JP6663836B2 - スタッドピン及びスタッドピンを備えた空気入りタイヤ - Google Patents

スタッドピン及びスタッドピンを備えた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、スタッドピン及びスタッドピンを備えた空気入りタイヤに関するものである。
従来、スタッドピンとして、平面視台形状のボディと、その上面から突出する片側が山型形状のピンとを備えた構成のものが公知である(特許文献1参照)。
国際公開第2014/122570号
しかしながら、前記従来のスタッドピンでは、タイヤへの保持性を改良するものでしかなく、それ自体の耐久性については全く考慮されていない。
本発明は、装着状態での保持性だけでなく、優れた耐久性を有するスタッドピン及びこのスタッドピンを備えた空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
空気入りタイヤのピン穴に装着されるスタッドピンであって、
軸心方向に延びる円柱状のボディと、
前記ボディの前記軸心方向の一端側から突出するシャフトと、
前記ボディの前記軸心方向の他端部に設けられ、前記軸心に直交する縦軸を中心として対称であると共に、前記軸心及び前記縦軸に直交する横軸を挟んで縦軸方向に非対称に形成される台座部と、
を備え、
前記台座部は、縦軸が前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿うように配置され、平面視で、前記縦軸方向の長さが、前記横軸方向の長さよりも長くなっており、
前記台座部は、平面視で、前記横軸によって分割される第1領域と第2領域とで構成され、
前記第1領域の外縁は、前記横軸方向の両側から前記縦軸に向かって傾斜する直線状の傾斜部と、前記一対の傾斜部それぞれの端部から前記横軸に向かって互いに平行に延びる一対の直線部とを有しており、
前記第2領域の外縁は、前記軸心を中心とする円弧状を備えており、
前記傾斜部と前記直線部との境界部分が角部で構成されていることを特徴とするスタッドピンを提供する。
この構成により、スタッドピンをタイヤのピン穴に装着した場合、ピン穴を構成する内面をボディの外面に密着させることができる。この結果、路面を走行する際にスタッドピンに力が作用したとしても、ピン穴から脱落しにくくなる(耐抜止性の向上)。また、台座部を横軸を中心として縦軸方向に非対称に形成しているので、ピン穴への装着方向によって、特定の方向への耐抜止性を向上できる。これにより、走行開始時、コーナリング時あるいは制動時に、トラクション性能、コーナリング性能あるいは制動性能を発揮させることが可能となる(エッジ性能の向上)。また、縦軸方向での耐抜止性を向上させることができる。
この構成により、傾斜部が形成された側では突出する中央部分の耐抜け性を向上させることができる。
前記ボディは、上端外縁部にテーパ面を有するのが好ましい。
この構成により、ドライ路面を走行する際に、ボディの路面に衝突する部分はテーパ面であり、その際に路面に作用する衝撃力を緩和することができる。したがって、路面割れ等の発生を抑制することが可能となる。
前記台座部は、平面視で、前記ボディから全周ではみ出すように形成されているのが好ましい。
この構成により、台座部による耐抜止性をさらに向上できる。
発明は、前記課題を解決するための手段として、
前記いずれかの構成のスタッドピンと、
トレッド部に形成され、前記スタッドピンが装着されるピン穴と、
を備えていることを特徴とする空気入りタイヤを提供する。
本発明によれば、ボディを円柱状とし、台座部を横軸を中心として縦軸方向に非対称に形成するようにしたので、耐抜止性を向上させつつ、特定方向でのエッジ性能を向上可能となる。
本実施形態に係るスタッドピンの斜視図である。 図1に示すスタッドピンの正面図である。 図1に示すスタッドピンの平面図である。 図1に示すスタッドピンを装着するタイヤのトレッド部の展開図である。 図4に示すピン穴の断面図である。 他の実施形態に係るスタッドピンの平面図である。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致するものではない。
図1及び図2は、本実施形態に係るスタッドピン1を示す。スタッドピン1は、アルミニウム、アルミニウム合金等を成形加工等により形成したもので、ボディ2と、このボディ2の下方側に続くシャンク3と、さらにその下方側に続く台座部4と、ボディ2の上面中央部に設けられるシャフト5とで構成されている。
ボディ2は、円柱状に形成されている。「円柱状」には、平面視で真円のものに限らず、多少変形した楕円等のほか、平面視で複数の線分で繋がった多角形状も含まれる。多角形状とする場合、線分の長さを十分に短くして、ピン穴26の内面にほぼ均一に密着するような円形に近いものとする必要がある。このように、用語「円柱状」は、平面視真円、楕円等の曲線で囲まれた図形、及び、短い線分で囲まれた多角形を含む図形の全般を意味し、要するにピン穴26を構成する内面との密着性が全面に亘って高められる形状であればよい。
また、ボディ2の上面外縁部はテーパ面7で構成されている。テーパ面7は、スタッドピン1を空気入りタイヤ(スタッドタイヤ)に装着し、路面を走行した際、路面に接触する最初の領域となる。テーパ面7を形成することにより、路面に対して集中荷重を発生させにくくなり、路面割れ等の不具合の発生を防止できる。
なお、ボディ2の平面視での形状を真円とした場合、その中心を通って長手方向に延びる直線が軸心(図心)である。この軸心の位置は、以下の台座部4やシャフト5でも同じである。また、軸心に直交して、図3中、左右方向に延びる直線が横軸、この横軸に直交して上下方向に延びる直線が縦軸である。
図3に示すように、台座部4は、平面視で、縦軸方向の最大長さaと横軸方向の最大長さbがa>bを満足する縦長形状に形成されている。台座部4の縦軸方向の一端側すなわち横軸を挟んで一方に位置する第1領域には、2つの傾斜部10によって三角形状に突出する突出部11が形成されている。突出部11は、平面視で、横軸を中心として縦軸方向の一方にのみ配置され、縦軸を挟んで左右対称となっている。また、傾斜部10が縦軸となす角度は90°未満に設定され、特に好ましい角度は45°である。各傾斜部10の下端部から横軸に向かって互いに平行となる直線部9が延びている。これにより、第1領域には斜め方向に拡張された部位(拡張部)が形成される。台座部4の縦軸方向の一端側すなわち横軸を挟んで他方に位置する第2領域には、円弧部12aによって囲まれた半円部12が形成されている。このように、第1領域と第2領域とは、横軸を中心として非対称な形状となるように形成されている。但し、第1領域と第2領域との関係は前記形状には限定されないが、a>bを満足する縦長形状に形成されているのが好ましい。なお、台座部4の外縁部下面にはテーパ面13が形成されている。
シャフト5は、平面視奇数角形(ここでは、五角形)をした第1突部14を備えている。第1突部14の1つの辺(エッジ)を含む第1エッジ部15は、ボディ2の側面6と平行な平面である。第1エッジ部15は、ボディ側エッジ部8aの長さよりも短く設定されている。また、第1エッジ部15に隣接する両側の第2エッジ部16及び第3エッジ部17は、台座部4の円弧部分に対向している。さらに、第2エッジ部16に隣接する第4エッジ部18と、第3エッジ部17に隣接する第5エッジ部19は、台座部4の各傾斜部10に対向している。
第1突部14の上面には第2突部20が形成されている。第2突部20は平面視矩形状で、その長辺の一方が第1突部14の第1エッジ部15と平行な第6エッジ部21となっている。但し、第2突部20の他のエッジ部(第7エッジ部22、第8エッジ部23及び第9エッジ部24)は第1突部14の他のエッジ部とは延びる方向が相違している。
また、シャフト5は、その軸心がボディ2の軸心と合致するように設けられている。これにより、ボディ2の外縁からシャフト5までに全方位で十分な距離を確保することができる。また、第1突部14に比べて第2突部20のエッジ部の数を少なくしている。具体的に、第1突部14では5箇所、第2突部20では4箇所としている。さらにここでは、シャフト5の高さを0.5mm以上、2.5mm以下としている。0.5mm未満では、シャフト5としての機能を十分に発揮できないからであり、2.5mmを超えると、ボディ2よりも先にシャフト5が接地してしまい損傷しやすいからである。また、第1突部14に対する第2突部20の高さの比率を10%以上、80%以下としている。10%未満では、第2突部20のエッジ効果が不十分であり、80%を超えると、第1突部14のエッジ効果を十分に発揮できなくなる。
このようにシャフト5を2段で形成することにより、エッジ長さの総計を大きくすることができ、十分なエッジ効果を発揮させることができる。しかも、路面には第1突部14と第2突部20の種々の方向に延びるエッジが衝突することになり、直進方向のみならず、コーナリング時等、種々の方向に対してエッジ効果を発揮させることができる。なお、シャフト5は3段以上で構成することも可能である。
前記構成のスタッドピン1は、図4に示すように、スタッドタイヤのトレッド部25に形成したピン穴26に装着して使用する。ピン穴26は、図5に示すように、同一内径の小径部27と、その先端の拡径部28とで構成されている。ピン穴26へのスタッドピン1の装着作業は、ピン打ち込み装置(図示せず)によって自動的に行う。この場合、台座部4の形状を円形等の点対称な形状ではなく、前述のような縦長の異形状としているため、その方向を容易に把握してピン穴26へと正確に装着することができる。ここでは、シャフト5の第1側面がタイヤ蹴出側で、タイヤ周方向に直交してタイヤ幅方向に延びるように位置決めする。この状態では、トレッド部25の表面からスタッドピン1のボディ2の上端部(テーパ面7)よりも上の部分が露出する。
このようにスタッドタイヤに装着されたスタッドピン1によれば、走行する際、まずボディ2の上端外縁部分が路面に衝突する。ボディ2の上端外縁部分にはテーパ面7が形成されている。このため、ボディ2の上端外縁部分が路面に衝突しても、路面への単位面積当たりの衝撃力を抑制することができる。この結果、ドライ路面を走行する場合であっても、路面割れ等の不具合の発生を回避可能となる。また、ボディ2自身は、円柱状に形成されているので、路面への衝突に対して十分な強度を有し、長期に亘って使用しても損傷しにくい(耐久性を有する)。
続いて、シャフト5が路面に衝突する。この場合、ボディ2とシャフト5との間には十分な距離が確保されている。このため、路面にボディ2が衝突する前にシャフト5が衝突することが回避される。これにより、路面衝突時のシャフト5の損傷を防止することができる。
また、路面に衝突するシャフト5は、2段で構成され、周囲の尖った辺の方向が第1突部14と第2突部20とで1箇所を除いて相違している。したがって、そのエッジ効果を十分に発揮させることができる。すなわち、直進であれば、第1エッジ部15が路面(氷面)に作用する。また、カーブを走行するコーナリング時であれば、第2エッジ部16又は第3エッジ部17が路面に対する横ずれを防止する。さらに、ブレーキを踏んだ際には、第4エッジ部18及び第5エッジ部19が路面に対して制動力を作用させる。
このとき、スタッドピン1には、ボディ2やシャフト5を介してピン穴26から脱落させるような力が作用する。スタッドピン1では、ボディ2よりも小径となったシャンク3と、これに続くボディ2よりも大径となった台座部4とを備えており、その脱落が有効に防止される。特に、ボディ2は円柱状に形成されており、ピン穴26を構成する内面と密着するので、抜止効果が高められる。また、台座部4は、平面視でボディ2の全周から外側に広がるように形成されているので、この点でも抜止効果が高められる。その上、台座部4は横軸長さに比べて縦軸長さが長く形成されているので、走行開始時と制動時に路面から作用する力に対して有効に抜止効果を発揮させることができる。また、台座部の直線部9と傾斜部10の境界部分及びその近傍部分がコーナリング時の抜止効果を高める。
ボディ2及び台座部4の平面視形状が円形の比較例、及び、図1から図3に示す実施例のスタッドピンを使用して抜止性及びエッジ性能について試験を行った。テストタイヤとして、タイヤサイズ:195/65R15、空気圧Fr/Re:220/220(kPa)を使用した。抜止性試験では、ピン穴26に装着したスタッドピン1にワイヤを接続し、前後、斜め及び横方向に一定速度で引っ張った。引っ張り力を徐々に大きくし、スタッドピン1がピン穴26から抜けたときの引っ張り力で評価した。エッジ性能試験では、テストタイヤをテスト車両(1500cc、4WDミドルセダン車)に装着してアイス路面を走行し、エッジ性能(駆動性能、制動性能及び旋回(コーナリング)性能)を評価した。エッジ性能の評価では、比較例1の場合を100として実施例1から9を指数評価した。駆動性能については、アイス路面において停止状態から走行距離が30mに到達するまでの経過時間により評価した。制動性能については、速度40km/hでABS(Antilock Brake System)により制動力を作用させたときの制動距離で評価した。旋回性能については、同じく速度40km/hで旋回した際の旋回半径で評価した。
評価結果は、表1に示す通りである。
Figure 0006663836
このように、実施例では、縦長の非対称形状をした台座部4により全ての方向に対する抜止性を向上させることができた。また、シャフト5では、各辺エッジ部により、エッジ効果の全ての項目で優れた効果を発揮した。このエッジ効果は、2段にすることにより、エッジ部の方向を自由に設定することができたことと、エッジ部を長くすることができたこととがその要因である。
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
前記実施形態では、タイヤの蹴出側に、シャフト5の第1突部14の第1エッジ部15を、タイヤ周方向と直交してタイヤ幅方向に延びるように配置したが、タイヤの踏込側に配置するようにしてもよい。これによれば、第1エッジ部15により制動力を作用させやすくなる。
前記実施形態では、シャフト5を平面視奇数角形としたが、1つの直線部と、それ以外の円弧部とで構成することも可能である。この場合、円弧部は、直線部よりも長さの短い複数の線分で繋がった略円弧状とするようにしてもよい。
前記実施形態では、台座部4に、平面視で、互いに平行となる直線部9を形成するようにしたが、傾斜部10には円弧部12aのみが連続するように形成するようにしてもよい。また、直線部9が円弧部12aとは曲率半径が相違する別の円弧部で構成されていてもよい。これによっても、傾斜部10と円弧部12a又は別の円弧部の接続部分に角部が形成され、抜止効果を発揮させることができる。
前記実施形態では、台座部4の第2領域は円弧部12aのみで構成するようにしたが、図6に示すように、第2領域に、横軸と平行となる直線部12bを形成するようにしてもよい。また、シャフト5は、図3に示すものとは軸心を中心として180度回転させた構成となっている点でも相違する。この構成によれば、直線部12bが回転方向に作用する力に対して位置ずれを効果的に防止することができる。
1…スタッドピン
2…ボディ
3…シャンク
4…台座部
5…シャフト
7…テーパ面
9…直線部
10…傾斜部
11…突出部
12…半円部
12a…円弧部
13…テーパ面
14…第1突部
15…第1エッジ部
16…第2エッジ部
17…第3エッジ部
18…第4エッジ部
19…第5エッジ部
20…第2突部
21…第6エッジ部
22…第7エッジ部
23…第8エッジ部
24…第9エッジ部
25…トレッド部
26…ピン穴
27…小径部
28…拡径部

Claims (4)

  1. 空気入りタイヤのピン穴に装着されるスタッドピンであって、
    軸心方向に延びる円柱状のボディと、
    前記ボディの前記軸心方向の一端側から突出するシャフトと、
    前記ボディの前記軸心方向の他端部に設けられ、前記軸心に直交する縦軸を中心として対称であると共に、前記軸心及び前記縦軸に直交する横軸を挟んで縦軸方向に非対称に形成される台座部と、
    を備え、
    前記台座部は、縦軸が前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿うように配置され、平面視で、前記縦軸方向の長さが、前記横軸方向の長さよりも長くなっており、
    前記台座部は、平面視で、前記横軸によって分割される第1領域と第2領域とで構成され、
    前記第1領域の外縁は、前記横軸方向の両側から前記縦軸に向かって傾斜する直線状の一対の傾斜部と、該一対の傾斜部それぞれの端部から前記横軸に向かって互いに平行に延びる一対の直線部とを有しており、
    前記第2領域の外縁は、前記軸心を中心とする円弧状を備えており、
    前記傾斜部と前記直線部との境界部分が角部で構成されていることを特徴とするスタッドピン。
  2. 前記ボディは、上端外縁部にテーパ面を有することを特徴とする請求項1記載のスタッドピン。
  3. 前記台座部は、平面視で、前記ボディから全周ではみ出すように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスタッドピン。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載のスタッドピンと、
    トレッド部に形成され、前記スタッドピンが装着されるピン穴と、
    を備えていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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