給湯システムにおいて給湯装置から吐水口への湯の供給を行っていない状況下では、例えば冬場において配管内に残っている水温が極低温になり、その配管内の水が全て吐水口から出るまでは、洗面台等において所望の温水が使えないという不都合が生じる。上述の如く吐水口の近くに瞬間給湯装置を設けた構成では、配管内に残っている水の急速加熱が可能であるものの、その熱量が限られることから、配管内の水が極低温である場合にはやはり配管内の水が全て吐水口から出るまでは所望の温水が得られないといった不都合が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、給湯を開始した際の応答性を好適に向上させることができる給湯システムを提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.給湯装置(給湯装置31)と、当該給湯装置から供給される湯を吐水口(吐水口22)に案内する配管(給湯管32)と、前記配管の途中位置に設けられた加熱装置(加熱装置35)とを有する給湯システム(給湯システム30)であって、
前記給湯装置と前記加熱装置との間に設けられた貯水タンク(貯水タンク36)を備え、
前記貯水タンクは、外部からの熱の吸収により当該貯水タンク内の水の温度が前記配管内の水の温度よりも高くなるように構成されていることを特徴とする給湯システム。
手段1によれば、給湯装置と加熱装置との間に溜まっている水は、吐水口に案内される際に加熱装置によって温められることとなる。この際、加熱装置の上流側に設けられた貯水タンクから当該加熱装置に水が供給される。貯水タンク内の水は外部の熱の吸収によって配管内の水よりも温かくなる。このようにして加熱装置に供給される水の温度を嵩上げすることにより、加熱装置を通じて吐水口へ供給される水の温度(吐水温)を引き上げることができる。故に、給湯装置から供給される水が吐水口に到達する前であっても冷たい水が流出することを抑制し、給湯開始時の応答性を好適に向上させることができる。
手段2.前記貯水タンクは、前記外部からの熱の吸収により当該貯水タンク内の水の温度が前記配管にて前記貯水タンクの上流側に溜まっている水の温度よりも高くなるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の給湯システム。
給湯が開始されることで給湯装置から吐水口に向けて水が移動する。故に、給湯経路において貯水タンクよりも上流側となる位置に溜まっている水よりも貯水タンク内の水の温度が高くなるようにすることには、手段1に示した効果を好適に発揮させることができるという技術的意義がある。
手段3.前記貯水タンクは、前記給湯装置及び前記加熱装置のうち前記加熱装置寄りとなる位置に配設されていることを特徴とする手段1又は手段2に記載の給湯システム。
加熱装置及び貯水タンクを併用する場合には、それら加熱装置と貯水タンクとの間に溜まっている水については水温の嵩上げの対象から外れる。そこで、本手段に示すように加熱装置寄りとなる位置に貯水タンクを配設して、嵩上げの対象から外れる水の量を減らす構成とすれば、給湯に係る応答性の向上効果を好適に発揮させることができる。
手段4.前記貯水タンクは、当該貯水タンクの貯水量が前記給湯装置から当該貯水タンクまでの間に溜まる水の量よりも多くなるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段4によれば給湯装置にて温められた水が貯水タンクに届く前に当該貯水タンクにて温められた水が尽きることを抑制できる。このようにして貯水タンクの容量を決定すれば、給湯装置による湯の安定供給が行われるまでの間に水温の急激な低下が生じることを抑制できる。
手段5.前記給湯装置は屋外に配設され、前記加熱装置及び前記貯水タンクは屋内に配設されていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段5に示すレイアウトとすれば、給湯装置を屋外に配置して屋内空間の圧迫を回避しつつ上記応答性の向上を実現することができる。また、屋内には屋外と比較して熱の供給源となる対象(例えば空調設備や冷蔵庫等)が設置されることが多い。貯水タンクを屋内に配設することは、これらの対象からの熱の利用を促す上で好ましい。このように、他の構成によって生じる熱を利用すれば、給湯システムにて消費されるエネルギを軽減することができる。
手段6.空調設備(空調装置15)を有する建物に適用される給湯システムであって、
前記貯水タンクは、前記空調設備の空調空気により調温される空間部(洗面所11、より詳しくは洗面台21の収納部24)に配置されていることを特徴とする手段1乃至手段5のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段6によれば、空調設備によって温められた空気から熱を吸収することにより、上述した温度の嵩上げを実現しつつ消費エネルギの増加を好適に抑制できる。
手段7.前記貯水タンクには、当該貯水タンクに溜まっている水と当該貯水タンクに流入した水とを撹拌させる撹拌手段(撹拌プロペラ43)が設けられていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段7によれば、貯水タンク上流の冷水が貯水タンクに到達する際に、その冷水が貯水タンク内の水と順次混合されることで昇温された後、貯水タンクの下流側へ流出する。これにより、手段1等に示した水温の嵩上げ機能を好適に発揮させることができる。
手段8.前記貯水タンクの外周部には、凹凸状の吸熱部(吸熱フィン44)が設けられていることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段8に示すように凹凸状の吸熱部によって貯水タンク(外周部)の表面積を稼ぐことにより外部の熱の吸収を促すことができる。これにより、貯水タンクにおける水温の上昇に必要な時間を好適に短縮できる。これは、上述した待ち時間の短縮効果を発揮できる機会を増やす上で好ましい構成である。
手段9.前記加熱装置及び前記貯水タンクは、前記吐水口が設けられた水使用キャビネット(例えば洗面台21やキッチン)のキャビネット内空間(例えば収納部24)に配置されていることを特徴とする手段1乃至手段8のいずれか1つに記載の給湯システム。
手段9に示すように洗面台等の水使用キャビネットのキャビネット内空間を加熱装置及び貯水タンクの設置スペースとして利用すれば、それら各種構成が極低温になることを回避する上で好ましい配置を実現できる。なお、水使用キャビネットについては洗面所やキッチンといった空調対象の部屋に設置され得る。その部屋内の熱を利用することができるため、配管内に残っている水が極低温になることを好適に抑制できる。
手段10.前記貯水タンクは、建物に設置されている設備機器(例えば冷蔵庫55Cや空調装置等)の排熱を吸収することによりタンク内の水を昇温させるものであることを特徴とする手段1乃至手段9のいずれか1つに記載の給湯システム。
建物おいては冷蔵庫や空調機器等、排熱を伴う設備機器が備え付けられていることが一般的である。そこで、設備機器の排熱を利用する構成とすれば、貯水タンク内の水を効率よく温めることができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。本実施の形態では、住宅等の建物に適用される給湯システム30について具体化されている。図1は給湯システム30を示す概略図である。
給湯システム30は、屋外に配設された給湯装置31を備えている。給湯装置31は配水管を介して水道管に接続されており、水道管から供給された水が所定の温度となるように温める構成となっている。具体的には、給湯装置31は家庭用の燃料電池コージェネレーションシステムであり、燃料電池ユニット、貯湯タンク及びバックアップボイラを有してなる。燃料電池ユニットは、発電に伴い発生する排熱を用いて水(給水)を加熱するものであり、その加熱された水が貯湯タンクに湯として蓄えられるようになっている。
給湯装置31は、給湯管32を介して建物10に付属の吐水口22に接続されており、給湯装置31にて温められた湯は給湯管32を通じて吐水口22へ供給される構成となっている。給湯管32にて吐水口22寄りとなる部分には調温装置34が配設されている。調温装置34には水道管から延びる給水管33が接続されており、状況に応じて給湯管32からの湯と給水管33からの水とを混合させることが可能となっている。これにより、吐水口22から流出する水の温度(以下、吐水温度という)が利用者によって設定された温度となるように調整される。
給湯管32にて調温装置34と給湯装置31との間に位置する部分には、加熱装置35が配設されている。加熱装置35は電気式のヒータであり、給湯が開始された際に電力が供給されることで発熱する。これにより、加熱装置35の配設箇所を通過する水はその通過の過程にて加熱される。加熱装置35は、調温装置34(吐水口22)及び給湯装置31のうち、前者寄りとなる位置に配置されている。加熱装置35と吐水口22との間に溜まる水を少なくすることにより、加熱対象から外れる水の量を減らしている。これにより、給湯開始から冷水(加熱されていない水)→温水(加熱された水)に切り替わるまでの待ち時間を短くすることが可能となっている。
加熱装置35を電気式のヒータ(瞬間給湯装置)とした場合には例えばガス式とする場合等と比較して当該加熱装置35の配置に係る制約を好適に緩和できる。これは、加熱装置35を吐水口22に近い位置に配置したり配管内に残っている水の急速加熱を実現したりする上で好ましい。
但し、家庭に供給される電力には限りがあるため、ある程度の水量を確保することを前提とした場合には十分な加熱を行うことが困難になると想定される。特に、冬場においては配管内に残っている水温が極低温になり得る。故に、限られた熱量にて昇温を実現しようとしても、その効果が上手く発揮されず、配管内の水が全て吐水口から出るまでは洗面台等において所望の温水が使えないという不都合が生じ得る。本実施の形態においては、このような実情に鑑みた対策を講じていることを特徴の1つとしている。以下、この特徴的な構成について説明する。
加熱装置35と給湯装置31との間には、加熱装置35へ供給される水を貯留する貯水タンク36が配設されている。貯水タンク36は、熱伝導率の高い材料(例えばステンレス)によって構成されており、その外周部には外部の熱源等から熱を吸収する吸熱フィン44が形成されている。吸熱フィン44は凹凸状をなしており外周部の表面積を稼ぐことで、吸熱効率の向上が図られている。吸熱フィン44によって吸収された熱は、貯水タンク36の本体部分を通じて当該貯水タンク36に溜まっている水に伝えられる。これにより、貯水タンク36内の水の温度が貯水タンク36の外部(例えば室温)よりも低いばあいに、貯水タンク36内の水温を外部の温度と同等となるまで嵩上げできる。これにより、給湯経路(給湯管32)にて貯水タンク36よりも上流側(給湯装置31側)となる部分に溜まっている水の温度よりも貯水タンク36内の水の温度を高くすることが可能となる。
貯水タンク36には、水圧を受けて回転する撹拌プロペラ43が内蔵されている。より詳しくは、貯水タンク36への流入口41と貯水タンク36からの流出口42とは上下に離間しており、これら流入口41と流出口42とを結ぶ経路上に撹拌プロペラ43が配設されている。給湯が開始されて給湯装置31から吐水口22に向けた水の流れが発生すると、その流れによって撹拌プロペラ43が回転する。これにより、貯水タンク36内に存在していた水と、新たに貯水タンク36に流入した水とがかき混ぜられることとなる。上述したように、給湯経路の上流側から貯水タンク36に新たに流入した水が貯水タンク36内の水よりも冷たい場合であっても、貯水タンク36から流出する水については少なくとも貯水タンク36内で温められた水が混ざることにより、上記新たに流入すると比べて温度が高くなる。また、撹拌プロペラ43によって撹拌を促すことで貯水タンク36内での温度差も小さくなる(温度の均一化が実現される)。
貯水タンク36の容量は、給湯管32にて給湯装置31と貯水タンク36との間に溜まる水の量よりも多くなっている。これは、給湯装置31から貯水タンク36へ湯が届くまでに当該貯水タンク36の水が全て冷たい水(給湯装置31と貯水タンク36との間に溜まっていた水)に入れ替わることを回避する工夫である。これにより、給湯装置31によって湯の安定供給が行われるまでの間に水温の急激な低下が生じることを抑制できる。
なお、貯水タンク36は、給湯装置31及び加熱装置35のうち後者寄り(詳しくは加熱装置35の最寄り)となる位置に配置されている。これは、貯水タンク36にて温められた水を加熱装置35へ供給する際の応答性を向上する工夫である。
本実施の形態に示す給湯システム30においては、貯水タンク36を屋内に配置することにより、屋外に配置する場合と比較して室温による水温の嵩上げが実現されている。そして、このような嵩上げ効果を一層向上させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図2及び図3を参照して、当該工夫について説明する。図2は建物10の間取りを示す平面図、図3は洗面台21を示す正面図である。
図2に示すように、建物10においては床下等に配設された給湯管32を通じてキッチン、浴室、洗面所11等の各種設備に給湯装置31から湯が供給される構成となっている。以下の説明では洗面所11に配設された洗面台21(吐水口22)への給湯及びそれに関連する構成について例示する。
本実施の形態に示す建物10には空調設備が設けられており、この空調設備によって洗面所11の温度(室温)が管理されている。具体的には、空調設備は、エアコン等の空調装置15、建物10の屋外に配置された室外機、空調装置15及び室外機を繋ぐ配管、空調装置15に空調用の空気を取り込む取込ダクト、空調空気をキッチン、廊下、洗面所11、居室等へ供給する供給ダクト16、屋外へ空気を排出する排気ダクト、更にはそれら空調装置15等を制御する空調制御装置を備えている。空調装置15は、少なくとも冷房や温房等の各機能を有する室内機であり、洗面所11に隣接する機械室12に配設されている。建物10は高気密・高断熱住宅となるように構成されており空調負担が比較的小さくなっていることから、本実施の形態では1の空調装置15によって建物10における全館の空調を賄うことが可能となっている。
図3に示すように、洗面所11に配設された洗面台21には、上記吐水口22と、洗面ボール23と、洗面ボール23の下方に設けられた収納部24とが設けられている。この収納部24に上記給湯システム30を構成する調温装置34、加熱装置35、貯水タンク36が配設されている。
収納部24を開閉する扉部には通気口25が形成されており、空調装置15による空調空気は通気口25を通じて収納部24に流入し得る構成となっている。つまり、収納部24の内部空間は空調空気により調温される空間部となっている。この調温対象となっている空間部に上記貯水タンク36を配設することにより、空調装置15(空調空気)を貯水タンク36における温度嵩上げ用の熱源として利用できる。なお、通気口25を開閉式とすれば、冷房が使用される夏場等では当該通気口25を閉じることができるため、貯水タンク36における温度低下を好適に抑制できる。
次に、図4及び図5を参照して、貯水タンク36の有無によって発生する吐水温の差について説明する。図4(a)は貯水タンク36を有していない場合の給水システムを示す概略図、図4(b)は貯水タンク36を有している場合の給水システムを示す概略図、図5は給湯開始後の吐水温の変化を示すグラフであり、水道管からの供給される水の温度が5℃、給湯の設定温度が40℃、加熱装置から吐水口まで水が移動するのに要する時間が5sec、給湯装置から加熱装置まで水が移動するのに要する時間が30secの場合について例示している。
図4(a)に示すように貯水タンクを有していない給水システムにおいては、給湯開始から5secが経過するまでは吐水温が5℃で推移する。5secが経過した後は加熱装置35Xにて加熱された水が吐水口22Xに到達する。加熱装置35Xにおける加熱能力は水温を凡そ15℃上昇させるように規定されているため、吐水温は5℃→20℃に上昇する。その後は、給湯装置31Xにて温められた湯が吐水口22Xに到達するまで、すなわち給湯開始から65secが経過するまで吐水温は凡そ20℃で推移し、65secが経過した後は吐水温が40℃まで上昇する(図5の2点鎖線参照)。
因みに、加熱装置が設けられていない場合には、給湯開始から35secが経過するまで吐水温が5℃で推移し、その後40℃まで上昇する(図5の1点鎖線参照)。このような構成と比較すれば、貯水タンクが省略されている場合であっても、加熱装置の恩恵によってある程度温まった湯を早期に提供することができる。
しかしながら、設定温度が40℃であるにも関わらず、吐水温がその半分程度となってしまっては、依然として利用者の所望とする温度との乖離が大きい。所望とする温度に達していなければ、所望とする温度に近づくまで吐水の使用が控えられると想定される。
ここで、図4(b)に示すように、貯水タンク36を用いて加熱装置35へ供給される水の温度を空調温度と同等(20℃)となるように嵩上げしている場合には、給湯開始から5secが経過するまでの水の温度は5℃となるものの、5secを経過した後は吐水温が5℃→35度に上昇する。その後は、給湯装置31Xにて温められた湯が吐水口22Xに到達するまで、すなわち給湯開始から65secが経過するまで吐水温は凡そ35℃で推移し、65secが経過した後は吐水温が40℃まで上昇する(図5の実践参照)。
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
給湯装置31と加熱装置35との間に溜まっている水は、吐水口22に案内される際に加熱装置35によって温められることとなる。この際、加熱装置35に並設された貯水タンク36の水が当該加熱装置35に供給される。貯水タンク36内の水は外部の熱の吸収によって給湯管32内の水よりも温かくなる。このようにして加熱装置35に供給される水の温度を嵩上げすることにより、加熱装置35を通じて吐水口22へ供給される水の温度(吐水温)を引き上げることができる。故に、給湯装置31から供給される水が吐水口22に到達する前であっても冷たい水が流出することを抑制し、給湯に係る応答性を好適に向上させることができる。特に、供給される水の温度をより早いタイミングで設定温度に近づけることにより、待ち時間を減らして給湯開始直後からの使用を促すことができる。これは、水の使用量を減らすように促す上で好ましい。
加熱装置35及び貯水タンク36を併用する場合には、それら加熱装置35と貯水タンク36との間に溜まっている水については貯水タンク36による水温の嵩上げ対象から外れる。そこで、本実施の形態に示したように貯水タンク36を加熱装置35寄りとなる位置に配設して、嵩上げの対象から外れる水の量を減らす構成とすれば、給湯に係る応答性の向上効果を好適に発揮させることができる。
貯水タンク36は、空調装置15によって温められた空気から熱を吸収する構成となっている。これにより、上述した温度の嵩上げを実現しつつ給湯システム30における消費エネルギの増加を好適に抑制できる。また、貯水タンク36には吸熱フィン44が形成されており、吸熱効率の向上が図られている。貯水タンク36における水温の上昇に必要な時間を短縮することにより、給湯に係る応答性の向上効果を安定して発揮させることができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、貯水タンク36を室内に配置する構成としたが、これに限定されるものではなく、貯水タンク36を室外に配置することも可能である。つまり、給湯装置31や給湯管32等と比べて外気等の影響を受けにくい箇所であれば足り、例えば図6(a)の概略図に示すように貯水タンク36Bを地中に配置することも可能である。
(2)上記実施の形態では、貯水タンク36B用の熱源として空調装置15からの空調空気を利用したが、これに限定されるものではない。家電等の設備からの排熱を熱源として利用することも可能である。例えば、図6(b)の概略図に示すように、冷蔵庫55Cに隣接する位置(好ましくは背後)に貯水タンク36Cを配設し、冷蔵庫55Cからの排熱によって貯水タンク36C内の水を温める構成とする構成としてもよい。また、空調装置15からの排熱や、風呂等の排水を利用して貯水タンク36C内の水を温める構成とすることも可能である。
(3)上記実施の形態では、空調装置15によって建物10全体の空調を行う構成としたが、居室毎に空調装置を設けてもよい。この場合、空調装置が稼働した場合に空調空気が供給される位置(例えば吹出口付近)に貯水タンク36を配設するとよい。特に、上述した空調装置15については終日の使用を見込まれるのに対して、個別に空調装置を設ける場合には、使用時間帯が限られる可能性が高い。故に、使用時間帯に係る制約が少ない構成と上記給湯システム30とを併用することには、上記応答性の向上効果を上手く発揮させることができるという技術的意義がある。
(4)加熱装置35に供給される水の温度を当該加熱装置35の上流側にて嵩上げし、当該水を所定量貯留することができるのであれば足り、貯水タンク36と加熱装置35とを一体とすることも可能である。このような構成とすれば、貯水部分と加熱部分との離間距離を好適に短縮できる。
(5)上記実施の形態では、吸熱フィン44(「吸熱部」に相当)によって外部の熱を吸収する構成としたが、貯水タンク36を熱伝導率の高い材質により形成して吸熱対象(空調空気)と貯水タンク36内の水の温度とが同等となるように温めることができるであれば足り、吸熱フィン44を省略することも可能である。
(6)図6(c)の概略図に示すように、給湯装置31からの湯を洗面台及びキッチン設備に供給する場合には、洗面台用の加熱装置35D及び貯水タンク36Dと、キッチン設備用の加熱装置35E及び貯水タンク36Eとが並列になるようにして給湯経路の分岐を貯水タンク36D,36Eよりも上流側(給湯装置31側)に設けるとよい。
(7)上記実施の形態では、水圧式の撹拌プロペラ43(「撹拌手段」に相当)によって貯水タンク36内の水を撹拌させる構成としたが、貯水タンク36内の水を撹拌することができるのであれば、その具体的な構成については任意である。例えばスライド移動可能なピストン等の可動体を用いて貯水タンク36内の水を撹拌させることも可能である。
(8)上記実施の形態に示した加熱装置35については、当該加熱装置35又は貯水タンク36へ供給される水の温度が使用者により設定された設定温度に達した場合に加熱を終了する構成とすることも可能である。これにより、給湯システム30におけるエネルギの使用量を軽減できる。このような構成を実現する上では、実際に加熱装置35等へ供給される水の温度を監視する構成としてもよいし、給湯装置31から加熱装置35等へ湯が届くまでの所要時間が決まっているため、給湯開始から所定の時間を経過した際に加熱装置35を停止させる構成としてもよい。
(9)上記実施の形態では、外部から熱を吸収することにより貯水タンク36内の水を温める構成としたが、外部から熱を吸収することにより貯水タンク36内の水の温度の低下を抑制する構成とすることも可能である。具体的には、温水使用後には給湯経路に湯が残ることとなる。そこで、この湯について外気温まで水温が下がらないように保温することにより、次に給湯を開始した際の応答性を好適に向上させることが可能となる。例えば、変形例(1)に示したように貯水タンク36を地中に配置して地熱を利用すれば、保温機能を好適に発揮させることができる。
(10)上記実施の形態では、加熱装置35を電気式のヒータとしたが、給湯装置31から吐水口22に向かう水を加熱することができるのであれば、その具体的構成については任意であり、例えばガス式とすることも可能である。
(11)上記実施の形態に示した給湯装置31については必ずしも屋外に配置する必要はない。例えば建物10の一角に給湯装置31の設置部を設け当該給湯装置31を屋内に設置することも可能である。