JP6663046B2 - 電気活性ポリマアクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、電気活性ポリマアクチュエータ(electroactive polymer actuator)に関する。
電気活性ポリマ(EAP)は、電気応答材料の分野における新興のクラスの材料である。EAPは、センサ又はアクチュエータとして機能することができ、様々な形状に容易に製造されることができ、多種多様なシステムへの容易な統合を可能にする。
過去10年に亘って有意に改良された作動応力(actuation stress)及びひずみ(strain)のような特性を備える材料が開発されている。技術リスクは製品開発についての許容レベルまで低下しているので、EAPは商業的及び技術的に関心を高めている。EAPの利点は、低電力、小さいフォームファクタ、柔軟性、ノイズのない動作、精度、高分解能の可能性、高速応答時間、及び周期作動を含む。
EAP材料の改良された性能及び特別な利点は、新しい用途への適用性を生じさせる。
EAPデバイスは、電気作動に基づいて、コンポーネント又は構成の少量の動きが望まれる、あらゆる用途において使用されることができる。同様に、その技術は小さな動きを感知するためにも使用されることができる。この発明は、特にアクチュエータに関する。
EAPの使用は、一般的なアクチュエータと比較して、小さな容積又は薄いフォームファクタにおける比較的大きな変形及び力の組み合わせの故に、以前は可能でなかった機能を可能にし、或いは一般的なアクチュエータ解決策に対する大きな利点を提供する。EAPは、ノイズのない動作、正確な電子制御、高速応答、及び0〜1MHz、最も典型的には20kHzより下のような、可能な限り広範囲の作動周波数ももたらす。
電気活性ポリマを使用するデバイスを電界駆動材料(field-driven material)及びイオン性駆動材料(ionic-driven material)に細分することができる。
電界駆動EAPの例は、圧電ポリマ、(PVDFベースのリラクサポリマのような)電歪ポリマ及び誘電エラストマを含む。他の例は、電歪グラフトポリマ、電歪ペーパー、エレクトレット、電気粘弾性エラストマ及び液晶エラストマを含む。
イオン性駆動EAPの例は、共役/導電性ポリマ、イオン性ポリマ金属複合材(IPMC)及びカーボンナノチューブ(CNT)である。他の例は、イオン性ポリマゲルを含む。
電界駆動EAPは、直接的な電気機械結合を通じて電界(電場)によって作動させられる。それらは、通常、高い電界(1メートル当たりのボルト)を必要とするが、低い電流を必要とする。ポリマ層は、通常、駆動電圧を可能な限り低く維持するために薄い。イオン性EAPは、イオン及び/又は溶媒の電気誘導輸送によって活性化される。それらは、通常、低い電圧を必要とするが、高い電流を必要とする。それらは液体/ゲル電解質媒体を必要とする(しかしながら、幾つかの材料系は、固体電解質を使用しても動作することができる)。
両方のクラスのEAPは複数のファミリー部材(family members)を有し、各家族部材はそれらの独自の利点及び不利点を有する。
電界駆動EAPの第1の注目すべきサブクラスは、圧電ポリマ及び電歪ポリマである。従来的な圧電ポリマの電気機械的性能は限定的であるが、この性能を向上させる突破口は、自発的な電気分極(電界駆動アライメント)を示すPVDFリラクサポリマをもたらした。これらの材料は、ひずみ方向における性能の向上ために予め歪まされることができる(事前ひずみは、より良い分子アライメントをもたらす)。通常、金属電極が使用される。何故ならば、ひずみは、通常、中程度の体制(regime)(1〜5%)にあるからである。(導電性ポリマ、カーボンブラックベースのオイル、ゲル又はエラストマなどのような)他の種類の電極も使用することができる。電極は連続的であることができ、或いはセグメント化されることができる。
電界駆動EAPの他の関心のサブクラスは、誘電エラストマである。 この材料の薄膜をコンプライアント電極の間に挟装して平行な平板コンデンサを形成してよい。誘電エラストマの場合、印加される電界によって誘発されるマクスウェル応力は、膜に応力を引き起こし、膜の厚みを収縮させて面積を拡大させる。ひずみ性能は、典型的には、エラストマに予めひずみを加えることによって拡大される(事前ひずみを保持するフレームを必要とする)。ひずみは相当である(10〜300%)であることができる。これは、使用することができる電極の種類も制約する。即ち、低ひずみ及び中程度のひずみについては、金属電極及び導電性ポリマ電極を考慮することができ、高ひずみ体制については、カーボンブラックベースのオイル、ゲル又はエラストマが典型的に使用される。電極は連続的であることができ、或いはセグメント化されることができる。
イオン性EAPの第1の注目すべきサブクラスは、イオン性ポリマ金属複合材(IPMC)である。IPMCは、2つの薄い金属又は炭素ベースの電極間に積層された溶媒膨潤イオン交換ポリマ膜からなり、電解質の使用を必要とする。典型的な電極材料は、Pt、Gd、CNT、CP、Pdである。典型的な電解質は、Li+及びNa+水ベース溶液である。電界が印加されると、陽イオンは、典型的には、水と共にカソード側に移動する。これは親水性クラスタの再構成及びポリマ膨張をもたらす。カソード領域におけるひずみは、ポリママトリックスの残部に応力をもたらし、アノードに向かう曲げを引き起こす。印加電圧を逆転させると、曲げが逆転する。よく知られたポリマ膜は、Nafion(登録商標)及びFlemion(登録商標)である。
イオン性ポリマの他の注目すべきサブクラスは、共役/導電性ポリマである。共役ポリマアクチュエータは、典型的には、共役ポリマの2つの層によって挟装された電解質からなる。電解質は、酸化状態を変えるために使用される。電解質を通じてポリマに電位が印加されると、ポリマに電子が加えられ或いはポリマから電子が取り除かれ、酸化及び還元させる。還元は収縮をもたらし、参加は膨張をもたらす。
幾つかの場合には、ポリマ自体が(次元的に)十分な導電性に欠くときに、薄膜電極が追加される。電解質は、液体、ゲル又は固体材料(即ち、高分子量ポリマ及び金属塩の複合体)であり得る。最も一般的な共役ポリマは、ポリピロール(PPY)、ポリアニリン(PANi)及びポリチオフェン(PTh)である。
アクチュエータは、電解質中に懸濁されたカーボンナノチューブ(CNT)から形成されてもよい。電解質はナノチューブと二重層を形成し、電荷の注入を可能にする。この二重層電荷注入は、CNTアクチュエータの主なメカニズムと考えられている。CNTは、CNTに注入される電荷を備える電極キャパシタとして作用し、次に、CNTは、CNT表面への電解質の移動によって形成される電気二重層によって均衡させられる。炭素原子に対する電荷を変化させることは、C−C結合長の変化をもたらす。その結果、単一のCNTの膨張及び収縮を観察することができる。
図1及び図2は、EAPデバイスの2つの可能な動作モードを示している。
デバイスは、電気活性ポリマ層14の両側にある電極10,12の間に挟装居された電気活性ポリマ層14を含む。
図1は、クランプされていないデバイスを示している。図示のように、電圧を使用して電気活性ポリマ層を全方向に膨張させる。
図2は、膨張が1つの方向のみに生じるように設計されたデバイスを示している。デバイスは、キャリア層16によって支持されている。電圧を使用して電気活性ポリマ層を湾曲させるか或いは撓ませる。
全体的に、電極、電気活性ポリマ層、及びキャリアは、全体的な電気活性ポリマ構造を構成すると考えられてよい。
この動きの性質は、例えば、作動させられると膨張する活性層と受動キャリア層との間の相互作用から生じる。図示のように軸の周りで非対称の湾曲を得るために、例えば、分子配向(フィルムの延伸)を適用して、一方向における動きを強制してよい。
一方向における膨張は、EAPポリマの非対称性に起因することがあり、或いはそれはキャリア層の特性における非対称性に起因することがあり、或いはそれらの両方の組み合わせに起因することがある。
故に、EAPの電気刺激によって誘導される形態の変化は、多くの有用な用途を有する。しかしながら、材料の刺激は、アクチュエータデバイスによって示される複素インピーダンスの変化を伴う。より具体的には、リアクタンスiXcは、EAP(層)の厚さの誘導減少に実質的に起因して、その値を変化させる。
EAPリアクタンスに対する最大の影響は、入力容量である。EAPアクチュエータを(多層)平板コンデンサとしてモデル化すると、キャパシタンス(静電容量)は以下のように近似させられる。
Figure 0006663046
ここで、Cは、入力容量、nは、内部活性EAP層の数、εは、真空の誘電率、εは、EAP材料の比誘電率、a及びbは、EAP層の長さ及び幅(したがって、a×b=層の表面積)、そして、dは、EAP層の厚さである。長方形でない層について、a、bは、EAP層の表面積を表す均等の適切な表現と置き換されてよい。
EAP層が電気的に刺激されると、厚さdは減少させられる。横方向寸法a及びbも同時に膨張する(即ち、より一般的には、表面積は拡大している)。結果的に、キャパシタンスが増加する。図3は、例示的なEAP層についてのキャパシタンス(y軸)と印加DC電圧(x軸)との間の関係を例示している。描写されたグラフに示されるように、0Vから250Vまでの駆動電圧の範囲に亘って、約78%の入力容量の総増加が観察される。
本発明の発明者は、印加電圧の関数としてのEAP層のキャパシタンスの上述の変動がアクチュエータデバイスの電子動作に有意な複雑性を加えることを観察さした。何故ならば、変化するキャパシタンスは、適用される電気信号内で補償されなければならず、より複雑な駆動エレクトロニクスを必要とするからである。これは変形が起こるときにリアルタイムでEAP層に供給される電圧又は電流を調整することを必要とすることがあり、或いは、デバイスが(「サンプルアンドホールド」駆動スキームを使用して)一度だけ充電される場合には、それは結果として生じるキャパシタンスの変化を前もって考慮し、相応して初期充電電圧を印加することを必要とすることがある。いずれの場合においても、この追加的な依存性を考慮することは、EAPアクチュエータデバイスのコスト、複雑性及びバルクを増やす、補助的な駆動エレクトロニクスを必要とする。
この複雑性を一層大きくすることは、電気的に刺激されるEAP層の更なる特徴的な挙動であり、EAP材料はその最終たわみ位置に達する際に遅延又は遅れを示す。これは、2つの異なる例示的な電圧、即ち、120V(24)及び200V(26)で刺激された例示的なEAP材料についてのEAP層たわみ(y軸)と時間(x軸)との間の関係を示す、図4に示されている。たわみ(deflection)は、μmで示されており、時間は、秒で示されている。
40秒の期間の後でさえも、EAP層は120V刺激又は200V刺激のいずれについてもその最終たわみに達していないことをグラフから観察することができる。加えて、遅延の程度は、より高い駆動電圧についてより大きくなる。
示される遅延の少なくとも一部は、本質的に非常に遅いポリマの本質的な物理的緩和プロセスに単に起因する。しかしながら、遅延は、上述のキャパシタンス−変形関係によって悪化させられる。EAP層が最終的なたわみ位置に徐々に近づくにつれて、層に亘るキャパシタンスは相応して増加し続ける。次いで、これは電気活性ポリマ材料又は誘電体の継続的な充電を必要とし、次に、それ自体がEAPの更なるたわみをもたらす(何故ならば、EAP層に亘る電界の強度が増大させられるからである)。
この挙動の更なる不利点は、非定容量性負荷(non-constant capacitive load)の必要な電気的駆動である。変化するキャパシタンスの故に、EAPアクチュエータが初期起動後に充電されることが必要であるだけでなく、デバイスの入力容量が増加するにつれて充電を増大させるために、更なる電流が連続的に供給されることも必要である。これはより複雑な駆動エレクトロニクスを必要とする。
これは、EAPアクチュエータが、例えば、EAPアレイのマトリクスアドレス指定において使用される種類の、「サンプルアンドホールド(sample and hold)」駆動スキームに従ってアドレス指定されているならば、特に重要である。そのようなスキームでは、EAPは、一時的に電圧源に接続されるに過ぎず(電圧は「サンプリングされる(sampled)」)、次に、駆動時間の大部分に亘って絶縁される。EAPは、この場合、一定量の電荷を単に「保有している(holding)」。この場合、駆動中のキャパシタンスのあらゆる変化は、デバイスに亘って印加される「誤った」(又は意図されない)最終電圧、故に、間違った最終的な変形をもたらす(何故ならば、キャパシタンスが固定電荷について変化すると、電圧も変化するからである)。
上述の不利点に鑑みて、本発明者は、電気的に刺激される作動を提供することができるEAPアクチュエータデバイスの必要を確認した。その場合、変形依存キャパシタンスと関連付けられる付随する複雑さは改善又は回避される。
独立項によって定義される本発明は、前述の必要を実現することを目的とする。従属項は、有利な実施形態を定める。
従って、本発明のある態様によれば、アクチュエータ部材に亘るキャパシタンスを示すアクチュエータ部材が提供され、アクチュエータ部材は、以下の構成を含む。
印加電界の大きさに依存して変形するように構成される電気活性ポリマ材料。
アクチュエータ部材の変形によって引き起こされるキャパシタンスの変化を少なくとも部分的に相殺(オフセット)するように構成されるキャパシタンス補償手段。
本発明は、アクチュエータ部材自体の固有の電気特性を適合させることによって、「事前に(in advance)」作動状態でキャパシタンスの既知の変化を補償する原理に基づいている。アクチュエータが刺激されて変形するに応じて誘発されるあらゆる変動を部分的に又は完全に補正又は相殺(オフセット)するために、アクチュエータ部材に亘って示されるキャパシタンスを操作又は変更するように設計される、キャパシタンス補償手段を有する、アクチュエータ部材が提供される。キャパシタンス補償手段は、アクチュエータ部材の変形によって引き起こされるキャパシタンスの変化を少なくとも部分的に相殺するために、アクチュエータ部材のキャパシタンスにおける調整をもたらすように構成される。その結果は、その変形の程度に拘わらず実質的に均一又は一定のキャパシタンスを示すように構成されるアクチュエータ部材である。これはアクチュエータが(図4に例示する)最終たわみ位置に達する際の遅延(delay)又は遅れ(lag)が有意に減少させられる場合もあることを意味します。
キャパシタンス補償手段は、多種多様な異なる形態を取ってよい。しかしながら、一般的には、キャパシタンス補償手段は、アクチュエータ部材の構造に組み込まれるときに、アクチュエータ部材に亘って示されるキャパシタンスと、アクチュエータの変形の程度、アクチュエータに亘る印加電界の大きさ、及びアクチュエータ部材の活性外面に対する印加電化のうちの1以上(1つ又はそれよりも多く)との間の、観察可能な傾向又は関係を変化させる効果を有する、電気特性を有する1以上の材料の使用を含む。具体的には、本発明の実施形態は、変形、電界及び/又は印可電荷で観察可能な変化を示さないキャパシタンスを実現するように構成される、キャパシタンス補償手段を含んでよい。
「相殺する(offset)」という用語は、例えば、「反作用する(counteract)」、「補償する(compensate)」又は「対置する(counter-pose)」という意味において使用され、キャパシタンス補償手段が、キャパシタンスを、電気的に誘発された変形又は印加された電界が存在しないときにあるであろうレベルに部分的又は完全に戻すことを単に暗示することを意図する。キャパシタンス補償手段は、キャパシタンスを設定された一定の値に完全に又は実質的に維持又は保持するという効果を有することがある。
少なくとも一組の実施形態によれば、キャパシタンス補償手段は、アクチュエータ部材の少なくとも一部分の比誘電率を減少させることによってキャパシタンスの変化を相殺(オフセット)するように構成される。
キャパシタンスは、比誘電率εに正比例するので(上記の方程式1を参照)、アクチュエータの少なくとも一部分の比誘電率を減少させることによって、少なくともその部分に亘って示されるキャパシタンスは減少させられる。キャパシタンス補償手段は、例えば、アクチュエータの変形によって誘発されるキャパシタンスの変化と一致して変化する大きさの示される比誘電率(exhibited relative permittivity)の減少をもたらすように構成されてよい。
キャパシタンス補償手段は、例えば、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増加、アクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上に依存して、アクチュエータ部材の比誘電率の減少を誘発するように構成されてよい。この示される依存性は、(補償手段がない場合の)アクチュエータ部材のキャパシタンスと、印加電界の増大する大きさの増加、印加電荷の増加、及びアクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上との関係と完全に又は部分的に一致することがある。
少なくとも一組の例によれば、キャパシタンス補償手段は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及びアクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上に応答して、補償材料に亘るキャパシタンスの減少を独立して示す、補償材料を含んでよい。
この依存性は、(補償手段がない場合の)アクチュエータ部材のキャパシタンスと、それらの3つの特性のキャパシタンスとの間に示される関係と完全に、実質的に、又は部分的に一致することがある。
より具体的には、キャパシタンス補償手段は、実効比誘電率の減少を独立して示す補償材料を含んでよい。
この場合、補償材料は、それ自体で、前記変数の1以上に依存して変化する実効比誘電率を示す。この材料がアクチュエータ部材の本体内に組み込まれるとき、この依存性は、アクチュエータ部材の変形によって引き起こされるキャパシタンス変化を完全に又は部分的に相殺するようにキャパシタンスの対応する変更をもたらすような、依存性であってよい。
この組の例によれば、キャパシタンス補償手段は、補償材料で形成される複数の粒子を含み、それらの粒子は、電気活性ポリマ材料内に埋め込まれる。埋め込まれる粒子は、アクチュエータ部材に亘る全体的な示されるキャパシタンス及び/又は比誘電率を変更する或いはバイアスをかける効果を有してよい。
キャパシタンス補償手段は、電気活性ポリマ材料の少なくとも一部分を被覆する、補償材料で形成される被膜(coating)を含んでよい。これはそれ自体で或いは上述の埋め込まれる粒子との組み合わせにおいて提供されてよい。被膜は、デバイスに亘る全体的な示されるキャパシタンスがアクチュエータ部材の変形に拘わらず実質的に一定であるよう、キャパシタンス(又は比誘電率)の示される挙動に影響を及ぼす、それにバイアスをかける、或いはそれを変化させるという類似の効果を有することがある。
アクチュエータ部材は、少なくとも、電気活性ポリマ材料の第1の層と、少なくとも、補償材料を含む第2の層とを含んでよい。補償材料の少なくとも第2の層は、EAP材料層に直接的に結合されてよく、或いはEAP材料層に少なくとも隣接して配置されてよい。それはアクチュエータ部材の全体的な示されるキャパシタンス又は比誘電率にバイアスをかける或いはそれを変更するという効果を有することがある。
少なくとも更なる組の例によれば、キャパシタンス補償手段は、電気活性ポリマ材料と混合物又は複合材を形成する材料を含んでよく、混合物又は複合材は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及びアクチュエータ部材の機械的変形のうちの1つ又はそれよりも多くに応答して、混合物又は複合材に亘るキャパシタンスの減少又は比誘電率の減少を示す。
この組の例に従った補償手段は、それ自体で、補償電気特性、例えば、アクチュエータの変形に依存して変化するキャパシタンス又は実効比誘電率を示すことがあり、或いは示さないことがある。しかしながら、複合材又は混合物を形成するためにEAP材料と組み合わせられるときに、結果として得られる複合材又は混合物は望ましい電気特性を示す。
混合物又は複合材は、変形、印加電荷、又は印加電界に依存して減少する比誘電率を示すことがある。その場合、これは補償手段がない場合に変形によって生じるキャパシタンス変動を相殺することがある。混合物又は複合材は、例えば、印加電界又は印加電荷に伴って変化する傾向を有するキャパシタンスを固有に示すことがあるので、このキャパシタンス変動は、変形によって引き起こされる変動と結合して、それを実質的に無効にするか或いは打ち消すことがある。
全ての場合において、この組の例によれば、アクチュエータ部材は、混合物又は複合材の1以上の層を含んでよく或いは混合物又は複合材の1以上の層で構成されてよい。
アクチュエータ部材は、代替的に又は追加的に、少なくとも、電気活性ポリマ材料の第1の層と、少なくとも、混合物又は複合材で形成される第2の層とを含んでよい。
上述の例及び実施形態のうちのいずれかによれば、アクチュエータ部材の少なくとも一部分の比誘電率を恒久的に変更するように構成される誘電率バイアス材料(permittivity biasing material)がアクチュエータ部材に含められてよい。「恒久的に変更する(permanently alter)」とは、アクチュエータ部材の1以上の部分によって示される比誘電率に恒久的な(静的な)オフセット(相殺)又はバイアスを誘発するか或いはもたらすことを意味する。
誘電率バイアス材料は、例において、電気活性ポリマ材料及びキャパシタンス補償材料(又はキャパシタンス補償混合物又は複合材)のうちの1以上と組み合わせられてよい。これは、材料を混合することによって或いは多層アクチュエータ部材内にバイアス材料の層を提供することによって達成されることがある。これらの場合におけるバイアス材料は、比誘電率の如何なる電界/電荷/変形依存性をも妨げるものでなく、比誘電率がより高い又はより低いレベルで始まり、より高い又はより低いレベルで終了するよう、単に固定的なバイアス又はオフセットを課す。
特定の例において、バイアス材料は、電気活性ポリマのベースライン比誘電率又は静的な比誘電率を直接的に変更するために、少なくとも電気活性ポリマ材料と混合されてよく或いは組み合わされてよい。
固定的な誘電率バイアス又はオフセット(相殺)を課す効果は、アクチュエータ部材が機械的に応答する電界強度の範囲を変更させることである場合がある。ベースライン比誘電率を静的に増加させることによって、電気活性ポリマ材料は、より低い範囲の電界強度で応答することになることがある(即ち、より低い電圧電気刺激に応答して変形することがある)。これはさもなければ高い電圧の提供又は印加が非現実的又は望ましくない場合に有利なことがある。例えば、そのような適合は、自己補償EAPアクチュエータがより低い電圧回路内に組み込まれることを可能にすることによって、自己補償EAPアクチュエータの可能な用途又は実装の範囲を増大させることがある。
加えて、特定の潜在的な補償材料は、特定の範囲の印加電界強度でのみ或いは特定の範囲の印加電界強度に亘ってのみ所望の電界依存誘電率を示すことがある。適切な誘電率バイアス材料をアクチュエータ部材に導入することによって、アクチュエータが応答する電界強度の範囲は、補償材料が所要の電界依存(比)誘電率を示す電界強度の範囲に正確に一致するよう(先の段落において議論したように)変更されてよい。
アクチュエータ部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含んでよく、第1の層及び第2の層の各々は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及びアクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上に応答して減少する、キャパシタンス又は実効比誘電率を示すように構成されてよい。
その場合、各層は、異なる特定範囲の電界強度、印加電荷値、又は機械的変形に亘ってのみ、減少するキャパシタンス又は実効比誘電率を示すように構成される。
より具体的な例において、この効果は、アクチュエータ部材の少なくとも一部分の比誘電率を恒久的に変更するように構成された誘電率バイアス材料を少なくとも第1及び第2の層のうちの1以上に組み込むことによって達成されることがある。
1つよりも多くの層を使用することによって、各層において補償を提供するために使用される特定の材料又は複合材が限定的な範囲の適用性のみを有する場合でさえも、キャパシタンス補償が広範囲の異なる作動状態及び電気刺激強度に亘って達成されることがある。その上、このような多層構造は、(図3に示す)キャパシタンスと印加電圧との間の対数のような関係が、より容易に、より安価に、より簡単に補償されることを可能にする。例えば、異なる材料又は補償手段が各層において使用されてよく、各々は特定のレベル又は大きさのキャパシタンスバイアス又はオフセットを提供する。アクチュエータがより一層大きな程度まで変形させられるにつれて連続的に活性化されるようになる異なるバイアスの大きさの複数の層を有するアクチュエータ構造を構成することによって、特定パターンの所要のキャパシタンス補償が容易に達成されることがある。
1以上の組の例によれば、アクチュエータ部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含んでよく、第1の層及び第2の層の各々は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及びアクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上に応答して減少する、キャパシタンス又は実効比誘電率を示すように構成されてよい。
各層は、印加電界の異なる特定範囲の周波数に亘ってのみ、減少するキャパシタンス又は実効比誘電率を示すように構成されてよい。
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に記載する。
クランプされていない既知の電気活性ポリマデバイスを示している。 裏当て層によって制約されている既知の電気活性ポリマデバイスを示している。 電気活性ポリマに亘って示されるキャパシタンスと印加電圧との間の関係を示している。 2つの異なる印加電圧に亘る時間の関数としての例示的な電気活性ポリマのたわみ(defection)を示している。 例示的なキャパシタンス補償材料についての印加電界の大きさと比誘電率との間の関係を示している。 第2の例示的なキャパシタンス補償材料についての印加電界の大きさと比誘電率との間の関係を示している。 キャパシタンス補償材料の埋め込まれた粒子を含む例示的なアクチュエータ部材を示している。 キャパシタンス補償材料の層と電気活性ポリマの層とを含む例示的なアクチュエータ部材を示している。 例示的なキャパシタンス補償複合材又は混合物の単一の層を含む例示的なアクチュエータ部材を示している。 例示的なキャパシタンス補償複合材又は混合物の層と電気活性ポリマの層とを含む例示的なアクチュエータ部材を示している。 2つの例示的なキャパシタンス補償層についての印加電界傾向線に対する比誘電率との間の関係を示している。
本発明は、その変形によって誘発される部材に亘るあらゆるキャパシタンスの変化を少なくとも部分的に相殺(オフセット)するように構成されたキャパシタンス補償手段を含む電気活性ポリマアクチュエータを提供する。このようにして、デバイスの電子制御は、より簡単にされる。何故ならば、アクチュエータ部材に亘る変化するキャパシタンスが、特定の変形を実行するためにアクチュエータを駆動するときに考慮される必要がないからである。
少なくとも1つの想定される一組の実施形態によれば、キャパシタンス補償は、アクチュエータ部材の実効(又は平均)比誘電率定数(又は誘電定数)εの操作又は変更によって達成される。特に、一組の実施形態によれば、アクチュエータ構造の全体的な実効比誘電率εの変動をa)印加電圧(applied electrical voltage)、b)部材の電荷板又は表面に対する印加電荷(impressed electric charge)、及びc)アクチュエータ部材の機械的変形のうちの1以上(1つ又はそれよりも多く)の関数として減少させ或いは除去するように構成される点において最新技術のEAPアクチュエータから区別される、自己補償EAPアクチュエータが提供される。
アクチュエータ部材の全体的又は平均的なεの変動を減少させることは、上述のa)、b)及びc)のうちの1以上の関数として減少する固有の誘電率値を独立して示す材料の組込みを通じて、少なくとも一組の例において達成される。これらの材料は、当然、これらの変数の関数として減少するキャパシタンスを示し、故に、さもなければ変形する電気活性ポリマによって示されるキャパシタンスの増加を補償し且つ少なくとも部分的に相殺するために使用されることができる。
しかしながら、EAPポリマが動作する(単位kHzの)典型的な周波数範囲で、増加する印加電圧又は印加電界(applied electric field)の大きさ(magnitude)を伴ってキャパシタンスの減少を示す材料は珍しい。静的な場合、全ての材料は、電圧(又は電荷状態)が増加すると(熱力学の第2の法則の故に)それらのキャパシタンスを増加させる傾向がある。
しかしながら、分子双極子の再配列の遅れ又は液晶の遅い回転のような動的要因の故に、特定の周波数範囲で動的キャパシタンスの減少を示すことができる、特定のクラスの材料が存在する。
特に(多層)セラミックコンデンサの分野において、非線形誘電性の影響が探究されている(例えば、Somiya, S. (2013). Handbook of Advanced Ceramics: Materials, Applications, Processing, and Properties. In Nonlinear Dielectricity of MLCCs (p. 415). Waltham: Academic Pressを参照)。
強い誘電非線形性を示すことが知られている材料の一例は、バリウム−ジルコニウム−チタン(BZT)である。BZTの比誘電率と印加AC電界の振幅との関係を図5に示す。図5では、(無次元の)比誘電率をy軸に表し、印加AC電界(kV/mm単位)の振幅をX軸に表している。10kHzの周波数を有するAC電界を印加した。
BZTの比誘電率εは初めにより低い電界強度で増加し、約0.28kV/mmの電界強度で約11750のピークに達することが、グラフから分かる。約0.3kV/mmを超えると、比誘電率は、増加する電界強度の関数として、値の明らかな低下を示す。
この材料(又は、例えば、セラミックスの分野において知られているような同様に挙動する材料)をEAPアクチュエータ部材の構造又は活性層に組み込むことは、全体的に(少なくともより高い電界強度及びより高いAC周波数について)アクチュエータ部材の実効(平均)比誘電率定数に対する影響を有する。
これに加えて、実効(平均)比誘電率を変更するのに適した材料の更なる例は、(Raju, G.G. (2003). Dielectrics in Electric Fields. New York: CRC Pressにおいて議論される)誘電材料の配向分極のためのランジュバン関数においてより高次の項を考慮することによって明らかにされることがある。その関数は、印加電界の方向における平均双極子モーメントμと、単一双極子の永久モーメントμとの間の以下の関係を記述する。
Figure 0006663046
ここで、x=μE/kT(E=電界強度、k=ボルツマン定数、及びT=温度)である。右側の式は、よく知られたランジュバン関数として認識可能である。
この式のより高次の項は、(MV/m以上のオーダの)高い電界強度でのみ関連するようになり、故に、典型的には電界強度>10V/μmで刺激される誘電性EAPの場合に特に関連する。しかしながら、それらは他の種類のEAPについても潜在的な適用性を有する。挙動は十分に高い電界強度で刺激された任意の適切な材料について保持される。
ランジュバン式のこれらのより高次の項を考慮することは、比誘電率が高い電界強度で減少することを示す。比誘電率の変化Δεは、以下のように表されることがある。
Figure 0006663046
ここで、Eは、電界強度、Nは、アボガドロ定数、μは、透磁率、Cは、定数、Vは、モル体積、Εは、真空誘電率、kは、ボルツマン定数、そして、Tは、温度である。
この効果を利用するのに適した材料の例は、一般的に同調可能なコンデンサのために使用されるチタン酸バリウムストロンチウム(BST)材料を含む。図6は、印加DC電界強度(x軸、単位kV/cm)の関数としてのBSTのサンプルの(無次元の)比誘電率(y軸)を例示する、グラフを示している。
BSTの比誘電率は電界強度の増加に伴って略線形に減少し、ゼロ印加電界での約2600の(このサンプルについての)最大値から約11kV/cmの印加電界強度での約1750の値まで減少することを、このグラフから見ることができる。反対の方向に印加される等価電界についても同じ関係が観察される。
上記で議論した例示的な比誘電率減少材料は、印加される電界強度の増加の関数としてキャパシタンス補償を提供する所望の効果を達成するために、数多くの方法においてアクチュエータ構造に組み込まれてよい。
図7は、本発明の1以上の実施形態に従ったアクチュエータ部材の第1の例を示している。その構造は、EAP層に亘る電界を構築するために第1の電極10及び第2の電極12によって取り囲まれた電気活性ポリマ(EAP)材料14の層を含む。EAP層内に埋め込まれているのは、上述の例のうちの1以上に従ったキャパシタンス補償材料の複数の無作為に分散させられた緩く埋め込まれた粒子34、又は電界強度(若しくは印加電荷若しくは機械的変形の程度)の増大に伴って比誘電率の減少を示す特性を有する任意の他の適切な材料である。
粒子34は、EAP層14を通じて実質的に均一に分散されてよい。これらの粒子の比誘電率は電界強度の増加の関数として減少する特性を有するので、それらは層14全体の実効(平均)比誘電率を下げる効果を有する。印加電界の関数としてアクチュエータ部材のキャパシタンスの固有の増加速度に実質的に一致する速度で低下する比誘電率を示す適切な材料を注意深く選択することによって、電界強度の関数として電極10,12間に実質的に一定の静電容量を示すアクチュエータを提供することが可能である。これはキャパシタンスが比誘電率に線形に依存することを示す方程式(1)に従う。
比誘電率の所要の変化速度を有する材料が選択されてよく、或いは(一般的に上記で議論したクラスの)材料が所要の精密な変化速度を有するよう特別に製造又は合成されてよい。
図8は、1以上の実施形態に従った第2の例のアクチュエータ部材を示している。その構造は、第1の電極10及び第2の電極12を含み、それらの間には、電気活性ポリマ(EAP)材料の第1の層14及び上記で議論した例に従ったキャパシタンス補償材料の第2の層38又は印加電界(若しくは印加電荷若しくは機械的変形の程度)に対する比誘電率の類似の依存性を示す他の材料が配置される。
図7の例におけるように、補償材料層は、電界強度の増加に伴いアクチュエータ部材構造の全体的な実効(平均)比誘電率を低下させる効果を有する。
図示の例において、EAP層14及び補償材料層38は互いに直接的に結合されている。しかしながら、代替的な例において、これらの層は誘電体層のような適切な界面層によって分離されてよい。
単一のEAP層14及び単一の補償材料層38のみが図8の例示的なアクチュエータに設けられているが、更なる例では、複数の各種類の層が設けられてよい。これらは、2つの層の種類の比誘電率の最大の混成(ブレンド)を達成するために、例えば、交互に配置されてよい。
上記に代えて或いは加えて、更なる例に従って、適切なキャパシタンス補償材料で形成された被膜を有する少なくとも1つのEAP層を含むアクチュエータ部材が提供されてよい。被膜はEAP層の頂面及び底面のみを被覆してよく、或いは層の(側面を含む)全ての外面を被覆してよい。被覆層は、印加電界強度(又は印加電荷又は機械的変形の程度)の関数としてアクチュエータ構造全体の比誘電率を変化させる、図8の例における平行層38と類似の効果を有する。
上記の記述及び説明では、印加電界強度に伴って変化する比誘電率を示す材料が記載されているが、これらの材料は他の変数と共に変化することも理解されるべきである。EAPアクチュエータの場合、アクチュエータ部材の変形の程度は、印加電界強度の関数として自然に増加する。故に、上記材料は、アクチュエータ部材の機械的変形の程度の関数として変化することも理解されてよい。加えて、クーロンの法則によって、電界強度は、印加電荷の総量に伴って線形に増加するので、これらの材料は電極10,12に対する印加電荷の量に伴って変化することも理解されてよい。
機械的変形の程度及び印加電荷の一方又は両方に関して直接的に示されるキャパシタンス又は比誘電率のいずれかにおいて変化する特性を有する他の材料も考慮されてよい。
更なる組の実施形態によれば、EAP複合材又は混合物の1以上の層で形成されるアクチュエータ部材が提供され、複合材又は混合物は、印加電界強度、アクチュエータ電極に対する印加電荷、及び機械的変形の程度のうちの1以上の関数として減少する比誘電率(又はキャパシタンス)を示すように構成される。
これは、例によれば、電気活性ポリマ材料を上記で議論した1以上のキャパシタンス補償材料と混合することによって達成されてよい。結果として得られる混合物は、EAP材料の電気活性応答特性を示す一方で、印加電界強度、印加電荷、及び機械的変形の程度のうちの1つの関数として減少する比誘電率も示す。
補償材料に対するEAP材料の比は、電気活性ポリマの濃度を電気活性特性が効果を有さなくなるような程度まで希釈しないよう、注意深く選択されなければならない。
更なる例によれば、電界、電荷又は変形に依存する比誘電率と組み合わせにおいてEAPの電気活性特性を示すEAP複合材が提供されてよい。
上述した種類のキャパシタンス補償EAP混合物又は複合材料を含むアクチュエータ部材については多数の可能な構成が存在する。
図9には、上記で提供される記述に従って、例示的なEAP複合材を組み込んだアクチュエータ部材の第1の例が示されている。その構造は、第1の周囲電極10と第2の周囲電極12との間に配置されたEAP複合材料の単一の層42を含む。単一の層は、第1の電極10と第2の電極12との間で構築される電界に応答して変形するという意味において、標準的な電気活性ポリマ挙動を示す。しかしながら、複合材の組成の故に、それは特別に調整された速度で印加電界の関数として減少する実効比誘電率(誘電定数)を示すように構成される。
電界が印加され、アクチュエータが変形し始めるので、層42がより小さい厚さに圧縮されることの故に、層42の固有キャパシタンスは増加し始める。しかしながら、層42の複合材料の比誘電率は、変形によって引き起こされるキャパシタンスの増加と実質的に一致する速度で印加電界に伴って減少するように調整される。このようにして、キャパシタンス変化は、部分的又は完全に相殺され或いは補償されることがある。
図9の例は単一の層のEAP複合材料を示しているが、更なる例では、複数の層が設けられてよい。
図10は、上記で概説した例及び記述に従ってEAP複合材料を組み込んだ第2の例示的なアクチュエータを示している。その構造は、標準的な(非修正の)電気活性ポリマの第1の層14と、第1の層に隣接して積み重ねられたEAP複合材料の第2の層42とを含む。2つの積み重ねられた層は、層に亘って電界を構築するために第1の電極10と第2の電極12との間に配置される。
電極10,12間の電界の印加後、標準的なEAP層14及びEAP複合層42の両方が応答して変形し、各層に亘るキャパシタンスは相応して増加する。図9の例におけるように、EAP複合材は、増大するキャパシタンスを部分的に又は完全に相殺し或いは補償するために、電界強度の増加に伴って適切な速度で減少する比誘電率を示すように構成される。
図10の例は、単一の層のEAP材料と、単一の層のEAP複合材料とを含むが、更なる例では、これらの層のうちの複数の一方又は両方が代替的に設けられてよい。これらは、層のそれぞれの比誘電率の最適な混成又は混合を提供するために、交互に配置されてよい。
上記で議論したように、キャパシタンス補償効果を提供するのに適した特定の例示的な材料は、印加電界強度の比較的限られた範囲に亘ってのみ、所望の電界依存比誘電率を示すことがある。特定の場合において、電界強度のこの範囲は、EAP材料が操作され且つEAP材料が応答する、典型的な電界強度と一致しないことがある。
これに対処するために、上述の実施形態のうちのいずれかによれば、アクチュエータ部材は、アクチュエータ部材の少なくとも一部の比誘電率を恒久的に変更するように構成された誘電率バイアス材料(permittivity biasing material)を含むように更に構成されてよい。先のセクションにおいて議論したように、そのような材料は、アクチュエータ部材の実効(平均)ベースライン比誘電率において固定バイアス又は静的バイアスをもたらすように構成されてよい。
これはアクチュエータの電気活性ポリマ要素が応答する印加電界強度の範囲を変更する効果を有することがある。ベースライン比誘電率を増加させるバイアス材料が使用されるならば、これはアクチュエータ部材をより低い範囲の電界強度に亘って応答させる効果を有することがある。これは所与の印加電界強度についてアクチュエータ部材に亘って示される結果として得られる変位電界の大きさが増加するからである。
誘電率バイアス材料を補償材料及び/又は補償混合物/複合材との組み合わせにおいて使用して、補償材料が所要の電界/電荷/変形依存誘電率を示す正確な周波数範囲に亘って応答するアクチュエータ部材を達成してよい。
バイアス材料は、電気活性ポリマ材料及び補償材料/混合物/複合材の一方又は両方と混合物又は複合材を形成することがある。
適切なバイアス材料を提供するための様々な手段が存在し、その範囲を次に詳細に議論する。
誘電エラストマ(電気活性ポリマの1つのクラス)の誘電率を変更する方法は当該技術分野で知られている。例えば、Carpi, F., & et al. (2011). Dielectric Elastomers as Electromechanical Transducers: Fundamentals, Materials, Devices, Models and Applications of an Emerging Electroactive Polymer Technology. Oxford: Elsevierには、誘電エラストマの誘電定数(比誘電率)を増大させる幾つかの方法が開示されている。これらの方法は、3つの主要グループ、即ち、無作為な複合材、電界構造複合材及び新しい合成ポリマに分類されることがある。
第1のアプローチは、固体(例えば、粉末)又は液体のいずれかの充填剤のポリママトリックスへの分散に基づく。第2の方法も、複合材アプローチを利用するが、この場合の材料は、その上、外部電界の存在の下で硬化させられ、それにより、双極子を整列させる。第3の戦略は、特注の特性を備える新しい材料の合成に基づく。
以下の表1には、3つの方法群の簡単な概要が、それぞれ1つと関連付けられる例示的な材料の選択と共に提示されている。
Figure 0006663046
表1:使用される物理的プロセス及び採用される材料に関してEAP材料の比誘電率を修正する方法のリスト。提供される数は材料の相対電気透磁率である。これらはインターネットウィキペディア又は標準的な化学物質ハンドブック及び物理ハンドブックに見出され得る。PMN−PT:マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛;CB:カーボンブラック;CNT:カーボンナノチューブ;CuPu:銅フタロシアニン;PANI:ポリアニリン;シリコーン:ゴムタイプのポリシロキサン;PU:ポリウレタン;PA:ポリアクリレート;PE:ポリエチレン;EVA:エチレン酢酸ビニル;S−SBS:スチレン−ブタジエン−スチレン;FLCE:強誘電性液晶エラストマ;NBR:Buna Nゴムとしても知られるニトリルゴム:PHT:ポリヘキサヒドロトリアジン:エポキシ樹脂:ポリエポキシド。
表は、電気活性ポリマ材料の比誘電率を修正する最新の技術及びプロセスのサンプルを示している。これらはEAP材料をEAP材料のベースライン比誘電率を高める効果を有する適切な(高い比誘電率の)充填材料と組み合わせることを含む。故に、EAP材料の電気活性応答特性を示すが、増加したベースライン比誘電率を有する、複合材又は混合物が得られる。この混合物/複合材は、EAP材料をより低い範囲の印加電界強度に応答させることがある。
所望の全体的な効果を達成するためには、作動挙動が破壊されないか或いは有意に減少させられないように、ポリマに添加される誘電率バイアス材料の量を注意深く均衡させることが必要である。例えば、Shakun, A. (2014). Soft Elastomeric Material with Improved Dielectric Permittivity. Thesis, 20において議論されているように、高比誘電率充填材の組込みや、ポリマ修正の他の方法も、ポリマの電気応答性を低下させる材料特性の変化をもたらすことがある。これらは(例えば、架橋の方法又は程度に起因する)弾性率の変化及び鎖の絡み合い(chain entanglement)並びに分子間又は分子内の相互作用を含む。
しかしながら、添加されるバイアス材料の量は、それにも拘わらず、ベースライン比誘電率に対する所要の変更を生じさせるのに十分な程に高くなければならない。
比誘電率における(例えば)特定の所望の増加は、(より)低い誘電定数を有する比較的多量のバイアス材料を加えることによって或いはより高い誘電定数を有する比較的より少量のバイアス材料を加えることによって達成されることがある。後者の場合が一般的には好ましい。何故ならば、より少量の材料の添加は、全体的なアクチュエータ部材の電気活性特性を破壊する可能性がより低いからである。
更なる文献ソースは、高誘電率の充填材の組込みによって或いはポリマ修正によって材料の比誘電率を増加させる方法も議論している(例えば、Shakun, A. (2014). Soft Elastomeric Material with Improved Dielectric Permittivity. Thesis, 20を参照)。
先に議論した実施形態に関して実証されているように、特定のEAPは、それらの比誘電率が特定の変数又は境界条件、特に電界強度に応答して動的に減少するような補償材料の添加によって、修正されてよい。
その上、先の段落において実証されているように、専用の材料を誘電エラストマアクチュエータに加えてそれらの比誘電率を静的に調整して異なる値を採用してよい特定の方法が、引用した文献から知られている。
よって、本明細書に記載する実施形態によれば、特定の範囲の印加電界強度に亘って、EAPアクチュエータ部材の実効誘電定数が電界強度の関数としての減少を示すような方法において、アクチュエータ部材の電気活性ポリマ材料を修正することが提案される。材料は、この減少の速度が、電気活性ポリマが電気的に活性化されるときの電気活性ポリマの厚さの減少(及び横方向サイズの増大)によって引き起こされるアクチュエータに亘る入力容量のあらゆる変化を正確に補償するように、選択される。加えて、誘電率バイアス材料は、補償材料が所要の減少を示す電界強度の範囲が、EAPが標準的に作動させられる強度に正確に一致するように、ベースライン比誘電率を静的にシフトさせるよう組み込まれてよい。
特定の例によれば、アクチュエータ部材の設計、特に層の厚さは、所要の電界強度が標準的な動作電圧でアクチュエータ部材に亘って達成されることを保証するために、適合させられてよい。
上述の例及び実施形態のうちのいずれかによれば、提供されるアクチュエータ部材は、電界強度、印加電荷及び/又は変形の程度の増加に伴って減少する比誘電率を示すように構成される材料の少なくとも2つの層を含んでよく、それらの層の各々は、特定の範囲の印加電界強度、電荷値、又は機械的変形に亘ってのみ前記減少を示す。材料の層は、図8の例示的なアクチュエータの例示的な層38のような、補償材料の層であってよい。代替的に、材料の層は、図9及び図10のアクチュエータの例示的な層42におけるように、EAP複合材料又は混合材料の層であってよい。
更に、各層は、所望の範囲の活性電界強度/電荷値/変形の程度を達成するために、上述の例のうちの1以上に従ったバイアス材料を含んでよく或いは包含してよい。特定の例において、各層は、EAP材料と特定の量又は密度のバイアス材料とで形成される複合材又は混合物を含んでよい。異なる層について異なる活性電圧を達成するために、各層に含められるバイアス材料の特定の密度又は量は変更されてよい。このようにして、各層はベースライン比誘電率に対して異なる特定のバイアスを有するように構成されることがある。これは各層の(複数の)EAPコンポーネントが異なる範囲の電圧で活性になる場合があることを意味する。
更に、上述のように、1つよりも多くの層を使用することによって、各層において補償を提供するために使用される特定の材料又は複合材が限定的な範囲だけの適用性を有する場合でさえも、キャパシタンス補償が広い範囲の異なる作動状態及び電気刺激強度に亘って達成されることがある。その上、このような多層構造は、キャパシタンスと(図3に示す印加電圧とキャパシタンスとの間の対数的な関係が、より容易に、より安価に、より簡単に補償されることを可能にする。
例えば、各層において、それぞれが特定のレベル又は大きさのキャパシタンスバイアス又はオフセットを提供する、異なる材料又は補償手段が使用されてよい。アクチュエータがより一層大きい程度に変形させられるにつれて連続的に活性化されることになる異なるバイアスの大きさの複数の層を有するアクチュエータ構造を構成することによって、所要のキャパシタンス補償の特定のパターンが容易に達成されることがある。
少なくとも幾つかの例によれば、上記の実施形態は、関連する層の各々において異なって構成される或いは適合される材料で形成される層を設けることによって達成されることがあり、或いは同じ材料であるが異なる厚さを有する複数の層を設けることによって達成されることがある。各層の異なる厚さは、例えば、比誘電率が低下する挙動を示し始める特定の電界強度に影響を与えることがある。
上記の例のうちのいずれかによれば、ある量の誘電率バイアス材料との組み合わせにおけるEAP(又はEAP複合材)を含む1以上の混合EAP層が提供されることがあり、バイアス材料の密度は、層に亘って1以上の方向において変化する。これは、異なる興味深い変形モード、例えば、楔(wedge)が或いは波形状(wavy shapes)さえもが、印加電界強度の関数として生成されることを可能にする。
上記実施形態のうちのいずれかによれば、キャパシタンス補償材料又はEAP複合材料を含む2以上(2つ又はそれよりも多く)の層を提供されてよく、各層のそれぞれの材料は、(複数の)他の層に対して低下する比誘電率の異なる傾向又はパターンに従うように構成される。この異なる傾向又はパターンは、例えば、異なる活性化点(activation points)及び/又は勾配(slopes)を含んでよく、且つ/或いは異なる局所的最小(minima)又は最大(maxima)を含んでよい。
図11は、この着想を例示しており、図11には、印加電界強度(x軸)に対する比誘電率(y軸)を示す2つの例示的な補償材料層についての傾向線50,52が示されている。2つの層は、それぞれ、電界強度挙動パターンに対する異なる誘電率を示し、それぞれ、異なる最大点及び異なる最小点を有する。
例では、広い範囲の電界値に亘って、その範囲に亘る比誘電率の実質的に均一な又は一様な低下をもたらすよう互いに混合する、それぞれの比誘電率傾向を有する、複数の層が提供されてよい。このようにして、例えば、各層の誘電率曲線が個々に比較的狭い場合でさえも、実質的に均一なキャパシタンスを広い範囲の印加電界強度に亘って構築することができる。
更に、上述の実施形態のうちのいずれかによれば、キャパシタンス補償材料又はEAP複合材料を含む複数の層が提供されることがあり、各層の材料は、特定の範囲のAC電界周波数に亘ってのみ印加電界強度に伴って減少する比誘電率を示すように構成される。これはアクチュエータ部材の動作周波数における柔軟性(フレキシビリティ)を提供する。何故ならば、同じキャパシタンス補償効果が異なる刺激周波数で達成されることがあるからである、
上述の実施形態のうちのいずれかによれば、アクチュエータ部材は、2以上のペアの電極を含む電極構成を更に含むことがあり、各ペアは、アクチュエータ部材の異なる区画又は領域を挟装するように配置される。各ペアは、(例えば、専用ドライバを用いて)別々に作動させられてよい。1つの共通の接地/基準電極が追加的に設けられてよい。そのような実施形態によれば、EAPの異なる部分又は領域に亘る電界強度を変化させて、達成可能な変形形状及び挙動に関してより大きな柔軟性を提供してよい。
代替的な例において、各電極ペアのための専用ドライバは、電極ペアを接続する抵抗性及び/又は反応性ネットワークによって置換されてよい。ネットワークに亘る電圧降下の故に、異なる(しかしながら、固定された)電圧分布が各ペアの間に生成されて、アクチュエータ部材の異なる領域での活性化レベルの変化が引き起こされることがある。やはり、これはアクチュエータ部材の変形形状及び挙動に関してより大きな柔軟性をもたらす。
ネットワークに(小型表面実装(small surface-mount)(SMD)コンデンサ又はインダクタのような)反応性要素を追加することによって、異なるペア(及びアクチュエータ部材の対応する刺激領域)間の時間依存性を達成することができる。
一層更なる例によれば、上述の抵抗性及び/又は反応性ネットワークは、電極ペアのために単一の共通ドライバを提供するように構成されてよく、共通の出力電圧は、ネットワークを介して異なる振幅に分離される。各分枝は、電極ペアのうちの各々のペアのうちの1つに接続されてよい。そのような構成は、アクチュエータの使用者がネットワークの構造をカスタマイズすることを可能にするという利点を与えることがある(何故ならば、それはもはやアクチュエータ自体と統合されていないからである)。
EAP層に適した材料は知られている。電気活性ポリマは、サブクラス、即ち、圧電ポリマ、電気機械ポリマ、リラクサ強誘電性ポリマ、電歪ポリマ、誘電エラストマ、液晶エラストマ、共役ポリマ、イオン性ポリマ、金属複合材、イオン性ゲル及びポリマゲルを含むが、これらに限定されない。
サブクラスの電歪ポリマは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(PVDF−TrFE)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン−クロロフルオロ(PDVF−CFE)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン(PVDF−TrFE−CTFE)、ポリフッフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)、ポリウレタン又はそれらの混成物を含むが、それらに限定されない。
サブクラスの誘電エラストマは、アクリレート、ポリウレタン、シリコーンを含むが、それらに限定されない。
サブクラスの共役ポリマは、ポリピロール、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリアニリンを含むが、これらに限定されない。
イオン性デバイスは、イオン性ポリマ−金属複合材(IPMC)又は共役ポリマに基づいてよい。イオン性ポリマ−金属複合材(IPMC)は、印加電圧又は電界の下で人工筋肉挙動を示す合成複合ナノ材料である。
より詳細には、IPMCは、その表面が化学的にメッキされ或いは白金若しくは金のような導電体又は炭素ベース電極で物理的に被覆されたNafion又はFlemionのようなイオン性ポリマからなる。印加電圧の下で、IPMCの条片(ストリップ)に亘って課される電圧(imposed voltage)に起因するイオン移動及び再分配は、曲げ変形をもたらす。ポリマは、溶媒膨潤イオン交換ポリマ膜である。電界は陽イオンを水と共にカソード側に移動させる。これは親水性クラスタの再構成及びポリマ膨張を引き起こす。カソード領域におけるひずみは、ポリママトリックスの残部において応力を引き起こし、アノードに向かう曲げをもたらす。印加電圧を逆転させると、曲げが逆転する。
メッキされた電極が非対称的な構成に配置されるならば、課される電圧は、ねじれ(twisting)、転動(rolling)、よじれ(torsioning)、回転(turning)、及び非対称的な曲げ変形(non-symmetric bending deformation)のような、あらゆる種類の変形を誘発し得る。
これらの例の全てにおいて、印加電界に応答してEAP層の電気的及び/又は機械的挙動に影響を及ぼすために、追加的な受動層を設けられてよい。
各ユニットのEAP層は、電極の間で挟装されてよい。それらの電極は、それらがEAP材料層の変形に追従するよう伸張可能であってよい。電極に適した材料も知られており、例えば、金、銅、若しくはアルミニウムのような金属薄膜、又はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン(PANIC)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)のような有機導体からなる群から選択されてよい。例えば、アルミニウム被膜を使用する、金属化されたポリエチレンテレフタレート(PET)のような、金属化されたポリエステル膜も使用されてよい。
アクチュエータのパッシブマトリクスアレイが重要である例を含む多くのEAP及び光活性ポリマ用途において本発明を適用することができる。
多くの用途において、製品の主な機能は、ヒト組織の(局所的な)操作又は組織接触界面の作動に依存する。そのような用途において、EAPアクチュエータは、例えば、主に小さいフォームファクタ、柔軟性及び高いエネルギ密度の故に、特異な利益を提供する。故に、EAP及び光応答性ポリマを柔らかい3D形状及び/又は小型の製品及びインターフェースに容易に統合することができる。そのような用途の例は、以下の通りである。
皮膚に張力を与えたり皺を減少させたりするために皮膚に一定の又は周期的な伸長(ストレッチ)を適用する応答性ポリマベースの皮膚パッチの形態の皮膚作動デバイスのような皮膚美容処置。
顔面の赤い傷跡を低減させ或いは防止する交互の標準圧力を皮膚に提供する反応性ポリマベースの能動的なクッション又はシールを有する患者インターフェースマスクを備える呼吸デバイス。
接近性と刺激との間のバランスに影響を及ぼすために、反応性ポリマアクチュエータを使用して皮膚接触面の高さを調節することができる、適応シェービングヘッドを備える電気シェーバ。
特に歯間の空間において、スプレーの到達範囲を向上させるために、動的ノズルアクチュエータを備えるエアフロスのような口腔洗浄デバイス。代替的に、歯ブラシは、アクティブ化された房を備えてよい。
ユーザインターフェース内に又はその付近に統合される応答性ポリマトランスデューサのアレイを介して局所的な触覚フィードバックを提供する家庭用電化製品又はタッチパネル。
曲がりくねった血管内の容易なナビゲーションを可能にする操縦可能な先端を備えるカテーテル。
心拍、SoO2及び血圧のような、生理的人体パラメータの測定。
そのようなアクチュエータから利益を受ける関連する用途の別のカテゴリは、光の変更に関する。レンズ、反射面、回折格子などのような光学素子は、これらのアクチュエータを使用する形状又は位置適応によって適応可能にされることができる。ここで、EAPの1つの利点は、例えば、より低い電力消費である。
当業者は、請求する発明を実施する際に、図面、本開示、及び添付の請求項の研究から、開示の実施形態に対する他の変形を理解し且つ達成することができる。請求項において、「含む」という単語は他の要素又はステップを排除せず、単数形の表現は複数を排除しない。特定の手段が相互に異なる従属項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用し得ないことを示さない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されてならない。

Claims (11)

  1. アクチュエータ部材であって、
    当該アクチュエータ部材は、当該アクチュエータ部材に亘るキャパシタンスを示し、
    当該アクチュエータ部材は、
    印加電界の大きさに依存して変形するように構成される電気活性ポリマ材料と、
    当該アクチュエータ部材の変形によって引き起こされる前記キャパシタンスの変化を少なくとも部分的に相殺するように構成されるキャパシタンス補償手段とを含み、
    前記キャパシタンス補償手段は、前記電気活性ポリマ材料に対して別個の層を形成する補償材料又は前記電気活性ポリマ材料との混合物又は複合材を形成する補償材料を含み、前記別個の層を形成する前記補償材料は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及び当該アクチュエータ部材の機械的変形のうちの1つ又はそれよりも多くに応答して、前記別個の層に亘るキャパシタンスの減少を示す、材料であり、或いは前記混合物又は複合材中の前記補償材料は、印加電界の増大する大きさ、印加電荷の増大、及び当該アクチュエータ部材の機械的変形のうちの1つ又はそれよりも多くに応答して、実効比誘電率の減少を示す、材料である、
    アクチュエータ部材。
  2. 前記別個の層の前記補償材料は、キャパシタンスの減少をもたらす実効比誘電率の減少を示す材料である、請求項1に記載のアクチュエータ部材。
  3. 前記キャパシタンス補償手段は、前記補償材料で形成される複数の粒子を含み、該粒子は、前記電気活性ポリマ材料内に埋め込まれる、請求項2に記載のアクチュエータ部材。
  4. 前記キャパシタンス補償手段は、前記別個の層の代わりに又は前記別個の層に加えて、前記電気活性ポリマ材料の少なくとも一部分を被覆する、償材料で形成される被膜の形態の層を含む、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
  5. 当該アクチュエータ部材は、少なくとも、電気活性ポリマ材料の層と、少なくとも、前記別個の層を形成する、前記補償材料を含む層とを含む、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
  6. 当該アクチュエータ部材は、1つ又はそれよりも多くの前記電気活性ポリマ材料の層と、前記別個の層に代わる1つ又はそれよりも多くの前記電気活性ポリマ材料との混合物又は複合材の層とを含み、各電気活性ポリマ材料の層及び各混合物又は複合材の層は、交互に配置される、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
  7. 当該アクチュエータ部材の少なくとも一部分の比誘電率を恒久的に変更するように構成される誘電率バイアス材料を更に含み、該誘電率バイアス材料は、前記電気活性ポリマ材料及び/又は前記補償材料に組み合わせられ、或いは前記電気活性ポリマ材料の層、前記別個の層、及び/又は前記別個の層に代わる電気活性ポリマ材料との混合物若しくは複合材の層の間に前記誘電率バイアス材料の層として提供される、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
  8. 前記別個の層は、少なくとも第1の層及び第2の層を含み、前記第1の層及び前記第2の層の各々は、前記キャパシタンスの減少を示すように構成される、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
  9. 前記第1の層及び前記第2の層の各々は、異なる特定範囲の電界強度、印加電荷値、又は機械的変形に亘ってのみ、前記減少するキャパシタンスを示すように構成される、請求項8に記載のアクチュエータ部材。
  10. 前記少なくとも第1の層及び第2の層のうちの1つ又はそれよりも多くは、当該アクチュエータ部材の少なくとも一部分の比誘電率を恒久的に変更するように構成される誘電率バイアス材料を含む、請求項9に記載のアクチュエータ部材。
  11. 前記第1の層及び前記第2の層の各々は、印加電界の異なる特定範囲の周波数に亘ってのみ、前記減少するキャパシタンスを示すように構成される、請求項8のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ部材。
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