JP6665078B2 - 高分子凝集剤の除去方法 - Google Patents

高分子凝集剤の除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6665078B2
JP6665078B2 JP2016239437A JP2016239437A JP6665078B2 JP 6665078 B2 JP6665078 B2 JP 6665078B2 JP 2016239437 A JP2016239437 A JP 2016239437A JP 2016239437 A JP2016239437 A JP 2016239437A JP 6665078 B2 JP6665078 B2 JP 6665078B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
polymer flocculant
copolymer
water
anionic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016239437A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018095695A (ja
Inventor
亜紀子 力石
亜紀子 力石
稲村 准一
准一 稲村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Swing Corp
Original Assignee
Swing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Swing Corp filed Critical Swing Corp
Priority to JP2016239437A priority Critical patent/JP6665078B2/ja
Publication of JP2018095695A publication Critical patent/JP2018095695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6665078B2 publication Critical patent/JP6665078B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、主に水処理に使用されるカチオン系高分子凝集剤の除去剤及びその除去剤を用いた高分子凝集剤の除去方法に関する。
従来より、下水、し尿、工場排水などの汚泥(有機性汚泥、無機性汚泥)の脱水には多様な処理剤が使用されている。特に有機性汚泥の脱水に対しては、ポリ(アクリルアミドメタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー、ポリアミジン等のカチオン性高分子凝集剤、アクリルアミド−アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー等の両性高分子凝集剤が広く使用されている。
また、汚泥等の脱水に対しては、ポリアクリルアミド等のノニオン性高分子凝集剤、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウムコポリマー等のアニオン性高分子凝集剤が広く使用されている。
これらの凝集剤として使用される高分子化合物は、分子量が数百万から数千万程度あり、粘度が高く、0.2%濃度で100〜500mpa・s程度あるいはそれ以上になる場合もあり、付着性が非常に高い。
一例として、水ing社製のカチオン性高分子凝集剤(商品名:エバグロースC−104G)においては、分子量3,000,000g/mol、粘度100〜300mpa・sである。
上記のような高分子凝集剤を除去する方法としては、洗浄剤として食塩の溶液を使用し、高分子凝集剤を塩析する方法が知られているが、既に付着した高分子凝集剤の除去には不十分である。
特許文献1には、ワックスのような樹脂成分が含まれた汚水に対し、凝集剤を用いることで樹脂成分を凝集させて水分と分離し、回収する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1の凝集剤は低分子の無機化合物であり、この凝集剤により生じた凝集物用の脱水機を必要とするため、大掛かりな設備を必要としていた。
特開2008−246275号公報
従来、排水処理や汚泥処理を行う際に凝集剤を漏洩または飛散させた場合、ふき取りあるいは水洗浄を行っていたが、十分に除去することができないため、凝集剤の粘性に由来するヌメリが残る場合があり、洗浄後にはその乾燥物除去のため、再度洗浄が必要であった。
ヌメリは滑りやすく、当然、その乾燥物が水と接触して生じた溶解物も滑りやすい。従って、ヌメリが残った箇所を作業員が歩行すると、転倒などの危険がある。
また、高分子凝集剤の水溶液を廃棄する場合に、排水溝等の流路に流すと流路にヌメリが付着し、流路を流れるその他夾雑物を取り込んでしまい、流路が汚れやすくなることで洗浄頻度が多くなる問題点があった。
このようなヌメリに対し、上述したような食塩の溶液で高分子化合物を塩析させる方法では、洗浄液の塩類濃度が高いため、薬注装置や配管等の周辺機器を腐食させる懸念があり、さらには洗浄液を排水した場合、高濃度の塩類が含まれるため、凝集沈殿性能に影響し、排水処理を困難にする場合があった。
本発明は、上記従来の課題に鑑み成されたものであり、その目的とするところは、漏洩又は飛散した高分子凝集剤の付着物や、廃棄予定の高分子凝集剤用の除去剤及びその除去剤を用いた除去方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を具備する。
(1)水処理用カチオン系高分子凝集剤の除去に使用される除去剤(B)であって、水溶性高分子であるアニオン性ポリマー(A)を主成分とする。
(2)アニオン性ポリマー(A)は、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とアクリルアミドとの共重合物、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合物、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合物、マレイン酸とアクリルエステルの共重合物、スチレンとマレイン酸の共重合物、イタコン酸とアクリルアミドとの共重合物、及びそれらの塩化物からなる群より選択される1種以上のポリマーを含むことが好ましい。
(3)好ましくは、除去剤(B)に、アニオン性界面活性剤(C)とノニオン性界面活性剤(D)の少なくとも一方を添加する。
(4)好ましいアニオン性界面活性剤(C)はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩である。
(5)好ましいノニオン性界面活性剤(D)はポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
(6)好ましいアニオン性ポリマー(A)はポリアクリル酸ナトリウムである。
(7)上記いずれかの除去剤(B)を用いて、除去対象に付着した高分子凝集剤を除去することができる。
(8)また、上記いずれかの除去剤(B)を用いて、高分子凝集剤を含む溶液から、当該高分子凝集剤を分離除去することもできる。
本発明によれば、高分子凝集剤付着物または水溶液中の高分子凝集剤を生成物として容易に分離し、回収することができる。高分子凝集剤の除去効率が高いため、洗浄後に乾燥物(残留凝集剤)が生じることなく、再度の水洗が不要になる。凝集剤が残留しないので、洗浄除去対象物が水で濡れてもヌメリが生じず、作業者が転倒せずに安全に作業可能となる。塩化ナトリウムを用いた場合と異なり、除去剤は周辺機器に腐食を及ぼすことがない。また、生成物を取り除いた後の処理液の塩類濃度も低く、残留する高分子凝集剤の量も少ないので、処理液の排水処理が容易である。
図1は除去剤の製造方法を説明するフロー図である。 図2は除去方法の概略を説明するフロー図である。 図3(a)〜(d)は第一例の除去方法を説明する模式的断面図である。 図4(a)〜(c)は第二例の除去方法を説明する模式的断面図である。
本発明はカチオン性の高分子凝集剤の除去に関し、特に水処理で使用した際に漏洩または飛散により設備などに付着した高分子凝集剤の洗浄除去や、水処理で不要になったカチオン性高分子凝集剤の廃棄に使用可能な除去剤と、それを用いた除去方法に関する。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
<除去対象>
本発明の除去対象は水処理用の高分子凝集剤である。ここで、水処理とは、水又は水を含む液体、スラリー、半固形物、固形物の処理であり、具体的には、浄水処理、排水処理、用水処理の他、汚泥処理をも含む概念である。
本発明の除去剤は、上記のような高分子凝集剤の付着物の除去や、高分子凝集剤水溶液からの高分子凝集剤の分離除去に好適に使用される。
高分子凝集剤水溶液は、高分子凝集剤を上水や工業用水に溶解したものであり、通常、0.1〜0.5質量%に溶解されるのが一般的である。
除去対象となる付着物は、高分子凝集剤を含む液体(高分子凝集剤水溶液)、粉末高分子凝集剤吸水物又はこれらの乾燥物である。粉末高分子凝集剤吸水物とは、濡れた床面等に粉末凝集剤をこぼした場合あるいは粉末に水が飛散した場合に、粉末高分子凝集剤が吸水し、流動性はないが膨潤し粘性を帯びた状態を指す。
高分子凝集剤はカチオン性高分子凝集剤であれば特に限定されず、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリアミジン系、ポリダドマック系、ポリアミン系、アミン縮合系、ジシアンジアミド系など多様な凝集剤が対象になるが、具体的には、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー、ポリアミジンなどである。
これらの高分子凝集剤は単独で除去対象とすることもできるし、2種以上の高分子凝集剤混合物を除去対象とすることもできる。製品形態としては粉末、エマルジョン(乳濁液)、ディスパージョン(分散液)がある。
これら高分子化合物は分子量が数百万から数千万あり、粘度が高く、高分子化合物として0.2質量%濃度の塩粘度が100〜500mpa・sあるいはそれ以上になる場合もあり、これにより付着性が高い。例として、水ing製カチオン性高分子凝集剤(粉末品)エバグロースC−104Gにおいては分子量3,000,000g/mol、0.2質量%塩粘度100〜300mpa・sである。
なお、塩粘度は、1Nの塩化ナトリウム水溶液に、高分子凝集剤を所定濃度(ここでは0.2質量%)になるよう溶解した試料を、B型粘度計にて25℃の条件で測定した値であり、単位はmPa・sである。
<除去剤>
本発明における除去剤(洗浄剤)は、アニオン性ポリマーを含有するものであって、好ましくは水溶液の状態で使用される。
アニオン性ポリマーの添加により、カチオン性高分子凝集剤とアニオンポリマーのイオンを荷電中和させる。これにより、カチオン性高分子凝集剤の親水性を低下させ、疎水性が有利となることによってポリマー成分が析出し、結果として高分子凝集剤水溶液を、高分子凝集剤と水とに分離することができる。
以下に各成分について具体的に説明する。
−アニオン性ポリマー
アニオン性ポリマーは水溶性アニオン性ポリマーであれば特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とアクリルアミドとの共重合物、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合物、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合物、マレイン酸とアクリル酸エステルの共重合物、スチレンとマレイン酸の共重合物、イタコン酸とアクリルアミドとの共重合物、又はそれらの塩化物が挙げられる。
塩としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられる。洗浄効果及び経済的観点からポリ(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸の単独又は共重合体)またはその塩が好ましく、より好ましくはポリアクリル酸またはその塩化物、特に好ましくはポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。アニオン性ポリマーの分子量は特に限定されないが、アニオン性ポリマーがホモポリマーである場合は3,000〜10,000,000g/molの分子量が好ましく、コポリマーである場合は5,000〜16,000,000g/molの分子量が好ましい。このコポリマーにおけるアニオン度は40mol%以上が好ましい。より好ましくは、アニオン性のホモポリマーで分子量が100,000g/mol以下である。ここで、「分子量」は重量平均分子量であって、標準物質をポリスチレンスルホン酸ナトリウムとしたSEC‐MALS法などで測定できる。
アニオン性ポリマーを含む除去剤は水溶液として使用することが好ましく、ここで水溶液とは、水又は水を主成分とする溶媒に除去剤成分を溶解若しくは分散させたものである。
この水溶液中のアニオン性ポリマー(例:ポリアクリル酸またはその塩化物)の濃度は好適に選択できるが、アニオン性ポリマーがホモポリマーである場合は0.45〜18質量%の濃度が好ましく、アニオン性ポリマーがコポリマーである場合は0.00005〜1質量%の濃度が好ましい。この濃度が高すぎると粘度が高くなりすぎハンドリング性が悪くなる。他方、この濃度が低すぎると、十分な除去効果を達成するためには除去剤の多量添加が必要となり、その結果、洗浄除去後の廃液量が多くなり、廃棄処分が煩雑となる。
より好ましいアニオン性ポリマー濃度は、アニオン性ホモポリマーの場合で0.45〜4.5質量%である。この濃度が4.5質量%を超えると薬剤の流動性が悪化し、被処理物に均一に接触させるのが困難となり、所望する洗浄効果が得られない場合がある。
しかしながら、本発明の除去剤水溶液の濃度は特に限定されず、上記濃度の水溶液(除去剤原液)を任意の濃度に更に希釈して使用することもできる。
−添加剤(界面活性剤)
除去剤には、上記アニオン性ポリマーに加え、1種以上の添加剤を添加することもできる。添加剤は特に限定されず、界面活性剤、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、分散剤、着色剤、香料などから選択される1種以上を用いることができるが、最も好ましい添加剤は界面活性剤である。
好ましい界面活性剤はカチオン基を実質的に含有しないもの、即ち、アニオン性界面活性剤と、ノニオン性界面活性剤のいずれか一方又は両方である。
アニオン性界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウムに代表されるアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムに代表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムに代表されるスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウムに代表されるアマイドエーテルサルフェート型、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムに代表されるタウリン誘導体、ラウロイルサルコシンナトリウムに代表されるサルコシン誘導体、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミンに代表される石鹸型、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンに代表されるスルホン酸型、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウムに代表されるリン酸エステル型が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレントリデシルエーテルに代表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型、モノオレイン酸ポリエチレングリコールに代表されるポリエチレングリコール脂肪酸エステル型、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルに代表されるグリセリンエステル型(POE(ポリオキシエチレン)グリセリンエステル型)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットに代表されるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル型、モノパルチミン酸ソルビタンに代表されるソルビタン脂肪酸エステル型、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンに代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル型、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドに代表されるアルキロールアマイド型、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルに代表される低臭化ポリエーテルが挙げられる。
上記のような界面活性剤は1種以上を任意に組み合わせて使用することができるが、好ましい界面活性剤はアニオン性界面活性剤であり、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、更に好ましくは炭素数が10〜15のポリオキシエチレンエーテル硫酸塩であり、特に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩である。
硫酸塩の種類も特に限定されず、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどいずれの形態を用いることもできるが、好ましくは硫酸ナトリウムである。従って、最も好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
上記のような界面活性剤の使用により、析出する凝集剤成分の性状、ハンドリングを改善することができる。特にアニオン性界面活性剤を配合した場合、析出する凝集剤が硬くなり、凝集剤が繊維質の生成物として固液分離し、その生成物の粘性が低下することで、生成物の処理を容易に行うことができる。
−配合割合
界面活性剤の配合量は、固形分の配合割合で、アニオン性ポリマー:界面活性剤=1:0.15〜30(質量比)であるが、より好ましくはアニオン性ポリマー:界面活性剤=1:1〜18(質量比)である。アニオン性モノマーに対する界面活性剤の配合量が多すぎると、発泡などの問題が生じる。界面活性剤の濃度は特に限定されないが、例えば2.5〜13質量%、より好ましくは5〜8質量%である。
本発明の除去剤は、除去剤成分、すなわち、アニオン性ポリマーと任意の添加剤(界面活性剤)を含む水溶液として使用することが好ましいが、この除去剤水溶液の製造方法は特に限定されず、アニオン性ポリマーと、任意の添加剤(界面活性剤)と、水の混合順序は特に限定されない。
例えば、アニオン性ポリマーと界面活性剤を同時に水に混合することもできるし、別々に混合することもできる。分散性を考慮すると、アニオン性ポリマー水溶液に界面活性剤水溶液を添加し、任意の濃度に希釈して製造することもできる(図1)。
<除去方法>
図2は本発明の除去方法を示す模式図であり、本発明の高分子凝集剤の除去方法は特に限定されないが、アニオン性ポリマーを含む除去剤成分を、水の存在下で被処理物に添加または接触させ、添加(接触)しながら或いは添加(接触)させた後に撹拌混合する。
被処理物に含まれる高分子凝集剤は、除去剤成分との接触により凝集し、凝集生成物となって水から分離するので、高分子凝集剤を処理水(残液)から容易に分離することができる。
被処理物との接触効率を向上させるため、上述したように除去剤は水溶液として使用することが好ましく、この場合は除去剤水溶液の原液又はその原液の水希釈液を被処理物に添加(接触)させる。除去剤の添加方法、混合方法も特に限定されないが、以下に具体例を説明する。
−第一例の除去方法
図3(a)は洗浄除去対象物が高分子凝集剤で汚染された状態を示しており、洗浄除去対象物は、例えば、作業現場の床や机上、水処理装置や設備などであって、作業中に高分子凝集剤が飛散または零れ、洗浄除去対象物の表面である付着面1に、高分子凝集剤の付着物2が形成されている。
この状態の付着面1に、除去剤3の水溶液(原液)又はその希釈液を散布若しくは添加し、ゴム製ワイパーなどの攪拌手段4で撹拌する(図3(b))。
図3(c)の符号5は、撹拌により除去剤3と付着物2とが均一に混合した混合液を示しており、高分子凝集剤は除去剤成分との接触により凝集し、混合液5から白色固形物状の生成物が生じる。図3(d)は生成物14が生じた状態を示しており、この生成物14は残液(処理水)13から引き揚げてもヌメリとして表面に残留する水分が少なく、残液13から容易に固液分離して生成物14を回収することができる。
上記の方法は、付着面1に付着した高分子凝集剤の除去に特に適しており、高分子凝集剤の付着物2は、乾燥物、膨潤物、水溶液などの如何なる状態であっても対応可能であり、除去剤3の添加前に前処理を行うこともできる。
例えば、付着物2が流動性の低い膨潤物又は乾燥物の場合、除去剤3の添加前に付着物2を水に接触させ、溶解又は膨潤させれば、除去効率が向上する。更に、付着物2の量が極端に多い場合は、研磨や切削などで付着物2をある程度物理的に除去した後、除去剤3を添加して残留する付着物2を除去する。
本発明の除去剤3は塩害などの弊害が少ないので、洗浄除去対象物も特に限定されず、コンクリート、木材、アスファルト、樹脂の他、塩害に弱い金属などを材質とする洗浄除去対象物に特に適している。このように、本発明は多用な用途、多用な方法で付着物2を除去することができるが、本発明は付着物2としての高分子凝集剤の除去に限定されない。
−第二例の除去方法
浄水処理、排水処理、汚泥処理などの水処理では、高分子凝集剤は水溶液として使用されることがあり、使用後に余った水溶液の廃棄が問題になる。
図4(a)〜(c)は高分子凝集剤水溶液の廃棄処理を模式的に説明する断面図であり、廃棄すべき高分子凝集剤水溶液9を溶解槽8に収容する(図4(a))。本発明の除去剤3は塩害などの弊害が少ないので、溶解槽8の種類や材質は特に限定されず、一般的に使用されるポリマー溶解槽でもよいし、専用の処理水槽でもよい。
第二例では、使用する除去剤3は、好ましくは水溶液原液又は原液希釈液であり、このような除去剤3を溶解槽8に添加又は滴下すると、除去剤3と接触した高分子凝集剤が析出し始める。
溶解槽8内には撹拌軸を有する撹拌手段10が設置されており、除去剤3を添加(滴下)しながら、又は、除去剤3を添加(添加)した後、攪拌軸を中心に撹拌手段10を回転させると、その攪拌軸の周囲に白色固形物状の生成物14が析出する(図4(b))。
この攪拌時間は特に限定されず、処理量や撹拌条件により適宜変更可能であるが、一例を挙げると、処理対象の高分子凝集剤水溶液9の量が400mLであり、攪拌時間が20秒〜40秒である。
第一例の場合と同様、この生成物14は固液分離が容易であり、付着性(粘着性)も低いので、攪拌手段10から容易に取り除くことができる。
第一例、第二例のいずれの場合も、処理前と比較して残液(処理水)13の粘性が大幅に低下している(図4(c))。従って、処理水13を排水溝、排水処理施設、水処理施設などの流路に放流しても、流路にヌメリを付着させることがない。しかも、処理水13は高分子凝集剤由来のCOD、TOCが低減しているため、排水処理施設などの放流先への影響が少ない。
他方、処理水13から分離した生成物14は付着性(粘着性)が低く、脱水処理により硬く締まった状態になるので、回収後の保管や廃棄が容易である。
以下、本発明を実施例と共に更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
−実施例1:除去剤の製造
[除去剤(B−1)の製造方法]
ポリアクリル酸ナトリウム45質量%水溶液10重量部に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム27質量%60重量部を添加したものを水130重量部に溶解させ、撹拌して除去剤(B−1)を得た。ここで、50mLの除去剤3を作る場合の攪拌時間は、いずれの除去剤(B−1)〜(B−7)でも3分間とした。
[除去剤(B−2)の製造方法]
ポリアクリル酸ナトリウム45質量%水溶液10重量部に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム27質量%水溶液40重量部を添加したものを水150重量部に溶解させ、撹拌して除去剤(B−2)を得た。
[除去剤(B−3)の製造方法]
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム27質量%水溶液をポリオキシエチレンアルキルエーテル25質量%水溶液に変えた以外は除去剤(B−1)と同様にして除去剤(B−3)を得た。
[除去剤(B−4)の製造方法]
ポリアクリル酸ナトリウム45質量%水溶液を10重量部に水190重量部に溶解させ、撹拌することで除去剤(B−4)を得た。
なお、(B−1)〜(B−4)で用いたポリアクリル酸ナトリウムは、ポリアクリル酸単独重合体のナトリウム塩である。
[除去剤(B−5)の製造方法]
アクリル酸ナトリウム・アクリルアミドコポリマー0.1質量%水溶液を1.2重量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム27質量%水溶液60重量部添加したものを水138.8重量部に溶解させ、撹拌することで除去剤(B−5)を得た。
[除去剤(B−6)の製造方法]
アクリル酸ナトリウム・アクリルアミドコポリマー0.1質量%水溶液を20重量部に水180重量部に溶解させ、撹拌することで除去剤(B−6)を得た。除去剤(B−5)、(B−6)で用いたアクリル酸ナトリウム・アクリルアミドコポリマーはアニオン性共重合体ポリマーである。
[除去剤(B−7)の製造方法]
水200重量部を除去剤(B−7)とした。
以上の除去剤(B−1)〜(B−7)の配合比を下記表1に示す。
Figure 0006665078
−実施例2:高分子凝集剤の洗浄試験
以下3種類の試験を行った。
(1)洗浄試験
水ing製のカチオン性高分子凝集剤(エバグロースC−104G)の0.2質量%水溶液200重量部をシャーレに用意し、上記除去剤(B−1〜B−7)20重量部を別々のシャーレに添加し、スパチュラを用いて撹拌し、溶液性状を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
〇…白色固形物が生成し、手でつかんだとき形状を維持する。
×…白色固形物が生成せず、手でつかんだときに形状を維持できない。
(2)生成物の評価
上記(1)の操作により生成した生成物を手で押しつぶす、あるいは引き伸ばして生成物の性状を確認し、以下の基準で評価した。
◎…硬く、手やシャーレへの粘着性がない。伸ばしたときに切断しやすい。
〇…やわらかく、手やシャーレへの粘着性が若干ある。
△…やわらかく、手やシャーレへの粘着性が高い。
(3)ヌメリの評価
上記(1)の試験で洗浄した後のシャーレに残った液およびシャーレ面を指でこすることにより、残液及びシャーレ面のヌメリの有無を確認し、以下の基準で評価した。
〇…指が滑らず、ヌメリがない。
×…指が滑り、ヌメリがある。
実施例2についての上記(1)〜(3)の結果を下記表2に記載する。
Figure 0006665078
−実施例3:廃凝集剤の回収試験
以下3種類の試験を行った。
(1)回収試験
水ing製のカチオン凝集剤(エバグロースC−104G)の0.2質量%水溶液200重量部をビーカーに用意し、上記除去剤(B−1〜B−7)20重量部を別々のビーカーに添加し、プロペラ型撹拌軸を用いたジャーテスターで撹拌し、溶液性状を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
〇…白色固形物が生成し、手でつかんだとき形状を維持する。
×…白色固形物が生成せず、手でつかんだときに形状を維持できない。
(2)生成物評価
上記(1)の操作により生成した生成物を手で押しつぶす、あるいは引き伸ばして生成物の性状を確認し、以下の基準で評価した。
◎…硬く、手やビーカーへの粘着性がない。伸ばしたときに切断しやすい。
〇…やわらかく、手やビーカーへの粘着性が若干ある。
△…やわらかく、手やビーカーへの粘着性が高い。
(3)ヌメリ評価
上記(1)で廃凝集剤を回収した後のビーカーに残った液およびビーカー面を指でこすることにより、残液及びビーカー面のヌメリの有無を確認し、以下の基準で評価した。
〇…指が滑らず、ヌメリがない。
×…指が滑り、ヌメリがある。
実施例3についての上記(1)〜(3)の試験結果を下記表3に記載する。
Figure 0006665078
上記表2、3の試験結果から明らかなように、アニオン性ポリマーを用いた実施例では、洗浄試験、生成物、ヌメリで良好な実験結果が得られ、特にアニオン性ポリマーと界面活性剤を併用した場合は、生成物のヌメリも少なく、良好な結果が得られた。アニオン性コポリマーを用いたB−5と、アニオン性ホモポリマーを用いたB−1はいずれも実施例2、3の試験で高い評価結果が得られたが、生成物を比較すると、B−5による生成物は粘着性が無いものの、手触りがぼろぼろとしてまとまり難い状態であり、B−1による生成物の方が除去が容易であった。
1 付着面
2 付着物(高分子凝集剤)
3 除去剤
4、10 撹拌手段
8 溶解槽
13 残液(処理水)
14 生成物

Claims (6)

  1. 水処理用カチオン系高分子凝集剤の除去に用いられる除去剤であって、アニオン性ポリマーを主成分とすることを特徴とする除去剤を用いて、除去対象に付着した高分子凝集剤を除去する除去方法。
  2. 前記アニオン性ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とアクリルアミドとの共重合物、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合物、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合物、マレイン酸とアクリルエステルの共重合物、スチレンとマレイン酸の共重合物、イタコン酸とアクリルアミドとの共重合物、及びそれらの塩化物からなる群より選択される1種以上のポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の除去方法
  3. 更に、前記除去剤が、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の除去方法
  4. 前記アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩である請求項3に記載の除去方法
  5. 前記ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項3に記載の除去方法
  6. 前記アニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムである請求項2〜5のいずれか1項に記載の除去方法
JP2016239437A 2016-12-09 2016-12-09 高分子凝集剤の除去方法 Active JP6665078B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016239437A JP6665078B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 高分子凝集剤の除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016239437A JP6665078B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 高分子凝集剤の除去方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018095695A JP2018095695A (ja) 2018-06-21
JP6665078B2 true JP6665078B2 (ja) 2020-03-13

Family

ID=62634583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016239437A Active JP6665078B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 高分子凝集剤の除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6665078B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018095695A (ja) 2018-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2002243492B2 (en) Quick inverting liquid flocculant
CN101348295B (zh) 湿式喷漆室循环水的处理方法
AU2002243492A1 (en) Quick inverting liquid flocculant
CN101128565A (zh) 使用阴离子共聚物制剂进行渗流控制的方法
US20100170856A1 (en) Improvement separation of solids from liquids by the use of quick inverting and dispersing flocculants
JP6665078B2 (ja) 高分子凝集剤の除去方法
JP5940605B2 (ja) 高分子凝集剤
JP5199758B2 (ja) フロアーポリッシュ剥離汚水および洗浄汚水の処理方法
JP5867125B2 (ja) 含油洗浄廃水の凝集処理方法
JP2002126756A (ja) 廃液処理剤およびそれを用いた廃液処理方法
JP2015188846A (ja) 水処理剤及び水処理方法
CN105647662A (zh) 一种适用于检验科器械清洗的清洗液及制备方法
CA2939321A1 (en) Process for dewatering mineral tailings by the treatment of these tailings with at least one surfactant and at least one polymer
CN110709356A (zh) 螯合剂、其试剂盒以及使用螯合剂及其试剂盒的方法
JP2002086137A (ja) 床洗浄廃液処理剤、床洗浄廃液処理方法及び床洗浄廃液の再利用方法
JP2014180648A (ja) 高分子凝集剤
JP2003033604A (ja) 廃水処理剤
JP2005329302A (ja) 水性塗料廃棄処理用組成物
JP2023019641A (ja) 排水の再利用方法
JP6201161B2 (ja) アルカリ性洗浄廃液用水性凝集フロック化処理剤
JP2002119803A (ja) ベントナイト含有濁水処理凝集剤
JP2022144224A (ja) 排水処理方法及び排水処理装置
JP2012006004A (ja) 汚染水等の固化方法及び固化剤
JP2676840B2 (ja) 塗装ブース循環水の処理方法
JP2022079830A (ja) 水処理剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6665078

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250