JP6670491B1 - 超絶音感及び絶対音感の教材並びにこれを用いた指導方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感が身に付くばかりでなく、不協和音のような複雑な音でも判別できる超絶音感までも身に付くようにし、しかも、ピアノ88鍵盤の全ての単音が瞬時に判別できるようにするための教材と指導方法を提供する。【解決手段】教材1aは、複数の平面視略四角形状のシート材からなり、このシート材の少なくとも1辺には2〜5個の平面視略四角形状の区画領域が一体として設けられており、この複数の区画領域2aには、鍵盤楽器の白鍵に対応する3つの音「ど・み・そ」を構成する構成音表示部3aが設けられており、シート材を複数枚重ね合わせたときに、区画領域2aが鍵盤楽器の白鍵における「ど・み・そ」の配置に対応するようにされている。この教材を使用した本発明の指導方法により、鋭敏な絶対音感の基礎が身に付くばかりでなく、不協和音を含むような複雑な音でも判別できる超絶音感の基礎までもが身に付く。【選択図】図1

Description

本発明は、超絶音感等の教材並びにこれを用いた指導方法に関する。
音楽において重要となる聴覚を鍛えるために、絶対音感や相対音感などの指導が行われている。特に絶対音感では、3歳前から訓練を開始することが好ましく、遅くとも6歳前後までに習得する必要があると言われている。
これまでは、例えば、ピアノにおける、いわゆる真ん中の12音「ド〜シ」を含むピアノの中央に当たる音域(以下、「基準音域」という。)において、複数の和音の響きなどを習得するレッスンが知られている。このとき、歌わずに、和音が鳴ったらその響きを表す旗やカードなどを使用して答えるようにする。すなわち、「聴覚」+「視覚」のみで複数の和音の響きを習得する。その後、基準音域で「和音の単音化」を行う。例えば「ド・ミ・ソ」の和音を鳴らしてから、その構成音の中の単音を鳴らし、何の音が鳴ったのかを音名で答えるという和音の単音化の練習をして、最終的にランダムに弾いても答えられるようにする。
しかしながら、このレッスンにおいては、基準音域での和音の単音化後、白鍵のみの単音判別テストを行うと正答率の高い生徒が多かったが、白鍵と黒鍵を含む単音判別テストを行うと正答率が下がり、「黒鍵が苦手」という子供達の声が多く、それを克服するのに時間がかかってしまっていた。
また、基準音域での単音判別ができた子供でも、他音域で白鍵や黒鍵の単音をランダムに鳴らすと正答率が低くなってしまう子供が見受けられた。特に、上下3オクターブのように、音域が離れれば離れるほど正答率が低くなる傾向があり、正答率を上げるためには多くの練習時間を要していた。
さらに、上述した単音判別テストを見事に合格し、絶対音感レッスンを修了したと判断された生徒について、基準音域で習得した和音が他音域でも同じように答えられるかどうかを試してみると、スムーズに答えられず考え込んでしまう子供が多かった。また、基準音域で習得した和音以外の構成音による和音についても正答率の低い子供が多かった。そして、上述した内容のレッスンだけでは、突然鳴った単音の判別はできても、ぶつかったような音や、5つ以上の複雑な和音の響きを判別することは容易ではなかった。
また、いわゆる音の高低が分かるような手や身体の動きで単音を音程通りに歌う練習をして絶対音感を習得するレッスンも知られている。しかしながら、単音判別はできるようになるものの、それだけでは和音の判別はできず、突然鳴った、ぶつかったような音や、5つ以上の複雑な和音の響きも判別することはできなかった。
一方、幼児に音の並びと高低の理解を深めさせるために、ピアノの鍵盤上で使用できる積み木や紙製の階段状の教材も提案されている(非特許文献1)。しかしながら、この階段状の教材では、ピアノでは左から右へ向かって音が上がり、右から左へ向かって音が下がることと、音の並び順が決まっていることを理解させるためには優れた効果を発揮するものの、3和音や不協和音における各構成音などを聞き分けるまでには至っていなかった。
YASUKO音楽教室"音の階段について"、[online]、[令和元年(2019)年7月4日検索]、インターネット〈URL:https://www.c−clef−y.net/%E9%9F%B3%E3%81%AE%E9%9A%8E%E6%AE%B5%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/〉
一般に、絶対音感に対して個人個人の認識や判別能力には大変大きな差が生じているのが現実である。単音しか分からない絶対音感の保持者から複雑な和音まで分かる絶対音感の保持者まで幅広くいるが、この大きなバラツキを少なくする指導方法はなかった。また、楽譜上には様々な音の重なりの響き(ハーモニー)が出てくるため、単音判別だけでなく、様々なハーモニーの響きまでも判別できる超絶音感があると、楽器演奏の上達にも大変有利となることは言うまでもないことである。
そこで、突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感が身に付くばかりでなく、不協和音のような複雑な音でも判別できる超絶音感までも身に付くようにし、しかもピアノ88鍵盤の全ての単音が瞬時に判別できるようにするための教材と指導方法を提供するものである。
本発明者は、上述したような問題に鑑み鋭意検討した結果、ピアノの基準音域で、不協和音を含む複数種類の和音の響きを100%習得し判別して定着させ、和音の音域展開を図り、和音構成音の音の高低及びその構成音に対応する鍵盤の位置を視覚的に表示させた教材を使用して、ピアノの音がなくてもその構成音の音を音程通りに歌えるようになるまで練習して記憶に定着させることにより、短期間に鋭敏な絶対音感の基礎が身に付くばかりでなく、超絶音感の基礎までもが身に付けられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、音感の教材であって、当該教材は複数の平面視略四角形状のシート材からなり、少なくとも一の当該シート材の少なくとも1辺には、2〜5個の平面視略四角形状の区画領域が同一平面内で段差状に隣接して設けられており、当該区画領域には鍵盤楽器の白鍵及び黒鍵のそれぞれに対応する音を表示する構成音表示部が設けられており、当該シート材を複数枚重ね合わせたときに、少なくとも当該区画領域が当該鍵盤楽器の白鍵の配置に対応するように配置されることを特徴とする音感の教材を提供するものである。
また、本発明は、上述した教材を使用して指導する音感の指導方法であって、構成音の個数を2〜5個の範囲とし、当該構成音中に少なくとも基準音域における音を1個以上含む複数種類の和音について、当該複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップと、
当該ステップで当該異なる和音の響きを習得して判別できた後に、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ音程通りに歌うステップを有しており、
少なくとも当該音程通りに歌うステップにおいて、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ表示する構成音表示部が設けられた当該教材を使用することを特徴とする音感の指導方法を提供するものである。
本発明の教材によれば、視覚的に音の高低と配置や音程関係などを理解できるようになり、単音シートなどと併用して練習することで譜読み力なども驚くほど向上し、超絶音感や鋭敏な絶対音感の基礎が身に付く。
また、本発明の音感の教材を用いる指導方法によれば、突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感が身に付くばかりでなく、不協和音のような複雑な音でも判別できる超絶音感までもが身に付く。しかも、最終的にピアノ88鍵盤の全ての単音が判別できるようになる。なお、本発明による教材を使用しない場合でも本発明の指導方法により超絶音感をおおよそは習得できるが、教材を使用すると習得するまでの期間が驚くほど短縮できるので、6歳までに習得することが可能となる。
本発明の一実施形態の教材を示す写真。 本発明の一実施形態の教材を示す写真。 本発明の一実施形態の教材を示す写真。 本発明の一実施形態の教材をグランドピアノの白鍵に対応するように並べた写真。 本発明の一実施形態の教材を示す写真。 本発明の他の実施形態の教材を示す写真。 本発明の音感の指導方法で使用する基本の和音の練習表の一例。 本発明の音感の指導方法で使用する母音唱法の練習表の一例。 本発明の他の実施形態の教材を示す写真。 本発明の他の実施形態の教材を示す写真。 本発明の音感の指導方法で使用する不協和音の練習表の一例。
以下、鍵盤楽器としてグランドピアノ(以下、単にピアノという。)を例に図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。なお、本発明の教材は、超絶音感、絶対音感、相対音感などを習得するための教材やソルフェージュの教材としても良いし、指導用教材としても良いし練習用教材としても良い。
図1は、本発明の一実施形態である教材1a、1b、1cを示す写真である。
これらの教材は基本的には同様の形状のシートとされている。
図1(a)に示す教材1aは、複数の平面視略四角形状のシート材から構成されている。このシート材の1辺(図中左側)には、3個の平面視略四角形状の区画領域2aが設けられている。なお、図1(a)には説明のために区画領域を示す点線を描いており、この区画領域が平面視略四角形状であることが理解できる。この複数の区画領域2aには3個の音「ど・み・そ」の構成音表示部3aが設けられている。ここでは一例として1枚の赤色の色紙を切り取って区画領域2aを設けているが、単に四角形の白紙などに区画領域2aを赤色で描いたシート状の教材としても良いし赤色でなくても良い。また、単に四角形の透明プラスチックシートなどに平面視略四角形状の区画領域を設けた平面視略四角形状のシート材を貼り付けたり印刷した教材としても良い。
「ど」の構成音表示部3aが設けられた区画領域2aと「み」の構成音表示部3aが設けられた区画領域2aとは、きっちりとした段差として同一平面内で階段状に隣接して設けられている。同様に「み」と「そ」の関係についてもそれぞれの区画領域2aは同一平面内で階段状に隣接して設けられている。そして、例えば幼児を対象とする指導で基本の和音を歌って覚える練習などをする際に、区画領域2aがきっちりした段差形状であると視覚的に構成音内のそれぞれの音の配置を理解し易くなり、しかも視覚からの情報を通じてメリハリをつけて歌うようになるため、しっかりと音が記憶に定着し、鋭敏な絶対音感や超絶音感の基礎が身に付く。
3個の構成音表示部3aが設けられている区画領域2aのうち、隣接する2個の区画領域2a同士の間隔は、ピアノにおける当該構成音に対応する白鍵の幅Wwのp倍(pは正数)とされている。ピアノでは白鍵の幅は2.2cmなので、構成音「ど・み」の構成音表示部3aが設けられている区画領域2a同士の間隔は、ピアノにおける「ど・み」の白鍵の間隔と対応するようにp・2Ww(=4.4cm)とされている。なお、この寸法であれば指導する際にもちょうど良い大きさなので、1倍(p=1)の4.4cmとしてある。
同様に、構成音「み・そ」の構成音表示部3aが設けられている隣接する区画領域2a同士の間隔はp・2Ww(=4.4cm)とされている。「ど」から「そ」までの区画領域2aの間隔はp・4Ww(=8.8cm)となるが、この寸法であれば指導する際の教材1aとしてはちょうど良い大きさなので、1倍(p=1)で良いということになる。もちろん、少し大きめや少し小さめの教材とする場合にはp=1.3やp=0.8のように適宜設定すれば良い。
複数の教材1aを重ね合わせたときに区画領域2aが鍵盤楽器の白鍵に対応するように配置させる観点からは、教材1aの底辺から最も近い位置にある区画領域2aまでの距離「W+p・Ww」は、p・Ww≦(W+p・W)とすることが好ましく、長さLaは、後述するように、見易さ、持ち易さ、立て掛け易さ、差し込み易さ、吊り下げ易さなどの種々の観点から選択すれば良い。さらに「ど・み・そ」の区画領域2a同士の距離1は、各構成音の「ど」・「み」・「そ」の文字が視認し易いような距離に適宜選択すればよい。構成音表示部3aの各構成音「ど・み・そ」については、生徒の年齢などに応じて、ひらがな表示でもカタカナ表示でも良いし、色を付けても良い。また、図1(a)の右側に示すように、譜読み力を向上させる観点からは「ど」、「み」、「そ」についてそれぞれ別の独立した単音シートを併用することも好ましい。
シート材の材質としては特に制限はなく、紙、ユポ紙(登録商標)、プラスチック、木製、金属製、マグネットシートなどの種々の材料を使用することができるが、安全性、耐久性、加工性などの点からは紙、ユポ紙、プラスチック、マグネットシートなどが好適である。
本発明の教材はシート状であるため、例えばピアノの鍵盤付け根部分やピアノの譜面台に立てかけて使用することもできるので、視覚的に音の配置を理解し易くなり、単音シートなどと併用することにより譜読み力なども驚くほど向上し、音が記憶に定着する。
教材1aは、自立構造、転倒防止構造、吊下構造などとすることも好ましい。これらの構造としては特に制限はなく、例えば卓上カレンダーなどに見られる衝立部材による自立構造や転倒防止構造、シート材の下辺を差し込み可能とする構造や固定する構造とすることでも良い(図6参照)。このような構造によれば、生徒の親や先生が教材を指で指しながら指導できるので、視覚的により一層音の高さや配置や音程を認識し易くなり、音が記憶に定着する。
図1(b)に示す教材1bは、図1(a)の教材1aにさらに各音を五線譜に示した単音の図柄を設けたものであるが、和音の図柄でも良い。この教材1bでは、構成音表示部3bに表示された構成音に対する五線譜上の音符の位置が視覚的に理解できる。そして、階段状部分2bとして設けられた区画領域2bとの関係から一層音の高さや配置や音程を認識し易くなり、譜読み力なども驚くほど向上し、音が記憶に定着する。
図1(c)に示す教材1cは、構成音表示部3cに加え、各構成音の母音表示部3cvを設けてある。母音唱法で、幼児などを対象として例えば「ど」について母音で「おー」と歌って正確な音程を覚える場合にも、一定の長さで音程がブレないように音程一定表示線4を設けることによって、一層音を記憶に定着させることができる。さらに、この音程一定表示線4の近傍(図では上側)に歌う長さの目安として数字を表示することも好ましい。この数字を指で指しながら「おー、にー、さん、しー」とタイミングを執って母音を伸ばして一定の長さで音程がブレないように歌う指導をすると、一層音の高さや音程がしっかりと記憶に定着する。なお、図には理解しやすいように4分割線を示してあるが、実際の教材には4分割線は表示していない。これは、歌って覚える際に、途中で歌が途切れないようにするためである。また、母音唱法で歌ったときの、生徒自身が正しく歌えた時の口元の写真を表示させておくと、自宅で練習する際に本教材と照らし合わせながら歌っている自分の口元の状態を鏡で見ながら確認できるので好ましい。
図1(d)に示す教材1cは、図1(c)の教材1cの構成音「ど・み・そ」を「ど・ふぁ・ら」に代えた以外は、同様の構成としてある。すなわち、教材1cは、区画領域2c、構成音表示部3c、母音表示部3cv、音程一定表示線4及び生徒自身の口元の写真を表示させたシート材とされている。ここでは一例として黄色の色紙を切り取って区画領域2cを設けているが、単に四角形の白紙などに区画領域2cを黄色で描いたシート状の教材としても良いし黄色でなくても良い。
3個の構成音表示部3cが設けられている区画領域2cのうち、隣接する2個の区画領域2c同士の間隔は、ピアノにおける当該構成音に対応する白鍵の幅Wwのp倍(pは正数)とされている。ピアノでは白鍵の幅は2.2cmなので、構成音「ど・ふぁ」の構成音表示部3cが設けられている区画領域2c同士の間隔は、ピアノにおける「ど・ふぁ」の白鍵の間隔と対応するようにp・3Ww(=6.6cm)とされている。なお、この寸法であれば指導する際にちょうど良い大きさと考えられるので、1倍(p=1)の6.6cmとしてある。同様に構成音「ふぁ・ら」の構成音表示部3cが設けられている区画領域2c同士の間隔はp・2Ww(=4.4cm)とされている。そして「ど」から「ら」までの区画領域の間隔はp・5Ww(=11.0cm)となるが、この寸法であれば指導する際の教材1cとしてはちょうど良い大きさと考えられるので、1倍(p=1)で良いということになる。
ところで、「ど・れ・み・ふぁ・そ・ら・し」はイタリア語の音名であるが、ドイツ語の音名では「C(ツェー)・D(デー)・E(エー)・F(エフ)・G(ゲー)・A(アー)・H(ハー)」となり、これに「♯」がつくと「is」が付いて「Cis(ツィス)・Dis(ディス)・Eis(エイス)・Fis(フィス)・Gis(ギス)・Ais(アイス)・His(ヒス)」となり、「♭」がつくと「es」が付いて「Ces(ツェス)・Des(デス)・Es(エス)・Fes(フェス)・Ges(ゲス)・As(アス)・B(ベー)」となるので、歌い易くしたり認識し易くするために、これらの言葉を表示させても良い。なお、例えば「♯ど」に代えて「つぃす」とする場合に、子供でも簡単に歌えるように「ちす」とすることでも構わない。
図1(e)に示す教材1cは、2個の構成音「ど・ちす(♯ど)」とした教材である。すなわち教材1cは、区画領域2c、構成音表示部3c、母音表示部3cv、音程一定表示線4及び生徒自身の口元の写真を表示させたシート材とされている。一例として赤色の色紙を切り取って区画領域2cを設けているが、単に四角形の白紙などに区画領域2cを赤色で描いたシート状の教材としても良いし赤色でなくても良い。
また、母音唱法で「♯ど」を歌って覚える場合に、「♯ど」に代えて「つぃす」を構成音表示部3cに表示し、母音表示部3cvに「う」と表示することでも良い。なお、子供でも簡単に歌えるように、ここでは「ちす」と表示してある。そして、「うー、にー、さん、しー」とタイミングを執って母音を伸ばして一定の長さで音程がブレないように歌う指導をすると、一層、音が記憶に定着する。
なお、視覚的に音の高さや配置を覚え易いように、白鍵の幅(2.2cm)と黒鍵の幅(1.0cm)、白鍵「ど」と黒鍵「ちす(♯ど)」の音の高さの違いを考慮して、「ど」と「ちす(♯ど)」の構成音表示部3cが設けられている隣接する区画領域2c同士の間隔はp・Ww/2(=1.1cm)としてある。
上述したように、図1(a)〜(e)では構成音が3個又は2個の場合の教材1a〜1cとして示したが、構成音が4〜5個としても構わない。例えば、4音の「ど・み・そ・し」や「れ・ふぁ・ら・ど」のように、4個の区画領域が隣接して設けられたシート材を複数枚とした教材としても、視覚的に音の配置や音程を理解し易くなり、単音シートなどと併用すると譜読み力なども驚くほど向上し、しかも、しっかりと音が記憶に定着する。
5音の「ど・み・そ・ど・み」や「ら・ど・ふぁ・ら・ど」のように、5個の区画領域が隣接して設けられたシート材を複数枚とした教材の場合には、「ど・み」、「み・そ」、「ど・そ」のように複数種類の2音の和音や、「ど・み・そ」、「み・そ・ど」、「そ・ど・み」のように複数種類の3音の和音が1枚のシート材で習得できることになる。
図2は、3音の構成音の構成音表示部3aが設けられた平面視略四角形状の区画領域2aが隣接して設けられた平面視略四角形状の複数のシート材をずらして重ねた状態の教材1aを示している。この教材1aを構成するシート材は底辺の長さLaを全て同じ寸法にしていることにより、各構成音が異なっていても構成音表示部3aを有する区画領域2a同士の間隔が鍵盤楽器における当該構成音に対応する鍵盤の間隔と同じとされているので、視覚的に音の配置や音程を理解し易くなり、単音シートなどと併用すると譜読み力なども驚くほど向上し、音が記憶に定着する。
ここでは、一例として「ど・み・そ」、「れ・ふぃす・ら」、「ふぁ・ら・ど」などのシート材を色違いにしてあるが、各シート材に対して生徒が理解し易いイメージや語呂合わせで名前を付けたりしても良い。さらに、各シート材の裏面に生徒自身が理解し易い絵柄やキャラクターを設けても良い。
図3は、図2に示したシート材からなる教材1aを示しており、この教材1aの底辺の長さLaを全て同じ寸法にして重ね合わせた状態を示している。上述したように、重なり部分がなく横並び状態にしても、一部重ねて横並び状態にしても、視覚的に音の配置を理解することができるが、各シート材の底辺の長さを全て同じ寸法とし、これらの構成音表示部3aを有する区画領域2a同士の間隔を鍵盤楽器における当該構成音に対応する鍵盤の間隔と同じにすると、構成音表示部が設けられた区画領域は鍵盤楽器の鍵盤の配置に対応するように配置されるため、視覚的にも音階を理解し易くなり、音の配置の理解などにも驚くべき効果を発揮する。
なお、単に四角形の白紙などに区画領域を描いたシート状の教材を重ねた場合には、最前面に位置するシート材のみが視認されることになるが、これらをずらして横並びにすると当該区画領域が当該鍵盤楽器の鍵盤の配置に対応するように配置されていることが確認できるので、結果的に、シート材を複数枚重ね合わせたときに、当該区画領域が当該鍵盤楽器の鍵盤の配置に対応するように配置されているということになる。また、上述したような単に四角形の透明プラスチックシートなどに平面視略四角形状の区画領域を設けた平面視略四角形状のシート材を貼り付けたり印刷した教材とすると、重ね合わせても全てのシート材の区画領域が視覚的に認識できることになる。また、この教材1aにおいて各シート材の下辺や右辺にリング部材などを設けて、各シート材を回動可能に固定しても良い。
図4は、図3に示したシート材を全て重ね合わせた状態の教材1aをグランドピアノの白鍵に対応するように並べた写真である。これからも明確に分かるように、この教材1aにおいては、構成音表示部3aが設けられている区画領域2aは、白鍵の配置にも黒鍵の配置にも対応するように配置されているので、より一層視覚的にも音の配置や音の幅を理解し易くなる。
図5(a)は、上述の教材1aに鍵盤の図柄を設けた教材1dの写真である。白鍵柄5と黒鍵柄6は実際のピアノの鍵盤と略同寸法とされている。なお、一例として「ら・ど・ふぁ」の教材1dは黒色の色紙とし、「ら」は紫、「ど」は赤、「ふぁ」はオレンジ色の識別シール7が貼ってある。
図5(b)は、図5(a)に示した教材1dとは異なる方向で設けた教材1eの写真である。
図6は、他の実施形態の教材21aの写真である。この教材21aは、構成音表示部を有する平面視長方形状のシート8(赤の色紙)からなり、それぞれのシート8は独立した幅(図中縦方向)を有しており、止め部9によって固定され、全体として平面視略四角形状のシート材となっている。なお、止め部9としてはマグネットシートやリング部材などを使用しても良い。そして、上述した教材1aの場合と同様に、構成音表示部を有する区画領域同士の間隔は、鍵盤楽器における「ど・み・そ」に対応する白鍵の間隔2Ww・2Wwと略対応するようにされている。この教材21aもシート状なので、ピアノの鍵盤付け根部分やピアノの譜面台に立てかけることもでき、視覚的に音の配置や高低を理解し易くなる。
次に、本発明の音感の指導方法について説明する。
本発明の音感の指導方法は、上述した本発明の教材を使用して指導する音感の指導方法であって、
構成音の個数を2〜5個の範囲とし、当該構成音中に少なくとも基準音域における音を1個以上含む複数種類の和音について、当該複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップと、
当該ステップで当該異なる和音の響きを習得して判別できた後に、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ音程通りに歌うステップを有しており、
少なくとも当該音程通りに歌うステップにおいて、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ表示する構成音表示部が設けられた本発明の教材を使用する音感の指導方法である。
ここで「響きを習得して判別できた」とは、例えば幼児の場合、前日までずっと正答率が100%であったのに、その日の体調や気分などにより集中力がまちまちになることがあり正答率が低下することもあるが、この場合でも再度練習をして音が記憶に定着して、先生が正答率100%になったと判断できる状態になっていることを意味する。
なお、個人差もあるが、複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップを3歳前までに開始することが好ましく、当該異なる和音の構成音をそれぞれ音程通りに歌うステップにおいて本発明の教材を使用することにより、鋭敏な絶対音感及び超絶音感の基礎が身に付く。すなわち、隣接する区画領域同士の間隔が鍵盤楽器における構成音に対応する白鍵の間隔と略対応するようにされている教材を使用して、当該教材の構成音表示部を手指で指しながら歌うことにより、視覚的にも感覚的にも音の配置や音の高低や音程を理解することができ、しかも母音唱法などの練習も含めながらピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで練習するため、しっかりと音が記憶に定着する。
「上記複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップ」〜「判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ音程通りに歌うステップ」を6歳前までに習得できれば、突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感の基礎が身に付くばかりでなく、突然鳴った不協和音のような複雑な音でも判別できる超絶音感の基礎までもが身に付く。
さらに、上記複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップで判別できた上記異なる和音について、少なくとも上下1オクターブの音域展開をして、上記基準音域と当該音域展開された音域のいずれの音域においても、当該異なる和音の響きを判別するステップを有することが好ましい。
例えば、基準音域で「ド・ミ・ソ」(赤色カード)と「レ・ファ・ラ」(黄色カード)の和音をピアノで鳴らし、その響きを判別する正答率が100%になるまで練習して記憶に定着させ、次に、1オクターブ上の音域で「ド・ミ・ソ」の和音をピアノで弾いて、これが「赤色」なのか「黄色」なのかを答える練習をする。同様に「レ・ファ・ラ」の和音をピアノで弾いて、これが「黄色」なのか「赤色」なのかを答える練習をする。そして、この2つの異なる和音の響きを判別する正答率が100%になるまで練習して記憶に定着させる。次に、基準音域と1オクターブ上の音域で、ピアノで「ド・ミ・ソ」と「レ・ファ・ラ」の和音をランダムに弾いて、「ド・ミ・ソ」の和音は「赤色」、「レ・ファ・ラ」の和音は「黄色」と答えられる正答率を100%に定着させる。次に、この2つの異なる和音について、1オクターブ下の音域で上記と同様に響きを判別できるようにする。このとき、従来から行われている旗や色カードなどを使用して答えると、幼児の中には響きの習得練習の途中で集中力を欠いてしまうことが見受けられた。そこで、新たな方法として、容器を2つ用意しておき、一方の容器に赤色紙、黄色紙などを入れ、その和音に該当する色紙を他方の容器に入れて判別し、答えが間違ってしまった場合には、他方の容器に入れた色紙を一方の容器に戻して、最初からやり直すという方法を採用したところ、集中力の継続に対して非常に高い効果があることが分かった。
さらに、この2つの異なる和音について、基準音域と音域展開された音域で、ピアノでランダムに弾いて、「ド・ミ・ソ」の和音は「赤色」、「レ・ファ・ラ」の和音は「黄色」と答えられる正答率を100%になるまで練習して記憶に定着させる。この練習により、3音(3音以外の複数音でも良い。)で構成されたそれぞれの和音の響きを1つの塊として覚えることができる。同様にして、上下2オクターブ(できれば上下3オクターブも行う。)の音域展開をして、正答率が100%になったら他の和音を加え、同じ手順で正答率が100%になるまで練習を繰り返す。この練習方法により、聴覚を通じて各和音の響きがよりしっかりと記憶に定着し、絶対音感と超絶音感の能力が一層向上する。
これらのステップの他に、さらに、基準音域の13音「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの音階と半音階」を上行・下行・ランダムでピアノの音がなくても音程通りに歌えるまで練習するステップを有することが好ましい。
なお、「不協和音」については上述した「構成音の個数を2〜5個の範囲とし、当該構成音中に少なくとも基準音域における音を1個以上含む複数種類の和音」に含まれるが、以下の説明においては理解し易いように通常の「和音」と区別して説明することにする。そして、この「不協和音の響きを習得して判別するステップ」を有することにより、より一層超絶音感の能力が向上するので、特に好ましい。そして、上述した全てのステップを6歳前までに習得することで、突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感が身に付くばかりでなく、不協和音を含むような複雑な音でも判別できる超絶音感までもが身に付く。しかも、最終的にピアノ88鍵盤の全ての単音が判別できるようになる。
以下、本発明の音感の指導方法について、さらに詳細に説明する。
<ステップ1>
異なる和音の響きを習得して判別できるようにする。
1.図7の「超絶音感のひょう(基本の和音)」に示すように、ピアノにおける基準音域で、例えば、基本の和音(構成音は3音)を16通りとする。そして、「あ列1行目」の「ド・ミ・ソ」(赤色カード)の和音の響きと「あ列2行目」の「レ・ファ・ラ」(黄色カード)の和音の響きを聴覚によって覚える練習をする。ここでは、ピアノで「ド・ミ・ソ」の和音を弾き、それが何の和音か、例えば各和音の響きを表す色カードなどを使って習得し、「ド・ミ・ソ」が鳴ったら「赤色」のように色で答えたり、コードネーム(例えば、ドミソはC)で答える練習をする。ここで答えるときに使用する和音の響きを表す物は、単なる三角性や四角形や円形などの物でも構わないし、色がついていなくても良い。
なお、響きの習得練習の際に、旗やカードだと集中力が切れてしまう生徒に対しては、容器を2つ用意し、一方の容器に赤色紙、黄色紙(材質としては布やフェルトなどでもよい)などを入れ、その和音に該当する色紙を他方の容器に入れて判別し、答えが間違ってしまった場合には、他方の容器に入れた色紙を一方の容器に戻して、最初からやり直すという新たな練習方法を採用したところ、生徒自身が何回正解できたのかを色紙の量を見て自分の出来栄えを確認することができ、しかもゲーム感覚で楽しく練習をすることができることが分かった。しかも、一方の容器に入れた色紙の量が残り少なくなればなるほど集中力が増すという効果も奏することが判明した。したがって、生徒によっては、この新たな方法を取り入れながら練習することでもよい。
このようにして、聴覚を通じて和音の響きを記憶に定着できたら表に丸印などを書き込み、できない箇所があればその内容などを書き込んで、練習を繰り返す。この段階では和音の響きの違いのみを判別できれば良く、和音を構成する音を個別に判別できることまでは要しない。すなわち、「赤色」や「黄色」のように、異なる和音の響きの違いを色の違いなどで答えて判別できれば良い。
2.基準音域で、異なる和音の響きを習得して判別する正答率が100%に定着したら、これが本当に絶対音感的な聞き方で判別しているかどうかを確認することも含め、上下1オクターブ、上下2オクターブ、上下3オクターブのように音域展開をした先でも響きの判別をしていき、上述したように音域展開をした全ての音域でランダムに弾いても基準音域で習得した和音の響きを判別できるように練習をする。なお、この練習を行うことにより、より鋭敏な音感能力が身に付くことが、本発明者の指導検証により判明している。
これまでの指導検証データでは、基準音域での正答率が100%となって定着した後、1オクターブ上の音域練習で正答率が100%になると、2オクターブ上の音域は比較的早く正答率が100%になる子供が多かった。また、基準音域と1オクターブ上と2オクターブ上までの音域練習において正答率が100%になると、3オクターブ上の音域での初回判別においては90〜100%の正答率の子供が多かった。また、各音域における定着が曖昧だとミスをする傾向があることも分かった。したがって、和音の響きの判別の正答率が100%になり、尚且つ、定着させることが重要である。
低音域については、基準音域での正答率が100%となって定着した後、1オクターブ下の音域練習で正答率が100%になると、2オクターブ下の音域の正答率は上がることが分かっている。なお、2オクターブ下の音域は、2オクターブ上の音域よりも初回正答率の低い子供が多かったが、練習をすれば正答率が100%となった。
3オクターブ下の音域での響きの判別に関しては、他の音域のようにスムーズではなく完全に判別できるまでに時間のかかる子供が大半であったが、根気強く練習をすれば判別ができるようになった。
したがって、少なくとも上下1オクターブの音域で正答率が100%に定着したら、例えば「あ列3行目」の「シ・レ・ファ」を新しい和音として追加して練習することが好ましく、上下2オクターブの音域で正答率が100%に定着したら「シ・レ・ファ」を新しい和音として追加して練習することがより好ましく、上下3オクターブの音域で正答率が100%に定着したら「シ・レ・ファ」を新しい和音として追加して練習することが特に好ましい。
3.同様にして、「あ列1行目」〜「あ列16行目」のそれぞれの和音の響きを基準音域において全て習得して判別して定着させると共に、少なくとも上下1オクターブの音域で判別できるようにする。
なお、上述したように「あ列」の異なる和音の響きを基準音域で100%判別することができ尚且つ定着したら、これらの和音を音域展開し、基準音域を含むいずれの音域でランダムに弾いても響きを判別できるようになってから、それぞれの和音の構成音を歌って覚える<ステップ2>の練習に進んでも良い。また、「あ列」の全ての和音の響きを習得して判別して定着できたら、それぞれの和音の構成音を歌って覚える<ステップ2>の練習に進んだのち、これらの和音を音域展開して、基準音域を含むいずれの音域でランダムに弾いても響きを判別する練習をすることでも構わないし、指導する先生が生徒の能力や年齢や習得度に応じて指導するようにすれば良い。
また、生徒の年齢や習得したい内容(例えば、単音判別できる程度の絶対音感を習得したいと希望する生徒や、鋭敏な絶対音感を習得したいと希望する生徒や、きちんと超絶音感までしっかり身に付けたいと希望する生徒など)に応じて先生が適宜設定すれば良く、「あ列」について順番1〜7、9、10、13〜15の12通りとして和音の響きを判別することでも構わないし、1「ド・ミ・ソ」、6「ファ・ラ・ド」、7「ソ・シ・レ」、9「ラ・チス・ミ」、10「ベー・レ・ファ」、13「レ・フィス・ラ」、14「エス・ソ・ベー」、15「ミ・ギス・シ」について、例えば「ドミソ、ミソド、ソドミ」のように、その和音の転回形まで習得することでも構わない。
また、4和音について響きを判別する練習をしても良い。すなわち、この場合は、構成音が4個の複数種類の和音「ド・ミ・ソ・シ」、「レ・ファ・ラ・ド」などの響きを習得して判別するステップとなる。
<ステップ2>
<ステップ1>で響きを習得した一の和音をピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで練習する。
そして、響きを習得して判別する練習と、音程通りに歌う練習とを繰り返すことにより、鋭敏な絶対音感及び超絶音感の基礎が身に付くようになる。
1.図7の表中「い列1行目」で、「ド・ミ・ソ」を先生が生徒に歌うように指示したとき、生徒は上行系で「ドぉー、ミぃー、ソぉー」とピアノの音がなくても正確に音程通りに歌えるようになるまで自宅などで練習する。このとき、構成音表示部3aを有する区画領域2a同士の間隔が鍵盤楽器における当該構成音に対応する鍵盤の間隔と略対応するようにした本発明の教材を使用し、当該教材の構成音表示部を手指で指しながら歌ったり、ピアノで弾きながら歌うことにより、視覚的にも感覚的にも音の高さや配置や音程が脳に記憶され、聴覚だけを頼りに音を正確に歌う練習をする場合よりも、短期間でよりしっかりと音が記憶に定着する。しかも単音シートなどと併用すると譜読みの向上などにも驚くべき効果を発揮する。特に表中「え列」の単音ランダムで歌う練習の際に優れた効果を発揮し、音が記憶に定着する。
ところで幼児の場合、音程や音の高低が理解できない子供が大半なので、手で音の高低を表す「ハンドサイン」で練習することがある。例えば「ド」はお腹位置に手を置いて「ドぉー」と歌い、「ファ」は鼻位置に手を置いて「フぁー」と歌い、「ラ」は頭より上に手を置いて「ラぁー」と歌うように練習することがある。しかし、これで音の高低が理解できたとしても、手を上下させる動作で体の姿勢やあごの位置が崩れ易くなったり、高い音になると背伸びをしてしまい、歌う声が安定しない場合がある。
ところが、本発明の教材を使用して歌の指導をすることにより安定して歌うことができ、歌っている音について視覚的にも感覚的にも音の高低や配置や音程を理解し易くなり、しかも、単音シートなどと併用すると譜読み力も向上してしっかりと音が記憶に定着する。さらに、区画領域については、きっちりした段差として階段状部分として設けることにより、基本の和音を歌って覚える際にも視覚からの情報を通じてメリハリをつけて歌うようになり、鋭敏な絶対音感及び超絶音感の基礎が身に付くようになる。
特に、歌う練習では、図1(c)に示すように「ドぉー、ミぃー、ソぉー」の母音を表示した教材1cを使用して、母音「おー、いー、おー」を「ド・ミ・ソ」の音程通りに歌うようにすることが好ましい。一例として図8に母音唱法の表を示す。なお、♯や♭の付く音で母音唱法を練習する場合には、上述したようなドイツ語の音名で表示すると歌い易く覚え易いため、例えば順番10の「レ・フィス・ラ」は「レぇー、フィスぅー、ラぁー」となるので、母音唱法では「えー、うー、あー」としてある。
図1(c)〜(e)の教材1cでは「ド・ミ・ソ」の各構成音の母音「おー」・「いー」・「おー」を母音表示部3cvに表示すると共に歌う際にまっすぐな音程で歌えるように音程一定表示線4を表示し、しかも、母音の発声時の生徒が正しく歌えた時の口元の写真も併せて表示していることから、生徒自身が手鏡などを使って発声状態を視覚的に確認して修正することができる。この歌う練習のとき、延びている音(声)を長く出し、かつ、ブレないように歌うことが大切である。安定した歌声を出す方法としては、例えば、口の開け方を意識しながら母音が音程からズレないように練習したり、腹式呼吸を意識して練習することも好ましい。なお、上述した練習により音程感覚が安定し、定着したら、短く歌って練習することでも構わない。
このようにして、「い列」について構成音を上行系でピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで練習して習得する。なお、本発明の教材を使用することにより、歌っている音について視覚的にも音と音の幅や音の配置を理解し易くなり、一層記憶に定着する。
2.図7「う列1行目」で、「ソ・ミ・ド」を先生が生徒に歌うように指示したとき、上行系と同様に本発明の教材を使用して、生徒はこれを下行系で「ソぉー、ミぃー、ドぉー」とピアノの音がなくても正確に音程通りに歌えるようになるまで自宅などで練習する。これは上述の1.の場合と同様に、母音唱法で練習すると効果的である。なお、ここまでの練習を積んできていると音感判別力の習得度が高まっているので、「い列1行目」ができたら「う列1行目」に進むことでも構わない。このようにして、本発明の教材を使用することにより、歌っている音について視覚的にも音と音の幅や音の配置を理解し易くなり、一層記憶に定着する。
3.図7「え列1行目」で、「ド・ミ・ソ」の基本の和音のうち、先生が構成音の中の単音をランダムに指定したときに、生徒はこれをピアノの音がなくても音程通りに歌って答えられるようになるまで自宅などで練習する。ここで、和音の単音化の基礎も身に付くことになる。なお、ここまでの練習を積んできていると音感判別力の習得度が高まっているので、「い列1行目」と「う列1行目」ができたら「え列1行目」に進むことでも構わない。そして、本発明の教材を使用することにより、歌っている音について「聴覚」と「視覚」と「感覚」を融合しながら覚え、尚且つ、単音シートの併用などにより譜読み力なども驚くほど向上し、短期間で鋭敏な絶対音感及び超絶音感の基礎が身に付く。
4.図7「お列1行目」で、「ド・ミ・ソ」の和音のうち、その和音構成音の単音をピアノでランダムに弾いたとき、「お列」に至るまでの練習の成果が顕著となっていることから、生徒は簡単かつ正確にその単音を答えられるようになり、「お列」を短期間で終了することができる。このようにして、和音の単音化を習得できるようになる。
5.図7「か列1行目」で、「ド・ミ・ソ」の和音のうち、「ド・ミ」、「ミ・ソ」、「ド・ソ」のように2音をピアノで鳴らしたとき、上述した理由と同様に、生徒は比較的簡単にその2音を答えらえるようになり、「か列」を短期間で終了することができる。
なお、「あ列」について基準音域で異なる和音の響きを習得して判別できたらこれらの和音を音域展開して、いずれの音域でランダムに弾いても響きを判別できるようになってから、それぞれの和音の構成音を歌って覚える練習に進んでも良いし、「あ列」について基準音域で異なる和音の響きを習得して判別できたらこれらの和音の構成音を歌って覚える練習をし、次にこれらの和音の音域展開をして、いずれの音域でランダムに弾いても響きを判別できる練習に進んでも良く、生徒の年齢や習得度を見極めて適宜指導すれば良い。
<ステップ3>
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の上行・下行と半音階をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習し定着させる。
1.ピアノの基準音域で、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の音をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
2.同様にして「ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」とピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
3.同様にして「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の単音をランダムに指定して、その単音をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
4.次に半音階の「ド・チス・レ・エス・ミ・ファ・フィス・ソ・ギス・ラ・ベー・シ・ド」の音をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
5.同様にして下行系「ド・シ・ベー・ラ・ギス・ソ・フィス・ファ・ミ・エス・レ・チス・ド」とピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
6.同様にして半音階の単音をランダムに指定して、その単音をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようになるまで練習をする。
この練習では、図9(a)に示す本発明の他の実施形態である教材31aのシートを図9(b)に示すような状態にして使用することができる。すなわち、教材31aは、複数の平面視略四角形状のシート材からなっており、このシート材の少なくとも1辺には2個の平面視略四角形状の区画領域32aが面一で隣接して設けられている。そして、この区画領域32aには少なくとも鍵盤楽器の白鍵に対応する音を表示する構成音表示部33aが設けられており、これらのシート材を複数枚重ね合わせたときに、図9(b)に示すように、区画領域32aが鍵盤楽器の白鍵の配置に対応するように配置されるようになっている。なお、この教材31aには、黒鍵領域34aも隣接して設けられている。
図9(a)、(b)に示す教材31aは、ピアノの白鍵と黒鍵を鍵盤手前側から見た状態を縦方向として視認されるようになっている。そして、白鍵の「ど」と「れ」に対応する構成音表示部33aを有する区画領域32aの幅p・Wwと高さp・Hw(pは正数)は、白鍵を鍵盤手前側から見た状態を縦方向として視認されるようにすると共に略相似形となるようにされている。したがって、この教材によって白鍵と黒鍵の音の高さや位置が視覚的に理解することができる。
ここで、ピアノの白鍵の幅Ww=2.2cm、高さHw=2.2cmなので、p=1.0とすると、例えば「ど」と「れ」の2音1組のシート材は、幅p・2Ww=4.4cm、高さp・Hw=2.2cmとなるが、これでは少し小さいので、見易くするためにp=2.0としても構わない。この場合は「ど」と「れ」の2音1組のシート材の幅は8.8cm、高さは4.4cmとなる。
こうして13音「ド・チス・レ・エス・ミ・ファ・フィス・ソ・ギス・ラ・ベー・シ・ド」をピアノの音がなくても、上行・下行・ランダムのいずれもが瞬時に音程通りに正確に歌えるようになるまで練習し、尚且つ、実際の音と実際の鍵盤位置の結び付けを行うことにより、後述の<ステップ5>の不協和音の習得に必要な基礎が作られるようになる。なお、図9(a)、(b)に示したシート材の反対側の面には、図9(c)、(d)となるように構成音表示部を設けることも好ましく、この教材を使用することにより、幼児でも音と鍵盤の配置関係や実際の鍵盤上での音の進む方向を視覚的に認識できるようになる。
通常、黒鍵が練習項目に入ってくると幼児にとっては苦手意識が芽生えてくるが、この教材31aでは、黒鍵については、白鍵と異なり、黒鍵を鍵盤手前側から見たような状態であるものの相似形とはなっておらず、構成音表示部34aに構成音の文字(例えば、ちす(♯ど))が分かり易く表示できるような寸法としている。そのため、実際の鍵盤の配置と同じく、「ど」と「れ」の間に黒鍵が配置されていることが視覚的に理解でき、歌ったときの実際の音程関係とその配置とが一致するため、その黒鍵の音「ちす」は、「ど」と「れ」の間の音の高さであることが極めて容易に理解できる。
なお、ピアノの黒鍵の幅Wb=1.0cm、白鍵からの高さHb=1.3cmであるところ、例えば、上述したp=4.0の場合にq=4.0、r=3.4として、黒鍵領域34aの幅はq・Wb≒p・Ww/2(≒4.0cm)、高さはr・Hb≒p・Hw/2(≒4.4cm)となる。
この黒鍵領域34aに「ちす、えす、ふぃす、ぎす、べー」などの音を表示させると、幼児でも実際の鍵盤の配置と音の高さが視覚的に容易に把握することができる。この練習で使用する教材31aは、幼児とって本当のピアノの鍵盤のように見えて、楽しく練習をすることができる。また、図10に示すように、ピアノ鍵盤の平面視略相似形とした教材41aを使用することもできる。
<ステップ4>
上記各ステップで音域展開をして練習をする。
1.基本的には上下1オクターブの音域、上下2オクターブの音域というように音域展開して練習するが、上下3オクターブの音域の練習などについては、生徒の年齢や習得度を見極めて適宜指導すれば良い。なお、<ステップ1>の後、又は<ステップ1>の後<ステップ2>の前に、<ステップ1>で響きの違いを判別できた異なる和音の音域展開に関しては、上述した通りである。
<ステップ5>
不協和音の響きを習得して判別できるように練習する。
1.図11の「超絶音感のひょう(不協和音)」に示すように、ピアノの基準音域の音で、例えば27種類の不協和音として、表に示すシートの順番で「不協和音1行目」の「ド・レ」の響きを習得する練習をする。このとき、図9に示した本発明の教材を使用する。例えばピアノで「ド・レ」の不協2音を弾き、それが何の音か、例えば、生徒が「ど・ちす・れ」のシートを使って、「ど」と「れ」が鳴ったとき、「ど」と「れ」を指で指しながら答える練習をし、響きの習得と同時に鍵盤上の音の配置も習得する。
なお、上述したように図9(a)、(b)に示すシート材の反対側の面(裏面)には、図9(c)、(d)となるように構成音表示部が設けられており、音の響きと実際の鍵盤の配置が理解し易くなっている。図9(c)は「ど・ちす・れ」のシート、「れ・えす・み」のシート、「み・ふぁ」のシートというようにグループ分けされており、「ど・ちす・れ」の中の各不協2音の響きを覚える際には「ど・ちす・れ」のシートを使って上述した指導方法で響きを習得し、その後、音域展開を行う。「ど・ちす・れ」の中の各不協2音の響きの判別が100%になり尚且つ定着したら、次に、「れ・えす・み」のシートを使って同様の手順で響きを習得する。また、「ど・ちす・れ」と「れ・えす・み」の中の「ちす・えす」の響きを習得する際には、図9(d)のように、これら2枚のシートを重ね合わせて習得する。
2.同様にしてそれぞれの不協和音の響きを習得して判別できるようにするが、先行して<ステップ1>〜<ステップ4>までを習得していれば、不協和音の場合には図11の表の「あ列」と「い列」だけを習得すれば良く、しかも鳴った不協和音の響きを答えるときに歌うようにして、その後、音域展開をすれば良い。なお、上下3オクターブの練習などについては、生徒の年齢や習得度を見極めて適宜指導すれば良い。
3.こうして、図11の「超絶音感のひょう(不協和音)」を全て終了する。
上述したように<ステップ1>(異なる和音の響きを習得して判別する。)と<ステップ2>(響きを習得した一の和音をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようにする。)については鋭敏な絶対音感及び超絶音感を身に付けるためには必須であるが、さらに<ステップ3>(「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の上行・下行と、半音階をピアノの音がなくても音程通りに正確に歌えるようにする。)と、<ステップ4>(各ステップで音域展開をする。)と、<ステップ5>(不協和音同士の響きを習得して判別する。)を加えることにより、鋭敏な絶対音感と超絶音感が身に付くようになる。
なお、各ステップの順番や各行・各列の順番・項目については、生徒の年齢や習得したい内容(例えば、単音判別できる程度の絶対音感を習得したいと希望する生徒や、鋭敏な絶対音感を習得したいと希望する生徒や、きちんと超絶音感までしっかり身に付けたいと希望する生徒など)に応じて、超絶音感の指導資格のある先生が適宜設定すれば良い。
幼児の生徒20人(A)を対象に、図7「あ列」の16和音中の1、6、7、9、10、13、14、15の番号の和音の響きを転回形(例えば、「ドミソ、ミソド、ソドミ」)までも含めた24和音を、各和音の響きを表す色カードなどで習得して判別し、和音構成音と音名の結び付けを行い、本発明の教材を使用して和音構成音を音名でピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで練習をし、和音の単音化「お列」を行った後(響き〜音名結び付け〜歌う〜単音化「お列」)、基準音域で単音80問の判別テストを行った。
(比較例1)
幼児の生徒20人(B)を対象に、図7「あ列」の16和音中の1、6、7、9、10、13、14、15の番号の和音の響きを転回形までも含めた24和音を、各和音の響きを表す色カードなどで習得して判別し、和音構成音と音名の結び付けを行い、本発明の教材を使用しないで、和音構成音を音程通りに歌うことを指導せずに、和音の単音化「お列」を行った後(響き〜音名結び付け〜歌わない〜単音化「お列」)、基準音域で単音80問の判別テストを行った。
これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の教材を使用して和音構成音を音名でピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで習得することにより、「聴覚」+「視覚」+「感覚」+「歌う」を融合させて脳に満遍なくより厳密に響きや音がインプットされるため、全体の正答率の平均値が極めて高くなり、標準偏差が非常に小さくなることが分かる。しかし、本発明の教材を使用して歌う練習をしない場合には、単音の響きと音名との関係が確実なものとなっていなかったり、例えば「ふぁ」や「♯ふぁ」、「そ」や「♯そ」のような半音の響きの習得が曖昧である生徒が目立ち、こうしたことから判別能力に差が生じてしまい標準偏差の数値が大きくなる。
幼児の生徒20人(C)を対象に、図7「あ列」の1行目「ド・ミ・ソ」の和音の響きとその構成音の単音の響きを同時に覚えていく。和音の響きを覚えるときには、その響きを表すカードなどを使用してコードネームやカード名などで答え、単音の響きを覚える時には、単音の響きの習得と同時に、本発明の教材を使用してピアノの音がなくてもその単音を音程通りに歌えるようになるまで練習をして音程通り歌って答えられるようにする。これができたら、同様にして、次に2行目の「レ・ファ・ラ」の和音と、その中の単音の響きを覚えていく。そして、「ド・ミ・ソ」と「レ・ファ・ラ」の和音の響きと各単音の響きを判別できるようにする。このようにして、図7の16和音の響きと構成音の単音の響きを習得していく。その後、全ての和音に対して「お列」の和音の単音化を行った後、基準音域で単音80問の判別テストを行った。
(比較例2)
幼児の生徒20人(D)を対象に、図7「あ列」の1行目「ド・ミ・ソ」の和音の響きとその構成音の単音の響きを同時に覚えていき、答えるときには音程通りに歌うことを指示せずに、対象の響きを表すカード(「ドミソ」のカードや「ド」、「ミ」、「ソ」などの単音カード)などを使用し、和音はコードネームやカード名などで答え、単音ならば音名で答える。これができたら、同様にして、次に2行目の「レ・ファ・ラ」の和音と、その中の単音の響きを覚えていく。そして、「ド・ミ・ソ」と「レ・ファ・ラ」の和音の響きと各単音の響きを習得して判別できるようにする。このようにして、図7の16和音の響きと構成音の単音の響きを習得していく。その後、全ての和音に対して「お列」の和音の単音化を行った後、基準音域で単音80問の判別テストを行った。これらの結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明の教材を使用して和音構成音を音名でピアノの音がなくても音程通りに歌えるようになるまで習得することにより、「聴覚」+「視覚」+「感覚」+「歌う」を融合させて脳に満遍なくより厳密に響きや音がインプットされるため、全体の正答率の平均値が極めて高くなり、標準偏差が非常に小さくなることが分かる。
(実施例3)及び(比較例3)
本発明の教材を使用して、本発明の指導内容「超絶音感のひょう(図7)(1、6、7番の和音の転回形も含む)」+「音域展開」+「音階・半音階歌う」+「不協和音のひょう(図11)」を指導して習得した幼児の生徒50人(E)と、本発明の教材を使用しないで、音程通りに歌うことも指示せず、「図7「あ列」の和音の響きの習得(1、6、7番の和音の転回形も含む)」+「図7「お列」の和音の単音化」+「音域展開」のみ指導して習得した幼児の生徒50人(F)を対象に実施した判別テストの正答率の平均値と標準偏差の結果を表3に示す。ただし、判別テストの正答率は、単音判別240音と複数音判別(2音以上判別)160種類で、これらが全問正解の場合を100%としてある。
表3に示すように、単音240問の判別テストでも複数音160種類の判別テストでも、本発明の指導方法により、「聴覚」+「視覚」+「感覚」+「歌う」を融合させて脳に満遍なくより厳密に響きや音がインプットされるため、正答率の平均値が高くなり、標準偏差が極めて小さくなることが分かる。
また、絶対音感に対して個人個人の認識や判別能力に大変大きな差が生じているという問題や、さらには、絶対音感のレッスンを修了しても単音しか分からない絶対音感の保持者から複雑な和音まで分かる絶対音感の保持者までいるといった大きなバラツキの問題も、本発明の指導方法により大幅に改善されることがわかる。しかも、表3の結果に示すように、本発明の指導方法により、超越した音感を高確率で習得できることがわかる。
本発明の教材を使用しない場合は、主に「聴覚」+「視覚(鳴った響きを答えるカード)だけで音の響きを覚えていくため、上述したように、各単音の響きが確実に記憶に定着するまでに時間がかかるが、本発明の教材を使用して本発明の指導を行うことにより、「ふぁ」や「♯ふぁ」、「そ」や「♯そ」のような半音の響きの習得が曖昧となることも生じにくく、同じ時間の練習量でも短期間でより厳密に記憶に定着させることができ、絶対音感判別テストでは、より若い年齢で習得できることになり、早くから不協和音の習得ができるようになる。
例えば、一般的に知られている絶対音感レッスンでは、1つの和音の響きを記憶に定着させるために3週間〜1ヶ月程度かけて覚えるようにしているが、本発明の指導方法によれば、1つの和音の響きを上記期間よりも短期間で、且つ満遍なく厳密に記憶に定着させることが可能である。また、練習して記憶した音の響きが、歌わない場合に比べ、より長い時間記憶に残ることも判明した。
また、より高度な複数音の判別ができるようにする練習として、不協2音の響きを覚えることが必要とされるが、その際に非常に重要となるのが本発明の教材の有無であり、不協2音のようなぶつかった音の響きを習得する際は、本発明の教材を使用しない場合は使用した場合に比べて約3〜4倍の時間がかかってしまっていた。このような状況から、音の高低や配置が分かるような視覚教材を使って「聴覚」+「視覚」+「感覚」+「歌う」を融合させて響きを習得することの重要性を見出し、超絶音感の指導方法の原点ともいうべき本発明の指導方法の「聴覚」+「視覚」+「感覚」+「歌う」が生まれ、早期習得と音を長く記憶に定着させることができたものである。
このように、超絶音感の指導資格のある先生が本発明の教材を使用して適切に指導して、生徒が<ステップ1>〜<ステップ5>を習得することにより、突然鳴った単音や和音の構成音までもが判別できる鋭敏な絶対音感が身に付くばかりでなく、不協和音のような複雑な音でも判別できる超絶音感までもが身に付く。しかも、最終的にピアノ88鍵盤の全ての単音が判別できるようになる。なお、本発明による教材を使用しない場合でも本発明の指導方法により超絶音感をおおよそ習得できるが、教材を使用すると習得するまでの期間が驚くほど短縮できるので、6歳までに習得することが可能である。
1a、1b、1c、1d、1e、21a、31a、41a‥‥教材
2a、2b、2c、32a、42a‥‥区画領域
3a、3b、3c、3d、3e、33a、43a‥‥構成音表示部
3cv‥‥母音表示部 4‥‥音程一定表示線 5‥‥白鍵柄 6‥‥黒鍵柄
7‥‥識別シール 8‥‥シート 9‥‥止め部

Claims (3)

  1. 音感の教材であって、
    当該教材は複数の平面視略四角形状のシート材からなり、
    少なくとも一の当該シート材の少なくとも1辺には、2〜5個の平面視略四角形状の区画領域が同一平面内で段差状に隣接して設けられており、
    当該区画領域には鍵盤楽器の白鍵及び黒鍵のそれぞれに対応する音を表示する構成音表示部が設けられており、
    当該シート材を複数枚重ね合わせたときに、少なくとも当該区画領域が当該鍵盤楽器の白鍵の配置に対応するように配置されることを特徴とする音感の教材。
  2. 請求項1に記載の教材を使用して指導する音感の指導方法であって、
    構成音の個数を2〜5個の範囲とし、当該構成音中に少なくとも基準音域における音を1個以上含む複数種類の和音について、当該複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップと、
    当該ステップで当該異なる和音の響きを習得して判別できた後に、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ音程通りに歌うステップを有しており、
    少なくとも当該音程通りに歌うステップにおいて、判別できた当該異なる和音の構成音をそれぞれ表示する構成音表示部が設けられた当該教材を使用することを特徴とする音感の指導方法。
  3. 前記複数種類の異なる和音の響きを習得して判別するステップで判別できた前記異なる和音について、少なくとも上下1オクターブの音域展開をして、前記基準音域と当該音域展開された音域のいずれの音域においても、当該異なる和音の響きを判別するステップを有する請求項2に記載の音感の指導方法。
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