JP6658126B2 - 静電容量型トランスデューサ及び音響センサ - Google Patents

静電容量型トランスデューサ及び音響センサ Download PDF

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Description

本願は、静電容量型トランスデューサ及び、該静電容量型トランスデューサを有する音響センサに関する。より具体的には、本発明は、MEMS技術を用いて形成された振動電極膜とバックプレートからなるコンデンサ構造によって構成された静電容量型トランスデューサ及び音響センサに関する。
従来から、小型のマイクロフォンとしてECM(Electret Condenser Microphone)と
呼ばれる音響センサを利用したものが使用される場合があった。しかし、ECMは熱に弱く、また、デジタル化への対応や小型化といった点で、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造される静電容量型トランスデューサを利用したマイクロフォン(以下、MEMSマイクロフォンともいう。)の方が優れていることから、近年では、MEMSマイクロフォンが採用されつつある(例えば、特許文献1を参照)。
上記のような静電容量型トランスデューサにおいては、圧力を受けて振動する振動電極膜を、電極膜が固定されたバックプレートに空隙を介して対向配置させた形態をMEMS技術を用いて実現したものがある。このような静電容量型トランスデューサの形態は、例えば、シリコン基板の上に振動電極膜、および振動電極膜を覆うような犠牲層を形成した後、犠牲層の上にバックプレートを形成し、その後に犠牲層を除去するといった工程により実現できる。MEMS技術はこのように半導体製造技術を応用しているので、極めて小さい静電容量型トランスデューサを得ることが可能である。
一方で、MEMS技術を用いて作製した静電容量型トランスデューサは、薄膜化した振動電極膜やバックプレートで構成されるため、過大な圧力が作用した場合等に振動電極膜が大きく変形し、破損してしまう虞があった。このような不都合は、例えば静電容量型トランスデューサ内に、大音圧が加わった場合の他、実装工程でエアブローされた場合や、当該静電容量型トランスデューサが落下した場合にも生じ得る。
これに対し、振動電極膜に圧力を解放する孔を設け、過大な圧力が作用した際に当該孔から圧力を解放する対策が考えられるが、この対策では、特に低音域での感度の低下など、静電容量型トランスデューサとしての周波数特性の悪化を招く場合があった。
また、振動電極膜と、該振動電極膜をスリットで区切って分離した一画であるプラグ部とを有しており、プラグ部はバックプレートまたは基板に対して支持構造によって振動電極膜の他の部分と同じ高さに支持されたMEMSトランスデューサの発明が公知である。この発明では、振動電極膜が膜の両側の圧力差に応答して変位することで、プラグ部との間の流動経路が拡大することによって、過大な圧力を解放する(例えば、特許文献2を参照)。
また、音響振動を振動電極膜とバックプレートにおける固定電極膜の間の静電容量の変化に変換して検出する音響センサにおいて、振動電極膜の変形前においては、バックプレートに一体に設けられた凸部が、振動電極膜に設けられた圧力解放孔に侵入した状態となっており、振動電極膜が過大な圧力を受けてバックプレートと反対側に変形した際に、凸部の圧力解放孔への侵入が解除されることによって、空気流路の流路面積を増大させることで、振動電極膜に印加された圧力を解放する技術もある。
しかしながら、上記の、振動電極膜が過大な圧力を受けてバックプレートと反対側に変
形した際に、凸部の圧力解放孔への侵入が解除されることによって、空気流路の流路面積を増大させる技術では、バックプレートに一体に設けられた凸部の形状は、円柱状若しくは、バックプレートから離れるに従って径が小さくなるテーパ状になっていることが多かった。
そうすると、音響センサにおいて振動電極膜側から圧力が作用した場合に、振動電極膜がバックプレート側に移動するので、空気流路の流路面積が一定となるか逆に小さくなり、圧力を解放することが困難となる場合があった。
特開2011−250170号公報 米国特許第8737171号明細書
本発明は、上記のような状況を鑑みて発明されたものであり、その目的は、過大な圧力が音響センサに作用した場合に、振動電極膜がいずれの方向に変形したとしても、振動電極膜の過剰な変形を抑制し振動電極膜の破損を回避することのできる技術を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、表面に開口を有する基板と、
前記基板の開口に対向するように配設されたバックプレートと、
前記バックプレートとの間に空隙を介して該バックプレートに対向するように配設された振動電極膜と、
を備え、
前記振動電極膜の変形を該振動電極膜と前記バックプレートの間の静電容量の変化に変換する静電容量型トランスデューサにおいて、
前記振動電極膜に設けられた貫通孔である圧力解放孔と、
前記バックプレートと同一部材によりに該バックプレートと一体に設けられ前記振動電極膜の変形前の状態では前記圧力解放孔に侵入する凸状の部分と、
前記圧力解放孔と前記凸状の部分との隙間により形成される空気の流路である圧力解放流路と、をさらに備え、
前記凸状の部分は、該凸状の部分における前記バックプレート側の所定の領域に、該凸状の部分における該所定の領域より先端側の領域と比較して、前記バックプレートに平行な方向の断面の断面積が小さい断面積減少部を有することを特徴とする静電容量型トランスデューサである。
これによれば、過大な圧力がバックプレートと反対側から振動電極膜に作用し、振動電極膜がバックプレート側に大きく変形した状態においては、凸状の部分の所定の領域に設けられた断面積減少部が圧力解放孔を貫通している状態となり、圧力を解放する空気の流路面積が増大するので、振動電極膜の過剰な変形を防止することができる。
また、過大な圧力がバックプレート側から振動電極膜に作用し、振動電極膜がバックプレートと反対側に大きく変形した状態においては、凸状の部分の先端側の断面積の大きな部分が圧力解放孔を貫通している状態となり、圧力を解放する空気の流路面積が一旦減少するが、凸状の部分が、振動電極膜の圧力解放孔から抜けた時点で、圧力を解放するのに十分な大きさの空気の流路面積を得ることが可能である。結果として、本発明によれば、過大な圧力がバックプレート側または、その反対側のいずれの方向から振動電極膜に作用
したとしても、振動電極膜の過剰な変形を防止することができる。
また、本発明においては、前記凸状の部分は、前記バックプレートに近づくにつれて前記断面積が小さくなるように変化するテーパ形状を有するようにしてもよい。これによれば、振動電極膜がバックプレート側に変形した際に、変形量に応じて連続的に空気の流路面積を増加させることができる。その結果、過大な圧力がバックプレートと反対側から振動電極膜に作用し、振動電極膜がバックプレート側に変形する際に、より円滑に、振動電極膜の過剰な変形を防止することができる。
また、本発明においては、前記凸状の部分には、前記バックプレートの該凸状の部分と反対側の面と該凸状の部分における前記所定の領域の側面とを貫通する空間が設けられるようにしてもよい。これによれば、バックプレートに凸状の部分を形成した後に、音孔を形成するのと同じプロセスによって、断面積減少部を形成することができる。
また、本発明においては、前記凸状の部分は、平板状の形状を有し、該平板状の形状の側面は前記バックプレートに垂直に形成されるようにしてもよい。これによれば、凸状の部分はバックプレートの他の部分より垂直方向の厚みが厚いため、バックプレートの他の部分に音孔を形成するプロセスで同様に凸部に孔を形成することで、凸状の部分の先端側に、エッチングされずに大きな断面積を有する部分を自動的に残すことが可能となる。すなわち、ドライエッチングなど、垂直方向の指向性の強いエッチング手法を用いることで、より確実に、音孔を形成するのと同じプロセスによって、断面積減少部を形成することが可能となる。
また、本発明においては、前記バックプレート及び前記振動電極膜の少なくとも一方には、前記振動電極膜が該バックプレート側に変位した際に前記バックプレート及び前記振動電極膜の他方に当接するストッパが設けられ、前記凸状の部分における、前記空間の前記バックプレートに垂直方向の深さは、前記ストッパの高さと、前記振動電極膜の膜厚の合計値より大きいようにしてもよい。
これによれば、振動電極膜にバックプレートと反対側から過大な圧力が作用して振動電極膜がバックプレート側に変形し、前記バックプレート及び前記振動電極膜の一方に設けられたストッパが、前記バックプレート及び前記振動電極膜の他方に当接した状態において、より確実に、凸状の部分における空間が、振動電極膜を貫通してバックプレートの反対側に開口するようにできる。その結果、振動電極膜がストッパに当接した状態において、より確実に、振動電極膜の、バックプレートと反対側の空気に前記空間を通過させて逃がすことが可能となり、より確実に圧力を解放することが可能となる。
また、本発明においては、前記空間は、前記バックプレートに垂直方向から見て円形の形状を有するようにしてもよい。そうすれば、バックプレート及び凸状の部分における前記空間の近傍において応力集中が起こることを可及的に防止することができる。その結果、バックプレートの凸状の部分の強度を相対的に高めることが可能となる。
また、本発明は、上記の静電容量型トランスデューサを有し、音圧を前記振動電極膜と前記バックプレートの間の静電容量の変化に変換して検出する音響センサであってもよい。これによれば、音響センサについて、音響の検出時における周波数特性を良好に維持しつつ、いずれの方向から過大な圧力が作用したときであっても、振動電極膜の過剰な変形を抑制することによって振動電極膜の破損を回避することができる。その結果、周波数特性が良好で、信頼性の高い音響センサを得ることが可能となる。
なお、上述した、課題を解決するための手段は適宜組み合わせて使用することが可能で
ある。
本発明によれば、静電容量型トランスデューサについて、圧力の検出時における周波数特性を良好に維持しつつ、過大な圧力が音響センサに作用した場合に、振動電極膜がいずれの方向に変形したとしても、振動電極膜の過剰な変形を抑制し振動電極膜の破損を回避することができる。その結果、静電容量型トランスデューサの性能をより良好に維持しつつ、信頼性を向上させることが可能である。
MEMS技術により製造された従来の音響センサの一例を示した斜視図である。 従来の音響センサの内部構造の一例を示した分解斜視図である。 音響センサに過大な圧力が急激に作用した場合について説明するための図である。 音響センサに過大な圧力が急激に作用した場合に対する従来の対策について説明するための図である。 音響センサに過大な圧力が急激に作用した場合に対する従来の対策の他の例について説明するための図である。 音響センサに過大な圧力が急激に作用した場合に対する従来の対策における圧力解放孔及び凸部の作用について説明するための図である。 音響センサに過大な圧力が急激に作用した場合に対する従来の対策における圧力解放孔及び凸部の作用について説明するための図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の作用について説明するための図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の形成プロセスについて説明するための第1の図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の形成プロセスについて説明するための第2の図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の形成プロセスについて説明するための第3の図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の形成プロセスについて説明するための第4の図である。 本発明の実施例1における圧力解放孔及び凸部の形成プロセスについて説明するための第5の図である。 実施例2におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の断面図である。 実施例3におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の断面図である。 実施例3のバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔において、バックプレートに設けられたストッパの作用について説明するための断面図である。 実施例4におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の断面斜視図である。 実施例4におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の作用について説明するための図である。 実施例4におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の形成プロセスについて説明するための図である。 実施例4におけるバックプレートに形成された凸部と、振動電極膜に設けられた圧力解放孔の形成プロセスについて説明するための第2の図である。
<実施例1>
以下、本願発明の実施形態について図を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、本発明は、静電トランスデューサ全体に適用することが可能であるが、以下においては、静電トランスデューサを音響センサとして用いる場合について説明する。しかしながら、本発明に係る音声トランスデューサは、振動電極膜の変位を検出するものであれば、音響センサ以外のセンサとしても利用できる。例えば、圧力センサの他、加速度センサや慣性センサ等として使用しても構わない。また、センサ以外の素子、例えば、電気信号を変位に変換するスピーカ等として使用しても構わない。また、以下の説明におけるバックプレート、振動電極膜、バックチャンバー、基板等の配置は一例であり、同等の機能を有せばこれらに限られない。例えば、バックプレートと振動電極膜の配置が逆転していても構わない。
図1は、MEMS技術により製造された従来の音響センサ1の一例を示した斜視図である。また、図2は、音響センサ1の内部構造の一例を示した分解斜視図である。音響センサ1は、バックチャンバー2が設けられたシリコン基板(基板)3の上面に、絶縁膜4、振動電極膜(ダイヤフラム)5、およびバックプレート7を積層した積層体である。バックプレート7は、固定板6に固定電極膜8を成膜した構造を有しており、固定板6のシリコン基板3側に固定電極膜8が配置されたものである。バックプレート7の固定板6には多数の穿孔としての音孔が全面的に設けられている(図1や図2に示す固定板6の網掛けの各点が個々の音孔に相当する)。また、固定電極膜8の四隅のうち1つには、出力信号を取得するための固定電極パッド10が設けられている。
ここで、シリコン基板3は、例えば単結晶シリコンで形成することができる。また、振動電極膜5は、例えば導電性の多結晶シリコンで形成することができる。振動電極膜5は、略矩形状の薄膜であり、振動する略四辺形の振動部11の四隅に固定部12が設けられている。そして、振動電極膜5は、バックチャンバー2を覆うようにシリコン基板3の上面に配置され、アンカー部としての4つの固定部12においてシリコン基板3に固定されている。振動電極膜5の振動部11は、音圧に感応して上下に振動する。
また、振動電極膜5は、4つの固定部12以外の箇所においては、シリコン基板3にも、バックプレート7にも接触していない。よって、音圧に感応してより円滑に上下に振動可能になっている。また、振動部11の四隅にある固定部12のうちの1つに振動膜電極パッド9が設けられている。バックプレート7に設けられている固定電極膜8は、振動電極膜5のうち四隅の固定部12を除いた振動する部分に対応するように設けられている。振動電極膜5のうち四隅の固定部12は音圧に感応して振動せず、振動電極膜5と固定電極膜8との間の静電容量が変化しないためである。
音響センサ1に音が届くと、音が音孔を通過し、振動電極膜5に音圧を加える。すなわち、この音孔により、音圧が振動電極膜5に印加されるようになる。また、音孔が設けられることにより、バックプレート7と振動電極膜5との間のエアーギャップ中の空気が外部に逃げ易くなり、熱雑音が軽減され、ノイズを減少することができる。
音響センサ1は、上述した構造により、音を受けて振動電極膜5が振動し、振動電極膜5と固定電極膜8との間の距離が変化する。振動電極膜5と固定電極膜8との間の距離が変化すると、振動電極膜5と固定電極膜8との間の静電容量が変化する。よって、振動電極膜5と電気的に接続された振動膜電極パッド9と、固定電極膜8と電気的に接続された固定電極パッド10との間に直流電圧を印加しておき、上記静電容量の変化を電気的な信
号として取り出すことにより、音圧を電気信号として検出することができる。
次に、上記の従来の音響センサ1において生じ得る不都合について説明する。図3は、音響センサ1に過大な圧力が作用した場合について記載した模式図である。図3に示すように、過大な圧力が音響センサ1に作用した場合には、大圧力がバックプレート7に設けられた音孔7aから振動電極膜5の振動部11に作用し、振動部11に大きな歪が生じ、振動電極膜5が破損してしまう場合があった。このような不都合は、例えば音響センサ1に過大な空気圧が作用した場合の他、音響センサ1が落下した場合等にも生じ得る。
これに対し、図4に示すような対策が考えられる。すなわち、図4(a)に示すように、振動電極膜5に対して、作用した圧力を解放するための孔5aを設けておくことで、図4(b)に示すように、音響センサ1のバックプレート7の音孔7aから過大な圧力が作用した場合には、孔5aから圧力を解放させることで、振動電極膜5の破損を防止することが可能である。しかしながら、振動電極膜5に上記のような常時開放している孔5aを設けると、圧力に対する耐性は向上するものの、特に低音域での感度低下、すなわちロールオフが発生し易くなり、音響センサ1の周波数特性が悪化するという不都合があった。
また、振動電極膜と、該振動電極膜をスリットで区切って分離した一画であるプラグ部とを有しており、プラグ部を、バックプレートに対して支持構造によって振動電極膜の他の部分と同じ高さに支持されるようにする対策が考えられる。この対策においては、振動電極膜が膜の両側の圧力差に応答して変位することで、プラグ部との間の流路が拡大することによって、過大な圧力を解放する(例えば、特許文献2を参照)。
しかし、この対策には以下のような不都合があった。まず、プラグ部は、非常に薄い振動電極膜の一画を用いて構成されているので、破損し易い。また、蓋状のプラグ部がバックプレートに対して、棒状の別部材からなる支持構造を用いて支持されているので、製造工程が複雑化するばかりでなく、支持構造からプラグ部が破損脱落する虞がある。
また、この対策では、振動電極膜が膜の両側の圧力差に応答して変位することで、該振動電極膜と、該振動電極膜をスリットで区切って分離した一画であるプラグ部との間の流動経路を拡大させ、過大な圧力を解放している。すなわち、振動電極膜及び、該振動電極膜をスリットで区切って分離した一画であるプラグ部という、薄膜どうしの間の隙間を流路として利用しているので、比較的大きな圧力を受けて振動電極膜の振幅が大きくなると、使用圧力範囲内であっても、プラグ部と振動電極膜の位置が膜厚以上にずれ、流路がやや拡大した状態となり、音響センサ1の周波数特性が不安定になる虞がある。
上記のような不具合に対し、印加された圧力を解放する孔を振動電極膜に備えることとし、そして、振動電極膜の変形前の状態においては、バックプレートの一部であり凸状に形成された柱構造が孔を貫通して少なくともその一部を閉鎖するとともに、振動電極膜が圧力を受けて変形した状態においては、振動電極膜とバックプレートとの相対移動によって、バックプレートの柱構造による孔の貫通が解除されて孔の全体が露出することにより、振動電極膜に印加された圧力が解放されるようにする対策が考えられた。
図5には、上記のような対策を講じた場合の、音響センサの振動電極膜15及びバックプレート17付近の概略図を示す。図5(a)は、振動電極膜15の平面図、図5(b)は、振動電極膜15及びバックプレート17、基板13の断面B−B´についての断面図である。図5(a)に示すように、この対策においては、振動電極膜15の振動部21の四隅には、圧力解放孔15bが設けられている。そして、図5(b)に示すように、振動電極膜15に過大な圧力が作用する前の状態では、バックプレート17に一体的に凸状に設けられた柱構造である凸部17bが圧力解放孔15bを貫通することで、圧力解放孔1
5bを閉鎖するように構成されている。なお、この凸部17bは、バックプレート17が半導体製造工程で形成される際に、同時にバックプレート17の一部として形成されたものである。
次に、図6を用いて、上記の圧力解放孔15b及び凸部17bの作用について説明する。図6(a)は、振動電極膜15に過大な圧力が作用する前の状態を示す。図6(b)は、振動電極膜15に過大な圧力が作用することにより、振動電極膜15が大きく変形した状態を示す。図6(a)に示すように、振動電極膜15の変形前の状態においては、バックプレート17の凸部17bが振動電極膜15に設けられた圧力解放孔15bを貫通して閉鎖した状態となっており、この状態においては、振動電極膜15にバックプレート17側から圧力が作用した場合に、圧力解放孔15bを通過する空気の量は少なく、圧力は充分に解放されない。
しかしながら、振動電極膜15に過大な圧力が作用した場合には、当該圧力によって振動電極膜15が大きく変形し図6(b)に示すようにバックプレート17から離れる方向に変形する。そうすると、凸部17bが圧力解放孔15bから抜け(貫通が解除され)、圧力解放孔15bの閉鎖が解消される。そのことにより、振動電極膜15に圧力を作用させている空気が圧力解放孔15bから図中下側に抜けることで、振動電極膜15に作用する圧力が瞬時に解放される。これにより、凸部17bが圧力解放孔15bから抜けた後の振動電極膜15の更なる変形が抑制され、振動電極膜15の破損を回避することが可能となる。
次に、図7には、上述した対策において、凸部27bの径が、無段階で直線的に先端へいくほど細くなる例について図示する。このような場合には、過大な圧力が振動電極膜25に作用し、振動電極膜25が大きく変形した状態においては、凸部27bの先端側の小径の部分が圧力解放孔25bを貫通している状態となり、圧力を解放する空気の流路面積が増大するので、振動電極膜25の過剰な変形を防止できる。
ところで、上記のような従来の対策においては、圧力が上(すなわち、バックプレート側)から作用することにより、振動電極膜が上側から下側に移動した場合には、良好に圧力を解放することが可能であるが、圧力が下から作用することにより、振動電極膜が下側から上側に移動した場合には、圧力を解放する空気の流路面積を増大させることができず、振動電極膜の上側への過剰な変形を防止することができなかった。
例えば、凸部27bの径が、無段階で直線的に先端へいくほど細くなる例においては、図8(a)に示すように、振動電極膜25が下側から上側に移動した場合には、圧力を解放する空気の流路面積が逆に減少してしまい、振動電極膜25の上側への過剰な変形を防止することができなかった。
これに対し、本実施例においては、図8(b)に示すように、凸部37bのバックプレート37に平行方向の断面積が、無段階で直線的に根元、すなわちバックプレート37側にいくほど小さくなるようにした。これによれば、過大な圧力が下側から振動電極膜35に作用し、振動電極膜35が上側に大きく変形した状態においても、凸部37bの根元側の断面積が小さい部分が圧力解放孔35bを貫通している状態となり、圧力を解放する空気の流路面積が増大するので、振動電極膜35の過剰な変形を防止できる。
一方、本実施例において、過大な圧力が上側(すなわちバックプレート37側)から振動電極膜35に作用し、振動電極膜35が下側に大きく変形した状態においては、凸部37bの先端側の断面積の大きい部分が圧力解放孔35bを貫通している状態となり、圧力を解放する空気の流路面積が一旦減少するが、凸部37bが、振動電極膜35の圧力解放
孔35bから抜けた時点で、圧力を解放する十分な大きさの空気の流路面積を得ることが可能である。結果として、本実施例によれば、過大な圧力が上下いずれの方向から振動電極膜35に作用したとしても、振動電極膜35の過剰な変形を防止できる。
次に、本実施例における図9〜図10を用いて、本実施例における凸部と、圧力解放孔の形成プロセスについて説明する。まず、図9(a)に示すように、シリコン(Si)基板43の表面に酸化シリコン(SiO2)の絶縁層44aが形成され、絶縁層44aの上に振動電極膜となるべきポリシリコン(Poly Si)膜45が形成される。次に、振
動電極膜となるべきポリシリコン(Poly Si)の膜45がエッチングにより部分的
に除去されて圧力解放孔45bとなる部分が形成される。
次に、図9(b)に示すように、ポリシリコン(Poly Si)の膜45の上に凸部
を形成するための窒化シリコン(SiN)膜46が形成される。そして、図9(c)に示すように、フォトレジストを使ったエッチングにより、凸部47bとなる部分のみを残して窒化シリコン(SiN)膜46を除去する。その際、エッチングの垂直方向の指向性を弱める手法によりテーパ形状を実現することができる。
次に、図10(a)に示すように、さらに酸化シリコン(SiO2)の犠牲層44bを製膜する。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などの平坦化手法を適
用することで、窒化シリコン(SiN)からなる凸部47bが酸化シリコン(SiO2)の中に埋もれる形となる。次に、図10(b)に示すように、バックプレート47となる窒化シリコン(SiN)膜を製膜することで、逆テーパ型の凸部47bを有するパックプレート47が形成される。
次に、一般的な音響センサの製造プロセスと同様に、Si基板43をエッチングにより除去し、フッ酸(HF)により酸化シリコン(SiO2)の絶縁層44a及び犠牲層44bをエッチングして除去することで、図10(c)に示すような凸部47bを有するバックプレート47と、圧力解放孔45bを有する振動電極膜45を形成することが可能である。
次に、図11〜図12を用いて、本実施例における凸部と、圧力解放孔の形成プロセスの第2の例について説明する。まず、図11(a)に示すように、シリコン(Si)基板52の表面にPSG(リンを含んだ酸化シリコン(SiO2)の膜53)が形成され、膜53の上に不純物を含まない酸化シリコン(SiO2)の膜であるNSG54a形成される。また、NSG54a上には、振動電極膜となるべきポリシリコン(Poly Si)
の膜55が形成されさらにエッチングにより部分的に除去されて圧力解放孔55bとなる部分が形成される。さらに、その上にNSG54b形成される。
次に、図11(b)に示すように、NSG54a上に、凸部を形成する部分に開口が設けられたフォトレジストを形成し、HF水溶液でNSG54a、54bの凸部に相当する部分をエッチングにより除去する。HF水溶液によるエッチングは等方的に進行し、図11(c)に示すように、PSG53をも除去して、シリコン(Si)基板52の表面に達する。
次に、図12(a)に示すように、PSG膜53においては、NSG膜54a、54bと比較してエッチングレートが数倍程度速いため、水平方向にエッチングが速く進行する。また、NSG膜54a、54bにおいては、下層よりエッチングが進行するため、NSG膜54a、54bには図12(b)に示すような、図12(a)とは逆のテーパ形状の空間が形成される。
次に、図12(c)に示すように、フォトレジストを除去した後に、バックプレート57及び凸部57bとなる窒化シリコン(SiN)膜を製膜することで、逆テーパ型の凸部57bを有するパックプレート57が形成される。
なお、本実施例においては、PSG膜53及び、NSG膜54a、54bを用いてプロセスを実行したが、これは一例に過ぎない。エッチングレートの異なる組み合わせであれば、他の材質の組み合わせを用いても構わない。例えば、アニールを行うことでエッチングレートを高めた酸化シリコン(SiO2)と、アニールを行っていない酸化シリコン(SiO2)の組み合わせや、エッチングレートの高いTEOS膜とエッチングレートの低い熱酸化膜の組み合わせを用いても良い。
次に、図13を用いて、本実施例における凸部と、圧力解放孔の形成プロセスの第3の例について説明する。まず、図13(a)に示すように、シリコン(Si)基板63の表面にPSG膜(リンを含んだ酸化シリコン(SiO2)の膜64)が形成され、膜64の上には、振動電極膜となるべきポリシリコン(Poly Si)の膜65が形成されさら
にエッチングにより部分的に除去されて圧力解放孔65bとなる部分が形成される。また、膜64の上には不純物を含まない酸化シリコン(SiO2)の膜であるNSG膜66が形成される。また、NSG膜66上には、さらに、PSG(リンを含んだ酸化シリコン(SiO2)膜68が形成され、その上には、凸部を形成する部分に開口が設けられたフォトレジストが69形成される。
次に、図13(b)に示すように、フッ酸(HF)水溶液で、PSG膜(リンを含んだ酸化シリコン(SiO2)の膜64、68)と、NSG膜66の凸部に相当する部分をエッチングにより除去する。この場合、各層におけるエッチングレートの相違により、斜面の形状が様々に調整可能である。そして、HF水溶液によるエッチングは、PSG膜64をも除去して、シリコン(Si)基板63の表面に達する。
次に、図13(c)に示すように、フォトレジストを除去した後に、バックプレート67及び凸部67bとなる窒化シリコン(SiN)膜を製膜することで、逆テーパ型の凸部67bを有するパックプレート67が形成される。
なお、本実施例においては、最も上側の層をPSG膜68としたが、このPSG膜68は必ずしも必要ではない。PSG膜68を省略したとしても、一般的にフォトレジスト69の密着面はエッチングレートが局所的に早くなる傾向があるので、このエッチングレートの傾向を利用して、同等の形状を生成することが可能である。
なお、本実施例の凸部67bにおいて、少なくとも平均より水平方向の断面積が小さくなるバックプレート67側の領域は本発明の所定の領域に相当する。また、凸部67bにおいて少なくとも平均より水平方向の断面積が小さくなる部分は断面積減少部に相当する。
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例においては、バックプレートに一体に設けられた略円柱状の凸部に対して、水平方向については凸部の側面を含む形で、垂直方向については凸部の途中までの領域に音孔を形成することで、凸部の根元側においては圧力解放のための流路面積を増加させた例について説明する。
図14には、本実施例におけるバックプレート77に形成された凸部77bと、振動電極膜75に設けられた圧力解放孔75bの断面図を示す。本実施例における凸部77bは、概略円柱状の形状を形成し、バックプレート77における音孔をエッチングで形成する
際に、水平方向については円柱状の凸部77bの側面を含む形で、垂直方向については円柱状の凸部77bの途中まで、凸部77bの先端部を残す形で空間77cを形成することで完成する。
これによれば、凸部77bの側面における、バックプレート77側の領域には、空間77cが凸部77bの側面と交差することにより形成される開口部77dが開口している形状となる。そうすると、図14に示す状態より、振動電極膜75にバックプレート77とは反対側(図中下側)から過大な圧力が作用した場合に、振動電極膜75がバックプレート77側(図中上側)に変形する。そして、振動電極膜75が開口部77dの下端よりさらにバックプレート77側まで変形した際には、振動電極膜75に圧力を作用させている空気が開口部77dから空間77cを通じてバックプレート77の上側に逃げることで、振動電極膜75にバックプレート77と逆側から作用している圧力は解放される。
これによれば、凸部77bが形成されたバックプレート77に音孔を形成するプロセスにおいて、同時に、平面視において凸部77bの側面を含むように空間77cを形成することで、凸部77bのバックプレート77側の領域において容易に凸部77bの断面積を減少させることが可能である。ここで、凸部77bの高さ方向の領域であって、空間77cが形成された領域は、本発明の所定の領域に相当する。また、凸部77bにおいて空間77cが形成された部分は断面積減少部に相当する。
<実施例3>
次に、本発明の実施例3として、バックプレートから離れ先端側にいくに従って径が小さくなるようなテーパ状の形状を有する凸部に対して、側面の途中からバックプレート側において開口する開口部と、この開口部とバックプレートの上側とを貫通する空間とを形成した例について説明する。
図15は、従来の、バックプレートから離れ先端側にいくに従って径が小さくなるようなテーパ状の形状を有する凸部を有する場合と、当該凸部に対して、側面の途中からバックプレート側において開口する開口部と、この開口部とバックプレートの上側とを貫通する空間とを形成した場合の作用を示す図である。
図15(a)は、通常のテーパ状の凸部を有する場合、図15(b)は、テーパ状の凸部に上記の開口部と、開口部とバックプレートの上側とを貫通する空間とを形成した場合について示す。図15(a)に示すように、凸部87bが単なるテーパ形状を有する場合には、振動電極膜85にバックプレート87と反対側から過大な圧力が作用した場合には、振動電極膜85がバックプレート87側に変形する。そして、その際、振動電極膜85がバックプレート87側に変形すればする程、凸部87bと圧力解放孔85bとの間の隙間の面積が減少するため、さらに圧力を解放しづらくなる。
それに対して、図15(b)に示すように、テーパ状の凸部のバックプレート87側の領域に開口部87dと、開口部87dとバックプレート87の上側とを貫通する空間87cとを形成した場合については異なる挙動が示される。すなわち、振動電極膜85にバックプレート87と反対側から過大な圧力が作用した場合には、振動電極膜85がバックプレート87側に変形するが、振動電極膜85が開口部87dの存在する領域に達した際には、開口部87d、空間87cを介して、振動電極膜85に作用している圧力に係る空気をバックプレート87の上側に逃がすことができる。
よって、この時点で振動電極膜85に作用している圧力を解放することができ、それ以上の振動電極膜85の変形を防止することが可能となる。また、本実施例においては、バックプレート87と反対側からの圧力を振動電極膜85に作用させる空気に異物等が混入
していた場合には、上記の開口部87d及び空間87cを介して異物を逃がすことができるため、凸部87bと、圧力解放孔85bの間や、その近傍に異物が挟まったり堆積したりするリスクを低減することが可能である。
なお、本実施例の構成を採用した場合には、バックプレート87に、図16に示すようなストッパ87eを設けてもよい。本来、ストッパ87eは、バックプレート87と、振動電極膜85とが固着したり、両者の接触時に電気的にショートしたりすることを防止するためのものであるが、本実施例においては、このストッパ87eの高さをh1、開口部87dのバックプレート87からの深さをd1、振動電極膜85の厚みをt1とした場合に、
d1>h1+t1・・・・・(1)
が成立するようにした。
これによれば、過大な圧力がバックプレート87の反対側から振動電極膜85に作用した場合には、振動電極膜85がバックプレート87側に変位するが、その際、振動電極膜85がバックプレート87のストッパ87eに当接するまで変位し、当接したところで安定した姿勢が維持される。そして、その状態において確実に、開口部87eの一部が、振動電極膜85のバックプレート87の反対側に開口される。よって、過大な圧力がバックプレート87の反対側から振動電極膜85に作用した場合に、より確実に、開口部87d及び空間87cを介して、空気をバックプレート87の上側に逃がし、振動電極膜85に作用している圧力を解放することが可能となる。なお、図15においては、開口部87dの下端部の高さは、凸部87bの内壁の底部と同一面となっていたが、開口部87dの下端部の高さは、必ずしも凸部87bの内壁の底部と同一面でなくてもよい。図16に示すように、別面としても構わない。
また、本実施例においてはバックプレート87にストッパ87eが設けられているが、ストッパとして機能する突起は振動電極膜85に設けられていてもよい。振動電極膜85の一部を突出させるもしくは振動電極膜85の上部に別途構造体を設けるなどしておくことで、上記したストッパ87eを設けた場合と同様、バックプレート87との固着を抑制できる等の効果が期待できる。そして、ストッパの高さh1、開口部のバックプレートからの深さd1、振動電極膜の厚みt1の間に(1)式が成立するようにすることで、本実施例の効果を得ることが可能である。
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例においては、振動電極膜に設けられた圧力解放孔をスリット状とし、バックプレートに設けられた凸部は円柱状またはテーパ状ではなく、圧力解放孔に侵入可能な平板状の形状を有する例について説明する。
図17には、本実施例におけるバックプレート97及び凸部97b、振動電極膜95及び圧力解放孔95bの断面斜視図を示す。本実施例においては、上述のとおり、圧力解放孔95bは、平面視において円形ではなくスリット状である。また、凸部97bは、スリット状の圧力解放孔95bに侵入可能な平板状の形状を有する。図17においては、振動電極膜95及びバックプレート97を、スリット状の圧力解放孔95bと、平板状の凸部97bの中央部で切断した図を示している。スリット状の圧力解放孔95bと、平板状の凸部97bを採用した場合には、それらの幅が狭いことにより、半導体作製プロセスによりバックプレート97を平坦にし易くなり応力集中を軽減することができる。例えば、スリットの幅を、振動電極膜95とバックプレート97との間の距離の2倍以内とすることで、バックプレート97を平坦にし易くすることが可能である。
本実施例においては、バックプレート97に音孔97aを形成するプロセスにおいて、
平板状の凸部97bに対しても、高さ方向の途中まで到達する空間97cを形成する。そうすると、平板状の凸部97bの左右両側において開口部97dが開口する形となる。なお、本実施例において、音孔97a及び空間97cの平面視による形状は円形が望ましい。これにより、バックプレート97の各部、特に平板状の凸部97bの近傍における応力集中を回避することが可能である。
図18は、本実施例におけるバックプレート97及び振動電極膜95の作用について説明するための図である。図18は、図17におけるバックプレート97及び振動電極膜95を断面の法線方向から見た断面図であり、図18(a)は振動電極膜95の変形前の状態を、図18(b)は、バックプレート97の反対側から振動電極膜95に過大な圧力が作用し振動電極膜95がバックプレート97側に変形した状態を示す。
本実施例によれば、バックプレート97の反対側から振動電極膜95に過大な圧力が作用し振動電極膜95がバックプレート97側に変形した場合に、平板状の凸部97bの左右両側に開口した開口部97dから、振動電極膜95に圧力を作用させる空気が空間97cを通過してバックプレート97の上側に逃げることが可能となる。これにより、振動電極膜95に作用する圧力を解放することができ、振動電極膜95の過剰な変形を防止することができる。
一方、本実施例において、過大な圧力がバックプレート97側から振動電極膜95に作用し、振動電極膜95がバックプレート97とは反対側に大きく変形した状態においては、平板状の凸部97bが、振動電極膜95のスリット状の圧力解放孔95bから抜けた時点で、圧力解放孔95bの全体を空気が通過可能となる。従って、振動電極膜95に作用している圧力を解放するのに十分な大きさの空気の流路面積を得ることができる。結果として、本実施例によれば、過大な圧力が上下いずれの方向から振動電極膜95に作用したとしても、振動電極膜95の過剰な変形を防止することが可能である。
次に、図19を用いて、本実施例における凸部と、圧力解放孔の形成プロセスについて説明する。まず、図19(a)に示すように、シリコン(Si)基板103の表面に酸化シリコン(SiO2)の絶縁層104が形成され、絶縁層104の上に振動電極膜となるべきポリシリコン(Poly Si)膜105が形成され、エッチングにより当該ポリシ
リコン(Poly Si)膜105が部分的に除去されて圧力解放孔105bが形成され
る。そして、さらにポリシリコン(Poly Si)膜105の上に、酸化シリコン(S
iO2)の犠牲層104bが形成された後、凸部となる部分の絶縁層104bがエッチングにより除去される。
次に、図19(b)に示すように、固定電極膜となるポリシリコン(Poly Si)
膜106が形成され、さらに、バックプレート及び凸部を形成するための窒化シリコン(SiN)膜107、107bが形成される。この際、凸部を形成するための窒化シリコン(SiN)膜107bが形成される、酸化シリコン(SiO2)の絶縁層104a、104bのスリット幅が狭いので、バックプレート107の成膜時に、当該スリットが完全に窒化シリコン(SiN)膜で埋まり、凸部107bは平板状になる。そして、エッチングによって音孔107cと、凸部107bの上部の空間107cを形成する。次に、図19(c)に示すように、エッチングにより、バックプレート107及び凸部107bとなる部分と、振動電極膜105とをのみを残してSi基板103、絶縁層104a及び犠牲層104bを除去する。これにより、バックプレート107における凸部107bと、振動電極膜105における圧力解放孔105bが形成される。
なお、本実施例においては、図20に示すように、平板状の凸部107bとなる部分は、垂直方向にみると膜厚が厚くなっている。ドライエッチングなどは垂直方向の指向性が
強いため、音孔107aと凸部107bの上部の空間107cとを同時にエッチングすると、凸部107bの先端側のみに膜が残るため、“凸部107bのバックプレート107側の一部にのみ空間が存在する”構造を簡易に作製することができる。なお、これらは必須の要件ではないため、音孔107aと凸部107bの上部の空間107cとを別々にエッチングしてもよい。また、凸部107bの側面は垂直であってもテーパ(斜面)であってもよい。ただし、凸部107bの側面が垂直の場合には、平板状の凸部107bとなる部分の垂直方向の膜厚が厚くなっているため、上記エッチング手法をより実行し易くなる。
1・・・音響センサ
2・・・バックチャンバー
3、13、43、52、63・・・(シリコン)基板
5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105・・・振動電極膜7、17、27、37,47,57、67、77、87、97、107・・・バックプレート
15b、25b、35b、45b、55b、65b、75b、85b、95b、105b・・・圧力解放孔
17b、27b、37b、47b、57b、67b、77b、87b、97b、107b・・・凸部

Claims (7)

  1. 表面に開口を有する基板と、
    前記基板の開口に対向するように配設されたバックプレートと、
    前記バックプレートとの間に空隙を介して該バックプレートに対向するように配設された振動電極膜と、
    を備え、
    前記振動電極膜の変形を該振動電極膜と前記バックプレートの間の静電容量の変化に変換する静電容量型トランスデューサにおいて、
    前記振動電極膜に設けられた貫通孔である圧力解放孔と、
    前記バックプレートと同一部材によりに該バックプレートと一体に設けられ前記振動電極膜の変形前の状態では前記圧力解放孔に侵入する凸状の部分と、
    前記圧力解放孔と前記凸状の部分との隙間により形成される空気の流路である圧力解放流路と、をさらに備え、
    前記凸状の部分は、該凸状の部分における前記バックプレート側の所定の領域に、該凸状の部分における該所定の領域より先端側の領域と比較して、前記バックプレートに平行な方向の断面の断面積が小さい断面積減少部を有することを特徴とする静電容量型トランスデューサ。
  2. 前記凸状の部分は、前記バックプレートに近づくにつれて前記断面積が小さくなるように変化するテーパ形状を有することを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサ。
  3. 前記凸状の部分には、前記バックプレートの該凸状の部分と反対側の面と該凸状の部分における前記所定の領域の側面とを貫通する空間が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型トランスデューサ。
  4. 前記凸状の部分は、平板状の形状を有し、該平板状の形状の側面は前記バックプレートに垂直に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の静電容量型トランスデューサ。
  5. 前記バックプレート及び前記振動電極膜の少なくとも一方には、前記振動電極膜が該バックプレート側に変位した際に前記バックプレート及び前記振動電極膜の他方に当接するストッパが設けられ、
    前記凸状の部分における、前記空間の前記バックプレートに垂直方向の深さは、前記ストッパの高さと、前記振動電極膜の膜厚の合計値より大きいことを特徴とする請求項3または4に記載の静電容量型トランスデューサ。
  6. 前記空間は、前記バックプレートに垂直方向から見て円形の形状を有することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の静電容量型トランスデューサを有し、音圧を前記振動電極膜と前記バックプレートの間の静電容量の変化に変換して検出する音響センサ。
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