JP6671596B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は,パチンコ遊技機に代表される遊技機に関する。
従来から,パチンコ遊技機に代表される遊技機には,特許文献1に開示される遊技機のように,遊技中に遊技者が操作可能な演出ボタンを備え,遊技者に演出ボタンの操作を促すボタン操作演出を行い,演出ボタンが操作されると所定の演出を行うものがある。このような遊技機では,例えばボタン操作演出として,演出ボタンの画像を表示し,遊技者により演出ボタンの連打を受け付ける。そして,遊技機は,遊技者によって演出ボタンが連打された回数が所定回数に到達した後,大当りの場合には大当り用の演出を行い,ハズレの場合はハズレ用の演出を行う。
特開2013−183998号公報
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1のように,演出ボタンを単に所定の回数となるまで連打させるのみの演出である。そのため,ボタン操作の演出に関して改善の余地がある。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,遊技者が操作可能な操作手段を備える遊技機であって,操作手段の複数回の操作を伴う演出に関する新たな見せ方を提供することにある。
本発明の遊技機は,
遊技者が操作し得る操作手段と,
所定の演出を実行可能な演出制御手段と,
を備え,
前記演出制御手段は,
特定演出を実行可能であり,
前記特定演出を実行する前および後において,前記操作手段への操作を受け付けることに応じて,前記操作手段の演出態様を変化させることがあり,
前記特定演出が実行される前と後とで,前記操作手段の演出態様が変化する確率が互いに異なる,
とを特徴とする遊技機である。
本発明によれば,遊技者が操作可能な操作手段を備える遊技機であって,操作手段の複数回の操作を伴う演出に関する新たな見せ方が実現される。
実施の形態に係るパチンコ遊技機の斜視図である。 実施の形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤の正面図である。 実施の形態に係るパチンコ遊技機の第2大入賞装置の詳細を示す図である。 図2に示すパチンコ遊技機の枠A内の表示器類を示す図である。 パチンコ遊技機の主制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。 パチンコ遊技機のサブ制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。 大当たりの判定テーブルを示す図である。 大当たり種別の判定テーブルを示す図である。 大入賞口の開放態様テーブルを示す図である。 リーチの判定テーブルを示す図である。 第1特別図柄の抽選における変動パターンテーブルを示す図である。 第2特別図柄の抽選における変動パターンテーブルを示す図である。 普通当たりの判定テーブルを示す図である。 演出図柄変動演出におけるボタン変動演出の概要を示す図である。 ボタン変動演出の手順を示すタイムチャートである。 演出保留図柄演出におけるボタン保留演出の概要を示す図である。 主制御基板におけるメイン側起動処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板におけるメイン側タイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板におけるセンサ検出処理の手順を示すフローチャートである。 第1始動口の入賞における第1始動入賞コマンド判定テーブルを示す図である。 第2始動口の入賞における第2始動入賞コマンド判定テーブルを示す図である。 主制御基板における特定センサ検出処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における普通動作処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における特別動作処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における特別図柄待機処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における大当たり判定処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における特別図柄変動中処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における特別図柄確定処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における遊技状態管理処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における大当たり遊技処理の手順を示すフローチャートである。 主制御基板における遊技状態設定処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板におけるサブ側起動処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における2msタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における10msタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における受信コマンド解析処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における保留加算処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における先読み演出判定処理の手順を示すフローチャートである。 ボタン予告の判定テーブルを示す図である。 ボタン保留演出のシナリオデータの判定テーブルを示す図である。 サブ制御基板における変動演出開始処理の手順を示すフローチャートである。 ボタン変動演出のシナリオデータの判定テーブルを示す図である。 サブ制御基板における保留減算処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板における特図保留演出処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板におけるスイッチデータ解析処理の手順を示すフローチャートである。 サブ制御基板におけるボタン振動処理の手順を示すフローチャートである。 ボタン振動の判定テーブルを示す図である。 サブ制御基板におけるリーチ昇格処理の手順を示すフローチャートである。 リーチ昇格の判定テーブルを示す図である。
以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
1.パチンコ遊技機1の構造
本形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,遊技機枠50は,前方側から順に,前面枠51,内枠52,外枠53によって構成される。また,パチンコ遊技機1は,遊技機枠50のうち前方にある前面枠51に,上側装飾ユニット200と,左側装飾ユニット210と,右側装飾ユニット220と,操作ユニット230と,を備えている。
さらに,パチンコ遊技機1の操作ユニット230は,演出ボタン63と,十字ボタン68と,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。十字ボタン68および演出ボタン63は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には打球供給皿61の上部前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,十字ボタン68および演出ボタン63を容易に操作できる。
ハンドル60は,前面枠51中の中央下側に位置し,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度を,パチンコ遊技機1に入力する。打球供給皿61は,前面枠51の中央下側に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1の右側装飾ユニット220は,剣の一部および柄の形状を模した剣部材222を備えている。剣部材222は,遊技者によって下方向への押し込みが可能であり,パチンコ遊技機1は剣部材222の押し込み操作を検知できる。すなわち,剣部材222は,入力デバイスの1つである。剣部材222もパチンコ遊技機1の前側に設けられており,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,剣部材222を容易に操作できる。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67を備えている。このうち枠ランプ66は,上側装飾ユニット200に設けられ,アルファベットの形状に模された4つの発光部によって構成され,各種の演出の必要に応じて各発光部が個別にあるいは同時に点灯する。
また,スピーカ67は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,その異常を報知するために,例えば,サイレン音等の報知音を出力する。なお,左側に設けられたスピーカ67は,右側に設けられたスピーカ67と同様に上側装飾ユニット200の直下に配置されており,図2においては図示されていない。
次に,パチンコ遊技機1の遊技盤2について説明する。パチンコ遊技機1は,図2に示すように,遊技盤2に,レール部材4と,複数の遊技くぎ(符号は省略)と,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が転動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,遊技領域3の下方から発射された遊技球を遊技領域3の上方に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,液晶表示部材を有する画像表示装置7を備えている。また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における画像表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第1特別図柄の抽選の契機となる。第1特別図柄の抽選は,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらに画像表示装置7を挟んでセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。
また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の上部に,装飾可動体15を備えている。なお,装飾可動体15は,可動式のいわゆるギミックのことである。装飾可動体15は,画像表示装置7の上部でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態から,その折り畳みが解除されて画像表示装置7の中央部を含む前方で露出している露出状態に変位可能である。装飾可動体15は,例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて変位する。
また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における第1始動口20の下方に,普通可変入賞装置22を備えている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第2特別図柄の抽選の契機となる。第2特別図柄の抽選も,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。電チュー22は,可動部材23を備え,可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,可動部材23が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,可動部材23が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。この場合,第2始動口21の上側に到達した遊技球は,可動部材23の左右方向に弾かれる。つまり,第2始動口21は,可動部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,可動部材23が閉状態では開状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,可動部材23が閉状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,固定入賞装置19よりも右上方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め上方に,第1大入賞口30を有する第1大入賞装置31を備えている。さらに第1大入賞装置31は,開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材32が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材32が閉状態とは,開状態よりも第1大入賞口30に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材32が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30よりも右上方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め上方に,第2大入賞口35を有する第2大入賞装置36を備えている。さらに第2大入賞装置36は,開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材37が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材37が閉状態とは,開状態よりも第2大入賞口35に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材37が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
より詳細には,図3に示すように,第2大入賞装置36の内部には,第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な領域である特定領域39および非特定領域70が形成されている。また,第2大入賞装置36の内部には,遊技球の転動方向の特定領域39および非特定領域70よりも上流に,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第2大入賞口センサ35aが設けられている。また,特定領域39内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する特定領域センサ39aが設けられ,非特定領域70内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する非特定領域センサ70aが設けられている。
また,第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を通過した遊技球を,特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と,振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は,遊技盤2に対して左右方向に進退可能に取り付けられ,遊技球の特定領域39への転動と非特定領域70への転動とを切り換える。
具体的には,図3(A)に示すように,振分部材71が遊技球の特定領域39への転動を許容する位置に退避した状態(第1の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,特定領域39を通過することが可能になる。一方,図3(B)に示すように,振分部材71が特定領域39の入口を塞ぐことで遊技球の特定領域39への転動を規制した状態(第2の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,非特定領域70を通過する。
パチンコ遊技機1では,特定領域39への遊技球の通過が遊技状態を変更する契機となっている。パチンコ遊技機1の遊技状態および変更内容については後述する。これに対し,非特定領域70への遊技球の通過は,遊技状態の変更の契機とならない。
図2の説明に戻り,パチンコ遊技機1には,遊技領域3におけるセンター装飾体10の左下方に,遊技球が通過可能な第1ゲート28が設けられている。また,パチンコ遊技機1には,遊技領域3における第1始動口20の右上方であって第1大入賞口30の上方に,遊技球が通過可能な第2ゲート29が設けられている。第1ゲート28および第2ゲート29への遊技球の通過は,電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄の抽選の契機となる。普通図柄の抽選の詳細についても後述する。なお,以下の説明では,第1ゲート28および第2ゲート29を総称する場合,ゲートという。
また,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3内に,1ないし複数の普通入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側に位置する左遊技領域3Aと,右側に位置する右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。パチンコ遊技機1では,左打ちの場合,第1始動口20への入賞が狙い易い構成になっている。一方,右打ちの場合,第2始動口21,第1大入賞口30,および第2大入賞口35への入賞が狙い易い構成になっている。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右上方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図4に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,普通図柄表示器42の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器44と,が含まれる。
第1特別図柄の表示変更は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の表示変更は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,大当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。なお,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技の制御を行う。なお,大当たり遊技を特別遊技ともいう。大当たり遊技における第1大入賞口30および第2大入賞口35の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図4に示すように,8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,例えば「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から8番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数を取得し,その大当たり乱数を自身のメモリの特定の記憶領域に一旦記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第1始動口20用の記憶領域(後述する図5に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第2始動口21への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第2始動口21用の記憶領域(後述する図5に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1では第1特図保留記憶部85a,第2特図保留記憶部85bともに,その上限数を4としている。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となる消化条件を満たしたことによって消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1がその大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の表示を実行することであり,停止図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,上限数までその入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1始動口20への入賞に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2始動口21への入賞に対する特図保留を,第2特図保留とする。
なお,第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留に対する消化条件には,その第1特図保留よりも先に第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第1特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留に対する消化条件には,その第2特図保留よりも先に第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第2特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,パチンコ遊技機1では,第2特図保留の消化が第1特図保留の消化よりも優先される。そのため,第1特図保留に対する消化条件には,第2特図保留が無いことも含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図4に示すように,第1特図保留表示器43aが4個のLEDで構成されており,第2特図保留表示器43bも4個のLEDで構成されている。パチンコ遊技機1は,特図保留表示器43に各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過を契機に,普通図柄抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通図柄抽選の抽選結果に応じて,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図4に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。普通図柄表示器42は,普通図柄抽選の普通当たりに当選に対応する特定普通図柄の表示として,例えば「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って,両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,例えば「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って,左のLEDを点灯させる。なお,普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,ゲートへの遊技球の通過があると,その通過に対して普通図柄の抽選用の乱数である普通図柄乱数の値を取得し,その普通図柄乱数を自身のメモリの特定の記憶領域(後述する図5に示す普図保留記憶部86)に一旦記憶する。記憶領域に記憶可能な普通図柄乱数の値の数には上限があり,パチンコ遊技機1では上限数を4としている。
記憶された普通図柄乱数は,その値に基づく普通図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。普通図柄乱数の値の消化とは,パチンコ遊技機1がその普通図柄乱数の値が普通当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための普通図柄の表示を実行することであり,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づく普通図柄の表示がその通過後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく普通図柄の変動表示中や補助遊技の実行中に遊技球のゲートの通過があった場合であっても,4個を上限として,その通過に対する普通図柄の抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,普図保留という。
なお,普図保留記憶部86に記憶された普図保留に対する消化条件には,その普図保留よりも先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が無いこと,すなわち先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が全て消化されたことが含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような普図保留の数を,普図保留表示器44に表示する。具体的には,普図保留表示器44は,図4に示すように,4個のLEDで構成されており,普図保留の数だけLEDを点灯させることで普図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1は,図2に示したように,遊技領域3の中央付近に,画像表示装置7を備え,画像表示装置7の表示画面7aには,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域が含まれる。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。
演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の図柄からなる。画像表示装置7は,左,中,右の演出図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,画像表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で演出図柄を表示する。また,「ハズレ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で演出図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握可能な他,画像表示装置7に表示される演出図柄の組み合わせによっても把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,画像表示装置7は,演出図柄の変動表示に際し,例えば,演出図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。
なお,画像表示装置7は,前述のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,数字等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,画像表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留の記憶数に応じて,演出保留図柄を表示する第1演出保留表示領域9Aと,第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留図柄を表示する第2演出保留表示領域9Bと,が含まれる。画像表示装置7は,演出保留図柄の表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43よって把握可能な他,画像表示装置7の第1演出保留表示領域9Aおよび第2演出保留表示領域9Bに表示される演出保留図柄の数によっても把握できる。
2.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図5および図6を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,特別図柄や普通図柄の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,画像表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
主制御基板80には,図5に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通図柄の抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられる。また,特図保留記憶部85には,第1始動口20を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2始動口21を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,取得した乱数を記憶する小領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球が始動口に入賞することに起因して,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の4つの乱数を取得する。そのため,各小領域には,それら4つの乱数が記憶される。各乱数の詳細については後述する。
また,普図保留記憶部86も,保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数が4であることから,普図保留記憶部86には,4つの記憶領域が設けられる。さらに各領域には,取得した乱数を記憶する記憶領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球がゲートを通過することに起因して,普通当たり乱数を取得する。そのため,上述の記憶領域には,普通当たり乱数が記憶される。普通当たり乱数の詳細については後述する。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1ゲートセンサ28a,第2ゲートセンサ29a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,特定領域センサ39a,非特定領域センサ70a,および普通入賞口センサ27a,がある。
第1始動口センサ20aは,第1始動口20の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1始動口20を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2始動口センサ21aは,第2始動口21の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2始動口21を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第1ゲートセンサ28aは,第1ゲート28の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。第2ゲートセンサ29aは,第2ゲート29の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特定領域センサ39aは,特定領域39内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。非特定領域センサ70aは,非特定領域70内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
普通入賞口センサ27aは,各普通入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各普通入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,第2大入賞口ソレノイド38,および振分部材ソレノイド73,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の可動部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。振分部材ソレノイド73は,第2大入賞装置36の振分部材71を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b,および普図保留表示器44,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞による払い出しの賞球数は3球であり,第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,普通入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者によるハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,発射装置112を制御する。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
サブ制御基板90には,図6に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,I/Oポートによって構成される入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,大当たり乱数に基づく情報を記憶する保留演出記憶部95が設けられる。保留演出記憶部95はさらに,大当たり乱数に基づく情報のうち,保留中の情報であって第1特図保留に基づく情報を記憶する第1保留演出記憶部95aと,保留中の情報であって第2特図保留に基づく情報を記憶する第2保留演出記憶部95bと,が設けられる。さらに保留演出記憶部95には,演出保留図柄に関する演出である演出保留図柄演出のシナリオデータを記憶する保留シナリオ記憶部95cが設けられる。また,RAM94には,大当たり乱数に基づく情報のうち,変動表示中の情報を記憶する変動演出記憶部96が設けられる。
詳細には,第1保留演出記憶部95aおよび第2保留演出記憶部95bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1保留演出記憶部95aおよび第2保留演出記憶部95bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,4つの小領域が設けられている。具体的にパチンコ遊技機1では,始動口の入賞に基づいて特定される始動入賞コマンドと,演出保留図柄の表示態様を示すデータ(特図保留表示態様データ)と,ボタン予告乱数と,変化シナリオ乱数と,を各小領域に記憶する。始動入賞コマンド,特図保留表示態様データ,ボタン予告乱数,変化シナリオ乱数,の詳細については後述する。なお,変動演出記憶部96にもこれら4つの小領域が設けられている。
また,サブ制御基板90には,画像制御基板100,ランプ制御基板107,音声制御基板106,および通信制御基板109が電気的に接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は,画像データが展開され,ワークメモリとして使用される。画像制御基板100のROM103には,画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データが記憶されている。画像制御基板100のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データを読み出す。そして,読み出した画像データを画像表示装置7に表示させる。
また,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,音声制御基板106を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる音声制御を行う。具体的に,スピーカ67から出力される音声等の音響データは,サブ制御基板90のROM93に記憶される。なお,音声制御基板106に音響データを記憶させてもよい。また,画像制御基板100とスピーカ67ないし音声制御基板106とを電気的に接続し,画像制御基板100に音声制御を行わせてもよい。この場合,画像制御基板100が音響データを記憶してもよい。
また,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ制御基板107を介して,枠ランプ66,ボタンランプ631等の各ランプの点灯制御を行う。ボタンランプ631は,演出ボタン63内に収容されたランプである。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し,その発光パターンデータをランプ制御基板107に送信する。発光パターンデータを受信したランプ制御基板107は,その発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
さらに,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ制御基板107を介して,ボタン振動部材632を振動させる。ボタン振動部材632は,演出ボタン63内に収容され,振動モータ等によって構成された振動部材である。ボタン振動部材632には,振動モータによって振動を発生させた振動状態と,振動モータを動作させていない非振動状態と,がある。ボタン振動部材632が振動状態の場合,ボタン振動部材632から発生した振動が演出ボタン63の外装体に伝達され,演出ボタン63全体を振動させる。なお,ボタン振動部材632が非振動状態とは,振動状態よりも振動強度が弱ければよく,ボタン振動部材632が完全に振動停止になる構成でなくてもよい。また,ボタン振動部材632は,演出ボタン63の外装体を振動させず,演出ボタン63に収容される構造物のみを振動させてもよい。また,演出ボタン63に収容される構造物を振動させる振動部材と,演出ボタン63の外装体を振動させる振動部材とを別々に設けてもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,ボタン振動部材632の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,その動作パターンデータをランプ制御基板107に送信する。動作パターンデータを受信したランプ制御基板107は,その動作パターンデータに従って,ボタン振動部材632の動作制御を行う。
さらに,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ制御基板107に,中継基板108を介して電気的に接続された装飾可動体15を動作させる。具体的に,演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,装飾可動体15の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,その動作パターンデータをランプ制御基板107に送信する。動作パターンデータを受信したランプ制御基板107は,その動作パターンデータに従って,装飾可動体15の動作制御を行う。
なお,ランプ制御基板107にCPUを実装してもよい。その場合,そのCPUにランプの点灯制御や装飾可動体15等の動作制御を実行させてもよい。さらにその場合,ランプ制御基板107にROMを実装してもよく,そのROMに発光パターンデータの作成に用いるデータや,動作パターンデータの作成に用いるデータを記憶させてもよい。
また,サブ制御基板90には,十字ボタン検出スイッチ68xと,演出ボタン検出スイッチ63xと,剣部材検出スイッチ222xと,が電気的に接続されている。十字ボタン検出スイッチ68xは,十字ボタン68に対応する検出スイッチである。そのため,十字ボタン68が押下されると,十字ボタン検出スイッチ68xからサブ制御基板90に対して,十字ボタン68の押下された方向に関する信号が出力される。十字ボタン検出スイッチ68xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,十字ボタン68のいずれかの方向ボタンが押下されたか否かを判断できる。演出ボタン検出スイッチ63xは,演出ボタン63に対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63が押下されると,演出ボタン検出スイッチ63xからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63に関する信号が出力される。演出ボタン検出スイッチ63xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出ボタン63が押下されたか否かを判断できる。剣部材検出スイッチ222xは,剣部材222に対応する検出スイッチである。そのため,剣部材222が押し込まれると,剣部材検出スイッチ222xからサブ制御基板90に対して,剣部材222に関する信号が出力される。剣部材検出スイッチ222xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,剣部材222が押し込まれたか否かを判断できる。
また,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,音声制御基板106を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる音声制御を行う。具体的に,スピーカ67から出力される音声等の音響データは,サブ制御基板90のROM93に記憶される。なお,音声制御基板106に音響データを記憶させてもよい。また,画像制御基板100とスピーカ67ないし音声制御基板106とを電気的に接続し,画像制御基板100に音声制御を行わせてもよい。この場合,画像制御基板100が音響データを記憶してもよい。
また,演出制御用マイコン91は,通信制御基板109を介して,外部装置との通信を行う。具体的に本形態では,演出制御用マイコン91は,通信制御基板109を介して,ホールコンピュータ900に各種の情報を送信する。通信方式は,ホールコンピュータ900と一対一で通信する方式であってもよいし,ホールコンピュータ900の他,他の外部装置との同時通信も可能な方式であってもよい。
3.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞を契機に,大当たりの抽選を行う。第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第1特別図柄表示器41aに表示され,第1特別図柄(特図1)の抽選ともいう。また,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第2特別図柄表示器41bに表示され,第2特別図柄(特図2)の抽選ともいう。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,特図変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,取得した大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1が行う大当たりの抽選の結果には,「大当たり」と「ハズレ」とがある。大当たり乱数は,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図7に示すように,通常確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜164の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりの当選確率が異なる2つの遊技状態,すなわち通常確率状態と高確率状態とがあり,高確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜649の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断する。遊技状態の詳細については後述する。
パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合には,特別図柄表示器41に,大当たりに対応する特別図柄である「大当たり図柄」を停止表示させる。大当たりには,幾つかの種類があり,種類に応じた「大当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合には,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,ハズレに対応する特別図柄である「ハズレ図柄」を停止表示させる。
さらにパチンコ遊技機1は,大当たりに当選した場合,大当たりの種類に応じた開放パターンにて,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放する制御である「大当たり遊技」を実行する。なお,以下の説明では,第1大入賞口30および第2大入賞口35を総称する場合,大入賞口という。
大当たり遊技は,1回または複数回のラウンド遊技と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニングと,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディングと,を含んでいる。各ラウンド遊技は,オープニングの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始し,次のラウンド遊技の開始またはエンディングの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間であるインターバル時間は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
パチンコ遊技機1では,大当たりの種別として,「Vロング大当たり」と「Vショート大当たり」とがある。パチンコ遊技機1では,大当たりに当選した場合,大当たり種別の抽選も行う。大当たり種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜9までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図8に示すように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜4の範囲内の値であれば,Vロング大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればVショート大当たりと判断する。一方,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜9の範囲内の値,すなわち全ての値で,Vロング大当たりに当選したと判断する。
「Vロング大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能なVロング開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が実質的に不可能なVショート開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には,図9に示すように,「Vロング大当たり」は,総ラウンド数が16ラウンド(R)である。1R目から13R目までの各ラウンドおよび15R目では,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放する。また,14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。なお,振分部材71は,大当たり遊技の開始またはラウンド遊技の開始から,前述した図3(A)に示す第1状態,または図3(B)に示す第2状態に一定の周期で変動している。そのため,14R目および16R目の各ラウンドでは,第2大入賞口35を通過した遊技球を,第2大入賞口35を介して特定領域39内に通過させることが可能である。
これに対して,「Vショート大当たり」は,総ラウンド数が16Rであるものの,実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり,1R目から13R目までの各ラウンドは,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放するが,15R目は,0.08秒しか第1大入賞口30を開放しない。また,14R目および16R目の各ラウンドも,0.08秒しか第2大入賞口35を開放しない。従って,Vショート大当たりでは,14R目から16R目までの各ラウンドは,大入賞口の開放時間が極めて短く,賞球が見込めないラウンドとなっている。つまり,Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,仮に遊技球が第2大入賞口35を通過してもその遊技球が特定領域39を通過することができないタイミング,すなわち振分部材71が第2の状態(図3参照)になったタイミングで,第2大入賞装置36の開閉部材37を開放する。このため,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能になっている。
パチンコ遊技機1では,大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて,その大当たり遊技の終了後の遊技状態を,高確率状態に移行させる。つまり,前述のVロング大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過することで,大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して,Vショート大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39をほぼ通過できないため,大当たり遊技後の遊技状態は,通常確率状態となる。
パチンコ遊技機1では,図8に示したように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが50%,Vショート大当たりが50%となっている。これに対して,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが100%となっている。すなわち,後述する電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく大当たりの抽選により大当たりに当選した場合には,必ずVロング大当たりになる。このようにパチンコ遊技機1では,第1特別図柄の抽選よりも,第2特別図柄の抽選の方が,遊技者にとって有利となるように設定されている。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数および変動パターン乱数がある。
リーチ乱数は,大当たり判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決定するために用いられる乱数である。リーチとは,複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって,変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たりの当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態,例えば「7↓7」(「↓」は変動中を意味する)といった状態,のことである。なお,リーチ状態において停止表示されている演出図柄は,表示画面7a内で多少揺れているように表示されてもよい。すなわち,演出図柄が完全に停止していなくてもよい。リーチ乱数は,0〜127までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図10に示すように,非時短状態では,リーチ乱数が0〜13の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。また,時短状態では,リーチ乱数が0〜5の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
変動パターン乱数は,特別図柄の変動時間を含む変動パターンを決定するために用いられる乱数である。変動パターン乱数も,0〜127までの範囲内の値となる。図11および図12は,変動パターン乱数と変動パターンとの関係を示すテーブルである。本形態では,変動パターンによって,リーチの態様や,ボタン変動演出の実行可否が決められる。変動パターンに含まれるリーチの態様としては,通常リーチと,通常リーチよりも変動時間が長いスーパーリーチ(SPリーチ)と,がある。また,変動パターンに含まれるボタン変動演出の種類としては,「ボタン演出30回」と「ボタン演出40回」とがある。ボタン演出30回は,前述した大当たり判定の結果を表示するための特別図柄の変動時間中に,演出ボタン63を遊技者に最大30回押下させる演出であり,ボタン演出40回は,同じく特別図柄の変動時間中に,演出ボタン63を遊技者に最大40回押下させる演出である。パチンコ遊技機1では,変動パターン乱数の他,特別図柄の種類,時短状態か非時短状態か,大当たりやリーチの抽選結果,に基づいて,変動パターンを決定する。
なお,パチンコ遊技機1では,大当たりに当選していた場合,ボタン演出30回よりもボタン演出40回の方が,選択され易いように変動パターン乱数が決められている。一方,ハズレの場合,ボタン演出40回よりもボタン演出30回の方が,選択され易いように変動パターン乱数が決められている。つまり,遊技者に押下させる回数が多いほど大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,変動パターン乱数の比率が設定されている。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づいて取得される乱数として,普通当たり乱数がある。普通当たり乱数は,電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選に用いられる乱数である。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図13に示すように,非時短状態では,普通当たり乱数が0〜2の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。また,時短状態では,普通当たり乱数が0〜254の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。すなわち,普通当たりの抽選は,非時短状態ではほとんどハズレとなり,時短状態ではほとんど普通当たりとなる。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
4.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選(特別図柄表示器41)および普通当たりの抽選(普通図柄表示器42)に関して,それぞれ「確率変動機能」と「変動時間短縮機能」とを有している。
大当たりの抽選で確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい,作動していない状態を「通常確率状態」という。高確率状態では,図7に示したように,大当たりに当選する確率が通常確率状態よりも高い。すなわち,確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,大当たりの抽選で結果が大当たりとなる確率が高くなる。
また,大当たりの抽選における変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい,作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では,特別図柄表示器41での特別図柄の変動時間,すなわち変動表示の開始時から表示結果の停止表示時までの時間が,非時短状態よりも短くなり易い。具体的にパチンコ遊技機1は,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,図10に示したように,リーチ有りと判定されるリーチ乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が少なくなる判定テーブルを用いて,リーチの判定を行う。つまり,時短状態では,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,特別図柄が停止表示されるまでの時間が長いリーチになる確率が低くなる。また,図11および図12に示したように,リーチ無しハズレとなった場合,非時短状態よりも時短状態の方が,変動時間が短い変動パターンが選択され易い。つまり,変動時間短縮機能が作動していると,作動していないときと比較して,変動時間が短くなり易い。その結果,時短状態では,特図保留の消化のペースが速くなり,特図保留として記憶され得る始動口への有効な入賞が発生し易くなる。そのため,遊技者は,スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことが可能となる。
大当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,同時に作動してもよいし,一方のみが作動してもよい。普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,大当たりの抽選における変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち,普通当たりの抽選における確率変動機能および変動時間短縮機能は,時短状態において作動し,非時短状態において作動しない。よって,時短状態では,普通当たり抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。具体的にパチンコ遊技機1は,図13に示したように,普通当たりと判定される普通当たり乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が多くなる判定テーブルを用いて,普通当たりの抽選を行う。つまり,普通当たりの抽選で確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,普通当たりの抽選で結果が普通当たりとなる確率が高くなる。
また,時短状態では,普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短い。パチンコ遊技機1では,例えば,非時短状態の変動時間が30秒であり,時短状態の変動時間が1秒である。また,時短状態では,補助遊技における電チュー22の開放時間が,非時短状態よりも長くなっている。すなわち,電チュー22の開放時間延長機能が作動している。一方,時短状態でも非時短状態でも,補助遊技における電チュー22の開放回数は同じである。つまり,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能が作動していない。なお,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能を作動してもよい。
かくして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では,これらの機能が作動していない場合と比較して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することになる。その結果,遊技球の発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい,作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では,遊技者は,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御,いわゆる電サポ制御が実行されている状態ともいえる。
なお,高ベース状態は,前述した複数の機能が全て作動するものでなくてもよい。すなわち,普通当たりに抽選における確率変動機能,普通当たりの抽選における変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,1つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また,高ベース状態は,時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態が,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がなされていれば,高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態となる。この遊技状態を特に,「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では160回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また,パチンコ遊技機1では,Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技の遊技状態が,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がほぼなされないことから,通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では100回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお,パチンコ遊技機1の電源投入後の遊技状態は,通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確低ベース状態」という。また,大当たり遊技の実行中の状態を「大当たり遊技状態」と称する。なお,大当たり遊技状態を「特別遊技状態」ともいう。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では,右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されているため,低ベース状態と比べて電チュー22が開放され易くなっており,第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,普通当たり抽選の契機となる第2ゲート29へ遊技球を通過させつつ,第2始動口21へ入賞させるべく右打ちを行う。これにより,左打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
これに対して,低ベース状態では,左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されていないため,高ベース状態と比べて電チュー22が開放され難くなっており,第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,第1始動口20へ入賞させるべく左打ちを行う。これにより,右打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
5.パチンコ遊技機1のボタン演出
続いて,パチンコ遊技機1のボタン演出について説明する。パチンコ遊技機1のボタン演出には,大別して,演出図柄変動演出の実行中に行うボタン変動演出と,特図保留に関するボタン保留演出と,がある。
始めに,ボタン変動演出について,図14を参照しつつ説明する。ボタン変動演出では,前述したように所定回数の演出ボタン63の押下を受け付ける。そこで,パチンコ遊技機1は,ボタン変動演出の開始時に,画像表示装置7の表示画面7aに,図14(A)に示すように,演出ボタン63の押下を指示するメッセージ701を表示し,さらには演出ボタン63を模したボタン画像702と,演出ボタン63の押下が必要な回数を表示する回数画像703(パチンコ遊技機1では,例えば30回の演出ボタン63の押下が必要であれば「×30」と表示する)と,ボタン変動演出の残り期間を表示するタイマー画像704と,を表示する。
演出ボタン63の押下が必要な回数は,ボタン変動演出の種類に応じてあらかじめ決められている。パチンコ遊技機1では,ボタン変動演出の種類が「ボタン演出30回」であれば,演出ボタン63の押下が必要な回数は「30」であり,ボタン変動演出の種類が「ボタン演出40回」であれば,演出ボタン63の押下が必要な回数は「40」である。なお,ボタン変動演出は,演出図柄変動演出の期間中の演出であることから,表示画面7aの片隅に演出図柄を変動表示させる変動図柄領域8E(図14中の「↓」は変動中を意味する)を設ける。ボタン変動演出の実行中,変動図柄領域8Eに表示される演出図柄は,停止することなく変動し続ける。
ボタン変動演出が開始されると,タイマー画像704内によって表示される残り時間が減り始める。そして,遊技者によって演出ボタン63が押下されると,図14(B)に示すように,回数画像703に表示される数字が1つ減る。さらにボタン画像702の左右には,演出図柄8L,8Rが表示される。この段階では,演出図柄8L,8Rを同じ数字にはしない。すなわち,リーチ状態を表す組み合わせにはせず,バラケ目で表示する。ボタン変動演出では,遊技者が演出ボタン63を押下する度に,図14(C)に示すように,この回数画像703のカウントダウン表示と,演出図柄8L,8Rの新たなバラケ目での表示と,を行う。
さらにボタン変動演出では,パチンコ遊技機1は,遊技者が演出ボタン63を押下する度に,演出ボタン63を振動させるための抽選を行う。具体的にパチンコ遊技機1は,演出ボタン検出スイッチ63xの出力信号に基づいて演出ボタン63の押下を検知する度に振動乱数を取得し,取得した振動乱数に基づいてボタン振動部材632を振動状態とするか否かを判断する。そして,振動状態とすると判断された場合には,所定期間(例えば1〜2秒),ボタン振動部材632を振動状態とする。つまり,ボタン変動演出では,演出ボタン63の押下に応じて,時折,演出ボタン63を振動させる。
その後,遊技者が演出ボタン63を押下し続け,押下回数が閾値まで達すると,パチンコ遊技機1は,図14(D)に示すように,リーチ状態を表すように演出図柄8L,8Rを同じ数字で表示する。すなわち,ボタン変動演出では,遊技者が演出ボタン63を複数回押下することで,リーチを発生させることができる。これにより,ボタン変動演出では,遊技者に演出ボタン63を押下する意欲を付与することが期待できる。リーチを発生させた後は,少なくともボタン変動演出の期間が終了するまで,あるいは後述する演出図柄の昇格条件を満たすまで,演出図柄8L,8Rを維持する。
なお,パチンコ遊技機1には,リーチを示す演出図柄として,2種類の演出図柄がある。第1の演出図柄は,遊技者に対して,大当たりに当選していた場合に,遊技球を特定領域39に進入させることを条件として,演出図柄変動演出の実行後の遊技状態を高確率状態とすることが確定している旨を示唆する図柄であり,特定色の番号(例えば,金色で表示される「3」や「7」)でリーチを表した図柄である。第2の演出図柄は,遊技者に対して,大当たりに当選していた場合に,演出図柄変動演出の実行後の遊技状態が高確率状態となることが不確定である旨を示唆する図柄であり,上述した特定色の番号以外の番号(例えば,銀色で表示される「2」や「4」)でリーチを表した図柄である。パチンコ遊技機1は,リーチを発生させた初期段階では,第2の演出図柄でリーチを発生させる。
リーチを発生させた初期段階は,演出ボタン63の押下回数が,リーチを発生させる閾値(リーチ閾値)に達した段階であり,まだ演出ボタン63の押下が必要な回数が残っている段階である。そこで,リーチを発生させた後,パチンコ遊技機1はさらに,遊技者が演出ボタン63を押下する度に,リーチを示す図柄を第1の演出図柄に昇格させるための抽選を行う。具体的にパチンコ遊技機1は,演出ボタン検出スイッチ63xの出力信号に基づいて演出ボタン63の押下を検知する度に昇格乱数を取得し,取得した昇格乱数に基づいて演出図柄を第1の演出図柄に変更するか否かを判断する。そして,演出図柄を変更すると判断された場合には,図14(E)に示すように,第2の演出図柄でのリーチ表示を,第1の演出図柄でのリーチ表示に変更する。これにより,ボタン変動演出では,リーチが発生した後であっても,遊技者にさらに演出ボタン63を押下する意欲を付与することが期待できる。演出図柄を昇格させた後は,昇格のための抽選を行わず,少なくともボタン変動演出の期間が終了するまで,演出図柄8L,8Rを維持する。
また,パチンコ遊技機1は,図15に示すように,演出ボタン63の押下回数がリーチ閾値に達するまでは,演出ボタン63を振動させるための抽選を低確率の当選確率で行う。そして,リーチ閾値に達した後は,演出ボタン63を振動させるための抽選を高確率の当選確率で行う。すなわち,パチンコ遊技機1は,リーチを発生させた後,振動のための抽選と,リーチ昇格のための抽選と,の2つの抽選を行う。さらに,リーチが発生する前とリーチが発生した後で,演出ボタン63を振動させるための抽選における当選確率が異なる。具体的にパチンコ遊技機1では,リーチを発生させた後の方が,リーチを発生させる前よりも,振動し易い確率が設定される。そのため,ボタン変動演出では,振動の発生頻度によっても,遊技者に対してより有利な状態になったことを暗示できる。
ボタン変動演出の期間中に,必要な回数分の演出ボタン63の押下を受け付けた場合,パチンコ遊技機1は,図14(F)に示すように,最後に演出ボタン63が押下された後の状態を維持する。つまり,演出ボタン63の押下に応じた演出図柄の変更や演出ボタン63の振動は行われない。また,パチンコ遊技機1は,必要な回数分の演出ボタン63の押下をボタン変動演出の期間中に受け付けなかった場合,ボタン変動演出の期間を終えた時点での状態を維持する。そして,パチンコ遊技機1は,図14(G)に示すように,ボタン変動演出での結果を表示する。
続いて,ボタン保留演出について,図16を参照しつつ説明する。ボタン保留演出は,前述した大当たり判定の結果を表示するための特別図柄の変動時間中に,演出ボタン63の操作が必要な演出が行われる可能性が高いことを,演出保留図柄によって示唆する演出である。
パチンコ遊技機1は,通常の演出図柄変動演出の実行中,図16(a)に示すように,演出図柄8L,8C,8Rを表示画面7aの中央に表示し,表示画面7aの左下隅の領域である当該表示領域901に,変動表示中の情報の演出保留図柄を表示し,さらに現在記憶されている特図保留を示す演出保留図柄902を演出保留表示領域(図16では第1特図保留に関する第1演出保留表示領域9Aとする)に表示する。なお,本形態における通常態様の演出保留図柄は,三角形のエンブレムの図柄である。
パチンコ遊技機1では,演出図柄変動演出の実行時に前述のボタン変動演出を行う特図保留が生じると,演出保留図柄として,図16(b)に示すように,演出ボタン63を模したアイコン画像に数字を合成した図柄である特別演出保留図柄910を表示する。特別演出保留図柄910に演出ボタン63を模したアイコン画像を採用することで,演出ボタン63を押下させることを遊技者が推測できる。さらに特別演出保留図柄910に数字を表示することで,遊技者に対して,演出ボタン63の複数回の操作についての注意喚起を促すことができる。なお,このとき表示される数字は,あらかじめボタン変動演出の種類によって決められている押下回数に限らず,その押下回数よりも小さい数値であってもよい。例えば,ボタン変動演出の種類が「ボタン演出30回」であった場合,「×30」と表示してもよいし,30よりも小さい数字を表示してもよい。特別演出保留図柄910の表示位置は,通常態様の演出保留図柄と同様であり,先に記憶された特図保留の消化に伴って,図16(c)に示すように,シフトされる。
パチンコ遊技機1は,先に記憶された特図保留の消化に伴う特別演出保留図柄910のシフトの際,図16(d)あるいは(e)に示すように,表示される数字を,あらかじめボタン変動演出の種類によって決められている押下回数を超えない範囲で変更してもよい。先に記憶された特図保留の消化時に押下回数が変更されることで,大当たりの当選への期待感等,ボタン変動演出後の遊技状態が遊技者に有利な状態になる期待感を高めることができる。
さらに,パチンコ遊技機1は,特別演出保留図柄910が抽選結果の表示が行われる当該表示領域901までシフトされた場合,図16(f)に示すように,演出ボタン63を模したボタン画像702を表示画面7aの中央に表示し,さらに特別演出保留図柄910に表示されている回数と同じ回数を示す回数画像703を表示する。
また,特別演出保留図柄910が当該表示領域901までシフトされた際,特別演出保留図柄910において表示されている回数が,ボタン変動演出中に演出ボタン63の押下が必要な回数よりも小さい場合がある。この場合,特別演出保留図柄910に表示されている回数を表示した後,図16(g)に示すように,不足分の回数を示す加算回数画像705を表示する。
その後,図16(h)に示すように,回数画像703に表示される数字が,ボタン変動演出中に演出ボタン63の押下が必要な回数となり,さらに演出ボタン63の押下を指示するメッセージ701と,ボタン変動演出の残り期間を表示するタイマー画像704と,が表示される。これにより,図14(A)に示した,ボタン変動演出の開始時に表示される画面となる。すなわち,パチンコ遊技機1では,特別演出保留図柄910に対応する特図保留の消化開始時にも押下回数が加算されることで,遊技者に対して,大当たりの当選への期待感等,ボタン変動演出後の遊技状態が遊技者に有利な状態になる期待感を高めることが期待できる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図17のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,CPU82等の初期設定を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,各種のフラグ,ステータス,およびカウンタ,のリセットを行う。なお,S001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS101では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,メイン側タイマ割り込み処理について,図18のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,払い出しに関する情報を更新する(S102)。具体的にS102では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,普通入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S102の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S103)。S103の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S103の後,遊技制御用マイコン81は,各種のセンサから出力された信号に基づいて,始動口等への入球を検出するセンサ検出処理を実行する(S111)。S111の後,遊技制御用マイコン81は,特定領域39への入球を検出する特定センサ検出処理を実行する(S112)。なお,S111とS112とは逆順であってもよい。S111とS112の詳細は後述する。
S112の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄に関する動作である普通動作処理を実行する(S121)。S121の普通動作処理の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄に関する動作である特別動作処理を実行する(S131)。なお,S121とS131とは逆順であってもよい。S121とS131の詳細は後述する。
S131の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留数,第1特図保留数,第2特図保留数,の各保留数に基づいて,特図保留表示器43および普図保留表示器44の表示を更新させる(S161)。S161の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
[センサ検出処理]
次に,図18のS111のセンサ検出処理について,図19のフローチャートを参照しつつ説明する。
センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第1ゲートセンサ28aおよび第2ゲートセンサ29aから出力された信号に基づいて,遊技球がゲートを通過したか否かを判断する(S201)。遊技球がゲートを通過していた場合(S201:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数が4個未満か否かを判断する(S202)。
普図保留の数が4個未満であれば(S202:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数を1つ加算し(S203),さらに普通当たり乱数の値を取得する(S204)。遊技制御用マイコン81は,取得した普通当たり乱数の値を,普図保留記憶部86に記憶する。すなわち,パチンコ遊技機1は,遊技球が第1ゲート28を通過した場合であっても,第2ゲート29を通過した場合であっても,普図保留の数を1つ加算し,普通当たり乱数の値を取得する。
S204の後,あるいは普図保留の数が4個以上の場合(S202:NO),あるいは遊技球がゲートを通過していない場合(S201:NO),遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1始動口20を通過したか否かを判断する(S211)。遊技球が第1始動口20を通過していた場合(S211:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S212)。
第1特図保留の数が4個未満であれば(S212:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留数に1を加算し(S213),さらに大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得する(S214)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第1特図保留記憶部85aに記憶する。
S214の後,遊技制御用マイコン81は,図20に示す第1始動口20の入賞における第1始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S214にて取得した各乱数の値に基づいて第1始動入賞コマンドを特定し,その第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S215)。例えば,非時短状態であって,大当たり乱数が「1」,大当たり種別乱数が「1」,リーチ乱数が「1」,変動パターン乱数が「1」,であった場合,第1始動入賞コマンドとして「C010」が特定される。第1始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図7,図8,図10,図11に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,第1始動入賞コマンドには,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,さらにはSPリーチを行うか否か,ボタン変動演出を行うか否か,の各情報が含まれる。
なお,出力バッファにセットされた第1始動入賞コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図18参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。つまり,S214にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S215の後,あるいは第1特図保留の数が4個以上の場合(S212:NO),あるいは遊技球が第1始動口20を通過していない場合(S211:NO),遊技制御用マイコン81は,第2始動口センサ21aから出力された信号に基づいて,遊技球が第2始動口21を通過したか否かを判断する(S221)。遊技球が第2始動口21を通過していた場合(S221:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S222)。
第2特図保留の数が4個未満であれば(S222:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留数に1を加算し(S223),さらにS214と同様に,大当たりに関する各乱数の値を取得する(S224)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第2特図保留記憶部85bに記憶する。
S224の後,遊技制御用マイコン81は,図21に示す第2始動口21の入賞における第2始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S224にて取得した各乱数の値に基づいて第2始動入賞コマンドを特定し,その第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S225)。第2始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図7,図8,図10,図12に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,S215と同様に,S224にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。
S225の後,あるいは第2特図保留の数が4個以上の場合(S222:NO),あるいは遊技球が第2始動口21を通過していない場合(S221:NO),センサ検出処理を終了する。
[特定センサ検出処理]
次に,図18のS112の特定センサ検出処理について,図22のフローチャートを参照しつつ説明する。
特定センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特定領域センサ39aから出力された信号に基づいて,遊技球が特定領域39を通過したか否かを判断する(S251)。遊技球が特定領域39を通過していた場合(S251:YES),遊技制御用マイコン81は,V有効期間内か否かを判断する(S252)。V有効期間は,想定外のタイミングで特定領域39への遊技球の通過を検知させないための期間である。V有効期間の詳細については後述する。
V有効期間内であれば(S252:YES),遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオンとし(S253),さらにV通過コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S254)。Vフラグは,特定領域39への遊技球の通過の判断に用いられる。なお,出力バッファにセットされたV通過コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図18参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S254の後,あるいはV有効期間外の場合(S252:NO),あるいは遊技球が特定領域39を通過していない場合には(S251:NO),特定センサ検出処理を終了する。
[普通動作処理]
次に,図18のS121の普通動作処理について,図23のフローチャートを参照しつつ説明する。
普通動作処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,電チュー22が作動中であるか否かを判断する(S301)。電チュー22は,普通当たりに当選することに応じて作動する。電チュー22の作動タイミングについては後述する。
電チュー22が作動中でなければ(S301:NO),遊技制御用マイコン81は,普通図柄の停止表示中か否かを判断する(S302)。普通図柄の停止表示中でなければ(S302:NO),遊技制御用マイコン81は,普通図柄の変動表示中か否かを判断する(S303)。普通図柄の変動表示中でなければ(S303:NO),普図保留の数が0か否かを判断する(S311)。普図保留の数が0であれば(S311:YES),普通当たりの抽選に関する動作は不要であることから,普通動作処理を終了する。
普図保留の数が0でなければ(S311:NO),遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選の判定を行う(S312)。具体的にS312では,遊技制御用マイコン81は,普図保留記憶部86の先頭に記憶されている普通当たり乱数の値を読み出し,図13に示す普通当たり判定テーブルを用いて,読み出した普通当たり乱数の値と現在の遊技状態とに基づいて,普通当たりに当選したか否かを判定する。そして,遊技制御用マイコン81は,判定結果に応じた普図停止図柄データを決定する(S313)。つまり,遊技制御用マイコン81は,「普通当たり」であれば「普通当たり図柄」に決定し,「ハズレ」であれば「普通ハズレ図柄」に決定する。
S313の後,遊技制御用マイコン81は,遊技状態に応じた変動パターンを決定する(S314)。つまり,遊技制御用マイコン81は,時短状態であれば,普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンに決定し,非時短状態であれば,普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンに決定する。
S314の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留の数を1つ減算する(S315)。そして,普図保留記憶部86における各普図保留のデータを現在の記憶位置から読み出しの優先度が高い側に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶位置を初期化する(S316)。これにより,普図保留が保留された順に消化される。
S316の後,遊技制御用マイコン81は,S314にて決定した変動パターンに従って,普通図柄表示器42に普通図柄の変動表示を開始させる(S317)。S317の後,普通動作処理を終了する。
一方,普通図柄の変動表示中であれば(S303:YES),遊技制御用マイコン81は,普通図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S321)。変動時間は,S314にて決定された変動パターンに基づく時間である。普通図柄の変動時間が経過していなければ(S321:NO),普通動作処理を終了する。
普通図柄の変動時間が経過していれば(S321:YES),遊技制御用マイコン81は,普通図柄表示器42による普通図柄の変動表示を,S313にて決定した図柄,すなわち普通当たりの抽選結果に応じた図柄で停止させる(S322)。そして,遊技制御用マイコン81は,普通図柄を一定時間にわたって停止表示させるための停止時間をセットし(S323),普通動作処理を終了する。
一方,普通図柄の停止表示中であれば(S302:YES),遊技制御用マイコン81は,S323でセットされた停止時間が経過したか否かを判断する(S331)。停止時間が経過していなければ(S331:NO),普通動作処理を終了する。
停止時間が経過していれば(S331:YES),遊技制御用マイコン81は,普通当たり図柄で停止表示しているか否か,すなわち普通当たりに当選したか否かを判断する(S332)。普通当たりに当選していなければ(S332:NO),普通動作処理を終了する。
普通当たりに当選していれば(S332:YES),遊技制御用マイコン81は,電チュー22の開放パターンを決定する(S333)。具体的にS333では,遊技制御用マイコン81は,時短状態であれば,電チュー22を5.5秒開放させるパターンに決定し,非時短状態であれば,電チュー22を0.2秒開放させるパターンに決定する。S333の後,遊技制御用マイコン81は,決定された開放パターンに従って,電チュー22の作動を開始する(S334)。すなわち,電チューソレノイド24に対する制御を開始する。S334の後,普通動作処理を終了する。
一方,電チュー22が作動中であれば(S301:YES),遊技制御用マイコン81は,S333にて決定された開放パターンに基づく電チュー22の作動時間が経過したか否かを判断する(S341)。電チュー22の作動時間が経過していなければ(S341:NO),普通動作処理を終了する。
電チュー22の作動時間が経過していれば(S341:YES),遊技制御用マイコン81は,電チュー22の作動を終了する(S342)。すなわち,電チューソレノイド24に対する制御を終了する。S342の後,普通動作処理を終了する。
[特別動作処理]
次に,図18のS131の特別動作処理について,図24のフローチャートを参照しつつ説明する。
特別動作処理では,特別図柄表示器41,第1大入賞装置31,および第2大入賞装置36に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1か否か(S901),2か否か(S911),3か否か(S921),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。特別動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1であれば(S901:YES),特別図柄待機処理を実行する(S902)。特別動作ステータスが2であれば(S911:YES),特別図柄変動中処理を実行する(S912)。特別動作ステータスが3であれば(S921:YES),特別図柄確定処理を実行する(S922)。一方,特別動作ステータスが4であれば(S921:NO),大当たり遊技処理を実行する(S932)。以下,特別動作処理にて実行される各処理について説明する。
[特別図柄待機処理]
図25は,図24のS902の特別図柄待機処理の手順を示している。特別図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第2特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1001)。第2特図保留の数が0であれば(S1001:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1020)。つまり,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留に関する処理を,第1特図保留に関する処理よりも優先する。
第1特図保留の数も0であれば(S1020:YES),遊技制御用マイコン81は,画像表示装置7の表示画面7aが待機画面,すなわち客待ち用のデモンストレーション画面であるか否かを判断する(S1031)。画像表示装置7の表示画面7aが待機画面であれば(S1031:YES),特別図柄待機処理を終了する。
画像表示装置7の表示画面7aが待機画面でなければ(S1031:NO),遊技制御用マイコン81は,特図保留の数が0になってからの経過時間が所定の待機時間を経過したことを条件として,待機画面を画像表示装置7に表示させるための客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1032)。出力バッファにセットされた客待ち待機コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。S1032の後,特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0でなければ(S1001:NO),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判定する大当たり判定処理を実行する(S1011)。
図26に,大当たり判定処理の手順を示す。大当たり判定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,判定値として,第2特図保留記憶部85bの先頭に記憶されている大当たりに関する各乱数の値を読み出す(S1101)。そして,遊技制御用マイコン81は,図7に示した大当たり判定テーブルを用いて,読み出した大当たり乱数に基づいて,大当たり,ハズレの判定を行う(S1102)。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりとハズレとの2種類のどちらかに判定されるが,例えば当たりの種類として小当たりを設けた場合,S1102では小当たりを含めた判定が行われる。S1102の後,遊技制御用マイコン81は,S1102での判定結果に基づいて,大当たりに当選したか否かを判断する(S1111)。
大当たりに当選した場合(S1111:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たりフラグをオンにする(S1112)。大当たりフラグは,大当たりに当選している状態か否かの判断に用いられる。S1112の後,遊技制御用マイコン81は,図8に示した大当たり種別テーブルを用いて,読み出した大当たり種別乱数に基づいて,大当たりの種類の判定を行う(S1113)。なお,本形態のパチンコ遊技機1では,第2特図保留に基づく抽選において大当たりに当選した場合,図8に示したように全て「Vロング大当たり」となる。S1113の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり種別に応じた停止図柄データを決定し(S1114),大当たり判定処理を終了する。
大当たりに当選していない,すなわちハズレの場合(S1111:NO),遊技制御用マイコン81は,ハズレに応じた停止図柄データを決定し(S1131),大当たり判定処理を終了し,特別図柄待機処理に戻る。
図25の説明に戻り,S1011の大当たり判定処理の後,遊技制御用マイコン81は,読み出した変動パターン乱数およびリーチ乱数に基づいて,変動パターンを決定する(S1012)。具体的にS1012では,遊技制御用マイコン81は,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)にて大当たりに当選している場合は,大当たりの種類と,変動パターン乱数と,図12に示した変動パターンテーブルとを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。例えば,時短状態であって,「Vロング大当たり」に当選しており,変動パターン乱数が「1」であって場合,変動パターンが「P310」に決定される。ハズレの場合は,先ずリーチ乱数と図10に示したリーチ判定テーブルとを用いてリーチの有無を判定し,変動パターン乱数と図12に示した変動パターンテーブルとを用いて,リーチの有無,遊技状態,さらには特図保留の球数に応じた変動パターンに決定する。例えば,時短状態であって,リーチ有りと判定されており,変動パターン乱数が「1」であって場合,変動パターンが「P320」に決定される。
S1012の後,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数を1つ減算する(S1013)。そして,第2特図保留記憶部85bにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する(S1014)。これにより,第2特図保留が保留された順に消化される。
S1014の後,遊技制御用マイコン81は,S1012にて決定した変動パターンに従って,第2特別図柄表示器41bに特別図柄の変動表示を開始させる(S1015)。さらに遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1016)。変動開始コマンドには,図26のS1114やS1131にて決定された停止図柄データの情報やS1012にて決定された変動パターンの情報が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が行われる。S1016の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0であり(S1001:YES),第1特図保留の数が0でなければ(S1020:NO),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の場合と同様に,大当たり判定処理を実行する(S1021)。S1021は,S1011と同様の処理であるが,判定値となる各乱数は,第1特図保留記憶部85aから読み出す。
S1021の後,遊技制御用マイコン81は,変動パターン乱数等の各種乱数と図11に示した変動パターンテーブルに基づいて,変動パターンを決定する(S1022)。S1022もS1012と同様の処理である。そして,遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数を1つ減算し(S1023),第1特図保留記憶部85aにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する(S1024)。これにより,第1特図保留が保留された順に消化される。
S1024の後,遊技制御用マイコン81は,S1022にて決定した変動パターンに従って,第1特別図柄表示器41aに特別図柄の変動表示を開始させる(S1025)。さらに遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1026)。変動開始コマンドには,S1131にて決定された停止図柄データの情報やS1022にて決定された変動パターンの情報が含まれる。S1026の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
[特別図柄変動中処理]
図27は,図24のS912の特別図柄変動中処理の手順を示している。特別図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S1501)。変動時間は,前述した特別図柄待機処理のS1012あるいはS1022によって決定された変動パターンによって決められる。特別図柄の変動時間が経過していない場合(S1501:NO),特別図柄変動中処理を終了する。すなわち,特別図柄の変動表示が継続される。
一方,特別図柄の変動時間が経過した場合(S1501:YES),遊技制御用マイコン81は,変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が行われる。S1502の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを3に変更する(S1503)。
S1503の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を停止させる(S1504)。そして,遊技制御用マイコン81は,特別図柄を一定時間にわたって停止表示させるための停止時間をセットし(S1505),特別図柄変動中処理を終了する。
[特別図柄確定処理]
図28は,図24のS922の特別図柄確定処理の手順を示している。特別図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した特別図柄変動中処理のS1505でセットされた停止時間が経過したか否かを判断する(S1601)。停止時間が経過していなければ(S1601:NO),特別図柄確定処理を終了する。停止時間が経過していれば(S1601:YES),遊技状態を管理するための遊技状態管理処理を実行する(S1602)。
図29は,遊技状態管理処理の手順を示している。遊技状態管理処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,確変フラグがオンか否かを判断する(S1701)。確変フラグは,確率変動機能が作動しているか否か,すなわち高確率状態か通常確率状態かを示すフラグであり,高確率状態であればオンであり,通常確率状態であればオフである。
確変フラグがオンであれば(S1701:YES),遊技制御用マイコン81は,確変カウンタを1つ減算する(S1702)。確変カウンタは,高確率状態中に大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,確変カウンタはS1702にて1ずつ減算される。S1702の後,遊技制御用マイコン81は,確変カウンタの値が0になったか否かを判断する(S1703)。確変カウンタの値が0であれば(S1703:YES),遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオフとする(S1704)。これにより,パチンコ遊技機1は,通常確率状態に移行する。
S1704の後,あるいは確変カウンタの値が0でなければ(S1703:NO),あるいは確変フラグがオンでなければ(S1701:NO),遊技制御用マイコン81は,時短フラグがオンか否かを判断する(S1711)。時短フラグは,変動時間短縮機能が作動しているか否か,すなわち時短状態か非時短状態かを示すフラグであり,時短状態であればオンであり,非時短状態であればオフである。
時短フラグがオンであれば(S1711:YES),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタを1つ減算する(S1712)。時短カウンタは,時短状態中に大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,時短カウンタはS1712にて1ずつ減算される。S1712の後,遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断する(S1713)。時短カウンタの値が0であれば(S1713:YES),遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオフとする(S1714)。これにより,パチンコ遊技機1は,非時短状態に移行する。
S1714の後,あるいは時短カウンタの値が0でなければ(S1713:NO),あるいは時短フラグがオンでなければ(S1711:NO),遊技状態管理処理を終了し,特別図柄確定処理に戻る。
図28の説明に戻り,S1602の遊技状態管理処理の後,遊技制御用マイコン81は,大当たりフラグがオンか否かを判断する(S1611)。大当たりフラグは,大当たりの抽選で大当たりに当選したことを示すフラグであり,大当たりに当選していればオン,当選していなければオフである。
大当たりフラグがオンであれば(S1611:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを4に変更する(S1612)。そして,遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオフにし(S1613),時短フラグをオフにする(S1614)。これにより,後述する大当たり遊技の実行中は,通常確率状態かつ非時短状態として制御される。つまり,大当たり遊技の実行中,パチンコ遊技機1は,低ベース状態になる。
S1614の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1621)。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技のオープニングが開始されることになる。
S1621の後,遊技制御用マイコン81は,第1大入賞口30についての,大当たりの種類に応じた開放パターン(図9参照)を決定する(S1622)。さらに遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技中の大入賞口の開放回数をカウントするカウンタの値を,大当たりの種類に応じた値にセットする(S1623)。パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりであってもVショート大当たりであっても,大入賞口を16回開放することから,カウンタ値に16がセットされる。S1618の後,遊技制御用マイコン81は,決定された開放パターンに従って,所定の大入賞口の作動を開始する(S1624)。すなわち,それぞれの大入賞口に対応するソレノイドに対する制御を開始する。S1624の後,特別図柄確定処理を終了する。
一方,大当たりフラグがオフであれば(S1611:NO),大当たりの抽選結果がハズレであり,大当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを1に変更する(S1631)。S1631の後,特別図柄確定処理を終了する。
[大当たり遊技処理]
図30は,図24のS932の大当たり遊技処理の手順を示している。大当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,大当たり終了フラグがオンか否かを判断する(S2001)。大当たり終了フラグは,大当たり遊技が終了したことを示すフラグであり,大当たり遊技の開始時はオフである。
大当たり終了フラグがオフであれば(S2001:NO),遊技制御用マイコン81は,大入賞口が開放中か否かを判断する(S2011)。パチンコ遊技機1は,大当たり遊技中はラウンド数に応じて第1大入賞口30もしくは第2大入賞口35を開放させることから(図9参照),S2011ではラウンド数に応じた大入賞口が開放されているか否かを判断することになる。ラウンド数は,総ラウンド数と開放カウンタの値とによって求められる。
大入賞口が開放されていなければ(S2011:NO),遊技制御用マイコン81は,大入賞口を開放させる時間になったか否かを判断する(S2012)。具体的にS2012では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技のオープニングが終了して第1ラウンドに対応する大入賞口の開放を開始する時間になったか,または前回の開放終了からのインターバル時間が経過して今回のラウンドに対応する大入賞口の開放を開始する時間になったか,否かを判断する。
大入賞口を開放させる時間になっていれば(S2012:YES),遊技制御用マイコン81は,V有効期間を設定する条件であるV設定条件を満たしているか否かを判断する(S2013)。パチンコ遊技機1は,図9に示したように,Vロング大当たりの14Rおよび16Rに第2大入賞口35を開放し,特定領域39に遊技球を通過させる機会を与える。また,Vショート大当たりの14Rおよび16Rにも第2大入賞口35を開放させるが,開放時間が極めて短く,遊技球を実質的に通過させない。そのため,V設定条件には,Vロング大当たりに当選していること,および14R目もしくは16R目であること,が含まれる。
V設定条件を満たしている場合(S2013:YES),遊技制御用マイコン81は,第2大入賞口35を開放させる期間および第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を,特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するV有効期間に設定する(S2014)。つまり,V有効期間以外の期間で特定領域センサ39aによって遊技球が検知されたとしても,その検知は無効である。
S2014の後,あるいはV設定条件を満たしていない場合(S2013:NO),遊技制御用マイコン81は,前述した特別図柄確定処理のS1622にてセットされた開放パターンに従って,開放させる時間になった大入賞口を開放させる(S2015)。S2015の後,あるいは大入賞口を開放させる時間になっていなければ(S2012:NO),大当たり遊技処理を終了する。
一方,大入賞口が開放されていれば(S2011:YES),遊技制御用マイコン81は,大入賞口の閉塞条件を満たしているか否かを判断する(S2021)。大入賞口の閉塞条件には,大入賞口への遊技球の入賞が既定の最大入賞個数以上あること,セットされている開放パターンに従う開放時間が経過したこと,が含まれる。遊技制御用マイコン81では,これらの条件のうち1つでも満たしている場合には,大入賞口の閉塞条件を満たしたと判断する。なお,本形態では,最大入賞個数を8個とする。大入賞口の閉塞条件を満たしていない場合(S2021:NO),大当たり遊技処理を終了する。すなわち,大入賞口の開放を継続する。
大入賞口の閉塞条件を満たしている場合(S2021:YES),遊技制御用マイコン81は,閉塞条件を満たした大入賞口を閉塞させる(S2022)。S2022の後,遊技制御用マイコン81は,開放カウンタを1つ減算する(S2023)。そして,遊技制御用マイコン81は,開放カウンタが0になったか否かを判断する(S2031)。
開放カウンタが0になった場合(S2031:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を終了するべく,大当たりのエンディングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S2032)。出力バッファにセットされたエンディングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技のエンディングが開始されることになる。なお,エンディングコマンドには,大当たりの種類の情報が含まれる。
S2032の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり終了フラグをオンにし(S2033),大当たり遊技処理を終了する。また,開放カウンタが0でない場合(S2031:NO),大当たり遊技が継続中であり,大入賞口の次の開放のために,S2032〜S2034を行うことなく,大当たり遊技処理を終了する。
一方,大当たり終了フラグがオンであれば(S2001:YES),大当たり遊技における大入賞口の開放がすべて終了し,エンディングが開始されていることから,遊技制御用マイコン81は,エンディングの時間が経過したか否かを判断する(S2041)。エンディングの時間が経過していれば(S2041:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり終了フラグをオフにし(S2042),大当たりフラグをオフにし(S2043),特別動作ステータスを1に変更する(S2044)。S2043の後,遊技制御用マイコン81は,遊技状態を設定する遊技状態設定処理を実行し(S2045),大当たり遊技処理を終了する。
図31に,遊技状態設定処理の手順を示す。遊技状態設定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,Vフラグがオンか否かを判断する(S2051)。Vフラグがオンであれば(S2051:YES),遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオンにする(S2052)。これにより,パチンコ遊技機1は,高確率状態に移行する。さらに確変カウンタに160をセットする(S2053)。これにより,高確率状態で連続して最大160回の大当たりの抽選が可能になる。
S2053の後,遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオンにする(S2054)。これにより,パチンコ遊技機1は,時短状態に移行する。さらに時短カウンタに160をセットする(S2055)。これにより,時短状態で連続して最大160回の大当たりの抽選が可能になる。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していた場合には,遊技状態が,高確率状態かつ時短状態となる。S2055の後,遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオフにする(S2056)。S2056の後,遊技状態管理処理を終了する。
Vフラグがオンでなければ(S2051:NO),遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオンにする(S2061)。これにより,パチンコ遊技機1は,時短状態に移行する。さらに時短カウンタに100をセットする(S2062)。これにより,時短状態で連続して最大100回の大当たりの抽選が可能になる。一方で,遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオンにしない。そのため,高確率状態に移行しない。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していない場合には,遊技状態が,通常確率状態かつ時短状態となる。さらに,時短状態で大当たりの抽選が連続して行える最大回数が,特定領域39を通過した場合と比較して少ない。S2062の後,遊技状態管理処理を終了し,大当たり遊技処理に戻る。
7.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図32のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,CPU92の初期化を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,各種のフラグ,ステータス,およびカウンタ,のリセットを行う。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S4001の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,ボタン予告乱数,変化シナリオ乱数,振動乱数,昇格乱数,演出図柄乱数,変動演出パターン乱数,予告演出乱数,の各種の乱数の値を更新する。各乱数の詳細については後述する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,そのコマンドに従って画像表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出等を実行する。
なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,演出制御用マイコン91は,音声制御基板106を介してスピーカ67から音を出力したり,ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を点灯させたり,装飾可動体15を駆動させたりする。このうちスピーカ67から出力される音の制御は,画像制御基板100から出力されるコマンドに基づいて実行されることがある。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。
S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。以降,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,2msタイマ割り込み処理(S4009),10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,そのコマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[2msタイマ割り込み処理]
次に,2msタイマ割り込み処理について,図33のフローチャートを参照しつつ説明する。2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン検出スイッチ63x,十字ボタン検出スイッチ68x,および剣部材検出スイッチ222xからの出力信号に基づいて,操作盤上の演出ボタン63の押下の有無および剣部材222の押し込みの有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。なお,パチンコ遊技機1にこれら以外の入力部材が設けられている場合,その入力部材の入力の有無の情報もスイッチデータに含める。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述する10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,ランプ制御基板107を介して枠ランプ66を点灯ないし消灯させるための制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じく10msタイマ割り込み処理にて作成される駆動データに従って,ランプ制御基板107を介して装飾可動体15を稼働させるための制御を行う(S4203)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じく10msタイマ割り込み処理にて作成される音声データに従って,音声制御基板106を介してスピーカ67に音声等を出力させるための制御を行う(S4204)。さらに,同じく10msタイマ割り込み処理にて作成されるボタン内データに従って,ランプ制御基板107を介してボタンランプ631を点灯ないし消灯させるための制御およびボタン振動部材632を稼働させるための制御を行う(S4205)。
S4205の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4299)。S4299の後,2msタイマ割り込み処理を終了する。
[10msタイマ割り込み処理]
次に,10msタイマ割り込み処理について,図34のフローチャートを参照しつつ説明する。10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析する受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。S4301の後,演出保留図柄に関する演出を行う特図保留演出処理を実行する(S4302)。S4301およびS4302の詳細については後述する。
S4302の後,演出制御用マイコン91は,2msタイマ割り込み処理のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4303)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,パチンコ遊技機1の入力操作を解析するスイッチデータ解析処理を実行する(S4304)。S4304の詳細についても後述する。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,盤ランプ5や枠ランプ66の点灯制御を行う(S4305)。さらに,演出制御用マイコン91は,スピーカ67からの音声の出力を制御する音声データを作成し,作成した音声データに従う音声制御を行う(S4306)。
さらに,演出制御用マイコン91は,演出ボタン63に内蔵されるボタンランプ631およびボタン振動部材632を制御するボタン内データを作成し,作成したボタン内データに従うボタン内制御を行う(S4307)。特に演出制御用マイコン91は,S4301にて作成されるボタン内データに基づいて,ボタンの振動制御等を行う。
S4307の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),10msタイマ割り込み処理を終了する。
[受信コマンド解析処理]
図35は,図34のS4301の受信コマンド解析処理の手順を示している。受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドもしくは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判断する(S4401)。第1始動入賞コマンドは,第1始動口20への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。第2始動入賞コマンドは,第2始動口21への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。主制御基板80から始動入賞コマンドを受信した場合(S4401:YES),演出制御用マイコン91は,保留加算処理(S4402)および先読み演出判定処理(S4403)を実行する。S4402およびS4403の詳細については後述する。
S4403の後,あるいは主制御基板80から始動入賞コマンドを受信していない場合(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4411)。変動開始コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を開始するにあたって主制御基板80から出力される。主制御基板80から変動開始コマンドを受信した場合(S4411:YES),演出制御用マイコン91は,変動演出開始処理(S4412)および保留減算処理(S4413)を実行する。S4412およびS4413の詳細については後述する。
S4413の後,あるいは主制御基板80から変動開始コマンドを受信していない場合(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,変動終了コマンドを受信したか否かを判断する(S4421)。変動終了コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を終了した際に主制御基板80から出力される。主制御基板80から変動終了コマンドを受信した場合(S4421:YES),演出制御用マイコン91は,変動終了コマンドを解析し,演出図柄変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4422)。
S4422の後,演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出フラグがオンか否かを判断する(S4423)。ボタン変動演出フラグは,ボタン変動演出が実行されている場合にオンとなるフラグである。ボタン変動演出フラグがオンの場合(S4423:YES),演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出フラグをオフにする(S4424)。
S4424の後,あるいはボタン変動演出フラグがオフの場合(S4423:NO),あるいは主制御基板80から変動終了コマンドを受信していない場合(S4421:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判断する(S4431)。オープニングコマンドは,大当たり遊技や小当たり遊技等,特別遊技を開始するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80からオープニングコマンドを受信した場合(S4431:YES),演出制御用マイコン91は,特別遊技のオープニングに関するオープニング演出を開始する(S4432)。具体的にS4432では,演出制御用マイコン91は,オープニングコマンドを解析し,その解析結果に基づいて,特別遊技の種類に応じたオープニング演出パターンを選択する。そして,演出制御用マイコン91は,選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。
S4432の後,または主制御基板80からオープニングコマンドを受信していない場合(S4431:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否かを判断する(S4441)。エンディングコマンドは,例えば,特別遊技を終了するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80からエンディングコマンドを受信した場合(S4441:YES),演出制御用マイコン91は,特別遊技のエンディングに関するエンディング演出を開始する(S4442)。具体的にS4442では,演出制御用マイコン91は,エンディングコマンドを解析し,その解析結果に基づいて,特別遊技の種類に応じたエンディング演出パターンを選択する。そして,演出制御用マイコン91は,選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。
S4442の後,または主制御基板80からエンディングコマンドを受信していない場合(S4441:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否かを判断する(S4451)。V通過コマンドは,V有効期間中に遊技球が特定領域39を通過した際に主制御基板80から出力される。
主制御基板80からV通過コマンドを受信した場合(S4451:YES),演出制御用マイコン91は,特定領域39を通過した旨のメッセージを含む画像あるいは特定領域39を通過したことによって高確率状態への移行が決定した旨のメッセージを含む画像を,画像表示装置7に表示させるV通過表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4452)。
S4452の後,または主制御基板80からV通過コマンドを受信していない場合(S4451:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信したか否かを判断する(S4461)。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になった場合に,主制御基板80から出力される。主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信した場合(S4461:YES),演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する(S4462)。
具体的にS4462では,演出制御用マイコン91は,客待ち演出に対応したシナリオデータをRAM94のシナリオバッファにセットする。客待ち演出としては,例えば,画像表示装置7によるデモンストレーション画像の表示が該当する。その後,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を実行するための客待ち演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。なお,セットされた客待ち演出開始コマンドおよびシナリオデータは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S4462の後,または主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信していない場合(S4461:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,各種の異常報知コマンド,余剰球受皿62の満杯報知コマンドが該当する。S4499の後は,受信コマンド解析処理を終了する。
[保留加算処理]
図36は,図35のS4402の保留加算処理の手順を示している。保留加算処理では,演出制御用マイコン91は先ず,RAM94の受信バッファに格納されている始動入賞コマンドをRAM94に記憶する(S4501)。具体的には,第1始動口20への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば,第1保留演出記憶部95aに記憶し,第2始動口21への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば,第2保留演出記憶部95bに記憶する。なお,始動入賞コマンドは,各保留演出記憶部において設けられている4つの記憶領域のうち,始動入賞コマンドが記憶されていない記憶領域に記憶される。
S4501の後,演出制御用マイコン91は,S4501にて始動入賞コマンドを記憶した記憶領域に,特図保留表示態様データとして,演出保留図柄の通常の表示態様(通常態様)に対応する通常態様データを記憶する(S4502)。本形態における通常態様の演出保留図柄は,図16に示したように,三角形のエンブレムの画像である。
S4502の後,演出制御用マイコン91は,S4501にて記憶した始動入賞コマンドが第1始動入賞コマンドか否かを判断する(S4511)。第1始動入賞コマンドであれば(S4511:YES),演出制御用マイコン91は,RAM94に設けられた第1特図保留カウンタの値を1つ加算する(S4512)。さらに第1特図保留発生フラグをオンにする(S4513)。第1特図保留発生フラグは,第1特図保留が発生したことを示すフラグである。
一方,第1始動入賞コマンドでなければ,すなわち第2始動入賞コマンドであれば(S4511:NO),演出制御用マイコン91は,RAM94に設けられた第2特図保留カウンタの値を1つ加算する(S4521)。さらに第2特図保留発生フラグをオンにする(S4522)。第2特図保留発生フラグは,第2特図保留が発生したことを示すフラグである。S4513あるいはS4522の後,保留加算処理を終了する。
なお,第1特図保留カウンタは,前述したように,第1始動入賞コマンドが受信され,第1保留演出記憶部95aに記憶される度に1つ加算される。つまり,第1特図保留カウンタは,第1始動口20への入賞によってRAM84に記憶される乱数群を1つの数値情報として,その数値情報を記憶している個数である第1特図保留の数をカウントするカウンタである。同様に,第2特図保留カウンタは,前述したように,第2始動入賞コマンドが受信され,第2保留演出記憶部95bに記憶される度に1つ加算される。つまり,第2特図保留カウンタは,第2始動口21への入賞によってRAM84に記憶される乱数群を1つの数値情報として,その数値情報を記憶している個数である第2特図保留の数をカウントするカウンタである。
[先読み演出判定処理]
図37は,図35のS4403の先読み演出判定処理の手順を示している。先読み演出判定処理では,演出制御用マイコン91は先ず,図36のS4501にて記憶した始動入賞コマンドにボタン変動演出を行う旨の情報が含まれるか否かを判断する(S4601)。始動入賞コマンドには,図20および図21に示したように,ボタン変動演出を行うか否かの情報が含まれる。具体的には,ボタン変動演出を行う場合には,ボタン演出30回もしくはボタン演出40回のいずれかの情報が含まれている。そのため,演出制御用マイコン91は,始動入賞コマンドを解析することで,ボタン変動演出を行うか否かを判別できる。
なお,本形態では,数値情報に基づいて始動入賞コマンドを特定する遊技制御用マイコン81と,特定された始動入賞コマンドを解析することでその始動入賞コマンドに係る数値情報が大当たりとなるか否かを判定する演出制御用マイコン91とによって,保留演出記憶部95に記憶された数値情報に,大当たりに当選する情報が含まれているか否かを,遊技制御用マイコン81による大当たりの判定が行われる前に,演出制御用マイコン91が把握できる構成が含まれている。
始動入賞コマンドにボタン変動演出を行う旨の情報が含まれていれば(S4601:YES),演出制御用マイコン91は,ボタン予告乱数を取得し,図36のS4501にて始動入賞コマンドを記憶した記憶領域に記憶する(S4602)。
S4602の後,演出制御用マイコン91は,図38に示すボタン予告の判定テーブルを用いて,S4602にて取得したボタン予告乱数に基づいて,ボタン保留演出を行うか否かの判定を行う(S4603)。例えば,始動入賞コマンドにVロング大当たりとボタン演出30回の情報が含まれ,ボタン予告乱数の値が「1」であれば,ボタン保留演出が「有」と判定される。
S4603の後,演出制御用マイコン91は,S4603での判定結果に基づいて,ボタン保留演出を行うか否かを判断する(S4611)。ボタン保留演出を行わない場合(S4611:NO),演出保留図柄は通常態様となるため,先読み演出判定処理を終了する。
一方,ボタン保留演出を行う場合(S4611:YES),演出制御用マイコン91は,変化シナリオ乱数を取得し,保留加算処理のS4501にて始動入賞コマンドを記憶した記憶領域に記憶する(S4612)。そして,演出制御用マイコン91は,図39に示す保留シナリオの判定テーブルを用いて,S4612にて取得した変化シナリオ乱数に基づいてシナリオデータを特定し,そのシナリオデータに基づいて演出保留図柄を決定する(S4613)。
より具体的に,保留シナリオの判定テーブルでは,現時点での保留個数に応じた演出保留図柄の表示態様を規定したシナリオデータが設定されており,S4613では変化シナリオ乱数に基づいて1つのシナリオデータが選択される。例えば,ボタン演出30回であり,今回が4個目の特図保留であり,変化シナリオ乱数の値が「1」であった場合,シナリオデータ「S010」が選択される。
シナリオデータには,特図保留の優先順位に応じた演出保留図柄の表示態様が規定されている。例えば,シナリオデータ「S010」には,特図保留の優先順位が4個目の保留(すなわち先に記憶された特図保留が3個ある状態)の際には「×10」と表示された特別演出保留図柄を表示(図16(b)参照)するシナリオが記憶されている。「×10」は10回を意味する。さらに,シナリオデータ「S010」には,3個目の保留の際も同じく「×10」と表示された特別演出保留図柄を表示し,2個目の保留の際には「×20」と表示された特別演出保留図柄を表示し,1個目および変動開始時には「×30」と表示された特別演出保留図柄を表示するシナリオが記憶されている。このように先に記憶された特図保留の情報が消化される度に特別演出保留図柄に表示される数字が大きくなることで,前述したように数字が大きいほど大当たりの可能性が高いことから,遊技者の大当たりに対する期待感を高められる。なお,図39中の「通常」は,通常態様の演出保留図柄が表示される。
S4613の後,演出制御用マイコン91は,S4613にて選択されたシナリオデータをRAM94の保留シナリオ記憶部95cにセットする(S4614)。S4614の後,演出制御用マイコン91は,ボタン保留演出の実行回数をカウントするボタン保留演出カウンタに,入賞した始動口に応じた現在の特図保留カウンタの値をセットする(S4615)。つまり,今が何個目の特図保留かを記憶する情報をセットする。S4615の後は,先読み演出判定処理を終了する。
一方,始動入賞コマンドにボタン変動演出を行う旨の情報が含まれていなければ(S4601:NO),必要に応じてその他の先読み演出を実行する(S4699)。その他の先読み演出としては,例えば,演出保留図柄の色を変化させる,演出保留図柄のデザインを変化させる,が該当する。S4699の後,あるいはS4615の後,あるいはボタン予告を行わない場合(S4611:NO),先読み演出処理を終了する。
なお,パチンコ遊技機1では,図38に示したボタン予告の判定テーブルのように,ハズレの場合よりも大当たりに当選している方がボタン保留演出が「有」と判定され易いように,ボタン予告乱数の比率が設定されている。すなわち,ボタン保留演出が行われることで,遊技者に大当たりの予感を与えることができる。
また,大当たりに当選している場合は,ボタン演出30回よりもボタン演出40回の方がボタン保留演出が「有」と判定され易く,ハズレの場合はボタン演出40回よりもボタン演出30回の方がボタン保留演出が「有」と判定され易いように,ボタン予告乱数の比率が設定されている。さらに図39に示した保留シナリオのように,ボタン演出40回の方がボタン演出30回よりも大きな数字が表示され易い。つまり,パチンコ遊技機1では,特別演出保留図柄に表示される数字(遊技者にとって演出ボタン63を押下することが想定される回数)が大きいほど大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,ボタン予告乱数の比率が設定されている。なお,既にボタン保留演出を行っている場合にはさらなるボタン保留演出の実行を禁止してもよい。
[変動演出開始処理]
図40は,図35のS4412の変動演出開始処理の手順を示している。変動演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,変動開始コマンドの内容を解析し,変動演出パターンの選択を行う(S4701)。変動開始コマンドには,図25のS1012あるいはS1022にて決定された変動パターンの情報が含まれる。
具体的にS4701では,演出制御用マイコン91は,変動演出パターン乱数を取得し,S1022にて決定された変動パターンの種類に応じて分類される複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した変動演出パターン乱数を判定することにより,変動演出パターンを選択する。これにより,装飾可動体15の稼働の有無やそのタイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば,変動演出の時間,演出図柄の変動表示態様,リーチ演出の有無,リーチ演出の内容,演出中のボタン操作の有無,演出の展開構成,背景の種類等,変動演出の詳細,すなわち図柄変動中の演出のシナリオが決まることになる。
例えば,変動開始コマンドに,ボタン演出30回もしくはボタン演出40回の情報が含まれている場合,ボタン変動演出を行うことを決定する。この場合,ボタン変動演出中に演出ボタン63の押下を受け付ける回数も決定する。具体的には,ボタン演出30回であれば30回,ボタン演出40回であれば40回,に決定する。さらに,演出制御用マイコン91は,図41に示すようなボタン変動演出用の判定テーブルを用いて,シナリオデータを選択する。
ボタン変動演出では,ボタン演出30回であれば最大30回,ボタン演出40回であれば最大40回,演出ボタン63の押下を受け付ける。そして,演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出の開始時に,その最大回数を画像表示装置7に表示させる。さらに,ボタン変動演出では,最大回数の押下を受け付ける前に,リーチを発生させる。そのため,そのため,図41に示した判定テーブルでは,リーチを発生させるためのリーチ閾値が決められる。例えば,変動開始コマンドにVロング大当たりの情報およびボタン演出30回の情報が含まれ,変動演出パターン乱数が「1」の場合,リーチ閾値は「15」であり,ボタン変動演出のシナリオデータは,「A010」となる。リーチ閾値は,ボタン変動演出中に演出ボタン63の押下を受け付ける最大回数よりも小さい値である。
なお,パチンコ遊技機1では,大当たりに当選していた場合,ハズレの場合と比較してリーチ閾値に小さい値が選択され易いように,リーチ閾値および変動演出パターン乱数の比率が設定されている。つまり,遊技者にリーチが早期に発生するほど大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,リーチ閾値および変動演出パターン乱数の比率が設定されている。また,パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりに当選していた場合,Vショート大当たりに当選していた場合と比較してリーチ閾値に小さい値が選択され易いように,リーチ閾値および変動演出パターン乱数の比率が設定されている。つまり,遊技者にリーチが早期に発生するほど遊技者に有利な大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,リーチ閾値および変動演出パターン乱数の比率が設定されている。
S4701の後,演出制御用マイコン91は,演出図柄の変動演出において最終的に停止表示させる演出図柄8L,8C,8Rの選択を行う(S4702)。具体的にS4702では,演出制御用マイコン91は,演出図柄乱数を取得し,特別図柄の有無やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した演出図柄乱数を判定することにより,演出図柄を選択する。これにより,「777」等の最終的に停止表示させる演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせが決定される。
S4702の後,演出制御用マイコン91は,予告演出の選択を行う(S4703)。具体的にS4703では,演出制御用マイコン91は,予告演出乱数を取得し,特定図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した予告演出乱数を判定することにより,予告演出を選択する。これにより,いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出の内容が決定される。
S4703の後,選択された変動演出パターン,演出図柄,および予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S4704)。なお,セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S4704の後,演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出を行うか否か,すなわち変動開始コマンドに,ボタン演出30回もしくはボタン演出40回の情報が含まれていたか否かを判断する(S4711)。ボタン変動演出を行う場合(S4711:YES),演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出フラグをオンにする(S4712)。さらに,ボタン変動演出中に演出ボタン63を押下された回数をカウントするボタン押下カウントを0にする(S4713)。さらにS4701にて選択されたシナリオデータによって決められるリーチ閾値を,RAM94の所定の記憶領域に記憶する(S4714)。S4714の後,あるいはボタン変動演出を行わない場合(S4711:NO),変動演出開始処理を終了する。
[保留減算処理]
図42は,図35のS4413の保留減算処理の手順を示している。保留減算処理では,演出制御用マイコン91は先ず,変動開始コマンドの内容を解析し,変動開始コマンドが第1始動口20への入賞に基づくコマンドか否かを判断する(S4801)。
第1始動口20への入賞に基づくコマンドである場合(S4801:YES),演出制御用マイコン91は,RAM94に設けられた第1特図保留カウンタの値を1つ減算する(S4802)。さらに第1特図保留消滅フラグをオンにする(S4803)。第1特図保留消滅フラグは,第1特図保留に対する変動表示が開始された,すなわち第1特図保留がなくなったことを示すフラグである。
S4803の後,演出制御用マイコン91は,第1保留演出記憶部95aに記憶される各データの記憶領域をシフトする(S4804)。具体的にS4804では,演出制御用マイコン91は,第1保留演出記憶部95aに記憶される各データのうち最も優先度が高い記憶領域に記憶されているデータを,変動演出記憶部96にシフトする。これにより,前回の変動演出にかかるデータは消去される。さらに第1保留演出記憶部95aに記憶される各データを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。
一方,第1始動口20への入賞に基づくコマンドでなければ,すなわち第2始動口21への入賞に基づくコマンドであれば(S4801:NO),演出制御用マイコン91は,RAM94に設けられた第2特図保留カウンタの値を1つ減算する(S4811)。さらに第2特図保留消滅フラグをオンにする(S4812)。第2特図保留発生フラグは,特第2特図保留がなくなったことを示すフラグである。
S4812の後,演出制御用マイコン91は,第2保留演出記憶部95bに記憶される各データの記憶領域をシフトする(S4813)。具体的にS4813では,演出制御用マイコン91は,第2保留演出記憶部95bに記憶される各データのうち最も優先度が高い記憶領域に記憶されているデータを,変動演出記憶部96にシフトする。これにより,前回の変動演出にかかるデータは消去される。さらに第2保留演出記憶部95bに記憶される各データを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。
S4804の後,あるいはS4813の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の保留シナリオ記憶部95cにシナリオデータがセットされているか否かを判断する(S4821)。シナリオデータがセットされている場合(S4821:YES),ボタン保留演出が実行されていることから,演出制御用マイコン91は,ボタン保留演出カウンタを1つ減算する(S4822)。S4822の後,あるいはシナリオデータがセットされていない場合(S4821:NO),保留減算処理を終了する。
[特図保留演出処理]
図43は,図34のS4302の特図保留演出処理の手順を示している。特図保留演出処理では,演出制御用マイコン91は先ず,第1特図保留発生フラグ,第2特図保留発生フラグ,第1特図保留消滅フラグ,あるいは第2特図保留消滅フラグ,のいずれかがオンであるか否かを判断する(S5001)。これらのフラグがオンである場合,特図保留の数に変化があり,演出保留図柄の表示の変更のタイミングであることを意味する。いずれのフラグもオンでない場合(S5001:NO),特図保留演出処理を終了する。
上述のいずれかのフラグがオンである場合(S5001:YES),演出制御用マイコン91は,RAM94の保留シナリオ記憶部95cにシナリオデータがセットされているか否かを判断する(S5002)。シナリオデータがセットされている場合(S5002:YES),ボタン保留演出が実行されていることから,演出制御用マイコン91は,保留シナリオ記憶部95cからシナリオデータを読み出し,第1特図保留カウンタないし第2特図保留カウンタの値,S5001にて判断した各フラグの内容,およびボタン保留演出カウンタの値,に基づいて,表示すべき特別演出保留図柄を選択する(S5003)。そして,表示すべき特別演出保留図柄のデータを,特図保留表示態様データとして,始動入賞コマンドを記憶した記憶領域に上書きする。シナリオデータがセットされていない場合には,通常態様データのまま,もしくは他の保留演出によって選択された特別演出保留図柄に対応する特図保留表示態様データが上書きされる。
S5003の後,あるいはシナリオデータがセットされていなければ(S5002:NO),演出制御用マイコン91は,特図保留表示態様データに基づく演出保留図柄を表示させる特図保留演出コマンドを生成し(S5011),生成した特図保留演出コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S5012)。セットされた特図保留演出コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S5012の後,ボタン保留演出カウンタの値が0か否かを判断する(S5013)。ボタン保留演出カウンタの値が0の場合(S5013:YES),ボタン保留演出の対象となった特図保留に対する変動表示が開示されたことから,演出制御用マイコン91は,RAM94の保留シナリオ記憶部95cに記憶されているシナリオデータを消去する(S5014)。これによりボタン保留演出が終了する。
S5014の後,あるいはボタン保留演出カウンタの値が0でない場合(S5013:NO),第1特図保留発生フラグ,第2特図保留発生フラグ,第1特図保留消滅フラグ,第2特図保留消滅フラグのうち,オンであったフラグをオフにする(S5021)。S5021の後,特図保留演出処理を終了する。
[スイッチデータ解析処理]
図44は,図34のS4304のスイッチデータ解析処理の手順を示している。スイッチデータ解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,S4303にて取得したスイッチデータを解析し,演出ボタン63が押下されたか否かを判断する(S6001)。
演出ボタン63が押下されていた場合(S6001:YES),演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出フラグがオンか否かを判断する(S6002)。ボタン変動演出フラグがオンでない場合(S6002:NO),演出制御用マイコン91は,必要に応じてボタン変動演出の実行中以外のタイミングでの演出ボタン63に関する処理を行う(S6098)。
一方,ボタン変動演出フラグがオンの場合(S6002:YES),すなわちボタン変動演出の実行中の場合,演出制御用マイコン91は,ボタン押下カウントの値が最大回数(「ボタン演出30回」では30,「ボタン演出40回」では40)よりも小さいか否かを判断する(S6003)。ボタン押下カウントの値が最大回数よりも小さくない場合(S6003:NO),すなわち変動時間内に最大回数分の演出ボタン63の押下を受け付け済みの場合,必要に応じてボタン変動演出の実行中以外のタイミングでの演出ボタン63に関する処理を行う(S6098)。
一方,ボタン押下カウントの値が最大回数よりも小さい場合(S6003:YES),演出制御用マイコン91は,ボタン押下カウントを1つ加算する(S6004)。そして,演出制御用マイコン91は,ボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えたか否かを判断する(S6011)。ボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えている場合(S6011:YES),演出制御用マイコン91はさらに,既にリーチが発生済みか否かを判断する(S6012)。リーチが発生していない場合(S6012:NO),演出制御用マイコン91は,リーチを発生させるリーチコマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6013)。
S6013の後,あるいはリーチを発生済みの場合(S6012:YES),あるいはボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えていない場合(S6011:NO),演出制御用マイコン91は,演出ボタン63の押下回数および押下の旨を通知する押下回数通知コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6014)。押下の旨の通知としては,例えば,表示されている演出ボタンの画像を光らせる。
押下回数通知コマンドないしリーチコマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに基づいて,表示中の押下回数の数値を更新させたり,リーチを発生させる。リーチを発生させる場合,前述したように第2の演出図柄でリーチを発生させる。
また,演出制御用マイコン91は,S6012において,音声制御基板106を介して,スピーカ67から演出ボタン63の押下に対応する効果音を出力させることを決定してもよい。また,ランプ制御基板107を介して,演出ボタン63に内蔵するボタンランプ631を点灯させることを決定してもよい。
S6014の後,演出制御用マイコン91は,演出ボタン63を振動させるボタン振動処理し(S6020),その後,リーチが発生した後の演出図柄を第2の演出図柄から第1の演出図柄に変更するリーチ昇格処理(S6030)と,を実行する。S6020とS6030とは,逆順であってもよい。
図45は,S6020のボタン振動処理の手順を示している。ボタン振動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,振動乱数を取得する(S6021)。S6021の後,演出制御用マイコン91は,図46に示す振動の判定テーブルを用いて,S6021にて取得した振動乱数に基づいて,演出ボタン63を振動させるか否かの判定を行う(S6022)。図46に示したように,振動させる確率は,リーチを発生させる前か後か,すなわち演出ボタン63の押下回数がリーチ閾値を超えたか否かによって異なる。例えば,Vロング大当たりであり,振動乱数の値が「10」であった場合,リーチの発生前であれば,振動が「無」と判定され,リーチの発生後であれば,振動が「有」と判定される。
パチンコ遊技機1では,図46に示した振動の判定テーブルのように,リーチの発生後の方がリーチの発生前よりも振動が「有」と判定され易いように,振動乱数の比率が設定されている。つまり,パチンコ遊技機1では,大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるほど,演出ボタン63の振動の発生頻度が高くなるように,振動乱数の比率が設定されている。
また,パチンコ遊技機1では,同じリーチの発生前でも,大当たりに当選している方がハズレの場合と比較して振動が「有」と判定され易いように,振動乱数の比率が設定されている。つまり,パチンコ遊技機1では,振動が発生する頻度が高いほど大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,振動乱数の比率が設定されている。また,パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりに当選していた場合,Vショート大当たりに当選していた場合と比較して振動が「有」と判定され易いように,振動乱数の比率が設定されている。つまり,パチンコ遊技機1では,遊技者に振動が発生する頻度が高いほど遊技者に有利な大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,振動乱数の比率が設定されている。
S6022の後,演出制御用マイコン91は,S6022の判定結果に基づいて,振動が「有」と判定された否かを判断する(S6023)。振動が「有」と判定された場合(S6023:YES),演出制御用マイコン91は,演出ボタン63の振動制御を行うことを決定する(S6024)。この決定に従って,図34のS4307にてボタン内データが生成され,図33のS4205にて演出ボタン63内の構成部材が制御される。具体的には,ボタン振動部材632を振動状態とする制御を行い,ボタン振動部材632を振動させることで,演出ボタン63を振動させる。なお,ボタン振動部材632を振動状態とするとともに,ボタンランプ631を点灯させてもよい。S6024の後,あるいは振動が「有」と判定されなかった場合(S6023:NO),ボタン振動処理を終了し,スイッチデータ解析処理に戻る。
図47は,S6030のリーチ昇格処理の手順を示している。リーチ昇格処理では,演出制御用マイコン91は先ず,ボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えているか否かを判断する(S6101)。
ボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えている場合(S6101:YES),演出制御用マイコン91は,リーチの演出図柄を変更可能か否かを判断する(S6102)。例えば,既に第1の演出図柄に変更済みであれば,変更不可と判断する。また,Vショート大当たりに当選していた場合,リーチ演出の後の遊技状態が高確率状態とならないため,変更不可と判断する。
変更可能と判断した場合(S6102:YES),演出制御用マイコン91は,昇格乱数を取得する(S6103)。S6103の後,演出制御用マイコン91は,図48に示すリーチ昇格の判定テーブルを用いて,S6103にて取得した昇格乱数に基づいて,リーチの演出図柄を変更するか否かの判定を行う(S6104)。例えば,Vロング大当たりであり,昇格乱数の値が「1」であった場合,演出図柄の変更が「有」と判定される。
パチンコ遊技機1では,図48に示したリーチ昇格の判定テーブルのように,大当たりに当選している方がハズレの場合よりも演出図柄の変更が「有」と判定され易いように,昇格乱数の比率が設定されている。つまり,演出図柄が早期に第1の図柄に変更されるほど大当たりに当選している期待度(信頼度)が高くなるように,昇格乱数の比率が設定されている。
S6104の後,演出制御用マイコン91は,S6104の判定結果に基づいて,演出図柄の変更が「有」と判定された否かを判断する(S6105)。演出図柄の変更が「有」と判定された場合(S6105:YES),演出制御用マイコン91は,リーチの演出図柄を第1の演出図柄に変更する演出図柄変更コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6106)。なお,セットされた図柄変更コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S6106の後,あるいは演出図柄の変更が「有」と判定されなかった場合(S6105:NO),あるいはリーチの演出図柄を変更不可と判断した場合(S6102:NO),あるいはボタン押下カウントの値がリーチ閾値を超えていない場合(S6101:NO),リーチ昇格処理を終了し,スイッチデータ解析処理に戻る。
図44の説明に戻り,S6031の後,あるいはS6098の後,あるいは演出ボタン63が押下されていない場合(S6001:NO),演出制御用マイコン91は,必要に応じて,十字ボタン68等,他の入力スイッチに関する処理を行い,スイッチデータ解析処理を終了する。他の入力スイッチに関する処理については,説明を省略する。
8.実施の形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1は,演出ボタン63の複数回の押下を伴うボタン変動演出において,演出ボタン63の押下に応じて押下回数がリーチ閾値を超えたか否かのリーチ条件(第1の条件)を判断し,さらにリーチ条件を満たす前と後とで,演出ボタン63を振動させる抽選の当選確率(第2の条件)が異なる。つまり,演出ボタン63の態様変化の頻度が,リーチ条件を満たす前後で変化する。これにより,複数回の演出ボタン63の押下であっても,遊技者に操作への飽きが生じ難い。
9.実施の形態の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(抽選回数,各種テーブルの設定値,各種の保留数の上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下回数がリーチ閾値を超えたか否かによってリーチを発生させるか否かを決定しているが,リーチの発生条件はこれに限るものではない。例えば,演出ボタン63が押下される度に乱数を取得し,その乱数に基づいてリーチを発生させるか否かの抽選を行い,その抽選に当選することによってリーチを発生させるようにしてもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63を振動状態とすると判断された場合には,所定期間,ボタン振動部材632を振動状態としているが,振動状態とすると判断された場合に,その判断後からボタン変動演出を終了するまで振動状態を維持してもよい。この場合であっても,演出ボタン63が振動することで,遊技者にとって大当たりの期待が高まることから,遊技者に飽きが生じ難い。この場合では,振動状態になった後,演出ボタン63を振動させるか否かの判断を省略してもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下を受け付ける度に判断する第1の特定条件を満たした場合に,リーチを発生させているが,その第1の特定条件を満たした場合に行う演出としてはリーチの発生に限るものではない。例えば,背景色を赤や金色等の特定の色に変更する演出や,特殊キャラクタを登場させる演出を行ってもよい。また,画像表示装置7に特定の画像を表示させる演出の他,枠ランプ66の点灯,スピーカ67からの特定の効果音の出力等,画像表示装置7以外のデバイスを用いる演出であってもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下を受け付ける度に判断する第1の特定条件を満たす前と満たした後とで成立し易さが異なる第2の特定条件として,演出ボタン63を振動させる確率が変化する条件を適用しているが,第2の特定条件は,第1の特定条件を満たす前と満たした後とで異なっていればよく,例えば,第1の特定条件を満たす前は乱数に基づく確率によって判断し,第1の特定条件を満たした後は所定時間内の押下回数によって判断するようにしてもよい。すなわち,第2の特定条件は,第1の特定条件を満たす前と満たした後とで判断方法が異なる条件であってもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下を受け付ける度に判断する第1の特定条件を満たす前と満たした後とで成立し易さが異なる第2の特定条件として,演出ボタン63を振動させる条件を適用しているが,第2の特定条件は,演出ボタン63を振動させるための条件に限るものではない。例えば,第2の特定条件を満たすことで,枠ランプ66を点灯させてもよいし,ボタンランプ631を通常時と異なる色で点灯させてもよいし,表示画面7aに特殊キャラクタの画像を表示させてもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下に本発明を適用しているが,例えば,剣部材222の押し込みに本発明を適用してもよい。また,タッチパネル等の別の入力手段が有る場合には,その入力手段に本発明を適用してもよい。すなわち,操作手段は,演出ボタン63に限るものではない。
また,実施の形態では,リーチを発生させた後,演出ボタン63が押下される度に昇格乱数を取得して昇格乱数に基づいて演出図柄を昇格させるか否かを判断しているが,演出図柄の昇格条件はこれに限るものではない。例えば,リーチ発生後の演出ボタン63の押下回数によって判断してもよい。
また,実施の形態では,ボタン変動演出中,始めに演出ボタン63の押下が必要な回数を表示し,演出ボタン63が押下される度にカウントダウンしているが,演出ボタン63を押下した回数を表示してもよい。この場合,始めに0回を表示し,演出ボタン63が押下される度にカウントアップすればよい。
また,実施の形態では,ボタン変動演出あるいはボタン保留演出において,演出ボタン63を押下する回数を数字で表示しているが,数字表示に限るものではない。例えば,特定のマークを演出ボタン63を押下する回数分表示してもよい。この場合,演出ボタン63が押下される度に,そのマークを消去する,あるいはマークの色を変更する,とよい。
また,実施の形態では,ボタン保留演出において,始めは小さい数字を表示し,先に記憶された特図保留が消化されるに連れて,表示される数字を大きくしているが,特別演出保留図柄に表示される数字を変更しなくてもよい。例えば,始めからボタン変動演出にて受け付ける演出ボタン63の押下回数を表示してもよい。
また,実施の形態では,特別図柄の変動表示を開始する前から,すなわちボタン変動演出を開始する前から,ボタン変動演出にて受け付ける演出ボタン63の押下回数を通知する方法として,ボタン保留演出を採用しているが,押下回数を通知する方法はこれに限るものではない。例えば,連続予告演出の1つとして,ボタン変動演出にて受け付ける演出ボタン63の押下回数を超えない範囲の数字を表示してもよい。この場合も,ボタン保留演出と同様に,始めはボタン変動演出にて受け付ける演出ボタン63の押下回数よりも少ない数字を表示し,数字を徐々に増やしていってもよい。
また,実施の形態では,遊技制御用マイコン81から演出制御用マイコン91に送られる始動入賞コマンドに,ボタン変動演出の実行有無,ボタン変動演出時のボタン押下の回数,の各情報が含まれているが,これらの情報を含めず,演出制御用マイコン91が,ボタン変動演出の実行有無,ボタン変動演出時のボタン押下の回数,をそれぞれ判断してもよい。例えば,遊技制御用マイコン81からの始動入賞コマンドにSPリーチが含まれている場合に,演出制御用マイコン91は,ボタン変動演出を含む複数の種類の演出の中から実行対象となる演出を選択し,ボタン演出が選択された場合に,ボタン操作を受け付ける回数を抽選等によって決定するように構成してもよい。同様に,実施の形態では,遊技制御用マイコン81から演出制御用マイコン91に送られる変動開始コマンドに,ボタン変動演出の実行有無,ボタン変動演出時のボタン押下の回数,の各情報が含まれているが,これらの情報を含めず,演出制御用マイコン91が,ボタン変動演出の実行有無,ボタン変動演出時のボタン押下の回数,をそれぞれ判断してもよい。
また,実施の形態では,リーチを発生させるか否かを演出制御用マイコン91が判断しているが,リーチ閾値あるいはシナリオデータを含むコマンドを画像制御基板100に出力する構成であれば,画像制御基板100がそれらの情報に基づいて判断してもよい。
また,実施の形態では,演出ボタン63の押下を受け付ける度に判断する第1の特定条件(実施の形態ではリーチを発生させる条件)について,大当たりに当選している方が当選していないよりも,条件を満たし易いように設定されている(図41参照)が,大当たりの当否による条件の満たし易さの違いを設けなくてもよい。例えば,大当たりであってもハズレであっても条件の満たし易さが同じであってもよい。また,実施の形態では,演出ボタン63の押下を受け付ける度に判断する第1の特定条件を満たす前と満たした後とで成立し易さが異なる第2の特定条件(実施の形態では振動を発生させる条件)について,大当たりに当選している方が当選していないよりも,条件を満たし易いように設定されている(図46参照)が,大当たりの当否による条件の満たし易さの違いを設けなくてもよい。例えば,大当たりであってもハズレであっても条件の満たし易さが同じであってもよい。
また,実施の形態では,ボタン演出として,ボタン変動演出と,ボタン保留演出とを行っているが,ボタン保留演出は行わなくてもよい。すなわち,パチンコ遊技機1は,ボタン変動演出を伴う特図保留の変動開始前に,ボタン変動演出に関する予告を表示しなくてもよい。
また,実施の形態では,ボタン変動演出の実行中,演出ボタン63の押下に応じて判断される第1の特定条件(実施の形態では,押下回数がリーチ閾値を超えること)を満した後も,第1の特定条件を満たす前と満たした後とで成立し易さが異なる第2の特定条件(実施の形態では,振動乱数に基づいてボタン振動が「有」と判定されること)の他,演出ボタン63の操作に応じて判断される第3の特定条件(実施の形態では,昇格乱数に基づいてリーチ昇格が「有」と判定されること)を判断し,さらに遊技者に有利な演出に変化(実施の形態では,リーチ状態の演出図柄が第2の図柄から第1の図柄に変化)させているが,第3の特定条件の判断を行わなくてもよい。すなわち,パチンコ遊技機1は,リーチを発生させた後は,そのリーチの状態を維持してもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板80の遊技制御用マイコン81のCPU82およびサブ制御基板90の演出制御用マイコン91のCPU92によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81と演出制御用マイコン91との少なくとも一方において複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81あるいは演出制御用マイコン91に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン81の処理の一部を,演出制御用マイコン91が実行してもよいし,演出制御用マイコン91の処理の全部もしくは一部を,遊技制御用マイコン81が実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,両者を包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて制御手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
以下に記す手段の説明では,発明を実施するための形態における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のために括弧書きで付記している。ただし,本発明の構成要素は付記に限定されるものではない。
本明細書に開示される遊技機(パチンコ遊技機1)は,遊技者が操作し得る操作手段(演出ボタン63)と,演出態様が変化する変化手段(ボタン振動部材632)と,演出表示手段(画像表示装置7)と,演出制御手段(演出制御用マイコン91)と,を備え,前記演出制御手段は,前記操作手段への操作を受け付ける度に,第1の条件を満たすか否かを判断する第1判断処理(S6011)と,前記第1判断処理にて前記第1の条件を満たすと判断した場合に,前記演出表示手段に,所定の演出を行わせる演出処理(S6013)と,前記操作手段への操作を受け付ける度に,前記変化手段の演出態様を変化させるための第2の条件を満たすか否かを判断する第2判断処理(S6023)であって,前記第2の条件は,前記第1の条件を満たす前と前記第1の条件を満たした後とで成立し易さが異なる条件である,前記第2判断処理と,前記第2判断手段にて前記第2の条件を満たすと判断した場合に,前記変化手段の演出態様を変化させる態様変化処理(S6024)と,を実行することを特徴としている。
本明細書に開示される遊技機は,操作手段の複数回の操作を伴う演出において,操作手段の操作に応じて第1の条件を満たすか否かを判断し,さらに第1の条件を満たす前と後とで,第2の条件の満たし易さが異なる。つまり,変化手段の演出態様の変化の頻度が,第1の条件を満たす前後で変化する。これにより,複数回の操作手段の操作であっても,遊技者に操作への飽きが生じ難い。
また,前記第2の条件は,前記第1の条件を満たした後の方が前記第1の条件を満たす前よりも成立し易い条件であるとよい。条件が成立し易くなることで,遊技者の操作への意欲の向上が期待できる。
また,前記第1の条件は,リーチ演出の画像を前記演出表示装置に表示させるための条件であり,前記演出制御手段は,前記演出処理では,リーチ演出を行うことが決定していることを条件として,前記第1判断処理にて前記第1の条件を満たすと判断した場合に,前記演出表示手段に,リーチ演出の画像を表示させるとよい。操作に連動してリーチ演出を行うことで,遊技者にとって大当たりの期待が高まり,遊技者に操作への飽きが生じ難い。
また,本明細書に開示される遊技機は,遊技球が転動可能な遊技領域(3)を有する遊技盤(2)と,前記遊技領域内に位置する入球口(第1始動口20)と,遊技制御手段(遊技制御用マイコン81)と,を備え,前記遊技制御手段は,遊技球の前記入球口への入球に応じて数値情報を取得する数値取得処理(S214)と,前記数値取得処理にて取得された数値情報に対する所定の消化条件を満たしたことに応じて,前記消化条件を満たした数値情報に基づく大当たりの抽選を行う抽選処理(S1102)と,を実行し,前記第1の条件と前記第2の条件との少なくとも一方は,前記抽選処理にて大当たりに当選している方が当選していないよりも,条件を満たし易いとよい。演出態様の変化等が頻繁に生じるほど,操作の途中で遊技者に大当たりへの予感を与えることが期待でき,遊技者に操作への飽きが生じ難い。
また,前記変化手段は,前記操作手段に内蔵され,振動状態と非振動状態とに切り換え可能な振動部材であり,前記演出制御手段は,前記態様変化処理では,前記振動部材を,前記非振動状態から前記振動状態に変化させるとよい。操作手段に内蔵された振動部材を振動させることで,遊技者が演出態様の変化を感じ易い。
なお,上記遊技機の機能を実現するための制御方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納する,コンピュータによる読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。
1 パチンコ遊技機
63 演出ボタン
631 ボタンランプ
632 ボタン振動部材
7 画像表示装置
80 主制御基板
81 遊技制御用マイコン
90 サブ制御基板
91 演出制御用マイコン
100 画像制御基板

Claims (2)

  1. 遊技者が操作し得る操作手段と,
    所定の演出を実行可能な演出制御手段と,
    を備え,
    前記演出制御手段は,
    リーチ演出を実行可能であり,
    前記リーチ演出を実行する前および後において,前記操作手段への操作を受け付けることに応じて,前記操作手段の演出態様を変化させることがあり,
    前記リーチ演出が実行される前と後とで,前記操作手段の演出態様が変化する確率が互いに異なる,
    ことを特徴とする遊技機。
  2. 請求項1に記載する遊技機であって,
    前記演出制御手段は,
    前記操作手段への操作を受け付けることに応じて,前記リーチ演出を実行することがある,
    ことを特徴とする遊技機。
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