JP6658711B2 - 表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置 - Google Patents

表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁性金属からなる被検体に磁束を印加することによって被検体から漏洩する磁束を検出することにより、被検体に存在する表面欠陥を検出する表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置に関するものである。
磁性金属、特に薄鋼板の製造プロセスにおいては、製造ライン内に設置されているロールに付着した異物、又は、その異物がロールに噛み込まれることによってロールに形成された凹凸が鋼板に転写されることにより、薄鋼板にロール性の疵が発生する場合がある。このようなロール性の疵を含むロール性欠陥の中には、薄鋼板の表面粗さ(Ra=0.5〜2μm)の中でなだらかな輪郭(曲率半径R≧10mm)を有し、凹凸量は5μm以下であるが面積は10mm以上の形状を有する微小凹凸表面欠陥がある。図11に微小凹凸表面欠陥の断面形状の模式図を示す。
微小凹凸表面欠陥の面積は10〜1000mm程度であるが、先に述べたように凹凸量は5μm以下であり、最も小さいものにあっては凹凸量1μm前後と表面粗さと同じオーダーの非常に小さいものである。大部分の比較的凹凸量の大きなロール性欠陥は視認可能であるため製造ラインでの発見も容易である。しかしながら、この微小凹凸表面欠陥は凹凸量が薄鋼板の表面粗さと同じ程度であるため光学的には差が小さく、そのままの状態で観察しても発見することができず、製造ラインでの発見が困難である。ところが、塗装され、表面粗さが塗料に埋められて表面が滑らかになると、微小凹凸表面欠陥が明瞭に見えるようになり、外観上大きな問題となる。そのため、微小凹凸表面欠陥を塗装前に発見することは品質管理上重要な問題である。
微小凹凸表面欠陥の形態としては、前述のロール性の疵のような点状の疵のほか、線状マークや絞りマークのように薄鋼板の長手方向に続く疵もある。このような微小凹凸表面欠陥を見つけるために、製鉄プロセスの各検査ラインにおいては全てのコイルについて、操業中に薄鋼板の走行を一度停止し検査員が薄鋼板に砥石がけを行った後に目視検査をしている。薄鋼板に砥石がけを行うと、凹部に比べて凸部がより砥石にあたり反射率が高くなるので、凹凸部の差が明確になり目視で微小凹凸表面欠陥を確認することができる。しかしながら、このような表面欠陥検出方法は、検査ラインを停止して行わなければならず、且つ、かなりの時間を要するので作業能率を低下させる。このため、凹凸量が数μm程度でなだらかな輪郭を有する微小凹凸性欠陥を検出する方法として、特許文献1及び特許文献2に記載の方法が提案されている。
特開2009−52903号公報 特開2009−265087号公報
特許文献1に記載の方法は、鋼板に磁束を印加し、鋼板に欠陥が発生する際に生じる内部歪に起因する漏洩磁束信号を検知することによって欠陥を検出する方法である。しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、欠陥が非常に小さい等、欠陥が軽微である場合、漏洩磁束信号の強度が弱いために欠陥を検出できない可能性がある。一方、特許文献2に記載の方法は、軽微な周期的な欠陥を検出するためにその周期的な特徴を利用して欠陥の検出精度を上げる方法である。しかしながら、特許文献2記載の方法は、周期的な特徴を有する欠陥にしか適用することができない。
ところが、以下の事情により周期的な特徴を有さない微小凹凸表面欠陥を検出するニーズが生じている。第1に、欠陥の発生原因となるロールの凹凸は鋼板を製造するにつれてロールと鋼板との間の摩擦によって徐々に小さくなってしまうために、非常に軽微な欠陥の中には周期的な特徴をほとんど若しくは全く有さないものがあるが、これらの欠陥も客先で問題となることがある。第2に、周期的な特徴を有する欠陥であっても、製造ラインで鋼板がその搬送方向に対して垂直な方向に蛇行する等の要因によってその周期的な特徴を検出することが困難になることもある。このような事情のため、鋼板の品質レベルを向上させるためには欠陥の周期的な特徴を利用しない微小凹凸表面欠陥の検出技術が必要となってきている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体中に存在する周期的な特徴を有さない微小凹凸表面欠陥も精度よく検出可能な表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置を提供することにある。
本発明に係る表面欠陥検出方法は、磁性金属からなる被検体に磁束を印加することによって該被検体から漏洩する磁束を検出することにより、被検体に存在する表面欠陥を検出する表面欠陥検出方法において、前記被検体から漏洩する磁束を計測して磁気画像に変換する計測ステップと、前記磁気画像に対して複数の空間フィルタによるフィルタ処理を施すことにより複数のテクスチャ特徴画像を生成するテクスチャ特徴画像生成ステップと、前記磁気画像上の各位置について前記複数のテクスチャ特徴画像の対応する位置の値を各々抽出して前記磁気画像上の各位置における特徴ベクトルを生成するテクスチャ特徴抽出ステップと、前記特徴ベクトルの各々について前記特徴ベクトルがなす多次元分布における異常度を算出し、前記磁気画像上の各位置についての異常度を示した異常度画像を生成する異常度算出ステップと、前記異常度画像において前記異常度が所定値を超える部分を欠陥部又は欠陥候補部として検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記テクスチャ特徴画像生成ステップは、前記複数の空間フィルタによるフィルタ処理を、前記磁気画像を縮小した画像又は前記テクスチャ特徴画像を縮小した画像に対しても施すことにより、別のテクスチャ特徴画像を生成する処理を含むことを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記磁気画像又は前記テクスチャ特徴画像の縮小方向が検出対象である線状欠陥と平行な方向である方向を含むことを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記複数の空間フィルタがウェーブレット変換により実現されることを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出方法は、上記発明において、前記複数の空間フィルタがガボールフィルタを含むことを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出装置は、磁性金属からなる被検体に磁束を印加することによって該被検体から漏洩する磁束を検出することにより、被検体に存在する表面欠陥を検出する表面欠陥検出装置において、前記被検体から漏洩する磁束を計測して磁気画像に変換する計測手段と、前記磁気画像に対して複数の空間フィルタによるフィルタ処理を施すことにより複数のテクスチャ特徴画像を生成するテクスチャ特徴画像生成手段と、前記磁気画像上の各位置について前記複数のテクスチャ特徴画像の対応する位置の値を各々抽出して前記磁気画像上の各位置における特徴ベクトルを生成するテクスチャ特徴抽出手段と、前記特徴ベクトルの各々について前記特徴ベクトルがなす多次元分布における異常度を算出し、前記磁気画像上の各位置についての異常度を示した異常度画像を生成する異常度算出手段と、前記異常度画像において前記異常度が所定値を超える部分を欠陥部又は欠陥候補部として検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥検出方法及び表面欠陥検出装置によれば、被検体中に存在する周期的な特徴を有さない微小凹凸表面欠陥も精度よく検出することができる。
図1は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。 図2は、図1に示す画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、入力画像に対する前処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、補正画像に対する欠陥検出処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、ガボール関数を3次元空間にプロットした図である。 図7は、本発明の実施形態におけるガボールフィルタ処理を表すブロック線図である。 図8は、2次元の主成分分析の一例を示す図である。 図9は、欠陥判定処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、微小凹凸表面欠陥を有する鋼板の画像を本発明により処理した一例を示す図である。 図11は、微小凹凸表面欠陥の断面形状を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成及びその動作について説明する。
〔構成〕
まず、図1,図2を参照して、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置の構成を示す模式図である。図2は、図1に示す画像処理装置8の内部構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置1は、鋼板Sに存在する厚さ方向に数μmと表面粗さと同レベルの微小凹凸表面欠陥DFを検出する装置であり、直流電源2、磁化器3、磁気センサ4、増幅器5、信号処理回路6、画像化装置7、画像処理装置8、及び表示装置9を主な構成要素として備えている。
磁化器3と磁気センサ4は鋼板Sの同じ側に配置されており、磁気センサ4は鋼板Sの幅方向(紙面と垂直方向)に複数個並べて配列されている。磁化器3は直流電源2から直流電流が供給されることにより磁化される。磁化器3によって両磁極間に発生した磁束は、鋼板Sを通り、鋼板Sに印加される。鋼板Sに微小凹凸表面欠陥DFが存在すると、微小凹凸表面欠陥DFによって磁化器3から印加された磁束が妨げられ、その磁束の変化を磁気センサ4によって検出することができる。
鋼板Sは図1に示す矢印の方向に通板される。これにより、磁気センサ4の直下の鋼板Sが順次変化していくため、磁気センサ4によって検出される磁気信号(出力信号)を時間方向に一定ピッチでサンプリングすることにより、鋼板Sの表面欠陥を連続して検出することができる。磁気センサ4の出力信号は、増幅器5によって増幅され、信号処理回路6によってノイズ除去された後、鋼板Sの通板速度に対応した一定のサンプリングピッチでサンプリングされる。
サンプリングされた信号は、画像化装置7で鋼板Sの幅方向に複数個並べられた磁気センサ4からの出力を横軸、時系列方向を縦軸に並べて2次元のデータとして画像化され、磁気画像として画像処理装置8に伝送されて欠陥判定される。ここで、磁気センサ4は鋼板Sの幅方向に複数配列されているとしたが、鋼板Sの表面の2次元的な磁気信号の分布が測定できればこれに限らない。例えば磁気センサ4を1列に並べても鋼板Sの通板方向にずらして千鳥状に配列しても構わない。磁気センサ4を千鳥状に配列する場合は、後述する磁気信号を画像化する際に磁気センサ4をずらした距離の分補正する必要がある。また、1個の磁気センサ4を鋼板Sの幅方向に動かして複数個の代わりとしても構わない。
画像処理装置8は、伝送された鋼板Sの磁気画像を解析することによって鋼板S表面に表面欠陥があればそれらを検出し、且つ、それら表面欠陥の種別や有害度を判定して、その情報を表示装置9に出力する。
図2に示すように、画像処理装置8は、画像入力部81、画像補正部82、テクスチャ特徴画像生成部83、テクスチャ特徴抽出部84、異常度算出部85、及び欠陥候補検出部86を内部に備えている。また、画像処理装置8は、必要に応じて、欠陥特徴算出部87及び欠陥判定部88を内部に備えている。
画像入力部81は、内部に一時記憶領域を有し、鋼板Sの磁気画像のデータを順次一時記憶領域にバッファリングする。
画像補正部82は、画像入力部81の一時記憶領域から磁気画像のデータを順次読み出し、読み出した磁気画像のデータに対して補正処理を行うことによって補正画像を生成する。補正処理では、画像補正部82は、まず磁気画像中に鋼板Sの両方又は片方のエッジが含まれる場合、そのエッジ位置を検出し、鋼板Sのエッジの外側に相当する画像領域を検出対象外領域に設定すると共に、例えばエッジ位置を境界とした鋼板Sの内部領域の鏡像で検出対象外領域を埋める。次に、画像補正部82は、磁気センサ4の感度や増幅器5のゲインのむら等に起因する鋼板Sの磁気画像における信号むらを補正し、画像全体が一定の値となるようにする。
テクスチャ特徴画像生成部83は、補正画像に対して複数の空間フィルタ処理を施して画像中の各位置における局所的な模様(テクスチャ)の特徴(局所的な周波数特性)を示す各空間フィルタに対応する特徴画像(以下では特にテクスチャ特徴画像ということがある)を複数生成する。ここでいう空間フィルタは、入力画像の対応する画素とその周囲の画素値を用いて出力画像を生成する処理である。特に通過波長域や通過する信号の波形の方向を変えた複数の空間フィルタを用いるとよい。
テクスチャ特徴抽出部84は、テクスチャ特徴画像生成部83によって生成された複数のテクスチャ特徴画像から入力画像又は補正画像上の各位置に対応した位置の値を抽出して、画像上の各位置のテクスチャ特徴ベクトルを抽出する。テクスチャ特徴ベクトルの数は画像中の全画素数であり、テクスチャ特徴ベクトルの次元はテクスチャ特徴画像の数と一致する。
異常度算出部85は、テクスチャ特徴抽出部84で抽出された複数のテクスチャ特徴ベクトルがなす多次元空間での分布を解析し、各テクスチャ特徴ベクトルの異常度を算出する。そして、異常度算出部85は、算出された各テクスチャ特徴ベクトルの異常度を対応する画像上の位置にマッピングして、異常度画像を生成する。
欠陥候補検出部86は、異常度算出部85によって生成された異常度画像に対して所定の異常度を閾値として二値化を行い、異常度が所定の閾値以上となる画素が連続して繋がる画像領域を欠陥部又は欠陥候補として検出する(ラベリング)。なお、欠陥候補検出部86は、検出された欠陥候補のうち、面積が小さすぎるもの等、有害欠陥でないとみなせる欠陥候補を除外する処理や、検出位置が近い複数の欠陥候補をまとめて一つの欠陥候補として連結する処理を行ってもよい。
欠陥特徴算出部87は、欠陥候補検出部86によって検出された各欠陥候補について、欠陥特徴量を算出する。欠陥特徴量は、補正画像から欠陥候補の領域部分を切り出した欠陥部濃淡画像、及び同じく異常度画像から欠陥候補の領域部分を切り出した欠陥部異常度画像を用いて算出される。
欠陥判定部88は、欠陥特徴算出部87によって算出された欠陥特徴量に基づいて、各欠陥候補の欠陥種別及び有害度を判定する。
表示装置9は、画像処理装置8によって検出された表面欠陥についての検出情報(表面欠陥部の画像や表面欠陥の位置)、判定情報(種別、有害度)、統計情報(鋼板S全体についての又は欠陥種別や有害度別の欠陥総数、発生率等)等を表示する。
〔表面欠陥検出処理〕
次に、図3〜図9を参照して、本発明の一実施形態である表面欠陥検出処理の流れについて詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態である表面欠陥検出処理の流れを示すフローチャートである。表面欠陥検出装置1は、表面欠陥検出開始指示を受けると鋼板Sに存在する表面欠陥の検出を開始し、画像化装置7によって画像化された磁気画像(以下、入力画像と表記)のデータは画像処理装置8の画像入力部81内の一時記憶領域に順次バッファリングされる。
図3に示すように、表面欠陥検出開始後、画像処理装置8は、画像入力部81内の一時記憶領域に未処理の入力画像のデータがあるか否かを判別する(ステップS1)。判別の結果、未処理の入力画像のデータがない場合(ステップS1:No)、画像処理装置8は新しい入力画像のデータが入力されるまで待機する。一方、未処理の入力画像のデータがある場合には(ステップS1:Yes)、画像処理装置8は、前処理(ステップS2)、欠陥検出処理(ステップS3)、及び欠陥判定処理(ステップS4)を順次実行する。次に、画像処理装置8は、表面欠陥検出終了指示が出ているか否かを判別する(ステップS5)。そして、判別の結果、表面欠陥検出終了指示が出ている場合(ステップS5:Yes)、画像処理装置8は表面欠陥検出を終了する。一方、表面欠陥検出終了指示が出ていない場合には(ステップS5:No)、画像処理装置8は、ステップS1の処理に戻り、表面欠陥検出処理を続行する。
[前処理]
次に、図4を参照して、上記前処理(ステップS2)について説明する。
図4は、入力画像に対する前処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、前処理は、エッジ検出ステップS21、エッジ外部補正ステップS22、及びシェーディング補正ステップS23を含んでいる。これらの処理は画像補正部82にて実行される。
エッジ検出ステップS21では、画像補正部82が、入力画像I(x,y)から鋼板Sのエッジ位置を検出する。ここで、xは鋼板Sの幅方向に対応する画素座標、yは鋼板Sの通板方向に対応する画素座標であり、x=0,1,…,nx−1、y=0,1,…,ny−1とする。ここで、nxは画像のx方向のサイズ、nyはy方向のサイズである。
エッジ外部補正ステップS22では、画像補正部82が、鋼板Sのエッジの外側を検出処理対象外領域として指定すると共に、例えばエッジ内側の領域の値を鏡像で検出処理対象外領域に補うことによってエッジ部が検出されないように無害化したエッジ外部補正画像IE(x,y)を生成する。
シェーディング補正ステップS23では、画像補正部82が、エッジ外部補正画像IE(x,y)の輝度むらを補正(シェーディング補正)して画像全体の明るさを均一化した補正画像IC(x,y)を計算する。シェーディング補正処理では、例えば1次元の輝度の移動平均値を元の画像の輝度から引き移動平均値で割って規格化してもよいし、これをx方向及びy方向の両方向とした2次元の輝度の移動平均値としても良い。また、輝度の移動平均値の代わりに任意のローパスフィルタを用いても良い。また、簡便な方法としては、輝度の差分を用いても良いし、さらにはそれに等価なハイパスフィルタを用いてもよい。
なお、以上の一連の前処理において、入力画像I(x,y)の状態に応じてエッジ検出処理ステップS21、エッジ外部補正ステップS22、及びシェーディング補正ステップS23を実施するか否かは適宜選択されてよく、例えばいずれのステップも実施しない場合は補正画像IC(x,y)=入力画像I(x,y)となる。
[欠陥検出処理]
次に、図5〜図7を参照して、上記欠陥検出処理(ステップS3)について説明する。
図5は、補正画像に対する欠陥検出処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、欠陥検出処理は、テクスチャ特徴画像生成ステップS31、テクスチャ特徴抽出ステップS32、異常度算出ステップS33、及び欠陥候補検出ステップS34を含んでいる。
テクスチャ特徴画像生成ステップS31では、テクスチャ特徴画像生成部83が、補正画像IC(x,y)に対し複数のフィルタ処理を施してテクスチャ特徴画像Fj(x,y)(j=0,1,2,…,NT−1)を生成する。ここで、NTは空間フィルタの数である。本実施形態では、空間フィルタとしてガボール(Gabor)フィルタを用いる。ガボールフィルタは以下に示す数式(1)によって表されるガボール関数を用いた線形フィルタである。
数式(1)は、ガボールフィルタの一般式を示し、正弦波にガウス型の減衰関数を乗算した形式となっている。数式(1)において、λは正弦波の波長、θはガボール関数の縞模様の方向、aは波長の広がり(ガウス関数のバンド幅)を表している。また、bは、空間アスペクト比を表し、ガボール関数のサポートの楕円率を表している。また、iは虚数単位である。図6(a),(b)は、数式(1)においてλ=8,θ=120°,a=0.125,b=1.5としたガボール関数Gabor(x,y:a,b,λ,θ)を3次元空間にプロットした図である。図6(a),(b)に示すように、ガボール関数Gabor(x,y:a,b,λ,θ)は、ガウス関数を窓関数として無限に広がる正弦波を切り取った形をしている。a,b,θを任意に変えることでガボール関数の向き、波の方向、及び減衰率を変えることができる。
画像解析では、数式(1)に示すガボール関数を空間フィルタとして用いるが、特にb=1,a=1/λとした以下の数式(2)に示すガボール関数を用いることがある。そこで、以下では数式(2)に基づき説明する。
ガボールフィルタを画像に畳み込み演算することにより、波長λ(画素)及び波の向きθの局所的周波数成分を抽出できる。また、パラメータλ及びθを様々に変化させ、さらにはx方向及びy方向のスケールを様々に変化させる(例えばxをx/4に置換すると、x方向の広がりを4倍大きくすることになる)ことにより、それに対応した画像の局所的周波数成分を抽出できる。一方、実用的な計算においてガボールフィルタの広がりを大きくすると畳み込み演算の計算時間が増大してしまう。このため、以下に説明するようにガボールフィルタの広がりを大きくする代わりに、ダウンサンプリングして画像を縮小する手法を用いるとよい。但し、エイリアシングを防止するために、被フィルタリング画像に予めローパスフィルタを適用しておくことが望ましい。
図7は、本発明の実施形態におけるガボールフィルタ処理を表すブロック線図である。図7において、Gq(x,y)(q=0,1,2,3)及びHs(x,y)(s=0,1,2)は、以下の数式(3)〜(6)に示す定義に従ったkx×ky画素のフィルタ係数行列であり、ガボールフィルタを画像に畳み込み演算して適用することを意味する。但し、フィルタ係数行列の中央の座標(x,y)は(0,0)とする。なお、以下に示す数式(3),(5)ではλ=4、以下に示す数式(4),(6)ではλ=4/√2としているが、これはサンプリング定理(λ≧2)及び検出したい対象の信号の該当する方向の空間周波数から決定する。
数式(3)〜(6)に示す定義においては、kx=ky=11が好適である。これは、図6(a)に示すガボール関数における波の進行方向(θ(=120°)方向)の波の数が2.5周期以上を含むことによる。この条件を満たすためには、より正確にはkx/(λcosθ)>2.5、且つ、ky/(λsinθ)>2.5との条件を満たす必要がある。また、このとき、数式(2)の第1項の減衰が中央の10%以下となっており、ガボールフィルタによって空間的に局在した信号を抽出することができる。
また、図7において、LPはxyの2次元方向、LPYはy方向のローパスフィルタであり、例えば以下の数式(7),(8)に示す定義に従ったフィルタ行列を画像に適用することを意味する。ローパスフィルタLPYはy方向4点の移動平均となる向きに畳み込み演算される。ローパスフィルタLP,LPYは後述するダウンサンプリングする際のエイリアシングを防止するフィルタとして設計されている。エイリアシングを防止できれば必ずしも以下の数式(7),(8)に示すローパスフィルタでなくても構わない。
上記の2つのローパスフィルタLP,LPYを画像に畳み込み演算する際は、画像境界の外側は鏡像と仮定して計算が行われる。また、図7において「X2,Y2」と表記したブロックは、画像のx方向及びy方向で各々2画素おきに抽出して、画像サイズをx方向及びy方向に各々1/2にするダウンサンプリング処理を示す。また、「Y4」と表記したブロックは、y方向のみ4画素おきに抽出して、画像サイズをy方向に1/4にするダウンサンプリング処理を示す。以下、図7に示すブロック線図に従った一連のガボールフィルタ処理について説明する。
まず、テクスチャ特徴画像生成部83は、初期画像をI0(x,y)=Ic(x,y)とする。次に、テクスチャ特徴画像生成部83は、初期画像I0(x,y)に対し順次ローパスフィルタLPと「X2,Y2」型のダウンサンプリングを実行して縮小画像Ip(p=1,2,3)(x,y)を計算する。Ip(x,y)は、ローパスフィルタLPと「X2,Y2」型のダウンサンプリングをp回行った縮小画像である。さらに、テクスチャ特徴画像生成部83は、初期画像を含む縮小画像Ip(x,y)(p=0,1,2,3)の各々に対し、4種類のガボールフィルタGq(x,y)(q=0,1,2,3)を各々畳み込み演算して、特徴画像Ipq(x,y)(p=0,1,2,3,q=0,1,2,3)を計算する。
この段階で合計16種類の特徴画像Ipq(x,y)が得られるが、特徴画像Ipq(x,y)はガボールフィルタの定義式(数式(1))より複素数であるため実部画像と虚部画像とに分解すると合計32種類の特徴画像が得られる。このため、これらをテクスチャ特徴画像Fj(x,y)(j=0、1,2,…,31,すなわちNT=32)とする。但し、p≧1の場合の特徴画像Ipq(x,y)はダウンサンプリングによって縮小されているので、初期画像I0(x,y)と同じサイズに拡大してテクスチャ特徴画像とする。拡大方法しては、線形補間、一番近傍の画素と同じ値とする手法、特徴画像Ipq(x,y)の各画素の値と同じ値をダウンサンプリングされた方向、数だけコピーして埋める手法でも構わない。
この演算により、空間周波数が異なる空間フィルタと空間フィルタの波形の方向が異なる空間フィルタとを組み合わせて元の画像にかけることができている。特に、ダウンサンプリングしてから元の空間フィルタを演算することにより、少ない計算量で元の画像に対して空間周波数の大きな空間フィルタをかけた場合と同じ効果が得られる。以上の処理によって得られる32種類のテクスチャ特徴画像Fj(x,y)(j=0,2,…,31)を用いても良いが、さらに図7における点線で囲まれた「線状欠陥用拡張処理」を実行することで、鋼板Sの流れ方向に細長い欠陥に対しての検出感度を高めることができる。「線状欠陥用拡張処理」は縮小画像Ip(x,y)(p=0,1,2,3)を計算した後、次のように実行する。
まず、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像I0(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J0(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J0s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。さらに、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像J0(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J1(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J1s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。さらに、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像J1(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J2(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J2s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。
次に、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像I1(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J3(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J3s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。さらに、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像J3(x,y)に対してさらに「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J4(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J4s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。次に、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像I2(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J5(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J5s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。さらに、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像J5(x,y)に対してさらに「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J6(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J6s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。
次に、テクスチャ特徴画像生成部83は、画像I3(x,y)に対して「Y4」型のダウンサンプリングを施すことによって生成された画像J7(x,y)に対して、3種類のガボールフィルタHs(x,y)(s=0,1,2)を各々畳み込み演算して特徴画像J7s(x,y)(s=0,1,2)を計算する。以上の演算により、y方向により長い空間周波数の空間フィルタをかけることが可能になり、y方向に長い表面欠陥に対するS/N比を上げることができる。y方向に長い表面欠陥が発生する方向、すなわち、鋼板Sの製造工程では鋼板Sの通板方向にすることで長い表面欠陥の検出が容易になるメリットがある。
以上により、新たに32種類の特徴画像Jrs(x,y)(r=0,1,…,7,s=0,1,2)が得られる。先に得られた16種類の特徴画像Ipqと合わせた全特徴画像のうち、図7において終端となっている特徴画像Ipq(x,y)(p=0,1,2,3,q=1,2,3)、J00(x,y),J02(x,y)、J10(x,y),J12(x,y)、J20(x,y),J21(x,y),J22(x,y),J30(x,y),J32(x,y),J40(x,y),J41(x,y),J42(x,y),J50(x,y),J52(x,y),J60(x,y),J61(x,y)、J62(x,y)、J70(x,y)、J71(x,y),J72(x,y)の計32種類を実部画像と虚部画像とに分解して得られる64種類の特徴画像をテクスチャ特徴画像Fj(x,y)(j=0,1,2,…,64,すなわちNT=64)とする。
但し、「線状欠陥用拡張処理」を行わない場合と同じく、特徴画像Jrs(x,y)もダウンサンプリング処理によって縮小されているので、初期画像I0(x,y)と同じサイズに拡大してテクスチャ特徴画像とする。なお、jの値と各特徴画像の対応は任意に決めて構わないがここでは便宜的に上述した特徴画像をI,Jのそれぞれ添え字が小さいものから実部、虚部の順にI00(x,y)の実部=0,I00(x,y)の虚部=1,I01(x,y)の実部=2,…,J00(x,y)の実部=25,…,J72(x,y)の虚部=64と表す。
本アルゴリズムでは、I01(x,y),I02(x,y),I03(x,y),I11(x,y),I12(x,y),I13(x,y),I21(x,y),I22(x,y),I23(x,y),I31(x,y),I32(x,y),I33(x,y)の12種類にJ00(x,y),J02(x,y),J10(x,y),J12(x,y),J20(x,y),J21(x,y),J22(x,y),J30(x,y),J32(x,y),J40(x,y),J41(x,y),J42(x,y),J50(x,y),J52(x,y),J60(x,y),J61(x,y),J62(x,y),J70(x,y),J71(x,y),J72(x,y)の20種類を加えた32種類を実部と虚部の画像に分解して得られる64種類のテクスチャ特徴画像Fj(x,y)(j=0,1,2,…,63)を用いている。I00(x,y),I10(x,y),I20(x,y),I30(x,y)を加えた68種類のテクスチャ特徴画像を用いてもよいが、I00(x,y),I10(x,y),I20(x,y),I30(x,y)のフィルタを高速フーリエ変換(FFT)した周波数領域での通過域がJxx(x,y)のフィルタでカバーされているため省略が可能になっている。64種類に限定することで、単に計算量が少なくなるだけではなく、2の6乗の画像を用いるので後の計算で数字を扱いやすいメリットがある。
なお、テクスチャ特徴画像生成ステップS31における実施形態は上記に限定されず、他の任意の空間フィルタ群を用いることができる。例えば2次元のウェーブレット変換やウェーブレットパケット変換を適用することが可能であり、最も簡単なものはHaarウェーブレットである。他にも微分フィルタやエッジ抽出フィルタ、DoG(Difference of Gaussian)フィルタ、LoG(Laplacian of Gaussian)フィルタ等を用いたり、それらを組み合わせて用いたりしても良い。
次に、テクスチャ特徴抽出ステップS32では、テクスチャ特徴抽出部84が、各画素におけるテクスチャ特徴ベクトルを抽出する。特徴画像Fj(x,y)={fj(x,y)}(fj(x,y)は座標x,yにおける特徴画像Fj(x,y)の値を示す)に対して、以下の数式(9)に示すようにx,yの組を別のインデックスiで置き換え、以下の数式(10)に示すようにFj’={fi,j};j=0,2,…,NT−1と特徴ベクトルを定義することができる。ここで、iは入力画像(補正画像)の画素(x,y)に割り当てられたユニークなインデックスであり、例えばi=nx×y+xと定義され、i=0,1,2,…,nx×ny−1である。また、fi,j=fj(x,y)である。
次に、異常度算出ステップS33では、異常度算出部85が、テクスチャ特徴抽出ステップS32で抽出したテクスチャ特徴ベクトルのNT次元空間での分布を統計的に解析して、入力画像(補正画像)の各画素における異常度を算出し、異常度画像を生成する。異常度としては例えばマハラノビス距離を用いる。具体的には、まず、異常度算出部85は、以下の数式(11)に示すように、特徴ベクトルFjを行ベクトルとしそれを列方向に並べた行列Fを用意する。
これに対して、異常度算出部85は、以下の数式(12)に示すmjを計算する。数式(12)中のΣは全画素についての和を示し、mjは行列Fの全画素についての平均である。
次に、異常度算出部85は、以下の数式(13)に示すように行列Fから平均mjを引いた行列Z(={zi,j})を求める。
ここで、以下の数式(14)に示すように、異常度算出部85は、分散共分散行列C={cj1,j2}(j1,j2=0,1,2,…,Nt−1)をzi,jから算出する。
次に、異常度算出部85は、以下の数式(15)に示すようにマハラノビス距離Di(正しくはマハラノビス距離の2乗であるが、単にマハラノビス距離と呼ぶことにする)を算出する。
但し、W={wi,j}は連立方程式WC=Zの解、すなわちW=ZC-1である。そして最後に、異常度算出部85は、インデックスiよりマハラノビス距離Diを座標(x,y)にマッピングし直して異常度画像D(x,y)=Di(i=x+nx×y)を得る。
なお、このマハラノビス距離を求める計算は、以下の操作と等価である。すなわち、NT枚の特徴画像Fj(x,y)を座標毎に見てみると、f1(x,y),f2(x,y),…,fNT(x,y)のNT次元の値を持っていることがわかる。これをp(x,y)=(f1(x,y),f2(x,y),…,fNT(x,y))とNT次元空間の点として表すことができる。このように画像上の全画素をNT次元空間にプロットする。プロットした集合をばらつきについて規格化し、その規格化された空間で原点からの距離を求めたものがマハラノビス距離である。
ばらつきに対する規格化は、ばらつきの大きい方向から順に直交する基底を取り、各基底方向へのばらつきである標準偏差を求め、各基底方向の成分をこの標準偏差で割ることによってなされる。これは、いわゆる主成分分析の手法と同一となる。図8(a),(b)に2次元の主成分分析の一例を示した。図8(a),(b)に示す主成分分析では、ばらつきの大きい方向から順に直交する第1主成分及び第2主成分を取り、各主成分のばらつきを求め、各主成分方向の成分をばらつきで割ることによって、ばらつきに対する規格化がなされる。図8中、Oが原点、Dがマハラノビス距離、Pが画素を示している。
次に、欠陥候補検出ステップS34では、欠陥候補検出部86が、閾値Dthrにより異常度画像D(x,y)を2値化して、D(x,y)≧Dthrなる画素の連結領域を欠陥部又は欠陥候補として検出する。また、本ステップにおいて、欠陥候補検出部86は、連結領域の面積や連結領域内での異常度の最大値に対して制約を設けて、制約を満たさない欠陥候補は除外してもよい。例えば欠陥候補検出部86は、面積と異常度の最大値の両方が各々に設定された最小値より小さい欠陥候補を除外する。さらに、欠陥候補検出部86は、任意の2つの欠陥候補について、連結領域間の距離が所定の条件を満たす場合に同一の欠陥候補として連結する処理を行う。例えば欠陥候補1内の座標を(x1,y1),欠陥候補2内の座標を(x2,y2)とし、x座標に関する距離制約をdx,y座標に関する距離制約をdyとし、|x1−x2|<dx、且つ、|y1−y2|<dyを満たす座標(x1,y1),(x2,y2)があるとき、欠陥候補検出部86は欠陥候補1と欠陥候補2とを連結する。この連結は、画像の膨張及び収縮の繰り返しによって行っても構わない。
なお、閾値Dthrはマハラノビス距離(の2乗)がカイ2乗分布に従うという仮定のもと、以下の数式(16)に示すように定めるとよい。ここで、数式(16)中、pthrは、異常度が欠陥であると判断する有意水準(確率)を示し、fχ2 -1(p,n)は自由度nのカイ2乗分布の累積密度関数の逆関数である。これにより、異常度に対して確率として閾値を定めることができる。
[欠陥判定処理]
最後に、図9を参照して、上記欠陥判定処理(ステップS4)について説明する。
図9は、欠陥判定処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、欠陥判定処理は、欠陥特徴算出ステップS41及び欠陥判定ステップS42を含む。
欠陥特徴算出ステップS41では、欠陥特徴算出部87が、補正画像Ic(x,y)より欠陥候補の領域部分を切り出した欠陥部濃淡画像、及び異常度画像D(x,y)より欠陥候補の領域部分を切出した欠陥部異常度画像を用いて、それらに対し各種演算を行って、欠陥特徴量を算出する。代表的な欠陥特徴量としては、幅、長さ、面積、アスペクト比、周囲長等の欠陥のサイズや形状に関するもの、欠陥領域内の最大輝度、最小輝度、平均輝度、輝度に関するヒストグラム度数等の濃淡に関するもの等があり、これらは欠陥部濃淡画像より得られる。さらに、本実施形態においては欠陥部異常度画像より欠陥部の最大異常度、平均異常度、及び異常度に関するヒストグラム度数等の異常度に関する特徴量も得られる。さらに、本実施形態においては、各テクスチャ特徴画像Fj(x,y)より欠陥候補の領域部分を切出した欠陥部テクスチャ特徴画像からも各テクスチャ特徴に関する欠陥特徴量が得られる。
次に、欠陥判定ステップS42では、欠陥判定部88が、欠陥特徴算出ステップS41で算出された欠陥特徴量に基づいて、各欠陥候補の欠陥種別及び有害度を判定する。判定にあたっては、ユーザが作成した欠陥特徴量に関する判定ルール(if−thenルールや判定テーブル)か、いわゆる機械学習によって得られる判別器、あるいはそれらの組合せが用いられる。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である表面欠陥検出装置1では、テクスチャ特徴画像生成部83が、鋼板Sから漏洩する磁束を計測することによって得られた磁気画像に対して複数の空間フィルタによるフィルタ処理を施すことにより複数のテクスチャ特徴画像を生成し、テクスチャ特徴抽出部84が、磁気画像上の各位置について複数のテクスチャ特徴画像の対応する位置の値を各々抽出して磁気画像上の各位置における特徴ベクトルを生成し、異常度算出部85が、特徴ベクトルの各々について特徴ベクトルがなす多次元分布における異常度を算出し、磁気画像上の各位置についての異常度を示した異常度画像を生成し、欠陥候補検出部86が、異常度画像において異常度が所定値を超える部分を欠陥部又は欠陥候補部として検出する。これにより、鋼板S中に存在する周期的な特徴を有さない微小凹凸表面欠陥DFも精度よく検出することができる。
図10は、微小凹凸表面欠陥を有する鋼板の画像を本発明により処理した一例を示す図であり、便宜上、鋼板の幅方向を縦方向、鋼板の通板方向を横方向にして示している。図10(a)は、画像化装置7によって得られた磁気画像を示し、磁気画像中央の楕円で囲われた箇所に微小凹凸表面欠陥が存在している。図10(b)は、図10(a)に示す磁気画像に対して本発明の欠陥検出処理を適用することにより得られた異常度画像である。本実施例では、テクスチャ特徴画像生成ステップS31において、線状欠陥用拡張処理を選択して64種類のテクスチャ特徴画像を生成した。また、欠陥候補検出ステップS34において、異常度に対しpthr=10−10としたときの閾値Dthrを用いて2値化を行い、欠陥候補200画素未満の連結領域は欠陥候補から除外した。図10(a)と同様、異常度画像中の欠陥箇所を楕円で示した。図10(c)は、図10(a),(b)の矢印部分における画像信号の通板方向のプロファイルデータである。図10(c)に示すように、図10(a)に示す磁気画像のプロファイルデータL2では、欠陥信号と周辺ノイズとの比であるS/Nが1.8であった。これに対して、図10(b)に示す異常度画像のプロファイルデータL1では、S/Nが2.7まで向上している。これにより、本発明を適用することにより、欠陥の周期的な特徴を利用することなくこれまで検出困難な微小凹凸表面欠陥のS/Nを自動検出可能とされるS/N=2.5以上のレベルまで信号処理により改善し、微小凹凸表面欠陥を検出できることが確認された。
1 表面欠陥検出装置
2 直流電源
3 磁化器
4 磁気センサ
5 増幅器
6 信号処理回路
7 画像化装置
8 画像処理装置
9 表示装置
81 画像入力部
82 画像補正部
83 テクスチャ特徴画像生成部
84 テクスチャ特徴抽出部
85 異常度算出部
86 欠陥候補検出部
87 欠陥特徴算出部
88 欠陥判定部
DF 微小凹凸表面欠陥
S 鋼板

Claims (6)

  1. 磁性金属からなる被検体に磁束を印加することによって該被検体から漏洩する磁束を検出することにより、被検体に存在する表面欠陥を検出する表面欠陥検出方法において、
    前記被検体から漏洩する磁束を計測して磁気画像に変換する計測ステップと、
    前記磁気画像に対して複数の空間フィルタによるフィルタ処理を施すことにより複数のテクスチャ特徴画像を生成するテクスチャ特徴画像生成ステップと、
    前記磁気画像上の各位置について前記複数のテクスチャ特徴画像の対応する位置の値を各々抽出して前記磁気画像上の各位置における特徴ベクトルを生成するテクスチャ特徴抽出ステップと、
    前記特徴ベクトルの各々について前記特徴ベクトルがなす多次元分布における異常度を算出し、前記磁気画像上の各位置についての異常度を示した異常度画像を生成する異常度算出ステップと、
    前記異常度画像において前記異常度が所定値を超える部分を欠陥部又は欠陥候補部として検出する検出ステップと、
    を含むことを特徴とする表面欠陥検出方法。
  2. 前記テクスチャ特徴画像生成ステップは、前記複数の空間フィルタによるフィルタ処理を、前記磁気画像を縮小した画像又は前記テクスチャ特徴画像を縮小した画像に対しても施すことにより、別のテクスチャ特徴画像を生成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の表面欠陥検出方法。
  3. 前記磁気画像又は前記テクスチャ特徴画像の縮小方向が検出対象である線状欠陥と平行な方向である方向を含むことを特徴とする請求項2に記載の表面欠陥検出方法。
  4. 前記複数の空間フィルタがウェーブレット変換により実現されることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の表面欠陥検出方法。
  5. 前記複数の空間フィルタがガボールフィルタを含むことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の表面欠陥検出方法。
  6. 磁性金属からなる被検体に磁束を印加することによって該被検体から漏洩する磁束を検出することにより、被検体に存在する表面欠陥を検出する表面欠陥検出装置において、
    前記被検体から漏洩する磁束を計測して磁気画像に変換する計測手段と、
    前記磁気画像に対して複数の空間フィルタによるフィルタ処理を施すことにより複数のテクスチャ特徴画像を生成するテクスチャ特徴画像生成手段と、
    前記磁気画像上の各位置について前記複数のテクスチャ特徴画像の対応する位置の値を各々抽出して前記磁気画像上の各位置における特徴ベクトルを生成するテクスチャ特徴抽出手段と、
    前記特徴ベクトルの各々について前記特徴ベクトルがなす多次元分布における異常度を算出し、前記磁気画像上の各位置についての異常度を示した異常度画像を生成する異常度算出手段と、
    前記異常度画像において前記異常度が所定値を超える部分を欠陥部又は欠陥候補部として検出する検出手段と、
    を備えることを特徴とする表面欠陥検出装置。
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