JP6667810B2 - 触覚提示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、装着したユーザーの指などの皮膚に触覚を提示する触覚提示装置に関する。
近年、バーチャルリアリティ技術の進展により、ディスプレイ上に表示された映像を見ているユーザーに、その映像で提示された空間を現実のように知覚させることが行われている。例えば、映像として表示された物体に、ユーザーが触れるような手の動きを行ったとき、指に対して刺激を行う装置が、表示物体に触れた場合とほぼ同様な触感を与えることで、画面上に表示された物体が実在しているとユーザーに知覚させることができる。
従来、このような刺激を指などに行う装置は種々提案されており、例えば指先全体に振動を与えるもの、多数のピンをマトリクス状に配置して、各ピンを駆動して刺激を与えるもの、静電気力などにより皮膚せん断変形を与えるもの等が知られている。
例えば特許文献1には、振動による触感の刺激を皮膚に提示する触感提示装置の一例についての記載がある。
特開2003−308152号公報
ところで、指先などの皮膚で得る感覚は、皮膚内の4つの受容器で得ることが知られている。すなわち、指先などの皮膚内には、メルケル細胞、マイスナー小体、パチニ小体、ルフィニ終末と称される4つの受容器がある。メルケル細胞は、皮膚が押された感覚(圧覚)に反応する受容器であり、マイスナー小体は皮膚に伝わる低周波の振動(低周波振動覚)に反応する受容器である。また、パチニ小体は皮膚に伝わる高周波の振動(高周波振動覚)に反応する受容器であり、ルフィニ終末は、皮膚を大きく変形させるような力(皮膚せん断変形覚)に反応する受容器である。人は、これらの4つの受容器で得た感覚を合わせることによって、指先で物体に触れたり、物を掴むような感覚を得ているということである。
しかしながら、従来から提案されている触覚などの提示装置は、上記4つの受容器すべてで感覚を得るようなものはなく、表現しうる触覚の種類が限定されていた。このため、実際の物体に触れた場合を再現するリアリティのある触覚を提示することは難しいという問題があった。
例えば、特許文献1に記載されているように、振動部材を配置して触覚を提示する場合には、振動に反応するマイスナー小体又はパチニ小体を利用して触覚を提示することになり、他の受容器(メルケル細胞、ルフィニ終末)はほとんど刺激されない。これでは実際に物体に触れた場合の感覚とは異なった感覚を指に与えてしまうことになり、リアリティが得られない。例えば、指でグラスを掴むような映像に合わせて、指先を短時間振動させると、その振動による感覚に惑わされて人はグラスを掴んだという感覚を得るのであるが、これ自体リアリティのある触覚の提示がされたとはいいがたいものであった。
したがって、実際に指が物体に触れた場合に近い、よりリアリティのある触覚を提示するためには、上述した4つの受容器全てを、実際に指を動かした場合と同じように刺激する必要がある。しかし、従来から提案されている触覚提示装置では、4つの受容器全てを適切に刺激できるものは存在しなかった。
本発明は、リアリティのある触覚をユーザーに提示できる触覚提示装置を提供することを目的とする。
本発明の触覚提示装置は、ユーザーの所定箇所の皮膚と接した状態で装着される装着部と、装着部に取り付けられ所定箇所の皮膚に接触する電極部と、電極部の皮膚との接触位置をシフトさせるシフト部材と、電極部及びシフト部材を制御する制御部とを備える。
制御部は、電極部に印加するパルス電圧により、所定箇所の皮膚に、特定の空間解像度の圧覚および特定の周波数の振動感覚を提示し、内の第1の受容器を刺激し、シフト部材による電極部の皮膚との接触位置のシフトにより、所定箇所の皮膚に、特定の空間解像度よりも低い空間解像度の皮膚ずれ感覚および特定の周波数よりも高周波の振動感覚を提示する。
本発明によると、電極部を使ってパルス電圧を皮膚に印加することによる刺激と、シフト部材により皮膚と接触した電極部そのものをシフトさせる刺激とを組み合わせることで、種々の受容器を適切に刺激できるようになり、リアリティのある刺激を提示できるようになる。
本発明の一実施の形態例による触覚提示装置の例を示す斜視図である。 図1のA方向から見た正面図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置を指に装着した例を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置の電極部の構成例を示す平面図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置の内部構成例を示すブロック図である。 皮膚中の受容器の例を示す説明図である。 各受容器の空間分解能と周波数分解能の分布範囲の例を示す特性図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置の各モードでの刺激状態を示す説明図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置が物体表面を滑らせる動作に対応した感覚を提示する例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態例による触覚提示装置が斜め方向から受ける力覚を示す説明図である。 本発明の一実施の形態例による物体衝突時の刺激提示状況の例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施の形態例を、添付図面を参照して説明する。
[1.装置の構成]
図1は、本発明の一実施の形態例による触覚提示装置100の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1の触覚提示装置100を、矢印Aの方向から見た正面図である。また、図3は、図1に示す触覚提示装置100に指fを装着した状態を示す斜視図である。
なお、図2の正面図において、水平方向(左右方向)をx軸として示し、垂直方向(上下方向)をy軸として示す。図1及び図3において示すx軸及びy軸も図2と同じものである。
触覚提示装置100は、ユーザーの指fの先端が装着される装着部110を備える。装着部110の左側面111と右側面112との間の空間には、図3に示すように指fの先端が挿入される。
装着部110の上部には、連結部113を介してモーター保持部114が接続され、モーター保持部114に、円筒形状のモーター120が保持されている。ここで使用されるモーター120は、直流モーターであり、この回転軸121は、装着部110に装着される指fの長手方向とほぼ平行に配置されている。
また、モーター120の回転軸121には、電極部140を保持する電極保持部130が接続されている。すなわち、電極保持部130は、回転軸連結部131を介してモーター120の回転軸121に接続されており、モーター120の回転により、指fの先端が装着される装着部110に対して回転可能になっている。但し、本例の場合には、電極部140の回転は、微少な角度(数°程度)の回転、つまり振動やわずかな動きを与えるための回転のみに制限される。
電極保持部130は、電極配置部132を備え、電極配置部132に電極部140が配置されている。電極部140には、図2に示すように、多数の電極素子141−1〜141−20と接地電極142とが設けられている。そして、図3に示すように、装着部110に装着したユーザーの指の腹f(指の爪fとは反対側)が、電極部140内の各電極素子141−1〜141−20及び接地電極142と接触するようになっている。
指の腹fと電極部140とが接触する位置は、モーター120の回転により、水平方向(x方向)にシフトする。
また、電極保持部130の電極部140の裏面側には、回路配置部150が取り付けられている。なお、回路配置部150の構成については、図5で詳述するが、図1に示す回路配置部150の配置位置は一例であり、その他の位置に取り付けてもよい。例えば、回路配置部150は、装着部110の連結部113に取り付けるようにしてもよい。また、触覚提示装置100本体には回路配置部150を設けないで、モーター120や電極部140に接続される不図示のケーブルを、触覚提示装置100から外部の装置に引き出し、外部の装置側に回路配置部150のような回路部品を配置するようにしてもよい。
図4は、電極部140の電極素子141−1〜141−20と接地電極142の配置例を示す。
ここでは電極部140は、20個の電極素子141−1〜141−20を備え、水平方向に4個、垂直方向に5個のマトリクス状に配置されている。ここで、各電極素子141−1〜141−20は、例えば直径1.4mmの円形形状であり、水平方向及び垂直方向に2.0mm間隔で配置される。
接地電極142は、マトリクス状に配置された電極素子141−1〜141−20の周囲を囲むように配置される。なお、接地電極142は、基本的には接地電位であるが、使用状態によっては、接地電極142に接地電位とは異なる刺激用の電位を与える場合もある。
[2.装置の内部構成]
図5は、触覚提示装置100の回路配置部150を構成する回路の例を示している。
触覚提示装置100は、通信ポート151を備え、指に与える力などの指令を外部から受信する。通信ポート151が受信した指令は、インターフェース部152で受信処理されて、制御部153に伝えられる。なお、インターフェース部152としては、無線信号用の受信部としてもよい。
制御部153は、受信した指令に基づいて、指fに与える力の方向や振動状況を判断し、モーター120を駆動して指に刺激を与える処理を行うとともに、電極部140にパルス電圧を印加して、指に刺激を与える処理とを実行する。また、触覚提示装置100は、この装置に加わる3軸方向の動きを検出するモーションセンサー154を備え、このモーションセンサー154によって、触覚提示装置100を装着した指fの動きが検出される。
そして、モーションセンサー154が検出した動きのデータについても考慮して、制御部153は、力又は振動を加えるように電極駆動部160に指示する。但し、モーションセンサー154の検出データは考慮しなくてもよい。
なお、このモーションセンサー154は省略してもよい。その場合には、制御部153は、外部から受信した指令のみにより、電極駆動部160を経由して電極部140を制御する処理を行うことになる。
モーター120の駆動により指に刺激を与える処理と、電極部140へのパルス電圧の印加により指に刺激を与える処理との組み合わせ状況の詳細については後述する。
モーター120を駆動させる駆動データは、制御部153からデジタル/アナログ変換器155に供給される。デジタル/アナログ変換器155は、駆動データをアナログ電圧信号に変換して、モーター駆動部156に供給する。そして、モーター駆動部156は、このアナログ電圧(モーター駆動電圧)をモーター120に供給する。ここでモーター駆動部156によるモーター120の駆動電圧の印加は、モーター120の回転軸121が比較的小さな角度だけ回転するように、比較的短時間だけ行われる。
また、モーター駆動部156からモーター120に印加する駆動電圧(直流電圧)の極性を短時間で変化させて、モーター120を微少な角度で双方向に交互に回転させて、電極部140を左右に振動させるようにしてもよい。
また、上述したように、制御部153は、電極駆動部160に対して電極部140内の各電極素子141−1〜141−20に刺激用のパルス電圧を与える指示を行う。この刺激用のパルス電圧は、電源装置161から供給されるパルス電圧から生成されるものであり、例えば300Vのような比較的高い電圧であって、しかも、5mA程度の非常に低い電流のパルスである。なお、この刺激用のパルス電圧の印加時間幅は、20μs〜200μs程度の非常に短い時間とされる。
また、制御部153は、電極駆動部160から電極素子141−1〜141−20にパルス電圧を供給する場合に、パルス電圧の極性を切り替えて陽極刺激と陰極刺激を交互に行うようにすることもできる。
電極駆動部160が電極素子141−1〜141−20にパルス電圧を印加する際には、例えば、20個の電極素子141−1〜141−20に順番にパルス電圧が供給される。例えば、パルス幅が約100μsであれば、20個の電極素子141−1〜141−20全てにパルス電圧を印加する処理が、約2ms程度で完了する。一方、上述した陽極刺激と陰極刺激の双方の極性のパルス電圧を印加する場合には、全ての電極素子141−1〜141−20にパルス電圧を供給するのに、約2msの2倍の時間である約4ms程度を必要とする。
但し、このように20個の電極素子141−1〜141−20に順番にパルス電圧を供給するのは一例であり、例えば指の腹fの特定の1カ所に刺激を与える場合には、電極素子141−1〜141−20から選択した特定の1個(又は複数個)の電極素子のみにパルス電圧を供給するようにしてもよい。
[3.触覚提示装置が刺激する受容器]
次に、触覚提示装置100によって刺激される皮膚の受容器について説明する。
上述したように、指などの皮膚内には、触覚、圧覚、温度覚などを得る受容器として、複数種類の受容器が存在している。
図6は、皮膚の内部の受容器の配置状況を示す断面図である。図6に示すように、皮膚10内には、触覚や圧覚などの機械的変形に応答する受容器として、マイスナー小体11、メルケル細胞12、ルフィニ終末13、パチニ小体14が存在する。
既に説明したように、これら4種類の受容器の役割は、マイスナー小体11が低周波振動覚に応答し、メルケル細胞12が圧覚に応答し、ルフィニ終末13が皮膚せん断変形覚に応答し、パチニ小体14が高周波振動覚に応答する。また、これら4種類の受容器は、空間分解能(受容野サイズ)が異なり、特にルフィニ終末13とパチニ小体14は、他の2つの受容器に比べて空間分解能が低い(受容野サイズが大きい)ことが知られている。
図7は、各受容器の周波数分解能と空間分解能の分布範囲を示す特性図である。周波数分解能は、各受容器が感知する周波数の範囲である。空間分解能は、各受容器が感知する際の感知位置の感度を示す。例えば、空間分解能が高いときには、力覚又は振動覚が加わった位置がほぼ正確に感知でき、逆に空間分解能が低いときには、どの位置に力覚又は振動覚が加わったのかが、分かりにくい状況になることを意味している。
マイスナー小体11の検出範囲aは、比較的低い周波数(例えば5Hzから90Hz付近まで範囲)の振動に応答し、比較的高い空間分解能を有する。
メルケル細胞12の検出範囲bは、マイスナー小体11よりもさらに低周波の振動に応答し、比較的高い空間分解能を有する。
ルフィニ終末13の検出範囲cは、メルケル細胞12の検出範囲bと周波数分解能はほぼ同じであるが、空間分解能がメルケル細胞12の検出範囲bよりも低くなっている(劣っている)。
パチニ小体14の検出範囲dは、高い周波数(例えば60Hzから800Hz付近まで範囲)の振動に応答するが、空間分解能は低い(劣る)。
実際に、人間が物体に指などの皮膚が触れて触覚を感じる際には、これら4つの受容器での応答の組み合わせから、物体に触れた感覚を得る。本実施の形態例の触覚提示装置100では、モーター120の回転によって、電極部140の水平方向の移動による指への刺激と、電極部140でのパルス電圧の印加を選択的に行うことによって、4つの受容器を個別に刺激するモードが用意されている。そして、これら4つの刺激モードの組み合わせにより、触覚提示装置100は、リアリティのある触覚を提示することができるようになっている。
[4.各受容器を刺激するモードの例]
次に、図8を参照して、4つの受容器(マイスナー小体、メルケル細胞、ルフィニ終末、パチニ小体)を個別に刺激する4つの刺激モードの処理について説明する。この4つの刺激モードは、制御部153(図5参照)が、外部からの指示などに基づいて、指fに与える触覚(力覚、振動覚など)を判断して設定する。図8に示す各受容器の検出範囲a,b,c,dは、図7に示す各受容器の検出範囲a,b,c,dと同じである。また、図8に示す電極素子141tは、電極素子141−1〜141−20の内で、パルス電圧を印加するターゲットとなる電極(以下、「ターゲット電極」と称する。)である。なお、図8では、電極部140とモーター120とを接続する構成は簡易化されて示されている。
・マイスナー小体刺激モード
マイスナー小体11(検出範囲a)に対して触覚提示装置100が刺激を与える場合には、ターゲット電極141tに対して陽極刺激となる極性のパルス電圧を印加する。このときのパルス電圧の印加周波数は、例えば15Hz〜60Hzの範囲内の周波数(例えば30Hz)に設定する。なお、陽極刺激が行われるターゲット電極141tの周辺の他の電極素子は、例えば接地電位とする。電極素子141−1〜141−20の周囲の接地電極142についても接地電位とする。
・メルケル細胞刺激モード
メルケル細胞12(検出範囲b)に対して触覚提示装置100が刺激を与える場合には、ターゲット電極141tに対して陰極刺激となる極性のパルス電圧を印加する。このときのパルス電圧の印加周波数は、例えば15Hz以下の低周波数に設定する。なお、陰極刺激が行われるターゲット電極141tの周辺の他の電極素子は、例えば接地電位とする。電極素子141−1〜141−20の周囲の接地電極142についても接地電位とする。
・ルフィニ終末刺激モード
ルフィニ終末13(検出範囲c)に対して触覚提示装置100が刺激を与える場合には、モーター120を回転させて、電極部140を水平方向x1にシフトさせる。このモードでは、電極部140を使った電圧パルスの印加は行わない。
・パチニ小体刺激モード
パチニ小体14(検出範囲d)に対して触覚提示装置100が刺激を与える場合には、モーター120を交互に微少に回転させて、電極部140が左右に振動した状態とする。このモードでは、電極部140を使った電圧パルスの印加は行わない。
なお、ルフィニ終末刺激モードとパチニ小体刺激モードとで、電極部140による電圧パルスの印加を行わないのは、それぞれのモードを単独で使用する場合であり、他のモードと組み合わせて刺激を行う際には、電極部140を使った電圧パルスを印加する場合もある。具体的に刺激を行う例については後述する。
[5.具体的な駆動例]
次に、上述した各モードを組み合わせて、実際に指が物体に触れる動作を再現する刺激を触覚提示装置100が行う例について説明する。
図9は、指fが特定の素材21の表面を滑らせた状態を再現する例である。すなわち、図9Aに示すように、特定の材質感(例えば凹凸感)を持った素材21の表面に、指fの腹fが接触した状態で、素材21を水平方向(M1方向)に移動させる。
ここで、素材21の表面(テクスチャ面)に細かな凹凸があるとすると、その細かな凹凸に対応して、指fの腹fに対して垂直方向に振動する力覚が加わりながら、水平移動に対応した水平方向の力覚が生じる。
触覚提示装置100が、このような素材21の表面を滑らせた状態と同様の刺激を指fに与える場合には、図9Bに示すように、モーター120により電極部140を回転させて、水平方向m1にシフトさせる。この電極部140の水平方向m1のシフトにより、電極部140と接触した指fの腹fに対して、水平方向の力覚が与えられる。このモーター120の回転による水平方向の力覚を与える処理は、上述したルフィニ終末刺激モードでの刺激に相当する。
さらに、水平方向の力覚を与えながら、指fが滑る際の凹凸に対応した指fの腹fの垂直方向の振動を再現するために、図9Bに示すように、電極部140のターゲット電極141tに対してパルス電圧を印加する。このパルス電圧を印加する処理は、上述したマイスナー小体刺激モード又はメルケル細胞刺激モードでの刺激に相当する。
印加するパルス電圧の周波数は、素材21の表面の凹凸の間隔と、指fが移動する速度により決まる。例えば、素材21の表面の凹凸が1mm間隔で、指が60mm/sの速度で動くとき、指fが上下に振動する周波数の中心周波数は約60Hzになる。この場合、60Hzの周波数でターゲット電極141tにパルス電圧を印加することで、素材21の表面を滑らせた場合と同様の感覚を指fに与えることができる。
なお、図9の例では、素材21の表面の凹凸を再現するために、マイスナー小体刺激モード又はメルケル細胞刺激モードで刺激するようにしたが、凹凸を再現する周波数範囲が図7に示すパチニ小体検出範囲dである場合には、パチニ小体刺激モードでの、モーター120を交互に微少に回転させる処理を行う。具体的には、5Hzから90Hz付近がマイスナー小体検出範囲であり、60Hzから800Hz付近までがパチニ小体検出範囲であり、60Hz以上の周波数での刺激を与える際には、モーター120を使った電極部140の振動処理を適用することができる。なお、60Hzから90Hzまでの範囲は、マイスナー小体検出範囲cでもあるため、2つのモードで刺激を与える処理を同時に行うようにしてもよい。
図10は、指fが、大きな凹凸がある素材22の表面に接している状態を示す。
図10Aに示すように、凹凸形状を持った素材22に指fが接しているとき、指fには水平方向の力と垂直方向の力とを合成した力P1が生じる。
この力P1を触覚提示装置100が表現するために、力P1を水平成分と垂直成分に分解する。そして、分解した2成分の内の水平成分については、図10Bに示すように、ルフィニ終末刺激モードでモーター120を回転させることで、指fに力覚が与られる。また、垂直成分については、図10Bに示すように、ターゲット電極141tへのパルス電圧の印加で、マイスナー小体刺激モード又はメルケル細胞刺激モードにより、指fに圧覚が与えられる。
このような指fへの刺激を行ったとき、人間は、指fの皮膚と素材22との接触位置も、触覚により本来は認識しているはずである。ここで、電極部140を使った刺激を行う場合には、1カ所のターゲット電極141からの刺激であるため、パルス電圧を印加した電極の選択によってのみで、接触位置が提示されることになる。
これに対して、水平成分の力覚は、モーター120の回転によって指fの腹fの広い面積に対して与えるため、電極使用時のような高い空間分解能を与えることはできないが、高い空間分解能を持たない受容器であるルフィニ終末によって、皮膚の横ずれが検知されるため、特に問題になることはない。
なお、人間の指における触覚の空間分解能は、指の末端で1.5mm程度、指の腹で約3mm程度である。本実施の形態例の電極部140は、既に説明したように2mm間隔で電極素子141−1〜141−20をマトリクス状に配置したため、人間の分解能に合わせた接触位置の提示が可能になる。
図11は、指fが物体に接触して、その接触状態がある程度の時間維持され、その後、指fが物体から離れる動作に相当する刺激を、触覚提示装置100が指fに与える場合の例を示している。図11A〜Fの横軸は時間である。
図11Aは、実際に指fが物体に接触する際の皮膚変形量(縦軸)を示す。ここでは、期間T11は、指fが物体への接触を開始して、徐々に皮膚変形量が増える期間である。期間T12は、指fが物体に接触した状態が維持され、皮膚変形量が一定の期間である。期間T13は、指fが物体から離れだして、徐々に皮膚変形量が低下して、指fが物体から離れて皮膚変形がなくなる期間である。
この図11Aに示す皮膚変形は、メルケル細胞とマイスナー小体とパチニ小体によって知覚される。具体的には、図11Bに示すように、定常的な圧力を検出するメルケル細胞は、皮膚が変形している間(ここでは期間T11,T12,T13全ての間)、常に活動する。
また、図11Cに示すように、低周波振動又は速度を検出するマイスナー小体は、皮膚変形の速度が一定閾値を超えている間(ここでは期間T11と期間T13の間)、活動する。
さらに、図11Dに示すように、高周波振動又は加速度を検出するパチニ小体は、皮膚変形の加速度が一定閾値を超えたとき(ここでは期間T11の最初と最後、及び期間T13の最初と最後)、活動する。
人間は、これら図11B,C,Dに示す活動により得た感覚を合成することで、物体との接触感を持つことができる。なお、図11の例は、皮膚の接触に関する刺激を行う例のため、ルフィニ終末への刺激は行っていないが、ルフィニ終末への刺激を行うためのモーター電圧の印加を同時に組み合わせるようにしてもよい。
以上説明したような、物体接触時と同様の感覚を触覚提示装置100が指fに与えるためには、制御部153(図5参照)は、図11Eに示すパルス電圧を電極部140へ印加するように電極駆動部160に指示する必要がある。また、図11Fに示すような印加電圧をモーター120に供給するようにモーター駆動部156に指示する必要がある。
具体的には、図11Eに示すように、メルケル細胞の活動期間(図11B)に対応して、期間T11,T12,T13の全ての期間に、一定間隔で陰極刺激を行うパルス電圧が電極部140に供給され、メルケル細胞刺激モードによる刺激が行われる。また、マイスナー小体の活動期間(図11C)に対応して、期間T11及び期間T13に、一定間隔で陽極刺激を行うパルス電圧が、電極部140に供給されて、マイスナー小体刺激モードによる刺激がなされる。
メルケル細胞刺激モードで刺激を行う期間と、マイスナー小体刺激モードで刺激を行う期間は混在しているため、電極駆動部160では、モードの切り替わりに対応して、パルス電圧の極性を切り替える処理が行われる。なお、図11の例では、メルケル細胞刺激モードで刺激を行うタイミングと、マイスナー小体刺激モードで刺激を行うタイミングは、パルス電圧を印加する時間が多少ずれており(例えば0.2msから10ms程度のずれが発生)、完全な同時刺激ではないが、この程度の時間のずれが生じても、人間の感覚上は同時に刺激があると感じる。
なお、図11Eに示す1つのパルスは、図4に示す全ての電極素子141−1〜141−20にパルス電圧を印加することを意味する。例えば、1つの電極素子に100μs程度のパルス電圧を印加する場合、約2ms程度の時間で、20個の電極素子141−1〜141−20から順にパルス電圧を印加することができる。したがって、図11Eに示す1つのパルスは、この約2ms程度の時間で、全ての電極素子141−1〜141−20から指fにパルス電圧が印加されることを示している。
また、図11Fに示すように、パチニ小体の活動期間(図11D)に対応して、モーター120に非常に短い期間のパルス電圧が印加される。このとき、図11Fに示すように、正の極性のパルス電圧と負の極性のパルス電圧が組み合わされて連続して印加される。例えば、2.5msの正極性のパルス電圧と、2.5msの負極性のパルス電圧が5msの期間の両極性パルス電圧として順に印加される。これにより、パチニ小体の共振周波数に近い200Hzの成分を持った振動がモーター120により発生するため、パチニ小体の活動による感覚を再現することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態の触覚提示装置100によれば、複数のモードを組み合わせて各受容器への刺激を適切なタイミングで行うことで、実際に物体と衝突してから離れるまでの感覚と同様の感覚を指に与えることができ、非常にリアリティのある刺激を提示することができる。特に、空間分解能(空間解像度)が高い受容器への刺激については、刺激位置を細かく制御できる電極を使用し、空間分解能が低い受容器への刺激については、モーター120による電極部140全体の動きで与えるようにしたので、それぞれの受容器の特性に合わせた適切な刺激の提示ができる。
また、触覚提示装置100は、指fの腹fと接触する電極部140と、その電極部140を水平方向に移動や振動させるモーター120だけの比較的簡単な構成で、4種類のモードの刺激を行うことができる。
[6.変形例]
なお、図1に示す触覚提示装置100では、電極部140を水平方向にシフトさせるシフト部材の一例として、モーター120を使用した例を示した。これに対して、モーター以外のシフト部材を使用して、電極部140を水平方向に移動させたり、振動させるようにしてもよい。
また、図1に示す触覚提示装置100の各部の構成(指の装着部110の形状や、モーター120の配置位置など)についても、一例を示すものであり、その他の構成としてもよい。
さらに、図4に示す電極素子141−1〜141−20の数や配置状態についても、一例を示すものであり、その他の配置状態としてもよい。
また、上述した実施の形態例では、指の腹の皮膚に触覚を提示する装置とした。これに対して、本発明は、指以外の箇所の皮膚に触覚を提示する装置に適用してもよい。
10…皮膚、11…マイスナー小体、12…メルケル細胞、13…ルフィニ終末、14…パチニ小体、21,22…素材、100…触覚提示装置、110…装着部、111…左側面、112…右側面、113…連結部、114…モーター保持部、120…モーター、121…回転軸、130…電極保持部、131…回転軸連結部、132…電極配置部、140…電極部、141−1〜141−20…電極素子、141t…ターゲット電極、142…接地電極、150…回路配置部、151…通信ポート、152…インターフェース部、153…制御部、154…モーションセンサー、155…デジタル/アナログ変換器、156…モーター駆動部、160…電極駆動部、161…電源装置

Claims (6)

  1. ユーザーの所定箇所の皮膚と接した状態で装着される装着部と、
    前記装着部に取り付けられ、前記所定箇所の皮膚に接触する電極部と、
    前記電極部の前記皮膚との接触位置をシフトさせるシフト部材と、
    前記電極部に印加するパルス電圧により、前記所定箇所の皮膚に、特定の空間解像度の圧覚および特定の周波数の振動感覚を提示し、前記シフト部材による前記電極部の前記皮膚との接触位置のシフトにより、前記所定箇所の皮膚に、前記特定の空間解像度よりも低い空間解像度の皮膚ずれ感覚および前記特定の周波数よりも高周波の振動感覚を提示する制御部とを備える
    触覚提示装置。
  2. 前記制御部は、前記電極部に印加するパルス電圧の極性の設定により、メルケル細胞をターゲットにしたパルス電圧の印加による圧覚の提示と、マイスナー小体をターゲットにしたパルス電圧の印加による前記特定の周波数の振動感覚の提示とを選択的に行うようにした
    請求項1に記載の触覚提示装置。
  3. 前記制御部は、前記シフト部材による前記電極部の一方のシフトと他方のシフトを組み合わせた振動を行うことで、パチニ小体をターゲットにした刺激による前記高周波の振動感覚の提示を行い、前記振動による刺激時よりも前記電極部を大きくシフトさせることで、ルフィニ終末をターゲットにした刺激による皮膚ずれ感覚の提示を行う
    請求項1又は2に記載の触覚提示装置。
  4. 前記シフト部材はモーターであり、
    前記制御部は、前記モーターに対して一方の極性のパルス電圧と他方の極性のパルス電圧とを与えて前記電極部を振動させて、前記パチニ小体をターゲットにした刺激を行うと共に、前記モーターに対して一方の極性の電圧を与えて前記電極部を大きくシフトさせる
    請求項3に記載の触覚提示装置。
  5. 前記電極部は、皮膚と接触する箇所に、所定間隔で配置した複数の電極素子を備え、
    前記制御部は、前記パルス電圧を、前記複数の電極素子に順に供給する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
  6. 前記所定箇所は指であり、前記電極部は、指の腹の皮膚と接触するようにして、指の腹に対して触覚を提示する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
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