以下、図面を参照して、本発明の電動工具の実施の形態の一例であるインパクトドライバについて説明する。
<本実施の形態のインパクトドライバの全体構成例>
図1は、本実施の形態のインパクトドライバの一例を示す全体構成図、図2は、本実施の形態のインパクトドライバの一例を示す外観側面図である。また、図3は、本実施の形態のインパクトドライバの一例を示す一部破断断面図、図4は、本実施の形態のインパクトドライバの一例を示す要部分解斜視図である。
本実施の形態のインパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2と、ブラシレスモータ2等を冷却するファン3を備える。また、インパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2の駆動力が減速機4及びハンマーユニット5を介して伝達されるアンビル6を備える。
更に、インパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2を動作させるスイッチ7と、ブラシレスモータ2の正転と逆転を切り替える正逆切り替えスイッチ8を備える。また、インパクトドライバ1Aは、電源であるバッテリ90が着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部9を備える。
更に、インパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2の外装及び軸受等、ブラシレスモータ2の構造体の一部を構成し、かつ、インパクトドライバ1A全体の外装を構成するハウジング10を備える。
また、インパクトドライバ1Aは、スイッチ7及び正逆切り替えスイッチ8等が設けられるハンドル10Hを備える。
更に、インパクトドライバ1Aは、スイッチ7及び正逆切り替えスイッチ8の操作に従いブラシレスモータ2等を制御する制御回路が形成された制御基板100と、ブラシレスモータ2を駆動する駆動回路が形成された駆動基板101を備える。
インパクトドライバ1Aは、ハンドル10Hが延在する方向を上下方向としたとき、ハンドル10Hの上側に駆動部であるブラシレスモータ2、被駆動部であるファン3、減速機4、ハンマーユニット5及びアンビル6が設けられる。また、インパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2の後述する軸方向に対し、所定の角度で交差する方向にハンドル10Hが延在する。更に、インパクトドライバ1Aは、ハンドル10Hを把持した手で操作可能なハンドル10Hの上部前面にスイッチ7が設けられ、上部両側面に正逆切り替えスイッチ8が設けられる。
<本実施の形態のブラシレスモータの構成例>
図5及び図6は、本実施の形態のブラシレスモータの一例を示す斜視図であり、各図を参照して、本実施の形態のブラシレスモータ2について説明する。
ブラシレスモータ2はモータの一例で、回転子20と、回転子20の周囲に固定子21を備える。回転子20は、駆動部の出力軸である軸20aを中心とした円周方向に沿って所定の配置で永久磁石が設けられる。
以下の説明では、軸20aに沿った方向をブラシレスモータ2の軸方向と称し、ブラシレスモータ2の軸方向をインパクトドライバ1Aの前後方向と称す。また、軸20aに直交する方向をブラシレスモータ2の径方向と称す。
固定子21は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った位置、及び回転方向の位置を規制する位置規制部21aを備える。位置規制部21aは、固定子21の外周に、ブラシレスモータ2の径方向に突出する凸部を設けて構成される。
また、固定子21は、軸20aを中心とした円周方向に沿って所定の配置で駆動コイル22を備える。固定子21は、本例では60°間隔で円周方向に並ぶ6つのスロット22aを備え、各スロット22aに導線22bが巻かれてスロット22aの位置に駆動コイル22が構成される。固定子21は、各駆動コイル22の間に、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った空隙部23を備える。ブラシレスモータ2は、駆動コイル22に所定のパターンで電流を流すことで、回転子20が回転する。
ブラシレスモータ2は、回転子20の回転位置を検出するセンサ基板102を備える。センサ基板102は、回転子20に設けた永久磁石の磁気変化を検知するホールセンサ102aを備える。ホールセンサ102aは、軸20aを中心とした円周方向に沿って所定の配置で、回転子20及び固定子21に対向する面とは反対側の面に設けられる。本例では120°間隔で円周方向に並ぶ3つのホールセンサ102aを備える。
固定子21は、スロット22aの形成位置に合わせて基板取付部27が設けられる。基板取付部27は、固定子21の一方の端面からブラシレスモータ2の軸方向に突出し、固定子21に対して所定の空間を設けてセンサ基板102が取り付けられる。
センサ基板102がネジ27aで基板取付部27に取り付けられると、センサ基板102と固定子21との間に、空隙部23と繋がる空気口28が形成される。
ファン3は、ブラシレスモータ2の後方に延在する軸20aに取り付けられ、回転子20と一体に回転する。ファン3は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った後面側に、軸受部24が入る凹部30を備える。
軸受部24は、ブラシレスモータ2の後方に延在する軸20aが挿入されるベアリング24aと、ベアリング24aを支持する後述する軸支持部12Bを備える。
ブラシレスモータ2は、ハウジング10の側面に設けた第1の通気口10aから吸い込まれた空気が、空気口28から空隙部23を通り、ハウジング10の後部側面に設けた第2の通気口10bから排出される空気の流路が形成される。ブラシレスモータ2は、空気口28と第1の通気口10aが、円周方向に位置をずらして設けられ、空気口28が第1の通気口10aに直接露出しない構成である。これにより、空気の流れが阻害されることを抑制しつつ、固定子21内に粉塵等が吸い込まれることを抑制することができる。
<本実施の形態のブラシレスモータの作用効果例>
ブラシレスモータ2は、回転子20が回転することでファン3が回転すると、第1の通気口10aから吸い込まれた空気が、空気口28から空隙部23を通り、第2の通気口10bから排出されることで、駆動コイル22等が冷却される。
ホールセンサを使用するブラシレスモータで、固定子にセンサ基板を取り付ける構成では、スロットの間に基板取付部が設けられていると、基板取付部が駆動コイルの間に通る空気の妨げになり、冷却性が低下する。
これに対し、ブラシレスモータ2では、スロット22aの形成位置に合わせて基板取付部27が設けられることで、基板取付部27が空気口28から駆動コイル22の間に通る空気の妨げにならず、駆動コイル22等の冷却性が向上する。
また、ホールセンサを使用するブラシレスモータで、ホールセンサが回転子側に設けられる構成では、センサ基板と固定子との間の空気口から吸い込まれる空気に含まれる粉塵がホールセンサに接触し、ホールセンサが損傷する可能性がある。
また、インパクトドライバの軸方向に沿った長さを短くするため、センサ基板と回転子の距離を近づける配置とすると、各部品の組み付けのガタや長期間の使用での部品の摩耗等により、ホールセンサと回転子が近づき、ホールセンサが回転子に接触し、ホールセンサが損傷する可能性がある。
これに対し、センサ基板102において、ホールセンサ102aを回転子20及び固定子21に対向する面とは反対側の面に設けることで、空気口28から駆動コイル22間に吸い込まれる空気の流路中にホールセンサ102aが存在せず、空気口28から吸い込まれる空気に含まれる粉塵がホールセンサ102aに接触しない。
また、センサ基板102と回転子20の距離を近づける配置としても、経年劣化等でホールセンサ102が回転子20に接触することはない。更に、上述したように、スロット22aの形成位置に合わせて基板取付部27が設けられることで、空気口28の軸方向に沿った長さを短くしても、駆動コイル22等の冷却性の低下が抑制される。これにより、センサ基板102と回転子20の距離を近づける配置として、インパクトドライバ1Aの軸方向に沿った長さを短くすることができる。
<本実施の形態の減速機の構成例>
減速機4は被駆動部の一例で、本例では遊星ギアで構成され、入力軸を構成するブラシレスモータ2の前方に延在する軸20aと連結されるサンギア40と、サンギア40とかみ合うプラネタリギア41と、プラネタリギア41とかみ合うインターナルギア42を備える。
インターナルギア42は被駆動部構造体の一例で、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った固定子21の位置、及び、ブラシレスモータ2の径方向に沿ったインターナルギア42の位置を規制する第1の位置規制部42aを備える。また、インターナルギア42は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿ったインターナルギア42の位置を規制する第2の位置規制部42bを備える。
第1の位置規制部42aは、インターナルギア42の外周に、ブラシレスモータ2の径方向に突出すると共に、固定子21が設けられる側である後方へ軸方向に突出する凸部を設けて構成される。第2の位置規制部42bは、インターナルギア42の外周前方に、ブラシレスモータ2の径方向に突出する凸部を設けて構成される。
インターナルギア42は、ブラシレスモータ2の前方に延在する軸20aが挿入されるベアリング25を支持する軸支持部42cを備える。軸支持部42cは、インターナルギア42のブラシレスモータ2と対向する後面側から軸方向に突出し、ブラシレスモータ2の構造体であるセンサ基板102に設けた開口102bに入る。回転子20は、ブラシレスモータ2の前方に延在する軸20aが、インターナルギア42に設けたベアリング25で回転可能に支持される。また、インターナルギア42は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った軸支持部42cの反対側に突起部42dが設けられる。
<本実施の形態のハンマーユニットの構成例>
ハンマーユニット5は被駆動部の一例で、ブラシレスモータ2の駆動力が減速機4を介して伝達されるスピンドル50を備える。スピンドル50は、プラネタリギア41が取り付けられるプラネタリキャリアであり、減速機4の出力軸を構成する。スピンドル50は、インターナルギア42に設けたベアリング26で回転可能に支持される。
また、ハンマーユニット5は、アンビル6に回転方向への打撃力を与えるハンマー51aと、ハンマー51aをアンビル6へ近づく方向に付勢する圧縮バネ51bを備える。ハンマーユニット5は、ハンマー51a、圧縮バネ51b及びアンビル6が、ハンマーユニットケース52に収納される。
ハンマーユニット5は、アンビル6に所定以上の負荷が掛かると、ハンマー51aが圧縮バネ51bを圧縮しながら後退することで、アンビル6とハンマー51aとの回転方向の係止が一時的に解除された後、圧縮バネ51bが復元する力でハンマー51aが前進すると共に、ハンマー51aがアンビル6を回転方向に打撃する。
アンビル6は出力軸の一例で、ブラシレスモータ2の軸20aと同軸上に、シール付ニードルベアリング60を介してハンマーユニットケース52に回転可能に支持され、ブラシレスモータ2の駆動力を、ハンマーユニット5を介して受けて回転すると共に、ハンマーユニット5により回転方向に打撃される。
アンビル6は、図示しないビットあるいはソケット等が着脱可能に装着されることで、回転方向への打撃を加えながら被締結物へのネジの締結が可能である。
<本実施の形態のハウジングの構成例>
図7〜図10は、本実施の形態のハウジングの一例を示す斜視図であり、各図を参照して、本実施の形態のハウジング10について説明する。ハウジング10は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った前後に分割される形状で、前ハウジング11Fと後ハウジング11Rを備える。
後ハウジング11Rは第1のハウジングの一例で、ブラシレスモータ2の外装を構成するモータケース部12Rと、ハンドル10Hを構成するハンドル部13Rを備える。後ハウジング11Rは、モータケース部12Rとハンドル部13Rが樹脂の一体成形で構成され、前ハウジング11Fが取り付けられる分割面14Rが所定の形状で開口する。
後ハウジング11Rは、上述した軸受部24を構成する軸支持部12Bを備える。支持部12Bは、モータケース部12Rの後面の内側に、ベアリング24aが嵌る形状の凸部を設けて構成される。軸支持部12Bは、ブラシレスモータ2の軸方向に沿ったベアリング24aの厚さに合わせて、モータケース部12Rの後面から内側に向けて突出する。そして、軸支持部12B及び軸支持部12Bに支持されたベアリング24aは、ファン3の凹部30に入る形態となる。
後ハウジング11Rは、固定子21及びインターナルギア42を支持する固定子支持部120と、インターナルギア42を支持するインターナルギア支持部121を備える。
固定子支持部120は固定子支持部である支持部の一例で、モータケース部12Rの側面の内側に、ブラシレスモータ2の軸方向に沿って延在する凹状の溝部を設けて構成される。固定子支持部120は、固定子21の位置規制部21aと、インターナルギア42の第1の位置規制部42aが挿入される。
固定子支持部120は、固定子21の位置規制部21aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った端面が接し、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った固定子21の位置を規制する第1の規制部120aを備える。
また、固定子支持部120は、固定子21の外周及びインターナルギア42の外周面が接し、ブラシレスモータ2の径方向に沿った固定子21及びインターナルギア42の位置を規制する第2の規制部120bを備える。更に、固定子支持部120は、固定子21の位置規制部21a及びインターナルギア42の第1の位置規制部42aの側面が接し、ブラシレスモータ2の回転方向に沿った固定子21及びインターナルギア42の位置を規制する第3の規制部120cを備える。
インターナルギア支持部121は被駆動部支持部である支持部の一例で、モータケース部12Rの内面に、ブラシレスモータ2の径方向に凹状となる段差部を設けて構成され、インターナルギア42の第2の位置規制部42bが挿入される。
インターナルギア支持部121は、インターナルギア42の第2の位置規制部42bにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った端面が接し、ブラシレスモータ2の軸方向に沿ったインターナルギア42の位置を規制する第1の規制部121aを備える。
前ハウジング11Fは第2のハウジングの一例で、ハンマーユニット5の外装を構成するハンマーケース部12Fと、ハンドル10Hを構成するハンドル部13Fを備える。前ハウジング11Fは、ハンマーケース部12Fとハンドル部13Fが樹脂の一体成形で構成され、後ハウジング11Rに取り付けられる分割面14Fが所定の形状で開口する。
前ハウジング11Fは、ハンマーユニット5が取り付けられるハンマー取付部122を備える。ハンマー取付部122は、ハンマーケース部12Fの内面に、ブラシレスモータ2の径方向に凹状となり、ハンマーユニットケース52が嵌る形状の段差部を設けて構成される。
後ハウジング11Rは、前ハウジング11Fを後ハウジング11Rに取り付けるネジ15が締結される穴部16Rを備える。また、前ハウジング11Fは、ネジ15が挿入される穴部16Fを備える。
穴部16R及び穴部16Fとネジ15は、後ハウジング11Rと前ハウジング11Fを一体にする係止部の一例である。前ハウジング11Fと後ハウジング11Rが前後に分割される形状であるので、ネジ15は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿って前ハウジング11Fと後ハウジング11Rを締結する。
このため、穴部16Rは、ブラシレスモータ2の軸方向に沿って延在する。また、穴部16Rは、モータケース部12Rとハンドル部13Rの両方に設けられる。モータケース部12Rに設けられる穴部16Rは、ブラシレスモータ2の径方向において、固定子支持部120に取り付けられる固定子21及びインターナルギア支持部121に取り付けられるインターナルギア42の外側に設けられる。
穴部16Fは、ブラシレスモータ2の軸方向に沿って延在し、後ハウジング11Rの穴部16Rの位置に合わせて設けられる。
前ハウジング11F及び後ハウジング11Rは、制御基板100が取り付けられる制御基板取付部18bと、駆動基板101が取り付けられる駆動基板取付部18aを備える。制御基板取付部18bは、ハンドル10Hの下側で、バッテリ取付部9の上側に設けられる。駆動基板取付部18aは、ハンドル10Hの上側で、モータケース部12R及びハンマーケース部12Fの下側に設けられる。
制御基板100は、制御基板ケース100aに収納され、図示しない樹脂で封止されることで、電子部品の防水、防塵が行われる。また、駆動基板101も同様に、駆動基板ケース101aに収納され、図示しない樹脂で封止されることで、電子部品の防水、防塵が行われる。
制御基板100と駆動基板101は、信号線100bにより接続される。また、駆動基板101とセンサ基板102は、信号線102cで接続される。更に、バッテリ取付部9に露出する電源ピン92と駆動基板101が、電源線101bで接続される。また、駆動基板101と各駆動コイル22が、センサ基板102を介して駆動線101cで接続される。
<本実施の形態のハウジングの作用効果例>
固定子21は、位置規制部21aが固定子支持部120に挿入されて、後ハウジング11Rのモータケース部12Rに取り付けられる。
また、インターナルギア42は、第1の位置規制部42aが固定子支持部120に挿入され、第2の位置規制部42bがインターナルギア支持部121に挿入されて、後ハウジング11Rのモータケース部12Rに取り付けられる。
ハンマーユニット5は、前ハウジング11Fに設けたハンマー取付部122に挿入されて、前ハウジング11Fのハンマーケース部12Fに取り付けられる。
後ハウジング11Rに前ハウジング11Fが取り付けられ、ネジ15が穴部16Rに締結されると、インターナルギア42がハンマーユニットケース52で軸方向に押圧される。これにより、インターナルギア42の第2の位置規制部42bが、インターナルギア支持部121の第1の規制部121aに接した状態で、インターナルギア42が後ハウジング11Rに固定される。また、前ハウジング11Fにハンマーユニット5が固定される。
ハウジングが左右に分割する形態であると、ネジが締結される穴部を設ける位置が、固定子とインターナルギアの間等、被駆動部構造体の間となる。このため、軸方向に沿った長さが長くなる。
これに対し、前ハウジング11Fと後ハウジング11Rが前後に分割される形状では、穴部16Rは、ブラシレスモータ2の径方向において、固定子支持部120に取り付けられた固定子21及びインターナルギア支持部121に取り付けられたインターナルギア42の外側に設けることができる。
これにより、固定子21とインターナルギア42の間等、被駆動部構造体の間に穴部16Rを設ける必要が無く、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。なお、本例では、固定子21とインターナルギア42が同一の固定子支持部120で後ハウジング11Rに支持される構成としたが、固定子21とインターナルギア42が異なる支持部で後ハウジング11Rに支持される構成でも、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。また、固定子21とインターナルギア42の一方が支持部で後ハウジング11Rに支持される構成でも、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。
従来のインパクトドライバでは、アンビルはメタルブッシュを介して支持され、オイルシールで封止していた。これに対し、本実施の形態のインパクトドライバ1Aでは、アンビル6をシール付ニードルベアリング60で支持する構成とした。これにより、別部品としてオイルシールが不要となり、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。
また、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮するため、ブラシレスモータ2の軸20aにインターナルギア42を支持するベアリング25と、インターナルギア42にスピンドル50を支持するベアリング26間を短くすると、インターナルギア42が薄くなり、強度が低下する可能性がある。
そこで、インターナルギア42は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った軸支持部42cの反対側に突起部42dを設けた。これにより、インターナルギア42において、ベアリング25の支持箇所とベアリング26の支持箇所の間の長さを短くしつつ、強度が必要な箇所については、所定の厚さを確保して、インターナルギア42の強度を保つことができる。
なお、本実施の形態では、駆動部の出力軸であるブラシレスモータ2の軸20aと、被駆動部の出力軸である減速機4のスピンドル50及びアンビル6が同軸上に配置される構成とした。これに対し、例えば、減速機4の入力軸と出力軸が非同軸である構成で、ブラシレスモータ2の軸20aの軸方向と、アンビル6の軸方向を、上下あるいは左右方向へ平行に位置をずらした配置としても良い。
このように、駆動部の出力軸と被駆動軸の出力軸が平行であれば、各出力軸の軸方向に沿って後ハウジング11Rと前ハウジング11Fが前後方向に分割されることになり、駆動部の出力軸と被駆動部の出力軸が同軸であっても非同軸であっても、出力軸の軸方向に沿った長さを短くすることができる。
また、ハウジングが左右に分割する形態であると、ブラシレスモータの軸に挿入されたベアリングの支持部が、軸方向に直交する左右に分割された形状となる。このため、軸方向に沿ってベアリングの前後に設けられた部材の間に、支持部が通る空間を設けなければ、ハウジングを組み立てることができない。これにより、ベアリングの前後の部材の間に、ベアリングの厚さ以上の空間が必要であり、インパクトドライバの軸方向に沿った長さが長くなる。
これに対し、前ハウジング11Fと後ハウジング11Rが前後に分割される形状では、軸方向に沿ってベアリング24aの前後に設けられた部材の一方であるファン3の凹部30に、ベアリング24a及びベアリング24aを支持する軸支持部12Bが入る形態とすることができる。
これにより、ベアリング24aの前後に設けられた部材の他方であるモータケース部12Rの後面と、ファン3との間に、ベアリング24aの厚さ以上の空間は不要であり、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。本例では、ファン3とモータケース部12Rの後面との間には、ファン3の回転に必要で、かつ、所定の空気の流れを発生させるために必要な空間が形成されていれば良い。
更に、軸支持部12Bは、ファン3の凹部30に入る形態となるので、モータケース部12Rの後面から内側に向けて突出し、モータケース部12Rの後面において、外側に向けての突出が抑制された形状とすることができる。これにより、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。
また、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った挿入で後ハウジング11Rに取り付けられるインターナルギア42に、ベアリング25の軸支持部42cを備えたことで、センサ基板102に設けた開口102bに、軸支持部42cが入る形態とすることができる。
これにより、センサ基板102とインターナルギア42との間に、ベアリング25の厚さ以上の空間は不要であり、インパクトドライバ1Aにおいて、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った長さを短縮できる。なお、前ハウジング11Fと後ハウジング11Rの分割面14F、14Rは、前ハウジング11Fと後ハウジング11Rが前後に分割される形状であれば、ブラシレスモータ2の軸方向と直交する方向に対して傾斜していても良い。
左右に分割されるハウジングにおいて、軸受が設けられる部位を前後方向に分割た構成、及び、ハウジングを前後方向に分割した構成の何れも、固定子が支持されるハウジングと軸受が支持されるハウジングが別の部品であり、回転子の軸の一方の側と他方の側も、異なるハウジングに設けた軸受で支持されるので、固定子と回転子の径方向の精度を向上させることが困難である。
これに対し、固定子21とインターナルギア42は、固定子支持部120の第2の規制部120bによって、ブラシレスモータ2の径方向に沿った位置が規制される。固定子21とインターナルギア42は、単一の部材であるモータケース部12Rの固定子支持部120によって径方向の位置が規制されるので、固定子21とインターナルギア42との間での径方向の位置精度が向上する。
また、回転子20は、ブラシレスモータ2の後方に延在する軸20aが、後ハウジング11Rのモータケース部12Rに設けた軸支持部12Bにベアリング24aで回転可能に支持され、ブラシレスモータ2の前方に延在する軸20aが、インターナルギア42に設けたベアリング25で回転可能に支持される。
軸支持部12Bは、モータケース部12Rと一体成形で構成され、また、上述したように、固定子21とインターナルギア42との間での径方向の位置精度が向上しているので、回転子20と固定子21との間での径方向の位置精度が向上する。これにより、回転子20の外周と固定子21の駆動コイル22との隙間を小さくでき、トルクを向上させることができる。
なお、本例では、固定子21とインターナルギア42が同一の固定子支持部120で後ハウジング11Rに支持されることで、固定子21とインターナルギア42との間での径方向の位置精度を向上させる構成とした。これに対し、固定子21を支持部で後ハウジング11Rに支持し、固定子21に設けた支持部でインターナルギア42を支持する構成としても、後ハウジング11Rで固定子21とインターナルギア42を支持する構成となって、固定子21とインターナルギア42との間での径方向の位置精度を向上させることができる。また、インターナルギア42を支持部で後ハウジング11Rに支持し、インターナルギア42に設けた支持部で固定子21を支持する構成としても、後ハウジング11Rで固定子21とインターナルギア42を支持する構成となって、固定子21とインターナルギア42との間での径方向の位置精度を向上させることができる。
更に、インターナルギア42は、第2の位置規制部42bがインターナルギア支持部121の第1の規制部121aに接することで、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った位置が規制される。
また、固定子21は、固定子支持部120の第1の規制部120aと、インターナルギア42の第1の位置規制部42aの間に、位置規制部21aが入ることで、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った位置が規制される。
インパクトドライバ1Aでは、ハンマーユニット5のハンマーユニットケース52で、インターナルギア42をインターナルギア支持部121に押圧するため、ハンマーユニット5で発生した振動がインターナルギア42に伝達される。ハンマーユニット5で発生した振動が、インターナルギア42を介して固定子21に伝達されると、固定子21に過大な負荷が掛かり、駆動コイル22の導線22bが断線する等の障害が発生する可能性がある。
また、ハウジングを固定するネジを固定子に通す構成、また、ハウジングを固定するネジを固定子に締結する構成では、ハンマーユニットで発生した振動がハウジング及びネジを介して固定子に伝達され、固定子に過大な負荷が掛かる。
そこで、インターナルギア42の第2の位置規制部42bが、インターナルギア支持部121の第1の規制部121aに接した状態で、固定子21の位置規制部21aと固定子支持部120の第1の規制部120aとの間、固定子21の位置規制部21aとインターナルギア42の第1の位置規制部42aとの間の少なくとも一方には所定の隙間Gが設けられる構成とした。また、ネジ15が締結される穴部16Rを、ブラシレスモータ2の径方向において固定子21の外側のモータケース部12Rに設け、固定子21には、ネジ15が締結、挿入される穴部を設けない構成とした。
これにより、インターナルギア42の第1の位置規制部42aから固定子21の位置規制部21aに直接振動が伝達されることが抑制され、また、固定子21の径方向の位置精度を確保しつつ、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った固定子21の移動が許容されるので、固定子21に掛かる負荷が低減される。
<本実施の形態のバッテリ取付部の構成例>
図11及び図12は、本実施の形態のバッテリ取付部の一例を示す構成図で、図11は、本実施の形態のバッテリ取付部を示すインパクトドライバの要部側断面図、図12は、本実施の形態のバッテリ取付部を示すインパクトドライバの要部正面図である。また、図13は、バッテリの一例を示す構成図である。
まず、バッテリ90の構成について説明すると、バッテリ90は、図2、図11に示すように、矢印Aで示す前後方向への移動でインパクトドライバ1Aに挿抜される。バッテリ90の挿抜方向は、本例では、ブラシレスモータ2の軸方向と平行としたが、これに限るものではない。バッテリ90は、図13(c)に示すように、矢印Bで示す左右方向の両側に、外側方向に突出する一対のガイド凸部91と、内側方向に窪む一対のガイド凹部92を備える。
ガイド凸部91とガイド凹部92は、矢印Aで示すバッテリ90の挿抜方向に沿って延在する。尚、バッテリ90は、後述する機能部品支持部材17と係合する識別部91aを備える。識別部91aは、本例では、一方のガイド凸部91においてバッテリ90の挿入方向の先端側に切欠きを設けて構成される。
次に、各図を参照して、本実施の形態のバッテリ取付部について説明する。インパクトドライバ1Aは、ハンドル10Hの下部にバッテリ90を取り付けるためのバッテリ取付部9を備える。バッテリ取付部9は、図12に矢印Bで示す左右方向の両側に一対のガイドレール部9Aを備える。ガイドレール部9Aはレール部の一例で、後ハウジング11Rに後レール部9Rを備え、前ハウジング11Fに前レール部9Fを備える。
後レール部9Rは、上述したバッテリ90のガイド凹部92に嵌る形状の一対の凸部を設けて構成される。また、前レール部9Fは、上述したバッテリ90のガイド凹部92に嵌る形状の一対の凸部を設けて構成される。
後レール部9Rは第1のレール部の一例で、矢印Aで示すバッテリ90の挿抜方向であるインパクトドライバ1Aの前後方向に沿って延在する。後レール部9Rは、バッテリ90のガイド凸部91と対向する第1の支持面9Rd1と第2の支持面9Rd2を備える。
バッテリ取付部9は、前レール部9F側からバッテリ90が挿抜される。後レール部9Rは、バッテリ90の挿入方向に対して手前側に第1の支持面9Rd1を備え、バッテリ90の挿入方向に対して奥側に第2の支持面9Rd2を備える。バッテリ取付部9は、後レール部9Rの第1の支持面9Rd1及び第2の支持面9Rd2と対向してガイド面9Ruが形成される。後レール部9Rは、第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間隔が、第1の支持面9Rd1とガイド面9Ruとの間隔より狭く構成される。
前レール部9Fは第2のレール部の一例で、矢印Aで示すバッテリ90の挿抜方向であるインパクトドライバ1Aの前後方向に沿って延在する。前レール部9Fは、バッテリ90のガイド凸部91と対向する支持面9Fdを備える。バッテリ取付部9は、前レール部9Fの支持面9Fdと対向してガイド面9Fuが形成される。
バッテリ取付部9は、前ハウジング11Fが後ハウジング11Rに取り付けられると、本例では、前レール部9Fと後レール部9Rが繋がる。これにより、バッテリ取付部9は、後レール部9Rの第1の支持面9Rd1及び第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間の凹部、前レール部9Fの支持面9Fdとガイド面9Fuとの間の凹部が繋がり、矢印Aで示すバッテリ90の挿抜方向に沿って延在するガイドレール部9Aが構成される。
バッテリ90は、ガイド凸部91がバッテリ取付部9のガイドレール部9Aに係合することで、バッテリ取付部9に対してスライド可能にガイドされる。バッテリ90は、ガイドレール部9Aにガイド凸部91が嵌ることで、ガイド凸部91が後レール部9Rの第1の支持面9Rd1及び第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間に挟持される。また、バッテリ90は、ガイド凸部91が前レール部9Fの支持面9Fdとガイド面9Fuとの間に挟持される。
<本実施の形態のバッテリ取付部の作用効果例>
上述したように、ハウジング10が前後方向に分割された形状としたことで、前ハウジング11Fの形状は、分割面14Fに対し前後方向に沿って凹状となる。また、後ハウジング11Rの形状は、分割面14Rに対し前後方向に沿って凹状となる。
このため、前ハウジング11Fを図示しない金型で成形する際には、金型を抜く方向が、前レール部9Fが延在する方向となる。また、後ハウジング11Rを図示しない金型で成形する際には、金型を抜く方向が、後レール部9Rが延在する方向となる。
金型から樹脂の成型品を抜くためには、金型を抜く方向に沿った面について、抜き勾配と称す傾斜を持たせる必要がある。これにより、前レール部9Fについては、支持面9Fdとガイド面9Fuとの間隔が、分割面14Fに向かって広がる方向に抜き勾配が設けられる。また、後レール部9Rについても、第1の支持面9Rd1とガイド面9Ruとの間隔、及び、第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間隔が、分割面14Rに向かって広がる方向に抜き勾配が設けられる。
従って、前レール部9Fは、支持面9Fdとガイド面9Fuとの間隔を、バッテリ90の挿抜方向に沿った前後方向で一定に成形することができない。また、後レール部9Rは、第1の支持面9Rd1とガイド面9Ruとの間隔、及び、第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間隔を、バッテリ90の挿抜方向に沿った前後方向で一定に成形することができない。
このように、分割面14Rに近付くほどバッテリ90のガイド凸部91と後レール部9Rとの対向する面の隙間が大きくなってしまうため、バッテリ90ががたついてしまうという問題が生じる。
そこで、バッテリ90のガイド凸部91が、前レール部9Fの支持面9Fdとガイド面9Fuとの間に挟持されると共に、バッテリ90の挿入方向に沿って奥側に位置する後レール9Rの第2の保持面9Rd2とガイド面9Ruとの間に挟持される形状とした。
従って、前後に分割されたハウジング10において、ガイドレール部9Aの前端部付近と後端部付近の2点でバッテリ90のガイド凸部91が保持されるので、バッテリ90がバッテリ取付部9に取り付けられた状態で、バッテリ90ががたつくことが抑制される。
これにより、レール部に保持面を備え、バッテリのがたつきを抑制可能なハウジングを、金型を使用して成型することができる。なお、前後に分割されたハウジング10において、ガイドレール部9Aの前端部付近と後端部付近の2点でバッテリ90のガイド凸部91が保持される構成であれば、前レール部9Fと後レール部9Rが分割していても良い。但し、前レール部9F側からバッテリ90を挿抜できるようにするため、前レール部9Fにおける支持面9Fdとガイド面9Fuとの間隔が、後レール部9Rにおける第1の支持面9Rd1及び第2の支持面9Rd2とガイド面9Ruとの間隔と同等、あるいは広くなるように構成される。
<本実施の形態の機能部品の構成例>
インパクトドライバ1Aは、手が通されるストラップ10Sと、ベルト等の被係止部に掛けられるフック10Gをバッテリ取付部9に備える。
ストラップ10Sは機能部品の一例で、利き手によらず手を通してハンドル10Hを握れるようにするため、バッテリ取付部9の後面側に取り付けられる。
フック10Gは機能部品の一例で、利き手に応じて体の右側あるいは左側の何れかにインパクトドライバ1Aを掛けられるようにするため、ハンドル10Hの左右を選んで取り付けが可能である。このため、ハンドル10Hは、バッテリ取付部9の左右両側にフック取付部10Gaを備える。
インパクトドライバ1Aは、異なる機能部品であるストラップ10Sとフック10Gを支持可能な機能部品支持部材17と、機能部品支持部材17が取り付けられる機能部品取付部11Rdを備える。機能部品取付部11Rdは、後ハウジング11Rの内面に、ガイドレール部9Aの位置に合わせて設けられる。
図14及び図15は、機能部品支持部材の一例を示す構成図である。機能部品支持部材17は、それ自体が機能部品を構成し、バッテリ取付部9において、バッテリ90を支持する機能、使用に適さないバッテリの装着を規制する機能を有する。
すなわち、機能部品支持部材17は、ガイドレール部9Aの一部を構成する誤挿入防止凸部17aを備える。誤挿入防止凸部17aは誤挿入防止部の一例で、左右一対のガイドレール部9Aの少なくとも一方において、支持面9Rd1、9Rd2とガイド面9Ruの間に突出し、ガイドレール部9Aの形状を左右で異ならせる。誤挿入防止凸部17aは、本例では、バッテリ90の識別部91aに嵌る形状の凸部を設けて構成される。
また、機能部品支持部材17は、ストラップ10Sに通された軸部10Saを支持する第1の機能部品支持部17bと、フック10Gを固定するナット10Gnを支持する第2の機能部品支持部17cを備える。
<本実施の形態の機能部品の作用効果例>
ハンドルの後面側にストラップを取り付ける場合、ハウジングが左右に分割された従来の構造では、左右のハウジングを一体化するネジが締結される穴部を有したねじボスと称す凸部にストラップを通すことで、左右のハウジング間にストラップを固定することができた。または、ストラップが通される軸部を左右のハウジングの間に挟む形態として固定することができた。
これに対し、前後に分割されたハウジング10では、後ハウジング11Rの後面側にハウジング10の分割面が存在せず、後ハウジング11Rの後面側に、左右方向に延在するねじボスが存在しないので、従来の構造を適用してストラップを固定することができない。
また。ハウジングが左右に分割された従来の構造では、フックを固定するナットあるいはナットを固定する部材を、ハンドルの側面に相当する位置にハウジングの分割面側から圧入することができた。
これに対し、前後に分割されたハウジング10では、後ハウジング11Rの側面内側に対向する部位が開口しておらず、ハンドル10Hの側面に相当する位置に、フック10Gを固定するナット10Gn等を圧入することができない。
そこで、インパクトドライバ1Aは、後ハウジング11Rの後面内側に、ストラップ10Sに通された軸部10Saが取り付けられる軸固定部11Raを備える。また、インパクトドライバ1Aは、後ハウジング11Rの左右両側の側面内側に、ナット10Gnが挿入される穴部11Rbを備える。
そして、インパクトドライバ1Aは、軸固定部11Raに取り付けられた軸部10Sa、及び、穴部11Rbに挿入されたナット10Gnを、後ハウジング11Rに取り付けられる機能部品支持部材17を使用して固定する。
軸固定部11Raは、軸部10Saが左右方向に延在する向きで嵌る形状の凹部で構成される。また、軸固定部11Raは、後ハウジング11Rの後面を貫通し、ストラップ10Sが通る開口11Rcと連通する。穴部11Rbは、ナット10Gnが嵌る形状の凹部で構成される。
なお、軸部10Saは、後ハウジング11Rと独立した部品であるので、樹脂ではなく金属で構成することができ、ストラップ10Sの引張に対する強度等を向上させることができる。また、ねじボスを利用しないことで、ストラップ10Sの取付位置の自由度が向上する。更に、穴部11Rbは、工具等を使用せずに、人がナット10Gnの挿入が行える程度の寸法となっており、ナット10Gnを組み付ける作業性が向上する。
機能部品取付部11Rdは、ガイドレール部9Aの位置に合わせて穴部11Rbが設けられた後ハウジング11Rの両側面の内側から、軸固定部11Raが設けられた後ハウジング11Rの後面内側に繋がる形状で設けられる。
機能部品支持部材17は、機能部品取付部11Rdにおいて軸固定部11Raが設けられた後ハウジング11Rの後面内側に嵌り、軸固定部11Raに嵌められた軸部10Saを第1の機能部品支持部17bで押さえると共に、穴部11Rbが設けられた後ハウジング11の左右両側の側面内側に嵌り、穴部11Rbに嵌められたナット10Gnを第2の機能部品支持部17cで押さえる形状で構成される。
機能部品取付部11Rdに取り付けられた機能部品支持部材17は、前ハウジング11Fを後ハウジング11Rに取り付けることで、制御基板ケース100aで支持される。なお、前ハウジング11Fに機能部品支持部材17を支持する部材を一体に設けても良い。
ストラップ10Sが、開口11Rcに通され、ストラップ10Sに通された軸部10Saが軸固定部11Raに嵌められる。また、ナット10Gnが穴部11Rbに嵌められる。そして、機能部品取付部11Rdに機能部品支持部材17が取り付けられることで、軸固定部11Raに嵌められた軸部10Saが機能部品支持部材17の第1の機能部品支持部17bで押さえられる。これにより、ストラップ10Sがハンドル10Hの後面側に固定される。
また、穴部11Rbに嵌められたナット10Gnが機能部品支持部材17の第2の機能部品支持部17cで押さえられる。これにより、ナット10Gnにネジ10Gbを締結することが可能となり、ハンドル10Hの左右何れかの側面に、フック10Gがネジ10Gbで固定される。
バッテリ90では、電圧毎等でガイド凸部91あるいはガイド凹部92の形状を異ならせる。本例では、左右一対のガイド凸部91の一方に、外形の一部を切欠いて認識部91aを備える。また、バッテリ取付部9では、左右一対のガイドレール部9Aの形状を、機能部品支持部材17の誤挿入防止凸部17aによって、バッテリ90に対応した形状とする。
これにより、使用に適したバッテリ90については、バッテリ90のガイド凸部91をガイドレール部9Aに挿入する途中で、ガイド凸部91の挿入が誤挿入防止凸部17aにより規制されることはなく、使用に適したバッテリ90の装着が可能となる。
これに対し、使用に適さないバッテリについては、認識部91aが設けられていないことから、バッテリのガイド凸部をガイドレール部9Aに挿入する途中で、ガイド凸部が誤挿入防止凸部17aに当たり、所定の位置までの挿入ができない。従って、使用に適したバッテリ90以外の誤装着が防止される。
なお、機能部品支持部材17に誤挿入防止凸部17aを備えることで、誤挿入防止凸部17aの形状の異なる機能部品支持部材17を使用して、同一の後ハウジング11Rで電圧等の異なるバッテリが装着可能なインパクトドライバ1Aを提供できる。
また、後ハウジング11Rに設けた穴部11Rbに嵌められたナット10Gnを、後ハウジング11Rに設けた機能部品取付部11Rdに取り付けられる機能部品支持部材17で支持し、かつ、機能部品支持部材17に誤挿入防止凸部17aを備えることで、ナット10Gnが取り付けられる位置と、誤挿入防止凸部17aが設けられる位置の制約を排除することができる。更に、機能部品支持部材17の内側に、幅が一定の溝をバッテリ90の挿入方向に向かって形成し、バッテリ90のガイド凸部91を保持する保持部を形成してもよい。これにより、金型を使用した成形による抜きテーパによって生じるバッテリ90のがたつきを解消することができる。
<本実施の形態のスイッチの構成例>
図16は、本実施の形態のスイッチの一例を示す断面図であり、次に、各図を参照して、本実施の形態のスイッチ7の詳細について説明する。
スイッチ7は、作業者により操作されるトリガ70と、トリガ70を介して押圧力を受ける荷重センサ71を有したセンサユニット74を備える。
トリガ70はスイッチ操作部の一例で、図1に示すハンドル10Hに取り付けられた支持部72に、矢印F及び矢印Rで示す方向に移動可能に取り付けられる。本例では、トリガ70に設けられたピン700が、支持部72に設けられた長穴720に入ることで、トリガ70が支持部72に移動可能に取り付けられると共に、移動量及び移動方向が規制される。
トリガ70は、一方の側である表面を、指で引く方向に力を加える操作がし易いように、例えば凹状に湾曲した形態として操作受け部701が形成される。また、トリガ70は、他方の側である裏面に、荷重センサ71方向に突出した押圧凸部702が形成される。
スイッチ7は、トリガ70とセンサユニット74の間にコイルバネ73が設けられ、トリガ70は、コイルバネ73により、荷重センサ71から離れる方向である矢印F方向に付勢される。
スイッチ7は、図1に示すハンドル10Hを握った手の所定の指である人差指でトリガ70を引く方向に力が加えられると、コイルバネ73を圧縮しながら、トリガ70が矢印R方向に移動する。また、トリガ70を引く力を弱めると、コイルバネ73が復元する力で、トリガ70が矢印F方向に移動する。
荷重センサ71は、荷重に応じて電気伝導度が変化する感圧導電性弾性部材710と、感圧導電性弾性部材710の電気伝導度の変化に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を形成する基板711を備える。荷重センサ71は、感圧導電性弾性部材710及び基板711を覆う封止カバー712が取り付けられる。
感圧導電性弾性部材710は、ゴム等、非導電性の弾性体中に、カーボン等導電性を有した粒子が分散された構成である。感圧導電性弾性部材710は板状で、荷重を受けて撓む方向に弾性変形が可能であると共に、圧縮される方向に弾性変形が可能である。
基板711は、感圧導電性弾性部材710と対向する一方の面である表面に、互いが絶縁された一対の導体パターンが形成され、各導体パターンに配線713が接続される。封止カバー712は、感圧導電性弾性部材710を押圧する押圧部714を備える。封止カバー712は、ゴム等の弾性体で構成され、感圧導電性弾性部材710と対向して内部空間718が形成される。
センサユニット74は、荷重センサ71に対し、周囲からの異物の侵入を抑止する侵入抑止部材740を備える。侵入抑止部材740は、封止カバー712を露出させて荷重センサ71の一方の側を覆う荷重センサカバー部材741と、荷重センサ71の他方の側である封止カバー712と反対側の面を封止する荷重センサ支持部材742を備える。
荷重センサカバー部材741は、封止カバー712の押圧部714と対向する部位に、荷重センサカバー部材741の表裏を貫通した開口部743を備える。また、荷重センサカバー部材741は、封止カバー712の形状と合致した形状の凹部を設けて挟持部744を備える。荷重センサ支持部材742は、荷重センサ71の裏面側に、内部空間718に対して所定の容積を有した密閉空間747を備える。
センサユニット74は、荷重センサカバー部材741の挟持部744に荷重センサ71を入れた状態として、ネジ75を荷重センサ支持部材742に締結することで、荷重センサカバー部材741と荷重センサ支持部材742の間に荷重センサ71が挟持される。
荷重センサカバー部材741と荷重センサ支持部材742の間に荷重センサ71が挟持されると、封止カバー712が押圧されることで、荷重センサ71の内部空間718が封止されると共に、密閉空間747が封止される。
よって、センサユニット74では、荷重センサ71の内部空間718に水分や埃が侵入することが抑制されると共に、基板711の裏面側に水分や埃が侵入することが抑制されるので、荷重センサ71の感圧導電性弾性部材710及び基板711に対する防水及び防塵構造が実現される。
センサユニット74は、トリガ70の移動方向に合わせて、支持部72に矢印F及び矢印Rで示す方向に移動可能に取り付けられる。センサユニット74は、支持部72との間にコイルバネ76が入れられて、トリガ70に近づく方向である矢印F方向に付勢される。また、センサユニット74は、支持部72に設けられたピン721に規制部750が入ることで、コイルバネ76に付勢されることによる矢印F方向の移動量、及び、トリガ70を介して押圧されることによる矢印R方向の移動量が規制される。これにより、センサユニット74及びコイルバネ76と、ピン721及び規制部750等で荷重逃がし機構が構成される。
スイッチ7は、トリガ70の押圧凸部702が、センサユニット74を構成する荷重センサカバー部材741の開口部743に入り、荷重センサ71の封止カバー712と対向する。
スイッチ7は、トリガ70の押圧凸部702と、荷重センサ71の封止カバー712との間に第1の誤作動抑止空間が形成される。また、スイッチ7は、封止カバー712と感圧導電性弾性部材710との間に第2の誤作動抑止空間が形成される。更に、荷重センサ71は、感圧導電性弾性部材710と基板711との間に絶縁空間が形成される。
スイッチ7は、感圧導電性弾性部材710と基板711との間に絶縁空間が形成されている状態では、荷重センサ71の抵抗値は無限大であり、荷重センサ71は非導通の状態である。
スイッチ7は、トリガ70が引かれると、トリガ70が矢印R方向に移動することで、第1の誤作動抑止空間が減少し、押圧凸部702が封止カバー712に接する。更にトリガ70が引かれると、トリガ70の押圧凸部702が封止カバー712を押圧することで、第2の誤作動抑止空間が減少し、封止カバー712が感圧導電性弾性部材710に接する。
更にトリガ70が引かれると、トリガ70、封止カバー712を介して感圧導電性弾性部材710が押圧されることで、感圧導電性弾性部材710が撓む方向に弾性変形して絶縁空間が減少し、感圧導電性弾性部材710が基板711に接する。
更にトリガ70が引かれると、トリガ70、封止カバー712を介して感圧導電性弾性部材710が押圧されることで、感圧導電性弾性部材710が基板711に接触した状態で、感圧導電性弾性部材710が圧縮される方向に弾性変形する。
荷重センサ71は、感圧導電性弾性部材710が押圧されて変形すると、変形量に応じて抵抗値が変化する特性を有する。荷重の増加により感圧導電性弾性部材710の変形量が増加して、抵抗値が所定の値に減少すると、荷重センサ71が導通した状態となる。また、荷重センサ71が導通した状態から、荷重の更なる増加による感圧導電性弾性部材710の変形量の増加に伴い、抵抗値が更に減少する。
上述したように、トリガ70を介して感圧導電性弾性部材710を押圧するため、ピン700と長穴720で規定されるトリガ70の移動量に対し、第1の誤作動抑止空間と第2の誤作動抑止空間及び絶縁空間の合計値が少なく構成される。
スイッチ7は、トリガ70を付勢するコイルバネ73より、センサユニット74を付勢するコイルバネ76の方が、反力が強く構成される。これにより、通常の力でトリガ70を引く操作では、トリガ70が矢印R方向に移動することで、トリガ70及び封止カバー712を介して感圧導電性弾性部材710が押圧される。
但し、封止カバー712及び感圧導電性弾性部材710で許容される変形量を超えた場合、更に、トリガ70に所定以上の大きさの力が掛かった場合には、コイルバネ76を圧縮させてセンサユニット74が矢印R方向に移動し、荷重センサ71が退避する。
トリガ70の移動量が最大となっても、センサユニット74が矢印R方向に移動可能となるように、ピン721と規制部750でセンサユニット74の移動量を設定することで、トリガ70を引く過程のみならず、トリガ70を引ききった状態であっても、荷重センサ71が矢印R方向に退避可能であり、荷重センサ71に所定以上の荷重が掛かることを抑制することができる。
なお、内部空間718と密閉空間747を、基板711を貫通する図示しない連通部719で連通させることで、トリガ70で封止カバー712が押圧されたとき、内部空間718の空気を密閉空間747へ流す。
密閉空間747は、内部空間718に比較して十分に大きな容積を有するため、内部空間718の容積減少分の空気が流れても、圧力上昇は無視できる程度であり、荷重センサカバー部材741の封止面745と荷重センサ支持部材742の封止面748との間からの空気の漏れが十分に抑制される。
これにより、トリガ70による押圧が解除されたときに、封止カバー712の弾性により封止カバー712の形状が復元しようとする際、内部空間718が負圧にならず、封止カバー712の弾性による形状の復元が確実に行われる。
<本実施の形態の正逆切り替えスイッチの構成例>
図17は、本実施の形態の正逆切り替えスイッチの一例を示す斜視図、図18は、本実施の形態の正逆切り替えスイッチの一例を示す分解斜視図である。また、図19は、本実施の形態の正逆切り替えスイッチが取り付けられた状態を示す断面図、図20は、本実施の形態の正逆切り替えスイッチが取り付けられた状態を示す後面図である。
正逆切り替えスイッチ8は動作切り替えスイッチの一例で、第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ部80Rと、操作部81を備える。第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rは動作スイッチ部の一例で、所定のストロークで往復移動し、押下の有無で信号を出力するプッシュスイッチで構成される。第1のスイッチ80Lは、スイッチ7の支持部72に取り付けられる一方の基板82に設けられる。第2のスイッチ80Rは、支持部72に取り付けられる他方の基板82に設けられる。
操作部81は、人により押される力を受ける第1の操作部81Laと、第1のスイッチ80Lを押圧する第1の押圧部81Lbを備える。また、操作部81は、人により押される力を受ける第2の操作部81Raと、第2のスイッチ80Rを押圧する第2の押圧部81Rbを備える。更に、操作部81は、第1の押圧部81Lbと第2の押圧部81Rbを連結する弾性変位部81cを備える。
操作部81は、第1の操作部81La、第1の押圧部81Lb、第2の操作部81Ra、第2の押圧部81Rb、及び、弾性変位部81cが、弾性体で一体に形成される。
第1の操作部81Laは、第1の押圧部81Lbから斜め上外側方向に突出し、後ハウジング11Rに設けた第1の正逆スイッチ取付穴部19Lから、所定の操作認識量T1で突出する。これにより、第1の操作部81Laとハンドル10Hの間には、第1の操作部81Laが凸となる段差が設けられる。第1の操作部81Laは、右手でハンドル10Hを把持した場合に、右手の親指で操作可能な位置、本例では、ハンドル10Hの左側面上方に設けられる。
第1の押圧部81Lbは、第1の操作部81Laの非操作時には、第1のスイッチ80Lに対し所定の操作認識隙間T2を開けて対向する。操作認識量T1は、第1のスイッチ80Lのストロークと、操作認識隙間T2を合わせた長さより長く構成される。
第2の操作部81Raは、第2の押圧部81Rbから斜め上外側方向に突出し、後ハウジング11Rに設けた第2の正逆スイッチ取付穴部19Rから、所定の操作認識量T1で突出する。これにより、第2の操作部81Raとハンドル10Hの間には、第2の操作部81Raが凸となる段差が設けられる。第2の操作部81Raは、左手でハンドル10Hを把持した場合に、左手の親指で操作可能な位置、本例では、ハンドル10Hの右側面上方に設けられる。
第2の押圧部81Rbは、第2の操作部81Raの非操作時には、第2のスイッチ80Rに対し所定の操作認識隙間T2を開けて対向する。操作認識量T1は、第2のスイッチ80Rのストロークと、操作認識隙間T2を合わせた長さより長く構成される。
正逆切り替えスイッチ8は、トリガ70を操作可能に手でハンドル10Hを握ったときに、当該手の親指または人差し指が届く範囲内に第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが配置される。そこで、図2等に示すように、正逆切り替えスイッチ8は、ハンドル10Hの延在方向に沿ってスイッチ7のトリガ70の上方に第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが設けられる。このため、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、主に斜め下方から上方へ向かって操作される力を受ける。そこで、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、図20等に示すように、ハンドル10Hを把持した手の指で操作可能な位置に、力が掛かる方向に沿った下方に向くようにテーパ面が形成される。
弾性変位部81cは、ハンドル10Hの左右に設けられる第1の押圧部81Lbと第2の押圧部81Rbをつなぎ、後ハウジング11Rの後ハンドル部13Rの両側面に設けられた正逆スイッチ取付部19cに嵌る形状で構成される。
操作部81は、第1の操作部81Laを押す操作、押した第1の操作部81Laを離す操作で、主に弾性変位部81cが弾性変形することにより、第1の押圧部81Lbが第1のスイッチ80Lに対して離接する方向に変位する。
また、操作部81は、第2の操作部81Raを押す操作、押した第2の操作部81Raを離す操作で、主に弾性変位部81cが弾性変形することにより、第2の押圧部81Rbが第2のスイッチ80Rに対して離接する方向に変位する。
<本実施の形態の正逆切り替えスイッチの作用効果例>
操作部81は、正逆スイッチ取付部19cに取り付けられていない状態では、弾性変位部81cの左右方向の外寸が、後ハンドル部11Rの左右方向に沿った正逆スイッチ取付部19cの内寸より広くなるように構成される。
操作部81は、後ハウジング11Rの分割面14Rから、弾性変位部81cが正逆スイッチ取付部19cに挿入される。操作部81が正逆スイッチ取付部19cに取り付けられると、弾性変位部81cの弾性変形により、弾性変位部81cが外側に向けて間隔が広がる方向に付勢される。従って、操作部81が不用意に後ハウジング11Rから外れることが抑制され、操作部81の組み付け性が向上する。また、操作部81がガタつくことが抑制される。更に、操作部81が一体の部品で構成されるので、部品点数が削減され、組み付け性が向上する。
スイッチ7は、後ハウジング11Rの分割面14Rから、後ハウジング11Rに設けたスイッチ取付部19dに挿入される。スイッチ7がスイッチ取付部19dに取り付けられると、第1のスイッチ80Lと第1の押圧部81Lbが対向し、第2のスイッチ80Rと第2の押圧部81Rbが対向する。
第1のスイッチ80Lと第1の押圧部81Lbとの間には、所定の操作認識隙間T2が形成され、第2のスイッチ80Rと第2の押圧部81Rbの間には、所定の操作認識隙間T2が形成される。
これにより、前後方向に分割された後ハウジング11Rに、操作部81とスイッチ7を容易かつ確実に取り付けることができる。
操作部81が正逆スイッチ取付部19cに取り付けられると、第1の操作部81Laが、第1の正逆スイッチ取付穴部19Lから所定の操作認識量T1で突出する。また、第2の操作部81Raが、第2の正逆スイッチ取付穴部19Rから所定の操作認識量T1で突出する。
第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、ハンドル10Hを把持した手の指で操作可能な位置に設けられる。第1の操作部81Laが押されると、弾性変位部81cが弾性変形しながら、第1の押圧部81Lbが第1のスイッチ80Lに近づく方向に変位する。
第1の操作部81Laが更に押されると、操作認識隙間T2が無くなり、第1の押圧部81Lbが第1のスイッチ80Lに接触して、第1のスイッチ80Lを押す。第1のスイッチ80Lが所定量押されると、信号が出力される。操作部81は、第1の操作部81Laが押されると、弾性変位部81cが弾性変形することで、第2の操作部81Raと独立して第1の操作部81Laの変位が可能である。
第1の操作部81Laを押す力を緩めると、弾性変位部81cが復元することで、第1の押圧部81Lbが第1のスイッチ80Lから離れ、信号が変化する。
第2の操作部81Raが押されると、弾性変位部81cが弾性変形しながら、第2の押圧部81Rbが第2のスイッチ80Rに近づく方向に変位する。
第2の操作部81Raが更に押されると、操作認識隙間T2が無くなり、第2の押圧部81Rbが第2のスイッチ80Rに接触して、第2のスイッチ80Rを押す。第2のスイッチ80Rが所定量押されると、信号が出力される。操作部81は、第2の操作部81Raが押されると、弾性変位部81cが弾性変形することで、第1の操作部81Laと独立して第2の操作部81Raの変位が可能である。
第2の操作部81Raを押す力を緩めると、弾性変位部81cが復元することで、第2の押圧部81Rbが第2のスイッチ80Rから離れ、信号が変化する。
第1の操作部81Laの非操作時には、第1の操作部81Laとハンドル10Hの間に、第1の操作部81Laが凸となる段差が設けられるので、ハンドル10Hを把持した手の指で、第1の操作部81Laの位置が容易に認識できる。また、第2の操作部81Raの非操作時には、第2の操作部81Raとハンドル10Hの間に、第2の操作部81Raが凸となる段差が設けられるので、ハンドル10Hを把持した手の指で、第2の操作部81Raの位置が容易に認識できる。
第1の押圧部81Lbと第1のスイッチ80Lの間に操作認識隙間T2が設けられることで、第1の操作部81Laを押す操作では、弾性変位部81cの弾性変形による第1の操作部81Laの変位により、第1のスイッチ80Lを押圧するための変位量が確保される。これにより、第1の操作部81Laを押すという操作感が得やすくなり、誤操作を抑制できる。また、弾性変位部81cの弾性変形により、第1の押圧部81Lbが外側に向けて付勢されるので、操作感が向上する。
第2の押圧部81Rbと第2のスイッチ80Rの間に操作認識隙間T2が設けられることで、第2の操作部81Raを押す操作では、弾性変位部81cの弾性変形による第2の操作部81Raの変位により、第2のスイッチ80Rを押圧するための変位量が確保される。これにより、第2の操作部81Raを押すという操作感が得やすくなり、誤操作を抑制できる。また、弾性変位部81cの弾性変形により、第2の押圧部81Rbが外側に向けて付勢されるので、操作感が向上する。
このように、弾性変位部81cの弾性変形により、第1の操作部81Laが外側に向けて付勢され、ハンドル10Hの第1の正逆スイッチ取付穴部19Lから突出する。第1の押圧部81Lbと第1のスイッチ80Lの間には操作認識隙間T2が設けられる。また、弾性変位部81cの弾性変形により、第2の操作部81Raが外側に向けて付勢され、ハンドル10Hの第2の正逆スイッチ取付穴部19Rから突出する。第2の押圧部81Rbと第2のスイッチ80Rの間には操作認識隙間T2が設けられる。
これにより、プッシュスイッチのようなストロークの少ないスイッチを使用した動作切り替えスイッチであっても、第1の操作部81Laが一定の操作ストロークを確保できるので、操作の意図がないとき、第1の操作部81Laの第1の押圧部81Lbが第1のスイッチ80Lを押圧することを抑制できる。また、第2の操作部81Raが一定の操作ストロークを確保できるので、操作の意図がないとき、第2の操作部81Raの第2の押圧部81Rbが第2のスイッチ80Rを押圧することを抑制できる。よって、誤操作を防止できる。
更に、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raがハンドル10Hから外側に突出するので、視覚に頼らずに確実な操作が可能になり、正逆回転等の切り替え操作を迅速に行うことができる。
また、スイッチ7のトリガ70の上方に第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが設けられるので、トリガ70を操作する通常の使用時には、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが操作の妨げにならず、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raの操作時は、ハンドル10Hの持ち替えが不要で操作が容易かつ迅速に行える。
更に、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、ハンドル10Hを把持した手の指で操作可能な位置に、力が掛かる方向に沿った下方に向くようにテーパ面が形成されるので、操作力を確実に伝達して、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raを変位させることができる。
操作部81は、弾性変位部81cで後ハウジング11Rの正逆スイッチ取付部19cに支持される構成で、第1の正逆スイッチ取付穴部19Lで第1の操作部81Laを支持せず、第2の正逆スイッチ取付穴部19Rで第2の操作部81Raを支持しない。
これにより、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが変位する方向に、所定の自由度を持たせることができる。よって、第1のスイッチ80L、第2のスイッチ80Rの可動子がストロークする方向に沿った方向からずれた方向、例えば、上方から下方へ斜め方向に第1の操作部81La、第2の操作部81Raを押す力が加えられても、第1の押圧部81Lb及び第2の押圧部81Rbを変位させることができるので、第1のスイッチ80L、第2のスイッチ80Rを作動させることができる。
従って、上述した各種の作用効果により、プッシュスイッチのようなストロークの少ないスイッチを使用しても、操作性を向上させることができる。
<本実施の形態の正逆切り替えスイッチの変形例>
図21は、本実施の形態の正逆切り替えスイッチの変形例を示す正面図である。第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、水平移動で変位する構成のみならず、例えば、揺動で変位する構成としても良い。
図2等に示すように、正逆切り替えスイッチ8は、ハンドル10Hの延在方向に沿ってスイッチ7のトリガ70の上方に第1の操作部81La及び第2の操作部81Raが設けられる。このため、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raは、主に斜め下方から上方へ向かって操作される力を受ける。
そこで、第1の操作部81Laの下部に軸83Lを備え、軸83Lを支点とした回転動作で、図19等に示す第1のスイッチ80Lに対して離接する方向に第1の操作部81Laを変位させる。また、第2の操作部81Raの下部に軸83Rを備え、軸83Rを支点とした回転動作で、図19等に示す第2のスイッチ80Rに対して離接する方向に第2の操作部81Raを変位させる。
第1の操作部81Laは、第1の押圧部81Lbと一体でも別体でも良い。また、第2の操作部81Raは、第2の押圧部81Rbと一体でも別体でも良い。更に、第1の押圧部81Lb及び第2の押圧部81Rbは、弾性変位部81cと一体でも別体でも良い。なお、第1の操作部81Laの上部に軸83Lを備えても良く、第2の操作部81Raの上部に軸83Rを備えても良い。更に、軸の方向は、ブラシレスモータ2の軸方向に沿った方向でも良いし、傾斜していても良い。
従って、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raを揺動で変位する構成としても、プッシュスイッチのようなストロークの少ないスイッチを使用して、操作性を向上させることができる。
<本実施の形態のインパクトドライバの制御機能例>
図22は、本実施の形態のインパクトドライバの制御機能の一例を示す機能ブロック図である。インパクトドライバ1Aは、スイッチ7及び正逆切り替えスイッチ8の操作に応じてブラシレスモータ2等の制御を行う制御部110を備える。また、インパクトドライバ1Aは、ブラシレスモータ2を駆動する駆動部111を備える。
制御部110は、制御基板100に実装される制御回路で構成され、駆動部111は、駆動基板101に実装される駆動回路で構成される、制御部110は、スイッチ7の荷重センサ71、正逆切り替えスイッチ8の第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rから出力される信号の組み合わせに基づき、ブラシレスモータ2を制御する。
また、制御部110は、正逆切り替えスイッチ8の第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rから出力される信号の組み合わせに基づき、動作の各種設定を行い、設定の内容を表示部110aで表示すると共に、記憶部110bに記憶する。表示部110aは、例えば、LED等のランプで構成され、点灯の有無、点滅、複数のランプの点灯の有無の組み合わせ等で、設定の内容を出力する。
制御部110は、ホールセンサ102aの出力から回転子20の回転方向であるブラシレスモータ2の回転方向、回転速度等を検出し、本例では、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)方式により、駆動部111で駆動コイル22に制御されたパターンで電流を流し、ブラシレスモータ2を制御する。
<本実施の形態のインパクトドライバの制御機能の作用効果例>
正逆切り替えスイッチ8は、動作スイッチ部としてプッシュスイッチで構成される第1のスイッチ80Lと第2のスイッチ80Rを備えることで、2つのスイッチを同時に押す、どちらか一方、あるいは両方を所定の時間長押しする等の操作を認識し、操作に応じた制御が可能である。
これにより、制御部110では、正逆切り替えスイッチ8の所定の操作を、例えば、ブラシレスモータ2の正逆回転の切り替えの他に、インパクトドライバ1Aの起動、停止、スイッチ7のソフトウエアによるロック、ロックの解除等に割り当てることが可能である。
ハンドルの一方の側面に突出した操作部を押して他方の側面に突出する位置まで変位させることで、モータの回転方向が切り替えられる従来の構成では、モータの回転方向の設定が正転と逆転のどちらになっているのか、指による触覚、目による視認で認識できた。これに対し、ストロークの少ないプッシュスイッチを使用した構成では、触覚や視認による認識が困難になる。
そこで、制御部110は、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raの何れかを操作している間のみ、ブラシレスモータ2を正転または逆転させる第1の正逆回転切替操作モードを備える。
また、制御部110は、第1の操作部81Laが操作されると例えば正転、第2の操作部81Raが操作されると例えば逆転に回転方向が設定され、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raの操作を継続しなくとも、設定された回転方向が維持される従来の操作方法を踏襲した第2の正逆回転切替操作モードを備える。
そして、例えば第1の操作部81Laと第2の操作部81Raの所定の操作等で、正逆回転切替操作モードが第1の正逆回転切替操作モードか第2の正逆回転切替操作モードに設定される。
制御部110は、正逆回転切替操作モードが第1の正逆回転切替操作モードに設定された場合、正逆切り替えスイッチ8では、第1のスイッチ80Lと第2のスイッチ80Rの選択された一方に、ブラシレスモータ2の正転と逆転を切り替える操作を割り当てる。
以下の説明では、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71が押されている状態を荷重センサ71のオン、押されていない状態を荷重センサ71のオフとする。また、第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rが押されている状態を第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rのオン、押されていない状態を第1のスイッチ80L及び第2のスイッチ80Rのオフとする。
右手で操作する場合であれば、例えば、ハンドル10Hを把持した右手の親指で操作可能な第1の操作部81Laで作動させる第1のスイッチ80Lに、ブラシレスモータ2の正転と逆転を切り替える操作を割り当てる。
制御部110は、第1の操作部81Laが押されておらず、第1のスイッチ80Lがオフの状態で、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンになると、ブラシレスモータ2を正方向に回転させる。また、トリガ70に掛かる力の大小で、ブラシレスモータ2の回転速度を制御する。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態で、第1の操作部81Laが押されて第1のスイッチ80Lがオンになると、ブラシレスモータ2を逆方向に回転させる。また、トリガ70に掛かる力の大小で、ブラシレスモータ2の回転速度を制御する。あるいは、第1の操作部81Laが押されて第1のスイッチ80Lがオンの状態で、スイッチ7のトリガ70が引かれると、ブラシレスモータ2を逆転させる。
これにより、トリガ70が引かれている状態で、第1の操作部81Laを押す、離すことにより、第1のスイッチ80Lのオンとオフが切り替えられることで、ブラシレスモータ2の正転と逆転が切り替えられる。また、第1の操作部81Laが押されている操作中は、ブラシレスモータ2の逆転する状態が維持され、トリガ70が引かれている状態で、第1の操作部81Laが押されている間は、ブラシレスモータ2が逆転する。
なお、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第1の操作部81Laを押す、離すことで第1のスイッチ80Lのオンとオフが切り替えられても、ブラシレスモータ2の正転と逆転の切り替えを行わず、一度、トリガ70を引く力を緩めて荷重センサ71がオフとなってから、第1の操作部81Laを押す、離すことで第1のスイッチ80Lのオンとオフが切り替えられると、正転と逆転の切り替えの設定を行えるようにしても良い。このように、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第1の操作部81Laが操作されても操作を無効として動作の切り替えを行わず、前の動作を維持することで、誤って第1の操作部81Laを押してしまう等の誤操作による意図しない回転方向の反転等を抑制することができる。
左手で操作する場合であれば、例えば、ハンドル10Hを把持した左手の親指で操作可能な第2の操作部81Raで作動させる第2のスイッチ80Rに、ブラシレスモータ2の正転と逆転を切り替える操作を割り当てる。
制御部110は、第2の操作部81Raが押されておらず、第2のスイッチ80Rがオフの状態で、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンになると、ブラシレスモータ2を正転させる。また、トリガ70に掛かる力の大小で、ブラシレスモータ2の回転速度を制御する。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態で、第2の操作部81Raが押されて第2のスイッチ80Rがオンになると、ブラシレスモータ2を逆転させる。また、トリガ70に掛かる力の大小で、ブラシレスモータ2の回転速度を制御する。あるいは、第2の操作部81Raが押されて第2のスイッチ80Rがオンの状態で、スイッチ7のトリガ70が引かれると、ブラシレスモータ2を逆転させる。
これにより、トリガ70が引かれている状態で、第2の操作部81Raを押す、離すことにより、第2のスイッチ80Rのオンとオフが切り替えられることで、ブラシレスモータ2の正転と逆転が切り替えられる。また、第2の操作部81Raが押されている操作中は、ブラシレスモータ2の逆転する状態が維持され、トリガ70が引かれている状態で、第2の操作部81Raが押されている間は、ブラシレスモータ2が逆転する。
なお、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第2の操作部81Raを押す、離すことで第2のスイッチ80Rのオンとオフが切り替えられても、ブラシレスモータ2の正転と逆転の切り替えを行わず、一度、トリガ70を引く力を緩めて荷重センサ71がオフとなってから、第1の操作部81Laを押す、離すことで第1のスイッチ80Lのオンとオフが切り替えられると、正転と逆転の切り替えの設定を行えるようにしても良い。このように、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第2の操作部81Raが操作されても操作を無効として動作の切り替えを行わず、前の動作を維持することで、誤って第2の操作部81Raを押してしまう等の誤操作による意図しない回転方向の反転等を抑制することができる。
また、第1のスイッチ80Lあるいは第2のスイッチ80Rがオンの場合に、ブラシレスモータ2を逆転させることとしたが、第1のスイッチ80Lあるいは第2のスイッチ80Rがオフの場合のトリガ70の操作で、ブラシレスモータ2を逆転させても良い。
この場合、第1の操作部81Laが押されている操作中は、ブラシレスモータ2の正転する状態が維持され、トリガ70が引かれている状態で、第1の操作部81Laが押されている間は、ブラシレスモータ2が正転する。また、第2の操作部81Raが押されている操作中は、ブラシレスモータ2の正転する状態が維持され、トリガ70が引かれている状態で、第2の操作部81Raが押されている間は、ブラシレスモータ2が正転する。
このように、第1の操作部81Laあるいは第2の操作部81Raを操作している時のみ、ブラシレスモータ2を逆転または正転させることができるので、回転方向がどちらに設定されているか把握し易く、目視で確認する必要がない。また、従来は、正逆回転を交互に行う作業では、トリガ70を引く前に毎回切り替え操作を行っていたが、本例では、逆転時のみ、あるいは正転時のみ第1の操作部81Laあるいは第2の操作部81Raを押す操作を行えばよく、容易かつ迅速に行える。
これにより、スイッチ7の操作と、正逆切り替えスイッチ8の操作の組み合わせで、ソフトウエア的に動作の切り替えが可能であり、正転、逆転等の認識が容易に行え、かつ、動作の切り替えを迅速に行うことができる。
制御部110は、正逆回転切替操作モードが第2の正逆回転切替操作モードに設定された場合、第1の操作部81Laを押す操作で第1のスイッチ80Lがオンになると、ブラシレスモータ2の回転方向を例えば正転に設定する。第1の操作部81Laから指を離す操作で第1のスイッチ80Lがオフになっても、回転方向の設定を維持する。
また、第2の操作部81Raを押す操作で第2のスイッチ80Rがオンになると、ブラシレスモータ2の回転方向を例えば逆転に設定する。第2の操作部81Raから指を離す操作で第2のスイッチ80Rがオフになっても、回転方向の設定を維持する。
第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raの操作による回転方向の設定は、表示部110aによって通知しても良い。なお、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raの操作時の回転方向の設定は、逆でも良い。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンになると、第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raの操作で設定された回転方向にブラシレスモータ2を回転させる。また、トリガ70に掛かる力の大小で、ブラシレスモータ2の回転速度を制御する。このとき、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raから指を離しておいて良い。
なお、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raが押されても、ブラシレスモータ2の正転と逆転の切り替えを行わず、一度、トリガ70を引く力を緩めて荷重センサ71がオフとなってから、第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raが押されることで、正転と逆転の切り替えの設定を行えるようにしても良い。
このように、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態では、第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raが操作されても操作を無効として動作の切り替えを行わず、前の動作を維持することで、誤って第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raを押してしまう等の誤操作による意図しない回転方向の反転等を抑制することができる。
第2の正逆回転切替操作モードでは、第1の操作部81Laまたは第2の操作部81Raの操作で予め回転方向を設定して、トリガ70を引くことで、第1の操作部81La及び第2の操作部81Raから指を離した状態で、設定された回転方向にブラシレスモータ2を回転させることができるので、従来装置の操作方法を踏襲して作業が可能となる。
これにより、正逆切替が頻繁に行われる作業では、第1の正逆回転切替操作モードに設定することで、第1の操作部80Laと第2の操作部80Raを交互に押して回転方向を切り替える操作を不要とし、第1の操作部80Laと第2の操作部80Raを押す頻度を減らして迅速に作業を行うことができる。これに対し、正逆切替の頻度が少ない作業では、第2の正逆回転切替操作モードに設定することで、第1の操作部80Laまたは第2の操作部80Raを押しながらの操作が不要になり、操作が容易に行える。
図23は、本実施の形態のインパクトドライバの動作の一例を示すフローチャート、図24は、本実施の形態のインパクトドライバの動作の一例を示す工程図で、以下に、各図を参照して、2つの鋼材をネジで締結する動作に適用した例について説明する。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれていない状態では、図23のステップSA1で、ブラシレスモータ2の回転が停止した状態を保持する。制御部110は、図23のステップSA2で、第1の操作部81Laが押されておらず、第1のスイッチ80Lがオフの状態で、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンになると、ステップSA3で、ブラシレスモータ2を正方向に回転させる。
図24に示す第1の鋼材201と第2の鋼材202をネジ200で締結する動作で、第1の鋼材201の側からネジ200を締結する場合、作業者がトリガ70を引くことで、ブラシレスモータ2が正転し、図24(a)に示すように、ネジ200が矢印F1方向に進み、第1の鋼材201に締結されて行く。
ネジ200の先端が第2の鋼材202に到達すると、当初は第2の鋼材202の貫入抵抗のためネジ200が第2の鋼材202に貫入されず、矢印F1方向に進まずに回転する。ネジ200が第2の鋼材202に貫入されずに回転すると、図24(b)に示すように、第1の鋼材201が第2の鋼材202から離れる矢印R2方向に移動する。
ネジ200が第2の鋼材202に貫入した後は、再びネジ200が矢印F1方向に進むが、第1の鋼材201と第2の鋼材202との間に生じた隙間を解消することができない。そこで、ネジ200を緩める方向に回転させるため、作業者は、トリガ70を引きながら、右手で操作する場合であれば、第1の操作部81Laを押す。また、左手で操作する場合であれば、第2の操作部81Raを押す。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態で、右手で操作する設定では、図23のステップSA4で、正逆切り替えスイッチ8の操作により、第1の操作部81Laが押されて第1のスイッチ80Lがオンになると、ステップSA5で、ブラシレスモータ2を逆転させる。また、左手で操作する設定では、ステップSA4で、正逆切り替えスイッチ8の操作により、第2の操作部81Raが押されて第2のスイッチ80Rがオンになると、ステップSA5で、ブラシレスモータ2を逆転させる。
ブラシレスモータ2の逆転により、図24(c)に示すように、第2の鋼材202からネジ200が引き抜かれた状態までネジ200を矢印R1方向に後退させると、第1の鋼材201と第2の鋼材202を再び接触させることが可能になり、隙間を解消することができる。
作業者は、ネジ200を緩める動作で第1の鋼材201と第2の鋼材202とを接触させると、トリガ70を引きながら、右手で操作する場合であれば、第1の操作部81Laを離す。また、左手で操作する場合であれば、第2の操作部81Raを離す。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態で、右手で操作する設定では、図23のステップSA6で、第1の操作部81Laから指を離す、第1の操作部81Laを押す力を緩める等の正逆切り替えスイッチ8の操作により、第1のスイッチ80Lがオフになると、ステップSA7で、ブラシレスモータ2を正転させる。また、左手で操作する設定では、ステップSA6で、第2の操作部81Raから指を離す、第2の操作部81Raを押す力を緩める等の正逆切り替えスイッチ8の操作により、第2のスイッチ80Rがオフになると、ステップSA7で、ブラシレスモータ2を正転させる。
ブラシレスモータ2が正転すると、図24(d)に示すように、ネジ200が矢印F1方向に進む。再締め込みを行うときは、第2の鋼材202への貫入抵抗が小さいので、ネジ200が空転することなく第2の鋼材202に貫入し、第1の鋼材201と第2の鋼材202が締結される。
作業者は、第1の鋼材201と第2の鋼材202がネジ200で締結されると、トリガ70を引く力を緩めて指を離す。制御部110は、図23のステップSA8で、トリガ70から指が離されることで、荷重センサ71がオフになると、ステップSA9で、ブラシレスモータ2の回転を停止させる。
従来、ネジを締結する動作と緩める動作が連続して行われる場合、一度トリガから指を離す必要があった。このため、作業に時間が掛かっていた。これに対し、本実施の形態では、ネジを締結する動作と緩める動作が連続して行われる場合、トリガ70から指を離さず、正逆切り替えスイッチ8の第1の操作部81Laあるいは第2の操作部81Raを操作することで、ブラシレスモータ2の正転と逆転を切り替えることができる。これにより、1本のネジに対して締結する動作と緩める動作を行う必要がある場合に、作業を迅速に行うことができる。
また、ハンドルの一方の側の操作部を押してモータの回転方向を正転に切り替え、他方の側の操作部を押して逆転に切り替える従来の操作方法と比較して、操作部を押す頻度が減り迅速に作業を行うことができる。更に、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raは、右手あるいは左手の何れでハンドル10Hを把持した場合でも、容易に操作できる位置に備えられるので、利き手によらず、操作が簡便になる。また、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raで操作しやすい側の一方の操作のみで正転と逆転の切り替えが可能であるので、操作が簡便であることに加え、ハンドル10Hの持ち替えが不要になり、迅速な作業を行うことができる。
図25は、本実施の形態のインパクトドライバの動作の他の例を示すフローチャートで、以下に、各図を参照して、正逆切り替えスイッチ8によりトリガ70をソフトウエア的にロックする動作について説明する。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれていない状態では、図25のステップSB1で、ブラシレスモータ2の回転が停止した状態を保持する。制御部110は、ステップSB2で、正逆切り替えスイッチ8の操作により、第1の操作部81Laが長押しされて第1のスイッチ80Lが所定時間オンになると、ステップSB3で、トリガ70がロック状態であるか否か判断する。なお、ステップSB2の処理では、正逆切り替えスイッチ8の操作により、第2の操作部81Raが長押しされて第2のスイッチ80Rが所定時間オンになった場合も、ステップSB3で、トリガ70がロック状態であるか否か判断する。更に、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raが長押しされて第1のスイッチ80L、第2のスイッチ80Rが所定時間オンになった場合も、ステップSB3で、トリガ70がロック状態であるか否か判断する。
制御部110は、正逆切り替えスイッチ8で何れかの操作部あるいは両操作部が長押しされたときに、トリガ70のロックが未設定であると判断すると、図25のステップSB4で、トリガ70をソフトウエア的にロックする設定とする。ソフトウエア的なロックとは、荷重センサ71がオンの状態になっても、ブラシレスモータ2を回転させず操作を無効とする状態を示す。
制御部110は、トリガ70をロックすると、図25のステップSB5で、トリガ70がロックされた設定であることを表示部110aにより通知する。例えば、所定のランプを点灯させる等により、作業者にトリガ70がロックされていることを認識可能に通知する。
また、制御部110は、図25のステップSB6で、トリガ70がロックされた設定であることを記憶部111aに記憶する。記憶部111aは、電源が遮断された状態でも情報を保持可能で、バッテリ90が着脱された後でも、トリガ70がロックされた状態を保持する。
制御部110は、正逆切り替えスイッチ8で何れかの操作部あるいは両操作部が長押しされたときに、トリガ70がロックの設定であると判断すると、図25のステップSB7で、トリガ70のロックを解除する。これにより、荷重センサ71がオンの状態になると、荷重に応じてブラシレスモータ2を制御する。
制御部110は、トリガ70のロックを解除すると、図25のステップSB8で、トリガ70のロックが解除された設定であることを表示部110aにより通知する。例えば、所定のランプを消灯させる等により、作業者にトリガ70のロックが解除されていることを認識可能に通知する。
また、制御部110は、図25のステップSB9で、トリガ70のロックが解除された設定であることを記憶部111aに記憶する。記憶部111aは、電源が遮断された状態でも情報を保持可能で、バッテリ90が着脱された後でも、トリガ70のロックが解除された状態であることを保持する。
これにより、正逆切り替えスイッチ8を利用して、トリガ70のロック及びロックの解除を行うことができる。なお、正逆切り替えスイッチ8の長押しによるトリガ70のロック及びロックの解除に加えて、トリガ70及び正逆切り替えスイッチ8が一定時間操作されないと判断すると、ロックの設定に移行し、正逆切り替えスイッチ8の長押しによりロックを解除するようにしても良い。
図26は、本実施の形態のインパクトドライバの動作の他の例を示すフローチャートで、以下に、各図を参照して、正逆切り替えスイッチ8により設定を切り替える動作について説明する。
制御部110は、スイッチ7のトリガ70が引かれていない状態では、図26のステップSC1で、ブラシレスモータ2の回転が停止した状態を保持する。制御部110は、ステップSC2で、正逆切り替えスイッチ8の操作により、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raが同時に押しされて第1のスイッチ80Lと第2のスイッチ80Rが同時にオンになると、ステップSC3で設定を切り替える。例えば、第1のスイッチ80Lと第2のスイッチ80Rがオンとなった回数に応じて、ブラシレスモータ2のトルクの強弱の設定等を切り替える。
また、スイッチ7の操作と、正逆切り替えスイッチ8の操作の組み合わせを、ブラシレスモータ2の正転、逆転の切り替えでなく、設定の切り替えに割り当てても良い。例えば、第1の操作部81Laあるいは第2の操作部81Raが押された状態で、トリガ70を引くと、設定が切り替えられるようにしても良い。この場合、片手での設定の変更が容易になる。
更に、第1の操作部81Laと第2の操作部81Raが同時に押されることで、変更する設定を呼び出し、スイッチ7の操作と正逆切り替えスイッチ8の操作の組み合わせで、設定を変更できるようにしても良い。この場合、変更できる設定の種類を増やしても、各設定の認識が容易になる。
制御部110は、図26のステップSC4で、トリガ70が引かれて荷重センサ71がオンの状態になると、ステップSC5で、荷重センサ71に掛かる荷重と設定に応じてブラシレスモータ2を制御する。制御部110は、図26のステップSC6で、トリガ70から指が離されることで、荷重センサ71がオフになると、ステップSC7で、ブラシレスモータ2の回転を停止させる。なお、制御部110は、各種設定が切り替えられたことを表示部110aによって通知しても良いし、音声等によって報知するようにしても良い。
<本実施の形態の電動工具の変形例>
なお、以上の説明では、電動工具としてインパクトドライバ例に説明したが、打撃機構を有していない電動ドライバ、電動のこぎり、電動やすり等に適用可能である。また、駆動部としてブラシレスモータを例に説明したが、駆動部はブラシ付モータでも良い。
図27は、本実施の形態の電動工具の変形例を示す構成図である。電動工具1Bは、駆動部であるモータ200の駆動力が、減速機400及び傘歯車201を介して被駆動部であるチャック600に伝達される。
電動工具1Bでは、モータ200の軸200aの軸方向と、チャック600の軸である出力軸601の軸方向が非平行であり、第1のハウジングである後ハウジング110Rと、第2のハウジングである前ハウジング110Fが、出力軸601の軸方向に沿って前後方向に分割される。
出力軸601は、一方の側に挿入されたベアリング602Rが、後ハウジング110Rに設けた軸支持部130Rで支持される。また、他方の側に挿入されたベアリング602Fが、前ハウジング110Fに設けた軸支持部130Fで支持される。
減速機400は、遊星ギアで構成され、減速機400の軸400aとモータ200の軸200aは、同軸上に配置される。減速機400は、軸400aに挿入されたベアリング401が、後ハウジング110Rと前ハウジング110Fに設けた軸支持部130で支持される。軸支持部130は、後ハウジング110Rと前ハウジング110Fの分割面140で分割される。
後ハウジング110Rは、前ハウジング110Fを後ハウジング110Rに取り付けるネジ150が締結される穴部160Rを備える。また、前ハウジング110Fは、ネジ150が挿入される穴部160Fを備える。
穴部160R及び穴部160Fとネジ150は、後ハウジング110Rと前ハウジング110Fを一体にする係止部の一例である。穴部160Rと穴部160Fは、出力軸601の軸方向に沿って延在する。前ハウジング110Fと後ハウジング110Rが前後に分割される形状であるので、ネジ150は、出力軸601の軸方向に沿って前ハウジング110Fと後ハウジング110Rを締結する。
駆動部の出力軸であるモータ200の軸200aの軸方向と、被駆動部であるチャック600の出力軸601の軸方向が非平行である構成では、被駆動部の出力軸601の軸方向に沿って後ハウジング110Rと前ハウジング110Fが前後方向に分割されることで、出力軸601の軸方向に沿った長さを短くすることができる。
また、後ハウジング110Rと前ハウジング110Fが、モータ200の軸方向と非平行な出力軸601の軸方向に沿って前後方向に分割される構成でも、バッテリ取付部9は、図11等で説明した構成と同じで良く、出力軸601の軸方向に沿った前後方向への移動で、バッテリ90が電動工具1Bに挿抜されるように構成される。
すなわち、後ハウジング110Rに後レール部9Rを備え、前ハウジング110Fに前レール部9Fを備えて、ガイドレール部9Aを構成する。そして、後ハウジング110Rの後レール部9Rと前ハウジング110Fの前レール部9Fの両方で、バッテリ90のガイド凸部91を保持する。
これにより、バッテリ90の挿抜方向に対して、ガイドレール部9Aの前端部付近と後端部付近の2点でバッテリ90のガイド凸部91を保持することができる。従って、バッテリ90がバッテリ取付部9に取り付けられた状態で、バッテリ90ががたつくことを抑制することができる。