次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。以下では、遊技に用いる遊技媒体が遊技球とされ、当該遊技球を遊技盤面に向けて発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機(弾球遊技機)に、本発明を適用した例を説明する。尚、以下の実施例に係るパチンコ遊技機は、始動口への遊技球の入球に基づいて特別図柄の変動表示を行い、当該特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)が付与され得る大当り遊技(特別遊技)が実行可能となる所謂「1種タイプ」のパチンコ遊技機である。
また、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の手前側(遊技時に遊技者が位置する側)のことであり、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の裏面側(背面側)のことである。また、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、図1や図3における上側、下側、左側、右側を指す。
図1〜図3に示すように、本実施例のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
また、前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。さらに、前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう)や、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の枠ランプ66、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することが可能なスピーカ67等も設けられている。枠ランプ66はLEDによって構成されている。
演出ボタン63は、遊技者による入力が可能な入力手段として機能するもので、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。例えば、遊技演出の実行中に第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bを操作すると、当該操作に基づいて所定の操作対応演出が行われる。尚、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであれば足り、例えば、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。また、演出ボタンが、上方や手前側に突出したり振動したりする等の演出動作を行うもの(可動式の演出操作手段)であってもよい。
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されており、レール部材4の先端には、球戻り防止片6が設けられている。球戻り防止片6は、一旦遊技領域へ誘導された遊技球を発射装置側へ戻るのを防止するためのものである。また、遊技盤2には、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の盤面ランプ5(図5を参照)も設けられている。盤面ランプ5はLEDによって構成されている。
遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置からなる画像表示装置7(演出表示装置)が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)が設けられており、当該演出図柄8L,8C,8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様がある。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。
本実施例の演出図柄8L,8C,8R(識別情報)は、それぞれ「1」〜「9」までの数字図柄(識別情報種、図柄種)からなるもので、これらの数字図柄が順に表示されるものとなっている。具体的に、当該演出図柄8の変動表示は、「1」→「2」・・・「8」→「9」の順(昇順)で演出図柄をスクロール表示させることによって行われるものとなっており、「9」まで到達したら「1」に戻って、スクロール表示を変動終了(停止表示)まで繰り返すものとなっている。また、本実施例では、「1」〜「9」の図柄のそれぞれに色の情報を含ませており、各図柄を色によって分類できるものとしている。具体的には、奇数図柄である「3」と「7」を赤色の図柄(以下「赤図柄」ともいう。)としており、これ以外の奇数図柄である「1」、「5」、「9」を緑色の図柄(以下「緑図柄」ともいう。)としている。また、偶数図柄である「2」、「4」、「6」、「8」を青色の図柄(以下「青図柄」ともいう。)としている。
演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄の組み合わせ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果を、遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、3つの演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する順序(停止順序)を、原則「左→右→中」としている。すなわち、停止順が1番目の停止図柄を左演出図柄8Lとし、停止順が2番目の停止図柄を右演出図柄8Rとし、停止順が3番目(最後)の停止図柄を中演出図柄8Cとしている。尚、停止順が1番目の停止図柄のことを「第1停止図柄」ともいい、停止順が2番目の停止図柄のことを「第2停止図柄」ともいい、停止順が3番目の停止図柄のことを「第3停止図柄」や「最終停止図柄」ともいう。
また、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ともいう。さらに、普通図柄のことを「普図」や「普通識別情報」ともいい、特別図柄のことを「特図」ともいい、第1特別図柄のことを「第1識別情報」や「特図1」あるいは「第1特図」ともいい、第2特別図柄のことを「第2識別情報」や「特図2」あるいは「第2特図」ともいう。また、演出図柄8を表示する画像表示装置7や第1特別図柄を表示する後述の第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器41bのことを「識別情報表示手段」や「識別情報表示部」ともいい、第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)のことを「第1識別情報表示部」ともいい、第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)のことを「第2識別情報表示部」ともいう。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「222」や「777」等の3桁同一の図柄(ゾロ目)で演出図柄8を停止表示する。また、特別図柄当否判定の結果が外れとなった場合には「637」や「373」等の3つの図柄のうち少なくとも1つが異なる図柄(バラケ目)で演出図柄8を停止表示する。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、大当り遊技に伴って実行される大当り遊技演出(特別遊技演出)や、客待ち用のデモ演出などが表示される。演出図柄遊技演出や大当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。尚、演出図柄遊技演出のことを「変動演出」ともいう。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とが設けられている(図3を参照)。第1演出保留や第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数や第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。さらに、本実施例の画像表示装置7の表示画面7aには、現在変動している特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)に対応する演出保留、すなわち、消化された特図保留に対応する演出保留(第1演出保留9aまたは第2演出保留9b)を表示する変動保留表示領域9eが設けられている(図3を参照)。本実施例では、第1演出保留表示領域9cと第2演出保留表示領域9dとの間に変動保留表示領域9eが設けられている。このことから、本実施例では、図3に示すように、第1演出保留表示領域9cに表示される第1演出保留は、右端から左端に向かって順に特図1保留球数「1」、「2」、「3」、「4」に対応するものとなっており、第2演出保留表示領域9dに表示される第2演出保留は、左端から右端に向かって順に特図2保留球数「1」、「2」、「3」、「4」に対応するものとなっている。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、表示画面7aを取り囲むセンター装飾体10が設けられている。センター装飾体10は、プラスチック製(樹脂製)の成型物によって構成されるもので、中央が開口した枠状の部品(盤部品)として、遊技盤2の表面(前面)に取り付けられるものである。当該センター装飾体10の中央開口を介して画像表示装置7の表示画面7aが視認可能となる。
センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられており、センター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3(左遊技領域3A)を流下する遊技球をワープ入口から受け入れてワープ出口から排出することで、当該遊技球をステージ部11へ誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。また、センター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を内部に有し、遊技状態に応じて点灯・点滅等が可能な装飾部材13が配されている。この装飾部材13には、その前面側に本パチンコ遊技機1のタイトル(機種名)や登場するキャラクタ等をモチーフとした文字、図形等が表されている。
また、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。図3に示すように、可動装飾部材14は、普段はその殆どが装飾部材13の後方に隠れており、可動装飾部材14の一部分のみが外部(正面)から視認可能となっている。可動装飾部材14は、その動作を含む所定の演出パターンに基づく遊技演出が実行されると、当該遊技演出中の所定時期に、表示画面7aの手前側の画面中央部(移動位置)まで移動(落下)して、その状態を所定時間保った後、センター装飾体10の上部(初期位置)に戻る態様で動作するように構成される。具体的には、例えば、大当りの可能性が比較的高い遊技演出が実行される場合に、その遊技演出中の所定時期に、表示画面7aの手前側に出現することがあるように構成することができる。このような可動装飾部材14の動作により、遊技者は大当りへの期待感を高めることとなる。尚、可動装飾部材14を移動させる機構等の構造的な構成は公知の構成を採用することが可能であり、本発明の要旨とは直接的に関係しないので、ここでの詳細な説明は省略する。また、可動装飾部材14の配置箇所や個数、形状、移動態様等については本実施例に限定されるものではなく、種々の構成を採ることが可能である。
ここで、遊技状況に応じた種々の演出画像を表示することで表示演出を行うことが可能な画像表示装置7のことを「表示演出手段」ともいい、遊技演出中に作動することで可動演出を行うことが可能な可動装飾部材14のことを「可動演出手段」ともいう。尚、可動装飾部材14以外にも、例えば、演出ボタン63が遊技演出に伴って上下動や振動等する場合、演出ボタン63も「可動演出手段」といえる。また、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することで音演出を行うことが可能なスピーカ67のことを「音演出手段」ともいい、遊技の状況に応じて様々な光を発することで光演出を行うことが可能な盤面ランプ5、枠ランプ66及び装飾部材13のことを「光演出手段」ともいう。尚、これら盤面ランプ5等以外にも、例えば、演出ボタン63や発射ハンドル60が、装飾部材13と同様にLED等の電飾部材を内蔵しており、電飾部材の作用により遊技の状況に応じて点灯・点滅等する場合、これら演出ボタン63や発射ハンドル60も「光演出手段」といえる。さらに、これら「表示演出手段」、「可動演出手段」、「音演出手段」及び「光演出手段」を総じて「演出手段」ともいう。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた条件(変動開始条件)が成立すると、第1特別図柄に係る当否判定(「第1特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に、その当否判定の結果に基づいて第1特別図柄(第1識別情報)が変動表示される。そして、変動表示の開始から所定時間(変動時間)が経過すると、第1特別図柄は停止表示され、第1特別図柄当否判定の結果に応じた態様で表示される。
遊技領域3におけるセンター装飾体10より右側の領域(右遊技領域3B)の上方には、遊技球が通過可能(入球可能)なゲート28(「普図始動口」や「通過口」ともいう。)が設けられている。ゲート28の上流側から右遊技領域3B側へ流下してくる遊技球は、ゲート28を通過して、右遊技領域3Bを流下する。遊技球がゲート28を通過すると、当該遊技球がゲートセンサ28aにより検知され、当該検知に基づいて普通図柄当否判定用乱数等が取得される。そして、予め定められた条件(変動開始条件)が成立すると、取得された普通図柄当否判定用乱数等に基づく普通図柄当否判定が実行されると共に、その当否判定の結果に基づいて普通図柄が変動表示され、その変動表示の開始から所定時間(変動時間)が経過すると、普通図柄は停止表示されて、普通図柄当否判定の結果に応じた態様で表示される。このとき、当り普通図柄が停止表示されると、後述の可動部材23が動作(開動作)して第2始動口21が開状態となる。
遊技領域3における第1始動口20より右側の領域(右遊技領域3B)には、大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう。)を備えた大入賞装置31が設けられている。大入賞装置31は開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により大入賞口30を開閉するものである。この大入賞装置31は特別電動役物として機能する。
開閉部材32は略長方形状の板状(長板状)とされており、普段(大当り遊技が実行されていないとき)は遊技盤2の手前側へ突出して、その上面が遊技球通路を形成するように構成されている。具体的に、開閉部材32が遊技盤2の手前側へ突出しているときは、当該開閉部材32が大入賞口30の球入口(球受入部)を閉鎖し、大入賞口30は閉状態(入球不能状態)となる。このとき、大入賞口30の球入口(球受入部)に向かって流下してきた遊技球は、大入賞口30に入球することなく開閉部材32の上面を通過(転動)する。図3に示すように、開閉部材32の上面は上流側から下流側へ(紙面左から右へ)傾斜状に形成されているため、その傾斜に沿って(右斜め下方に向かって)遊技球が流下する。
また、開閉部材32は、大入賞口ソレノイド33(図5を参照)により駆動されるものであり、その駆動により遊技盤3の裏面方向(奥側)へ引っ込むことで、大入賞口30の球入口(球受入部)が開放される。このとき、遊技球通路を形成していた開閉部材32の上面が遊技領域3(右遊技領域3B)上に存在しなくなるため、開閉部材32が引っ込んだ状態(開状態)にあるときに大入賞口30の球入口(球受入部)に位置する遊技球は、大入賞口30に入球可能となる。このように、大入賞口30の球入口を開閉する開閉部材32は出没式の開閉部材とされており、開状態のとき(開放時)は流下してきた遊技球を円滑に大入賞口30に入球させると共に、閉状態のとき(閉鎖時)は流下してきた遊技球を傾斜状の上面通路によって任意の方向(本例では後述する第2始動口21が設けられた方向)に誘導することが可能となる。尚、大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、大入賞装置31は、開閉部材32の開閉動作により、大入賞口30を遊技球が入球不能な状態(閉状態)と入球可能な状態(開状態)とに変化させるように構成されている。
遊技領域3における第1始動口20より右側の領域(右遊技領域3B)であって、大入賞口30より下方(下流)の領域には、遊技球の入球し易さが変化する可変式の第2始動口21(「可変始動口」や「第2可変入球口」ともいう。)を備える可変入賞装置22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた条件(変動開始条件)が成立すると、第2特別図柄の当否判定(「第2特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に、その当否判定の結果に基づいて第2特別図柄が変動表示される。そして、変動表示の開始から所定時間(変動時間)が経過すると、第2特別図柄は停止表示され、第2特別図柄当否判定の結果に応じた態様で表示される。
可変入賞装置22は、可動部材23(「開閉部材」ともいう。)を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。この開閉動作によって、第2始動口21(第2可変入球口)は、第1の態様(閉状態)と当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)とに変化可能とされる。この可変入賞装置22は普通電動役物として機能する。本実施例の第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となり、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となるように構成されている。尚、第2始動口21(可変入賞装置22)は、本発明の「可変入球口」の一態様に相当する。
可動部材23は、開閉部材32と同様に略長方形状の板状(長板状)とされており、普段(普図当り遊技が実行されていないとき)は遊技盤2の手前側へ突出して、その上面が遊技球通路を形成するように構成されている。具体的に、可動部材23が遊技盤2の手前側へ突出しているときは、当該可動部材23が第2始動口21の球入口(球受入部)を閉鎖し、第2始動口21は閉状態(入球不能状態)となる。このとき、第2始動口21の球入口(球受入部)に向かって流下してきた遊技球は、第2始動口21に入球することなく可動部材23の上面を通過(転動)する。図3に示すように、可動部材23の上面は上流側から下流側へ(紙面右から左へ)傾斜状に形成されているため、その傾斜に沿って(左斜め下方に向かって)遊技球が流下する。
また、可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5を参照)により駆動されるものであり、その駆動により遊技盤3の裏面方向(奥側)へ引っ込むことで、第2始動口21の球入口(球受入部)が開放される。このとき、遊技球通路を形成していた可動部材23の上面が遊技領域3(右遊技領域3B)上に存在しなくなるため、可動部材23が引っ込んだ状態(開状態)にあるときに第2始動口21の球入口(球受入部)に位置する遊技球は、第2始動口21に入球可能となる。このように、第2始動口21の球入口を開閉する可動部材23は、開閉部材32と同様の出没式の可動部材(開閉部材)とされており、開状態のとき(開放時)は流下してきた遊技球を円滑に第2始動口21に入球させると共に、閉状態のとき(閉鎖時)は流下してきた遊技球を傾斜状の上面通路によって任意の方向(後述する第3始動口25)に誘導することが可能となる。
遊技領域3における第1始動口20より右側の領域(右遊技領域3B)であって、第2始動口21より下方(下流)の領域には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第3始動口25を備える固定入賞装置26が設けられている。第3始動口25への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた条件(変動開始条件)が成立すると、第1特別図柄の当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に、その当否判定の結果に基づいて第1特別図柄が変動表示される。そして、変動表示の開始から所定時間(変動時間)が経過すると、第1特別図柄は停止表示され、第1特別図柄当否判定の結果に応じた態様で表示される。
図3に示すように、第2始動口21の下流では遊技球通路が遊技釘16を挟んで上下に分岐しており、第3始動口25が設けられていない上段側遊技球通路と、第3始動口25が設けられている下段側遊技球通路と、が形成されている。上段側遊技球通路に誘導された遊技球は、そのまま流下してアウト口34に流入する。一方、下段側遊技球通路に誘導された遊技球は、第3始動口25の近傍に設けられた遊技釘16に接触する等して第3始動口25に入球するか、第3始動口25に入球することなくそのまま流下して、アウト口34に流入する。第3始動口25は常時入球可能な固定式の入賞装置であるので、後述の左打ちにより遊技を行うなかで大当りとなって(所謂「初当り」)、当該大当りに係る大当り遊技を後述の右打ちにより行い、当該大当り遊技中に遊技球が第3始動口25に入球することで、第1特別図柄の保留が記憶される。また、大当り遊技後の遊技を右打ちにより行い、遊技球が第3始動口25に入球することで、第1特別図柄の変動表示が実行されたり第1特別図柄の保留が記憶されたりする。
尚、第1特別図柄当否判定の結果や第2特別図柄当否判定の結果が「大当り」であることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「大当り変動」や「特定変動」ともいい、第1特別図柄当否判定の結果や第2特別図柄当否判定の結果が「外れ」であることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「外れ変動」や「非特定変動」ともいう。また、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定のことを総じて「特別図柄当否判定」ともういう。
さらに、遊技領域3における第1始動口20より左側の領域(左遊技領域3A)には、複数(本実施例では3個)の一般入賞口27が設けられている。第1始動口20、第2始動口21、第3始動口25、大入賞口30及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(賞球)が払い出される。具体的には、第1始動口20の賞球数は「5」、第2始動口21及び第3始動口25の賞球数は「1」、大入賞口30の賞球数は「15」、一般入賞口27の賞球数は「10」としている。尚、これらの賞球数は一例であり、遊技機のスペック等によって賞球数を任意に設定することができる。但し、賞球数の多少の関係は本実施例と同様とするのが望ましく、特に、第2始動口21及び第3始動口25の賞球数は、第1始動口20の賞球数よりも少ないものとされる。
このように複数の入球口や通過口が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を「左打ち」といい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を「右打ち」という。
複数の入球口のうち、第1始動口20及び左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けてあり、第2始動口21、第3始動口25、大入賞口30、右一般入賞口27及びゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けてある。このため、本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において大当りとなり遊技状態が特別遊技状態等に変化した際には、原則、右打ちにてゲート28、大入賞口30、第2始動口21、第3始動口25への入球を狙うこととなる。
ここで、第1始動口20及び第3始動口25は、ともに常時入球可能な固定入賞装置として構成されているが、第3始動口25への遊技球の入球し易さ(入球率、入球可能性)は、第1始動口20と同程度か、第1始動口20よりも入球し易いものとされる。これは、右打ちで遊技を進める遊技状態において、第3始動口25への入球がある程度発生するようにするためである。尚、第3始動口25を、第1始動口20よりも入球し易い構成(ゲージ構成)とした場合、本来、左打ちにより遊技を進める遊技状態(例えば非時短状態)であるにもかかわらず右打ちが行われる懸念があるが、本実施例では、第1始動口20の賞球数を「5」とし、第3始動口25の賞球数を「1」としているため、遊技者にとっては、左打ちを行うべき遊技状態において右打ちを行うメリットは無いといえる。また本実施例では、左打ちを行うべき遊技状態において右打ちを行った場合、右打ちにより発射された遊技球が第3始動口25に入球する(後述の第3始動口センサ25aにより検知される)ことに基づいて、スピーカ67から警告音が発せられるとともに、表示画面7aに所定の警告メッセージ(例えば「左打ちに戻してください!」の文字等)が表示されるように構成されている。このような警告が発せられた環境では普段通りの遊技ができなくなり、このことからも、左打ちを行うべき遊技状態において右打ちを行うメリットは無いといえる。
また、図3及び図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示及び停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示及び停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示及び停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、が含まれている。また、主表示器40には、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、が含まれている。さらに、主表示器40には、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48と、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が大当りになった場合に実行される大当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向、すなわち「右打ちを行うべき遊技状態」であるのか「左打ちを行うべき遊技状態」であるのかを示す発射方向表示器47と、が含まれている。主表示器40に含まれるこれらの各種表示器は、後述の主制御部によって表示制御される。
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて行われ、また、第3始動口25への遊技球の入球に基づいても行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて行われる。つまり、第1始動口20及び第3始動口25は、第1特別図柄(第1識別情報)の変動表示の実行契機となる始動口(第1始動口)であり、第2始動口21は、第2特別図柄(第2識別情報)の変動表示の実行契機となる始動口(第2始動口)である。尚、以下の説明では、第1特別図柄及び第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部41ということがある。また、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示部43ということがある。さらに、第1始動口20、第2始動口21及び第3始動口25を総称して単に始動口ということがある。
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって始動口への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当り図柄(特定特別図柄、特定識別情報)である場合、すなわち、特別図柄の停止表示の態様(特別図柄の変動表示の表示結果)が大当りを示す特定態様(特定表示結果)である場合には、停止表示された大当り図柄の種類に応じた開放パターンにて大入賞口30を開放させる大当り遊技(特別遊技)が行われる。大当り遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
特別図柄の停止表示は、所定の停止表示時間(確定表示時間)が経過するまで行われる。そして、停止表示された特別図柄が外れ図柄(外れ態様、非特定態様)であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されている場合には、停止表示時間が経過すると、記憶順の最も古い(最先の)特図保留が消化され、これにより次の特別図柄の変動表示が開始される。また、停止表示された特別図柄が外れ図柄であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されていない場合には、停止表示時間が経過した後も、特別図柄の停止表示状態が維持される。一方、停止表示された特別図柄が大当り図柄である場合には、停止表示時間が経過すると、後述する大当り遊技のオープニング期間に移行し、当該オープニング期間を経て大当り遊技の1ラウンド目が開始される。尚、特別図柄の停止表示時間は「0.5秒〜1.0秒」とされるのが一般的で、本実施例では「0.6秒」としている。
図4に示すとおり、第1特別図柄表示器41aは、「i〜p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第1特別図柄当否判定の結果として「6R第1大当り」、「6R第2大当り」及び「6R第3大当り」の3種類の大当りが設けられており(図6、図8を参照)、第1特別図柄表示器41aのLEDは、それら3種類の大当りの各々に応じた表示態様(特定態様、特定表示結果)を採ることが可能となっている。具体的には、第1特別図柄当否判定の結果が6R第1大当りとなった場合には「ijn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させ(6R第1大当り図柄)、6R第2大当りとなった場合には「ino」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させ(6R第2大当り図柄)、6R第3大当りとなった場合には「inp」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させる(6R第3大当り図柄)。また、外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯させて残りを消灯させる(外れ図柄)。
また、第2特別図柄表示器41bは、「a〜h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果として「16R第4大当り」及び「16R第5大当り」の2種類の大当りが設けられており(図6、図8を参照)、第2特別図柄表示器41bのLEDは、それら2種類の大当りの各々に応じた表示態様(特定態様、特定表示結果)を採ることが可能となっている。具体的には、第2特別図柄当否判定の結果が16R第4大当りとなった場合には「abd」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させ(16R第4大当り図柄)、16R第5大当りとなった場合には「abg」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させる(16R第5大当り図柄)。また、外れとなった場合には、「eh」の2個のLEDを点灯させて残りを消灯させる(外れ図柄)。
尚、特別図柄の停止表示態様(停止図柄)や大当りの種類(ラウンド数の種類、大当りの数など)は、これらに限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示が行われるが、その変動表示の態様は、例えば、予め定められた順序で光が所定方向へ繰り返し流れるように各LEDを点灯させる態様とすることができる。
ここで、特別図柄や演出図柄の停止表示態様(変動表示の表示結果)のうち、特別図柄当否判定の結果が大当りの場合に対応する停止表示態様のことを「大当り態様」、「特定態様」、「特定表示態様」又は「特定表示結果」ともいい、特別図柄当否判定の結果が外れの場合に対応する停止表示態様のことを「外れ態様」、「非特定態様」、「非特定表示態様」又は「非特定表示結果」ともいう。尚、特別図柄当否判定の結果として「大当り」及び「外れ」の他に「小当り」を設けることも可能である。この場合、小当りに対応する停止表示態様のことを「小当り態様」ともいう。
本パチンコ遊技機1では、始動口への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう。)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球である場合と第3始動口25への入球である場合には、当該入球に基づき取得された取得情報が第1特図保留(「特図1保留」ともいう。)として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。また、第2始動口21への入球である場合には、当該入球に基づき取得された取得情報が第2特図保留(「特図2保留」ともいう。)として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留(取得情報)の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値はそれぞれ「4」となっている。これら第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」及び「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったとき(変動開始条件が成立したとき)に消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行(開始)することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20、第2始動口21又は第3始動口25への遊技球の入球(「始動入球」ともいう。)に基づく特別図柄の変動表示がその入球を契機として直ちに実行できない場合、すなわち、始動入球の発生タイミングが特別図柄の変動表示中や特別遊技中である場合であっても、所定数(本実施例では4)を上限として、その始動入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
また、第2特図保留表示器43bは「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数「1」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる普図当り遊技(「補助遊技」ともいう。)が行われる。尚、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には、図4に示す通り、普通図柄表示器42は「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。尚、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう。)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過を契機として直ちに実行できない場合、すなわちゲート28への通過タイミングが普通図柄の変動表示中や補助遊技中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には、普図保留表示器44は「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」や「遊技制御部」ともいう。)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う副制御基板90(「副制御部」や「サブ制御部」や「演出制御部」ともいう。)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう。)、画像表示装置7や演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(「画像制御部」ともいう。)等を備えている。
また、図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上には副制御基板90を収納した副制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(「遊技制御用マイコン」ともいう。)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部とが設けられている。また、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)のRAM(主制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的には、遊技球を検知可能なセンサ類として、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第3始動口センサ25a、ゲートセンサ28a、大入賞口センサ30a及び一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサのことを「球検知センサ」や「遊技球検知手段」ともいう。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。第3始動口センサ25aは、第3始動口25内に設けられて第3始動口25に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。大入賞口センサ30aは、大入賞口30内に設けられて大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。尚、第1始動口20及び第3始動口25は、ともに第1特別図柄(第1識別情報)の変動表示(第1特別図柄当否判定)の実行契機となる入球口であることから、これら始動口に入球した遊技球の検知を1個の球検知センサによって行うように構成することも可能である。例えば、第1始動口20に入球した遊技球及び第3始動口25に入球した遊技球の双方が通過(流下)することとなる遊技盤裏側の遊技球通路内(球排出路内)に一の球検知センサを設け、当該検知センサによる遊技球に基づいて、第1特別図柄の変動表示(第1特別図柄当否判定)を実行するように構成することができる。
また、ソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24及び大入賞口ソレノイド33が接続されている。これら各種ソレノイドを「駆動手段」ともいう。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのものである。大入賞口ソレノイド33は、大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。
さらに、主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47及び当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81(主制御部)によりなされる。
また、主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう。)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、発射ハンドル60(図1を参照)が含まれる。
払出制御基板110は、所定のプログラムに従って遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン(「払出制御用マイコン」ともいう。)116が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号やパチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。遊技者による発射装置112の発射ハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。尚、本実施例では、発射モータ113の駆動により発射装置112が連続して発射可能な遊技球の数は1分間で約100個となっている。
また、主制御基板80は、副制御基板90に対し各種コマンド(制御信号)を送信する。主制御基板80と副制御基板90との接続は、主制御基板80から副制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80と副制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、副制御基板90には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(「演出制御用マイコン」ともいう。)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。尚、入出力回路95は演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよく、ROMは外付けであってもよい。また、副制御基板90(演出制御用マイコン91)のRAM(演出制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
副制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。尚、副制御基板90(副制御部)や画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を、対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる演出実行手段(演出制御手段)として機能するものである。また、例えば、チャンス目予告や保留変化予告、ステップアップ予告等の各種予告演出を実行させる予告演出実行手段としても機能する。
副制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン(「画像制御用マイコン」ともいう。)101のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字及び記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示に合わせて変動表示及び停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数及び第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。また、演出第2特図保留表示器103bは第2演出保留表示領域9dに表示される保留個数及び第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)の略全体を被覆したりすることで、演出図柄8や第1演出保留9a、第2演出保留9b等、表示画面7aに表示される各種画像の一部または全部が視認できない状態になることがあるため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えて、VDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音データは、副制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御用マイコン101に音声制御を実行させてもよい。この場合、画像制御基板100のROMに音データを格納してもよい。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
さらに、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10の後方に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の態様で作動させるための駆動パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、副制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した駆動パターンデータに基づいて可動装飾部材14の作動(可動演出の実行)を制御する。可動装飾部材14を作動させる駆動源には、ステッピングモータやソレノイド等の電気的駆動源が用いられる。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや駆動パターンに関するデータを格納してもよい。
また、副制御基板90には、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63b(図1を参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチからの信号が副制御基板90に入力される。尚、第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御(判定手段)について説明する。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として「大当り」と「外れ」がある。「大当り」のときには特別図柄表示部41に特別図柄が大当り態様で停止表示され、「外れ」のときには特別図柄表示部41に特別図柄が外れ態様で停止表示される。特別図柄当否判定で大当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類(大当り種別)に応じた開放パターンにて大入賞口30を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」という。
本実施例の大当りには複数の種別がある。具体的には、図6に示すように、大当りとして「6R(ラウンド)第1大当り」、「6R第2大当り」、「6R第3大当り」、「16R第4大当り」及び「16R第5大当り」の計5種類が設けられている。これらの大当りのうち、「6R第1大当り」、「6R第2大当り」及び「6R第3大当り」は第1特別図柄に係る大当りであり、「16R第4大当り」及び「16R第5大当り」は第2特別図柄に係る大当りである。特別図柄表示部41には、これらの大当り種別に応じた大当り図柄が停止表示される。
具体的には、「6R第1大当り」、「6R第2大当り」及び「6R第3大当り」は、何れも、ラウンド数が「6」、1ラウンドでの大入賞口30の開放回数が「1回」、1ラウンドでの大入賞口30の開放時間が「25秒」の大当りである。また、「16R第4大当り」及び「16R第5大当り」は、何れも、ラウンド数が「16」、1ラウンドでの大入賞口30の開放回数が「1回」、1ラウンドでの大入賞口30の開放時間が「25秒」の大当りである。
尚、ラウンドのことを、単に「R」ともいい、「ラウンド遊技」ともいう。また、6R第1大当り、6R第2大当り及び6R第3大当りのことを総じて「6R大当り」ともいい、16R第4大当り及び16R第5大当りのことを総じて「16R大当り」ともいう。さらに、6R大当りに係る大当り遊技(6R大当り遊技)のことを「第1特別遊技」ともいい、16R大当りに係る大当り遊技(16R大当り遊技)のことを「第2特別遊技」ともいう。
本実施例のパチンコ遊技機1では、特別図柄当否判定(大当り抽選)の結果、発生(当選)した大当りの種別に応じて、その大当り遊技終了後の遊技状態が設定(決定)される。具体的に、特別図柄当否判定の結果が大当りで、その大当りの種別が「6R第3大当り」及び「16R第5大当り」の何れかとなった場合には、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の「第1時短状態」とされる。また、特別図柄当否判定の結果が大当りで、その大当りの種別が「6R第2大当り」となった場合には、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の「確変状態A」(「第1確変状態」ともいう。)とされる。さらに、特別図柄当否判定の結果が大当りで、その大当りの種別が「6R第1大当り」及び「16R第4大当り」の何れかとなった場合には、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の「確変状態B」(「第2確変状態」ともいう。)とされる。このことから、6R第1大当り、6R第2大当り及び16R第4大当りは「確変大当り」として捉えることができ、6R第3大当り及び16R第5大当りは「非確変大当り」(「通常大当り」又は「時短大当り」ともいう。)として捉えることができる。尚、大当り遊技後の遊技状態のうち、遊技者にとっての有利度合は、時短状態、確変状態A、確変状態Bの順で高くなる。
第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りとなった場合における各大当りへの振分確率は、6R第1大当りが7%、6R第2大当りが53%、6R第3大当りが40%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りとなった場合における各大当りへの振分確率は、16R第4大当りが60%、16R第5大当りが40%となっている。すなわち、第2始動口21への入球に基づく当否判定(特図2当否判定)により大当りとなった場合には、16R大当りの出現率(振分確率)が100%となっており、第1始動口20又は第3始動口25への入球に基づく当否判定(特図1当否判定)により大当りとなった場合に比べ、16R大当りの出現率(振分確率)が高くなっている。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20や第3始動口25に遊技球が入球して行われる当否判定(特図1当否判定)において大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる当否判定(特図2当否判定)において大当りとなる方が、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されている。このため、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行う。特に第2始動口21への入球頻度が高まる遊技状態においては顕著である。
ここで、本パチンコ遊技機1では、大当りか外れかの判定は「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数」(「図柄決定用乱数」や「図柄決定用情報」ともいう。)に基づいて行われる。
図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0〜629」までの範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0〜99」までの範囲で値をとる。また、始動入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数及び大当り種別決定用乱数の他に「変動パターン乱数」(「変動パターン情報」ともいう。)がある。変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数であり、「0〜198」までの範囲で値をとる。
また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技(普図当り遊技)を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数であり、「0〜240」までの範囲で値をとる。
次に、本実施例に係るパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。本パチンコ遊技機1は、特別図柄に係る確率変動機能及び変動時間短縮機能と、普通図柄に係る確率変動機能及び変動時間短縮機能と、可変入賞装置22(普通電動役物)に係る開放時間延長機能との各機能が作動状態または非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。
まず、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態と作動していない状態とがあり、前者を「高確率状態」といい、後者を「低確率状態」という。低確率状態では低確率状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が多い高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(図8(A)を参照)。このため、高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率(大当り確率)が低確率状態よりも高くなる。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動しているときは、作動していないときに比べて大当り確率が高くなる。本実施例に係る特別図柄の大当り確率は、低確率状態では「2/630」(=「1/315」)となっており、高確率状態では「10/630」(=「1/63」)となっている。尚、確率変動機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、特別図柄当否判定の当選確率(大当り確率)を低確率(第1確率)または高確率(第2確率)に設定可能な確率設定手段として機能するものである。
また、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態と作動していない状態とがあり、前者を「時短状態」や「短縮変動状態」といい、後者を「非時短状態」や「非短縮変動状態」という。時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図9を参照)。このため、時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなって、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなり、これによりスムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことが可能となる。尚、変動時間短縮機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、特別図柄の変動時間が通常よりも短くなる短縮変動状態を設定可能な短縮変動状態設定手段として機能するものである。
本実施例では、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての時短状態として、確率変動機能とともに変動時間短縮機能が作動する「高確率状態かつ時短状態」と、確率変動機能が作動せずに変動時間短縮機能が作動する「低確率状態かつ時短状態」とがある。したがって、前述の確変状態は時短状態でもある。尚、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能及び変動時間短縮機能並びに後述する可変入賞装置22(普通電動役物)の開放時間延長機能が何れも作動しない(すべて非作動となる)遊技状態のことを「通常状態」や「通常遊技状態」ともいう。
さらに、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しないものとなっている。このため、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率(普図当り確率)が非時短状態よりも高くなる。具体的に、時短状態では、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(C)を参照)。本実施例に係る普通図柄の当り確率(普図当り確率)は、非時短状態では「2/241」となっており、時短状態では「240/241」となっている。尚、普通図柄についての確率変動機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、普図当り確率を低確率または高確率に設定可能な普図当り確率設定手段として機能するものである。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間を非時短状態では30秒としており、時短状態では1秒としている(図8(D)を参照)。このため、時短状態では、特別図柄の場合と同様に、普図保留の消化のペースが速くなり、ゲート28への有効な通過(普図保留として記憶され得る通過)が発生しやすくなることから、普通図柄の変動表示がスムーズに行われて速やかに変動表示結果が導出される。尚、普通図柄についての変動時間短縮機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、普通図柄の変動時間が通常よりも短くなる短縮変動状態を設定可能な普図短縮変動状態設定手段として機能するものである。
さらに、本実施例の時短状態は、可変入賞装置22(普通電動役物)の開放時間延長機能が作動しない場合と、当該開放時間延長機能が作動する場合とがある。つまり、本実施例のパチンコ遊技機1には、開放時間延長機能が作動しない時短状態(「第1時短状態」ともいう。)と、開放時間延長機能が作動する時短状態(「第2時短状態」ともいう。)との、2種類の時短状態が設けられている。すなわち、可変入賞装置22の開放時間延長機能は、非時短状態では作動することがなく、時短状態にて作動する場合と作動しない場合とがある。開放時間延長機能が作動している場合には、作動していない場合に比べて、第2始動口21への遊技球の入球可能性が高くなる。開放時間延長機能が作動している遊技状態のことを「開放延長状態」ともいう。
普図当り遊技(補助遊技)にて第2始動口21が開放する場合の開放パターンは、開放時間延長機能が作動してない場合と作動している場合とで異なるものとなっている。すなわち、普図当り遊技が実行されるとき(普図当り図柄が停止表示されたとき)の遊技状態によって、第2始動口21の開放パターンが定まるものとなっている。具体的に、図44に示すように、開放時間延長機能が作動していない場合(非作動時)の第2始動口21の開放パターン(「第1開放パターン」ともいう。)は、可変入賞装置22の可動部材23が0.5秒の開放動作を2回行うものとなっており、1回目の開放と2回目の開放と間には60秒間の閉鎖時間(インターバル)が設定されている。このため、第2始動口21への遊技球の入球可能性はあるものの、その可能性(入球頻度)は相対的に低く、60秒間のインターバルがあることから、入球効率も然程良くない。この第1開放パターンは、通常状態にて普図当り遊技が実行される場合と、第1時短状態(確変状態A、第1時短状態)にて普図当り遊技が実行される場合に実行される。
これに対して、図44に示すように、開放時間延長機能が作動している場合(作動時)の第2始動口21の開放パターン(「第2開放パターン」ともいう。)は、可変入賞装置22の可動部材23が6.0秒の開放動作を1回行うものとなっており、1回開放すると、その開放時間(6.0秒)が経過するまで第2始動口21は開きっぱなしとなる。このため、開放時間延長機能が作動している状態で第2始動口21が開放する場合、第2始動口21への入球可能性(入球頻度)は極めて高くなり、1回の開放で複数個の遊技球が入球し得るものとなる。この第2開放パターンは、第2時短状態(確変状態B)にて普図当り遊技が実行される場合に実行される。
尚、開放時間延長機能の作動・非作動の制御は、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)によって行われる。したがって、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)は、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間が通常よりも長くなる開放延長状態を設定可能な開放延長状態設定手段として機能するものである。また、本実施例では、第2始動口21の開放パターンとして、開放時間延長機能が作動してない場合に対応する第1開放パターンと、開放時間延長機能が作動している場合に対応する第2開放パターンとを設けているが、開放時間延長機能が作動してない場合に対応する開放パターンを複数設けたり、開放時間延長機能が作動している場合に対応する開放パターンを複数設けたりすることも可能である。このように第2始動口21の開放パターンを複数設ける場合、普図当り遊技の実行に際し、そのときの遊技状態に応じて、複数の開放パターンの中から一の開放パターンを選択し、該選択した開放パターンに基づいて第2始動口21を開放させる構成を採ればよい。開放パターンの選択は、例えば、普図当り遊技が実行される場合に停止表示される普図当り図柄の種類に基づいて行うことができる。
以上の各機能の作動・非作動の組み合わせにより、本実施例に係るパチンコ遊技機1の遊技状態が制御される。すなわち、本実施例のパチンコ遊技機1では、(1)特別図柄及び普通図柄の確率変動機能、特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能並びに可変入賞装置22の開放時間延長機能が何れも作動しない「通常状態」と、(2)普通図柄の確率変動機能並びに特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能が作動し、特別図柄の確率変動機能及び可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しない「低確率状態かつ第1時短状態」と、(3)特別図柄及び普通図柄の確率変動機能並びに特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能が作動し、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しない「高確率状態かつ第1時短状態」と、(4)特別図柄及び普通図柄の確率変動機能、特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能並びに可変入賞装置22の開放時間延長機能がすべて作動する「高確率状態かつ第2時短状態」と、の4つの遊技状態が設定可能となっている。そのうち、「低確率状態かつ第1時短状態」が、「6R第3大当り」と「16R第5大当り」に係る大当り遊技終了後に設定される「第1時短状態」であり、「高確率状態かつ第1時短状態」が、「6R第2大当り」に係る大当り遊技終了後に設定される「確変状態A」であり、「高確率状態かつ第2時短状態」が、「6R第1大当り」と「16R第4大当り」に係る大当り遊技終了後に設定される「確変状態B」である(図6を参照)。
ここで、第2始動口21(可変入球口)への遊技球の入球可能性に着目して遊技状態を区別すると、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動する「第2時短状態」(確変状態B)と、可変入賞装置22の開放時間延長機能は作動しないものの普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動する「第1時短状態」(第1時短状態、確変状態A)とは、何れも第2始動口21への遊技球の入球可能性が「通常状態」に比べて高くなる。「第2時短状態」の場合、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動することにより普図当りが高頻度で発生して普図当り遊技が高頻度で実行されるとともに、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動することにより第2始動口21が第2開放パターンで開放するからである。また、「第1時短状態」の場合、可変入賞装置22の開放時間延長機能は作動しない(第2始動口21が第1開放パターンで開放する)ものの、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動することにより、普図当りが高頻度で発生して普図当り遊技が高頻度で実行されるからである。
このことから、「第1時短状態」及び「第2時短状態」のことを「入球容易状態」や「特定遊技状態」ともいう。この場合、「低確率状態かつ第1時短状態」である「第1時短状態」、「高確率状態かつ第1時短状態」である「確変状態A」及び「高確率状態かつ第2時短状態」である「確変状態B」は、何れも「入球容易状態」や「特定遊技状態」であるといえる。また、「第1時短状態」と「第2時短状態」とを比較した場合、前者は第2始動口21への遊技球の入球可能性が相対的に低い遊技状態となり、後者は第2始動口21への遊技球の入球可能性が相対的に高い遊技状態となる。このことから、特定遊技状態(入球容易状態)のうち、「第1時短状態」のことを「第1の入球容易状態」や「第1の特定遊技状態」ともいい、「第2時短状態」のことを「第2の入球容易状態」や「第2の特定遊技状態」ともいう。この場合、「低確率状態かつ第1時短状態」である「第1時短状態」及び「高確率状態かつ第1時短状態」である「確変状態A」は、「第1の入球容易状態」や「第1の特定遊技状態」であるといえ、「高確率状態かつ第2時短状態」である「確変状態B」は、「第2の入球容易状態」や「第2の特定遊技状態」であるといえる。
一方、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能並びに可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しない「通常状態」は、「第1時短状態」及び「第2時短状態」と比較した場合、第2始動口21(可変入球口)への遊技球の入球可能性が相対的に低い遊技状態となる。このことから、「通常状態」のことを「非入球容易状態」や「非特定遊技状態」ともいう。
また「第1時短状態」では、第2始動口21への遊技球の入球可能性があるものの、その可能性は「通常状態」に比べて僅かに高くなる程度であり、第2始動口21が第2開放パターンで開放する「第2時短状態」に比べるとかなり低いものとなる。第1時短状態では、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動するものの開放時間延長機能が作動せず、通常状態と同様に第2始動口21が第1開放パターンで開放するからである。このため、「第1時短状態」では、後述するように第1特別図柄の変動表示が主として実行され、「第2時短状態」では、後述するように第2特別図柄の変動表示が主として実行される。このことから、第2始動口21が開放する際の開放パターンの種類や変動表示の主となる特別図柄の種類に着目して遊技状態を区別する場合、「通常状態」及び「第1時短状態」(第1時短状態、確変状態A)のことを「非特定遊技状態」として捉えることができ、「第2時短状態」(確変状態B)のことを「特定遊技状態」として捉えることができる。
尚、本実施例では、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動する「第2時短状態」を高確率状態とともに設定するものとしているが、低確率状態とともに設定することも可能である。すなわち、普通図柄の確率変動機能、特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能並びに可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動し、特別図柄の確率変動機能が作動しない「低確率状態かつ第2時短状態」(低確率状態かつ第2の特定遊技状態)を設けることも可能である。また、特別図柄の確率変動機能が作動し、普通図柄の確率変動機能、特別図柄及び普通図柄の変動時間短縮機能並びに可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しない「高確率状態かつ非時短状態かつ非開放延長状態」(高確率状態かつ非特定遊技状態)を設けることも可能である。
本実施例のパチンコ遊技機1では、前述したように、6R第2大当りになった場合の大当り遊技後(特別遊技後)の遊技状態は確変状態Aとなり、6R第1大当り及び16R第4大当りの何れかになった場合の大当り遊技後(特別遊技後)の遊技状態は確変状態Bとなる(図6を参照)。これらの確変状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されることにより終了する。本実施例では、確変状態が終了することとなる特別図柄の変動表示回数を「10,000回」としている。尚、確変状態の終了条件を、特別図柄の変動表示回数により定めるのではなく、次回の大当り発生までとすることも可能である。また、本実施例では、高確率状態とともに第2時短状態が設定されるため、第2時短状態も「10,000回」の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されることにより終了する。尚、確変状態や第2時短状態の終了条件とされる特別図柄の変動表示回数は10,000回でなくてもよく、100回や200回等、任意の回数を定めることが可能である。また、特別図柄の大当り図柄の種類によってその回数が変化(変動)するようにしてもよい。
また本実施例のパチンコ遊技機1では、前述したように、6R第3大当り及び16R第5大当りの何れかになった場合の大当り遊技後(特別遊技後)の遊技状態は第1時短状態となる(図6を参照)。この第1時短状態は、所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されることにより終了する。本実施例では、第1時短状態が終了することとなる特別図柄の変動表示回数を「100回」としている。尚、第1時短状態の終了条件とされる特別図柄の変動表示回数は100回でなくてもよく、50回や120回等、任意の回数を定めることが可能である。また、特別図柄の大当り図柄の種類によってその回数が変化(変動)するようにしてもよい。
第1時短状態、確変状態A及び確変状態Bといった特定遊技状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。特定遊技状態では、非特定遊技状態(通常状態)と比べて第2始動口21の開放機会が増えるからであり、特別図柄の変動時間も短縮されて特別図柄の変動表示がスムーズに進行する(特図保留の消化ペースが速くなる)からである。このため特定遊技状態では、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより、左打ちを行う場合に比べ、多くの始動入球の機会(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域3Bを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(右打ち指示報知)。
これに対して通常状態(非特定遊技状態)では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。通常状態では、時短状態(特定遊技状態)と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、また、右遊技領域3Bには第3始動口25が設けられているものの、第2始動口21や第3始動口25に比べて第1始動口20の方が払い出される賞球数が多いからである。このため通常状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う。これにより、右打ちを行う場合に比べ、始動入球に基づく多くの賞球を得つつ遊技を進行させることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域3Aを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(左打ち指示報知)。
発射方向表示器47は「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、通常状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、時短状態(第1時短状態、第2時短状態)では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
[主制御メイン処理]
次に、図10〜図36に基づいて遊技制御用マイコン81の動作(主制御部80による制御処理)について説明する。尚、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、主制御基板80のROMから図10に示す主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず、初期設定を行う(S101)。初期設定では、例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定、各種のフラグやステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。尚、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。尚、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず、出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、副制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄、変動パターン等に関する情報が含まれる。コマンドは、例えば2バイトの情報からなり、そのうちの上位1バイトはコマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第3始動口センサ25a、大入賞口センサ30a等、図5を参照)が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯検知センサ(図示せず)からの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、始動入球時処理(S205)、普図動作処理(S206)、特図動作処理(S207)、保留球数処理(S208)及び電源断監視処理(S209)を実行する。その後、その他の処理(S210)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102〜S104の処理が繰り返し実行され(図10を参照)、割り込みパルスが入力されると(約4ms後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)では、まず、遊技球がゲート28を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305の処理に移行し、ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4未満であるか否か判定する(S302)。
普通図柄保留球数が4未満でなければ(S302でNO)、S305の処理に移行する。一方、普通図柄保留球数が4未満であれば(S302でYES)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H、図7(B)を参照)を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)には、S309の処理に移行し、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4未満でない場合(S306でNO)には、S309の処理に移行し、特図2保留球数が4未満である場合には(S306でYES)、特図2保留球数に1を加算する(S307)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
続いて第1始動口20又は第3始動口25に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20a又は第3始動口センサ25aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20又は第3始動口25に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には本処理を終え、第1始動口20又は第3始動口25に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4未満でない場合(S310でNO)には本処理を終え、特図1保留球数が4未満である場合には(S310でYES)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部のうち現在の特図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
[始動入球時処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで始動入球時処理(S205)を行う。図13に示すように、始動入球時処理(S205)では、まず、特図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S315)。そして、特図2保留球数が「1」増加したと判定した場合(S315でYES)、S316の処理に移行する。これは、第2始動口21に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS307で特図2保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、特図2保留球数が増加していないと判定した場合(S315でNO)、S319の処理に移行する。
S316では、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図2関係乱数取得処理(S308)で取得して第2特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出す(S316)。次いで、読み出した第2特別図柄に係る取得乱数値を判定する(S317)。S317では、読み出した取得乱数値のうち、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)については、現在の遊技状態(低確率状態か高確率状態か)に応じて大当りか外れかを判定し、当該判定の結果が大当りである場合には、さらに大当りの種別を判定する。このS317による判定は、特図2保留についての当否判定(大当りか否かの判定)を、後述の特図2当否判定処理(S1202)における当否判定(S1303,S1304)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。したがって、S317による特図2(第2識別情報)に係る事前判定を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、「第2事前判定手段」として機能するものである。
尚、大当りか否かの事前判定は、大当り判定テーブル(図8(A)を参照)、すなわち、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、低確率状態であれば低確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定することにより行うことが可能である。また、他の事前判定の態様として、例えば、変動パターン情報を判定可能な変動パターン情報判定テーブルとして、低確率状態用の変動パターン情報判定テーブルと高確率状態用の変動パターン情報判定テーブルとを設け、これらテーブルを用いて事前判定を行うことも可能である。具体的に、始動入球に基づく取得乱数値(特別図柄当否判定用乱数カウンタの値等)と、遊技状態に応じた変動パターン情報判定テーブルとに基づいて特定される変動パターン情報から、大当りであるか否か、大当りである場合の大当り種別、大当り信頼度の高い遊技演出が実行されるか否か等を識別する(つまり事前判定する)ことが可能である。
次いでS318では、S317による事前判定に関連する情報(「特図2事前判定情報」や「第2事前判定情報」ともいう。)を含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S318)。具体的には、特別図柄当否判定用乱数値が大当り判定値と一致するか否かを示す情報(当否情報)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)を示す情報、変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報等を特図2事前判定情報として含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドを出力バッファにセットする(S318)。これにより、第2事前判定情報が副制御部90に対して出力可能とされる。第2事前判定情報の出力は、通常状態、第1時短状態、確変状態A及び確変状態B(第2時短状態)の何れにおいても可能である。
尚、特図2始動入球コマンドとして、S316で読み出した特図2取得乱数の値の一部または全部を、そのまま副制御基板90に送信するようにしてもよいし、特図2取得乱数の値はそのまま送信せず、特図2取得乱数の値に基づいて取得した情報(例えば、前述の変動パターン情報等)を送信するようにしてもよい。
ここで、主制御部80から送信した特図2始動入球コマンドを副制御部90で解析することで、大当りに係る情報であるか、大当り種別は何れであるか、変動パターンは何れであるか等を、副制御部90が識別できるものとされている。また本実施例では、特図2始動入球コマンドを解析することで、取得した特図2取得乱数が高確率状態で判定した場合に大当りとなるか否か、低確率状態で判定した場合に大当りとなるか否か、を特定可能とされている。これにより、副制御部90は、受信した特図2始動入球コマンドを保留(演出保留情報)として記憶し、特定のタイミングで当該演出保留情報を事前判定し、低確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報が記憶されているかどうかを判定することが可能となる。
尚、不正防止の観点から、S316で読み出した取得乱数値(取得情報)のうち特別図柄当否判定用乱数値(第2事前判定情報の一態様)をそのまま副制御部に送信することはせず、その他の大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)と変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報(第2事前判定情報の一態様)と、事前判定の結果を示す情報(第2事前判定情報の一態様)とを含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、これをセットすることが可能である。このことは、後述する特図1の事前判定についても同様である。
次いでS319では、前述の特図2に係る処理と同様に、特図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S319)。そして、特図1保留球数が「1」増加したと判定した場合(S319でYES)、S320の処理に移行する。これは、第1始動口20又は第3始動口25に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特図1保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、S319で、特図1保留球数が増加していないと判定した場合(S319でNO)、そのまま処理を終える。
S320では、第2時短フラグがONであるか否かを判定する(S320)。第2時短フラグは、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動する第2時短状態の設定状況を示すものであり、第2時短状態が設定されている場合にONとなり、第2時短状態が設定されていない場合にOFFとなる。前述したように、第2時短状態が設定されるのは「確変状態B」であり、第2時短状態が設定されないのは、「通常状態」、「第1時短状態」及び「確変状態A」である。
S320にて第2時短フラグがONである、すなわち第2時短状態が設定されていると判定した場合(S320でYES)、そのまま処理を終える。一方、S320で第2時短フラグがOFFである、すなわち第2時短状態が設定されていないと判定した場合(S320でNO)、S321以降の事前判定に係る処理に進む。
ここで、第2時短フラグがONである場合(第2時短状態である場合)、第2始動口21への入球頻度が高まる開放時間延長機能が作動しており、特図2の当否判定(図8(B)を参照)が行われやすい状態となっている。また、本実施例では、後述するように特図2保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を特図1保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するもの(所謂「特図2優先変動機」)としている。このため、第2時短状態(第2の特定遊技状態)では、第2特別図柄の変動表示が主として実行されることとなる。このような構成において、例えば、第2時短状態において特図1の事前判定を行い、その結果を予告等の演出により遊技者に報知し、その事前判定の結果が大当りであることが明示された場合、遊技者は、特図2保留消化の優先を利用して、任意のタイミングで特図2保留を意図的に無くして(「0」にして)、事前判定の結果が示された特図1に係る大当りを意図的に発生させるといった技術介入が可能となる。このように大当りの発生タイミングを遊技者が調整できることは、遊技の公平性の観点から好ましくない。このため、現在の遊技状態が第2時短状態(本例では確変状態B)である場合には(S320でYES)、S321以降の特図1の事前判定に係る処理を行わず、本処理を終えることとしている。つまり、第2時短状態(第2の特定遊技状態)では、特図1の事前判定の結果に係る情報(「特図1事前判定情報」や「第1事前判定情報」ともいう。)が副制御部90に対して出力不能とされている。
S321〜S323の処理は、前述したS316〜S318と同様の処理を特図1について行うものである。すなわち、始動口センサ検知処理(S204)における特図1関係乱数取得処理(S312)で取得して第1特図保留記憶部に記憶した最新の特図1取得乱数値(取得情報)を読み出し(S321)、読み出した特図1取得乱数値について事前判定を行う(S322)。そして、この事前判定に関連する情報(第1事前判定情報)を含むコマンドデータを特図1始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S323)。これにより、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aでは、第1事前判定情報が副制御部90に対して出力可能とされる。
尚、S322の事前判定(保留先読み)は、後述の特図1当否判定処理(S1207)における当否判定(S1603,S1604)に先立って行うものである。S322による特図1(第1特別図柄)に係る事前判定を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、「第1事前判定手段」として機能するものである。
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動入球時処理(S205)に次いで、図14に示す普図動作処理(S206)を行う。普図動作処理(S206)では、普通図柄表示器42及び可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。尚、普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[普通図柄待機処理]
図15に示すように、普通図柄待機処理(S402)では、まず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)、この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行い(S502)、次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、図8(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が第1時短状態又は第2時短状態(特定遊技状態)であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態(非特定遊技状態)であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。普通図柄変動パターン選択処理(S503)を終えたら、後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行い、次いで、普通図柄変動開始処理(S505)を行い、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンに基づいて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また、普通図柄変動開始処理では、副制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
[普通図柄当否判定処理]
図16に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)では、まず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONであるか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。ここで、時短フラグがONであるか否かの判定に関し、単に時短フラグという場合、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しない第1時短状態の設定状況を示す第1時短フラグと前述した第2時短フラグとを区別せず、何れか一方がONであれば、時短フラグがONであると判定され、第1時短フラグと第2時短フラグの両方がOFFであれば、時短フラグがONでないと判定される(以下同じ)。つまり、S602の処理は、現在の遊技状態が特定遊技状態(入球容易状態)であるか否かを判定する処理である。
S602で時短フラグがONである、すなわち時短状態である(特定遊技状態である)と判定した場合(S602でYES)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」〜「239」)に基づく高確率普図当否判定を行い(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態である(非特定遊技状態である)と判定した場合(S602でNO)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定を行い(S603)、S605の処理に移行する。そして、普図当否判定(S603,S604)の結果が当り(普図当り)であるか否かを判定し(S605)、外れであると判定された場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)と判定された場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。尚、本実施例では、非時短状態が左打ちを行うべき遊技状態とされているため、基本的には、非時短状態にて遊技球がゲート28を通過することはない。したがって、非時短状態では、遊技者が左打ちを行っている限り、普図当否判定(低確率普図当否判定)が行われることはない。
[普通図柄乱数シフト処理]
図17に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)では、まず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
[普通図柄変動中処理]
図18に示すように、普通図柄変動中処理(S404)では、まず、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)、処理を終える。一方、経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行って(S804)、この処理を終える。
[普通図柄確定処理]
図19に示すように、普通図柄確定処理(S406)では、まず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、続いて第2時短フラグがONであるか否か、すなわち第2時短状態中であるか否かを判定する(S902)。そして、第2時短フラグがONであると判定した場合(S902でYES)、すなわち、現在の遊技状態が第2時短状態(確変状態B)である場合、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして前述の第2開放パターンをセットする(S903)。第2開放パターンは、前述の通り「6.0秒」の開放(長開放)を1回行う開放パターンである(図44を参照)。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。
これに対して、第2時短フラグがONでない(OFFである)と判定した場合(S902でNO)、すなわち、現在の遊技状態が通常状態又は第1時短状態(第1時短状態、確変状態A)である場合、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして前述の第1開放パターンをセットする(S906)。第1開放パターンは、前述の通り「0.5秒」の開放(短開放)を「60秒」のインターバル(閉鎖時間)を挟んで2回行う開放パターンである(図44を参照)。従って、第2始動口開放カウンタに「2」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903,S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
[普通電動役物処理]
図20に示すように、普通電動役物処理(S407)では、まず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)、処理を終え、至っていれば(S1003でYES)、第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)、第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
そして、第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、普図当り遊技(補助遊技)を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、第2時短状態であれば第2始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が1回なされると「0」になり、通常状態又は第1時短状態であれば第2始動口21の開放が2回なされると「0」になる。
これに対して、S1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903またはS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFにするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFにし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(S206)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S206)に次いで特図動作処理(S207)を行う。特図動作処理(S207)では、図21に示すように、特別図柄表示器41及び大入賞装置31に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「特図動作ステータス」が「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、「特図動作ステータス」が「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、「特図動作ステータス」が「3」である場合には(S1101,S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、「特図動作ステータス」が「4」である場合には(S1101,S1103,S1105の全てがNO)、大当り遊技としての特別電動役物処理(S1107)を行う。尚、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]
図22に示すように、特別図柄待機処理(S1102)では、まず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、待機画面とする処理中であれば(S1211でYES)、処理を終え、待機画面とする処理中でなければ(S1211でNO)、待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
S1201において特図2保留球数が「0」でない場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図2当否判定処理(S1202)、特図2変動パターン選択処理(S1203)、特図2乱数シフト処理(S1204)、特図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。このように本実施例では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1201でYES)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示、第2特別図柄当否判定)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示、第1特別図柄当否判定)に優先して実行される。そして本実施例では、第2特図保留に基づく当否判定(第2特別図柄当否判定)の方が、第1特図保留に基づく当否判定(第1特別図柄当否判定)よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになりやすくなっている(図8(B)を参照)。
[特図2当否判定処理]
図23に示すように、特図2当否判定処理(S1202)では、まず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部85bの最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)を読み出す(S1301)。次いで、確変フラグがONであるか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち低確率状態であれば、図8(A)に示す大当り判定テーブルのうち低確率状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、大当り判定テーブルのうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1304)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値が「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
大当り判定(S1303,S1304)の結果が「大当り」であると判定した場合(S1305でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)を読み出して、図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1307)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1308)、大当りフラグをONにして(S1309)、処理を終える。一方、大当り判定(S1303,S1304)の結果が「大当り」でないと判定した場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1306)、処理を終える。尚、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。ここで、大当り判定(特別図柄当否判定)や大当り種別決定判定を、夫々「判定」といってもよいし、大当り判定を行い何れの大当り図柄となるかを含めて「判定」といってもよい。また、これらの結果を「判定結果」ということもある。こうした特図2当否判定処理(S1202)により、第2特別図柄に係る当否判定(大当り判定)や図柄判定等を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、「第2判定手段」として機能するものである。
ここで、ラウンド表示器45は、6R用ランプ及び16R用ランプの2個のLEDで構成されている(図4を参照)。そして、例えば6R大当りになると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、6R用ランプが点灯表示される。具体的には、「6▲16R△」の様な表示態様となる。また、16R大当りになると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、16R用ランプが点灯表示される。具体的には、「6△16R▲」の様な表示態様となる。
[特図2変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(図22)では、特図2当否判定処理(S1202)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。図24及び図25に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1203)では、まず、遊技状態が時短状態(第1時短状態又は第2時短状態)であるか否か(第1時短フラグ又は第2時短フラグがONであるか否か)を判定する(S1401)。その結果、時短状態でない(第1時短フラグ及び第2時短フラグがOFFである)と判定した場合(S1401でNO)、すなわち非時短状態である場合、次いで、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1402)。S1402で、大当りフラグがONであると判定した場合(S1402でYES)、非時短状態大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。本実施例では、変動パターンP1〜P3の何れかが選択される。尚、本実施例では、変動パターンが決まれば変動時間も決まるものとされている。次いで、S1404の処理に移行する。
一方、S1402で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1402でNO)、次いで第2特別図柄の保留数が「1」又は「2」であるか否かを判定する(S1405)。ここでいう保留数とは、本処理により変動パターンを決定している情報も含めた記憶数であるので、保留記憶の数は「1」〜「4」の何れかの値とされる。そして、S1405で保留数が「1」又は「2」であると判定した場合(S1405でYES)、第1保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「1,2」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1406)。本実施例では、変動パターンP4〜P7の何れかが選択される。一方、S1405で保留数が「1」又は「2」でない、すなわち「3」又は「4」であると判定した場合(S1405でNO)、第2保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「3,4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例では、変動パターンP8〜P11の何れかが選択される。また、第1保留数外れ用テーブルは、第2保留数外れ用テーブルよりも、比較的長時間の変動時間の変動パターンを選択する可能性が高く設定されている。さらに、選択可能な最も短時間の変動時間(12000ms)も、第2保留数外れ用テーブルのもの(4000ms)よりも長い時間とされている。
これに対し、前述のS1401で時短状態(第1時短状態又は第2時短状態)であると判定した場合(S1401でYES)、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1408)。その結果、大当りフラグがONであると判定した場合(S1408でYES)、時短状態大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。本実施例では、変動パターンP12〜P14の何れかが選択される。
一方、S1408で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1408でNO)、次いで保留数が「1」であるか否かを判定する(S1410)。ここでいう保留数も前述と同様であり、保留数は「1」〜「4」の何れかの値とされている。S1410で保留数が「1」であると判定した場合(S1410でYES)、第3保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「1」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。本実施例では、変動パターンP15〜P18の何れかが選択される。また、S1410で保留数が「1」でない、すなわち、保留数が「2」〜「4」の何れかであると判定した場合(S1410でNO)、第4保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「2〜4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。本実施例では、変動パターンP19〜P22の何れかが選択される。ここで、時短状態でかつ外れの場合に選択される変動パターンは、非時短状態でかつ外れの場合に選択される変動パターンと比較して、短い変動パターンが選択される可能性が高くされている。これは、時短状態において変動時間の短い変動パターンがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早める(時短中の遊技を迅速に進行させる)ためである。
このようにして変動パターンの選択を行った後は、図24に示すその他の処理を行い(S1404)、処理を終える。その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。また、この処理でセットされた変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)により副制御部90に送信される。
[特図2乱数シフト処理]
図26に示すように、特図2乱数シフト処理(S1204)では、まず、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部85bがアドレス「0000」〜「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部85bの最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第2特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、この処理を終える。
特図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、図22に示す特図2変動開始処理(S1205)を実行する。特図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。この特図2変動開始処理(S1205)を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、第2特別図柄(第2識別情報)を変動表示させる「第2識別情報制御手段」として機能するものである。
図22の特別図柄待機処理(S1102)において、特図2保留球数が「0」であり、かつ、特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)には、特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
[特図1当否判定処理]
図27に示すように、特図1当否判定処理(S1207)では、図23に示した特図2当否判定処理(S1202)と同様の流れで処理(S1601〜S1609)を行う。従って、本処理の詳細な説明は省略する。但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部85aの最下位の領域(即ち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)を読み出して処理を行う。この特図1当否判定処理(S1207)により、第1特別図柄に係る当否判定(大当り判定)や図柄判定等を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、「第1判定手段」として機能するものである。
[特図1変動パターン選択処理]
図28及び図29に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1208)では、図24及び図25に示した特図2変動パターン選択処理(S1403)と同様の流れで処理(S1701〜S1712)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略する。
[特図1乱数シフト処理]
図30に示すように、特図1乱数シフト処理(S1209)では、まず、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S2002)。そして、第1特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1803)、この処理を終える。
特図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、図22に示す特図1変動開始処理(S1210)を実行する。特図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。この特図1変動開始処理(S1210)を行う主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、第1特別図柄(第1識別情報)を変動表示させる「第1識別情報制御手段」として機能するものである。
[特別図柄変動中処理]
図31に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)では、まず、特別図柄の変動時間、すなわち、前述のS1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間(図9を参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、確変フラグがONであるか否か判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1905)。S1905で確変カウンタが「0」であると判定した場合、確変フラグをOFFし、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合と(S1903でNO)、確変カウンタが「0」でないと判定した場合には(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
そしてS1907では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONである(第1時短フラグ又は第2時短フラグがONである)と判定した場合(S1907でYES)、その時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定し(S1909)、「0」であれば(S1909でYES)、それまでONとなっていた時短フラグをOFFにし(S1910)、S1911の処理に進む。また、時短フラグがONでない(第1時短フラグ及び第2時短フラグがOFFである)と判定した場合と(S1907でNO)、時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合には(S1909でNO)、S1911の処理に移行する。尚、S1907にてONであると判定された時短フラグが第1時短フラグである場合、第1時短状態にて特別図柄の変動表示が100回実行されると、時短カウンタの値が「0」となる。一方、S1907にてONであると判定された時短フラグが第2時短フラグである場合、第2時短状態にて特別図柄の変動表示が10,000回実行されると、時短カウンタの値が「0」となるが、第2時短状態にて大当りが発生することなく特別図柄の変動表示が10,000回実行されることはまず起こり得ない。
S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]
図32に示すように、特別図柄確定処理(S1106)では、まず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、次いで確定した大当りの種別が16R大当りであるか否かを判定し、16R大当りであると判定した場合(S2002でYES)、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値に「16」をセットし(S2003)、S2009の処理に移行する。一方、S2002で、大当りの種別が16R大当りでないと判定した場合(S2002でNO)、確定した大当りの種別は6R大当りであるため、ラウンドカウンタの値に「6」をセットし(S2004)、S2009の処理に移行する。
S2009では、確定した大当りの種別(種類)に応じた大入賞口開放パターンをセットし(S2009)、S2010の処理に移行する。ここで、前述したように、大入賞口の開放パターンは、大当りの種別に応じて定められているので、今回確定した大当りに対応する大入賞口開放パターンをセットする(図6を参照)。そして、夫々の大当り遊技において、S2009でセットした大入賞口開放パターンに基づく大入賞口30の開放動作が実行される。
S2010では、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットする(S2010)。本実施例では、オープニングコマンドとして、6R第1大当りに対応する第1オープニングコマンド、6R第2大当りに対応する第2オープニングコマンド、6R第3大当りに対応する第3オープニングコマンド、16R第4大当りに対応する第4オープニングコマンド及び16R第5大当りに対応する第5オープニングコマンドの計5種類が設けられている。S2010では、今回確定した大当り(開始する大当り)の種別に応じたオープニングコマンドがセットされる。そして、主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、セットしたオープニングコマンドを、出力処理(S201)により、所定のタイミングで副制御部90に対して送信し、当該オープニングコマンドを受信した副制御部90は、当該オープニングコマンドに基づいて所定の遊技演出の実行処理を行う。
オープニングコマンドをセットしたら、大当り遊技のオープニング期間を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2012)。また、S2001において大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2013)、処理を終える。尚、オープニング期間は、大当り遊技における大入賞口の最初の開放動作を開始する前であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行不能とした後に設定される期間であり、「開始期間」ともいう。また、この「開始期間」において実行する演出を「開始演出(オープニング演出)」ともいう。本実施例では、確定した大当りの種別と、その大当りが確定したとき(つまり、大当り図柄が停止表示されたとき)の遊技状態とによって、オープニング期間(オープニング時間)が決まるものとなっており、前述のオープニングコマンドによってオープニング期間が特定可能となっている。よって、オープニングコマンドを受信した副制御部90は、当該オープニングコマンドにより特定される大当り種別及びオープニング期間に基づいて、オープニング演出を行うことが可能となっている。
[特別電動役物処理(大当り遊技)]
図33に示すように、特別電動役物処理(S1107)ではまず、確変フラグがONであるか否かを判定し(S2101)、確変フラグがONであると判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFにし(S2102)、次いで、時短フラグがONであるか否かを判定する(S2103)。S2103で、時短フラグがONであると判定した場合(S2103でYES)、そのONとなっている時短フラグ(第1時短フラグ又は第2時短フラグ)をOFFにし(S2104)、S2105の処理に移行する。尚、S2101で確変フラグがONでないと判定した場合(S2101でNO)、S2102の処理を行うことなくS2103の処理に移行し、S2103で時短フラグがONでない(第1時短フラグ及び第2時短フラグがOFFである)と判定した場合(S2103でNO)、S2104の処理を行うことなくS2105の処理に移行する。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態かつ非時短状態に制御される。
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞装置31の動作処理(大入賞口30の開放処理)が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。大当り終了フラグがONでなければ(S2105でNO)、次いでラウンドの開始時期であるか否かを判定する(S2106)。これは、前述した大当り種別毎に設定した大入賞口開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるか否かによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、かつ、所定のインターバル期間が終了している否かによって判定する。
S2106でラウンド開始時期であると判定した場合(S2106でYES)、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットし(S2107)、大入賞口開放処理を行う(S2108)。これにより、大入賞口30が開放状態となり所定のラウンドが開始することとなる。尚、S2107では、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンドを特定可能なラウンド開始コマンドがセットされる。セットされたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により、副制御部90に送信される。S2108の大入賞口開放処理では、実行される大当りの種別に応じて定められた大入賞口開放パターン、すなわち、前述のS2009でセットした大入賞口開放パターンに基づいて大入賞口30を開放させるべく、開閉部材32を動作(開動作)させる。
一方、S2106でラウンド開始時期でないと判定した場合(S2106でNO)、S2112の処理に移行する。ここで、ラウンド開始時期でないと判定する場合として、例えば、1ラウンド開始前のオープニング期間中やラウンド遊技中、ラウンド遊技終了後のインターバル期間中(大入賞口閉鎖処理中)等を挙げることができる。
S2112では、大入賞口開放動作の実行中であるか否か、すなわち、S2108の処理によって開放された大入賞口が未だ開放中(ラウンド遊技中)であるか否かを判定する(S2112)。その結果、大入賞口開放動作の実行中(ラウンド遊技中)でないと判定した場合(S2112でNO)、S2116の処理に移行し、大入賞口開放動作の実行中(ラウンド遊技中)であると判定した場合(S2112でYES)、実行中のラウンド遊技の終了条件(ラウンド終了条件)が成立したか否かを判定する(S2113)。
ここで、本実施例のラウンド終了条件として、(1)実行中のラウンド遊技において定められた大入賞口の開放時間(例えば25秒)、つまりラウンド遊技の実行時間が経過したこと、(2)実行中のラウンド遊技において大入賞口に予め定められた規定数(例えば10個)の遊技球が入球したこと、の2つの条件が定められている。そして、何れか一方の条件が成立すると、当該先に成立した条件に基づいてラウンド終了条件が成立したこととなる。S2113で、ラウンド終了条件が成立していないと判定した場合(S2113でNO)、処理を終える。
一方、S2113でラウンド終了条件が成立したと判定した場合(S2113でYES)、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットし(S2114)、S2115の処理に移行する。S2114では、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンドを特定可能なラウンド終了コマンドがセットされる。セットされたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により、副制御部90に送信される。
S2115では大入賞口閉鎖処理を行い(S2115)、大入賞口30の開閉部材32を動作(閉動作)させて、大入賞口30を閉鎖状態とする。また、大入賞口閉鎖処理では、大入賞口30を閉鎖状態に保つ閉鎖時間、すなわちインターバル時間をセットする。次いで、S2116でインターバル時間が経過したか否かを判定し(S2116)、経過していない(インターバル期間中である)と判定した場合(S2116でNO)、処理を終える。一方、S2116でインターバル時間が経過したと判定した場合(S2116でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2117)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2118)。S2118で、ラウンドカウンタの値が「0」でないと判定した場合(S2118でNO)、処理を終える。一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定した場合(S2118でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットすると共に(S2119)、大当りのエンディング期間を開始し(S2120)、大当り終了フラグをONにし(S2121)、処理を終える。尚、ラウンドカウンタの値は、実行する大当り遊技における全てのラウンド遊技を終了すると「0」になる。
S2119では、予め定められた複数のエンディングコマンドの中から、今回の大当り発生時の遊技状態や今回の大当りの種別、大当り遊技後の遊技状態等に応じたエンディングコマンドが選択され、当該選択されたコマンドがセットされる。こうしてセットされるエンディングコマンドの種類によって、実行される(設定される)エンディング期間(エンディング時間)が決まるものとなっている。エンディング期間は、大当り遊技における大入賞口30の全ての開放動作を終了した後であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行可能とする前に設定される期間であり、「終了期間」ともいう。エンディング期間(終了期間)では、大入賞口30は閉鎖状態とされている。この「終了期間」に実行する演出を「終了演出」(エンディング演出)ともいう。
そして、主制御部80(遊技制御用マイコン81)は、S2119でセットしたエンディングコマンドを、出力処理(S201)により、所定のタイミングで副制御部90に対して送信し、当該エンディングコマンドを受信した副制御部90は、当該エンディングコマンドに基づいて所定のエンディング演出の実行処理を行う。
また、S2105において大当り終了フラグがONであると判定した場合(S2105でYES)、大当り遊技における最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング時間が経過したか否か、すなわち、前述のS2120の処理で開始したエンディング期間の終了タイミングか否かを判定し(S2122)、エンディング時間が経過していないと判定した場合(S2122でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過したと判定した場合(S2122でYES)、大当り終了フラグをOFFにし(S2123)、後述する遊技状態設定処理(S2124)を行う。次いで、大当りフラグをOFFにし(S2125)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2126)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図21)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。尚、以上の特別電動役物処理(S1107)を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「特別遊技実行手段」として機能するものである。
[遊技状態設定処理]
図34に示すように、遊技状態設定処理(S2124)ではまず、今回終了した大当り遊技が確変大当りに係るものであるか否かを判定する(S2201)。本実施例では、前述したように、6R第1大当り、6R第2大当り及び16第4大当りの3種類を確変大当りとしていることから、S2201では、それら3種類のうちの何れかに該当するか否かを判定する。そして、今回終了したのが確変大当りであると判定した場合(S2201でYES)、確変フラグをONにするとともに(S2202)、確変カウンタに「10,000」をセットする(S2203)。
次いでS2204にて、今回終了した大当り遊技が、確変大当りのうち6R第2大当りに係るものであるか否かを判定し(S2204)、6R第2大当りに係るものであると判定した場合(S2204でYES)、第1時短フラグをONにするとともに(S2205)、時短カウンタに「10,000」をセットして(S2207)、処理を終える。一方、6R第2大当りに係るものでないと判定した場合(S2204でNO)、すなわち、今回終了した大当り遊技が6R第1大当り又は16第4大当りに係るものである場合、第2時短フラグをONにするとともに(S2206)、時短カウンタに「10,000」をセットして(S2207)、処理を終える。このように確変大当りのうち、6R第2大当りに係る大当り遊技が終了した場合には、その後の遊技状態が「高確率状態かつ第1時短状態」(確変状態A)となり、6R第1大当りに係る大当り遊技が終了した場合及び16R第4大当りに係る大当り遊技が終了した場合には、その後の遊技状態が「高確率状態かつ第2時短状態」(確変状態B)となる。
ここで、確変カウンタにセットする値は、高確率における特別図柄当否判定を実行可能な回数である。本実施例においてセットする「10,000」という値(10,000回)は、高確率状態における大当り確率や遊技店の1日の営業時間、当該営業時間内に実行可能な特図当否判定の回数等を考慮すると、実質的には次回の大当りが発生するまで又は営業時間が終了するまで、高確率状態を保証しているのと同じことである。従って、遊技状態が高確率状態に設定された場合には、次回の大当りが発生するまで高確率状態が保証されるといってもよい(実質的に同義である)。また、確変フラグがONの場合には、時短カウンタにも同様に「10,000」がセットされるため、高確率状態が設定されている間は、時短状態(開放延長状態)も共に設定されることとなる。
尚、本実施例の様に、確変カウンタ及び時短カウンタに「10,000」の値を設定して、実質的に次回大当りまで「高確率状態かつ第1時短状態」や「高確率状態かつ第2時短状態」を設定するようにしてもよいし、確変フラグ及び時短フラグがONの場合には、カウンタに値をセットすることなく、次回大当りが発生するまで「高確率状態かつ第1時短状態」や「高確率状態かつ第2時短状態」を設定する制御を採用してもよい。また、例えば、確変カウンタに「10,000」をセットするとともに時短カウンタに「100」をセットしたり、確変カウンタに「100」をセットするとともに時短カウンタに「200」をセットしたりする等、確変カウンタにセットする値と時短カウンタにセットする値とを異ならせてもよい。この場合、次回大当りが発生するまでの遊技状態が変化し得るものとなるため、例えば、次回大当り発生までに確変状態と時短状態のどちらかが先に終了してしまう可能性があるといった遊技性を得ることが可能となる。
一方、S2201で確変大当りでないと判定した場合(S2201でNO)、すなわち、今回終了したのが非確変大当り(通常大当り)に係る大当り遊技である場合、確変フラグをONにすることなく、第1時短フラグをONにするとともに(S2208)、時短カウンタに「100」をセットして(S2207)、処理を終える。本実施例では、前述したように、6R第3大当り及び16R第5大当りの2種類を非確変大当り(通常大当り)としているので、これら2種類に係る大当り遊技が終了した場合には、その後の遊技状態が「低確率状態かつ第1時短状態」(第1時短状態)となる。この遊技状態は、特別図柄の変動表示が100回行われること(特別図柄当否判定が100回行われること)、及び次の大当りが発生すること、の何れかの条件が成立することにより終了する。尚、時短カウンタ及び確変カウンタは、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するものである。以上の遊技状態設定処理(S2124)を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「遊技状態設定手段」として機能するものである。
[保留球数処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S207)に次いで、保留球数処理(S208)を行う。図35に示すように、保留球数処理(S208)では、まず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数のデータ(その保留球数情報を副制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。この保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)は、次回の割り込み処理(S105)における出力処理(S201)によって出力され、割り込み処理毎に、保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)の出力バッファへのセット(S2502)と、出力処理(S201)とが順次行われる。当該保留球数コマンドを受信した副制御部90は、受信した保留球数コマンドに基づいて特図保留球数に増減が生じたと判断した場合、これに応じて、画像表示装置7の表示画面7aにおける演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)の表示内容を更新する。
具体的には、例えば、特図1保留球数が「3」から「4」に1増加した場合、その増加した分の特図1保留球数「4」に対応する第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに追加表示する。また、特図1保留球数が「2」から「1」に1減少した場合(つまり、第1特図保留が消化された場合)、第1演出保留表示領域9cの左端(特図1保留球数「1」に対応する箇所、図3を参照)に表示されている第1演出保留9aを変動保留表示領域9e(図3を参照)に移動するとともに、これに伴って第1演出保留表示領域9cに表示されている第1演出保留9aを左側に1つ移動(シフト)する。
尚、特図保留球数が加算された際の特図保留球数のデータ、すなわち始動入球(始動入賞)の発生に伴う特図保留球数のデータについては、前述の始動入球コマンドに含めるか、加算後(始動入球後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを始動入球コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。また、特図保留球数が減算された際の保留球数のデータ、すなわち特別図柄の変動開始(特図保留の消化)に伴う特図保留球数のデータについては、前述の変動開始コマンドに含めるか、減算後(特図保留消化後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを変動開始コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S208)に次いで電源断監視処理(S209)を行う。図36に示すように、電源断監視処理(S209)では、まず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(確変か否か、当り遊技中か否か、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶するとともに(S2602)、電源断フラグをONにし(S2603)、その後は割り込み処理(図11)に戻ることなくループ処理をする。
[サブ制御メイン処理]
次に、図37〜図42に基づいて、演出制御用マイコン91の動作(副制御部90による制御処理)について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ、タイマ等は、副制御基板90(副制御部)のRAMに設けられている。副制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、図37に示すサブ制御メイン処理のプログラムを副制御基板90のROMから読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まず、CPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
続いて、S4002で、電源断信号がONでかつ副制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。その結果、RAMの内容が正常でないと判定した場合(S4002でNO)、副制御基板90のRAMの初期化を行って(S4003)、S4004に進む。一方、RAMの内容が正常であると判定した場合(S4002でYES)、副制御基板90のRAMの初期化を行うことなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、副制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。
このS4001〜S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。また、本実施例では、演出制御用マイコン91においても、図11に示す遊技制御用マイコン81による電源断監視処理(S209)と同様の処理を行うこととしており、停電などで電源断信号がONになると、そのときの演出制御に係るデータが副制御基板90のRAMに記憶されるものとなっている。つまり、停電などの電源断発生時における演出制御に係るデータがバックアップされるものとなっている。このため、停電等の電源断から復帰した後の電源投入時(電断復帰時)に、副制御基板90のRAMの初期化(S4003)が行われない限り、演出制御用マイコン91による演出制御の状態は電源断発生前の状態に復帰する。尚、演出制御に係るデータについては電断時にバックアップしない構成とすることも可能である。また、例えば、確変状態や時短状態が終了するまでの残り変動回数を表示する演出の実行に際して参照する変動回数カウンタや、大当り遊技中のラウンド数を表示する演出の実行に際して参照するラウンド回数カウンタ、後述する演出保留情報等、演出制御に係るデータのうち特定のデータについてはバックアップの対象とし、それ以外のデータについてはバックアップしない構成とすることも可能である。
S4004では割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値は、副制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。演出決定用乱数には、実行する演出図柄遊技演出の態様(変動演出パターン)を決定する変動演出決定用乱数や、予告演出を決定する予告演出決定用乱数、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。尚、乱数の更新に際して、乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたとき、後述の変動演出パターンを決定するとき等とすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、副制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、副制御基板90のRAM内の出力バッファ(「サブ出力バッファ」ともいう。)に格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106及びランプ制御基板107のうち、対応するコマンド送信先となる制御基板に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従って各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出、大当り遊技に係る特別遊技演出等)を実行する。
次にS4007では、割り込みを許可する(S4007)。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)、及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。以降、S4004〜S4007をループさせる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や、各種ランプの点灯制御や、可動装飾部材の動作制御や、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。
[受信割り込み処理]
図38に示すように、受信割り込み処理(S4008)では、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。その結果、ストローブ信号がONでないと判定した場合には(S4101でNO)、本処理を終える。一方、S4101でストローブ信号がONであると判定した場合には(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドを副制御基板90のRAMに格納して(S4102)、本処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、副制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図39に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)では、まず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。このスイッチデータは、第1演出ボタン63a及び第2演出ボタン63bの夫々についての操作有無(ON、OFF)を示すもので、演出ボタン63の操作に基づく操作対応演出の実行に供されるものである。次いで、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプを発光させるためのランプデータを出力するランプデータ出力処理(S4202)と、可動装飾部材14(電気的駆動源)を駆動するための駆動データを出力する駆動データ出力処理(S4203)とを行う。尚、ランプデータ及び駆動データは、後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、副制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図40に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)では、まず、後述する受信コマンド解析処理(S4302)を行う。次いで、前述の2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして副制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理を行い(S4303)、当該スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、表示画面7aの表示や可動装飾部材14の作動、装飾用ランプ類(盤面ランプ5、枠ランプ66等)の発光等(つまり、操作対応演出の実行)を設定するスイッチ処理を行う(S4304)。その後、演出決定用乱数を更新するなどのその他の処理を実行する(S4305)。
[受信コマンド解析処理]
図41に示すように、受信コマンド解析処理(S4302)では、まず、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したか否かを判定する(S4395)。その結果、始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4395でNO)、S4401の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4395でYES)、演出保留情報関連処理(S4400)を行って、S4401の処理に移行する。
演出保留情報関連処理(S4400)では、まず、S4395で受信した始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド又は特図2始動入球コマンド)に含まれる各種情報(事前判定結果、大当り種別決定用乱数値、変動パターン乱数値等に係る情報。すなわち先読み情報。)を、特別図柄の種類(第1特別図柄、第2特別図柄)及び始動入球コマンドの送受信時(コマンド生成時)の特図保留球数に応じて、シフトメモリ形式で副制御基板90のRAMの所定の演出保留情報記憶領域に記憶する。例えば、受信した始動入球コマンドが特図1の保留球数「4」に対応する特図1始動入球コマンドである場合、その特図1始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や大当り種別等に係る情報を、特図1演出保留情報記憶領域のうち保留数「4」に対応する領域に特図1演出保留情報(特図1保留先読み情報、第1事前判定情報)として記憶する。また例えば、受信した始動入球コマンドが特図2の保留球数「3」に対応する特図2始動入球コマンドである場合、その特図2始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や大当り種別等に係る情報を、特図2演出保留情報記憶領域のうち保留数「3」に対応する領域に特図2演出保留情報(特図2保留先読み情報、第2事前判定情報)として記憶する。こうして記憶される演出保留情報(事前判定情報)は、変動演出や予告演出、演出モード等の各種演出の実行に用いられる。
演出保留情報記憶領域に記憶された演出保留情報は、特図保留の消化に伴って該特図保留に対応するものから順次消去される。すなわち、特図1演出保留情報記憶領域に記憶された特図1演出保留情報は、特図1保留の消化に伴って該特図1保留に対応する第1演出保留情報から順次消去される。同様に、特図2演出保留情報記憶領域に記憶された特図2演出保留情報は、特図2保留の消化に伴って該特図2保留に対応する第2演出保留情報から順次消去される。このとき、演出保留情報が消去された後も演出保留情報記憶領域に他の演出保留情報が記憶されている場合、当該他の演出保留情報の記憶場所が1つ下位側にシフトされる。このように、副制御基板90における演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)は、前述の主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)の記憶内容(取得情報)と一致するものである。このことから、副制御基板90の演出保留情報記憶領域も「取得情報記憶手段」であるといえる。また、特図1演出保留情報記憶領域及び特図2演出保留情報記憶領域のことを、夫々「第1事前判定情報記憶手段」及び「第2事前判定情報記憶手段」ともいい、総じて「事前判定情報記憶手段」ともいう。
ここで、特図1演出保留情報記憶領域に記憶された特図1演出保留情報は、対応する特図1保留が消化されない限り消去されないものとされており、特図2演出保留情報記憶領域に記憶された特図2演出保留情報は、対応する特図2保留が消化されない限り消去されないものとされている。すなわち、演出保留情報記憶領域に演出保留情報が一旦記憶されると、その演出保留情報は、対応する特図保留の消化に伴ってのみ消去されるようになっている。このため、例えば、大当り遊技が開始されたり、通常状態から大当り遊技を経由して第2時短状態(確変状態B)となったり、第1時短状態(第1時短状態又は確変状態A)から大当り遊技を経由して第2時短状態(確変状態B)となったり、第2時短状態(確変状態B)から大当り遊技を経由して第1時短状態(第1時短状態又は確変状態A)となったり、第1時短状態から所定回数の特図変動表示の実行を経て通常状態となったりする等、遊技状態が変化(他の遊技状態に移行)したとしても、演出保留情報記憶領域に記憶されている演出保留情報が消去されることはない。つまり、特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容及び特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容は、何れも遊技状態の変化を契機として初期化(リセット)されることがないものとされている。尚、電源断(パチンコ遊技機1への電力供給停止)が発生した場合、演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)初期化(消去)される。但し、演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)をバックアップの対象としている場合、その記憶内容は電源供給の再開(開始)に伴い復旧可能である。
またS4400では、記憶する演出保留情報が特定の演出保留情報であるか否かを判定し、そうである場合には、当該特定の演出保留情報に基づく予告演出を実行するか否かを判定する。この予告演出は、始動入球コマンドの受信を契機とする演出保留情報の記憶に伴って実行可能とされるものである。つまり、新たな特図保留の記憶に伴って実行され得る予告演出である。このような予告演出のことを「保留発生時予告」ともいう。保留発生時予告は、後述する保留先読み予告(事前判定演出)の一種である。尚、特定の演出保留情報とは、例えば、大当りである旨を示す演出保留情報(大当り保留)、確変大当りである旨を示す情報(確変当り保留)、相対的に大当り信頼度の高い変動演出が実行され得る変動パターンである旨を示す情報(高信頼度保留)等、遊技者にとって有利な遊技展開をもたらす可能性のある特図保留に対応する演出保留情報を意味する。
保留発生時予告を実行するか否かの判定は、前述の演出決定用乱数のうち当該予告の実行有無や実行態様等を決定するために設けられた乱数(「保留発生時予告決定用乱数」ともいう。)を用いて行うことができる。そして、保留発生時予告を実行する場合には、当該予告の実行を指定する保留発生時予告コマンドをサブ出力バッファにセットする。当該セットしたコマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、今回新たに記憶(発生)した演出保留情報(特定の演出保留情報)に対応する演出保留、すなわち、演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c又は第2演出保留表示領域9d)に追加表示される最新の演出保留(第1演出保留9a又は第2演出保留9b)を、通常の表示態様とは異なる所定の予告表示態様で表示する。例えば、演出保留の表示色を通常色(例えば白色)に替えて予告色(例えば、青色や緑色や赤色等)としたり、演出保留のデザインを通常デザイン(例えば丸型アイコン)に替えて特殊デザイン(例えばキャラクタアイコンやアイテムアイコン等)としたりする。こうした保留発生時予告により、演出保留表示領域には通常と異なる態様の演出保留(「予告演出保留」ともいう。)が表示されるため、遊技者はその予告演出保留に対応する特図保留の消化に期待感を抱きつつその消化を待つこととなる。
尚、保留発生時予告は、本実施例で示すような演出保留の表示態様だけでなく、例えば、保留発生に伴い所定の効果音を発したり、盤面ランプや枠ランプといったランプ類を所定の態様で発光させたり、遊技盤や前面枠に設けられた可動装飾部材(可動役物)を所定の態様で作動させたりする等、遊技者の視覚や聴覚に訴える様々な態様により行うことが可能である。
次にS4401では、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S4401)。その結果、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4403の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理を行うことなく、S4406の処理に移行する。
S4403では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S4403)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4403でYES)、演出図柄を停止表示して変動演出を終了させる変動演出終了処理を行う(S4404)。変動演出終了処理(S4404)では、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをサブ出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7a上で変動表示していた演出図柄8を停止表示して、変動演出(演出図柄遊技演出)を終了させる。一方、S4403で、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4403でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4405の処理に移行する。尚、変動演出とは、演出図柄8の変動表示やリーチ演出など、特別図柄の変動表示に合わせて行われる種々の演出を指す。
続いてS4405では、主制御基板80から大当り遊技関連コマンドを受信したか否かを判定する(S4405)。ここで、大当り遊技関連コマンドとは、大当り遊技の実行にあたり主制御基板80から送信されるコマンドのことであり、具体的には、大当り遊技の開始(大当りの発生)に際して送信されるオープニングコマンド(S2010を参照)、ラウンドの開始に際して送信されるラウンド開始コマンド(S2107を参照)、ラウンドの終了に際して送信されるラウンド終了コマンド(S2114を参照)、大当り遊技の終了に際して送信されるエンディングコマンド(S2119を参照)等が該当する。S4405では、これらの大当り遊技関連コマンドの何れかを受信したか否かを判定し、受信していなければ(S4405でNO)、S4407の処理に移行し、受信していれば(S4405でYES)、当該受信したコマンドの種類に応じた演出(大当り遊技関連演出)の実行に係る処理を行う(S4406)。
例えば、受信したコマンドがオープニングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたオープニング演出を指定するオープニング演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、ラウンド開始コマンドであれば、当該コマンドに基づき特定されるラウンドに応じたラウンド演出を指定するラウンド演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、エンディングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたエンディング演出を指定するエンディング演出コマンドをサブ出力バッファにセットする。これらのセットした大当りに係る各種の演出コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、大当り遊技の進行状況に合わせて、オープニング演出やラウンド演出等の大当り遊技に関連する演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
最後にS4407の処理を行い、本処理を終える。S4407では、その他の処理として、前述した各種コマンドを除いた他の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行う(S4407)。
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)にて実行される変動演出開始処理(S4402)について説明する。図42に示すように、変動演出開始処理(S4402)では、まず、変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理(S4501)を行う。本実施例では、主制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングでS4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値(取得情報)に基づいて、実行する演出図柄遊技演出(変動演出)の態様や予告演出の態様、停止表示する演出図柄等を決定する。
次いでS4502では、受信した変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄または第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターンを指定する情報には、図9に示す変動パターン情報(P1〜P22)や現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の判定結果、大当り種別を指定する図柄情報等が含まれている(図8を参照)。また、変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在することから、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(演出図柄の変動表示)が特図1に係るものなのか特図2に係るものなのかを判別することが可能となる。尚、変動パターン情報や遊技状態情報、図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
次いでS4503では、演出制御用マイコン91が現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。モードステータスは「1」〜「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA〜Eに対して割り当てられている。具体的には、モードステータス「1」が演出モードAに対応し、モードステータス「2」が演出モードBに対応し、モードステータス「3」が演出モードCに対応し、モードステータス「4」が演出モードDに対応し、モードステータス「5」が演出モードEに対応する。現在のモードステータスを参照することで、現在の演出モードを特定することが可能である。
ここで演出モードとは、画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、演出図柄8の表示態様(例えば、図柄デザイン、数字デザインなど)が異なったり、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なったりする等、画像表示装置7に表示される演出画像が演出モードによって異なるものとされる。また、演出図柄遊技演出や大当り遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができ、複数の遊技演出(予告演出やリーチ演出、ラウンド演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能とすることができる。
本実施例では、演出モードA及び演出モードBを遊技状態が通常状態(低確率状態かつ非時短状態)である場合に実行可能な演出モードとし、演出モードCを遊技状態が第1時短状態(低確率状態かつ第1時短状態)である場合に実行可能な演出モードとし、演出モードDを遊技状態が確変状態A(高確率状態かつ第1時短状態)である場合に実行可能な演出モードとし、演出モードEを遊技状態が確変状態B(高確率状態かつ第2時短状態)である場合に実行可能な演出モードとしている。従って、遊技者は演出モードを確認することで、現在の遊技状態を把握することができる。
次いでS4504では、画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等を用いて行う変動演出の実行パターン(変動演出パターン)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)と主制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。
例えば、受信した変動パターン指定コマンドにより指定される変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」(図9を参照)である場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した大当り時変動演出パターン決定テーブルがセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄遊技演出の実行態様(演出図柄の変動態様等)を決定するためのもので、演出モード(モードステータス)に対応する複数の変動演出パターン決定テーブル(図示せず)が、副制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択され、これがセットされる。
次いでS4505では、S4501において取得した変動演出決定用乱数及びS4504においてセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、表示画面7a(演出図柄表示領域7b)に表示される演出図柄8の変動表示態様(演出図柄遊技演出の実行態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出(変動演出)においてリーチ演出を実行する場合(リーチ有り変動演出)や、特定のキャラクタを用いて行うキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ変動演出)、リーチ演出やキャラクタ演出を実行しない場合(リーチ無し変動演出)等が決定される。
尚、リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L,8C,8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(大当り態様、特定態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L,8C,8Rのうちの2個(例えば左演出図柄8Lと右演出図柄8R)が大当り態様を構成する図柄で停止表示(仮停止)されて残り1個が変動表示を続けている状態(「リーチ状態」ともいう。)で、その残り1個の演出図柄が大当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことをいう。変動演出にて2個の演出図柄が停止表示(仮停止)した際にリーチ状態となることを「リーチ成立」ともいう。
またS4505では、S4501において取得した演出図柄決定用乱数及び図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄8(「停止演出図柄」ともいう。)を決定し、これを設定する。演出図柄遊技演出の結果として停止表示される演出図柄8は、特別図柄当否判定の結果が外れであって、リーチ有り外れの場合は「787」等の3個の演出図柄8L,8C,8Rのうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目(リーチ外れ目)とされ、リーチ無し外れのときは「635」等の3個の演出図柄8L,8C,8Rのうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目(完全バラケ目)とされる。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りであって、6R第1大当り又は16R第4大当りの場合は赤図柄のゾロ目(「333」又は「777」)とされ、6R第2大当りの場合は緑図柄のゾロ目(「111」、「555」又は「999」とされ、6R第3大当り又は16R第5大当りの場合は青図柄のゾロ目(「222」、「444」、「666」又は「888」)とされる。尚、これらの演出図柄8の停止表示態様は一例であり、大当りとなったときに停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄8の変動態様(変動演出パターン)として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう。)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出等が設定されており、S4505で、変動演出パターン決定テーブルに基づいて、これらのうち何れの演出を行うか、又はこれらの演出を行わないかが決定される。尚、リーチ演出やキャラクタ演出等が行われることなく単に演出図柄8が変動表示及び停止表示する変動演出(リーチ無し変動演出)のことを「ノーマル変動」ともいう。
そして、リーチ有り変動演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、スーパーリーチ演出が実行される場合には、ノーマルリーチ演出が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はリーチ(ノーマルリーチ)演出と比較して大当り信頼度(大当りとなる可能性)の高い遊技演出であるといえる。尚、リーチ演出は、主として、変動時間が30000ms以上の変動パターン(図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを受信した場合に設定(実行)され得る。
次いでS4506では、予告演出の設定に係る処理(予告演出設定処理)を行う(S4506)。本実施例では、S4400で記憶した演出保留情報(先読み情報、事前判定情報)に基づく予告演出(「保留先読み予告」や「事前判定演出」ともいう。)や、現在の特図変動表示(変動演出)に係る予告演出(「当該変動予告」ともいう。)など、種々の予告演出が実行可能とされている。このことから、S4506では各種予告演出について実行するか否か(実行有無)を判定したり、実行する予告演出の実行パターン(予告演出パターン)を設定したりする。具体的には、S4505で設定した変動演出パターンや、S4400で記憶した演出保留情報、S4501において取得した予告演出決定用乱数、副制御基板90のROMに記憶された予告演出決定テーブル(図示せず)等に基づいて、予告演出の実行有無や予告演出パターン等を決定し、この決定結果に基づいて予告演出パターンを設定する(S4506)。予告演出設定処理(S4506)の処理内容については後述する。
尚、S4506で設定する予告演出パターン、すなわち、実行する予告演出の種類(予告種)や態様、予告演出の有無等は、S4400で記憶される演出保留情報(演出保留情報記憶領域の記憶内容)や、S4502での変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄当否判定の結果(今回の特図変動表示に係る当否判定の結果)、同じく変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄の変動パターン情報(今回の特図変動表示に係る変動パターンや停止図柄)によって異なるものとなる。また、予告演出を実行する場合、複数の予告演出のうち、一の予告演出(一種類の予告演出)を行うこともあれば、二以上の予告演出(複数種の予告演出)を複合して行うこと、すなわち、一の変動表示中(変動演出中)に複数種の予告演出を各々の実行タイミングで行うこともある。
ここで、保留先読み予告(事前判定演出)は、一般的には、記憶されている特図保留の中に大当り信頼度の高い保留や大当り確定の保留が含まれていること又はその可能性の高低を示唆する予告演出である。保留先読み予告の代表的なものとしては、前述の保留発生時予告の他、演出保留表示領域9c,9dや変動保留表示領域9eに表示されている演出保留9a,9bの表示態様(例えば、演出保留の表示色や形状、デザイン、種類、サイズ等)を通常の表示態様から所定の予告表示態様に変化させる保留変化予告、連続する複数回の変動表示(変動演出)に跨って所定の画像を表示したり所定の効果音を発したりする連続予告等が例示できる。
本実施例では、それら保留発生時予告、保留変化予告及び連続予告が、演出保留情報(先読み情報、事前判定情報)に基づく予告演出(保留先読み予告)として実行可能とされている。保留先読み予告として実行する予告演出の種類や数は任意に設定可能である。尚、前述の第1事前判定情報に基づく予告演出(特図1保留先読み予告)のことを「第1事前判定演出」ともいい、前述の第2事前判定情報に基づく予告演出(特図2保留先読み予告)のことを「第2事前判定演出」ともいう。
次いでS4507では、S4505で設定した変動演出パターン及びS4506で設定した予告演出パターンに基づいて演出図柄遊技演出(変動演出表示、予告演出等)を開始するための変動演出開始コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4507)、変動演出開始処理を終える。S4507でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の変動演出用画像データ(演出図柄8の変動開始、変動中、変動停止等を示す画像データ)と、変動演出開始コマンドに基づき特定される予告演出パターン、すなわちS4506で設定された予告演出パターンに対応する所定の予告演出用画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出や予告演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。また、変動演出の実行(特別図柄の変動表示の実行)に伴って、演出表示器102での2個のLEDによる変動表示(点滅表示)も実行する。
[予告演出設定処理]
次に、変動演出開始処理(S4402)にて実行される予告演出設定処理(S4506)について説明する。図43に示すように、予告演出設定処理(S4506)では、まず、当該変動予告処理を行う(S4601)。当該変動予告処理(S4601)は、変動演出開始処理(S4402)によって開始される今回の変動演出(特図変動表示)に関する予告演出(つまり、当該変動予告)の実行有無を決定したり、当該変動予告を実行する場合の実行パターン(当該変動予告パターン)を設定したりする等、当該変動予告の実行に係る処理を行うものである。当該変動予告としては、例えば、1段階目から所定段階目(例えば1段階目から最大5段階目)までの各段階に対応する予告画像が表示画面7aに段階的に表示されるステップアップ予告、リーチ成立時に多数の予告画像(群画像)が一斉に表示画面7aの一方(例えば右側)から他方側(例えば左側)へ移動表示される群予告、リーチ演出中の所定時期に所定のカットイン画像が表示画面7aに表示されるカットイン予告などが挙げられる。
S4601では、そうした当該変動予告の実行有無を決定し、実行する場合にはその実行パターン(当該変動予告種)を選択して設定するのである。この決定や選択は、S4502における変動開始コマンドの解析結果(今回の変動表示に係る特別図柄当否判定の結果、変動パターン情報など)、S4501で取得した予告演出決定用乱数、当該変動予告の態様(当該変動予告パターン)とその選択率(実行確率)との関係を規定した当該変動予告決定テーブル(図示せず)等に基づいて行われる。尚、当該変動予告は先に例示したものに限られず、演出ボタン63を用いた予告(ボタン予告)など、様々な予告を採用可能である。
当該変動予告処理(S4601)に次いで、S4602では、保留先読み予告フラグがOFFであるか否かを判定する(S4602)。ここで、保留先読み予告フラグとは、特図1保留先読み予告又は特図2保留先読み予告が現在実行されている状況であるか否か、換言すると、特図1保留先読み予告又は特図2保留先読み予告の実行期間中であるか否か(つまり、保留先読み予告の実行有無)を示すものである。保留先読み予告フラグは初期設定がOFFであり、保留先読み予告の実行が開始される場合にONとなる。また、保留先読み予告フラグがONとなるとき、保留先読み予告の実行回数を計数する図示しないカウンタ(「保留先読み予告カウンタ」ともいう。)に、保留先読み予告の実行回数(実行期間)を示す値がセットされる。例えば、特図1保留球数「3」に対応する第1特図保留を対象として特図1保留先読み予告が実行される場合、その特図1保留球数「3」に対応する第1特図保留が消化されるまでの3回の変動表示に亘って特図1保留先読み予告が実行されるので、当該カウンタには値「3」がセットされる。当該カウンタの値は、保留先読み予告を伴う特別図柄の変動表示(例えば、保留先読み予告の実行契機となる保留が第1特図保留であれば第1特別図柄の変動表示)が行われる毎に減算(1ディクリメント)される。そして、保留先読み予告の実行期間が終了する場合(保留先読み予告カウンタのカウント値が「0」になった場合)にOFFとなる。
このことから、保留先読み予告フラグや保留先読み予告カウンタは、特図1の事前判定結果に基づく特図1保留先読み予告の実行有無を特定可能とする情報であり、その意味では、特図1の事前判定に関連する情報、すなわち「第1事前判定情報」であるといえ、当該フラグやカウンタが記憶される(設けられる)副制御基板90(副制御部)のRAMは「第1事前判定情報記憶手段」であるといえる。同様に、保留先読み予告フラグや保留先読み予告カウンタは、特図2の事前判定結果に基づく特図2保留先読み予告の実行有無を特定可能とする情報であり、その意味では、特図2の事前判定に関連する情報、すなわち「第2事前判定情報」であるといえ、当該フラグやカウンタが記憶される(設けられる)副制御基板90(副制御部)のRAMは「第2事前判定情報記憶手段」であるといえる。
保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(事前判定情報記憶手段の記憶内容の一態様)は、大当り遊技が開始されたり、通常状態から大当り遊技を経由して第2時短状態(確変状態B)となったり、第1時短状態(第1時短状態又は確変状態A)から大当り遊技を経由して第2時短状態(確変状態B)となったり、第2時短状態(確変状態B)から大当り遊技を経由して第1時短状態(第1時短状態又は確変状態A)となったり、第1時短状態から所定回数の特図変動表示の実行を経て通常状態となったりする等、遊技状態が変化(他の遊技状態に移行)したとしても、初期化(リセット)されることがないものとされている。但し、電源断(パチンコ遊技機1への電力供給停止)が発生した場合、保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は初期化される。また、当該フラグ及びカウンタの設定内容(事前判定情報記憶手段の記憶内容の一態様)をバックアップの対象としている場合、その設定内容は電源供給の再開(開始)に伴い復旧可能である。
尚、本実施例では、保留先読み予告フラグを特図1保留先読み予告と特図2保留先読み予告とで共通のフラグとしているが、例えば、特図1保留先読み予告に対応する特図1保留先読み予告フラグと、特図2保留先読み予告に対応する特図2保留先読み予告フラグといったように、別々のフラグとして設けてもよい。このことは保留先読み予告カウンタについても同様である。
S4602にて保留先読み予告フラグがOFFでない(ONである)と判定した場合(S4602でNO)、すなわち、保留先読み予告の実行中(実行期間中)である場合、S4603以降の処理を行うことなく本処理を終える。これにより、保留先読み予告が重ねて開始(実行)されるのを回避することが可能となっている。
一方、S4602にて保留先読み予告フラグがOFFであると判定した場合(S4602でYES)、現在の遊技状態が確変状態B(第2時短状態)であるか否かを判定する(S4603)。その結果、確変状態Bでないと判定した場合(S4603でNO)、すなわち、現在の遊技状態が通常状態、第1時短状態及び確変状態Aの何れかである場合、現在の特図2保留球数が「2」以上であるか否かを判定する(S4604)。特図2保留球数は、例えば、特図2演出保留情報記憶領域に記憶されている特図2演出保留情報の数により特定可能である。
S4604にて特図2保留球数が「2」以上でないと判定した場合(S4604でNO)、S4605及びS4606の処理を行うことなく後述するS4607の処理に進み、特図2保留球数が「2」以上であると判定した場合(S4604でYES)、特図2保留先読み予告処理を行う(S4605)。
特図2保留先読み予告処理(S4605)は、現在記憶されている第2特図保留(特図2演出保留情報)に基づく特図2保留先読み予告の実行有無を決定したり、特図2保留先読み予告を実行する場合の実行パターン(特図2保留先読み予告パターン)を設定したりする等、特図2保留先読み予告の実行に係る処理を行うものである。前述したように、本実施例では保留先読み予告として保留変化予告や連続予告等が実行可能とされていることから、S4605では、それらの保留先読み予告について実行有無を決定し、実行する場合にはその実行パターン(保留先読み予告種)を選択して設定するのである。また、特図2保留先読み予告を実行する場合には、保留先読みフラグをONにする。
例えば、特図2保留先読み予告として前述の保留変化予告を実行することが決定された場合、その実行パターンとして、第2演出保留9bの表示色を所定の予告色(例えば、青色や緑色や赤色等)としたり、第2演出保留9bのデザインを所定の特殊デザインとしたりする等、第2演出保留9bの表示態様を予告表示態様に変化させる保留変化予告パターンが設定される(S4605)。また、特図2保留先読み予告として前述の連続予告を実行することが決定された場合、その実行パターンとして、連続する複数回の変動表示(変動演出)の各々で演出図柄8を同色(例えば緑図柄)のバラケ目で停止表示させたり、連続する複数回の変動表示(変動演出)の各々で所定の予告画像を表示したりする等、連続する複数回の変動表示(変動演出)に跨って予告演出を発生させる連続予告パターンが設定される(S4605)。連続予告パターンには、連続予告の実行回数も含まれる。尚、前述の保留発生時予告は、始動入球コマンドの受信(新たな保留記憶の発生)に基づく保留先読み予告なので、S4605にて設定可能な保留先読み予告の対象とはならない。このことは後述のS4608やS4610についても同様である。
尚、S4605における特図2保留先読み予告の実行に係る決定や選択は、特図2演出保留情報記憶領域に記憶されている特図2演出保留情報、S4501で取得した予告演出決定用乱数、保留先読み予告の態様(保留先読み予告パターン)とその選択率(実行確率)との関係を規定した保留先読み予告決定テーブル(図示せず)等に基づいて行われる。
次いでS4606では、S4605の処理の結果、特図2保留先読み予告を実行することとなったか否かを判定する(S4606)。その結果、実行すると判定した場合(S4606でYES)、S4607及びS4608の処理を行うことなく本処理を終える。これにより、特図2保留先読み予告と特図1保留先読み予告とが重複して実行されるのを回避することが可能となっている。
これに対し、特図2保留先読み予告を実行しないと判定した場合(S4606でNO)、現在の特図1保留球数が「2」以上であるか否かを判定する(S4607)。現在の特図1保留球数は、例えば、特図1演出保留情報記憶領域に記憶されている特図1演出保留情報の数により特定可能である。
S4607にて特図1保留球数が「2」以上でないと判定した場合(S4607でNO)、S4608の処理を行うことなく本処理を終え、特図1保留球数が「2」以上であると判定した場合(S4607でYES)、特図1保留先読み予告処理を行う(S4608)。特図1保留先読み予告処理(S4608)は、現在記憶されている第1特図保留(特図1演出保留情報)に基づく特図1保留先読み予告の実行有無を決定したり、特図1保留先読み予告を実行する場合の実行パターン(特図1保留先読み予告パターン)を設定したりする等、特図1保留先読み予告の実行に係る処理を行うものである。この特図1保留先読み予告処理(S4608)は、前述の特図2保留先読み予告処理(S4605)と同様にして行われる処理であり、特図1保留先読み予告についても前述の特図2保留先読み予告と同様であるので、これらについての詳細な説明は省略する。
一方、前述のS4603にて、現在の遊技状態が確変状態B(第2時短状態)であると判定した場合(S4603でYES)、現在の特図2保留球数が「2」以上であるか否かを判定し(S4609)、「2」以上でないと判定した場合(S4609でNO)、S4610の処理を行うことなく本処理を終え、「2」以上であると判定した場合(S4609でYES)、特図2保留先読み予告処理を行う(S4610)。これらS4609及びS4610は、前述のS4604及びS4605と同様なので、当該処理についての詳細な説明は省略する。
ここで、図43に示すように、現在の遊技状態が確変状態B(第2時短状態)ではなく、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aの何れかである場合(S4603でNO)、特図2保留先読み予告処理(S4605)が行われることにより、特図2保留先読み予告が実行される可能性があり、特図1保留先読み予告処理(S4608)が行われることにより、特図1保留先読み予告が実行される可能性がある。つまり、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aでは、特図1保留先読み予告(第1事前判定演出)と特図2保留先読み予告(第2事前判定演出)との双方が実行可能とされる。
これに対し、現在の遊技状態が確変状態B(第2時短状態)である場合(S4603でYES)、特図2保留先読み予告処理(S4610)が行われることにより、特図2保留先読み予告が実行されることはあるものの、特図1保留先読み予告の実行に係る処理は行われないため、特図1保留先読み予告が実行されることはない。つまり、確変状態B(第2時短状態)では、特図2保留先読み予告(第2事前判定演出)が実行可能とされ、特図1保留先読み予告(第1事前判定演出)は実行不能とされる。
また、本実施例では、特図1保留先読み予告の実行期間中(保留先読み予告フラグがONであり、保留先読み予告カウンタの値が「1」以上である場合)に大当りが発生し、当該大当りに係る大当り遊技後に確変状態Bとなった場合、当該確変状態B(第2時短状態)では、その実行期間中に係る特図1保留先読み予告(第1事前判定演出)は実行不能とされる。確変状態Bである場合に(S4603でYES)、特図1保留先読み予告の実行に係る処理が行われないこととの整合をとるためである。
[遊技の概要]
次に、本実施例のパチンコ遊技機1による遊技の概要について説明する。本実施例のパチンコ遊技機1では、遊技開始当初の遊技状態は、原則、通常状態である。このため、遊技者はまず、左打ちを行って遊技を進行させる。左打ちによる遊技(「左打ち遊技」ともいう。)では、第1始動口20への遊技球の入球を狙うことから、通常状態(非特定遊技状態)では主に第1特別図柄の変動表示が行われる。
第1特別図柄の変動表示に伴って、画像表示装置7の表示画面7aでは演出図柄8の変動表示(第1特別図柄当否判定結果に基づく変動演出)が行われる。また、通常状態では第2時短フラグがOFFとなっているため、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて第1特別図柄に係る事前判定(第1事前判定)が行われ、その事前判定結果に係る情報(第1事前判定情報)が特図1始動入球コマンドとして主制御部80から副制御部90へ送信(出力)される(図13を参照)。このことから通常状態では、第1特別図柄に係る事前判定の結果(第1事前判定情報)に基づく予告演出(特図1保留先読み予告、第1事前判定演出)が実行可能とされている。遊技者は、こうした変動演出や予告演出等を見ながら通常状態での遊技を進行させる。
第1特別図柄に係る大当りとしては、「6R第1大当り」、「6R第2大当り」及び「6R第3大当り」の3種類が設けられている(図6を参照)。このため通常状態では、第1特別図柄当否判定により大当りと判定されると、それら3種類のうち何れかの大当りに係る大当り遊技が実行可能となる。大当り遊技(特別遊技状態)では、大入賞口30への遊技球の入球を狙うことから、遊技者は右打ちを行って遊技を進行させる。
大当り遊技が終了すると、当該大当り遊技の実行契機となった大当りの種類(停止表示された第1特別図柄に係る大当り図柄の種類)に応じて定まる遊技状態に移行する。すなわち、通常状態で発生した大当り(所謂「初当り」)が「6R第1大当り」又は「6R第2大当り」である場合、当該大当りは確変大当りであることから、当該大当りに係る大当り遊技が終了した後の遊技状態は確変状態(確変状態A又は確変状態B)となる(図6を参照)。一方、初当りが「6R第3大当り」である場合、当該大当りは通常大当り(時短大当り)であることから、当該大当りに係る大当り遊技が終了した後の遊技状態は第1時短状態となる(図6を参照)。
大当り遊技後の確変状態や第1時短状態では、少なくとも、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動することから、遊技者は、大当り遊技が終了した後も引き続き右打ちを行って遊技を進行させる。この右打ちによる遊技(「右打ち遊技」ともいう。)では、遊技球がゲート28を通過することで普通図柄の変動表示が行わる。このとき、普通図柄の変動表示は短時間(本例では1秒)で行われ、普図当り確率が高確率(本例では「240/241」)であるため、普通図柄の変動表示の結果として普図当り図柄が高確率(高頻度)で停止表示されて、普図当り遊技が高頻度で行われる。
普図当り遊技にて第2始動口21が開状態となる(開放する)際の開放パターンには、前述したように第1開放パターンと第2開放パターンの2種類が存在する(図44を参照)。第1開放パターンは、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動していない場合、すなわち、遊技状態が通常状態、第1時短状態(低確率状態かつ第1時短状態)及び確変状態A(高確率状態かつ第1時短状態)の何れかである場合に設定(選択)される開放パターンである(図19のS906を参照)。一方、第2開放パターンは、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動している場合、すなわち、遊技状態が確変状態B(高確率状態かつ第2時短状態)である場合に設定(選択)される開放パターンである(図19のS903を参照)。
このため、大当り遊技後の遊技状態が第1時短状態であり、その第1時短状態で普図当り遊技が実行される場合と、大当り遊技後の遊技状態が確変状態Aであり、その確変状態Aで普図当り遊技が実行される場合には、第2始動口21が第1開放パターンで開放する。第1開放パターンは、「0.5秒」の開放を「60秒」のインターバル(閉鎖時間)を挟んで2回行う開放パターンである。したがって、第1時短状態及び確変状態Aでは、普図当り遊技が高頻度で実行されるとしても、1回の普図当り遊技につき第2始動口21の0.5秒開放が60秒間のインターバルを挟んで2回行われるだけなので、第2始動口21への遊技球の入球は可能となるもののその可能性は低く、入球効率も良くない。第2始動口21に入球する可能性があるのは、右遊技領域3Bを流下する遊技球が可動部材23(図3を参照)の上面を通過するタイミングと、第2始動口21の0.5秒開放のタイミングとが合ったときだけだからである。
ここで、本実施例では、第2始動口21の下流側に第3始動口25が設けられている(図3を参照)。第3始動口25は第1始動口20と同様に常時入球可能とされるものであり、第3始動口25への遊技球の入球し易さ(入球率、入球可能性)は、第1始動口20と同程度か、第1始動口20よりも入球し易いものとされる。このため、第1時短状態及び確変状態Aでは、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能の作動により普図当り遊技が高頻度で実行されるとしても、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動しないことから、第2始動口21よりも第3始動口25への遊技球の入球可能性が高くなり、第3始動口25への入球頻度が高くなる。また、第3始動口25は第1特別図柄の変動表示の実行契機となる始動口である。したがって、第1時短状態及び確変状態Aでは、主に第1特別図柄の変動表示が行われることとなり、稀に第2始動口21への入球が発生した場合には当該入球に基づく第2特別図柄の変動表示が優先的に行われる。
このような第1時短状態及び確変状態Aでの遊技(右打ち遊技)のうち、第1時短状態では、大当り確率が低確率に設定された状態(低確率状態)で第3始動口25への入球に基づく第1特別図柄の変動表示が主として行われるなか、第1特別図柄よりも有利な第2特別図柄の変動表示の実行(16R大当りの発生)にも期待を寄せながら、特図変動表示が100回行われるまで又はその間に大当りが発生するまで、右打ちにより遊技を進めることとなる。尚、第1時短状態にて大当りが発生することなく特図変動表示が100回行われると(つまり、100回連続で特別図柄当否判定の結果が外れになると)、第1時短状態は終了となり、遊技状態が通常状態に移行する(通常状態に戻る)。
また、確変状態Aでは、大当り確率が高確率に設定された状態(高確率状態)で第3始動口25への入球に基づく第1特別図柄の変動表示が主として行われるなか、第1特別図柄よりも有利な第2特別図柄の変動表示の実行(16R大当りの発生)にも期待を寄せながら、次の大当りが発生するまで右打ちにより遊技を進めることとなる。
さらに、第1時短状態及び確変状態Aでは、第1特別図柄の変動表示が行われる場合、これに伴う演出図柄8の変動表示(第1特別図柄当否判定結果に基づく変動演出)が行われ、第2特別図柄の変動表示が行われる場合、これに伴う演出図柄8の変動表示(第2特別図柄当否判定結果に基づく変動演出)が行われる。これに加え、第1時短状態及び確変状態Aでは、第2時短フラグがOFFとなっているため、第3始動口25への遊技球の入球に基づいて第1特別図柄に係る事前判定(第1事前判定)が行われ、その事前判定結果に係る情報(第1事前判定情報)が特図1始動入球コマンドとして主制御部80から副制御部90へ送信(出力)される(図13を参照)。また、可能性は低いものの第2始動口21に遊技球が入球した場合には、当該入球に基づいて第2特別図柄に係る事前判定(第2事前判定)が行われ、その事前判定結果に係る情報(第2事前判定情報)が特図2始動入球コマンドとして主制御部80から副制御部90へ送信(出力)される(図13を参照)。
このことから第1時短状態及び確変状態Aでは、第1特別図柄に係る事前判定の結果(第1事前判定情報)に基づく予告演出(特図1保留先読み予告、第1事前判定演出)が実行可能とされるとともに、第2特別図柄に係る事前判定の結果(第2事前判定情報)に基づく予告演出(特図2保留先読み予告、第2事前判定演出)が実行可能とされる(図43を参照)。遊技者は、こうした変動演出や予告演出等を見ながら第1時短状態や確変状態Aでの遊技を進行させる。
これに対して、大当り遊技後の遊技状態が確変状態Bであり、その確変状態Bで普図当り遊技が実行される場合には、第2始動口21が第2開放パターンで開放する。第2開放パターンは、「6.0秒」の開放を1回行う開放パターンである(図44を参照)。確変状態Bでは、その第2開放パターンに基づく第2始動口21の開放(長開放)が行われる普図当り遊技が高頻度で実行されるため、第2始動口21への遊技球の入球可能性(入球頻度)は、他の遊技状態に比べて格段に高くなる。しかも、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の変動表示は、第1始動口20又は第3始動口25への入球に基づく第1特別図柄の変動表示に優先して実行される。したがって、確変状態Bでは、主として第2特別図柄の変動表示が行われることとなり、稀に第2特図保留が途切れて(特図2保留球数が「0」になって)そのときに第1特図保留が存在する場合には、第1特別図柄の変動表示が行われる。
このような確変状態Bでは、大当り確率が高確率に設定された状態(高確率状態)で第2特別図柄の変動表示が主として行われるなか、第1特別図柄の変動表示に起因する6R大当りの発生を回避して16R大当り(特に16R確変大当り)が発生することに期待を寄せながら、次の大当りが発生するまで右打ちにより遊技を進めることとなる。
また確変状態Bでは、第2特別図柄の変動表示が行われる場合、これに伴う演出図柄8の変動表示(第2特別図柄当否判定結果に基づく変動演出)が行われ、第1特別図柄の変動表示が行われる場合、これに伴う演出図柄8の変動表示(第1特別図柄当否判定結果に基づく変動演出)が行われる。さらに確変状態Bでは、第2時短フラグがONとなっているため、第3始動口25への遊技球の入球に基づく第1特別図柄に係る事前判定(第1事前判定)は行われない(第1事前判定情報が主制御部80から副制御部90へ出力されない)。その一方で、第2始動口21への遊技球の入球に基づく第2特別図柄に係る事前判定(第2事前判定)は行われ、その事前判定結果に係る情報(第2事前判定情報)が特図2始動入球コマンドとして主制御部80から副制御部90へ送信(出力)される(図13を参照)。
このことから確変状態Bでは、第1特別図柄に係る事前判定の結果(第1事前判定情報)に基づく予告演出(特図1保留先読み予告、第1事前判定演出)は実行不能とされ、第2特別図柄に係る事前判定の結果(第2事前判定情報)に基づく予告演出(特図2保留先読み予告、第2事前判定演出)が実行可能とされている(図43を参照)。遊技者は、こうした変動演出や特図2に係る予告演出等を見ながら確変状態Bでの遊技を進行させる。
以上の右打ちにより遊技を進行させる第1時短状態、確変状態A及び確変状態Bの何れかにおいて、第1特別図柄に係る大当りが発生した場合には、6R大当り遊技を経て第1時短状態、確変状態A又は確変状態Bに移行する。また、第2特別図柄に係る大当りとしては、「16R第4大当り」及び「16R第5大当り」の2種類が設けられていることから(図6を参照)、第2特別図柄に係る大当りが発生した場合には、16R大当り遊技を経て第1時短状態又は確変状態Bに移行する。
また、例えば、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aの何れかにおいて6R第1大当りが発生したときに、第1特図保留(特図1演出保留情報)が2つ以上記憶されていたとする。この場合、6R第1大当りを契機とする確変状態Bへの移行にあたり、特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容は前述のように初期化されないため、確変状態Bに移行した後も、6R第1大当りが発生した時点での特図1演出保留情報は記憶されている。その後、第2特別図柄の変動表示(優先変動)が主となる確変状態Bでは、第1特別図柄の変動表示は実行され難いので、先の6R第1大当りが発生したとき(確変状態Bとなったとき)に記憶されていた第1特図保留(特図1演出保留情報)は、確変状態Bが終了して第1時短状態に移行する時点においても、未だ記憶されている(残っている)可能性がある。このため、先の6R第1大当り発生時に記憶されていた特図1演出保留情報に基づく特図1保留先読み予告(第1事前判定演出)が、確変状態Bを経て第1時短状態に移行した後(戻った後)に実行され得ることとなる。尚、このような確変状態B終了後の特図1演出保留情報に基づく特図1保留先読み予告は、例えば、大当り遊技後の遊技状態が通常状態(低確率状態かつ非時短状態)となる特図2大当り(特図2通常大当り)を備えており、確変状態Bから大当りを経て通常状態へ移行した場合にも、同様に実行され得る。
さらに、例えば、確変状態Bにおいて16R第5大当りが発生したときに、第2特図保留(特図2演出保留情報)が2つ以上記憶されていたとする。この場合、16R第5大当りを契機とする第1時短状態への移行にあたり、特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容は前述のように初期化されないため、第1時短状態に移行した後も、その特図2演出保留情報は記憶されている。第1時短状態は、第1特別図柄の変動表示が主となる遊技状態であるものの、第2特図保留が記憶されている場合には第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)が優先される。このため、確変状態Bにて記憶された第2特図保留(特図2演出保留情報)が第1時短状態に移行する際に未だ記憶されている(残っている)場合、その特図2演出保留情報に基づく特図2保留先読み予告(第2事前判定演出)が、第1時短状態への移行直後から実行され得ることとなる。尚、このような確変状態B終了後の特図2演出保留情報に基づく特図2保留先読み予告は、例えば、前述のように大当り遊技後の遊技状態が通常状態となる特図2通常大当りを備えており、確変状態Bから大当りを経て通常状態へ移行した場合にも、同様に実行され得る。
また、例えば、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aの何れかにおいて6R第1大当りが発生したときに、特図1保留先読み予告が行われていた、すなわち、特図1保留先読み予告の実行期間であったとする。この場合、6R第1大当りを契機とする確変状態Bへの移行にあたり、保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は前述のように初期化されないため、確変状態Bに移行した後も、6R第1大当りが発生した時点での保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタは記憶(保持)されている。その後、第2特別図柄の変動表示(優先変動)が主となる確変状態Bでは、第1特別図柄の変動表示は実行され難いので、先の6R第1大当りが発生したとき(確変状態Bとなったとき)に記憶されていた第1特図保留は、確変状態Bが終了して第1時短状態に移行する時点においても、未だ消化されずに記憶されている(残っている)可能性がある。このため、先の6R第1大当り発生時に記憶されていた保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に基づく特図1保留先読み予告(第1事前判定演出)が、確変状態Bを経て第1時短状態に移行した後(戻った後)に実行され得ることとなる。尚、特図1保留先読み予告の実行期間中の6R第1大当りを契機とする確変状態Bにおいて、第1特図保留が消化された(第1特別図柄の変動表示が実行された)場合、保留先読み予告カウンタは減算(1ディクリメント)されるものの、特図1保留先読み予告は実行されない。前述のように、確変状態Bでは第1事前判定演出が実行不能だからである。
このような確変状態B移行前(開始前)の保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に基づく、確変状態B終了後の特図1保留先読み予告は、例えば、大当り遊技後の遊技状態が通常状態(低確率状態かつ非時短状態)となる特図2大当り(特図2通常大当り)を備えており、確変状態Bから大当りを経て通常状態へ移行した場合にも、同様に実行され得る。
さらに、確変状態Bにおいて16R第5大当りが発生したときに、特図2保留先読み予告が行われていた、すなわち、特図2保留先読み予告の実行期間であったとする。この場合、16R第5大当りを契機とする第1時短状態への移行にあたり、保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は前述のように初期化されないため、第1時短状態に移行した後も、16R第5大当りが発生した時点での保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタは記憶(保持)されている。第1時短状態は、第1特別図柄の変動表示が主となる遊技状態であるものの、第2特図保留が記憶されている場合には第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)が優先される。このため、先の16R第5大当り発生時に記憶されていた保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に基づく特図2保留先読み予告(第2事前判定演出)が、確変状態Bを経て第1時短状態に移行した後(戻った後)にも継続して実行可能となる。このような確変状態B終了後の保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に基づく特図2保留先読み予告は、例えば、前述のように大当り遊技後の遊技状態が通常状態となる特図2通常大当りを備えており、確変状態Bから大当りを経て通常状態へ移行した場合にも、同様に実行され得る。
[実施例1の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動表示が実行可能な遊技状態として、「通常状態」、「第1時短状態」、「確変状態A」及び「確変状態B」の何れかが設定可能とされている。そのうち、通常状態は左打ちにより遊技を進行させる状態(「左打ち状態」ともいう。)とされ、第1時短状態、確変状態A及び確変状態Bは夫々右打ちにより遊技を進行させる状態(「右打ち状態」ともいう。)とされる。右打ち状態(つまり特定遊技状態)では、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動するため、左打ち状態(つまり非特定遊技状態)に比して普図当り遊技の実行頻度が高くなり、その結果、可変始動口(可変入球口)としての第2始動口21が開放する機会が左打ち状態よりも増えて、第2始動口21への遊技球の入球可能性が左打ち状態よりも高くなる。
そして、右打ち状態のうち、第1時短状態及び確変状態A(第1の特定遊技状態)では、普図当り遊技にて第2始動口21が第1開放パターンで開放するため、第2始動口21よりも第3始動口25への遊技球の入球頻度が高くなる。このため、第1時短状態及び確変状態Aでは、第1特別図柄の変動表示が主として行われるなか、稀に実行され得る第2特別図柄の変動表示の結果として16R大当りが発生することに期待を寄せながら遊技を進めるといった遊技性となる。
一方、同じ右打ち状態である確変状態B(第2の特定遊技状態)では、普図当り遊技にて第2始動口21が第2開放パターンで開放するため、第3始動口25よりも第2始動口21への遊技球の入球頻度が高くなる。このため、確変状態Bでは、第2特別図柄の変動表示が主として行われるなか、稀に実行され得る第1特別図柄の変動表示の結果として6R大当りが発生するのを回避しつつ第2特別図柄の変動表示の結果として16R大当りが発生することに期待を寄せながら遊技を進めるといった遊技性となる。
このように本実施例のパチンコ遊技機1によれば、同じ右打ち状態であるにもかかわらず、優先変動の対象でない第1特別図柄の変動表示が主として行われる遊技状態(本例では第1時短状態、確変状態A)と、優先変動の対象である第2特別図柄の変動表示が主として行われる遊技状態(本例では確変状態B)との2種類の遊技状態(第1の特定遊技状態、第2の特定遊技状態)が設定可能とされており、それぞれの遊技状態に異なる遊技性を持たせている。これにより、従来にはない新たな遊技性を実現して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
また、右打ち状態のうち、第1特別図柄の変動表示が主として行われる第1時短状態及び確変状態Aでは、主制御部80から副制御部90に対して第1事前判定情報が出力可能とされているため、第1特別図柄に係る事前判定の結果に基づく予告演出(第1事前判定演出)が実行可能とされている。さらに第1時短状態及び確変状態Aでは、主制御部80から副制御部90に対して第2事前判定情報も出力可能とされているため、第2特別図柄に係る事前判定の結果に基づく予告演出(第2事前判定演出)も実行可能とされている。一方、右打ち状態のうち、第2特別図柄の変動表示が主として行われる確変状態Bでは、主制御部80から副制御部90に対して第1事前判定情報が出力不能とされ第2事前判定情報が出力可能とされているため、第1事前判定演出は実行不能とされ第2事前判定演出は実行可能とされている。
このため、第1時短状態及び確変状態Aでは、第1事前判定演出と第2事前判定演出の双方が実行可能とされるなか、主として第1事前判定演出が実行され得る遊技性となり、その演出効果により遊技興趣を向上させることが可能となる。また、確変状態Bでは、第1事前判定演出は実行されずに第2事前判定演出が実行され得る遊技性となるため、優先変動の対象である第2特別図柄の変動表示が主として行われる遊技状態に適した演出(例えば、遊技の公平性を担保した演出)が実行可能となり、その演出効果により遊技興趣を向上させることが可能となる。
また、主制御部80から副制御部90への第1事前判定情報の出力を、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aでは可能とし、確変状態Bでは不能としている。このような第1事前判定情報の出力制御により、第1事前判定演出の実行を精度良く制御することが可能となる。
また、特図1演出保留情報記憶領域(第1事前判定情報記憶手段)の記憶内容及び特図2演出保留情報記憶領域(第2事前判定情報記憶手段)の記憶内容並びに保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は、何れも遊技状態の変化を契機として初期化されることがないものとされている。このため、例えば、第1特別図柄の変動表示が主となる通常状態や第1時短状態(非特定遊技状態)での大当り(例えば6R第1大当り)の発生を契機として、第2特別図柄の変動表示が主となる確変状態B(特定遊技状態)に移行しても、特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は初期化されることなく、確変状態Bへ移行後も保持可能となる。したがって、確変状態Bに移行したとき(6R第1大当りが発生したとき)の特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容(第1事前判定情報)や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(第1事前判定情報)を、確変状態Bが終了した後の第1時短状態での遊技に供することが可能となる。そして、確変状態Bでは第1事前判定演出が実行不能とされるものの、確変状態Bに移行したときの特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容(第1事前判定情報)に基づく第1事前判定演出や、確変状態Bに移行したときの保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(第1事前判定情報)に基づく第1事前判定演出が、確変状態B終了後の第1時短状態で実行可能となる。これにより、特図1の事前判定に関連する情報(特図1保留先読み情報、第1事前判定情報)を無駄にすることなく演出効果が得られるようになるため、遊技興趣の低下を抑制することが可能となる。
また、確変状態B(第2時短状態、特定遊技状態)が終了して第1時短状態(非特定遊技状態)となった場合、特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容(第2事前判定情報)や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は初期化されないため、第1時短状態となった後も、先の確変状態Bで記憶された特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容(第2事前判定情報)や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(第2事前判定情報)を保持して、その記憶内容や設定内容を第1時短状態での遊技に供することが可能となる。これにより、確変状態Bで記憶された特図2演出保留情報や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に基づく第2事前判定演出が、確変状態B終了後の第1時短状態で実行可能となるため、遊技興趣の低下を抑制することが可能となる。
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例は主に遊技盤2の盤面構成等が前述の実施例1と大きく異なっている。以下では、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と共通する部分についての説明は省略する。
図46は、本実施例のパチンコ遊技機1が備える遊技盤2の構成(盤面構成)を示すものであり、図3に置き換わるものである。本実施例の遊技盤2は、図46に示すように、遊技領域3(右遊技領域3B)における始動口や大入賞口等の配置構成が実施例1(図3を参照)と異なっている。
図46に示すように、遊技領域3におけるセンター装飾体10の右下部には、大入賞口300及び該大入賞口300を開閉する開閉部材(羽根部材)320を備えた大入賞装置310が設けられている。開閉部材320は、大入賞口ソレノイド33(図5を参照)により駆動されるもので、遊技盤面の左右(水平)方向に沿って回動(傾動)可能に設けられている。大入賞口310は、開閉部材320が開状態(図46に示す状態)にあるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、図46に示すように、遊技領域3における大入賞装置310より下方の領域(右遊技領域3B)には、普通電動役物としての第1可変入賞装置220と、第2種非電役物としての第2可変入賞装置230及び第3可変入賞装置240と、普通図柄の変動表示の実行契機となるゲート280とが、この順で上流側から下流側にかけて設けられている。
第1可変入賞装置220は、第2種非電役物としての第2可変入賞装置230及び第3可変入賞装置240を開放させるための作動口221と、作動口221を開閉するための出没式の可動部材(開閉部材)222と、を備えている。前述の実施例1では、第2特別図柄の変動表示の実行契機となる第2始動口21を備える可変入賞装置22を普通電動役物としていたが、これに換えて本実施例では、作動口221を備える第1可変入賞装置220を普通電動役物としている。
可動部材222は、実施例1に係る第2始動口21を開閉する可動部材23よりも小さな略長方形板状(長板状)とされるものであり、その上面が遊技球通路を形成する点は、実施例1と同様である。作動口221に入球することなく可動部材222の上面を通過(転動)する遊技球は、その上面の傾斜に沿って、第2可変入賞装置230、第3可変入賞装置240及びゲート280が配置された側(左斜め下方)へ流下していく。
本実施例に係る第1可変入賞装置220の動作原理は、実施例1に係る可変入賞装置22の動作原理と基本的に同様である。すなわち、ゲート280への遊技球の通過に基づいて行われる普通図柄の当否判定で当りと判定され、その判定結果に基づく普通図柄の変動表示の結果として当り普通図柄(普図当り図柄)が表示された場合に、可動部材222が動作(開動作)して作動口221が開放する。つまり、普図当り遊技として作動口221の開放が行われる。但し、本実施例に係る作動口221の開閉パターン(可動部材222の動作パターン)は、実施例1に係る第2始動口21の開閉パターン(可動部材23の動作パターン)と異なるものとなっている。本実施例に係る作動口221の開閉パターンについては後述する。
尚、実施例1の第2始動口ソレノイド24(図5を参照)は、本実施例において、可動部材222を駆動する作動口ソレノイドに置き換わるものである。また、作動口221は、その開放中(普図当り遊技中)に規定数の遊技球が入球することで閉鎖するものであり、本実施例ではその規定数が「3個」とされている。作動口221の開放時間の経過前に規定数の入球があった場合、当該入球をもって1回の普図当り遊技が終了する。さらに、作動口221への遊技球1個の入球に対して払い出される賞球の数は「1個」とされている。
第2可変入賞装置230は、第2特別図柄の変動表示の実行契機となる第2始動口231と、第2始動口231を開閉する開閉部材(羽根部材)232と、を備えている。また、第3可変入賞装置240は、第1特別図柄の変動表示の実行契機となる第3始動口241と、第3始動口241を開閉する開閉部材(羽根部材)242と、を備えている。これら開閉部材232,242の開閉動作により、第2始動口231及び第3始動口241は、それぞれ第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能とされる。第2始動口231及び第3始動口241は、それぞれ開閉部材232,242が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となり、開閉部材232,242が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となる。第2始動口231への遊技球1個の入球に対して払い出される賞球の数および第3始動口241への遊技球1個の入球に対して払い出される賞球の数は、それぞれ「1個」とされている。尚、本実施例の第2始動口231(第2可変入賞装置230)及び第3始動口241(第3可変入賞装置240)は、それぞれ本発明の「可変入球口」の一態様に相当する。
第2始動口231(第2可変入賞装置230)及び第3始動口241(第3可変入賞装置240)は、それぞれ第2種非電動役物として設けられる可変式の入球口(可変入球口)である。第2始動口231及び第3始動口241が閉状態(入球不能状態)にあるときに、遊技球が作動口221に入球すると、その入球した遊技球から受ける作用によって開閉部材232,242の何れかが動作(開動作)して、第2始動口231又は第3始動口241が開状態(入球可能状態)となる。そして、開状態となった始動口に遊技球が所定個数(例えば1個又は2個)入球すると、その入球した遊技球から受ける作用により当該始動口は閉状態となる。こうした第2種非電動役物としての始動口(第2始動口231、第3始動口241)の開閉機構(開閉構造)は公知の機構を採用することができ、例えば、特開2010−125079号公報に開示されているような技術を採用することが可能である。
第2始動口231と第3始動口241の何れが開放するかは、作動口221に入球した遊技球が、遊技盤2の裏面側に形成された遊技球通路(遊技球排出路)を介して、第2始動口231の開閉機構側(図示せず)又は第3始動口241の開閉機構側(図示せず)に振り分けられるかによって決まる。この遊技球の振り分けは、作動口221への遊技球の入球タイミングによって異なるものとなっており、その入球タイミングが、作動口221の開閉パターン(可動部材222の動作パターン)によって調整可能となっている。
図47は、作動口221に入球した遊技球の振り分け原理(振り分け機構)を示す説明図である。作動口221に入球した遊技球は、遊技盤2の裏面側に形成された遊技球通路500を流下して遊技機外に排出されるのであるが、遊技球通路500は図示のように、第3始動口241(第3可変入賞装置240)の開閉機構側を通る第1通路501と、第2始動口231(第2可変入賞装置230)の開閉機構側を通る第2通路502とに分岐しており、この何れかの通路を介して遊技機外に排出される。そして、作動口221に入球した遊技球が第1通路501を流下して排出される場合には、その排出過程で遊技球が第3始動口241の開閉機構に作用して開閉部材242を開動作させ、これにより第3始動口241が開状態となる(図47(a)を参照)。一方、作動口221に入球した遊技球が第2通路502を流下して排出される場合には、その排出過程で遊技球が第2始動口231の開閉機構に作用して開閉部材232を開動作させ、これにより第2始動口231が開状態となる(図47(b)を参照)。
第1可変入賞装置220は、作動口221に入球した遊技球を第1通路501又は第2通路502に振り分けるための可動片223を備えている。可動片223は、主制御部80の制御下で駆動されるソレノイド類(図5を参照)の一種として設けられる可動片ソレノイド(図示せず)によって駆動されるものである。本実施例では、可動片223が遊技球通路500外に位置する状態と遊技球通路500内に位置する状態とを採り得るように、可動片ソレノイドの駆動によって可動片223が遊技盤面に対し前後方向に移動可能(スライド可能)とされている。
この可動片223は、作動口221の開放動作(可動部材222の動作)の開始を契機として一定の動作(可動片ソレノイドのON/OFF)を開始し、普図当り遊技の終了によりその動作を終えるものである。可動片ソレノイドがOFFのとき、すなわち可動片223が動作していないときは(非動作状態)、遊技球通路500外に位置する状態とされ、可動片ソレノイドがONのとき、すなわち可動片223が動作したときは(動作状態)、遊技球通路500内に位置する状態とされる。図47では、非動作状態にある可動片223を破線で示し、動作状態にある可動片223を実線で示している。
本実施例の可動片223の動作パターン(一定の動作)は、図48に示すように、作動口221の最初の開放開始(可動部材222の開放動作開始)から0.1秒(100ms)が経過したタイミングで、可動片ソレノイドが0.1秒(100ms)ONとなった後にOFFとなる。これにより、可動片223は遊技球通路500内に0.1秒だけ位置し、直ぐに非動作状態となる。その後、2.8秒(2800ms)が経過したタイミング(作動口221の最初の開放開始から3.0秒が経過したタイミング)で作動口221の開放動作が引き続き行われる場合(普図当り遊技が継続する場合)、可動片ソレノイドが再びONとなり、この状態が最大3.0秒(3000ms)維持される(図48(b)を参照)。この間、可動片223は遊技球通路500内に位置する状態(動作状態)となる。そして、3.0秒(作動口221の最初の開放開始から6.0秒)が経過すると、可動片ソレノイドがOFFとなり、可動片223は遊技球通路500外に位置する状態(非動作状態、初期状態)となる。こうした可動片223の動作パターンを考慮して、普図当り遊技での作動口221の開放パターンが定められている。
作動口221の開放パターンは、前述した実施例1と同様に、普図当り遊技が実行されるとき(普図当り図柄が停止表示されたとき)の遊技状態に応じて定まるものとなっている。作動口221の開放パターンとして、通常状態、第1時短状態及び確変状態Aにて普図当り遊技が実行される場合に用いられる第1開放パターンと、確変状態B(第2時短状態)で普図当り遊技が実行される場合に用いられる第2開放パターンと、が設けられている。
本実施例に係る作動口221の第1開放パターンは、図48(a)に示すように、普図当り遊技の開始に伴い作動口ソレノイドがONとなって作動口221が開放し、この状態が3.0秒間(3000ms)維持された後、作動口ソレノイドがOFFとなって作動口221が閉鎖し、これにより普図当り遊技が終了するパターンである。つまり、作動口221の第1開放パターンは、1回の長開放(本例では3秒開放)とされている。
これに対し、本実施例に係る作動口221の第2開放パターンは、図48(b)に示すように、普図当り遊技の開始に伴い、作動口ソレノイドが0.1秒(100ms)のONと0.9秒(900m)のOFFを3回繰り返すことにより作動口221が短開放(ショート開放、一瞬開放)を3回行う。その後、作動口ソレノイドが再びONとなって作動口221が開放し、この状態が3.0秒間(3000ms)維持された後、作動口ソレノイドがOFFとなって作動口221が閉鎖し、これにより普図当り遊技が終了するパターンである。つまり、作動口221の第2開放パターンは、3回の短開放(本例では0.1秒開放×3回)と1回の長開放(本例では3秒開放)との組み合わせとされている。
このような作動口221の開放パターンと可動片223の動作パターンとの関係から、普図当り遊技にて作動口221が第1開放パターンで開放する場合、その開放に伴って可動片223は0.1秒動作するだけなので、作動口221の開放中(開放開始から開放終了までの3秒間)のほとんどは、遊技球通路500外に可動片223が位置した状態となる(図47(a)を参照)。このため、作動口221が第1開放パターンで開放する場合、作動口221に入球した遊技球が第2通路502に誘導される可能性は極めて低く、ほとんどの遊技球が第1通路501に誘導される(第1通路501に誘導されやすくなる)。
一方、普図当り遊技にて作動口221が第2開放パターンで開放する場合、作動口221は3回の短開放を行った後に1回の長開放(3秒開放)を行うが、そのうちの最初(1回目)の短開放が終了するタイミングで可動片223が0.1秒だけ動作し、その後、作動口221の長開放が開始されるまで、可動片223は遊技球通路500外に位置した状態(非動作状態)となる。そして、作動口221の長開放の開始タイミングに合わせて可動片223が再び動作を開始し、その後、作動口221が開放している間(最大3.0秒間)、可動片223は遊技球通路500内に位置した状態(動作状態)となる(図47(b)を参照)。このため、作動口221が第2開放パターンで開放する場合、作動口221に入球した遊技球が第1通路501に誘導される可能性は極めて低く、ほとんどの遊技球が第2通路502に誘導される(第2通路502に誘導されやすくなる)。
以上のように構成された本実施例のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動表示が行われる遊技状態である「通常状態」、「第1時短状態」、「確変状態A」及び「確変状態B」のうち、通常状態での遊技(左打ち遊技)については前述の実施例1と同様である。また、大当り遊技についても前述の実施例1と同様である。一方、第1時短状態、確変状態A及び確変状態Bでの遊技(右打ち遊技)については、次のように進行していく。
すなわち、大当り遊技後の遊技状態が第1時短状態(低確率状態かつ第1時短状態)であり、その第1時短状態で普図当り遊技が実行される場合と、大当り遊技後の遊技状態が確変状態Aであり、その確変状態Aで普図当り遊技が実行される場合には、作動口221が第1開放パターンで開放する(図48(a)を参照)。第1時短状態及び確変状態A(第1の特定遊技状態)では、その第1開放パターンに基づく作動口221の開放が行われる普図当り遊技が高頻度で実行され、第1開放パターンに基づいて開放する作動口221に入球した遊技球は、そのほとんどが第1通路501に誘導される(図47(a)を参照)。このため、第1時短状態及び確変状態Aでは、遊技球が作動口221に入球する度に、その入球した遊技球から受ける作用により第3始動口241が開状態となるので、第3始動口241が高頻度で開放して、第3始動口241への入球が高頻度で発生することとなる。したがって、第1時短状態及び確変状態Aでは主に、第3始動口241への入球に基づく第1特別図柄の変動表示が行われる。このような第1時短状態及び確変状態Aは、第2始動口231よりも第3始動口241の方に遊技球が入球しやすい「第3始動口241の入球容易状態」(第1の入球容易状態、第1の特定遊技状態)であるといえる。
そして、第1時短状態では、大当り確率が低確率に設定された状態(低確率状態)で第1特別図柄の変動表示が行われるなか、特に確変状態Bの設定契機となる6R確変大当り(6R第1大当り)の発生に期待を寄せながら、特図変動表示が100回行われるまで右打ちにより遊技を進めることとなる。
また、確変状態Aでは、大当り確率が高確率に設定された状態(高確率状態)で第1特別図柄の変動表示が行われるなか、特に確変状態Bの設定契機となる6R確変大当り(6R第1大当り)の発生に期待を寄せながら、次の大当りが発生するまで右打ちにより遊技を進めることとなる。
さらに、第1時短状態及び確変状態Aでは、前述した実施例1と同様に、第1特別図柄の変動表示に伴って変動演出が実行されるとともに、第1事前判定情報に基づく第1事前判定演出が実行され得る。
これに対して、大当り遊技後の遊技状態が確変状態Bであり、その確変状態Bで普図当り遊技が実行される場合には、作動口221が第2開放パターンで開放する(図48(b)を参照)。確変状態B(第2の特定遊技状態)では、その第2開放パターンに基づく作動口221の開放が行われる普図当り遊技が高頻度で実行され、第2開放パターンに基づいて開放する作動口221に入球した遊技球は、そのほとんどが第2通路502に誘導される(図47(b)を参照)。このため、確変状態Bでは、遊技球が作動口221に入球する度に、その入球した遊技球から受ける作用により第2始動口231が開状態となるので、第2始動口231が高頻度で開放して、第2始動口231への入球が高頻度で発生することとなる。したがって、確変状態Bでは主に、第2始動口231への入球に基づく第2特別図柄の変動表示が行われる。このような確変状態Bは、第3始動口241よりも第2始動口231の方に遊技球が入球しやすい「第2始動口231の入球容易状態」(第2の入球容易状態、第2の特定遊技状態)であるといえる。
このような確変状態Bでは、大当り確率が高確率に設定された状態(高確率状態)で第2特別図柄の変動表示が行われるなか、特に確変状態Bの設定契機となる16R確変大当り(16R第4大当り)の発生(確変継続)に期待を寄せながら、次の大当りが発生するまで右打ちにより遊技を進めることとなる。
また確変状態Bでは、前述した実施例1と同様に、第2特別図柄の変動表示に伴って変動演出が実行されるとともに、第2事前判定情報に基づく第2事前判定演出が実行され得る。
[実施例4の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、右打ち状態のうち、第1時短状態及び確変状態A(第1の特定遊技状態)では、普図当り遊技にて作動口221が第1開放パターンで開放し、その作動口221に入球した遊技球は極めて高い確率(略100%の確率)で第1通路501(遊技球通路500)に誘導される。このため、第1時短状態及び確変状態Aでは、作動口221に遊技球が入球する度に、第2始動口231及び第3始動口241のうち第3始動口241が開放されることとなり、第2始動口231よりも第3始動口241への遊技球の入球頻度が高くなる。したがって、第1時短状態及び確変状態Aでは、第1特別図柄の変動表示が主として行われるなか、特に6R確変大当り(6R第1大当り)の発生に期待を寄せながら遊技を進めるといった遊技性となる。
一方、同じ右打ち状態である確変状態B(第2の特定遊技状態)では、普図当り遊技にて作動口221が第2開放パターンで開放し、その作動口221に入球した遊技球は極めて高い確率(略100%の確率)で第2通路502(遊技球通路500)に誘導される。このため、確変状態Bでは、作動口221に遊技球が入球する度に、第2始動口231及び第3始動口241のうち第2始動口231が開放されることとなり、第3始動口241よりも第2始動口231への遊技球の入球頻度が高くなる。したがって、確変状態Bでは、第2特別図柄の変動表示が主として行われるなか、特に16R確変大当り(16R第4大当り)の発生に期待を寄せながら遊技を進めるといった遊技性となる。
このように本実施例においても、同じ右打ち状態であるにもかかわらず、優先変動の対象でない第1特別図柄の変動表示が主として行われる遊技状態と、優先変動の対象である第2特別図柄の変動表示が主として行われる遊技状態との2種類の遊技状態(第1の特定遊技状態、第2の特定遊技状態)が設定可能とされており、それぞれの遊技状態に異なる遊技性を持たせている。これにより、従来にはない新たな遊技性を実現して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
尚、本実施例においても、前述した実施例2の構成を採ることが可能であり、また、前述した実施例3のように各始動口231,始動口242と各特別図柄(第1特別図図柄、第2特別図柄)との対応関係を定めることも可能である。
以上、本発明の実施形態として実施例1〜4を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
例えば、前述の実施例1において、右打ち状態のうち第1時短状態及び確変状態Aでは第1開放パターンに基づいて第2始動口21が開放することで、第2始動口21よりも第3始動口25への入球頻度(第1特別図柄の変動表示の実行頻度)が高まる状態(第1の特定遊技状態)となり、確変状態Bでは第2開放パターンに基づいて第2始動口21が開放することで、第3始動口25よりも第2始動口21への入球頻度(第2特別図柄の変動表示の実行頻度)が高まる状態(第2の特定遊技状態)となる構成としていた。つまり、右打ちにより遊技を進行させる特定遊技状態として第1の特定遊技状態及び第2の特定遊技状態の2種類を設定可能としていた。これに対し、第2始動口21の開放パターンとして、例えば、前述の第1開放パターン及び第2開放パターンに加え、第2始動口21への入球可能性が前述の第1開放パターンよりもさらに低くなる第3開放パターンや、第2始動口21への入球可能性が前述の第1開放パターンよりも高くなり前述の第2開放パターンよりも低くなる第4開放パターン、第2始動口21への入球可能性が前述の第2開放パターンよりもさらに高くなる第5開放パターン等、第2始動口21への入球可能性が互いに異なる3種以上の開放パターンを設けてもよい。この場合、例えば、第3開放パターンに基づいて第2始動口21が開放する第3の特定遊技状態、第4開放パターンに基づいて第2始動口21が開放する第4の特定遊技状態、第5開放パターンに基づいて第2始動口21が開放する第5の特定遊技状態など、右打ち状態としての特定遊技状態の更なる多様化を図ることが可能となる。これにより、特定遊技状態(右打ち状態)における第2始動口21及び第3始動口25の夫々の入球可能性(入球頻度)をより細かく定めることが可能となり、特定遊技状態の興趣をより一層向上させることが可能となる。
また、前述の実施例4では、作動口221(普通電動役物)への入球に基づいて開放する始動口(第2種非電動役物)として、第2特別図柄に対応する第2始動口231と、第1特別図柄に対応する第3始動口241とを設け、作動口221の開放パターン(第1開放パターン、第2開放パターン)と可動片223の動作パターンとの関係によって、第3始動口241への入球頻度が高くなる第1の特定遊技状態(第1時短状態、確変状態A)または第2始動口231への入球頻度が高くなる第2の特定遊技状態(確変状態B)が設定される構成としていた。これに対し、作動口221の開放パターンとして、例えば、作動口221への遊技球の入球可能性や入球タイミングが前述の第1開放パターン及び第2開放パターンと異なる第3開放パターンや、その入球可能性や入球タイミングが第1〜第3開放パターンと異なる第4開放パターン等、作動口221への入球可能性や入球タイミングが互いに異なる3種以上の開放パターンを設けてもよい。この場合、例えば、第3開放パターンに基づいて作動口221が開放する第3の特定遊技状態、第4開放パターンに基づいて作動口221が開放する第4の特定遊技状態など、右打ち状態としての特定遊技状態の更なる多様化を図ることが可能となる。これにより、作動口221への入球に基づき開放することとなる始動口の種類が多様に変化する遊技性が得られるようになり、第2種非電動役物からなる始動口を備えた遊技機の遊技興趣をより一層向上させることが可能となる。
また、前述の実施例1では、時短状態として、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動せず、第2始動口21が第1開放パターンで開放する第1時短状態(第1の特定遊技状態)を設けていたが、時短状態としてそのような第1時短状態を設けずに、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動して第2始動口21が第2開放パターンで開放する時短状態(実施例1の第2時短状態に相当)だけを設けることとしてもよい。具体的に、例えば、特別図柄の変動表示が実行可能な遊技状態として「通常状態」(低確率状態かつ非時短状態)と、前述の第2時短状態に相当する「時短状態」(低確率状態かつ時短状態)と、前述の確変状態Bに相当する「確変状態」(高確率状態かつ時短状態)との3種類を設定可能とする。この場合、「通常状態」は、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の変動表示が主となる遊技状態(非特定遊技状態)となり、「時短状態」及び「確変状態」は、第2始動口21への遊技球の入球頻度が通常状態よりも高まることで、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の変動表示が主となる遊技状態(特定遊技状態)となる(第3始動口25の有無は問わない)。このような構成(仕様)において、「通常状態」(左打ち状態)では、主制御部80から副制御部90に対して第1事前判定情報と第2事前判定情報の双方が出力可能とされ、第1事前判定演出と第2事前判定演出の双方が実行可能とされるものとし、「時短状態」及び「確変状態」(右打ち状態)では、主制御部80から副制御部90に対して第1事前判定情報が出力不能とされ第2事前判定情報が出力可能とされて、第1事前判定演出が実行不能とされ第2事前判定演出が実行可能とされるものとする。
このような構成においても、例えば、通常状態で時短大当りが発生し、当該大当り遊技を経て時短状態となる場合において、時短状態(特定遊技状態)となる時点(時短大当り発生時点)で記憶されている特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容(第1事前判定情報)や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(第1事前判定情報)を初期化することなく、時短状態終了後の通常状態(非特定遊技状態)まで保持可能とすることで、その記憶内容や設定内容を時短状態終了後の通常状態での遊技に供することが可能となる。また、時短状態(特定遊技状態)が終了して通常状態(非特定遊技状態)となる場合において、その時短状態中に記憶され通常状態となる時点で記憶されている特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容(第2事前判定情報)や保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容(第2事前判定情報)を、通常状態となる際に初期化することなく保持することで、その記憶内容や設定内容を時短状態終了後の通常状態での遊技に供することが可能となる。
また、前述の実施例1では、特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容及び特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容並びに保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容は、何れも遊技状態の変化を契機として初期化(リセット)されることがないものとしていた。これに対し、大当り発生時の特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容や、大当り発生時の特図1に係る保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容に関し、当該大当りに係る大当り遊技では初期化されず、当該大当り遊技後の特定遊技状態(例えば確変状態B)の開始又は終了に基づいて初期化されるものとしてもよい。つまり、大当りの発生(大当り遊技の実行)を契機として初期化されることはなく、特定遊技状態(例えば確変状態B)の開始又は終了を契機として初期化されるようにしてもよい。こうすれば、優先変動の対象である第2特別図柄の変動表示が主となる特定遊技状態での遊技者による技術介入の防止策を講じることが可能となるからである
また、「特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容並びに特図2に係る保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容が初期化されることなく、特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容並びに特図1に係る保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容が初期化される」ものとしたり、「特図1演出保留情報記憶領域の記憶内容及び特図2演出保留情報記憶領域の記憶内容並びに特図2に係る保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容が初期化されることなく、特図1に係る保留先読み予告フラグ及び保留先読み予告カウンタの設定内容が初期化される」ものとしたりするなど、少なくとも特図1の事前判定に関連する情報の一部又は全部が、大当り遊技の実行(開始)や特定遊技状態への移行に基づく初期化の対象とされるようにしてもよい。これによっても、優先変動の対象である第2特別図柄の変動表示が主となる特定遊技状態での遊技者による技術介入の防止策を講じることが可能となるからである。さらに、特図1の事前判定に関連する情報と特図2の事前判定に関連する情報の全部が初期化の対象とされるようにしてもよい。こうすれば、遊技者による技術介入の防止を図りつつ、事前判定に関連する情報の初期化処理の統一を図ることが可能となるからである。
また、前述の実施例では、第2特図保留を第1特図保留に優先して消化する制御処理、所謂特図2優先消化の制御処理としたが、これに限らず、第1特図保留を第2特図保留に優先して消化する制御処理、所謂特図1優先消化の制御処理としてもよい。さらに、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とに優先順位を設定せず、第1特図保留と第2特図保留のうち、最も古く記憶されたものから順に消化する制御処理、所謂入球順(記憶順)消化の制御処理としてもよい。また、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とを並行して実行可能な制御処理(所謂「同時変動機」)としてもよい。これら特図1優先消化、入球順消化及び同時変動機においても、主として変動表示される特別図柄の種類を遊技状態によって異ならせることが可能だからである。
また、前述の実施例では、大当り図柄の種類に基づいて確率変動機能を作動させるか否かを決定する1種タイプのパチンコ遊技機に本発明を適用したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、大入賞口(Vアタッカー)に確変作動口としての特定領域(V領域)を備え、大当り遊技中に遊技球が特定領域を通過(V通過)したか否かに基づいて確率変動機能を作動させるか否かを決定する1種タイプのパチンコ遊技機(所謂「V確機」)にも本発明を適用することが可能である。
さらに、特別図柄当否判定の結果が小当りとなることで入球可能となる大入賞口内に特定領域(V領域)を備え、小当り遊技の際にその大入賞口に入球した遊技球が特定領域を通過(V通過)すると大当りとなり、大当り遊技が実行される1種2種タイプのパチンコ遊技機にも本発明を適用することも可能である。この種のパチンコ遊技機では、左打ち状態である通常状態の遊技では1種遊技(特図1大当りを狙う遊技)を行い、右打ち状態である時短状態の遊技では2種遊技(特図2小当り経由のV大当りを狙う遊技)を行うのが一般的であるが、これに本発明を適用した場合、右打ち状態(時短状態)として、「特図1大当りを狙う遊技」が主となる遊技状態(第1特別図柄の変動表示が主として行われる状態)と、「特図2小当り経由のV大当りを狙う遊技」が主となる遊技状態(第2特別図柄の変動表示が主として行われる状態)とが設定可能となる。これにより、1種2種タイプのパチンコ遊技機において、従来にはない遊技性を実現して遊技興趣を向上させることが可能となる。
また、前述の実施例では、始動入球に基づく事前判定に関し、特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出して、当該読み出した取得乱数値(取得情報)を判定(事前判定)するものとしていたが(始動入球時処理(S205)、図13を参照)、事前判定の手法はこれに限定されるものではない。例えば、特図保留記憶部に加え、事前判定の対象となる取得情報(つまり、始動入球に基づいて取得された取得情報)を記憶する領域(取得情報記憶手段)を主制御部や副制御部のRAMに設け、当該記憶領域(事前判定用記憶部)に記憶した取得情報の事前判定を行ったり、始動入球に基づいて取得された取得情報の記憶前又は記憶とは別に当該取得情報の事前判定を行ったりするようにしてもよい。この場合、事前判定の結果を主制御部や副制御部のRAMに記憶することで、事前判定に用いた取得情報(別の記憶領域に記憶した取得情報)を消去することも可能である。
また、前述の実施例では、確率変動機能の非作動・作動により、大当り確率を低確率(第1確率)または高確率(第2確率)に設定可能としていたが、大当り確率の種類(数)はこれに限定されるものではなく、例えば、低確率(第1確率)よりも高く高確率(第2確率)よりも低い中確率(第3確率)等、3種類以上の確率を設定可能としてもよい。さらに、第1低確率と第1高確率(第1確率条件)、第2低確率と第2高確率(第2確率条件)、第3低確率と第3高確率(第3確率条件)など、低確率と高確率との関係を定めた複数種の確率条件を設け、当該複数種の確率条件のうちの何れかを、例えば、遊技機の電源投入時に任意に設定可能(選択可能)としてもよい。
[その他]
以下、本明細書で開示した実施形態(実施例)に関連する発明を参考発明として開示しておく。
(参考発明1)
従来、始動口への遊技球の入球に基づいて識別情報の変動表示が行われ、その変動表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて、賞球等の遊技利益が遊技者に付与される特別遊技が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機では、識別情報の変動表示や特別遊技の実行に伴って、リーチ演出や予告演出、特別遊技演出等の様々な演出が実行されるようになっており、遊技者は、そうした演出に注目しながら遊技を進めるのが一般的である。また、この種の遊技機では、特別遊技の終了後に、特別遊技とは別の特典が遊技者に付与され得るように構成されたものがある。特典としては、例えば、変動表示の表示結果が特定表示結果となる確率を通常よりも高くしたり、識別情報の変動表示時間を通常よりも短くしたり、遊技球の入球可能性が変化し得る可変入球口として始動口が構成される場合にその可変入球口(つまり可変始動口)への遊技球の入球頻度を通常よりも高くしたりすることが挙げられる(例えば、特開2009−95470号公報を参照)。
しかしながら、前述のように様々な演出に注目しながら遊技を進めたり、特別遊技の終了後に該特別遊技とは別の特典が付与されたりする等の遊技性は既に周知化しており、こうした遊技性を踏襲するだけでは、遊技興趣を向上させるのは困難である。
本参考発明1は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな遊技性を実現して、遊技興趣を向上させることにある。
前述の課題を解決するための参考発明1−1の遊技機は、
第1識別情報を表示する第1識別情報表示部と、
第2識別情報を表示する第2識別情報表示部と、
前記第1識別情報の変動表示の実行契機となる第1始動口と、前記第2識別情報の変動表示の実行契機となる第2始動口とにより構成される複数の始動口と、
遊技の進行に係る制御を行う主制御部と、を備え、
前記変動表示の表示結果が特定表示結果となることに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技が実行可能となり、
前記複数の始動口のうち少なくとも1つは、第1の態様と該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口とされており、
前記第1識別情報の変動表示に優先して前記第2識別情報の変動表示が実行可能とされる遊技機であって、
前記主制御部は、前記変動表示が実行可能とされる遊技状態として、非特定遊技状態よりも前記可変入球口への遊技球の入球可能性が高い特定遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段を含み、
前記遊技状態設定手段は、前記特定遊技状態を設定する場合、予め定められた複数の特定遊技状態のうち何れかを設定するように構成されており、
前記複数の特定遊技状態のうち第1の特定遊技状態が設定された場合には、前記第2始動口より前記第1始動口への遊技球の入球頻度が高くなり、
前記複数の特定遊技状態のうち第2の特定遊技状態が設定された場合には、前記第1始動口より前記第2始動口への遊技球の入球頻度が高くなる
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1識別情報に対応する第1始動口と、第2識別情報の変動表示に対応する第2始動口とにより構成される複数の始動口のうち、少なくとも1つが可変入球口とされており、その可変入球口への遊技球の入球可能性が非特定遊技状態に比べて高い特定遊技状態が設定される場合には、予め定められた複数の特定遊技状態のうちの何れかが設定される。その特定遊技状態として第1の特定遊技状態が設定されると、第2始動口より第1始動口への遊技球の入球頻度が高くなり、第2の特定遊技状態が設定されると、第1始動口より第2始動口への遊技球の入球頻度が高くなる。このため、複数の始動口のうち、可変入球口とされる始動口が第1始動口である場合、第2始動口である場合、又は第1始動口と第2始動口の双方である場合の何れにおいても、設定される特定遊技状態の種類によって、第2識別情報に対して優先されることのない第1識別情報の変動表示が主として行われる遊技状態となったり、第1識別情報に対して優先される第2識別情報の変動表示が主として行われる遊技状態となったりするといった、新たな遊技性が実現可能となる。これにより、遊技興趣を向上させることが可能となる。
尚、複数の始動口を構成する第1始動口及び第2始動口は、それぞれ1つ以上設けられるものであり、例えば、第1始動口及び第2始動口がそれぞれ1つずつ設けられる構成、第1始動口が1つ設けられて第2始動口が2つ設けられる構成、第1始動口が2つ設けられて第2始動口が1つ設けられる構成、第1始動口及び第2始動口の双方が2つ設けられる構成等を採ることが可能である。また、第1始動口及び第2始動口の何れか一方又は双方が3つ以上設けられる構成を採ることも可能である。
また、複数の特定遊技状態は、第1の特定遊技状態及び第2の特定遊技状態の2つの特定遊技状態により構成されるものであっても、第1の特定遊技状態及び第2の特定遊技状態を含む3つ以上の特定遊技状態により構成されるものであっても、どちらでもよい。
参考発明1−2の遊技機は、前述した参考発明1−1の遊技機において、
演出に係る制御を行う副制御部を備え、
前記副制御部は、前記主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であり、
前記主制御部は、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を行う第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定の結果に基づいて前記第1識別情報を変動表示させる第1識別情報制御手段と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を、前記第1判定手段による判定が行われるよりも前に行う第1事前判定手段と、をさらに含み、
前記第1の特定遊技状態が設定されている場合、前記第1事前判定手段による判定の結果に係る第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定が行われると、当該判定の結果に基づいて第1識別情報の変動表示が実行される。また、第1識別情報の変動表示を実行するにあたっての取得情報の判定よりも前に、その取得情報の判定(「事前判定」ともいう。)が行われる。そして、第2始動口より第1始動口への遊技球の入球頻度が高くなる第1の特定遊技状態では、第1始動口への入球に基づいて取得された取得情報の事前判定結果に係る第1事前判定情報が、主制御部から副制御部に対して出力可能とされる。副制御部は、主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であるため、主制御部からの第1事前判定情報に基づく演出(「第1事前判定演出」ともいう。)が、副制御部の制御下で実行可能となる。これにより、第1の特定遊技状態において第1事前判定演出が実行され得る遊技性を付加して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
参考発明1−3の遊技機は、前述した参考発明1−2の遊技機において、
前記遊技状態設定手段は、前記特別遊技の終了後に前記特定遊技状態を設定可能であり、
前記主制御部は、前記特別遊技の終了後に前記第1の特定遊技状態が設定される場合、該特別遊技の実行中に、前記第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、特別遊技の終了後に第1の特定遊技状態が設定される場合、その特別遊技の実行中に、主制御部から副制御部に対して第1事前判定情報が出力可能とされる。このため、第1の特定遊技状態が設定される前の特別遊技中から、第1事前判定情報に基づく演出(第1事前判定演出)が実行可能となる。これにより、特別遊技中に第1事前判定演出が実行され得る遊技性を付加して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
参考発明1−4の遊技機は、前述した参考発明1−2又は参考発明1−3の遊技機において、
前記主制御部は、前記第2の特定遊技状態が設定されている場合、前記第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力不能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1始動口より第2始動口への遊技球の入球頻度が高くなる第2の特定遊技状態では、主制御部から副制御部に対して第1事前判定情報が出力不能とされる。このため、第2の特定遊技状態では、第1識別情報に係る事前判定の結果に基づく演出(第1事前判定演出)が実行不能となる。これにより、第2識別情報の変動表示が主として行われる状況下(第2の特定遊技状態)では、第1識別情報に関連する第1事前判定演出が実行されない(出現しない)ようにして、第2の特定遊技状態に適した演出を実行することが可能となる。
参考発明1−5の遊技機は、前述した参考発明1−1の遊技機において、
演出に係る制御を行う副制御部を備え、
前記副制御部は、前記主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であり、
前記主制御部は、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を行う第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定の結果に基づいて前記第1識別情報を変動表示させる第1識別情報制御手段と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を、前記第1判定手段による判定が行われるよりも前に行う第1事前判定手段と、をさらに含み、
前記特別遊技の終了後に前記第1の特定遊技状態が設定される場合、該特別遊技の実行中に、前記第1事前判定手段による判定の結果に係る第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定が行われると、当該判定の結果に基づいて第1識別情報の変動表示が実行される。また、第1識別情報の変動表示を実行するにあたっての取得情報の判定よりも前に、その取得情報の判定(事前判定)が行われる。そして、特別遊技の終了後に第1の特定遊技状態が設定される場合、第1始動口への入球に基づいて取得された取得情報の事前判定結果に係る第1事前判定情報が、特別遊技の実行中に主制御部から副制御部に対して出力可能とされる。副制御部は、主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であるため、第1の特定遊技状態が設定される前の特別遊技中から、主制御部からの第1事前判定情報に基づく演出(第1事前判定演出)が、副制御部の制御下で実行可能となる。これにより、特別遊技中に第1事前判定演出が実行され得る遊技性を付加して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
以上の参考発明1によれば、新たな遊技性を実現して、遊技興趣を向上させることが可能となる。
(参考発明2)
従来、第1始動口に遊技球が入球すると第1識別情報の変動表示が実行され、第2始動口に遊技球が入球すると第2識別情報の変動表示が実行される遊技機が広く知られている。この種の遊技機において、第1識別情報の変動表示に優先して第2識別情報の変動表示が実行可能とされ、主に第1識別情報の変動表示が実行される遊技状態と、主に第2識別情報の変動表示が実行される遊技状態とを備えたものが存在する(例えば、特開2007−75217号公報を参照)。
上記遊技機では、遊技者による技術介入を防止する観点から、主に第2識別情報の変動表示が実行される遊技状態の際、優先的な変動表示の対象とならない第1識別情報に関連する予告演出が実行されないようにするのが一般的である。しかしながら、予告演出の実行を単に制限するだけでは、却って遊技興趣の低下を招く虞がある。
本参考発明2は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊技興趣の低下を抑制することが可能な遊技機を提供することにある。
前述の課題を解決するための参考発明2−1の遊技機は、
第1識別情報を表示する第1識別情報表示部と、
第2識別情報を表示する第2識別情報表示部と、
前記第1識別情報の変動表示の実行契機となる第1始動口と、
前記第2識別情報の変動表示の実行契機となる第2始動口と、を備え、
前記変動表示の表示結果が特定表示結果となることに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技が実行可能となり、
前記第2始動口は、第1の態様と該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口とされており、
前記第1識別情報の変動表示に優先して前記第2識別情報の変動表示が実行可能とされる遊技機であって、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を所定の変動開始条件の成立に基づいて行う第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定の結果に基づいて前記第1識別情報を変動表示させる第1識別情報制御手段と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を、前記第1判定手段による判定が行われるよりも前に行う第1事前判定手段と、
前記第1事前判定手段による判定に関連する第1事前判定情報を記憶可能な第1事前判定情報記憶手段と、
前記第1事前判定情報に基づく第1事前判定演出を実行可能な第1事前判定演出実行手段と、
前記変動表示が実行可能とされる遊技状態として、非特定遊技状態と、前記可変入球口への遊技球の入球可能性が前記非特定遊技状態よりも高くなる特定遊技状態と、を設定可能な遊技状態設定手段と、を備え、
前記非特定遊技状態が設定されている場合、前記第1事前判定演出が実行可能とされ、
前記特定遊技状態が設定された場合、前記第1事前判定情報記憶手段の記憶内容が初期化されることなく、前記第1事前判定演出が実行不能とされる
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、可変入球口(第2始動口)への遊技球の入球可能性が非特定遊技状態よりも高くなる特定遊技状態になると、第1事前判定手段による判定に関連する第1事前判定情報を記憶する第1事前判定情報記憶手段の記憶内容が初期化されることなく、第1事前判定演出が実行不能とされる。このため、特定遊技状態では第1事前判定演出が実行されないものの、特定遊技状態となったときの第1事前判定情報記憶手段の記憶内容(第1事前判定情報)を保持して、特定遊技状態が終了した後の非特定遊技状態での遊技に供することが可能となる。これにより、遊技興趣の低下を抑制することが可能となる。
尚、第1事前判定情報とは、例えば、第1事前判定手段による判定の対象となる取得情報を特定可能とする情報や、第1事前判定手段による判定の結果を特定可能とする情報、第1事前判定演出の実行有無を特定可能とする情報など、第1事前判定手段による判定に関連する様々な情報を意味する。
参考発明2−2の遊技機は、前述した参考発明2−1の遊技機において、
前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を所定の変動開始条件の成立に基づいて行う第2判定手段と、
前記第2判定手段による判定の結果に基づいて前記第2識別情報を変動表示させる第2識別情報制御手段と、
前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得された取得情報の判定を、前記第2判定手段による判定が行われるよりも前に行う第2事前判定手段と、
前記第2事前判定手段による判定に関連する第2事前判定情報を記憶可能な第2事前判定情報記憶手段と、
前記第2事前判定情報に基づく第2事前判定演出を実行可能な第2事前判定演出実行手段と、を備え、
前記特定遊技状態が設定されている場合、前記第2事前判定演出が実行可能とされ、
前記特定遊技状態が終了して前記非特定遊技状態が設定された場合、前記第2事前判定情報記憶手段の記憶内容が初期化されることなく、前記第2事前判定演出が実行可能とされる
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1事前判定演出が実行不能とされる特定遊技状態では、第2事前判定情報に基づく第2事前判定演出が実行可能とされる。そして、特定遊技状態が終了して非特定遊技状態になると、第2事前判定情報を記憶する第2事前判定情報記憶手段の記憶内容が初期化されることなく、第2事前判定演出が実行可能とされる。このため、第2事前判定演出が実行可能とされる特定遊技状態が終了して非特定遊技状態となった後も、第2事前判定情報記憶手段の記憶内容(第2事前判定情報)を保持して、非特定遊技状態での遊技に供することが可能となり、その記憶内容(第2事前判定情報)に基づく第2事前判定演出が実行可能とされる。これにより、遊技興趣の低下を抑制することが可能となる。
尚、第2事前判定情報とは、例えば、第2事前判定手段による判定の対象となる取得情報を特定可能とする情報や、第2事前判定手段による判定の結果を特定可能とする情報、第2事前判定演出の実行有無を特定可能とする情報など、第2事前判定手段による判定に関連する様々な情報を意味する。
参考発明2−3の遊技機は、前述した参考発明2−1又は参考発明2−2の遊技機において、
遊技の進行に係る制御を行う主制御部と、
演出に係る制御を行う副制御部と、を備え、
前記副制御部は、前記第1事前判定情報記憶手段と前記第1事前判定演出実行手段を含み、前記主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であり、
前記主制御部は、前記第1事前判定手段と前記遊技状態設定手段を含み、前記非特定遊技状態が設定されている場合に前記第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力可能であり、前記特定遊技状態が設定されている場合に前記第1事前判定情報を前記副制御部に対して出力不能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、非特定遊技状態では主制御部から副制御部に対して第1事前判定情報が出力可能とされ、特定遊技状態では主制御部から副制御部に対して第1事前判定情報が出力不能とされる。副制御部は、主制御部から出力される情報に基づいて演出の実行を制御可能であるため、非特定遊技状態では、主制御部からの第1事前判定情報に基づく第1事前判定演出が副制御部の制御下で実行可能となり、特定遊技状態では第1事前判定演出が実行不能となる。これにより、遊技状態(非特定遊技状態、特定遊技状態)に応じた第1事前判定演出の実行を精度良く制御することが可能となる。
以上の参考発明2によれば、遊技興趣の低下を抑制することが可能となる。