眼分離装置を使用して別個に較正されない限り、両眼空間較正は、非共同性注視の検出を妨げ得る(Schotterら、PLoS One、2012年;7巻:e35608頁)。
共同注視は、同時の同じ方向内の両方の眼の動きである。共同注視は、以下の4つの異なる機構によって制御されると考えられている:随意の方向の注視を可能にするサッケードシステム、対象が移動している物体をフォローすることを可能にする追尾システム、外側の世界の運動にもかかわらず注視を回復させる視運動性システム、および世界の安定な視像を保存するために頭部の運動を補正する前庭動眼反射システム(VORシステム)。
非共同性注視または斜視は、眼が同じ方向内に一緒に向きを変えることができないことである。眼の正常な協調運動は、共同注視を生じさせ、共同注視では、眼は、両眼の3次元ビジョンのためにアライメントされる。ミスアライメントは、このビジョンを喪失させる。それぞれの眼の視軸が異なる点で固定されると、二重視(または複視)が通常生じ、2つの像が非常に緊密にアライメントされている場合、ぼやけた像として知覚される場合がある。しかし、より弱い眼からの像がより高い皮質中枢によって抑制される場合、視力の低下(またはぼやけた像)を伴ってただ1つの像が存在する。病理は通常、内側縦束(medial longitudinal fasiculus)、傍正中橋網様体、延髄網様体、上丘、あるいは脳神経III、IV、もしくはVI、またはこれらの核を含めた動眼筋またはこれらのニューロン経路に存在する。
眼球運動共同性の評価は、一般に、包括的な神経学的機能を迅速に評価するためにかかりつけの医師、神経内科医、眼科医、神経外科医、救急医療の医師、および外傷外科医によって実施される。安定な患者では、眼科医および神経内科医は、眼のアライメントを評価するために、覆い試験およびヒルシュベルグ角膜反射試験などのより精密な検査を実施する。両眼共同性を評価するのに使用される他の試験としては、Titmus House Flyテスト、ラングステレオテスト、ヘススクリーン、赤フィルター試験、マドックスロッド評価、およびLancaster赤緑試験がある。試験者とあまり協力的でない場合がある幼児では、両眼注視共同性は、設定された軌跡内を移動する物体をフォローするなどのより単純なアルゴリズムでのみ評価可能であり得る(Cavezianら、Res Dev Disabil.、2010年;31巻:1102〜1108頁)。このような試験を神経眼科的および身体的評価の残りと併せて実施すると、神経学的病変を位置特定し、眼球運動性欠陥を非常に正確に定量化することができる。この能力にもかかわらず、これらの試験は、これらを施すのに訓練された専門家の必要性、洗練された装置のための要件、および多くの神経障害の緊要性に起因して緊急の設定においてルーチン的に使用されていない。
研究目的のための霊長類における両眼注視共同性の評価は、眼球結膜中に移植されたコイルを必要とする磁気探索コイル技法を用いて実施される(Schultzら、J Neurophysiol.、2013年;109巻:518〜545頁)。この技法は、1966年にFuchsおよびRobinsonによって最初に記載され(Fuchsら、J Appl Physiol.、1966年;21巻:1068〜1070頁)、眼球運動を追跡するために特に設計された強膜探索コイルを装着された人間においても実施することができる。
実験的には、頭部が強固に固定されることを必要とするBouisオキュロメーター(oculometer)(Bachら、J Neurosci Methods、1983年;9巻:9〜14頁)を使用する空間的に較正された眼球運動追跡により、健康な7歳の小児は、成人に対して、ともに読解の課題を実施する一方で、サッケード中の眼球運動の非共同性が増大することが示される(Bucciら、Vision Res.、2006年;46巻:457〜466頁)。読解中の非共同性に対する研究は、個々の眼が、互いに同時に比較するために別個に運動を評価するように、空間的に別個に較正され、刺激を与えられる両眼分離装置を使用して実施することができる(Schotterら、PLoS One、2012年;7巻:e35608頁)。
脳傷害
脳傷害後の転帰の研究に関連した問題の1つは、病因、解剖学的後遺症、ならびに生理学的および心理的インパクトの観点からのこのような傷害の不均質な性質である。傷害の病因は、解剖学的後遺症に影響し、加速/減速および爆風などの包括的な機構から、鈍いインパクトおよび鋭的外傷などの潜在的により局所的な機構に及ぶ。いくつかの傷害機構は、脳に対して構造変化をもたらし、それは、MRIおよびCTスキャンなどの慣例的なイメージングを使用して可視化することができ、一方、他の傷害は、X線写真で正常に見える。
加速/減速傷害は、構造的に目に見える同側衝撃/対側衝撃傷害およびあまり目に見えないびまん性軸索傷害(DAI)をもたらし得る(Cecilら、Journal of Neurosurgery、1998年;88巻:795〜801頁)。加速/減速はまた、民間人のX線写真で正常な脳傷害の最も一般的な形態である脳振盪の潜在的な機構の1つであると考えらえている(Baylyら、Journal of Neurotrauma、2005年;22巻:845〜856頁;Daneshvarら、Physical Medicine and Rehabilitation Clinics of North America、2011年;22巻:683〜700頁)。脳振盪は、脳傷害であり、ほとんどの場合、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなどの慣例的なX線写真術によるイメージングによる構造的な異常性の非存在下で鈍いインパクトから生じる(McCroryら、The Physician and Sports Medicine、2009年;37巻:141〜159頁)。脳振盪は、神経学的機能の一過性の喪失または混乱を含み得る。用語「軽症脳振盪」は、神経学的機能の一過性の喪失または混乱の非存在下での脳傷害の後遺症を記述するのに使用される場合がある。脳振盪および軽症脳振盪の両方ならびに爆風傷害は、「非構造的」脳傷害と呼ばれる場合がある。
爆風傷害は、鈍いインパクトの脳傷害と、ともにX線写真で明らかな脳浮腫および頭蓋内出血と関連があり得る点で類似するが、爆風傷害に対して、浮腫発症は、より急速かつ重症であり得、臨床血管れん縮のより大きい可能性がある(Armondaら、Neurosurgery、2006年;59巻:1215〜1225頁)。爆風傷害は、非常に頻繁にX線写真で正常であるが、軽度または中等度の爆風傷害は、外傷後ストレス障害および他の認知機能障害と強く関連がある(Cernakら、The Journal of Trauma、2001年;50巻:695〜706頁)。爆風脳傷害の実際の原因は、多因性であると疑われ、DAIをもたらすことが多い(Leungら、Mol Cell Biomech、2008年;5巻:155〜168頁)。爆発によって引き起こされる圧力変化から生じる衝撃波は、頭蓋および非頭蓋構造の両方にインパクトを与える(Courtneyら、Medical Hypotheses、2009年;72巻:76〜83頁;Baumanら、Journal of Neurotrauma、2009年;26巻:841〜860頁)。爆風傷害は、いくつかの機構によって脳に影響を与える:脳に直接インパクトを与える、大気圧の爆風波誘導変化によって引き起こされる一次的脳傷害、頭部にインパクトを与える、爆風によって動かされる物体から生じる二次的傷害、および転倒し、または硬い物体へと推進された際に頭部を打つ犠牲者から生じる三次的傷害(Warden、The Journal of Head Trauma Rehabilitation、2006年;21巻:398〜402頁)。
鈍いインパクトおよび鋭的外傷は、びまん性および局所的の両方の傷害をもたらし得る。局所的な脳傷害が神経学的損傷に至る1つの機構は、皮質拡散うつ病であり(Hartingsら、Journal of Neurotrauma、2009年;26巻:1857〜1866頁)、これは現在、侵襲性手段を使用して測定可能と考えられているだけである。
脳傷害は、頭痛および記憶障害を含めた短期間の後遺症、ならびに認知症、パーキンソン症、および運動ニューロン疾患を含めたより長い期間の問題と関連がある場合がある(Daneshvarら、Physical Medicine and Rehabilitation Clinics of North America、2011年;22巻:683〜700頁)。脳振盪および軽度爆風傷害はともに、外傷後ストレス障害および認知障害と関連がある場合がある(Taberら、The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences、2006年;18巻:141〜145頁)。脳振盪についての臨床試験は、芳しくない試験信頼性を示し(Broglioら、Journal of Athletic Training、2007年;42巻:509〜514頁)、したがって脳振盪は、検出するのが困難であるため、処置することが困難である診断のままである。
外傷性脳傷害は、脳神経の直接圧迫、脳神経への外傷、脳神経核への傷害、および核上へのインパクト(supranuclear impact)を含めた多数の機構によって眼球運動にインパクトを与え得る。
外傷の多くの場合は、頭蓋内圧の上昇をもたらす。未処置の場合、脳傷害に起因する頭蓋内圧(ICP)の短時間の上昇が、永続的な神経学的機能障害または死亡をもたらし得る。ICPの上昇に関連した複視および他の眼の障害は、およそ紀元前400年にヒポクラテスによって最初に記述された(Aronyk、Neurosurgery Clinics of North America、1993年;4巻:599〜609頁)。うっ血乳頭およびICPの上昇とのその関連は、1860年にAlbrecht von Graefeによって記述された(Pearce、European Neurology、2009年;61巻:224〜249頁)。X写真術後の時代では、視神経および視神経乳頭、ならびに眼球運動性の急性および慢性の病理は、ICPが上昇した人においてよく特徴付けられている(Dennisら、Archives of Neurology、1981年;38巻:607〜615頁;Zeinerら、Child’s Nerv. Syst.、1985年;1巻:115〜122頁;Altintasら、Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology、2005年;243巻:1213〜1217頁)。眼球運動性の臨床的に明らかな混乱は、ICPが急性的に上昇した一部の対象におけるコンピュータ断層撮影(CT)の知見に先行し得る(Tzekovら、Pediatric Neurosurgery、1991年;17巻:317〜320頁;Chouら、Neurosurgery Clinics of North America、1999年;10巻:587〜608頁)。
いくつかの潜在的な機構が頭蓋内圧の上昇に起因した脳神経機能不全に寄与し得る。第III神経(動眼)は、前頭もしくは側頭腫瘤病変を有する側頭葉の内側面、またはびまん性テント上腫瘤効果によって直接的に圧迫される場合がある。第VI神経(外転)は、橋前槽におけるテント下腫瘤効果、およびこの神経が小脳テント遊離縁(tentorial edge)を横断する際のストレッチからの水頭症に対して解剖学的に脆弱である。
頭蓋内圧の上昇は、脳神経に沿った軸索原形質輸送を遅くする(Balarratnasingamら、Brain Research、2011年;1417巻:67〜76頁)。視神経(II)は、検眼鏡検査で直接的に、超音波で間接的に可視化することができるので、最も頻繁に分析される。視神経の浮腫は、眼底変化より早く現れ、ICPの上昇の処置後に消散する(Gangemiら、Neurochirurgia、1987年;30巻:53〜55頁)。神経圧力の上昇の変動により、ウサギモデルにおいてわずか30分後に視神経に沿った軸索輸送が損なわれる(Balarratnasingamら、Brain Research、2011年;1417巻:67〜76頁)。軸索流うっ滞およびニューロン内虚血が慢性的に上昇したICPに曝露された視神経において起こり得る(Leeら、Current Neurology and Neuroscience Reports、2012年)。眼球運動性にインパクトを与える神経の中で、滑車神経(IV)、その後動眼(III)、次いで外転(VI)は、最も狭い直径を有するくも膜下腔への曝露の最大の長さを有し、したがって、圧力誘導麻痺に対して最も脆弱であり得る(Hansonら、Neurology、2004年;62巻:33〜36頁;Adlerら、Journal of Neurosurgery、2002年;96巻:1103〜1113頁)。視神経(II)は、外転とおよそ同じ曝露の長さを有し(Muraliら、Head Injury(Paul CooperおよびJohn Golfinos編)(McGraw−Hill、2000年))、したがってうっ血乳頭、または検眼鏡検査で明らかな視神経乳頭の腫脹は、ICPの上昇の相対的に遅い指標であり得る(Killerら、Clinical & Experimental Ophthalmology、2009年;37巻:444〜447頁;Nazirら、J Aapos、2009年;13巻:62〜66頁)。うっ血乳頭は、必ずしもICPの上昇に至る水頭症の感受性マーカーとは限らず、一試験では、シャント機能不全を有する患者のわずか14%に存在し(Nazirら、J Aapos、2009年;13巻:62〜66頁)、脳神経IIIおよびIVと比較してIIの相対的に短い頭蓋内走路と一致した。うっ血乳頭が、ICPが上昇していない患者に存在する場合があり、ICPが上昇した患者に起こらない場合がある理由を説明するのに、くも膜下腔の区画化が仮定されている(Killerら、Clinical & Experimental Ophthalmology、2009年;37巻:444〜447頁)。
輻輳運動
空間中の単一の点に両方の眼の焦点を合わせる能力は、インタクトな輻輳運動を必要とする。経験豊富な検眼士は、爆風または脳振盪に起因する「軽度」脳傷害を有する患者の最大で90%において輻輳障害を検出する(Goodrichら、Optometry and Vision Science:American Academy of Optometryの公式刊行物、2013年;90巻:105〜112頁;Szymanowiczら、Journal of Rehabilitation Research and Development、2012年;49巻:1083〜1100頁;Thiagarajanら、Ophthalmic Physiol Opt、2011年;31巻:456〜468頁;Ciuffredaら、Optometry、2007年;78巻:155〜161頁;Kapoorら、Current Treatment Options in Neurology、2002年;4巻:271〜280頁)。
言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献資料(例えば、2013年3月25日に出願された特許協力条約に基づく出願第PCT/US2013/033672号、および2013年9月23日に出願された米国仮特許出願第61/881,014号)は、その全体が参照により組み込まれる。さらに、材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図しない。本明細書中の参考文献の引用は、その参考文献が本発明の先行技術であるという告白として解釈すべきではない。
Leeら、Brain research. 2011年;1399巻:59〜65頁
第1の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと;
e)中枢神経系病変を位置特定するステップと
によって、対象における中枢神経系病変を位置特定するための方法を提供する。
病変は、頭蓋内圧の増大を特徴として備える場合があり、かつ病変は、例えば、外傷、脳血管発作(CVA)、動脈瘤または他の血管病変、悪性または良性にかかわらず腫瘍、感染過程、炎症疾患、静脈排出路の混乱、偽腫瘍、神経変性疾患、水頭症または特発性に続くものであり得る。中枢神経系病変の位置特定は、例えば、頭蓋内圧の増大を経験している脳の側を判定することによって実施することができる。頭蓋内圧の増大を経験している脳の側は、例えば、反対側と比較して変化している、またはその対象のベースライン眼球運動と、もしくは対照対象の眼球運動と比較して変化している脳のその側の眼球運動を判定することによって判定することができる。
第2の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、対象における中枢神経系病変を診断するための方法を提供する。
病変は、頭蓋内圧の増大を特徴として備える場合があり、かつ病変は、例えば、外傷、脳血管発作(CVA)、動脈瘤または他の血管病変、悪性または良性にかかわらず腫瘍、感染過程、炎症疾患、静脈排出路の混乱、偽腫瘍、水頭症または特発性に続くものであり得る。
第3の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、対象における中枢神経系の完全性を評価および定量化するための方法を提供する。
第4の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、対象における脳神経機能または伝導の低減または障害を検出し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
脳神経は、例えば、第II、第III、第IVまたは第VIのうち1つまたは複数であり得る。低減されたまたは機能損傷された脳神経の機能または伝導は、一側性または両側性であり得、増加した頭蓋内圧によって全てまたは一部が引き起こされ得、限局性またはびまん性の病変または疾患プロセスによって全てまたは一部が引き起こされ得る。脳神経の低減された機能は、神経自体、その関連する核または核上性インプットに影響を与える病理(例えば、大脳皮質に影響を与える病変を含む)に起因し得る。
第5の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、対象における頭蓋内圧の増大を検出し、診断し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
増加した頭蓋内圧は、例えば、正常よりも10%、20%、30%、50%、100%、200%、300%またはそれ以上高い可能性がある。
第6の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、頭蓋内圧の増大を特徴として備える疾患または状態を検出し、診断し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
増加した頭蓋内圧を特徴とする疾患または状態は、例えば、外傷、脳血管発作(CVA)、動脈瘤もしくは他の血管病変、悪性であれ良性であれ腫瘍、感染プロセス(infectious process)、炎症性疾患、静脈ドレナージ(venous drainage)の破壊、偽腫瘍、水頭症または特発性であり得る。
第7の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、脳振盪を検出し、診断し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
第8の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、テント切痕内ヘルニアを検出し、診断し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
第9の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、正常圧水頭症の重症度を定量化し、シャント機能不全を検出し、もしくはそれについてスクリーニングし、または正常圧水頭症を処置するために弁圧を最適化するための方法を提供する。
第10の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、後頭蓋窩腫瘤効果を検出または評価するための方法を提供する。
第11の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、視神経乳頭または視神経を通じた伝導性を妨害する障害を検出し、それについてスクリーニングし、またはそれを診断するための方法を提供する。
第12の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、中枢神経系全体の機能障害の程度を定量化するための方法を提供する。
中枢神経系の完全性は、例えば、外傷、脳卒中、神経変性疾患、炎症、感染過程、新生物過程、血管疾患、自己免疫疾患、遺伝子障害、または他の原因によって損なわれる場合がある。本発明のこの態様は、全汎性CNS機能障害(global CNS impairment)の程度を定量化するための方法を提供する。本発明のこの態様は、脳の55%超が視覚および視力に寄与するという事実を活用する。
第13の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
によって、認知整合性を定量化または評価するための方法を提供する。
第14の態様では、本発明は、低減されたまたは機能損傷された脳神経の機能または伝導を検出し、またはそれについてスクリーニングするために有用なキット、増加した頭蓋内圧を検出し、診断し、またはそれについてスクリーニングするために有用なキット、あるいは増加した頭蓋内圧を特徴とする疾患または状態を検出し、診断し、その進行をモニタリングし、またはそれについてスクリーニングするために有用なキットであって、眼球運動を追跡するためのデバイス、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段、例えばアルゴリズムまたはコンピュータプログラムなど、および指示書を含む、キットを提供する。眼球運動観察を処理すること、眼球運動観察の測定を行うこと、測定された値の分布を決定すること、および統計的試験を実施することは、全て、かかるキット中に含まれ得る適切なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。
第15の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
によって、対象における眼球運動の共同性または非共同性を評価するための方法を提供する。
第16の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
によって、対象における非共同性注視または斜視によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法を提供する。
一部の事例では、疾患は、外傷、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成などの1つであり得る。疾患は、眼科学的疾患、例えば、結膜炎、眼筋麻痺、眼傷害、または他の疾患などでもあり得る。一部の事例では、疾患を患っている対象は、健康な対照における、あるいは1つもしくは複数の健康な対照に基づいた、または疾患の前のある時間における対象に基づいた参照値における、試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和より、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、または2、3、4、5、6、8、10倍、もしくはそれ超大きい、試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を有し得る。
第17の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
によって、対象における中枢神経系の完全性を評価および定量化するための方法を提供する。
第18の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
によって、非共同性注視または斜視によって特徴付けられる疾患または状態を検出し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするための方法を提供する。
一部の事例では、疾患は、外傷、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成などの1つであり得る。疾患は、眼科学的疾患、例えば、結膜炎、眼筋麻痺、眼傷害、または他の疾患などでもあり得る。一部の事例では、疾患を患っている対象は、健康な対照における、あるいは1つもしくは複数の健康な対照に基づいた、または疾患の前のある時間における対象に基づいた参照値における、試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和より、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、または2、3、4、5、6、8、10倍、もしくはそれ超大きい、試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を有し得る。
第19の態様では、本発明は、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
によって、非共同性注視または斜視の程度を定量化するための方法を提供する。
第20の態様では、本発明は、非共同性注視もしくは斜視を検出し、それについてスクリーニングし、もしくはそれを定量化するのに有用であり、対象における非共同性注視もしくは斜視によって特徴付けられる疾患を診断するのに有用であり、対象における非共同性注視もしくは斜視によって特徴付けられる疾患もしくは状態を検出し、その進行を監視し、もしくはそれについてスクリーニングするのに有用であり、または非共同性注視もしくは斜視の程度を定量化するのに有用であるキットであって、眼球運動を追跡するためのデバイス、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段、例えば、アルゴリズムまたはコンピュータプログラムなど、および指示書を含有する、キットを提供する。眼球運動観察を処理するステップ、眼球運動観察を測定するステップ、測定した値の分布を判定するステップ、および統計的検定を実施するステップは、このようなキット中に含めることができる適当なコンピュータソフトウェアを使用してすべて達成することができる。
第21の態様では、本発明は、
a)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップと;任意選択で
d)正常なまたは平均の眼球運動と比較した対象の少なくとも一方の眼の眼球運動についての標準偏差またはp値を計算するステップと
によって、構造的または非構造的外傷性脳傷害を評価または定量化するための方法を提供する。
一部の事例では、対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される。一部の事例では、対象の一方または両方の眼についての眼の位置のxおよびy座標の両方が、少なくとも約100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、200,000、またはそれ超の眼の位置について収集される。一部の事例では、眼の位置は、有効には、瞳孔位置である。一部の事例では、眼球運動は、約30、60、90、100、120、150、180、200、220、240、270、300、360秒、またはそれ超にわたって追跡される。
対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップは、対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を対象の他方の眼の眼球運動と比較することを特徴として備えることができ、または対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を1つもしくは複数の他の対象もしくは対照の眼の眼球運動と比較することを特徴として備えることができる。一部の事例では、対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップは、対象の両方の眼の眼球運動を1つまたは複数の他の対象または対照の一方または両方の眼の眼球運動と比較することを特徴として備え得る。
一部の事例では、本方法は、瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集するステップ、未処理のxおよびyデカルト座標を正規化するステップ、ならびに眼によってデータを分類するステップを特徴として備え得る。
本方法は、個々の測定基準、例えば、セグメントの平均、セグメントの中央値、およびセグメントの分散を計算するステップも特徴として備え得る。本方法は、特定の測定基準、例えば、
など、またはセグメントの標準偏差、およびセグメントの歪度、例えば、
など、またはセグメントの正規化された歪度、例えば、
などを計算するステップも特徴として備え得る。
本方法は、ボックス高さ、ボックス幅、ボックスの面積、またはボックスのアスペクト比を計算するステップも特徴として備え得る。
本方法は、眼球運動の共同性、または眼球運動の完全な共同性からの分散、例えば、
など、または分散x比上/下(共同性)、分散y比上/下(共同性)、分散x比左/右(共同性)、もしくは分散y比左/右(共同性)を計算するステップも特徴として備え得る。
一部の事例では、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj varYlefの1つまたは複数が、構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを実証または検出または評価するのに特に有用であり得る。一部の事例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超の測定基準を観察または判定することができる。
0.25、0.3、0.4、0.5、0.75、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、またはそれ超の標準偏差またはp値は、対象が構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを有することを反映し得る。したがって、本明細書に記載の方法は、脳振盪、軽症脳振盪、および爆風傷害を検出し、それらの重症度を評価または判定するのに使用することができる。
第22の態様では、本発明は、
a)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップと;任意選択で
d)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動について標準偏差またはp値を計算するステップと
によって、対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法を提供する。
一部の事例では、対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される。一部の事例では、対象の一方または両方の眼についての眼の位置のxおよびy座標の両方が、少なくとも約100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、200,000、またはそれ超の眼の位置について収集される。一部の事例では、眼の位置は、有効には、瞳孔位置である。一部の事例では、眼球運動は、約30、60、90、100、120、150、180、200、220、240、270、300、360秒、またはそれ超にわたって追跡される。
対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップは、対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を対象の他方の眼の眼球運動と比較することを特徴として備えることができ、または対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を1つもしくは複数の他の対象もしくは対照の眼の眼球運動と比較することを特徴として備えることができる。一部の事例では、対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップは、対象の両方の眼の眼球運動を1つまたは複数の他の対象または対照の一方または両方の眼の眼球運動と比較することを特徴として備え得る。
一部の事例では、本方法は、瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集するステップ、未処理のxおよびyデカルト座標を正規化するステップ、ならびに眼によってデータを分類するステップを特徴として備え得る。
本方法は、個々の測定基準、例えば、セグメントの平均、セグメントの中央値、およびセグメントの分散などを計算するステップも特徴として備え得る。本方法は、特定の測定基準、例えば、
など、またはセグメントの標準偏差、およびセグメントの歪度、例えば、
など、またはセグメントの正規化された歪度、例えば、
などを計算するステップも特徴として備え得る。
本方法は、ボックス高さ、ボックス幅、ボックスの面積、またはボックスのアスペクト比を計算するステップも特徴として備え得る。
本方法は、眼球運動の共同性、または眼球運動の完全な共同性からの分散、例えば、
など、または分散x比上/下(共同性)、分散y比上/下(共同性)、分散x比左/右(共同性)、もしくは分散y比左/右(共同性)を計算するステップも特徴として備え得る。
一部の事例では、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj varYlefの1つまたは複数が、構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを実証または検出または評価するのに特に有用であり得る。一部の事例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超の測定基準を観察または判定することができる。
0.25、0.3、0.4、0.5、0.75、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、またはそれ超の標準偏差またはp値は、対象が構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを有することを反映し得る。したがって、本明細書に記載の方法は、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害を検出し、その重症度を評価または判定するのに使用することができる。一部の事例では、眼球運動は、約30、60、90、100、120、150、180、200、220、240、270、300、360秒、またはそれ超にわたって追跡される。
第23の態様では、本発明は、
a)対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集するステップと;
c)未処理のxおよびyデカルト座標を正規化するステップと;
d)1つまたは複数の個々の測定基準を計算するステップと
によって、対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を評価もしくは定量化し、または構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、もしくはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法を提供する。
一部の事例では、対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される。一部の事例では、対象の一方または両方の眼についての眼の位置のxおよびy座標の両方が、少なくとも約100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、200,000、またはそれ超の眼の位置について収集される。両方の眼の眼球運動が追跡される事例では、本方法は、眼によってデータを分類するステップをさらに特徴として備え得る。
1つまたは複数の個々の測定基準は、
またはセグメントの標準偏差、およびセグメントの歪度、例えば、
など、またはセグメントの正規化された歪度、例えば、
のいずれか1つであり得る。
本方法は、ボックス高さ、ボックス幅、ボックスの面積、またはボックスのアスペクト比を計算するステップも特徴として備え得る。
本方法は、眼球運動の共同性、または眼球運動の完全な共同性からの分散、例えば、
など、または分散x比上/下(共同性)、分散y比上/下(共同性)、分散x比左/右(共同性)、もしくは分散y比左/右(共同性)を計算するステップも特徴として備え得る。
一部の事例では、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj varYlefの1つまたは複数が、構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを実証または検出または評価するのに特に有用であり得る。一部の事例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超の測定基準を観察または判定することができる。
0.25、0.3、0.4、0.5、0.75、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、またはそれ超の標準偏差またはp値は、対象が構造的または非構造的外傷性脳傷害、例えば、脳振盪、軽症脳振盪、または爆風傷害などを有することを反映し得る。したがって、本明細書に記載の方法は、脳振盪を検出し、その重症度を評価または判定するのに使用することができる。
第24の態様では、本発明は、対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を検出し、それについてスクリーニングし、またはそれを定量化するのに有用であるキットであって、眼球運動を追跡するためのデバイス、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段、例えば、アルゴリズムまたはコンピュータプログラムなど、および指示書を含有する、キットを提供する。眼球運動観察を処理するステップ、眼球運動観察を測定するステップ、測定した値の分布を判定するステップ、および統計的検定を実施するステップは、このようなキット中に含めることができる適当なコンピュータソフトウェアを使用してすべて達成することができる。
第25の態様では、本発明は、コンピュータシステムを提供する。このコンピュータシステムまたはコンピューティングデバイス1000は、プロセッサ106およびディスプレイ108、眼球運動/視線追跡器コンポーネント104などを含むデバイスを実装するために使用され得る。コンピューティングシステム1000は、情報を伝えるためのバス1005または他のコミュニケーションコンポーネントと、情報を処理するためにバス1005に連結されたプロセッサ1010または処理回路とを含む。コンピューティングシステム1000は、情報を処理するためにバスに連結された1つまたは複数のプロセッサ1010または処理回路を含んでいてもよい。コンピューティングシステム1000は、情報およびプロセッサ1010によって実行される指示を記憶するためにバス1005に連結されたメインメモリ1015、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスもまた含む。メインメモリ1015は、プロセッサ1010による指示の実行の間に、位置情報、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。コンピューティングシステム1000は、静的情報およびプロセッサ1010のための指示を記憶するためにバス1005に連結された読み出し専用メモリ(ROM)1010または他の静的記憶デバイスをさらに含み得る。記憶デバイス1025、例えばソリッドステートデバイス、磁気ディスクまたは光ディスクは、情報および指示を持続的に記憶するためにバス1005に連結される。
コンピューティングシステム1000は、使用者に情報を表示するために、バス1005を介して、ディスプレイ1035、例えば液晶ディスプレイまたはアクティブマトリックスディスプレイに連結され得る。インプットデバイス1030、例えば、英数字および他のキーを含むキーボードは、プロセッサ1010に情報および命令選択を伝えるためにバス1005に連結され得る。別の実装では、インプットデバイス1030は、タッチスクリーンディスプレイ1035を有する。インプットデバイス1030は、プロセッサ1010に方向情報および命令選択を伝えるためならびにディスプレイ1035のカーソルの動きを制御するための、カーソル制御、例えばマウス、トラックボールまたはカーソル指向キー(cursor direction key)を含み得る。
種々の実装によれば、本明細書に記載されるプロセスは、メインメモリ1015中に含まれる指示の配列を実行するプロセッサ1010に応答して、コンピューティングシステム1000によって実装され得る。かかる指示は、別のコンピュータ可読媒体、例えば記憶デバイス1025から、メインメモリ1015中に読み込まれ得る。メインメモリ1015中に含まれる指示の配列の実行は、コンピューティングシステム1000に、本明細書に記載される例示的プロセスを実施させる。多重処理配列中の1つまたは複数のプロセッサもまた、メインメモリ1015中に含まれる指示を実行するために使用され得る。代替的実装では、ハードワイヤード回路が、例示的実装をもたらすために、ソフトウェア指示の代わりに、またはソフトウェア指示と組み合わせて、使用され得る。従って、実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
眼球運動追跡デバイス
記載される方法によれば、眼球運動を追跡する工程は、任意の適切なデバイス、例えばEyelink(登録商標)1000両眼眼球追跡器(500Hzでのサンプリング、SR Research)などを使用して実施され得る。眼球追跡運動サンプルは、任意の適切な頻度で、例えば10Hz〜10,000Hzまたはそれ以上などで取得され得る。対象は、デバイスから適当な距離に、例えば、デバイススクリーンから10、20、30、40、50、55、60、70、80、90cmもしくはそれ以上、またはさらには1メートルもしくはそれ以上の距離に、位置付けられ得る。ある例では、対象の頭部が、例えば、チンレスト(chinrest)または類似の安定化機構を使用することなどによって、安定化され得る。対象は、腰かけていてもよく、リクライニングしていてもよい。好ましくは、デバイスの提示モニタは、対象の視線の方向を実質的に一致させるために調整される。眼球運動を追跡する工程は、合計で例えば30、60、90、120、150、180、200、220、240、270、300、330、360、400、450、500秒間またはそれ以上、あるいは5、10、15、20、25、30、45、60または90分もしくはそれ以上にわたって実施され得る。このように、提供される方法によれば、1,000、5,000、10,000、20,000、25,000、50,000、75,000、100,000、150,000、200,000、250,000、300,000またはそれ以上のサンプルの眼位が取得され得る。同様に、眼球運動の追跡は、ビデオ眼球運動記録デバイス(例えば、ゴーグルのような)を用いて、またはウェブカメラベースの追跡システムを用いて、行われ得る。
記載される方法によれば、眼球運動を分析する工程は、任意の適切な手段によって実施され得る。ある例では、生眼位データの解釈を可能にする刺激および分析ストリームが提供される。ある例では、瞳孔位置を調査するためのアルゴリズムが提供され得、それにより、眼筋運動についての情報を直接得ることができる。好ましくは、デバイスは、時間的に近接して、または眼球運動自体と実質的に同時発生的に眼球運動を分析し得る新規モバイルシステムに適合される
運動または視覚刺激に応答した眼球運動の追跡
記載される方法によれば、視覚刺激に応答した眼球運動が追跡され得る。ある例では、視覚刺激は、例えば、コンピュータモニタの外縁に沿って例えば時計回りに動き得る、ミュージックビデオなどのビデオであり得る。ある例では、スクリーンの上部または下部の、左側または右側の角で開始するかかるビデオが、提供され得る。視覚刺激、例えばビデオ、例えばミュージックビデオは、およそ10、12、14、16、18、20、25の面積、または例えば、スクリーンのサイズのおよそ1/10、1/8、1/6、1/5、1/4、1/3、1/2ほどの角度で、実質的に正方形の開口部中に提供され得る。この視覚刺激、例えばミュージックビデオなどは、眼球運動追跡の間に実質的に継続的に再生され得、ある場合には、相対的にまたは実質的に一定の速度で、スクリーンを横断して動き得る。例えば、かかる視覚刺激、例えばミュージックビデオは、約2、5、10、15、20、30、45または60秒間ほどで、モニタの各縁をカバーし得る。従って、ある例では、フルサイクルは、例えば、10、20、30、40、50、60、75、100、120、150、180秒間ほどかかり得る。複数サイクルのかかる視覚刺激、例えばミュージックビデオは、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、12回、15回、20回またはそれ以上のフルサイクルで再生され得る。このように、視覚刺激が提供され得、眼球運動が追跡され得、事実上、ある場合には、ビデオが、合計で例えば30、60、90、120、150、180、200、220、240、270、300、330、360、400、450、500秒間またはそれ以上にわたって再生され得る。視覚刺激がビデオの形態である場合、カウントダウンビデオは、視覚刺激の方に向くのに十分な時間を対象に提供するために、視覚刺激、例えばビデオを開始する前に、例えば、5、10、15、20、25または30秒間またはそれ以上にわたって、開始位置において再生され得る。同様に、視覚刺激、例えばビデオは、境界効果を低減するためまたは実質的に回避するために、眼球運動追跡が実施された後に、追加の2、5、10、15、20、30、45または60秒間ほどにわたって継続され得る。任意の量の時間tに対して任意の距離xにわたって移動する視覚刺激を有することによって、同じ結果を得ることができる。しかし理想的な刺激は、本方法の評価能力を最適化するために、xおよびyの両方のデカルト平面内で移動する。
記載した方法によれば、対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップは、データを分析することによって実施することができる。眼球運動の追跡からのデータは、個々の対象の注視が非共同性に対して共同性(眼が一緒に移動する)であるか否かの目安を提供し得る。対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップは、散布図を作成することを特徴として備え得る。対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップは、1つの軸に沿った水平の眼の位置および直交軸に沿った垂直の眼の位置をプロットすることを特徴として備え得る。このような、対象の眼球運動を対照と比較するステップ、または対象の第1の眼の眼球運動を対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップは、(x,y)値の対、例えば、値(x,y)の50,000、100,000、またはそれ超の対を生成し、プロットすることを特徴として備え得る。値(x,y)のこのような対は、例えば、ある時間、例えば、100もしくは200秒またはそれ超にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表してプロットすることができる。
このように、対象の第1の眼球の眼球運動を対象の第2の眼球の眼球運動と比較する工程は、例えば、視覚刺激がスクリーンを横断して動く場合、視覚刺激が移動する軌跡を反映するボックスと実質的に類似した図形を生成することを特徴とし得る。健康な対照では、ボックスと実質的に類似したこれらの図形は、例えば、スクリーンを横断する視覚刺激が移動する軌跡を反映する、実質的に等辺の矩形または正方形のように見え得る。神経学的損傷または増加した頭蓋内圧の場合、かかる図形は、ボックス、矩形または正方形と実質的に類似していない可能性がある。実際、ある例では、低減されたまたは機能損傷された機能または伝導を有する脳神経が同定され得る。ある例では、視覚刺激が移動する軌跡を反映する生成された図形は、特定の領域における正常なプロッティング対の異常な分布または非存在を示し得る。y軸に沿った増加した変動性は、例えば第II脳神経の機能不全を反映し得る。y軸に沿った減少した変動性、または減少した高さ対幅の比率は、CN IIIの機能不全を反映し得る。増加した高さ対幅の比率は、CN IVまたはVIの機能不全を反映し得る。ボックスの高さは、提示された視覚刺激の上部および底部をビデオが行き来する際の瞳孔の位置を評価することによって、数学的に決定され得る。この「実際の」高さは、数学的に把握された高さとは異なり得るが、この理由は、この把握された高さが、患者の眼筋運動の機能不全に起因する異常な瞳孔挙動を示し得るからである。ボックス壁の完全性もまた、他の型の機能不全の指標であり得る。脳神経麻痺および腫瘤効果の両方が、ボックス軌跡における欠損を引き起こし得る。テント上腫瘤病変およびCN III欠損は、ボックスの上部および/または底部に影響を与え得る。テント下腫瘤病変またはCN VI麻痺は、ボックスの辺に影響を与え得る。例えば、左眼の場合、図形の左上象限は、第IIIおよび第VI脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得、図形の左下象限は、第IIIおよび第IV脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得るが、右上象限および右下象限は、第III脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得る。右眼の場合、図形の左上および左下象限は、第III脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得、図形の右下象限は、第III脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得るが、右上象限および右下象限は、第IVおよび第VI脳神経の活動性、機能または伝導を反映し得る。
対象の第1の眼球の眼球運動を対象の第2の眼球の眼球運動と比較する工程は、対照集団におけるある特定の測定値の分布を決定し、対象をこれらの対照分布と比較することを特徴とし得る。かかる場合には、視覚刺激軌跡は、4つの時間成分、例えば、各回転サイクルの最初の数秒間、例えば、2、5、10、15、20秒間ほどの、2、3、4、5、6またはそれ以上の反復に分割され得る。かかる場合には、対象の眼球運動を対照と比較する工程は、各アームにおける相対的分散および各アームの相対的完全性として、かかる変数を評価することを特徴とし得る。
対象の眼球運動を対照と比較する工程、または対象の第1の眼球の眼球運動を対象の第2の眼球の眼球運動と比較する工程は、各対象の値の完全性を測定することも特徴とし得る。視覚刺激が移動する軌跡を反映するボックスと実質的に類似した図形を生成することを特徴とする場合、例えば、視覚刺激がスクリーンを横断して動く場合、図形の辺またはアーム(例えば、ボックスの上部およびボックスの底部)は、対照集団から計算された平均および標準偏差を使用してzスコア付けされ得る。得られたスコアは、対象の値が、例えば標準偏差の単位などで対照値と比較してどれほど異なるかを示し得る。
記載した方法によれば、対象を、対照と有意に異なる眼球運動を有すると同定するステップ、または対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップは、zスコアを使用して実施することができる。正規分布中のすべての値の95%が平均の2標準偏差以内にあるので、2のzスコアを有意性閾値として使用することができる。図のいずれかもしくは両方、または1、2、3、もしくは4つのサイドまたはアームにおいて、例えば、2を超えるzスコアを有する対象は、眼球運動性の有意な障害を有すると判断することができる。同様に、対象を、対照と有意に異なる眼球運動を有すると同定するステップ、または対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップは、所定の閾値を超える差異を対象が有し、またはその差異が存在するか否かを評価することによって実施することができる。
対照とは有意に異なる眼球運動を有する対象を同定する工程、または第2の眼球の眼球運動とは有意に異なる第1の眼球の眼球運動を有する対象を同定する工程は、相対的分散を決定することを特徴とし得る。ある例では、多数の、例えば1,000、2,000、3,000、5,000、10,000、20,000またはそれ以上の点の分布は、例えば、複数の対照値から交換でランダムに選択された複数の数の値から複数のサンプルを採取することによって、生成され得る。各対象について、図形のいずれかもしくは両方の辺もしくはアームにおいて、または1、2、3もしくは4の辺もしくはアームにおける相対的分散が、対応する対照分布とそれぞれ比較され得、試験値の分散を下回る分散を有する対照分布のパーセントが決定され得る。統計的有意性の広く受容された尺度である0.05のp値は、試験値を下回る対照値の95%に対応する。かかる場合には、対照分布中の値の95%より高い分散を有する対象が、眼筋運動の有意な障害を有すると決定され得る。ビデオは、矩形と類似していない他の軌跡、例えば三角形、円または直線状もしくは非直線状の軌跡でも動き得る。軌跡が、デカルト座標(水平垂直またはx、y)に沿ったベクトルへと分解できる限り、同じ原則が当てはまる。簡潔に述べると、経時的に研究される任意の軌跡(例えば、任意の形状、または線、または曲線など)は、中枢神経系の機能または機能不全についての情報を提供し得る。
対象の一方の眼の運動を対象の他方の眼と比較するステップは、例えば、右眼のx座標から左眼のx座標を減じ、もしくは逆の場合も同様にすることによって、または右眼のy座標から左眼のy座標を減じ、もしくは逆の場合も同様にすることによって、任意の時点tにおけるx、yデカルト座標を比較することによって実施することができる。試験した時間にわたるx座標のすべての間の差異の和は、瞳孔の水平運動に関して情報を与える。経時的なy座標の差異の和は、瞳孔の垂直運動に関して情報を与える。試験した時間にわたるxおよびy座標の両方の間の差異の総和を合計して、中枢神経系の完全性のサロゲートマーカーである注視の総非共同性の尺度を得ることができる。そのような方法で、非共同性注視の程度を定量化することによって、中枢神経系(CNS)の完全性の程度を定量化することが可能である。
移動刺激または視覚刺激を伴わない眼球運動追跡
眼球運動は、移動刺激を使用しないで追跡することもできる。刺激移動をまったく有さないが、自然な目視の間の経時的なx、y座標を評価することによって共同性を評価することが可能である。例えば、眼球運動は、テレビウォッチングまたはモニタもしくはスクリーンなどの特定の目視装置を用いない環境のライブ目視中に追跡することができる。
記載した方法によれば、対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についての任意の時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、データを分析することによって実施することができる。眼球運動の追跡からのデータは、個々の対象の注視が非共同性に対して共同性(眼が一緒に移動する)であるか否かの目安を提供し得る。対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についての任意の時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、散布図を作成することを特徴として備え得る。対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についての任意の時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、1つの軸に沿った水平の眼の位置と直交軸に沿った時間との間の差異、および1つの軸に沿った垂直の眼の位置と直交軸に沿った時間との間の差異をプロットすることを特徴として備え得る。このような、対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についての任意の時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、(x,y)値の対、例えば、値(x,y)の25,000、50,000、75,000、100,000、150,000、またはそれ超の対を生成し、プロットすることを特徴として備え得る。値(x,y)のこのような対は、例えば、ある時間、例えば、100もしくは200もしくは250もしくは300秒またはそれ超にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表してプロットすることができる。
したがって、対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、経時的に眼球運動の共同性を評価するプロットを作成することを可能にし得る。
対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、対照集団におけるある特定の測定値の分布を判定すること、および対象をこれらの対照の分布と比較することを特徴として備え得る。このような事例では、視覚刺激の軌跡は、4つの時間成分、例えば、各ローテションサイクルの最初の数秒、例えば、2、5、10、15、20秒辺りの2、3、4、5、6、またはそれ超の繰り返しに分割することができる。このような事例では、対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についての任意の時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、各アーム内の相対的な分散および各アームの相対的な完全性などの変数を評価することを特徴として備え得る。
対象の第1の眼の眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、対象の第2の眼の眼球運動についてのその時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップは、例えば、右眼のx座標から左眼のx座標を減じ、もしくは逆の場合も同様にすることによって、または右眼のy座標から左眼のy座標を減じ、もしくは逆の場合も同様にすることによって、任意の時点tにおけるx、yデカルト座標を比較することによって実施することができる。試験した時間にわたるx座標のすべての間の差異の和は、瞳孔の水平運動に関して情報を与える。経時的なy座標の差異の和は、瞳孔の垂直運動に関して情報を与える。試験した時間にわたるxおよびy座標の両方の間の差異の総和を合計して、中枢神経系の完全性のサロゲートマーカーであり得る注視の総非共同性の尺度を得ることができる。そのような方法で、非共同性注視の程度を定量化することによって、中枢神経系(CNS)の完全性の程度を定量化することが可能である。
試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のx座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方は、時点tにおけるx、yデカルト座標を比較するステップに続いて実施することができる。例えば、右眼のx座標から左眼のx座標を減じ、または逆の場合も同様にすることによって。また、右眼のy座標から左眼のy座標を減じ、または逆の場合も同様にすることによって。試験した時間にわたるx座標のすべての間の差異の和は、瞳孔の水平運動に関して情報を与える。経時的なy座標の差異の和は、瞳孔の垂直運動に関して情報を与える。試験した時間にわたるxおよびy座標の両方の間の差異の総和を注視の総非共同性の尺度を得るために、または以下のような式で表される5つのアイボックス軌跡サイクルの平均として、合計することができる:
式中、Xijkは、瞳孔のx座標を指し、kは、対象の左眼または右眼を指す。対象のデータが5つのサイクル中の任意の所与の時点で欠損していた場合では、式の分母は、データが存在したサイクルの数であった。次いで、左眼および右眼について、xおよびyの位置の差異を算出することができる。次いで差異のこのベクトルを、評価および解釈の目的のためにグラフでプロットすることができる。瞳孔の非共同(disconjugation)のレベルを表す単一の測定基準を有するために、データの分散を、ゼロの予期される平均に関して算出することができる。コードは、健康な対象がそれぞれの眼の間で、ゼロの垂直または水平の瞳孔位置の差異を有すると仮定するので、これは有意である。水平(x)または垂直(xの代わりにyを用いる)運動の分散は、以下のように算出することができる:
試験した時間にわたる第2の眼と比較した第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップは、第1と第2の眼の間の水平および垂直面の両方における全分散を計算することによって実施することができる。全分散は、以下のように算出することができる:
一部の事例では、本明細書に記載するように計算されるVarもしくはVarまたは両方は、0.05、0.07、0.1、0.15、0.20、0.25、0.30、0.40、0.50、0.60、0.75、0.90、1.0、1.10、1.25、1.50、1.75、もしくは2.0、またはそれ超であり得る。同様に、一部の事例では、本明細書に記載するように計算されるVarTotは、注視の非共同性または斜視によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える神経疾患または状態を有する対象において、0.1、0.15、0.20、0.25、0.30、0.40、0.50、0.60、0.75、0.90、1.0、1.10、1.25、1.50、1.75、2.0、2.50、3.0、もしくは4.0、またはそれ超であり得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
対象における中枢神経系病変を位置特定するための方法であって、
(a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
(b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
(c)前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
(d)前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと;
(e)前記中枢神経系病変を位置特定するステップと
を含む、方法。
(項目2)
眼の位置の少なくとも約100,000サンプルが得られる、項目1に記載の方法。
(項目3)
眼球運動が、視覚刺激に応答して追跡される、項目1に記載の方法。
(項目4)
眼球運動が、約30〜約500秒の期間にわたって追跡される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、視覚刺激によって進められる軌跡を反映するボックスに実質的に類似している図を作成することによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップが、正常者の釣鐘曲線から離れた非共同性尺度を有する対象を同定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
対象における中枢神経系病変を診断するための方法であって、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
を含む、方法。
(項目9)
眼の位置の少なくとも約100,000サンプルが得られる、項目8に記載の方法。
(項目10)
眼球運動が、視覚刺激に応答して追跡される、項目8に記載の方法。
(項目11)
眼球運動が、約30〜約500秒の期間にわたって追跡される、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって実施される、項目8に記載の方法。
(項目13)
前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、視覚刺激によって進められる軌跡を反映するボックスに実質的に類似している図を作成することによって実施される、項目8に記載の方法。
(項目14)
前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップが、2超のzスコアを有する対象を同定することを含む、項目8に記載の方法。
(項目15)
頭蓋内圧の増大を特徴として備える疾患または状態を検出し、診断し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするための方法であって、
a)対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップと;
d)前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
を含む、方法。
(項目16)
頭蓋内圧の増大を特徴として備える前記疾患または状態が、外傷、脳血管発作(CVA)、動脈瘤、血管病変、腫瘍、感染過程、炎症疾患、静脈排出路の混乱、偽腫瘍、水頭症または特発性からなる群から選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
対象における中枢神経系病変を診断し、もしくは位置特定し、脳神経機能もしくは伝導の低減もしくは障害を検出し、もしくはそれについてスクリーニングし、頭蓋内圧の増大を検出し、診断し、もしくはそれについてスクリーニングし、または頭蓋内圧の増大を特徴として備える疾患もしくは状態を検出し、診断し、その進行を監視し、もしくはそれについてスクリーニングするのに有用であるキットであって、眼球運動を追跡するためのデバイス、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段、および指示書を含む、キット。
(項目18)
対象を評価するために自己に記憶された指示を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
a)前記対象の眼球運動に関係するデータを受け取るステップと;
b)前記対象の前記眼球運動データを分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の眼球運動データを前記対象の第2の眼の眼球運動データと比較するステップと;
d)前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
を実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目19)
対象における眼球運動の共同性または非共同性、および輻輳障害を評価するための方法であって、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
を含む、方法。
(項目20)
前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の前記差異の前記総和が、健康な対照における、あるいは1つもしくは複数の健康な対照に基づいた、または前記試験した時間の前のある時間における前記対象に基づいた参照値における、前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の前記差異の前記総和より少なくとも50%大きい、項目19に記載の方法。
(項目21)
眼球運動を追跡する前記ステップが、合計120秒またはそれ超にわたって実施される、項目19に記載の方法。
(項目22)
眼の位置の100,000またはそれ超のサンプルが得られる、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップが、(x,y)値の対をプロットすることを含む、項目19に記載の方法。
(項目24)
前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方が、以下のように全分散を計算することを含む、項目19に記載の方法。

(項目25)
対象における非共同性注視または斜視によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法であって、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
を含む、方法。
(項目26)
前記疾患が、外傷、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成など、および眼科学的疾患からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記眼科学的疾患が、斜視、結膜炎、眼筋麻痺、および眼傷害からなる群から選択される、項目26に記載の方法。
(項目28)
対象における中枢神経系の完全性を評価および定量化するための方法であって:
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
を含む、方法。
(項目29)
非共同性注視または斜視によって特徴付けられる疾患または状態を検出し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするための方法であって、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
を含む、方法。
(項目30)
前記疾患が、外傷、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成など、および眼科学的疾患からなる群から選択される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記眼科学的疾患が、斜視、結膜炎、眼筋麻痺、および眼傷害からなる群から選択される、項目29に記載の方法。
(項目32)
非共同性注視または斜視の程度を定量化するための方法であって、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の両方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
d)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
e)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
を含む、方法。
(項目33)
非共同性注視もしくは斜視を検出し、それについてスクリーニングし、もしくはそれを定量化するのに有用であり、対象における非共同性注視もしくは斜視によって特徴付けられる疾患を診断するのに有用であり、対象における非共同性注視もしくは斜視によって特徴付けられる疾患もしくは状態を検出し、その進行を監視し、もしくはそれについてスクリーニングするのに有用であり、または非共同性注視もしくは斜視の程度を定量化するのに有用であるキットであって、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段を備える眼球運動を追跡するためのデバイスを含有する、キット。
(項目34)
対象の注視の共同性を評価するために自己に記憶された指示を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
a)前記対象の両方の眼の眼球運動に関係するデータを受け取るステップと;
b)前記対象の両方の眼の前記眼球運動データを分析するステップと;
c)前記対象の第1の眼の眼球運動データを前記対象の第2の眼の眼球運動データと比較するステップと;
d)前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップと
を実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目35)
対象の注視の共同性を評価するために自己に記憶された指示を有する項目16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
a)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
b)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
c)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
をさらに実施する、項目16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目36)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を評価または定量化するための方法であって、
a)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップと;任意選択で
d)前記正常なまたは平均の眼球運動と比較した前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動についての標準偏差またはp値を計算するステップと
を含む、方法。
(項目37)
前記対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される、項目36に記載の方法。
(項目38)
対象の一方または両方の眼についての眼の位置のxおよびy座標の両方が収集される、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記眼球運動が、少なくとも約100秒またはそれ超にわたって追跡される、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較する前記ステップが、前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を前記対象の他方の眼の眼球運動と比較すること、または前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を1つもしくは複数の他の対象もしくは対照の眼の眼球運動と比較することを含む、項目36に記載の方法。
(項目41)
前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較する前記ステップが、前記対象の両方の眼の眼球運動を1つまたは複数の他の対象または対照の一方または両方の眼の眼球運動と比較することを含む、項目36に記載の方法。
(項目42)
前記追跡するステップ、分析するステップ、および比較するステップが、瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集すること、前記未処理のxおよびyデカルト座標を正規化すること、ならびに眼によってデータを分類することを含む、項目36に記載の方法。
(項目43)
前記分析するステップおよび比較するステップが、

からなる群から選択される1つまたは複数の個々の測定基準を計算することを含む、項目36に記載の方法。
(項目44)
前記分析するステップおよび比較するステップが、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj
varYlefからなる群から選択される1つまたは複数の個々の測定基準を計算することを含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
前記構造的または非構造的外傷性脳傷害が、脳振盪または軽症脳振盪である、項目36に記載の方法。
(項目46)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、またはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法であって、
a)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を分析するステップと;
c)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップと;任意選択で
d)前記正常なまたは平均の眼球運動と比較した前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動についての標準偏差またはp値を計算するステップと
を含む、方法。
(項目47)
前記対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される、項目46に記載の方法。
(項目48)
対象の一方または両方の眼についての眼の位置のxおよびy座標の両方が収集される、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記眼球運動が、少なくとも約100秒またはそれ超にわたって追跡される、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較する前記ステップが、前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を前記対象の他方の眼の眼球運動と比較すること、または前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を1つもしくは複数の他の対象もしくは対照の眼の眼球運動と比較することを含む、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を正常なまたは平均の眼球運動と比較する前記ステップが、前記対象の両方の眼の眼球運動を1つまたは複数の他の対象または対照の一方または両方の眼の眼球運動と比較することを含む、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記追跡するステップ、分析するステップ、および比較するステップが、瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集すること、前記未処理のxおよびyデカルト座標を正規化すること、ならびに眼によってデータを分類することを含む、項目46に記載の方法。
(項目53)
前記分析するステップおよび比較するステップが、

からなる群から選択される1つまたは複数の個々の測定基準を計算することを含む、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記分析するステップおよび比較するステップが、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj varYlefからなる群から選択される1つまたは複数の個々の測定基準を計算することを含む、項目46に記載の方法。
(項目55)
前記構造的または非構造的外傷性脳傷害が、脳振盪または軽症脳振盪である、項目46に記載の方法。
(項目56)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を評価もしくは定量化し、または構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、もしくはそれを特徴として備える疾患を診断するための方法であって、
a)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集するステップと;
c)前記未処理のxおよびyデカルト座標を正規化するステップと;
d)1つまたは複数の個々の測定基準を計算するステップと
を含む、方法。
(項目57)
前記対象の両方の眼の眼球運動が追跡および分析される、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記対象の両方の眼の瞳孔位置のxおよびy座標の両方が収集される、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記眼球運動が、少なくとも約100秒またはそれ超にわたって追跡される、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記個々の測定基準が、

からなる群から選択される、項目56に記載の方法。
(項目61)
前記個々の測定基準が、L height、L width、L area、L varXrit、L varXlef、L varTotal、R height、R width、R area、R varYtop、R varXrit、R varXlef、R varTotal、Conj varX、Conj varXrit、Conj varXbot、Conj varXlef、およびConj varYlefからなる群から選択される、項目21に記載の方法。
(項目62)
前記構造的または非構造的外傷性脳傷害が、脳振盪または軽症脳振盪である、項目56に記載の方法。
(項目63)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を検出し、それについてスクリーニングし、またはそれを定量化するのに有用であるキットであって、眼球運動を追跡するためのデバイス、眼球運動追跡データを分析するための1つまたは複数の手段、例えば、アルゴリズムまたはコンピュータプログラムなど、および指示書を含有する、キット。
(項目64)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を評価もしくは定量化し、または構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、もしくはそれを特徴として備える疾患を診断するために自己に記憶された指示を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
a)前記対象の一方または両方の眼の眼球運動に関係するデータを受け取るステップと;
b)前記対象の一方または両方の眼の前記眼球運動データを分析するステップと;
c)前記対象の一方または両方の眼の眼球運動データを正常なまたは平均の眼球運動と比較するステップと;任意選択で
d)前記正常なまたは平均の眼球運動と比較した前記対象の一方または両方の眼の眼球運動についての標準偏差またはp値を計算するステップと
を実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目65)
対象における構造的および非構造的外傷性脳傷害を定量化し、または構造的および非構造的外傷性脳傷害によって特徴付けられ、もしくはそれを特徴として備える疾患を診断するために自己に記憶された指示を有する項目64に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
a)前記対象の少なくとも一方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
b)瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標を収集するステップと;
c)前記未処理xおよびyデカルト座標を正規化するステップと;
d)1つまたは複数の個々の測定基準を計算するステップと
をさらに実施する、項目64に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
図1(AおよびB)は、ビデオを含有するアパーチャーが方形波パターンで移動する際に、異なる神経が瞳孔を動かすことを実証する図である。図1Aは、左眼の運動を実証し、図1Bは、右眼の運動を実証する。脳神経IIIは、瞳孔を上下に動かす。脳神経VIは、瞳孔を横方向に動かす。このデータは、それぞれの眼を逐次追跡して単眼アイトラッカーで得た。ビデオは、5回周回し、各追跡は、別個の色(赤色、緑色、シアン、マゼンタ、青色)で記録されている。
図2AおよびBは、両眼で追跡した正常な対象のアイボックス軌跡を表す図である(図2A、左眼;図2B、右眼)。眼は、いくらかの差異を伴って相対的に同じに移動しているように見えることに留意されたい。図2CおよびDは、経時変化表現であり(図2C、左眼;図2D、右眼)、図中、x軸は、眼の位置のデカルト座標であり、y軸は時間である。
図3は、急性または慢性硬膜下血腫の外科的排出を経験した対象の両眼の視線追跡を実証する図である。図3Aおよび3Bは、アイボックス軌跡を表す(図3A、左眼;図3B、右眼)。図3Cおよび3Dは、経時変化表現であり(図3C、左眼;図3D、右眼)、図中、x軸は、眼の位置のデカルト座標であり、y軸は時間である。眼は、図2中の対象ほど共同性でない。
図4は、眼科クリニックからリクルートされた軽度第III神経麻痺を有する対象の両眼の眼球運動追跡を実証する図である。対象は、流涙の増大を報告したが、二重視は報告しなかった。図4Aおよび4Bは、アイボックス軌跡を表す(図4A、左眼;図4B、右眼)。図4Cおよび4Dは、経時変化表現であり(図4C、左眼;図4D、右眼)、図中、x軸は、眼の位置のデカルト座標であり、y軸は時間である。眼は、x面で図2中の対象ほど共同性でないが、y面で完全に非共同性である。視線追跡異常は、眼の病理と反対側に現れる。
図5は、脳振盪を有する対象の両眼追跡を実証する図である。対象は、病院内のクリニックに通院している間に鈍い頭部外傷を伴って目撃された転倒を経験した。図5Aおよび5Bは、アイボックス軌跡を表す(図5A、左眼;図5B、右眼)。図5Cおよび5Dは、経時変化表現であり(図5C、左眼;図5D、右眼)、図中、x軸は、眼の位置のデカルト座標であり、y軸は時間である。対象は、ビデオの多くを観ることができなかったが、彼が確かに観た少しのものについて、彼のyは、彼のxよりずっと非共同性であった。彼の頭部コンピュータ断層撮影スキャンは、急性の構造的な傷害のいずれの証拠も示さなかった。したがって、視線追跡は、脳振盪(X線写真術で無症候性の)脳傷害を示している。
図6は、両眼の眼球運動追跡が生理学的脳傷害の程度を定量化するのに有用であり得ることを実証する図である。正常な対象からのアイボックス軌跡は、高度に共同性の注視を示す(図6A、x面;図6B、y面)。第3神経麻痺を有する対象は、y面内の非共同性のみを示す(図6E、x面;図6F、y面)。構造的脳傷害を有する対象は、脳振盪対象が有するのと同様に(図6C、x面;図6D、y面)、xおよびy面の両方において非共同性を有する(図6G、x面;図6H、y面)。 図6は、両眼の眼球運動追跡が生理学的脳傷害の程度を定量化するのに有用であり得ることを実証する図である。正常な対象からのアイボックス軌跡は、高度に共同性の注視を示す(図6A、x面;図6B、y面)。第3神経麻痺を有する対象は、y面内の非共同性のみを示す(図6E、x面;図6F、y面)。構造的脳傷害を有する対象は、脳振盪対象が有するのと同様に(図6C、x面;図6D、y面)、xおよびy面の両方において非共同性を有する(図6G、x面;図6H、y面)。 図6は、両眼の眼球運動追跡が生理学的脳傷害の程度を定量化するのに有用であり得ることを実証する図である。正常な対象からのアイボックス軌跡は、高度に共同性の注視を示す(図6A、x面;図6B、y面)。第3神経麻痺を有する対象は、y面内の非共同性のみを示す(図6E、x面;図6F、y面)。構造的脳傷害を有する対象は、脳振盪対象が有するのと同様に(図6C、x面;図6D、y面)、xおよびy面の両方において非共同性を有する(図6G、x面;図6H、y面)。
図7は、総共同性対年齢を表す図である。正常な対象は、年齢によってインパクトを受けない共同性眼球運動を実証した。線形回帰t検定を使用して、全分散と年齢との間の関係の勾配が0と統計的に有意に異なる回帰線を生じるか否かを判定した。検定は、−0.523のt統計値および0.6017のp値をもたらし、回帰線の勾配が0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。したがって、7〜75歳に及ぶ本発明者らの対象集団において、年齢に伴った眼球運動の共同性の変化はなかった。
図8は、眼球運動の男性対女性の共同性を表す図である。正常な対象は、性別によってインパクトを受けない共同性眼球運動を実証した。68.49の自由度を用いたウェルチ二標本t検定は、0.6734のt統計値および0.5029のp値をもたらし、平均の差異は0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
図9は、X(水平)対Y(垂直)の共同性を表す図である。正常な対象は、垂直眼球運動より統計的に高度に有意に共同性である水平眼球運動を実証した。対応のあるt検定を使用して、全x分散と全y分散との間の対象を対応させた差異(subject−paired difference)の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。124の自由度を用いて、検定は、−3.0263のt統計値および0.003011のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均は、0と統計的に高度に有意に異なったことを示した。具体的には、特定の対象について、x分散は、y分散より統計的に有意に低いことが示された。
図10は、固定対固定トラッカー(stationary tracker)の検定−再検定信頼性を実証する図である。対象(n=27)は、固定トラッカーでの2つの別個の視線追跡セッション間の高い検定−再検定信頼性を実証した。対応のあるt検定を使用して、2つの別個の視線追跡セッションの全分散間の対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。26の自由度を用いて、検定は、1.2778のt統計値および0.2126のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均は、0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
図11は、固定対ポータブルトラッカーの検定再検定信頼性を実証する図である。対象(n=24)は、固定トラッカーおよびポータブルトラッカーでの別個の視線追跡セッション間の高い検定−再検定信頼性を実証した(図10)。23の自由度(n=24)を用いた対応のあるt検定は、1.3661のt統計値および0.1851のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均は、0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
図12は、脳神経IV、III、およびVI麻痺を有する対象の眼球運動追跡の軌跡を提供する図である。 図12は、脳神経IV、III、およびVI麻痺を有する対象の眼球運動追跡の軌跡を提供する図である。 図12は、脳神経IV、III、およびVI麻痺を有する対象の眼球運動追跡の軌跡を提供する図である。 図12は、脳神経IV、III、およびVI麻痺を有する対象の眼球運動追跡の軌跡を提供する図である。
図13は、例示的実装に従うコンピュータシステムのブロック図を示す図である。
図14は、かかるコンピュータシステムによって、対象の眼球運動が如何にして測定、分析および表示されるかの立体配置を示す模式図を示す図である。
図15は、正常な対象の両眼の眼球運動追跡の表現を提供する図である。A、Bは、移動刺激に応答した眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図15は、正常な対象の両眼の眼球運動追跡の表現を提供する図である。A、Bは、移動刺激に応答した眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。
図16は、涙管の遮断に起因する結膜炎を有する患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。同じ情報が症状の解決後に提供されている。G、Hは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。全分散(非共同性)は、症状の解決後に著しく改善されている。 図16は、涙管の遮断に起因する結膜炎を有する患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。同じ情報が症状の解決後に提供されている。G、Hは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。全分散(非共同性)は、症状の解決後に著しく改善されている。 図16は、涙管の遮断に起因する結膜炎を有する患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。同じ情報が症状の解決後に提供されている。G、Hは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。全分散(非共同性)は、症状の解決後に著しく改善されている。 図16は、涙管の遮断に起因する結膜炎を有する患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。同じ情報が症状の解決後に提供されている。G、Hは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。全分散(非共同性)は、症状の解決後に著しく改善されている。
図17は、リンパ腫および外斜視(exotrophic strabismus)の履歴を有する9歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図17は、リンパ腫および外斜視(exotrophic strabismus)の履歴を有する9歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。
図18は、脳神経麻痺を有する対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳神経IV麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。E、Fは、糖尿病性脳神経III麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。I、Jは、手術後の脳神経VI麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。 図18は、脳神経麻痺を有する対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳神経IV麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。E、Fは、糖尿病性脳神経III麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。I、Jは、手術後の脳神経VI麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。 図18は、脳神経麻痺を有する対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳神経IV麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。E、Fは、糖尿病性脳神経III麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。I、Jは、手術後の脳神経VI麻痺を有する患者における眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。
図19は、脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血している35歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。G、Hは、動脈瘤の塞栓後の、6日後の患者における、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図19は、脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血している35歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。G、Hは、動脈瘤の塞栓後の、6日後の患者における、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図19は、脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血している35歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。G、Hは、動脈瘤の塞栓後の、6日後の患者における、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図19は、脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血している35歳の患者の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。G、Hは、動脈瘤の塞栓後の、6日後の患者における、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。I、Jは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。K、Lは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。
図20は、脳を負傷した対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。 図20は、脳を負傷した対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。
図21は、脳振盪を被っている対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。 図21は、脳振盪を被っている対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。E、Fは、経時的な分散のグラフ表示を提供する。xおよびy座標の全分散が提供されている。
図22は、脳振盪を被っている対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳振盪をもたらす転倒の日の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。E、Fは、脳振盪をもたらす転倒をして10日後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。非共同性が計算または定量化されている。I、Jは、脳振盪もたらす転倒をして3週間後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。 図22は、脳振盪を被っている対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳振盪をもたらす転倒の日の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。E、Fは、脳振盪をもたらす転倒をして10日後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。非共同性が計算または定量化されている。I、Jは、脳振盪もたらす転倒をして3週間後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。 図22は、脳振盪を被っている対象の眼球運動の表現を提供する図である。A、Bは、脳振盪をもたらす転倒の日の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。C、Dは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。E、Fは、脳振盪をもたらす転倒をして10日後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。G、Hは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散のグラフ表示を提供する。経時的な眼球運動のxおよびy座標の全分散が提供されている。非共同性が計算または定量化されている。I、Jは、脳振盪もたらす転倒をして3週間後の眼球運動のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。K、Lは、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性が計算または定量化されている。
図23は、切断された脳神経IIIを被っている対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。 図23は、切断された脳神経IIIを被っている対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。 図23は、切断された脳神経IIIを被っている対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。
図24は、テレビを観ながらの正常な対象における共同注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。共同性は、0.0169で計算および定量化されている。 図24は、テレビを観ながらの正常な対象における共同注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。共同性は、0.0169で計算および定量化されている。 図24は、テレビを観ながらの正常な対象における共同注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。共同性は、0.0169で計算および定量化されている。
図25は、外科的に切断された脳神経IIIを有する対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性は、2.2711で計算および定量化されている。 図25は、外科的に切断された脳神経IIIを有する対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性は、2.2711で計算および定量化されている。 図25は、外科的に切断された脳神経IIIを有する対象における非共同性注視の表現を提供する図である。A〜Nは、眼球運動追跡(左眼および右眼)のボックスプロットを提供する。それぞれの眼のアスペクト比が提供されている。O、P、Qは、左眼と右眼との間のx軸運動の分散および左眼と右眼との間のy軸運動の分散を実証する、経時的なそれぞれの眼についての眼球運動追跡のグラフ表現を提供する。非共同性は、2.2711で計算および定量化されている。
図26は、自分の自転車に乗りながら車にはねられた後の緊急治療室からリクルートされた38歳の右利きの男性からの知見を表す図である。患者は、背骨矯正板およびCカラーを用いて、意識消失および正常なバイタルであるが逆行性健忘症を伴った断続的な錯乱が報告された中毒性の状態で迎え入れられた。身体検査で、彼は、名前、場所、時間について機敏で見当識が保たれており(alert and oriented x3)、右眼の血腫および後部頭頂軟組織血腫を有していた。彼は、左上顎骨を覆う5cmの垂直の裂傷にわたって活動性の出血を有していた。A.頭部CT知見は、最大で厚さ8mmに達する両側性大脳鎌周辺(parafalcine)後部頭頂硬膜下血腫を含む。左より右が大きい、多数の点状の(punctuate)サブセンチの両側前頭の(bifrontal)挫傷があった。4mmの左大脳鎌周辺硬膜下血腫があった。彼は、10年前に彼が最後に検眼訪問した後に有意な眼科歴を有していなかった。他の主要なボディの傷害はなかった。定量的な血清アルコールレベルは、130mg/dlであった。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、アセトアミノフェン325mg、バシトラシン、モキシフロキサシン塩酸塩を含んでいた。B.トリアージして2日後の眼球運動追跡のボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって12/22症状について陽性であり、重症度スコアは、45/132であり、GCSスコアは、13/15であった。17/30の総SACスコア。C.トリアージして13日後の眼球運動追跡のボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって10/22症状について陽性であり、重症度スコアは、27/132であり、GCSスコアは、15/15であった。24/30の総SACスコア。視線追跡の最大で24時間前に投与された薬剤は、イブプロフェンを含んでいた。 図26は、自分の自転車に乗りながら車にはねられた後の緊急治療室からリクルートされた38歳の右利きの男性からの知見を表す図である。患者は、背骨矯正板およびCカラーを用いて、意識消失および正常なバイタルであるが逆行性健忘症を伴った断続的な錯乱が報告された中毒性の状態で迎え入れられた。身体検査で、彼は、名前、場所、時間について機敏で見当識が保たれており(alert and oriented x3)、右眼の血腫および後部頭頂軟組織血腫を有していた。彼は、左上顎骨を覆う5cmの垂直の裂傷にわたって活動性の出血を有していた。A.頭部CT知見は、最大で厚さ8mmに達する両側性大脳鎌周辺(parafalcine)後部頭頂硬膜下血腫を含む。左より右が大きい、多数の点状の(punctuate)サブセンチの両側前頭の(bifrontal)挫傷があった。4mmの左大脳鎌周辺硬膜下血腫があった。彼は、10年前に彼が最後に検眼訪問した後に有意な眼科歴を有していなかった。他の主要なボディの傷害はなかった。定量的な血清アルコールレベルは、130mg/dlであった。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、アセトアミノフェン325mg、バシトラシン、モキシフロキサシン塩酸塩を含んでいた。B.トリアージして2日後の眼球運動追跡のボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって12/22症状について陽性であり、重症度スコアは、45/132であり、GCSスコアは、13/15であった。17/30の総SACスコア。C.トリアージして13日後の眼球運動追跡のボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって10/22症状について陽性であり、重症度スコアは、27/132であり、GCSスコアは、15/15であった。24/30の総SACスコア。視線追跡の最大で24時間前に投与された薬剤は、イブプロフェンを含んでいた。
図27は、37歳の右利きの女性からの知見を表す図である。患者は、医療的ケアを求める2週間前に転倒した。彼女は、そのときの意識消失を否定した。アスピリンを服用した後、彼女は、入院の4日前に喚語困難を発症した。彼女は、緊急治療室に現れ、そこで彼女の検査は、その他は病巣のものでなかった。A.頭部CTは、左側脳室に対する付随した腫瘤効果を伴って最大で厚さ1.7cmに達する左脳弓隆部にわたる混合減衰の、主に高濃度の(hyperdense)硬膜下液収集物と、透明中隔の左から右への7mmの正中線シフトとを示した。患者は、開頭術を受け、術後3日目にNSICUから試験のためにリクルートされた。彼女は、喚語困難を否定し、リクルートの時点で神経学的に非病巣のものであり、眼科歴のないことを報告した。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、ケプラ、アンセフ、ネキシウム、ヘパリン、アセトアミノフェン、ゾフランを含んでいた。過去24時間にわたって薬物またはアルコールは報告されなかった。B.術後3日および傷害の17日後の患者の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって6/22症状について陽性であり、重症度スコアは、17/132であり、GCSスコアは、15/15であった。18/30の総SACスコア。C.手術の35日後および傷害の49日後での眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって13/22症状について陽性であり、重症度スコアは、32/132であり、GCSスコアは、15/15であった。27/30の総SACスコア。24時間前に薬剤、薬物、またはアルコールなし。 図27は、37歳の右利きの女性からの知見を表す図である。患者は、医療的ケアを求める2週間前に転倒した。彼女は、そのときの意識消失を否定した。アスピリンを服用した後、彼女は、入院の4日前に喚語困難を発症した。彼女は、緊急治療室に現れ、そこで彼女の検査は、その他は病巣のものでなかった。A.頭部CTは、左側脳室に対する付随した腫瘤効果を伴って最大で厚さ1.7cmに達する左脳弓隆部にわたる混合減衰の、主に高濃度の(hyperdense)硬膜下液収集物と、透明中隔の左から右への7mmの正中線シフトとを示した。患者は、開頭術を受け、術後3日目にNSICUから試験のためにリクルートされた。彼女は、喚語困難を否定し、リクルートの時点で神経学的に非病巣のものであり、眼科歴のないことを報告した。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、ケプラ、アンセフ、ネキシウム、ヘパリン、アセトアミノフェン、ゾフランを含んでいた。過去24時間にわたって薬物またはアルコールは報告されなかった。B.術後3日および傷害の17日後の患者の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって6/22症状について陽性であり、重症度スコアは、17/132であり、GCSスコアは、15/15であった。18/30の総SACスコア。C.手術の35日後および傷害の49日後での眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、SCAT3によって13/22症状について陽性であり、重症度スコアは、32/132であり、GCSスコアは、15/15であった。27/30の総SACスコア。24時間前に薬剤、薬物、またはアルコールなし。
図28は、スケートボード競技会に参加しており、ヘルメットをかぶっていない頭で10〜15フィートから落下を経験した、緊急治療室からリクルートされた22歳の右利きの男性からの知見を表す図である。彼は、およそ30分間意識を失い、次いで動揺し、混乱し、イベントについて健忘していた。彼のトラウマベイGCSは、15であり、彼は、身体検査で中等度のサイズの左頭皮血腫を有していた。A.彼の頭部CT知見は、左側頭骨の前面への拡張を伴った左後頭頭頂骨の粉砕した最小の転位骨折を含んでいた。気頭を伴った小さな下に横たわる左硬膜下血腫もあった。左乳突蜂巣の部分的な不透明化があり、鼓室蓋に通じた非転位骨折は、完全に除外することができなかった。彼は、リクルートの時点で眼圧以外に著しい眼科歴を有しておらず、彼の最後の検眼訪問は、1年前であった。彼の頭蓋外傷履歴には、1.5年前に彼が転倒して意識消失したことが含まれた。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、レベチラセタム500mg/100、0.82%NaClプレミックス、オンダンセトロン4mg/50mL、アセトアミノフェン325mgを含んでいた。B.傷害の1日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、13/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、62/132であり、GCSスコアは、14/15であった。総SACスコアは19/30であった。C.傷害の12日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、19/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、81/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、17/30であった。D.傷害の66日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、19/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、69/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、24/30であった。追跡の24時間前に、いずれの機会においても薬剤、薬物、またはアルコールは摂取されなかった。 図28は、スケートボード競技会に参加しており、ヘルメットをかぶっていない頭で10〜15フィートから落下を経験した、緊急治療室からリクルートされた22歳の右利きの男性からの知見を表す図である。彼は、およそ30分間意識を失い、次いで動揺し、混乱し、イベントについて健忘していた。彼のトラウマベイGCSは、15であり、彼は、身体検査で中等度のサイズの左頭皮血腫を有していた。A.彼の頭部CT知見は、左側頭骨の前面への拡張を伴った左後頭頭頂骨の粉砕した最小の転位骨折を含んでいた。気頭を伴った小さな下に横たわる左硬膜下血腫もあった。左乳突蜂巣の部分的な不透明化があり、鼓室蓋に通じた非転位骨折は、完全に除外することができなかった。彼は、リクルートの時点で眼圧以外に著しい眼科歴を有しておらず、彼の最後の検眼訪問は、1年前であった。彼の頭蓋外傷履歴には、1.5年前に彼が転倒して意識消失したことが含まれた。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、レベチラセタム500mg/100、0.82%NaClプレミックス、オンダンセトロン4mg/50mL、アセトアミノフェン325mgを含んでいた。B.傷害の1日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、13/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、62/132であり、GCSスコアは、14/15であった。総SACスコアは19/30であった。C.傷害の12日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、19/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、81/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、17/30であった。D.傷害の66日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、19/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、69/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、24/30であった。追跡の24時間前に、いずれの機会においても薬剤、薬物、またはアルコールは摂取されなかった。
図29は、30フィートの高さから落下した23歳の右利きの男性からの知見を表す図である。患者は、現場で覚醒しており、機敏であり、降圧性であり、GCS14であった。彼は、頭部を含めた拡散痛を報告し、嘔吐はなかった。神経学的検査は、非病巣のものであったが、患者は、胸部および骨盤傷害のために挿管された。彼は、6カ月前の検眼訪問以外に眼科歴を有していなかった。彼は、乱視用補正レンズを装着し、学習障害を報告している。視線追跡の前24時間以内に投与された薬剤は、アルブテロール、バンコマイシン塩酸塩、ピペラシリン、タゾバクタム、アズトレオナム、ペンタセルを含んでいた。A.傷害の8日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。SCATは、最初に実施されなかった。B.傷害の16日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、16/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、18/132であり、GCSは、15/15であった。22/30の総SACスコア。C.傷害の34日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、10/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、27/132であり、GCSは、15/15であった。22/30の総SACスコア。D.傷害の75日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、13/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、39/132であり、GCSは、15/15であった。26/30の総SACスコア。
図30は、緊急治療室からリクルートされた47歳の右利きの男性からの知見を表す図である。患者は、酔っており、彼の自転車を駐車していたトラックに衝突させた。彼は、ヘルメットをかぶっていなかった。彼は嘔吐し、次いで無応答性となった。到着すると、彼は、挿管され、GCS 3Tであった。X線写真からは、折れた鎖骨が明らかになった。定量的な血清アルコールレベルは、284mg/dlであった。彼は、何年も前に検眼訪問した後、眼科歴を有していなかった。24時間後にリクルートされた際、患者は、抜管され、名前、場所、時間について機敏で見当識が保たれていた。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、クラリチン、およびヒドロコドン−アセトアミノフェン、リドカイン、エトミデート、ならびにスクシニルコリンを含んでいた。A.トリアージして数時間後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、14/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、72/132であり、GCSスコアは、15/15であった。彼の総SACスコアは、19/30であった。彼は、ベースラインより激しく悪い感覚を報告した。B.トリアージして92日後での眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、10/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、40/132であり、GCSスコアは、15/15であった。彼の総SACスコアは、21/30であった。
図31は、バスのステップから路上に転倒し、顔をぶつけた後、ERからリクルートされた53歳の右利きの女性からの知見を表す図である。彼女は、意識の喪失または記憶喪失を否定し、頸椎カラーで固定されて現れた。検査で、彼女は、唇の裂傷を有していた。彼女は、良性下垂体腺腫に起因して片頭痛および両耳側半盲に影響を与える医療歴を有していた。頭部CTは、起源において虚血性であり得る、右被殻、右尾状核頭の後方、および左前放射冠に中等度の多巣性白質疾患、ならびに両側性眼球突出を示した。彼女の最後の検眼訪問は、リクルートの1カ月前であった。彼女は、補正レンズおよび右眼に遠近両用コンタクトを装着している。リクルートの最大で24時間前に投与された薬剤は、ディオバン、リドカイン、ヒドロクロリド(lidocaine, hydrochloide)600mg、アセトアミンフェン650mg、ビタミン、およびタイレノールを含んでいた。A.トリアージして数時間後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、16/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、40/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、23/30であった。B.傷害の10日後での眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、4/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、17/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、20/30であった。C.傷害の17日後の眼球運動追跡ボックスプロットを表す。D.傷害の113日後での眼球運動追跡ボックスプロットを表す。患者は、16/22のSCAT3症状について陽性であり、重症度スコアは、48/132であり、GCSスコアは、15/15であった。総SACスコアは、27/30であった。
図32は、MRIおよびCTは、構造的な外傷性脳傷害(TBI)を検出することができる一方、視線追跡は、大脳機能の生理学的混乱を検出することができることをグラフで表す図である。
発明の詳細な説明
本発明の方法を記載する前に、本発明は、記載される特定の方法および実験条件に限定されず、かかる方法および条件が変動し得ることを理解すべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される術語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定することを意図しないこともまた理解すべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数形の指示対象を含む。従って、例えば、「方法(the method)」に対する言及は、1つもしくは複数の方法、ならびに/または本明細書に記載されるおよび/もしくは本開示などの全体を読んだ当業者に明らかな型の工程、を含む。
特に規定しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と類似または等価な任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料がここに記載されている。本明細書で言及される全ての刊行物は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
定義
本明細書で使用される用語は、当業者に認識された公知の意味を有するが、簡便さおよび完全さのために、特定の用語およびその意味を以下に示す。
「対象」または「患者」とは、例えば増加した頭蓋内圧などの状態、障害もしくは疾患の処置の必要性がある、または処置を受けている、あるいはかかる状態、障害もしくは疾患についてのスクリーニングの必要性がある、またはスクリーニングを受けている、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
「中枢神経系の完全性を評価する」とは、中枢神経系の病理もしくは中枢神経系に影響を与える病理を示し得る1つもしくは複数の症状を同定すること、または中枢神経系の病理を同定、評価、定量もしくは診断することを意味する。この病理は、例えば、増加した頭蓋内圧、水頭症、脳振盪、認知症、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症、筋硬化症(muscular sclerosis)、自閉症および脆弱X疾患のうち1つまたは複数であり得る。
「中枢神経系病変を位置特定すること」とは、病変が中枢神経系内に位置している可能性があり得る場合、例えば、ボディの側、例えば、左または右を判定して病変の可能性のある位置を予測し得る情報を判定することを一部の事例では意味する。他の事例では、「中枢神経系病変を位置特定すること」は、特定の窩またはコンパートメント、例えば、病変が中枢神経系内に位置している可能性がある筋膜コンパートメントまたは脳室などを判定することを意味し得る。
「第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すること」とは、第2の眼から追跡した対応する眼球運動観察と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、75%、もしくは100%、またはそれ超異なる、少なくともx、yの座標位置で追跡した5、10、25、50、100、1,000、5,000、10,000、またはそれ超の観察にわたる第1の眼の眼球運動を表示することを意味する。5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、75%、もしくは100%、またはそれ超異なることは、数値的に、またはグラフで計算または観察することができる。代わりに、「第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すること」は、第2の眼から本明細書に記載するように追跡され、散布図でグラフ表示される対応する眼球運動観察と比較して、本明細書に記載するように散布図でグラフ表示されるとき、少なくとも5°、10°、15°、20°、25°、30°、40°、50°、60°、75°、もしくは90°、またはそれ超異なる、少なくともx、yの座標位置で追跡した5、10、25、50、100、1,000、5,000、10,000、またはそれ超の観察にわたる第1の眼の眼球運動を表示することを意味する。
「輻輳運動」または「輻輳障害」とは、一般に、物体がより近くに移動する際に眼が内向きに移動するときの収束、および物体がより遠くに移動する際に眼が外向きに回転するときの発散を指す。収束および発散はともに、物体が動き回る際にある程度試験され、輻輳運動の持続を有効に評価する。ほとんどの輻輳障害は、本明細書に記載の病理および原因、例えば、外傷に起因する。一部の輻輳障害は、先天性であり得る。本明細書に記載の方法およびアルゴリズムは、このような輻輳運動および輻輳障害のスクリーニングを促進する。
上昇した頭蓋内圧
本明細書に記載される方法は、従来の方法とは別個である。頭蓋内圧を決定するために適用される場合、従来のICPモニタは、1つのスポットで脳の圧力数を決定し、Oモニタは、1つのスポットで酸素化数を決定し、画像化により脳がどのように見えるかが明らかになるが、本明細書に記載される方法は、上昇した頭蓋内圧などの、軸索原形質輸送を遅延させ得る要因を反映し得る脳神経の生理学的機能について試験するための方法を提供する。
本明細書に記載される方法は、上昇した頭蓋内圧を検出し、上昇した頭蓋内圧の重症度を評価または決定するために使用され得る。同様に、本明細書に記載される方法は、かかる頭蓋内圧の頭蓋内の原因を限局化し、頭蓋内の病変またはびまん性プロセスの進行をモニタリングするために使用され得る。また同じように、本明細書に記載される方法は、脳振盪を検出し、または脳振盪の重症度を評価または決定するために使用され得る。
本明細書に記載される方法は、高い感度を提供する。上昇したICPと一致する異常な身体検査またはフィルムを有すると評価された患者で、正常な眼球運動追跡を有したものはまだ存在しなかった。本明細書に記載される方法は、潜在的なシャント機能障害患者、上昇した頭蓋内圧を引き起こす病変を有する患者においてCTスキャンの必要性を低減させるために使用され得、上昇した頭蓋内圧または脳振盪に罹患するリスクがある、救急治療室ER集団、スポーツ参加者、兵士もしくは他の戦闘員、介護施設入居者または他の集団などの患者集団をスクリーニングするために使用され得る。
例えば約220秒間にわたって行われる高分解能自動眼球運動追跡は、無症候性に明らかな眼筋運動機能不全を検出するための強力なツールであり、従って、上昇した頭蓋内圧または振盪の迅速な診断において助けになる。
第II、第III、第IVおよび第VI脳神経の麻痺は、急性水頭症を有する患者において全て記載されているが(Tzekovら、Pediatric Neurosurgery 1991年;17巻(6号):317〜320頁およびChouら、Neurosurgery Clinics of North America 1999年;10巻(4号):587〜608頁)、各神経の相対的脆弱性は、十分確立されていない。クモ膜下腔への曝露の長さが頭蓋内圧上昇に対する唯一の脆弱性の予測因子であるとすると、第IV神経が最も脆弱であり(中央値長さ33mm(Hansonら、Neurology 2004年;62巻(1号):33〜36頁))、第III神経が2番目に脆弱であり(26mm(Adlerら、Journal of Neurosurgery 2002年;96巻(6号):1103〜1112頁))、第IIおよび第VIは、およそ等しく、最も脆弱性が低い(IIについて5〜16mm(Murali, R.、Injuries of the Cranial Nerves. In: Golfinos PCaJ編、Head Injury.第4版.New York: McGraw Hill;2000年)、VIについて11mmの中央値長さ(Hansonら、Neurology 2004年;62巻(1号):33〜36頁))。
外転神経(VI)は、延髄橋(medullopontine)接合部においてその係留から脳幹を出て、Dorello管に入る前に頭蓋内を走り、この場所で、線維状構造および骨様構造によって再度係留される。テント上ICPの上昇は、テントの自由縁を通って海馬傍回を押し下げ、一方で、第VI神経が係留された脳幹は、大後頭孔に向かって尾側を動き、神経を伸ばし、この場所でDorello管に入る(Hansonら、Neurology 2004年;62巻(1号):33〜36頁)。小脳および脳幹を前方に押す後頭蓋窩病変は、斜台に対して第VI神経を直接圧迫し得る(Hansonら、Neurology 2004年;62巻(1号):33〜36頁)。第VI神経麻痺の報告の増加は、第IIIおよび第IV神経麻痺よりも、臨床検査においてそれらがより容易に検出されることに起因し得る可能性もある。
本明細書に示されるデータは、眼球運動追跡における較正工程を特徴としない。従って、患者は、指示に確実に従う必要はなく、データは、脳神経障害の可能性のある影響を排除しない。他の研究(Contrerasら、Brain research 2011年;1398巻:55〜63頁;Marutaら、The Journal of Head Trauma Rehabilitation 2010年;25巻(4号):293〜305頁;Contrerasら、Journal of Biological Physics 2008年;34巻(3〜4号):381〜392頁およびTrojanoら、J Neurol 2012年;(オンラインで公開;印刷前))とは異なり、本明細書に示されるデータは、尺度としてサッケードカウントも空間精度も使用しない。この論文で示された開口部の周期的なエンベロープの動きに基づく結果に加えて、この方法論は、動画自体の連続フレームに応答した眼球運動を示す非常に微細なスケールのデータもまた与える。
本明細書に記載される方法は、臨床的問題に対処するために損傷のない眼筋運動に依存する既存の方法の上に築かれている(Leeら、Brain research. 2011年;1399巻:59〜65頁;Contrerasら、Brain research 2011年;1398巻:55〜63頁;Marutaら、The Journal of Head Trauma Rehabilitation 2010年;25巻(4号):293〜305頁)。本明細書に記載される方法は、いくつかの点で異なっている。第1に、本発明の方法は、主に皮質の軽度から中程度の外傷性脳傷害に起因する認知機能損傷を測定するのではなく、第II、第III、第IV、第VI脳神経および関連する核の機能を反映する視覚および眼筋運動に関する特定の臨床的状態を診断することを特徴とする。第2に、本発明の方法は、サッケードへの速度尺度のいくらか自由裁量の閾値化を介して喪失され得る僅かな差異を引き出すために、例えば約100,000の測定値を使用する、より微細なスケールの情報を使用する。第3に、本発明の方法は、対象が正確な命令に確実に従う能力にその有効性が依存する一連の縮尺変更および回転のプロセスによって生データを変換することを必要とする空間精度の測定を使用しない。かかる以前に使用された方法では、神経学的に障害のある患者の圧倒的多数を排除する必要がある。さらに、かかる以前に使用された方法は、第II、第III、第IVおよび第VI脳神経の機能に関する任意の情報を喪失するが、この理由は、これらの神経に対する損傷から生じると予測される空間歪みが、空間的較正のプロセスにおいて反転されるからである。
Trojanoら、J Neurol 2012年;(オンラインで公開;印刷前)は最近、最小に意識のあるおよび持続的に植物状態の患者の集団における、較正されていない眼球運動測定値を記載した。本明細書に記載される方法は、いくつかの点で異なっている。第1に、Trojanoらは、25人ではなく11人の健康な対照対象からのデータを報告している。第2に、Trojanoらは、頭蓋内圧における急性変化ではなく、意識の慢性障害を評価している。第3に、Trojanoらは、500Hzではなく60Hzで眼球運動をサンプリングして、そのデータの力を効率的に100分の1に低減させている。第4に、Trojanoらは、空間的に較正されたデータを有さず、これらの値をノイズの多いものにしているにもかかわらず、群間のオンターゲットおよびオフターゲット固視における差異を報告している。最後に、Trojanoらは、準周期的な方法で静的刺激移動を使用している。本明細書に記載される方法は、周期的に動く開口部内に示される動く画像を使用し、対照および患者の両方において、粗い眼球運動および微細な眼球運動の両方の特徴の評価を可能にする。
臨床的意義
幾人かの患者は、脳の一方の側で上昇したICPを示すが他方の側では示さないので、本明細書に示されるデータは、クモ膜下腔の区画化と一致している。本発明に記載されるICP評価のための方法は、従来のX線撮影研究を上回る顕著な利点を示すが、この理由は、後者が脳がどのように見えるかを示すのに対し、本発明者らの技法は、それが如何に良好に機能するかを捕捉するからである。CTスキャンは、小児科集団において短期の鎮静状態を必要とし得、放射線曝露のリスクがあるが、MRは長期の鎮静状態を必要とし得る。脳の画像化は、T2強調MR画像化において脳室上皮を横切る流れなどの古典的な知見のない、慢性的に拡大された脳室を有する患者における上昇したICPについて診断的でない可能性がある(Mizrachiら、J Neuroophthalmol. 2006年;26巻(4号):260〜263頁)。非従順でスリット脳室を有する患者も、X線撮影異常の非存在下で、上昇したICPを有し得る(Engelら、Neurosurgery 1979年;5巻(5号):549〜552頁)。シャントタッピングは、特にスリット脳室を有する患者において、感染および機能障害のリスクがある。侵襲性のモニタリングは、頭蓋内出血のリスクがある。従って、水頭症または上昇したICPの評価のためのさらなる低リスクで迅速な技法が、これらの病理のリスクのある集団を評価する人々にとって有用であり得る。
本明細書に記載される方法は、上昇したICPの診断およびその発症のリスクがあるかかる患者の前向きモニタリングのための有用な補助を提供する。履歴、身体検査および放射線医学により上昇したICPを有する患者で、正常な眼筋運動を示したものはなく、本明細書に記載される方法が高感度であることを実証している。本明細書に示されるデータは、身体検査で肉眼では損傷のない外眼運動を有し、病理において比較的最低限の変化を有する患者が、高分解能の追跡において深刻な破壊を有し得ることを示している。
本明細書に記載の方法は、脳振盪の診断および脳振盪を発症するリスクにある患者の将来の監視に関して有用な補助を提供する。本明細書に提示のデータは、身体検査における肉眼で見てインタクトな外眼運動、および病理の相対的に最小限の変化を有する患者は、高分解能追跡で重大な混乱を有し得ることを実証する。
水頭症患者単独の眼の病理の多様なベースラインを考慮すると(Dennisら、Arch Neurol. 1981年10月;38巻(10号):607〜615頁;Zeinerら、Childs Nerv Syst. 1985年;1巻(2号):115〜122頁およびAltintasら、Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology = Albrecht von Graefes Archiv fur klinische und experimentelle Ophthalmologie.2005年;243巻(12号):1213〜1217頁)、追跡結果は、各患者自身のベースラインデータと比較する必要があり得る。同様に、外傷性脳損傷の過去歴を有する対象は、各患者自身のベースラインデータと比較する必要があり得る追跡結果を有し得る。
本明細書に示されるデータは、ビデオを見ている間の眼球運動の分析によって、上昇した頭蓋内圧および脳震盪を診断することが可能であることを、一部実証している。本明細書に記載される方法は、他の技術とは顕著に異なっているが、この理由は、画像化研究により、脳を見ることができ、侵襲性の技法により、自由裁量の圧力数または酸素化数の決定が可能になるからである。本明細書に記載される方法は、生理学的機能を実際に評価する。
本明細書に記載される方法は、例えば以下を含む多くの臨床的適用を有する、i)第II、第III、第IVおよび第VI脳神経であるが、おそらくはさらには第VII、第VIIIおよび/または第X脳神経の機能を評価すること;ii)上記の機能を妨害または改善する任意のプロセスを検出し、定量的にモニタリングすること(例えば、動脈瘤、多発性硬化症、サルコイドーシス、腫瘍、加齢、アルコール乱用、中毒性物質/麻薬などに適用され得る、上昇したICPまたは増加した脳腫瘤効果を実証すること);iii)病理を限局化することおよび脳内のその病理の性質を同定すること(例えば、神経を圧迫する病変と、腫瘤効果を創出するまたはICPを大きく上昇させるだけの病変との間を識別すること);iv)定期的に「ニューロチェック(neuro−check)」を実施する家庭用コンピュータ/ウェブカメラ、院内または外来患者「テレビ番組」を介して患者をモニタリングすること;v)持続的に植物状態のおよび最小に意識のある状態、失語症、ならびに脳傷害(特に、脳振盪)からの回復の評価のためにアウトカムを定量的に測定すること;vi)失語症の型を特徴付け、病理を限局化すること;vii)認知症/認知機能および神経変性疾患を定量的に評価すること。同様に、本明細書に記載される方法は、例えば、全て比較的同時に、視覚を評価し、眼筋運動を評価し、認知機能不全を評価するためなどの、じかに行うスクリーニングのための手段を提供し得る(例えば、運転免許またはパイロット免許、雇用などのため)。さらに、本明細書に記載される方法は、認知の衰えと共に増加するように見える分散を評価するために使用され得る。これは、例えば、知能の層別化により広告の的を絞るために使用され得る。さらに、本明細書に記載される方法は、認知の衰退に伴って明らかに増加する、非共同性注視を評価するために用いられ得る。なおさらには、本明細書に記載される方法は、知能試験または神経学的機能試験に使用され得る。
眼球運動の共同性
本発明は、自然な目視の間の注視共同性、およびしたがって非共同性を定量化するのに有用である新規の眼球運動追跡法を特徴として備える。同様に、本方法は、輻輳運動、または単一点に焦点を合わせる眼の能力を評価する。点がより近くに移動するとき、眼は収束し、点がより遠くに移動する場合、眼は発散する。したがって、モニタで移動刺激を観ることは、輻輳運動の持続を必要とする。これは、対象が、目視モニタから固定された距離で約220秒間、テレビ、または設定された軌跡で、アパーチャー内部で移動するビデオを観ている間に実施することができる。これは、対象が経時的に自然の刺激を目視している際にも実施することができる。各瞳孔の位置を、ビデオがその経時変化で進む際に経過する時間にわたって記録し、時間に対して、およびしたがって互いに関連して瞳孔を移動させる能力の障害の検出を可能にすることができる。この方法は、固定およびポータブル視線追跡デバイスの両方を使用して、著しい神経学的または眼科的機能障害を有さない対照対象において高い検定−再検定信頼性を有する。
神経精神医学的研究および脳傷害研究のための眼球運動追跡(Heitgerら、Brain、2009年;132巻:2850〜2870頁;Marutaら、J Head Trauma Rehabil.、2010年;25巻:293〜305頁)は、ほぼ30年間実施され、スムーズな追尾、サッケード、固視、瞳孔サイズ、および注視の他の様相を評価することができる。アイトラッカーの空間較正は一般に、追跡されている各個体について実施される。較正を用いて、アイトラッカーは、対象が既知の位置の1つまたは複数のターゲットを見ている間、約400〜800ミリ秒の期間にわたって瞳孔の相対的な位置および角膜反射を測定して、後続の瞳孔運動中の意味のある空間的座標を生成する。空間較正のプロセスは、相対的に保存された神経学的機能を暗示し、理由は、これは、対象が指令に従い、特定の点を見ることができることを必要とするためである。
空間較正のプロセスは、眼球運動性の欠陥をマスクし得る。眼の運動において持続性の再現可能な弱点がある場合、カメラは、その弱点の方向に移動する眼の能力を、較正プロセスに起因してその方向における動きの完全な潜在的範囲として解釈し得る。言い換えれば、対象が、ある位置を見るように指示されているが、常にその中間までしか移動しない場合、較正プロセスは、後続の眼球運動を追跡するときそれを把握し、中間点までの運動を、正常な動きの完全な範囲で起こっていると解釈し得る。較正中、一方の眼がターゲットの中間のみに到達するが、他方の眼が完全にターゲットにある場合、カメラは、一方が他方の眼球運動の半分を実施するとき、両方の眼は一緒になっていると解釈する。したがって、それぞれの眼が両眼分離装置を使用して別個に較正されない限り、両眼空間較正は、非共同性注視の検出を妨げ得る(Schotterら、PLoS One、2012年;7巻:e35608頁)。
本発明は、対象がコンピュータモニタ上のアパーチャー内部で移動するミュージックビデオを観ている間に実施される非空間的に較正された追跡のための新規技法を提供する。アパーチャーは、瞳孔の位置をビデオの開始から経過する時間に基づいて任意の所与の時間で予測することができるように、既知の速度でモニタ周辺を動き回る。空間較正ではなく、経過時間を使用することによって、本方法は、一方の瞳孔を他方に関連して移動させる能力の障害を検出する。較正されていない追跡は、運動性の障害を補償しないだけでなく、指令に従わない患者、例えば、失語症者、外国語の話者、持続的植物状態の者、および小さな子供などにおいて使用することができる。これは、動物にも使用することができる。
対象の眼が、30×35cmの目視モニタの中心から約55cmに位置している場合、本方法および関連アルゴリズムは、中央位置から任意の方向に約15°、または上から下、もしくは横から横に合計およそ30°の最大範囲内で瞳孔運動を誘発する。したがって、一部の事例では、本方法および関連アルゴリズムは、眼球運動性の完全な範囲も、視野全体も必要としない、または評価しない場合がある。より大きいモニタ、または対象により近くに位置したモニタを使用すると、これらの評価が可能になるはずである。
観察および測定された共同性は、垂直より水平面で有意に高かった。これは、多数の要因のうちのいずれかを反映し得る:(1)モニタの形状が完全な正方形ではなく、むしろ差し渡し17インチの長方形であった。各サイドは、10秒で横断し、したがって眼は、垂直より水平方向に進むのにより大きい距離を有した。眼は、水平方向により速く移動していたので、これらは、おそらくより共同性であり得る。(2)人間は、垂直眼球運動に対して水平で、脳電図上でより強いイベント関連脱同期化を有する(Kaiserら、Clin Neurophysiol.、2009年;120巻:1988〜1993頁)。より多くの餌食および肉食動物が、上または下ではなく同じ高度付近に存在する可能性があるので、人間は、垂直より水平面内でより高い共同性を有するように進化してきた。他の種は、水平眼球運動に対して垂直において差異を実証した(Lisbergerら、J Neurophysiol.、1989年;61巻:173〜185頁)。(3)対照集団は、主に英語を話し、したがって左から右に読み、垂直より水平方向により速く読む(Seoら、Vision Res.、2002年;42巻:1325〜1337頁)。垂直に読む集団の試験は、より高い垂直共同性を潜在的に生じ得る。
本明細書に記載の技法は、最小限で意識のある集団および開いた眼を有する持続的植物状態患者におけるオンターゲットおよびオフターゲット固視について静的刺激を使用する較正されていない追跡と異なる(Trojanoら、J Neurol.、2012年(オンラインで公開;印刷に先行))。定期的に移動するアパーチャー内に示される移動画像は、対照および神経学的に障害のある対象の両方における粗いおよび繊細な眼球運動特性の両方を評価することを可能にする。他の試験と異なり(Contrerasら、Brain Res.、2011年;1398巻:55〜63頁;Contrerasら、J Biol Phys.、2008年;34巻:381〜392頁;Marutaら、J Head Trauma Rehabil.、2010年;25巻:293〜305頁;Trojanoら、J Neurol.、2012年(オンラインで公開;印刷に先行))、本方法は、有効性が正確な指令に確実に従うその対象の能力に依存する一連のスケーリングおよび回転プロセスによる未処理データの変換を必要とするサッケード数または空間精度を使用しない。本方法は、瞳孔を位置特定するのに固定された頭の位置または多数の光源およびカメラを必要とする注視推定とも異なる(Guestrinら、IEEE Trans Biomed Eng.、2006年;53巻:1124〜1133頁)。
ビデオ眼球運動記録法は、眼が移動する際に瞳孔の位置の中心を追跡するのにゴーグルに搭載された赤外線カメラを使用する比較的より新しい技法である。これは、神経前庭(neurovestibular)機能障害および迷路機能障害についてスクリーニングすることにおいて、ならびにごく最近、これらを椎骨脳底脳卒中(vertebrobasilar stroke)と区別することにおいて有用であることが実証された(Newman−Tokerら、Stroke、2013年;44巻:1158〜1161頁)。ビデオ眼球運動記録法は一般に、空間較正に依拠する(Hongら、Behav Res Methods、2005年;37巻:133〜138頁;Schreiberら、IEEE Trans Biomed Eng.、2004年;51巻:676〜679頁)。単独視線追跡カメラではなく、ビデオ眼球運動記録法を用いた本発明者らの非較正刺激アルゴリズムの使用は、将来の研究にとって興味深い主題であり得る。
本明細書に記載の方法は、感度および特異性の両方をもたらす。非常に多くの異なる皮質機能がビデオを観るのに要求されるので、全体的な頭部機能または特定の脳神経機能を妨害する任意のプロセスが、本方法によって明らかにされる可能性がある。追跡は、中毒性がある、または薬理学的薬剤の影響下にある先の脳損傷の履歴を有する患者において混同される場合がある。患者の認知能力、注意持続時間、および被転導性は、眼球運動性データの品質にインパクトを与えることになる。
本明細書に記載の方法は、斜視についてスクリーニングするのに有用である。ローマの小児眼科で検査した14,006人の連続した患者の集団において、2.72%がAまたはVパターン斜視を示した(Dickmannら、Ophthalmic Epidemiol.、2012年;19巻:302〜305頁)。Aパターンは、神経学的機能障害、水頭症、および髄膜脊髄瘤のより大きい有病率と関連した一方、Vパターンを有する者は、頭蓋骨癒合症および奇形症候群(malformative syndrome)のより大きい有病率を呈した(Dickmannら、Ophthalmic Epidemiol.、2012年;19巻:302〜305頁)。両眼の視覚成熟後の斜視発症の処置の遅延は、立体視および感覚性融像の永続的な混乱と関連し得る(Fawcett、Curr Opin Ophthalmol.、2005年;16巻:298〜302頁)。
斜視の相対的に低い有病率を考慮すると、本明細書に記載の方法は、後天性非共同性および輻輳障害の迅速な自動化された評価に有用である。このような非共同性および輻輳障害は、心的外傷を含めた神経学的原因、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成などに起因し得る。非共同性は、眼科学的原因、例えば、結膜炎、眼筋麻痺、眼傷害、または他の疾患などにも起因し得る。したがって、本明細書に記載の方法は、斜視または先天性非共同性注視のスクリーニング、心的外傷を含めた神経学的原因、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成などに起因する後天性非共同性注視のスクリーニングに有用である。非共同性は、眼科学的原因、例えば、結膜炎、眼筋麻痺、眼傷害、または他の疾患など、および読字/学習障害の評価にも起因し得る。
両眼の眼球運動監視
人間の脳が生理学的にインタクトであるとき、眼は、共同注視を伴って一緒に移動する。意図的な意識のある取り組みによってのみ、個体は、この機構を克服することができる(例えば、彼らが眼を慎重に「交差させる」とき)。眼が完全に同調して移動できないことは、非共同性注視と呼ばれる。
両眼追跡は、一方の眼の他方に対する非空間的に較正された軌跡を比較するのに使用することができる。2つの眼の軌跡の間のわずかな差異を検出することができる。これらの差異は、一方の眼の運動の他方と比べた生理的機能または機能不全に関する有益な情報をもたらす。既知の構造的な眼傷害の非存在下において、このような差異は、脳の2つの側の機能における生理学的差異を反映する。脳卒中、外傷または脳振盪、腫瘍、脱髄疾患、水頭症、変性疾患などに起因する脳病変は、まれに完全に対称であるので、一方の眼の眼球運動の他方の眼の眼球運動との比較を使用して、病変の存在を確認すること、視線追跡タスクに参加する人の能力に影響し得る他のより全体的な要因、例えば、疲労、中毒、薬剤、薬物乱用、仮病、または視線追跡タスクに参加する意思の欠如などから病変の存在を区別することのいずれかを行うことができる。
したがって、空間較正を用いてではなく、両眼追跡および経時的に得られる軌跡の直接比較を使用して、病理を診断し、これらの診断と視線追跡にインパクトを与え得る全体的な要因とを区別することができる。視線追跡カメラに加えて、またはその代わりに、ゴーグルなどのビデオ眼球運動記録法デバイスを使用して、空間較正を用いてではなく、経時的に眼球運動を評価することができる。視線追跡デバイスはまた、遠く離れて配置される場合があり、インターネットまたは他の可視化機構を介して機能し得る。
コンピューティングシステム
本発明に従うコンピューティングシステムは、図13〜14に記載されている。本明細書に記載されるオブザーバーマターおよび機能的演算の実装は、本明細書に開示される構造およびその構造的等価物、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせを含む、他の型のデジタル電子回路において、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアにおいて、実装され得る。コンピュータシステムまたはコンピューティングデバイス1000は、プロセッサ106およびディスプレイ108、眼球運動/視線追跡器コンポーネント104などを含むデバイスを実装するために使用され得る。コンピューティングシステム1000は、情報を伝えるためのバス1005または他のコミュニケーションコンポーネントと、情報を処理するためにバス1005に連結されたプロセッサ1010または処理回路とを含む。コンピューティングシステム1000は、情報を処理するためにバスに連結された1つまたは複数のプロセッサ1010または処理回路を含んでいてもよい。コンピューティングシステム1000は、情報およびプロセッサ1010によって実行される指示を記憶するためにバス1005に連結されたメインメモリ1015、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスもまた含む。メインメモリ1015は、プロセッサ1010による指示の実行の間に、位置情報、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。コンピューティングシステム1000は、静的情報およびプロセッサ1010のための指示を記憶するためにバス1005に連結された読み出し専用メモリ(ROM)1010または他の静的記憶デバイスをさらに含み得る。記憶デバイス1025、例えばソリッドステートデバイス、磁気ディスクまたは光ディスクは、情報および指示を持続的に記憶するためにバス1005に連結される。
コンピューティングシステム1000は、使用者に情報を表示するために、バス1005を介して、ディスプレイ1035、例えば液晶ディスプレイまたはアクティブマトリックスディスプレイに連結され得る。インプットデバイス1030、例えば、英数字および他のキーを含むキーボードは、プロセッサ1010に情報および命令選択を伝えるためにバス1005に連結され得る。別の実装では、インプットデバイス1030は、タッチスクリーンディスプレイ1035を有する。インプットデバイス1030は、プロセッサ1010に方向情報および命令選択を伝えるためならびにディスプレイ1035のカーソルの動きを制御するための、カーソル制御、例えばマウス、トラックボールまたはカーソル指向キーを含み得る。
種々の実装によれば、本明細書に記載されるプロセスは、メインメモリ1015中に含まれる指示の配列を実行するプロセッサ1010に応答して、コンピューティングシステム1000によって実装され得る。かかる指示は、別のコンピュータ可読媒体、例えば記憶デバイス1025から、メインメモリ1015中に読み込まれ得る。メインメモリ1015中に含まれる指示の配列の実行は、コンピューティングシステム1000に、本明細書に記載される例示的プロセスを実施させる。多重処理配列中の1つまたは複数のプロセッサもまた、メインメモリ1015中に含まれる指示を実行するために使用され得る。代替的実装では、ハードワイヤード回路が、例示的実装をもたらすために、ソフトウェア指示の代わりに、またはソフトウェア指示と組み合わせて、使用され得る。従って、実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
本明細書に記載されるオブザーバーマターおよび演算の実装は、本明細書に開示される構造およびその構造的等価物、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせを含む、デジタル電子回路において、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアにおいて、実装され得る。本明細書に記載されるオブザーバーマターは、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして、即ち、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の演算を制御するために、1つまたは複数のコンピュータ記憶媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム指示の1つまたは複数のモジュールとして、実装され得る。あるいはまたはさらに、プログラム指示は、データ処理装置による実行のために適切な受信器装置への送信のために情報をエンコードするように生成された、人工的に生成された伝播された信号、例えば、機械生成された電気、光学または電磁気信号上にエンコードされ得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムアクセスメモリもしくはシリアルアクセスメモリのアレイもしくはデバイス、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせであり得るか、あるいはそれらに含まれ得る。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝播された信号ではないものの、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播された信号中にエンコードされたコンピュータプログラム指示の供給源または宛先であり得る。コンピュータ記憶媒体は、1つまたは複数の別々のコンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスクまたは他の記憶デバイス)であり得る、あるいはそれらに含まれ得る。従って、このコンピュータ記憶媒体は、タンジブルおよび非一時的の両方である。
本明細書に記載される演算は、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶デバイス上に記憶された、または他の供給源から受信されたデータに対して、データ処理装置によって実施され得る。
用語「データ処理装置」または「コンピューティングデバイス」は、例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステムもしくは複数のそれら、または上記の組み合わせを含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイスおよび機械を包含する。この装置は、特殊目的の論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。この装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を創出するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、バーチャルマシン、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせを構成するコードもまた含み得る。装置および実行環境は、種々の異なるコンピューティングモデルインフラ、例えばウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングインフラを実現し得る。
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても公知である)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクトもしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてを含む任意の形態で配置され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム中のファイルに対応し得るが、対応していなくてもよい。プログラムは、問題のプログラム専用の単一のファイル中または複数の協調的ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部分を記憶するファイル)中に他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメント中に記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分中に、記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに位置付けられたもしくは複数のサイトを横断して分配され、コミュニケーションネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように、配置され得る。
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用および特殊目的の両方のマイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはそれら両方から、指示およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、指示に従って動作を実施するためのプロセッサ、ならびに指示およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスクまたは光ディスクを含むか、あるいはそこからデータを受信するもしくはそこにデータを転送する、またはその両方を行うように作動可能に連結される。しかし、コンピュータは、かかるデバイスを有さなくてもよい。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ごく少数名前を挙げれば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤー、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信器または携帯型記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)中に埋め込まれ得る。コンピュータプログラム指示およびデータを記憶するのに適したデバイスには、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特殊目的の論理回路によって補完され得る、またはそこに組み込まれ得る。
使用者との交流を提供するために、本明細書に記載されるオブザーバーマターの実装は、使用者に情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、使用者がコンピュータにインプットを提供できるキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、マウスまたはトラックボールとを有するコンピュータ上に実装され得る。使用者との交流を提供するために、他の種類のデバイスも同様に使用され得る;例えば、使用者に提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバックであり得る;使用者からのインプットは、音響、会話または触覚インプットを含む任意の形態で受信され得る。
本明細書には、多くの具体的な実装の詳細が記載されており、これらは、任意の発明の範囲または特許請求され得る発明の範囲に対する限定として解釈すべきではなく、特定の発明の特定の実装に特異的な特徴の説明として解釈すべきである。別々の実装に関して本明細書に記載されるある特定の特徴は、単一の実装において組み合わせて実装されることもできる。逆に、単一の実装に関して記載される種々の特徴は、別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションにおいて、複数の実装で実装されることもできる。さらに、特徴は、ある特定の組み合わせで作用すると上記され得、さらにはそのようなものとして最初に特許請求され得るが、特許請求された組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、ある場合には、その組み合わせから削除され得、特許請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションに関し得る。
同様に、演算は、特定の順序で図面に示されるが、これは、所望の結果を達成するために、かかる演算が示された特定の順序でもしくは逐次的な順序で実施されること、または全ての例示された演算が実施されることを必要とすると理解すべきではない。ある特定の状況では、マルチタスク処理およびパラレル処理が有利であり得る。さらに、上記実装中の種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実装においてかかる分離を必要としていると理解すべきではなく、記載されたプログラムコンポーネントおよびシステムが一般に、単一のソフトウェア製品中に統合され得るまたは複数のソフトウェア製品へとパッケージングされ得ると理解すべきである。
信号の尺度としてのアスペクト比と分散の関係
(x,y)対がプロットされて「ボックスプロット」を示すとき、これらは、予め処理されており、理由は、未処理データの絶対値は、経時的な信号の変化が最も重要であるので使用が限定されているためである。平均、標準偏差、または分散によって除すことを含めてデータを正規化するための多くの方法がある。さらに、標準偏差もしくは分散を、すべてのデータについて一度に算出することができ、またはxを、xの分散を使用して正規化することができ、yを、yの分散を使用して正規化することができる。周期的なデータについての任意の正規化手順は、たいてい平均を減じることを含み、したがって、信号は、ゼロの周囲を交互する信号変化としてプロットすることができる。これらの変換のすべては、当業者によるデータ分析において慣例的であり、広く使用されている。詳細は、尋ねられている質問および使用されているモデル化または統計的検定のタイプに依存する。
本明細書に記載のボックスプロットの作成において、未処理のデータが以下のように予め処理される:x(水平)およびy(垂直)ベクトルについて独立して、平均が減じられ、標準偏差(これは、分散の平方根である)によって除される。これにより、すべてのデータが同じ相対的な枠組内に入れられる(ゼロ平均、約1および−1の最大および最小)。これが、ボックスが正方形に見える理由である(刺激提示モニタが正方形でない場合でも)。
これは、「長い」および「短い」側が、相対的な可変性を反映していることを意味する。可変性が高い場合、分母は高く、測定価値は低い。したがって、例えば、水平(x)データの可変性が垂直(y)データの可変性と比べて高い場合、ボックスの水平アスペクトは、相対的により小さくなり、結果は、背の高い痩せたボックスとなる(より高いアスペクト比)。反対に、垂直(y)データの可変性が水平(x)データの可変性と比べて高い場合、垂直範囲が低減され、結果は、短い太ったボックスとなる(より低いアスペクト比)。
このように、オブザーバーマターの特定の実装が記載されてきた。他の実装は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。ある場合には、特許請求の範囲に列挙された作用は、異なる順序で実施され得るが、なおも所望の結果を達成する。さらに、添付の図面に示されるプロセスは、所望の結果を達成するために、示された特定の順序または逐次的な順序を必ずしも必要としない。ある特定の実装では、マルチタスク処理およびパラレル処理が有利であり得る。
非共同性視線追跡評価
本明細書に記載の方法は、非共同性注視または非共同性眼球運動を評価または定量化するための手段を提供する。これらの手段は、本明細書に記載の方法によって生成し、または得ることができる瞳孔のxおよびy座標のアレイを受け取ることを特徴として備える。これらの座標は、例えば、5つのアイボックス軌跡サイクルにわたって平均することができる。式的には、これは、以下のように表すことができる:
式中、Xijkは、瞳孔のx座標を指し、kは、対象の左眼または右眼を指す。次いで、左眼および右眼について、xおよびyの位置の差異を算出することができる。次いで差異のこのベクトルを、評価および解釈の目的のためにグラフでプロットすることができる。瞳孔の非共同のレベルを表す単一の測定基準を有するために、データの分散を、ゼロの予期される平均に関して算出することができる。コードは、健康な対象がそれぞれの眼の間で、ゼロの横方向または縦方向の瞳孔位置の差異を有することを仮定するので、これは、有意である。分散は、以下のように算出することができる:
全分散は、以下のように算出することができる:
X、Yの分散および全分散を、対象中に存在する非共同(すなわち、非共同性注視)の量を評価するためにプロットすることができる。
眼球運動の共同性
本明細書に記載の方法は、斜視を同定することができる。ローマの小児眼科で検査した14,006人の連続した患者の集団において、2.72%がAまたはVパターン斜視を示した(Dickmannら、Ophthalmic Epidemiol.、2012年;19巻:302〜305頁)。Aパターンは、神経学的機能障害、水頭症、および髄膜脊髄瘤のより大きい有病率と関連した一方、Vパターンを有する者は、頭蓋骨癒合症および奇形症候群のより大きい有病率を呈した(Dickmannら、Ophthalmic Epidemiol.、2012年;19巻:302〜305頁)。両眼の視覚成熟後の斜視発症の処置の遅延は、立体視および感覚性融像の永続的な混乱と関連し得る(Fawcett、Curr Opin Ophthalmol.、2005年;16巻:298〜302頁)。
斜視の相対的に低い有病率を考慮すると、本明細書に記載の方法は、後天性非共同性の迅速な自動化された評価に有用である。このような非共同性は、心的外傷を含めた神経学的原因、水頭症、脱髄、炎症、感染、変性疾患、新生物/腫瘍随伴症候群、糖尿病を含めた代謝疾患、または血管破裂、例えば、脳卒中、出血、もしくは動脈瘤形成などに起因し得る。非共同性は、眼科学的原因、例えば、結膜炎、眼筋麻痺、眼傷害、または他の疾患などにも起因し得る。本明細書に記載の方法は、脳振盪または爆風傷害を含めた構造的および非構造的外傷性脳傷害と相関した眼球運動の共同性または非共同性を評価するステップを特徴として備え得る。
構造的および非構造的に脳を負傷した対象
本明細書に記載の前向き観察試験の目的は、脳ではないがボディを負傷した対照および健康な負傷していない対照と比べた、構造的および非構造的に脳を負傷した対象の視線追跡の差異を定量化して、構造的および非構造的傷害と関連した視線追跡パラメータを同定することであった。別の目的は、視線追跡の障害と臨床的な神経学的機能との間の相関を同定することであった。視線追跡および臨床的な脳振盪評価を、44人の負傷した対象に対して実施し、視線追跡を31人の健康な正常な対照のみに対して実施した。51個の視線追跡パラメータを各患者において評価した。10個のパラメータが、陰性対照(健康な正常な人および肉体的に負傷した外傷患者)と陽性対照(構造的な脳傷害を有する患者)および非構造的脳傷害を有する患者の両方との間に統計的に有意な差異を示した。8個の追加のパラメータが、陰性対照(健康な正常な人および肉体的に負傷した外傷患者)と構造的または非構造的脳傷害を有する患者との間に統計的に有意な差異を示した。視線追跡尺度のうちの10個は、SCATまたはSACスコア間の統計的に有意な相関を示し、これらの視線追跡パラメータが有効な臨床転帰尺度と相関することを実証した。
脳神経III、IV、およびVI、ならびに関連した核の機能を含めた眼球運動性を評価するために、自動眼球運動追跡のための新規技法を、空間較正ではなく時間較正を使用して開発した。瞳孔の位置は、空間較正でなく、ビデオの開始から経過する時間に基づいて予測され、正常な対照または反対の眼と比べて、瞳孔を動かす能力の障害の検出を可能にする。時間較正は、較正の指示に協力する気がない、または協力することができない集団、例えば、幼児、外国語の話者、最小限で意識のある人、または失語症者などに対する有用性という追加の利点を提供する。
本明細書に提示のデータは、脳ではないがボディを負傷した対照および健康な負傷していない対照と比べた、構造的および非構造的に脳を負傷した対象の視線追跡の差異を定量化して、構造的および非構造的傷害と関連したパラメータを同定する。本明細書に提示のデータは、視線追跡の障害と臨床的な神経学的機能との間の相関をさらに確立する。
一般的な定量化法
瞳孔位置の未処理のxおよびyデカルト座標が収集され、一次元ベクトルで記憶される:
このデータは、以下の形式によって正規化される:
指数iは、個々のデータ点に対応する。iのサイズは、視線追跡ハードウェアのキャプチャ頻度および追跡の時間に依存する。次いでデータは、眼(j=1:2、左、右)、サイクル(現在の刺激方法は、5つのサイクルにわたってコンピュータースクリーンを動き回るアパーチャーを特徴として備える)(k=1:5、第1、第2、第3、第4、第5)、およびボックスセグメント(1=1:4、上、右、下、左)によって分類される。各j、k、lは、その自己のデータ点nを有し、そのサイズもハードウェアの追跡頻度および時間長によって支配されることが暗黙である。
個々の測定基準

セグメントの平均
すべてのj、kについての各セグメントlに対するすべてのデータ点の算術平均に対応する。結果は、各セグメントlを代表する1つの数値である。
中央値
すべてのj、kについての各セグメントlに対するすべてのデータ点の統計的中央値に対応する。結果は、各セグメントlを代表する1つの数値である。
セグメントの分散
すべてのj、kについての各セグメントlに対するすべてのデータ点の統計的分散に対応する。結果は、各セグメントlを代表する1つの数値である。
特定の測定基準
セグメントの標準偏差
すべてのj、kについての各セグメントlに対するすべてのデータ点の統計的標準偏差に対応する。結果は、各セグメントlを代表する1つの数値である。
セグメントの歪度
すべてのj、kについての各セグメントlに対するすべてのデータ点の統計的歪度(平均が中央値からどのぐらい遠くにあるか)に対応する。結果は、各セグメントlを代表する1つの数値である。
特定の測定基準
共同性
5つのサイクルを一緒に平均して、1つの平均されたサイクルを与え、
を与える。
次いで、右眼からのデータを左眼から減じ、デルタ値を得る:
ここで、xは、左の正規化された未処理のx瞳孔位置−右の正規化された未処理のx瞳孔位置を表す。lは、ボックスの上、右、下、および左のセグメントに対応する。
分散(共同性)
ここでの分散は、統計的分散の伝統的な形式に従わない。伝統的な形式では、データ点の平均が個々のデータ点の和から減じられる。本ケースでは、平均は、強制的にゼロにされ、したがって、仮定の対照患者は完全な共同性を有する(左眼および右眼が正確に一緒に移動する)ことを推論する。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物を如何にして作製および使用するかの説明を当業者に提供するために示されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。使用される数(例えば、量、温度など)の精度を守るための努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮すべきである。特に示さない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度はセルシウス度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。
(実施例1)
背景
眼球運動は、神経学的整合性についての臨床的に重要な情報を含有する。臨床デバイスは、臨床的介入後の回復の評価などの用途のために、自動眼球運動追跡の相対的な容易さを活用することができる。初期の空間較正を用いることなく精度を伴って眼球運動を確実に測定し得る技法を設計した。本発明者らは、神経学的にインタクトな成人および神経外科的患者において、彼らが220秒にわたってスクリーンの周囲を動き回る短いミュージックビデオを観ている際に、空間較正を用いることなく眼球運動を追跡した。正確さ、または速度などの伝統的な空間的尺度ではなく、データの時間的特徴を測定した。
本方法は、これらの未較正測定値を使用して、神経学的機能障害の存在と非存在を確実に識別した。結果は、この技法を、単に患者にTVを観させることによって、神経学的整合性を評価し、欠陥を定量化することに拡張することができることを示す。
これらの方法は、潜在的に神経学的に負傷した個体の迅速な評価、状態が機能障害と回復との間を変動し得る患者の監視、およびリハビリテーションまたは介入の有効性の測定を含めた、いくつかの状況において有用である。
眼球運動は、神経学的整合性についての臨床的に妥当な情報を含有することが長い間知られてきた。眼球運動性の評価は、容易で有益であるので、任意の神経学的検査の標準的な部分である。しかし、これは、通常、専門家によって施され、一般に、定性的であるだけであり、定量的でないことを含めて、標準的な臨床検査についていくつかの問題がある。
自動眼球運動追跡デバイスの相対的な容易さ、携帯性、および非侵襲性は、これを、競技場での脳振盪についての検査および臨床的介入後の回復の評価などの用途のためのトランスレーショナルリサーチの有望な分野にした。眼球運動試験は、精神医学から外傷性脳傷害(TBI)およびリハビリテーションまでの臨床現場の洞察をもたらした(Trojanoら、J Neurol.、2012年、259巻(9号):1888〜95頁;Gitchelら、Arch Neurol.、2012年、69巻(8号):1011〜7頁;Qiuら、PLoS One、2011年、6巻(10号):e25805頁;Plowら、PMR、3巻(9号):825〜35頁;Heitgerら、Brain.、2009年、132巻(第10部):2850〜70頁;Pearsonら、Br J Sports Med.、2007年、41巻(9号):610〜2頁;Heitgerら、J Neurol Sci.、2007年、15巻;253号(1−39 2):34〜47頁;Suhら、Neurosci Lett.、2006年、401巻(1〜2号):108〜13頁;Suhら、Neurosci Lett.、2006年、410巻(3号):203〜7頁;Heitgerら、Brain Inj.、2006年、20巻(8号):807〜24頁;Yangら、Image and Vision Computing、2002年、20巻(4号):273〜87頁;およびHeitgerら、Prog Brain Res.、2002年、40巻:433−12〜48頁)。試験は一般に、空間的な固視の正確さ、特定の固視ターゲットに費やした時間、およびサッケード数を測定する(Trojanoら、J Neurol.、2012年、259巻(9号):1888〜95頁、およびFoulshamら、Vision Res.、2011年、51巻(17号):1920〜31頁)。有望であるのにもかかわらず、眼球運動の定量的測定に基づいて臨床用途を開発することは困難であることが判明し(Heitgerら、Prog Brain Res.、2002年、40巻:433−12〜48頁、およびFoulshamら、Vision Res.、2011年、51巻(17号):1920〜31頁)、理由はおそらく、空間較正は、臨床現場で困難であり得、機能障害性眼球運動性の検出のための視線追跡の使用を除外するためである。
アイトラッカーの標準的な使用は、システムがすべての測定セッションの開始時に、すべてのオブザーバーについて個々に較正されることを必要とする。較正では、コンピュータモニタに表示される一連の高コントラストドットを見るようにオブザーバーに求める。較正プロセスは、十分な正確さが実現されるまで数回繰り返される場合がある。そのときのみ、眼球運動を記録することができる。
この較正プロセスが困難(例えば、多くの繰り返しを必要とする)または不可能であるオブザーバーに対して臨床用途で視線追跡を使用することは困難であった。較正は、指令に確実に従うことができる意欲のあるオブザーバーを必要とする。脳卒中または脳傷害などの神経整合性の喪失をもたらす多くの臨床状態も、オブザーバーを指示に従うことを嫌がる、または従うことができない状態にする。
脳傷害または脳卒中患者に対して視線追跡法を使用することも問題となり、較正プロセス自体が視線追跡試験の感度を低減し得る。例えば、垂直眼球運動性を損なった患者を考慮されたい。較正プロセスは、眼が較正点によって描かれた位置の全範囲をカバーすることを仮定するので、それは、上および下の最大瞳孔角度を、それぞれモニタの「上」および「下」に不正確に割り当てる。このような事例では、そのオブザーバーのすべての将来の測定は、その不正確な割り当てに一致するように調節される。したがって、眼球運動性の障害は、アイトラッカーの空間較正から始まる試験において検出されない場合がある。
眼球運動測定は、脳の損傷の重症度、および臨床的介入後の回復を反映し得る。本明細書に記載の方法は、神経外科、救急科、および眼科クリニックからの患者、ならびに健康な志願者の対照セットを試験するのに使用した。本方法の成功は、2つの特徴を伴う。第1に、本明細書に記載の方法は、目的の変数として正確さの空間的尺度を使用しない。空間領域ではなく時間領域で眼球運動軌跡を見ることによって、空間較正を利用しない尺度を定量化することが可能である。第2に、尺度は、容易に可視化および評価され、これらを臨床医または研究者にとって直ちに有用にする。
方法
対象。健康なオブザーバーを、ヒト対象と関わる活動に対する大学委員会(University Committee on Activities Involving Human Subjects)(UCAIHS)によって決定されたIRB承認プロトコルに従ってニューヨーク大学においてリクルートした。すべての参加者が書面によるインフォームドコンセントを準備し、同意書は、UCAIHSによって承認された。神経学的欠損を有する患者は、ベルビュー病院における神経外科業務からリクルートした。対象または彼らの法的代理人からの書面によるインフォームドコンセントを、NYU IRBによって確立されたガイドラインに従って将来のデータ収集のために得た。
オブザーバー。初期スクリーニングとして機能を果たす未較正視線追跡の潜在性のために、患者集団を特定の病理に制限しなかった。むしろ、クリニックから来た患者の任意のサンプルをリクルートした。得られたサンプルは、クリニックで見られる障害の範囲を代表するものであった。
眼球運動追跡。オブザーバーの眼球運動を、Eyelink1000両眼アイトラッカー(500Hzサンプリング、SR Research)を使用して記録した。すべてのオブザーバーをスクリーンからおよそ55cmに着席させた。一部の試験患者は、診断、手術、および回復の異なる段階において複数の訪問について追跡した。
視覚刺激。視覚刺激は、ミュージックビデオとして提供し、これは、コンピュータモニタの外側縁部に時計回りに沿って移動しながら連続的に再生した。オブザーバーは、ビデオを観るように指導された。刺激は、オブザーバーがビデオをスキャンする際に、眼球運動ならびに可能性があるサッケードおよびマイクロサッケードの滑らかな追尾を誘起することが予期された。ビデオは、スクリーンのサイズのおよそ1/8の面積を有する正方形アパーチャーで提示した(約16°の視角)。この正方形アパーチャーは、スクリーンの左上の隅から出発し、一定の速度で移動し、モニタの各縁部を横切るのに10秒を要した。1つの完全なサイクルは、40秒を要し、5つの完全なサイクルを合計200秒にわたって再生した。カウントダウンビデオを、ミュージックビデオが始まる前の10秒間、出発位置で再生して、オブザーバーが刺激に向くための時間を与えた。ミュージックビデオの200秒のみを分析に使用した。アイトラッカーは、500Hzで眼の位置をサンプリングし、200秒にわたって100,000サンプルの眼の位置を生じた。
軸配向。カメラおよびモニタは、カメラの「水平」がモニタの「水平」と同じであるように確実に取り付けた。したがって、用語「水平」および「垂直」は、頭部の傾きに関してではなく、モニタに関して定義される。しかし、頭部は、典型的には、モニタとともにアライメントされ、チンレストをすべての対照および患者の約半分に使用して、継続したアライメントを保証した。アイトラッカーは、瞳孔角度の変化を、アイトラッカーがxおよびyと標識した2つの直交成分に変換し、これらの成分はひいては、モニタおよびカメラのリンクした配向に起因して水平および垂直変化と呼ばれた。したがって、本発明者らも、水平および垂直成分をそれぞれxおよびyと呼ぶ。
データの前処理。空間較正はなく、したがって、未処理の経時変化の単位は、価値が限られていた。したがって、各オブザーバーについて、経時変化を、平均を減じ、標準偏差で除すことによって正規化した。これは、各経時変化について独立して行った。異なる経時変化を、同じ試験患者または神経学的にインタクトな対照からの別個のデータセットとして取り扱った。
経時変化。正規化されたxおよびy経時変化を時間にわたってプロットした(図1AおよびB)。視覚刺激の時計回りの移動を、水平変化と垂直変化との間で交互させた。神経学的にインタクトなオブザーバーにおけるxおよびy経時変化は、同じ交互を示す。
可視化:散布図。可視化のために、時系列全体の散布図を、200秒にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの直交成分を代表する100,000(x,y)の対をプロットすることにより作成した。神経学的にインタクトな対照では、これらの図は、ボックスのように見え、視覚刺激がスクリーンを動き回る際の視覚刺激のタイミングを反映する。
定量的データの分析および統計。xおよびy軌跡を、シヌソイド関数を用いてフィッティングした。視覚刺激の水平および垂直の動きの交互は、40秒の周期を有するがxおよびyについて異なる位相を有するおよそ正弦曲線である眼球運動軌跡をもたらすと考えられた。本発明者らは、(1)xとyの間の位相差は、神経学的にインタクトな対照について45度であり、水平および垂直の眼球運動の1/4サイクルの交互を反映するはずであり;(2)モデルは、神経学的にインタクトな対照オブザーバーからのデータに、それが患者群からのデータにフィットするより良好にフィットするはずであるとさらに仮定した。
正弦曲線との相関(r)の程度を経時変化1つずつについて計算した。この値の2乗(r2)は、データに対するモデルの適合度の尺度である。相関値を使用した。理由は、これらが統計分析により良好に適しているためである。本文全体にわたって、「モデルフィット」は、相関値(r)を指す。
位相は、データと最良にフィットした正弦関数の位相として計算した。8つの以下の相補的な手順を使用して、神経学的にインタクトな対照オブザーバーと試験患者オブザーバーとの間で比較した場合のこれらの2つの尺度(位相差およびモデルフィット)における任意の差異の統計的有意性を評価した。
(i)統計分析1:仮説検定。各尺度について、統計的検定を実施して、試験患者集団からのデータが神経学的にインタクトな対照集団からのデータと同じ根本的な分布に由来し得るか否かを判定した。位相の尺度については、対応のないt検定を使用した。正弦曲線フィットの尺度については、Kruskal−Wallis分散分析(ANOVA)を使用した。これは、正規分布していないデータについてより適切である。
(ii)統計分析2:フィッシャートランスフォーメーション。最良フィッティング正弦曲線との各経時変化についての相関(r)値を、フィッシャートランスフォーメーション((1/2)*ln((1+r)/(1−r))を使用してzスコアに変換した。この正規化は、分析の第3のステップを完了することを可能にする。
(iii)統計分析3:分類。フィッシャーzスコアは、経時変化の基礎をなす集団がゼロ平均相関(帰無仮説)を有する場合、所与の経時変化について特定の相関値を見る確率の推定をもたらした。帰無仮説は、正弦曲線によってよくフィットしなかった経時変化、例えば、障害のあるオブザーバーからの経時変化について真であると予期されるはずである。ゼロを有意に超えるzスコアを有する経時変化(例えば、刺激軌跡によくマッチした)は、障害のないオブザーバーに由来すると予期されるはずである。以下の結果において報告したように、z=2の閾値(アルファ=.05の有意水準に対応する)を使用してこの試験の特異性および感度を計算した。
結果
眼球運動は、神経学的にインタクトな対照オブザーバーの群にわたって高度に信頼でき、一貫していた()。
考察
未較正追跡は、刺激を凝視、注意、および追随する能力の定量的な尺度をもたらし得る。これらのデータは、各オブザーバーについて空間較正を最初に完了することなく、信頼できる高頻度眼球運動データを収集することが可能であることを実証する。多くの患者は、較正された視線追跡をすることができない。これらの集団における眼球運動を追跡する能力は、それだけに限らないが、脳傷害、脳卒中、および精神障害を含めた眼運動系を妨害する様々な障害についての新しい洞察をもたらす。可能性がある用途としては、臨床スクリーニング、診断、処置の有効性の監視、ならびに機能障害の進行および回復の追跡がある。
(実施例2)
方法および材料
対象。健康な対象を、IRB承認されたプロトコルに従って、大学環境でリクルートした。全ての他の対象は、本発明者らの神経外科的診療から直接リクルートした。IRBガイドラインに従って、全ての症例において前向きデータ収集のために、対象または彼らの法定代理人からインフォームドコンセントを取得した。
眼球運動追跡。対象の眼球運動を、Eyelink 1000両眼眼球追跡器(500Hzでのサンプリング、SR Research)を使用して記録した。健康な志願者は、スクリーンから55cmの場所に腰かけ、チンレストを使用して頭部を安定化した。刺激を、患者の眼から平均55cmの場所に提示し、提示モニタを、視線の方向を一致させるために調整した。対象は、チンレストを使用した。
患者を追跡するための革新。患者集団において眼筋運動を測定するために、2つの革新を提供した。第1は、刺激と生眼位データの解釈を可能にする分析ストリームとからなるパラダイムであった。ほとんど例外なく、眼球運動研究は、情報の喪失を含み、研究から多くの患者を排除する、変換された視線位置を分析する。瞳孔位置を直接見て、眼筋運動についての情報を得るための新規アルゴリズムを開発した。患者にもたらされ得るデバイスを提供した。ほとんど例外なく、眼球運動データは、変化しない場所に固定された眼球追跡器を使用して収集され、対照が追跡器のところまで移動し、それと共に椅子およびチンレストのセットアップを使用することを要求する。SR ResearchのEyelink 1000を、データの質を犠牲にすることなしに、場所および対象位置における柔軟性を可能にする新規モバイルシステムに適合させた。
視覚刺激。スクリーンの左上角から開始してコンピュータモニタの外縁に沿って時計回りに動くミュージックビデオを提供した。空間的較正は実施せず、角度での刺激のサイズが近似だけされ得るように、対象間で距離を変動させた。良好な空間的較正を伴い、スクリーンから55cmの場所に腰かけた健康な対象について、刺激を、およそ16度の面積(スクリーンのサイズのおよそ1/8)を有する正方形開口部中に提示した。ミュージックビデオが継続的に再生されるこの正方形開口部は、一定速度でスクリーンを横断して動き、モニタの各縁をカバーするのに10秒間かかった。フルサイクルは40秒間かかり、5回のフルサイクルを、合計200秒間にわたって再生した。ミュージックビデオが始まる前に10秒間にわたって開始位置でカウントダウンビデオを再生して、刺激に向かうための時間を全ての対象に提供した。200秒間の試験後さらに10秒間にわたって動画を継続して、境界効果がデータを汚染するのを回避した。各40秒間の5サイクルを含む200秒間のミュージックビデオだけを、全ての分析において使用した。500Hzの速度で、これは、200秒間にわたって100,000サンプルの眼位を得た。
データ分析:(1)可視化。個々の対象の眼筋運動が健康な対照の眼筋運動と異なるかどうかの鮮明な指標を提供した全試験からデータのスナップショットを創出するために、時系列全体の散布図を、1つの軸に沿った水平眼位および直交軸に沿った垂直眼位をプロットすることによって創出した。200秒間にわたり瞳孔反射の瞬間角の2つの成分(水平、垂直)を示す100,000対の値(x、y)をプロットした。健康な対照では、これらの図形は、視覚刺激がスクリーンを横断して動く場合、開口部が移動する軌跡を反映するボックスのように見える。これらの可視化により、生の眼球痕跡が、神経学的損傷の場合を除き、刺激の正方形の空間軌跡と整合したことが確認された。
データ分析:(2)時間対空間。空間的較正がないと、空間領域における誤差の正確な測定は不可能である。この問題を、空間領域ではなく時間領域において眼球運動軌跡を見ることによって回避した。周期的なエンベロープ(開口部の軌跡)を用いた常に変化する刺激(継続的に再生される動画)を使用することによって、相対的眼球運動を経時的に見ることができた。効果的なことに、開口部の通路にわたる各対象の平均軌跡は、それ自体の較正として機能した。
データ分析:(3)統計学。本発明者らの結果の統計的有意性を定量的に評価するために、対照集団におけるある特定の測定値の分布を決定し、各対象を、各尺度についてこれらの対照分布と比較した。刺激軌跡を、4つの時間成分に分割した:第1のアームは、各回転サイクルの最初の10秒間の5回の反復からなった(例えば、秒数1:10、41:50、81:90、121:130および161:170)。第2、第3および第4のアームをしかるべく規定した。2つの変数を評価した:各アームにおける相対的分散、および各アームの相対的完全性。相対的分散を、経時変化全体の分散によって除算されたアーム内の5回の反復にわたる平均分散として計算した。完全性を、各アームにおける欠測値のパーセントとして計算した。本発明者らは、これらの測定値に基づいて2つの試験を規定し、対照および患者において同じ試験を実施した。対照集団におけるこれらの試験の結果を使用して、対照分布を決定した。各患者についてのこれらの試験の結果を、適当な対照分布と比較し、信頼区間を以下のように規定した。
完全性。完全性の尺度について、アーム1(ボックスの上部)およびアーム3(ボックスの底部)からの各患者の値の対を、対照集団から計算された平均および標準偏差を使用してzスコア付けした。得られたスコアは、患者の値が、標準偏差の単位で対照値と比較してどれほど異なるかを示した。正規分布では全ての値の95%が平均の2標準偏差内に入るので、2のzスコアを、有意性の閾値として使用した。従って、いずれかまたは両方のアームにおいて、2を上回るzスコアを有する患者を、眼筋運動の有意な障害を有すると判断した。
相対的分散。相対的分散は比率であるので、zスコアを使用して分析することはできないが、この理由は、正規分布の仮説が比率に関して有効でないからである。その代わりに、5,000ポイントの分布を、45の対照値から交換でランダムに選択された25の値から5,000のサンプルを採取するブートストラッピング法を使用して生成した。各対象について、アーム1およびアーム3における相対的分散を、対応する対照分布とそれぞれ比較し、試験値の分散を下回る分散を有する対照分布のパーセントを決定した。0.05のp値(統計的有意性の広く受容された尺度)は、試験値を下回る対照値の95%に対応する。従って、対照分布中の値の95%よりも高い分散を有する対象を、眼筋運動の有意な障害を有すると決定した。
単位。相対的分散の単位は、視角の角度でのサイズに関するが、空間的較正は行わなかったので、視角の角度と正確に同一ではない。これらは、時間−角度単位とも呼ばれ得る。
結果
首尾よい追跡。健康な対照および患者に及ぶ眼球運動軌跡の可視化により、この方法が、伝統的な較正技法に頼ることなく、眼球運動を首尾よく測定したことが確認された。
対照分布。予測されるように、完全性の測定のための対照分布は、0.2の平均および0.05の平均標準偏差(5%偏差)で、正規分布した。相対的分散の対照分布は、0.25でピークに達した(4つのアームにわたる等しい分布を反映している)。
患者測定値。上記対照分布と比較した、標準偏差の単位での、各対象について軌跡の「上部」アーム対「底部」アームに関する完全性の尺度を計算した。脳神経麻痺または腫瘤効果を有する対象は、眼球痕跡ボックス軌跡の完全性において欠損を示した。圧迫またはうっ血乳頭のいずれかに起因する比較的程度の高い第II脳神経麻痺を有する対象は、走査する視覚に起因して引かれた垂直線を示した。
(実施例3)
材料および方法
患者の選択。対照対象は、施設内倫理委員会の方針に従ってリクルートされたベルビュー病院センターにおける職員、志願者、来院者、および患者であった。正常な対照対象についての組入基準は、年齢7〜100歳、両側性に20/500以内に修正可能な視覚、インタクトな眼球運動性、ならびに完全な眼科学的、医学的、および神経学的履歴、ならびに追跡前の24時間以内に摂取した薬剤/薬物/アルコールを提供する能力であった。親は、7〜17歳の小児ついて上記の詳細を確認するように求められた。除外基準は、斜視、二重視、脳神経III、IV、またはVIの麻痺、うっ血乳頭、視神経炎または脳神経IIに影響する他の公知の障害、黄斑浮腫、網膜変性症、認知症または認知機能障害、水頭症、サルコイドーシス、重症筋無力症、多発性硬化症または他の脱髄疾患、および活動性てんかんまたは急性てんかん、脳卒中/出血または入院をもたらすのに十分に重大な脳傷害の履歴であった。先の週以内に意識消失にかかわらずいずれかの軽微な脳傷害を報告する対象も除外した。
追加の対象を、やはり施設内倫理委員会の方針に従って神経眼科業務からリクルートした。これらの対象は、特に脳神経III、IV、およびVIの公知の麻痺、または他の特定の眼の病理を有していたので参加のために選択した。
視覚刺激。各対象の眼球運動を、220秒の時間にわたってコンピュータモニタから55cmの固定距離で、Eyelink1000アイトラッカーを用いて記録した。固定トラッカーについては、対象を、調節可能な高さのチンレストを使用して、調節可能な高さの椅子に着席させた。ポータブルトラッカー対象を、高さ調節可能なまたは高さ固定の椅子に着席させ、モニタの高さを対象に対して調節した。ポータブルトラッカーのチンレストは、モニタに取り付け、一方、固定トラッカーのチンレストは、コンピュータモニタと同じテーブルに取り付けた。視覚刺激は、ミュージックビデオShakiraのWaka−Waka、K’naanのWavin’Flag、またはLittle MermaidからのUnder the Seaという歌であった。ビデオは、スクリーンサイズのおよそ1/8の面積を有する正方形アパーチャー内で、それぞれ40秒の5つの完全なサイクルにわたってモニタの外側縁部に沿って時計回りに移動させながら連続的に再生した。各データセットの最初と最後の10秒を廃棄して、200秒のデータを得た。求心性刺激を両眼に提示し、視線追跡を両眼で実施した。経時的に各瞳孔位置の独立した分析を可能にするために、対象をトラッカーに対して空間的に較正しなかった。
別個の実施例では、対象を、自然な目視の刺激を使用する注視共同性について評価した。これは、眼球運動が経時的に追跡されている際にテレビを観ていることからなった。対象は、モニタから固定された距離で着席していなかったが、目視している間に自分の頭部を動かすことができた。
データ分析。眼球追跡器は、500Hzで瞳孔位置をサンプリングして、200秒間にわたって100,000サンプルを得た。時系列全体の散布図を、瞳孔反射の瞬間角の2つの直交成分を示す100,000の(x、y)対を経時的にプロットすることによって創出して、瞳孔運動の時間的性質を反映した「ボックス軌跡」を創出した。対照対象では、これらの図形は、視覚刺激がスクリーンの周囲を動いた際の開口部のタイミングを反映して、ボックスのように見える。
注視共同性の分析。対象の一方の眼の運動の対象の他方の眼との比較を、任意の時点tにおけるx、yデカルト座標を比較することによって実施した。例えば、右眼のx座標から左眼のx座標を減じ、または逆の場合も同様にすることによって。また、右眼のy座標から左眼のy座標を減じ、または逆の場合も同様にすることによって。試験した時間にわたるx座標のすべての間の差異の和は、瞳孔の水平運動に関して情報を与える。経時的なy座標の差異の和は、瞳孔の垂直運動に関して情報を与える。試験した時間にわたるxおよびy座標の両方の間の差異の総和を、注視の総非共同性の尺度を得るために、または以下のような式で表される5つのアイボックス軌跡サイクルの平均として、合計することができる:
式中、Xijkは、瞳孔のx座標を指し、kは、対象の左眼または右眼を指す。対象のデータが5つのサイクル中の任意の所与の時点で欠損していた場合では、式の分母は、データが存在したサイクルの数であった。次いで、左眼および右眼について、xおよびyの位置の差異を算出することができる。次いで差異のこのベクトルを、評価および解釈の目的のためにグラフでプロットすることができる。瞳孔の非共同のレベルを表す単一の測定基準を有するために、データの分散を、ゼロの予期される平均に関して算出することができる。コードは、健康な対象がそれぞれの眼の間で、ゼロの垂直または水平の瞳孔位置の差異を有すると仮定するので、これは有意である。水平(x)または垂直(xの代わりにyを用いる)運動の分散は、以下のように算出することができる:
水平および垂直面の両方における全分散は、以下のように算出することができる:
対象に存在する非共同の量を評価するために、X、Yの分散および全分散をプロットすることができる。
統計分析
統計を、Rを使用して評価した。眼球運動の共同性対年齢:正常な対象は、年齢によってインパクトを受けない共同性眼球運動を実証した。全分散と年齢との間の線形回帰を計算した。線形回帰t検定を使用して、回帰線の勾配が0と統計的に有意に異なるかを判定した。
性別間で比較した眼球運動の共同性:ウェルチ二標本t検定を使用して、男性の全分散の平均と女性の全分散の平均との真の差異が0と統計的に有意に異なるかを判定した。
X(水平眼球運動)対Y(垂直眼球運動)共同性:対応のあるt検定を使用して、全x分散と全y分散との間の対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。
固定トラッカー、および固定トラッカーからポータブルトラッカーに対する検定−再検定:対応のあるt検定を使用して、2つの別個の視線追跡セッションについての全分散の間の対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。
結果
7〜75歳(平均34.3±15.7、中央値28.2;51.2%女性)の125人のユニークな対象を、彼らの過去の医療歴(表1)、過去の眼科歴(表2)、および最後の24時間に摂取した薬剤、アルコール、または依存性薬物(表3)に関して調査した。結果は、多くの対象が先の医療歴および眼科歴、ならびに薬剤使用を開示したことを示した。
正常な対象は、年齢によってインパクトを受けない共同性眼球運動を実証した(図7)。線形回帰t検定を使用して、全分散と年齢との間の関係の勾配が0と統計的に有意に異なる回帰線を生じたか否かを判定した。検定は、−0.523のt統計値および0.6017のp値をもたらし、回帰線の勾配が0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。したがって、7〜75歳の範囲の対象集団において、年齢に伴った眼球運動の共同性の変化はなかった。
対照集団における単一の最大の異常値(.8214の共同性)は、補正コンタクトレンズを装着し、注意欠陥および多動性障害のためにアデラール(adderal)を服用する23歳の男子学生であった。この対象は、繰り返しの追跡を受け、それは、非共同性のままであった(.2600)が、以前より低かった。2番目に大きい異常値(共同性 .486)は、あらゆる眼科歴または医療歴、および先の24時間内のアルコールまたは薬物の使用を否定した39歳の男性の病院職員であった。これらの対象の両方において、X共同性は、統計的な異常値ではなく、y座標のみが非共同性であった。
正常な対象は、性別によってインパクトを受けない共同性眼球運動を実証した(図8)。68.49の自由度を用いたウェルチ二標本t検定は、0.6734のt統計値および0.5029のp値をもたらし、平均の差異が0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
正常な対象は、垂直眼球運動より統計的に高度に有意に共同性である水平眼球運動を実証した(図9)。対応のあるt検定を使用して、全x分散と全y分散との間の対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。124の自由度を用いて、検定は、−3.0263のt統計値および0.003011のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均が、0と統計的に高度に有意に異なったことを示した。具体的には、特定の対象について、x分散がy分散より統計的に有意に低いことが示された。
対象(n=27)は、固定トラッカーでの2つの別個の視線追跡セッション間で高い検定−再検定信頼性を実証した(図10)。対応のあるt検定を使用して、2つの別個の視線追跡セッションについての全分散の間の対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異なるかを判定した。26の自由度を用いて、検定は、1.2778のt統計値および0.2126のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
対象(n=24)は、固定トラッカーおよびポータブルトラッカーでの別個の視線追跡セッション間で高い検定−再検定信頼性を実証した(図11)。23の自由度を用いた対応のあるt検定(n=24)は、1.3661のt統計値および0.1851のp値をもたらし、対象を対応させた差異の平均が0と統計的に有意に異ならなかったことを示した。
図1は、既知の(はっきりした)神経眼科異常性と比較して正常である対象の視線追跡軌跡を表す。
(実施例4)
材料および方法。
対象の4つの群を以下のように選択した:
(1)出血(硬膜下、硬膜外、くも膜下、または実質内)、脳挫傷、または頭蓋骨折の存在を実証するCTスキャンによって立証される軽度から中等度の構造的外傷性脳傷害(TBI)を有する対象。
(2)対象がイメージングで構造的傷害の徴候を示さないが、通常の脳傷害症状、例えば、頭痛、眩暈、認知機能障害などを訴えることを意味する、非構造的TBI対象(軽度TBI/脳振盪)。軽度外傷性脳傷害を有する対象は、以下のうちの少なくとも1つによって明らかにされる脳機能の外傷により誘導された生理的混乱を有していた人である:
a.任意の期間の意識消失(LOC)。
b.事故の直前または直後のイベントについての任意の記憶喪失。
c.事故の時点での精神状態の任意の変化(すなわち、放心状態の、失見当識の、または混乱した感覚)。
d.一過性である場合もそうでない場合もあるが、傷害の重症度が以下を超えない局所的な神経学的欠損(複数可):
1.)およそ30分またはそれ未満の意識消失
2.)30分後、13〜15の初期のグラスゴーコーマスケール(GCS)
3.)24時間を超えない外傷後健忘(PTA)。
(3)四肢またはボディの他の部分などへの何らかのタイプの傷害を被っている脳を負傷していない対象。対象は、体または四肢などへの鈍いまたは鋭的外傷を受けている(すなわち、自動車事故、転倒、対人暴力を除く暴力行為)。
(4)健康な負傷していない対照対象は、インタクトな眼球運動性、ならびに完全な眼科学的、医学的、および神経学的履歴、ならびに追跡前の24時間以内に摂取した薬剤/薬物/アルコールを提供する能力を有する職員、志願者、来院者、および患者であった。除外基準には、先の月以内に意識消失にかかわらずいずれかの軽微な脳傷害を含めた。
組入基準。すべての患者は、ベルビュー病院救急サービス(緊急治療室およびトラウマベイ)、外傷サービス、ならびに神経外科サービスからリクルートした。彼らは、参加することに同意でき(consentable)、参加することができ/参加する意思があり、上述した3つの対象集団(構造的TBI、非構造的TBI、負傷した/非TBI)の1つに分配するための基準を満たす、18から60の年齢の間であった。
除外基準。十分な後遺症をもたらすのに不十分に外傷を負った軽微な外傷を受けた対象を除外した。任意の医学的、外科的、または血行動態的不安定性をもたらすやけど、無酸素傷害または複数の/広範な傷害を被っている対象も除外した。視線追跡の目的のために特に、盲目(光覚なし)であった、眼を欠損していた、および眼を開いていなかったすべての対象を研究から除外した。視線追跡データが有効で有意であるために対象が光を検出することができ、両方の眼を有することが適切である。タスクの完了を困難にする任意の身体的もしくは精神的傷害、またはベースライン身体障害や、長期のケアに参加することができないこと、明白な中毒もしくは0.2超の血中アルコールレベルも除外した。妊娠中の個体および受刑者も試験から除外した。斜視、二重視、脳神経III、IV、またはVIの麻痺、うっ血乳頭、視神経炎または脳神経IIに影響する他の公知の障害、黄斑浮腫、網膜変性症、認知症または認知機能障害、水頭症、サルコイドーシス、重症筋無力症、多発性硬化症または他の脱髄疾患、および活動性てんかんまたは急性てんかん、脳卒中/出血または入院をもたらすのに十分に重大な先の脳傷害の履歴を有する対象も除外した。
対象は、彼らが傷害を受けた後可能な限りすぐに、次いで回復中の一定間隔(1週間および1カ月)に視線追跡、およびSCAT3でバリデートされる脳振盪転帰評価を受けた。
視線追跡
ポータブル両眼眼球運動トラッカーを、ローリングカートに調節可能なアームを取り付けることによって構築した。コンピュータモニタは、アームの近位部分に取り付け、チンレストは、チンレストがモニタから55cm離れた対象の眼を中心に置くようにアームの遠位面に取り付けた。
視覚刺激。対象の眼球運動を、220秒の時間にわたってEyelink1000アイトラッカーを用いて記録した。ポータブルトラッカー対象を、高さ調節可能なまたは高さ固定の椅子またはベッドに着席させ、モニタの高さを対象に対して調節した。視覚刺激は、ミュージックビデオShakiraのWaka−Waka、K’naanのWavin’Flag、Mission KashmirのBhumbroo、またはMichael JacksonのMan in the Mirrorであった。ビデオは、スクリーン面積のおよそ1/9の面積を有する正方形アパーチャー内で、それぞれ40秒の5つの完全なサイクルにわたってモニタの外側縁部に沿って時計回りに移動させながら連続的に再生した。各データセットの最初と最後の10秒を廃棄して、200秒のデータを得た。求心性刺激を両眼に提示し、視線追跡を両眼で実施した。経時的に各瞳孔位置の独立した分析を可能にするために、対象をトラッカーに対して空間的に較正しなかった。
データ分析。眼球追跡器は、500Hzで瞳孔位置をサンプリングして、200秒間にわたって100,000サンプルを得た。時系列全体の散布図を、瞳孔反射の瞬間角の2つの直交成分を示す100,000の(x、y)対を経時的にプロットすることによって創出して、瞳孔運動の時間的性質を反映した「ボックス軌跡」を創出した。対照対象では、これらの図形は、視覚刺激がスクリーンの周囲を動いた際の開口部のタイミングを反映して、ボックスのように見える。
測定基準:それぞれの個々の眼の移動、および眼同士間の共同性の移動を見て、対象1人当たり51個の視線追跡パラメータを測定した。すべてのデータを、XLSTATバージョン2012.6.02(Addinsoft SARL、Paris、フランス)およびMedCalcバージョン12.6.1(MedCalc Software、Ostend、ベルギー)を使用して分析した。≦0.05のp値を統計的に有意と見なした。
視線追跡を、46人の患者および31人の対照で実施した。患者を、4つの群(+CT n=13、−CT n=23、体の傷害 n=10、および健康な対照)の1つに割り当てた。視線追跡パラメータを、クラスカル−ワリス検定を使用して4つの群の中で比較し、複数のペアワイズを、Steel−Dwass−Critchlow−Fligner手順を使用して実施し、対照に対して個々の群を比較した。
スポーツ脳振盪評価ツール(SCAT)を施し、脳振盪の標準化された評価(SAC)スコアを、37人の対象に対して得た。段階的な複数の回帰分析を実施して、SCATおよびSACスコアに対する各視線追跡パラメータのインパクトを評価した。>0.1のp値を有するパラメータをモデルから除去した。
結果
表4は、51個の測定したパラメータのそれぞれについての群平均を提供する。
表5は、p値を提供する。51個の測定したパラメータのうち10個が、陰性対照(健康な正常な人または肉体的に負傷したが脳を負傷していない対照)と陽性対照(構造的に脳を負傷した)および非構造的に脳を負傷した人の両方との間に統計的に有意な差異を実証した。8個の追加のパラメータが、陰性対照(健康な正常な人および肉体的に負傷した外傷患者)と構造的または非構造的脳傷害を有する患者との間に統計的に有意な差異を示した。視線追跡尺度のうちの10個は、SCATまたはSACスコア間の統計的に有意な相関を示し、これらの視線追跡パラメータが有効な臨床転帰尺度と相関することを示唆した。
これらのデータは、構造的および非構造的脳傷害の程度を検出および定量化するためのこれらの数学アルゴリズムの有用性を実証する。

Claims (19)

  1. 対象における眼球運動を追跡するためのデバイスと、前記デバイスによって追跡された眼球運動のデータを分析するための1つまたは複数の手段とを含む、対象における中枢神経系病変を位置特定するためのシステムの作動方法であって、
    (a)前記デバイスが、前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
    (b)前記1つまたは複数の手段が、前記対象の第1の眼の前記眼球運動を前記対象の第2の眼の前記眼球運動と比較するステップと;
    (c)前記1つまたは複数の手段が、前記対象を、前記第2の眼の前記眼球運動と有意に異なる前記第1の眼の前記眼球運動を有すると同定するステップと;
    (d)前記1つまたは複数の手段が、前記中枢神経系病変を位置特定するステップであって、前記中枢神経系病変が、前記第1の眼と前記第2の眼との間の眼球運動の有意な相違によって示される、ステップと
    を含む、方法。
  2. 眼の位置の少なくとも100,000サンプルが得られる、請求項1に記載の方法。
  3. 眼球運動が、視覚刺激に応答して追跡される、請求項1に記載の方法。
  4. 眼球運動が、30〜500秒の期間にわたって追跡される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって実施される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、視覚刺激によって進められる軌跡を反映するボックスに実質的に類似している図を作成することによって実施される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップが、正常者の釣鐘曲線から離れた非共同性尺度を有する対象を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 対象における眼球運動を追跡するためのデバイスと、前記デバイスによって追跡された眼球運動のデータを分析するための1つまたは複数の手段とを含む、対象における中枢神経系病変を診断するためのシステムの作動方法であって、
    a)前記デバイスが、前記対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
    b)前記1つまたは複数の手段が、前記対象の第1の眼の前記眼球運動を前記対象の第2の眼の前記眼球運動と比較するステップと;
    c)前記1つまたは複数の手段が、前記対象を、前記第2の眼の前記眼球運動と有意に異なる前記第1の眼の前記眼球運動を有すると同定するステップと
    を含む、方法。
  9. 眼の位置の少なくとも100,000サンプルが得られる、請求項8に記載の方法。
  10. 眼球運動が、視覚刺激に応答して追跡される、請求項8に記載の方法。
  11. 眼球運動が、30〜500秒の期間にわたって追跡される、請求項8に記載の方法。
  12. 前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって実施される、請求項8に記載の方法。
  13. 前記対象の第1の眼の眼球運動を前記対象の第2の眼の眼球運動と比較するステップが、視覚刺激によって進められる軌跡を反映するボックスに実質的に類似している図を作成することによって実施される、請求項8に記載の方法。
  14. 前記対象を、第2の眼の眼球運動と有意に異なる第1の眼の眼球運動を有すると同定するステップが、2超のzスコアを有する対象を同定することを含む、請求項8に記載の方法。
  15. 対象における眼球運動を追跡するためのデバイスと、追跡された眼球運動のデータを分析するための1つまたは複数の手段とを含む、頭蓋内圧の増大を特徴として備える疾患または状態を検出し、診断し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするためのシステムの作動方法であって、
    a)前記デバイスが、対象の両方の眼の眼球運動を追跡するステップと;
    b)前記1つまたは複数の手段が、前記対象の第1の眼の前記眼球運動を前記対象の第2の眼の前記眼球運動と比較するステップと;
    c)前記1つまたは複数の手段が、前記対象を、前記第2の眼の前記眼球運動と有意に異なる前記第1の眼の前記眼球運動を有すると同定するステップと
    を含む、方法。
  16. 頭蓋内圧の増大を特徴として備える前記疾患または状態が、外傷、脳血管発作(CVA)、動脈瘤、血管病変、腫瘍、感染過程、炎症疾患、静脈排出路の混乱、偽腫瘍、水頭症または特発性からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 対象における中枢神経系病変を診断または位置特定するために自己に記憶された指示を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
    a)前記対象の眼球運動に関係するデータを受け取るステップと;
    b)ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって、前記対象の第1の眼の眼球運動データを前記対象の第2の眼の眼球運動データと比較するステップと;
    c)前記対象を、前記第2の眼の前記眼球運動と有意に異なる前記第1の眼の前記眼球運動を有すると同定するステップと
    を実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
  18. 対象の注視の共同性を評価することによって、前記対象における注視の非共同性を特徴として備える疾患または状態を検出し、診断し、その進行を監視し、またはそれについてスクリーニングするために自己に記憶された指示を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
    a)前記対象の両方の眼の眼球運動に関係するデータを受け取るステップと;
    b)ある時間にわたる瞳孔反射の瞬時角度の2つの成分(水平、垂直)を表す(x,y)値の対を生成およびプロットすることによって、前記対象の第1の眼の眼球運動データを前記対象の第2の眼の眼球運動データと比較するステップと;
    c)前記対象を、前記第2の眼の前記眼球運動と有意に異なる前記第1の眼の前記眼球運動を有すると同定するステップと
    を実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
  19. 対象の注視の共同性を評価するために自己に記憶された指示を有する請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指示は、ハードウェアプロセッサによって実行されるとき、
    a)前記対象の第1の眼の前記眼球運動についての任意の時点におけるxまたはyデカルト座標を、前記対象の第2の眼の前記眼球運動についての前記時点におけるそれぞれのxまたはyデカルト座標と比較するステップと;
    b)試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼の前記x座標のすべての間の差異の和を提供するステップ、もしくは前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のy座標の差異の和を提供するステップ、または両方と;任意選択で
    c)前記試験した時間にわたる前記第2の眼と比較した前記第1の眼のxおよびy座標の両方の間の差異の総和を提供するステップと
    をさらに実施する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
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