JP6655972B2 - 塗料組成物及び塗装物品 - Google Patents

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Description

本発明は、高弾性塗膜を形成し得る塗料組成物、及び塗料組成物による塗膜を形成してなる塗装物品に関する。
近年、資源問題・環境問題の高まりから、バイオマスを利用した材料開発が活発化している。特に多糖類の代表であるセルロースは地球上に存在するバイオマスの中でも最大の埋蔵量があるため、その有効活用の研究が盛んに行われ、セルロースの微細繊維を用いた複合材料などが研究されている(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3等)。セルロースはその伸びきり鎖結晶が故に、低線膨張係数と高弾性率と高強度とを発現することが知られている。また、微細化することにより、複合材料とした際、高透明性を示す材料として注目されている。
一方、親水性が高く、セルロースを微細化する際は、水中で行われるのが一般的である。そのため塗料分野でセルロースの微細繊維を適用するには水系の塗料で用いることが提案されている(特許文献4、及び特許文献5)。有機溶剤型の塗料にセルロース繊維の水分散液を添加しても凝集し均一に分散できないため、水分散液を溶剤置換して適用することが試みられているが、塗料によっては均一に分散できず、期待する高弾性塗膜を形成できないという問題があった。
また、塗膜の弾性率を上げる方法として、塗料中に無機フィラーを添加する方法が知られているが、この方法では塗膜の弾性率は向上するものの、塗膜の伸びが低下し、塗装物品の加工性が低下する場合があるという問題があった(特許文献6)。
再表2012/067113号公報 特開2014−152290号公報 特開2012−188654号公報 特開2011−057749号公報 特開2013−181168号公報 特開2007−501886号公報
従って、本発明の目的は、セルロース繊維が塗料中に均一に分散され、さらに高い弾性率を有し、かつ伸びの低下が抑制された塗膜を形成し得る有機溶剤型の塗料組成物を提供することにある。
前記課題を解決するために検討した結果、特定のセルロース繊維、被膜形成性樹脂、特定の有機溶剤を用いることにより、セルロース繊維が塗料中に均一に分散可能であり、さらに高い弾性率を有し、かつ伸びの低下が抑制された塗膜を形成し得ることを見出した。
すなわち本発明は、セルロース繊維(A)、被膜形成性樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有する塗料組成物であって、セルロース繊維(A)が、アセチル基及びカルボキシ基を有するものであり、有機溶剤(C)が、溶解性パラメータ値8.5(cal/cm1/2以上であることを特徴とする塗料組成物、及びこの塗料組成物の硬化物からなる塗膜を有する塗装物品、に関する。
本発明によれば、セルロース繊維が塗料中に均一に分散され、さらに高い弾性率を有し、かつ伸びの低下が抑制された塗膜を形成できる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[セルロース繊維(A)]
本発明で使用されるセルロース繊維(A)は、アセチル基及びカルボキシ基を有するものである。好ましくはアセチル基の置換度は0.5以上1.0以下である。また、さらに好ましくはカルボキシ基の量は、0.10mmol/g以上0.60mmol/g以下である。さらに好ましくは、セルロース繊維の数平均繊維径は、2nm以上400nm以下が好ましい。
<セルロース繊維原料>
本発明において、セルロース繊維原料とは、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものである。
(セルロース含有物)
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹及び広葉樹等の木質、コットンリンター及びコットンリント等のコットン、さとうきび及び砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート及びケナフ等の靭皮繊維、サイザル及びパイナップル等の葉脈繊維、アバカ及びバナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニア及びシオグサ等の海草ないしホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので、高弾性率になり好ましい。
セルロース含有物としては、特に針葉樹や広葉樹等の木質が好ましい。針葉樹及び広葉樹等の木質は微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。
このようなセルロース含有物を一般的な精製工程を経て本発明のセルロース繊維原料とする。
本発明に用いられるセルロース繊維原料は上記由来のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。
セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の精製度合いに特に制限はないが、油脂、リグニンの含有率が少なく、セルロース成分の含有率が高い方が、セルロース繊維原料の着色が少なく好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料のセルロース成分の含有率は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
また、セルロース成分は結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分に分類できる。結晶性のα−セルロースの比率が高い方が、セルロース繊維複合材料とした際に低線膨張係数、高弾性率、高強度の効果が得られやすいため好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料のα−セルロースと非結晶性ヘミセルロースの比率は好ましくは90対10以上、さらに好ましくは95対5以上、さらに好ましくは97対3以上で、α−セルロースの比率が高いことが好ましい。
(セルロース繊維原料の繊維径)
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度にすることが好ましい。
<酸化処理>
上記のセルロース繊維原料に酸化処理を行うことにより、セルロースの水酸基の一部を、セルロース繊維の重量に対して、0.10mmol/g以上のカルボキシ基で置換することが好ましい。通常、精製処理が施されたセルロース繊維原料は、セルロースの水酸基が多少のカルボキシ基で置換されているが、0.10mmol/gを超えることはない。
セルロース中の水酸基の一部がカルボキシ基に酸化されると、カルボキシ基の負電荷でセルロース繊維の表面が覆われてセルロース繊維間に反発力が生じるようになるため、分散媒への分散性が向上するとともに、解繊性が高まる効果が得られると推測される。
また、セルロース繊維中のカルボキシ基は、0.10mmol/g以上であればよいが、好ましくは0.15mmol/g以上、より好ましくは0.20mmol/g以上である。また、セルロース繊維中のカルボキシ基は、通常0.60mmol/g以下であり、好ましくは0.55mmol/g以下であり、より好ましくは0.50mmol/g以下である。
このカルボキシ基の置換割合が上記下限値以上であることにより、セルロース繊維にカルボキシ基を導入したことによる解繊性の向上効果を十分に得ることができるが、過度に多いと耐熱性の低下が著しく、加熱時の着色が強大であり、上記上限以下であればアセチル基導入による着色抑制が可能と考えられ好ましい。
酸化処理の具体的な方法として特に制限はないが、例えば、酸化性を有するガス(以下酸化性ガスともいう)にセルロース繊維原料を接触させる方法、酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料を懸濁又は浸漬させて行う酸化処理等が挙げられる。
(酸化性ガスとセルロース繊維原料を接触させる方法)
酸化性ガスとセルロース繊維原料を接触させる方法は、
(1) セルロース繊維原料を酸化性ガスが存在する雰囲気に所定時間保持する
又は、
(2) セルロース繊維原料を酸化性ガスの気流中に暴露させる
ことで行うことができる。
セルロース繊維原料と酸化性ガスとの接触において、酸化性ガスの添加量、処理温度、処理時間等の諸条件は、セルロース繊維に導入される所望のカルボキシ基量に応じて適宜定めることができる。
酸化性ガスが存在する雰囲気に所定時間保持する方法の場合(上記(1))、酸化性ガスが存在する雰囲気とは、該雰囲気に酸化性ガスが通常10ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは1000ppm以上存在していればよく、酸化性ガス以外のガスが共存していてもよい。
また、該所定時間とは、通常30秒以上、好ましくは1分以上であり、通常10時間以下である。
セルロース繊維原料を酸化性ガスの気流中に暴露させる場合(上記(2))もまた、該気流中に酸化性ガスが通常10ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは1000ppm以上存在していればよく、酸化性ガス以外のガスが共存していてもよい。
セルロース繊維原料を酸化性ガスの気流中に暴露させる場合も、上記酸化性ガスが存在する雰囲気に所定時間保持する場合と同様に、所定時間暴露させることが好ましく、その時間は、通常30秒以上、好ましくは1分以上であり、通常10時間以下である。
酸化性ガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、オゾン、塩素ガス、フッ素ガス、二酸化塩素、亜酸化窒素等が挙げられ、これらの単独であっても2種以上を含むものであってもよい。特にオゾンは、空気、酸素ガス、酸素添加空気等の酸素含有気体をオゾン発生装置に供給することで適時、使用場所で必要量を発生させることができ、また、オゾン発生装置は市販されており、簡便に利用できるので好ましい。
酸化性ガスが存在する雰囲気又は酸化性ガスの気流中に、酸化性ガス以外のガスが共存している場合、その共存するガスとしては、セルロースの水酸基の酸化を阻害しないものであればよく、例えば、空気、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素、アルゴンガス等が挙げられ、これらの単独であっても2種以上が含まれていてもよい。
以下に、オゾンを酸化性ガスとして用いる場合に好ましい条件を述べる。
オゾンの添加量は、セルロース繊維原料の乾燥質量に対して0.1〜1000重量%であることが好ましく、1〜100重量%がより好ましく、5〜50重量%であることがさらに好ましい。
なお、このオゾンの添加量とは、以下のオゾン処理において、セルロース繊維原料に対して用いたオゾンの総質量に相当する。
オゾンに接触させる(以下、オゾン処理という場合がある)セルロース繊維原料は、完全に乾燥された状態であってもよいし、水などの分散媒で湿潤した状態であってもよく、セルロース繊維原料を水などの分散媒に分散させた分散液(セルロース繊維分散液)の状態であってもよい。オゾンとセルロース繊維原料の接触面積が多い方が酸化の効率が高くなるため、セルロース繊維分散液を用いる場合は、分散液中にオゾンガスをバブリングさせることがより好ましい。
また、セルロース繊維原料が分散媒で湿潤した状態であっても、セルロース繊維分散液である場合であっても、セルロース繊維原料の固形分濃度が高い方が酸化の効率が高くなるため、オゾン処理に供する湿潤セルロース繊維原料又はセルロース繊維分散液中のセルロース繊維原料の固形分濃度は5重量%以上が好ましく、20%質量以上がより好ましく、40%質量以上がさらに好ましい。
オゾン処理の温度としては、0℃〜100℃の雰囲気下であることが好ましく、20℃〜50℃であることがより好ましい。処理温度が上記下限値を下回ると水湿潤状態のセルロース繊維原料やセルロース繊維分散液が凍結するなど試料の取り扱いが難しくなり、上記上限値を超えるとオゾンの自己分解反応が促進して酸化の効率が低下する場合がある。
上記オゾン処理等の酸化処理後のセルロース繊維原料は、水で十分に懸濁洗浄することが好ましい。
(酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料を懸濁又は浸漬させて行う方法)
また、酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料を懸濁又は浸漬させることにより、酸化処理を行ってもよい。
酸化性化学種としては、一般にアルコールをアルデヒド又はカルボン酸に酸化することができる試薬を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、六価クロム酸硫酸混液、ジョーンズ試薬(無水クロム酸の硫酸酸性溶液)、クロロクロム酸ピリジリニウム(PCC試薬)などのクロム酸酸化試薬、Swern酸化などに使われる活性化ジメチルスルホキシド試薬、また触媒的な酸化が生じるテトラプロピルアンモニウムテルルテナート(TPAP)や、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)などのN−オキシル化合物等が挙げられる。特に、TEMPOによるセルロース繊維の酸化は水分散液中で穏和な条件で進行することが知られており好ましい。
酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料を懸濁又は浸漬させる際、完全に乾燥された状態のセルロース繊維原料を用いて、酸化性化学種を含む溶液に添加してもよいし、セルロース繊維分散液に酸化性化学種を添加してもよい。酸化性化学種を含む溶液やセルロース繊維分散液の溶媒又は分散媒は通常、水であるが、他の溶媒が含まれていてもよい。
酸化処理後のセルロース繊維は、水及び/又は有機溶媒で十分に懸濁洗浄することが好ましい。
(追酸化処理)
酸化性ガスにセルロース繊維原料を接触させる方法や、酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料を懸濁又は浸漬させて行う酸化処理の後に、さらに酸化処理の工程を追加することが好ましい(追酸化処理)。酸化処理の追加によって、セルロース繊維中のホルミル基をカルボキシ基まで酸化することで、より解繊性が向上し、また加熱時の着色を抑制する効果が得られるのでより好ましい。
追酸化処理に用いられる化学種としては、特に限定されるものではないが、例えば亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩が挙げられる。具体的には、亜塩素酸ナトリウムの1〜5重量%水溶液を塩酸、酢酸などの酸を加えてpHを4〜5に調製した溶液に、上記酸化処理後のセルロース繊維原料を懸濁させ、一定時間、例えば1〜100時間保持することにより追酸化処理を行うことができる。この追酸化処理時の温度は、上記オゾン処理におけると同様の理由から、通常0℃〜100℃、好ましくは20℃〜50℃である。
追酸化処理後のセルロース繊維原料は、水で十分に懸濁洗浄することが好ましい。セルロース繊維原料が強酸性又は強塩基性の状態で保管するとセルロースの結晶性が低下してしまい、セルロース繊維複合材料にした時に低線膨張係数が得られない可能性があるため、洗浄する際には、洗浄した水のpHが4〜9の範囲になるまで洗浄を繰り返すことが好ましい。
(セルロース繊維中のカルボキシ基、ホルミル基の定量方法)
本発明においては、セルロース繊維の重量に対するセルロース繊維中のカルボキシ基及びホルミル基の量(mmol/g)は以下の手法によって定量した。
カルボキシ基量は、米国TAPPIの「Test Method T237 cm−08(2008):Carboxyl Content of pulp」の方法に従って行った。この時、測定試料とする絶乾セルロース繊維は、加熱乾燥で起こりうる加熱によるセルロースの変質を避けるため、凍結乾燥により得たものを使用した。
ホルミル基量は、上述の追酸化処理を行った場合、ホルミル基はカルボキシ基に酸化されるため、実質的にゼロである。追酸化処理前後でのカルボキシ基の量を定量することで、その差分が追酸化処理前のホルミル基量とみなせる。
また、セルロース繊維中のカルボキシ基量は、後述のアセチル化処理を行うとアセチル基がセルロースに付加した分、質量が増加するため、乾燥セルロース1g当たりの数値は変わる。従って、本発明のセルロース繊維のカルボキシ基量は、アセチル基による置換を行った後の値として求める必要がある。
<アセチル化処理>
本発明のセルロース繊維は、セルロースの水酸基の一部が、アセチル基及びカルボキシ基で置換されていることを特徴とする。
アセチル基は、以下詳述するアセチル化処理により導入されることが好ましい。
尚、カルボキシ基は、上記酸化処理によって置換されることが好ましい旨記載したが、以下詳述する処理と同様にして導入されてもよい。
アセチル化処理は、セルロース繊維原料に酸化処理を行う工程の前に行ってもよいし、セルロース繊維原料に酸化処理を行う工程の後に行ってもよい。酸化処理による化学修飾基の脱離を避けるため、化学修飾処理はセルロース繊維原料に酸化処理を行う工程の後に行うことがより好ましい。
(アセチル化方法)
アセチル化方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、セルロース繊維原料と次に挙げるようなアセチル化剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
アセチル化剤の種類としては、酢酸、無水酢酸、及びアセチルハライドからなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
(置換度)
本書でいう置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を示す。言い換えると、「導入された置換基のモル数を、グルコピラノース環の総モル数で割った値」として定義する。純粋セルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、本発明のセルロース繊維の置換度の理論最大値は3(最小値は0)である。
化学修飾基の置換度は、下記の滴定法によって測定し求めることができる。
乾燥セルロース0.05gを精秤し、これにエタノール1.5ml、蒸留水0.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、フェノールフタレインを指示薬として0.1M塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.1M塩酸水溶液の量Z(ml)、及びブランクサンプル(=乾燥セルロースなしのサンプル)の滴定に要した0.1N塩酸水溶液の量Z(ml)から、下記式によってカルボキシ基とアセチル基の合計量Q(mol)が求められる。
Q(mol)=(Z−Z)×0.1/1000
乾燥セルロースの質量(=0.05gの精秤値、記号でAとおく)は、修飾されていないグルコピラノース環構造体(C10、Mw=162)、カルボキシ基に置換されたグルコピラノース構造体(C6、Mw=176)、及びアセチル化されたグルコピラノース構造体(Mw=204)それぞれの質量の総和と考えることができる。それぞれ構造体のモル数を仮にx、y、z(mol)とおくと、
A(g)=162×x+176×y+204×z ・・式1
また、先に滴定で求めたQ(mol)は、次の関係が成立している。
Q(mol)= y+z ・・式2
また、前記(セルロース繊維中のカルボキシ基の定量方法)の項に記載の方法で求めたセルロース繊維中のカルボキシ基量(mmol/g、記号でBとおく)は、yに換算することができる。
y(mol)=B(mmol/g)×A(g)/1000 ・・式3
ここで、置換度とは、「導入された置換基のモル数を、グルコピラノース環の総モル数で割った値」と定義してあり、アセチル基の置換度は、下記式として書き表すことができる。
アセチル基の置換度(無次元数)= z / (x+y+z) ・・式4
式1から式4を用いて、A、B、Q、Tで整理すると化学修飾基の置換度は下記の式5で求められる。
Figure 0006655972
式5
本発明において、セルロース繊維の置換度は通常0.50以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上である。また、セルロース繊維の置換度は好ましくは1.0以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下である。
アセチル化処理を行ってカルボキシ基以外のアセチル基を導入することで、樹脂との相溶性が向上するが、置換度が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られるセルロース繊維複合材料の弾性率が低下するという問題点があり好ましくない。
<解繊処理>
セルロース繊維原料は、解繊処理により、解繊セルロース繊維とされる。以下、解繊セルロース繊維の製造方法について説明する。前述の如く、本発明において、前述のセルロース繊維原料の酸化処理、化学修飾処理、解繊処理の手順には特に制限はないが、好ましくは、解繊処理は酸化処理及び化学修飾処理後のセルロース繊維原料に施される。
尚、解繊セルロース繊維は、通常、解繊されたセルロース繊維が分散した分散液の状態で得られる。すなわち、この場合、解繊セルロース繊維とは、解繊されたセルロース繊維が分散した分散液を含めて解繊セルロース繊維という。
解繊処理の具体的な方法としては、特に制限はないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース繊維原料濃度0.1〜10重量%、例えば1重量%程度のセルロース繊維原料の分散液(以下、「セルロース繊維分散液」と称す場合がある。)に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与え、セルロースを解繊する方法などが挙げられる。
なお、セルロース繊維分散液の分散媒としては、後述する有機溶剤(C)を用いることが好ましい。ただし、他の有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用して解繊したのち、有機溶剤(C)に置換することも可能である。また、あらかじめ後述する被膜形成性樹脂(B)を有機溶剤(C)に溶解させた樹脂溶液を分散媒として用いてもよい。
解繊方法としては、その他、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、セルロース繊維分散液を通して剪断力を働かせて解繊する方法(高速回転式ホモジナイザーを用いる方法)や、高圧から急に減圧することによって、セルロース繊維間に剪断力を発生させて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法を用いる方法)、「マスコマイザーX(増幸産業)」のような対向衝突型の分散機等を用いる方法などが挙げられる。特に、高速回転式ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーによる処理を採用することにより、解繊の効率が向上する。
これらの処理で解繊する場合は、セルロース繊維原料としての固形分濃度が0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下のセルロース繊維分散液に対して解繊処理を行う。この解繊処理に供するセルロース繊維分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するセルロース繊維原料量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するセルロース繊維分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整する。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる処理、高速回転式ホモジナイザーによる処理の後に、超音波処理を組み合わせた微細化処理を行ってもよい。
(解繊されたセルロース繊維原料の数平均繊維径)
上記方法によって解繊ないし更に微細化されたセルロース繊維分散液中のセルロース繊維(解繊セルロース繊維)の繊維径は、分散液中の分散媒を乾燥除去した後、SEMやTEM等で観察することにより計測して求めることができる。
解繊されたセルロース繊維の数平均繊維径は、表面性がよく、高弾性率、伸びに低下を抑制した塗膜を得るためには、400nm以下であることが好ましく、350nm以下であることがさらに好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。また、数平均繊維径は、小さい程好ましいが、高弾性率を発現するためには、セルロースの結晶性を維持することが重要であり、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である2nm以上である。
[被膜形成性樹脂(B)]
本発明で使用される被膜形成性樹脂(B)は、従来から塗料に使用されているそれ自体既知の樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
被膜形成性樹脂(B)は、後述する架橋剤(D)と反応し架橋塗膜を形成させるために架橋性官能基を有していることが好ましい。該架橋性官能基としては、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基等が挙げられるが、なかでも水酸基を有していることが好ましい。
特に被膜形成性樹脂(B)として、上述のセルロース繊維(A)との相溶性の観点から、実測溶解性パラメータ値が9.5以上、好ましくは9.7〜12.0の水酸基含有樹脂(B−1)が好適である
ここで樹脂の実測溶解性パラメータ値は、濁点滴定法により測定された値であって、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,VOL.12,2359〜2370(1968年)の記載参照)に従い算出される。
実測溶解性パラメータ値=(√Vml・δH+√Vmh・δD)/(√Vml+√Vmh)
Vml、Vmh、δH、δDは、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、n−ヘキサンを加えていき、底面の下に置いた新聞の4号活字が該ビーカー上部から透視し判読できる限界を濁点とし、濁点における滴定量H(mL)と、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(mL)とを、下記式に適用することにより算出される値である。
Vml=74.4×130.3/{(1−VH)×130.3+VH×74.4}
Vmh=74.4×18/{(1−VD)×18+VD×74.4}
VH=H/(10+H)
VD=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)
なお、各溶剤の分子容(mL/mol)は、アセトン:74.4、n−ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSP値は、アセトン:9.75、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
上記水酸基含有樹脂(B−1)としては、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アルキド樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる塗膜の弾性率と伸び等の点から、上記水酸基含有樹脂(B−1)は水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有アルキド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記水酸基含有樹脂(B−1)は、また、得られる塗膜の弾性率と伸び等の点から、水酸基価が50〜200mgKOH/g、好ましくは100〜150mgKOH/g、重量平均分子量が1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好ましい。
尚、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、テトラヒドロフランを溶媒として測定した、分子量既知のポリスチレンを標準物質とする換算値である。
上記水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを溶液重合法などの常法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのモノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−トなどのアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートなどのイソボルニル基を有する不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル基を有する不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物などの含窒素不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレートなどのカルボニル基を有する不飽和モノマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって製造することができる。該多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などが挙げられ、また、該多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、及びトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(Momentive Specialty Chemicals社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入してもよい。
ポリエステル樹脂へカルボキシル基を導入する場合、例えば、水酸基含有ポリエステルに無水酸を付加し、ハーフエステル化することで導入することもできる。
上記水酸基含有アルキド樹脂は、例えば、上述の多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化物を高級脂肪酸で変性したものなどがあげられる。
[有機溶剤(C)]
本発明で使用される有機溶剤(C)は、溶解性パラメータ値が8.5以上であり、好ましくは8.7〜14.5である。溶解性パラメータ値8.5未満では、セルロース繊維(A)と被膜形成性樹脂(B)とが均一に分散できないおそれがある。
ここで、有機溶剤の溶解性パラメータ値[単位(cal/cm1/2]は、フェドーズ(Fedors)が提案した方法で化合物の基本構造から計算される値である。具体的には、25℃における各原子又は原子団の蒸発エネルギー△e(cal)と、同温度における各原子又は原子団のモル容積△v(cm)とから、以下の式に従って溶解性パラメータ値(SP値)が計算される。混合溶剤系の場合のSP値は、系を構成する個々の有機溶剤のSP値に、それぞれの構成比(モル分率)を乗じ、それらを合算した値とする。
SP値(δ)=(Σ△e/Σ△v)1/2
(参考文献:向井淳二、金城徳幸著、講談社、「技術者のための実学高分子」、1981年10月発行、P71〜77)。
有機溶剤(C)としては、上記SP値を満足するものであれば特に制限はなく、例えば、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などから適宜選択して使用できる。具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記以外の有機溶剤も塗料の均一性を阻害しない範囲で適宜併用してもよい。
[架橋剤(D)]
架橋剤(D)は、セルロース繊維(A)や被膜形成性樹脂(B)中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基と反応して、本発明の塗料組成物を硬化し得る化合物である。架橋剤(D)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられる。なかでも、ポリイソシアネート化合物及びアミノ樹脂が好ましい。架橋剤(D)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
また、上記ポリイソシアネート化合物として、上記ポリイソシアネート及びその誘導体中のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
[塗料組成物]
本発明においてセルロース繊維(A)の配合量(固形分)は、高弾性塗膜を形成する観点から、被膜形成性樹脂(B)の固形分100質量部を基準として(架橋剤(D)を用いる場合には樹脂(B)及び架橋剤(D)の合計固形分100質量部を基準として)、0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜8質量部、好ましくは0.5〜5質量部の範囲が好ましい。
また被膜形成性樹脂(B)及び架橋剤(D)の配合割合は、両者の合計固形分100質量部を基準として、被膜形成性樹脂(B)が50〜95質量部、好ましくは60〜90質量部、架橋剤(D)が5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲が好ましい。
本発明の塗料組成物は、さらに必要に応じて、例えば、ドライヤー、硬化触媒、顔料、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤等の、通常塗料の分野で用いられる塗料用添加剤を含有することができる。
本発明の塗料組成物は、20〜80質量%、特に30〜70質量%の範囲内の塗料固形分を有することが好適である。
本発明の塗料組成物は、各種基材面に所望の膜厚となるように、公知の塗布方法、例えばエアスプレ−、エアレススプレ−、静電塗装などにより塗装することができる。また、基材面上に塗装した塗料組成物を硬化させることで、塗料組成物の硬化物からなる塗膜を有する塗装物品が得られる。
上記基材としては、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料などが挙げられ、これらは表面処理等がなされたものであってよい。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
セルロース繊維(A)の製造
製造例1
セルロース繊維3%分散液(A−1)
容器にセルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子ホールディングス社製:水分30%、フリーネス600mLcsf)をパルプ乾燥重量として20g及び空気2Lを加えた後、オゾン濃度200g/mのオゾン/酸素混合気体を15L加え、25℃で2分間振とう、及び6時間静置を順次行った後、容器内のオゾン及び空気を除去してオゾン処理を行った。この操作を2回行い、イオン交換水で十分に洗浄/脱水してオゾン処理したセルロース繊維を得た。
得られたオゾン処理後のセルロース繊維(固形分濃度20重量%)に対して、塩酸により水溶液pHを4〜5に調整した0.2重量%濃度の亜塩素酸ナトリウム水溶液を200g(セルロース繊維の乾燥重量に対して、亜塩素酸ナトリウムとして3重量%相当)添加して、70℃で3時間処理してカルボキシ基含有セルロース繊維を得た。得られたカルボキシ基含有セルロース繊維のカルボキシ基量は0.37mmol/gであった。
このカルボキシ基含有セルロース繊維を絶乾重量として20gに無水酢酸580gを添加し、撹拌しながら、60℃1時間、115℃3時間反応させた。冷却後、反応液を濾過し、メタノール続いて水で中性になるまで洗浄した。アセチル化の置換度は0.78であった。
このアセチル基及びカルボキシ基を有するセルロース繊維をイソプロパノールに分散させ濾過し、次に酢酸ブチル(エステル系溶剤、溶解性パラメータ値8.7)に分散させ濾過する操作を2回行い、溶剤置換を行った。
次に関西ペイント社製75%AC−800を酢酸ブチルで5倍希釈した樹脂溶液に、先のアセチル基及びカルボキシ基を有するセルロース繊維をセルロース繊維濃度が3重量%となるよう添加し、ホモジナイザーで予備分散を行った後、ビーズミル(寿工業社製ウルトラアペックスミルUAM−015)にてビーズ径0.3mm、周速11.4m/secで10パス処理してセルロース繊維の解繊を行い、セルロース繊維3%分散液(A−1)を得た。得られたセルロース繊維の数平均繊維径は40nmであった。
製造例2
セルロース繊維3%分散液(A−2)
製造例1と同様にして、アセチル基及びカルボキシ基含有セルロース繊維を得た。アセチル化の置換度は、0.67であった。
このアセチル基及びカルボキシ基を有するセルロース繊維を、製造例1と同様にして、濃度が3重量%になるように、樹脂溶液と混合し、セルロース繊維の解繊を行い、セルロース繊維3%分散液(A−2)を得た。得られたセルロース繊維の数平均繊維径は40nmであった。
製造例3
セルロース繊維3%分散液(A−3)
製造例1と同様にして、カルボキシ基含有セルロース繊維を得た。このカルボキシ基含有セルロース繊維を115℃2時間反応させた以外は製造例1と同様にして、アセチル化処理を行った。アセチル化の置換度は、0.50であった。
このアセチル基及びカルボキシ基を有するセルロース繊維を、製造例1と同様にして、濃度が3重量%になるように、樹脂溶液と混合し、セルロース繊維の解繊を行い、セルロース繊維3%分散液(A−3)を得た。得られたセルロース繊維の数平均繊維径は40nmであった。
被膜形成性樹脂(B)の製造
アクリル樹脂の製造
製造例4
水酸基含有アクリル樹脂(B−1)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、酢酸ブチル70質量部を仕込み、窒素雰囲気中で90℃に昇温した後、スチレン10質量部、メチルメタクリレート20質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート35質量部、メタクリル酸5質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部及び有機溶剤(C−1)(酢酸ブチル、エステル系溶剤、溶解性パラメータ値8.7)5質量部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で2時間保持した後、有機溶剤(C−1)で不揮発分を65%に調整して水酸基含有アクリル樹脂(B−1)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(B−1)の実測溶解性パラメータ値は10.6、水酸基価は150mgKOH/g、重量平均分子量は20,000であった。
製造例5
水酸基含有アクリル樹脂(B−2)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、酢酸ブチル70質量部を仕込み、窒素雰囲気中で90℃に昇温した後、スチレン10質量部、メチルメタクリレート20質量部、n−ブチルアクリレート55質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、メタクリル酸5質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部及び有機溶剤(C−1)(酢酸ブチル、エステル系溶剤、溶解性パラメータ値8.7)からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で2時間保持した後、有機溶剤(C−1)で不揮発分を65%に調整して水酸基含有アクリル樹脂(B−2)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(B−2)の実測溶解性パラメータ値は9.2、水酸基価は43mgKOH/g、重量平均分子量は22,000であった。
製造例6
水酸基含有アクリル樹脂(B−3)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、酢酸ブチル70質量部を仕込み、窒素雰囲気中で90℃に昇温した後、スチレン10質量部、メチルメタクリレート20質量部、n−ブチルアクリレート55質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、メタクリル酸5質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部及び有機溶剤(C−1)(酢酸ブチル、エステル系溶剤、溶解性パラメータ値8.7)5質量部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で2時間保持した後、有機溶剤(C−5)(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール1−イソブチラート、慣用名:テキサノール、アルコール系溶剤、溶解性パラメータ値8.2)で不揮発分を65%に調整して水酸基含有アクリル樹脂(B−3)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(B−3)の実測溶解性パラメータ値は9.2、水酸基価は42mgKOH/g、重量平均分子量は22,000であった。
ポリエステル樹脂の製造
製造例7
水酸基含有ポリエステル樹脂(B−4)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコにジチレ
ングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、無水フタル酸278.2部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、有機溶剤(C−4)(シクロヘキサノン、ケトン系溶剤、溶解性パラメータ値10.4)で不揮発分を65%に調整し水酸基含有ポリエステル樹脂(B−4)溶液を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂(B−4)の実測溶解性パラメータ値は9.9、水酸基価は110mgKOH/g、重量平均分子量は5,000であった。
アルキド樹脂の製造
製造例8
水酸基含有アルキド樹脂(B−5)
攪拌機、温度計、脱水トラップ付還流冷却器及び窒素ガス導入装置の付いた四ツ口フラスコに大豆油505部、水酸化リチウム0.13部及びペンタエリスリトール152部を仕込んで250℃で1時間アルコール交換反応を行った後に、180℃まで冷却した。次いで、エチレングリコール46部、無水フタル酸255部及びキシレン(溶解性パラメータ値:8.9)31部を加えた後、220℃まで3時間を要して徐々に昇温させ、更に220℃で8時間脱水反応を行い、次いでキシレンで不揮発分を65%に調整して水酸基含有アルキド樹脂(B−5)溶液を得た。得られた水酸基含有アルキド樹脂(B−5)の実測溶解性パラメータ値は9.5、水酸基価は100mgKOH/g、重量平均分子量は28,000であった。
塗料組成物の製造
実施例1
製造例1で得たセルロース繊維(A−1)分散液33部(セルロース繊維の固形分1部)、水酸基含有アクリル樹脂(B−1)溶液107部(固形分70部)及び有機溶剤(C−1)(酢酸ブチル、エステル系溶剤、溶解性パラメータ値8.7)29部を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェーカーで3時間分散した後、ガラスビーズを除去して、繊維分散液を得た。
次いで、得られた繊維分散液169部(固形分75部)及び「スミジュールN3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分100%、イソシアネート基含有率21.8%)30部(固形分30部)を混合攪拌し、塗料固形分53%の塗料組成物No.1を得た。該塗料組成物No.1における有機溶剤(C)の溶解性パラメータ値は8.7である。
実施例2〜10、比較例1〜2
実施例1において、配合組成を第1表に示すものとする以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物No.2〜12を得た。
Figure 0006655972
Figure 0006655972
第1表及び第2表中における(注)は下記を意味する。
(注1)「サイメル350」:商品名、ダイセル・オルネクス社製、メラミン樹脂、固形分100%。
(注2)「SURFACE STRAND REV1」:商品名、オーウェンス コーニング社製、ガラス繊維、固形分100%。
(注3)有機溶剤(C−2):メタノール、アルコール系溶剤、溶解性パラメータ値14.5。
(注4)有機溶剤(C−3):プロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル系溶剤、溶解性パラメータ値10.4。
(注5)有機溶剤(C−4):シクロヘキサノン、ケトン系溶剤、溶解性パラメータ値10.4。
(注6)有機溶剤(C−5):2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール1−イソブチラート、慣用名:テキサノール、アルコール系溶剤、溶解性パラメータ値8.2。
(注7)「DICNATE 3111」:商品名、DIC社製、ドライヤー、固形分31%。
試験板の作製
実施例11〜16、18〜20、比較例3〜4
ポリプロピレン板上に、上記の実施例1〜6、8〜10及び比較例1〜2で得た塗料組成物No.1〜6、No.8〜12を、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が30μmとなるようにそれぞれ塗装した。次に、室温で7分間放置した後、140℃で30分間加熱してポリプロピレン板上に硬化塗膜が形成された試験板を得た。
実施例17
ポリプロピレン板上に、上記の実施例7で得た塗料組成物No.7を、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が30μmとなるように塗装した。次に、23℃、65%RHで7日間放置してポリプロピレン板上に硬化塗膜が形成された試験板を得た。
試験板の評価
得られた各試験板について、各種試験を行った。評価結果を第3表に示す。
試験方法
分散性:下記硬化塗膜の形成性及び透明性で評価した。
塗膜の形成性:各試験板の塗面外観を目視で評価した。
○:均一な塗膜が形成されている
×:塗膜表面の荒れ及び部分的な透明性の低下の少なくとも一方が観察され、均一な塗膜が形成されていない。
透明性:各試験板において、ポリプロピレン板から硬化塗膜を剥離し、該硬化塗膜の透過ヘイズを日本電色工業株式会社製のヘイズメーター「COH300A」を用いて測定した。透過ヘイズが小さいほど硬化塗膜の透明性が高いことを示す。
弾性率:
塗膜の弾性率はヤング率を用いて評価した。また、該弾性率の評価は、前記各塗料組成物No.1〜12から得られる塗膜の弾性率の、該各塗料組成物No.1〜12についてセルロース繊維(A−1)〜(A−3)又はガラス繊維が未添加の塗料組成物から得られる塗膜の弾性率に対する割合によって評価した。具体的には、下記ヤング率の変化の割合(%)によって評価した。
ヤング率の変化の割合(%)=(繊維成分を含有する塗料組成物から得られる塗膜のヤング率−繊維成分を含有しない塗料組成物から得られる塗膜のヤング率)/(繊維成分を含有しない塗料組成物から得られる塗膜のヤング率)×100。
より具体的には、例えば、実施例11の場合、
ヤング率の変化の割合(%)=(塗料組成物No.1から得られる塗膜のヤング率−塗料組成物No.1についてセルロース繊維(A−1)が未添加の塗料組成物から得られる塗膜のヤング率)/(塗料組成物No.1についてセルロース繊維(A−1)が未添加の塗料組成物から得られる塗膜のヤング率)×100
となる。
上記ヤング率の変化の割合がプラス側に大きいほど、繊維成分の配合により高い弾性率を有する塗膜を形成できることを示す。
上記ヤング率は以下の方法で測定した。まず、前記各試験板において、ポリプロピレン板から硬化塗膜を剥離し、長さ20mm、幅5mmの短冊状に裁断して試験片を得た。次いで、「テンシロンUTM−II−20」(商品名、オリエンテック社製、引張試験機)を使用し、測定温度:20℃、引っ張り速度:4mm/min、チャック間距離:20mmの条件で、試験片が破断するまで長手方向に引っ張り、応力ひずみ曲線を得た。次いで、得られた応力ひずみ曲線の立ち上がり部の接線からヤング率を算出した。
伸び:
塗膜の伸びは、上記弾性率の測定において試験片が破断した時の伸び率(破断伸び率)を用いて評価した。また、該伸びの評価は、前記各塗料組成物No.1〜12から得られる塗膜の破断伸び率の、該各塗料組成物No.1〜12についてセルロース繊維(A−1)〜(A−3)又はガラス繊維が未添加の塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率に対する変化の割合によって評価した。具体的には、下記破断伸び率の変化の割合(%)によって評価した。
破断伸び率の変化の割合(%)=(繊維成分を含有する塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率−繊維成分を含有しない塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率)/(繊維成分を含有しない塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率)×100。
より具体的には、例えば、実施例11の場合、
破断伸び率の変化の割合(%)=(塗料組成物No.1から得られる塗膜の破断伸び率−塗料組成物No.1についてセルロース繊維(A−1)が未添加の塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率)/(塗料組成物No.1についてセルロース繊維(A−1)が未添加の塗料組成物から得られる塗膜の破断伸び率)×100
となる。
上記破断伸び率の変化の割合がプラス側に大きいほど、繊維成分の配合により高い伸びを有する塗膜を形成できることを示す。
上記破断伸び率は、下記式から求めることができる。
破断伸び率(%)=(破断時のチャック間距離−試験前のチャック間距離)/(試験前のチャック間距離)×100。
Figure 0006655972
上記評価結果において、実施例11〜20では、塗膜の形成性及び透明性に優れた塗膜が形成されており、繊維成分が均一に分散されている。また、塗膜の弾性率及び伸びが共にプラスとなっていることから、該塗膜は繊維成分を含まない場合に比べ弾性率が向上し、かつ塗膜の伸びは低下しないという優れた物性を有する。
一方、比較例3及び4では、塗膜の形成性及び透明性が劣ることから、繊維成分が均一に分散されていない。また、塗膜の弾性率がプラスとなる一方、伸びはマイナスとなっていることから、該塗膜は繊維成分を含まない場合に比べ、弾性率は向上するものの、塗膜の伸びが低下するという欠点を有する。

Claims (7)

  1. セルロース繊維(A)、被膜形成性樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有する塗料組成物であって、
    セルロース繊維(A)が、アセチル基及びカルボキシ基を有するものであり、
    有機溶剤(C)が、溶解性パラメータ値8.5以上であり、
    セルロース繊維(A)の、数平均繊維径が2〜400nmであり、
    被膜形成性樹脂(B)が、実測溶解性パラメータ値9.5以上の水酸基含有樹脂(B−1)である、塗料組成物。
  2. セルロース繊維(A)の、アセチル基の置換度が0.5〜1.0である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. セルロース繊維(A)の、セルロース繊維の質量に対するセルロース繊維中のカルボキシ基の量が0.10〜0.60mmol/gである請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 水酸基含有樹脂(B−1)が、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有アルキド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  5. 有機溶剤(C)が、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及びケトン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  6. さらに架橋剤(D)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  7. 基材面上に、請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料組成物の硬化物からなる塗膜を有する塗装物品。
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