[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1) 本発明の一態様に係る光信号中継装置は、光信号の中継に関する処理を実行して各々が第1の電気信号を出力するように構成された複数の運用系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージと交換可能、かつ、処理を実行することにより第2の電気信号を出力するように構成された予備系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージのうち選択された、判定対象の中継パッケージから出力される第1の電気信号と、第2の電気信号とを比較して、判定対象の中継パッケージの故障を判定するように構成された故障判定部とを備える。複数の運用系の中継パッケージの各々は、光信号を伝送するための第1の伝送レートおよび第2の伝送レートを有する。判定対象の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継が異常である可能性がある場合には、判定対象の中継パッケージは、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの、正常な中継が可能な伝送レートでの光信号の中継を継続しつつ、中継に異常の可能性がある伝送レートでの中継を停止する。予備系の中継パッケージは、中継に異常の可能性がある伝送レートと同じレートで光信号を中継するように動作する。
上記によれば、自己監視によって故障の有無を検出可能な光信号中継装置を実現することができる。第1の電気信号は、判定対象の中継パッケージによる光信号の中継に関する処理の結果を反映する。第2の電気信号は、予備系の中継パッケージによる中継に関する結果を反映する。故障判定部は、第1の電気信号を、第2の電気信号と比較することによって、判定対象の中継パッケージ、すなわち運用系の中継パッケージの中継処理に関する異常を検出することができる。
中継パッケージによって伝送される光信号を、その中継パッケージの故障の判定に用いることが考えられる。しかしながら、光信号を解析するための構成が故障判定部に必要となる。たとえば光信号を電気信号に変換するための構成が故障判定部に必要である。2つの電気信号を比較することにより、上記のような追加の構成を不要にすることができる。故障した中継パッケージを新しい中継モジュールに交換する場合に、故障判定部と新しい中継モジュールとの間の光学的な接続が不要である。したがって、故障した中継モジュールを新しい中継モジュールに容易に交換できる。
さらに、予備系の中継パッケージは、複数の運用系の中継パッケージの各々と交換可能である。言い換えると、光信号中継装置に含まれる複数の中継パッケージは、互いに同一の構成を有する。これにより、複数の運用系の中継パッケージのうちの1つが故障した場合に、その故障の中継パッケージと、予備系の中継パッケージとの間の冗長切替えを実行できる。
「中継に関する処理」は、光信号の中継に係る一連の処理の一部であってもよい。たとえば、光信号の受信、光信号からのデータの再生なども「中継に関する処理」に含まれ得る。
互いに比較される2つの電気信号は、同時に生成されるものと限定されない。たとえば、第1の電気信号が先に生成され、次に、第2の電気信号が生成されてもよい。
複数の運用系の中継パッケージの各々は、光信号を伝送するための第1の伝送レートおよび第2の伝送レートを有する。2つの伝送レートのうちの一方のレートでの光信号の伝送を検証することにより、中継パッケージの故障を把握することができる。伝送レートに関係なく、光信号は同じ経路を伝送されるためである。2つの伝送レートのうちの一方のレートでの光信号の伝送が正常であれば、判定対象の中継パッケージの動作を継続させることができる。
(2) 本発明の一態様に係る光信号の中継方法は、光信号の中継に関する処理を実行して各々が第1の電気信号を出力するように構成され、光信号を伝送するための第1の伝送レートおよび第2の伝送レートを有する複数の運用系の中継パッケージの中から、判定対象の中継パッケージを選択するステップと、判定対象の中継パッケージから第1の電気信号を出力するステップと、複数の運用系の中継パッケージと交換可能に構成された予備系の中継パッケージが第2の電気信号を、処理を実行することにより出力するステップと、第1の電気信号と、第2の電気信号とを比較して、判定対象の中継パッケージの故障を判定するステップと、判定対象の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継が異常である可能性がある場合に、判定対象の中継パッケージが第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの、正常な中継が可能な伝送レートでの光信号の中継を継続しつつ、中継に異常の可能性がある伝送レートでの中継を停止するステップと、予備系の中継パッケージが中継に異常の可能性がある伝送レートと同じレートで光信号を中継するステップとを備える。
上記によれば、光信号中継装置は自己監視によって、故障の有無を検出することができる。さらに、2つの伝送レートのうちの一方のレートでの光信号の伝送が正常であれば、判定対象の中継パッケージの動作を継続させることができる。
(3) 本発明の一態様に係る光信号中継装置は、光信号の中継に関する処理を実行するように構成された複数の運用系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージの各々と交換可能、かつ、中継に関する処理を実行するように構成された予備系の中継パッケージとを備える。複数の運用系の中継パッケージの各々は、光信号を伝送するための複数の伝送レートを有する。運用系の中継パッケージは、複数の伝送レートのうちの1つの伝送レートでの中継を実行し、予備系の中継パッケージは、複数の伝送レートのうち、運用系の中継パッケージの伝送レートとは異なる伝送レートでの中継を実行する。
上記によれば、複数の伝送レートを有する運用系の中継パッケージのいずれかにおいて、ある伝送レートでの中継(上り方向、下り方向のいずれでもよい)に異常が生じた場合に、その中継を予備系の中継パッケージに切り替えることができる。なお複数の伝送レートの数は、2つでもよいし、3つ以上の数でもよい。
(4) 上記(3)の光信号中継装置において、複数の運用系の中継パッケージの中に、複数の伝送レートのうち第1の伝送レートおよび第2の伝送レートの一方の伝送レートでの光信号の中継の異常が生じた運用系の中継パッケージが含まれる場合には、当該異常の生じた運用系の中継パッケージによる第1の伝送レートおよび第2の伝送レートでの中継を、予備系の中継パッケージへと切り替える。予備系の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継に異常が生じた場合には、一方の伝送レートでの光信号の中継の異常が生じた運用系の中継パッケージが、予備系の中継パッケージにおいて異常が生じた中継を実行可能であるときに、予備系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継を、異常の生じた運用系の中継パッケージに切り戻す。
上記によれば、運用系の中継パッケージに故障が生じたことにより、その運用系の中継パッケージによる中継が予備系の中継パッケージに切り替えられる。その後に予備系の中継パッケージが故障した場合にも、予備系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継を、故障した運用系の中継パッケージが実行可能であれば、その中継が運用系の中継パッケージに切り替えられる。すなわち、予備系の中継パッケージの故障時には、元の故障した運用系の中継パッケージに、予備系の中継パッケージで異常が生じた中継を選択的に切り戻すことができる。
(5) 上記(3)の光信号中継装置において、複数の運用系の中継パッケージの中に、複数の伝送レートのうち第1の伝送レートおよび第2の伝送レートの一方の伝送レートでの光信号の中継の異常が生じた運用系の中継パッケージが含まれる場合には、当該異常の生じた運用系の中継パッケージによる第1の伝送レートおよび第2の伝送レートでの中継を、予備系の中継パッケージへと切り替える。予備系の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうち、運用系の中継パッケージにおいて中継の異常が生じた伝送レートと同じ伝送レートでの中継に異常が生じた場合には、予備系の中継パッケージによる第1の伝送レートでの中継および第2の伝送レートでの中継を、異常の生じた運用系の中継パッケージに切り戻す。
上記によれば、故障の生じた運用系の中継パッケージの状態と、故障後の予備系の中継パッケージの状態とが同じである。予備系の中継パッケージによる中継を、元の故障した運用系の中継パッケージに戻すことによって、予備系の中継パッケージを、他の故障した運用系の中継パッケージとの間での光信号の中継の切り替えに用いることができる。
(6) 上記(5)の光信号中継装置において、第1の伝送レートでの中継および第2の伝送レートでの中継を、予備系の中継パッケージから異常の生じた運用系の中継パッケージへと切り戻した状態において、異常の生じた運用系の中継パッケージとは別の運用系の中継パッケージに光信号の中継の異常が生じた場合には、当該異常の生じた中継が予備系の中継パッケージによって実行可能であるときに、異常の生じた中継を予備系の中継パッケージに切り替える。
上記によれば、他の故障した運用系の中継パッケージから予備系の中継パッケージに、光信号の中継を切り替えることができる。
(7)本発明の一態様に係る光信号の中継方法は、各々が光信号を中継可能な複数の運用系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージの各々と交換可能に構成された予備系の中継パッケージとを備えた光信号中継装置による光信号の中継方法である。方法は、複数の運用系の中継パッケージの中に、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継の異常が生じた運用系の中継パッケージが含まれることを判定するステップと、異常の生じた運用系の中継パッケージによる第1の伝送レートおよび第2の伝送レートでの中継を、予備系の中継パッケージへと切り替えるステップと、予備系の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継に異常が生じた場合には、予備系の中継パッケージにおいて異常が生じた中継を、異常が生じた運用系の中継パッケージにより実行可能か否かを判定するステップと、予備系の中継パッケージの異常が生じた中継を、異常が生じた運用系の中継パッケージにより実行可能である場合に、予備系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継を、異常が生じた運用系の中継パッケージに切り戻すステップとを備える。
上記によれば、運用系の中継パッケージに故障が生じたことにより、その運用系の中継パッケージによる中継が予備系の中継パッケージに切り替えられる。その後に予備系の中継パッケージが故障した場合にも、予備系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継を、故障した運用系の中継パッケージにより実行可能であれば、その中継が運用系の中継パッケージに切り替えられる。すなわち、予備系の中継パッケージの故障時には、予備系の中継パッケージで異常が生じた中継を、故障した元の運用系の中継パッケージに選択的に切り戻すことができる。
(8) 本発明の一態様に係る光信号の中継方法は、各々が光信号を中継可能な複数の運用系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージの各々と交換可能に構成された予備系の中継パッケージとを備えた光信号中継装置による光信号の中継方法である。方法は、複数の運用系の中継パッケージの中に、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継の異常が生じた運用系の中継パッケージが含まれることを判定するステップと、異常の生じた運用系の中継パッケージによる第1の伝送レートおよび第2の伝送レートでの中継を、予備系の中継パッケージへと切り替えるステップと、予備系の中継パッケージにおいて、第1の伝送レートおよび第2の伝送レートのうち、運用系の中継パッケージにおいて中継の異常が生じた伝送レートと同じ伝送レートでの中継に異常が生じた場合には、予備系の中継パッケージによる第1の伝送レートでの中継および第2の伝送レートでの中継を、異常の生じた運用系の中継パッケージに切り戻すステップとを備える。
上記によれば、故障の生じた運用系の中継パッケージの状態と、故障後の予備系の中継パッケージの状態とが同じである。予備系の中継パッケージによる中継を、元の故障した運用系の中継パッケージに戻すことによって、予備系の中継パッケージを、他の故障した運用系の中継パッケージとの間での光信号の中継の切り替えに用いることができる。
(9) 上記(8)の光信号の中継方法は、第1の伝送レートでの中継および第2の伝送レートでの中継を予備系の中継パッケージから異常の生じた運用系の中継パッケージへと切り戻した状態において、異常の生じた運用系の中継パッケージとは別の運用系の中継パッケージに光信号の中継の異常が生じた場合には、当該異常の生じた中継が予備系の中継パッケージによって実行可能か否かを判定するステップと、別の運用系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継を予備系の中継パッケージによって実行可能である場合に、異常の生じた中継を予備系の中継パッケージに切り替えるステップとをさらに備える。
上記によれば、予備系の中継パッケージを、他の故障した運用系の中継パッケージとの間での光信号の中継の切り替えに用いることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光通信システムの構成の一例を示す図である。図1に示されるように、光通信システム301は、PONシステムである。この実施の形態では、光通信システム301は、GE(Gigabit Ethernet(登録商標))−PONもしくは10G−EPON(Ethernet(登録商標) PON)の両方に適合するように構成される。言い換えると、光通信システム301は、GE−PONと、10G−EPONとを含むシステムを構築する。
GE−PONと、10G−EPONとでは、通信速度(伝送レート)が異なる。GE−PONの伝送レートは、たとえば1.25Gbpsである。10G−EPONの伝送レートは、たとえば10.3125Gbpsである。GE−PONにおいて伝送される信号を、以下では「1G信号」と称する。これに対して、10G−EPONにおいて伝送される信号を、以下では「10G信号」と称する。光通信システム301は、上記の2つの伝送レートを有する。1G信号および10G信号の両方が、光通信システム301内で伝送されることができる。
光通信システム301は、OLT201−1,201−2,201−3,201−4と、幹線光ファイバ204−1,204−2,204−3,204−4と、アクセス光ファイバ205−1,205−2,205−3,205−4と、支線光ファイバ206−1,206−2,206−3,206−4と、光カプラ211−1,211−2,211−3,211−4と、光信号中継装置101と、ONU202−1,202−2,202−3,202−4とを含む。
光通信システム301は、少なくとも1つのOLTおよび少なくとも1つのONUを備えていればよい。OLTの数およびONUの数は特に限定されない。図1に示されるように、1つの実施形態では、光通信システム301は、4つのOLTおよび4つのONUを含む。
OLT201−1〜201−4は、それぞれ、幹線光ファイバ204−1〜204−4に接続される。光信号中継装置101は、幹線光ファイバ204−1〜204−4およびアクセス光ファイバ205−1〜205−4に接続される。
光カプラ211−1は、支線光ファイバ206−1を、アクセス光ファイバ205−1に結合する。光カプラ211−2〜211−4は、支線光ファイバ206−2〜206−4を、アクセス光ファイバ205−2〜205−4にそれぞれ結合する。ONU202−1〜202−4は、支線光ファイバ206−1〜206−4にそれぞれ接続される。
OLT201−1〜201−4は、それぞれ、ONU202−1〜202−4に光信号を送信する。OLTからONUに送られる信号は、下り信号と称せられる。ONU202−1〜202−4は、それぞれOLT201−1〜201−4に光信号を送信する。ONUからOLTに送られる信号は、上り信号と称せられる。
ONU202−1〜202−4の各々は、1G信号および10G信号の一方を送信および受信するように構成される。OLT201−1〜201−4の各々は、1G信号および10G信号の両方を送信および受信することができるように構成される。OLT201−1〜201−4の各々から送られる下り信号は連続信号であるのに対して、ONU202−1〜202−4の各々から送られる信号は、バースト信号である。光信号中継装置101は、OLT201−1〜201−4の各々と、対応するONUとの間で光信号を中継する。光信号中継装置101は、1G信号および10G信号の両方を中継可能に構成される。
光信号中継装置101は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4,11−rと、光セレクタ13,14と、切替制御パッケージ15とを含む。「パッケージ」とは、便宜的な名称であり、「モジュール」あるいは「ユニット」と言い換えることができる。中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4,11−rは、互いに同じ構成を有し、光信号中継装置101から取り外されることができる。したがって、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4の中に故障した中継パッケージがある場合には、その故障した中継パッケージを新しい中継パッケージに交換することができる。また、現在の中継パッケージを、より高い機能を有する中継パッケージに交換することができる。これにより光信号中継装置101のアップグレードを実現することができる。
中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4,11−rの各々は、1G信号および10G信号の両方を中継可能に構成される。中継パッケージ11−1〜11−4は、下り方向にそれぞれ伝送される複数の光信号(第1の光信号)および、上り方向(下り方向と逆の方向)にそれぞれ伝送される複数の光信号(第2の光信号)を中継するように構成される。中継パッケージの構成の詳細は、後に説明される。
複数の中継パッケージは、少なくとも1つの運用系の中継パッケージと、少なくとも1つの予備系の中継パッケージとを含む。換言すると、光信号中継装置101は、冗長構成を有する。中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4は、運用系の中継パッケージである。中継パッケージ11−rは、予備系の中継パッケージである。光通信システム301の運用中に、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4のうちのいずれか1つが故障した場合には、故障した中継パッケージを、中継パッケージ11−rに置き換えることができる。
光セレクタ13は、アクセス光ファイバ205−1,205−2,205−3,205−4から1つを選択して、予備系の中継パッケージ11−rと接続するように構成される。光セレクタ14は、複数の幹線光ファイバ204−1,204−2,204−3,204−4から1つを選択して予備系の中継パッケージ11−rと接続するように構成される。中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4のうちのいずれか1つが故障した場合、光セレクタ13,14は、光信号が、その中継パッケージに代えて中継パッケージ11−rを通るように、光信号の伝送経路を変更する。これにより、中継パッケージの冗長切替を実現することができる。
切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4の各々の異常の有無を判定する。切替制御パッケージ15は、たとえば50ms程度のサイクルでポーリングを実行する。ポーリングの結果に基づいて、切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4の各々の異常の有無を判定する。複数の運用系の中継パッケージの各々が正常であるかどうかをポーリングによって順に確かめることができる。したがって、判定対象の中継パッケージの選択を容易にすることができる。
切替制御パッケージ15は、異常が疑われる中継パッケージを、中継パッケージ11−rと比較して、異常の有無を判定する。異常が疑われる中継パッケージは、切替制御パッケージ15による判定の対象であり、この明細書では「判定対象の中継パッケージ」とも呼ばれる。切替制御パッケージ15は、判定対象の中継パッケージの故障の有無を判定する故障判定部を実現する。
2つの光信号が2つの中継パッケージをそれぞれ通るように、切替制御パッケージ15は、光セレクタ13および光セレクタ14の少なくとも一方を制御する。これにより、中継パッケージ11−rは、異常が疑われる中継パッケージの動作を模倣する。中継パッケージ11−rは、たとえば光信号を受信する。しかし、切替制御パッケージ15による故障の判定時には、中継パッケージ11−rは、OLTとONUとの間の光信号の中継は実行しない。「動作を模倣する」とは、光信号を中継しないものの、判定対象の中継パッケージの動作の少なくとも一部と同じ動作を実行することを意味する。判定対象の中継パッケージを動作させたまま、その中継パッケージの故障の有無を判定することができる。したがって、中継動作への影響を小さくすることができる。あるいは中継動作への影響をなくすことができる。
各中継パッケージは、中継に関する処理を実行して、その処理に関連する電気信号を出力する。切替制御パッケージ15は、判定対象の中継パッケージからの電気信号(第1の電気信号)と、中継パッケージ11−rからの電気信号(第2の電気信号)とを比較する。2つの電気信号が互いに異なる場合には、切替制御パッケージ15は、異常が疑われる中継パッケージが実際に故障していると判定する。一方、2つの電気信号が中継に関する処理に関して同じ結果を示し、かつその結果は、中継処理が異常であるということを示す場合には、切替制御パッケージ15は、光信号中継装置101の外部が異常であると判定する。
なお、互いに比較される2つの電気信号は、同時に生成されるものと限定されない。判定対象の中継パッケージが第1の電気信号を先に生成し、次に、中継パッケージ11−rが第2の電気信号を生成してもよい。
このように、光信号中継装置101は、自己監視によって故障の有無を検出可能である。さらに、切替制御パッケージ15は、2つの電気信号を比較するので、故障した中継モジュールを新しい中継モジュールに容易に交換できる。あるいは、中継モジュールのアップグレードが容易に実現できる。また、光信号中継装置101は、中継処理の異常の要因が光信号中継装置101の外部にあることも検出することができる。
図2は、光セレクタ13,14の構成例を模式的に示した図である。代表的に、光セレクタ13の構成例が説明される。図2を参照して、光セレクタ13においては、5本の光ファイバ3−1,3−2,・・・,3−4,3−rの端面の近くに、コリメートレンズ23−1〜23−4,23−rが、それぞれ配置される。可動ミラー22は、アクチュエータ21によって駆動されて、光ファイバ3−1〜3−4の光軸と直交する軸上を移動する。可動ミラー22は、4個の光ファイバの光軸の各々と可動ミラー22の移動軸とが交わる点(合計4個の交点)、あるいは、光ファイバ3−rの端面付近に位置する。
可動ミラー22は、機械的に駆動される光学部品である。可動ミラー22が移動することにより、複数の下り方向の光信号(複数の第1の光信号)のうちの1つの光信号が中継パッケージ11−rに導かれる。アクチュエータ21は、切替制御パッケージ15からの制御信号に従い、可動ミラー22を上記の5個の位置のいずれかに移動させる。
可動ミラー22は、光ファイバ3−1〜3−4の光軸に対して45°傾いている。光ファイバ3−1〜3−4のうちのいずれかの光ファイバの光軸上に可動ミラー22が位置する場合、可動ミラー22は、その光ファイバからの光線を、可動ミラー22の移動軸(x軸)方向に反射する。可動ミラー22で反射された光線は、コリメートレンズ23−rを介して光ファイバ3−rに入射される。光ファイバ3−rに入射した光は、予備系の中継パッケージ(中継パッケージ11−r)へ送られる。光ファイバ3−rが出射する逆方向の光線も同様である。
可動ミラー22を移動させる際、たとえば可動ミラー22を一旦z方向(図2において紙面の表から裏への方向)にずらしてからx方向に移動させてもよい。このような方法により、可動ミラー22の移動が、対向している光ファイバ対の中で切り替えに無関係な光ファイバ対間の光空間伝送に影響を与えないようにすることができる。
光セレクタ14は、光セレクタ13と同様の構成を有する。光セレクタ14において、可動ミラー22が移動することにより、複数の上り方向の光信号(複数の第2の光信号)のうちの1つの光信号が中継パッケージ11−rに導かれる。
光セレクタ13と光セレクタ14との間の違いは、図2に示された光ファイバ3−1,3−2,・・・,3−4に相当する光ファイバである。光セレクタ13の場合、光ファイバ3−1,3−2,・・・,3−Nは、幹線光ファイバ204−1〜204−4にそれぞれ接続される。光セレクタ14の場合、光ファイバ3−1,3−2,・・・,3−Nは、アクセス光ファイバ205−1〜205−4にそれぞれ接続される。
なお、光セレクタ13,14は、いわゆるM:1光スイッチ(Mは複数を意味する)であり、その構成は図2に示した構成に限定されない。
図3は、中継パッケージの構成を示した概略図である。以下では代表的に、中継パッケージ11−1の構成が説明される。中継パッケージ11−2〜11−4,11−rの各々は、中継パッケージ11−1の構成と同じ構成を有する。
図3を参照して、中継パッケージ11−1は、光トランシーバ31,32,3と、中継処理部34とを含む。図3において、「1G」または「10G」との表記は、信号の種類を表す。
光トランシーバ31,32は、OLTからの下り信号を受ける。OLTから見た場合、光トランシーバ31,32は、ONUに相当する。したがって図3では、光トランシーバ31,32は、トランシーバを表す「TRX」との表記とともに「ONU TRX」と表される。一方、光トランシーバ33は、ONUからの上り信号を受ける。ONUから見た場合、光トランシーバ33は、OLTに相当する。したがって図3では、光トランシーバ33は、「OLT TRX」と表される。
光トランシーバ31は、1G信号を送信および受信するように構成される。光トランシーバ32は、10G信号を送信および受信するように構成される。光トランシーバ33は、1G信号および10G信号の両方を送信可能および受信可能である。光トランシーバ31〜33の各々は、光ファイバを介して光信号を受信して、その光信号を電気信号に変換する。電気信号は、各々の光トランシーバから中継処理部34に送られる。一方、光トランシーバ31〜33の各々は、中継処理部34から電気信号を受信して、その電気信号を光信号に変換する。光信号は、各々の光トランシーバから光ファイバに送出される。
中継処理部34は、上り信号を中継する機能と、下り信号を中継する機能とを有する。具体的には、中継処理部34は、1G上り中継部41と、10G上り中継部42と、1G下り中継部43と、10G下り中継部44とを備える。中継処理部34は、さらに、レート判定部45を含む。上記構成の少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェアによって実現されてもよい。一実施形態では、中継処理部34は、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現される。
ONU205−1(図1参照)からの上り信号は、光信号の形態で、支線光ファイバ206−1およびアクセス光ファイバ205−1を通じて光トランシーバ33に送られる。光トランシーバ33は、その光信号を電気信号に変換する。1G上り中継部41は、光トランシーバ33からの1G上り信号を中継する。10G上り中継部42は、光トランシーバ33からの10G上り信号を中継する。
1G上り中継部41からの1G上り信号は、電気信号の形態で光トランシーバ31に送られる。光トランシーバ31は、1G上り中継部41からの電気信号を光信号に変換して、その光信号を、幹線光ファイバ204−1を通じてOLT201−1(図1参照)に送信する。
同様に、10G上り中継部42からの1G上り信号は、電気信号の形態で光トランシーバ32に送られる。光トランシーバ32は、10G上り中継部42からの電気信号を光信号に変換して、その光信号を、幹線光ファイバ204−1を通じてOLT201−1(図1参照)に送信する。
1G上り中継部41は、1G上り受信部51と、1G上り送信部52とを含む。1G上り受信部51は、光トランシーバ33からの1G上り信号を受信して、その上り信号を1G上り送信部52に送信する。1G上り送信部52は、その1G上り信号を、光トランシーバ31に送信する。
10G上り中継部42は、10G上り受信部53と、10G上り送信部54とを含む。10G上り受信部53は、光トランシーバ33からの10G上り信号を受信して、その上り信号を10G上り送信部54に送信する。10G上り送信部54は、その10G上り信号を、光トランシーバ32に送信する。
OLT201−1からの下り信号は、光信号の形態で幹線光ファイバ204−1を介して、光トランシーバ31または光トランシーバ32に送られる。OLT201−1は、1G下り信号と10G下り信号とを波長多重伝送方式に従って伝送する。すなわち、1G下り信号と、10G下り信号とは、光の波長が異なり、光トランシーバ31および光トランシーバ32は光信号の波長を選択して受信する。幹線光ファイバ204−1を光トランシーバ31と光トランシーバ32に分岐するのは、パワースプリッタ、波長スプリッタのいずれでもよい。
光トランシーバ31,32の各々は、OLTからの光信号を電気信号に変換する。1G下り中継部43は、光トランシーバ31からの1G下り信号を中継する。10G下り中継部44は、光トランシーバ32からの10G下り信号を中継する。
1G下り中継部43からの1G下り信号および10G下り中継部44からの10G下り信号は、電気信号の形態で光トランシーバ33に送られる。光トランシーバ33は、1G下り中継部43および10G下り中継部44からの電気信号を光信号に変換して、その光信号を、アクセス光ファイバ205−1に送出する。
1G下り中継部43は、1G下り受信部61と、1G下り送信部62とを含む。1G下り受信部61は、光トランシーバ31からの1G下り信号を受信して、その下り信号を1G下り送信部62に送信する。1G下り送信部62は、その1G下り信号を、光トランシーバ33に送信する。
10G下り中継部44は、10G下り受信部63と、10G上り送信部64とを含む。1G下り受信部63は、光トランシーバ32からの10G下り信号を受信して、その下り信号を10G下り送信部64に送信する。10G下り送信部64は、その10G下り信号を、光トランシーバ33に送信する。
レート判定部45は、1G上り受信部51により受信された信号、および10G上り受信部53により受信された信号の伝送レートを判定する。その判定結果に基づいて、1G上り信号あるいは10G上り信号の伝送が制御される。
図4は、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置に含まれる中継パッケージの構成を詳細に説明したブロック図である。
図3および図4を参照して、中継処理部34は、図3に示されたブロックに加えて、1G上り送信制御部72と、10G上り送信制御部74と、1G下り受信判定部75と、1G下り送信制御部76と、10G下り受信判定部77と、10G下り送信制御部78とを含む。レート判定部45は、1G上り受信判定部71と、10G上り受信判定部73とを含む。
以下で説明される信号は、すべて電気信号の形態を有する。1G上り受信部51および1G上り受信判定部71は、信号US_G_RDを受ける。信号US_G_RDは、1G上りデータ信号である。1G上り送信部52は、信号US_G_TDを送信する。信号US_G_TDは、1G上り受信部51からの1G上りデータ信号に対応する。
1G上り受信判定部71は、信号US_SDを受ける。信号US_SDは、光トランシーバ33が上り信号を受信したことを示す信号である。なお、光トランシーバ33は、その上り信号が1G信号および10G信号のいずれであっても、信号US_SDを出力する。
1G上り受信判定部71は、信号US_SDを受信することにより、光トランシーバ33が上り信号を受信したことを検出する。さらに、1G上り受信判定部71は、信号US_G_RDを受けて、信号US_G_RDの伝送レートが1Gであるかを判定する。1G上り受信判定部71は、その判定の結果を1G上り送信制御部72に送信する。
1G上り送信制御部72は、1G上り受信判定部71の判定結果に基づいて、信号US_G_TXDISを光トランシーバ31に送信する。信号US_G_TXDISは、1G上り信号の送信を指示する信号である。
10G上り受信部53および10G上り受信判定部73は、信号US_X_RDを受ける。信号US_X_RDは、10G上りデータ信号である。10G上り送信部54は、信号US_X_TDを送信する。信号US_X_TDは、10G上り受信部53からの10G上りデータ信号に対応する。
10G上り受信判定部73は、信号US_SDを受けることにより、光トランシーバ33が上り信号を受信したことを検出する。さらに、10G上り受信判定部73は、信号US_X_RDを受けて、信号US_X_RDの伝送レートが10Gであるかを判定する。10G上り受信判定部73は、その判定の結果を10G上り送信制御部74に送信する。
10G上り送信制御部74は、10G上り受信判定部73の判定結果に基づいて、信号US_X_TXDISを光トランシーバ32に送信する。信号US_X_TXDISは、10G上り信号の送信を指示する信号である。
1G下り受信部61は、信号DS_G_RDを受ける。信号DS_G_RDは、1G下りデータ信号である。1G下り送信部62は、信号DS_G_TDを送信する。信号DS_G_TDは、1G下り受信部61からの1G下りデータ信号に対応する。
1G下り受信判定部75は、信号DS_G_SDを受ける。信号DS_G_SDは、光トランシーバ31が下り信号を受信したことを示す信号である。1G下り送信制御部76は、信号DS_G_TXDISを送信する。信号DS_G_TXDISは、1G下り信号の送信を指示する信号である。
10G下り受信部63は、信号DS_X_RDを受ける。信号DS_X_RDは、10G下りデータ信号である。10G下り送信部64は、信号DS_X_TDを送信する。信号DS_X_TDは、10G下り受信部63からの10G下りデータ信号に対応する。
10G下り受信判定部75は、信号DS_X_SDを受ける。信号DS_X_SDは、光トランシーバ32が下り信号を検出したことを示す信号である。10G下り送信制御部78は、信号DS_X_TXDISを送信する。信号DS_X_TXDISは、10G下り信号の送信を指示する信号である。
図5は、中継パッケージの故障の判定および切替の判定に用いられる信号を表形式で示した図である。図示の都合上、図5に示された信号のうちの一部は図4に記載されていない。
図5を参照して、信号DS_X_SDは、光トランシーバ32が10G下り信号(10G)を検出していること(Signal Detect)を示す。
信号DS_X_SYNCは、10G下り信号の同期(64B/66B符号方式)を示す信号である。
信号DS_G_SDは、光トランシーバ31が1G下り信号を検出していることを示す信号である。信号DS_G_SYNCは、1G下り信号の同期(8B/10B符号方式)を示す。
上り信号はバースト信号であり、信号US_SDは、バースト光信号を受信している間にアサートされる。信号us_sdは、信号US_SDが一旦アサートされると真(値は1)に保持される信号であり、信号us_sdは、自身の状態を読み出したときにクリア(値は0)される。
信号us_x_syncは、10G上り信号の同期を示す信号である。10G上り受信判定部73は、信号US_SDを受けて、信号US_X_RDの伝送レートが10Gであると判定したとき、10G上り信号の同期を確認する。10G上り信号の同期は、FEC(Forward Error Correction)符号語の同期が上りバースト期間維持されることで判断できる。また、66Bブロックの同期を併せてもよい。信号us_x_syncの値は、10G上り信号の同期が一旦確認されると真(値は1)に保持され、自身の状態が読み出されたときにクリア(値は0)される。
信号us_x_txdisは、10G上り送信があったことを示す信号であり、信号US_X_TXDISが一旦アサートされると真(値は1)に保持され、自身の状態が読み出されたときにクリア(値は0)される。
信号us_g_syncは、1G上り信号の同期を示す信号である。1G上り受信判定部71は、信号US_SDを受け、信号US_G_RDの伝送レートが1Gであると判定したとき、1G上り信号の同期を確認する。1G上り信号の同期は10B/8B符号変換がエラーなく行われることで判断できる。信号us_g_syncの値は1G上り信号の同期が一旦確認されると真(値は1)に保持され、自身の状態が読みだされたときにクリア(値は0)される。
信号us_g_txdisは、1G上り送信があったことを示す信号であり、信号US_G_TXDISが一旦アサートされると真(値は1)に保持され、自身の状態が読みだされたときにクリア(値は0)される。
信号us_sdは、上り方向の光信号の受信があったことを示す信号であり、信号US_SDが一旦アサートされると真(値は1)に保持され、自身の状態が読みだされたときにクリア(値は0)される。
信号us_opt_errは、上り方向の光信号の受信にエラーがあったことを示す信号である。中継パッケージによって受信されたデータの伝送レートが、しかるべき時間までに1G,10Gのいずれとも判定できない場合には、信号us_opt_errの値が真(値は1)に保持される。信号us_opt_errは自身の状態を読みだされたときにクリア(値は0)される。
なお、上記の信号の他に、たとえば、中継パッケージに含まれる回路基板における故障を示す信号を、故障の判定および中継パッケージの切り替えの判定に用いることができる。
切替制御パッケージ15(図1参照)は、一定の周期(たとえば50msec程度)のポーリングによって、図5の各信号の状態を読み出し、異常の有無を判断する。例えば、下り信号は連続信号であるから、信号DS_X_SD,DS_X_SYNC,DS_G_SD,DS_G_SYNCのいずれかに真でないものがあれば、異常と判断できる。また、信号us_opt_errあるいはその他ボードの故障が真である場合も異常と判断できる。ただし、その他ボード上の故障を除く異常は、その原因が光信号中継装置101の外部にある可能性がある。
一方、上り信号はバースト信号であり、バースト信号の頻度は上りトラフィック量に依存する。すなわち、上りトラフィック量が少ない場合には、あるポーリング周期において10G上りバースト信号、およびまたは、1Gバースト信号が光信号中継装置101に到来しない可能性がある。10G上りバースト信号が到来しなかった場合、信号us_x_sync,us_x_txdisはいずれも真にならない。同様に、1G上りバースト信号が到来しなかった場合は、信号us_g_sync,us_g_txdisは、いずれも真にならない。さらに、いずれのレートの上りバースト信号も到来しなかった場合は、信号us_sdも真にならない。しかし、ユーザのトラフィック量がない場合でも、管理用トラフィックは一定量発生するため、上記の信号は複数のポーリング周期(例えば1秒)に渡る論理和で真偽を判断するか、ポーリング周期自体を長くするとよい。この条件でも、信号us_x_sync,us_g_sync,us_sdが真にならない場合には、異常の可能性がある。また、信号us_x_syncが真であるのにもかかわらず信号us_x_txdisが偽である場合は、10G上り中継部42の内部異常と判断できる。同様に、信号us_g_syncが真であるのにもかかわらず信号us_g_txdisが偽である場合は、1G上り中継部41の内部異常と判断できる。
なお、信号us_x_sync,us_x_txdis,us_g_sync,us_g_txdis,us_sdのすべてないし一部の信号は、元の信号(大文字で表記)のアサート数を計数した信号であってもよい。この場合には、計数値の多寡により異常を判断してもよい。
図6は、本発明の実施の形態による、中継パッケージの故障の判定を説明するための模式図である。
図6を参照して、たとえば、中継パッケージ11−1の異常を検出するために、中継パッケージ11−1の動作が中継パッケージ11−rの動作と比較される。このために、中継パッケージ11−1に入力される光信号と同一の光信号が、中継パッケージ11−rに送られる。
たとえば上り方向の光信号が、アクセス光ファイバ205−1を通り、2分岐される。2分岐された光信号のうちの一方が中継パッケージ11−rに入力されるように、光セレクタ14が光信号の経路を選択する。
図6に示されるように、OLT201−1から下り方向の光信号が送出される。下り信号は、幹線光ファイバ204−1を通ることによって、2分岐される。2分岐された光信号のうちの一方は、中継パッケージ11−1に入力される。他方の信号は、光セレクタ13に入力される。図6に示されるように、光セレクタ13は、光信号を中継パッケージ11−rに通さなくてもよい。OLT201−1からの下り信号は、中継パッケージ11−1のみに入力される。
OLT201−1からの下り信号は、中継パッケージ11−1および中継パッケージ11−rの両方に入力される一方、ONU202−1,202−1a,202−1bの各々からの上り信号が中継パッケージ11−1のみに入力されてもよい。このように、光セレクタ13,14の一方が、中継パッケージ11−rに光信号を入力するように動作してもよい。
図7は、光セレクタ13,14の動作を説明するための図である。図7に示されるように、光セレクタ13,14の各々は、可動ミラー22の移動によって、光信号の経路を切り替えるように構成される。可動ミラー22は、機械的に駆動される光学部品である。
上記のように、光セレクタ13,14のうち、中継パッケージ11−rへの光信号の入力側の光セレクタのみが光信号の経路を切替えてもよい。これにより、他方の光セレクタでは、可動ミラー22の駆動が不要である。可動ミラー22が頻繁に駆動されることを防ぐことができるので、光セレクタ13,14の寿命を延ばすことができる。
可動ミラー22を長い距離で移動させることを繰り返した場合には、光セレクタ13または光セレクタ14の劣化が進みやすくなる。一実施形態によれば、中継パッケージの故障診断時において、可動ミラー22の移動距離が最短となるように、可動ミラー22が駆動される。
たとえば、可動ミラー22の元の状態が、光ファイバ3−1に対向した状態であった場合、可動ミラー22は、光ファイバ3−2に対向するように移動する。このように、可動ミラー22は、光ファイバ3−1,3−2,3−3,3−4に順次対向するように移動する。すなわち、可動ミラー22は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4を、その移動距離が最小となるように移動する。逆方向に移動する場合にも、可動ミラー22は、その移動距離が最小となるように移動し、各光ファイバに順次対向する。このように、可動ミラー22は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4を、両端の中継パッケージ11−1,11−4を含むように往復する。これにより、運用系の中継パッケージの故障診断は、中継パッケージ11−1,11−2,11−3,11−4,11−3,11−2,11−1,11−2,11−1,・・・の順に行われる。これにより、光セレクタ13,14の寿命をより長くすることができる。
切替制御パッケージ15によるポーリングの結果、たとえば中継パッケージ11−1に故障の可能性があると判定される。たとえば切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1の受信エラー(us_opt_err)を検出する。この場合には、中継パッケージ11−1と中継パッケージ11−rとの間で受信エラー状態が比較される。その比較結果に基づいて、中継パッケージ11−1に異常があるかどうかが判定される。
たとえば、中継パッケージ11−rでは受信エラーを検出しないが、中継パッケージ11−1では受信エラーを検出する場合には、切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1の受信に関する故障があると判定する。
中継パッケージ11−rは、光信号を受信する。しかし光信号の送信のために中継パッケージ11−rが発光した場合、中継パッケージ11−rからの光信号が、中継パッケージ11−1からの光信号と衝突する。したがって、中継パッケージ11−1の故障の有無が判定される際には、中継パッケージ11−rは、光信号を出力しない。具体的には、切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−rの光トランシーバ31,32の送信側電源を遮断するか、光トランシーバ31,32の設定において、それぞれ、信号US_G_TXDIS、信号US_X_TXDISを無効化する。
たとえば以下の方法により、中継パッケージ11−1の故障を検出することができる。切替制御パッケージ15は、ポーリングにより、中継パッケージ11−1に故障の可能性があることを検出する。これにより、判定対象の中継パッケージが選択される。たとえば、ONU202−1aまたはONU202−1bは、支線光ファイバ206−1a,206−1bをそれぞれ介して、1G上り信号を送信する。
中継パッケージ11−1、中継パッケージ11−rの各々は、1G上り信号の受信に応じて、信号us_g_txdis(図4および図5参照)を生成する。判定対象の中継パッケージ(中継パッケージ11−1)に故障の可能性がある場合に、予備系の中継パッケージ(中継パッケージ11−r)は、判定対象の中継パッケージの動作を模倣する。
切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1が生成した信号us_g_txdis(第1の電気信号)を、中継パッケージ11−rが生成した信号us_g_txdis(第2の電気信号)と比較する。中継パッケージ11−1が生成した信号us_g_txdis(第1の電気信号)が偽(0)である一方で、中継パッケージ11−rが生成した信号us_g_txdis(第2の電気信号)が真(1)である場合には、切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1が異常であると判定する。この場合、切替制御パッケージ15は、中継パッケージ11−1の光トランシーバ31の発光を停止させるとともに、中継パッケージ11−rの光トランシーバ31の発光を許可する。
一方、中継パッケージ11−1,11−rの両方において異常である場合には、切替制御パッケージ15は、光信号中継装置101の外部において異常が発生したと判定する。
たとえば、中継パッケージ11−1,11−rの両方において、信号DS_X_SYNCのアサートが検出できない場合、OLT201−1または幹線光ファイバ204−1に異常が発生したと推測できる。
一方、中継パッケージ11−1に繋がったONUが無い場合にも、中継パッケージ11−1,11−r共に、たとえば、信号us_sdは真(1)にならない。中継パッケージ11−1は、下り信号は受信できるため、その下り信号を、アクセス光ファイバ205−1に送出する。しかし、アクセス光ファイバ205−1に接続されたONUがないため、上り信号は中継パッケージ11−1に入力されない。
このような場合には、上り信号および下り信号が中継パッケージ11−rを通るように光セレクタ13,14によって上り信号および下り信号の経路を切り替えることができる。さらに、光セレクタ13,14による光信号の経路の切替えの頻度を下げてもよい。たとえば切替えの頻度は、10秒に1回である。
図8は、運用系の中継パッケージの異常の判定、および中継パッケージの切替の処理を説明するフローチャートである。図8を参照して、処理が開始されると、ステップS1において切替制御パッケージ15は、運用系の中継パッケージ(中継パッケージ11−1〜11−4)に対するポーリングを一定の周期(たとえば50msec)で行う。
ステップS2において、切替制御パッケージ15は、ポーリングの結果から、複数の運用系の中継パッケージのうちのいずれかに異常があるかどうかを判定する。運用系の中継パッケージに異常がない場合(ステップS2においてNO)、処理は、メインルーチンに戻される。
複数の運用系の中継パッケージのうちのいずれかに異常がある場合、または異常の可能性がある場合(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進む。ステップS1,S2は、判定対象の中継パッケージを選択するステップに相当する。
ステップS3において、切替制御パッケージ15は、予備系の中継パッケージ(中継パッケージ11−r)に光信号が入力するように、光セレクタ13および光セレクタ14の少なくとも一方を動作させる。上記のように、光セレクタ13,14のうち、中継パッケージ11−rへの光信号の入力側の光セレクタのみが光信号の経路を切替えてもよい。
ステップS4において、切替制御パッケージ15は、異常が疑われる運用系の中継パッケージと同じ動作を、予備系の中継パッケージに行わせる。
異常が疑われる運用系の中継パッケージ(判定対象の中継パッケージ)および予備系の中継パッケージの各々は、電気信号を出力する。ステップS5において、切替制御パッケージ15は、異常が疑われる運用系の中継パッケージ(判定対象の中継パッケージ)において生成された電気信号と、予備系の中継パッケージにおいて生成された電気信号とを比較する。
ステップS6において、切替制御パッケージ15は、2つの電気信号の比較の結果に基づいて、運用系の中継パッケージまたは光信号中継装置101の外部の異常を検出する。
図9は、運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとの電気信号の比較の第1の例を示した図である。「OK」との表記は、信号が正常状態を示すことを表し、「NG」との表記は、信号が異常状態を示すことを表す。
図9を参照して、ポーリングの結果、ある1つの運用系の中継パッケージ(図8において「中継パッケージ N」と表記。以下同じ)において、信号DS_X_SDおよび信号DS_X_SYNCが異常状態を示す。これは、その運用系の中継パッケージにおいて、10G下り信号の受信が異常であることを示す。
この場合、運用系の中継パッケージに入力される10G下り信号と同じ信号が、光セレクタ13によって、中継パッケージ11−r(図9において「中継パッケージ R」と表記。以下同じ)に入力される。切替制御パッケージ15は、運用系の中継パッケージにおいて生成される電気信号と、予備系の中継パッケージにおいて生成される電気信号とを比較する。
運用系の中継パッケージおよび予備系の中継パッケージの両方において、信号DS_X_SDおよび信号DS_X_SYNCが異常状態を示す。運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとで同じ結果が得られるため、切替制御パッケージ15は、外部の異常を検出する。この場合には、切替制御パッケージ15は、OLT201−1が異常である可能性または幹線光ファイバ204−1が異常である可能性を検出する。
図10は、運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとの電気信号の比較の第2の例を示した図である。図10を参照して、ポーリングの結果、運用系の中継パッケージにおいて、信号us_x_syncおよび信号us_x_txdisが異常状態を示す。これは、運用系の中継パッケージにおいて、10G上り信号の受信が異常であることを示す。
運用系の中継パッケージに入力される10G上り信号と同じ信号が、光セレクタ14によって、予備系の中継パッケージに入力される。切替制御パッケージ15は、運用系の中継パッケージにおいて生成される電気信号と、予備系の中継パッケージにおいて生成される電気信号とを比較する。
運用系の中継パッケージおよび予備系の中継パッケージの両方において、信号us_x_syncおよび信号us_x_txdisが異常状態を示す。運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとで同じ結果が得られる。この場合の異常は、運用系の中継パッケージからの10G下り信号の送信の異常、ONUによる10G下り信号の受信の異常、ONUによる10G上り信号の送信の異常である。
図11は、運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとの電気信号の比較の第3の例を示した図である。図11を参照して、ポーリングの結果、運用系の中継パッケージにおいて、信号us_x_txdisが異常状態を示す。これは、運用系の中継パッケージにおいて、10G上り信号の送信が異常であることを示す。
運用系の中継パッケージでは、10G上り信号のための発光が停止される。予備系の中継パッケージが、その運用系の中継パッケージに代わり10G上り信号を中継するように、光セレクタ13,14の各々の経路が切り替えられる。
切替制御パッケージ15は、予備系の中継パッケージによって、10G上り信号が中継されるように、光セレクタ13,14を制御する。
図11に示した例では、予備系の中継パッケージによって生成された信号us_x_txdisが正常状態を示す。すなわち予備系の中継パッケージは正常に動作可能である。したがって、切替制御パッケージ15は、10G信号の中継について、運用系の中継パッケージから予備系の中継パッケージに切り替える。
この場合、運用系の中継パッケージでは、1G上り信号、1G下り信号、10G下り信号の中継に関しては正常である。一実施形態では、運用系の中継パッケージでは、1G上り信号、1G下り信号および10G下り信号の中継を継続しつつ、10G上り信号の中継を停止する。一方で、予備系の中継パッケージは、10G上り信号を中継する。このように、予備系の中継パッケージは、運用系の中継パッケージにおける中継に異常の可能性があった伝送レートと同じレートの光信号のみを中継する。したがって、運用系の中継パッケージにおいても中継処理を継続することができるので、光通信のサービスに与える影響を小さくすることができる。
図11に示された例において、切替制御パッケージ15は、故障した運用系の中継パッケージの全ての中継(1G信号の上り方向および下り方向の中継、ならびに10G信号の上り方向および下り方向の中継)を予備系の中継パッケージに切り替えてもよい。その後、予備系の中継パッケージにも故障が発生した場合に、切替制御パッケージ15は、当該故障した運用系の中継パッケージによる救済が可能かどうかを判断する。救済可能な場合には、当該故障した運用系の中継パッケージに選択的に中継を切り戻してもよい。
すなわち、複数の運用系の中継パッケージの中に、1Gおよび10Gのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継において異常が生じた運用系の中継パッケージが含まれる場合には、その異常の生じた運用系の中継パッケージによる1G信号および10G信号の中継を、予備系の中継パッケージへと切り替える。その後に、予備系の中継パッケージにおいて、1Gおよび10Gのうちの一方の伝送レートでの光信号の中継に異常が生じたとする。この場合には、予備系の中継パッケージで異常が生じた中継(たとえば1G上り信号の中継)が、故障した運用系の中継パッケージにおいて実行可能かどうかが判定される。予備系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継が故障した運用系の中継パッケージにおいて実行可能である場合に、当該異常の生じた中継が、予備系の中継パッケージから運用系の中継パッケージに切り戻される。これにより、予備系の中継パッケージで異常が生じた中継を、故障した元の運用系の中継パッケージに選択的に切り戻すことができる。
故障した運用系の中継パッケージの全ての中継を予備系の中継パッケージに切り替える際、切替制御パッケージ15は、故障が疑われるレートのみ、運用系の中継パッケージから予備系の中継パッケージに即座に切替えてもよい。当該運用系の中継パッケージの残されたレートでの中継については、上位装置との連動などによって、フレームロスの無い方式で予備系の中継パッケージに切替えてもよい。
予備系の中継パッケージでの中継の異常については、運用系の中継パッケージで異常が生じた中継のレートと同じレートでの異常も生じうる。運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとで、同じレートでの中継の異常が発生した場合、予備系の中継パッケージでの中継は、元の運用系の中継パッケージに戻される。さらに別の運用系の中継パッケージで故障が発生した場合、一方のレートで故障した上記の予備系の中継パッケージで救済可能であれば、その予備系の中継パッケージにより救済する。すなわち、別の運用系の中継パッケージにおいて異常の生じた中継(たとえば1G上り信号の中継)が、予備系の中継パッケージによって実行可能であるときに、当該異常の生じた中継が予備系の中継パッケージに切り替えられる。これにより、予備系の中継パッケージを、他の故障した運用系の中継パッケージとの間での光信号の中継の切り替えに用いることができる。
図12は、運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとの電気信号の比較の第4の例を示した図である。図12を参照して、ポーリングの結果、運用系の中継パッケージにおいて、信号us_x_sync,us_x_txdis,us_g_sync,us_g_txdisが異常状態を示す。これは、10G上り信号、1G上り信号のいずれの同期も異常であることを示す。
運用系の中継パッケージに入力される10G上り信号と同じ信号が、光セレクタ14によって、予備系の中継パッケージに入力されるように光セレクタ14が制御される。予備系の中継パッケージによって生成された信号us_x_sync,us_x_txdis,us_g_sync,us_g_txdisは異常状態を示す。すなわち、運用系の中継パッケージと予備系の中継パッケージとで電気信号を比較すると、同じ結果が得られる。この場合、たとえばONU側の異常が考えられる。したがって、運用系の中継パッケージから予備系の中継パッケージへの切替えは行われない。
上記の通り、本発明の一態様によれば、光信号中継装置は、光信号の中継に関する処理を実行して各々が第1の電気信号を出力するように構成された複数の運用系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージの各々と交換可能、かつ、中継に関する処理を実行することにより第2の電気信号を出力するように構成された予備系の中継パッケージと、複数の運用系の中継パッケージのうち選択された、判定対象の中継パッケージから出力される第1の電気信号と、第2の電気信号とを比較して、判定対象の中継パッケージの故障を判定するように構成された故障判定部とを備える。
また、本発明の一態様によれば、光信号中継装置の故障判定方法は、光信号の中継に関する処理を実行して各々が第1の電気信号を出力するように構成された複数の運用系の中継パッケージの中から、判定対象の中継パッケージを選択するステップと、判定対象の中継パッケージから第1の電気信号を出力するステップと、複数の運用系の中継パッケージと交換可能に構成された予備系の中継パッケージが第2の電気信号を、中継に関する処理を実行することにより出力するステップと、第1の電気信号と、第2の電気信号とを比較して、判定対象の中継パッケージの故障を判定するステップとを備える。
これにより、自己監視によって故障の有無を検出可能な光信号中継装置を実現することができる。
さらに、本発明の一実施形態では、判定対象の中継パッケージに故障の可能性がある場合に、予備系の中継パッケージは、判定対象の中継パッケージの動作を模倣して、第2の電気信号を出力する。故障判定部は、第1の電気信号と第2の電気信号とを比較する。
これにより、判定対象の中継パッケージを動作させたまま、その中継パッケージの故障の有無を判定することができる。したがって、中継動作への影響を小さくする、あるいは中継動作への影響をなくすことができる。
さらに、本発明の一実施形態では、故障判定部は、第1の電気信号と第2の電気信号とがともに異常である場合には、光信号中継装置の外部が異常であると判定する。
これにより、第1および第2の電気信号によって、光信号中継装置の外部の要因による、中継処理の異常を検出することができる。
さらに、本発明の一実施形態では、故障判定部は、複数の運用系の中継パッケージに対してポーリングを実行して、判定対象の中継パッケージを選択する。
これにより、複数の運用系の中継パッケージの各々が正常であるかどうかをポーリングによって順に確かめることができる。したがって、判定対象の中継パッケージの選択を容易にすることができる。
さらに、本発明の一実施形態では、複数の運用系の中継パッケージは、第1の方向にそれぞれ伝送される複数の第1の光信号および、第1の方向とは逆の第2の方向にそれぞれ伝送される複数の第2の光信号を中継するように構成される。光信号中継装置は、複数の第1の光信号のうち予備系の中継パッケージに入力されるべき光信号を選択するように構成された第1の光セレクタと、複数の第2の光信号のうち予備系の中継パッケージに入力されるべき光信号を選択するように構成された第2の光セレクタとをさらに備える。第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの各々は、機械的に駆動されることにより、複数の第1の光信号または複数の第2の光信号のうちの1つの光信号を予備系の中継パッケージに導くように構成された光学部品を含む。第1の光セレクタおよび第2の光セレクタのうちの一方が、予備系の中継パッケージに1つの光信号を入力するように、光学部品を駆動する。
これにより、第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの一方を動作させることによって、判定対象の中継パッケージに入力される光信号と同じ光信号を、予備系の中継パッケージに入力することができる。したがって、予備系の中継パッケージを動作させることができる。第1の電気信号および第2の電気信号の比較により、判定対象の中継パッケージの故障の有無を判定することができる。
第1の光セレクタおよび第2の光セレクタは、機械的に駆動される光学部品を有する。第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの一方では光学部品が駆動されるものの、他方の光セレクタでは、光学部品を駆動することを要しない。これによって、第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの各々において光学部品が頻繁に駆動されることを防ぐことができる。この結果、第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの寿命をより長くすることができる。
さらに、本発明の一実施形態では、複数の運用系の中継パッケージは、第1の方向にそれぞれ伝送される複数の第1の光信号および、第1の方向とは逆の第2の方向にそれぞれ伝送される複数の第2の光信号を中継するように構成される。光信号中継装置は、複数の第1の光信号のうち予備系の中継パッケージに入力されるべき光信号を選択するように構成された第1の光セレクタと、複数の第2の光信号のうち予備系の中継パッケージに入力されるべき光信号を選択するように構成された第2の光セレクタとをさらに備える。第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの各々は、機械的に駆動されることにより、複数の第1の光信号または複数の第2の光信号のうちの1つの光信号を予備系の中継パッケージに導くように構成された光学部品と、1つの光信号を予備系の中継パッケージに導くための光学部品の駆動を節約する駆動節約部とを含む。
これにより、光学部品を駆動する場合に、たとえば光学部品の移動距離を短くするなど、光学部品の機械的駆動を節約することができる。この結果、第1の光セレクタおよび第2の光セレクタの寿命をより長くすることができる。「節約」は移動距離の節約に限定されず、たとえば、消費電力の節約も上記の「節約」に含むことができる。
なお、1G信号のONU TRX(光トランシーバ31)と10G信号のONU TRX(光トランシーバ32)とは一体化されていてもよい。この場合、E/O変換機能を1つにすることができる。一体化されたONU TRXには、1G信号の送信指示と10G信号の送信指示とのOR(論理和)を与えればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。