JP6672543B2 - 顎関節脱臼防止具 - Google Patents

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Description

本発明は、顎関節前方脱臼を防止する顎関節脱臼防止具に関するものである。
人間の顎関節は、側頭骨における頬骨突起62、下顎頭61、関節円板、関節包、靭帯及び筋肉から構成されており、図11に示すように、下顎骨60の下顎頭61が側頭骨62のくぼみ(下顎窩63)に入り込む構造をしている。図11においては、関節円板、関節包、靭帯及び筋肉を省略して記載している。
顎関節の動きについて図11の要部拡大図である図12を用いて説明すると、口の開け始めの時点(口を少し開けた状態)では、下顎窩63のくぼみの中で下顎骨60の下顎頭61は回転する(図12(a))。更に口を開けると、下顎頭61は下顎窩63から出て前方(眼窩65方向)に滑り出し(図12(b))、口を大きく開けると下顎頭61は関節隆起64の下方まで移動する(図12(c))。口を閉めるときには、下顎頭61は後方(後頭部方向)に移動し、下顎窩63のくぼみに収まる(図12(d))。
このような顎関節においては、例えば、大あくびなどで急に口を大きく開けたり、不自然な顎の使い方をする事により、下顎頭が上記の運動範囲を逸脱すると顎関節が外れた状態(顎関節脱臼)になる場合がある。特に、下顎骨60の下顎頭61が関節隆起64を乗り越えてしまい元に戻らない状態である顎関節前方脱臼は、顎関節脱臼の大部分を占める。顎関節前方脱臼は、上述したように大あくびなどにより急に口を大きく開けたり、不自然な顎の使い方をする事により発生する他、関節を構成する互いの骨の接続部分に不適合な要素(関節のかみ合わせが浅い、関節運動を制限する靱帯がゆるい、関節を構成する骨の接続面の形状が合わないなど)がある等の関節の構造的問題により発生する。また、顎の周囲の筋肉緊張低下を起こしている場合や、顎関節症(下顎頭や関節円板の変形など)に起因して発生する場合もある。
顎関節に構造的な問題が存在する場合や、高齢化等により顎の周囲の筋肉緊張低下を起こしている場合等には、顎関節前方脱臼が習慣的に発生する可能性が高く、このような場合には、機械的に顎の運動制限をはかる必要がある。具体的には、帽子に固定源を求めて下顎が大きく開くのを制限するオトガイ帽を着用したり、顔の周りを包帯やバンテージで固定したり、上顎と下顎にゴムをかけて開口制限をはかったり、上顎と下顎を針金で3〜4週間程度固定することにより咀嚼筋の安静をはかったりして、顎が脱臼することを防止する必要がある。
しかし、再発を繰り返すような場合には、外科的な方法(手術)を適応する場合もある。手術では、関節隆起64を移植骨やインプラントで高くしたり、逆に関節隆起64をできるだけ平坦化し脱臼位からでも容易に閉口できるようにしたりする。また、特許文献1に開示されているような人工顎関節に置換する手術などがある。
しかしながら、従来の手術方法ではそれぞれに欠点がある。つまり、移植骨は高齢者では生着する可能性が低いし、インプラントは満足すべきものが開発されていなかったり、また、関節隆起を平坦化するだけでは脱臼再発が起こったりしてしまう。従って、顎関節脱臼を確実に防止できるインプラント(顎関節脱臼防止具)が求められている。
そこで、本出願の発明者は、顎関節前方脱臼が発生することを効果的に抑制するために、特許文献2に開示されているような顎関節脱臼防止具を開発した。この顎関節脱臼防止具は、図13の側面図、や当該図13の矢視Z方向から見た正面図である図14に示すように、側頭骨の頬骨突起外側面に取り付けられる取付部101と、側頭骨関節隆起64の下端側に回り込んで配置される先端部103を有する移動制限部102とを備える構造を有している。このような顎関節脱臼防止具100によれば、側頭骨関節隆起64の下端側に回り込んで配置される先端部103がストッパーの役目を果たし、口を開いた際に、下顎頭61が、当該先端部103よりも前方(眼窩65方向)に移動すること規制し、顎関節前方脱臼の発生を効果的に抑制できるというものである。
特開平11−146889号公報 特許第4488536号公報
上述の特許文献2に開示されている顎関節脱臼防止具100は、顎関節前方脱臼を極めて効果的に抑制することができるという優れた効果を奏するものではあるが、顎関節脱臼防止具100の先端部103が薄いプレート状であるため、開口時に、該プレート状の先端部側面103a(図14参照)が、線状に下顎頭61に接触してしまい、下顎頭61における先端部103との接触部分において骨吸収が術後早期に発生しやすいことが判明した。
また、上記顎関節脱臼防止具100は、先端部103が、下顎頭61の前方移動を規制するストッパとして機能するものであるため、大きく口を開けることが困難であり、患者のQOL(Quality of life)の観点から改良の余地があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、顎関節前方脱臼が発生することを確実に防止しつつ、接触部分の骨吸収を防止し、かつ、患者のQOLを向上することができる顎関節脱臼防止具を提供することを目的とする。
本発明の前記目的は、顎関節前方脱臼を防止する顎関節脱臼防止具であって、側頭骨の頬骨突起外側面における側頭骨関節隆起近傍に取り付けられるプレート状の取付部と、下顎頭の前方移動を制限する移動制限部とを備えており、前記移動制限部は、前記取付部に接続する基端部、及び、前記基端部から延びて側頭骨関節隆起の下端側に回り込んで配置される先端部を備えており、前記先端部は、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する密着面と、前記密着面の反対側に設けられ、下顎頭の前方移動を規制する規制面とを備えており、前記規制面は、下顎頭の前方移動方向に向かうに従い、前記密着面から離隔する方向に傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする顎関節脱臼防止具により達成される。
また、上記顎関節脱臼防止具において、前記規制面は、下顎骨側に向けて凸であり、該下顎頭の前方移動方向に沿う湾曲面状であることが好ましい。
また、前記基端部は、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する基端部密着面を備えていることが好ましい。
また、前記取付部は、頬骨突起外側面に沿って密着する取付部密着面を備えていることが好ましい。
また、前記取付部は、頬骨突起の上端面側に回り込み、該上端面に係合する突起部を備えていることが好ましい。
また、前記取付部は、骨に固定されるスクリューが貫通する貫通孔を備えることが好ましい。
また、前記基端部は、前記先端部側の幅寸法に対して前記取付部側が幅広に形成されていることが好ましい。
また、前記取付部及び前記移動制限部は、チタン、チタン合金、ステンレス、ハイドロキシアパタイト、セラミック及び繊維強化樹脂からなる群より選択される材料により一体的に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、顎関節前方脱臼が発生することを確実に防止しつつ、接触部分の骨吸収を防止し、かつ、患者のQOLを向上することができる顎関節脱臼防止具を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る顎関節脱臼防止具の正面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の右側側面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の背面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の使用状態を示す説明図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の変形例を示す側面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の変形例を示す平面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の他の変形例を示す要部拡大背面図である。 図1に示す顎関節脱臼防止具の更なる他の変形例を示す正面図である。 顎関節の構造を説明する説明図である。 顎関節の動きを説明する要部拡大説明図である。 従来の顎関節脱臼防止具を示す側面図である。 図13における矢視Z方向から見た顎関節脱臼防止具の正面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる顎関節脱臼防止具1の正面図であり、図2は、顎関節脱臼防止具1の右側側面図である。図3は、顎関節脱臼防止具1の背面図であり、図4は、顎関節脱臼防止具1の平面図である。また、図5は、図1におけるA−A断面図であり、図6は、顎関節脱臼防止具1の使用状態を示す説明図である。
本実施形態に係る顎関節脱臼防止具1は、顎関節前方脱臼を防止するものであり、顎関節脱臼防止具1の取付状態を示す図6にあるように、側頭骨の頬骨突起62外側面における側頭骨関節隆起64近傍に取り付けられて使用される。ここで、側頭骨関節隆起64近傍とは、側頭骨関節隆起64を含む周辺領域をいう。この顎関節脱臼防止具1は、図1〜図6に示すように、側頭骨関節隆起64近傍の骨表面に取り付けられる取付部2と、下顎頭61の前方移動を制限する移動制限部3とを備えている。これら取付部2と移動制限部3とは一体的に形成されている。なお、図2、図4及び図5において鎖線で示される部分は、後述する取付部2の貫通孔21である。
取付部2は、側頭骨関節隆起64近傍の骨表面に沿うプレート状に形成されている。また、このプレート状の取付部2は、側頭骨関節隆起64の幅方向(図6及び図11の左右方向)に沿って長尺となるように形成されている。取付部2の側縁形状は、後述する基端部4が接続する側縁の一部を除いて、略長円状となるように形成されている。また、取付部2には、スクリュー挿入用の貫通孔21が形成されている。本実施形態においては、4つの貫通孔21を有するように構成しているが、このような数に特に限定されず、貫通孔21の形成個数は任意である。また、取付部2において頬骨突起62外側面に当接する面は、頬骨突起外側面に沿って密着する取付部密着面22を構成するように形成されることが好ましい。つまり、取付部2における頬骨突起外側面に当接する面を、例えば、単に平面状に形成するのではなく、頬骨突起外側面の表面形状に合致させた面形状に構成し、取付部2と頬骨突起外側面との間に死腔が形成されないように構成することが好ましい。
取付部2を形成する材料は、人体組織との有害な組織反応が発生しにくく生体適合性が高いチタンやチタン合金が好ましいが、ステンレス、ハイドロキシアパタイト、セラミック等のその他の材料であってもよい。また、高分子ポリエチレン素材等の繊維強化樹脂により取付部2を形成してもよい。また、取付部2の厚みは、例えば、1mm〜2mm程度の範囲が好ましい。1mmよりも薄いと強度が低下し破損するおそれがあり、他方、2mmよりも厚みが大きいと骨の外表面を覆う皮膚が出っ張ってしまったり、取付部2が設置される骨とこの骨に接する肉とがなじみ難くなってしまい好ましいとはいえない。
移動制限部3は、下顎頭61の前方移動を制限する機能を有し、図1〜図5に示すように、基端部4と先端部5とを備えている。これら基端部4と先端部5とは一体的に形成されている。基端部4は、取付部2と先端部5との間に配置されており、取付部2及び先端部5と面一となるように構成されている。この基端部4は、正面視において、一方端である取付部側端部41が、他方端である先端部側端部42の幅寸法に対して幅広となる略楔形に形成されている。また、図2に示すように、先端部側端部42は、取付部側端部41に対して、側頭骨関節隆起64の下端側に回り込むような位置に配置されており、基端部4は、側頭骨関節隆起64の側面に沿うような曲線を描くように傾斜して形成されている。なお、本実施形態においては、基端部4が、取付部2の下方側縁の略中央から下方に延びるように構成されているが、この基端部4が設けられる位置は、取付部2の下方側縁の略中央位置に限定されるものでは無く、取付部2の左右方向(図1における左右方向)に関して、いずれか一方向に偏るようにして基端部4を設けてもよい。また、基端部4は、上述した取付部2と同様に、生体適合性が高いチタンやチタン合金により形成されることが好ましいが、ステンレス、ハイドロキシアパタイト、セラミック等のその他の材料であってもよく、また、高分子ポリエチレン素材等の繊維強化樹脂により形成してもよい。基端部4の厚みは、例えば、1mm〜2mm程度が好ましい。また、基端部4は、側頭骨関節隆起64の表面に沿って密着する基端部密着面43を備えるように構成することが好ましい。つまり、基端部4において、側頭骨関節隆起側を向く面を、例えば、単に平面状に形成するのではなく、側頭骨関節隆起64の表面形状に合致させた面形状に構成し、基端部4と側頭骨関節隆起64との間に死腔が形成されないように構成することが好ましい。
先端部5は、取付部2に沿ってその面外方向に延びる基端部4に対して屈曲するように基端部4の他方端(先端部側端部42)から延びており、側頭骨関節隆起64近傍の骨表面に取付部2を設置した場合に、側頭骨関節隆起64の下端側に回り込んで配置されるように構成されている。この先端部5は、側頭骨関節隆起64の表面(側頭骨関節隆起64の下端側の表面)に沿って密着する密着面51と、当該密着面51の反対側に設けられ、下顎頭の前方移動を規制する規制面52とを備えている。また、先端部5は、図4に示すように、先細となるように構成されている。ここで、先端部5における密着面51は、側頭骨関節隆起64の下端面に合致させた面形状に構成し、先端部5と側頭骨関節隆起64の下端面との間に死腔が形成されないように構成することが好ましい。
また、規制面52は、図3に示すように、少なくとも下顎頭側の領域において、下顎頭の前方移動方向に向かうに従い、密着面51から離隔する方向に傾斜する傾斜面52aを備えている。特に、本実施形態においては、規制面52が、下顎骨側に向けて凸であり(側頭骨関節隆起64の隆起方向に向けて凸であり)、該下顎頭の前方移動方向に沿う湾曲面状となるように構成している。この先端部5も、上述した取付部2と同様に、生体適合性が高いチタンやチタン合金により形成されることが好ましいが、ステンレス、ハイドロキシアパタイト、セラミック等のその他の材料や、高分子ポリエチレン素材等の繊維強化樹脂により形成してもよい。先端部5の最大厚みは、本顎関節脱臼防止具1が設置される患者の側頭骨関節隆起64の磨減状況によって適宜設定されるものではあるが、下顎骨60の下顎頭61が顎関節脱臼防止具1の先端部5を乗り越えて前方脱臼することを防止する観点から、例えば5mm〜15mm程度となるように形成することが好ましい。
本発明に係る顎関節脱臼防止具1は、従来からある種々の医療用金属プレートと同様な手法により形成することができるが、例えば、当該顎関節脱臼防止具1を患者に設置する前に、予め、患者の顎関節部をCT撮影等を行って顎関節3次元模型を作成し、この3次元模型に基づいて、下顎頭の脱臼を抑制するために十分な先端部5の最大厚みを設定しつつ、先端部5における規制面52の傾斜角度や傾斜面52a形状を設定して形成することが好ましい。また、上記顎関節3次元模型に基づいて、側頭骨関節隆起64の下端面に合致させた面形状となる先端部5における密着面51や、頬骨突起外側面の表面形状に合致させた面形状となる取付部2の取付部密着面22、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する基端部4の基端部密着面43の表面形状を形成することが好ましい。
上述のように構成された本実施形態に係る顎関節脱臼防止具1は、図6に示すように側頭骨関節隆起64近傍の骨表面にスクリュー(図示せず)を介して取付部2を固定して使用される。また、顎関節脱臼防止具1の取り付けに際しては、移動制限部3における先端部5が、側頭骨関節隆起64の下端側に回り込んで、該先端部5の密着面51が、側頭骨関節隆起64の下端側の表面に密着するように設置する。
本発明における顎関節脱臼防止具1は、上述のように側頭骨関節隆起64の下端側に回り込んで配置される先端部5を備えているため、下顎骨60の下顎頭61が関節隆起64を前方(眼窩65方向)に乗り越えることができず、顎関節前方脱臼の発生を効果的に抑制できる。より具体的に説明すると、顎関節脱臼防止具1が所定位置に設置された患者が、大きく口を開けると、下顎頭61は下顎窩63から出て前方(眼窩65方向)に滑り出し、下顎頭61は、先端部5に接触することになるが、当該先端部5における規制面52は、下顎骨60側に向けて凸であり、該下顎頭の前方移動方向に沿う湾曲面状となるように構成されているため、先端部5に接触した下顎頭61は、規制面52上を移動することとなる。規制面52は、下顎頭の前方移動方向に向かうに従い、密着面51から離隔する方向に傾斜する傾斜面52aを備えるように構成されているため、下顎頭は、傾斜面52aに乗り上げつつも、該傾斜面52aの頂部を乗り越えることができず、顎関節前方脱臼が発生することが防止される。
また、上述の従来における顎関節脱臼防止具100の場合、下顎頭61の移動を規制する先端部5が、平坦な薄いプレート状であったため、患者が口を開けた場合には、先端部103の側面103aが下顎頭61に線状にきつく接することになり、下顎頭と先端部5との接触個所において骨吸収が発生するおそれがあったが、本発明に係る顎関節脱臼防止具1の場合には、開口した際の下顎頭61が先端部5の傾斜面52a(規制面52)に接触し、かつ、当該傾斜面52a上(規制面52上)を移動できるように構成しているため、局所的に、先端部5と下顎頭とが強く接触するような領域が発生することが無く、骨吸収が発生することを極めて効果的に防止することが可能となる。
また、従来の顎関節脱臼防止具100の場合には、下顎骨60の下顎頭61が先端部103に接触するまでの領域しか、下顎頭が移動することができなかったのに対し、本発明における顎関節脱臼防止具1の場合には、下顎頭61が、先端部5における規制面52上に沿って移動できるように構成しているため、下顎頭61の可動領域を飛躍的に増加させることができる。この結果、顎関節脱臼防止具1が設置された患者は、従来の顎関節脱臼防止具1の場合よりも、より一層大きく口を開くことが可能となり、患者のQOL(Quality of life)が著しく向上することになる。
また、本発明に係る顎関節脱臼防止具1は、先端部5が、側頭骨関節隆起64の下端側の表面に密着するように構成されているため、先端部5と側頭骨関節隆起64の下端面との間に死腔が形成されることが抑制される。これにより、顎関節脱臼防止具1を患者に設置した後、つまり、術後に浸出液や血液が溜まることを防止することができ、術後感染が発生することを効果的に防止することが可能となる。同様に、頬骨突起外側面の表面形状に合致させた面形状となる取付部2の取付部密着面22や、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する基端部4の基端部密着面43を備えるように、本発明に係る顎関節脱臼防止具1を構成する場合、頬骨突起外側面や側頭骨関節隆起64と顎関節脱臼防止具1との間に死腔が形成されることを効果的に抑制できるため、術後感染が発生することを効果的に防止することが可能となる。
また、取付部2が、頬骨突起外側面の表面形状に合致させた面形状となる取付部密着面22を備えるように構成することにより、上述の死腔形成抑制という効果の他、手術前に医師が検討した顎関節脱臼防止具1の設置位置に取付部2を迅速に配置することが可能となる。具体的に説明すると、顎関節脱臼防止具1における取付部2が設置される頬骨突起外側面は、湾曲面となっているが、この湾曲面に沿う形状となるように取付部密着面22を予め形成しておくことにより、顎関節脱臼防止具1を仮設置する際に、最も自然に、取付部2が頬骨突起外側面に重なり合う個所を医師が認識しやすくなり、手術前に検討した設置予定位置を迅速に見出すことができ、顎関節脱臼防止具1を患者の所定位置に設置する作業を精度よくかつ迅速に行うことが可能となる。顎関節脱臼防止具1の位置決めを精度よく勝つ迅速に行うことができることにより、手術時間の短縮が可能となり、患者の負担を著しく軽減することができる。
また、本発明に係る顎関節脱臼防止具1は、側頭骨関節隆起64に密着し、その外側から下面まで覆うことになるので、下顎頭が接触しても、顎関節脱臼防止具1に作用する応力が分散されることとなり、該顎関節脱臼防止具1が破折することを効果的に防止することが可能となる。
また、顎関節脱臼防止具1における基端部4の形状が、他方端である先端部側端部42の幅寸法に対して、一方端である取付部側端部41が幅広となる略楔形に形成されているため、基端部4と取付部2との境界近傍における機械強度を高くすることができる。この結果、基端部4と取付部2との境界近傍における顎関節脱臼防止具1の破損を効果的に防止することが可能となる。
以上、本発明に係る顎関節脱臼防止具1の実施形態について説明したが、顎関節脱臼防止具1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、図7の側面図や図8の平面図に示すように、顎関節脱臼防止具1における取付部2が、頬骨突起の上端面側に回り込み、該上端面に係合する突起部25を備えるように構成してもよい。このような構成を採用することにより、本発明に係る顎関節脱臼防止具1を所定位置に設置する場合において、先端部5と突起部25との間で側頭骨関節隆起を介して頬骨突起62を挟持するように構成することができるので、顎関節脱臼防止具1の位置決め作業や固定作業をより一層迅速に行うことが可能となり、手術時間の短縮を図ることができる。ここで、図7や図8に示す顎関節脱臼防止具1においては、取付部密着面22に対して略垂直に突出する複数の突起部25を取付部2の上端部において所定間隔を空けて配置するように構成しているが、このような構成に特に限定されず、単一の突起部25を備えるように構成してもよい。この突起部25の厚み(図7における上下方向の寸法)は、例えば、1mm〜2mm程度の範囲が好ましい。1mmよりも薄いと強度が低下し破損するおそれがあり、他方、2mmよりも厚みが大きいと、突起部25が設置される骨(頬骨突起)とこの骨に接する肉とがなじみ難くなってしまうおそれがある。
また、上記実施形態において、規制面52は、下顎骨60側に向けて凸であり、該下顎頭61の前方移動方向に沿う湾曲面状となるように構成しているが、このような形状に特に限定されず、下顎頭61の前方移動方向に向かうに従い、密着面51から離隔する方向に傾斜する傾斜面52aを規制面52が備える構成であれば、例えば、図9(a)〜(c)の要部拡大背面図に示すように、種々の形態を採用することができる。
また、上記実施形態においては、移動制限部3における基端部4を、他方端である先端部側端部42の幅寸法に対して、一方端である取付部側端部41が幅広となる略楔形となるように形成しているが、このような形態に特に限定されず、種々の形態として基端部4を形成してもよい。
また、取付部2の側縁形状は、基端部4が接続する側縁の一部を除いて、略長円状となるように形成されているが、このような形態に特に限定されない。例えば、略矩形状に形成してもよく、或いは、図10の正面図に示すように、取付部2の側縁形状が、基端部4が接続する側縁の一部を除いて波形となるように形成してもよい。この図10に示す顎関節脱臼防止具1は、取付部2が、波形における凸曲線状の側縁輪郭を有する孔形成領域26と、凹曲線状の側縁輪郭を有する孔間領域27とに区画されて構成されている。孔形成領域26と孔間領域27とは、交互に配置されており、孔形成領域26には、スクリュー挿入用の貫通孔21が形成されている。顎関節脱臼防止具1の取付部2を側頭骨関節隆起64近傍の骨表面に取り付ける場合、土台となる骨の状況や、顎関節脱臼防止具1の先端部5の好ましい設置位置を確保するためには、取付部2の一部を切断して寸法を調整する必要が生じる場合もあるが、このような場合であっても、図10に示すような顎関節脱臼防止具1においては、取付部2の孔間領域27の幅が孔形成領域26の幅よりも狭く構成されているため、簡単且つ迅速に孔間領域27を切断して取付部2の寸法を調整することができ、顎関節脱臼防止具1の取り付けを容易に行うことが可能となる。
1 顎関節脱臼防止具
2 取付部
21 貫通孔
22 取付部密着面
25 突起部
26 孔形成領域
27 孔間領域
3 移動制限部
4 基端部
41 取付部側端部
42 先端部側端部
43 基端部密着面
5 先端部
51 密着面
52 規制面
52a 傾斜面
60 下顎骨
61 下顎頭
62 頬骨突起
63 下顎窩
64 側頭骨関節隆起
65 眼窩

Claims (8)

  1. 顎関節前方脱臼を防止する顎関節脱臼防止具であって、
    側頭骨の頬骨突起外側面における側頭骨関節隆起近傍に取り付けられるプレート状の取付部と、下顎頭の前方移動を制限する移動制限部とを備えており、
    前記移動制限部は、前記取付部に接続する基端部、及び、前記基端部から延びて側頭骨関節隆起の下端側に回り込んで配置される先端部を備えており、
    前記先端部は、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する密着面と、前記密着面の反対側に設けられ、下顎頭の前方移動を規制する規制面とを備えており、
    前記規制面は、下顎頭の前方移動方向に向かうに従い、前記密着面から離隔する方向に傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする顎関節脱臼防止具。
  2. 前記規制面は、下顎骨側に向けて凸であり、該下顎頭の前方移動方向に沿う湾曲面状であることを特徴とする請求項1に記載の顎関節脱臼防止具。
  3. 前記基端部は、側頭骨関節隆起の表面に沿って密着する基端部密着面を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の顎関節脱臼防止具。
  4. 前記取付部は、頬骨突起外側面に沿って密着する取付部密着面を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の顎関節脱臼防止具。
  5. 前記取付部は、頬骨突起の上端面側に回り込み、該上端面に係合する突起部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の顎関節脱臼防止具。
  6. 前記取付部は、骨に固定されるスクリューが貫通する貫通孔を備える請求項1から5のいずれかに記載の顎関節脱臼防止具。
  7. 前記基端部は、前記先端部側の幅寸法に対して前記取付部側が幅広に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の顎関節脱臼防止具。
  8. 前記取付部及び前記移動制限部は、チタン、チタン合金、ステンレス、ハイドロキシアパタイト、セラミック及び繊維強化樹脂からなる群より選択される材料により一体的に形成されている請求項1から7のいずれかに記載の顎関節脱臼防止具。
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