JP6676405B2 - 磁性素子 - Google Patents

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本発明は、磁性体の周囲にコイルを巻回した磁性素子であって、インダクタ、トランス、アンテナ(バーアンテナ)、チョークコイル、フィルタ、センサ等として電気機器あるいは電子機器に使用される磁性素子に関する。特に、コイルが封止樹脂により封止され、そのコイル周囲が磁性体で囲まれたポット形インダクタに関する。
近年、電気・電子機器の高周波数化、大電流化が進む中で、磁性素子にも同様の対応が求められている。磁性素子を構成する磁性体の形状には、トロイダル形磁性体、E形およびI形と組み合わせた磁性体、U形を組み合わせた磁性体の他、ポット形やドラム形の磁性体が多用されている。
磁性粉末を使用してバリエーションのある形状や特性を有する小型で安価な磁性体の製造方法を提供するものとして特許文献1が提案されている。特許文献1では、射出成形に用いる樹脂組成物に含まれる磁性粉末を絶縁材で被覆し、圧縮成形磁性体および圧粉磁石成形体のいずれかを上記樹脂組成物中にインサート成形し、圧縮成形磁性体あるいは圧粉磁石成形体が射出成形温度よりも低い融点を持つ結着剤を含有する、所定の磁気特性を有する磁性体を射出成形により製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
磁性体の形状の中で、E形磁性体は、巻線のしやすさ、ギャップ等による磁性素子としての特性の調整が容易である。これに対して、ポット形磁性体を用いた磁性素子は、より小型化が可能であり、騒音の発生源となるコイル部分も磁性体の内部に設けられることから静粛性にも優れる。また磁性素子としてのインダクタ表面が磁性体で覆われていることから、ポット形インダクタはインダクタ外部への磁束漏れも低減できる。
ポット形インダクタは、軟磁性材の磁性体とコイルで構成されており、必要に応じてボビンや絶縁ケースを用いる。ポット形インダクタに用いられる磁性体は、コイル内径部に配置される芯磁性体と、コイルを覆う外周磁性体で構成され、外周磁性体にはコイル端子取り出し口が少なくとも1か所以上設けられる。
特許第4763609号公報
ポット形インダクタは、主な発熱源の1つであるコイルがインダクタに内包されることから、コイルの発熱温度を低減するための冷却がE形磁性体を用いたインダクタよりもより重要になる。そのため、ポット形インダクタでは、内包されるコイルの放熱性を向上させるためにコイルと磁性体間の隙間、いわゆるコア内部空間を封止樹脂等で封止する。
しかしながら、コイルを外周磁性体内部に収容した後、コイルの電気絶縁性や放熱性の向上を目的として、外周コア部外周面に設けられたコイル端子引き出し口から封止樹脂を充填するとき、その充填作業性が悪くなる場合がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、ポット形のインダクタ等のようにコイルを磁性体で覆う形状の磁性素子において、封止樹脂の充填作業性に優れる磁性素子の提供を目的とする。
本発明の磁性素子は、芯磁性体の周囲に巻線を巻回してなるコイルと、該コイルが内部に配置された外周磁性体とを備えた磁性素子であり、上記コイルが封止樹脂により封止されている。磁性素子を構成する芯磁性体および外周磁性体の少なくとも1つの磁性体は、上記コイルと対向する面に、上記封止樹脂を充填するときの樹脂流れを制御する流れ制御路が設けられていることを特徴とする。特に、この流れ制御路は、上記コイルに対して、コイル軸方向および円周方向の少なくとも1つの方向に沿った凹凸部であることを特徴する。また、上記凹凸部が断面三角形状であることを特徴とする。さらに、本発明の磁性素子は、上記流れ制御路の一部に空気だまりを設けたことを特徴する。
本発明の磁性素子は、芯磁性体および外周磁性体の少なくとも1つの磁性体がコイルと対向する面に、封止樹脂を充填するときの樹脂流れ制御路が設けられているので、封止樹脂を充填するときの樹脂流れ性が向上する。その結果、充填作業性が向上する。また、充填作業時に封止樹脂に発生するボイドを低減し、磁性素子としての放熱性および電気絶縁性を向上できる。
上記樹脂流れ制御路がコイルに対して軸方向および円周方向の少なくとも1つの方向に沿った凹凸部であるので、凹凸部の深さや溝等の断面積を大きくすることで封止樹脂の充填を速めることができる。また、断面形状を三角形状の溝とすることで、対向するコイル表面との間にできる隙間が狭まっていくことから、封止材の表面張力による引き込み効果により細部まで樹脂封止しやすくなる。
上記樹脂流れ制御路の一部に空気だまりを設けたので、封止樹脂の充填時に発生しやすいボイドが封止樹脂内に分散することを抑制できる。その結果、ポット形インダクタに内包されるコイルの放熱性を向上できる。
ポット形インダクタの一例である。 封止樹脂を充填する前のポット型インダクタの例である。 流れ制御路および空気だまりが設けられたポット形磁性体である。 ポット形ハイブリッドインダクタの一例である。
ポット形磁性素子は、コイル内径部に配置される芯磁性体と、コイルを覆う外周磁性体で構成され、コイルによって生じる磁束をこれら芯磁性体および外周磁性体に閉じ込める閉磁路構造が形成されている。コイルの電気絶縁性や放熱性の向上を目的として、コイルは封止樹脂により封止されている。封止する樹脂の流動性や、磁性体またはコイルを形成するエナメル線の絶縁被膜との相性、磁性体−コイル間のクリアランスなどによって封止樹脂の充填に時間がかかる場合があり、樹脂封止の作業性が悪くなる。また、封入時に発生したボイドを除去する工程が長くなる場合があり、この場合にも樹脂封止の作業性が悪くなる。しかしながら、コイルと対向する面に、封止樹脂を充填するときの樹脂流れを制御する流れ制御路を設けることで、樹脂封止の作業性を向上することができた。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の磁性素子はポット形磁性素子である。この磁性素子は、(1)コイルを覆うように磁路を設けるため漏れ磁束を小さくできる、(2)コイル内径側の磁性体の半径に比べてコイル外径側の磁性体の肉厚が薄くなるため、磁性体の形状を小さくできる、(3)コイルを封止樹脂により封止することによりコイルの電気絶縁性や放熱性の向上が図れる等の利点がある。
本発明の磁性素子の一例を図1に示す。図1(a)はポット形インダクタの斜視図であり、図1(b)はA−A方向断面図であり、図1(c)はB−B方向断面図である。
図1に示すように、このインダクタ1は、巻線を巻回してなるコイル3と、コイル3が内部に配置され、該コイル3によって生じる磁束を通す磁性体2とを備えている。磁性体2はコイル3の略全体を覆う形で配置され、コイル3は封止樹脂4により封止されている。磁性体2は、その周囲に巻線が巻回されている芯磁性体2aと、コイル3の外周を覆っている外周磁性体2bとから構成されている。芯磁性体2aおよび外周磁性体2bは、図1に示すように、単一の磁性体として形成することができ、その場合コイル内径側が芯磁性体2aとなり、コイル外径側およびコイル上下側が外周磁性体2bとなる。
芯磁性体2aおよび外周磁性体2bがコイル3と対向する面に、封止樹脂4を充填するときの樹脂流れを制御する流れ制御路6が設けられている。この流れ制御路6は、芯磁性体2aおよび外周磁性体2bがコイル3と対向する面であれば、芯磁性体2aおよび外周磁性体2bの両方、またはいずれか一方に設けることができる。また、これら磁性体2は軸方向長さの中間線5で、図面上、上部磁性体21および下部磁性体22とに2分割形状とされており、これら分割体の結合体である。この2分割された磁性体21および磁性体22は同形状であり、1つの金型での製造が可能である。
封止樹脂4を充填する前の断面形状を図2に示す。図2(a)は封止樹脂を充填する前のポット形インダクタの斜視図であり、図2(b)はA−A方向断面図であり、図2(c)はB−B方向断面図である。
磁性体2は、芯磁性体2aがコイル3と対向する面側に流れ制御路6aおよび外周磁性体2bがコイル3と対向する面側に流れ制御路6bが封止樹脂を充填するときの樹脂流れを制御する流れ制御路6として設けられている。また、流れ制御路6は、その一部が空気だまり7となる。流れ制御路6の一部が空気だまり7となることで、ボイドが封止樹脂内に分散することを抑制できる。
流れ制御路6および空気だまり7が設けられている磁性体2の斜視図を図3に示す。図3(a)はポット形磁性体の中央付近に設けた円周溝を設けた例であり、図3(b)は円周溝に加えて軸方向溝を設けた例である。
流れ制御路6および空気だまり7として以下の(1)〜(6)の形態が挙げられる。
(1)外周磁性体2bがコイル3と当接する内径側の面2cに設けられ、外周磁性体2bの軸方向中央部および上下部の円周方向に設けられる溝61。
(2)外周磁性体2bがコイル3と当接する内径側の面2cに設けられ、外周磁性体2bの軸方向に設けられる溝62。
(3)外周磁性体2bがコイル3と当接する内径側の面2cに設けられ、外周磁性体2bの円周方向の一部に生じる空気だまり(図示を省略)。
(4)芯磁性体2aがコイル3と当接する外径側の面2dに設けられ、芯磁性体2aの軸方向中央部および上下部の円周方向に設けられる溝63。
(5)芯磁性体2aがコイル3と当接する外径側の面2dに設けられ、芯磁性体2aの軸方向に設けられる溝64。
(6)芯磁性体2aがコイル3と当接する外径側の面2dに設けられ、芯磁性体2aの円周方向の隅部に設けられる空気だまり(図示を省略)。
封止樹脂を充填するときの流れ制御路6の流れ方向断面形状は、コイルの軸方向および/または円周方向に沿った凹凸形状であれば、特に制限を受けるものではないが、矩形よりも半円形や三角形状が好ましい。特に三角形状の溝はコイル表面との間にできる隙間が狭まっていくことから、封止材の表面張力による引き込み効果により細部まで樹脂封止しやすくなるため好ましい。
樹脂封止のしやすさは、流れ制御路6の流れ方向断面形状により制御可能である。例えば、上述した溝の断面積が大きいほど封止樹脂の侵入を速めることができる。また断面積が同じ場合は、溝の断面形状のうち封止樹脂が接触する辺の総長さが小さいほど速めることができる。
また、溝の断面形状と共に、溝凸部の頂部とコイル間の隙間を調整することで、封止樹脂充填時の流れを制御することができる。
本発明の磁性素子の他の例を図4に示す。図4(a)はポット形ハイブリッドインダクタの斜視図であり、図4(b)はC−C方向断面図でる。
電気・電子機器の高周波数化、大電流化において、現在主流の圧縮成形法で得られるフェライト材料を用いた磁性素子は透磁率が優れており、インダクタンス値を得やすいが周波数特性や重畳電流特性に劣る。一方、アモルファス材料を含有する射出成形磁性材料を用いた磁性素子は、周波数特性や重畳電流特性に優れているが、透磁率が低い。また、大電流用の磁性素子は銅損による発熱に加えて、鉄損による発熱を無視できない。そこで、本発明の磁性素子の好ましい形態では、樹脂流れ制御路を設けるとともに、発熱しやすい個所または放熱しにくい個所であるコイル内径側の磁性体2eを熱伝導性に優れた圧縮成形磁性体(一部を外部に露出させる)とし、コイル外径側の磁性体2fを射出成形磁性体としたポット形ハイブリッドインダクタ1aとすることで、発熱を抑制し放熱性に優れた構造を実現できる。
本発明で使用できる圧縮成形磁性体は、例えば、鉄粉、窒化鉄粉等の純鉄系軟磁性材料、Fe−Si−Al合金(センダスト)粉末、スーパーセンダスト粉末、Ni−Fe合金(パーマロイ)粉末、Co−Fe合金粉末、Fe−Si−B系合金粉末等の鉄基合金系軟磁性材料、フェライト系磁性材料、アモルファス系磁性材料、微細結晶材料などの磁性材料を原料とできる。
フェライト系磁性材料としては、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト、磁鉄鉱等のスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の六方晶フェライト、イットリウム鉄ガーネットなどのガーネットフェライトが挙げられる。これらフェライト系磁性材料の中でも透磁率が高く、高周波数領域での渦電流損失が小さい軟磁性フェライトであるスピネルフェライトが好ましい。また、アモルファス系磁性材料としては、鉄合金系、コバルト合金系、ニッケル合金系、これらの混合合金系アモルファスなどが挙げられる。
原料となる軟磁性金属粉末材料の粒子表面に絶縁被覆を形成する酸化物としては、Al23、Y23、MgO、ZrO2等の絶縁性金属または半金属の酸化物、ガラス、これらの混合物が挙げられる。絶縁被覆の形成方法としては、メカノフュージョン等の粉末コーティング法や、無電解メッキやゾル−ゲル法等の湿式薄膜作製法、またはスパッタリング等の乾式薄膜作製法等を用いることができる。
圧縮成形磁性体は、粒子表面に絶縁被覆が形成された上記原料粉末単体、または上記原料粉末にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が配合された粉末を加圧成形して圧粉体とし、この圧粉体を焼成して製造できる。原料粉末の割合は、原料粉末と熱硬化性樹脂との合計量を100質量%として、96〜100質量%であることが好ましい。96質量%未満であると、原料粉末の配合割合が低下し、磁束密度や透磁率が低下するおそれがある。
原料粉末の平均粒子径は1〜150μmであることが好ましい。より好ましくは5〜100μmである。平均粒子径が1μmよりも小さくなると、加圧成形時の圧縮性(粉末の固まり易さを示す尺度)が低下し、焼成後の材料強度が著しく低下する。平均粒子径が150μmよりも大きくなると、高周波数領域での鉄損が大きくなり、磁気特性(周波数特性)が低下する。
圧縮成形は、上記原料粉末を金型内に充填し、所定の加圧力でプレス成形する方法を用いることができる。この圧粉体を焼成して焼成体を得る。なお、原料に非晶質合金粉末を用いる場合には、焼成温度を非晶質合金の結晶化開始温度より低温とする必要がある。また、熱硬化性樹脂が配合された粉末を用いる場合には、焼成温度を樹脂の硬化温度範囲とする必要がある。
本発明で使用できる射出成形磁性体は、上記圧縮成形磁性体の原料粉末に結着樹脂を配合して、この混合物を射出成形することにより得られる。射出成形がしやすいこと、射出成形後の形状維持が容易であること、複合磁性体の磁気特性に優れること等から、磁性粉末がアモルファス金属粉末であることが好ましい。アモルファス金属粉末は上述した鉄合金系、コバルト合金系、ニッケル合金系、これらの混合合金系アモルファスなどを使用できる。これらアモルファス金属粉末表面に上述した絶縁被覆が形成されている。
結着樹脂としては、射出成形が可能な熱可塑性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフタールアミド、ポリアミド、これらの混合物が挙げられる。これらの中で、アモルファス金属粉末に混合したときの射出成形時の流動性に優れ、射出成形後の成形体の表面を樹脂層で覆うことができると共に、耐熱性などに優れるポリフェニレンサルファイド(PPS)がより好ましい。
原料粉末の割合は、原料粉末と熱可塑性樹脂との合計量を100質量%として、80〜95質量%であることが好ましい。80質量%未満であると磁気特性が得られず、95質量%をこえると射出成形性に劣るおそれがある。
射出成形は、例えば可動型および固定型が衝合された金型内に上記原料粉末を射出して成形する方法を用いることができる。射出成形条件としては熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)の場合、樹脂温度が290〜350℃、金型温度が100〜150℃であることが好ましい。
圧縮成形磁性体および射出成形磁性体は、上述した方法によりそれぞれ別々に作製して相互に結合される。それぞれの形状は、磁性体を分割して組み立て易い形状であると共に、圧縮成形、射出成形に適した形状とする。例えば、中心軸孔がない円筒磁性体を作製する場合には、コイル内径側となる円柱形状を圧縮成形による圧縮成形磁性体とし、コイル外径側を射出成形による射出成形磁性体として作製する。その後、射出成形磁性体の中心部に設けられた孔部に円柱形状の圧縮成形磁性体を挿入または嵌合することで円筒磁性体が得られる。また、圧縮成形磁性体を金型内に配置し、射出成形磁性体をインサート成形することにより、円筒磁性体を製造できる。
また、相互に結合される磁性体のうち少なくとも射出成形磁性体は、図4で示したように、コイルが挿入される軸方向に2分割された磁性体であることが好ましい。2分割の方法は、コイルを挿入できる2分割であればよく、軸方向に等分割であることが好ましい。等分割とすることにより金型点数を減らすことができる。接着剤を用いる場合、相互に密着できる無溶剤型のエポキシ系接着剤が好ましい。
圧縮成形磁性体および射出成形磁性体の好ましい材料の組み合わせとしては、圧縮成形磁性体がアモルファスまたは純鉄粉であり、射出成形磁性体がアモルファス金属粉末および熱可塑性樹脂であることが好ましい。より好ましくは、アモルファス金属がFe−Si−Cr系アモルファスであり、熱可塑性樹脂がポリフェニレンサルファイド(PPS)である。
コイルを封止する封止樹脂としては、耐熱性や耐食性に優れる、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂の硬化剤としては、潜在性エポキシ硬化剤、アミン系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを適宜使用できる。フェノール樹脂としては、例えば、樹脂成分としてノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂などを使用できる。
本発明の磁性素子であるインダクタは、例えば、上記圧縮成形磁性体の周囲に巻線を巻回してコイルを形成し、インダクタ機能を持たせることができる。この磁性素子は電気・電子機器回路に組み込まれる。巻線としては銅エナメル線を使用することができ、その種類としてはウレタン線(UEW)、ホルマール線(PVF)、ポリエステル線(PEW)、ポリエステルイミド線(EIW)、ポリアミドイミド線(AIW)、ポリイミド線(PIW)、これらを組み合わせた二重被複線、または自己融着線、リッツ線等を使用できる。耐熱性に優れるポリアミドイミド線(AIW)、ポリイミド線(PIW)等が好ましい。銅エナメル線の断面形状としては丸線や角線を使用できる。特に、平角線の断面形状の短径側を圧縮成形磁性体の周囲に接して重ね巻きすることにより、巻線密度を向上させたコイルが得られる。また、コイル巻き後、封止樹脂を充填する前に所定温度で加熱するアニール処理をコイルに施すことが好ましい。樹脂封止時の被膜のクラック等を防ぐことができる。
本発明の磁性素子は、二輪車を含む自動車や産業用機器および医療用機器の電源回路、フィルタ回路やスイッチング回路等に使用される磁性素子、例えばインダクタ、トランス、アンテナ、チョークコイル、フィルタなどとして使用できる。また、表面実装用部品として使用できる。
流れ制御路や空気だまりを設けなかったものと比較して、本発明の磁性素子は、放熱性、電気絶縁性、および封止樹脂の充填のしやすさに優れている。詳細には以下のとおりである。
<放熱性について>
特に封止樹脂の流れ制御を行わない従来品では、コイル端子引出口から封入した封止樹脂がインダクタ内にランダムに充填されていくことで、内部の空気が抜けずに気泡として閉じ込められやすい。また封止材等の流体は、壁面に近いほど流れが遅くなる。このため、封止樹脂に含まれるボイドがコア内の壁面や巻線表面の、特に隅部に滞留しやすくなる。気泡が滞留すると封止樹脂との接触面が少なくなり、熱伝達係数が悪化することで封止樹脂を介したコイルの放熱を妨げる。これを避けるために隅部に設けた流れ制御路の一部を空気だまりとすることで、コイル近傍の封止樹脂の熱伝達係数の悪化を回避する。
<電気絶縁性について>
コイル−コア間の封止樹脂内に大きなボイドが生じた場合、ボイドがない場合に比べて絶縁材料である封止樹脂の厚さを十分に確保できない。これにより絶縁耐力が低下し、絶縁破壊が生じる。
<封止樹脂の充填のしやすさについて>
図3に示す溝62や溝64が、封止樹脂の流れのガイドとなり、内部に残留する空気が少なくなるよう充填の優先順位がされている。また、空気だまりを設けることで、内部に残留する気泡は空気だまりに集めることができる。このため、封止樹脂を充填しやすくなり、また、真空引きが必要になる場合でも真空引きに要するの時間を短縮でき、コスト低減に寄与する。
本発明の磁性素子は、封止樹脂の充填作業性に優れ、また、冷却性能に優れ発熱を抑えることができるので、各種の電気・電子機器用の磁性素子として好適に利用できる。
1 インダクタ
2 磁性体
3 コイル
4 封止樹脂
5 中間線
6 流れ制御路
7 空気だまり

Claims (3)

  1. 芯磁性体の周囲に巻線を巻回してなるコイルと、該コイルが内部に配置された外周磁性体とを備えた磁性素子であって、
    前記コイルが封止樹脂により封止され、
    前記芯磁性体および前記外周磁性体の少なくとも1つの磁性体は、前記コイルと対向する面に、前記封止樹脂を充填するときの樹脂流れを制御する流れ制御路が設けられており、
    前記流れ制御路の一部に空気だまりを設けていることを特徴とする磁性素子。
  2. 前記流れ制御路は、前記コイルに対して、コイル軸方向および円周方向の少なくとも1つの方向に沿った凹凸部であることを特徴する請求項1記載の磁性素子。
  3. 前記凹凸部が断面三角形状であることを特徴とする請求項2記載の磁性素子。
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