実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置を示す構成図である。図1に示す流体浄化装置100は、より具体的には下水など、有機物を含み、水を主成分とする液体を浄化する水処理装置であるが、本発明の流体浄化装置100は、水処理装置に限定されず、他の液体を浄化する液体浄化装置であってもよい。また、空気や排気ガスなどの気体を浄化する気体浄化装置であってもよい。
図1において、流体浄化装置100は、被処理水Fを浄化処理するプラズマ処理部40を内部に備える処理槽10と、プラズマ処理部40に電力を供給する電源部30と、処理槽10に放電ガスを供給するガス供給源23と、電源部30とガス供給源23から処理槽10に供給される放電ガスの供給量を調整する流量調整器22とを制御する制御装置21と、を備えている。
処理槽10の壁面には、流体である被処理水Fが処理槽10に流入する流入口11と、流入口11から流入してプラズマ処理部40で処理された被処理水Fが処理槽10から流出する流出口12とが設けられており、さらに放電ガスが吸気される吸気口13と、放電ガスが排気される排気口14とが設けられている。また、プラズマ処理部40に設けられた第1の電極である高圧側電極43と第2の電極である低圧側電極44との間に電力を供給するために、処理槽10の外部に設けられた電源部30と処理槽10の内部に設けられた高圧側電極43および低圧側電極44と電気的に接続するための給電端子15a、15bが設けられている。
なお、低圧側電極44は、接地電位に対する電位差の絶対値が高圧側電極43より小さい電圧が印加される電極である。図1では、低圧側電極44は接地電位53に電気的に接続されているので、低圧側電極44の電位は接地電位である。一方、高圧側電極43は、接地電位との電位差の絶対値が低圧側電極44より大きい電圧が印加される電極である。本発明では電圧の大小を言う場合に、高圧側あるいは高電圧側、低圧側あるいは低電圧側という場合があるが、高圧側あるいは高電圧側とは、接地電位との電位差の絶対値が低圧側あるいは低電圧側より大きい側をいう。従って、例えば、高圧側電極に負電圧が印加される場合であっても、接地電位との電位差の絶対値が低圧側電極より大きい場合には、高圧側あるいは高電圧側という。
処理槽10内の流入口11と流出口12との間には、プラズマ処理部40が設けられている。プラズマ処理部40は、被処理水Fが上部を流れるように平面状に形成された低圧側電極44と、低圧側電極44の上方に設けられた高圧側電極43とを備え、低圧側電極44上には被処理水Fが流れる流路41が設けられており、流路41と高圧側電極43との間にはガス空間42が設けられている。すなわち、高圧側電極43と低圧側電極44との間には、浄化される流体が流れる流路41とガス空間42とが設けられている。高圧側電極43および低圧側電極44は、ステンレス鋼やチタンなど耐腐食性に優れた金属で形成されており、浄化される流体の種類によって適宜選択される。
低圧側電極44は、支持部16aおよび支持部16bによって、流入口11側が上方に傾いた状態で処理槽10に固定され、流入口11から流入して低圧側電極44の流入口11側に流入した被処理水Fが、重力により低圧側電極44上を流出口12側に向かって流れるようになっている。すなわち、低圧側電極44の上部は被処理水Fが流れる流路41となっている。低圧側電極44上の流路41を流れた被処理水Fは、低圧側電極44の流出口12側端部から、流出口12に向かって流れ、流出口12から処理槽10の外部に流出する。被処理水Fは、低圧側電極44の表面から被処理水Fの表面までの厚さが数mm程度、例えば、1mm程度の膜状になって、平面状の低圧側電極44の表面を覆うように低圧側電極44上を流れる。
高圧側電極43は、被処理水Fが流れる方向に直交する線状電極やリボン状電極であってよい。リボン状電極である場合には、幅方向が平面状の低圧側電極44の表面に直交するように配置されるのが好ましい。また、高圧側電極43は、低圧側電極44の方に先端が向いた針状電極や、低圧側電極44に平行に配置された平板状電極であってもよい。高圧側電極43は、被処理水Fの表面からの最短距離、すなわち、ガス空間42の間隔がほぼ一定となるように、処理槽10と電気的に絶縁された支持部(図示せず)で支持され、処理槽10に固定されている。図1に示すように、高圧側電極43は、流路41に沿って所定の間隔で複数設けられているのが好ましいが、1つであってもよい。高圧側電極43と被処理水Fの表面との間隔は、1mm以上、50mm以下とするのが好ましく、例えば、10mmであってよい。高圧側電極43と被処理水Fの表面との間隔が1mm未満の場合には、複数の高圧側電極43それぞれにおける放電状態のばらつきが大きくなり、50mmを超える場合には、放電形成に非常に高い電圧が必要になるためである。
ガス供給源23は、放電ガスを処理槽10内に供給する。放電ガスは、処理される流体の種類に応じて単体ガスや混合ガスを適宜選択することができ、処理される流体が有機物を含む液体や気体の場合には、酸素ガスを用いるのが好ましく、酸素ガスに希ガスを混合した混合ガスを用いてもよい。希ガスを混合させることで、比較的低い電圧であっても、電極間の放電を安定して発生させることができる。本発明でいう電極間とは、高圧側電極43と低圧側電極44との間である。本実施の形態1では、流体浄化装置が水処理装置である場合について説明するので、ガス供給源23から供給される放電ガスは酸素ガスであるとして説明する。なお、酸素ガスの代わりに空気を用いてもよい。空気を用いることで放電ガスの低コスト化を図ることができる。また、流体浄化装置が排気ガスなどの空気を浄化する空気清浄装置である場合には、ガス供給源から放電ガスを供給せずに、流入口から処理槽に流入する被処理ガスを放電ガスとしてよい。
処理槽10内に供給される酸素ガスの量は、処理槽10とガス供給源23との間に設けられた流量調整器22によって調整され、吸気口13から酸素ガスが処理槽10内に吸気される。一方、排気口14からは、処理槽10内のガスが排気されるため、ガス供給源23から酸素ガスが供給され始めてから所定時間経過後には処理槽10内に高酸素濃度雰囲気が形成され、プラズマ処理部40のガス空間42も酸素ガスで充満される。そして、プラズマ処理部40の高圧側電極43と低圧側電極44との間でガス放電を起こすことにより、ガス空間42の酸素ガスが、オゾンや、水を介して過酸化水素やオゾンよりも活性の高いヒドロキシルラジカルなどの活性種に変化し、これらの活性種が被処理水Fの有機物を分解して被処理水Fを浄化する。
プラズマ処理部40に電力を供給する電源部30は、高圧側電極43と低圧側電極44との間にガス放電を発生させる大きさの電圧値の高電圧パルスを出力するパルス電源部31と、高圧側電極43と低圧側電極44との間に放電を発生させない大きさの電圧を発生する電荷除去電圧発生部32とを有する。詳細は後述するが、電荷除去電圧発生部32が発生して高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される電圧は、パルス電源部31から出力された高電圧パルスによるガス放電で発生した電子やイオンなどの荷電粒子を、高圧側電極43および低圧側電極44に引き寄せることで、高圧側電極43と低圧側電極44との間のガス空間42から荷電粒子を除去するための電圧である。
電源部30が、高電圧パルスを発生するパルス電源部31とは別体として電荷除去電圧発生部32を備えているので、高電圧パルスの電圧値やパルス幅と電荷除去電圧発生部が発生する電圧値などの諸条件とをそれぞれ独立に設定することができるため、高電圧パルスのエネルギー利用効率を最適値に維持したまま、ガス空間42に残留する荷電粒子を除去する条件設定を容易に最適化することができる。なお、本発明でいう高電圧パルスとは、パルス電源部31から電極間に放電を起こすために出力される電圧パルスをいい、本発明で説明する他の電圧パルスより電圧の絶対値が大きいため、他の電圧パルスと区別するために高電圧パルスと呼ぶ場合がある。
制御装置21は、制御配線24で電源部30に接続され、制御配線25で流量調整器22に接続されている。制御装置21は、電源部30のパルス電源部31が出力する高電圧パルスの電圧値やパルス幅、高電圧パルスの繰り返し周波数の制御、電荷除去電圧発生部32が発生する電圧値や発生時間など諸条件の制御、および流量調整器22により処理槽10に吸気される酸素ガスの流量の制御などを行う。制御装置21は、電源部30のパルス電源部31と電荷除去電圧発生部32とをそれぞれ独立に条件設定し、それぞれ独立に制御することができる。例えば、制御装置21は、電荷除去電圧発生部32が発生する電圧の電圧値を設定した後に、パルス電源部31が発生する高電圧パルスの電圧値を設定する。
次に、電源部30およびプラズマ処理部40の構成についてさらに詳しく説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の要部構成を示す模式図である。図2は、図1で示した流体浄化装置100の電源部30およびプラズマ処理部40の構成を模式的に示したものである。図1で説明したように、低圧側電極44上には被処理水Fの流路41が設けられているが、図2では省略している。また、図1で説明したように、高圧側電極43は並列に複数設けられているが、図2ではそのうちの1つを示したものであり、ガス空間42はほぼ1気圧の酸素ガスで満たされている。
図2に示すように、電源部30は、高圧側端子が高圧側配線51によって、高圧側電極43に電気的に接続され、低圧側端子が低圧側配線52によって、低圧側電極44に電気的に接続されている。また、低圧側配線52は接地電位53と同電位となっており、低圧側電極44の電位は接地電位になっている。そして、電源部30は、高圧側電極43と低圧側電極44とからなるプラズマ処理部40に並列に接続された電荷除去電圧発生部32とパルス電源部31とを備えている。
パルス電源部31は、接地電位53と同電位に接続された低圧側端子31bと、低圧側端子31bよりも絶対値が大きい電圧を出力する高圧側端子31aとを有している。電荷除去電圧発生部32は、高圧側電極43と同電位に接続された第1の端子32aと、低圧側電極44およびパルス電源部31の低圧側端子31bと同電位に接続された第2の端子32bと、パルス電源部31の高圧側端子31aと同電位に接続された第3の端子32cとを有している。そして、パルス電源部31が発生する電圧パルスと電荷除去電圧発生部32が発生する電圧とが高圧側電極43に印加されるようになっている。
電荷除去電圧発生部32は、第1の端子32aと第2の端子32bとの間に設けられた直流電源35と、直流電源35に直列接続された高域遮断フィルタ34とを有し、直流電源35と高域遮断フィルタ34との直列接続回路の一端が、高圧側電極43に高圧側配線51によって電気的に接続され、直流電源35と高域遮断フィルタ34との直列接続回路の他端が、低圧側電極44に低圧側配線52によって電気的に接続される。また、電荷除去電圧発生部32は、直流電源35と高域遮断フィルタ34との直列接続回路と第3の端子32cとの間に接続された低域遮断フィルタ33を有する。図2に示すように、低域遮断フィルタ33は、一端が高圧側電極43と同電位に接続され、他端がパルス電源部31の高電圧側と同電位に接続される。
高域遮断フィルタ34は、パルス電源部31から出力された高電圧パルスの高い電圧が直流電源35に印加されるのを防止するために設けられている。従って、パルス電源部31から出力された高電圧パルスが減衰されて、直流電源35の耐電圧以下の低い電圧として直流電源35に印加されるようにするものであれば、高域遮断フィルタ34に限らず他の構成の減衰器であってもよい。本発明では、高域遮断フィルタ34をはじめ、このような高電圧パルスが減衰されて直流電源35に印加されるようにする減衰器を第1の減衰器と呼ぶ。第1の減衰器としては、高域遮断フィルタ34の他に、ダイオードなどの整流器や抵抗器などがある。
また、低域遮断フィルタ33は、電荷除去電圧発生部32の直流電源35から出力された直流電圧がパルス電源部31に印加されるのを防止するために設けられている。従って、直流電源35から出力された直流電圧が減衰されて、パルス電源部31の耐電圧以下の低い電圧としてパルス電源部31に印加されるようにするものであれば、低域遮断フィルタ33に限らず他の構成の減衰器であってもよい。本発明では、低域遮断フィルタ33をはじめ、このような電荷除去電圧発生部32が発生した電圧が減衰されてパルス電源部31に印加されるようにする減衰器を第2の減衰器と呼ぶ。第2の減衰器としては、高域遮断フィルタ34の他に、変圧器、ダイオードなどの整流器、あるいはスイッチング素子などの開閉素子などがある。
図2に示すように、高域遮断フィルタ34は、例えば、インダクタで構成してよく、パルス電源部31から出力される高周波成分を多く含む高電圧パルスを遮断して、直流電源35に高電圧パルスの大きな電圧が印加されないようにするとともに、直流電源35から出力される直流電圧を低損失で通過させて、高圧側電極43に印加されるようにしている。すなわち、高域遮断フィルタ34は、高電圧パルスに含まれる周波数の減衰率が直流よりも大きい特性を有する。高域遮断フィルタ34は、インダクタに限るものではなく、パルス電源部31から出力される高電圧パルスに含まれる高周波数成分を遮断あるいは大幅に減衰させるとともに、直流電源35から出力される直流電圧を低損失で通過させる周波数特性を有するものであれば、インダクタの他に抵抗やキャパシタなどを含む他の回路構成からなる高域遮断フィルタであってもよい。
また、図2に示すように、低域遮断フィルタ33は、例えば、キャパシタで構成してよく、パルス電源部31から出力され、高周波成分を多く含む高電圧パルスを低損失で通過させて高圧側電極43に印加させるともに、直流電源35から出力される直流電圧を遮断あるいは大幅に減衰させて、直流電圧がパルス電源部31に印加されないようにしている。すなわち、低域遮断フィルタ33は、直流の減衰率が高電圧パルスに含まれる周波数よりも大きい特性を有する。低域遮断フィルタ33は、キャパシタに限るものではなく、直流電源35から出力される直流電圧を遮断あるいは大幅に減衰させるとともに、パルス電源部31から出力される高電圧パルスを低損失で通過させる周波数特性を有するものであれば、キャパシタの他に抵抗やインダクタなどを含む他の回路構成からなる低域遮断フィルタであってもよい。
パルス電源部31は、例えば、最大電圧が1kV以上、50kV以下、パルス幅が10ns以上、1μs以下の高電圧パルスを、10pps(pulse per second)以上、100kpps以下の繰り返し周波数で出力する。最大電圧が1kV未満では安定した放電が形成されず、50kV超とすると、電源部30の大型化及び電気絶縁の困難化により、製造コストや保守コストが著しく増加するためである。また、高電圧パルスのパルス幅が10ns未満では安定した放電が形成されず、1μs超では後述するスパーク放電の発生確率が増加し、ラジカル生成効率が著しく低下するためである。さらに、高電圧パルスの繰返し周波数が10pps未満では、十分な放電電力を投入するために非常に高い電圧が必要になり、逆に100kppsよりも大きくすると、ラジカル生成量が飽和し、電力効率が低下するためである。なお、浄化処理される流体に応じて、これら電圧最大値、パルス幅、繰返し周波数は調整するようにしてもよい。
高電圧パルスの最大電圧は、高圧側電極43と低圧側電極44との間の放電開始電圧より大きい電圧値に設定されているため、高圧側電極43と低圧側電極44との間に高電圧パルスが印加されると、ガス空間42にストリーマ状の放電Dが発生し、放電Dによってラジカルや荷電粒子がガス空間42に生成される。
高電圧パルスは、パルスの繰り返し周期に比べてパルス幅が短く、高圧側電極43と低圧側電極44との間への高電圧パルスの印加が終了すると、放電Dは終了し、ガス空間42における荷電粒子の生成が終了する。高圧側電極43と低圧側電極44との間への高電圧パルスの印加が終了しても、高圧側電極43と低圧側電極44との間には電荷除去電圧発生部32の直流電源35から出力された直流電圧が印加されているので、高圧側電極43と低圧側電極44との間の電圧は0になることはない。なお、電荷除去電圧発生部32から出力される直流電圧は、高圧側電極43と低圧側電極44との間で起こった放電Dを持続させる放電維持電圧より低く設定されているため、高圧側電極43と低圧側電極44との間に、電荷除去電圧発生部32が発生した電圧が印加されていても、高圧側電極43と低圧側電極44との間で放電Dが起こることは無く、ガス空間42に荷電粒子は生成されない。
電荷除去電圧発生部32の直流電源35が出力する直流電圧の電圧値は、電極間に高電圧パルスが印加されていない期間に、電極間に放電が発生しない電圧値に調整すればよく、直流電圧の絶対値は電極間に放電が発生しない範囲内で大きい方が好ましい。電極間に放電が発生しているか否かは、高圧側配線51や低圧側配線52の電流を測定して判定してよく、また、高圧側電極43と低圧側電極44との間のガス空間42から放電により放射される光を検出して判定してもよい。
なお、本発明において放電が発生していないとは、高圧側電極43と低圧側電極44との間のガス空間42に、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される電圧による新たな荷電粒子の生成が生じない状態をいう。従って、電極間の荷電粒子が移動することに伴い微小な電流が検出される場合があるが、このような微小な電流と放電が発生している際に流れる電流とは電流値の大きさが桁違いに異なるので電流値が急激に変化する点を有する。従って、電流値が急激に変化する点の電流値を閾値として、放電が発生しているか否かを判定してもよい。また、電極間で放電が発生しているときには、電極間のガス空間42に新たな荷電粒子が生成され、荷電粒子の生成に伴う光がガス空間42から放射される。従って、ガス空間42から放射される光を分光して、荷電粒子の生成に伴う放射光の有無をもって、電極間に放電が発生しているか否かをより精度良く判定することができる。
パルス電源部31、電荷除去電圧発生部32、および高圧側配線51は、1つの金属筺体内に収納してよい。これらを1つの金属筺体内に収納することで、パルス電源部31から発生した電磁ノイズが周囲へ放射されるのを抑制することができる。また、流体浄化装置100の全体を金属筺体内に収納してもよい。
次に、本発明の流体浄化装置100の動作について説明する。
流体浄化装置100を起動すると、制御装置21が流量調整器22を制御し、酸素ガスがガス供給源23から予め設定された流量で処理槽10内に供給される。処理槽10内に酸素ガスを供給し始めてから所定時間経過後に、処理槽10内は高酸素濃度雰囲気になる。
次に、制御装置21が電源部30の電荷除去電圧発生部32が発生する電圧値を設定する。そして、設定された電圧値の直流電圧が、電荷除去電圧発生部32の直流電源35から出力される。電荷除去電圧発生部32から出力された直流電圧は、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される。この直流電圧は、後述するように、電極間に高電圧パルスが印加されて発生したストリーマ状の放電Dによって生成された荷電粒子を両電極に引き寄せて除去するための電圧であり、本発明では電荷除去電圧と呼ぶ。
次に、制御装置21が電源部30のパルス電源部31が発生する高電圧パルスの電圧値、パルス幅、繰り返し周波数などの条件を設定する。そして、設定された高電圧パルスが、パルス電源部31から出力される。パルス電源部31から出力された高電圧パルスは、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される。高圧側電極43と低圧側電極44との間に高電圧パルスが印加されている期間内にガス空間42に放電Dが発生する。
流体浄化装置100で被処理水Fの浄化処理を行っている間は、高圧側電極43と低圧側電極44との間に電荷除去電圧が印加され続け、所定の繰り返し周期で高電圧パルスが印加され続ける。なお、制御装置21は、被処理水Fの浄化処理を行っている間中、高電圧パルスの最大電圧値、パルス幅、繰り返し周波数などの条件や、電荷除去電圧の電圧値を一定に保持してもよいが、被処理水Fの流入量や被処理水Fの水質を計測する水質計からの情報、あるいは高電圧パルス印加時の電流や電荷除去電圧印加時の電流などに基づいて、高電圧パルスの最大電圧値、パルス幅、繰り返し周波数などの条件や、電荷除去電圧の電圧値を変化させてもよい。
被処理水Fの浄化処理が終了すると、制御装置21は、パルス電源部31からの高電圧パルスの出力を停止し、直流電源35からの直流電圧の出力を停止する。そして、制御装置21は、流量調整器22を制御して、ガス供給源23から処理槽10内への酸素ガスの供給を停止する。なお、ここでは制御装置21が、電源部30や流量調整器22の制御を自動的に行う場合について説明したが、適宜手動や他の制御装置を用いて行ってもよい。また、ここで説明した順序は適宜入れ替えてもよい。
次に、被処理水Fの浄化処理を行っている間の動作について、さらに詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。また、図4は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置が被処理水の浄化処理を行っている間の流体浄化方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施の形態1では、低圧側電極44が接地電位であるので、図3に示す電圧波形は、高圧側電極43に印加される電圧波形である。図3において、横軸は時間、縦軸は電圧の大きさであり、縦軸の最下部は接地電位である0Vを示している。また、図3中に記したVDbは、高圧側電極43と低圧側電極44との間に放電Dを発生させるための放電開始電圧であり、VDsは、高圧側電極43と低圧側電極44との間に発生した放電Dが持続可能な最小の電圧である放電維持電圧である。
また、図3中に記したVP1およびVP2は、パルス電源部31から出力される高電圧パルスである。高電圧パルスVP1およびVP2の最大値は放電開始電圧VDbより大きいので、電極間に高電圧パルスVP1あるいはVP2が印加されると、電極間にはガス放電が発生する。高電圧パルスVP1は時刻T1において出力されており、高電圧パルスVP2は時刻T4において出力されている。図3中に示したVRは、電荷除去電圧発生部32が発生する電荷除去電圧であり、図2の直流電源35が出力する直流電圧である。すなわち、電荷除去電圧は電圧値がVRの直流電圧であり、|VR|<|VDs|である。図2に示した構成においては、電荷除去電圧VRは常に発生しており、高電圧パルスVP1、VP2の電圧値が電荷除去電圧VRより下回ると、電荷除去電圧VRが高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される。従って、図3に示すように高圧側電極43と低圧側電極44との間の電圧は、高電圧パルスVP1、VP2が無い期間であっても0になることは無い。すなわち、電圧が0になる休止期間が存在しない電圧波形が、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される。つまり、電荷除去電圧VRは、電極間の電圧が0になる期間を介さずに高電圧パルスVP1、VP2に連続して電極間に印加され、高電圧パルスVP1、VP2は、電極間の電圧が0になる期間を介さずに電荷除去電圧VRに連続して電極間に印加される
図4に示すように、被処理水Fの浄化処理が開始されると、ステップS01で、電荷除去電圧発生部32から電荷除去電圧VRが出力され、高圧側電極43と低圧側電極44との間に電荷除去電圧VRが印加される。すなわち、電荷除去電圧VRは被処理水Fの浄化処理中は常に出力されている。
次に、ステップS02で、パルス電源部31から高電圧パルスVPが出力される。高電圧パルスVPの電圧値は、電荷除去電圧VRの電圧値とは独立に設定されている。そして、ステップS03で電極間に放電開始電圧VDbより電圧値が高い電圧が印加されるので、電極間のガス空間42に放電Dが発生する。そして、ステップS04で放電Dにより、ガス空間42に、オゾンやラジカルなどの活性種とともに電子やイオンなどの荷電粒子が生成される。そして、ステップS05で高電圧パルスVPが放電維持電圧VDs未満に低下し、電極間のガス空間42で発生した放電Dが終了する。そして、ステップS06で電極間に印加されている電荷除去電圧VRによって、放電Dが終了した後も電極間のガス空間42に残留する荷電粒子を、高圧側電極43および低圧側電極44に引き寄せて、ガス空間42から荷電粒子を除去する。そして、ステップS07で浄化処理が終了したか否かを判断し、浄化処理を継続する場合は、再びステップS02に戻って、ステップS02からステップS07の各工程を繰り返す。なお、ステップS02からステップS07の間に、電極間で発生する放電の状況を観測しながら電荷除去電圧の電圧値を設定し直すステップと高電圧パルスの電圧値およびパルス幅を設定し直すステップとをさらに備えてもよい。また、ステップS01より前に、高電圧パルスの電圧値およびパルス幅を設定するステップと、電荷除去電圧の電圧値を設定するステップとをさらに備えてもよい
図3に示すように、ガス空間42に発生する放電Dは、高圧側電極43と低圧側電極44との間の電圧が、放電開始電圧VDb以上になる時刻で発生し、放電維持電圧VDsよりも小さくなる時刻で終了する。つまり、図3に矢印で挟んで放電発生と記した期間のみ放電Dが発生し、この期間にラジカルや荷電粒子が生成される。本発明では、図3に矢印で挟んで放電発生と記した期間を放電持続期間と呼ぶ。そして、図3に矢印で挟んだ放電持続期間が、図4のフローチャートではステップS03からステップS05である。図3の時刻T1および時刻T4では、電極間のガス空間42に放電Dが起こっている。図3の時刻T2および時刻T3ではガス空間42に放電Dは起こっていないが、電極間には電荷除去電圧VRが印加されている。図3の時刻T2および時刻T3は、図4のフローチャートではステップS06である。
図5は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の電極間の様子を示す模式図である。図5では、図3で示した時刻T1〜T4の各時刻における荷電粒子である電子E、正イオンIP、負イオンINの状態と放電Dの有無とを模式的に示した。なお、ガス空間42には、図5で示した荷電粒子の他にラジカルや中性粒子も存在するが、図5では省略している。図5では、高圧側電極43が陽極、低圧側電極44が陰極となる場合について説明するが、流体浄化装置100のプラズマ処理部40は、高圧側電極43が陰極、低圧側電極44が陽極であってもよく、電極間に交流の高電圧パルスを印加して陽極と陰極とが半周期毎に入れ替わる構成であってもよい。但し、図5で示すように、高圧側電極43が陽極、低圧側電極44が陰極となる方が、電極間に印加する高電圧パルスの最大電圧値を低くすることができるので好ましい。
図5(a)に示すように、時刻T1では、高圧側電極43と低圧側電極44との間に高電圧パルスVP1が印加されているので、電極間のガス空間42にストリーマ状の放電Dが発生し、放電Dによってガス空間42にラジカルや荷電粒子が生成される。高電圧パルスVP1が印加されている時刻T1では、生成された荷電粒子のうち電子Eと負イオンINとは陽極である高圧側電極43に向かって移動し、正イオンIPは陰極である低圧側電極44に向かって移動するが、放電Dが発生している間は荷電粒子が生成されるので、ガス空間42には荷電粒子が充満している。
そして、図5(b)に示すように、高電圧パルスVP1の印加が終了し、電極間の電圧が放電維持電圧VDsより低くなって放電Dが終了した後の時刻T2においても、ガス空間には放電Dで生成された荷電粒子が残留しているが、電極間には電荷除去電圧VRが印加されているので、荷電粒子のうち電子Eと負イオンINとは陽極である高圧側電極43に向かって移動し、正イオンIPは陰極である低圧側電極44に向かって移動する。時刻T2では、電極間に電荷除去電圧VRが印加されているが、電荷除去電圧VRは電極間で放電が発生しない大きさの電圧であるため、電極間には放電が発生しない。そして、電荷除去電圧VRによりガス空間42の荷電粒子が高圧側電極43あるいは低圧側電極44に引き寄せられて移動し、電極に到達した荷電粒子は電極との衝突などにより電荷を失い消滅する。すなわち、荷電粒子は中性粒子に戻る。このため、時間の経過とともにガス空間42の荷電粒子数は減少する。
図5(c)に示すように、放電Dが終了してからさらに時間が経過した時刻T3では、荷電粒子はほぼ電極への移動を終え、ガス空間42の荷電粒子数は時刻T2に比べて大きく減少する。
そして、図5(d)に示すように、時刻T4において電極間に次の高電圧パルスVP2が印加されると、電極間に再び放電Dが発生し、放電Dによって電極間のガス空間42にラジカルや荷電粒子が生成される。放電Dはオゾンやラジカルなどの活性種を生成し、生成された活性種が被処理水Fに含まれる有機物や細菌を分解するので、図5(a)から図5(d)の工程を繰り返すことで、被処理水Fが浄化される。
次に、本発明の流体浄化装置100の作用効果について説明する。
まず、比較例として電荷除去発生部を有さない従来の流体浄化装置について、本発明の流体浄化装置と比較し、本発明の流体浄化装置100の作用効果を説明する。比較例として説明する従来の流体浄化装置は、図1の本発明の流体浄化装置100と同様の構成をしているが、本発明の流体浄化装置100とは、電源部30がパルス電源部31のみで構成されており、電荷除去電圧発生部32を有さない構成が異なる。
図6は、比較例の従来の流体浄化装置流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。また、図7は、比較例の従来の流体浄化装置の電極間の様子を示す模式図である。図6は、本発明の流体浄化装置100の図3に対応するものであり、図中の符号や注釈等は図3と同一であり説明を省略する。同様に、図7は、本発明の流体浄化装置100の図5に対応するものであり、図中の符号や注釈等は図5と同一であり説明を省略する。なお、図3および図6において、高電圧パルスVP1、VP2は、最大電圧値、パルス幅、繰り返し周波数などの条件が同一である。
図6に示すように、従来の流体浄化装置では電源部が電荷除去電圧発生部を有さないため、高圧側電極43と低圧側電極44との間には、パルス電源部から出力される高電圧パルスのみが周期的に印加される。電極間に印加される高電圧パルスVP1の大きさが放電開始電圧VDb以上になると、電極間にストリーマ状の放電Dが発生し、電極間に印加される高電圧パルスVP1の大きさが放電維持電圧VDs未満になると、電極間に発生した放電Dが終了する。
図7(a)に示すように、時刻T1では、図5(a)に示した本発明の流体浄化装置100と同様に、従来の流体浄化装置においても電極間に放電Dが発生しているので、ガス空間42にラジカルや、電子E、正イオンIP、負イオンINからなる荷電粒子が生成される。
そして、図7(b)に示すように、高電圧パルスVP1の印加が終了した時刻T2では、電極間には電圧が印加されておらず、電極間の電圧は0であるため、ガス空間42の荷電粒子は密度勾配による拡散などによって様々な方向に移動する。
図7(c)に示すように、さらに放電Dが終了してから時間が経過した時刻T3では、ガス空間42の荷電粒子は、拡散によって時刻T2よりもガス空間42のさらに広範囲に広がる。なお、電極間に電圧が印加されていないため、荷電粒子には拡散を除いて駆動力が作用しないため、荷電粒子の密度勾配の減少に伴い移動速度が減速し、放電Dの終了から十分に時間が経過した時刻T3においても電極間のガス空間42には多くの荷電粒子が残留している。
そして、次の高電圧パルスVP2が印加される直前においても、電極間のガス空間42には荷電粒子が残留しているため、電極間のガス空間42は電離および熱化しやすい状態となっている。図7(d)に示すように、このようなガス空間42が電離および熱化しやすい状態の時刻T4において、高電圧パルスVP2が印加されると、高圧側電極43と低圧側電極44との間にスパーク放電Sが発生する。スパーク放電は、火花放電とも言い、ストリーマ状の放電Dとは異なり、ガス空間42の中性粒子の温度が数千度以上にも達する。一度スパーク放電Sが発生すると、その近傍のガス温度の上昇や荷電粒子数の増加により、ますますスパーク放電Sが生じやすくなる。このため、スパーク放電Sが持続し、電極間に大きな電流が流れるため、高圧側電極43が高温になって溶融し、破壊されるといった問題が生じる場合がある。
このため、従来の流体浄化装置では、スパーク放電Sの発生を検知すると、パルス電源部からの高電圧パルスの出力を停止する、高電圧パルスの最大電圧値をスパーク放電が発生しない電圧値まで低下させる、あるいは、単位時間あたりに出力する高電圧パルスの数を減少させるといった措置を取らなければならなかった。また、スパーク放電Sが発生しないように、高電圧パルスによるストリーマ状の放電Dが終了してから、次の高電圧パルスが印加されるまでの時間を十分に長くして、ガス空間の荷電粒子が十分に減少するように、高電圧パルスの繰り返し周期を長くしなければならなかった。つまり、従来の流体浄化装置では、高電圧パルスの繰り返し周波数をより増加させて、オゾンやラジカルなどの活性種の発生量をより増加させることができなかった。
これに対して本発明の実施の形態1の流体浄化装置100によれば、電源部30は高電圧パルスVPを出力するパルス電源部31と、電極間に高電圧パルスVPが印加されていない期間に、電極間で放電が発生しない大きさの電荷除去電圧VRを印加する電荷除去電圧発生部32とを備えているので、高電圧パルスVPにより発生した放電Dで生成されたガス空間42の荷電粒子を、放電Dが終了してから次の高電圧パルスVPが印加されるまでの間に十分に減少させることができるため、次の高電圧パルスVPによりスパーク放電Sが発生するのを抑制することができる。つまり、放電Dが発生していない期間に電荷除去電圧VRを電極間に印加しない従来の流体浄化装置に比べて、高電圧パルスを印加する繰り返し周期を短くしても、スパーク放電Sが発生しないようにすることができる。そして、電源部30が、それぞれ独立に条件設定可能なパルス電源部31と電荷除去電圧発生部32とを有しているため、高電圧パルスの条件と電荷除去電圧の条件とをそれぞれ最適に設定することができる。この結果、本発明の流体浄化装置100では、高電圧パルスの繰り返し周波数をより増加させて、オゾンやラジカルなどの発生種の発生量をより増加させることができる。また、スパーク放電Sの発生を抑制することができるので、高圧側電極43の破壊を抑制することができる。
また、本発明の流体浄化装置100の電源部30は、図2に示すようにパルス電源部31と電荷除去電圧発生部32とを設けて構成しているので、電極間に高電圧パルスVPが印加されていない期間は常に、電荷除去電圧が印加されるようになっている。すなわち、高電圧パルスVPによる放電Dが終了してから、電極間の電圧が0になる電圧休止期間を設けずに、電極間に放電しない大きさの電圧である電荷除去電圧VRが印加され続けるので、放電Dの終了後にガス空間42に残留した荷電粒子が密度勾配によって拡散し始める前に、電荷除去電圧VRによって電極に向かって移動するので、ガス空間42からより短時間に荷電粒子を除去することができる。つまり、高電圧パルスVPを印加し終わった後に、電極間の電圧が0になる電圧休止期間を設けてから、電荷除去電圧VRを印加する構成に比べて、短時間のうちにより多くの荷電粒子を除去することができるため、高電圧パルスVPの繰り返し周波数をより増加させて、オゾンやラジカルなどの発生種の発生量をより増加させることができる。
本実施の形態1では、流体浄化装置100の電源部30の回路構成として、図2に示すようにパルス電源部31に並列に電荷除去電圧発生部32を接続し、電荷除去電圧発生部32は、直流電源35と直流電源35に直列接続された第1の減衰器としての高域遮断フィルタ34と、直流電源35と高域遮断フィルタ34との直列接続回路とパルス電源部31との間に接続された第2の減衰器としての低域遮断フィルタ33とを備える構成としたが、電源部30の回路構成はこれに限るものではない。パルス電源部31の出力端子の耐電圧値が直流電源35の出力電圧より高い場合には、低域遮断フィルタ33などの第2の減衰器を省略してもよい。同様に、電荷除去電圧発生部32の直流電源35の出力端子の耐電圧値がパルス電源部31から出力される高電圧パルスの最大電圧より高い場合には、高域遮断フィルタ34などの第1の減衰器を省略してもよい。
図8は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の電源部の他の回路構成を示す回路図である。図8において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図8は、図2における第2の減衰器としての低域遮断フィルタをキャパシタ33aと変圧器33bとで構成したものである。
変圧器33bの1次巻線側にはパルス電源部31が接続されており、2次巻線側にはキャパシタ33aが直列に接続され、高圧側配線51と低圧側配線52とを介して高圧側電極43と低圧側電極44とが接続されている。パルス電源部31から出力され、変圧器33bの1次巻線に入力された高電圧パルスは、変圧器33bの巻数比に応じた増幅率で増幅されて高圧側電極43に印加される。なお、変圧器33bは巻数比が1であって1次側に入力された高電圧パルスをそのままの大きさで2次側に出力する変圧器であってもよく、巻数比が1未満で1次側に入力された高電圧パルスを減衰させて2次側に出力する変圧器であってもよい。
変圧器33bの2次側には直流電源35とインダクタからなる高域遮断フィルタ34との直列接続回路が接続されているが、2次側に入力される電圧は時間変化のない直流電圧であるため、変圧器33bの1次側には直流電源35から出力された直流電圧は出力されない。従って、パルス電源部31の出力が0Vの場合に、電荷除去電圧発生部32の直流電源35から出力された直流電圧が、パルス電源部31に印加されるのを防止することができる。
図9は、本発明の実施の形態1における流体浄化装置の電源部の他の回路構成を示す回路図である。図9において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図9は、図2におけるインダクタからなる高域遮断フィルタ34の代わりに第1の減衰器としてダイオードなどの整流器36を用い、整流器36を直流電源35と直列に接続したものである。整流器36は、整流器36のアノードが直流電源35の高電圧側に、整流器36のカソードがパルス電源部31の高電圧側、すなわち高圧側配線51に接続され、直流電源35から出力される直流電流に対して整流器36が順方向となるように接続されている。
図2における高域遮断フィルタ34は、パルス電源部31から出力される高電圧パルスの高い電圧が直流電源35に印加されるのを防止するために設けられている。高電圧パルスの電圧値は、直流電源35が出力する直流電圧より高いので、図9に示すように、高電圧パルスが出力された際に、整流器36に印加される電圧が逆バイアスとなるように整流器36を直流電源35に直列接続することで、高電圧パルスが出力されても、高電圧パルスの高い電圧が直流電源35に印加されないようにすることができる。高電圧パルスが出力されていない期間は、パルス電源部31の両端の電圧はほぼ0Vになるため、整流器36に印加される電圧は順バイアスとなるので、直流電源35から出力される直流電圧が整流器36を介して高圧側電極43に印加される。
さらに、第1の減衰器として、直流電源35の内部抵抗より抵抗値が大きい抵抗器や、抵抗器とインダクタとを直列接続して、直流電源35との直列接続回路を構成してもよい。直流電源35は、電極間に電荷除去電圧VRを印加してガス空間42に残留した荷電粒子を電極に引き寄せることができればよいので、大きな電流を流す必要が無い。従って、直流電源35と直列に電気抵抗が大きい抵抗器を接続しても、抵抗器における電圧降下は小さいため、直流電源35から出力される直流電圧とほぼ同じ電圧を電極間に印加することができる。一方、パルス電源部31から出力された高電圧パルスは、抵抗器と直流電源35の内部抵抗とで分圧されるため、高電圧パルスの大部分を抵抗器に印加させ、直流電源35に印加される電圧を極めて小さいものにすることができる。
また、図9の第1の減衰器として、抵抗器や抵抗器とインダクタとを直列接続したものを直流電源35に直列接続する場合には、高電圧パルスに含まれる低周波成分の遮断性能を向上させることができ、さらに、スパーク放電Sが発生した場合や放電がアーク化した場合に、電極間に常時直流電圧を印加している直流電源35から電極間に大電流が流れて電極を破損するのを防止することができる。
なお、本実施の形態1では、電荷除去電圧発生部32が発生する電荷除去電圧VRは、直流電源35が出力する直流電圧である場合について説明したが、電荷除去電圧VRは、電極間に印加しても電極間で放電が発生しない大きさの電圧であれば直流電圧に限るものではない。例えば、直流電源35の代わりに、パルス波、矩形波、三角波、のこぎり波、正弦波などの波形を単独あるいは複数合成して出力する電源を用いてもよい。
また、本実施の形態1では、電極間に印加される高電圧パルスVPの極性と電荷除去電圧VRの極性とが同じ場合について説明したが、高電圧パルスVPの極性と電荷除去電圧VRの極性とは逆であってもよい。例えば、高電圧パルスVPは高圧側電極43が陽極となるように印加し、電荷除去電圧VRは高圧側電極43が陰極となるように印加してもよい。しかし、電極間に印加される高電圧パルスVPの極性と、その高電圧パルスVPの後に電極間に印加される電荷除去電圧VRの極性とが同じ場合には、放電Dによって生成された荷電粒子に加わる駆動力の向きが一致しているため、極性が逆の場合よりもガス空間42からより短時間に荷電粒子を除去することができるので、本実施の形態1で説明したように、高電圧パルスVPの極性と高電圧パルスVPの直後の電荷除去電圧VRの極性とは同じである方が好ましい。
なお、本実施の形態1では、高圧側電極43および低圧側電極44の表面が金属である場合について説明したが、高圧側電極43および低圧側電極44の一方あるいは両方の表面は、ガラスまたはセラミックなどの誘電体で被覆してもよい。このような電極表面が誘電体で被覆された構成の流体浄化装置であっても、電極間に高電圧パルスを印加して発生させた放電が終了した後に電荷除去電圧を印加することによって、ガス空間内の荷電粒子をより短時間に除去することができ、本実施の形態1で説明した電極が誘電体で被覆されていない流体浄化装置100と同様の効果が得られる。高圧側電極43あるいは低圧側電極44の少なくとも一方が誘電体で被覆されている場合には、高電圧パルスによる放電が終了した後に電荷除去電圧によって移動した荷電粒子を誘電体の表面に蓄積させて壁電荷とし、この壁電荷を利用することで次の高電圧パルスにおける放電に必要な電圧を低く抑えることができる。すなわち、少なくとも一方の電極が誘電体で被覆されている場合には、電荷除去電圧の極性と、その次の高電圧パルスの極性とを逆にすることで、高電圧パルスの電圧値を低くすることができる。
以上のように、本発明の実施の形態1における流体浄化装置100は、電源部30のパルス電源部31から、最大値が放電開始電圧VDbよりも高い高電圧パルスVPを出力して、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加してストリーマ状の放電Dを発生させている。そして、電源部30の電荷除去電圧発生部32から、電極間で放電が起こらない大きさの電圧、すなわち放電維持電圧VDsよりも低い電荷除去電圧VRを、高電圧パルスVPに連続して電圧休止期間を設けることなしに、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加している。
この結果、高電圧パルスVPにより発生した放電Dで生成されたガス空間42の荷電粒子を電荷除去電圧VRによって電極側に引き寄せて中性粒子に戻すことができ、ガス空間42内の荷電粒子数を短時間に減少させることができる。従って、パルス電源部31が出力する高電圧パルスの繰り返し周波数を増加しても、スパーク放電Sを起こさずに、安定したストリーマ状の放電Dを発生させることができ、高いラジカル発生効率を維持しつつラジカル発生量を増加して気体および液体中の有機物・細菌の除去を高速に行うことができる。
また、電源部30が、高電圧パルスを発生するパルス電源部31と、電荷除去電圧を発生する電荷除去電圧発生部32とを有しているため、高電圧パルスの電圧値、パルス幅、繰り返し周波数などの活性種を生成するために最適な条件と、電荷除去電圧の電圧値などのガス空間42から荷電粒子を除去するために最適な条件とを、それぞれ独立に設定して電極間に印加することができるため、高電圧パルスのエネルギー利用効率を高く維持したまま高電圧パルスの繰り返し周波数をより増加させて、活性種の生成量をより増加させることができる。
本実施の形態1では、図2に示すように、電源部30の回路構成は、プラズマ処理部40の高圧側電極43および低圧側電極44とパルス電源部31との間に電荷除去電圧発生部32が接続された場合について説明したが、電源部30の回路構成はこれに限るものではない。例えば、高電圧パルスを発生するパルス電源部31と第2の減衰器である低域遮断フィルタ33との直列接続回路と、電荷除去電圧を発生する直流電源35と第1の減衰器である高域遮断フィルタ34との直列接続回路と、プラズマ処理部40の高圧側電極43および低圧側電極44と、が並列に接続された回路構成であってよい。すなわち、電荷除去電圧発生部32は、電荷除去電圧を発生する直流電源35と第1の減衰器とが直列に接続され、直流電源35と第1の減衰器との直列接続回路とパルス電源部31との間に第2の減衰器が電気的に接続された回路構成であってよい。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2における流体浄化装置の要部構成を示す模式図である。図10において、実施の形態1の図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。また、図11は、本発明の実施の形態2における流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。図11において、実施の形態1の図3と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、電荷除去電圧発生部32の直流電源35の代わりにパルス電源37を用いた構成が相違している。本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図11に示すように、電荷除去電圧発生部32のパルス電源37は、電圧の大きさがVRでパルス幅がTRの電圧パルスを出力し、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加する。すなわち、パルス電源37は、電圧値がVRの電荷除去電圧を、放電終了後、時間TRに亘って電極間に印加する。以下では、時間TRを電圧印加時間TRと呼ぶ。パルス電源部31が出力する高電圧パルスVPの周期はTPであり、パルス電源37が出力するパルス状の電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRは周期TPよりも短くなっている。図11に示すように、パルス電源37が出力するパルス状の電荷除去電圧VRは、電圧が0の電圧休止期間を有している。
本実施の形態2の流体浄化装置100において、パルス状の電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRは、高電圧パルスVPによるストリーマ状の放電Dによってガス空間42に生成された荷電粒子の除去に要する時間よりも長く設定することが好ましい。なお、電荷除去電圧VRは、高電圧パルスVPに連続して電圧休止期間を設けることなく印加されている。電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRの開始時刻は、高電圧パルスVPが放電維持電圧VDs未満となり放電Dが終了した時刻であり、電圧印加時間TRの終了時刻は、電極間の電圧が0になる時刻である。
なお、実施の形態1に示したように、電荷除去電圧VRが電圧休止期間を有さず、常時電極間に印加される場合には、電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRは、高電圧パルスVPの繰り返し周期から、高電圧パルスVPが放電開始電圧VDb以上になってから放電維持電圧VDs未満になるまでの時間を差し引いた時間である。すなわち、電荷除去電圧VRが常時電極間に印加されている場合には、高電圧パルスVPの繰り返し周期から、1つの高電圧パルスVPにおいて放電Dが発生している時間を差し引いた時間が、電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRである。高電圧パルスVPで放電Dが発生している時間は概ね高電圧パルスVPのパルス幅である。従って、実施の形態1に示したように、電荷除去電圧VRが電圧休止期間を有さず、常時電極間に印加される場合には、高電圧パルスの繰り返し周期TPは、荷電粒子の除去に要する時間より長く設定した電圧印加時間TRと高電圧パルスのパルス幅との合計時間より長く設定することが好ましい。
次に、放電Dにより生成された荷電粒子の除去に要する時間について説明する。例えば、高圧側電極43と低圧側電極44との間の距離dが10mm、電極間に電荷除去電圧VRを印加した場合の電極間の電界強度E1が1×106V/mの場合について説明する。放電Dにより生成されたO2 +イオンは、1気圧の酸素雰囲気中の移動度μが1.3cm2/Vsであるから、酸素雰囲気のガス空間42からO2 +イオンの除去に要する時間は、d/μE1=76μsである。よって、電極間距離dが10mm、電極間の電界強度E1が1×106V/mの場合には、電荷除去電圧VRの電圧印加時間TRを76μs以上に設定し、高電圧パルスVPの繰り返し周期TPを、高電圧パルスのパルス幅に76μsを加算した時間以上に設定するのが好ましい。
より一般的には、大気圧のガス空間42から荷電粒子を除去するためには、電荷除去電圧の電圧値VRと電荷除去電圧の電圧印加時間TRとの積VR×TRが0.1V・s以上となるようにすればよい。そして、電荷除去電圧の電圧値が時間的に一定ではなく変化する場合には、高電圧パルスVPの繰り返し周期における電荷除去電圧の時間積分が、0.1V・s以上となるようにすればよい。電荷除去電圧の電圧値が時間的に変化する場合の電荷除去電圧は、高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される電圧のうち、電極間で放電Dが発生していない期間の電圧としてよい。すなわち、高電圧パルスの1周期から電極間で放電Dが発生している期間を除いた期間に亘って電極間に印加される電圧を積分した値が0.1V・s以上となるようにすることで、ガス空間42から荷電粒子を除去し、高電圧パルスの繰り返し周波数をより増加させても、電極間にスパーク放電Sを発生させずに、ストリーマ状の放電Dを安定して発生させることができる。
オゾンやラジカルなどの活性種の発生量をより増加させるためには、電極間で放電Dが発生していない期間に亘って電極間に印加された電圧を積分した値が0.1V・s以上になるように、高電圧パルスVPの繰り返し周期TPをできるだけ短くして、繰り返し周波数を高くすることが好ましい。従って、実施の形態1で示したように、電荷除去電圧VRは時間的に一定で、電極間に印加される電圧が0になる電圧休止期間が無い方が、高電圧パルスVPの繰り返し周期TPを最も短くできるので好ましい。なお、電荷除去電圧VRが電極間に印加される電圧印加時間TRは、高電圧パルスのパルス幅よりも長く設定される。
電荷除去電圧の電圧値がVRで時間的に一定の場合、電荷除去電圧によって移動する荷電粒子の距離は、電荷除去電圧の電圧値VRと電圧印加時間TRとの積VR×TRに比例する。一方、電荷除去電圧による荷電粒子の移動および電荷除去電圧発生部32の内部抵抗で生じるエネルギー消費は、電荷除去電圧の電圧値VRの2乗と電圧印加時間TRとの積VR2×TRに比例する。よって、電荷除去電圧によって荷電粒子を一定距離移動させる場合、すなわちVR×TRが一定の場合、電圧印加時間TRが長い方が、電荷除去電圧の電圧値VRを小さくすることができ、荷電粒子の移動および電荷除去電圧発生部32の内部抵抗で生じるエネルギー消費を小さくすることができる。従って、実施の形態1で示したように電荷除去電圧は電極間の電圧が0となる電圧休止期間を有さず、電荷除去電圧の電圧印加時間TRを高電圧パルスの繰返し周期TPに近い値にすることが好ましい。また、電圧印加時間TRを長くすることにより、電荷除去電圧の電圧値VRを小さくすることができるため、流体浄化装置100の電気絶縁が容易になり、製造コストや保守コストを低減することができる。
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3における流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。図12において、実施の形態2の図11と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態2とは、電荷除去電圧発生部32のパルス電源37が、電圧値およびパルス幅が異なる複数種類の電圧パルスを出力する構成が相違している。本発明の実施の形態3では、本発明の実施の形態1、2と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
本実施の形態3の流体浄化装置100の電源部30は、図10に示した実施の形態2の流体浄化装置の電源部30と同一の構成をしている。本実施の形態3の流体浄化装置100では、パルス電源37は電圧値およびパルス幅が異なる複数種類の電圧パルスを出力し、図12では、例えば、電圧値がそれぞれVR1、VR2、VR3、VR4、VR5の電圧パルスVR1〜VR5が電荷除去電圧として出力されている。なお、図12では、電圧値がVR1の電圧パルスVR1と電圧値がVR4の電圧パルスVR4とは電圧値およびパルス幅が同じであり、電圧値がVR2の電圧パルスVR2と電圧値がVR5の電圧パルスVR5とは電圧値およびパルス幅が同じである。図12では省略しているが、電圧値がVR3の電圧パルスVR3と同じ電圧値、パルス幅の電圧パルスが電圧パルスVR5に続いてパルス電源37から出力される。すなわち、図12では、高電圧パルスVPの1周期毎に、同一の波形を形成する電圧パルスがパルス電源37から出力されている。
電荷除去電圧発生部32から出力されて電極間に印加される電荷除去電圧により、電極間のガス空間42から荷電粒子を除去するのに要する時間は、荷電粒子の大きさや質量、電荷量に応じて変化する。また、放電Dが終了した後であっても、ガス空間42において、ラジカル、荷電粒子、中性粒子などが反応することで、電極間のガス空間42に残留する荷電粒子の数は変化する。このため、図12に示すように、継時的な荷電粒子の数の変化に合わせて、電荷除去電圧を構成する電圧パルスVR1、VR2、VR3それぞれの電圧値およびパルス幅を調整することで、さらに効率良くガス空間42から荷電粒子を除去することができる。なお、図12では、放電が発生していない期間に電極間の電圧が0になる電圧休止期間があるが、上記実施の形態2で説明したように電圧休止期間は無い方がよく、図12においても電圧パルスVR3と電圧パルスVR4とを連続的に電極間に印加する方がよい。
なお、本実施の形態3では、パルス電源部31および電荷除去電圧発生部32のパルス電源37から同時に電圧パルスを出力しているが、パルス電源部31およびパルス電源37から電圧パルスを出力するタイミングは適宜調整してよい。例えば、あらかじめパルス電源部31またはパルス電源37に出力遅延時間を設定したり、パルス電源部31およびパルス電源37の同期信号の受信時間に差を設定したりしておくことで、同期信号を受信してから一定時間遅延時間が経過後に、パルス電源部31またはパルス電源37から電圧パルスの出力を開始させることができる。
また、高圧側電極43あるいは高圧側配線51に電圧センサを設け、電圧センサにより高圧側電極43に印加された高電圧パルスVPを測定し、高電圧パルスVPが一定の条件を満たした場合にパルス電源37から電荷除去電圧(VR1、VR2、VR3)の出力を開始したり、電圧センサにより高圧側電極43に印加された電荷除去電圧を測定し、電荷除去電圧が一定の条件を満たした場合にパルス電源部31から高電圧パルスを出力したりしてもよい。このように、パルス電源部31およびパルス電源37から電圧を出力するタイミングを適宜調整することで、荷電粒子の除去に最適な条件の電荷除去電圧を発生させることができ、さらに効率良く電極間のガス空間42から荷電粒子を除去することができる。
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4における流体浄化装置の要部構成を示す模式図である。図13において、実施の形態1の図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、電荷除去電圧発生部32をダイオードなどの整流器38および整流器39で構成した点が相違している。本発明の実施の形態4では、本発明の実施の形態1〜3と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図13に示すように、電荷除去電圧発生部32は、第1の端子32aと第3の端子32cとの間に整流器38を有している。整流器38は、アノードがパルス電源部31に接続され、カソードが高圧側電極43に接続されている。また、電荷除去電圧発生部32は、第2の端子32bと第3の端子32cとの間に整流器39を有している。整流器39は、パルス電源部31と並列に接続されており、アノードが接地電位53と同電位に接続され、カソードが整流器38のアノードおよびパルス電源部31の高電圧側に接続されている。
整流器38は、パルス電源部31から出力された高電圧パルスを低損失で高圧側電極43側に通過させ、高圧側電極43において電気的な不整合により反射された高電圧パルスがパルス電源部31側に通過するのを阻止あるいは大幅に減衰させる。整流器39は、パルス電源部31が高電圧パルスを出力した際には逆バイアスとなり、アノードとカソードとの間を遮断状態とすることで、高電圧パルスが高圧側電極43に印加されるようにする。また、整流器39は、パルス電源部31からの高電圧パルスの出力が終了し、出力された高電圧パルスが高圧側電極43で反射されて整流器38に印加された場合に、整流器38を逆バイアスに保って遮断状態とするために、アノードとカソードとの間が導通状態となり整流器38のアノード電位を接地電位53に近い電位に保つ。
図14および図15は、本発明の実施の形態4における流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。図14および図15において、実施の形態1の図3と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図14および図15は、ともに図13に示した構成により電極間に印加される電圧波形であるが、図14は、整流器38のカソードから高圧側電極43までの高圧側配線51の長さが、高圧側配線51上の高電圧パルスの電気長よりも長い場合であって、図15は、整流器38のカソードから高圧側電極43までの高圧側配線51の長さが、高圧側配線51上の高電圧パルスの電気長より十分に短い場合である。
まず、図14の場合、すなわち整流器38のカソードから高圧側電極43までの高圧側配線51の長さが、高圧側配線51上の高電圧パルスの電気長よりも長い場合について説明する。流体浄化装置100の電源部30のパルス電源部31は、上記実施の形態1〜3の流体浄化装置100と同様に、高電圧パルスVP1、VP2を所定の繰り返し周期で出力し、高電圧パルスVP1、VP2が高圧側電極43と低圧側電極44との間に印加される。
高電圧パルスVP1、VP2が電極間に印加されると、電極間にストリーマ状の放電Dが発生するが、高電圧パルスVP1、VP2の電圧が放電維持電圧VDsより低くなると、放電Dは終了する。従って、図14に示すように、高電圧パルスVP1、VP2のうち、放電Dが終了した後に電極間に印加された成分である電圧VPR1、VPR5は、放電で消費されずに、高圧側電極43で反射されて、高圧側配線51をパルス電源部31側に向かって伝搬する。しかし、高圧側配線51には整流器38が接続されており、整流器38は高圧側電極43で反射した電圧VPR1、VPR5がパルス電源部31側に向かって通過するのを阻止する向きであるので、整流器38に到達した電圧VPR1、VPR5は整流器38で再び反射されて、高圧側電極43に向かって伝搬する。
従って、図14に示すようにパルス電源部31から高電圧パルスVP1が出力されてから、次の高電圧パルスVP2が出力されるまでの間に、高圧側電極43には、高圧側配線51上で高圧側電極43と整流器38との間を往復するパルス状の電圧VPR1、VPR2、VPR3、VPR4が電荷除去電圧として繰返し印加される。つまり、1つの高電圧パルスによる放電Dが終了してから、次の高電圧パルスが印加されるまでの間に、高圧側電極43にパルス状の電荷除去電圧が繰り返し印加されることで、実施の形態1で説明したように、放電Dによりガス空間42に生成された荷電粒子を次の高電圧パルスが印加されるまでに減少させることができる。
この結果、パルス電源部31から出力される高電圧パルスの繰返し周波数をより増加させて、スパーク放電Sが発生するのを抑制することができ、高いラジカル発生効率を維持しつつラジカル発生量を増加し、水や空気などの流体中の有機物・細菌を短時間に除去して浄化することができる。また、スパーク放電Sの発生が抑制されるため、高圧側電極43が破損するのを抑制することができる。なお、図14では、高電圧パルスのうち放電で消費されなかった電圧が4回反射する場合について示したが、反射回数は高電圧パルスの繰り返し周波数や高圧側配線51の長さによって変化し、反射させる回数は任意に選択することができる。
次に、図15の場合、すなわち整流器38のカソードから高圧側電極43までの高圧側配線51の長さが、高圧側配線51上の高電圧パルスの電気長よりも十分に短い場合について説明する。
図13における高圧側電極43と整流器38との間の高圧側配線51の長さが短くなるにつれて、高電圧パルスVP1のうち放電により消費されなかった成分の電圧VPR1が、高電圧パルスVP1の終了から次の高電圧パルスVP2が印加されるまでの期間に、高圧側電極43と整流器38との間を往復する回数が増加する。この結果、高圧側電極43に印加されるパルス状の電圧VPRが重なるようになり、次第に電極間の電圧が0になる電圧休止期間が無くなるようになる。そして、高圧側電極43と整流器38との間の高圧側配線51の長さが、高圧側配線51上の高電圧パルスの電気長より十分に短くなると、パルス状の電圧VPRが滑らかに重なり合って、1つの高電圧パルスと次の高電圧パルスとの間に電極間に印加される電圧が直流電圧状になる。すなわち、図15に示すように、高電圧パルスVP1、VP2による放電が終了した後には、電極間に電荷除去電圧発生部32で発生した電圧VPR1、VPR2が印加される。
図14と図15とを比較して分かるように、高圧側電極43と整流器38との間の高圧側配線51の長さが短い図15の方が、高電圧パルスによる放電が終了してから次の高電圧パルスが印加されるまでの間に電極間に印加される電荷除去電圧の時間積分値を大きくすることができる。よって、高圧側電極43と整流器38との間の高圧側配線51の長さは短い方が、電極間のガス空間42に残留する荷電粒子をより減少させることができ、パルス電源部31が出力する高電圧パルスの繰返し周波数を増加した場合においても、スパーク放電Sが発生するのを抑制し、高いラジカル発生効率を維持しつつラジカル発生量を増加し、水や空気などの流体中の有機物・細菌をより短時間に除去して浄化することができる。
また、本実施の形態4の流体浄化装置100にあっては、高圧側電極43とパルス電源部31との間に接続された整流器38により、高圧側電極43で反射された高電圧パルスのうち放電で消費されなかった成分の電圧が、パルス電源部31に印加されるのを防止することができるため、高圧側電極43で反射されたパルス状の電圧によってパルス電源部31が受けるダメージを軽減することができる。
また、本実施の形態4の流体浄化装置100にあっては、電荷除去電圧発生部32に電荷除去電圧を発生するための電源を設けなくてよいので、上記実施の形態1〜3の流体浄化装置100と比較して、装置の小型化や装置の電気絶縁が容易になり、製造コストや保守コストを低下することができる。
なお、実施の形態1の図9で示したように、整流器39のアノードと低圧側配線52との間に直流電源を設けてもよい。すなわち、図13の整流器39に代えて、整流器と直流電源との直列接続回路で構成してよい。この場合、高圧側電極43で反射されたパルス状の電圧と、直流電源から出力された直流電圧との合計が電荷除去電圧として電極間に印加されるため、電極間のガス空間42からさらに短時間に荷電粒子を除去して、高電圧パルスの繰り返し周波数をより増加することができる。
なお、整流器38は、ダイオードに限らず、パルス電源部31から出力された高電圧パルスVPを低損失で通過させ、高圧側電極43で反射されたパルス状の電圧VPRがパルス電源部31側へ通過されるのを遮断あるいは大幅に減衰させる特性を有する整流器であればよく、例えば、ダイオードやサイリスタなどの整流機能を備えた整流素子や、整流素子を複数組み合わせたものであってもよい。
また、整流器38として、トランジスタ、短絡スイッチ、ギャップスイッチ、あるいは真空遮断器などの回路を開閉する開閉素子を用いてもよい。整流器38として、これらの開閉素子を用いる場合には、パルス電源部31から出力された高電圧パルスVPが開閉素子を通過するまでは回路を閉じておき、高電圧パルスVPが開閉素子を通過した直後に回路を開放することで、高圧側電極43で反射されたパルス状の電圧VPRがパルス電源部31側に通過するのを遮断あるいは大幅に減衰させることができるので、開閉素子を整流器として機能させて、上述した整流器38と同様の効果を得ることができる。
また、図13において、パルス電源部31と並列に接続された整流器39は、上述した整流器38と同様、ダイオードに限らず、ダイオードやサイリスタなどの整流機能を備えた整流素子や、整流素子を複数組み合わせたものであってもよい。さらに、整流器39に代えて、インダクタや抵抗器あるいはインダクタと抵抗器との直列接続回路などの減衰器を用いてもよい。すなわち、整流器39あるいはインダクタや抵抗器などの減衰器は、パルス電源部31から高電圧パルスが出力された際には、パルス電源部31の高電圧側から接地電位へ流れる電流を遮断あるいは大幅に低減し、高電圧パルスの出力が終了した後には、高圧側電極43で反射されたパルス状の電圧VPRが整流器38に対して逆バイアスで印加されるように、整流器38のアノード電位をカソード電位より低く保持できるものであればよい。
また、整流器39として、トランジスタ、短絡スイッチ、ギャップスイッチ、あるいは真空遮断器などの回路を開閉する開閉素子を用いてもよく、整流器39として、これらの開閉素子を用いる場合には、パルス電源部31から出力された高電圧パルスVPが開閉素子を通過するまでは回路を開放しておき、高電圧パルスVPが開閉素子を通過した直後に回路を閉じるように構成することで、開閉素子を整流器として機能させることができる。
なお、パルス電源部31が、高電圧パルスを出力していないときには、パルス電源部31の高電圧側の出力端子の電位が、低電圧側の出力端子の電位と同電位となるように構成されている場合には、図13において、整流器39を設けなくてもよい。
また、図13において、整流器38のカソードが接続された高圧側配線51と低圧側配線52との間に、抵抗器やインダクタあるいは抵抗器とインダクタとの直列接続回路を接続してもよい。そして、抵抗器の電気抵抗やインダクタのインダクタンスを調整することで、図15で示すように、高電圧パルスVP1、VP2の直後に電極間に印加される電荷除去電圧VPR1、VPR2の波形を荷電粒子の特性に応じて調整することができる。さらに、パルス電源部31が高電圧パルスの繰り返し出力を停止している際に、高圧側電極43の電位を接地電位と同電位にすることができるため、装置の電気絶縁が容易になり、装置の安全性を向上させることができる。
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5における流体浄化装置の要部構成を示す模式図である。図16において、実施の形態1の図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、電荷除去電圧が低圧側電極44に印加される構成が相違している。本発明の実施の形態5では、本発明の実施の形態1〜4と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図16に示すように、流体浄化装置100の電源部30は、パルス電源部31と電荷除去電圧発生部132とで構成されており、パルス電源部31は高圧側電極43と接地電位53との間に電気的に接続され、電荷除去電圧発生部132は低圧側電極44と接地電位53との間に電気的に接続されている。この構成により、パルス電源部31が発生する高電圧パルスは高圧側電極43に印加され、電荷除去電圧発生部132が発生する電荷除去電圧は低圧側電極44に印加される。すなわち、電極間に放電を発生させる高電圧パルスと、電極間のガス空間42に放電により生成された荷電粒子を除去するための電荷除去電圧とが、一対の電極のうち互いに異なる電極に印加される。低圧側電極44は、高圧側電極43とは異なり、強い電界を発生する鋭部を有しないため、低圧側電極44に電荷除去電圧を印加することで、電荷除去電圧発生部132と処理槽10などとの間の電気絶縁を容易にすることができる。
図16に示すように、電荷除去電圧発生部132は、直流電源135と、直流電源135に直列接続された高域遮断フィルタ134と、直流電源135と高域遮断フィルタ134との直列接続回路に並列接続された低域遮断フィルタ133とで構成されている。低域遮断フィルタ133には、実施の形態1で説明した第2の減衰器と同様の減衰器を用いることができ、高域遮断フィルタ134には、実施の形態1で説明した第1の減衰器と同様の減衰器を用いることができる。
図16に示すように、電荷除去電圧発生部132がパルス電源部31と直列に接続されて電源部30が構成され、電源部30が高圧側電極43および低圧側電極44に接続される。電荷除去電圧発生部132の低域遮断フィルタ133は、パルス電源部31から出力される高電圧パルスを低損失で通過させ、直流電源135と直列接続された高域遮断フィルタ134は、高周波成分を多く含む高電圧パルスを遮断し、高電圧パルスの高い電圧が直流電源135に印加されるのを防止する。このため、高電圧パルスによって電極間に発生する放電により流れる電流は、電荷除去電圧発生部132の低域遮断フィルタ133に流れ、高域遮断フィルタ134および直流電源135には殆ど流れない。高域遮断フィルタ134は、パルス電源部31が発生した高電圧パルスが減衰されて直流電源135に印加されるように機能するので、実施の形態1で説明したように第1の減衰器である。
また、低域遮断フィルタ133は、直流電源135と高域遮断フィルタ134との直列接続回路に並列に接続されており、パルス電源部31が発生して電極間に印加されたた高電圧パルスによって流れる電流を低損失で通過させる。高電圧パルスを低損失で通過させるには、直流電源135と高域遮断フィルタ134との直列接続回路に並列に低インピーダンスの回路素子や短絡線を接続することも考えられるが、その場合には直流電源135から低インピーダンスの回路素子や短絡線に流れる漏れ電流が大きくなるので、効率が低下する。しかし、図16に示すように、直流電源135と高域遮断フィルタ134との直列接続回路に並列に低域遮断フィルタ133を並列に接続することで、直流電源135から出力されて低域遮断フィルタ133に流れる電流を低減あるいは遮断し、高電圧パルスによって流れる電流を低損失で通過させることができる。すなわち、低域遮断フィルタ133は、直流電源135から出力される電流を、低域遮断フィルタ133の代わりに短絡線を接続した場合よりも減衰させる第2の減衰器である。
図17は、本発明の実施の形態5における流体浄化装置の電極間に印加される電圧波形を示すタイムチャートである。図17において、横軸は時間である。縦軸は電極間の電圧であり、低圧側電極44の電位を0とした場合、すなわち低圧側電極44に対する高圧側電極43の電位である。実施の形態1の図3も低圧側電極44に対する高圧側電極43の電位を示しているが、図3では低圧側電極44の電位は接地電位と同電位であるのに対して、図17では低圧側電極44の電位は接地電位とは異なる。また、図17中に記したVDbは、図3の場合と同様、高圧側電極43を陽極、低圧側電極44を陰極として放電Dを発生させるための放電開始電圧である。VDs1は、高圧側電極43が陽極、低圧側電極44が陰極の場合に電極間に発生した放電Dが持続可能な最小の電圧である放電維持電圧である。VDs2は、VDs1とは逆に、高圧側電極43が陰極、低圧側電極44が陽極の場合に電極間に発生した放電Dが持続可能な最小の電圧である放電維持電圧である。
図16および図17に示すように、高圧側電極43にパルス電源部31から高電圧パルスVP1、VP2が印加されていない期間は、高圧側電極43の電位は接地電位であり、低圧側電極44には電荷除去電圧発生部132から電荷除去電圧VRが印加されるため、高圧側電極43の電位は低圧側電極44の電位に対して負電位となっている。しかし、電荷除去電圧VRの絶対値は、高圧側電極43が陰極である場合の放電維持電圧VDs2の絶対値よりも小さいため、電極間には放電が発生していない。
パルス電源部31から高圧側電極43に高電圧パルスVP1が印加され、電極間の電圧が放電開始電圧VDb以上になると、電極間にストリーマ状の放電Dが発生し、電極間のガス空間42に荷電粒子が生成される。そして、図17に示すように、電極間の電圧が、高圧側電極43が陽極の場合の放電維持電圧VDs1より小さくなった時刻t1で、電極間の放電Dは終了する。高電圧パルスVP1はパルス立ち上がり時間およびパルス立ち下り時間を有しているため、時刻t2において、高圧側電極43に印加されている高電圧パルスVP2の電圧値と、低圧側電極44に印加されている電荷除去電圧VRの電圧値とが等しくなり、電極間の電圧は0になる。その後、時刻t3において、パルス電源部31からの高電圧パルスVP1の出力が完全に終了すると、電極間には高圧側電極43が低圧側電極44に対して負電位となるように電荷除去電圧VRが印加される。このため、放電終了後に電極間のガス空間42に残留している荷電粒子は、放電中の移動方向と逆方向の電極に向かって移動し、ガス空間42の荷電粒子が除去される。この結果、高電圧パルスVP2が印加されても、スパーク放電が発生するのを防止することができるため、高電圧パルスの繰り返し周波数を増加することができる。
このように、パルス電源部31が出力する高電圧パルスと、電荷除去電圧発生部132が発生する電荷除去電圧とが、電極間に逆極性となるように印加される場合には、電極間の電圧が0になる期間を介さなければならず、放電終了後にガス空間42に残留している荷電粒子を除去する効率は、高電圧パルスと電荷除去電圧とが同極性の場合に比べて悪い。しかし、実施の形態1で説明したように、高圧側電極43および低圧側電極44の一方または両方が誘電体で覆われている場合には、高電圧パルスと電荷除去電圧とが逆極性の方が放電を発生させるために必要な電圧を低くすることができるので好ましい。
なお、図16において直流電源135は極性を逆にして接続してよく、直流電源135の高電圧側を接地電位53に接続し、高域遮断フィルタ134を介して直流電源135の低電圧側を低圧側電極44に接続することで、電極間に印加される高電圧パルスと電荷除去電圧とが同極性になるようにすることができる。電極間に印加される高電圧パルスと電荷除去電圧とを同極性にすることで、高電圧パルスの後に電極間の電圧が0になる期間を介さずに電荷除去電圧を印加することができる。
図18は、本発明の実施の形態5における流体浄化装置の他の要部構成を示す模式図である。図18において、図16と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図16とは、電荷除去電圧発生部132が、低域遮断フィルタの代わりに開閉素子136を備え、直流電源135の代わりにパルス電源137を備えた構成が相違している。
パルス電源137は、実施の形態2あるいは実施の形態3で説明したパルス電源と同様に電圧値およびパルス幅を制御可能な電圧パルスを出力するパルス電源であり、電極間のガス空間42から荷電粒子を除去するための電荷除去電圧を1つまたは複数の電圧パルスで構成することができる。この結果、実施の形態2および実施の形態3で説明した流体浄化装置100と同様の効果を得ることができる。なお、図18において、直流電源の代わりにパルス電源137を用いた場合であっても、開閉素子136を用いずに、開閉素子136に代えて図16で示したように低域遮断フィルタを用いてもよい。
図18において、電荷除去電圧発生部132の開閉素子136は、パルス電源部31から高電圧パルスが出力された際に回路を閉じて、高電圧パルスの高い電圧がパルス電源137に印加されるのを防止する。そして、パルス電源部31からの高電圧パルスの出力が終了すると、開閉素子136は回路を開放する。図16のように、開閉素子136を用いずに低域遮断フィルタを用いた場合には、パルス電源137から出力された電荷除去電圧による漏れ電流が低域遮断フィルタに流れて損失となるため、低域遮断フィルタ133に代えて開閉素子136を用いることで流体浄化装置100の効率を向上させることができる。なお、図18において、低域遮断フィルタの代わりに開閉素子136を用いた場合であっても、パルス電源137を用いずに、パルス電源137に代えて図16で示したように直流電源を用いてもよい。
以上、本発明の実施の形態1〜5について説明した。これらの、本発明の実施の形態1〜5で説明した構成は互いに組合せることができる。また、本発明の実施の形態1〜5で説明した構成を適宜、変形、省略することができる。