JP6655472B2 - 高エネルギービーム溶接方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザビームなどの高エネルギービームを用いて部材を溶接により接合する高エネルギービーム溶接方法及びその装置に関するものである。
例えば、高エネルギービームとしてレーザビームを用いて2つの部材を溶接により接合する場合、2つの部材を互いの接合部が接触するように配置し、必要に応じて開先部を形成する。そして、レーザビームを集光した状態で接触する2つの部材の各接合部に照射することで、この接合部を溶融、凝固させて2つの部材を接合する。
ところで、板厚が数十ミリとなる厚い2つの板材を溶接により接合する場合、まず、互いの接合部が接触するように配置された2つの部材に対して、集光したレーザビームを上方から表面側の接合部に照射して溶接を行う。次に、表面側が溶接された2つの部材を反転させて裏面側を上方に向け、集光したレーザビームを上方から裏面側の接合部に照射して溶接を行う。このようにして板厚が数十ミリとなる厚い2つの板材を溶接により接合する。
このようなレーザビーム溶接方法としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
特許第4219174号公報
ところで、板厚が数十ミリとなる厚い2つの板材は、重量物であり、溶接作業の途中で反転させることは容易ではなく、長時間を要してしまい、作業性が良くない。また、この厚い2つの板材が大型の部材であれば、更なる工数を要してしまう。そのため、レーザビームを上方から表面側の接合部に照射して溶接を行った後、2つの部材を反転させずに、レーザビームを下方から裏面側の接合部に照射して溶接を行うことが考えられる。ところが、2つの部材の接合部に向けて下方から上方に向けてレーザビームを照射して溶接を行う場合、接合部から溶融金属やスパッタが垂れ落ちてしまい、適正な溶接を行うことが困難となる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質の向上を図る高エネルギービーム溶接方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の高エネルギービーム溶接方法は、溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、前記溶接対象物における下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、溶接係数a、前記下部接合部の表面張力γ、溶接ビード幅W、前記溶接対象物の密度ρ、重力加速度gとして下記数式
h≦a・γ/(W・ρ・g)
により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、溶接係数aを0より大きく3.0以下に設定する、ことを特徴とするものである。
従って、溶接係数aを3.0以下に設定した条件で溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定し、溶込み深さhと溶接ビード幅Wが設定された数値となるように、溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、溶接対象物の下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う。そのため、高エネルギービームにより下部接合部が溶融するものの、この溶融金属の垂れ落ちが抑制され、適正な溶接ビードを形成することができる。その結果、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法は、溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、前記溶接対象物における下部接合部の開先に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、溶接係数a、前記開先の表面張力γ、溶接ビード幅W、前記溶接対象物の密度ρ、重力加速度gとして下記数式
h≦a・γ/(W・ρ・g)
により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、溶接係数aを0より大きく4.5以下に設定する、ことを特徴とするものである。
従って、溶接係数aを4.5以下に設定した条件で溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定し、溶込み深さhと溶接ビード幅Wが設定された数値となるように、溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、溶接対象物の下部接合部の開先に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う。そのため、高エネルギービームにより下部接合部が溶融するものの、この溶融金属の垂れ落ちが抑制され、適正な溶接ビードを形成することができる。その結果、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法では、前記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、高エネルギービームによる入熱量として、高エネルギービームの出力または溶接速度を調整することを特徴としている。
従って、高エネルギービームの出力または溶接速度を調整することで、溶込み深さhと溶接ビード幅Wを最適値に設定することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法では、前記溶接ヘッドの上方で高エネルギービームと交差する方向に保護用ガスを噴出することを特徴としている。
従って、溶接ヘッドの上方に保護用ガスを噴出することで、この保護用ガスにより溶接中に飛散する溶接スパッタが溶接ヘッドに付着することが抑制され、溶接ヘッドを保護することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法では、前記溶接対象物の下方から前記溶接ビードに向けて酸化防止用ガスを噴出することを特徴としている。
従って、溶接ビードに向けて酸化防止用ガスを噴出することで、この酸化防止用ガスにより溶接ビードの酸化を抑制することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法では、前記溶接対象物の下方で且つ溶接方向の下流側から前記下部接合部に向けてシールドガスを噴出することを特徴としている。
従って、下部接合部に向けてシールドガスを噴出することで、このシールドガスにより下部接合部をガスパージして溶接ヒュームを排出することができる。
また、本発明の高エネルギービーム溶接装置は、溶接対象物の下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射する溶接ヘッドと、前記溶接ヘッドを溶接方向に沿って移動する駆動装置と、前記溶接ヘッドから照射される高エネルギービームの出力と前記駆動装置による前記溶接ヘッドの溶接速度を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記高エネルギービーム溶接方法を実施する、ことを特徴とするものである。
従って、溶接係数aを適正値に設定した条件で溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定し、溶込み深さhと溶接ビード幅Wが設定された数値となるように、制御装置は、駆動装置により溶接ヘッドを移動させながら、溶接対象物の下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う。そのため、高エネルギービームにより下部接合部が溶融するものの、この溶融金属の垂れ落ちが抑制され、適正な溶接ビードを形成することができる。その結果、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接装置では、前記溶接ヘッドは、ガイド部材の下方に水平方向に沿って移動自在に吊下げ支持され、前記溶接対象物を前記ガイド部材の上方に支持可能であることを特徴としている。
従って、簡単な構成でガイド部材により溶接ヘッドを溶接対象物の下方で水平方向に沿って移動させることができ、適正な上向き溶接を実施することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接装置では、前記溶接ヘッドは、水平方向に照射された高エネルギービームを鉛直方向に沿って反射する反射部材を有することを特徴としている。
従って、水平方向に沿って照射された高エネルギービームは、反射部材により鉛直方向の上方に向けて反射されることとなり、溶接ヘッドにおける鉛直方向の長さを短くすることができ、溶接領域の高さが低い狭隘部であっても、溶接ヘッドを移動自在に配置することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接装置では、前記溶接ヘッドは、溶接方向に対して水平方向に所定角度だけ傾斜して配置されることを特徴としている。
従って、溶接ヘッドを水平方向に傾斜して配置することで、溶接ヘッドが溶接方向の前方側の水平方向へ突出することがなく、小型化することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接装置では、前記溶接ヘッドによる高エネルギービームの上向き照射方向は、鉛直方向に対して所定角度だけ傾斜する方向に調整可能であることを特徴としている。
従って、各種の溶接条件に応じて、溶接ヘッドによる高エネルギービームの上向き照射方向を調整することで、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
本発明の高エネルギービーム溶接方法及びその装置によれば、溶接条件に応じて溶込み深さhと、溶接ビード幅Wと、溶接係数aを適正値に設定するので、上向き溶接時における接合部からの溶融金属の垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
図1は、第1実施形態の高エネルギービーム溶接装置を表す概略構成図である。 図2は、高エネルギービーム溶接装置を表す正面図である。 図3は、高エネルギービーム溶接装置を表す平面図である。 図4は、溶接前の部材接合箇所を表す断面図である。 図5は、溶接後の部材接合箇所を表す断面図である。 図6は、高エネルギービーム溶接状態を表す断面図である。 図7は、高エネルギービーム溶接状態を表す平面図である。 図8は、ビード幅に対する溶込み深さを表すグラフである。 図9は、第2実施形態の高エネルギービーム溶接装置を表す正面図である。 図10は、高エネルギービーム溶接装置を表す平面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る高エネルギービーム溶接方法及びその装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の高エネルギービーム溶接装置を表す概略構成図、図2は、高エネルギービーム溶接装置を表す正面図、図3は、高エネルギービーム溶接装置を表す平面図、図4は、溶接前の部材接合箇所を表す断面図、図5は、溶接後の部材接合箇所を表す断面図である。
第1実施形態において、図2及び図3に示すように、高エネルギービーム溶接装置10は、溶接ヘッド11と、駆動装置12と、ガイド部材13と、取付台14と、制御装置15とを備えている。
ガイド部材13は、水平方向に沿って配置されると共に、所定間隔を空けて平行に配置される一対のガイドレール21により構成されている。駆動装置12は、この一対のガイドレール21の下方に水平方向に沿って移動自在に吊下げ支持されている。溶接ヘッド11は、この駆動装置12における溶接方向Aの前方側(下流側)に装着されている。溶接ヘッド11は、鉛直方向に沿って配置されており、本体部22と、高エネルギービームとして高出力(例えば、30kW以上)のレーザビームを伝送する伝送ケーブル23と、レーザビームを照射するノズル部24とから構成されている。
取付台14は、ガイド部材13の上部に配置され、一対のガイドレール21の上方に水平方向に沿って延出する支持部25を有し、溶接対象物としての部材W1,W2をガイドレール21上に支持可能な複数の支持ロッド26,27が装着されている。そのため、部材W1,W2は、ガイドレール21上に載置され、上面部が複数の支持ロッド26,27により支持される。また、部材W1,W2は、側面がガイドレール21上に載置される補助支持ロッド28により支持される。そして、このとき、部材W1,W2は、下部接合部W1a,W2aが密着し、溶接ヘッド11におけるノズル部24の上方で溶接方向Aに沿って位置決めされる。
制御装置15は、溶接ヘッド11と駆動装置12を制御可能となっている。そのため、ガイド部材13の上方に取付台14により部材W1,W2が支持された状態で、制御装置15は、溶接ヘッド11と駆動装置12を制御する。すると、駆動装置12は、ガイドレール21に沿って自走しながら、溶接ヘッド11を溶接方向Aに沿って移動し、溶接ヘッド11は、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに向けてレーザビームLを上向き照射する。このとき、制御装置15は、溶接ヘッド11から照射されるレーザビームLの出力と、駆動装置12による溶接ヘッド11の溶接速度を調整する。
本実施形態にて、図4に示すように、部材W1,W2は、下部接合部W1a,W2aにおける下部に開先W1b,W2bが形成されている。そのため、駆動装置12により溶接ヘッド11が溶接方向Aに沿って移動し、溶接ヘッド11から部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに向けてレーザビームLを上向き照射すると、下部接合部W1a,W2aが溶融して凝固することで、開先W1b,W2bから所定深さの溶接ビードBが形成され、部材W1,W2が接合される。
溶接ヘッド11は、図1に示すように、レーザビームLが溶接方向Aの後方側(上流側)に向けて照射されるように、鉛直方向に対して所定角度だけ傾斜角度が設定されており、図示しない調整装置により溶接ヘッド11を移動して傾斜角度を調整可能となっている。また、高エネルギービーム溶接装置10は、光学系保護用ガス供給装置31と、シールドボックス32と、シールドガス供給装置33とを備えている。
光学系保護用ガス供給装置31は、溶接ヘッド11の上側方に配置され、レーザビームLと交差する方向に向けて保護用ガス(例えば、不活性ガスとしての窒素ガス)G1を噴出するものである。シールドボックス32は、所定の位置に支持された部材W1,W2の下方に配置され、溶接ビードB(下部接合部W1a,W2a)に向けて酸化防止用ガス(例えば、不活性ガスとしての窒素ガス)G2を噴出するものである。シールドガス供給装置33は、所定の位置に支持された部材W1,W2の下方で、且つ、溶接方向Aの前方側(下流側)から溶融部M(下部接合部W1a,W2a)に向けてシールドガス(例えば、不活性ガスとしての窒素ガス)G3を噴出するものである。
そのため、溶接中に飛散するスラグや金属粒などの溶接スパッタは、保護用ガスG1により溶接ヘッド11に付着することが抑制され、溶接ヘッド11の光学系が保護される。また、溶接ビードBは、酸化防止用ガスG2により下部接合部W1a,W2aの溶接雰囲気部のガスパージが行われ、溶接ビードBの酸化が抑制される。また、溶接中に発生する溶接ヒュームは、シールドガスG3により部材W1,W2の開先W1b,W2bがガスパージされて排出される。
ところで、板厚が数十ミリ(例えば、30mm以上)である板材を上向き溶接する場合、重力により溶融金属が溶接部に付着せずに垂れ落ちてしまうことが考えられる。そのため、本実施形態では、板厚の厚い板材を上向き溶接しても、重力により溶融金属が溶接部から垂れ落ちずに適正な溶接ビードを形成することができる溶接条件を設定した。
本実施形態の高エネルギービーム溶接方法は、図1に示すように、溶接ヘッド11を部材W1,W2に対して移動させながら、部材W1,W2における下部接合部W1a,W2aの開先W1b,W2bに向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行うとき、溶接係数a、下部接合部W1a,W2aの表面張力γ、溶接ビード幅W、部材W1,W2の密度ρ、重力加速度gとし、下記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定する。
h≦a・γ/(W・ρ・g)
このとき、溶接係数aを0より大きく4.5以下に設定する。
また、本実施形態の高エネルギービーム溶接方法は、溶接ヘッド11を部材W1,W2に対して移動させながら、部材W1,W2における下部接合部W1a,W2a(開先なし)に向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行うとき、溶接係数a、下部接合部W1a,W2aの表面張力γ、溶接ビード幅W、部材W1,W2の密度ρ、重力加速度gとし、下記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定する。
h≦a・γ/(W・ρ・g)
このとき、溶接係数aを0より大きく3.0以下に設定する。
そして、溶接係数aを適正範囲に設定し、数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、レーザビームLによる入熱量として、レーザビームLの出力または溶接速度を調整する。また、溶接係数aを適正範囲に設定し、数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、各種の溶接条件に応じて、レーザビームLの焦点位置、溶接ヘッド11の傾斜角度や溶接姿勢などを調整してもよい。例えば、溶融池の形状を円錐と推定して、体積=底辺の面積(直径φW)×深さ×1/3の金属を溶融するのに必要な下式の熱量以上をレーザビームにて供給する。
レーザビームによる入熱量=各材料の比熱×体積×(融点-室温)+融解熱(潜熱)
図6は、高エネルギービーム溶接状態を表す断面図、図7は、高エネルギービーム溶接状態を表す平面図、図8は、ビード幅に対する溶込み深さを表すグラフである。
図6及び図7に示すように、溶接ヘッド11が部材W1,W2に対して溶接方向Aに沿って移動しながら、下部接合部W1a,W2aの開先W1b,W2bに向けてレーザビームLを上向き照射する。すると、開先W1b,W2bは、レーザビームLにより下部接合部W1a,W2aに沿って母材(部材W1,W2)が溶融して溶融金属Mとなり、この溶融金属Mが凝固して溶接ビードBが形成される。このときの開先W1b,W2bからの溶接ビードBの高さが溶込み深さhであり、開先W1b,W2bの下方から見た溶接ビードBの幅が溶接ビード幅Wである。
図8は、ビード幅Wに対する溶込み深さhを表すグラフであり、溶接係数aを変化させたときの溶接金属Mの垂れ落ち限界を表したものである。一点鎖線で表したものは、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに開先W1b,W2bを形成しないで溶接を実施したときの溶接金属Mの垂れ落ち限界であり、前述した数式にて、溶接係数a=3.0であった。また、実線で表したものは、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに開先W1b,W2bを形成して溶接を実施したときの溶接金属Mの垂れ落ち限界であり、前述した数式にて、溶接係数a=4.5であった。
即ち、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに開先W1b,W2bを形成しないで溶接を実施するとき、下記数式を満足する溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定すればよい。
h≦3γ/(W・ρ・g)
また、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに開先W1b,W2bを形成して溶接を実施するとき、下記数式を満足する溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定すればよい。
h≦4.5γ/(W・ρ・g)
そして、上述した数式を満足する溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、部材W1,W2に対するレーザビームLによる入熱量として、レーザビームLの出力または溶接速度を調整することが好ましい。
このように第1実施形態の高エネルギービーム溶接方法にあっては、溶接ヘッド11と部材W1,W2とを相対的に移動させながら、部材W1,W2における下部接合部W1a,W2aに向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、溶接係数a、下部接合部W1a,W2aの表面張力γ、溶接ビード幅W、部材W1,W2の密度ρ、重力加速度gとして下記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、
h≦a・γ/(W・ρ・g)
溶接係数aを0より大きく3.0以下に設定するものである。
また、溶接ヘッド11と部材W1,W2とを相対的に移動させながら、部材W1,W2における開先W1b,W2bに向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、溶接係数a、開先W1b,W2bの表面張力γ、溶接ビード幅W、部材W1,W2の密度ρ、重力加速度gとして下記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、
h≦a・γ/(W・ρ・g)
溶接係数aを0より大きく4.5以下に設定するものである。
従って、溶接係数aを3.0または4.5以下に設定した条件で溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定し、溶込み深さhと溶接ビード幅Wが設定された数値となるように、溶接ヘッド11と部材W1,W2とを相対的に移動させながら、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aまたは開先W1b,W2bに向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行う。そのため、レーザビームLにより下部接合部W1a,W2aが溶融するものの、この溶融金属Mの垂れ落ちが抑制され、適正な溶接ビードBを形成することができる。その結果、上向き溶接時における下部接合部W1a,W2aからの溶融金属Mの垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
第1実施形態の高エネルギービーム溶接方法では、数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、レーザビームLによる入熱量として、レーザビームLの出力または溶接速度を調整するようにしている。従って、溶込み深さhと溶接ビード幅Wを最適値に設定することができる。
第1実施形態の高エネルギービーム溶接方法では、溶接ヘッド11の上方でレーザビームLと交差する方向に保護用ガスG1を噴出するようにしている。従って、保護用ガスG1により溶接中に飛散する溶接スパッタが溶接ヘッド11に付着することが抑制され、溶接ヘッド11を保護することができる。
第1実施形態の高エネルギービーム溶接方法では、部材W1,W2の下方から溶接ビードBに向けて酸化防止用ガスG2を噴出するようにしている。従って、酸化防止用ガスG2により溶接ビードBの酸化を抑制することができる。
第1実施形態の高エネルギービーム溶接方法では、部材W1,W2の下方で且つ溶接方向Aの下流側から下部接合部W1a,W2aに向けてシールドガスG3を噴出するようにしている。従って、シールドガスG3により下部接合部W1a,W2aをガスパージして溶接ヒュームを排出することができる。
また、第1実施形態の高エネルギービーム溶接装置にあっては、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに向けてレーザビームLを上向き照射する溶接ヘッド11と、溶接ヘッド11を溶接方向Aに沿って移動する駆動装置12と、溶接ヘッド11から照射されるレーザビームLの出力と駆動装置12による溶接ヘッド11の溶接速度Aを制御する制御装置15とを備え、制御装置15は、上述した高エネルギービーム溶接方法を実施するものである。
従って、レーザビームLにより下部接合部W1a,W2aが溶融するものの、この溶融金属Mの垂れ落ちが抑制され、適正な溶接ビードBを形成することができる。その結果、上向き溶接時における下部接合部W1a,W2aからの溶融金属Mの垂れ落ちを抑制して溶接品質を向上することができる。
第1実施形態の高エネルギービーム溶接装置では、溶接ヘッド11は、ガイド部材13の下方に水平方向に沿って移動自在に吊下げ支持され、部材W1,W2をガイド部材13の上方に支持可能である。従って、簡単な構成でガイド部材13により溶接ヘッド11を部材W1,W2の下方で水平方向に沿って移動させることができ、適正な上向き溶接を実施することができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の高エネルギービーム溶接装置を表す正面図、図10は、高エネルギービーム溶接装置を表す平面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図9及び図10に示すように、高エネルギービーム溶接装置40は、溶接ヘッド41と、駆動装置12と、ガイド部材13と、取付台14と、制御装置15とを備えている。
ガイド部材13は、一対のガイドレール21により構成され、駆動装置12は、一対のガイドレール21の下方に水平方向に沿って移動自在に吊下げ支持されている。溶接ヘッド41は、この駆動装置12における溶接方向Aの前方側(下流側)に装着されている。溶接ヘッド41は、水平方向から鉛直方向に向いてほぼ直角に屈曲して配置されており、本体部51と、レーザビームLを伝送する伝送ケーブル52と、レーザビームLを照射するノズル部53と、本体部51内に収容される反射部材54とから構成されている。なお、溶接ヘッド41は、鉛直方向に向いて配置されているものの、第1実施形態と同様に、レーザビームLが溶接方向Aの後方側(上流側)に向けて照射されるように傾斜角度を設定することが望ましい。
この反射部材54は、反射鏡の表面に耐熱金属をコーティングすると共に、裏面に冷却部が設けられて構成される。伝送ケーブル52から本体部51内に水平方向に沿って照射されたレーザビームLは、反射部材54により鉛直方向の上方に向けて反射されてノズル部53に送られる。そのため、溶接ヘッド41における鉛直方向の長さを短くすることができ、部材W1,W2の下方の高さが低い狭隘部であっても、溶接ヘッド41を移動自在に配置することができる。
また、溶接ヘッド41は、駆動装置12に固定された支持部材55により溶接方向Aに対してこの溶接方向Aの後方側(上流側)の水平方向に向けて所定角度θだけ傾斜して配置されている。この所定角度θは、例えば、30度から50度(好ましくは、ほぼ40度)である。溶接ヘッド41を水平方向に傾斜して配置することで、溶接ヘッド41が溶接方向Aの前方側(下流側)の水平方向に突出することがない。高エネルギービーム溶接装置40を遮へい容器内に収容して溶接を実施するとき、溶接方向Aへの突出物をなくすことで、遮へい容器を小型化することができる。
制御装置15は、溶接ヘッド41と駆動装置12を制御可能となっている。そのため、ガイド部材13の上方に取付台14により部材W1,W2が支持された状態で、制御装置15は、溶接ヘッド41と駆動装置12を制御する。すると、駆動装置12は、ガイドレール21に沿って自走しながら、溶接ヘッド41を溶接方向Aに沿って移動し、溶接ヘッド41は、部材W1,W2の下部接合部W1a,W2aに向けてレーザビームLを上向き照射する。すると、部材W1,W2は、下部接合部W1a,W2aが溶融して凝固することで、図6及び図7に示すように、開先W1b,W2bから所定深さの溶接ビードBが形成され、部材W1,W2が接合される。
また、第2実施形態の高エネルギービーム溶接方法は、溶接ヘッド41を部材W1,W2に対して移動させながら、部材W1,W2における下部接合部W1a,W2aまたは開先W1b,W2bに向けてレーザビームLを上向き照射して溶接を行うとき、溶接係数a、下部接合部W1a,W2aの表面張力γ、溶接ビード幅W、部材W1,W2の密度ρ、重力加速度gとし、下記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定する。このとき、溶接係数aを適正値に設定する。
h≦a・γ/(W・ρ・g)
詳細は、第1実施形態と同様であることから、説明は省略する。
このように第2実施形態の高エネルギービーム溶接装置にあっては、溶接ヘッド41に水平方向に照射されたレーザビームLを鉛直方向に沿って反射する反射部材54を設けている。
従って、水平方向に沿って照射されたレーザビームLは、反射部材54により鉛直方向の上方に向けて反射されることとなり、溶接ヘッド41における鉛直方向の長さを短くすることができ、溶接領域の高さが低い狭隘部であっても、溶接ヘッド41を移動自在に配置することができる。
第2実施形態の高エネルギービーム溶接装置では、溶接ヘッド41を溶接方向Aに対して水平方向に所定角度だけ傾斜して配置している。従って、溶接ヘッド41が溶接方向Aの前方側の水平方向へ突出することがなく、小型化することができる。
なお、上述した実施形態では、溶接対象物としての部材W1,W2を固定し、溶接ヘッド11,41を移動するように構成したが、部材W1,W2を移動するように構成してもよい。
10 高エネルギービーム溶接装置
11,41 溶接ヘッド
12 駆動装置
13 ガイド部材
14 取付台
15 制御装置
21 ガイドレール
31 光学系保護用ガス供給装置
32 シールドボックス
33 シールドガス供給装置

Claims (11)

  1. 溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、前記溶接対象物における下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、
    溶接係数a、前記下部接合部の表面張力γ、溶接ビード幅W、前記溶接対象物の密度ρ、重力加速度gとして下記数式
    h≦a・γ/(W・ρ・g)
    により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、
    溶接係数aを0より大きく3.0以下に設定する、
    ことを特徴とする高エネルギービーム溶接方法。
  2. 溶接ヘッドと溶接対象物とを相対的に移動させながら、前記溶接対象物における下部接合部の開先に向けて高エネルギービームを上向き照射して溶接を行う高エネルギービーム溶接方法において、
    溶接係数a、前記開先の表面張力γ、溶接ビード幅W、前記溶接対象物の密度ρ、重力加速度gとして下記数式
    h≦a・γ/(W・ρ・g)
    により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、
    溶接係数aを0より大きく4.5以下に設定する、
    ことを特徴とする高エネルギービーム溶接方法。
  3. 前記数式により溶込み深さhと溶接ビード幅Wを設定するとき、高エネルギービームによる入熱量として、高エネルギービームの出力または溶接速度を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  4. 前記溶接ヘッドの上方で高エネルギービームと交差する方向に保護用ガスを噴出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  5. 前記溶接対象物の下方から前記溶接ビードに向けて酸化防止用ガスを噴出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  6. 前記溶接対象物の下方で且つ溶接方向の下流側から前記下部接合部に向けてシールドガスを噴出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の高エネルギービーム溶接方法。
  7. 溶接対象物の下部接合部に向けて高エネルギービームを上向き照射する溶接ヘッドと、
    前記溶接ヘッドを溶接方向に沿って移動する駆動装置と、
    前記溶接ヘッドから照射される高エネルギービームの出力と前記駆動装置による前記溶接ヘッドの溶接速度を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、請求項1から請求項6のいずれか一項の高エネルギービーム溶接方法を実施する、
    ことを特徴とする高エネルギービーム溶接装置。
  8. 前記溶接ヘッドは、ガイド部材の下方に水平方向に沿って移動自在に吊下げ支持され、前記溶接対象物を前記ガイド部材の上方に支持可能であることを特徴とする請求項7に記載の高エネルギービーム溶接装置。
  9. 前記溶接ヘッドは、水平方向に照射された高エネルギービームを鉛直方向に沿って反射する反射部材を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の高エネルギービーム溶接装置。
  10. 前記溶接ヘッドは、溶接方向に対して水平方向に所定角度だけ傾斜して配置されることを特徴とする請求項9に記載の高エネルギービーム溶接装置。
  11. 前記溶接ヘッドによる高エネルギービームの上向き照射方向は、鉛直方向に対して所定角度だけ傾斜する方向に調整可能であることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の高エネルギービーム溶接装置。
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